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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182492
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】加熱調理器具
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/07 20060101AFI20231219BHJP
   F24B 1/02 20060101ALI20231219BHJP
   F24B 1/26 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
A47J37/07
F24B1/02 E
F24B1/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022106642
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】522262267
【氏名又は名称】小池 晴久
(72)【発明者】
【氏名】小池 晴久
【テーマコード(参考)】
4B040
【Fターム(参考)】
4B040AA04
4B040CA03
4B040CA15
4B040CA16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】加熱対象物を煤で汚す事無く、加熱時のエネルギーロスを低減し加熱調理すると共に、加熱終了後の後片付けを容易にする加熱調理器具を提供する。
【解決手段】本体ケース10内部に加熱対象物60を出し入れ可能な開口部20を備えると共に、本体ケース10を貫通させて配置した燃焼室30を備え、燃焼室開口部31は、本体ケース10の外側に開口する構造。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃やすことを熱源とする加熱調理する器具であって、本体ケースと、本体ケース内部へ加熱対象物を出し入れ可能な開口部と、本体ケースを貫通させて配置した燃焼室を備え、前述の燃焼室のその開口部は本体ケースの外側に開口することを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器具
【請求項2】
前述の燃焼室の開口部は、少なくともそのうち1つが上方向に開口していることを特徴とする加熱調理器具
【請求項3】
前述の本体ケース内部へ加熱対象物を出し入れすることが可能な本体ケースの開口部は、その開口部を塞ぐ部材にて開口部を塞ぐ事ができることを特徴とする請求項1、請求項2に記載の加熱調理器具
【請求項4】
前述の本体ケースと燃焼室との間には、遮熱板を装着していることを特徴とする請求項1、請求項2に記載の加熱調理器具
【請求項5】
前述の本体ケースと燃焼室との間には遮熱板を装着し、その本体ケースと燃焼室の間に保温材を装着していることを特徴とする請求項1、請求項2に記載の加熱調理器具
【請求項6】
前述の本体ケース内部へ加熱対象物を出し入れすることが可能な本体ケースの開口部は、その開口部を塞ぐ部材にて開口部を塞ぐ事ができると共に、その開口部を塞ぐ部材に遮熱板を装着している事を特徴とする請求項1、請求項2に記載の加熱調理器具
【請求項7】
前述の燃焼室の開口部は、取り外し可能な蓋を装着できることを特徴とする請求項1、請求項2に記載の加熱調理器具
【請求項8】
前述の燃焼室の開口部は、本体ケースより突き出ていることを特徴とする請求項1、請求項2に記載の加熱調理器具
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬式のグリル、オーブン等の加熱調理具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、熱源を燃焼によって確保する一般的な加熱調理器具は、火炎や、燃焼により生成された高温のガスを、直接食材に当てたり、食材を入れた鍋を通して当てたりすることで加熱調理を行う方法が一般的で、単純な構造で広い範囲に高温が与えられる為、広く普及している。
【0003】
アウトドアレジャーなどでは、特許文献1のように熱源に炭や薪を用いる事も多い。しかし、加熱対象物に火炎や、燃焼後のガスが触れると、その表面に煤が付着することがあり、例えば、加熱対象物が食材の場合は煤付着による見た目の悪化や、味の低下が生じる。また、加熱調理器具の場合は例えば鍋に煤が付着するなど、後片付けを煩わしくする一因となっている。
【0004】
また、熱源に炭や薪を用いる一般的な加熱調理器具は、特許文献2のように燃焼中の炭や薪に新鮮な空気を供給しやすい構造をとる事が多く、多くの部分が外気に触れる構造とするが故に、加熱対象物以外に放出するエネルギーロスも多く、多くの燃料を要する。
【0005】
また、加熱調理後の後始末として、熱源に炭や薪を用いる場合、燃え残った炭や灰は、十能などのスコップを使用して回収する事が多いが、従来の加熱調理器具は、燃焼部分の構造が複雑で炭や灰を取り除くのに手間がかかる。また、それらを水で洗い流す場合、灰の混じった汚水が生じる事や、残った熱で蒸気が発生して火傷する危険や、器具の急冷による変形が発生するなど、これもまた煩わしさの一因となっている。
【0006】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-132288号公報
【特許文献2】特開2019-42212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明で解決する課題は、従来の加熱調理器具で発生していた、食材や器具などへの煤付着や、発生させた熱が逃げるエネルギーロスの低減並びに、加熱終了後の後処理の煩雑さを解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、請求項1に記載の発明は、本体ケースと、その本体ケース内部に加熱対象物を出し入れ可能な開口部と、本体ケースを貫通させて配置した燃焼室を備え、燃焼室の開口部は、本体ケースの外側に開口している。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に加え、燃焼室の開口部の少なくとも1つが上方向に開口している。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1、請求項2に記載の発明に加え、本体ケース内部に加熱対象物を出し入れ可能な開口部は、その開口部を塞ぐ部材を装着することで、その開口部を塞いでいる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1、請求項2に記載の発明に加え、本体ケースと燃焼室の間に遮熱板を装着している。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1、請求項2に記載の発明に加え本体ケースと燃焼室の間に遮熱板を装着し、その本体ケースと遮熱板の間に保温材を装着している。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1、請求項2に記載の発明に加え、本体ケース内部に加熱対象物を出し入れ可能な開口部は、その開口部を塞ぐ部材を装着し、その開口部を塞ぐと共に、その開口部を塞ぐ部材に遮熱板を装着している。
【0015】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1、請求項2に記載の発明に加え、燃焼室の開口部に取り外し可能な蓋を装着している。
【0016】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1、請求項2に記載の発明に加え、燃焼室の開口部は本体ケースより突き出ている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、加熱対象物と燃焼部分は、燃焼室の壁面で隔たれており、加熱対象物へ火炎や、燃焼ガスが直接触れない為、加熱対象物を煤で汚さず加熱が可能である。また、燃焼室の外壁から伝わる熱は、本体ケース内部の空間に蓄熱される為、エネルギーロスの低減が可能である。また、加熱終了後の撤収作業においても、本体ケースを傾けるだけで炭や灰の排出を行う事が可能であり、後処理の煩雑さを解消できる。
【0018】
また、請求項2の発明を加える事により、燃焼室の開口部の少なくとも1つが上方向に開口することで、煙突効果により燃焼室の燃焼効率を高める。
【0019】
また、請求項3~6の発明を加えることにより、本体ケース内部に蓄熱された熱が外部に逃げにくくなり、更なるエネルギーロス低減に貢献する。
【0020】
また、請求項7の発明を加えることにより、消火時に燃焼室の吸排気を遮断することで安全に消火し、後処理の煩雑さを低減する。
【0021】
また、請求項8の発明を加えることにより、煙突効果をより高め、また、使用後の炭や灰の排出時の飛散を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1の実施例を示す外観斜視図である。
図2】本発明の第1の実施例の加熱調理時の状態を示す外観斜視図である。
図3】本発明の第1の実施例の消火時の状態を示す外観斜視図である。
図4】本発明の第2の実施例を示す外観斜視図である。
図5】本発明の第3の実施例を示す外観斜視図である。
図6】本発明の第4の実施例を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0023】
本発明の第1の実施例を図1に示す。本体ケース10は、本体ケース10に開いた開口部20を備え、開口部20を通して本体ケース10の内部へ加熱対象物60を出し入れする事ができる。開口部20は、開口部を塞ぐ部材40で塞ぐ事が可能である。燃焼室30は、本体ケース10を貫通させて配置され、燃焼室30の燃焼室開口部31は本体ケース10の外側に開口している。また、燃料70は、燃焼室開口部31より燃焼室30内へ供給される。
【0024】
本実施例では、燃焼室30は本体ケース10に開けた穴にはめ込む事で保持しているが、燃焼室の端面をフランジ形状とし本体に固定することも可能である。また、燃焼室30は2つの燃焼室開口部31があり、上方向に向いた燃焼室開口部31は、本体ケース10より突き出し、より燃焼室を長くすることで、さらに煙突効果を高めている。
【0025】
また、水平方向に開口する燃焼室開口部31は、燃料供給のみならず、空気導入孔としても機能している。
【0026】
また、使用後の炭や灰の排出は、水平方向に開口する燃焼室を傾ける事でも実現でき、本体ケース10ごと傾ければ容易に排出が可能である。更に、燃焼室開口部31を本体ケース10より突き出た構造とする事で、排出先の近傍への排出が可能となり、炭や灰の飛散を低減できる。
【0027】
本体ケース10の内部には遮熱壁11が配置される。また、開口部を塞ぐ部材40にも遮熱壁41が配置され、本体ケース10の外面や、開口部を塞ぐ部材40の外面から逃げる熱を低減している。
【0028】
本体ケース10の下面には、脚80が設置され、本体ケース10の高さを高くすることで作業性改善が図られている。
【0029】
図2は、第1の実施例の加熱調理時の一例を示したものである。燃焼室開口部31から蓋50は取り外されている。本体ケース10内に加熱対象物60が置かれ、開口部20は、開口部を塞ぐ部材40にて塞がれている。この形態により燃焼室30の熱が、燃焼室30の外壁を通じ本体ケース10内部に蓄積され、加熱対象物を加熱すると共に、開口部20から逃げる熱エネルギーを低減している。
【0030】
図3は、第1の実施例の消火時の一例を示したものである。燃焼室開口部31には蓋50が装着されており、燃焼室30への吸排気を遮断する為、燃焼室30は火消壺と同様の状態となり、安全に消火することが可能となる。
【0031】
また消火時に、開口部を塞ぐ部材40を撤去し、開口部20を開口することで、外部への放熱量が増加し、消火を早める事が可能となる。
【0032】
本発明の第2の実施例を図4に示す。この実施例は第1の実施例に対し、燃焼室が分岐し、燃焼室開口部31を1つ増加させた構造である。この増加した燃焼室開口部31は、燃料70の供給を容易にする効果を狙ったもので、上方向より燃料を投入可能となり、燃料供給が容易に行える。
【0033】
本発明の第3の実施例を図5に示す。この実施例では、第1の実施例に対し本体ケース10を45°傾けた配置とし、燃焼室30は本体ケース10内部でコの字型に曲げられ本体ケース10内の2角に配置している。この場合、加熱対象物60を置く部分を囲むように燃焼室を配置できると共に、燃焼室外壁からの熱放出面積を広く確保できる為、加熱量の向上が期待できる。
【0034】
また、加熱対象物60を置く台61は本体ケース10の対向する角まで広げて配置する事が可能となり、より広い面積の加熱対象物を加熱調理するのに有効である。
【0035】
本発明の第4の実施例を図6に示す。この実施例では、本体ケース10を円筒形としている。また、本体ケース10と遮熱板11の間に耐熱性の保温材12を追加し、より保温効果を高めている。
【0036】
また、燃焼室30が上方向に向き、本体ケース10から突き出ている部分は、2重構造32となっており、燃焼室が冷える事による燃焼室への煤付着を低減している。
【0037】
また、燃焼室開口部31に装着する蓋50には、脱落防止溝51が備えられ、また、燃焼室開口部31付近の対応する位置に突起52が設けられており、その脱落防止溝51と突起52を組み合わせる事で、消火中に蓋が外れることを防止できる。また、消火後においても炭や灰を閉じ込め続けられるので、時間を置いた後に再度着火する際に、残った炭を消し炭としてそのまま再使用できるので無駄がない。
【0038】
また、開口部を塞ぐ部材40は蝶番42が取付けられ、蝶番を中心とした回転動作によるスムーズな開閉が可能となり、さらに打掛鍵43にて固定が可能である。
【0039】
本体ケース10には通気開口部90が設けられ、開口面積可変機構91にてその開口量を調節できる。この機構により本体ケース10内部の空気と外部の空気の交換量を任意に調整することが可能となり、温度調節や、換気量の自由度を高める。
【0040】
これらの実施例の具体的な手段の一例として、本体ケース10、開口部を塞ぐ部材40、遮熱壁11、遮熱壁41は安価で取り扱い性の良い、例えば鉄板やステンレス板を適する形状に加工し形成でき、さらに本体ケース10を切り開く事で、開口部20,通気開口部90を形成できる。
【0041】
保温材12は、本体ケース10と遮熱壁11で構成される空間に滞留する空気とする事や、例えばガラス、セラミックなどで形成した耐熱性部材を入れる事も可能である。
【0042】
燃焼室30及び、蓋50は、その一部が高温となるため、安価で融点の高い材質、例えば、鉄やステンレスなどを用い、板材を円筒に加工したものや、あらかじめ円筒形状にて形成されたものを使用することが望ましい。また、燃焼室30の構成として単体で形状を成すもの以外にも複数部材をつなぎ合わせて構成することも可能ある。また、燃焼室が多層構造である部分32は、その外面となる部分の材質は、同様に鉄、ステンレスが望ましく、その内層部分は、単に空洞とし真空層や空気層とする事や、例えばガラス、セラミックなどで形成した耐熱性部材を入れる事も可能である。
【0043】
加熱対象物60は、加熱対象物を置く台61に置かれるが、直接食品に触れる可能性があるため、鉄にメッキを施したものや、ステンレスを用い製作することが望ましい。形状について、加熱対象物を置く台の平面部分を金網のような目の粗いもので構成した場合、加熱対象物から発生した水分が蒸発し、パリッとした仕上がりが期待でき、また、平板で構成した場合、加熱対象物60からの水分が残留し、しっとりとした仕上がりが期待できる。更に加熱対象物を置く台の平面部分の上にレンガなどを置くことも可能で、この場合、加熱対象物からの水分をレンガが一時的に吸収するので、水分が過剰な場合でもベチョっとせず良好な仕上がりが期待できる。
【0044】
また、燃料70は薪や炭など使用する事ができる。またそれ以外にも、適したバーナを準備し燃焼室に配置する事で、ブタンガスなどの気体燃料や、アルコール、ガソリンなどの液体燃料を用いる事も可能で、この場合、それらの燃料起因の匂いの影響を受けず調理でき、また炭や灰が発生しないため利便性がさらに良い。
【0045】
なお、これらの実施例は、本発明の一例を説明したものであり、構成する素材、形状、寸法、数及び配置等を限定するものでなく、特許請求の範囲記載に記載する範囲において任意に設計変更することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 本体ケース
11 遮熱壁
12 保温材
20 開口部
30 燃焼室
31 燃焼室開口部
32 燃焼室が多層構造である部分
40 開口部を塞ぐ部材
41 遮熱壁
42 蝶番
43 打掛鍵
50 蓋
51 脱落防止溝
52 突起
60 加熱対象物
61 台
70 燃料
80 脚
90 通気開口部
91 開口面積可変機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6