(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182543
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】保持方法、給糸装置及び給糸スタンド
(51)【国際特許分類】
B65H 49/32 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
B65H49/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093278
(22)【出願日】2023-06-06
(31)【優先権主張番号】P 2022095634
(32)【優先日】2022-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】502455511
【氏名又は名称】TMTマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】山本 真人
【テーマコード(参考)】
3F109
【Fターム(参考)】
3F109CA05
3F109CB02
3F109CB16
(57)【要約】
【課題】給糸パッケージの解舒時又は切替時に不具合が発生することを抑制できる、給糸スタンド及びこれを備えた給糸装置を提供する。
【解決手段】給糸スタンド20は、正面視において第一装着部25Aと第二装着部25Bとを通る直線を仮想的に装着部線L1として設定したとき、第一保持部28及び第二保持部29の一方は、装着部線L1を境界として分断される一方側領域に配置されると共に第一保持部28及び第二保持部29の他方は、装着部線L1を境界として分断される他方側領域に配置され、第一保持部28と第二保持部29とを通る直線を仮想的に保持部線L2として設定したとき、第一装着部25A及び第二装着部25Bの一方は、保持部線L2を境界として分断される一方側領域に配置されると共に第一装着部25A及び第二装着部25Bの他方は、保持部線L2を境界として分断される他方側領域に配置される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸がボビンに巻回された第一給糸パッケージが装着される第一装着部と、
糸がボビンに巻回された第二給糸パッケージが装着される第二装着部と、
前記第一給糸パッケージの内層側の糸端に前記第二給糸パッケージの外層側の糸端が接続された状態で、前記第一給糸パッケージの外層側から解舒される糸、又は、前記第二給糸パッケージの内層側の糸端に前記第一給糸パッケージの外層側の糸端が接続された状態で、前記第二給糸パッケージの外層側から解舒される糸を糸加工装置に案内する案内部と、
前記第一給糸パッケージの内層側の糸端と前記第二給糸パッケージの外層側の糸端とが接続された状態において、両給糸パッケージ間の糸の一部を保持する第一保持部と、
前記第二給糸パッケージの内層側の糸端と前記第一給糸パッケージの外層側の糸端とが接続された状態において、両給糸パッケージ間の糸の一部を保持する第二保持部と、を備え、
前記第一装着部と前記第二装着部との間に前記案内部が位置するように、かつ前記案内部よりも後方に前記糸加工装置が位置するように見た正面視において、前記第一装着部と前記第二装着部とを通る直線を仮想的に装着部線として設定したとき、
前記第一保持部及び前記第二保持部の一方は、前記正面視において前記装着部線を境界として分断される一方側の領域に配置されると共に、前記第一保持部及び前記第二保持部の他方は、前記装着部線を境界として分断される他方側の領域に配置されており、
前記正面視において、前記第一保持部と前記第二保持部とを通る直線を仮想的に保持部線として設定したとき、
前記第一装着部及び前記第二装着部の一方は、前記正面視において、前記保持部線を境界として分断される一方側の領域に配置されると共に、前記第一装着部及び前記第二装着部の他方は、前記保持部線を境界として分断される他方側の領域に配置されている給糸スタンドにおける、前記第一給糸パッケージと前記第二給糸パッケージとの間で接続された糸を前記第一保持部又は前記第二保持部に保持させる保持方法であって、
前記正面視において、前記第一装着部は前記案内部の左側に、前記第二装着部は前記案内部の右側に、前記第一保持部は前記案内部の上側に、前記第二保持部は前記案内部の下側に配置された構成において、
前記正面視において、前記第一給糸パッケージの糸が時計回りに巻回され、前記第二給糸パッケージの糸が時計回りに巻回されると共に、前記第一給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、前記接続された糸を前記第一保持部に保持させ、
前記正面視において、前記第一給糸パッケージの糸が時計回りに巻回され、前記第二給糸パッケージの糸が時計回りに巻回されると共に、前記第二給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、前記接続された糸を前記第二保持部に保持させ、
前記正面視において、前記第一給糸パッケージの糸が反時計回りに巻回され、前記第二給糸パッケージの糸が反時計回りに巻回されると共に、前記第一給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、前記接続された糸を前記第二保持部に保持させ、
前記正面視において、前記第一給糸パッケージの糸は反時計回りに巻回され、前記第二給糸パッケージの糸は反時計回りに巻回されると共に、前記第二給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、前記接続された糸を前記第一保持部に保持させる、保持方法。
【請求項2】
前記第一保持部は、前記第二装着部よりも前記第一装着部に近い位置に配置される第一装着部用第一保持部と、前記第一装着部よりも前記第二装着部に近い位置に配置される第二装着部用第一保持部と、を有し、
前記第二保持部は、前記第二装着部よりも前記第一装着部に近い位置に配置される第一装着部用第二保持部と、前記第一装着部よりも前記第二装着部に近い位置に配置される第二装着部用第二保持部と、を有する、前記給糸スタンドにおける保持方法であって、
前記正面視において、前記第一給糸パッケージの糸が時計回りに巻回され、前記第二給糸パッケージの糸が時計回りに巻回されると共に、前記第一給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、前記接続された糸を前記第一装着部用第一保持部及び前記第二装着部用第一保持部の両方に保持させ、
前記正面視において、前記第一給糸パッケージの糸が時計回りに巻回され、前記第二給糸パッケージの糸が時計回りに巻回されると共に、前記第二給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、前記接続された糸を前記第一装着部用第二保持部及び前記第二装着部用第二保持部の両方に保持させ、
前記正面視において、前記第一給糸パッケージの糸が反時計回りに巻回され、前記第二給糸パッケージの糸が反時計回りに巻回されると共に、前記第一給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、前記接続された糸を前記第一装着部用第二保持部及び前記第二装着部用第二保持部の両方に保持させ、
前記正面視において、前記第一給糸パッケージの糸は反時計回りに巻回され、前記第二給糸パッケージの糸は反時計回りに巻回されると共に、前記第二給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、前記接続された糸を第一装着部用第一保持部及び第二装着部用第一保持部の両方に保持させる、請求項1記載の保持方法。
【請求項3】
給糸スタンドと、糸継処理装置と、を備える給糸装置であって、
前記給糸スタンドは、
糸がボビンに巻回された第一給糸パッケージが装着される第一装着部と、
糸がボビンに巻回された第二給糸パッケージが装着される第二装着部と、
前記第一給糸パッケージの内層側の糸端に前記第二給糸パッケージの外層側の糸端が接続された状態で、前記第一給糸パッケージの外層側から解舒される糸、又は、前記第二給糸パッケージの内層側の糸端に前記第一給糸パッケージの外層側の糸端が接続された状態で、前記第二給糸パッケージの外層側から解舒される糸を糸加工装置に案内する案内部と、
前記第一給糸パッケージの内層側の糸端と前記第二給糸パッケージの外層側の糸端とが接続された状態において、両給糸パッケージ間の糸の一部を保持する第一保持部と、
前記第二給糸パッケージの内層側の糸端と前記第一給糸パッケージの外層側の糸端とが接続された状態において、両給糸パッケージ間の糸の一部を保持する第二保持部と、を備え、
前記第一装着部と前記第二装着部との間に前記案内部が位置するように、かつ前記案内部よりも後方に前記糸加工装置が位置するように見た正面視において、前記第一装着部と前記第二装着部とを通る直線を仮想的に装着部線として設定したとき、
前記第一保持部及び前記第二保持部の一方は、前記正面視において前記装着部線を境界として分断される一方側の領域に配置されると共に、前記第一保持部及び前記第二保持部の他方は、前記装着部線を境界として分断される他方側の領域に配置されており、
前記正面視において、前記第一保持部と前記第二保持部とを通る直線を仮想的に保持部線として設定したとき、
前記第一装着部及び前記第二装着部の一方は、前記正面視において、前記保持部線を境界として分断される一方側の領域に配置されると共に、前記第一装着部及び前記第二装着部の他方は、前記保持部線を境界として分断される他方側の領域に配置されており、
前記第一装着部及び前記第二装着部が互いに重なるように見た側面視において、
前記案内部、前記第一保持部及び前記第二保持部を通る直線を仮想的に案内部・装着部線と設定したとき、
前記第一保持部と前記第二保持部とは、前記案内部・装着部線に対して線対称に配置されており、
前記糸継処理装置は、
前記第一装着部に装着された前記第一給糸パッケージの糸端と、前記第二装着部に装着された前記第二給糸パッケージの糸端とを接続すると共に、接続された糸の一部が前記第一保持部又は前記第二保持部に保持された状態とするための糸継装置と、
前記糸継装置を制御する制御部と、を備え、
前記正面視において、前記第一装着部は前記案内部の左側に、前記第二装着部は前記案内部の右側に、前記第一保持部は前記案内部の上側に、前記第二保持部は前記案内部の下側に配置された構成において、
前記制御部は、
前記正面視において、前記第一給糸パッケージの糸が時計回りに巻回され、前記第二給糸パッケージの糸が時計回りに巻回されると共に、前記第一給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、前記接続された糸を前記第一保持部に保持させ、
前記正面視において、前記第一給糸パッケージの糸が時計回りに巻回され、前記第二給糸パッケージの糸が時計回りに巻回されると共に、前記第二給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、前記接続された糸を前記第二保持部に保持させ、
前記正面視において、前記第一給糸パッケージの糸が反時計回りに巻回され、前記第二給糸パッケージの糸が反時計回りに巻回されると共に、前記第一給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、前記接続された糸を前記第二保持部に保持させ、
前記正面視において、前記第一給糸パッケージの糸は反時計回りに巻回され、前記第二給糸パッケージの糸は反時計回りに巻回されると共に、前記第二給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、前記接続された糸を前記第一保持部に保持させる、給糸装置。
【請求項4】
前記第一保持部は、前記第二装着部よりも前記第一装着部に近い位置に配置される第一装着部用第一保持部と、前記第一装着部よりも前記第二装着部に近い位置に配置される第二装着部用第一保持部と、を有し、
前記第二保持部は、前記第二装着部よりも前記第一装着部に近い位置に配置される第一装着部用第二保持部と、前記第一装着部よりも前記第二装着部に近い位置に配置される第二装着部用第二保持部と、を有し、
前記制御部は、
前記正面視において、前記第一給糸パッケージの糸が時計回りに巻回され、前記第二給糸パッケージの糸が時計回りに巻回されると共に、前記第一給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、前記接続された糸を前記第一装着部用第一保持部及び前記第二装着部用第一保持部の両方に保持させ、
前記正面視において、前記第一給糸パッケージの糸が時計回りに巻回され、前記第二給糸パッケージの糸が時計回りに巻回されると共に、前記第二給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、前記接続された糸を前記第一装着部用第二保持部及び前記第二装着部用第二保持部の両方に保持させ、
前記正面視において、前記第一給糸パッケージの糸が反時計回りに巻回され、前記第二給糸パッケージの糸が反時計回りに巻回されると共に、前記第一給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、前記接続された糸を前記第一装着部用第二保持部及び前記第二装着部用第二保持部の両方に保持させ、
前記正面視において、前記第一給糸パッケージの糸は反時計回りに巻回され、前記第二給糸パッケージの糸は反時計回りに巻回されると共に、前記第二給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、前記接続された糸を前記第一装着部用第一保持部及び前記第二装着部用第一保持部の両方に保持させる、請求項3記載の給糸装置。
【請求項5】
給糸スタンドと、糸継処理装置と、給糸パッケージ回転装置と、を備える給糸装置であって、
前記給糸スタンドは、
糸がボビンに巻回された第一給糸パッケージが装着される第一装着部と、
糸がボビンに巻回された第二給糸パッケージが装着される第二装着部と、
前記第一給糸パッケージの内層側の糸端に前記第二給糸パッケージの外層側の糸端が接続された状態で、前記第一給糸パッケージの外層側から解舒される糸、又は、前記第二給糸パッケージの内層側の糸端に前記第一給糸パッケージの外層側の糸端が接続された状態で、前記第二給糸パッケージの外層側から解舒される糸を糸加工装置に案内する案内部と、
前記第一給糸パッケージの内層側の糸端と前記第二給糸パッケージの外層側の糸端とが接続された状態において、両給糸パッケージ間の糸の一部を保持する第一保持部と、
前記第二給糸パッケージの内層側の糸端と前記第一給糸パッケージの外層側の糸端とが接続された状態において、両給糸パッケージ間の糸の一部を保持する第二保持部と、を備え、
前記第一装着部と前記第二装着部との間に前記案内部が位置するように、かつ前記案内部よりも後方に前記糸加工装置が位置するように見た正面視において、前記第一装着部と前記第二装着部とを通る直線を仮想的に装着部線として設定したとき、
前記第一保持部及び前記第二保持部の一方は、前記正面視において前記装着部線を境界として分断される一方側の領域に配置されると共に、前記第一保持部及び前記第二保持部の他方は、前記装着部線を境界として分断される他方側の領域に配置されており、
前記正面視において、前記第一保持部と前記第二保持部とを通る直線を仮想的に保持部線として設定したとき、
前記第一装着部及び前記第二装着部の一方は、前記正面視において、前記保持部線を境界として分断される一方側の領域に配置されると共に、前記第一装着部及び前記第二装着部の他方は、前記保持部線を境界として分断される他方側の領域に配置されており、
前記第一装着部及び前記第二装着部が互いに重なるように見た側面視において、
前記案内部、前記第一保持部及び前記第二保持部を通る直線を仮想的に案内部・装着部線と設定したとき、
前記第一保持部と前記第二保持部とは、前記案内部・装着部線に対して線対称に配置されており、
前記糸継処理装置は、
前記第一装着部に装着された前記第一給糸パッケージの糸端と、前記第二装着部に装着された前記第二給糸パッケージの糸端とを接続すると共に、接続された糸の一部が前記第一保持部又は前記第二保持部に保持された状態とし、
前記給糸パッケージ回転装置は、
前記第一装着部に装着された前記第一給糸パッケージを前記第一装着部の延在方向を回転軸として回転させると共に前記第二装着部に装着された前記第二給糸パッケージを前記第二装着部の延在方向を回転軸として回転させると共に、前記第一給糸パッケージ及び前記第二給糸パッケージの少なくとも一方を回転させることによって、前記第一保持部に保持された糸又は前記第二保持部に保持された糸の弛みをとる、給糸装置。
【請求項6】
給糸スタンドと、糸継処理装置と、弛み調整機構と、を備える給糸装置であって、
前記給糸スタンドは、
糸がボビンに巻回された第一給糸パッケージが装着される第一装着部と、
糸がボビンに巻回された第二給糸パッケージが装着される第二装着部と、
前記第一給糸パッケージの内層側の糸端に前記第二給糸パッケージの外層側の糸端が接続された状態で、前記第一給糸パッケージの外層側から解舒される糸、又は、前記第二給糸パッケージの内層側の糸端に前記第一給糸パッケージの外層側の糸端が接続された状態で、前記第二給糸パッケージの外層側から解舒される糸を糸加工装置に案内する案内部と、
前記第一給糸パッケージの内層側の糸端と前記第二給糸パッケージの外層側の糸端とが接続された状態において、両給糸パッケージ間の糸の一部を保持する第一保持部と、
前記第二給糸パッケージの内層側の糸端と前記第一給糸パッケージの外層側の糸端とが接続された状態において、両給糸パッケージ間の糸の一部を保持する第二保持部と、を備え、
前記第一装着部と前記第二装着部との間に前記案内部が位置するように、かつ前記案内部よりも後方に前記糸加工装置が位置するように見た正面視において、前記第一装着部と前記第二装着部とを通る直線を仮想的に装着部線として設定したとき、
前記第一保持部及び前記第二保持部の一方は、前記正面視において前記装着部線を境界として分断される一方側の領域に配置されると共に、前記第一保持部及び前記第二保持部の他方は、前記装着部線を境界として分断される他方側の領域に配置されており、
前記正面視において、前記第一保持部と前記第二保持部とを通る直線を仮想的に保持部線として設定したとき、
前記第一装着部及び前記第二装着部の一方は、前記正面視において、前記保持部線を境界として分断される一方側の領域に配置されると共に、前記第一装着部及び前記第二装着部の他方は、前記保持部線を境界として分断される他方側の領域に配置されており、
前記第一保持部は、前記第二装着部よりも前記第一装着部に近い位置に配置される第一装着部用第一保持部と、前記第一装着部よりも前記第二装着部に近い位置に配置される第二装着部用第一保持部と、を有し、
前記第二保持部は、前記第二装着部よりも前記第一装着部に近い位置に配置される第一装着部用第二保持部と、前記第一装着部よりも前記第二装着部に近い位置に配置される第二装着部用第二保持部と、を有し、
前記糸継処理装置は、
前記第一装着部に装着された前記第一給糸パッケージの糸端と、前記第二装着部に装着された前記第二給糸パッケージの糸端とを接続すると共に、前記第一装着部用第一保持部と前記第二装着部用第一保持部との両方、又は、前記第一装着部用第二保持部と前記第二装着部用第二保持部との両方に、接続された糸の一部が保持された状態とし、
前記弛み調整機構は、
前記第一装着部用第一保持部と前記第二装着部用第一保持部との間の糸の長さを調整することによって、前記第一装着部用第一保持部と前記第一給糸パッケージとの間の糸及び前記第二装着部用第一保持部と前記第二給糸パッケージとの間の糸の少なくとも一方の弛みをとる、又は、前記第一装着部用第二保持部と前記第二装着部用第二保持部との間の糸の長さを調整することによって、前記第一装着部用第二保持部と前記第一給糸パッケージとの間の糸及び前記第二装着部用第二保持部と前記第二給糸パッケージとの間の糸の少なくとも一方の弛みをとる、給糸装置。
【請求項7】
前記第一装着部に装着された前記第一給糸パッケージを前記第一装着部の延在方向を回転軸として回転させると共に前記第二装着部に装着された前記第二給糸パッケージを前記第二装着部の延在方向を回転軸として回転させる給糸パッケージ回転装置を更に備え、
前記給糸パッケージ回転装置は、前記第一給糸パッケージ及び前記第二給糸パッケージの少なくとも一方を回転させることによって、前記第一保持部に保持された糸又は前記第二保持部に保持された糸の弛みをとる、請求項3記載の給糸装置。
【請求項8】
前記第一装着部用第一保持部と前記第二装着部用第一保持部との間の糸の長さを調整することによって、前記第一装着部用第一保持部と前記第一給糸パッケージとの間の糸及び前記第二装着部用第一保持部と前記第二給糸パッケージとの間の糸の少なくとも一方の弛みをとる、又は、前記第一装着部用第二保持部と前記第二装着部用第二保持部との間の糸の長さを調整することによって、前記第一装着部用第二保持部と前記第一給糸パッケージとの間の糸及び前記第二装着部用第二保持部と前記第二給糸パッケージとの間の糸の少なくとも一方の弛みをとる弛み調整機構を更に備える、請求項4記載の給糸装置。
【請求項9】
糸がボビンに巻回された第一給糸パッケージが装着される第一装着部と、
糸がボビンに巻回された第二給糸パッケージが装着される第二装着部と、
前記第一給糸パッケージの内層側の糸端に前記第二給糸パッケージの外層側の糸端が接続された状態で、前記第一給糸パッケージの外層側から解舒される糸、又は、前記第二給糸パッケージの内層側の糸端に前記第一給糸パッケージの外層側の糸端が接続された状態で、前記第二給糸パッケージの外層側から解舒される糸を糸加工装置に案内する案内部と、
前記第一給糸パッケージの内層側の糸端と前記第二給糸パッケージの外層側の糸端とが接続された状態において、両給糸パッケージ間の糸の一部を保持する第一保持部と、
前記第二給糸パッケージの内層側の糸端と前記第一給糸パッケージの外層側の糸端とが接続された状態において、両給糸パッケージ間の糸の一部を保持する第二保持部と、を備え、
前記第一装着部と前記第二装着部との間に前記案内部が位置するように、かつ前記案内部よりも後方に前記糸加工装置が位置するように見た正面視において、前記第一装着部と前記第二装着部とを通る直線を仮想的に装着部線として設定したとき、
前記第一保持部及び前記第二保持部の一方は、前記正面視において前記装着部線を境界として分断される一方側の領域に配置されると共に、前記第一保持部及び前記第二保持部の他方は、前記装着部線を境界として分断される他方側の領域に配置されており、
前記正面視において、前記第一保持部と前記第二保持部とを通る直線を仮想的に保持部線として設定したとき、
前記第一装着部及び前記第二装着部の一方は、前記正面視において、前記保持部線を境界として分断される一方側の領域に配置されると共に、前記第一装着部及び前記第二装着部の他方は、前記保持部線を境界として分断される他方側の領域に配置されており、
前記第一保持部は、前記第二装着部よりも前記第一装着部に近い位置に配置される第一装着部用第一保持部と、前記第一装着部よりも前記第二装着部に近い位置に配置される第二装着部用第一保持部と、を有し、
前記第二保持部は、前記第二装着部よりも前記第一装着部に近い位置に配置される第一装着部用第二保持部と、前記第一装着部よりも前記第二装着部に近い位置に配置される第二装着部用第二保持部と、を有する、給糸スタンド。
【請求項10】
前記第一保持部及び前記第二保持部が互いに重なるように見た平面視において、
前記案内部、前記第一保持部及び前記第二保持部を通る直線を仮想的に案内部・保持部線と設定したとき、
前記第一装着部と前記第二装着部とは、前記案内部・保持部線に対して線対称に配置されている、請求項9記載の給糸スタンド。
【請求項11】
前記装着部線は、水平方向に沿う方向であり、
前記保持部線は、鉛直方向に沿う方向である、請求項9又は10記載の給糸スタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、保持方法、給糸装置及び給糸スタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の給糸パッケージを回転可能に支持する給糸スタンドと、給糸パッケージから供給された糸に仮撚加工を施す仮撚加工装置と、を有する仮撚加工装置が知られている。例えば、特許文献1には、複数の給糸パッケージのそれぞれを支持する装着部(ペッグ)が対で設けられている給糸スタンドが開示されている。このような給糸スタンドでは、一対の一方の装着部に支持される給糸パッケージ(以下、第一給糸パッケージと称する。)の糸の糸端(尻糸)と、一対の他方の装着部に支持される給糸パッケージ(以下、第二給糸パッケージと称する。)の糸の糸端(口糸)とを繋ぐ糸継処理(テール継ぎ処理)を行うことによって、第一給糸パッケージの糸が無くなったとしても、予備として設けられた第二給糸パッケージから糸を仮撚加工装置に供給することができる。すなわち、特許文献1の給糸スタンドは、仮撚加工装置に供給する給糸パッケージが自動的に切り替わることによって糸を仮撚加工装置に連続的に供給することができる。
【0003】
上記糸継処理では、第一給糸パッケージ及び第二給糸パッケージのそれぞれから糸が引き出されて、これらの糸が糸継装置を用いて接続される。この接続完了時点において、第一給糸パッケージと第二給糸パッケージとの間で接続された糸(以下、両給糸パッケージ間の糸)は、弛んだ状態になっている。両給糸パッケージ間の糸が弛んだ状態で一方の給糸パッケージから糸が解舒されると、弛んだ状態の糸が解舒される糸に縺れ込み、糸切れ等の不具合が生じることがある。また、両給糸パッケージ間の糸が弛んだ状態で仮撚加工装置に供給する給糸パッケージの切替が行われると、両給糸パッケージ間の糸に局所的な負荷がかかったり、両給糸パッケージ間の糸が周辺部品に接触したりすることで、糸の損傷や糸切れ等の不具合が生じることがある。
【0004】
給糸スタンドには、給糸パッケージの解舒時又は切替時において上記のような不具合が生じることを回避するための保持部(クリップ)(特開平9-67064号公報参照)が第一給糸パッケージ及び第二給糸パッケージの間の下方に一つ設けられており、作業者は、両給糸パッケージ間の糸の弛みを取った後、当該両給糸パッケージ間の糸を保持部に保持させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、第一給糸パッケージ及び第二給糸パッケージのどちらから糸が解舒されているか、第一給糸パッケージ又は第二給糸パッケージから解舒される糸の給糸ボビンに対する巻回方向(右巻き又は左巻き)等、給糸パッケージから糸が解舒されるときの状況によって、保持部による両給糸パッケージ間の糸の保持状態が変化する。このため、第一給糸パッケージ及び第二給糸パッケージの間に一つだけ設けられる保持部に糸を保持させた場合には、給糸パッケージ間の糸の状態によっては、例えば、給糸パッケージにおける糸の引出位置と保持部の配置位置と間の高低差が大きくなって、給糸パッケージ間の糸に不要な抵抗が生じることがある。そして、このような不要な抵抗が生じると、解舒される給糸パッケージが切り替わるときに、例えば、糸が切断されたり、糸の一部に損傷が生じたりする等の不具合が発生する。
【0007】
そこで、本発明の目的は、給糸パッケージの解舒時又は切替時に不具合が発生することを抑制できる、保持方法、給糸装置及び給糸スタンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係る保持方法は、糸がボビンに巻回された第一給糸パッケージが装着される第一装着部と、糸がボビンに巻回された第二給糸パッケージが装着される第二装着部と、第一給糸パッケージの内層側の糸端に第二給糸パッケージの外層側の糸端が接続された状態で、第一給糸パッケージの外層側から解舒される糸、又は、第二給糸パッケージの内層側の糸端に第一給糸パッケージの外層側の糸端が接続された状態で、第二給糸パッケージの外層側から解舒される糸を糸加工装置に案内する案内部と、第一給糸パッケージの内層側の糸端と第二給糸パッケージの外層側の糸端とが接続された状態において、両給糸パッケージ間の糸の一部を保持する第一保持部と、第二給糸パッケージ(PB)の内層側の糸端と第一給糸パッケージの外層側の糸端とが接続された状態において、両給糸パッケージ間の糸の一部を保持する第二保持部と、を備え、第一装着部と第二装着部との間に案内部が位置するように、かつ案内部よりも後方に糸加工装置が位置するように見た正面視において、第一装着部と第二装着部とを通る直線を仮想的に装着部線として設定したとき、第一保持部及び第二保持部の一方は、正面視において装着部線を境界として分断される一方側の領域に配置されると共に、第一保持部及び第二保持部の他方は、装着部線を境界として分断される他方側の領域に配置されており、正面視において、第一保持部と第二保持部とを通る直線を仮想的に保持部線として設定したとき、第一装着部及び第二装着部の一方は、正面視において、保持部線を境界として分断される一方側の領域に配置されると共に、第一装着部及び第二装着部の他方は、保持部線を境界として分断される他方側の領域に配置されている給糸スタンドにおいて、第一給糸パッケージと第二給糸パッケージとの間で接続された糸を第一保持部又は第二保持部に保持させる保持方法であって、正面視において、第一装着部は案内部の左側に、第二装着部は案内部の右側に、第一保持部は案内部の上側に、第二保持部は案内部の下側に配置された構成において、正面視において、第一給糸パッケージの糸が時計回りに巻回され、第二給糸パッケージの糸が時計回りに巻回されると共に、第一給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、接続された糸を第一保持部に保持させ、正面視において、第一給糸パッケージの糸が時計回りに巻回され、第二給糸パッケージの糸が時計回りに巻回されると共に、第二給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、接続された糸を第二保持部に保持させ、正面視において、第一給糸パッケージの糸が反時計回りに巻回され、第二給糸パッケージの糸が反時計回りに巻回されると共に、第一給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、接続された糸を第二保持部に保持させ、正面視において、第一給糸パッケージの糸は反時計回りに巻回され、第二給糸パッケージの糸は反時計回りに巻回されると共に、第二給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、接続された糸を第一保持部に保持させる。
【0009】
この保持方法では、第一保持部が、第一装着部よりも鉛直方向における上方かつ第二装着部よりも鉛直方向における上方に配置され、第二保持部が、第一装着部よりも鉛直方向における下方、かつ第二装着部よりも鉛直方向における下方に配置されている給糸装置において、両装着部に支持されている給糸パッケージにおける糸の巻回方向及び解舒されている給糸パッケージの取付位置に応じて、両給糸パッケージ間の糸に、局所的な負荷が掛かったり、両給糸パッケージ間の糸が周辺部品に接触したりしないような適切な保持部(第一保持部又は第二保持部)に両給糸パッケージ間の糸が保持されるようになる。この結果、給糸パッケージの解舒時又は切替時に不具合が発生することを抑制できる。
【0010】
本発明の一側面に係る保持方法では、第一保持部は、第二装着部よりも第一装着部に近い位置に配置される第一装着部用第一保持部と、第一装着部よりも第二装着部に近い位置に配置される第二装着部用第一保持部と、を有し、第二保持部は、第二装着部よりも第一装着部に近い位置に配置される第一装着部用第二保持部と、第一装着部よりも第二装着部に近い位置に配置される第二装着部用第二保持部と、を有してもよい。
【0011】
この保持方法では、第一給糸パッケージから引き出される糸であるか、第二給糸パッケージから引き出される糸であるかに応じて、より適切な状態で両給糸パッケージ間の糸を保持することができる。これにより、給糸パッケージの解舒時又は切替時に不具合が発生することをより確実に抑制できる。
【0012】
本発明の一側面に係る給糸装置は、給糸スタンドと、糸継処理装置と、を備える給糸装置であって、給糸スタンドは、糸がボビンに巻回された第一給糸パッケージが装着される第一装着部と、糸がボビンに巻回された第二給糸パッケージが装着される第二装着部と、第一給糸パッケージの内層側の糸端に第二給糸パッケージの外層側の糸端が接続された状態で、第一給糸パッケージの外層側から解舒される糸、又は、第二給糸パッケージの内層側の糸端に第一給糸パッケージの外層側の糸端が接続された状態で、第二給糸パッケージの外層側から解舒される糸を糸加工装置に案内する案内部と、第一給糸パッケージの内層側の糸端と第二給糸パッケージの外層側の糸端とが接続された状態において、両給糸パッケージ間の糸の一部を保持する第一保持部と、第二給糸パッケージの内層側の糸端と第一給糸パッケージの外層側の糸端とが接続された状態において、両給糸パッケージ間の糸の一部を保持する第二保持部と、を備え、第一装着部と第二装着部との間に案内部が位置するように、かつ案内部よりも後方に糸加工装置が位置するように見た正面視において、第一装着部と第二装着部とを通る直線を仮想的に装着部線として設定したとき、第一保持部及び第二保持部の一方は、正面視において装着部線を境界として分断される一方側の領域に配置されると共に、第一保持部及び第二保持部の他方は、装着部線を境界として分断される他方側の領域に配置されており、正面視において、第一保持部と第二保持部とを通る直線を仮想的に保持部線として設定したとき、第一装着部及び第二装着部の一方は、正面視において、保持部線を境界として分断される一方側の領域に配置されると共に、第一装着部及び第二装着部の他方は、保持部線を境界として分断される他方側の領域に配置されており、第一装着部及び第二装着部が互いに重なるように見た側面視において、案内部、第一保持部及び第二保持部を通る直線を仮想的に案内部・装着部線と設定したとき、第一保持部と第二保持部とは、案内部・装着部線に対して線対称に配置されており、糸継処理装置は、第一装着部に装着された第一給糸パッケージの糸端と、第二装着部に装着された第二給糸パッケージの糸端とを接続すると共に、接続された糸の一部が第一保持部又は第二保持部に保持された状態とするための糸継装置と、糸継装置を制御する制御部と、を備え、正面視において、第一装着部は案内部の左側に、第二装着部は案内部の右側に、第一保持部は案内部の上側に、第二保持部は案内部の下側に配置された構成において、制御部は、正面視において、第一給糸パッケージの糸が時計回りに巻回され、第二給糸パッケージの糸が時計回りに巻回されると共に、第一給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、接続された糸を第一保持部に保持させ、正面視において、第一給糸パッケージの糸が時計回りに巻回され、第二給糸パッケージの糸が時計回りに巻回されると共に、第二給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、接続された糸を第二保持部に保持させ、正面視において、第一給糸パッケージの糸が反時計回りに巻回され、第二給糸パッケージの糸が反時計回りに巻回されると共に、第一給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、接続された糸を第二保持部に保持させ、正面視において、第一給糸パッケージの糸は反時計回りに巻回され、第二給糸パッケージの糸は反時計回りに巻回されると共に、第二給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、接続された糸を第一保持部に保持させる。
【0013】
この構成では、第一保持部が、第一装着部よりも鉛直方向における上方かつ第二装着部よりも鉛直方向における上方に配置され、第二保持部が、第一装着部よりも鉛直方向における下方、かつ第二装着部よりも鉛直方向における下方に配置されている給糸装置において、両装着部に支持されている給糸パッケージにおける糸の巻回方向及び解舒されている給糸パッケージの取付位置に応じて、両給糸パッケージ間の糸に、局所的な負荷が掛かったり、両給糸パッケージ間の糸が周辺部品に接触したりしないような適切な保持部(第一保持部又は第二保持部)に両給糸パッケージ間の糸が保持されるようになる。この結果、給糸パッケージの解舒時又は切替時に不具合が発生することを抑制できる。また、この構成では、第一給糸パッケージから引き出される糸及び第二給糸パッケージから引き出される糸の、第一保持部及び第二保持部による保持状態を互いに揃えることができる。
【0014】
本発明の一側面に係る給糸装置は、第一保持部は、第二装着部よりも第一装着部に近い位置に配置される第一装着部用第一保持部と、第一装着部よりも第二装着部に近い位置に配置される第二装着部用第一保持部と、を有し、第二保持部は、第二装着部よりも第一装着部に近い位置に配置される第一装着部用第二保持部と、第一装着部よりも第二装着部に近い位置に配置される第二装着部用第二保持部と、を有し、制御部は、正面視において、第一給糸パッケージの糸が時計回りに巻回され、第二給糸パッケージの糸が時計回りに巻回されると共に、第一給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、接続された糸を第一装着部用第一保持部及び第二装着部用第一保持部の両方に保持させ、正面視において、第一給糸パッケージの糸が時計回りに巻回され、第二給糸パッケージの糸が時計回りに巻回されると共に、第二給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、接続された糸を第一装着部用第二保持部及び第二装着部用第二保持部の両方に保持させ、正面視において、第一給糸パッケージの糸が反時計回りに巻回され、第二給糸パッケージの糸が反時計回りに巻回されると共に、第一給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、接続された糸を第一装着部用第二保持部及び第二装着部用第二保持部の両方に保持させ、正面視において、第一給糸パッケージの糸は反時計回りに巻回され、第二給糸パッケージの糸は反時計回りに巻回されると共に、第二給糸パッケージに巻回されている糸が解舒されているときには、接続された糸を第一装着部用第一保持部及び第二装着部用第一保持部の両方に保持させてもよい。
【0015】
この構成では、第一給糸パッケージから引き出される糸であるか、第二給糸パッケージから引き出される糸であるかに応じて、より適切な状態で両給糸パッケージ間の糸を保持することができる。これにより、給糸パッケージの解舒時又は切替時に不具合が発生することをより確実に抑制できる。
【0016】
本発明の一側面に係る給糸装置は、給糸スタンドと、糸継処理装置と、給糸パッケージ回転装置と、を備える給糸装置であって、給糸スタンドは、糸がボビンに巻回された第一給糸パッケージが装着される第一装着部と、糸がボビンに巻回された第二給糸パッケージが装着される第二装着部と、第一給糸パッケージの内層側の糸端に第二給糸パッケージの外層側の糸端が接続された状態で、第一給糸パッケージの外層側から解舒される糸、又は、第二給糸パッケージの内層側の糸端に第一給糸パッケージの外層側の糸端が接続された状態で、第二給糸パッケージの外層側から解舒される糸を糸加工装置に案内する案内部と、第一給糸パッケージの内層側の糸端と第二給糸パッケージの外層側の糸端とが接続された状態において、両給糸パッケージ間の糸の一部を保持する第一保持部と、第二給糸パッケージの内層側の糸端と第一給糸パッケージの外層側の糸端とが接続された状態において、両給糸パッケージ間の糸の一部を保持する第二保持部と、を備え、第一装着部と第二装着部との間に案内部が位置するように、かつ案内部よりも後方に糸加工装置が位置するように見た正面視において、第一装着部と第二装着部とを通る直線を仮想的に装着部線として設定したとき、第一保持部及び第二保持部の一方は、正面視において装着部線を境界として分断される一方側の領域に配置されると共に、第一保持部及び第二保持部の他方は、装着部線を境界として分断される他方側の領域に配置されており、正面視において、第一保持部と第二保持部とを通る直線を仮想的に保持部線として設定したとき、第一装着部及び第二装着部の一方は、正面視において、保持部線を境界として分断される一方側の領域に配置されると共に、第一装着部及び第二装着部の他方は、保持部線を境界として分断される他方側の領域に配置されており、糸継処理装置は、第一装着部に装着された第一給糸パッケージの糸端と、第二装着部に装着された第二給糸パッケージの糸端とを接続すると共に、接続された糸の一部が第一保持部又は第二保持部に保持された状態とし、給糸パッケージ回転装置は、第一装着部に装着された第一給糸パッケージを第一装着部の延在方向を回転軸として回転させると共に第二装着部に装着された第二給糸パッケージを第二装着部の延在方向を回転軸として回転させると共に、給糸パッケージ回転装置は、第一給糸パッケージ及び第二給糸パッケージの少なくとも一方を回転させることによって、第一保持部に保持された糸又は第二保持部に保持された糸の弛みをとる。
【0017】
この構成では、第一保持部が、第一装着部よりも鉛直方向における上方かつ第二装着部よりも鉛直方向における上方に配置され、第二保持部が、第一装着部よりも鉛直方向における下方、かつ第二装着部よりも鉛直方向における下方に配置されている給糸装置において、両装着部に支持されている給糸パッケージにおける糸の巻回方向及び解舒されている給糸パッケージの取付位置に応じて、両給糸パッケージ間の糸に、局所的な負荷が掛かったり、両給糸パッケージ間の糸が周辺部品に接触したりしないような適切な保持部(第一保持部又は第二保持部)に両給糸パッケージ間の糸が保持されるようになる。この結果、給糸パッケージの解舒時又は切替時に不具合が発生することを抑制できる。また、この構成では、第一給糸パッケージから引き出される糸及び第二給糸パッケージから引き出される糸の、第一保持部及び第二保持部による保持状態を互いに揃えることができる。また、この構成では、第一給糸パッケージの糸端と第二給糸パッケージの糸端同士を接続する処理と、給糸パッケージ同士が接続された糸の一部を第一保持部及び第二保持部に保持させる糸掛処理とを、作業者の手を介さずに実行させることができる。これにより、糸継処理及び糸掛処理に要する作業者の負担を軽減できる。
【0018】
本発明の一側面に係る給糸装置は、給糸スタンドと、糸継処理装置と、弛み調整機構と、を備える給糸装置であって、給糸スタンドは、糸がボビンに巻回された第一給糸パッケージが装着される第一装着部と、糸がボビンに巻回された第二給糸パッケージが装着される第二装着部と、第一給糸パッケージの内層側の糸端に第二給糸パッケージの外層側の糸端が接続された状態で、第一給糸パッケージの外層側から解舒される糸、又は、第二給糸パッケージの内層側の糸端に第一給糸パッケージの外層側の糸端が接続された状態で、第二給糸パッケージの外層側から解舒される糸を糸加工装置に案内する案内部と、第一給糸パッケージの内層側の糸端と第二給糸パッケージの外層側の糸端とが接続された状態において、両給糸パッケージ間の糸の一部を保持する第一保持部と、第二給糸パッケージの内層側の糸端と第一給糸パッケージの外層側の糸端とが接続された状態において、両給糸パッケージ間の糸の一部を保持する第二保持部と、を備え、第一装着部と第二装着部との間に案内部が位置するように、かつ案内部よりも後方に糸加工装置が位置するように見た正面視において、第一装着部と第二装着部とを通る直線を仮想的に装着部線として設定したとき、第一保持部及び第二保持部の一方は、正面視において装着部線を境界として分断される一方側の領域に配置されると共に、第一保持部及び第二保持部の他方は、装着部線を境界として分断される他方側の領域に配置されており、正面視において、第一保持部と第二保持部とを通る直線を仮想的に保持部線として設定したとき、第一装着部及び第二装着部の一方は、正面視において、保持部線を境界として分断される一方側の領域に配置されると共に、第一装着部及び第二装着部の他方は、保持部線を境界として分断される他方側の領域に配置されており、第一保持部は、第二装着部よりも第一装着部に近い位置に配置される第一装着部用第一保持部と、第一装着部よりも第二装着部に近い位置に配置される第二装着部用第一保持部と、を有し、第二保持部は、第二装着部よりも第一装着部に近い位置に配置される第一装着部用第二保持部と、第一装着部よりも第二装着部に近い位置に配置される第二装着部用第二保持部と、を有し、糸継処理装置は、第一装着部に装着された第一給糸パッケージの糸端と、第二装着部に装着された第二給糸パッケージの糸端とを接続すると共に、第一装着部用第一保持部と第二装着部用第一保持部との両方、又は、第一装着部用第二保持部と第二装着部用第二保持部との両方に、接続された糸の一部が保持された状態とし、弛み調整機構は、第一装着部用第一保持部と第二装着部用第一保持部との間の糸の長さを調整することによって、第一装着部用第一保持部と第一給糸パッケージとの間の糸及び第二装着部用第一保持部と第二給糸パッケージとの間の糸の少なくとも一方の弛みをとる、又は、第一装着部用第二保持部と第二装着部用第二保持部との間の糸の長さを調整することによって、第一装着部用第二保持部と第一給糸パッケージとの間の糸及び第二装着部用第二保持部と第二給糸パッケージとの間の糸の少なくとも一方の弛みをとる。
【0019】
この構成では、第一保持部が、第一装着部よりも鉛直方向における上方かつ第二装着部よりも鉛直方向における上方に配置され、第二保持部が、第一装着部よりも鉛直方向における下方、かつ第二装着部よりも鉛直方向における下方に配置されている給糸装置において、両装着部に支持されている給糸パッケージにおける糸の巻回方向及び解舒されている給糸パッケージの取付位置に応じて、両給糸パッケージ間の糸に、局所的な負荷が掛かったり、両給糸パッケージ間の糸が周辺部品に接触したりしないような適切な保持部(第一保持部又は第二保持部)に両給糸パッケージ間の糸が保持されるようになる。この結果、給糸パッケージの解舒時又は切替時に不具合が発生することを抑制できる。この構成では、第一給糸パッケージから引き出される糸であるか、第二給糸パッケージから引き出される糸であるかに応じて、より適切な状態で両給糸パッケージ間の糸を保持することができる。これにより、給糸パッケージの解舒時又は切替時に不具合が発生することをより確実に抑制できる。また、この構成では、第一給糸パッケージの糸端と第二給糸パッケージの糸端同士を接続する処理と、給糸パッケージ同士が接続された糸の一部を第一保持部として設けられる各保持部及び第二保持部として設けられる各保持部に保持させる糸掛処理とを、作業者の手を介さずに実行させることができる。これにより、糸継処理及び糸掛処理に要する作業者の負担を軽減できる。
【0020】
本発明の一側面に係る給糸装置は、第一装着部に装着された第一給糸パッケージを第一装着部の延在方向を回転軸として回転させると共に第二装着部に装着された第二給糸パッケージを第二装着部の延在方向を回転軸として回転させる給糸パッケージ回転装置を更に備え、給糸パッケージ回転装置は、第一給糸パッケージ及び第二給糸パッケージの少なくとも一方を回転させることによって、第一保持部に保持された糸又は第二保持部に保持された糸の弛みをとってもよい。
【0021】
この構成では、第一給糸パッケージの糸端と第二給糸パッケージの糸端同士を接続する処理と、給糸パッケージ同士が接続された糸の一部を第一保持部及び第二保持部に保持させる糸掛処理とを、作業者の手を介さずに実行させることができる。これにより、糸継処理及び糸掛処理に要する作業者の負担を軽減できる。
【0022】
本発明の一側面に係る給糸装置は、第一装着部用第一保持部と第二装着部用第一保持部との間の糸の長さを調整することによって、第一装着部用第一保持部と第一給糸パッケージとの間の糸及び第二装着部用第一保持部と第二給糸パッケージとの間の糸の少なくとも一方の弛みをとる、又は、第一装着部用第二保持部と第二装着部用第二保持部との間の糸の長さを調整することによって、第一装着部用第二保持部と第一給糸パッケージとの間の糸及び第二装着部用第二保持部と第二給糸パッケージとの間の糸の少なくとも一方の弛みをとる弛み調整機構を更に備えてもよい。
【0023】
この構成では、第一給糸パッケージの糸端と第二給糸パッケージの糸端同士を接続する処理と、給糸パッケージ同士が接続された糸の一部を第一保持部として設けられる各保持部及び第二保持部として設けられる各保持部に保持させる糸掛処理とを、作業者の手を介さずに実行させることができる。これにより、糸継処理及び糸掛処理に要する作業者の負担を軽減できる。
【0024】
本発明の一側面に係る給糸スタンドは、糸がボビンに巻回された第一給糸パッケージが装着される第一装着部と、糸がボビンに巻回された第二給糸パッケージが装着される第二装着部と、第一給糸パッケージの内層側の糸端に第二給糸パッケージの外層側の糸端が接続された状態で、第一給糸パッケージの外層側から解舒される糸、又は、第二給糸パッケージの内層側の糸端に第一給糸パッケージの外層側の糸端が接続された状態で、第二給糸パッケージの外層側から解舒される糸を糸加工装置に案内する案内部と、第一給糸パッケージの内層側の糸端と第二給糸パッケージの外層側の糸端とが接続された状態において、両給糸パッケージ間の糸の一部を保持する第一保持部と、第二給糸パッケージの内層側の糸端と第一給糸パッケージの外層側の糸端とが接続された状態において、両給糸パッケージ間の糸の一部を保持する第二保持部と、を備え、第一装着部と第二装着部との間に案内部が位置するように、かつ案内部よりも後方に糸加工装置が位置するように見た正面視において、第一装着部と第二装着部とを通る直線を仮想的に装着部線として設定したとき、第一保持部及び第二保持部の一方は、正面視において装着部線を境界として分断される一方側の領域に配置されると共に、第一保持部及び第二保持部の他方は、装着部線を境界として分断される他方側の領域に配置されており、正面視において、第一保持部と第二保持部とを通る直線を仮想的に保持部線として設定したとき、第一装着部及び第二装着部の一方は、正面視において、保持部線を境界として分断される一方側の領域に配置されると共に、第一装着部及び第二装着部の他方は、保持部線を境界として分断される他方側の領域に配置されており、第一保持部は、第二装着部よりも第一装着部に近い位置に配置される第一装着部用第一保持部と、第一装着部よりも第二装着部に近い位置に配置される第二装着部用第一保持部と、を有し、第二保持部は、第二装着部よりも第一装着部に近い位置に配置される第一装着部用第二保持部と、第一装着部よりも第二装着部に近い位置に配置される第二装着部用第二保持部と、を有する。
【0025】
この構成では、第一保持部及び第二保持部は、正面視において、装着部線を境界として分断される領域の一方側と他方側とにそれぞれ配置されている。これにより、切り替わり後の(予備となる)給糸パッケージから引き出される糸の位置に応じて、両給糸パッケージ間の糸を保持させる保持部(第一保持部又は第二保持部)が選択できるので、状況ごとに適切な状態で両給糸パッケージ間の糸を保持させることができる。この結果、給糸パッケージの解舒時又は切替時に不具合が発生することを抑制できる。また、この構成では、第一給糸パッケージから引き出される糸であるか、第二給糸パッケージから引き出される糸であるかに応じて、より適切な状態で両給糸パッケージ間の糸を保持することができる。これにより、給糸パッケージの解舒時又は切替時に不具合が発生することをより確実に抑制できる。
【0026】
本発明の一側面に係る給糸スタンドは、第一保持部及び第二保持部が互いに重なるように見た平面視において、案内部、第一保持部及び第二保持部を通る直線を仮想的に案内部・保持部線と設定したとき、第一装着部と第二装着部とは、案内部・保持部線に対して線対称に配置されてもよい。この構成では、第一給糸パッケージから引き出される糸及び第二給糸パッケージから引き出される糸の、第一保持部及び第二保持部による保持状態を互いに揃えることができる。
【0027】
本発明の一側面に係る給糸スタンドは、装着部線は、水平方向に沿う方向であり、保持部線は、鉛直方向に沿う方向であってもよい。この構成では、第一保持部及び第二保持部の一方は、第一装着部よりも鉛直方向における上方かつ第二装着部よりも鉛直方向における上方に配置され、第一保持部及び第二保持部の他方は、第一装着部よりも鉛直方向における下方かつ第二装着部よりも鉛直方向における下方に配置されている。これにより、切り替わり後の(予備となる)給糸パッケージから引き出される糸の位置に応じて、両給糸パッケージ間の糸を保持させる保持部(第一保持部又は第二保持部)が選択できるので、状況ごとに適切な状態で両給糸パッケージ間の糸を保持させることができる。この結果、給糸パッケージの解舒時又は切替時に不具合が発生することを抑制できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一側面によれば、給糸パッケージの解舒時又は切替時に不具合が発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る仮撚加工装置及びパッケージ交換装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、アダプタが取り付けられた給糸パッケージを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、クリールスタンドを示す斜視図である。
【
図4】
図4は、クリールスタンドにおける一対のペッグを拡大して示した斜視図である。
【
図6】
図6(A)は、クリールスタンドにおける正面視を説明する図である。
図6(B)は、クリールスタンドにおける平面視を説明する図である。
図6(C)は、クリールスタンドにおける側面視を説明する図である。
【
図8】
図8は、パッケージ交換装置を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、交換ユニットの概略構成を示す図である。
【
図12】
図12は、糸継処理装置を含むパッケージ交換装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図16】
図16は、変形例に係るクリールスタンドにおける一対のペッグを拡大して示した斜視図である。
【
図17】
図17(A)及び
図17(B)は、変形例に係る糸継処理装置の一連の動作を示す斜視図である。
【
図18】
図18(A)及び
図18(B)は、変形例に係る糸継処理装置の一連の動作を示す斜視図である。
【
図19】
図19は、変形例に係る糸継処理装置の一連の動作を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、一実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0031】
給糸装置100は、
図1に示されるように、クリールスタンド(給糸スタンド)20と、糸継処理装置9Aと、を備えている。クリールスタンド20は、仮撚加工装置1に設けられている。一実施形態の糸継処理装置9Aは、パッケージ交換装置9に搭載されている。糸継処理装置9Aは、後段にて詳述する糸継装置60と制御部94とを含んで構成されている(
図1及び
図11参照)。以下の説明において、図中に示す「Z方向」は鉛直方向(上下方向)であり、「X方向」は水平方向であり、「Y方向」は「X方向」に直交する水平方向であり、X方向及びZ方向の両方に直交する方向でもある。
【0032】
図1に示される仮撚加工装置1は、複数の給糸パッケージPから供給される糸(合繊糸)Yに加工を施し、巻取パッケージを製造する。糸Yは、例えば、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性の合成繊維からなる合繊糸である。給糸パッケージPは、給糸ボビン(ボビン)Bに半延伸糸(POY:Partially Oriented Yarn)が巻き取られて形成される。巻取パッケージは、巻取ボビンに延伸加工糸(DTY:Draw Textured Yarn)が巻き取られて形成される。すなわち、仮撚加工装置1は、半延伸糸である糸Yに加工を施して延伸加工糸を生成する。
【0033】
図2に示されるように、給糸パッケージPには、アダプタ8が取り付けられている。アダプタ8は、給糸パッケージPの給糸ボビンBの端部に、同期回転可能に装着されている。アダプタ8は、円筒状に形成されている。アダプタ8には、給糸パッケージPの外層側(口糸側)の糸Yの糸端(以下、外層側の糸Yの糸端を「第一糸端Y1」とも称する)を進入させて保持する保持孔部81が形成されている。なお、給糸パッケージPの内層側(尻糸側)の糸Yの糸端を、以下の説明では、「第二糸端Y2」とも称する。
【0034】
図1に示されるように、仮撚加工装置1は、給糸部2と、加工部(糸加工装置)3と、を備えている。後述する給糸部2及び加工部3が有する各構成は、給糸部2から加工部3に至る糸道が配置される糸Yの走行面(
図1の紙面)と直交するY方向(機台長手方向)において、複数配列されている。
【0035】
給糸部2は、加工部3に糸Yを供給する。給糸部2は、複数の給糸パッケージPを保持するクリールスタンド20を備えている。
図1及び
図3に示されるように、クリールスタンド20は、クリール基台部21と、第一支柱22と、第二支柱23と、仕切板24と、ペッグ(第一装着部・第二装着部)25と、案内部26と、一対のクリップ27,27と、を備えている。クリール基台部21は、床面等に設置され、第一支柱22及び第二支柱23を支持する。第一支柱22及び第二支柱23は、クリール基台部21に立設されている。
【0036】
第一支柱22は、Z方向(鉛直方向)に沿って延在している。第一支柱22は、Y方向に等間隔に配列されている。第一支柱22は、クリールスタンド20におけるX方向における後方側F1に配置されている。X方向における後方側F1は、加工部3が配置される側であり、仮撚加工を施す加工部3に糸Yを送り出す側である。
【0037】
第二支柱23は、Z方向に沿って延在している。第二支柱23は、Y方向に二本一組で配置されており、複数の組の第二支柱23,23が、Y方向に配列されている。第二支柱23は、クリールスタンド20におけるX方向における前方側F2に配置されている。X方向における前方側F2は、後段にて詳述するパッケージ交換装置9が走行する側であり、糸継作業を実施する作業者が作業する側である。複数の第一支柱22からなる第一支柱22群と複数の第二支柱23からなる第二支柱23群とは、X方向に対向して配列されている。
【0038】
仕切板24は、第一支柱22と第二支柱23とに跨がるように設けられている。仕切板24は、板状部材であり、Z方向において、所定の間隔をあけて配置されている。仕切板24は、ペッグ25からの給糸パッケージPの落下を防止する。
【0039】
ペッグ25は、給糸パッケージPを支持する。ペッグ25は、第二支柱23に設けられている。ペッグ25は、第二支柱23のZ方向において、所定の間隔をあけて複数(例えば、4個)配置されている。ペッグ25は、Z方向において二枚の仕切板24の間に配置されている。また、ペッグ25は、二本一組で配置される第二支柱23,23に対応して二個一組で配置されており、複数の組(一対)のペッグ25,25が、Y方向に配列されている。
【0040】
この構成のペッグ25では、一対の一方のペッグ25に支持される給糸パッケージPの糸Yと、一対の他方のペッグ25に支持されている給糸パッケージPの糸Yとを繋ぐことができる。具体的には、一対の一方のペッグ25に支持されている給糸パッケージPの第一糸端Y1と、一対の他方のペッグ25に支持されている給糸パッケージPの第二糸端Y2とを繋ぐか、又は、一対の一方のペッグ25に支持されている給糸パッケージPの第二糸端Y2と、一対の他方のペッグ25に支持されている給糸パッケージPの第一糸端Y1とを繋ぐ。これにより、一対のペッグ25,25にそれぞれ支持される二個の給糸パッケージP,Pから一本の糸Yが供給される。すなわち、加工部3に連続的に糸Yを供給することができる。
【0041】
以下、説明の便宜のため、一対のペッグ25,25の一方を第一ペッグ(第一装着部)25Aと称し、一対のペッグ25,25の他方を第二ペッグ(第二装着部)25Bと称する。また、第一ペッグ25Aに装着される給糸パッケージPを第一給糸パッケージPAと称し、第二ペッグ25Bに装着される給糸パッケージPを第二給糸パッケージPBと称する。
【0042】
案内部26は、第一給糸パッケージPAの第二糸端Y2に第二給糸パッケージPBの第一糸端Y1が接続された状態(
図4に示される状態)で、第一給糸パッケージPAの外層側から解舒される糸Y、又は、第二給糸パッケージPBの第二糸端Y2に第一給糸パッケージPAの第一糸端Y1が接続された状態で、第二給糸パッケージPBの外層側から解舒される糸Yを、加工部3に案内する。案内部26は、仕切板24のX方向における後方側F1の一部に固定されると共にZ軸方向に延在する板状部材26Aに形成される長孔26Bによって構成される。なお、
図4及び
図16では、第一給糸パッケージPAの外層側から解舒される糸Yが案内部26を通って加工部3に案内されている状態の糸Yの図示を省略している。
【0043】
一対のクリップ27,27は、第一給糸パッケージPAの第二糸端Y2と第二給糸パッケージPBの第一糸端Y1とが接続された状態の糸Yの一部、又は、第二給糸パッケージPBの第二糸端Y2と第一給糸パッケージPAの第一糸端Y1とが接続された状態の糸Yの一部を保持する。一対のクリップ27,27について、以下、一対のクリップ27,27の一方を第一クリップ(第一保持部)28と称し、一対のクリップ27,27の他方を第二クリップ(第二保持部)29と称する。
【0044】
ここで、
図6(A)に示されるように、第一ペッグ25Aと第二ペッグ25Bとの間に案内部26が位置するように、かつ案内部26よりも後方に加工部3が位置するように、クリールスタンド20を見ることを正面視と定義する。クリールスタンド20は、正面視において、第一ペッグ25Aは案内部26の左側に配置され、第二ペッグ25Bは案内部26の右側に配置され、第一クリップ28は案内部26の上側に配置され、第二クリップ29は案内部26の下側に配置されている。
【0045】
図4及び
図5に示されるように、第一クリップ28及び第二クリップ29は、仕切板24に固定された第一取付金具24Aに取り付けられた第二取付金具24Bを介して仕切板24に固定されている。第一クリップ28及び第二クリップ29は、一対の皿板281(291),282(292)と、弾性部材283(293)と、軸部284(294)と、を有している。一対の皿板281(291),282(292)は、軸部284(294)の延在方向に所定範囲内で移動可能に設けられており、弾性部材283(293)によって第二取付金具24B側に付勢されている。糸Yは、一対の皿板281(291),282(292)の間に配置されると、一対の皿板281(291),282(292)に挟持され、糸Yが係止される構成となっている。なお、弾性部材283(293)の弾性力は、作業者が糸Yを引っ張ると一対の皿板281(291),282(292)による係止が外れるように適宜選択又は調整される。
【0046】
第一クリップ28及び第二クリップ29の構成は、上記の構成に限定されるものではなく、糸Yを保持できる構成であればよい。例えば、上述した一対の皿板281(291),282(292)を付勢する弾性部材283(293)は必須ではなく、皿板281(291),282(292)の自重によって糸Yを保持する構成であってもよい。
【0047】
図4及び
図6(A)に示されるように、クリールスタンド20を正面視したとき、第一クリップ28及び第二クリップ29は、水平方向において第一ペッグ25Aと第二ペッグ25Bとの間に配置されると共に、鉛直方向において第一ペッグ25A及び第二ペッグ25Bの両方を挟むように配置されている。第一クリップ28及び第二クリップ29は、満巻の第一給糸パッケージPAが第一ペッグ25Aに装着されると共に、満巻の第二給糸パッケージPBが第二ペッグ25Bに装着されたと仮定したときに、満巻の第一給糸パッケージPA及び満巻の第二給糸パッケージPBを鉛直方向に挟むように配置されている。すなわち、第一クリップ28は、鉛直方向において満巻の第一給糸パッケージPAの外縁よりも上方に配置されており、第二クリップ29は、満巻の第二給糸パッケージPBの外縁よりも下方に配置されている。
【0048】
以下、第一クリップ28及び第二クリップ29の配置位置について更に詳細に説明する。
図6(A)に示される正面視において、第一ペッグ25Aと第二ペッグ25Bとを通る直線を仮想的に装着部線L1として設定する。このとき、第一クリップ28及び第二クリップ29の一方は、正面視において装着部線L1を境界として分断される一方側の領域に配置されると共に、第一クリップ28及び第二クリップ29の他方は、装着部線L1を境界として分断される他方側の領域に配置されている。本実施形態では、装着部線L1は、水平方向に沿う方向に延在しており、第一クリップ28は、正面視において装着部線L1を境界として分断される上方側の領域A1に配置されると共に、第二クリップ29は、装着部線L1を境界として分断される下方側の領域A2に配置されている。
【0049】
また、ここで、正面視したときに、第一クリップ28と第二クリップ29とを通る直線を仮想的に保持部線L2として設定する。このとき、第一ペッグ25A及び第二ペッグ25Bの一方は、正面視において、保持部線L2を境界として分断される一方側の領域に配置されると共に、第一ペッグ25A及び第二ペッグ25Bの他方は、保持部線L2を境界として分断される他方側の領域に配置されている。本実施形態では、保持部線L2は、鉛直方向に沿う方向に延在しており、第一ペッグ25Aは、正面視において、保持部線L2を境界として分断される左側の領域A3に配置されると共に、第二ペッグ25Bは、保持部線L2を境界として分断される右側の領域A4に配置されている。
【0050】
なお、ここでいう第一ペッグ25Aと第二ペッグ25Bとを通る直線とは、正面視において、第一ペッグ25Aが第一給糸パッケージPAを支持する点と第二ペッグ25Bが第二給糸パッケージPBを支持する点とを通る直線である。第一ペッグ25Aが第一給糸パッケージPAを支持する点とは、第一ペッグ25Aの一部分であり、例えば、後段にて詳述する二本の給糸パッケージ支持部251,251の間部分とすることができる。また、第二ペッグ25Bが第二給糸パッケージPBを支持する点とは、第二ペッグ25Bの一部分であり、例えば、後段にて詳述する二本の給糸パッケージ支持部251,251の間部分とすることができる。また、第一クリップ28と第二クリップ29とを通る直線とは、第一クリップ28の一部分と第二クリップ29の一部分とを通る直線である。第一クリップ28の一部分とは、例えば、軸部284の位置である。第二クリップ29の一部分とは、例えば、軸部294の位置である。
【0051】
本実施形態では、正面視において、第一クリップ28は、第一ペッグ25Aに装着された満巻の第一給糸パッケージPAの外縁よりも装着部線L1から離れた位置に配置されており、かつ第二ペッグ25Bに装着された満巻の第二給糸パッケージPBの外縁よりも装着部線L1から離れた位置に配置されている。第二クリップ29は、第一ペッグ25Aに装着された満巻の第一給糸パッケージPAの外縁よりも装着部線L1から離れた位置に配置されており、かつ第二ペッグ25Bに装着された満巻の第二給糸パッケージPBの外縁よりも装着部線L1から離れた位置に配置されている。
【0052】
図6(B)に示されるように、鉛直方向(Z方向上方)から見た平面視において、第一クリップ28と第二クリップ29とは、互いに重なるように配置されている。このような平面視において、案内部26、第一クリップ28及び第二クリップ29を通る直線を仮想的に案内部・保持部線L3と設定する。本実施形態では、第一ペッグ25Aと第二ペッグ25Bとは、案内部・保持部線L3に対して線対称に配置されている。
【0053】
図6(C)に示されるように、Y方向左側から見た側面視において、第一ペッグ25Aと第二ペッグ25Bとは、互いに重なるように配置されている。このような側面視において、案内部26、第一ペッグ25A及び第二ペッグ25Bを通る直線を仮想的に案内部・装着部線L4と設定する。本実施形態では、第一クリップ28と第二クリップ29とは、案内部・装着部線L4に対して線対称に配置されている。
【0054】
以上で説明した配置関係にある第一クリップ28及び第二クリップ29は、第一給糸パッケージPAの第二糸端Y2と第二給糸パッケージPBの第一糸端Y1とが接続された状態の糸Yの一部、又は、第二給糸パッケージPBの第二糸端Y2と第一給糸パッケージPAの第一糸端Y1とが接続された状態の糸Yの一部を保持する。
【0055】
本実施形態のクリールスタンド20は、一対のペッグ25(すなわち第一ペッグ25A及び第二ペッグ25B)に対して、一対のクリップ27,27(すなわち上述したような第一クリップ28及び第二クリップ29)が設けられている点に一つの特徴がある。具体的には、本実施形態のクリールスタンド20は、第一給糸パッケージPA及び第二給糸パッケージPBにおける糸Yの巻回方向(すなわち、時計回り又は反時計回り)と、第一給糸パッケージPAの糸Yと第二給糸パッケージPBの糸Yとの接続状態(すなわち、第一給糸パッケージPAの第二糸端Y2と第二給糸パッケージPBの第一糸端Y1とが接続された状態の糸Yの一部、又は、第二給糸パッケージPBの第二糸端Y2と第一給糸パッケージPAの第一糸端Y1とが接続された状態の糸Yの一部)と、に応じて、保持される糸Yが決定される第一クリップ28及び第二クリップ29が設けられている点に一つの特徴がある。以下、
図4を用いて詳細に説明する。
【0056】
(A)正面視において、給糸パッケージPの糸Yが反時計回りに巻回されている場合
第一クリップ28は、第二給糸パッケージPBに巻回されている糸Yが解舒されているとき、第二給糸パッケージPBの第二糸端Y2と第一給糸パッケージPAの第一糸端Y1とが接続された状態の糸Y(
図4で示される破線の糸Y)の一部を保持する。第二クリップ29は、第一給糸パッケージPAに巻回されている糸Yが解舒されているとき、第一給糸パッケージPAの第二糸端Y2と第二給糸パッケージPBの第一糸端Y1とが接続された状態の糸Y(
図4で示される実線の糸Y)の一部を保持する。
【0057】
(B)正面視において、給糸パッケージPの糸Yが時計回りに巻回されている場合
第一クリップ28は、第一給糸パッケージPAに巻回されている糸Yが解舒されているとき、第一給糸パッケージPAの第二糸端Y2と第二給糸パッケージPBの第一糸端Y1とが接続された状態の糸Y(図示省略)の一部を保持する。第二クリップ29は、第二給糸パッケージPBに巻回されている糸Yが解舒されているとき、第二給糸パッケージPBの第二糸端Y2と第一給糸パッケージPAの第一糸端Y1とが接続された状態の糸Y(図示省略)の一部を保持する。
【0058】
下記の表1は、上記巻回方向と上記接続状態とに応じて決定される、接続された状態の糸Yを保持されるクリップ27(第一クリップ28又は第二クリップ29)を示す表である。
【表1】
【0059】
図4において破線の糸Yで示されるように、第一クリップ28は、第二給糸パッケージPBから糸Yが解舒されるときに、満巻の第一給糸パッケージPAの外縁と第二クリップ29との間の糸Yのなす角度θ1が、装着部線L1に平行な線(すなわち水平方向)に対して30度以上とならないように配置されている。
図4において実線の糸Yで示されるように、第二クリップ29は、第一給糸パッケージPAから糸Yが解舒されるときに、満巻の第二給糸パッケージPBの外縁と第二クリップ29との間の糸Yのなす角度θ2が、装着部線L1に平行な線(すなわち水平方向)に対して30度以上とならないように配置されている。これにより、第一クリップ28及び第二クリップ29による保持状態が変化することを抑制できるので、第一クリップ28及び第二クリップ29に、安定的に糸Yを保持させることができる。
【0060】
図7に示されるように、ペッグ25は、給糸パッケージ支持部251と、ペッグ本体部252と、第一回動機構253と、本体支持部254と、第二回動機構255と、を有している。
【0061】
給糸パッケージ支持部251は、給糸パッケージPを支持する。給糸パッケージ支持部251は、パッケージ支持部材251A,251Bを有している。パッケージ支持部材251A,251Bは、棒状部材である。パッケージ支持部材251Aは、パッケージ支持部材251Aの延在方向を回転軸として、ペッグ本体部252に回転可能に支持されている。パッケージ支持部材251Bは、パッケージ支持部材251Bの延在方向を回転軸として、ペッグ本体部252に回転可能に支持されている。パッケージ支持部材251A,251Bは、一方向に沿って延在していると共に互いに平行となるように、所定の間隔をあけて配置されている。ペッグ25は、パッケージ支持部材251A,251Bによって、給糸パッケージPを二点で支持する。
【0062】
パッケージ支持部材251Aの延在方向の一端部には、被覆部251Dが設けられている。パッケージ支持部材251Bの延在方向の一端部には、被覆部251Eが設けられている。被覆部251D,251Eは、例えば、摩擦係数が大きいゴム(樹脂)等で形成されている。被覆部251D,251Eは、給糸パッケージPの給糸ボビンBの内周面と接触(当接)する。パッケージ支持部材251Aの一端とパッケージ支持部材251Bの一端とは、連結部材251Fによって連結されている。
【0063】
ペッグ本体部252は、パッケージ支持部材251Aをパッケージ支持部材251Aの延在方向を回転軸として回転可能に支持すると共に、パッケージ支持部材251Bをパッケージ支持部材251Bの延在方向を回転軸として回転可能に支持している。ペッグ本体部252は、規制部材252Aが設けられている。規制部材252Aは、例えば、円盤状に形成されている。規制部材252Aは、ペッグ本体部252の一側面に配置されている。規制部材252Aは、パッケージ支持部材251A及びパッケージ支持部材251Bを挿通させて取り付けられている。規制部材252Aは、給糸パッケージPの端面と対向し、パッケージ支持部材251A及びパッケージ支持部材251Bの延在方向における給糸パッケージPの移動を規制する。ペッグ本体部252には、挿通穴252Bが形成されている。挿通穴252Bには、クリールスタンド20の第二支柱23(
図3参照)が挿通される。
【0064】
第一回動機構253は、従動プーリ253Aと、駆動プーリ253Bと、動力伝達ベルト253Cと、第一ホイール253Dと、を有している。従動プーリ253Aは、パッケージ支持部材251Aの他端に設けられている。駆動プーリ253Bは、パッケージ支持部材251Bの他端に設けられている。動力伝達ベルト253Cは、従動プーリ253A及び駆動プーリ253Bに掛け渡されている。第一ホイール253Dは、駆動プーリ253B(パッケージ支持部材251B)に設けられている。本実施形態では、第一ホイール253Dは、ゼネバ機構を構成するゼネバホイールである。第一ホイール253Dは、後述する糸継装置60の第一糸継ドライバ621又は第二糸継ドライバ631の回転駆動によって、パッケージ支持部材251Bの延在方向を回転軸として回転する。
【0065】
本体支持部254は、筒状に形成されている。本体支持部254の一端はペッグ本体部252に接続されており、本体支持部254とペッグ本体部252とは、一体的に形成されている。本体支持部254の中空部は、ペッグ本体部252の挿通穴252Bと連通している。本体支持部254には、クリールスタンド20の第二支柱23(
図3参照)が内挿されている。
【0066】
第二回動機構255は、ゼネバ機構を構成するゼネバホイールである。第二回動機構255は、本体支持部254の他端に接続されており、第二回動機構255と本体支持部254とは、一体的に形成されている。第二回動機構255は、後述する回動装置932の回動ドライバ932Aの駆動によって回動する。ペッグ本体部252は、第二回動機構255の回動に伴って第二支柱23を回動軸として回動する。これにより、パッケージ支持部材251A,251Bが、第二支柱23を回動軸として回動する。
【0067】
加工部3は、複数の給糸パッケージPから供給された糸Yに仮撚加工を施し、加工した糸を巻取ボビンに巻き取って巻取パッケージを形成する。
【0068】
パッケージ交換装置9は、ペッグ25から給糸ボビンBを回収すると共に、ペッグ25に給糸パッケージPを取り付ける。
図8に示されるように、パッケージ交換装置9は、レール98に沿って走行する。レール98は、床に敷設されており、Y方向に沿って延在している。すなわち、パッケージ交換装置9は、Y方向に沿って走行可能に設けられている。パッケージ交換装置9は、走行ユニット90と、昇降ユニット91と、保持ユニット92と、交換ユニット93と、糸継装置60と、各ユニット90,91,92,93及び糸継装置60の動作を制御する制御部94(
図12参照)と、を備えている。
【0069】
走行ユニット90は、レール98を走行する車輪及び駆動機構等が設けられている。走行ユニット90は、昇降ユニット91、保持ユニット92及び交換ユニット93を支持する。昇降ユニット91は、作業者を搭乗させて昇降する。昇降ユニット91は、メンテナンス等の際に使用される。昇降ユニット91は、作業者が搭乗する作業台911と、作業台911をZ方向に移動可能に支持するガイド部912と、作業台を駆動する駆動機構(図示省略)と、を備える。
【0070】
保持ユニット92は、複数(例えば、4個)の給糸パッケージPを保持する。保持ユニット92は、パッケージ補給装置(図示省略)から給糸パッケージPの供給を受けて給糸パッケージPを一時的に保管すると共に、交換ユニット93に給糸パッケージPを供給する。保持ユニット92は、略90°の範囲で回動可能に設けられている。より詳細には、保持ユニット92は、パッケージ補給装置から給糸パッケージPの供給を受ける補給位置と、交換ユニット93に給糸パッケージPを供給する供給位置(
図8に示す位置)との間で回動可能に設けられている。
【0071】
交換ユニット93は、ペッグ25において給糸ボビンBと給糸パッケージPとの交換を行う。具体的には、交換ユニット93は、ペッグ25から給糸ボビンBを回収すると共に、ペッグ25に給糸パッケージPを取り付ける。交換ユニット93は、保持ユニット92と隣接して設けられている。
図9に示されるように、交換ユニット93は、基台931と、回動装置932と、回収装置933と、供給装置934と、回転台936と、を備えている。なお、
図8では、回動装置932、回収装置933、供給装置934、回転台936及び後段にて詳述する糸継装置60の記載は省略する。
【0072】
基台931は、回動装置932と、回収装置933、供給装置934及び糸継装置60を支持する回転台936と、を支持している。基台931は、Z方向に沿って昇降自在に設けられている。回動装置932は、基台931に固定されている。回動装置932は、第二支柱23を回動軸として、ペッグ25を回動させる(
図3参照)。回動装置932は、回動ドライバ932Aと、回動アーム932Bと、を有している。
【0073】
回動ドライバ932Aは、ペッグ25の第二回動機構255(
図7参照)を第二支柱23を回動軸として回動させる。回動ドライバ932Aは、ゼネバ機構を構成するゼネバドライバである。回動ドライバ932Aは、モータ(図示省略)の回転駆動によって回動する。回動アーム932Bは、回動ドライバ932Aを支持している。回動アーム932Bは、水平方向において揺動可能に設けられている。回動アーム932Bは、例えば、モータ又はエアシリンダ(図示省略)によって駆動される。回動装置932は、クリールスタンド20において二個一組で設けられる第一ペッグ25A及び第二ペッグ25Bにそれぞれ対応するように設けられている。
【0074】
回動装置932は、ペッグ25に給糸パッケージPを取り付けるときに、ペッグ25を回動させてペッグ25の向きを変更する。より詳細には、回動装置932は、回動アーム932Bを揺動させて、回動ドライバ932Aをペッグ25の第二回動機構255に係合させる。回動装置932は、回動ドライバ932Aと第二回動機構255とが係合させることによって、回動ドライバ932Aを一方向に回動させる。ペッグ25においては、第二回動機構255が第二支柱23を回動軸として回動すると、本体支持部254が第二支柱23を回動軸として回動する。これにより、ペッグ25が第二支柱23を回動軸として回動し、給糸パッケージ支持部251の先端部が交換ユニット93側を向く。
【0075】
回収装置933は、基台931に回転可能に支持された回転台936に設けられている。回収装置933は、ペッグ25から給糸ボビンBを回収する。回収装置933は、給糸ボビンBを支持する給糸ボビン支持部933Aを有している。回収装置933は、ペッグ25に対して給糸ボビンBを支持しない状態で給糸ボビン支持部933Aを進出させることにより給糸ボビンBを支持し、ペッグ25に対して給糸ボビンBを支持した状態で給糸ボビン支持部933Aを後退させることにより、給糸ボビンBをペッグ25から回収する。
【0076】
供給装置934は、基台931に回転可能に支持された回転台936に設けられている。供給装置934は、ペッグ25に給糸パッケージPを供給する。供給装置934は、給糸パッケージPを支持する給糸パッケージ供給部934Aを有している。供給装置934は、ペッグ25に対して給糸パッケージPを支持した状態で給糸パッケージ供給部934Aを進出することにより給糸パッケージPをペッグ25に取り付け、ペッグ25に対して給糸パッケージPを支持しない状態で給糸パッケージ供給部934Aを後退させることにより、給糸パッケージPをペッグ25に供給する。
【0077】
パッケージ交換装置9は、上述したペッグ25からの給糸ボビンBの回収及びペッグ25への給糸パッケージPの取り付けを行う他に、クリールスタンド20の一対のペッグ25,25に装着された一対の給糸パッケージP,Pの糸端同士を接続する(糸継処理)と共に、接続された糸Yがクリールスタンド20に設けられた第一クリップ28又は第二クリップ29に係止された状態とする(糸掛処理)。上記糸継処理及び糸掛処理は、糸継処理装置9Aによって実行される。糸継処理装置9Aは、糸継装置60と制御部94とを含んで構成される。
【0078】
糸継装置60は、基台931に回転可能に支持された回転台936に設けられている。糸継装置60は、第一ペッグ25Aに支持されている第一給糸パッケージPAの第一糸端Y1と、第二ペッグ25Bに支持されている第二給糸パッケージPBの第二糸端Y2との糸継ぎを行うか、又は、第一ペッグ25Aに支持されている第一給糸パッケージPAの第二糸端Y2と、第二ペッグ25Bに支持されている第二給糸パッケージPBの第一糸端Y1との糸継ぎを行う。
図10、
図11及び
図12に示されるように、糸継装置60は、糸掛機構61と、第一回転機構62及び第二回転機構63と、糸継機構64と、を備えている。
【0079】
糸掛機構61は、給糸パッケージPの糸Yを捕捉し、糸継機構64に糸Yを案内する。糸掛機構61は、第一給糸パッケージPAの第一糸端Y1と、第二給糸パッケージPBの第二糸端Y2とを捕捉し、糸継機構64に案内するか、又は、第一給糸パッケージPAの第二糸端Y2と、第二給糸パッケージPBの第一糸端Y1とを捕捉し、糸継機構64に案内する。糸掛機構61は、サクションガン611と、アーム部612と、を有している。
【0080】
サクションガン611は、糸Yを吸引して捕捉する。サクションガン611は、サクションパイプ613と、サクションノズル(吸引保持部)614と、を有している。サクションノズル614は、サクションパイプ613の先端部に設けられている。サクションノズル614は、糸Yを吸引する。サクションパイプ613には、負圧源(図示省略)が接続されている。これにより、サクションノズル614に吸引流が発生する。サクションパイプ613の基端側は、アーム部612に接続されている。サクションガン611は、糸継装置60によって交絡された(糸継ぎされた)糸Yを吸引保持しながら移動させる。アーム部612は、サクションガン611を移動させる。アーム部612は、リンク機構と、複数のモータと、を含んで構成されている。アーム部612は、ブラケット616に支持されている。
【0081】
第一回転機構62は、第一ペッグ25Aを操作して第一給糸パッケージPAを給糸パッケージ支持部251の延在方向を回転軸として回転させる。第一回転機構62は、糸掛機構61によって糸Yを糸継機構64に案内するときに、第一給糸パッケージPAを回転させて、第一給糸パッケージPAから糸Yを繰り出させる。第一回転機構62は、糸継機構64による糸継後の糸Yであって、第一クリップ28又は第二クリップ29に保持された状態の糸Yの弛みをとるために、第一給糸パッケージPAを回転させて、第一給糸パッケージPAに糸Yを巻き取る。
【0082】
第一回転機構62は、第一糸継ドライバ621と、第一モータ622と、第一アーム部623と、を有している。第一糸継ドライバ621は、第一アーム部623に回転自在に軸支されている。第一糸継ドライバ621には、第一従動プーリ624が設けられている。第一モータ622は、第一アーム部623に固定されている。第一モータ622の出力軸には、第一駆動プーリ625が接続されている。第一モータ622は、第一駆動プーリ625を軸回りに回転駆動する。第一従動プーリ624及び第一駆動プーリ625には、第一動力伝達ベルト626が掛け渡されている。これにより、第一糸継ドライバ621は、第一モータ622の回転駆動により回転する。
【0083】
第二回転機構63は、第二ペッグ25Bを操作して第二給糸パッケージPBを給糸パッケージ支持部251の延在方向を回転軸として回転させる。第二回転機構63は、糸掛機構61によって糸Yを糸継機構64に案内するときに、第二給糸パッケージPBを回転させて、第二給糸パッケージPBから糸Yを繰り出させる。第二回転機構63は、糸継機構64による糸継後の糸Yであって、第一クリップ28又は第二クリップ29に保持された状態の糸Yの弛みをとるために、第二給糸パッケージPBを回転させて、第二給糸パッケージPBに糸Yを巻き取る。
【0084】
第二回転機構63は、第二糸継ドライバ631と、第二モータ632と、第二アーム部633と、を有している。第二糸継ドライバ631は、第二アーム部633に回転自在に軸支されている。第二糸継ドライバ631には、第二従動プーリ634が設けられている。第二モータ632は、第二アーム部633に固定されている。第二モータ632の出力軸には、第二駆動プーリ635が接続されている。第二モータ632は、第二駆動プーリ635を軸回りに回転駆動する。第二従動プーリ634及び第二駆動プーリ635には、第二動力伝達ベルト636が掛け渡されている。これにより、第二糸継ドライバ631は、第二モータ632の回転駆動により回転する。
【0085】
糸継機構64は、糸継ぎを行う。糸継機構64は、スプライサ66と、第一ガイド機構67と、第二ガイド機構68と、を有している。
【0086】
スプライサ66は、糸継部661と、一対の挟持部662,663と、挟持部662に設けられるカッタ664と、挟持部663に設けられるカッタ665と、を備えている。糸継部661は、第一給糸パッケージPAの第一糸端Y1と第二給糸パッケージPBの第二糸端Y2とを交絡(接続)させるか、又は、第一給糸パッケージPAの第二糸端Y2と第二給糸パッケージPBの第一糸端Y1とを交絡(接続)させる。一対の挟持部662,663は、糸継部661を挟む位置に設けられている。一対の挟持部662,663は、糸継部661のチャンバーに挿通される糸Y(第一糸端Y1及び第二糸端Y2)を挟持する。カッタ664,665は、糸継部661によって糸継ぎされた糸Yの糸継部分から、例えば、サクションノズル614が吸引保持していた部分を含む余分な部分等を切断する。
【0087】
第一ガイド機構67は、糸Yを係止してガイドする。第一ガイド機構67は、揺動可能に設けられている。第一ガイド機構67には、糸Yの張力を検出するためのポテンショメータ(図示省略)が設けられている。糸継装置60は、ポテンショメータの検出結果に基づいて、第一回転機構(給糸パッケージ回転装置)62の第一モータ622の動作を制御する。すなわち、糸継装置60は、ポテンショメータの検出結果に基づいて、第一給糸パッケージPAの回転量(繰出量)を調整し、所定の張力で第一給糸パッケージPAから糸Yを引き出す。
【0088】
第二ガイド機構68は、糸Yを係止してガイドする。第二ガイド機構68は、揺動可能に設けられている。第二ガイド機構68には、糸Yの張力を検出するためのポテンショメータ(図示省略)が設けられている。糸継装置60は、ポテンショメータの検出結果に基づいて、第二回転機構(給糸パッケージ回転装置)63の第二モータ632の動作を制御する。すなわち、糸継装置60は、ポテンショメータの検出結果に基づいて、第二給糸パッケージPBの回転量(繰出量)を調整し、所定の張力で第二給糸パッケージPBから糸Yを引き出す。
【0089】
図9に示されるように、回転台936は、基台931に回転可能に支持されている。回転台936は、給糸ボビンBを回収するときに、給糸ボビン支持部933Aが対象となるペッグ25の正面に位置するように回転される。また、回転台936は、給糸パッケージPを供給するときに、給糸パッケージ供給部934Aが対象となるペッグ25の正面に位置するように回転される。また、回転台936は、糸継装置60による糸Yの糸継処理を行うときに、対象となるペッグ25の正面に位置するように回転される。
【0090】
図13に示される制御部94は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/Oポート及び通信ポート等からなる電子制御ユニットである。ROMには、走行ユニット90、昇降ユニット91、保持ユニット92及び交換ユニット93の各部を制御するためのプログラムが記録されている。また、制御部94における各機能は、CPU及び主記憶部等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPUの制御のもと実行される。本実施形態の制御部94は、糸継処理及びクリップ保持処理を実行するように、サクションノズル614、アーム部612、スプライサ66、第一回転機構62及び第二回転機構63を主に制御する。
【0091】
制御部94は、第一給糸パッケージPAに巻回されている糸Yが解舒されているとき、第一給糸パッケージPAの第二糸端Y2と、第二給糸パッケージPBの第一糸端Y1とをスプライサ66にセットした後、第二糸端Y2と第一糸端Y1とを糸継ぎする糸継動作を実行するように、アーム部612、サクションノズル614及びスプライサ66を制御する。制御部94は、このような糸継動作を実行する前に、第一給糸パッケージPAの第二糸端Y2と第一給糸パッケージPAの内縁との間の一部の糸Y、又は、第二給糸パッケージPBの第一糸端Y1と第二給糸パッケージPBの外縁との間の一部の糸Y、をクリップ27に保持させる糸掛動作を実行するように、アーム部612及びサクションノズル614を制御する。なお、糸Yを保持させるクリップ27が、第一クリップ28又は第二クリップ29のどちらであるかは、後段にて詳述する。
【0092】
制御部94は、第二給糸パッケージPBに巻回されている糸Yが解舒されているとき、第二給糸パッケージPBの第二糸端Y2と、第一給糸パッケージPAの第一糸端Y1とをスプライサ66にセットした後、第二糸端Y2と第一糸端Y1とを糸継ぎする糸継動作を実行するように、アーム部612、サクションノズル614及びスプライサ66を制御する。制御部94は、このような糸継動作を実行する前に、第二給糸パッケージPBの第二糸端Y2と第二給糸パッケージPBの内縁との間の一部の糸Y、又は、第一給糸パッケージPAの第一糸端Y1と第一給糸パッケージPAの外縁との間の一部の糸Y、をクリップ27に保持させる糸掛動作を実行するように、アーム部612及びサクションノズル614を制御する。なお、糸Yを保持させるクリップ27が、第一クリップ28又は第二クリップ29のどちらかであるかは、後段にて詳述する。
【0093】
なお、このような糸掛動作は、糸継動作の後に、糸継動作によって第二糸端Y2と第一糸端Y1とが接続された状態の糸Yの一部をクリップ27に保持させてもよい。
【0094】
次に、上記のクリールスタンド20において、第一給糸パッケージPAと第二給糸パッケージPBとの間で接続された糸Yを第一クリップ28又は第二クリップ29に保持させる保持方法(制御方法)について説明する。本実施形態の保持方法(制御方法)は、正面視において、第一ペッグ25Aが案内部26の左側に配置され、第二ペッグ25Bが案内部26の右側に配置され、第一クリップ28が案内部26の上側に配置され、第二クリップ29が案内部26の下側に配置された上記クリールスタンド20の構成において、下記に示される(1)第一シーンから(4)第四シーンごとに糸Yを保持させるクリップ27(第一クリップ28又は第二クリップ29)が決められている(異なっている)点に一つの特徴がある。
【0095】
(1)第一クリップ28は、第一給糸パッケージPAの糸Yは反時計回りに巻回され、第二給糸パッケージPBの糸Yは反時計回りに巻回されると共に、第二給糸パッケージPBに巻回されている糸Yが解舒されている第一シーンにおいて、第一給糸パッケージPAと第二給糸パッケージPBとの間で接続される糸Yを保持する。
(2)第一クリップ28は、第一給糸パッケージPAの糸Yが時計回りに巻回され、第二給糸パッケージPBの糸Yが時計回りに巻回されると共に、第一給糸パッケージPAに巻回されている糸Yが解舒されている第二シーンにおいて、第一給糸パッケージPAと第二給糸パッケージPBとの間で接続される糸Yを保持する。
【0096】
(3)第二クリップ29は、第一給糸パッケージPAの糸Yが反時計回りに巻回され、第二給糸パッケージPBの糸Yが反時計回りに巻回されると共に、第一給糸パッケージPAに巻回されている糸Yが解舒されている第三シーンにおいて、第一給糸パッケージPAと第二給糸パッケージPBとの間で接続される糸Yを保持する。
(4)第二クリップ29は、第一給糸パッケージPAの糸Yが時計回りに巻回され、第二給糸パッケージPBの糸Yが時計回りに巻回されると共に、第二給糸パッケージPBに巻回されている糸Yが解舒されている第四シーンにおいて、第一給糸パッケージPAと第二給糸パッケージPBとの間で接続される糸Yを保持する。
【0097】
以下、
図10~
図15を用いて、上述の保持方法に基づいた糸継処理及びクリップ保持処理を実施する糸継処理装置9Aの一連の動作について詳細に説明する。ここでは、第一給糸パッケージPAの外層側から糸Yが解舒されているとき(第三シーン)に、糸継装置60が、第一ペッグ25Aに支持されている第一給糸パッケージPAの第二糸端Y2と、第二ペッグ25Bに支持されている第二給糸パッケージPBの第一糸端Y1との糸継ぎを行う場合を例に挙げて説明する。
【0098】
制御部94は、第一モータ622を駆動させ、第一ペッグ25Aの第一ホイール253Dに係合された第一糸継ドライバ621を回転させる。第一糸継ドライバ621が回転すると、第一給糸パッケージPAが給糸パッケージ支持部251の延在方向を回転軸として回転する。制御部94は、第二モータ632を駆動させ、第二ペッグ25Bの第一ホイール253Dに係合された第二糸継ドライバ631を回転させる。第二糸継ドライバ631が回転すると、第二給糸パッケージPBが給糸パッケージ支持部251の延在方向を回転軸として回転する。制御部94は、例えばアダプタ8に設けられた検出体(図示省略)を検出するセンサ(図示省略)の検出結果に基づいて、第一モータ622及び第二モータ632を制御して、第一給糸パッケージPA及び第二給糸パッケージPBを所定位置まで回転させる。
【0099】
制御部94は、サクションガン611を起動させる。これにより、サクションガン611は、サクションノズル614において糸Yの吸引保持が可能となる。制御部94は、アーム部612を制御して、第一給糸パッケージPAの第二糸端Y2をサクションノズル614に捕捉(保持)させる。次に、制御部94は、アーム部612を制御して、
図13(A)に示されるように、サクションノズル614を第二クリップ29にまで移動させて、第一給糸パッケージPAの糸Yを第二クリップ29に引っ掛ける(保持させる)。より詳細には、第一給糸パッケージPAの糸Yは、第二クリップ29の一対の皿板291,292に挟持されることによって保持される。
【0100】
次に、制御部94は、第一給糸パッケージPAの糸Yを第二クリップ29に引っ掛けた状態で、アーム部612を制御して、
図13(B)に示されるように、第一給糸パッケージPAの第二糸端Y2を保持したサクションノズル614を第一ガイド機構67にまで移動させて、第一給糸パッケージPAの糸Yを第一ガイド機構67に引っ掛ける。制御部94は、第一ガイド機構67に設けられたポテンショメータの検出結果に基づいて、第一給糸パッケージPAの回転量(繰出量)を調整し、所定の張力で第一給糸パッケージPAから糸Yを引き出させる。更に、制御部94は、第一給糸パッケージPAの糸Yを第一ガイド機構67に引っ掛けた状態で、アーム部612を制御して、サクションノズル614を糸継機構64にまで移動させることによって、第一給糸パッケージPAの第二糸端Y2を糸継機構64にセット(案内)する。
【0101】
次に、制御部94は、サクションノズル614に第二給糸パッケージPBの第一糸端Y1を捕捉(保持)させる。次に、制御部94は、アーム部612を制御して、
図14(A)に示されるように、第二給糸パッケージPBの第一糸端Y1を保持したサクションノズル614を第二ガイド機構68にまで移動させて、第二給糸パッケージPBの糸Yを第二ガイド機構68に引っ掛ける。次に、制御部94は、アーム部612を制御して、第二給糸パッケージPBの第一糸端Y1を保持したサクションノズル614を糸継機構64にまで移動させて、第二給糸パッケージPBの第一糸端Y1を糸継機構64にセット(案内)する。
【0102】
次に、制御部94は、糸継装置60のスプライサ66を制御して、
図14(B)に示されるように、第一給糸パッケージPAの第二糸端Y2と第二給糸パッケージPBの第一糸端Y1とを糸継ぎ(接続)させる。また、制御部94は、糸継装置60のカッタ664,665を制御して、第一給糸パッケージPAの第二糸端Y2と第二給糸パッケージPBの第一糸端Y1との糸継部分から、例えば、サクションノズル614が吸引保持していた部分を含む余分な部分を切断除去する。
【0103】
次に、制御部94は、交換ユニット93(糸継装置60)を制御して、糸Yを糸継機構64の外にまで移動させる。これにより、
図15(A)に示されるように、糸継ぎされた糸Yは、糸継装置60の外に出される。次に、制御部94は、第二モータ632を制御して、第二糸継ドライバ631を回転駆動させ、
図15(B)に示されるように、第二給糸パッケージPBを給糸パッケージ支持部251の延在方向を回転軸として回転させる。これにより、第一クリップ28に引っ掛けられた状態の糸継ぎされた糸Yの弛みを取ることができる。
【0104】
なお、第一シーンでは、第一給糸パッケージPAの第一糸端Y1を第一クリップ28に引っ掛けた状態で糸継機構64に案内し、第二給糸パッケージPBの第二糸端Y2を糸継機構64に案内し、糸継機構64に案内された第一糸端Y1と第二糸端Y2とを糸継ぎし、第一給糸パッケージPAを給糸パッケージ支持部251の延在方向を回転軸として回転させて糸Yの弛みを取る点で手順が異なるものの、制御部94が実行する各種制御は第三シーンと同じである。したがって、詳細な説明は省略する。
【0105】
同様に、第二シーンでは、第二給糸パッケージPBの第一糸端Y1を第一クリップ28に引っ掛けた状態で糸継機構64に案内し、第一給糸パッケージPAの第二糸端Y2を糸継機構64に案内し、糸継機構64に案内された第一糸端Y1と第二糸端Y2とを糸継ぎし、第二給糸パッケージPBを給糸パッケージ支持部251の延在方向を回転軸として回転させて糸Yの弛みを取る点で手順が異なるものの、制御部94が実行する各種制御は第三シーンと同じである。したがって、詳細な説明は省略する。
【0106】
同様に、第四シーンでは、第一給糸パッケージPAの第一糸端Y1を第二クリップ29に引っ掛けた状態で糸継機構64に案内し、第二給糸パッケージPBの第二糸端Y2を糸継機構64に案内し、糸継機構64に案内された第一糸端Y1と第二糸端Y2とを糸継ぎし、第一給糸パッケージPAを給糸パッケージ支持部251の延在方向を回転軸として回転させて糸Yの弛みを取る点で手順が異なるものの、制御部94が実行する各種制御は第三シーンと同じである。したがって、詳細な説明は省略する。
【0107】
上記実施形態のクリールスタンド20の作用効果について説明する。上記実施形態のクリールスタンド20では、第一クリップ28及び第二クリップ29は、正面視において、
図6(A)に示されるように、装着部線L1を境界として分断される領域の上方側の領域A1と下方側の領域A2とにそれぞれ配置されている。これにより、切り替わり後の(予備となる)給糸パッケージPから引き出される糸Yの位置に応じて、両給糸パッケージPA,PB間の糸Yを保持させる第一クリップ28及び第二クリップ29が選択できるので、状況ごとに適切な状態で両給糸パッケージPA,PB間の糸Yを保持させることができる。この結果、給糸パッケージPA,PBの解舒時又は切替時に不具合が発生することを抑制できる。
【0108】
上記実施形態のクリールスタンド20では、第一クリップ28及び第二クリップ29は、正面視において、装着部線L1を境界として分断される領域の上方側の領域A1と下方側の領域A2とにそれぞれ配置されると共に、装着部線L1を基準として第一給糸パッケージPAの外縁又は第二給糸パッケージPBの外縁よりも離れた位置に配置されている。これにより、切り替わり後の(予備となる)給糸パッケージPから引き出される糸Yの位置に応じて、両給糸パッケージPA,PB間の糸Yを保持させるクリップ27(第一クリップ28又は第二クリップ29)が選択できるので、状況ごとに適切な状態で両給糸パッケージPA,PB間の糸Yを保持させることができる。
【0109】
上記実施形態のクリールスタンド20では、第一クリップ28及び第二クリップ29が互いに重なるように見た平面視において、案内部26、第一クリップ28及び第二クリップ29を通る直線を仮想的に案内部・保持部線L3と設定したとき、第一ペッグ25Aと第二ペッグ25Bとは、案内部・保持部線L3に対して線対称に配置されている。これにより、第一給糸パッケージPAから引き出される糸Y及び第二給糸パッケージPBから引き出される糸Yの、第一クリップ28及び第二クリップ29による保持状態を互いに揃えることができる。
【0110】
上記実施形態のクリールスタンド20では、第一ペッグ25A及び第二ペッグ25Bが互いに重なるように見た側面視において、案内部26、第一ペッグ25A及び第二ペッグ25Bを通る直線を仮想的に案内部・装着部線L4と設定したとき、第一ペッグ25Aと第二ペッグ25Bとは、案内部・装着部線L4に対して線対称に配置されている。これにより、第一給糸パッケージPAから引き出される糸Y及び第二給糸パッケージPBから引き出される糸Yの、第一クリップ28及び第二クリップ29による保持状態を互いに揃えることができる。
【0111】
上記実施形態の給糸装置100は、第一ペッグ25Aに装着された第一給糸パッケージPA及び第二ペッグ25Bに装着された第二給糸パッケージPBの少なくとも一方を給糸パッケージ支持部251の延在方向を回転軸として回転させることによって、第一給糸パッケージPAと第二給糸パッケージPBとの間で接続される糸Yの弛みをとる第一回転機構62及び第二回転機構63を備えている。これにより、第一給糸パッケージPAの糸端と第二給糸パッケージPBの糸端同士を接続する処理と、給糸パッケージPA,PB同士が接続された糸Yの一部を第一クリップ28又は第二クリップ29に保持させる糸掛処理とを、作業者の手を介さずに実行させることができる。これにより、糸継処理及び糸掛処理に要する作業者の負担を軽減できる。
【0112】
以上、本発明の一側面の実施形態について説明してきたが、本発明の一側面は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0113】
(変形例1)
上記実施形態では、クリップ27として第一クリップ28及び第二クリップ29が一つずつ設けられている例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、
図16に示されるように、第一クリップ28は、第二ペッグ25Bよりも第一ペッグ25Aに近い位置に配置される第一ペッグ用第一クリップ(第一装着部用第一保持部)28Aと、第一ペッグ25Aよりも第二ペッグ25Bに近い位置に配置される第二ペッグ用第一クリップ(第二装着部用第一保持部)28Bと、を有し、第二クリップ29は、第二ペッグ25Bよりも第一ペッグ25Aに近い位置に配置される第一ペッグ用第二クリップ(第一装着部用第二保持部)29Aと、第一ペッグ25Aよりも第二ペッグ25Bに近い位置に配置される第二ペッグ用第二クリップ(第二装着部用第二保持部)29Bと、を有する変形例1の構成としてもよい。
【0114】
この変形例1のクリールスタンド20における第一ペッグ用第一クリップ28A及び第二ペッグ用第一クリップ28Bと、第一ペッグ用第二クリップ29A及び第二ペッグ用第二クリップ29Bとの配置関係は、上記実施形態における第一クリップ28と第二クリップ29との配置関係と同じである。すなわち、
図16に示されるように、正面視において、上記実施形態の第一クリップ28に該当する第一ペッグ用第一クリップ28A及び第二ペッグ用第一クリップ28Bと、上記実施形態の第二クリップ29に該当する第一ペッグ用第二クリップ29A及び第二ペッグ用第二クリップ29Bとは、水平方向において第一ペッグ25Aと第二ペッグ25Bとの間に配置されると共に、鉛直方向において第一ペッグ25A及び第二ペッグ25Bの両方を挟むように配置されている。また、正面視において、上記実施形態の第一クリップ28に該当する第一ペッグ用第一クリップ28A及び第二ペッグ用第一クリップ28Bと、上記実施形態の第二クリップ29に該当する第一ペッグ用第二クリップ29A及び第二ペッグ用第二クリップ29Bとは、鉛直方向において満巻の第一給糸パッケージPA又は満巻の第二給糸パッケージPBを挟むように配置されている。
【0115】
更に詳細には、変形例1の構成における第一クリップ28(第一ペッグ用第一クリップ28A及び第二ペッグ用第一クリップ28B)は、正面視において装着部線L1を境界として分断される上方側の領域A1に配置されると共に、第二クリップ29(第一ペッグ用第二クリップ29A及び第二ペッグ用第二クリップ29B)は、装着部線L1を境界として分断される下方側の領域A2に配置されている。
【0116】
変形例1に係るクリールスタンド20では、第一給糸パッケージPAから引き出される糸Yであるか、第二給糸パッケージPBから引き出される糸Yであるかに応じて、より適切な状態で両給糸パッケージPA,PB間の糸Yを保持することができる。これにより、給糸パッケージPA,PBの解舒時又は切替時に不具合が発生することをより確実に抑制できる。
【0117】
また、変形例1に係る構成(
図16)では、上記実施形態の第一回転機構62及び第二回転機構63の構成に代えて又は加えて、第一給糸パッケージPAと第二給糸パッケージPBとの間で接続された糸Yを第一クリップ28又は第二クリップ29に保持させたときに両給糸パッケージPA,PB間において発生する糸Yの弛みを取る、
図18(A)に示されるような弛み調整機構70を備えてもよい。弛み調整機構70は、パッケージ交換装置9(
図8参照)の交換ユニット93(
図9参照)に設けられている。弛み調整機構70は、糸Yを引っ掛けることができるフック部71を有している。弛み調整機構70は、上記実施形態の糸継装置60の第一ガイド機構67及び第二ガイド機構68から構成されている。
【0118】
次に、糸継装置60によって第一給糸パッケージPAの第二糸端Y2と第二給糸パッケージPBの第一糸端Y1とが糸継ぎされて接続された後、第一ペッグ用第二クリップ29A及び第二ペッグ用第二クリップ29Bに保持された糸Yの弛みを取る動作について説明する。変形例1においては、第一給糸パッケージPAの第二糸端Y2と第二給糸パッケージPBの第一糸端Y1とを糸継ぎした後、第一給糸パッケージPAと第二給糸パッケージPBとの間で接続された糸Yは、
図16に示されるように、第一ペッグ用第二クリップ29Aと第二ペッグ用第二クリップ29Bとに保持されている。なお、第一給糸パッケージPAと第二給糸パッケージPBとの間で接続された糸Yを
図16に示されるような状態にするための糸継処理装置9Aの動作については、第一ペッグ用第二クリップ29A及び第二ペッグ用第二クリップ29Bの両方に糸Yを保持させる点以外は同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0119】
図17(A)に示されるように、弛み調整機構70は、第一給糸パッケージPAの第二糸端Y2と第二給糸パッケージPBの第一糸端Y1とを糸継ぎした後、第一ペッグ用第二クリップ29Aと第二ペッグ用第二クリップ29Bとの間の糸Y部分にフック部71を移動させる、
図17(B)に示される白抜矢印方向のスプリング力によって付勢されるフック部71を引っ掛ける。次に、
図18(A)に示される黒塗矢印の方向にフック部71を移動させることによって、糸Yを第一ペッグ用第二クリップ29Aに巻き付けるように引っ張り、第二クリップ29を構成する一対の皿板291,292の間に糸Yを押し込む。
【0120】
なお、一対の皿板291,292へ糸Yを押し込むときの力Fs1は、第一ガイド機構67及び第二ガイド機構68に設けられたポテンショメータの検出結果に基づいて調整される。具体的には、フック部71を
図18(A)に示される黒塗矢印の方向に移動させるとき、ポテンショメータによる検知結果が上記力Fs1よりも大きな力Fs3となった時点でフック部71の移動を停止する。フック部71の移動の停止後、
図18(B)の黒塗矢印に示されるように、フック部71を停止させる前までの移動方向と反対方向に移動させて、フック部71を糸Yから逃がす。
【0121】
これにより、
図19に示されるように、弛み調整機構70は、第一ペッグ用第二クリップ29Aと第二ペッグ用第二クリップ29Bとの間の糸Yの長さを調整することによって、第一ペッグ用第二クリップ29Aと第一給糸パッケージPAとの間の糸Y及び第二ペッグ用第二クリップ29Bと第二給糸パッケージPBとの間の糸Yの少なくとも一方の弛みを取ることができる。
図19では、第一ペッグ用第二クリップ29Aと第一給糸パッケージPAとの間の糸Y及び第二ペッグ用第二クリップ29Bと第二給糸パッケージPBとの間の糸Yの両方の弛みが取られる例を示している。
【0122】
図示はしないが、弛み調整機構70は、第一ペッグ用第一クリップ28Aと第二ペッグ用第一クリップ28Bとの間の糸Yの長さを調整することによって、第一ペッグ用第一クリップ28Aと第一給糸パッケージPAとの間の糸Y及び第二ペッグ用第一クリップ28Bと第二給糸パッケージPBとの間の糸Yの少なくとも一方の弛みをとってもよい。この場合の手順も、第一ペッグ用第二クリップ29Aと第二ペッグ用第二クリップ29Bとの間の糸Yの長さを調整する弛み調整機構70の動作と同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0123】
なお、糸Yを一対の皿板291,292に押し込む力Fs1は、交絡判断(糸継判断)の成功の可否を判定する基準値となる力Fs2よりも小さく、当該基準値となる力Fs2は、フック部71を逃がすタイミングである(フック部71を逆方向に移動させるタイミングである)と判定する基準値となる力Fs3よりも小さく、当該基準値となる力Fs3は、糸Yにダメージが加わると判定する基準となる力Fs4よりも小さい。
【0124】
変形例1に係るクリールスタンド20では、第一給糸パッケージPAの糸端と第二給糸パッケージPBの糸端同士を接続する処理と、給糸パッケージPA,PB同士が接続された糸Yの一部を第一クリップ28として設けられる第一ペッグ用第一クリップ28A及び第二ペッグ用第一クリップ28Bに保持、又は、給糸パッケージPA,PB同士が接続された糸Yの一部を第二クリップ29として設けられる第一ペッグ用第二クリップ29A及び第二ペッグ用第二クリップ29Bに保持させる糸掛処理とを、作業者の手を介さずに実行させることができる。これにより、糸継処理及び糸掛処理に要する作業者の負担を軽減できる。
【0125】
(その他の変形例)
上記実施形態及び上記変形例では、糸継処理装置9Aが第一給糸パッケージPAの糸端と第二給糸パッケージPBの糸端同士を接続する例を挙げて説明したが、これに限定されさない。例えば、人手で上記糸継処理を実施するような現場に上述したクリールスタンド20が設けられる場合であっても、クリールスタンド20は、上述した作用効果を奏することができる。
【0126】
上記実施形態及び上記変形例では、糸継ぎがなされる第一給糸パッケージPAと第二給糸パッケージPBとが装着される第一ペッグ25A及び第二ペッグ25Bが、水平方向に互いに隣り合うように配置されている例を挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、第一ペッグ25A及び第二ペッグ25Bは、鉛直方向において互いに異なる位置に隣り合うように配置されてもよい。
【符号の説明】
【0127】
1…仮撚加工装置、2…給糸部、3…加工部(糸加工装置)、9…パッケージ交換装置、9A…糸継処理装置、20…クリールスタンド(給糸スタンド)、25…ペッグ、25A…第一ペッグ(第一装着部)、25B…第二ペッグ(第二装着部)、26…案内部、27…クリップ、28…第一クリップ、28A…第一ペッグ用第一クリップ(第一装着部用第一保持部)、28B…第二ペッグ用第一クリップ(第二装着部用第一保持部)、29…第二クリップ、29A…第一ペッグ用第二クリップ(第一装着部用第二保持部)、29B…第二ペッグ用第二クリップ(第二装着部用第二保持部)、60…糸継装置、62…第一回転機構(給糸パッケージ回転装置)、63…第二回転機構(給糸パッケージ回転装置)、70…弛み調整機構、71…フック部、90…走行ユニット、94…制御部、100…給糸装置。