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  • 特開-ポール 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182526
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ポール
(51)【国際特許分類】
   E04H 12/08 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
E04H12/08
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050588
(22)【出願日】2023-03-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】P 2022096120
(32)【優先日】2022-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000227722
【氏名又は名称】株式会社日本ネットワークサポート
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(72)【発明者】
【氏名】市原 賢一
(72)【発明者】
【氏名】西堀 基
(72)【発明者】
【氏名】萬本 英人
(72)【発明者】
【氏名】池野 直樹
(57)【要約】
【課題】
所望の意匠を簡単な方法で付与できるポールを提供する。
【解決手段】
ポール1は、鋼材からなるポール本体2と、ポール本体2の表層に貼り付けられたラッピングシート3とを備える。そのため、ポール本体2にラッピングシート3を貼り付けるという簡単な工程で、ポール1に所望の意匠を付与できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に設置されるポールであって、
鋼材からなるポール本体と、
前記ポール本体の表層に貼り付けられたラッピングシートと
を備える、ポール。
【請求項2】
前記ポール本体の前記表層は、
溶融亜鉛メッキ層と、
樹脂からなり、前記溶融亜鉛メッキ層の上に積層された密着層と
を有し、
前記ラッピングシートは、前記密着層に貼り付けられる、請求項1に記載のポール。
【請求項3】
前記密着層は、粉体塗料の塗膜である、請求項2に記載のポール。
【請求項4】
前記粉体塗料は、ポリエステル系粉体塗料である、請求項3に記載のポール。
【請求項5】
前記ラッピングシートは、
一方面に意匠が施された基材層と、
前記基材層の他方面に積層された粘着剤層と
を有し、
前記粘着剤層は、スリットを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のポール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外に設置されるポールとして、鋼管ポールの外表面を人工埋木によって外装した照明柱が提案されている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-232504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の照明柱では、人工埋木の複数の板材を組み合わせて円筒形状の木柱を製造し、その木柱を鋼管ポールに被せて、接着剤等を利用して木柱を鋼管ポールに固定している。
【0005】
そのため、鋼管ポールを外装する工程が複雑である。
【0006】
本発明の目的は、所望の意匠を簡単に付与できるポールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明[1]は、屋外に設置されるポールであって、鋼材からなるポール本体と、前記ポール本体の表層に貼り付けられたラッピングシートとを備える、ポールを含む。
【0008】
このような構成によれば、鋼材からなるポール本体にラッピングシートを貼り付けるという簡単な工程で、ポールに所望の意匠を付与できる。
【0009】
本発明[2]は、前記ポール本体の前記表層が、溶融亜鉛メッキ層と、樹脂からなり、前記溶融亜鉛メッキ層の上に積層された密着層とを有し、前記ラッピングシートが、前記密着層に貼り付けられる、上記[1]のポールを含む。
【0010】
このような構成によれば、ラッピングシートが密着層に対して密着することにより、ポール本体とラッピングシートとの間に隙間が生じることを抑制できる。
【0011】
その結果、ポール本体からラッピングシートが剥離することを抑制できる。
【0012】
本発明[3]は、前記密着層が、粉体塗料の塗膜である、上記[2]のポールを含む。
【0013】
このような構成によれば、静電粉体塗装により、簡単に密着層を形成できる。
【0014】
本発明[4]は、前記粉体塗料が、ポリエステル系粉体塗料である、上記[3]のポールを含む。
【0015】
このような構成によれば、平滑な密着層を形成することができる。
【0016】
その結果、ラッピングシートと密着層との密着性の向上を図ることができる。
【0017】
本発明[5]は、前記ラッピングシートが、一方面に意匠が施された基材層と、前記基材層の他方面に積層された粘着剤層とを有し、前記粘着剤層が、スリットを有する、上記[1]~[3]のいずれか1つのポールを含む。
【0018】
このような構成によれば、ラッピングシートをポール本体に貼り付けるときに、粘着剤層と密着層との間に入った空気を、粘着剤層のスリットを通して抜くことができる。
【0019】
これにより、ラッピングシートと密着層との密着性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のポールによれば、所望の意匠を簡単に付与できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の一実施形態としてのポールの側面図である。
図2図2は、図1に示すポールのA-A断面図である。
図3図3Aから図3Cは、図1に示すポールの製造方法を説明するための工程図であって、図3Aは、溶融亜鉛メッキ工程を示し、図3Bは、密着層形成工程を示し、図3Cは、貼り付け工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1.ポール
図1に示すように、ポール1は、屋外に設置される。ポール1の用途は、限定されない。ポール1は、例えば、引込柱、照明柱、無線柱などの支柱として用いられる。ポール1は、ポール本体2と、ラッピングシート3とを備える。
【0023】
(1)ポール本体
ポール本体2は、鋼管21と、溶融亜鉛メッキ層22と、密着層23とを有する。
【0024】
(1-1)鋼管
鋼管21は、例えば、一般構造用炭素鋼鋼管(JIS G 3444:2021)である。鋼管21は、円筒形状を有する。つまり、ポール本体2は、鋼材からなる。
【0025】
(1-2)溶融亜鉛メッキ層
溶融亜鉛メッキ層22は、鋼管21の外面S1の上に積層される。つまり、ポール本体2の表層は、溶融亜鉛メッキ層22を有する。溶融亜鉛メッキ層22は、溶融亜鉛メッキにより形成される。なお、溶融亜鉛メッキ層22は、鋼管21の内面にも、積層される。
【0026】
(1-3)密着層
密着層23は、溶融亜鉛メッキ層22の上に積層される。つまり、ポール本体2の表層は、溶融亜鉛メッキ層22に加えて、密着層23を有する。本実施形態では、ポール本体2の表層は、溶融亜鉛メッキ層22および密着層23のみからなる。
【0027】
密着層23は、溶融亜鉛メッキ層22の表面S2を被覆する。密着層23の表面S3は、溶融亜鉛メッキ層22の表面S2よりも平滑である。言い換えると、密着層23の表面S3の算術平均粗さは、溶融亜鉛メッキ層22の表面S2の算術平均粗さよりも低い。これにより、密着層23を有さないポール本体の表面と比べて、ポール本体2の表面の平滑化を図ることができる。そのため、ラッピングシート3の粘着剤層32と密着層23との間に、ポール本体2の表面の粗さに起因する隙間が生じることを、抑制できる。その結果、ラッピングシート3の粘着剤層32とポール本体2の表面(具体的には、密着層23の表面S3)との密着性の向上を図ることができる。
【0028】
密着層23は、樹脂からなる。密着層23は、例えば、粉体塗料の塗膜である。
【0029】
粉体塗料として、例えば、熱硬化性粉体塗料および熱可塑性粉体塗料が挙げられる。
【0030】
熱硬化性粉体塗料として、例えば、エポキシ系粉体塗料、エポキシポリエステル系粉体塗料、ポリエステル系粉体塗料、および、フッ素系粉体塗料が挙げられる。
【0031】
熱可塑性粉体塗料として、例えば、塩化ビニル粉体塗料、ポリエチレン粉体塗料、および、ポリアミド粉体塗料が挙げられる。
【0032】
粉体塗料として、好ましくは、熱硬化性粉体塗料が挙げられ、より好ましくは、ポリエステル系粉体塗料が挙げられる。
【0033】
粉体塗料が熱硬化性粉体塗料であると、耐候性の向上を図ることができる。粉体塗料がポリエステル系粉体塗料であると、密着層23の表面S3の平滑性と耐候性との両立を図ることができ、かつ、材料コストの増大を抑制できる。
【0034】
密着層23の厚みは、例えば、40μm以上、好ましくは、50μm以上である。
【0035】
密着層23の厚みが上記下限値以上であると、耐候性の向上を図ることができる。
【0036】
密着層23の厚みは、例えば、70μm以下、好ましくは、60μm以下である。
【0037】
密着層23の厚みが上記上限値以下であると、材料コストの増大を抑制できる。
【0038】
(2)ラッピングシート
ラッピングシート3は、所望の意匠をポール本体2に付与する。ラッピングシート3は、ポール本体2の表層に貼り付けられる。詳しくは、ラッピングシート3は、密着層23に貼り付けられる。ラッピングシート3は、基材層31と、粘着剤層32とを有する。
【0039】
(2-1)基材層
基材層31には、一方面に意匠が施されている。基材層31は、例えば、一方面に意匠が印刷された樹脂シートと、必要により、樹脂シートの上に積層されたクリアコート層とを有する。
【0040】
(2-2)粘着剤層
粘着剤層32は、基材層31の他方面に積層される。粘着剤層32は、粘着剤からなる。粘着剤として、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、および、ゴム系粘着剤が挙げられる。耐候性の観点から、好ましくは、アクリル系粘着剤が挙げられる。
【0041】
粘着剤層32は、微細な格子状のスリットを有する。粘着剤層32がスリットを有することにより、ラッピングシート3をポール本体2に貼り付けるときに、粘着剤層32と密着層23との間に入った空気を、粘着剤層32のスリットを通して抜くことができる。これにより、ラッピングシート3の粘着剤層32とポール本体2の密着層23との密着性の向上を図ることができる。
【0042】
2.ポールの製造方法
次に、ポール1の製造方法について説明する。
【0043】
ポール1の製造方法は、溶融亜鉛メッキ工程(図3A参照)と、密着層形成工程(図3B参照)と、貼り付け工程(図3C参照)とを含む。
【0044】
(1)溶融亜鉛メッキ工程
図3Aに示すように、溶融亜鉛メッキ工程では、鋼管21を溶融した亜鉛に浸し、鋼管21の表面(外面S1および内面)に溶融亜鉛メッキ層22を形成する。
【0045】
(2)密着層形成工程
次に、図3Bに示すように、密着層形成工程では、静電粉体塗装により、鋼管21の外面S1の溶融亜鉛メッキ層22の表面S2に粉体塗料を塗布し、その後、焼き付けすることにより、溶融亜鉛メッキ層22の上に密着層23を形成する。
【0046】
(3)貼り付け工程
次に、図3Cに示すように、貼り付け工程では、密着層23の上に、ラッピングシート3を貼り付ける。
【0047】
以上により、ポール1の製造が完了する。
【0048】
3.作用効果
(1)ポール1によれば、図3Cに示すように、鋼材からなるポール本体2にラッピングシート3を貼り付けるという簡単な工程で、ポール1に所望の意匠を付与できる。
【0049】
(2)ポール1によれば、図2に示すように、ポール本体2の表層が、溶融亜鉛メッキ層22と密着層23とを有する。ラッピングシート3は、密着層23に貼り付けられる。
【0050】
そのため、ラッピングシート3が密着層23に対して密着することにより、ポール本体2とラッピングシート3との間に隙間が生じることを抑制できる。
【0051】
その結果、ポール本体2からラッピングシート3が剥離することを抑制できる。
【0052】
(3)ポール1によれば、密着層23は、粉体塗料の塗膜である。
【0053】
そのため、密着層形成工程(図3B参照)において、静電粉体塗装により、簡単に密着層23を形成できる。
【0054】
(4)ポール1によれば、粉体塗料が、ポリエステル系粉体塗料である。
【0055】
そのため、平滑な密着層23を形成することができる。
【0056】
その結果、ラッピングシート3と密着層23との密着性の向上を図ることができる。
【0057】
(5)ポール1によれば、図2に示すように、ラッピングシート3は、意匠が施された基材層31と、粘着剤層32とを有する。粘着剤層32は、スリットを有する。
【0058】
これにより、図3Cに示すようにラッピングシート3をポール本体2に貼り付けるときに、粘着剤層32と密着層23との間に入った空気を、粘着剤層32のスリットを通して抜くことができる。
【0059】
これにより、ラッピングシート3と密着層23との密着性の向上を図ることができる。
【0060】
4.変形例
次に、変形例について説明する。変形例において、上記した実施形態と同じ部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0061】
ポール1は、複数のラッピングシート3を備えてもよい。詳しくは、ポール1は、密着層23に貼り付けられる第1ラッピングシート3Aと、第1ラッピングシート3Aを覆う少なくとも1枚の第2ラッピングシート3Bとを備えてもよい。
【0062】
第1ラッピングシート3Aは、上記した基材層31と、粘着剤層32とを有する。
【0063】
第2ラッピングシート3Aは、透明である。第2ラッピングシート3Aは、透明の樹脂からなる基材層と、透明の粘着剤からなる粘着剤層とを有する。基材層を構成する透明の樹脂、および、粘着剤層を構成する透明の粘着剤は、限定されない。
【0064】
変形例でも、上記した実施例と同様の効果を得ることができる。
【0065】
また、変形例によれば、第1ラッピングシート3Aでポール1に所望の意匠を付与し、透明の第2ラッピングシート3Bで第1ラッピングシート3Aを保護できる。
【実施例0066】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、それらに限定されない。以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。
【0067】
1.ポール本体の製造
実施例1
一般構造用炭素鋼鋼管(JIS G 3444:2021)を溶融した亜鉛に浸し、鋼管の表面に溶融亜鉛メッキ層を形成した(溶融亜鉛メッキ工程、図3A参照)。
【0068】
次に、静電粉体塗装により、溶融亜鉛メッキ層の表面にポリエステル系粉体塗料(製品名:ニッシンパウダー、久保考ペイント社製)を塗布し、その後、焼き付けすることにより、溶融亜鉛メッキ層の上に密着層(厚み:50μm)を形成した(密着層形成工程、図3B参照)。
【0069】
以上により、ポール本体を得た。
【0070】
実施例2
粉体塗料の代わりに溶剤塗料(製品名:マジクロン、関西ペイント社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして、ポール本体を得た。
【0071】
実施例3
溶融亜鉛メッキ層の表面に密着層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、ポール本体を得た。
【0072】
2.ポール本体表面の平滑性評価
表面粗さ測定器(製品名:表面粗さ計、東京精密社製)を用いて、各実施例のポール本体の表面の算術平均粗さを測定した。結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
【符号の説明】
【0074】
1 ポール
2 ポール本体
3 ラッピングポール
22 溶融亜鉛メッキ層
23 密着層
31 基材層
32 粘着剤層
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-09-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に設置されるポールであって、
鋼材からなるポール本体と、
前記ポール本体の表層に貼り付けられたラッピングシートと
を備え、
前記ポール本体の前記表層は、
溶融亜鉛メッキ層と、
樹脂からなり、前記溶融亜鉛メッキ層の上に積層された密着層と
を有し、
前記ラッピングシートは、前記密着層に貼り付けられる、ポール。
【請求項2】
前記ラッピングシートを覆う透明の第2ラッピングシートをさらに備える、請求項1に記載のポール。
【請求項3】
前記密着層は、粉体塗料の塗膜である、請求項1または2に記載のポール。
【請求項4】
前記粉体塗料は、ポリエステル系粉体塗料である、請求項3に記載のポール。
【請求項5】
前記ラッピングシートは、
一方面に意匠が施された基材層と、
前記基材層の他方面に積層された粘着剤層と
を有し、
前記粘着剤層は、スリットを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のポール。