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特開2023-182544媒体隔離圧力センサにおける結合機構としての予備成形固体
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  • 特開-媒体隔離圧力センサにおける結合機構としての予備成形固体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182544
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】媒体隔離圧力センサにおける結合機構としての予備成形固体
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/06 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
G01L19/06 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023094117
(22)【出願日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】17/806,911
(32)【優先日】2022-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】ウェイド、リチャード アンドリュー
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA40
2F055BB20
2F055CC02
2F055DD05
2F055EE11
2F055FF21
2F055GG11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】被測定媒体からの外圧及び/又は力を、媒体隔離圧力センサの圧力感知回路に容易かつ確実に結合するための機構を提供する。
【解決手段】受けた外圧を圧力感知ダイアフラムの表面に伝達するための結合機構として変形可能な固体を利用する媒体隔離圧力及び力センサが提供される。例示的な媒体隔離圧力及び力センサは、媒体隔離圧力センサの基板に結合された圧力感知ダイアフラムと、変形可能な固体と、を含んでもよい。変形可能な固体は、圧力感知ダイアフラムの感知面を実質的に覆うように変形して、圧力感知ダイアフラムと被測定媒体との間に障壁を作成するように構成されてもよい。追加的に、変形可能な固体は、被測定媒体によって変形可能な固体に力が加えられる場合に、力が圧力感知ダイアフラムに伝達されるように、被測定媒体を圧力感知ダイアフラムに流体結合してもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体隔離圧力センサであって、
前記媒体隔離圧力センサの基板に結合された圧力感知ダイアフラムと、
変形可能な固体と、を備え、
前記変形可能な固体が、前記圧力感知ダイアフラムの感知面を実質的に覆うように変形して、前記圧力感知ダイアフラムと被測定媒体との間に障壁を作成するように構成されており、
前記変形可能な固体が、前記被測定媒体によって前記変形可能な固体に力が加えられる場合に、前記力が前記圧力感知ダイアフラムに伝達されるように、前記被測定媒体を前記圧力感知ダイアフラムに流体結合する、媒体隔離圧力センサ。
【請求項2】
前記圧力感知ダイアフラムに電気的に接続された圧力感知ダイと、
前記基板から突出し、圧力感知キャビティを画定するリングシールアセンブリと、を更に備え、
前記リングシールアセンブリが、前記圧力感知ダイの周りに囲う周囲を形成し、
前記リングシールアセンブリが、前記基板から前記圧力感知ダイアフラムの最も遠い範囲を越えて延在し、
前記圧力感知ダイアフラムが、ホイートストンブリッジ回路に配置されたピエゾ抵抗センサを更に備え、前記被測定媒体によって加えられた前記力の大きさが、前記ホイートストンブリッジ回路の1つ以上の出力信号に基づいて決定され、
前記圧力感知ダイアフラムが、前記被測定媒体から流体的に隔離されている、請求項1に記載の媒体隔離圧力センサ。
【請求項3】
前記変形可能な固体が、前記圧力感知キャビティを実質的に充填するように更に変形する、請求項1に記載の媒体隔離圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、圧力センサ及び力センサに関し、より詳細には、媒体隔離圧力センサ及び/又は媒体隔離力センサに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
出願人は、媒体隔離圧力センサ及び媒体隔離力センサにおける結合機構に関連する多くの技術的課題及び困難を特定した。適用された努力、創意工夫、及びイノベーションを通じて、出願人は、以下に詳細に説明される本開示において具現化された解決策を開発することによって、媒体隔離圧力センサ及び媒体隔離力センサにおける結合機構に関する問題を解決した。
【0003】
様々な実施形態は、被測定媒体からの外圧及び/又は力を、媒体隔離圧力センサの圧力感知回路に容易かつ確実に結合するための例示的な機構を対象とする。
【0004】
本開示のいくつかの実施形態によれば、結合デバイスとして変形可能な固体を利用する例示的な媒体隔離圧力センサが提供される。いくつかの実施形態では、媒体隔離圧力センサは、媒体隔離圧力センサの基板に結合された圧力感知ダイアフラムと、変形可能な固体と、を含んでもよい。変形可能な固体は、圧力感知ダイアフラムの感知面を実質的に覆うように変形して、圧力感知ダイアフラムと被測定媒体との間に障壁を作成するように構成されてもよい。追加的に、変形可能な固体は、被測定媒体によって変形可能な固体に力が加えられる場合に、力が圧力感知ダイアフラムに伝達されるように、被測定媒体を圧力感知ダイアフラムに流体結合してもよい。
【0005】
いくつかの実施形態では、媒体隔離圧力センサは、圧力感知ダイアフラムに電気的に接続された圧力感知ダイを更に備えてもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、圧力感知ダイアフラムは、基板の反対側の圧力感知ダイ上に配設されてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、媒体隔離圧力センサは、基板から突出し、圧力感知キャビティを画定するリングシールアセンブリを更に備えてもよく、リングシールアセンブリは、圧力感知ダイの周りを囲う周囲を形成し、リングシールアセンブリが、基板から圧力感知ダイアフラムの最も遠い範囲を越えて延在する。
【0008】
いくつかの実施形態では、圧力感知ダイは、圧力感知ダイアフラムの撓みに基づいて、被測定媒体によって加えられる力の大きさを示し得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、圧力感知ダイアフラムは、ホイートストンブリッジ回路に配置されたピエゾ抵抗センサを更に備えてもよく、被測定媒体によって加えられる力の大きさは、ホイートストンブリッジ回路の1つ以上の出力信号に基づいて決定されてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、変形可能な固体は、圧力感知キャビティを実質的に充填するように更に変形してもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、圧力感知ダイアフラムは、被測定媒体から流体的に隔離されてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、リングシールアセンブリは、内周及び外周を備えてもよく、内周は、円形である。
【0013】
いくつかの実施形態では、変形可能な固体の最大断面直径は、リングシールアセンブリの内周の直径以上であってもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、変形可能な固体は、経時的に流体結合特性を変化させる欠陥がないように製造されてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、被測定媒体は流体であってもよい。
【0016】
変形可能な固体を結合デバイスとして利用する別の例示的な媒体隔離圧力センサが更に含まれる。いくつかの実施形態では、例示的な媒体隔離圧力センサは、媒体隔離圧力センサの基板に取り付けられ、圧力感知ダイ上に配設された圧力感知ダイアフラムを備える圧力感知回路を備えてもよい。加えて、媒体隔離圧力センサは、基板から突出し、かつ圧力感知キャビティを画定するリングシールアセンブリを備えてもよく、リングシールアセンブリは、圧力感知ダイアフラムの最も遠い範囲を越えて基板から延在し、圧力感知ダイの周りを囲う周囲を形成する。更に、媒体隔離圧力センサは、圧力感知ダイアフラムの感知面を覆うように変形する変形可能な固体を備える結合機構を備えてもよく、変形可能な固体は、被測定媒体によって変形可能な固体に力が加えられる場合に、力が圧力感知ダイアフラムに伝達されるように、被測定媒体を圧力感知ダイアフラムに流体結合する。
【0017】
いくつかの実施形態では、媒体隔離圧力センサは、圧力感知キャビティを圧力感知キャビティの表面の反対側の環境と流体接続する、基板内の通気孔を更に備えてもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、基板はプリント回路基板であってもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、圧力感知ダイは、1つ以上の貫通孔接続を使用してプリント回路基板に電気的に接続されてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、1つ以上の貫通孔接続部のうちの少なくとも1つは、圧力感知キャビティを、圧力感知キャビティの基板の反対側の環境と流体接続してもよい。
【0021】
いくつかの実施形態において、圧力感知ダイは、圧力感知ダイアフラムの撓みに少なくとも部分的に基づいて、被測定媒体によって加えられる力の大きさを示してもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、圧力感知ダイアフラムは、ホイートストンブリッジ回路に配置されたピエゾ抵抗センサを更に備えてもよく、被測定媒体によって加えられる力の大きさは、ホイートストンブリッジ回路の1つ以上の出力信号に基づいて決定されてもよい。
【0023】
媒体隔離圧力センサのための例示的な結合機構が更に含まれる。いくつかの実施形態では、結合機構は、変形可能な固体を備えてもよく、変形可能な固体は、圧力感知ダイアフラムの感知面を実質的に覆うように変形して、圧力感知ダイアフラムと被測定媒体との間に障壁を作成するように構成されている。追加的に、変形可能な固体は、被測定媒体によって変形可能な固体に力が加えられる場合に、力が圧力感知ダイアフラムに伝達されるように、被測定媒体を圧力感知ダイアフラムに流体結合してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
次に、添付図面を参照する。図に例示されるコンポーネントは、本明細書に説明される特定の実施形態において存在してもよいし、存在しなくてもよい。いくつかの実施形態は、本開示の例示的な実施形態による図に示されるものよりも少ない(又は多い)コンポーネントを含んでもよい。
図1図1は、本開示の例示的な実施形態による、例示的な媒体隔離圧力センサ及び変形可能な固体の斜視図を例示する。
図2図2は、本開示の例示的な実施形態による、例示的な媒体隔離圧力センサの断面図を例示する。
図3図3は、本開示の例示的な実施形態による、例示的な媒体隔離圧力センサの断面図上に重ねられた例示的な変形可能な固体の断面図を例示する。
図4図4は、本開示の例示的な実施形態による、被測定媒体に関連付けられた圧力読取値を決定するように位置付けられた例示的な媒体隔離圧力センサの断面図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
例示的な実施形態は、添付図面を参照しながら以下により詳細に説明するが、本開示の発明の全ての実施形態ではなく、いくつかの実施形態が示される。実際に、本開示の実施形態は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。同様の数字は、全体を通して同様の要素を指す。
【0026】
様々な例示的な実施形態は、被測定媒体からの外圧又は力を、媒体隔離圧力センサ内の圧力感知回路と結合することに関連する技術的問題に対処する。本開示が関係する分野の当業者によって理解されるように、圧力感知回路(例えば、圧力感知ダイ)と圧力を生成する被測定媒体(例えば、流体)との間の隔離を維持しながら、圧力及び/又は力が測定され得る多数のシナリオが存在する。例えば、医療従事者は、静脈ラインを介して患者の血圧を測定する必要がある場合がある。そのようなシナリオでは、圧力感知ダイ及び他の回路が、医療基準に準拠したままであるように、患者の体液及び流入する静脈内流体から隔離されたままであることが重要である。加えて、低コストで製造することができる、流体媒体内の圧力を測定するのに好適な媒体隔離圧力センサに対する需要が高い。したがって、体液と圧力感知ダイとの間の障壁を維持しながら、被測定媒体(例えば、体液)の圧力を圧力感知ダイに伝達するために、低コスト機構が必要とされる。
【0027】
現在の結合機構には多くの欠点がある。例えば、結合デバイスとしてゲルを使用して製造された圧力センサは、製造するのに時間がかかり、製造プロセスにおける欠陥は、圧力読取値の不正確さにつながることが多い。これらのゲルベースの結合デバイスは、較正が行われる前にゲル中に空気のポケット又は他の不規則性が存在しないことを確実にするために、時間のかかるプロセスを必要とする。ゲルから全ての不規則性を除去するのに十分な時間を与えるために、ゲルがあまりに急速に硬化するのを防止するために、物質をゲルに添加しなければならない。不規則性が除去され、ゲルが定位置にあると、ゲルは、較正前に手動で硬化される必要がある場合がある。場合によっては、硬化プロセスへの阻害剤は、手動の硬化及び較正が発生した後も動作し続け、ゲルの伝達特性を経時的に変化させ、圧力読取出力を経時的に変化させ得る。加えて、他の媒体隔離圧力センサは、小さな表面積にわたって圧力感知ダイアフラムに接触する結合機構として剛性デバイスを利用する。これらの剛性の結合機構は、圧力感知ダイアフラムを圧力下で撓ませることが多く、この場合も圧力読取出力に不正確さが生じる。最後に、いくつかの媒体隔離センサは、密封された液体又は油を利用して、結合機構として作用する。これらのデバイスは、多くの所望の用途のために製造するのに法外に高価であり得る。
【0028】
本明細書に説明される様々な例示的な実施形態は、較正後に一貫した圧力読取値を提供し、媒体隔離圧力センサの製造コストを低減するために様々な技法を利用する。例えば、いくつかの実施形態では、変形可能な固体又はプラグが、結合デバイスとして使用され得る。例示的な変形可能な固体は、経時的な圧力読取値のシフト又は変化を引き起こし得る気泡及び他の不規則性がないように製造され得る。更に、変形可能な固体を利用することにより、いくつかの例では、結合機構を硬化させる必要がなくなり、製造プロセスが更に簡略化され、結合特性が変化するリスクが低減される。加えて、変形可能な固体は、圧力感知ダイアフラムの全表面に接触するように変形してもよく、ダイアフラムの表面にわたって伝達される圧力の均一な分布をもたらす。ダイアフラムの感知面とのそのような均一な接触は、加えられた圧力とともに線形に変化する出力電圧をもたらし、結合力がダイアフラムの表面の狭い領域に集中されるときよりも、媒体の加えられた圧力のより近い表現を提供する。最後に、結合機構としての変形可能な固体の可鍛性は、シリコーン又は他の材料がリングシールアセンブリを実質的に充填し、被測定媒体を圧力感知ダイアフラム及び他の圧力感知回路から隔離することを可能にする。
【0029】
本明細書に説明される例示的な実施形態の結果として、媒体隔離圧力センサを製造する際の単純さが大幅に改善されてもよい。加えて、結合デバイスとして変形可能な固体を利用する媒体隔離圧力センサは、経時的により高い精度を維持してもよい。
【0030】
図1は、例示的な媒体隔離圧力センサ100及び変形可能な固体104の斜視図を例示する。図1の例示的な実施形態に描写されるように、媒体隔離圧力センサ100は、基板(例えば、プリント回路基板(printed circuit board、PCB)106)に取り付けられたリングシールアセンブリ102を含む。描写されたリングシールアセンブリ102は、基板(例えば、PCB106)の表面から突出するリング構造を形成し、(図4に示されるように)リングシールアセンブリ102と流体導管430との間にシールを作成するために、リングシールアセンブリ102の上部又はその近くで外面を囲むシール構造108を更に含む。描写された媒体隔離圧力センサ100は、リングシールアセンブリ102の内部に挿入されると、リングシールアセンブリ102の容積を実質的に充填し、かつ被測定媒体と圧力感知回路との間に結合機構を形成する(図2図4に示すように)変形可能な固体104を更に含む。図1の例示的な媒体隔離圧力センサ100は、PCB106上に配設され、かつ媒体隔離圧力センサ100の圧力感知回路に通信可能に接続された処理要素110を更に描写する。
【0031】
図1に例示するように、リングシールアセンブリ102は、本明細書に説明されるような媒体隔離圧力センサ100の一部であってもよい。図1に例示するようにリングシールアセンブリ102は、少なくとも1つのリングシール側壁112と、媒体隔離圧力センサ100と流体導管(例えば、その圧力測定のための流体を含む流体導管430)との間にシールを作成するための少なくとも1つのリングシール側壁112の外面を囲むシール構造108と、を備える。少なくとも1つのリングシール側壁112は、少なくとも1つのリングシール側壁112の内部を囲むリングシールアセンブリ102の少なくとも実質的に滑らかな内面と、リングシールアセンブリ102の外部を囲むリングシールアセンブリ102の少なくとも実質的に滑らかな外面と、を画定する。圧力センサの一部として構成されるときに、リングシールアセンブリ102の構造は、少なくとも1つのリングシール側壁112によって囲まれたリングシールアセンブリ102の内部に圧力感知素子を封入するように構成されている。図1に示すように、リングシールアセンブリ102は、(直径及び長さによって特徴付けられる)円形の管状形状を有してもよく、他の構成が特定の実装形態に好適であってもよい。例えば、リングシールアセンブリ102は、矩形断面(4つのリングシール側壁112を有する)、三角形断面(3つのリングシール側壁112を有する)、六角形断面(6つのリングシール側壁112を有する)などを有してもよい。
【0032】
リングシールアセンブリ102の側壁は、成形プラスチック材料(例えば、ポリスルホン、ポリカーボネート、アクリル、ステンレス鋼など)を含んでもよいが、特定の実施形態では、テフロン、ガラスなどの他の材料が使用されてもよいことを理解されたい。リングシールアセンブリ102の少なくとも1つのリングシール側壁112を成形プラスチックリングとして具現化することは、材料コストが低く、製造が容易であるという利点を有する。
【0033】
図1に更に例示するように、変形可能な固体104は、本明細書に説明されるような媒体隔離圧力センサ100の一部であってもよい。図1に例示するような変形可能な固体104は、リングシールアセンブリ102の内面の断面形状に実質的に一致するように成形された非圧縮性材料の傷のない容積物である。変形可能な固体104は、図4に関連して更に説明されるように、被測定媒体と圧力感知回路との間の流体結合機構を提供するために、非圧縮性流体としてリングシールアセンブリ102の中空内部に配置されてもよい。変形可能な固体104は、全て又は実質的に全てのエアポケット及び/又は他の不規則性が材料の本体から除去されるように予め製造されてもよい。図1に示すように、変形可能な固体104は、球形状を有してもよいが、他の構成が特定の実装形態に好適であってもよい。例えば、変形可能な固体104は、円柱形状、回転楕円体形状、三角柱形状、立方体又は直方体形状、六角柱形状、及び/又は同様の形状を有してもよい。変形可能な固体104によって具現化される結合機構は、被測定媒体と圧力感知回路との間の流体結合を提供することが可能な任意の非圧縮性流体材料、例えば、シリコーンから構成されてもよい。加えて、変形可能な固体104によって具現化される結合機構は、被測定媒体が圧力感知回路から隔離されるように、リングシールアセンブリ102の内部によって画定される形状に適合するように変形する能力を有してもよい。結合機構を予め製造された傷のない本体として具現化することは、変形可能な固体104が望まない空気のポケットを除去するためのプロセス及びその後の硬化時間を必要としないので、単純な組み立てという利点を有する。加えて、変形可能な固体104を結合機構として利用する媒体隔離圧力センサ100は、変形可能な固体104の特性が長期の硬化プロセスに起因して経時的に変化せず、変形可能な固体104が圧力感知回路の表面にわたって均一に分散された圧力を加えるので、較正が行われた後に、より一貫した圧力読取値を提供する。
【0034】
図2は、例示的な媒体隔離圧力センサ100の断面図を例示する。図2の例示的な実施形態に示すように、媒体隔離圧力センサ100は、PCB106に取り付けられ、少なくとも1つのリングシール側壁112を画定するリングシールアセンブリ102を含む。リングシール側壁112の内壁は、圧力感知回路(例えば、圧力感知ダイアフラム216及び圧力感知ダイ218)を囲む周囲を画定する。圧力感知ダイ218は、一端でPCB106に取り付けられ、圧力感知ダイアフラム216が、反対端に配設されている。加えて、貫通孔導管220は、PCB106を通る開口部を画定し、環境234の基準圧力が圧力感知ダイアフラム216の底面と相互作用することを可能にする。図2は、圧力感知ダイ218の壁を通る通路224を更に描写し、圧力感知ダイアフラムが保護された方法でPCB106に電気的に接続することを可能にする。貫通孔導管220はまた、リングシールアセンブリ102によって画定される圧力感知キャビティ214への開口部が結合デバイスによって塞がれるとき、通路224と組み合わせて、圧力感知キャビティ214とPCB106の反対側の環境234との間の流体連通を提供する。更に、処理要素110は、PCB106上の画定された電気接続を介して圧力感知ダイ218に通信可能に接続される。
【0035】
図2に例示するように、圧力感知ダイ218は、本明細書に説明されるような例示的な媒体隔離圧力センサ100の一部であってもよい。図2に示すように、圧力感知ダイ218は、PCB106の表面から突出し、内部開口部の周りに周囲を形成する少なくとも1つの側壁を含む半導体材料を含む。図2に示すように、圧力感知ダイ218は、中心に開口部を有する矩形断面周囲(長さ及び幅によって特徴付けられる)を画定してもよいが、他の解決策、例えば、円形断面周囲を形成する1つの側壁を有する圧力感知ダイ218が、ある実装形態に好適であってもよい。図示の圧力感知ダイ218は、一端でPCB106に取り付けられているが、遠位端は圧力感知キャビティ内に突出しており、圧力感知ダイ218によって形成された周囲の内側の空間を画定している。
【0036】
図2にも描写された圧力感知ダイアフラム216は、圧力感知ダイアフラム216の形状、圧力感知ダイアフラム216が圧力感知ダイ218の上に載ることを可能にするように形成される。いくつかの実施形態では、圧力感知ダイ218の上面は、圧力感知ダイアフラム216がエッチングされた特徴の境界内に確実に収まることを可能にする凹状特徴を形成するようにエッチングされてもよい。描写されたような圧力感知ダイアフラム216は、半導体材料で形成される。圧力感知ダイアフラム216は、ホイートストンブリッジ回路に配置されたピエゾ抵抗センサを含んでもよく、その結果、圧力感知ダイアフラム216への圧力及び撓みが、配設されたセンサの抵抗の変化、及び加えられた力に相関する電圧出力を作成する。描写される例では、圧力感知ダイアフラム216は、少なくとも1つの側壁の上に配設され、その結果、圧力感知ダイアフラム216のかなりの部分が、圧力感知ダイ218によって作成された内部空間の上に懸架される。圧力感知ダイアフラム216を開口部の上に配置することは、圧力感知ダイアフラム216が、圧力感知ダイアフラム216の電気的特性の変化が加えられた圧力を表すような方式で撓むことを可能にする。圧力感知ダイ218は更に、圧力感知ダイアフラム216をPCB106の表面より上に持ち上げるように作用し、圧力感知ダイ218を、圧力読取値を妨害し得る他の圧力又は振動から隔離する。圧力感知ダイアフラムは、圧力感知ダイ218内の通路224を通過する貫通孔コネクタ222を介してPCB106に電気的に接続され、その結果、圧力感知ダイアフラム216に加えられた圧力から生じる出力信号が、圧力感知ダイ218から、PCB106上に作製された接続を介して処理要素110に伝達されて、圧力読取値を決定する。貫通孔コネクタ222を通路224を通してPCB106に通し、圧力感知キャビティ214の外側で電気接続を行うことによって、圧力感知ダイ218の電気接続及びはんだ付けされたコンポーネントは、挿入された変形可能な固体104による損傷又は短絡から保護されてもよい。加えて、貫通孔導管220は、圧力感知キャビティ214と圧力感知キャビティ214の外側の環境234との間の流体接続を提供する。そのような構成は、変形可能な固体104が圧力感知キャビティ214に挿入されるときに、空気が貫通孔導管220を通って逃げることを可能にし、閉じ込められたエアポケットの作成を防止する。
【0037】
図2に更に例示するように、例示的な媒体隔離圧力センサ100は、貫通孔導管220も含んでもよい。図2に示すように、貫通孔導管220は、基板(例えば、PCB106)内に開口部を画定し、環境234の基準圧力が感知ダイ218の底面と相互作用して、貫通孔コネクタ222を使用して圧力感知ダイ218の反対側の表面上でPCB106に電気的に接続することを可能にする。図2に示すように、圧力感知ダイ218は、圧力感知ダイ218の内部開口部が貫通孔導管220と位置合わせされ、環境234からの基準圧力と圧力感知ダイアフラムの底部との相互作用を容易にするように中心にあってもよい。いくつかの実施形態において、圧力感知ダイ218は、圧力感知キャビティ214内から貫通孔導管220内への流体接続性を可能にするように装着されてもよい。
【0038】
図2に更に例示するように、例示的な媒体隔離圧力センサ100は、処理要素110も含んでもよい。いくつかの実施形態において、処理要素110は、圧力感知ダイ218から出力信号を受信し、出力信号を圧力読取値に変換するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、処理要素110は、アナログ形式で圧力読取値を出力してもよく、他の実施形態では、処理要素110は、デジタル形式で圧力読取値を出力してもよい。処理要素110は更に、例示的な媒体隔離圧力センサ100の流通前に、ピエゾ抵抗センサを較正及び平衡化するために利用されてもよい。いくつかの実施形態では、処理要素110は、プロセッサ、特別に構成されたフィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)、特別にプログラムされた特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、トリミング可能な膜抵抗ネットワーク、又は他の同様のコンピューティングデバイスを備えてもよい。その後の圧力読取値は、この較正に基づいて決定され得る。
【0039】
図3は、例示的な媒体隔離圧力センサ100の断面図上に重ねられた例示的な変形可能な固体104の断面図を例示する。図3の例示的な実施形態に描写されるように、変形可能な固体104の最大断面直径326は、圧力感知キャビティ214の内周324の直径よりも大きい。
【0040】
図3を参照すると、例示的な媒体隔離圧力センサ100は、リングシールアセンブリ102と比較して変形可能な固体104の例示的な相対サイズを示す。描写された実施形態に示すように、変形可能な固体104の最大断面直径326は、リングシールアセンブリ102の内周324の直径よりも大きい。描写された変形可能な固体104は、圧力感知キャビティ214の内周324の直径よりも大きい最大断面直径326を画定するが、いくつかの実施形態では、変形可能な固体104の最大断面直径326は、圧力感知キャビティ214の内周324の直径以下であってもよい。変形可能な固体104の最大断面直径326が圧力感知キャビティ214の内周324の直径よりも小さい場合に、変形可能な固体104は、変形可能な固体104が圧力感知キャビティ214内に押し込まれるときに、変形可能な固体104が変形して圧力感知キャビティ214の断面積全体を塞ぎ、その結果、変形可能な固体104が圧力感知回路を被測定媒体から流体的に隔離するように、十分な体積を有していなければならない。言い換えれば、被測定媒体からの流体は、被測定媒体と圧力感知回路との間の変形可能な固体104によって作成される障壁を貫通し得ない。いくつかの実施形態では、変形可能な固体104の最大断面直径326は、1~5ミリメートル、より好ましくは1.5~3.3ミリメートル、最も好ましくは2~2.8ミリメートルであってもよい。いくつかの実施形態では、圧力感知キャビティ214の内周324の直径は、1~4ミリメートル、より好ましくは1.5~3ミリメートル、最も好ましくは1.75~2.25ミリメートルであってもよい。変形可能な固体104の典型的なデュロメータは、ショア00スケールで0~20、より好ましくはショア00スケールで15未満、最も好ましくはショア00スケールで10未満であってもよい。しかしながら、変形可能な固体104の形状が圧力感知キャビティ214の体積と実質的に一致する場合には、より高いデュロメータの材料が使用されてもよい。
【0041】
図4は、本開示の例示的な実施形態による、流体428に関連付けられた圧力読取値を決定するように位置付けられた例示的な媒体隔離圧力センサ100の断面図を例示する。図4の例示的な実施形態に描写するように、シール構造体108は、リングシールアセンブリ102の上端部に近接する外面を取り囲む。リングシールアセンブリ102の上端部は、被測定媒体(例えば、流体428)を搬送する流体導管430の開口部に挿入される。シール構造108は、流体428が流体導管430内に留まり、リングシールアセンブリ102の圧力感知キャビティ214内に位置付けられた変形可能な固体104と相互作用するように、流体導管430内の開口部432と媒体隔離圧力センサ100との間にシールを作成する。
【0042】
図4に描写されるように、媒体隔離圧力センサ100を流体導管430の開口部432に挿入して、収容された被測定媒体(例えば、流体428)の圧力を決定してもよい。図4において圧力が測定される導管は流体導管430であるが、被測定媒体の圧力は、任意の導管、管、キャビティ、エンクロージャ、又は他の空間において測定されてもよい。図4に示すように、いくつかの実施形態では、流体導管430は、シール構造108の寸法と実質的に同一の開口部432を含んでもよく、その結果、開口部432とリングシールアセンブリ102の上部との間に液密シールが作成されて、シール構造108の外部の周りの望ましくない流体漏れを防止してもよい。流体導管430の非限定的な例としては、静脈ライン、カテーテル、流体コンテナなどを含む。
【0043】
図4に更に描写されるように、例示的な媒体隔離圧力センサ100は、リングシールアセンブリ102の上端部に近接して(例えば、リングシールアセンブリ102の反対側の下端部よりもリングシールアセンブリ102の上端部に近い)リングシールアセンブリ102の少なくとも1つのリングシール側壁112の外面を取り囲み、かつリングシールアセンブリ102の上端部とリングシールアセンブリ102の下端部との間に突出障壁を形成するシール構造108を含んでもよい。ある実施形態では、シール構造108は、流体導管430の少なくとも実質的に平滑な表面と流体シールを形成するように構成された弾性材料を含む。例えば、シール構造108は、ゴム、シリコーン、又は他の弾性ポリマー材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、リングシールアセンブリ102は、シール構造108の助けなしに流体導管430に直接結合してもよい。
【0044】
図4は、リングシールアセンブリ102の圧力感知キャビティ214に挿入され、圧力感知キャビティ214を実質的に充填するように変形された変形可能な固体104を更に描写している。図3に関連して説明されたように、変形可能な固体104の変形可能で非圧縮性の性質に起因して、変形可能な固体104を圧力感知キャビティ214に挿入するために力を加えることは、変形可能な固体104の変形を引き起こしてもよく、その結果、変形可能な固体104の体積が圧力感知キャビティ214を実質的に充填する。圧力感知キャビティ214を実質的に充填することに加えて、図4は、変形可能な固体104が変形して、圧力感知回路と被測定媒体(例えば、流体428)との間に障壁を形成することを更に描写している。更に、変形可能な固体104が、リングシールアセンブリ102によって形成された圧力感知キャビティ214内に押し込まれ、圧力感知ダイアフラム216に押し付けられると、変形可能な固体104は、圧力感知ダイアフラム216の感知面を実質的に覆うように変形する。圧力感知ダイアフラム216の感知面を実質的に覆うように結合機構(例えば、変形可能な固体104)を変形させることによって、被測定媒体(例えば、流体428)からの圧力が、圧力感知ダイアフラム216の感知面にわたって均一に伝達されてもよい。圧力感知ダイアフラム216の感知面全体にわたる均一な伝達は、圧力感知ダイアフラム216の均一な伸張を提供し、これは、媒体が加えられた圧力とともに線形に変化する出力電圧を生成し、結合力がダイアフラムの表面の狭い領域に集中するときよりも媒体の加えられた圧力のより近い表現を提供する。更に、圧力感知キャビティ214を実質的に充填することによって、変形可能な固体104は、被測定媒体(例えば、流体428)を圧力感知回路(例えば、圧力感知ダイアフラム216及び圧力感知ダイ218)に流体結合させて、言い換えれば、変形可能な固体104は、流体圧力伝達媒体を提供し、受けた外圧を圧力感知ダイアフラム216の表面に伝達する。
【0045】
図4は、圧力感知キャビティ214からPCB106を通って、リングシールアセンブリ102からPCB106の反対側の環境234内への空気及び他の流体及び/又はガスの逃げを可能にするキャビティ通気孔434を更に描写している。いくつかの実施形態では、圧力感知ダイ218が基板(例えば、PCB106)に取り付けられる場所において、取り付け機構は、圧力感知ダイ218の底面と基板の表面との間にギャップ(例えば、キャビティ通気孔434)を画定してもよい。そのようなギャップは、圧力感知キャビティ214から、画定された間隙を通り、貫通孔導管220を通り、PCB106の反対側の環境234までのキャビティ通気孔434を提供してもよい。圧力感知キャビティ214から圧力感知キャビティ214の外側の環境234へのキャビティ通気孔434を画定することによって、変形可能な固体104が圧力感知キャビティ214内に押し込まれるときに、空気がキャビティ通気孔434を通って逃げてもよい。空気がキャビティ通気孔434から逃げることを可能にすることは、問題のある気泡が圧力感知ダイアフラム216に又はその上方に留まり、信頼できない圧力読取値を引き起こす可能性があることを防止する。
【0046】
本明細書に説明される本発明の多くの修正例及び他の実施形態は、前述の説明及び関連する図面に提示される教示の利益を有する、これらの本発明に関係がある当業者に着想されるであろう。図面は、本明細書に説明される装置の特定のコンポーネントのみを示すが、様々な他のコンポーネントがシステムと併せて使用され得ることが理解される。したがって、本発明、開示される特定の実施形態に限定されるものではないこと、並びに修正例及び他の実施形態は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図されることを理解されたい。更に、特定の用語が本明細書で用いられているが、これらは一般的かつ記述的な意味でのみ使用され、限定の目的では使用されない。例えば、媒体隔離圧力センサとして主に説明されているが、当業者は、上述したような媒体隔離圧力センサが、結合機構に加えられる力、及び結合機構と相互作用する被測定媒体から生じる他の力も測定してもよいと理解するであろう。
【0047】
本明細書に開示される原理による様々な実施形態を示し、上述したが、その修正は、本開示の趣旨及び教示から逸脱することなく、当業者によって行われ得る。本明細書に説明される実施形態は、単に代表的なものであり、限定することを意図するものではない。多くの変形、組み合わせ及び修正が可能であり、本開示の範囲内にある。実施形態の特徴を組み合わせる、統合する及び/又は省略することに由来する代替的な実施形態もまた、本開示の範囲内にある。したがって、保護の範囲は、上記に示された説明によって限定されない。
【0048】
「備える(comprises)」、「含む(includes)」、及び「有する(having)」などのより広い用語の使用は、「からなる(consisting of)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「から実質的に構成される(comprised substantially of)」などのより狭い用語のサポートを提供すると理解されたい。実施形態の任意の要素に関する「任意選択的に」、「してもよい(may)」、「してもよい(might)」、「場合によっては(possibly)」などの用語の使用は、要素が必要とされないこと、又は代替的に要素が必要とされることを意味し、両方の選択肢が、実施形態の範囲内にある。また、実施例への言及は、単に例示目的のために提供されるものであって、排他的であることを意図するものではない。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】