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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182486
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】荷台ステージ装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 3/00 20060101AFI20231219BHJP
   B62D 33/04 20060101ALI20231219BHJP
   A63J 1/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B60P3/00 C
B62D33/04 Z
A63J1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096128
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】吉田 敦子
(72)【発明者】
【氏名】大畑 智則
(57)【要約】
【課題】移動経路に狭い道や山道等が存在しても利用が可能であり、効率良く人員の輸送も可能な荷台ステージ装置を提供する。
【解決手段】車両2,2を並べて配することによって、荷台4,4を用いたステージ5を形成する荷台ステージ装置1であり、車両2に搭載される荷箱6を有し、荷箱6が、車両2の前後方向に沿って立設されると共に、荷台4の車幅方向両側に配されたサイドパネル20L,20R、及びルーフパネル30を備えたものであり、ルーフパネル30をサイドパネル20L,20Rに架橋して装着することにより箱状に形成された組立状態、及びルーフパネル30を取り外した分解状態とすることが可能なものである。荷台ステージ装置1は、荷箱6を分解状態としつつ、サイドパネル20L,20Rから取り外されたルーフパネル30を、車両2,2の荷台4,4の間を架橋するように配することによりステージ5の一部を構成できることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台を有する少なくとも2台の車両を並べて配することによって、前記車両の荷台を用いてステージを形成可能な荷台ステージ装置であり、
前記車両のうち少なくとも1台に搭載される荷箱を有し、
前記荷箱が、前記車両の前後方向に沿って立設されると共に、前記荷台の車幅方向両側に配された一対のサイドパネル、及び一対の前記サイドパネルと交差する方向に配されたルーフパネルを備えたものであって、前記ルーフパネルを一対の前記サイドパネルに架橋されるように装着することにより箱状に形成された組立状態、及び前記ルーフパネルを一対の前記サイドパネルから取り外した分解状態とすることが可能なものであり、
前記荷箱を前記分解状態としつつ、前記サイドパネルから取り外された前記ルーフパネルを、並べて配されたそれぞれの前記車両の前記荷台の間を架橋するように配することにより前記ステージの一部を構成できることを特徴とする荷台ステージ装置。
【請求項2】
前記車両は、少なくとも前記荷台の車幅方向両側に配され、前記荷台において立設された立設状態、及び前記荷台の外側に向けた外転状態とすることが可能な一対のアオリ部材を備え、
一対の前記サイドパネルは、前記荷台における一対の前記アオリ部材の内側に配されていることを特徴とする請求項1に記載の荷台ステージ装置。
【請求項3】
前記ルーフパネルは、前記車両における外転状態とされた前記アオリ部材の少なくとも一部と係合可能な係合部を有することを特徴とする請求項2に記載の荷台ステージ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷台ステージ装置に関する。さらに詳しくは、演奏や演劇等の各種のイベント等で利用される台座(舞台、ステージ)を形成可能な荷台ステージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、野外のイベント会場等に移動して、荷台を野外ステージとして利用可能なステージカーが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載のステージカーは、荷台の前後、左右、及び天井を覆う各パネル板を開放することにより、荷台をステージとして利用するものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-138159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載のステージカーは、トラックなどの大型車両をベースとして構成されている。しかしながら、野外のイベント会場等に移動するまでの経路に狭い道や山道等が存在する場合は、上述した大型車両の通行が困難な場合があった。また、上述した特許文献1に記載のステージカーは、搭乗者が3名程度に限られるため、スタッフ等の輸送を考慮した場合、効率が悪くなる問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、移動経路に狭い道や山道等が存在しても利用が可能であり、効率良く人員の輸送も可能な荷台ステージ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明の荷台ステージ装置は、荷台を有する少なくとも2台の車両を並べて配することによって、前記車両の荷台を用いてステージを形成可能な荷台ステージ装置であり、前記車両のうち少なくとも1台に搭載される荷箱を有し、前記荷箱が、前記車両の前後方向に沿って立設されると共に、前記荷台の車幅方向両側に配された一対のサイドパネル、及び一対の前記サイドパネルと交差する方向に配されたルーフパネルを備えたものであって、前記ルーフパネルを一対の前記サイドパネルに架橋されるように装着することにより箱状に形成された組立状態、及び前記ルーフパネルを一対の前記サイドパネルから取り外した分解状態とすることが可能なものであり、前記荷箱を前記分解状態としつつ、前記サイドパネルから取り外された前記ルーフパネルを、並べて配されたそれぞれの前記車両の前記荷台の間を架橋するように配することにより前記ステージの一部を構成できることを特徴とするものである。
【0007】
上述した荷台ステージ装置は、車両の荷箱を構成するルーフパネルを取り外して、当該ルーフパネルを、並べて配されたそれぞれの車両の荷台の間(以下、単に「それぞれの荷台の間」とも称する)を架橋するように配することにより、ステージの一部を構成するものとされている。すなわち、上述した荷台ステージ装置は、少なくとも2台の車両におけるそれぞれの荷台を、ルーフパネルを介して接続することにより、ステージを形成するものとされている。従って、上述した荷台ステージ装置は、複数の荷台、及びルーフパネルの双方によりステージを拡張することができる。なお、サイドパネルは、ステージ形成の際に、前記ルーフパネルと干渉しないように、例えば、荷台に対して着脱可能に構成するとよい。
【0008】
また、上述した荷台ステージ装置は、使用する車両の台数に応じて、車両の台数分の荷台と、それぞれの荷台の間に配されるルーフパネルとによるステージの拡大を行うことができる。ここで、形成されるステージは、例えば、コンサートや演劇等の舞台や、フリーマーケットや屋台等における台座など、各種の用途の台として利用することができる。
【0009】
また、上述した荷台ステージ装置は、車両として例えば、軽トラックを用いることにより、移動経路に狭い道や山道などが存在していても、移動先に到達することができる。また、上述した荷台ステージ装置は、複数台の車両を利用することにより、複数人のスタッフ等の搬送も併せて行うことができるので、効率良く人材を搬送することができる。なお、車両は、軽トラックだけではなく、移動経路に応じて中小型トラックや大型トラックなど、荷箱から取り外しが可能なルーフパネルと、荷台とを有する各種の車両を用いることができる。
【0010】
また、上述した荷台ステージ装置は、車両に搭載された荷箱を構成するルーフパネルを利用して、ステージを形成することができるので、ルーフパネルを収容するためのスペースを新たに設ける必要がない。そのため、上述した荷台ステージ装置は、車両における荷箱(荷台)のスペースが制約されることがない。また、上述した荷台ステージ装置は、ルーフパネルを一対のサイドパネルに架橋されるように装着することにより箱状に形成された組立状態とすることができるので、ルーフパネルを紛失したり、ルーフパネルの搭載を失念したりすることを抑制できる。
【0011】
(2)上述した本発明の荷台ステージ装置において、前記車両は、少なくとも前記荷台の車幅方向両側に配され、前記荷台において立設された立設状態、及び前記荷台の外側に向けた外転状態とすることが可能な一対のアオリ部材を備え、一対の前記サイドパネルは、前記荷台における一対の前記アオリ部材の内側に配されていることを特徴とするとよい。
【0012】
上述した荷台ステージ装置は、かかる構成とすることにより、一対のサイドパネルをアオリ部材の内側で支持することができる。これにより、上述した荷台ステージ装置は、サイドパネルが荷台の外側に倒れたり、荷台の外側に向けて開放したりすることを抑制できるので、荷箱が変形したり、崩れたりすることを抑制できる。
【0013】
(3)上述した本発明の荷台ステージ装置は、前記ルーフパネルが、前記車両における外転状態とされた前記アオリ部材の少なくとも一部と係合可能な係合部を有することを特徴とするとよい。
【0014】
上述した本発明の荷台ステージ装置は、ルーフパネルを、それぞれの荷台の間に架橋した際に、係合部が、外転状態とされたアオリ部材に係合するので、ルーフパネルが、荷台から脱落することを抑制できる。ここで、係合部は、例えば、ルーフパネルの車幅方向両側において、下方側に向けて突出する係合爪とすればよい。また、前記係合爪が、外転状態とされたアオリ部材の基端側と、荷台との間に形成される隙間に挿入されるものとすればよい。かかる構成とすることにより、上述した荷台ステージ装置は、それぞれの荷台の間に架橋されたルーフパネルが、当該荷台から脱落することをより確実に抑制できる。
【0015】
(4)上述した本発明の荷台ステージ装置において、前記ルーフパネルは、下方側に向けて進出可能な下方支持部材を有しており、前記下方支持部材は、並べて配されたそれぞれの前記車両の前記荷台の間を架橋するように配された前記ルーフパネルの下面側において、下方側に向けて進出することにより地面と当接可能であることを特徴とするとよい。
【0016】
上述した荷台ステージ装置は、下方支持部材を有するので、並べて配されたそれぞれの車両の荷台の間に架橋されたルーフパネルを下方側から支持できる。そのため、ルーフパネルの上面側から負荷や荷重が掛かってもルーフパネルが下方側に撓んだり、変形したりすることを抑制できる。また、上述した荷台ステージ装置は、下方支持部材により、ルーフパネルに掛かる負荷を受け止めることができるので、ルーフパネルに過度な剛性が要求されることがない。
【0017】
ここで、サイドパネルは、荷箱を分解状態とした際に、有効活用できることが望ましい。
【0018】
(5)かかる要請に基づき、上述した本発明の荷台ステージ装置は、前記サイドパネルが、前記荷台の前方側又は後方側に立設された回転軸を中心として前記荷台の外側に向けて回動可能に支持されていることを特徴とするとよい。
【0019】
上述した荷台ステージ装置は、かかる構成とすることにより、ステージの前方側又は後方側にサイドパネルによる立設壁を形成することができる。これにより、上述した荷台ステージ装置は、サイドパネル(立設壁)を、音響効果を発揮する音響ボードとして利用したり、観客等の視覚に訴える背景ボードとして利用したりすることができる。
【0020】
(6)上述した本発明の荷台ステージ装置において、前記サイドパネルは、前記荷台の外側に向けて回動させた際に、前記回転軸を中心として前記荷台と前記サイドパネルとの間に形成される扇状の隙間を覆うことが可能な扇状部材を有しており、前記扇状部材は、前記サイドパネルの非回動状態において前記サイドパネルに沿って立設された非展開状態、及び前記サイドパネルの回動状態において、前記隙間を覆うように前記サイドパネルの内側に向けて横転された展開状態とすることが可能であることを特徴とするとよい。
【0021】
上述した荷台ステージ装置は、かかる構成とすることにより、サイドパネルと荷台との間に形成される扇状の隙間を覆うことができるので、例えば、サイドパネルを扇状に展開して音響ボードとして利用できる。これにより、上述した荷台ステージ装置は、より優れた音響効果を発揮可能なステージ(舞台)を形成できる。また、上述した荷台ステージ装置は、サイドパネルと荷台との間に形成される扇状の隙間を覆うことができるので、ステージを広く利用できる。
【0022】
(7)上述した本発明の荷台ステージ装置において、前記ルーフパネルは、車幅方向の少なくとも一方側が、車幅方向に伸縮可能な伸縮部を有していることを特徴とするとよい。
【0023】
上述した荷台ステージ装置は、かかる構成とすることにより、ルーフパネルを車幅以上に拡張することができる。従って、上述した荷台ステージ装置は、小型の車両であっても、広いステージを形成することができる。また、上述した荷台ステージ装置は、伸縮部において、ルーフパネルを構成する部材の少なくとも一部が重複や折り曲げ形成されているとよい。これにより、ルーフパネルの剛性の向上が期待できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、移動経路に狭い道や山道等が存在しても利用が可能であり、効率良く人員の輸送も可能な荷台ステージ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る荷台ステージ装置の全体斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る荷台ステージ装置を構成する荷箱を搭載した車両の全体斜視図である。
図3】本発明の荷台ステージ装置を構成するサイドパネルの説明斜視図である。
図4図2の車両を下方側から見た全体斜視図である。
図5】本発明の荷台ステージ装置を構成するルーフパネルを下方側から見た斜視図である。
図6図1の荷台ステージ装置を下方側から見た全体斜視図である。
図7】本発明の変形例に係る荷台ステージ装置においてサイドパネルを非展開状態とした説明斜視図である。
図8】本発明の変形例に係る荷台ステージ装置においてサイドパネルを展開状態とした説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態に係る荷台ステージ装置1について、図1図6を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、2台の車両2,2が並列に配置されている場合を例として説明する。
【0027】
図1に示すように、荷台ステージ装置1は、荷台4を備えた2台の車両2,2を備えている。また、荷台ステージ装置1は、車両2,2のうちの少なくとも1台が、荷箱6(図2参照)を備えている。
【0028】
図2は、本発明に係る荷台ステージ装置1を構成する荷箱6を搭載した車両2の全体斜視図である。車両2は、本実施形態では、軽トラックが用いられている。従って、車両2は、狭い道や山道等の走行に適したものとされている。車両2は、前方に運転室3と、運転室3の後方に配された荷台4と、荷台4の車幅方向両側に配される左右一対の側方アオリ部材10L,10Rと、荷台4の後方側に配される後方アオリ部材10Bと、荷台4上に配される荷箱6等を備えている。なお、説明において、特に区別が必要でない場合は、側方アオリ部材10L,10R及び後方アオリ部材10Bを、総称してアオリ部材10と称することがある。
【0029】
運転室3は、ハンドル、アクセル、ブレーキ等の各種の運転機器(図示せず)を備えた運転席、及び助手席(共に図示せず)を備えており、運転者と少なくとも1人の乗員が搭乗可能なものとされている。なお、運転室3に搭乗できる人数は、車両2に応じて適宜変更できる。運転室3の下方には、前輪7,7(一方は非表示)が設けられている。
【0030】
側方アオリ部材10L,10Rは、荷箱6の車幅方向両側に立設されている。また、左右一対の側方アオリ部材10L,10Rは、車両前後方向に延びる矩形状の板状部材で形成されている。側方アオリ部材10L,10Rは、例えば、鉄や繊維強化樹脂等で形成されている。側方アオリ部材10L,10Rは、下端側が複数のヒンジ11(図6参照)を介して荷台4の車両前後方向に沿う軸線周りに回動可能に支持されている。
【0031】
また、側方アオリ部材10L,10Rは、荷台4において立設された立設状態から、荷台4の外側に突出するように外転させることにより外転状態とすることができる。側方アオリ部材10L,10Rは、外転状態とすることにより、ヒンジ11を起点として下垂した状態(図6参照)とすることができる。なお、側方アオリ部材10L,10Rは、適宜のロック機構により、立設状態で固定することが可能である。
【0032】
後方アオリ部材10Bは、車幅方向に延びる矩形状の板状部材で形成されている。また、後方アオリ部材10Bは、鉄や繊維強化樹脂等で形成されている。後方アオリ部材10Bは、荷台4の後端側に立設されている。後方アオリ部材10Bは、下端側が複数のヒンジ11を介して荷台4の車幅方向に沿う軸線周りに回動可能に支持されている。
【0033】
また、後方アオリ部材10Bは、荷台4において立設された立設状態から、荷台4の外側に突出するように外転させることにより外転状態とすることができる。後方アオリ部材10Bは、外転状態とすることにより、側方アオリ部材10L,10Rと同様に下垂状態(図示省略)にすることができる。なお、後方アオリ部材10Bは、適宜のロック機構により、立設状態で固定することが可能である。
【0034】
図1に示すように、荷台4は、矩形状の略平坦な台として形成され、荷物等の積載が可能なものとされている。荷台4の下方には、後輪8,8が設けられている。また、荷台4は、ステージ5の一部を構成するものとされている。
【0035】
図2に示すように、荷箱6は、車両2の前後方向に沿って立設されると共に、荷台4の車幅方向両側に配された一対のサイドパネル20L,20Rと、サイドパネル20L,20Rと交差する方向(本実施形態では、直交方向)に配されたルーフパネル30等を備えている。なお、説明において、特に区別が必要でない場合は、サイドパネル20L,20Rを総称してサイドパネル20と称することがある。
【0036】
荷箱6は、ルーフパネル30を一対のサイドパネル20L,20Rに架橋されるように装着することにより箱状に形成された組立状態とすることができる。また、荷箱6は、図1に示すように、ルーフパネル30を一対のサイドパネル20L,20Rから取り外した分解状態とすることができる。なお、本実施形態のように、2台の車両2,2を並べてステージ5を形成する場合は、荷箱6が、並べて配される車両2,2のうちのいずれか1台に設けられていればよい。
【0037】
一対のサイドパネル20L,20Rは、車幅方向両側に配されている。サイドパネル20L,20Rは、荷台4の前後方向に沿って延びるように矩形の板状に形成されている。サイドパネル20L,20Rは、例えば、鉄、アルミニウム、樹脂(繊維強化樹脂を含む)等を素材として形成されている。また、サイドパネル20L,20Rは、それぞれ側方アオリ部材10L,10Rの内側に沿って立設されている。そのため、サイドパネル20L,20Rは、アオリ部材10の内側で支持される。これにより、上述した荷台ステージ装置1は、サイドパネル20が荷台4の外側に倒れたり、荷台4の外側に向けて開放したりすることを抑制できるので、荷箱6が変形したり、崩れたりすることを抑制できる。
【0038】
また、サイドパネル20は、前端側が、車両2の前方側(本実施形態では、運転室3の後端側)に立設された回転軸21に回動可能に支持されている。従って、サイドパネル20は、回転軸21を中心として荷台4の外側に向けて回動することができる。
【0039】
ここで、サイドパネル20は、後述するステージ5が形成された際に、有効活用することが望ましい。そこで、図3に示すように、上述した荷台ステージ装置1では、ステージ5が形成された後、サイドパネル20を、回転軸21を中心として荷台4の外側方向に回動させることにより、ステージ5の前方側にサイドパネル20による立設壁が形成されている。これにより、上述した荷台ステージ装置1は、サイドパネル20(立設壁)を、音響効果を発揮する音響ボードとして利用したり、観客等の視覚に訴える背景ボードとして利用したりすることができる。なお、サイドパネル20は、上記に限定されず、各種の用途に利用することができる。
【0040】
また、サイドパネル20は、必要に応じて(例えば、ルーフパネル30と干渉しないように)、荷台4,4から着脱可能に構成されていてもよい。これにより、取り外したサイドパネル20は、適宜、ステージ5の一部として利用したり、適宜の台やスロープ等として利用したりすることができる。
【0041】
ルーフパネル30は、矩形の板状に形成されており、荷箱6の屋根を形成するものである。ルーフパネル30は、例えば、鉄、アルミ、樹脂(繊維強化樹脂を含む)等を素材として形成されている。ルーフパネル30は、一対のサイドパネル20L,20Rと交差する方向に配されている。また、ルーフパネル30は、一対のサイドパネル20L,20Rの上端に架橋されるように装着されている。
【0042】
図5は、ルーフパネル30を下方側から見た斜視図である。ルーフパネル30は、車幅方向(図示左右方向)両側に、それぞれ二対の係合部31が形成されている。係合部31は、下方側に向けて突出するように形成されている。すなわち、係合部31は、係合爪を形成している(以下、係合部31を係合爪31とも称する)。係合部31は、図4に示すように、荷箱6の組立状態において、サイドパネル20の内側に形成された被係合部(図示せず)に係合させることができる。具体的には、係合部31に設けられた摘みネジ35が、被係合部の溝等に係合することで、係合部31が被係合部と係合するものとされている。これにより、ルーフパネル30が一対のサイドパネル20L,20R上に支持される。すなわち、荷箱6が荷台4上に形成される。
【0043】
また、ルーフパネル30は、サイドパネル20から取り外すことにより、ステージ5の形成部材に供することができる。具体的には、図1に示すように、取り外されたルーフパネル30が、並べて配された車両2,2のそれぞれの荷台4,4の間に架橋して支持されることにより、略水平状態のステージ5が形成される。すなわち、車両2,2の荷台4,4が略水平な方向に拡張される。
【0044】
ここで、図6の部分拡大図に示すように、係合部31は、ステージ5の形成時に、外転状態で下方側に下垂したアオリ部材10と、荷台4との間の隙間12に挿入されるものとされている。また、係合部31の隙間12への挿入に伴い、係合部31が、アオリ部材10の少なくとも一部(本実施形態では、アオリ部材10の基端側)と係合する。これにより、上述した荷台ステージ装置1は、ルーフパネル30が、荷台4から脱落することをより確実に抑制できる。
【0045】
また、図5に示すように、ルーフパネル30は、車幅方向の両側に伸縮部32,32が設けられている。伸縮部32,32は、車幅方向にルーフパネル30を伸縮させることができる。伸縮部32,32は、車幅方向に沿って形成されたガイド34,34を有している。伸縮部32は、ルーフパネル30の前後方向両側に形成された折曲げ部(図示せず)をガイド34,34に摺動可能に係合させることで、ルーフパネル30の車幅方向への伸縮を許容している。これにより、伸縮部32は、荷台4,4の間の幅に応じて、ルーフパネル30の車幅方向への長さを調整することができる。従って、上述した荷台ステージ装置1は、小型の車両2であっても、広いステージ5を形成することができる。なお、伸縮部32には、適宜、抜け止め等が設けられていてもよい。
【0046】
ここで、形成されるステージ5は、例えば、コンサートや演劇等の舞台や、フリーマーケットや屋台等における台座など、各種の用途の台として利用することができる。
【0047】
また、本実施形態では、ルーフパネル30に上述した折曲げ部やガイド34が形成されているので、ルーフパネル30の剛性の向上が期待できる。なお、伸縮部32の構成は、いかなるものとすることが可能であるが、ルーフパネル30を構成する部材の少なくとも一部を重複や折曲げ形成することにより、ルーフパネル30の剛性の向上が期待できる。
【0048】
また、ルーフパネル30は、下面側における車幅方向の中間に一対の下方支持部材33,33(アウトリガー33,33とも称する)が設けられている。下方支持部材33,33は、それぞれ一端側が、ルーフパネル30の前後方向両端側に回動可能に支持されている。下方支持部材33は、図6に示すように、それぞれルーフパネル30の下方側(図示矢印方向)に向けて、回動させることにより、ルーフパネル30の下方側(地面)に向けて進出させることができる。これにより、下方支持部材33,33が、上下方向に沿って立設される。また、下方支持部材33は、他端側に高さ調整ネジ36が設けられており、当該高さ調整ネジ36を調節することにより、他端側を地面(図示せず)と当接させることができる。
【0049】
このように上述した荷台ステージ装置1は、下方支持部材33を有するので、それぞれの車両2,2の荷台4,4の間に架橋されたルーフパネル30を下方側から支持できる。そのため、ルーフパネル30の上面側から負荷や荷重が掛かってもルーフパネル30が下方側に撓んだり、変形したりすることを抑制できる。また、上述した荷台ステージ装置1は、下方支持部材33により、ルーフパネル30に掛かる負荷を受け止めることができるので、ルーフパネル30に過度な剛性が要求されることがない。
【0050】
以上が、本発明の一実施形態に係る荷台ステージ装置1の構成であり、次に、本発明の荷台ステージ装置1の作用効果についての詳細を説明する。
【0051】
上述した荷台ステージ装置1は、少なくとも2台の車両2,2におけるそれぞれの荷台4,4を、ルーフパネル30を介して接続することにより、ステージ5を形成するものとされている。従って、上述した荷台ステージ装置1は、複数の荷台4、及びルーフパネル30の双方によりステージ5を拡張することができる。また、上述した荷台ステージ装置1は、使用する車両2の台数に応じて、車両2の台数分の荷台4と、それぞれの荷台4,4の間に配されるルーフパネル30とによるステージ5の拡大を行うことができる。
【0052】
また、上述した荷台ステージ装置1は、車両2として例えば、軽トラックを用いることにより、移動経路に狭い道や山道などが存在していても、移動先に到達することができる。また、上述した荷台ステージ装置1は、複数台の車両2を利用することにより、複数人のスタッフ等の搬送も併せて行うことができるので、効率良く人材を搬送することができる。なお、車両2は、軽トラックだけではなく、移動経路に応じて中小型トラックや大型トラックなど、荷箱6から取り外しが可能なルーフパネル30と、荷台4とを有する各種の車両を用いることができる。
【0053】
また、上述した荷台ステージ装置1は、車両2に搭載された荷箱6を構成するルーフパネル30を利用して、ステージ5を形成することができるので、ルーフパネル30を収容するためのスペースを新たに設ける必要がない。そのため、上述した荷台ステージ装置1は、車両2における荷箱6(荷台4)のスペースが制約されることがない。また、上述した荷台ステージ装置1は、ルーフパネル30を一対のサイドパネル20L,20Rに架橋されるように装着することにより箱状に形成された組立状態とすることができるので、ルーフパネル30を紛失したり、ルーフパネル30の搭載を失念したりすることを抑制できる。
【0054】
以上が、本発明の荷台ステージ装置1の作用効果の詳細であり、次に、本発明の変形例に係る荷台ステージ装置100についての詳細を説明する。なお、以下の変形例の説明において、上述した実施形態と同様の構成については、説明を省略する。また、上述した実施形態と同一の部材については同一の符号を用いていることに留意されたい。
【0055】
≪変形例≫
図7に示すように、本発明の変形例に係る荷台ステージ装置100では、3台の車両2,2,2が間隔を空けて並べて配されている。変形例に係る荷台ステージ装置100は、両端側に位置する車両2,2の外側に位置するサイドパネル120L,120Rの下端側に扇状部材110,110(サイドパネル120L側の扇状部材110は、図示せず)が設けられている。
【0056】
図8に示すように、扇状部材110,110は、サイドパネル120L,120Rを荷台4,4の外側に向けて回動させた際に、回転軸21,21を中心として荷台4とサイドパネル120L,120Rとの間に形成される扇状隙間130,130を覆うものとされている。
【0057】
扇状部材110,110は、サイドパネル120L,120Rの下端側に沿う軸線回りに回動可能に支持されている。扇状部材110,110は、サイドパネル120L,120Rの非回動状態(図7参照)においてサイドパネル120L,120Rに沿って立設された非展開状態とされている。
【0058】
また、図8に示すように、扇状部材110,110は、サイドパネル120L,120Rの回動状態において、扇状隙間130,130を覆うようにサイドパネル120L,120Rの内側に向けて横転された展開状態とすることができる。扇状部材110は、扇状隙間130を覆った際に、一端側が、荷台4の外縁部分に係合するものとされている。これにより、扇状隙間130が、扇状部材110,110に覆われ、ステージ5の一部を形成する。
【0059】
このように、変形例に係る荷台ステージ装置100は、サイドパネル120L,120Rとそれぞれの荷台4,4との間に形成される扇状隙間130,130を覆うことができるので、例えば、サイドパネル120L,120Rを扇状に展開して音響ボードとして利用できる。これにより、変形例に係る荷台ステージ装置100は、より優れた音響効果を発揮可能なステージ5(舞台)を形成できる。また、上述した荷台ステージ装置100は、サイドパネル120L,120Rにより扇状隙間130,130を覆うことができるので、ステージ5を広く利用できる。
【0060】
以上が、本発明の荷台ステージ装置1の実施形態及び変形例の構成及び作用効果であるが、本発明の荷台ステージ装置1は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、様々な変形を行うことができる。
【0061】
本実施形態では、2台の車両2,2を並列方向に並べて配置したが、使用する車両2の台数は、3台以上並べるものであってもよい。また、例えば、車両2,2を直列方向に並べて配置し、ルーフパネル30が、荷台4,4の直列方向に架橋されるものとすることもできる。また、車両2を配置する方向は、並列方向と直列方向とを組み合わせたものでもよい。また、ルーフパネル30は、矩形状で、平坦状に形成されていることが望ましいが、ルーフパネル30は、矩形状や平坦状のものには限定されず、各種の形状のものを利用できる。例えば、ルーフパネル30が、適度に湾曲していてもよい。
【0062】
また、荷箱6を設ける車両2は、荷台4,4の間の数量に応じて設ければよい。また、本実施形態では、荷箱6としてルーフパネル30を1枚有する構成を例示したが、荷箱6にルーフパネル30に相当する板材が複数設けられていてもよい。また、ルーフパネル30の形状や大きさは、適宜、変更することができる。
【0063】
また、本実施形態では、ルーフパネル30が、伸縮部32を有しているものを例示したが伸縮部32は、必要に応じて設ければよく、伸縮部32を有しない構成とすることも可能である。また、伸縮部32の形態や伸縮方法は、適宜、変更することが可能である。また、本実施形態では、伸縮部32が、車幅方向にルーフパネル30を伸縮させるものを例示したが、伸縮部32が、車両2の前後方向にルーフパネル30を伸縮させるものとしてもよい。また、本実施形態では、伸縮部32が、車幅方向両側に設けられているものを例示したが、伸縮部32が、一方側にのみ設けられていてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、ルーフパネル30が、係合部31を有するものとしたが、係合部31は、必要に応じて設ければよく、係合部31を有しない構成とすることもできる。また、ルーフパネル30は、荷台4,4の間を架橋できるものであれば、各種の手段で荷台4,4の間に架橋させることができる。また、本実施形態では、係合部31が、アオリ部材10と、荷台4との間に形成される隙間12に挿入することによってアオリ部材10に係合させているが、係合部31は、アオリ部材10に直接的又は間接的に係合するものや、荷台4,4に直接的又は間接的に係合するものなど各種の方法で係合させることができる。
【0065】
また、サイドパネル20の形状や大きさ、数量は、適宜変更することができる。また、荷箱6の形状や大きさについても、サイドパネル20やルーフパネル30に応じて適宜変更することができる。また、本実施形態では、ステージ5の形成状態において、荷箱6は全て分解状態とされているが、必要に応じて荷箱6の一部を組立状態として残し、他の荷箱6を分解状態としてステージ5を形成してもよい。かかる構成とした場合は、荷箱6を収納部や控室等として利用できる。また、本実施形態では、サイドパネル20が回転軸21を中心として回動するものとしたが、サイドパネル20は、回動するものだけではなく、取り外し可能なものや荷台4,4に固定されているものなど各種の形態のものが利用できる。また、サイドパネル20を回動させる方向は、水平方向だけではなく、各種の方向に設定することができる。また、サイドパネル20の回転軸21は、荷台4の前方側だけではなく、後方側等の各種の位置に配することができる。
【0066】
また、本実施形態では、車両2が、アオリ部材10を備えるものとしたが、アオリ部材10は、必要に応じて設ければよく、アオリ部材10を有しない構成とすることもできる。また、サイドパネル20に代えて、アオリ部材10を用いて荷箱6が形成されていてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、ルーフパネル30が、下方支持部材33,33を有するものを例示したが、下方支持部材33,33は、必要に応じて設ければよく、下方支持部材33,33を有しない構成とすることもできる。また、下方支持部材33を設ける個数や方向、設ける位置等も適宜変更することができる。また、下方支持部材33の形状や大きさ等も、ルーフパネル30の形状や大きさ等に合わせて、適宜変更することができる。
【0068】
また、本変形例では、サイドパネル120L,120Rが、扇状部材110,110を有するものを例示したが、扇状部材110,110は、必要に応じて設ければよく、扇状部材110、110を有しない構成とすることもできる。また、扇状部材110は、形状や大きさ、数量等、適宜変更することができる。
【0069】
また、本実施形態では、車両2として軽トラックを例示したが、車両2は、軽トラックには限定されず、道路状況などに応じて、中小型車や、大型車を用いることもできる。また、車種もトラックには限定されず、各種の車両を利用することができる。
【0070】
以上が、本発明に係る荷台ステージ装置1の実施形態や変形例であるが、本発明は上述した実施形態や変形例において例示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得ることは当業者に容易に理解できよう。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の荷台ステージ装置は、演奏や演劇などのイベントの舞台(ステージ)に利用することができる。また、本発明の荷台ステージ装置は、フリーマーケット、屋台などの各種の台座として利用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 :荷台ステージ装置
2 :車両
4 :荷台
5 :ステージ
6 :荷箱
10 :アオリ部材
10L:側方アオリ部材
10R:側方アオリ部材
10B:後方アオリ部材
12 :隙間
20 :サイドパネル
20L:サイドパネル
20R:サイドパネル
21 :回転軸
30 :ルーフパネル
31 :係合部(係合爪)
32 :伸縮部
33 :下方支持部材(アウトリガー)
100 :荷台ステージ装置
110 :扇状部材
130 :扇状隙間
120L:サイドパネル
120R:サイドパネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8