(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182542
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】船舶用クレーン及びクレーンを有する船舶
(51)【国際特許分類】
B66C 23/52 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
B66C23/52
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023091269
(22)【出願日】2023-06-02
(31)【優先権主張番号】20 2022 103 336.6
(32)【優先日】2022-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】523209221
【氏名又は名称】リープヘル-エムツェーツェーテック ロストック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルヘルム トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ギーゼ ヤン
(72)【発明者】
【氏名】モーシェル トルステン
(72)【発明者】
【氏名】ファーベ マティアス
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA10
3F205DA04
(57)【要約】
【課題】利用可能な空間の全体的に最適な利用が達成されるように、クレーン上に追加の駆動装置又は追加のエネルギ源を配置する。
【解決手段】本発明は、船舶に接続することができ、ホイストを支持する支持構造体を備え、船舶の駆動力及び/又は消費機器に供給するためのエネルギ及び/又は船舶の駆動力を発生させることができ、また、駆動及び/又はエネルギ源とは独立にホイストによって荷物を移動させることができるように、支持構造体に接続される、船舶用クレーンに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶に接続することができ、かつ、ホイスト(13)を支持することができる支持構造体(12)を有する船舶用のクレーン(10)であって、
駆動及び/又はエネルギ源(20)によって、船舶のための駆動力及び/又は前記船舶の消費機器に供給するためのエネルギを生成し、前記支持構造体(12)に接続されることによって、荷物が、前記ホイスト(13)によって、駆動及び/又はエネルギ源(20)から独立して移動することができるようになっている、
ことを特徴とする、船舶用のクレーン(10)。
【請求項2】
ガントリクレーンとして設計され、
前記支持構造体(12)が、
前記船舶に接続可能なレールと、
前記レールに沿って移動可能であり、ブリッジを有する支持フレームとを備え、
前記ホイスト(13)並びに前記駆動及び/又はエネルギ源(20)は、前記ブリッジに接続されている、
請求項1に記載のクレーン(10)。
【請求項3】
前記ホイスト(13)は、前記ブリッジに沿って移動でき、前記ブリッジの下側に配置されるトロリを備え、
前記駆動及び/又はエネルギ源(20)が、好ましくは、前記ブリッジの上側に配置される、
請求項2に記載のクレーン(10)。
【請求項4】
前記駆動及び/又はエネルギ源(20)は、第1の回転ユニットを介して前記ブリッジに接続され、かつ垂直回転軸を中心に回転できる、
請求項2又は3に記載のクレーン(10)。
【請求項5】
ブーム搭載型旋回クレーンとして設計され、
前記支持構造体(12)が、船舶に接続可能で、特に剛性であるメインステー(14)を備え、
前記ホイスト(13)は、駆動及び/又はエネルギ源(20)とは独立に動かすことができるブーム(16)を備え、
前記ブーム(16)は、好ましくは、水平軸の周りに揺動可能に取り付けられている、請求項1に記載のクレーン(10)。
【請求項6】
第1の回転ユニット(31)が前記メインステー(14)に接続され、それによって前記ブーム(16)が垂直回転軸を中心に回転できるようになっており、
特に前記第1の回転ユニット(31)が旋回リングを備えた旋回歯車を備えている、
請求項5に記載のクレーン(10)。
【請求項7】
前記ブームと、駆動及び/又はエネルギ源(20)とは、前記第1の回転ユニット(31)によって、回転垂直軸の周りに共に回転可能であり、
第2の回転ユニット(32)が、好ましくは設けられ、前記第2の回転ユニット(32)によって、
前記ブーム(16)が、前記駆動及び/又はエネルギ源(20)とは独立して、前記回転垂直軸の周りに回転可能であり、又は、
前記駆動及び/又はエネルギ源(20)が、前記ブーム(16)と独立して、前記回転垂直軸の周りに回転可能である、
請求項6に記載のクレーン(10)。
【請求項8】
好ましくは、前記第1の回転ユニット(31)を介して回転することができる偏心アーム(19)が、前記ブーム(16)並びに/又は駆動及び/若しくはエネルギ源(20)を支持するメインステー(14)に接続され、
好ましくは、前記ブーム(16)並びに/又は駆動及び/若しくはエネルギ源(20)を回転させるための少なくとも1つの第2の回転ユニット(32)が、前記偏心アーム(19)に配置される、
請求項6又は7に記載のクレーン(10)。
【請求項9】
前記駆動及び/又はエネルギ源(20)の油圧及び/又は電気及び/又は空気圧ラインが接続され得る、少なくとも1つのインターフェースをさらに備え、
前記油圧及び/又は電気及び/又は空気圧エネルギが、前記少なくとも1つのインターフェースを介して、好ましくは、前記駆動及び/又はエネルギ源(20)と前記船舶との間で伝達される、
請求項1から8のいずれか1項に記載のクレーン(10)。
【請求項10】
前記駆動及び/又はエネルギ源(20)が、前記支持構造体(12)に取外し可能に接続され、
前記支持構造体(12)並びに前記駆動及び/又はエネルギ源(20)が、それぞれ、取外し可能な接続を生成する接続手段を有する、
請求項1から9のいずれか1項に記載のクレーン(10)。
【請求項11】
前記駆動及び/又はエネルギ源(20)が、回生エネルギ源、特に太陽光発電装置及び/又は風力タービンを備える、
請求項1から10のいずれか1項に記載のクレーン(10)。
【請求項12】
前記駆動及び/又はエネルギ源(20)が、燃料電池及び/又はエネルギ貯蔵器及び/又は内燃機関を備える、
請求項1から11のいずれか1項に記載のクレーン(10)。
【請求項13】
前記駆動及び/又はエネルギ源(20)が、風力駆動システム、特に、帆及び/又はウインドフォイル及び/又はフレットナローター及び/又は風力プロファイル及び/又は風力ベーンを備えている、
請求項1から12のいずれか1項に記載のクレーン(10)。
【請求項14】
前記支持構造体(12)が、前記風力駆動システム(20)によって発生した駆動力を前記船舶に伝達するように設計されている、
請求項13に記載のクレーン(10)。
【請求項15】
その支持構造体(12)を介して船舶に接続される、請求項1から14のいずれか1項のクレーン(10)を有する、
船舶、特にフローティングクレーン又はフローティングプラットフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の前提に係るクレーン及び同クレーンを有する船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
クレーンは、陸上だけでなく、クレーン船や浮きクレーン、浮遊式プラットフォームなどの水上船舶にも使用されている。以下では、本発明に関連する任意の種類の水上船舶を単に船舶と称し、これは、浮遊式プラットフォーム、掘削プラットフォーム等の他の浮遊物も含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような船舶に、風力タービン又は風力駆動システムなどの追加の駆動装置又はエネルギ源を装備する場合は、これまで船舶に定められた設置場所を設ける必要があった。これには、別個の場所又は追加の基礎が必要で、追加の駆動装置又はエネルギ源の基礎として設置する必要があった。この欠点は、付加的な駆動装置又はエネルギ源によって占有される空間が、貨物の収納のために、又は他の船舶の構成要素のためにもはや使用されないこと、及び/又は、貨物輸送及び貨物荷役においておそらく物流障害に至る可能性があることである。
【0004】
したがって、本発明の目的は、利用可能な空間の全体的に最適な利用が達成されるように、クレーン上に追加の駆動装置又は追加のエネルギ源を配置することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴を有するクレーン及び請求項15の特徴を有する船舶によって達成される。本発明の有利な実施形態は、従属項及び以下の説明から生じる。
【0006】
したがって、一方では、船舶に接続可能な支持構造体を備える、船舶用クレーンが提案され、前記支持構造体は、ホイスト(すなわち、荷物を持ち上げ、移動させる装置、したがって、ある意味で狭義にはクレーン)を支持する。したがって、支持構造体は、例えば、マスト、メインステー又はガントリであるか、又はそれらを構成することができ、ホイストの基礎を形成する。
【0007】
本発明によれば、クレーンは、船舶の駆動力及び/又は船舶の消費機器に供給するためのエネルギを発生させることができる駆動及び/又はエネルギ源を備える。駆動力は、特に、推進力であり得る。それは、船舶の1つ以上の主要駆動装置に加えて駆動源とすることができる。エネルギ源の場合、特に回生エネルギ源である。
【0008】
本発明によれば、駆動及び/又はエネルギ源は、駆動及び/又はエネルギ源とは独立に、ホイストによって荷重を移動させることができるように、クレーンの支持構造体に接続される。したがって、駆動及び/又はエネルギ源は、クレーンに接続され、その支持構造体によって支持される。これにより、駆動及び/又はエネルギ源のために船上に別々の据付位置を設け、それ/それらを自身の基礎に置く必要がなくなる。その代わり、クレーンは、駆動及び/又はエネルギ源を保持するための支持機能を担っている。クレーンの支持構造体は、ホイスト並びに駆動及び/又はエネルギ源の基礎と同じように機能する。
【0009】
駆動及び/又はエネルギ源は、その機能性が損なわれないように、クレーン上に配置される。したがって、駆動及び/又はエネルギ源は、例えばクレーンがもはや荷物を動かすことができないことを意味する、荷物の代わりに、ブーム又はホイストの荷重フックによって支持されるわけではなく、ホイスト又は実際のクレーン機能は、駆動及び/又はエネルギ源とは無関係でさえあり、いまだに使用することができる。
【0010】
1つの可能な実施形態において、クレーンがガントリクレーンとして設計されることが考えられ、ここで、支持構造体は、船舶に接続可能なレールと、ブリッジを有するレールに沿って移動可能な支持フレームとを備える。ブリッジとレール上で移動できる支持フレームの残りの部分が、例えば貨物や貨物スペースに跨がるガントリを形成する。ホイスト並びに駆動及び/又はエネルギ源は、ブリッジに接続され、及び/又はその上に配置される。
【0011】
さらなる可能な実施形態では、ホイストが、ブリッジに沿って移動できるトロリを備え、それがブリッジの底部に配置されることが考えられる。トロリは、直接巻上ロープ又は巻上歯車用の1つ又は複数のプーリを備えることができる。駆動及び/又はエネルギ源は、好ましくはブリッジの上側に配置される。したがって、トロリは、駆動及び/又はエネルギ源とは独立にブリッジに沿って移動することができ、一方、ブリッジは、駆動及び/又はエネルギ源の支持体として使用される。あるいは、駆動及び/又はエネルギ源は、ブリッジ上に横方向に、又はブリッジが延在する横方向支持体のうちの1つの上に配置することができる。
【0012】
さらなる可能な実施形態では、駆動及び/又はエネルギ源が、第1の回転ユニットを介してブリッジに接続され、第1の回転ユニットによって垂直回転軸を中心に回転できるようにしていることが考えられる。これにより、駆動及び/又はエネルギ源を、支持構造体又はブリッジに対して、並びにホイストに対して、回転させることができ、例えば、最新の卓越風の条件に合わせることができる。
【0013】
さらなる可能な実施形態において、クレーンがブーム装着型旋回クレーンとして設計されることが考えられ、ここで、支持構造体は、船舶に接続することができ、ホイストは、駆動及び/又はエネルギ源とは独立に動かすことができるブームを備えることができる。特に、メインステーは剛体設計となっている。メインステーの代わりにラチスタワーマストを使用することもできる。ブームは、荷重を持ち上げて移動させるための巻上ロープ用の1つ又は複数のプーリを備えることが好ましい。
【0014】
ブームは、水平軸を中心に揺動可能に取り付けられていることが好ましく、アクチュエータ、例えば、1つ又はそれ以上の油圧シリンダ又はケーブル引っ張りシステム又は長さ調節可能なブレーシングによって上下に揺動することができることが好ましい。あるいは、例えば陸上の旋回タワークレーンのように、揺動設置ではなく、むしろ垂直軸を中心に回転できるだけのブームを設けることもできる。
【0015】
さらなる可能な実施形態において、駆動ユニットがメインステーに接続されることが考えられ、これによって、ブームは垂直回転軸を中心に回転することができる。第1の回転ユニットは、特に、旋回リングを有する旋回歯車を備えている。第1の回転ユニットは、メインステー上に直接配置することも、偏心アームなどメインステーに接続された中間部品上に配置することもできる(この場合、第1の回転ユニットはメインステーに間接的に接続される)。しかし、このような偏心アームは、前記第1の回転ユニットによって回転させることができ、前記偏心アームにさらに回転ユニットを設けることができることが好ましい。理想的には、これにより、駆動及び/又はエネルギ源並びにブームを一緒に動かすことができ、好ましくは、駆動及び/又はエネルギ源並びにブームは、再び互いに独立して、1つの(又は同じ)回転軸を中心に回転させることができる。これにより、駆動及び/又はエネルギ源の位置をブーム又はホイストの位置に適合させることができ、互いに邪魔にならず、衝突を回避することができる。
【0016】
さらなる可能な実施形態において、ブーム並びに駆動及び/又はエネルギ源が、第1の回転ユニットによって垂直回転軸線を中心に一緒に回転可能であることが考えられ、少なくとも1つの第2の回転ユニットが、好ましくは、ブームが、駆動及び/又はエネルギ源から独立に、垂直回転軸線を中心に回転することができ、又はその逆で、駆動及び/又はエネルギ源が、ブームから独立に、垂直回転軸線を中心に回転することができる。また、第1及び第2の回転ユニットの垂直回転軸は、同一直線上に配置(すなわち2つの回転ユニットが互いに上下に配置)されたり、互いにオフセットして配置されたりすることができる。また、駆動及び/又はエネルギ源とブームとの両方とも、それら自身の回転ユニットを介してそれぞれ回転可能とすることが可能であり、これにより、多数の自由度が提供され、クレーンの様々な構成要素の位置又は配向を柔軟に調整することができる。
【0017】
特に、風力タービン、帆又は風翼のような風力ベースの駆動及び/又はエネルギ源の場合、最適な駆動及び/又はエネルギ発生のために、船舶の位置又は配向及び最新の風の状態に応じて、正しい位置合わせが必要とされるので、駆動及び/又はエネルギ源の独立可能な回転は特に重要である。したがって、駆動及び/又はエネルギ源は、好ましくは、さらなる回転ユニットを介した第1の回転ユニットに加えて、クレーン構造の残り、特にブームとは独立に、回転又は位置合わせされ得る。
【0018】
さらなる可能な実施形態において、メインステーが、ブーム並びに/又は駆動及び/若しくはエネルギ源を支持する偏心アームに接続されることが考えられる。偏心アームは、駆動及び/若しくはエネルギ源並びに/又はブームが第1の回転ユニットの垂直回転軸から横方向にオフセットして配置される、すなわち、常に、この回転軸から一定の距離を有することを保証する。前記偏心アームは、前記第1の回転ユニットによって回転可能、すなわち前記第1の回転ユニットに直接的又は間接的に接続されていることが好ましい。前記偏心アームは前記第1の回転ユニットの真上に配置され得る。前記ブーム又は前記駆動及び/若しくはエネルギ源を回転させるための少なくとも1つの第2の回転ユニットが、前記偏心アーム上に配置されることが好ましい。偏心アームは、メインステーから片側又は両側に突出させることができる。
【0019】
さらなる可能な実施形態では、クレーンが少なくとも1つのインターフェースを備え、そのインターフェース上に駆動及び/又はエネルギ源の油圧及び/又は電気及び/又は空気圧ラインが接続されているか、又は接続されていることが考えられる。少なくとも1つのインターフェースを介して、油圧及び/又は電気及び/又は空気圧エネルギが、駆動及び/又はエネルギ源と船舶との間で伝達されることが好ましい。このように、駆動及び/又はエネルギ源には、クレーンインターフェースを介してエネルギが供給され、及び/又は、駆動及び/又はエネルギ源によって生成されたエネルギは、クレーンインターフェースを介して、船舶及びそれぞれの貯蔵器又は消費機器に伝達される。したがって、駆動及び/又はエネルギ源のための別個のインターフェース又は供給インフラストラクチャーを設ける必要はないが、接続はクレーンを介して行われ、クレーンは船舶の電気及び/又は油圧及び/又は空気圧システムに接続される。クレーンの各回転ユニットには、このために対応する回転ユニオン及び/又はスリップリング本体がある。電気エネルギ、油圧及び/又は空気用のインターフェースと同様に又は代替的に、他の媒体、例えば、水素、燃料等のためにインターフェースを設けることもできる。接続は、例えば、パイプライン、ケーブル及び/又は機械的構成要素に設けることができる。
【0020】
さらなる可能な実施形態では、駆動及び/又はエネルギ源が支持構造体に取外し可能に接続されることが考えられる。すなわち、駆動及び/又はエネルギ源を支持構造体又はクレーンから取外すことができる。この目的のために、支持構造体並びに駆動及び/又はエネルギ源は、各々、着脱可能な接続を作り出すための接続手段を有する。駆動及び/又はエネルギ源は、接続手段を介して支持構造体に接続することができ、ここで、サスペンション接続又は単なる棚の形態の接続手段も考えられる。これは、接続手段が、駆動及び/又はエネルギ源を、支持構造体に安全かつ安定して接続できるように、また、クレーンの運転中に落下又はスリップが生じないように設計されることを必要とする。
【0021】
さらなる可能な実施形態では、駆動及び/又はエネルギ源が、再生エネルギ源、特に太陽光発電装置及び/又は風力タービンであることが考えられる。好ましくは、エネルギ生成の効率を最適化するために、船舶の位置及び向きに応じて、最新の太陽の位置及び/又は最新の風の状態に応じて、エネルギ源を自動的に位置合わせする能動的な太陽及び/又は風の追従装置が設けられる。追従装置は、クレーンの1つ以上の回転ユニットに接続することができる。クレーンには、追従を制御及び/又は調節する制御ユニットを設けることができる。
【0022】
さらなる可能な実施形態において、駆動及び/又はエネルギ源は、燃料電池及び/又はエネルギ貯蔵器及び/又は内燃機関を含むことが考えられる。燃料電池の場合、クレーンは、燃料電池が必要とする媒体の適切なインターフェースを備えることが好ましい。
【0023】
さらに可能な実施形態では、駆動及び/又はエネルギ源が、風力駆動システム、特に、帆及び/又は、ウインドフォイル及び/又はフレットナローター及び/又はウインドプロファイル及び/又は風力翼を含むことが考えられる。風力駆動システムを最適に整列させることができるようにするために、前述のように、受動型又は能動型の追従装置が設けられることが好ましい。
【0024】
駆動及び/又はエネルギ源は、複数のエネルギ源及び/又は駆動源を同時に備えることができ、例えば、風力駆動システム、風力発電所、及びエネルギ貯蔵器である。
【0025】
さらなる可能な実施形態において、風力駆動システムによって生成された駆動力を船舶に伝達するように、支持構造体が設計されることが考えられる。したがって、支持構造体は、ホイスト並びに駆動及び/又はエネルギ源の基礎としてだけでなく、動作中に発生又は吸収された力及びモーメントを伝達するためにも使用される。
【0026】
一般に、クレーンは、最新の環境変数、特に風向及び/又は風力を検出するための検出ユニットを備えることができる。これにより、駆動及び/又はエネルギ源を、例えば風の状態、太陽の位置、湿度など、最新の支配的状態に応じて、例えば上述の回転ユニットの1つによって自動的に位置合わせすることができる。
【0027】
本発明は、さらに、本発明によるクレーンを有する船舶又は浮きクレーン又は浮きプラットフォームに関する。クレーンは、その支持構造体を介して船舶に接続される。明らかに、ここでは、本発明によるクレーンと同様の性質、利点及び可能な実施形態が生じるので、これについての説明は省略する。原則として、船舶は、本発明による2つ以上のクレーンを有することが考えられ、各クレーンは、それ自身の駆動及び/又はエネルギ源を備える。
【0028】
本発明のさらなる特徴、詳細、及び利点は、図の助けを借りて説明される以下の例示的な実施形態から生じる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明によるクレーンの第1の例示的な実施形態の、斜視図である。
【
図2】本発明によるクレーンの第1の例示的な実施形態の、上から見た断面図である。
【
図3】本発明によるクレーンの第2の例示的な実施形態の、斜視図である。
【
図4】本発明によるクレーンの第2の例示的な実施形態の、上から見た断面図である。
【
図5】本発明によるクレーンの第3の例示的な実施形態の、側面図である。
【
図6】本発明によるクレーンの第3の例示的な実施形態の、上からの断面図である。
【
図7】本発明によるクレーンの第4の例示的な実施形態の、上から見た側面図である。
【
図8】本発明によるクレーンの第4の例示的な実施形態の、断面図である。
【
図9】本発明によるクレーンの第5の例示的な実施形態の、側面図である。
【
図10】本発明によるクレーンの第5の例示的な実施形態の、上方から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明によるクレーン10の第1の例示的な実施形態を斜視図で示す。クレーン10は、ブーム搭載型旋回クレーンとして設計され、ホイスト13とメインステー14を備えた支持構造体12を有し、クレーン10はそれを介して船舶(図示せず)に固定される。したがって、メインステー14は、クレーン10及び/又はホイスト13の基礎として使用される。ここに示す例示的な実施形態では、メインステー14は、中実円筒形を有するが、他の構造も考えられる(例えば、ラチスタワーマスト構造又はメインステーの長方形の形状)。
【0031】
メインステー14の上側には、旋回歯車により駆動可能な旋回リングを有する第1の回転ユニット31が配置されている。支持部品18は、第1の回転ユニット31に接続されており、これにより、メインステー14に対する垂直回転軸を中心に回転させることができ、結果として、船舶への固定を行うことができる。支持部品18は、ブーム16のための関節部品として使用され、これは、水平軸を中心に揺動することができるように、又は上下に揺動することができるように、支持部品18に取り付けられる。ブーム16を上下に揺動することは、2つの油圧シリンダ17によって、第1の例示的な実施形態において達成される。巻上ロープは、ブーム16の端部の偏向プーリを介して案内され、ここに示す例示的な実施形態においてクラムシェルを支持している。もちろん、フックブロック、別のグラブ又は任意の他の荷物ハンドリング装置を、代わりに巻上ロープに接続することができる。特に、巻上ロープは、ブーム16に取り付けられた巻上ロープウィンチに取り付けられ、巻き上げたり、巻き戻したりできるようになっている。ブーム16は第1の回転ユニット31と共に上下回転軸線を中心に回転することができる。
【0032】
さらなるメインステー15は、支持部品18に接続されており(また、それと一体に形成することもできる)、ここに示される例示的な実施形態におけるメインステー15は、メインステー14よりも小さな直径を有し、第1の回転ユニット31の回転軸線に対して後方(すなわち、ブーム16から離れる方向)にオフセットして配置される。これにより、ブーム16がさらなるメインステー15に接触することなく上下に揺動することができる。
【0033】
メインステー15は、駆動及び/又はエネルギ源20を支持し、ここに示される例示的な実施形態では、風推力システム20として設計され、これにより、風力を推力に変換することができ、したがって、船舶の推進力を発生させることができる。風推力システム20は、第2の回転ユニット32を介してメインステー15に接続され、第1の回転ユニット31の回転軸から横方向にオフセットされた垂直回転軸を中心に回転可能である。また、第2の回転ユニット32は、特に、旋回リング及び旋回ギア又は旋回ドライブを備える。
【0034】
図2は、
図1のクレーン10を、風推力システム20を通る水平断面の平面図で示したものであり、第2の回転ユニット32も示されている。これは、第2の回転ユニット32の偏心又は偏心位置を明確に示す。メインステー14は、第1の回転ユニット31と共に、ホイスト13及び風推力システム20のための収容部及び回転可能な軸受として使用され、一方、メインステー15は、第2の回転ユニット32と共に、風推力システム20のための収容部及び回転可能な軸受として機能する。
【0035】
ホイスト13又はブーム16及び風推力システム20を含むクレーン10の上部構造全体は、第1の回転ユニット31を介して一緒に回転させることができる。第2の回転ユニット32を介して、風推力システム20は、例えば船舶の最大推進力を生成するための風推力システム20を、最適に整列させるために、ホイスト13又はブーム16に対して、第1の回転ユニット31とは独立に回転させることができる。この目的のために、風推力システム20の能動又は受動的な位置合わせを確実にするアクチュエータユニットを設けることができる。位置合わせは、クレーン10上に配置され、必要に応じてアクチュエータユニット又は対応する制御システムに利用可能とされる1つ以上のセンサ(例えば、風速計)によって記録されるセンサデータに基づいて行うことができる。
【0036】
このため、風推力システム20は、船上の別々の場所に、それ自身の基礎を介して配置されるのではなく、クレーン10に一体化されているので、クレーン10の支持構造体12、特に第1の回転ユニット31及び支持部品18を備えたメインステー14は、同時に風推力システム20の基礎又はベースとして機能する。これにより、得られたスペースを、例えば、さらなる船舶の構成要素の貯蔵又は配置に利用できるように、省スペース設計を実現する。
【0037】
また、クレーン独自の供給システムと組み合わせることで相乗効果が得られる。したがって、好ましくは、作動油(例えば、第2の回転ユニット32を介した風推力システム20の回転のため)及び電気などの風推力システム20に必要な動作資源が、対応するクレーンインターフェースを介して提供される。クレーン10は、例えば電気エネルギを供給するために、対応するインターフェースを介して船舶の供給ラインにすでに接続されている。風推力システム20(又は第2の回転ユニット32)は、対応するインターフェースを介してクレーン10のこれらの供給ラインに接続されることが好ましい。この目的のために、第1及び第2の回転ユニット31,32は、電気及び/又は油圧及び/又は空気圧エネルギのための対応する回転フィードスルー又はスリップリング本体を有することが好ましい。
【0038】
図示した実施形態の代わりに、複数の同一又は異なる風推力システム20を、クレーン10に接続するか、又は一体化することができ、このシステムは、例えば、それぞれ自身のメインステー15及び回転ユニット32を備える。同様に、別の駆動源、又は特に、風推力システム20に加えて、又はその代わりに、回生エネルギ源を設けることができる。
【0039】
本発明によるクレーン10の第2の例示的な実施形態が、
図3(斜視図)及び
図4(風推力システム20を通る水平断面の平面図)に示される。
図1、
図2の実施形態に対する唯一の違いは、ブーム16を、油圧シリンダ17を介して揺動できず、しかしケーブル引っ張りシステムを介して揺動することができることである。この目的のために、例えば、長さが調節可能なガイワイヤを使用することができ、これは、ガイワイヤウィンチに取り付けることができる。
【0040】
支柱11が風推力システム20の上方に配置され、これは、ガイワイヤがガイドされる付加的なプーリを支持する。支柱11は、第4の回転ユニット34を介して風推力システム20に接続され、垂直回転軸を中心としてそれに対して回転できる。これにより、プーリと一緒にブーム16を風推力システム20に対して、又はその逆に対して回転させることができる。
【0041】
図5及び
図6は、本発明によるクレーン10の第3の例示的な実施形態を示しており、
図5は側面図を表し、
図6は風推力システム20を通る水平断面の平面図を表している。ここで、メインステー14と支持部品18との間には、偏心アーム19の様式の別の中間部品があり、これは、メインステー14から一方側に突出し、その端部で、風推力システム20のためにメインステー15を支持する。偏心アーム19は、その中央領域で第2の回転ユニット32を支持し、これにブーム16と共に支持部品18が接続される。第2の回転ユニット32の回転軸は、第1の回転ユニット31の回転軸と同一線上にある。
【0042】
ここに示す例示的な実施形態において、風推力システム20のためのメインステー15は、偏心アーム19(別の回転ユニットを間に配置することもできるが)と、風推力システム20を偏心アーム19に対して回転させ、かつブーム16に回転させるための第3の回転ユニット33とに、メインステー15の上部領域において剛体接続されている。
【0043】
この偏心アーム19は第1の回転ユニット31を介してメインステー14に対して回転することができる。第2の回転ユニット32が作動されない場合、ブーム16及び風推力システム20は、第1の回転ユニット31によって定められる垂直軸の周りを共に回転する。第2の回転ユニット32が第1の回転ユニット31に同期して作動すると、ブーム16が静止したままであるか、又はそれに伴って回転しない間、偏心アーム19が回転する。これとは独立して、風推力システム20は第3の回転ユニット33を介して回転することができる。
【0044】
第3の回転ユニット33の回転軸は、偏心アーム19の片持ち形状により、第1及び第2の回転ユニット31,32の垂直回転軸から横方向に離間している。これにより、メインステー15又は風推力システム20を、そのまま支持部品18の周りに移動させることができる。
【0045】
図7及び
図8は、本発明によるクレーン10の第4の例示的な実施形態を示す。
図5、
図6の第3の例示的な実施形態とは対照的に、一方側に突出する偏心アーム19の端部でブーム16と一緒に配置されるものが、ここでは、風推力システム20ではなく、支持部品18である。ここでも、支持部品18は、第2の回転ユニット32を介して回転することができ、その垂直軸が、ここでは第1の回転ユニット31の回転軸からオフセットして配置されている。この実施形態において、風推力システム20のためのメインステー15は、偏心アーム19の中央領域に剛性的に接続され、そして、第3の回転ユニット33を支持し、これによって、風推力システム20は、第1の回転ユニット31の回転軸と同一直線上の軸を中心に回転することができる。第1の回転ユニット31を回転させることによって、ブーム16を備えた支持部品18がメインステー15の周りを移動できるようになる。
【0046】
本発明によるクレーン10の第5の例示的実施形態は、
図9及び
図10に示されており、ここでは、偏心アーム19は、メインステー14の片側ではなく両側に突出する(より正確には互いに反対側に突出するが、ここでは、180°以外の角度も、偏心アーム19の突出する支持アームに対して考えられる)。この翼状の偏心アーム19では、風推力システム20に対する支持部品18とメインステー15との両方が、第1の回転ユニット31の回転軸線に偏心して配置される。そうでなければ、その構成は、第4の実施形態のものに相当する。すなわち、メインステー15は、偏心アーム19の片持ち端の一方に剛体接続され、他方の片持ち端は、支持部品18のための第2の回転ユニット32を支持する。
【0047】
クレーン構造又は支持構造体12は、特に、駆動及び/又はエネルギ源から、この場合は風推力システム20から発生した力及びモーメントを、何ら問題なく、船舶又は浮遊プラットフォームに伝達できるように設計される。
【符号の説明】
【0048】
10 クレーン
11 支柱
12 支持構造体
13 ホイスト
14 メインステー
15 メインステー
16 ブーム
17 油圧シリンダ
18 支持部品
19 偏心アーム
20 駆動及び/又はエネルギ源
31 第1の回転ユニット
32 第2の回転ユニット
33 第3の回転ユニット
34 第4の回転ユニット
【手続補正書】
【提出日】2023-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶に接続することができ、かつ、ホイスト(13)を支持することができる支持構造体(12)を有する船舶用のクレーン(10)であって、
駆動及び/又はエネルギ源(20)によって、船舶のための駆動力及び/又は前記船舶の消費機器に供給するためのエネルギを生成し、前記支持構造体(12)に接続されることによって、荷物が、前記ホイスト(13)によって、駆動及び/又はエネルギ源(20)から独立して移動することができるようになっている、
ことを特徴とする、船舶用のクレーン(10)。
【請求項2】
ガントリクレーンとして設計され、
前記支持構造体(12)が、
前記船舶に接続可能なレールと、
前記レールに沿って移動可能であり、ブリッジを有する支持フレームとを備え、
前記ホイスト(13)並びに前記駆動及び/又はエネルギ源(20)は、前記ブリッジに接続されている、
請求項1に記載のクレーン(10)。
【請求項3】
前記ホイスト(13)は、前記ブリッジに沿って移動でき、前記ブリッジの下側に配置されるトロリを備え、
前記駆動及び/又はエネルギ源(20)が、好ましくは、前記ブリッジの上側に配置される、
請求項2に記載のクレーン(10)。
【請求項4】
前記駆動及び/又はエネルギ源(20)は、第1の回転ユニットを介して前記ブリッジに接続され、かつ垂直回転軸を中心に回転できる、
請求項2又は3に記載のクレーン(10)。
【請求項5】
ブーム搭載型旋回クレーンとして設計され、
前記支持構造体(12)が、船舶に接続可能で、特に剛性であるメインステー(14)を備え、
前記ホイスト(13)は、駆動及び/又はエネルギ源(20)とは独立に動かすことができるブーム(16)を備え、
前記ブーム(16)は、好ましくは、水平軸の周りに揺動可能に取り付けられている、請求項1に記載のクレーン(10)。
【請求項6】
第1の回転ユニット(31)が前記メインステー(14)に接続され、それによって前記ブーム(16)が垂直回転軸を中心に回転できるようになっており、
特に前記第1の回転ユニット(31)が旋回リングを備えた旋回歯車を備えている、
請求項5に記載のクレーン(10)。
【請求項7】
前記ブームと、駆動及び/又はエネルギ源(20)とは、前記第1の回転ユニット(31)によって、回転垂直軸の周りに共に回転可能であり、
第2の回転ユニット(32)が、好ましくは設けられ、前記第2の回転ユニット(32)によって、
前記ブーム(16)が、前記駆動及び/又はエネルギ源(20)とは独立して、前記回転垂直軸の周りに回転可能であり、又は、
前記駆動及び/又はエネルギ源(20)が、前記ブーム(16)と独立して、前記回転垂直軸の周りに回転可能である、
請求項6に記載のクレーン(10)。
【請求項8】
好ましくは、前記第1の回転ユニット(31)を介して回転することができる偏心アーム(19)が、前記ブーム(16)並びに/又は駆動及び/若しくはエネルギ源(20)を支持するメインステー(14)に接続され、
好ましくは、前記ブーム(16)並びに/又は駆動及び/若しくはエネルギ源(20)を回転させるための少なくとも1つの第2の回転ユニット(32)が、前記偏心アーム(19)に配置される、
請求項6又は7に記載のクレーン(10)。
【請求項9】
前記駆動及び/又はエネルギ源(20)の油圧及び/又は電気及び/又は空気圧ラインが接続され得る、少なくとも1つのインターフェースをさらに備え、
前記油圧及び/又は電気及び/又は空気圧エネルギが、前記少なくとも1つのインターフェースを介して、好ましくは、前記駆動及び/又はエネルギ源(20)と前記船舶との間で伝達される、
請求項1に記載のクレーン(10)。
【請求項10】
前記駆動及び/又はエネルギ源(20)が、前記支持構造体(12)に取外し可能に接続され、
前記支持構造体(12)並びに前記駆動及び/又はエネルギ源(20)が、それぞれ、取外し可能な接続を生成する接続手段を有する、
請求項1に記載のクレーン(10)。
【請求項11】
前記駆動及び/又はエネルギ源(20)が、回生エネルギ源、特に太陽光発電装置及び/又は風力タービンを備える、
請求項1に記載のクレーン(10)。
【請求項12】
前記駆動及び/又はエネルギ源(20)が、燃料電池及び/又はエネルギ貯蔵器及び/又は内燃機関を備える、
請求項1に記載のクレーン(10)。
【請求項13】
前記駆動及び/又はエネルギ源(20)が、風力駆動システム、特に、帆及び/又はウインドフォイル及び/又はフレットナローター及び/又は風力プロファイル及び/又は風力ベーンを備えている、
請求項1に記載のクレーン(10)。
【請求項14】
前記支持構造体(12)が、前記風力駆動システム(20)によって発生した駆動力を前記船舶に伝達するように設計されている、
請求項13に記載のクレーン(10)。
【請求項15】
その支持構造体(12)を介して船舶に接続される、請求項1のクレーン(10)を有する、
船舶、特にフローティングクレーン又はフローティングプラットフォーム。
【外国語明細書】