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特開2023-182534絶縁ダイプレート、鍛造プレス、及びセラミック絶縁体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182534
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】絶縁ダイプレート、鍛造プレス、及びセラミック絶縁体
(51)【国際特許分類】
   B30B 15/02 20060101AFI20231219BHJP
   B21J 13/02 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B30B15/02 M
B21J13/02 A
B21J13/02 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023081197
(22)【出願日】2023-05-17
(31)【優先権主張番号】10 2022 114 968.4
(32)【優先日】2022-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】516199072
【氏名又は名称】エスエムエス グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ロスバッハ,アクセル
(72)【発明者】
【氏名】ザファリ,アリ
(72)【発明者】
【氏名】ブレンネル,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】アッカーマン,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】アーデム,カラカス
【テーマコード(参考)】
4E087
4E088
【Fターム(参考)】
4E087AA09
4E087CA11
4E087CB01
4E087CB02
4E087CB16
4E087EA11
4E087ED05
4E088AA01
4E088AA05
4E088AB02
4E088AB04
4E088AB05
4E088EA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】可能な限り最も効果的な力又は圧力伝達を可能とし、最も効果的な断熱性を提供する。
【解決手段】絶縁ダイプレートは、互いに平行になるよう配置された2枚の端板と、間に配置されセラミック絶縁体を備える絶縁層と、を備え、端板に対して平行に配置される絶縁体面が絶縁層を画定し、絶縁体が絶縁体面上に互いに離間するよう配置されることにより、中間スペースが絶縁体の間の絶縁体面上に形成され、絶縁層の総面積は絶縁体の表面部及び中間スペースの表面部からなり、絶縁層の総面積における絶縁体の表面部の割合は少なくとも50%であり、絶縁体は対称となるよう形成され、絶縁体の上部側は絶縁体の底部側と同様であり、全ての絶縁体がプレート状に設計され、プレートは高さ及び最大幅を有し、高さよりも幅が大きくなるよう設計され、絶縁体の最大幅は絶縁体の高さの少なくとも2.5倍であり、及び/又は、絶縁体は、異方形状を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁ダイプレート(1)であって、
互いに平行になるよう配置された2枚の端板(27、28、37、38)と、
前記2枚の端板(27、28、37、38)の間に配置され、セラミック絶縁体(40)を備える絶縁層(21、31)と、
を備え、
少なくとも前記端板(27、28、37、38)に対して平行に配置される絶縁体面(22、32)が前記絶縁層(21、31)を画定し、前記セラミック絶縁体(40)が前記絶縁体面(22、32)上に互いに離間するよう配置されることにより、中間スペース(41)が前記セラミック絶縁体(40)の間の前記絶縁体面(22、32)上に形成され、前記絶縁層(21、31)の総面積は、少なくとも、前記セラミック絶縁体(40)の表面部及び前記中間スペース(41)の表面部からなり、
(i)前記絶縁体面(22、32)に平行な前記セラミック絶縁体(40)における各部分において、前記絶縁層(21、31)の前記総面積における前記セラミック絶縁体(40)の表面部の割合は、少なくとも50%であり、前記セラミック絶縁体(40)は、対称となるよう形成され、前記セラミック絶縁体(40)の上部側は、前記セラミック絶縁体(40)の底部側と同様であり、全てのセラミック絶縁体(40)がプレート状に設計され、前記プレートは、高さ(42)及び最大幅(43)を有し、高さよりも幅が大きくなるよう設計され、前記セラミック絶縁体(40)の前記最大幅は、前記セラミック絶縁体(40)の前記高さの少なくとも2.5倍であり、及び/又は、
(ii)前記セラミック絶縁体(40)は、異方形状を有する、
ことを特徴とする、ダイプレート(1)。
【請求項2】
前記端板(27、28、37、38)に予備応力を掛ける、
ことを特徴とする、請求項1に記載のダイプレート(1)。
【請求項3】
複数のセラミック絶縁体(40)が各絶縁体面(22、32)に配置される、
ことを特徴とする、請求項1に記載のダイプレート(1)
【請求項4】
前記絶縁層(21、31)内において、セラミック絶縁体(40)が、少なくとも2つ、特に、少なくとも3つの絶縁体面(22、33)上に配置される、
ことを特徴とする、請求項1に記載のダイプレート(1)
【請求項5】
それぞれの面の前記セラミック絶縁体(40)が同軸上に配置される、及び/又は、前記セラミック絶縁体(40)が均等に配置される、
ことを特徴とする、請求項4に記載のダイプレート(1)
【請求項6】
中間層(46)は、重ねて配置された前記セラミック絶縁体(40)間に配置される、
ことを特徴とする、請求項4に記載のダイプレート(1)
【請求項7】
プレスタペット(12)と、少なくとも1本の牽引棒(14)と、少なくとも1つの上側ダイ(20)及び少なくとも1つの下側ダイ(30)とにより、半製品(15)を1つのプレス方向(17)においてプレスする鍛造プレス(10)であって、
前記ダイ(20、30)のそれぞれは、冷間ダイ部分(25、35)及び熱間ダイ部分(26、36)を備え、前記ダイ(20、30)のそれぞれは、前記プレス方向(17)に対して垂直に配置された、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の絶縁ダイプレート(1)を備え、前記ダイプレート(1)はそれぞれ、前記冷間ダイ部分(25、35)及び前記熱間ダイ部分(26、36)の間に配置され、各前記ダイプレート(1)は、前記冷間ダイ部分(25、35)側に配置される冷間カバー側面(23、33)及び前記熱間ダイ部分(26、36)側に配置される熱間カバー側面(24、34)の間に配置される、
ことを特徴とする、鍛造プレス(10)。
【請求項8】
プレスタペット(12)と、少なくとも1本の牽引棒(14)と、少なくとも1つの上側ダイ(20)及び少なくとも1つの下側ダイ(30)とにより、半製品(15)を1つのプレス方向(17)においてプレスする鍛造プレス(10)であって、
各パンチ(20、30)は、冷間ダイ部分(25、35)と、熱間ダイ部分(26、36)とを備え、各パンチ(20、30)は、前記プレス方向(17)に対して垂直に配置された絶縁層(21、31)を備え、前記絶縁層(21、31)は、それぞれ、前記冷間ダイ部分(25、35)及び前記熱間ダイ部分(26、36)の間に配置され、前記絶縁層(21、31)のそれぞれは、前記冷間ダイ部分(25、35)の側に位置する冷間カバー側面(23、33)及び前記熱間ダイ部分(26、36)の側に位置する熱間カバー側面(24、34)の間に配置され、前記絶縁層(21、31)は、セラミック絶縁体(40)を備え、少なくとも前記端板(27、28、37、38)に対して平行に配置される絶縁体面(22、32)が前記絶縁層(21、31)を画定し、前記セラミック絶縁体(40)が前記絶縁体面(22、32)上に互いに離間するよう配置されることにより、中間スペース(41)が前記セラミック絶縁体(40)の間の前記絶縁体面(22、32)上に形成され、前記絶縁層(21、31)の総面積は、少なくとも、前記セラミック絶縁体(40)の表面部及び前記中間スペース(41)の表面部からなり、
(i)複数のセラミック絶縁体(40)が絶縁体面(22、32)のそれぞれに配置され、前記絶縁体面(22、32)に平行な前記セラミック絶縁体(40)における各部分において、前記絶縁層(21、31)の前記総面積における前記セラミック絶縁体(40)の表面部の割合は、少なくとも50%であり、前記セラミック絶縁体は、対称となるよう形成され、前記セラミック絶縁体の上部側は、前記セラミック絶縁体の底部側と同様であり、全てのセラミック絶縁体がプレート状に設計され、前記プレートは、高さ(42)及び最大幅(43)を有し、高さよりも幅が大きくなるよう設計され、前記セラミック絶縁体(40)の前記最大幅は、前記セラミック絶縁体(40)の前記高さの少なくとも2.5倍であり、及び/又は、
(ii)前記セラミック絶縁体(40)は、異方形状を有する、
ことを特徴とする、鍛造プレス(10)。
【請求項9】
前記絶縁層(21、31)内において、セラミック絶縁体(40)が、少なくとも2つ、特に、少なくとも3つの絶縁体面(22、33)上に配置される、
ことを特徴とする、請求項8に記載の鍛造プレス(10)。
【請求項10】
それぞれの面の前記セラミック絶縁体(40)が同軸上に配置される、及び/又は、前記セラミック絶縁体(40)が均等に配置される、
ことを特徴とする、請求項9に記載の鍛造プレス(10)。
【請求項11】
中間層(46)は、重ねて配置された前記セラミック絶縁体(40)間に配置される、
ことを特徴とする、請求項9に記載の鍛造プレス(10)。
【請求項12】
鍛造プレス(10)のダイ(20、30)内で絶縁性を発揮するセラミック絶縁体(40)であって、
(i)前記セラミック絶縁体はプレート状であり、該プレートは、高さ及び最大幅を有し、高さよりも幅が大きくなるよう設計され、前記セラミック絶縁体(40)の前記最大幅は、前記セラミック絶縁体(40)の前記高さの少なくとも2.5倍であり、及び/又は、
(ii)前記セラミック絶縁体(40)は、0vol%の開気孔率を有し、及び/又は、2.2g/cm~5.0g/cmの密度を有し、及び/又は、素焼き状態で、100MPa~450MPaの曲げ強度を有し、及び/又は、70GPa~200GPaの弾性率を有し、及び/又は、
(iii)前記セラミック絶縁体(40)は、摂氏30度~600度において、5~10・10-6-1の平均線形膨張係数を有し、及び/又は、摂氏30度~600度において、700~1000Jkg-1-1の比熱容量を有し、及び/又は、1.5~5Wm-1-1の熱伝導率を有し、及び/又は、
(iv)前記セラミック絶縁体(40)は、摂氏20度において、5・1010~1012Ω・cmの比電気抵抗、及び/又は、摂氏600度において、5・10~10Ω・cmの比電気抵抗を有し、及び/又は、
(v)前記セラミック絶縁体(40)は、石鹸石を50%~95%、及び/又は、SiOを50%~85%、及び/又は、MgOを20%~40%の割合で有し、及び/又は、
(vi)前記セラミック絶縁体(40)は、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のダイプレート、又は、請求項8乃至11のいずれか一項に記載の鍛造プレス(10)において使用される、
ことを特徴とする、セラミック絶縁体(40)。
【請求項13】
前記セラミック絶縁体は、異方形状を有する、
ことを特徴とする、請求項12に記載のセラミック絶縁体(40)。
【請求項14】
鍛造プレス(10)のダイ(20、30)内で絶縁性を発揮するセラミック絶縁体(40)であって、
前記セラミック絶縁体(40)は、2.5g/cm~4.0g/cmの密度を有し、及び/又は、素焼き状態で、110MPa~300MPaの曲げ強度を有し、及び/又は、75GPa~160GPaの弾性率を有する、
ことを特徴とする、請求項12に記載のセラミック絶縁体(40)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁ダイプレートに関する。絶縁ダイプレートは、互いに平行になるよう配置された2枚の端板と、2枚の端板の間に配置され、セラミック絶縁体を備える絶縁層と、を備え、少なくとも端板に対して平行に配置される絶縁体面が絶縁層を画定し、絶縁体が絶縁体面上に互いに離間するよう配置されることにより、中間スペースが絶縁体の間の絶縁体面上に形成され、絶縁層の総面積は、少なくとも、絶縁体の表面部及び中間スペースの表面部からなる、ことを特徴とする。本発明はまた、プレスタペットと、少なくとも1本の牽引棒と、少なくとも1つの上側ダイ及び少なくとも1つの下側ダイとにより、半製品を1つのプレス方向においてプレスする鍛造プレスに関する。鍛造プレスにおいて、ダイのそれぞれは、冷間ダイ部分及び熱間ダイ部分を備え、ダイのそれぞれは、プレス方向に対して垂直に配置された絶縁ダイプレートを備え、ダイプレートはそれぞれ、冷間ダイ部分及び熱間ダイ部分の間に配置され、各ダイプレートは、冷間ダイ部分側に配置される冷間カバー側面及び熱間ダイ部分側に配置される熱間カバー側面の間に配置される、ことを特徴とする。同様に、本発明は、プレスタペットと、少なくとも1本の牽引棒と、少なくとも1つの上側ダイ及び少なくとも1つの下側ダイにより、半製品を1つのプレス方向においてプレスする鍛造プレスに関する。鍛造プレスにおいて、各ダイは、冷間ダイ部分と、熱間ダイ部分とを備え、各ダイは、プレス方向に対して垂直に配置された絶縁層を備え、絶縁層は、それぞれ、冷間ダイ部分及び熱間ダイ部分の間に配置され、絶縁層のそれぞれは、冷間ダイ部分の側に位置する冷間カバー側面及び熱間ダイ部分の側に位置する熱間カバー側面の間に配置され、絶縁層は、セラミック絶縁体を備え、少なくとも端板に対して平行に配置される絶縁体面が絶縁層を画定し、絶縁体が絶縁体面上に互いに離間するよう配置されることにより、中間スペースが絶縁体の間の絶縁体面上に形成され、絶縁層の総面積は、少なくとも、絶縁体の表面部及び中間スペースの表面部からなる、ことを特徴とする。さらに、本発明は、鍛造プレスのダイ内を絶縁するためのセラミック絶縁体を備える。
【背景技術】
【0002】
鍛造プレス、特に、恒温鍛造プレスが、従来技術において一般的に知られている。ここで、恒温鍛造プレスを用いることで、例えば、ニアネットシェイプ金属半製品を真空下で恒温鍛造することができる。こうした方法は、HIF法(熱間恒温鍛造)とも呼ばれ、例えば、超塑性条件下において、高温かつ低変形率で、チタンやモリブデン材料、又は、いわゆる超合金をある形状に鍛造することが可能である。
【0003】
適切な鍛造プレスによる恒温鍛造の特徴として、形成領域内で高温かつ一定温度であっても、鍛造が行われることが挙げられる。このため、形成領域付近の材料は、特に高い耐熱性が求められる。鍛造プレスにおける全てのダイをこのような耐熱素材とした場合、特に高額となるため、経済的ではないとされている。こうした理由により、形成領域に近い領域のみに高価な耐熱素材を用いることが一般的である。しかし、ダイ又は鍛造プレスのその他の要素は、比較的高い温度から保護される必要があるため、ダイ内の特に高温となる場所から、耐熱性の低い領域を隔離することが、従来技術において知られている。こうした絶縁性を実現するにあたり、ダイの表面全体に広がる絶縁層を用いることが知られている。これにより、ダイの表面全体を隔離して、特に高温となるダイの領域からの絶縁性を高めることができる。
【0004】
特許文献1又は特許文献2に記載の鍛造プレスでは、例えば、絶縁層が2つの材料で構成されている。第1の材料はセラミックであり、隣り合って配置された、複数の高く狭いセラミックタレットが、ホットプレスマイカ紙として設計された第2の材料上に配置されている。特許文献3にはまた、鍛造プレス用絶縁体の構成要素として、比較的立方体形状に近いセラミック体が開示されている。
【0005】
特許文献4からは、例えば、絶縁層の絶縁体を、3つの個別体から組み立てることが知られている。ここで、上部側と底部側が異なる2枚のプレート状体が、2枚のプレート状体の間の円筒体を介して中央に接続されることで、ダンベル状構造に似た絶縁体が実現されている。
【0006】
これとは異なり、特許文献5は、絶縁層を有する1枚の平坦な絶縁体を備えた鍛造プレスを開示する。
【0007】
種々のセラミックについては、ネスタ―氏が論じているところである(Winfried NESTER, “Stressing Cup-shaped Reverse Extrusion Dies made of Ceramics due to Mechanical Stress and Temperature,”シュトゥットガルト大学成形技術研究所による報告書(独),Springer Berlin Heidelberg,1986年,86;ISBN978-3-540-16845-4)。特に、24ページの表では、化合物のなかでも、ZrO、Al、SiNなどの化合物の密度、気孔率、平均結晶粒径、弾性率、圧縮強度、曲げ強度、硬度、熱膨張係数、熱伝導率、比熱容量、熱拡散率などのさまざまな材料特性が互いに比較されている。ヘクトらによれば(Elektrokeramik, Springer Berlin Heidelberg,1967年;ISBN978-3-642-80950-7)、特に、7頁の3段落目によれば、石鹸石、シリカ、酸化マグネシウムの割合は、特定の機械的及び熱的特性を達成するために、広い範囲の制限内で変化させることができる。
【0008】
鍛造プレス、特に鍛造プレスダイでは、鍛造法によって非常に高いレベルの力が自然に伝達される。したがって、高レベルの力を確実に伝達できるようにするためには、温度適合性の観点からだけでなく、圧縮強度又はその他の機械的特性の観点からも、ダイにおける全ての材料に、高い要求が課せられる。例えば、特許文献4、特許文献2、そして特許文献1といった先行技術からも知られているように、特に優れた断熱効果を得るには、セラミック材料を絶縁体として使用することが知られている。ただし、比較的異なる熱特性に加えて、セラミック材料は金属材料と比較して、比較的異なる機械的特性も有している。特に、損傷することなく、セラミック絶縁体が、確実に高い成形力に耐えうるよう、又は、それを伝達しうるよう、注意を払う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0156783号明細書
【特許文献2】欧州特許のドイツ語翻訳第602006000241号
【特許文献3】特開2013-049071号公報
【特許文献4】独国実用新案第202021104680号明細書
【特許文献5】米国特許第3926029号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、可能な限り最も効果的な力又は圧力伝達を可能とする、最も効果的な断熱性を提供することにある。
【0011】
本発明の目的は、絶縁ダイプレート、鍛造プレス、及び、独立請求項の特徴を有するセラミック絶縁体によって達成される。適用可能な場合、また、それ自体が独立する、さらに好ましい実施形態は、従属請求項及び以下の説明において見出すことができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
可能な限り最も効果的な力又は圧力伝達を可能とする、最も効果的な断熱性を提供するために、プレスタペットと、少なくとも1本の牽引棒と、少なくとも1つの上側ダイ及び少なくとも1つの下側ダイとにより、半製品を1つのプレス方向においてプレスする鍛造プレスが提示される。ここで、各ダイは、冷間ダイ部分と、熱間ダイ部分とを備え、各ダイは、プレス方向に対して垂直に配置された絶縁層を備え、絶縁層は、それぞれ、冷間ダイ部分及び熱間ダイ部分の間に配置され、絶縁層のそれぞれは、冷間ダイ部分の側に位置する冷間カバー側面及び熱間ダイ部分の側に位置する熱間カバー側面の間に配置され、絶縁層は、セラミック絶縁体を備え、少なくとも端板に対して平行に配置される絶縁体面が絶縁層を画定し絶縁体絶縁体面上に互いに離間するよう配置されることにより、中間スペースが絶縁体の間の絶縁体面上に形成され、絶縁層の総面積は、少なくとも、絶縁体の表面部及び中間スペースの表面部からなり、複数の絶縁体が絶縁体面のそれぞれに配置され、絶縁体面に平行な絶縁体における各部分において、絶縁層の総面積における絶縁体の表面部の割合は、少なくとも50%である。
【0013】
可能な限り最も効果的な力又は圧力伝達を可能とする、最も効果的な断熱性を提供するため、絶縁ダイプレートは、互いに平行になるよう配置された2枚の端板と、2枚の端板の間に配置され、セラミック絶縁体を備える絶縁層と、を備え、少なくとも端板に対して平行に配置される絶縁体面が絶縁層を画定し、絶縁体が絶縁体面上に互いに離間するよう配置されることにより、中間スペースが絶縁体の間の絶縁体面上に形成され、絶縁層の総面積は、少なくとも、絶縁体の表面部及び中間スペースの表面部からなり、絶縁体面に平行な絶縁体における各部分において、絶縁層の総面積における絶縁体の表面部の割合は、少なくとも50%である。
【0014】
好適な実施形態の場合、上記の設計はまた、これに含まれるアセンブリの、特に、絶縁体の耐用年数を延長することができる。これは、絶縁体に力を可能な限り均一に分散させることができるためである。
【0015】
ここでの文脈においては、「鍛造プレス」は特に、半製品が一定温度でプレスされる、又は、変形される、恒温鍛造プレスとして理解され得る。一方、「鍛造プレス」という用語は、好ましくは、2つの工具の、主に直線的な相対運動下で、被成形物を大きく変形して形成する成形機を指す。ここで、鍛造方法、ひいては、特に、押出プレスとは対照的な鍛造プレスにおいて、工具間には、プレス残留物だけでなく、最終的に使用される鍛造材料が残る。
【0016】
「プレス方向」は、好ましくは、ダイが半製品に力を加える際の、鍛造プレスのダイの方向、又は、ダイが半製品を押圧する方向を指す。例えば、鍛造プレスの上側ダイ及び下側ダイの両方が互いに離間して動く場合、2つの反対プレス方向があると捉えることができる。また、鍛造プレスの特定の実施形態によっては、プレス方向が、互いに曲がったり交差したりする場合もある。
【0017】
「プレスタペット」は、特に、プレス力をダイに伝達する要素として理解され得る。
【0018】
さらに、鍛造プレスは、上側ダイ及び下側ダイを備える。こうしたダイは、鍛造プレスの要素であり、プレス方法の実施中に互いにプレスされるか、又は、互いに接触することもある。プレスされた半製品のみが2つのプレステンプル間に配置される。
【0019】
ここでの文脈においては、「上側ダイ」は、好ましくは、半製品の上方に位置するダイとして理解され得る。一方、半製品の下方に位置するダイとして理解され得る。特定の実装に応じて、上側ダイ又は下側ダイを、鍛造方法実行中に移動可能にすることができる。また両方のダイを移動可能にすることもできる。鍛造プレスにおいて、どちらのダイが上部と呼ばれ、どちらのダイが下側ダイと呼ばれるかは、最終的に純粋な定義の問題であると考えられる。
【0020】
2つのダイはそれぞれ、特に、冷間ダイ部分及び熱間ダイ部分を有する。ここでの文脈においては、「熱間ダイ部分」は、好ましくは、半製品に対向する側のダイに配置される、ダイの一部分として理解することができる。一方、冷間ダイ部分は、半製品とは反対側を向いて配置される。熱間ダイ部分がツール上に直接配置されているか、又は、冷間ダイ部分よりも半製品の近くに配置されていることから、こうした名称がついた。したがって、冷間ダイ部分は、熱間ダイ部分と比べて、半製品から離れた位置にある。形成領域又はプレス領域は、比較的高温であることが好ましいため、形成領域に近い位置にある金型の部分は、形成領域から離れた部分よりも当然高温になる。さらに、2つのダイ部分の間に絶縁層が配置され、冷間ダイ部分が高温から隔離されるとことで、冷間ダイ部分と熱間ダイ部分の温度差が生まれる。
【0021】
これら2つのダイ部品の間に配置された絶縁層と接触している、2つのダイ部品の側面は、この文脈において、カバー側面と呼ばれる。
【0022】
「絶縁ダイプレート」の下では、好ましくは、互いに平行に配置された2枚の端板と、その間に配置された絶縁層とからなるユニットであると理解され得る。特に、そこに対して絶縁力及び伝達力が作用するよう、熱間ダイ部分及び冷間ダイ部分の間に配置されることが、好適に意図される。端板は、ダイプレートの上部側及び底部側を形成する剛体であるとするのが好ましい。
【0023】
本文脈における「絶縁層」は、好ましくは、層又は断熱効果を有する層として理解することができ、この層は、絶縁層が身体を互いに隔離するよう配置され得る。これにより、一方の物体から他方の物体への熱伝達をできるだけ少なくすることができる。同時に、絶縁層は、断熱に加えて、力、特に押圧力も伝達する層として理解することができる。絶縁層は、セラミック絶縁体を含んでもよい。
【0024】
「絶縁体面」は、本文脈では、端板に平行に配置され、絶縁体の配置を画定するのに有効な、理論面として理解され得る。好ましくは、絶縁体は、絶縁体面が同じ高さでの絶縁体の配置も確定するように、この絶縁体面上に配置される。
【0025】
複数の絶縁体が絶縁体面上に配置されているが、この絶縁体面上に位置する絶縁体との間に絶縁体面上に自由空間が存在するようにすることで、絶縁体同士が互いに接触しない好ましい状態となるよう、中間スペースが画定されている。
【0026】
これにより、絶縁層において、総面積が得られ、ここには、絶縁体の表面部と中間スペースの表面部の両方が含まれる。ここで、この比率は、絶縁体が互いに絶縁体面内にどれだけ密に配置されているか、又は、絶縁体がいくつあり、中間スペースがいくつ存在するかを示すものである。
【0027】
絶縁層の総面積において、絶縁体の表面部が少なくとも50%であることは、上述したように、作用力又は押圧力が絶縁体上のより広い面積に分散することになるため、好ましい。絶縁体は、押圧力全体を伝達又は吸収する必要があり、耐久性も要求される。絶縁層の総面積に占める絶縁体の表面部が大きいほど、鍛造方法時における単一の絶縁体に対する圧力は小さくなる。したがって、このような実施形態は、絶縁体の耐用年数を可能な限り延長できるという、特に有利な点を有する。
【0028】
セラミック絶縁体も高温で一定の膨張を受けるため、本鍛造プレスの絶縁体も非常に高い温度で膨張することが理解される。このため、絶縁層には単一の大きな絶縁体ではなく、複数の絶縁体を用いることが好ましい。また、絶縁体の熱膨張のために個々の絶縁体の間に空間を残しておかなければならないため、絶縁層の総面積に占める絶縁体の表面部は、正確に100%とするべきではない。100%としてしまった場合、絶縁体が高温の影響下で損傷する可能性がある。
【0029】
プレスタペットと、少なくとも1本の牽引棒と、少なくとも1つの上側ダイ及び少なくとも1つの下側ダイとにより、半製品を1つのプレス方向においてプレスする鍛造プレスにおいて、各ダイは、冷間ダイ部分と、熱間ダイ部分とを備え、各ダイは、プレス方向に対して垂直に配置された絶縁層を備え、絶縁層は、それぞれ、冷間ダイ部分及び熱間ダイ部分の間に配置され、絶縁層のそれぞれは、冷間ダイ部分の側に位置する冷間カバー側面及び熱間ダイ部分の側に位置する熱間カバー側面の間に配置され、絶縁層は、セラミック絶縁体を備え、少なくとも端板に対して平行に配置される絶縁体面が絶縁層を画定し、絶縁体が絶縁体面上に互いに離間するよう配置されることにより、中間スペースが絶縁体の間の絶縁体面上に形成され、絶縁層の総面積は、少なくとも、絶縁体の表面部及び中間スペースの表面部からなる、ことを特徴とする。これに追加で、又は、代替として、各絶縁体面上には、複数の絶縁体が配置され、絶縁体は、角度を有する基本形を有することを特徴とし得る。これにより、最も効果的な力又は圧力伝達を可能とする、最も効果的な断熱性が提供される。
【0030】
最も効果的な力又は圧力伝達を可能とする、最も効果的な断熱性を実現するため、絶縁ダイプレートは、互いに平行になるよう配置された2枚の端板と、2枚の端板の間に配置され、セラミック絶縁体を備える絶縁層と、を備え、少なくとも端板に対して平行に配置される絶縁体面が絶縁層を画定し、絶縁体が絶縁体面上に互いに離間するよう配置されることにより、中間スペースが絶縁体の間の絶縁体面上に形成され、絶縁層の総面積は、少なくとも、絶縁体の表面部及び中間スペースの表面部からなることを特徴とする。これに追加で、又は、代替として、絶縁体は、角度を有する基本形を有することを特徴とし得る。
【0031】
ここでの文脈においては、「角度を有する基本形」は、例えば円形や楕円形の基本形状から外れた形状として理解できることが好ましい。絶縁体面上の絶縁体が望ましい形で配置されている場合、例えば、互いに均等の距離をあけて配置されている場合、つまり、絶縁体面全体を通して、同じサイズの中間スペースを確保している場合に、角度を有する基本形は、有利である。また、絶縁体を、角度を有する基本形とする実施形態では、絶縁体の絶縁体面上での種々の配置に対して、柔軟に対応できる。
【0032】
ここで、絶縁体面上において、角度を有する基本形とすることで、効果が発揮されるため、好ましい。かつ、重要な要素であることは理解されるであろう。この絶縁体面に垂直な断面では、他の事項も重要になる場合がある。
【0033】
ここで、角度を有する基本形とすることで、適切な実施形態において、絶縁体同士の密接な配置を可能にする。これにより、力が絶縁体上に可能な限り均一に分散するため、これに含まれるアセンブリの、特に、絶縁体の耐用年数を延ばす点において有利である。
【0034】
プレスタペットと、少なくとも1本の牽引棒と、少なくとも1つの上側ダイ及び少なくとも1つの下側ダイとにより、半製品を1つのプレス方向においてプレスする鍛造プレスにおいて、各ダイは、冷間ダイ部分と、熱間ダイ部分とを備え、各ダイは、プレス方向に対して垂直に配置された絶縁層を備え、絶縁層は、それぞれ、冷間ダイ部分及び熱間ダイ部分の間に配置され、絶縁層のそれぞれは、冷間ダイ部分の側に位置する冷間カバー側面及び熱間ダイ部分の側に位置する熱間カバー側面の間に配置され、絶縁層は、セラミック絶縁体を備え、少なくとも端板に対して平行に配置される絶縁体面が絶縁層を画定し、絶縁体が絶縁体面上に互いに離間するよう配置されることにより、中間スペースが絶縁体の間の絶縁体面上に形成され、絶縁層の総面積は、少なくとも、絶縁体の表面部及び中間スペースの表面部からなる、ことを特徴とする。これに追加で、又は、代替として、絶縁体は異方形状を有する、ことを特徴とし得る。これにより、最も効果的な力又は圧力伝達を可能とする、最も効果的な断熱性が提供される。
【0035】
絶縁ダイプレートは、互いに平行になるよう配置された2枚の端板と、2枚の端板の間に配置され、セラミック絶縁体を備える絶縁層と、を備え、少なくとも端板に対して平行に配置される絶縁体面が絶縁層を画定し、絶縁体が絶縁体面上に互いに離間するよう配置されることにより、中間スペースが絶縁体の間の絶縁体面上に形成され、絶縁層の総面積は、少なくとも、絶縁体の表面部及び中間スペースの表面部からなることを特徴とする。これに追加で、又は、代替として、絶縁体は異方形状を有する、ことを特徴とし得る。これにより、最も効果的な力又は圧力伝達を可能とする、最も効果的な断熱性が提供される。
【0036】
ここで、異方性形成は、好ましいとされない、絶縁体の半径方向の予備応力を回避する際に効果を発揮する。絶縁体は力を伝達できるようにするために特に高い圧力下にあるため、半径方向の予備応力がある場合、絶縁体にはさらに応力がかかり、必要又は所望の強度が得られなくなる。絶縁体が特定の半径方向のバイアス下にある場合、絶縁体はかなり早い段階で損傷する可能性がある。適切な実施形態により、高い押圧力でも安定し続けるために、半径方向に予備的に応力がかからないよう、絶縁体が設計されている。
【0037】
特に恒温プレスの場合、冷間カバー側面と熱間カバー側面の間に少なくとも500Kの温度差が生じる可能性がある。冷間カバー側面と熱間カバー側面の間に相応に高い温度差がある場合、絶縁層は2つのダイ部品間で十分に絶縁される。これにより、半製品又は被成形物上における恒温プレスに適した高温を可能にし、同時に、冷間ダイ部分と残りのアセンブリの熱が緩和される。
【0038】
「冷間カバー側面」は、本文脈において、冷間ダイ部分のカバー側を画定し、「熱間カバー側面」は、本文脈において、絶縁層と接触している熱間ダイ部分のカバー側であることが理解される。
【0039】
ここでは特に高い温度差が有利であるため、絶縁層は、それに応じた絶縁性が求められ、それを達成することができる。プレス中、半製品の領域で非常に高い温度が好ましいとされる。熱間ダイ部分の金属材料の良好な熱伝導率により、熱間カバー側面において適した高温を確保することができる。例えば少なくとも500Kといった、熱間カバー側面と冷間カバー側面との間の高い温度差は、絶縁層が相応に、良好に絶縁されている場合にのみ実現される。
【0040】
好ましくは、冷間カバー側面と熱間カバー側面との間には、少なくとも550Kの温度差がある。特に、熱間カバー側面と熱間カバー側面との間に少なくとも600Kの温度差があると、利点を達成するうえで有利に働く。
【0041】
好ましくは、熱間ダイ部分は、少なくとも摂氏800度の温度である。特定の状況下で高温でのみ、材料の結晶構造に望ましい効果が生じるため、鍛造中に鍛造プレスによって処理された材料は、特定の状況に応じて、高温となることが推奨される。したがって、成形又は鍛造後に所望の材料特性を達成するために、鍛造材料に応じた高い温度が適用される。対応する利点を達成するために、熱間ダイ部分は、少なくとも摂氏900度の温度となる。熱間ダイ部分が、少なくとも摂氏1,000度の温度になることが、特に好ましい。
【0042】
特に、鍛造プレスとしては、特に高温が好ましいとされる恒温鍛造プレスが適用される。恒温鍛造プレスは、本明細書において説明及び活用されており、絶縁層が特に有利に使用され得る。
【0043】
最も効果的な力又は圧力伝達を可能とする、最も効果的な断熱性を実現するため、絶縁ダイプレートは、互いに平行になるよう配置された2枚の端板と、2枚の端板の間に配置され、セラミック絶縁体を備える絶縁層と、を備え、少なくとも端板に対して平行に配置される絶縁体面が絶縁層を画定し、絶縁体が絶縁体面上に互いに離間するよう配置されることにより、中間スペースが絶縁体の間の絶縁体面上に形成され、絶縁層の総面積は、少なくとも、絶縁体の表面部及び中間スペースの表面部からなることを特徴とする。これに追加で、又は、代替として、絶縁体は、対称となるよう形成され、絶縁体の上部側は、絶縁体の底部側と同様であり、全ての絶縁体がプレート状に設計され、プレートは、高さ及び最大幅を有し、高さよりも幅が大きくなるよう設計される、ことを特徴とし得る。
【0044】
最も効果的な力又は圧力伝達を可能とする、最も効果的な断熱性を提供するために、鍛造プレスのダイ内で絶縁性を有するセラミック絶縁体はまた、絶縁体は、プレート状を有し、プレートは、高さ及び最大幅を有し、高さよりも幅が大きくなるよう設計される、ことを特徴とし得る。
【0045】
ここでの文脈においては、「セラミック絶縁体」は、セラミックス、特に、テクニカルセラミックスからなる本体として理解され得る。テクニカルセラミックは、好ましくは、非金属、無機材料からなる。テクニカルセラミックスは、その精密加工において従来のセラミックスとは異なる。例えば、特定の粒径を有するもののみが、成形に適する。多くの場合、自然に存在する原材料は、化学的純度又は均質性の要件を満たしていないため、セラミック粉末が合成的に製造される。
【0046】
最も効果的な力又は圧力伝達を可能とする、最も効果的な断熱性を提供するために、これに追加で、又は、代替として、鍛造プレスのダイ内で絶縁性を有するセラミック絶縁体において、絶縁体は対称となるよう形成され、絶縁体の上部側は、絶縁体の底部側と同様であること特徴とする。
【0047】
この点において、プレスタペットと、少なくとも1本の牽引棒と、少なくとも1つの上側ダイ及び少なくとも1つの下側ダイとにより、半製品を1つのプレス方向においてプレスする鍛造プレスにおいて、各ダイは、冷間ダイ部分と、熱間ダイ部分とを備え、各ダイは、プレス方向に対して垂直に配置された絶縁層を備え、絶縁層は、それぞれ、冷間ダイ部分及び熱間ダイ部分の間に配置され、絶縁層のそれぞれは、冷間ダイ部分の側に位置する冷間カバー側面及び熱間ダイ部分の側に位置する熱間カバー側面の間に配置され、絶縁層は、セラミック絶縁体を備え、少なくとも端板に対して平行に配置される絶縁体面が絶縁層を画定し、絶縁体が絶縁体面上に互いに離間するよう配置されることにより、中間スペースが絶縁体の間の絶縁体面上に形成され、絶縁層の総面積は、少なくとも、絶縁体の表面部及び中間スペースの表面部からなる、ことを特徴とする。また、絶縁体が対称となるよう形成され、絶縁体の上部側は、絶縁体の底部側と同様であり、全ての絶縁体がプレート状に設計され、プレートは、高さ及び最大幅を有し、高さよりも幅が大きくなるよう設計される。これにより、追加で、又は、代替として、可能な限り最も効果的な力又は圧力伝達を可能とする、最も効果的な断熱性が得られる。
【0048】
絶縁体の好適な実施形態において、そのような形状にすることにより、特に、比較的単純な方法での製造が可能となる。また、好適な実施形態の場合、こうした形状を有する絶縁体により、最適な動力伝達を確保することができる。これは、力のピークやその他の力分散が不均等になるリスクを最小限に抑えることができるためである。特に、絶縁体の適切な実施形態において、動力伝達に最適な表面、異なる状況に適応するための柔軟な配置選択、及び/又は、対応する均一な力分散を有する絶縁体の規則的又は均一な配置を実現することができる。
【0049】
この場合、本文脈における対称性により、特に、それぞれの絶縁体にわたって均一な力分散が実現される。
【0050】
鏡対称とする実施形態が好ましい場合がある。鏡面対称性とは、上部側及び底部側と平行に、かつそこから等距離の位置に配置された平面に沿った対称性を指す。上部側と底部側に垂直に配置された絶縁体の中心軸周りに、回転対称としてもよい。絶縁体の上部側と底部側が等しいものであることは、好ましくは、両者の面積で表され得る。これに追加で、又は、代替として、上部側と底部側が等しいものであることは、好ましくは、両者の幾何学的寸法としても理解され得る。特に、こうした幾何学的寸法とした実施形態では、それぞれの絶縁体において均一な力分散が実現され、特に、比較的脆いセラミックスが大きな力で使用することができるように、高い機械的応力下であっても、過度の局所応力ピークからの保護が実現する。
【0051】
ここでの文脈において、「プレート」は、好ましくは、硬質材料、例えば、特にセラミックからなる平坦部分として理解することができる。こうした材料は、均一な厚さを有しており、プレートは、厚さ方向に対して延長された平坦面の両面を有すると言える。したがって、プレートにおいて、幅が高さよりも幅が大きいという特徴は、この文脈におけるプレートの特徴を指している。
【0052】
例えば、円形のプレートは、円形であるため、どこをとっても同じ幅を有し得るが、例えば、長方形のプレートの場合は、場所によって幅が異なる。この場合、対角線が最大幅を表し、本体の矩形基本形状の4辺のうちの1辺の幅は、それに応じたプレートの最小幅を表す。したがって、特に本例のプレートは、最大幅を有しており、同様のことが円形プレートにも適用される。
【0053】
プレート状とする実施形態は、通常、比較的容易に製造することができ、また比較的安価であることから、特に好ましいとされる。セラミック絶縁体は摩耗部品であり、適用時、ある程度時間が経過したのちに交換する必要がある場合があり、また、特定の実装において絶縁層に複数の絶縁体が使用される。そのため、費用対効果の高い製造が好ましい。
【0054】
さらに、プレートにより、熱間ダイ部分と冷間ダイ部分の間の力を、対称な形状を介して、同じ上部側及び底部側に最適に伝達できるため、プレートにより最適な動力伝達が可能となる。さらに、上述した実施形態により、可能な限り最大の面積を動力伝達に利用することができる。絶縁体の面積、特に、2つのダイ部品間の動力伝達のための絶縁体の総面積が大きければ大きいほど、個々の絶縁体にかかる応力レベルが低くなる。したがって、絶縁体の耐用年数も長くなる。絶縁体が可能な限り広い領域に力を分散させることで、動力伝達の際、著しく高い力にも確実に耐えることができる。
【0055】
また、プレートに対称性をもたせる実施形態では、絶縁体面上において、個々の絶縁体を柔軟に配置することができる。例えば、絶縁体、すなわち、プレートを規則的又は均一に配置することは、可能な限り簡単な方法で実現することができる。その結果、2つのダイ部品間において、伝達力が均一に分散し得る。これにより、全ての絶縁体に対し、実質的に同等の力を掛けることができる。また、例えば、個々の絶縁体がより高いレベルの応力を受け、対応する圧力に耐えられず、ダメージを受ける可能性を防ぐことができる。
【0056】
好ましくは、端板で予備応力を受ける。絶縁性自体に加え、動力伝達は特に重要な役割である。しかし、セラミック絶縁体を用いるため、金属材料を用いた場合と同等の耐応力性能が得られない場合がある。絶縁体に対するさらなる高い応力を回避するため、端板が予備応力を受けるようにできる。端板は、好ましくは、ユニットとして形成されるダイプレート全体の上部側及び底部側を形成する。これらの端板が予備応力を受けることで、応力が掛かった際、予備応力に沿って作用する力が端板に作用するようになっている。その結果、押圧力が作用しない際、絶縁体、特に、セラミック材料で形成されている絶縁体の場合、絶縁体内で望ましくない引張応力につながり得る、絶縁体の過度の緩和を回避できる。このように、好適な実施形態の場合、例えば、ダイプレートの周期耐応力性能と絶縁体の耐用年数を延ばすことができる。
【0057】
望ましくは、複数の絶縁体が絶縁ダイプレートの各絶縁体面に配置される。これにより、絶縁体に対して、またさらにダイプレートに対して、確実に動力が伝達できる。鍛造プレスのダイの他の全ての金属要素又は鍛造プレスの全ての要素と同様に、セラミック絶縁体も、高温による膨張にさらされる。セラミック絶縁体は、例えば、ダイの表面全体に延在することで、非常に大きな絶縁体、又は、非常に大きなプレートとして機能し、それにより力を伝達し、また、熱誘起膨張によって、非常に高い内部応力にさらされることとなる。単一の大きな絶縁体では、高温と高応力に耐えうるために必要とされる要件を満たせず、操作中にダメージを受ける恐れがある。個々の小さな絶縁体ははるかに低い膨張又は内部レベルの応力を受けるため、複数の絶縁体が絶縁体面上に配置されている場合に有利である。したがって、個々の絶縁体には、内部応力のレベルによって引き起こされる小さな熱膨張又は応力のみが掛かるため、複数の絶縁体は、高温での動力伝達の要件を満たすことができる。
【0058】
個々の絶縁体が熱膨張に必要な中間空間を有するよう、複数の絶縁体を絶縁体面上に互いに離間して配置することができることが理解されるであろう。
【0059】
少なくとも2つの絶縁体面上の絶縁層にセラミック絶縁体を配置することが望ましい。このようにすることで、ツール内の熱伝達、特に、上側ダイ又は下側ダイの2つのダイ部品間の熱伝達に作用することができる。これにより、絶縁層をより強固な絶縁材料とすることができるため、より優れた絶縁効果が得られる。特に、個々の絶縁体の材料厚みをそれほど大きくする必要がないため、内部応力を最小限に抑えることができる。全体として、より強力な絶縁層を設けることができ、ダイ部品に隣接する壁を、大きく異なる温度を保って互いに離間させることができるようになる。
【0060】
2つの絶縁体面に配置するということは、第1の絶縁体面の絶縁体が、第2の絶縁体面の絶縁体よりも上又は下に配置される、ということを意味する。このような配置において、一方の絶縁体面と他方の絶縁体面のセラミック絶縁体が互いに接触したり、対応する押圧力をそれらの表面全体に伝達したりしてもよい。異なる絶縁体面からなる絶縁体が互いに直接接触しているように見えても、異なる絶縁体面で作られた絶縁体の場合、任意の追加スペーサを介して、互いに接触できるため、直接接触することはない。
【0061】
好ましくは、特に上記の利点を達成するために、セラミック絶縁体は、少なくとも3つの絶縁体面における絶縁層に配置される。ここで、絶縁体の許容強度に対応する絶縁効果がさらに増強され、絶縁層がさらに発達する。
【0062】
好ましくは、個々の面上の絶縁体は、互いに同軸に配置される。同軸配置とした場合、個々の面上の絶縁体が、他の面上の絶縁体に対して、上部側又は底部側全体で応力を受けるため、応力を受けた際、プレートが確実に保持される。さらに、これにより、個々の面上の全ての絶縁体が、可能な限り最大の面積に対して、伝達力を分散するため、力が確実に均等に分散される。またプレートの端部破損を防止するため、個々の面上の絶縁体同士を同軸配置にすることが好ましい場合がある。これは、特に、各絶縁体が同一に設計されている場合に適用される。全体として、このようにすることでプレス面を最大化することができ、プレス中に破損するリスクが低減するため、絶縁体全体で、より安全な動力伝達が実現する。
【0063】
個々の面上の絶縁体を同軸配置とは異なる方法で配置した場合であっても、実施形態に利点をもたらす場合は、こうした配置を適用でき得ることは、理解されるであろう。
【0064】
ここでの文脈においては、同軸配向は、好ましくは、共通の中心軸上に互いに同軸的に配置された個々の面上の2つの絶縁体の配置として、理解することができる。各絶縁体は、それ自体が中心軸を有し、その中心軸は、好ましくは、絶縁体面に対して垂直である。同軸配置では、個々の面上の絶縁体の2つの中心軸は同じであるため、絶縁体は、角度オフセットとは可能であれば別に、それぞれが対応する中心軸を有する。特に、各絶縁体は、必要に応じて、中心軸に対して同一の角度で位置合わせされていてもよい。簡単に言えば、これは、個々の面上の絶縁体が互いの上部側にできるだけ正確に配置されていることが好ましいことを意味する、と理解することもできる。
【0065】
好ましくは、絶縁体は、同じ配向を有することに加えて、絶縁体が互いの上部側上に同軸に配置されるように、同一に位置合わせされる。同配向は、特に、絶縁体に角度を持たせた場合の実施形態に適用される。そして、同軸に配置された絶縁体の角部と縁部とが全く同じように位置合わせされ、それに合わせて、互いの上部側に位置する。例えば、円形を有し、同軸配置された絶縁体が、最終的にどのように位置合わせされたとしても、違いは生じないため、上述の配向は、円形を有する絶縁体の場合、考慮する必要はない。絶縁体に角度を持たせた場合の実施形態において、例えば、絶縁体が三角形又は六角形である実施形態においても、上述のように、絶縁体の配置を縁部又は角部合わせることができる。これにより、応力を受けた際、プレート又は絶縁体を確実に保持し、力が均等に分散される。とりわけ、上述のようにすることにより、プレートの縁部の破損を可能な限り回避することができる。このような配置としなかった場合、絶縁体の縁部又は角部が、別の絶縁体の縁部に対して突出し、他の絶縁体の縁部に突出する角部及び縁部の領域で、力が大きくなってしまい、応力を受けた際に、その縁部が折れてしまう可能性があるためである。
【0066】
互いの上部側に配置された絶縁体の間に中間層を配置することが望ましい。これにより、素材間伝達のみによる場合、絶縁層の全体的な絶縁効果が向上するよう、絶縁効果を追加することが出来る。特に、絶縁体同士を同軸に配置すると、絶縁体面内の個々の絶縁体間の中間空間があることで、熱間カバー側面から冷間カバー側面が見える。つまり、熱間カバー側面から冷間カバー側面に向かって、遮るものがない経路が形成されている。この場合、2つのダイ部品間で、輻射により、空気を介して熱伝導がおこる。中間層、特に、連続するように設計されている中間層の場合、熱間カバー側面から冷間カバー側面が「見え」ず、熱間カバー側面から冷間カバー側面に向かって、より低い熱伝導となる可能性がある。また、中間層があることにより、互いの上部側上に、プレートを確実に積み重ねることができる。特に、中間層は、ここで、位置決め手段としての役割を有することができる。これにより、一方の絶縁体面の絶縁体を、第2の絶縁体面の絶縁体に対して、可能な限りシンプルかつ正確に配置できるようになる。また、中間層を介して力がより良好に分散されるため、絶縁体全体で特に良好な力分散と、高押圧に耐えうる面を実現できる。
【0067】
ここでの文脈においては、「中間層」は、好ましくは、例えば、セラミック材料、マイラー又は類似の材料などの、任意の適切な材料からなる非常に細いプレート状とする実施形態として理解され得る。中間層は、非常に平坦かつ大きく、同時に、良好な絶縁特性を有するとともに、大きな力に対して耐性を発揮する、又は、その力を伝達することができる。
【0068】
望ましくは、絶縁層は、絶縁体を位置決めする位置決め手段を備える。位置決め手段により、絶縁体を所定の位置に保持して、プレート又は絶縁体の不要なオフセット又は意図しない滑りを防ぐことができる。特に、絶縁体が互いに同軸に配置された場合、又は、同様に整列・配置された場合、鍛造時に応力を受けた際であっても、同様に、好適な実施形態における位置決め手段によって、絶縁体を外方向両側で確実に保持できる。さらに、絶縁体間の距離をできるだけ一定に保つことができるように、絶縁体間の中間スペースを等しく保つことができる。これにより、位置決め手段は、絶縁層内の力の均等な分散にも寄与することができる。
【0069】
絶縁体は、高温下で自然に膨張する。プレートの膨張は、特に、絶縁体面の絶縁体間の中間スペースで起こり、対応する中間スペースが提供される限りにおいて起こる。このため、一方では、プレート間において、膨張に必要な中間スペースを常に安全に維持できることが望ましい。もう一方で、こうした中間スペースは、可能な限り最大の力の分散と可能な限り最大の押圧面を達成するために、必要なだけ大きく保たれることが望ましい。この目的のために、例えば、絶縁体の膨張が最大になる大きさを予め決定し、この大きさに基づいて、中間空間の必要な大きさを決定することができると、特に有利な位置決め手段が実現され得る。この大きさは、好ましくは、位置決め手段によって調整及び保持することができる。応力が掛かっている際、所定の具体的な状況下での絶縁体の最大熱膨張において、絶縁体面内の絶縁体間の距離がゼロになり、絶縁体が互いに押圧したり圧力を掛けたりすることなく、絶縁体間の絶縁層に最大押圧面又は最大力分散が実現する場合を、理論的に最適なテクニカルケースと位置づけることができる。
【0070】
位置決め手段は、例えば、棒状又はピン状として設計され、及び/又は、熱間カバー側面又は冷間カバー側面に強固に取り付けられていると考えられる。さらに、位置決め手段は、例えば、絶縁体が所定の位置に保持されるように、絶縁体内の開口に係合する。ここで議論となる位置決め手段には、絶縁体をその位置に保持することができる限りにおいて、多数の実施形態が存在することを理解されたい。例えば、上述の位置決め手段は、複数の絶縁体の開口から突出し、複数の絶縁体をその位置に同時に保持する長さで形成され得る。このようにして、位置決め手段は、例えば、ポジティブロック嵌合によって絶縁体の位置決めを行うことができる。しかしながら、ポジティブロック嵌合は、例えば、プレートを完全に貫通する開口を必要としないように設計することもできるが、絶縁体は、例えば、絶縁体と2つのカバー側面のうちの一方との間、又は、絶縁体と中間層との間が、相互に噛み合うことによってのみ、保持され得る。絶縁体上の噛み合う凸凹のうち、片側のみを配置する場合では、絶縁体の上部側及び底部側の対称性が厳密に100%ではなくなってしまうが、この場合であっても、本発明の定義に照らして、両側は対称性を有するものと理解される。なお、対応する位置決め手段の配置は、本定義による絶縁体の対称性を排除するものではない。
【0071】
位置決め手段がスペーサとして形成され、例えば、プレート間の距離を維持するため、又は、同じ状態に保つために、絶縁体間の中間スペースに配置され得るスペーサとして、位置決め手段を形成することが望ましい。これにより、絶縁体上で力が均等に分散される。さらに、位置決め手段によりは、絶縁体の不要なオフセット又は不要な滑りに対する保護手段も提供され得る。ここで、スペーサは様々な方法で形成することができ、プレート間の距離をポジティブロック嵌合により保持することが好ましい。
【0072】
動作中における絶縁体の熱膨張を考慮し、スペーサが絶縁体の熱膨張を完全に妨げないように設計されることが好ましいことを理解されたい。そのため、スペーサが絶縁体の間の縁部領域にのみ、ひいては、例えば、絶縁体の横方向の非常に小さな領域にのみ配置されることが望ましく、絶縁体が依然として中間スペース内の最大面積にわたって膨張できるよう、プレートを配置することが望ましい。また、スペーサは、絶縁体の位置又は距離に保つのに十分、かつ、絶縁体の熱膨張を許容する程度の強度を有する材料で形成することが考えられ得る。これにより、絶縁体の熱膨張を著しく妨げず、また、絶縁体の熱膨張から生じる圧力がスペーサを介して隣接する絶縁体に伝達しないようにできる。
【0073】
また、熱伝導率を低くするには相応に良好な絶縁性を必要とするため、絶縁体の熱伝導率が最大でも10W/mKとなるように、絶縁体を設計することもできる。
【0074】
さらに、これに追加で、又は、代替として、鍛造プレスのダイを絶縁するセラミック絶縁体において、絶縁体が0vol%の開気孔率を有することを特徴とし得る。これにより、最も効果的な力又は圧力伝達を可能とする、最も効果的な断熱性が提供される。
【0075】
ここでの文脈においては、「開気孔率」は、気液交換プロセスが行われる細孔空間を表す多孔性として理解される。したがって、開気孔率を0vol%とすることで、絶縁体に気密性を与えるため、絶縁体が特に良好な絶縁効果を有し、依然として高い押圧力伝達が可能となる。
【0076】
追加で、又は、代替として、最も効果的な力又は圧力伝達を可能とする、最も効果的な断熱性を提供するために、鍛造プレスのダイ内で絶縁性を有するセラミック絶縁体は、絶縁体が2.2cm~5.0cmの密度を有する、ことを特徴とし得る。絶縁体に適した材料を模索する中で、密度が2.2cm~5.0cmの絶縁体は、所望の特性、特に、十分な圧力伝達及び絶縁能力を有し、適切な材料組成によって、密度が得られることが分かった。
【0077】
絶縁体は、2.5g/cm~4.0g/cmの密度を有していることが好ましい。この密度は材料組成によるものであり、上述のように、絶縁体にとって所望の好ましい材料特性をもたらす。
【0078】
追加で、又は、代替として、鍛造プレスのダイ内で絶縁性を有するセラミック絶縁体は、絶縁体が素焼き状態で、100MPa~450MPaの曲げ強度を有する、ことを特徴としうる。これにより、最も効果的な力又は圧力伝達を可能とする、最も効果的な断熱性が提供される。これにより、セラミック絶縁体は、鍛造中の応力レベルに耐えうる十分な曲げ強度を有する。
【0079】
絶縁体が素焼き状態で、110MPa~300MPaの曲げ強度を有している場合も有利である。
【0080】
追加で、又は、代替として、最も効果的な力又は圧力伝達を可能とする、最も効果的な断熱性を提供するために、鍛造プレスのダイ内で絶縁性を有するセラミック絶縁体は、絶縁体が70GPa~200GPaの弾性率を有すること、を特徴とし得る。対応する弾性率を有する材料からなる絶縁体により、絶縁体に必要とされる所望の特性が得られることが分かっている。
【0081】
特に好ましい実施形態において、絶縁体は、75GPa~160GPaの弾性率を有する。
【0082】
追加で、又は、代替として、最も効果的な力又は圧力伝達を可能とする、最も効果的な断熱性を提供するために、鍛造プレスのダイ内で絶縁性を有するセラミック絶縁体は、絶縁体が、摂氏300度~600度において、5~10-6-1の平均線形膨張係数を有する、ことを特徴とし得る。平均線形膨張係数をこのようにすることが、鍛造プレス、特に、恒温鍛造プレスにおける必要条件を満たすうえで、絶縁体の材料にとりわけ望ましいことが証明されている。
【0083】
絶縁体に所望の特性を持たせるうえで、絶縁体が、摂氏30度~600度において、6~9・10-6-1における平均線形膨張係数を有することが望ましい。
【0084】
追加で、又は、代替として、最も効果的な力又は圧力伝達を可能とする、最も効果的な断熱性を提供するために、鍛造プレスのダイ内で絶縁性を有するセラミック絶縁体は、絶縁体が、摂氏300度~600度において、700~1,000Jkg-1-1の比熱容量を有する、ことを特徴とし得る。対応する比熱容量を有する材料からなる絶縁媒体により、鍛造の実施中に所望の絶縁特性を提供できると同時に、十分な圧縮強度を提供することが分かっている。
【0085】
追加で、又は、代替として、特に好適な絶縁特性として、絶縁体は、摂氏30度~600度において、750~970Jkg-1-1の比熱容量を有し得る。
【0086】
追加で、又は、代替として、鍛造プレスのダイ内で絶縁性を有するセラミック絶縁体は、絶縁体が、1.5~5Wm-1-1の熱伝導率を有する、ことを特徴とし得る。高温での鍛造プレスにおける絶縁体として使用するにあたり、対応する熱伝導率を有する断熱体は、所望の好ましい特性をもたらすのに特に適していることが証明されている。特に、断熱して、熱の伝わりを弱めるため、絶縁体の熱伝導率は、できるだけ低くする必要がある。
【0087】
また、追加で、又は、代替として、絶縁体は、好ましくは、1.7~4.5Wm-1-1の熱伝導率を有し得る。高温での鍛造プレスにおける絶縁体として使用するにあたり、上記の値の範囲が特に好ましいことが証明されている。
【0088】
最も効果的な力又は圧力伝達を可能とする、最も効果的な断熱性を提供するために、追加で、又は、代替として、鍛造プレスのダイ内で絶縁性を有するセラミック絶縁体は、絶縁体が、摂氏20度において、5・1010~1012Ω・cmの比電気抵抗を有する、ことを特徴とし得る。実際、摂氏20度の温度は、鍛造、特に、恒温鍛造の高温に対応したものではないが、通常、セラミック自体の温度に伴う変化がよく知られているため、こうした材料定数により、材料全体の熱伝導特性がいかに良好であるかがよく分かるであろう。最も効果的な力又は圧力伝達を可能とする、最も効果的な断熱性を提供するために、追加で、又は、代替として、鍛造プレスのダイ内で絶縁性を有するセラミック絶縁体は、絶縁体が、摂氏600度において、5・10~10Ω・cmの比電気抵抗を有する、ことを特徴とし得る。電気的な伝導は、絶縁体としての利用には望ましくない熱伝導を引き起こすため、対応して高い抵抗とすることで、絶縁体の断熱性能を確実に高めることになる。これにより、絶縁体の絶縁性をさらに高めることができる。
【0089】
好ましくは、絶縁体は、摂氏20度において、8・1010~5・1012Ω・cmの比電気抵抗を有する。追加で、又は、代替として、特に好ましい実施形態において、絶縁体は、摂氏600度において、7・10~9・10Ωcmの比電気抵抗を有する。
【0090】
最も効果的な力又は圧力伝達を可能とする、最も効果的な断熱性を提供するために、追加で、又は、代替として、鍛造プレスのダイ内で絶縁性を有するセラミック絶縁体は、絶縁体において、石鹸石の割合が50%~95%である、ことを特徴とし得る。
【0091】
ここでの文脈においては、石鹸石は、好ましくは、自然界に存在する、塊状又は頁岩の化学物質として理解することができ、その組成に応じて、鉱物又は岩石と見なされる。その主成分はタルクであり、タルクにより、石鹸石は、純粋に鉱物として扱われる。ここでの文脈においては、石鹸石は、絶縁体を形成することができる材料の必須成分を表す。対応する割合の石鹸石を有するセラミックスは、特に、成分及び組成の適切な選択による、良好な寸法保持及び良好な絶縁特性を特徴とし得る。
【0092】
好ましくは、追加で、又は、代替として、絶縁体において、石鹸石の割合は、60%~92%である。
【0093】
追加で、又は、代替として、鍛造プレスのダイ内で絶縁性を有するセラミック絶縁体は、絶縁体において、SiOの割合が50%~85%である、ことを特徴とし得る。対応する割合とすることで、絶縁体の材料に要求される特性に対して、相応に有利であることが証明されている。
【0094】
好ましくは、追加で、又は、代替として、絶縁体において、SiOの割合は、55%~75%である。
【0095】
追加で、又は、代替として、最も効果的な力又は圧力伝達を可能とする、最も効果的な断熱性を提供するために、鍛造プレスのダイ内で絶縁性を有するセラミック絶縁体は、絶縁体において、MgOの割合が20%~40%である、ことを特徴とし得る。対応する割合とすることで、特に好ましい特性を有する絶縁体の形成に非常に適していることが証明されている。
【0096】
追加で、又は、代替として、絶縁体において、MgOの割合は、25%~35%である。
【0097】
この場合、特に上記の材料の組み合わせにより、使用適した好ましいセラミックスが得られることが理解されるであろう。個々の組み合わせが最適なセラミックスを表していない場合であっても、種々の調整及び実験により、最適な組み合わせを探し出すことができるであろう。
【0098】
好ましくは、上述したような半径方向のバイアスを回避するため、絶縁体は異方形状を有する。ここでの文脈において、異方性形成下では、特性、又は、絶縁体の方法、又は、における方向依存性が理解されることが好ましい。
【0099】
望ましくは、上述したように、絶縁体は角度を有する基本形を有する。これにより、絶縁体を互いに密に配置することができる。
【0100】
絶縁体が矩形基本形状を有することが望ましい。絶縁体は、基本的に摩耗するものであるため、矩形基本形状とすることで、可能な限り簡単、ひいては、費用対効果の高い方法で製造することができ、特に好ましい。一方、矩形基本形状とすることで、可能な限り最小の中間スペースを有する絶縁体面上に絶縁体を配置することができ、これにより、動力伝達のための面積を可能な限り最大化できる。絶縁体間の中間スペースを均等なサイズにすることで、均等な配置を実現し、これにより、力を均等に分散させることができるようになる。
【0101】
個々の絶縁体が三角形の基本形状を有している場合に、特に絶縁体面上で、特に柔軟に絶縁体の配置を選択することができる。これらはまた、動力伝達のための可能な限り最大の領域のための絶縁体間の小さな中間スペースとの配置、均一な力分散のための絶縁体間の等しい距離を可能にする。これにより、絶縁体間の中間スペースを小さくし、動力伝達のための面積を可能な限り最大化し、同時に、均等な力分散のため、絶縁体間の距離を均等にすることができる。特に、三角形の基本形状とすることで、非常に柔軟に配置を選択することができる。
【0102】
望ましくは、絶縁体は六角形の基本形状を有し、これにより、絶縁体面上で柔軟に絶縁体の配置を選択することができる。さらに、動力伝達のための可能な限り最大の面積を確保するため、絶縁体を狭い中間スペースで配置することができるようになる。さらに、絶縁体間の中間スペースを均等なサイズにすることで、絶縁体全体における力の均等な分散を、特に簡易的な方法で実現することができる。
【0103】
好ましくは、絶縁体の最大幅は、絶縁体の高さの少なくとも2倍である。このように、プレス中に十分な強度が保証されるような、プレート状の寸法が決定され得る。また、プレート状とする実施形態は、絶縁層に対し、中間空間内に複数のパネルを積層できるように、比較的平坦となっている。
【0104】
幅が広すぎるプレートの場合、熱膨張中に望ましくない内部応力をもたらす可能性があるため、上記のような寸法は、熱膨張に関しても特に有利である。
【0105】
同様のメリットを享受するには、絶縁体の最大幅は、絶縁体の高さの少なくとも2.5倍であり得る。
【0106】
絶縁体の最大幅が絶縁体の高さの3倍以上であれば、上記の利点を達成するために特に有利である。
【0107】
適用可能な場合、それに応じて累積的に利点を実現できるようにするために、上記の解決策又は特許請求の範囲における解決策の特徴を組み合わせてもよいことは、理解されうるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0108】
以下の実施形態の説明により、特に、添付の図面を参照して、さらなる利点、目的、及び性質を説明する。図面は、以下の通りである。
図1図1は、それぞれがダイプレートを有する、鍛造プレスの上側ダイ及び下側ダイを模式図で示す。
図2図2は、上側ダイ及び下側ダイを備える恒温鍛造プレスの斜視図である。
図3図3は、複数の絶縁体の絶縁体面への第1の配置を模式図で示す。
図4図4は、複数の絶縁体の絶縁体面への第2の配置を模式図で示す。
図5図5は、複数の絶縁体の絶縁体面への第3の配置を模式図で示す。
図6図6は、複数の絶縁体の絶縁体面への第4の配置を模式図で示す。
図7図7は、複数の絶縁体の絶縁体面への第5の配置を模式図で示す。
図8図8は、中間層を有する第1のダイプレートを、絶縁体面に対して垂直な、模式断面図で示す。
図9図9は、位置決め手段を有する第2のダイプレートを、絶縁体面に対して垂直な、模式断面図で示す。
図10図10は、スペーサを有する第3のダイプレートを、絶縁体面に対して垂直な、模式断面図で示す。
図11図11は、2つの中間層を有する第4のダイプレートを、絶縁体面に対して垂直な、模式断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0109】
図2に例示する、恒温鍛造プレスとしての鍛造プレス10は、外側に配置された4本のカラム11(図2でのみ符号とともに図示)を備える。そのうち一方は、上側ベルト17及び下側ベルト18を担持し、他方は、牽引棒14を囲む。これにより、カラム11は、上側ベルト17及び下側ベルト18、並びに、カラム11間に配置される上側ダイ20及びカラム11間に配置される下側ダイ30に取り付けられる。本実施形態において、上側ダイ20の上方には、プレスタペット12も配置されている。これにより、上側ダイ20に力を掛けることができ、上側ダイ17上に支持される。ここで、牽引棒14は、下側ベルト18及び下側ダイ30を介して、この力を受けることができる。
【0110】
本実施形態では、下側ベルト18は、下側ベルトへの牽引棒14の取り付けが床下で行われるように床に設けられている。原則として、鍛造プレスの公知の実施形態、例えば、牽引棒14及びカラム11は、それぞれ単一のアセンブリとして設計され得ることを理解されたい。同様に、プレスタペット12はまた、例えば、下側ベルト18及び下側ダイ30の間で作用し得る。以下に説明するダイプレート1の実施形態は、本実施形態で用いるものであるが、最終的にはほぼ全ての公知の種類の鍛造プレスに用いることができる。
【0111】
図1に係る本実施形態では、下側ダイ30は、鍛造方法の実施中において、その位置に確実に固定されている。一方、上側ダイ20は、下側ダイ30の方向に向かって移動し、これによりプレス方向50を画定している。
【0112】
さらに、鍛造プレス10は、上側ダイ20及び下側ダイ30の間の形成領域51において、真空鍛造チャンバ58を備える。これにより、対応する被成形物を真空化されたスペースで鍛造して、周辺雰囲気との不要な反応を回避できる。保守・点検時、実際の鍛造エリアへは、保守・点検用開口55を介して到達できるようになっており、該開口は、保守・点検用扉56によって開閉され得る。
【0113】
さらに、本実施形態の鍛造プレス10は、比較的高い温度が好ましいとされ、鍛造方法の実施中においても温度が比較的高いままとなる恒温鍛造プレスとしても使用可能である。この文脈においても、鍛造プレス10の正確かつ具体的な構造は、後述するダイプレート1が用いられる限り、必ずしも本実施形態と同様にする必要はないことを改めて強調しておく。
【0114】
本実施形態の鍛造プレス10において、上側ダイ20及び下側ダイ30の間で、鍛造用に成形される半製品15が、上側ダイ20及び下側ダイ30の間に設けられる形成領域51に配置される。マニピュレータ16により、半製品15を形成領域51内の位置に設置し、また、逆にそこから取り除くことができる。これにより、真空鍛造チャンバ58内への装填を、人の手を介さずに実行することができる。エジェクタ13により、鍛造半製品15が可能な限り簡単な方法で射出され、これにより、マニピュレータ16へのアクセスが容易になる。
【0115】
マニピュレータ16により、半製品15が形成領域51内に移動し、上側ダイ20がプレス方向50に向かって半製品15を押圧する。この場合、摂氏800度を超える温度が熱間ダイ部分26,36のそれぞれで好ましいとされる。これは、本実施形態における鍛造方法が、好ましくは恒温プレスとして行われ、それに伴い、形成領域51が非常に高い温度となるためである。
【0116】
上側ダイ20及び下側ダイ30が高温に耐えることができるよう、これらを対応する耐熱性材料で形成する必要がある。しかしながら、材料に対する要求の高さゆえ、極めて高価な材料を必要とするため、特に高価な材料から鍛造プレス10の上側ダイ20及び下側ダイ30全体を製造することは、経済的ではない。
【0117】
本実施形態では、こうした理由から、上側ダイ20が熱間ダイ部分26及び冷間ダイ部分25を備える。ここで熱間ダイ部分26は形成領域51に向かって配置され、一方、冷間ダイ部分25は上側ダイ20のダイ部であり、形成領域51からさらに離れた方に配置されている。特に形成領域51では最高温度が好ましいとされるため、熱間ダイ部分26は冷間ダイ部分25よりも温度が高くなる。これが、2つのダイ部品の名称の由来である。
【0118】
従って、下側ダイ30もまた、熱間ダイ部分36及び冷間ダイ部分35を備え、熱間ダイ部分36もまた、形成領域51に向かって配置され、一方、冷間ダイ部分35は下側ダイ30のダイ部であり、形成領域51からさらに離れた方に配置されている。
【0119】
上側ダイ20では、ダイプレート1が冷間ダイ部分25及び熱間ダイ部分26の間に設けられ、上側ダイ20の冷間カバー側面23及び上側ダイ20の熱間カバー側面24に接触している。冷間カバー側面23は、熱間ダイ部分26に対向する、冷間ダイ部分25の一側面である。熱間カバー側面24は、冷間ダイ部分25に対向する、熱間ダイ部分26の一側面である。従って、本実施形態のダイプレート1は、熱間カバー側面24及び冷間カバー側面23の間に配置され、両側面に接触している。
【0120】
従って、ダイプレート1もまた、下側ダイ30の冷間ダイ部分35及び熱間ダイ部分36の間に配置される。下側ダイ30の場合も同様に、熱間ダイ部分36は、冷間ダイ部分35の方向に配置される熱間カバー側面34と、熱間ダイ部分36の方向に配置される冷間カバー側面33と、を備える。従って、下側ダイ30のダイプレート1もまた、熱間カバー側面34及び冷間カバー側面33の間に配置され、両面に接触する。
【0121】
上側ダイ20及び下側ダイ30のダイプレート1は、それぞれ、互いに平行に配置された、2枚の端板27,28,37,38を備える。絶縁層21,31が2枚の端板27,28,37,38の間に配置される。
【0122】
さらに、絶縁層21,31はそれぞれ、絶縁体面22,32に互いに間隔をあけて隣接して配置されるセラミック絶縁体40を備える。絶縁体面22,32は、端板27,28,37,38と平行に画定されているが、図1に従って、本図においては参照番号を別途設けていない。要件に応じて、変形例において、より少ない、又は、より多くの絶縁体面22,32が提供され得ることを理解されたい。特には、絶縁体面22,32の2面で充分であり得る。
【0123】
絶縁体40が絶縁体面上に互いに間隔をあけて配置されることにより、中間スペース41が絶縁体40間に形成される。これにより、個々の絶縁体40の熱膨張が許容される。
【0124】
一方、上側ダイ20の場合、ダイプレート1が熱間ダイ部分26及び冷間ダイ部分25の両方に接触し、ダイプレート1の、冷間ダイ部分25に隣接する端板27は冷間端板27を形成し、ダイプレート1の、熱間ダイ部分26に接触する端板38は、熱間端板28を形成する。
【0125】
従って、下側ダイ30の場合、ダイプレート1の、熱間ダイ部分36に接触する端板38は熱間端板38を形成し、ダイプレート1の、冷間ダイ部分35に接触する端板37は冷間端板37を形成する。
【0126】
冷間ダイ部分25,35における温度緩和のため、絶縁ダイプレート1、特に、絶縁層21,31が、上側ダイ20又は下側ダイ30内で断熱効果を発揮する。これにより、高価で特に耐熱性のある材料で形成する必要のある部分が、それぞれの熱間ダイ部分26,36のみに限定される。絶縁層21又はダイプレート1により、冷間ダイ部分25,35のそれぞれが確実に絶縁される。これにより、冷間ダイ部分25,35は、大幅に低い温度となり、より経済的な材料で形成できるようになる。このように、本実施形態において、絶縁ダイプレート1又は絶縁層21,31により、冷間カバー側面23,33と熱間カバー側面24,34との間には、それぞれ少なくとも500Kの温度差が確実に生じることになる。
【0127】
一方、絶縁体40は、熱間ダイ部分26,36及び冷間ダイ部分35,25の間に、所望の絶縁性を実現するために、相応に良好な絶縁効果を発揮することが期待される。一方、絶縁体40は、鍛造又はプレスの実行中において、高レベルの力が掛かることが好ましいとされる。そのため、プレス中に絶縁体40が破損しないよう、力を、絶縁体40を介して伝達する必要があり、必要な強度を実現する。
【0128】
特に図3乃至図7によって示されるように、作用力に対抗できるようにするため、絶縁体40は、様々な方法により配置又は形成される。ここで、絶縁体40全体にわたって力が良好に分散されるよう、押圧面を可能な限り大きく設計することが特に好ましい。
【0129】
図3に係る第1の実施形態では、絶縁体40は、三角形の基本形状に形成され、各絶縁体40は、最大幅43を有する。
【0130】
絶縁体40もまた、互いに間隔をあけて配置されている。ここで、絶縁体40間には、どこをとっても、均一な中間スペース41が形成されている。可能な限り最大となるよう形成した押圧面にわたって、可能な限り最大の力分散を実現する場合でも、絶縁体40も熱膨張し、絶縁体40の中間スペース41への膨張が起こり得るため、絶縁体40間に中間スペース41を設ける必要がある。中間スペース41を設けなかった場合、絶縁体40が膨張し、他の絶縁体40を押圧して互いに圧力をかけ合うことで、絶縁体40が破損するリスクが高まる可能性がある。
【0131】
絶縁体40を三角形とする実施形態において、絶縁体40を絶縁体面22,32内で非常に柔軟性高く配置できる。さらに、絶縁体40を三角形とすることで、非常に小さい中間スペース41でありつつ、均等なサイズを有する中間スペース41とともに、絶縁体40を特に簡易的な方法で配置できる。さらに、三角形の基本形状を有する絶縁体40を特に容易に製造できるようになる。
【0132】
そのうえ、スペーサ45として設計された位置決め手段44は、絶縁体40間の中間スペース41に配置される。これにより、絶縁体40を確実にその位置に保持し、誤って滑ったり移動したりしないようにする。スペーサ45が絶縁体40間の所望の距離を保つことで、中間スペース41のサイズを一定に保つ。絶縁体40が熱膨張するため、絶縁体40を外縁の領域内の距離のみ維持するよう、スペーサ45をそれぞれ設計する。これにより、対応する距離は充分維持されるが、該距離は、絶縁体40が依然として中間スペース41内全体に熱膨張することができ、拡張中にスペーサ45によって著しく破損されないように、設計されている。絶縁体間の距離を維持しつつ、絶縁体が膨張する際に空間を付与し、それによって絶縁体40の膨張に影響がないよう、スペーサ45を設計することも検討できる。同様に、スペーサ45及び絶縁体40の間に適切な隙間が設けられ得る。
【0133】
三角形の基本形状を有することで、絶縁体40は柔軟に配置できるため、図4に係る第2の実施形態に示すように、絶縁体40をオフセット配置することも可能である。ここで、絶縁体40は、図3に係る第1の実施形態にように形成されるが、絶縁体40の三角形の基本形状の角部がそれぞれ、隣接する絶縁体40の角部に対向していてもよく、又は、隣接する絶縁体40の角部が1点に揃えられていてもよい。図3に係る第1の実施形態において、しかしながら、絶縁体40の三角形の基本形状の角部は、それぞれ、絶縁体40の三角形の基本形状の辺に対向している。絶縁体40が、同じサイズの中間スペース41において移動可能又は任意かつ柔軟に移動可能ことが理解されるであろう。
【0134】
図5に係る別の実施形態において、最大幅43を有する絶縁体40は、均等なサイズを有する中間スペース41をともなって、互いに間隔をあけて配置される。ここで、スペーサ45はまた、絶縁体40間の中間スペースに係合する。
【0135】
しかし、絶縁体40は、図5に係る実施形態においては、六角形の基本形状で形成されるが、こうした形状の場合も、製造が容易になる。さらに、六角形の基本形状を有する絶縁体40は、互いに比較的柔軟に配置され、これにより中間スペース41をできるだけ小さく保ちながらも同じサイズに保つことができる。ここで、このような基本形状の場合、絶縁体40は絶縁体面22,32上により均一に延在するため、張力下の熱荷重は、三角形の基本形状よりも低いと仮定することができる。
【0136】
図6に係る別の実施形態では、最大幅43を有する絶縁体40を、円形の基本形状で設計することも検討され得る。この場合、どこをとっても同じサイズを有する中間スペース41を有することは、技術的に不可能となる。しかし、円形の基本形状を有する絶縁体40もまた、容易に製造できるため、柔軟に設置することができる。さらに、こうした基本形状とすることで、絶縁体40内の熱応力が非常に低くなることが期待される。
【0137】
図7に係る別の実施形態では、最大幅43を有する絶縁体40は、正方形の基本形状を有するよう設計される。これにより、絶縁体40を、互いに離間した均等なサイズの中間スペース41をともなって、できるだけ容易に配置することができる。
【0138】
さらに、スペーサ45は個々の絶縁体40の間に配置される。これは、先の例示した実施形態とは対照的に、絶縁体40の外側の角又は縁の領域ではなく、絶縁体40の側面の中央に配置されることになる。ただし、絶縁体40が膨張する際の膨張を著しく損なわないように、同時に、絶縁体40がその位置に確実に保持されるように、設計又は寸法が定められている。必要に応じて、絶縁体40は、絶縁体面22,32上で傾くことで熱膨張を低減させ、スペーサ45に過大な力を掛けることなく、中間スペース41を縮小することができる。
【0139】
絶縁体40のさらなる実施形態及びそれらの配置は、可能な限り最大の力分散のための可能な限り高い押圧面、好ましくは、良好な力分散のための同一の中間スペース41が形成される限り、可能であることが理解される。
【0140】
さらに、図8乃至12に示すように、ダイプレート1は、異なる断面を有するよう実現され得る。
【0141】
図8に係る第1の実施形態では、ダイプレート1は、2枚の平行な端板27,28,37,38を備える。ここで、絶縁層21,31は、2枚の端板27,28,37,38の間に配置される。
【0142】
本実施形態において、絶縁層は、2枚の絶縁体面22,32を備え、そのそれぞれにより、絶縁体40が間隔をあけて配置される。
【0143】
第1の絶縁体面22の絶縁体40は、図8で説明した本発明の第2の絶縁体面32の絶縁体40に対して、同軸状に配置される。
【0144】
絶縁体40同士を同軸上に配置することで、特に良好な力分散と高い押圧面が実現される。その結果、押圧時に伝達される力を絶縁体40上に良好に分散させることができる。
【0145】
さらに、中間層46は、2枚の絶縁体面22,32の絶縁体40の間に、端板27,28,37,38と平行に配置される。これらは、変形例において省略することもできる。
【0146】
中間層46はさらに力分散効果を発揮するため、伝達された力を絶縁体40間でさらに良好に伝達することができる。また、中間層46は、中間スペース41を介して、それぞれ、熱間端板28,38から冷間端板27,37への輻射を遮断できる。
【0147】
中間層46は、例えば、マイラーフィルム、又は、類似の材料から形成されていてもよい。
【0148】
絶縁体40間の中間スペース41には、また、スペーサ45として機能する位置決め手段44が配置され、これにより、絶縁体40間の距離を一定とし、絶縁体40の間で均等な中間スペース41を設けることができる。これにより、絶縁体40の偶発的なスリップ又は変位を防ぐことができる。具体的な実施形態によって、位置決め手段44は、輻射を遮断できる機能を果たし得る。
【0149】
具体的な実装に応じて、これらのスペーサ45又はこれらの位置決め手段は、ロッド又はブラケットとして、又はネット形状で、連続的に形成され得る。
【0150】
図9に示すダイプレート1の第2の実施形態は、中間層46が使用されず、絶縁体40が3つの絶縁体面22,32上に同軸常置配置されている点で、図8に係る第1の実施形態と異なる。さらに、絶縁体40は、絶縁体40の間に同じサイズの中間スペース41が存在するように、互いに等距離を置いて配置されている。
【0151】
絶縁体40をその位置に維持し、絶縁体40の偶発的な滑り又は変位を防ぐため、ダイプレート1は位置決め手段44を備え、本実施形態において、細長い棒状の要素が端板27,37に対して垂直な冷間端板27,37から突出し、絶縁体中央に位置する開口に係合するよう、位置決め手段44が設計されている。好ましくは、位置決め手段44は、冷間端板27,37上に配置される。これは、例えば、熱間端板28,38上に配置した場合よりも耐熱性の低い材料で作ることができるためである。位置決め手段は、絶縁体40の対応する開口に把持できるようにするために、棒状として、他の任意の方法で形成することもできることを理解されたい。特に、絶縁体40はまた、互いに所定の位置に保持してもよく、これは、例えば、適切な凸部及び凹部によって行うことができる。ここで、場合により、端板27,37、さらには28,38もまた、位置決めを可能にする凸部及び凹部を有し得る。
【0152】
個々の平面22,32の絶縁体40が互いに同軸に配置されているため、絶縁体40の開口も互いに同軸に配置されている。これにより、それぞれの位置決め手段44は、3つの絶縁体面22,32上に同軸に配置された全ての絶縁体40を把持することができる。
【0153】
図10に係る別の実施形態は、個々の平面22,32の絶縁体40が、互いに同軸ではなく、互いにオフセットしている点で、図9に係る前述の実施形態と異なる。
【0154】
図10で説明する実施形態では、隣接する絶縁体面22,32の絶縁体面40の中間スペース41の領域内に配置される位置決め手段44及びスペーサ45として、最も低い位置にある2枚の平面22,32の絶縁体40に、軽く盛り上がった部分が形成されている。この場合、これらは絶縁体40をその位置に保持するのに十分でありつつ、高温での絶縁体40の膨張を損うことはない、あるいは、著しく損なうことはない。
【0155】
軽く盛り上がった部分として設計されたスペーサ45は、異なる絶縁体面22,32の絶縁体40や、上部側及び底部側などの異なる側面に形成することができることを理解されたい。
【0156】
図11に係る最後の実施形態では、ダイプレート1は、個々の絶縁体面22,32の絶縁体40が互いに同軸上に配置され、そのうえ、中間層46がそれぞれに配置されている、つまり、合計2つの中間層46が設けられているという点で、図10に係る前述の実施形態とは異なる。さらに、本実施形態において、軽く盛り上がった部分として設計されたスペーサ45として形成される位置決め手段44は、絶縁体40ではなく、中間スペース41の領域内の、中間層46及び冷間端板27,37上に、正確に設けられているが、これはあくまでも一例を示しているに過ぎない。このようにして、全ての絶縁体40を同一に設計することができ、これらの絶縁体40自体に対し、位置決め手段44を追加で形成する必要がない。ここで、位置決め手段44は、中間層46及び冷間端板27,37を介して、設けられ得る。
【0157】
絶縁体面22,32の数、又は、位置決め手段44の種類、又は、絶縁体40同士の配置など、他の全ての組み合わせも可能であり、それによって種々のダイプレート1を形成することも可能になることを理解されたい。
【0158】
全ての実施形態において、絶縁体面22,32に平行な絶縁体40を通る断面において、絶縁層21,32の総面積における絶縁体40の表面部は少なくとも50%である。このようにして、最も効果的な力又は圧力伝達を達成する、可能な限り最も効果的な断熱材を提供することができる。このような実施形態の特定の利点として、ダイプレート1又は絶縁体40の耐用年数が長くなることが特に含まれる。表面部をより大きくすることは、も効果的な力又は圧力伝達を達成する、可能な限り最も効果的な断熱材にとってさらに有利であるため、表面部も50%より大きくすることができることは、理解されるであろう。
【0159】
さらに、図1乃至11の実施形態によれば、絶縁体40は、対称に形成される。絶縁体40の上部側は、絶縁体40の底部側と同様であり、全ての絶縁体40がプレートとして形成されている。
【0160】
プレートは、高さ42(例えば、図8参照)及び最大幅43を有し、高さよりも幅が大きい。絶縁体40をプレート状とする実施形態により、可能な限り高い表面を動力伝達に使用できるため、簡単に製造でき、最適な動力伝達が実現できる。
【0161】
例えば、図8乃至図11に係る実施形態のうちいずれか一つに係るダイプレート1を、図2に係る鍛造プレスや、図1に係る上側ダイ20又は下側ダイ30で利用する場合、特に実施形態の実現において、端板27,28,37,38は、既に鍛造プレス10に作用する力の一部を受けるために予備応力を受け、それにより、ダイプレート1の総負荷が軽減されることが想定される。
【0162】
さらに、互いに同軸に配置された絶縁体40は、端から端まで配置されるように、同様に図2に従って位置合わせすることができ、応力を受けたときにプレートを確実に保持し、力の均一な分散も確保する。このようにして、突出したエッジの領域で圧力又は応力が増大することを回避できるため、プレートのエッジ破損も防止される。さらに、押圧面を最大限まで大きくすることができる。
【0163】
絶縁層21,31又はダイプレート1により、特に良好な絶縁性が発揮された際も、冷間カバー側面23,33と熱間カバー側面24,34との間には、はるかに高い温度差、例えば、600K以上の温度差となる場合があることを理解されたい。
【0164】
また、鍛造材料によって、熱間ダイ部分26,36においても、より高い温度、例えば、摂氏1,000度以上となるよう、形成領域51における温度をより高くすることが必須とされ得る、又は、推奨され得る。
【0165】
さらに、特に優れた絶縁効果のために、図1乃至11に係る実施形態の絶縁体40は、セラミック材料から形成されている。セラミック材料は、絶縁容量と負荷容量の要件を満たすよう設計される。
【0166】
絶縁体40の、対応する有利なセラミック材料は種々の特性を有する。
【0167】
本実施形態の絶縁体40は、0vol%の開気孔率を有する。このように形成することで、気密性を確保し、より良好な絶縁効果を得ることが出来る。さらに、本実施形態の絶縁体40は、2.2g/cm~5.0g/cmの密度を有する。さらに、素焼き状態の絶縁体40の曲げ強度は、100MPa~450MPaである。また、絶縁体40の弾性率は、70GPa~200GPaである。また、絶縁体40は、摂氏30度~600度において、5~10・10-6-1の平均線形膨張係数を有し、摂氏30度~600度において、700~1,000Jkg-1-1の比熱容量を有する。さらに、絶縁体は、1.5~5Wm-1-1の熱伝導率を有する。
【0168】
電流が流れることで絶縁体40にも熱的影響がある可能性があるため、絶縁体40は、摂氏20度において、5・1010~1012Ω・cmの比電気抵抗、及び、摂氏600度において、5・10~10Ω・cmの比電気抵抗を有する。
【0169】
さらに、図1乃至11の実施形態に係る絶縁体40は、石鹸石を50%~95%、SiOを50%~85%、及び、MgOを20%~40%の割合で有している。
【0170】
最終的に、絶縁体もまた、異方形状を有し、半径方向の予備応力レベルを回避する。
【0171】
絶縁体40が、特に好ましい実施形態の場合における、異なる材料特性の非常に具体的な値又は上記の値範囲から、さらに小さい値範囲を有し得ることは、理解されるであろう。さらに、好適な実施形態における絶縁体40が上記の材料特性の一部のみを有し得る、あるいは、材料特性の任意の組み合わせが好ましい結果をもたらし得る、と考えられる。
【符号の説明】
【0172】
1 ダイプレート
10 鍛造プレス
11 カラム
12 プレスタペット
13 エジェクタ
14 牽引棒
15 半製品
16 マニピュレータ
17 上側ベルト
18 下側ベルト
20 上側ダイ
21 上側ダイ20の絶縁層
22 絶縁体面
23 上側ダイ20の冷間カバー側面
24 上側ダイ20の熱間カバー側面
25 上側ダイ20の冷間ダイ部分
26 上側ダイ20の熱間ダイ部分
27 上側ダイ20のダイプレート1の冷間端板
28 上側ダイ20のダイプレート1の熱間端板
30 下側ダイ
31 下側ダイ30の絶縁層
32 絶縁体面
33 下側ダイ30の冷間カバー側面
34 下側ダイ30の熱間カバー側面
35 下側ダイ30の冷間ダイ部分
36 下側ダイ30の熱間ダイ部分
37 下側ダイ30のダイプレート1の冷間端板
38 下側ダイ30のダイプレート1の熱間端板
40 絶縁体
41 中間スペース
42 絶縁体40の高さ
43 絶縁体40の最大幅
44 位置決め手段
45 スペーサ
46 中間層
50 プレス方向
51 形成領域
55 保守・点検用開口
56 保守・点検用扉
58 真空鍛造チャンバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】