IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 哈爾浜市康隆薬業有限責任公司の特許一覧 ▶ 宜春市炳晨農業科技発展有限公司の特許一覧

特開2023-182502炎症性疾患または腫瘍を治療する薬物の調製におけるクチナシグサの有効部位の抽出物の使用
<>
  • 特開-炎症性疾患または腫瘍を治療する薬物の調製におけるクチナシグサの有効部位の抽出物の使用 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182502
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】炎症性疾患または腫瘍を治療する薬物の調製におけるクチナシグサの有効部位の抽出物の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/80 20060101AFI20231219BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231219BHJP
   A61P 15/14 20060101ALI20231219BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20231219BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231219BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231219BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20231219BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20231219BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20231219BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20231219BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
A61K36/80
A61P35/00
A61P15/14
A61P11/00
A61P29/00
A61P43/00 111
A61P31/04
A61P1/04
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P17/06
A61P7/00
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022131807
(22)【出願日】2022-08-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-15
(31)【優先権主張番号】202210673135.9
(32)【優先日】2022-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522333501
【氏名又は名称】哈爾浜市康隆薬業有限責任公司
(71)【出願人】
【識別番号】522333512
【氏名又は名称】宜春市炳晨農業科技発展有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】穆浜
(72)【発明者】
【氏名】石建功
(72)【発明者】
【氏名】張天泰
(72)【発明者】
【氏名】郭慶蘭
(72)【発明者】
【氏名】李偉権
【テーマコード(参考)】
4C088
【Fターム(参考)】
4C088AB37
4C088AC01
4C088CA01
4C088CA05
4C088CA08
4C088CA11
4C088CA14
4C088MA07
4C088MA17
4C088NA05
4C088NA14
4C088ZA51
4C088ZA59
4C088ZA68
4C088ZA81
4C088ZA89
4C088ZA96
4C088ZB11
4C088ZB15
4C088ZB26
4C088ZB35
4C088ZC41
(57)【要約】
【課題】炎症性疾患または腫瘍を治療する薬物の調製におけるクチナシグサの有効部位の抽出物の使用を提供する。
【解決手段】本発明は、炎症性疾患または腫瘍を治療する薬物の調製におけるクチナシグサの有効部位の抽出物の使用を提供し、漢方薬抽出物の技術分野に属し、本発明は、様々な分離精製方法(例えば、溶媒抽出、マクロポーラス樹脂カラムクロマトグラフィー、MCIカラム分離、Sephadex LH-20ゲルカラム分離など)を使用して、それぞれクチナシグサ有効部位を分離精製し、クチナシグサの有効部位の抽出物を得、該クチナシグサの有効部位の抽出物はTNF-αの分泌を有意に阻害できるだけでなく、乳癌細胞および肺癌細胞の増殖も有意に阻害でき、炎症性疾患または腫瘍を効果的に治療する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍を治療する薬物の調製におけるクチナシグサの有効部位の抽出物の使用であって、前記クチナシグサの有効部位の抽出物は、クチナシグサ粗抽出液をマクロポーラス樹脂により分離した水溶出成分LRCW-A、クチナシグサ粗抽出液をマクロポーラス樹脂により分離した40~60%エタノール溶出成分LRCW-Bのうちの一種または二種を含み、
前記LRCW-AおよびLRCW-Bの調製方法は、
クチナシグサを粉砕し、水と混合した後に2~4回煎じて抽出し、毎回20~40min抽出し、濾液を合わせ、濾液を減圧濃縮して、クチナシグサ粗抽出液を得るステップ(1)と、
クチナシグサ粗抽出液をHP-20マクロポーラス樹脂カラムクロマトグラフィーにより分離し、順に水および40~60%エタノールでそれぞれ150~250L溶出して、それぞれLRCW-AおよびLRCW-Bを得るステップ(2)とを含むことを特徴とする腫瘍を治療する薬物の調製におけるクチナシグサの有効部位の抽出物の使用。
【請求項2】
前記クチナシグサの有効部位の抽出物は、LRCW-B1、LRCW-B2、LRCW-B3およびLRCW-B4のうちの一種または複数種を含み、
前記LRCW-B1、LRCW-B2、LRCW-B3およびLRCW-B4の調製方法は、
前記LRCW-BをMCIカラムクロマトグラフィーにより分離し、順に水、25~35%エタノール、40~60%エタノールおよび80~95%エタノールでそれぞれ35~45L溶出して、それぞれLRCW-B1、LRCW-B2、LRCW-B3およびLRCW-B4を得るステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記クチナシグサの有効部位の抽出物は、B2-2、B2-3、B2-6、B2-10、B2-11、B2-12、B2-13、B2-14、B2-15、B2-16、B2-17およびB2-18のうちの一種または複数種を含み、
B2-1~B2-19の調製方法は、
前記LRCW-B2をSephadex LH-20ゲルカラムクロマトグラフィーにより分離し、体積比1:0~0:1の無水エタノールおよび水を移動相として勾配溶出を行い、薄層クロマトグラフィーの結果に基づき、同じ画分を合わせてB2-1~B2-19を得るステップを含むことを特徴とする請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記クチナシグサの有効部位の抽出物は、B2-16-1、B2-16-3、B2-16-4、B2-16-5、B2-16-6、B2-16-18、B2-16-19、B2-16-20、B2-16-21およびB2-16-22のうちの一種または複数種を含み、
B2-16-1~B2-16-22の調製方法は、
前記B2-16をSephadex LH-20ゲルカラムクロマトグラフィーにより分離し、体積比1:0~0:1の無水エタノールおよび水を移動相として勾配溶出を行い、薄層クロマトグラフィーの結果に基づき、同じ画分を合わせてB2-16-1~B2-16-22を得るステップを含むことを特徴とする請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記腫瘍は、乳癌および肺癌のうちの一種または二種を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記腫瘍が肺癌である場合、前記クチナシグサの有効部位の抽出物は、B2-2、B2-3、B2-6、B2-16-1、B2-16-3、B2-16-4のうちの一種または複数種を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
炎症性疾患を治療する薬物の調製におけるクチナシグサの有効部位の抽出物の使用であって、前記クチナシグサの有効部位の抽出物は、請求項3に記載のB2-13、B2-15、B2-16および請求項4に記載のB2-16-15のうちの一種または複数種を含むことを特徴とする炎症性疾患を治療する薬物の調製におけるクチナシグサの有効部位の抽出物の使用。
【請求項8】
前記薬物は、炎症性因子TNF-αの分泌を有意に阻害することを特徴とする請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記炎症性疾患は、敗血症、炎症性腸疾患、関節リウマチ、強直性脊椎炎または乾癬を含むことを特徴とする請求項7に記載の使用。
【請求項10】
前記薬物は、有効成分としてのクチナシグサの有効部位の抽出物および薬学的に許容される担体または添加剤を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の使用または請求項6~8のいずれか一項に記載の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漢方薬抽出物の技術分野に属し、特に、炎症性疾患または腫瘍を治療する薬物の調製におけるクチナシグサの有効部位の抽出物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症は、有害な刺激(例えば、組織損傷、病原体および刺激物)に対する正常な生物学的反応の一部であり、慢性炎症は、持続的な刺激(例えば、刺激物または病原体)または免疫系の機能不全(例えば、自己免疫炎症性疾患)に起因して発症する可能性がある。TNF-α阻害剤は、自己免疫炎症性疾患(関節リウマチ(RA)、強直性脊椎炎(AS)および乾癬性関節炎(PsA)などを含む)を治療するために最優先に選択される治療薬でもある。しかし、現在、TNF-α阻害剤は、自己免疫炎症性疾患を効果的に治療できず、例えば、薬物の静脈内投与によりインフリキシマブの初期バイオアベイラビリティが100%に近い場合でも、薬物動態学の違いにより、個々の患者が輸液の間の長い期間にわたって薬物レベルが不十分となり、応答の失敗をもたらし得る。また、悪性腫瘍は、現在、国民全体の健康水準および生活の質に深刻な影響を与えている。そして、腫瘍を治療する高効率で安全な薬物がないため、悪性腫瘍による死亡率は年々上昇する傾向にあり、人間の死因の第二位となっている。研究によると、多くの天然植物の抽出物が良好な抗腫瘍、抗炎症活性を持っているため、漢方薬から薬物を探すことは既に抗炎症、抗腫瘍薬物の研究の有効な手段となっている。
【0003】
クチナシグサは、ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)クチナシグサ属(Monochasma)ウスユキクチナシグサ(Monochasma savatieriFranch.)の全草で、全草が薬用になり、体内の熱を冷まして解毒し、血液を冷やして止血し、湿邪を取り除いて痛みを止める等の効能を有し、主に風邪、肺炎による発熱、咳、吐血、赤痢、血便、月経不順、リウマチ骨痛、歯痛、乳癰等の病気を治療するために用いられる。しかし、クチナシグサの化学成分に関する研究は比較的少なく、これまで、そのアセトン、水またはエタノール抽出物から、フェニルエタノイド配糖体、イリドイド配糖体、フラボンおよび有機酸等の構造タイプを含む約30個の化合物のみが報告されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに鑑みて、本発明の目的は、炎症性疾患または腫瘍を治療する薬物の調製におけるクチナシグサの有効部位の抽出物の使用を提供することにあり、該クチナシグサの有効部位の抽出物は、炎症性疾患または腫瘍を効果的に治療できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記発明の目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決手段を提供する。
【0006】
腫瘍を治療する薬物の調製におけるクチナシグサの有効部位の抽出物の使用であって、前記クチナシグサの有効部位の抽出物は、クチナシグサ粗抽出液をマクロポーラス樹脂により分離した水溶出成分LRCW-A、クチナシグサ粗抽出液をマクロポーラス樹脂により分離した40~60%エタノール溶出成分LRCW-Bのうちの一種または二種を含み、
前記LRCW-AおよびLRCW-Bの調製方法は、
クチナシグサを粉砕し、水と混合した後に2~4回煎じて抽出し、毎回20~40min抽出し、濾液を合わせ、濾液を減圧濃縮して、クチナシグサ粗抽出液を得るステップ(1)と、
クチナシグサ粗抽出液をHP-20マクロポーラス樹脂カラムクロマトグラフィーにより分離し、順に水および40~60%エタノールでそれぞれ150~250L溶出して、それぞれLRCW-AおよびLRCW-Bを得るステップ(2)とを含む。
【0007】
好ましくは、前記クチナシグサの有効部位の抽出物は、LRCW-B1、LRCW-B2、LRCW-B3およびLRCW-B4のうちの一種または複数種を含み、
前記LRCW-B1、LRCW-B2、LRCW-B3およびLRCW-B4の調製方法は、
前記LRCW-BをMCIカラムクロマトグラフィーにより分離し、順に水、25~35%エタノール、40~60%エタノールおよび80~95%エタノールでそれぞれ35~45L溶出して、それぞれLRCW-B1、LRCW-B2、LRCW-B3およびLRCW-B4を得るステップを含む。
【0008】
好ましくは、前記クチナシグサの有効部位の抽出物は、B2-2、B2-3、B2-6、B2-10、B2-11、B2-12、B2-13、B2-14、B2-15、B2-16、B2-17およびB2-18のうちの一種または複数種を含み、
B2-1~B2-19の調製方法は、
前記LRCW-B2をSephadex LH-20ゲルカラムクロマトグラフィーにより分離し、体積比1:0~0:1の無水エタノールおよび水を移動相として勾配溶出を行い、薄層クロマトグラフィーの結果に基づき、同じ画分を合わせてB2-1~B2-19を得るステップを含む。
【0009】
好ましくは、前記クチナシグサの有効部位の抽出物は、B2-16-1、B2-16-3、B2-16-4、B2-16-5、B2-16-6、B2-16-18、B2-16-19、B2-16-20、B2-16-21およびB2-16-22のうちの一種または複数種を含み、
B2-16-1~B2-16-22の調製方法は、
前記B2-16をSephadex LH-20ゲルカラムクロマトグラフィーにより分離し、体積比1:0~0:1の無水エタノールおよび水を移動相として勾配溶出を行い、薄層クロマトグラフィーの結果に基づき、同じ画分を合わせてB2-16-1~B2-16-22を得るステップを含む。
【0010】
好ましくは、前記腫瘍は、乳癌および肺癌のうちの一種または二種を含む。
【0011】
好ましくは、前記腫瘍が肺癌である場合、前記クチナシグサの有効部位の抽出物は、B2-2、B2-3、B2-6、B2-16-1、B2-16-3、B2-16-4のうちの一種または複数種を含む。
【0012】
本発明はまた、炎症性疾患を治療する薬物の調製におけるクチナシグサの有効部位の抽出物の使用を提供し、前記クチナシグサの有効部位の抽出物は、上記のB2-13、B2-15、B2-16およびB2-16-15のうちの一種または複数種を含む。
【0013】
好ましくは、前記薬物は、炎症性因子TNF-αの分泌を有意に阻害する。
【0014】
好ましくは、前記炎症性疾患は、敗血症、炎症性腸疾患、関節リウマチ、強直性脊椎炎または乾癬を含む。
【0015】
好ましくは、前記薬物は、有効成分としてのクチナシグサの有効部位の抽出物および薬学的に許容される担体または添加剤を含む。
【発明の効果】
【0016】
従来技術に比べて、本発明は、以下の有益な効果を有する。
本発明は、炎症性疾患または腫瘍を治療する薬物の調製におけるクチナシグサの有効部位の抽出物の使用を提供する。本発明は、様々な分離精製方法(例えば、溶媒抽出、マクロポーラス樹脂カラムクロマトグラフィー、MCIカラム分離、Sephadex LH-20ゲルカラム分離等)を使用して、それぞれクチナシグサの有効部位を分離精製して、クチナシグサの有効部位の抽出物を得、該クチナシグサの有効部位の抽出物は、TNF-αの分泌を有意に阻害できるだけでなく、乳癌細胞および肺癌細胞の増殖も有意に阻害でき、炎症性疾患または腫瘍を効果的に治療する。本発明は、クチナシグサから炎症性疾患または腫瘍を効果的に治療できる薬物を探すことに好ましい理論的根拠を提供し、新薬の開発に重要な意義を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】クチナシグサの有効部位の抽出物の調製フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、腫瘍を治療する薬物の調製におけるクチナシグサの有効部位の抽出物の使用を提供する。前記クチナシグサの有効部位の抽出物は、クチナシグサ粗抽出液をマクロポーラス樹脂により分離した水溶出成分LRCW-A、クチナシグサ粗抽出液をマクロポーラス樹脂により分離した40~60%エタノール溶出成分LRCW-Bのうちの一種または二種を含み、
LRCW-AおよびLRCW-Bの調製方法は、
クチナシグサを粉砕し、水と混合した後に2~4回煎じて抽出し、毎回20~40min抽出し、濾液を合わせ、濾液を減圧濃縮して、クチナシグサ粗抽出液を得るステップ(1)と、
クチナシグサ粗抽出液をHP-20マクロポーラス樹脂カラムクロマトグラフィーにより分離し、順に水および40~60%エタノールでそれぞれ150~250L溶出して、それぞれLRCW-AおよびLRCW-Bを得るステップ(2)とを含む。
【0019】
本発明において、クチナシグサを粉砕し、水と混合した後に2~4回煎じて抽出し、濾液を合わせ、濾液を減圧濃縮して、クチナシグサ粗抽出液を得る。前記粉砕は、好ましくはクチナシグサを長さ3~5cmに粉砕することであり、前記クチナシグサと水の質量体積比は、好ましくは1:4~8(g/mL)、さらに好ましくは1:5~7(g/mL)である。本発明は、上記の原料の粉砕と原料溶液比の設定により、有効成分の放出速度と放出量を高め、原料の使用量を減らし、抽出時間も節約する。本発明において、本発明のクチナシグサ粗抽出液の薬効を保証するために、毎回の抽出時間は、好ましくは25~35minであり、本発明の抽出時間は、クチナシグサ粗抽出液の有効成分の含有量を大幅に増加させる。本発明において、前記減圧濃縮は、濾液をエキス状になるまで減圧濃縮することが好ましい。
【0020】
本発明において、前記クチナシグサの有効部位の抽出物は、LRCW-B1、LRCW-B2、LRCW-B3およびLRCW-B4のうちの一種または複数種を含む。
前記LRCW-B1、LRCW-B2、LRCW-B3およびLRCW-B4の調製方法は、前記LRCW-BをMCIカラムクロマトグラフィーにより分離し、順に水、25~35%エタノール、40~60%エタノールおよび80~95%エタノールでそれぞれ35~45L溶出して、それぞれLRCW-B1、LRCW-B2、LRCW-B3およびLRCW-B4を得るステップを含む。
【0021】
本発明において、前記クチナシグサの有効部位の抽出物は、B2-2、B2-3、B2-6、B2-10、B2-11、B2-12、B2-13、B2-14、B2-15、B2-16、B2-17およびB2-18のうちの一種または複数種を含む。
B2-1~B2-19の調製方法は、前記LRCW-B2をSephadex LH-20ゲルカラムクロマトグラフィーにより分離し、体積比1:0~0:1の無水エタノールおよび水を移動相として勾配溶出を行い、薄層クロマトグラフィーの結果に基づき、同じ画分を合わせてB2-1~B2-19を得るステップを含む。
【0022】
本発明において、前記クチナシグサの有効部位の抽出物は、B2-16-1、B2-16-3、B2-16-4、B2-16-5、B2-16-6、B2-16-18、B2-16-19、B2-16-20、B2-16-21およびB2-16-22のうちの一種または複数種を含む。
B2-16-1~B2-16-22の調製方法は、前記B2-16をSephadex LH-20ゲルカラムクロマトグラフィーにより分離し、体積比1:0~0:1の無水エタノールおよび水を移動相として勾配溶出を行い、薄層クロマトグラフィーの結果に基づき、同じ画分を合わせてB2-16-1~B2-16-22を得るステップを含む。
【0023】
本発明において、前記腫瘍は、好ましくは乳癌および肺癌のうちの一種または二種を含み、好ましい実施形態として、前記腫瘍が肺癌である場合、前記クチナシグサの有効部位の抽出物は、B2-2、B2-3、B2-6、B2-16-1、B2-16-3、B2-16-4のうちの一種または複数種を含む。
【0024】
本発明はまた、炎症性疾患を治療する薬物の調製におけるクチナシグサの有効部位の抽出物の使用を提供し、前記クチナシグサの有効部位の抽出物は、上記のB2-13、B2-15、B2-16およびB2-16-15のうちの一種または複数種を含む。
【0025】
本発明において、炎症性因子TNF-α阻害実験および腫瘍細胞の増殖阻害実験により、一連の成分に対して活性評価を行い、その結果は、成分B2-13、B2-15、B2-16およびB2-16-15がTNF-αの分泌を有意に阻害でき、LRCW-A、LRCW-B1~LRCW-B4、B2-3、B2-6、B2-10~B2-18、B2-16-1、B2-16-3~B2-16-6およびB2-16-18~B2-16-22が乳癌細胞MCF-7の増殖を阻害する作用を有し、B2-2、B2-3、B2-6、B2-16-1、B2-16-3およびB2-16-4が肺癌細胞A549の増殖を阻害する作用を有することを示した。
【0026】
本発明において、前記薬物は炎症性因子TNF-αの分泌を有意に阻害する。前記炎症性疾患は、好ましくは敗血症、炎症性腸疾患、関節リウマチ、強直性脊椎炎または乾癬を含む。
【0027】
本発明において、前記クチナシグサは、好ましくは、ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)クチナシグサ属(Monochasma)ウスユキクチナシグサ(Monochasma savatieri Franch.)の乾燥全草である。
【0028】
本発明において、前記薬物は、有効成分としてのクチナシグサの有効部位の抽出物および薬学的に許容される担体または添加剤を含む。該薬物は当該技術分野で周知の方法に従って調製できる。この目的のために、必要に応じて、本発明の薬物を一種または複数種の固体または液体の医薬賦形剤および/またはアジュバントと組み合わせて、ヒトまたは動物用医薬品として使用する適切な投与形態または剤形に調製できる。
【0029】
本発明の薬物は、単位剤形で投与できる。投与経路は、経腸または非経腸、例えば経口、筋肉内、皮下、鼻腔、口腔粘膜、皮膚、腹膜または直腸等、好ましくは経口である。本発明の薬物の投与経路は、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射および皮内注射等を含む注射投与であってもよい。
【0030】
本発明の薬物の投与剤形は、液体剤形、固体剤形であってもよく、例えば、液体剤形は真溶液類、コロイド類、微粒剤形、エマルション剤形または懸濁液剤形であってもよく、固体剤形は、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、滴丸剤、丸剤、粉剤、凍結乾燥粉末注射剤またはフィルム剤であってもよい。本発明の薬物の投与剤形は、他の剤形、例えば、噴霧剤、溶液剤、懸濁液剤、エマルジョンまたは坐剤等であってもよい。
【0031】
本発明の薬物は、一般的な製剤、徐放性製剤、制御放出製剤、標的製剤および各種の微粒子投与システムに調製されてもよい。
【0032】
本発明の薬物の剤形が錠剤である場合、前記担体は、例えばデンプン、デキストリン、硫酸カルシウム、ラクトース、マンニトール、スクロース、塩化ナトリウム、グルコース、尿素、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶性セルロース、ケイ酸アルミニウム等の希釈剤および吸収剤、例えば水、グリセリン、ポリエチレングリコール、エタノール、プロパノール、デンプンスラリー、デキストリン、シロップ、ハチミツ、グルコース溶液、アラビアゴムスラリー、ゼラチンスラリー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、シェラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等の湿潤剤および結合剤、例えば乾燥デンプン、アルギン酸塩、寒天粉末、褐藻デンプン、炭酸水素ナトリウムおよびクエン酸、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ドデシルスルホン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース等の崩壊剤、例えばスクロース、トリステアリン酸グリセロール、カカオ脂、硬化油等の崩壊阻害剤、例えば第四級アンモニウム塩、ドデシル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、例えばタルク粉末、シリカ、コーンスターチ、ステアリン酸塩、ホウ酸、流動パラフィン、ポリエチレングリコール等の潤滑剤であってもよい。錠剤をコーティング錠、例えば糖コーティング錠、フィルムコーティング錠、腸溶コーティング錠または二層錠および多層錠にさらに調製してもよい。
【0033】
本発明の薬物の剤形が丸剤である場合、前記担体は、グルコース、ラクトース、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、ポリビニルピロリドン、Gelucire、カオリン、タルク粉末等の希釈剤および吸収剤、アラビアゴム、トラガントゴム、ゼラチン、エタノール、ハチミツ、液糖、米ペーストまたはバッター等の結合剤、寒天粉末、乾燥デンプン、アルギン酸塩、ドデシルスルホン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース等の崩壊剤であってもよい。
【0034】
本発明の薬物の剤形がカプセルである場合、本発明のクチナシグサの有効部位の抽出物と上記の各種の担体を混合することにより、得られた混合物をハードゼラチンカプセルまたはソフトカプセルに入れる。また、本発明のクチナシグサの有効部位の抽出物をマイクロカプセルに調製し、水性媒体に懸濁して懸濁液剤に形成してもよいし、ハードカプセルに充填してもよいし、注射剤に調製して用いてもよい。
【0035】
本発明の薬物が溶液剤、懸濁液剤、エマルジョン、凍結乾燥粉末注射剤等の注射用製剤に調製される場合、このような製剤は水性または非水性であってもよく、一種および/または複数種の薬力学的に許容される担体、希釈剤、結合剤、滑沢剤、防腐剤、界面活性剤または分散剤を含有してもよい。例えば、希釈剤は、水、エタノール、ポリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリ酸化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等から選択してもよい。また、等張注射液を調製するために、注射用製剤に適量の塩化ナトリウム、グルコースまたはグリセリンを添加してもよく、また、通常の助溶剤、緩衝剤、pH調整剤等を添加してもよい。また、必要に応じて、医薬製剤に着色剤、防腐剤、香料、風味剤、甘味剤または他の材料を添加してもよい。
【0036】
本発明の薬物の投与用量は、予防または治療される疾患の性質および重症度、患者または動物の性別、年齢、体重、性格および個体の反応、投与経路、投与回数、治療目的等の多くの要因に依存する。したがって、本発明の治療用量は広範囲に変化してよい。一般に、本発明の薬物の用量は、当業者に周知である。本発明の予防または治療の目的を達成するために、治療有効量の要求に満たすように、本発明の医薬製剤に含まれる実際の薬物量に応じて適切に調整してもよい。本発明の薬物の一日の用量は0.001~150mg/kg体重、好ましくは0.01~100mg/kg体重、より好ましくは0.01~60mg/kg体重、最も好ましくは0.1~10mg/kg体重である。上記の用量は、単一の用量形態または複数の用量形態、例えば、2つ、3つ、または4つの用量形態に分割されてもよい。これは、投与を担当する医師の臨床経験および他の治療手段の使用を含む投薬レジメンによって限定される。
【0037】
各治療に必要な総用量は、複数回用量または単回用量で投与してもよい。本発明の薬物は、単独で、または他の治療薬もしくは対症薬と組み合わせて投与し、用量を調整してもよい。
【0038】
以下、実施例を参照しながら本発明が提供する技術的解決手段を詳細に説明するが、それらは本発明の保護範囲を限定するものと理解すべきではない。
【0039】
実施例1
【0040】
クチナシグサの有効部位の抽出物の調製方法であって、
47kgの乾燥したクチナシグサ全草を長さが4cmになるまで粉砕し、300Lの水と混合した後に3回煎じて抽出し、毎回30min抽出し、濾液を合わせ、濾液をペースト状になるまで減圧濃縮して、クチナシグサ粗抽出液7.68kgを得たステップ(1)と、
クチナシグサ粗抽出液をHP-20マクロポーラス樹脂カラムクロマトグラフィーにより分離し、順に水、50%エタノールおよび95%エタノールでそれぞれ200L溶出して、それぞれクチナシグサ粗抽出液をマクロポーラス樹脂により分離した水溶出成分(LRCW-A)5000g、クチナシグサ粗抽出液をマクロポーラス樹脂により分離した50%エタノール溶出成分(LRCW-B)1700g、およびクチナシグサ粗抽出液をマクロポーラス樹脂により分離した95%エタノール溶出成分(LRCW-C)41gを得たステップ(2)と、
前記LRCW-BをMCIカラムクロマトグラフィーにより分離し、順に水、30%エタノール、50%エタノールおよび95%エタノールでそれぞれ40L溶出して、それぞれLRCW-B1 550g、LRCW-B2 500g、LRCW-B3 212gおよびLRCW-B4 31.95gを得たステップ(3)と、
前記LRCW-B2をSephadex LH-20ゲルカラムクロマトグラフィーにより分離し、体積比1:0~0:1の無水エタノールおよび水を移動相として勾配溶出を行い、薄層クロマトグラフィーの結果に基づき、同じ画分を合わせてB2-1~B2-19を得、その質量が順にそれぞれ11.82g、62.38g、32.07g、33.28g、55.88g、52.65g、18.94g、12.13g、7.19g、4.60g、7.07g、4.60g、4.99g、63.79g、2.77g、58.77g、27.87g、19.84g、2.11gであったステップ(4)と、
前記B2-16をSephadex LH-20ゲルカラムクロマトグラフィーにより分離し、体積比1:0~0:1の無水エタノールおよび水を移動相として勾配溶出を行い、薄層クロマトグラフィーの結果に基づき、同じ画分を合わせてB2-16-1~B2-16-22を得、その質量が順にそれぞれ0.21g、1.24g、0.49g、0.35g、1.18g、2.23g、2.89g、6.13g、1.28g、3.12g、1.21g、8.58g、2.34g、7.42g、4.43g、6.36g、1.29g、4.20g、1.11g、0.53g、0.21g、0.30gであったステップ(5)とを含む。
【0041】
実施例2
【0042】
クチナシグサの有効部位の抽出物の調製方法であって、
50kgの乾燥したクチナシグサ全草を長さが3cmになるまで粉砕し、200Lの水と混合した後に4回煎じて抽出し、毎回40min抽出し、濾液を合わせ、濾液をペースト状になるまで減圧濃縮して、クチナシグサ粗抽出液を得たステップ(1)と、
クチナシグサ粗抽出液をHP-20マクロポーラス樹脂カラムクロマトグラフィーにより分離し、順に水および60%エタノールでそれぞれ150L溶出して、それぞれLRCW-AおよびLRCW-Bを得たステップ(2)と、
前記LRCW-BをMCIカラムクロマトグラフィーにより分離し、順に水、25%エタノール、60%エタノールおよび80%エタノールでそれぞれ35L溶出して、それぞれLRCW-B1、LRCW-B2、LRCW-B3およびLRCW-B4を得たステップ(3)と、
前記LRCW-B2をSephadex LH-20ゲルカラムクロマトグラフィーにより分離し、体積比1:0~0:1の無水エタノールおよび水を移動相として勾配溶出を行い、薄層クロマトグラフィーの結果に基づき、同じ画分を合わせてB2-1~B2-19を得たステップ(4)と、
前記B2-16をSephadex LH-20ゲルカラムクロマトグラフィーにより分離し、体積比1:0~0:1の無水エタノールおよび水を移動相として勾配溶出を行い、薄層クロマトグラフィーの結果に基づき、同じ画分を合わせてB2-16-1~B2-16-22を得たステップ(5)とを含む。
【0043】
実施例3
【0044】
クチナシグサの有効部位の抽出物の調製方法であって、
50kgの乾燥したクチナシグサ全草を長さが5cmになるまで粉砕し、400Lの水と混合した後に2回煎じて抽出し、毎回20min抽出し、濾液を合わせ、濾液をペースト状になるまで減圧濃縮して、クチナシグサ粗抽出液を得たステップ(1)と、
クチナシグサ粗抽出液をHP-20マクロポーラス樹脂カラムクロマトグラフィーにより分離し、順に水および40%エタノールでそれぞれ250L溶出して、それぞれLRCW-AおよびLRCW-Bを得たステップ(2)と、
前記LRCW-BをMCIカラムクロマトグラフィーにより分離し、順に水、35%エタノール、40%エタノールおよび90%エタノールでそれぞれ45L溶出して、それぞれLRCW-B1、LRCW-B2、LRCW-B3およびLRCW-B4を得たステップ(3)と、
前記LRCW-B2をSephadex LH-20ゲルカラムクロマトグラフィーにより分離し、体積比1:0~0:1の無水エタノールおよび水を移動相として勾配溶出を行い、薄層クロマトグラフィーの結果に基づき、同じ画分を合わせてB2-1~B2-19を得たステップ(4)と、
前記B2-16をSephadex LH-20ゲルカラムクロマトグラフィーにより分離し、体積比1:0~0:1の無水エタノールおよび水を移動相として勾配溶出を行い、薄層クロマトグラフィーの結果に基づき、同じ画分を合わせてB2-16-1~B2-16-22を得たステップ(5)とを含む。
【0045】
試験例1
【0046】
TNF-α分泌阻害作用
【0047】
炎症反応は、生体の一般的な病理学的過程であり、つまり、生体の外因性病原性因子に対する防御反応であり、また生体損傷の重要な原因である。様々なサイトカインが関与しているが、TNF-αは最も重要な炎症性因子の1つであり、様々な炎症性疾患の発症と進行において重要な役割を果たす。
【0048】
本試験例は、インビトロ細胞レベルで炎症反応をシミュレートし、つまり、リポ多糖(LPS)を用いてマウス腹腔マクロファージ細胞(RAW264.7)を誘導して炎症反応を発生させて炎症性因子を生成するモデルであり、ELISA方法により、クチナシグサ有効部位の細胞から分泌したTNF-αに対する阻害作用を検出し、その抗炎症作用を評価した。
【0049】
試験試薬:RAW264.7細胞、DMEM培地、1640培地(Invitrogen)、ウシ胎児血清(Gibco)、LPS(Sigma)、ELISAキット(ebioscience)、CCK8試薬(Topscience)。
【0050】
試験試料:実施例1で調製したB2-13、B2-15、B2-16およびB2-16-15、陽性薬:デキサメタゾン。
【0051】
試験装置:細胞スクレーパー、COインキュベーター(SANYO)、マイクロプレートリーダー(BioTek H1)。
【0052】
試験方法:
1.細胞培養:1640+10%FBSでRAW264.7細胞を培養し、培養条件は37℃、5%COで、細胞が対数増殖しているときに継代した。細胞が80%の融合率に達したとき、96ウェルプレートに播種し(密度:2×10の細胞/ウェル)、100μlL/ウェル、37℃、5%COで12~18時間インキュベートした。
2.試験設計:群設定:(1)対照群(control):10%FBSの培地、(2)モデル群(model):LPS(1μg/m)L)、(3)試料群(sample):LPS(1μg/mL)、B2-13、B2-15、B2-16およびB2-16-15(それぞれ100μg/mL)、デキサメタゾン10μM。
3.実験手順:(1)細胞が96ウェルプレートに播種し、37℃、5%COで12~18hインキュベートし、(2)上清を除去し、2%FBS培地を80μL/ウェル加え、4hインキュベートし、(3)B2-13、B2-15、B2-16およびB2-16-15およびデキサメタゾンを10μL/ウェル加え、1hインキュベートし、(4)LPSを10μL/ウェル加え、24hインキュベートし、(5)上清を取ってTNF-αを検出し、具体的な方法はELISAキットの説明書に従って操作した。
評価指標:炎症性因子TNF-αの阻害率であった。450nm、570nmでOD値を読み取り、標準曲線を作成し、培養液中のTNF-αの濃度を計算し、評価試料による細胞のTNF-αの産生に対する阻害率および阻害活性IC50値を計算した。
【0053】
TNF-αの阻害率(%)=(Cモデル-C試料)/Cモデル×100%、CはTNF-αの絶対濃度であり、モデル群TNF-αの絶対濃度は12.857ng/mLであった。
【0054】
クチナシグサの有効部位の抽出物の作用によるTNF-αへの影響結果を表1に示した。
【0055】
表1 クチナシグサの有効部位の抽出物のTNF-αに対する作用結果
【表1】
表1の結果から、陽性薬対照群と比較して、B2-13、B2-15、B2-16およびB2-16-15の阻害率がそれぞれ81.60%、71.72%、71.57%および59.04%であった。10μM濃度の陽性薬デキサメタゾンによるTNF-αの産生に対する阻害率が58.67%であった。したがって、B2-13、B2-15、B2-16およびB2-16-15がいずれも炎症性因子TNF-αの産生を有意に阻害する作用があることを示した。
【0056】
B2-13、B2-15、B2-16およびB2-16-15によるマクロファージ(RAW264.7)のTNF-αの産生への阻害強度をさらに明確にするために、5つの濃度を設定してB2-13、B2-15、B2-16およびB2-16-15によるTNF-αの阻害のIC50値を計算し、結果を表2に示した。
【0057】
表2 B2-13、B2-15、B2-16およびB2-16-15によるマクロファージRAW264.7のTNF-αの産生への阻害作用の強度
【表2】
表2の結果から、B2-13、B2-15、B2-16およびB2-16-15がTNF-αを阻害するIC50値は、それぞれ46.58μg/mL、55.60μg/mL、48.56μg/mL、33.04μg/mLであることを示した。
【0058】
試験例2
【0059】
本試験例は、肺癌細胞株A549および乳癌細胞株MCF-7を選択してクチナシグサの有効部位の抽出物の腫瘍細胞の増殖に対する阻害作用を評価した。
【0060】
試験方法:DMEM+10%FBSでA549およびMCF-7細胞を培養し、培養条件は37℃、5%COで、細胞が対数増殖しているときに継代した。細胞が80%の融合率に達したとき、96ウェルプレート播種し(密度:4×10の細胞/ウェル)、100μL/ウェル、37℃、5%COで12~18hインキュベートし、上清を除去し、DMEM完全培地を90μL/ウェル加え、試験対象化合物を10μL/ウェル加え、72hインキュベートした。上清を廃棄し、10%CCK8試薬含有のPBSを100μL/ウェル加え、1hインキュベートし、450nmでOD値を読み取った。
群設定:対照群:10%FBSの培地、試料群:実施例1で調製して得られたLRCW-A、LRCW-B1~LRCW-B4、B2-1~B2-19、B2-16-1~B2-16-22。
評価指標:腫瘍細胞増殖阻害率であった。450nmでOD値を読み取り、腫瘍細胞の増殖阻害率を計算した。
【0061】
腫瘍増殖阻害率(%)=(A対照-A試料)/A対照×100%、AはOD値であった。
【0062】
具体的な結果を下記表3に示した。
【0063】
表3 クチナシグサの有効部位の抽出物の抗腫瘍作用
【表3】
表3の結果から、対照群と比較して、LRCW-A、LRCW-B1~LRCW-B4、B2-3、B2-6、B2-10~B2-18、B2-16-1、B2-16-3~B2-16-6およびB2-16-18~B2-16-22の28個の成分は、乳癌細胞MCF-7の増殖に対して明らかな阻害作用を有し、B2-2、B2-3、B2-6、B2-16-1、B2-16-3およびB2-16-4の6個の成分は、肺癌細胞A549の増殖に対して明らかな阻害作用を有するが、B2-1、B2-4、B2-5、B2-7、B2-8、B2-9、B2-19、B2-16-2、B2-16-7~B2-16-17はいずれも乳癌細胞MCF-7および肺癌細胞A549の増殖に対して阻害作用を有さないことを示した。
【0064】
以上は本発明の好ましい実施形態に過ぎず、当業者にとって、本発明の原理から逸脱することなく、複数の改良および修飾を行うことができ、これらの改良および修飾も本発明の保護範囲と見なされるべきである。

図1
【手続補正書】
【提出日】2022-09-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍を治療する薬物の調製におけるクチナシグサの有効部位の抽出物の使用であって、前記クチナシグサの有効部位の抽出物は、クチナシグサ粗抽出液をマクロポーラス樹脂により分離した水溶出成分LRCW-A、クチナシグサ粗抽出液をマクロポーラス樹脂により分離した40~60%エタノール溶出成分LRCW-Bのうちの一種または二種を含み、
前記LRCW-AおよびLRCW-Bの調製方法は、
クチナシグサを粉砕し、水と混合した後に2~4回煎じて抽出し、毎回20~40min抽出し、濾液を合わせ、濾液を減圧濃縮して、クチナシグサ粗抽出液を得るステップ(1)と、
クチナシグサ粗抽出液をHP-20マクロポーラス樹脂カラムクロマトグラフィーにより分離し、順に水および40~60%エタノールでそれぞれ150~250L溶出して、それぞれLRCW-AおよびLRCW-Bを得るステップ(2)とを含むことを特徴とする腫瘍を治療する薬物の調製におけるクチナシグサの有効部位の抽出物の使用。
【請求項2】
前記クチナシグサの有効部位の抽出物は、LRCW-B1、LRCW-B2、LRCW-B3およびLRCW-B4のうちの一種または複数種を含み、
前記LRCW-B1、LRCW-B2、LRCW-B3およびLRCW-B4の調製方法は、
前記LRCW-BをMCIカラムクロマトグラフィーにより分離し、順に水、25~35%エタノール、40~60%エタノールおよび80~95%エタノールでそれぞれ35~45L溶出して、それぞれLRCW-B1、LRCW-B2、LRCW-B3およびLRCW-B4を得るステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記クチナシグサの有効部位の抽出物は、B2-2、B2-3、B2-6、B2-10、B2-11、B2-12、B2-13、B2-14、B2-15、B2-16、B2-17およびB2-18のうちの一種または複数種を含み、
B2-1~B2-19の調製方法は、
前記LRCW-B2をSephadex LH-20ゲルカラムクロマトグラフィーにより分離し、体積比1:0~0:1の無水エタノールおよび水を移動相として勾配溶出を行い、薄層クロマトグラフィーの結果に基づき、同じ画分を合わせてB2-1~B2-19を得るステップを含むことを特徴とする請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記クチナシグサの有効部位の抽出物は、B2-16-1、B2-16-3、B2-16-4、B2-16-5、B2-16-6、B2-16-18、B2-16-19、B2-16-20、B2-16-21およびB2-16-22のうちの一種または複数種を含み、
B2-16-1~B2-16-22の調製方法は、
前記B2-16をSephadex LH-20ゲルカラムクロマトグラフィーにより分離し、体積比1:0~0:1の無水エタノールおよび水を移動相として勾配溶出を行い、薄層クロマトグラフィーの結果に基づき、同じ画分を合わせてB2-16-1~B2-16-22を得るステップを含むことを特徴とする請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記腫瘍は、乳癌および肺癌のうちの一種または二種を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記腫瘍が肺癌である場合、前記クチナシグサの有効部位の抽出物は、B2-2、B2-3、B2-6、B2-16-1、B2-16-3、B2-16-4のうちの一種または複数種を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
炎症性疾患を治療する薬物の調製におけるクチナシグサの有効部位の抽出物の使用であって、前記クチナシグサの有効部位の抽出物は、請求項3に記載のB2-13、B2-15、B2-16および請求項4に記載のB2-16-15のうちの一種または複数種を含むことを特徴とする炎症性疾患を治療する薬物の調製におけるクチナシグサの有効部位の抽出物の使用。
【請求項8】
前記薬物は、炎症性因子TNF-αの分泌を有意に阻害することを特徴とする請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記炎症性疾患は、敗血症、炎症性腸疾患、関節リウマチ、強直性脊椎炎または乾癬を含むことを特徴とする請求項7に記載の使用。
【請求項10】
前記薬物は、有効成分としてのクチナシグサの有効部位の抽出物および薬学的に許容される担体または添加剤を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クチナシグサの有効部位の抽出方法であって、
クチナシグサからLRCW-AとLRCW-Bとを夫々抽出することを含み、
この抽出は、クチナシグサの粗抽出液を得るステップ(1)と、クチナシグサの当該粗抽出液をマクロポーラス樹脂カラムクロマトグラフィーにより順に水、及び、エタノールで夫々溶出して、水溶出成分であるLRCW-A、及び、エタノール溶出成分であるLRCW-Bを得るステップ(2)と、を含み、
前記方法は、さらに、前記LRCW-Bから、LRCW-B1、LRCW-B2、LRCW-B3、及び、LRCW-B4夫々の画分を抽出することを含み、
この抽出のための調整は、前記LRCW-Bをカラムクロマトグラフィーにより、順に、水、25~35%エタノール、40~60%エタノール、及び、80~95%エタノールで夫々溶出して、夫々の画分として、LRCW-B1、LRCW-B2、LRCW-B3、及び、LRCW-B4を夫々得るステップを含み、
前記方法は、さらに、LRCW-B2から、B2-2、B2-3、B2-6、B2-10、B2-11、B2-12、B2-13、B2-14、B2-15、B2-16、B2-17、及び、B2-18を含む、B2-1~B2-19夫々の画分を抽出することを含み、
この抽出のための調整は、LRCW-B2をゲルカラムクロマトグラフィーにより分離し、体積比1:0~0:1の無水エタノール、及び、水を移動相とした勾配溶出を行い、薄層クロマトグラフィーの結果に基づき、B2-1~B2-19の夫々が分画された複数の画分から順にB2-1~B2-19を夫々得るステップを含み、
前記方法は、さらに、前記B2-16から、B2-16-1、B2-16-3、B2-16-4、B2-16-5、B2-16-6、B2-16-18、B2-16-19、B2-16-20、B2-16-21、及び、B2-16-22を含むB2-16-1~B2-16-22夫々の画分を抽出することを含み、
この抽出のための調整は、前記B2-16をゲルカラムクロマトグラフィーにより分離し、体積比1:0~0:1の無水エタノール、及び、水を移動相として用いた勾配溶出を行い、当該クロマトグラフィーの結果に基づき、B2-16-1~B2-16-22の夫々を分画した複数の画分から順にB2-16-1~B2-16-22を夫々得るステップを含む、
前記方法
【請求項2】
腫瘍を治療するための、クチナシグサの抽出物を主成分として含有する薬物であって、
前記抽出物は、請求項1に夫々記載のLRCW-B1、LRCW-B2、および、LRCW-B3の一種または複数種を含む、
前記薬物
【請求項3】
腫瘍を治療するための、クチナシグサの抽出物を主成分として含有する薬物であって、
前記抽出物は、請求項1に夫々記載のB2-2、B2-3、B2-6、B2-10、B2-11、B2-12、B2-13、B2-14、B2-15、B2-16、B2-17、および、B2-18の一種または複数種を含む、
前記薬物
【請求項4】
腫瘍を治療するための、クチナシグサの抽出物を主成分として含有する薬物であって、
前記抽出物は、請求項1に夫々記載のB2-16-1、B2-16-3、B2-16-4、B2-16-5、B2-16-6、B2-16-18、B2-16-19、B2-16-20、B2-16-21、および、B2-16-22の一種または複数種を含む、
前記薬物
【請求項5】
前記腫瘍は、乳癌および肺癌のうちの一種または二種である請求項~4の何れかに記載の前記薬物
【請求項6】
肺癌を治療するための、クチナシグサの抽出物を主成分として含有する薬物であって、前記抽出物は、請求項1に夫々記載のB2-2、B2-3、B2-6、B2-16-1、B2-16-3、および、B2-16-4のうちの一種または複数種を含む、
前記薬物
【請求項7】
乳癌を治療するための、クチナシグサの抽出物を主成分として含有する薬物であって、前記抽出物は、請求項2に夫々記載の抽出物のうちLRCW-A、LRCW-B1~LRCW-B3、そして、請求項3に夫々記載のB2-3、B2-6、B2-10~B2-18、請求項4に夫々記載のB2-16-1、B2-16-3~B2-16-6、B2-16-18~B2-16-22のうちの一種または複数種を含む、
前記薬物。
【請求項8】
炎症性疾患を治療するための、クチナシグサの有効部位の抽出物を主成分として含有する薬物あって、前記抽出物は、請求項1に夫々記載のB2-13、B2-15、B2-16、及び、B2-16-15のうちの一種または複数種を含む、
前記薬物
【請求項9】
炎症性因子TNF-αの分泌を有意に阻害するための、
請求項8に記載の前記薬物
【請求項10】
前記炎症性疾患は、敗血症、炎症性腸疾患、関節リウマチ、強直性脊椎炎または乾癬である
請求項8に記載の前記薬物
【請求項11】
薬学的に許容される担体、又は、添加剤を含む、
請求項2~4、6-10の何れか一項記載の前記薬物
【手続補正書】
【提出日】2023-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クチナシグサの有効部位の抽出方法であって、
クチナシグサからLRCW-AとLRCW-Bとを夫々抽出することを含み、
この抽出は、クチナシグサの粗抽出液を得るステップ(1)と、クチナシグサの当該粗抽出液をマクロポーラス樹脂カラムクロマトグラフィーにより順に水、及び、40~60%エタノールで夫々溶出して、水溶出成分であるLRCW-A、及び、エタノール溶出成分であるLRCW-Bを得るステップ(2)と、を含み、
前記方法は、さらに、前記LRCW-Bから、LRCW-B1、LRCW-B2、LRCW-B3、及び、LRCW-B4夫々の画分を抽出することを含み、
この抽出のための調整は、前記LRCW-Bをカラムクロマトグラフィーにより、順に、水、25~35%エタノール、40~60%エタノール、及び、80~95%エタノールで夫々溶出して、夫々の画分として、LRCW-B1、LRCW-B2、LRCW-B3、及び、LRCW-B4を夫々得るステップを含み、
前記方法は、さらに、LRCW-B2から、B2-2、B2-3、B2-6、B2-10、B2-11、B2-12、B2-13、B2-14、B2-15、B2-16、B2-17、及び、B2-18を含む、B2-1~B2-19夫々の画分を抽出することを含み、
この抽出のための調整は、LRCW-B2をゲルカラムクロマトグラフィーにより分離し、体積比1:0~0:1の無水エタノール、及び、水を移動相とした勾配溶出を行い、薄層クロマトグラフィーの結果に基づき、B2-1~B2-19の夫々が分画された複数の画分から順にB2-1~B2-19を夫々得るステップを含み、
前記方法は、さらに、前記B2-16から、B2-16-1、B2-16-3、B2-16-4、B2-16-5、B2-16-6、B2-16-18、B2-16-19、B2-16-20、B2-16-21、及び、B2-16-22を含むB2-16-1~B2-16-22夫々の画分を抽出することを含み、
この抽出のための調整は、前記B2-16をゲルカラムクロマトグラフィーにより分離し、体積比1:0~0:1の無水エタノール、及び、水を移動相として用いた勾配溶出を行い、当該クロマトグラフィーの結果に基づき、B2-16-1~B2-16-22の夫々を分画した複数の画分から順にB2-16-1~B2-16-22を夫々得るステップを含む、
前記方法。
【請求項2】
腫瘍を治療するための、クチナシグサの抽出物を主成分として含有する薬物であって、
前記抽出物は、請求項1に夫々記載のLRCW-B1、LRCW-B2、および、LRCW-B3の一種または複数種を含む、
前記薬物。
【請求項3】
腫瘍を治療するための、クチナシグサの抽出物を主成分として含有する薬物であって、
前記抽出物は、請求項1に夫々記載のB2-2、B2-3、B2-6、B2-10、B2-11、B2-12、B2-13、B2-14、B2-15、B2-16、B2-17、および、B2-18の一種または複数種を含む、
前記薬物。
【請求項4】
腫瘍を治療するための、クチナシグサの抽出物を主成分として含有する薬物であって、
前記抽出物は、請求項1に夫々記載のB2-16-1、B2-16-3、B2-16-4、B2-16-5、B2-16-6、B2-16-18、B2-16-19、B2-16-20、B2-16-21、および、B2-16-22の一種または複数種を含む、
前記薬物。
【請求項5】
前記腫瘍は、乳癌および肺癌のうちの一種または二種である請求項2~4の何れかに記載の前記薬物。
【請求項6】
肺癌を治療するための、クチナシグサの抽出物を主成分として含有する薬物であって、前記抽出物は、請求項1に夫々記載のB2-2、B2-3、B2-6、B2-16-1、B2-16-3、および、B2-16-4のうちの一種または複数種を含む、
前記薬物。
【請求項7】
乳癌を治療するための、クチナシグサの抽出物を主成分として含有する薬物であって、前記抽出物は、請求項2に夫々記載の抽出物のうちLRCW-B1~LRCW-B3、そして、請求項3に夫々記載のB2-3、B2-6、B2-10~B2-18、請求項4に夫々記載のB2-16-1、B2-16-3~B2-16-6、B2-16-18~B2-16-22のうちの一種または複数種を含む、
前記薬物。
【請求項8】
炎症性疾患を治療するための、クチナシグサの有効部位の抽出物を主成分として含有する薬物あって、前記抽出物は、請求項1に夫々記載のB2-13、B2-15、B2-16、及び、B2-16-15のうちの一種または複数種を含む、
前記薬物。
【請求項9】
炎症性因子TNF-αの分泌を有意に阻害するための、
請求項8に記載の前記薬物。
【請求項10】
前記炎症性疾患は、敗血症、炎症性腸疾患、関節リウマチ、強直性脊椎炎または乾癬である、
請求項8に記載の前記薬物。
【請求項11】
薬学的に許容される担体、又は、添加剤を含む、
請求項2~4、610の何れか一項記載の前記薬物。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クチナシグサの有効部位の抽出方法であって、
クチナシグサからLRCW-AとLRCW-Bとを夫々抽出することを含み、
この抽出は、クチナシグサの粗抽出液を得るステップ(1)と、クチナシグサの当該粗抽出液をマクロポーラス樹脂カラムクロマトグラフィーにより順に水、及び、40~60%エタノールで夫々溶出して、水溶出成分であるLRCW-A、及び、エタノール溶出成分であるLRCW-Bを得るステップ(2)と、を含み、
前記方法は、さらに、前記LRCW-Bから、LRCW-B1、LRCW-B2、LRCW-B3、及び、LRCW-B4夫々の画分を抽出することを含み、
この抽出のための調整は、前記LRCW-Bをカラムクロマトグラフィーにより、順に、水、25~35%エタノール、40~60%エタノール、及び、80~95%エタノールで夫々溶出して、夫々の画分として、LRCW-B1、LRCW-B2、LRCW-B3、及び、LRCW-B4を夫々得るステップを含み、
前記方法は、さらに、LRCW-B2から、B2-2、B2-3、B2-6、B2-10、B2-11、B2-12、B2-13、B2-14、B2-15、B2-16、B2-17、及び、B2-18を含む、B2-1~B2-19夫々の画分を抽出することを含み、
この抽出のための調整は、LRCW-B2をゲルカラムクロマトグラフィーにより分離し、体積比1:0~0:1の無水エタノール、及び、水を移動相とした勾配溶出を行い、薄層クロマトグラフィーの結果に基づき、B2-1~B2-19の夫々が分画された複数の画分から順にB2-1~B2-19を夫々得るステップを含み、
前記方法は、さらに、前記B2-16から、B2-16-1、B2-16-3、B2-16-4、B2-16-5、B2-16-6、B2-16-18、B2-16-19、B2-16-20、B2-16-21、及び、B2-16-22を含むB2-16-1~B2-16-22夫々の画分を抽出することを含み、
この抽出のための調整は、前記B2-16をゲルカラムクロマトグラフィーにより分離し、体積比1:0~0:1の無水エタノール、及び、水を移動相として用いた勾配溶出を行い、当該クロマトグラフィーの結果に基づき、B2-16-1~B2-16-22の夫々を分画した複数の画分から順にB2-16-1~B2-16-22を夫々得るステップを含む、
前記方法。
【請求項2】
腫瘍を治療するための、クチナシグサの抽出物を主成分として含有する薬物であって、
前記抽出物は、請求項1に夫々記載のLRCW-B1、LRCW-B2、および、LRCW-B3の一種または複数種を含む、
前記薬物。
【請求項3】
腫瘍を治療するための、クチナシグサの抽出物を主成分として含有する薬物であって、
前記抽出物は、請求項1に夫々記載のB2-2、B2-3、B2-6、B2-10、B2-11、B2-12、B2-13、B2-14、B2-15、B2-16、B2-17、および、B2-18の一種または複数種を含む、
前記薬物。
【請求項4】
腫瘍を治療するための、クチナシグサの抽出物を主成分として含有する薬物であって、
前記抽出物は、請求項1に夫々記載のB2-16-1、B2-16-3、B2-16-4、B2-16-5、B2-16-6、B2-16-18、B2-16-19、B2-16-20、B2-16-21、および、B2-16-22の一種または複数種を含む、
前記薬物。
【請求項5】
前記腫瘍は、乳癌および肺癌のうちの一種または二種である請求項2~4の何れかに記載の前記薬物。
【請求項6】
肺癌を治療するための、クチナシグサの抽出物を主成分として含有する薬物であって、前記抽出物は、請求項1に夫々記載のB2-2、B2-3、B2-6、B2-16-1、B2-16-3、および、B2-16-4のうちの一種または複数種を含む、
前記薬物。
【請求項7】
乳癌を治療するための、クチナシグサの抽出物を主成分として含有する薬物であって、前記抽出物は、請求項に記載の抽出物のうち、LRCW-B1~LRCW-B3B2-3、B2-6、B2-10~B2-18B2-16-1、B2-16-3~B2-16-6、B2-16-18~B2-16-22のうちの一種または複数種を含む、
前記薬物。
【請求項8】
炎症性疾患を治療するための、クチナシグサの有効部位の抽出物を主成分として含有する薬物あって、前記抽出物は、請求項1に夫々記載のB2-13、B2-15、B2-16、及び、B2-16-15のうちの一種または複数種を含む、
前記薬物。
【請求項9】
炎症性因子TNF-αの分泌を有意に阻害するための、
請求項8に記載の前記薬物。
【請求項10】
前記炎症性疾患は、敗血症、炎症性腸疾患、関節リウマチ、強直性脊椎炎または乾癬である、
請求項8に記載の前記薬物。
【請求項11】
薬学的に許容される担体、又は、添加剤を含む、
請求項2~4、6~10の何れか一項記載の前記薬物。
【外国語明細書】