(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182554
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】硬度勾配が増加したコアを有するゴルフボール
(51)【国際特許分類】
A63B 37/00 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
A63B37/00 538
A63B37/00 616
A63B37/00 534
A63B37/00 536
A63B37/00 312
A63B37/00 314
A63B37/00 316
A63B37/00 540
A63B37/00 332
【審査請求】有
【請求項の数】70
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023096745
(22)【出願日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】17/839,708
(32)【優先日】2022-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/839,638
(32)【優先日】2022-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/839,654
(32)【優先日】2022-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/839,738
(32)【優先日】2022-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516368128
【氏名又は名称】アクシネット・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリン・マクダーモット
(72)【発明者】
【氏名】マンジャリ・クンティマディ
(72)【発明者】
【氏名】デニス・ブリトン
(57)【要約】
【課題】硬度勾配が増加したコアを有するゴルフボールが提供される。
【解決手段】コアは、コアの外面が中心部よりも硬い「正の」硬度勾配(または「硬質から軟質」の硬度)を有する。正の硬度勾配の増加は、硬化プロセス中にコアゴム配合物に離水剤を導入することによって達成することができる。結果として得られるゴルフボールは、回転数が低減され、十分なインパクト耐久性を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフボールであって、二重コアと、二重コアを取り囲むカバー層とを備え、
二重コアは、
内側コア層の上に配置された外側コア層を備え、
外側コア層および内側コア層の少なくとも1つは、加熱下で硬化されたゴム組成物から形成され、ゴム組成物は、
ポリブタジエンゴムを含むベースゴムと、
有機過酸化物と、
アクリレート、ジアクリレート、メタクリレートまたはジメタクリレートの亜鉛塩を含む架橋助剤と、
1~4の水和水を有する金属硫酸塩水和物を含有する離水剤であって、ゴム組成物中に約1phr~約3.9phrの量で存在する離水剤と、を含有し、
ゴム組成物から形成された層は、外面および幾何学的中心部を有し、各々が硬度を有し、幾何学的中心部の硬度が約45ショアC~約65ショアCの範囲であり、外面の硬度が約80ショアC~約100ショアCの範囲であり、
外面の硬度は、幾何学的中心部の硬度よりも大きく、少なくとも30ショアC単位の正の硬度勾配を画定し、
カバー層は、アイオノマー、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン-尿素ハイブリッド、またはそれらのコポリマーおよび混合物を含有する、
ゴルフボール。
【請求項2】
金属はアルカリ土類金属である、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項3】
内側コア層は、約0.25インチ~約1.51インチの直径を有する、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項4】
二重コアは、約1.39インチ~約1.62インチの範囲の直径を有する、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項5】
外側コア層および内側コア層はゴム組成物から形成されている、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項6】
有機過酸化物は、ジメチルテルブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、またはそれらの組み合わせであり、有機過酸化物はゴム組成物中に約0.25phr~約2.5phrの量で存在する、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項7】
離水剤は硫酸カルシウム二水和物である、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項8】
架橋助剤はジアクリル酸亜鉛である、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項9】
離水剤はゴム組成物中に約1phr~約3phrの量で存在する、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項10】
少なくとも34ショアC単位の正の硬度勾配を画定するように、外面の硬度は幾何学的中心部の硬度よりも大きい、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項11】
離水剤はゴム組成物中に約3phrの量で存在する、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項12】
ゴルフボールであって、二重コアと、二重コアを取り囲む内側カバー層と、内側カバー層の周りに配置された外側カバー層とを備え、
二重コアは、内側コア層の上に配置された外側コア層を備え、
外側コア層は、加熱下で硬化する第1のゴム組成物からできており、第1のゴム組成物は、
ポリブタジエンゴムとスチレンブタジエンゴムとの混合物を含むベースゴムと、
有機過酸化物と、
ジアクリル酸亜鉛と、を含有し、
内側コア層は、加熱下で硬化する第2のゴム組成物から形成され、第2のゴム組成物は、
ポリブタジエンゴムを含有するベースゴムと、
有機過酸化物と、
ジアクリル酸亜鉛と、
1~4の水和水を有する金属硫酸塩水和物を含む離水剤であって、ゴム組成物中に約1phr~約3phrの量で存在する離水剤と、を含有し、
内側コア層は、幾何学的中心部と、外面とを有し、これらはそれぞれ硬度を有し、外面の硬度は、幾何学的中心部の硬度よりも大きく、30ショアC単位~50ショアC単位の正の硬度勾配を画定し、
ゴム組成物中に存在する離水剤の量および離水剤の水和水の数は、正の硬度勾配と関連しており、以下の式(I)によって表され、
【数1】
式中、WRA
Cは、離水剤の量を百分率で表し、
【数2】
は正の硬度勾配(ショアC)を表し、WRA
WOHは、離水剤中の水和水の数を表し、
内側カバー層はアイオノマーから形成されており、
外側カバー層は、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン-尿素ハイブリッド、ならびにそれらのコポリマーおよび混合物からなる群から選択されるポリマーから形成されている、ゴルフボール。
【請求項13】
ポリブタジエンゴムは混合物中に約80phr~約99phrの量で存在し、スチレンブタジエンゴムは混合物中に約1phr~約20phrの量で存在する、請求項12に記載のゴルフボール。
【請求項14】
有機過酸化物はジクミルペルオキシドであり、有機過酸化物は、第2のゴム組成物中に存在する有機過酸化物の量未満の量で第1のゴム組成物中に存在する、請求項12に記載のゴルフボール。
【請求項15】
有機過酸化物は第2のゴム組成物中に約0.1phr~約3phrの量で存在し、ジアクリル酸亜鉛が第2のゴム組成物中に約10phr~45phrの量で存在し、離水剤は第2のゴム組成物中に約3phrの量で存在する、請求項12に記載のゴルフボール。
【請求項16】
内側カバー層は、部分的に中和されたアイオノマー、高度に中和されたアイオノマー、またはそれらの組み合わせから形成され、外側カバーが、熱可塑性ポリウレタンから形成されている、請求項12に記載のゴルフボール。
【請求項17】
二重コアは約1.39インチ~約1.62インチの直径を有する、請求項12に記載のゴルフボール。
【請求項18】
少なくとも34ショアC単位の正の硬度勾配を画定するように、外面の硬度は幾何学的中心部の硬度よりも大きい、請求項12に記載のゴルフボール。
【請求項19】
ゴルフボールであって、ソリッドコアと、コアを取り囲むカバー層とを備え、
外面と幾何学的中心部とを有するソリッドコアは、加熱下で硬化されたゴム組成物から形成され、ゴム組成物は、
ポリブタジエンとエチレン-プロピレン-ジエンゴムとの混合物を含有するベースゴムと、
ジメチルテルブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、またはそれらの組み合わせを含有する有機過酸化物と、
アクリレート、ジアクリレート、メタクリレートまたはジメタクリレートの亜鉛塩を含有する架橋助剤と、
1~4の水和水を有する金属硫酸塩水和物を含む離水剤であって、ゴム組成物中に約1phr~約3.9phrの量で存在する離水剤と、
を備え、
幾何学的中心部および外面は各々、硬度を有し、
幾何学的中心部の硬度は約45ショアC~約65ショアCの範囲であり、外面の硬度は約80ショアC~約100ショアCの範囲であり、
外面の硬度は、幾何学的中心部の硬度よりも大きく、少なくとも30ショアC単位の正の硬度勾配を画定する、
ゴルフボール。
【請求項20】
金属はアルカリ土類金属である、請求項19に記載のゴルフボール。
【請求項21】
ポリブタジエンは混合物中に約70phr~約99phrの量で存在し、エチレン-プロピレン-ジエンゴムは混合物中に約1phr~約30phrの量で存在する、請求項19に記載のゴルフボール。
【請求項22】
ソリッドコアは約10~約95の圧縮値を有する、請求項19に記載のゴルフボール。
【請求項23】
有機過酸化物は、ゴム組成物中に約0.25phr~約2.5phrの量で存在する、請求項19に記載のゴルフボール。
【請求項24】
離水剤は硫酸カルシウム二水和物である、請求項19に記載のゴルフボール。
【請求項25】
架橋助剤は、ゴム組成物中に約10phr~45phrの量で存在する、請求項19に記載のゴルフボール。
【請求項26】
離水剤は、ゴム組成物中に約1phr~約3phrの量で存在する、請求項19に記載のゴルフボール。
【請求項27】
離水剤は、ゴム組成物中に約3phrの量で存在する、請求項19に記載のゴルフボール。
【請求項28】
ゴム組成物は、亜鉛ペンタクロロチオフェノール、酸化亜鉛、硫酸バリウム、またはそれらの組み合わせから選択される添加剤をさらに含有する、請求項19に記載のゴルフボール。
【請求項29】
ゴルフボールであって、ソリッドコアと、ソリッドコアを取り囲む内側カバー層と、内側カバー層の周りに配置された外側カバー層とを備え、
外面と幾何学的中心部とを有するソリッドコアは、加熱下で硬化されたゴム組成物から形成され、ゴム組成物は、
2つ以上のポリブタジエンゴムとエチレン-プロピレン-ジエンゴムとの混合物を含むベースゴムと、
有機過酸化物と、
ジアクリル酸亜鉛を含む架橋助剤と、
1~4の水和水を有する金属硫酸塩水和物を含む離水剤であって、ゴム組成物中に約1phr~約3phrの量で存在する離水剤と、
を含有し
幾何学的中心部および外面の各々は硬度を有し、外面の硬度が幾何学的中心部の硬度よりも大きく、30ショアC単位~50ショアC単位の正の硬度勾配を画定し、
ゴム組成物中に存在する離水剤の量および離水剤の水和水の数は、正の硬度勾配と関連しており、以下の式(I)によって表され、
【数3】
式中、WRA
Cは、離水剤の量を百分率で表し、
【数4】
は正の硬度勾配(ショアC)を表し、WRA
WOHは、離水剤中の水和水の数を表す、
ルフボール。
【請求項30】
内側カバー層は、70%未満の酸基が中和されるように酸基を含有するエチレン酸コポリマーを含有し、外側カバー層は、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン-尿素ハイブリッド、ならびにそれらのコポリマーおよび混合物からなる群から選択されるポリマーを含有する、請求項29に記載のゴルフボール。
【請求項31】
外側カバーは熱可塑性ポリウレタンを含有する、請求項30に記載のゴルフボール。
【請求項32】
ソリッドコアは約1.39インチ~約1.62インチの直径を有する、請求項29に記載のゴルフボール。
【請求項33】
2つ以上のポリブタジエンゴムが混合物中に約85phr~約95phrの量で存在し、エチレン-プロピレン-ジエンゴムが混合物中に約5phr~約15phrの量で存在する、請求項29に記載のゴルフボール。
【請求項34】
内側カバー層は約0.010インチ~約0.120インチの厚さを有し、外側カバー層は約0.004インチ~約0.080インチの厚さを有する、請求項29に記載のゴルフボール。
【請求項35】
有機過酸化物はゴム組成物中に約0.1phr~約3phrの量で存在し、架橋助剤はゴム組成物中に約10phr~45phrの量で存在し、離水剤はゴム組成物中に約3phrの量で存在する、請求項29に記載のゴルフボール。
【請求項36】
ゴルフボールであって、ソリッドコアと、ソリッドコアを取り囲むカバー層とを備え、
外面と幾何学的中心部とを有するソリッドコアは、加熱下で硬化されたゴム組成物から形成され、ゴム組成物は、
ポリブタジエンゴムからなるベースゴムと、
有機過酸化物と、
アクリレート、ジアクリレート、メタクリレートまたはジメタクリレートの亜鉛塩を含有する架橋助剤と、
1~4の水和水を有する金属硫酸塩水和物を含む離水剤であって、ゴム組成物中に約1phr~約3.9phrの量で存在する離水剤と、
を含有し、
幾何学的中心部および外面は各々、硬度を有し、
幾何学的中心部の硬度は約45ショアC~約65ショアCの範囲であり、外面の硬度は約80ショアC~約100ショアCの範囲であり、
外面の硬度は、幾何学的中心部の硬度よりも大きく、少なくとも30ショアC単位の正の硬度勾配を画定し、
カバー層は、アイオノマー、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン-尿素ハイブリッド、またはそれらのコポリマーおよび混合物を含有する、
ゴルフボール。
【請求項37】
金属はアルカリ土類金属である、請求項36に記載のゴルフボール。
【請求項38】
ソリッドコアは、約1.39インチ~約1.62インチの範囲の直径を有する、請求項36に記載のゴルフボール。
【請求項39】
カバー層は、アイオノマー、熱可塑性ポリウレタン、またはキャスタブルポリウレタンから形成されている、請求項36に記載のゴルフボール。
【請求項40】
ソリッドコアは約10~約95の圧縮値を有する、請求項36に記載のゴルフボール。
【請求項41】
有機過酸化物はジメチルテルブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、またはそれらの組み合わせであり、有機過酸化物はゴム組成物中に約0.25phr~約2.5phrの量で存在する、請求項36に記載のゴルフボール。
【請求項42】
離水剤は硫酸カルシウム二水和物である、請求項36に記載のゴルフボール。
【請求項43】
離水剤は、ゴム組成物中に約1phr~約3phrの量で存在する、請求項36に記載のゴルフボール。
【請求項44】
少なくとも34ショアC単位の正の硬度勾配を画定するように、外面の硬度が幾何学的中心部の硬度よりも大きい、請求項36に記載のゴルフボール。
【請求項45】
ポリブタジエンゴムは、少なくとも90%の1,4シス結合含有量を有する、請求項36に記載のゴルフボール。
【請求項46】
ゴルフボールであって、ソリッドコアと、コアを取り囲む内側カバー層と、内側カバー層の周りに配置された外側カバー層とを備え、
外面と幾何学的中心部とを有するソリッドコアは、加熱下で硬化されたゴム組成物から形成され、ゴム組成物は、
少なくとも90%の1,4シス結合含有量を有するポリブタジエンゴムからなるベースゴムと、
有機過酸化物と、
ジアクリル酸亜鉛と、
1~4の水和水を有する金属硫酸塩水和物を含む離水剤であって、ゴム組成物中に約1phr~約3phrの量で存在する離水剤と、
亜鉛ペンタクロロチオフェノール、酸化亜鉛、硫酸バリウム、またはそれらの組み合わせから選択される添加剤と、
を含有し、
幾何学的中心部および外面の各々は硬度を有し、外面の硬度は幾何学的中心部の硬度よりも大きく、30ショアC単位~50ショアC単位の正の硬度勾配を画定し、
ゴム組成物中に存在する離水剤の量および離水剤の水和水の数は、正の硬度勾配と関連しており、以下の式(I)によって表され、
【数5】
式中、WRA
Cは、離水剤の量を百分率で表し、
【数6】
は正の硬度勾配(ショアC)を表し、WRA
WOHは、離水剤中の水和水の数を表し、
内側カバー層は、アイオノマーから形成されており、
外側カバー層は、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン-尿素ハイブリッド、ならびにそれらのコポリマーおよび混合物からなる群から選択されるポリマーから形成されている、
ゴルフボール。
【請求項47】
内側カバー層は、部分的に中和されたアイオノマー、高度に中和されたアイオノマー、またはそれらの組み合わせから形成されている、請求項46に記載のゴルフボール。
【請求項48】
外側カバーは熱可塑性ポリウレタンで形成されている、請求項46に記載のゴルフボール。
【請求項49】
ソリッドコアは約1.39インチ~約1.62インチの直径を有する、請求項46に記載のゴルフボール。
【請求項50】
少なくとも36ショアC単位の正の硬度勾配を画定するように、外面の硬度は幾何学的中心部の硬度よりも大きい、請求項46に記載のゴルフボール。
【請求項51】
内側カバー層は約0.010インチ~約0.120インチの厚さを有し、外側カバー層が約0.004インチ~約0.080インチの厚さを有する、請求項46に記載のゴルフボール。
【請求項52】
有機過酸化物はゴム組成物中に約0.1phr~約2.5phrの量で存在し、ジアクリル酸亜鉛がゴム組成物中に約10phr~45phrの量で存在し、離水剤はゴム組成物中に約3phrの量で存在する、請求項46に記載のゴルフボール。
【請求項53】
ゴルフボールであって、複数のコア層を有する多層コアと、多層コアを取り囲むカバー層とを備え、
多層コアの少なくとも1つは、加熱下で硬化されたゴム組成物から形成され、ゴム組成物は、
ポリブタジエンゴムを含有するベースゴムと、
有機過酸化物と、
アクリレート、ジアクリレート、メタクリレートまたはジメタクリレートの亜鉛塩を含む架橋助剤と、
1~4の水和水を有する金属硫酸塩水和物を含む離水剤であって、ゴム組成物中に約1phr~約3.9phrの量で存在する離水剤と、を含有し、
ゴム組成物から形成されたコア層は、外面および幾何学的中心部を有し、各々が硬度を有し、幾何学的中心部の硬度が約45ショアC~約65ショアCの範囲にあり、外面の硬度が約80ショアC~約100ショアCの範囲にあり、
外面の硬度は、幾何学的中心部の硬度よりも大きく、少なくとも30ショアC単位の正の硬度勾配を画定し、
カバー層は、アイオノマー、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン-尿素ハイブリッド、またはそれらのコポリマーおよび混合物を含有する、
ゴルフボール。
【請求項54】
金属はアルカリ土類金属である、請求項53に記載のゴルフボール。
【請求項55】
多層コアは少なくとも3つのコア層を含む、請求項53に記載のゴルフボール。
【請求項56】
多層コアは、約1.39インチ~約1.62インチの範囲の直径を有する、請求項53に記載のゴルフボール。
【請求項57】
多層コアの各コア層はゴム組成物から形成されている、請求項53に記載のゴルフボール。
【請求項58】
有機過酸化物はジメチルテルブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、またはそれらの組み合わせであり、有機過酸化物がゴム組成物中に約0.25phr~約2.5phrの量で存在する、請求項53に記載のゴルフボール。
【請求項59】
離水剤は硫酸カルシウム二水和物である、請求項53に記載のゴルフボール。
【請求項60】
離水剤は、ゴム組成物中に約1phr~約3phrの量で存在する、請求項53に記載のゴルフボール。
【請求項61】
多層コアは、中心部と、中心部の周りに形成された少なくとも3つのコア層と、備える、請求項53に記載のゴルフボール。
【請求項62】
中心部と、コア層の少なくとも2つとはゴム組成物から形成されている、請求項61に記載のゴルフボール。
【請求項63】
離水剤は、ゴム組成物中に約3phrの量で存在する、請求項53に記載のゴルフボール。
【請求項64】
ゴルフボールであって、多層コアと、多層コアを取り囲む内側カバー層と、内側カバー層の周りに配置された外側カバー層とを備え、
多層コアは、中心部と、中心部の周りに形成された少なくとも2つのコア層と、を備え、中心部または少なくとも2つのコア層の少なくとも1つは、加熱下で硬化されたゴム組成物から形成され、ゴム組成物は、
ポリブタジエンゴムを含むベースゴムと、
有機過酸化物と、
ジアクリル酸亜鉛と、
1~4の水和水を有する金属硫酸塩水和物を含む離水剤であって、ゴム組成物中に約1phr~約3phrの量で存在する離水剤と、
を含有し、
ゴム組成物からなる層は、幾何学的中心部および外面を有し、各々が硬度を有し、外面の硬度は幾何学的中心部の硬度よりも大きいことにより、30ショアC単位~50ショアC単位の正の硬度勾配を画定し、
ゴム組成物中に存在する離水剤の量および離水剤の水和水の数は、正の硬度勾配と関連しており、以下の式(I)によって表され、
【数7】
式中、WRA
Cは、離水剤の量を百分率で表し、
【数8】
は正の硬度勾配(ショアC)を表し、WRA
WOHは、離水剤中の水和水の数を表し、
内側カバー層は、アイオノマーから形成されており、
外側カバー層は、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン-尿素ハイブリッド、ならびにそれらのコポリマーおよび混合物からなる群から選択されるポリマーから形成されている、
ゴルフボール。
【請求項65】
多層コアの各層はゴム組成物から形成されている、請求項64に記載のゴルフボール。
【請求項66】
有機過酸化物はジメチルテルブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、またはそれらの組み合わせであり、有機過酸化物はゴム組成物中に約0.25phr~約2.5phrの量で存在する、請求項64に記載のゴルフボール。
【請求項67】
ジアクリル酸亜鉛がゴム組成物中に約10phr~45phrの量で存在し、離水剤はゴム組成物中に約3phrの量で存在する、請求項64に記載のゴルフボール。
【請求項68】
内側カバー層は、部分的に中和されたアイオノマー、高度に中和されたアイオノマー、またはそれらの組み合わせから形成され、外側カバーは、熱可塑性ポリウレタンから形成されている、請求項64に記載のゴルフボール。
【請求項69】
多層コアは約1.39インチ~約1.62インチの直径を有する、請求項64に記載のゴルフボール。
【請求項70】
少なくとも34ショアC単位の正の硬度勾配を規定するために、外面の硬度は幾何学的中心部の硬度よりも大きい、請求項64に記載のゴルフボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ゴルフボールに関する。より具体的には、本開示は、硬度勾配が増加したコアを有するゴルフボールに関する。結果として得られるゴルフボールは、回転数が低減され、十分なインパクト耐久性を有する。
【背景技術】
【0002】
ソリッドゴルフボールは、典型的には、カバーによって包まれたソリッドコアを用いて作製され、その両方が、ソリッド中心部(または内側コア)および外側コア層を有する二重コア、または内側カバー層および外側カバー層を有する多層カバーなどの複数の層を有することができる。一般に、ゴルフボールコアおよび/または中心部は、ポリブタジエン系組成物などの熱硬化性ゴムで構成される。
【0003】
熱硬化性ゴムは、ボールの回転数に影響を与え、および/またはより良好な「感触」を提供することができる、より高いまたはより低い圧縮または硬度などの特定の望ましい特性を有するゴルフボールコアを作成するために、様々な処理ステップで加熱および架橋される。これらおよび他の特性は、異なる能力のゴルファーのニーズに合わせて調整することができる。例えば、プロおよび高度に熟達したアマチュアゴルファーは、比較的高い回転数を有するボール上でより容易にバックスピンをかけることができ、それはボールをより良好に制御するのに役立ち、ショット精度および配置を改善する。一方、クラブでボールをヒットさせる際に意図的に回転数を制御することができないレクリエーション目的のプレイヤは、高回転数ボールを使用する可能性が低い。熱硬化性材料の性質および材料をコアに形成するために使用される加熱/硬化サイクルのために、製造業者は、コアにわたって(すなわち、コア表面からコアの中心部まで)様々な特性を達成することができる。
【0004】
従来のポリブタジエン系コアでは、成形コアの物理的特性は硬化サイクル(すなわち、コアが成形中に受ける時間および温度)に大きく依存する。この時間および温度履歴は、コア全体にわたって本質的に可変であり、コアの中心部は表面とは異なる時間/温度(すなわち、異なる温度でのより短い時間)に曝され(コアの中心部に熱を得るのに時間がかかるため)、特性勾配が中心部とコア表面との間の点に存在することを可能にする。この物理的特性勾配は、硬度勾配として容易に測定される。
【0005】
従来技術は、熱硬化性ゴルフボールコアにわたる「硬質から軟質」の硬度勾配を説明する複数の参考文献を含む。「硬質から軟質」の硬度勾配は、典型的には5ショアC~30ショアCの範囲にある。これらの硬度勾配はゴルフボールの回転数を低減するのに役立つが、十分なインパクト耐久性および弾性を維持しながらゴルフボールの回転数をさらに低減することができるように、当該技術分野で現在使用されている勾配よりも大きな硬度勾配を中心部とコア表面との間に有するコアを設計することが有利であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記で説明した課題ならびに他の課題は、以下の発明によって対処されるが、本明細書に記載の発明のすべての実施形態が上記の各課題に対処するわけではないことを理解されたい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
或る実施形態では、ゴルフボールが提供され、ゴルフボールは、二重コアおよび、二重コアを取り囲むカバー層を含み、二重コアは、内側コア層の上に配置された外側コア層を含み、外側コア層または内側コア層の少なくとも1つは、加熱下で硬化されたゴム組成物から形成され、ゴム組成物は、ポリブタジエンゴムを含むベースゴム、有機過酸化物、アクリレート、ジアクリレート、メタクリレート、またはジメタクリレートの亜鉛塩を含む架橋助剤、1~4水和水を有する金属硫酸塩水和物を含む離水剤(water releasing agent)を含み、離水剤は、ゴム組成物中に約1phr~約3.9phrの量で存在し、ゴム組成物から形成された層は、外面および幾何学的中心部を有し、各々が硬度を有し、幾何学的中心部の硬度は約45ショアC~約65ショアCの範囲であり、外面の硬度は約80ショアC~約100ショアCの範囲であり、外面の硬度は、幾何学的中心部の硬度よりも大きく、少なくとも30ショアC単位の正の硬度勾配を画定し、カバー層は、アイオノマー、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン-尿素ハイブリッド、またはそれらのコポリマーおよび混合物を含む。
【0008】
一実施形態では、金属はアルカリ土類金属であってもよい。さらなる実施形態では、内側コア層は、約0.25インチ~約1.51インチの直径を有する。また、さらなる実施形態では、二重コアは、約1.39インチ~約1.62インチの範囲の直径を有する。また、さらなる実施形態では、外側コア層および内側コア層は、ゴム組成物から形成される。他の実施形態では、有機過酸化物は、ジメチルテルブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、またはそれらの組み合わせであり、有機過酸化物は、ゴム組成物中に約0.25phr~約2.5phrの量で存在する。さらなる実施形態では、離水剤は硫酸カルシウム二水和物である。
【0009】
他の実施形態では、ゴルフボールが提供され、ゴルフボールは、内側コア層の上に配置された外側コア層を含む二重コアと、二重コアを取り囲む内側カバー層と、内側コア層の周りに配置された外側カバー層とを含み、外側コア層は、加熱下で硬化された第1のゴム組成物で形成され、第1のゴム組成物は、ポリブタジエンゴムとスチレンブタジエンゴムとの混合物、有機過酸化物、およびジアクリル酸亜鉛を含むベースゴムを含み、内側コア層は、加熱下で硬化された第2のゴム組成物で形成され、第2のゴム組成物は、ポリブタジエンゴムを含むベースゴム、有機過酸化物、ジアクリル酸亜鉛、および1~4水和水を有する金属硫酸塩水和物を含む離水剤を含み、離水剤は、ゴム組成物中に約1phr~約3phrの量で存在し、内側コア層は、幾何学的中心部および外面を有し、各々が硬度を有し、外面の硬度が幾何学的中心部の硬度より大きく、30ショアC単位~50ショアC単位の正の硬度勾配を画定し、ゴム組成物中に存在する離水剤の量および離水剤の水和数は、正の硬度勾配と関連しており、以下の式(I)によって表され、
【数1】
式中、WRA
Cは、離水剤の量を百分率で表し、
【数2】
は正の硬度勾配(ショアC)を表し、WRA
WOHは、離水剤中の水和水の数を表し、内側カバー層は、アイオノマーから形成されており、外側カバー層は、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン-尿素ハイブリッド、ならびにそれらのコポリマーおよび混合物からなる群から選択されるポリマーから形成されている。
【0010】
ポリブタジエンゴムは、混合物中に約80phr~約99phrの量で存在してもよく、スチレンブタジエンゴムは、混合物中に約1phr~約20phrの量で存在してもよい。さらなる実施形態では、有機過酸化物はジクミルペルオキシドであり、有機過酸化物は、第2のゴム組成物中に存在する有機過酸化物の量未満の量で第1のゴム組成物中に存在する。また、さらなる実施形態では、有機過酸化物は、第2のゴム組成物中に約0.1phr~約3phrの量で存在し、ジアクリル酸亜鉛は、第2のゴム組成物中に約10phr~45phrの量で存在し、離水剤は、第2のゴム組成物中に約3phrの量で存在する。また、さらなる実施形態では、内側カバー層は、部分的に中和されたアイオノマー、高度に中和されたアイオノマー、またはそれらの組み合わせから形成され、外側カバーは熱可塑性ポリウレタンから形成される。また、さらなる実施形態では、二重コアは、約1.39インチ~約1.62インチの直径を有する。他の実施形態では、外面の硬度は、幾何学的中心部の硬度よりも大きく、少なくとも34ショアC単位の正の硬度勾配を画定する。
【0011】
さらに他の実施形態では、ゴルフボールが提供され、ゴルフボールは、内側コア層の上に配置された外側コア層を含む二重コアと、コアを取り囲む内側カバー層と、内側カバー層の周りに配置された外側カバー層とを含み、外側コア層および内側コア層は、各々、加熱下で硬化されたゴム組成物から形成され、ゴム組成物は、少なくとも90%の1,4シス結合含有量を有するポリブタジエンゴムを含むベースゴム、ジクミルペルオキシド、ジアクリル酸亜鉛、および1~4水和水を有する金属硫酸塩水和物を含む離水剤を含み、離水剤は、約1phr~約3phrの量でゴム組成物中に存在し、亜鉛ペンタクロロチオフェノール、酸化亜鉛、硫酸バリウム、またはそれらの組み合わせから選択される添加剤であり、外側コア層および内側コア層は各々、第1の硬度を有する幾何学的中心部および第2の硬度を有する外面を有し、第2の硬度が第1の硬度よりも大きく、少なくとも34ショアC単位の正の硬度勾配を画定する。
【0012】
離水剤は、ゴム組成物中に約3phrの量で存在してもよい。さらなる実施形態では、内側カバー層はアイオノマーから形成され、外側カバー層は、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン-尿素ハイブリッド、ならびにそれらのコポリマーおよび混合物からなる群から選択されるポリマーから形成される。また、さらなる実施形態では、亜鉛ペンタクロロチオフェノールは、ゴム組成物中に約0.1phr~約3phrの量で存在し、酸化亜鉛は、ゴム組成物中に約3phr~約10phrの量で存在し、硫酸バリウムは、ゴム組成物中に約10phr~約20phrの量で存在する。さらに別の実施形態では、ゴム組成物中の添加剤は、亜鉛ペンタクロロチオフェノール、酸化亜鉛、およびリグラインドの組み合わせである。他の実施形態では、離水剤は硫酸カルシウム二水和物である。
【0013】
或る実施形態では、ゴルフボールが提供され、ゴルフボールは、外面と幾何学的中心部とを有するソリッドコアと、コアを取り囲むカバー層とを含み、ソリッドコアは、加熱下で硬化されるゴム組成物から形成され、ゴム組成物は、ポリブタジエンとエチレン-プロピレン-ジエンゴムとの混合物を含むベースゴムと、ジメチルテルブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、またはそれらの組み合わせを含む有機過酸化物と、アクリレート、ジアクリレート、メタクリレート、またはジメタクリレートの亜鉛塩を含む架橋助剤と、1~4水和水を有する金属硫酸塩水和物を含む離水剤とを含み、離水剤は、ゴム組成物中に約1phr~約3.9phrの量で存在し、幾何学的中心部および外面は各々、硬度を有し、幾何学的中心部の硬度は約45ショアC~約65ショアCの範囲であり、外面の硬度は約80ショアC~約100ショアCの範囲であり、外面の硬度は、幾何学的中心部の硬度よりも大きく、少なくとも30ショアC単位の正の硬度勾配を画定する。
【0014】
一実施形態では、金属はアルカリ土類金属であってもよい。例えば、離水剤は硫酸カルシウム二水和物であってもよい。さらなる実施形態において、ポリブタジエンは、混合物中に約70phr~約99phrの量で存在し、エチレン-プロピレン-ジエンゴムは、混合物中に約1phr~約30phrの量で存在する。また、さらなる実施形態において、ソリッドコアは、約10~約95の圧縮値を有する。また、さらなる実施形態において、有機過酸化物は、ゴム組成物中に約0.25phr~約2.5phrの量で存在する。また、さらなる実施形態では、架橋助剤は、ゴム組成物中に約10phr~45phrの量で存在する。
【0015】
他の実施形態では、ゴルフボールが提供され、ゴルフボールは、外面と幾何学的中心部とを有するソリッドコアと、コアを取り囲む内側カバー層と、内側カバー層の周りに配置されている外側カバー層と、を含み、ソリッドコアは、加熱下で硬化されたゴム組成物から形成され、ゴム組成物は、2つ以上のポリブタジエンゴムとエチレン-プロピレン-ジエンゴムとの混合物を含むベースゴムと、有機過酸化物と、ジアクリル酸亜鉛を含む架橋助剤と、1~4水和水を有する金属硫酸塩水和物を含む離水剤とを含み、離水剤は、ゴム組成物中に約1phr~約3phrの量で存在し、幾何学的中心部および外面は各々硬度を有し、外面の硬度は幾何学的中心部の硬度よりも大きく、30ショアC単位~50ショアC単位の正の硬度勾配を画定し、ゴム組成物中に存在する離水剤の量および離水剤の水和水の数は、正の硬度勾配と関連しており、以下の式(I)によって表され、
【数3】
式中、WRA
Cは、離水剤の量を百分率で表し、
【数4】
は正の硬度勾配(ショアC)を表し、WRA
WOHは、離水剤中の水和水の数を表す。
【0016】
内側カバー層は、酸基の70%未満が中和されるように酸基を含有するエチレン酸コポリマーを含んでもよく、外側カバー層は、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン-尿素ハイブリッド、ならびにそれらのコポリマーおよび混合物からなる群から選択されるポリマーを含んでもよい。さらなる実施形態では、外側カバーは熱可塑性ポリウレタンを含む。また、さらなる実施形態では、ソリッドコアは、約1.39インチ~約1.62インチの直径を有する。また、さらなる実施形態では、2つ以上のポリブタジエンゴムは混合物中に約85phr~約95phrの量で存在し、エチレン-プロピレン-ジエンゴムは混合物中に約5phr~約15phrの量で存在する。さらなる実施形態では、内側カバー層は、約0.010インチ~約0.120インチの厚さを有し、外側カバー層は、約0.004インチ~約0.080インチの厚さを有する。また、さらなる実施形態では、有機過酸化物はゴム組成物中に約0.1phr~約3phrの量で存在し、架橋助剤はゴム組成物中に約10phr~45phrの量で存在し、離水剤はゴム組成物中に約3phrの量で存在する。
【0017】
さらに他の実施形態では、ゴルフボールが提供され、ゴルフボールは、外面と幾何学的中心部とを有するソリッドコアと、コアを取り囲む内側カバー層と、内側カバー層の周りに配置されている外側カバー層と、を含み、ソリッドコアは、加熱下で硬化されたゴム組成物から形成され、ゴム組成物は、2つ以上のポリブタジエンゴムとエチレン-プロピレン-ジエンゴムとの混合物を含むベースゴムと、ジクミルペルオキシドと、ジアクリル酸亜鉛と、硫酸カルシウム二水和物、硫酸亜鉛二水和物、またはそれらの組み合わせを含む離水剤とを含み、離水剤は、ゴム組成物中に約1phr~約3phrの量で存在し、亜鉛ペンタクロロチオフェノール、酸化亜鉛、硫酸バリウム、またはそれらの組み合わせから選択される添加剤であり、幾何学的中心部および外面は各々硬度を有し、外面の硬度は幾何学的中心部の硬度よりも大きく、少なくとも34ショアC単位の正の硬度勾配を画定する。
【0018】
さらなる実施形態では、離水剤は、ゴム組成物中に約3phrの量で存在する。他の実施形態では、添加剤は、亜鉛ペンタクロロチオフェノール、酸化亜鉛、および硫酸バリウムの組み合わせである。また、さらなる実施形態では、亜鉛ペンタクロロチオフェノールは、ゴム組成物中に約0.1phr~約3phrの量で存在し、酸化亜鉛は、ゴム組成物中に約3phr~約10phrの量で存在し、硫酸バリウムは、ゴム組成物中に約10phr~約30phrの量で存在する。また、さらなる実施形態では、外面の硬度は、幾何学的中心部の硬度よりも大きく、34ショアC単位~50ショアC単位の正の硬度勾配を画定する。また、さらなる実施形態では、離水剤は硫酸カルシウム二水和物である。
【0019】
或る実施形態では、ゴルフボールが提供され、ゴルフボールは、外面と幾何学的中心部とを有するソリッドコアと、ソリッドコアを取り囲むカバー層とを含み、ソリッドコアは、加熱下で硬化されるゴム組成物から形成され、ゴム組成物は、ポリブタジエンゴムからなるベースゴム、1~4水和水を有する水和物を含み、離水剤は、ゴム組成物中に約1phr~約3.9phrの量で存在し、幾何学的中心部および外面は各々硬度を有し、幾何学的中心部の硬度は約45ショアC~約65ショアCの範囲であり、外面の硬度が約80ショアC~約100ショアCの範囲であり、外面の硬度が、幾何学的中心部の硬度よりも大きく、少なくとも30ショアC単位の正の硬度勾配を画定し、カバー層は、アイオノマー、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン-尿素ハイブリッド、またはそれらのコポリマーおよび混合物を含む。
【0020】
金属は、アルカリ土類金属であってもよい。例えば、離水剤は硫酸カルシウム二水和物であってもよい。さらなる実施形態では、ソリッドコアは、約1.39インチ~約1.62インチの範囲の直径を有する。また、さらなる実施形態では、カバー層は、アイオノマー、熱可塑性ポリウレタン、またはキャスタブルポリウレタンから形成される。また、さらなる実施形態において、ソリッドコアは、約10~約95の圧縮値を有する。さらなる実施形態では、有機過酸化物は、ジメチルテルブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、またはそれらの組み合わせであり、有機過酸化物は、ゴム組成物中に約0.25phr~約2.5phrの量で存在する。
【0021】
他の実施形態では、ゴルフボールが提供され、ゴルフボールは、外面と幾何学的中心部とを有するソリッドコアと、コアを取り囲む内側カバー層と、内側カバー層の周りに配置された外側カバー層と、を含み、ソリッドコアは、加熱下で硬化されたゴム組成物から形成され、ゴム組成物は、少なくとも90%の1,4シス結合含有量を有するポリブタジエンゴムからなるベースゴムと、有機過酸化物と、ジアクリル酸亜鉛と、1~4水和水を有する金属硫酸塩水和物を含む離水剤とを含み、離水剤は、ゴム組成物中に約1phr~約3phrの量で存在し、亜鉛ペンタクロロチオフェノール、酸化亜鉛、硫酸バリウム、またはそれらの組み合わせから選択される添加剤であり、幾何学的中心部および外面は各々硬度を有し、外面の硬度は幾何学的中心部の硬度よりも大きく、30ショアC単位~50ショアC単位の正の硬度勾配を画定し、ゴム組成物中に存在する離水剤の量および離水剤の水和水の数は、正の硬度勾配と関連しており、以下の式(I)によって表され、
【数5】
式中、WRA
Cは、離水剤の量を百分率で表し、
【数6】
は正の硬度勾配(ショアC)を表し、WRA
WOHは、離水剤中の水和水の数を表し、内側カバー層はアイオノマーから形成されており、外側カバー層は、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン-尿素ハイブリッド、ならびにそれらのコポリマーおよび混合物からなる群から選択されるポリマーから形成されている。
【0022】
内側カバー層は、部分的に中和されたアイオノマー、高度に中和されたアイオノマー、またはそれらの組み合わせから形成されてもよい。さらなる実施形態では、外側カバーは熱可塑性ポリウレタンで形成される。また、さらなる実施形態では、ソリッドコアは、約1.39インチ~約1.62インチの直径を有する。また、さらなる実施形態では、外面の硬度は、幾何学的中心部の硬度よりも大きく、少なくとも36ショアC単位の正の硬度勾配を画定する。さらに他の実施形態では、内側カバー層は、約0.010インチ~約0.120インチの厚さを有し、外側カバー層は、約0.004インチ~約0.080インチの厚さを有する。さらなる実施形態では、有機過酸化物は、ゴム組成物中に約0.1phr~約2.5phrの量で存在し、ジアクリル酸亜鉛は、ゴム組成物中に約10phr~45phrの量で存在し、離水剤は、ゴム組成物中に約3phrの量で存在する。
【0023】
さらに他の実施形態では、ゴルフボールが提供され、ゴルフボールは、外面と幾何学的中心部とを有するソリッドコアと、コアを取り囲む内側カバー層と、内側カバー層の周りに配置されている、外側カバー層と、を含み、ソリッドコアは、加熱下で硬化されたゴム組成物から形成され、ゴム組成物は、ポリブタジエンゴム、ジクミルペルオキシド、酸化亜鉛、ジアクリル酸亜鉛、硫酸カルシウム二水和物、亜鉛ペンタクロロチオフェノールおよび硫酸バリウムからなり、硫酸カルシウム二水和物は、ゴム組成物中に約1phr~約3phrの量で存在し、幾何学的中心部および外面は各々硬度を有し、外面の硬度は幾何学的中心部の硬度よりも大きく、少なくとも34ショアC単位の正の硬度勾配を画定する。
【0024】
硫酸カルシウム二水和物は、ゴム組成物中に約3phrの量で存在してもよい。さらなる実施形態では、内側カバー層はアイオノマーから形成され、外側カバー層は、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン-尿素ハイブリッド、ならびにそれらのコポリマーおよび混合物からなる群から選択されるポリマーから形成される。また、さらなる実施形態では、亜鉛ペンタクロロチオフェノールは、ゴム組成物中に約0.1phr~約3phrの量で存在し、酸化亜鉛は、ゴム組成物中に約3phr~約10phrの量で存在し、硫酸バリウムは、ゴム組成物中に約10phr~約30phrの量で存在する。また、さらなる実施形態では、外面の硬度は、幾何学的中心部の硬度よりも大きく、約34ショアC単位~約40ショアC単位の正の硬度勾配を画定する。他の実施形態において、ポリブタジエンゴムは、少なくとも90%の1,4シス結合含有量を有する。
【0025】
或る実施形態では、ゴルフボールが提供され、ゴルフボールは、複数のコア層を含む多層コアと、多層コアを取り囲むカバー層とを含み、コア層の少なくとも1つは、加熱下で硬化されたゴム組成物から形成され、ゴム組成物は、ポリブタジエンゴムを含むベースゴムと、有機過酸化物と、アクリレート、ジアクリレート、メタクリレート、またはジメタクリレートの亜鉛塩を含む架橋助剤と、1~4水和水を有する金属硫酸塩水和物を含む離水剤とを含み、離水剤は、ゴム組成物中に約1phr~約3.9phrの量で存在し、ゴム組成物から形成されたコア層は、外面および幾何学的中心部を有し、各々が硬度を有し、幾何学的中心部の硬度が約45ショアC~約65ショアCの範囲であり、外面の硬度が約80ショアC~約100ショアCの範囲であり、外面の硬度が、幾何学的中心部の硬度よりも大きく、少なくとも30ショアC単位の正の硬度勾配を画定し、カバー層は、アイオノマー、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン-尿素ハイブリッド、またはそれらのコポリマーおよび混合物を含む。
【0026】
一実施形態では、金属はアルカリ土類金属であってもよい。さらなる実施形態では、多層コアは少なくとも3つのコア層を含む。また、さらなる実施形態では、多層コアは、約1.39インチ~約1.62インチの範囲の直径を有する。また、さらなる実施形態では、多層コアの各コア層はゴム組成物から形成される。また、さらなる実施形態では、有機過酸化物は、ジメチルテルブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、またはそれらの組み合わせであり、有機過酸化物は、ゴム組成物中に約0.25phr~約2.5phrの量で存在する。また、さらなる実施形態では、離水剤は硫酸カルシウム二水和物である。
【0027】
他の実施形態では、ゴルフボールが提供され、ゴルフボールは、中心部と、中心部の周りに形成された少なくとも2つのコア層とを含む多層コアと、多層コアを取り囲む内側カバー層と、内側カバー層の周りに配置された外側カバー層と、を含み、中心部または少なくとも2つのコア層の少なくとも1つは、加熱下で硬化されたゴム組成物で形成され、ゴム組成物は、ポリブタジエンゴムを含むベースゴム、有機過酸化物、ジアクリル酸亜鉛、および1~4水和水を有する金属硫酸塩水和物を含む離水剤を含み、離水剤は、ゴム組成物中に約1phr~約3phrの量で存在し、ゴム組成物から形成された層は、各々硬度を有する幾何学的中心部および外面を有し、外面の硬度は、幾何学的中心部の硬度よりも大きく、30ショアC単位~50ショアC単位の正の硬度勾配を画定し、ゴム組成物中に存在する離水剤の量および離水剤の水和水の数は、正の硬度勾配と関連しており、以下の式(I)によって表され、
【数7】
式中、WRA
Cは、離水剤の量を百分率で表し、
【数8】
は正の硬度勾配(ショアC)を表し、WRA
WOHは、離水剤中の水和水の数を表し、内側カバー層は、アイオノマーから形成されており、外側カバー層は、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン-尿素ハイブリッド、ならびにそれらのコポリマーおよび混合物からなる群から選択されるポリマーから形成されている。
【0028】
一実施形態では、多層コアの各層はゴム組成物から形成される。さらなる実施形態では、有機過酸化物は、ジメチルテルブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、またはそれらの組み合わせであり、有機過酸化物は、ゴム組成物中に約0.25phr~約2.5phrの量で存在する。また、さらなる実施形態では、ジアクリル酸亜鉛は、ゴム組成物中に約10phr~45phrの量で存在し、離水剤は、ゴム組成物中に約3phrの量で存在する。また、さらなる実施形態では、内側カバー層は、部分的に中和されたアイオノマー、高度に中和されたアイオノマー、またはそれらの組み合わせから形成され、外側カバーは熱可塑性ポリウレタンから形成される。他の実施形態では、多層コアは、約1.39インチ~約1.62インチの直径を有する。また、さらなる実施形態では、外面の硬度は、幾何学的中心部の硬度よりも大きく、少なくとも34ショアC単位の正の硬度勾配を画定する。
【0029】
さらに他の実施形態では、ゴルフボールが提供され、ゴルフボールは、中心部と、中心部の周りに形成された少なくとも3つのコア層とを含む多層コアと、多層コアを取り囲む内側カバー層と、内側カバー層の周りに配置されている外側カバー層と、を含み、中心部とコア層の少なくとも1つとは、加熱下で硬化されたゴム組成物から形成され、ゴム組成物は、1,4シス結合含有量が少なくとも90%のポリブタジエンゴムを含むベースゴム、ジクミルペルオキシド、ジアクリル酸亜鉛、1~4の水和水を有する金属硫酸塩水和物を含む離水剤を含み、離水剤は、約1phr~約3phrの量でゴム組成物中に存在し、亜鉛ペンタクロロチオフェノール、酸化亜鉛、硫酸バリウム、またはそれらの組み合わせから選択される添加剤を含み、ゴム組成物から形成された中心部およびコア層は各々、第1の硬度を有する幾何学的中心部および第2の硬度を有する外面を有し、第2の硬度が第1の硬度よりも大きく、少なくとも34ショアC単位の正の硬度勾配を画定する。
【0030】
一実施形態において、中心部および少なくとも2つのコア層は、ゴム組成物から形成される。さらなる実施形態では、内側カバー層はアイオノマーから形成され、外側カバー層は、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン-尿素ハイブリッド、ならびにそれらのコポリマーおよび混合物からなる群から選択されるポリマーから形成される。また、さらなる実施形態では、亜鉛ペンタクロロチオフェノールは、ゴム組成物中に約0.1phr~約3phrの量で存在し、酸化亜鉛は、ゴム組成物中に約3phr~約10phrの量で存在し、硫酸バリウムは、ゴム組成物中に約10phr~約20phrの量で存在する。さらに別の実施形態では、ゴム組成物中の添加剤は、亜鉛ペンタクロロチオフェノール、酸化亜鉛、およびリグラインドの組み合わせである。他の実施形態では、離水剤は硫酸カルシウム二水和物である。
【0031】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下に説明する図面に関連して提供される以下の詳細な説明から確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本開示の一実施形態による2ピースゴルフボールの断面図である。
【
図2】本開示の一実施形態による3ピースゴルフボールの断面図である。
【
図3】本開示の一実施形態による4ピースゴルフボールの断面図である。
【
図4】本開示の一実施形態による5ピースゴルフボールの断面図である。
【
図5】第1の速度でドライバで打った後の例示的および比較的なゴルフボールの測定された回転数およびボール速度のグラフ表示である。
【
図6】第2の速度でドライバで打った後の例示的および比較的なゴルフボールの測定された回転数およびボール速度のグラフ表示である。
【
図7】8番アイアンで打った後の例示的なゴルフボールおよび比較例のゴルフボールの測定された回転数およびボール速度のグラフ表示である。
【
図8】5番アイアンで打った後の例示的なゴルフボールおよび比較例のゴルフボールの測定された回転数およびボール速度のグラフ表示である。
【
図9】ハーフウェッジによる打撃後の例示的および比較的なゴルフボールの測定された回転数およびボール速度のグラフ表示である。
【
図10】特定の数のヒット後の例示的および比較的なゴルフボールの各々の破損数を示すグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示は、硬度勾配が増加したコアを有するゴルフボールを提供する。或る実施形態では、本開示は、コアの外面が中心部よりも硬い「正」硬度勾配(または「硬質から軟質」の硬度)を有するコアを有するゴルフボールを提供する。特定の理論に束縛されるものではないが、本開示の発明者らは、硬化プロセス中にコアゴム配合物に離水剤を導入することによって、「正の」硬度勾配の増加を達成できることを発見した。硬化プロセス中に放出された水は、遊離ラジカル開始剤の分解を促進し、ラジカル不活性化をさらに促進し、コアの中心部におけるラジカルの数を低減すると考えられる。これは、ひいては、コアの表面と中心部との間の硬度勾配の増加をもたらす。コアの外面から中心部に向かって硬度勾配を増加させることにより、ゴルフボールの回転数を低減し、十分な耐久性を維持することができる。
【0034】
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本開示の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書で定義されているものなどの用語は、本明細書の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的にそのように定義されない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されるべきではないことがさらに理解されよう。周知の機能または構造は、簡潔さまたは明瞭さのために詳細に説明されない場合がある。
【0035】
「約」および「ほぼ」という用語は、一般に、測定の性質または精度を考慮して、測定された量の許容可能な程度の誤差または変動を意味するものとする。本明細書で与えられる数値は、特に明記しない限り近似値であり、「約」または「ほぼ」という用語は、明示的に述べられていない場合に推測されることができることを意味する。
【0036】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のものであり、限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形(すなわち、物品が変更するもののうちの少なくとも1つ)も含むことが意図される。
【0037】
「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、様々な特徴または要素を説明するために本明細書で使用されるが、これらの特徴または要素はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの特徴または要素を別の特徴または要素と区別するためにのみ使用される。したがって、以下に説明する第1の特徴または要素は、第2の特徴または要素と呼ぶことができ、同様に、以下に説明する第2の特徴または要素は、本開示の教示から逸脱することなく、第1の特徴または要素と呼ぶことができる。
【0038】
「正の硬度勾配」という用語は、測定されている部品の外面の硬度値(例えば、ソリッドコアの外面または二重コア内の内側コアの外面)から、測定されている部品の最内部の硬度値(例えば、二重コア構造におけるソリッドコアまたは内側コアの中心部)を差し引いた結果を指す。例えば、ソリッドコアの外面が中心部よりも大きい硬度値を有する場合、硬度勾配は「正の」勾配と見なされる。
【0039】
「百分率」という用語は、「phr」としても知られ、ベースゴム成分100重量部に対する、混合物中に存在する特定の成分の重量部の数として定義される。
【0040】
コア配合物
本開示は、コアにわたる「正」硬度勾配の増加をもたらすコア配合物を有するゴルフボールを提供する。或る実施形態では、本開示のコア配合物は、ベースゴム、架橋剤、遊離ラジカル開始剤、および硬化プロセス中にゴム配合物中に水を放出することができる離水剤を含む。コア配合物はまた、場合により、1つ以上の、金属酸化物、金属脂肪酸または脂肪酸、酸化防止剤、軟化促進剤、またはフィラーなどの添加剤を含んでもよい。
【0041】
ベースゴム
本開示のコア配合物は、ベースゴムを含む。或る実施形態では、ベースゴムは、天然ゴムおよび合成ゴム、ならびにそれらの2つ以上の組み合わせを含んでもよい。ベースゴムとしての使用に適した天然ゴムおよび合成ゴムの例には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレン-プロピレン-ジエン(EPDM)ゴム、グラフト化EPDMゴム、スチレン-ブタジエンゴム、スチレンブロックコポリマーゴム(例えば、「SI」、「SIS」、「SB」、「SBS」、「SIBS」などであり、「S」はスチレンであり、「I」はイソブチレンであり、「B」はブタジエンである)、ポリアルケナマー、例えばポリオクテナマー、ブチルゴム、ハロブチルゴム、ポリスチレンエラストマー、ポリエチレンエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリ尿素エラストマー、メタロセン触媒エラストマーおよびプラストマー、イソブチレンとp-アルキルスチレンとのコポリマー、イソブチレンとp-アルキルスチレンとのハロゲン化コポリマー、ブタジエンとアクリロニトリルとのコポリマー、ポリクロロプレン、アルキルアクリレートゴム、塩素化イソプレンゴム、アクリロニトリル塩素化イソプレンゴム、ならびにそれらの2つ以上の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
或る実施形態では、コア配合物は、ベースゴムとしてポリブタジエンゴムを含んでもよい。ポリブタジエンゴムは、シス結合構造およびトランス結合構造の様々な組み合わせを有することができる。一実施形態において、ポリブタジエンゴムは、少なくとも40%の1,4シス結合含有量を有する。他の実施形態において、ポリブタジエンゴムは、少なくとも80%の1,4シス結合含有量を有する。さらに他の実施形態では、ポリブタジエンゴムは、少なくとも90%の1,4シス結合含有量を有する。一般に、1,4シス結合含有量が高いポリブタジエンゴムは引張強度が高い。ポリブタジエンゴムは、比較的高いムーニー粘度または低いムーニー粘度を有してもよい。
【0043】
本開示に従って使用することができる市販のポリブタジエンゴムの例としては、これらに限定されないが、タイ、バンコクのBST Elastomersから入手可能なBR 01およびBR 1220、ミシガン州ミッドランドのDOW Chemical社から入手可能なSE BR 1220LAおよびSE BR1203、オハイオ州アクロンのGoodyear社から入手可能なBUDENE 1207、1207s、1208および1280、日本、東京の日本合成ゴム(JSR)から入手可能なBR 01、51および730、ピッツバーグのLanxess社から入手可能なBUNA CB 21、CB 22、CB 23、CB 24、CB 25、CB 29 MES、CB 60、CB Nd 60、CB 55 NF、CB 70 B、CB KA 8967、およびCB 1221、韓国、ソウルのLG Chemicalから入手可能なBR1208、日本、東京のUBE社から入手可能なUBEPOL BR130B、BR150、BR150B、BR150L、BR230、BR360L、BR710、およびVCR617、イタリアのローマのPolimeri Europaから入手可能なEUROPRENE NEOCIS BR 60、INTENE 60 AFおよびP30AF、ならびにEUROPRENE BR HV80、南アフリカ、ブルマのKarbochem(PTY)社から入手可能なAFDENE 50およびNEODENE BR40、BR45、BR50ならびにBR60、韓国、ソウルのKumho Petrochemical社から入手可能なKBR 01、NdBr 40、NdBR-45、NdBr 60、KBR 710S、KBR 710H、およびKBR 750、オハイオ州アクロンのFirestone Polymersから入手可能なDIENE 55NF、70AC、および320 AC、ならびにそれらの2つ以上の組み合わせを含む。
【0044】
コア配合物は、ベースゴムとして、単一のベースゴムまたは2つ以上の上述のゴムの組み合わせを含んでもよい。或る実施形態では、コア配合物は、ベースゴムとして高シス1,4ポリブタジエンなどのポリブタジエンゴムを含んでもよい。この実施形態では、コア配合物は、2つ以上の異なるタイプの高シス1,4ポリブタジエンなどの2つ以上のタイプのポリブタジエンゴムの組み合わせを含んでもよい。さらなる実施形態では、コア配合物は、ベースゴムとしてEPDMゴムまたはグラフト化EPDMゴムを含んでもよい。また、さらなる実施形態では、コア配合物は、ベースゴムとしてポリブタジエンゴムとEPDMゴムとの組み合わせを含んでもよい。例えば、コア配合物は、EPDMゴムと、ベースゴムとしての2つ以上の異なるタイプの高シス1,4ポリブタジエンなどの2つ以上の異なるタイプのポリブタジエンゴムとを組み合わせてもよい。
【0045】
或る実施形態では、コア配合物は、100phrの量のベースゴムを含む。すなわち、2つ以上のゴム成分がベースゴムとしてコア配合物に使用される場合、各ゴム成分の総重量は合計100phrでなければならない。或る実施形態では、コア配合物は、ベースゴムとしてポリブタジエンゴムを100phrの量で含む。他の実施形態では、コア配合物は、ポリブタジエンゴムおよび第2のゴム成分を含む。この実施形態において、ポリブタジエンゴムは、約70phr~約99phrの量で使用されてもよく、第2のゴム成分は、約1phr~約30phrの量で使用されてもよい。さらに他の実施形態では、ポリブタジエンゴムは、約85phr~約95phrの量で使用されてもよく、第2のゴム成分は、約5phr~約15phrの量で使用されてもよい。或る実施形態では、第2のゴム成分はEPDMゴムである。
【0046】
ベースゴムは、組成物の総重量に基づいて少なくとも約5重量%の量でコア配合物に使用されてもよい。或る実施形態では、ベースゴムは、約20重量%~約95重量%の量で使用されてもよい。さらなる実施形態では、ベースゴムは、約45重量%~約95重量%の量で使用されてもよい。さらに他の実施形態では、ベースゴムは、少なくとも約50重量%の量で使用されてもよい。またさらなる実施形態では、ベースゴムは、少なくとも約70重量%の量で使用されてもよい。
【0047】
架橋剤
コア配合物は、反応性架橋助剤を含有する。適切な架橋助剤は、3~8個の炭素原子を有する不飽和カルボン酸の金属塩、不飽和ビニル化合物および多官能性モノマー(例えば、トリメチロールプロパントリメタクリレート)、フェニレンビスマレイミド、ならびにそれらの組み合わせを含有するがこれらに限定されない。適切な金属塩の例には、アクリレート、ジアクリレート、メタクリレート、およびジメタクリレートの1つ以上の金属塩が含まれるが、これらに限定されず、金属は、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、リチウム、またはニッケルから選択される。或る実施形態では、架橋助剤は、アクリレート、ジアクリレート、メタクリレートまたはジメタクリレートの亜鉛塩から選択される。例えば、一実施形態では、架橋助剤はジアクリル酸亜鉛(ZDA)である。
【0048】
架橋助剤は、コア配合物中に約5phr~約50phrの量で存在してもよい。或る実施形態では、架橋助剤は、コア配合物中に約10phr~約45phrの量で存在してもよい。さらなる実施形態では、架橋助剤は、コア配合物中に約15phr~約40phrの量で存在してもよい。なおさらなる実施形態では、架橋助剤は、コア配合物中に約20phr~約35phrの量で存在してもよい。例えば、一実施形態では、架橋助剤は、コア配合物中に約30phrの量で存在してもよい。他の実施形態では、架橋助剤は、コア配合物中に約35.5phrの量で存在してもよい。
【0049】
遊離ラジカル開始剤
コア配合物は、有機過酸化物、遊離ラジカルを生成することができる高エネルギー放射線源、またはそれらの組み合わせから選択される遊離ラジカル開始剤を含有してもよい。或る実施形態では、遊離ラジカル開始剤は有機過酸化物である。適切な有機過酸化物は、ジクミルペルオキシド、n-ブチル-4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)バレレート、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)3,3,5トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジ-t-アミルペルオキシド、t-ブチルペルオキシド、t-ブチルクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ジ(2-t-ブチル-ペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジラウロイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、ジメチルテルブチルペルオキシド混合物、およびそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない。一実施形態では、遊離ラジカル開始剤は、Akzo Nobelから市販されているPerkadox(登録商標)BCを含むがこれに限定されないジクミルペルオキシドである。他の実施形態では、遊離ラジカル開始剤は、Nouryonから市販されているTrigonox(登録商標)101-50D-PDを含むジメチルテルブチルペルオキシドを含むがこれらに限定されない。
【0050】
遊離ラジカル開始剤は、コア配合物中に約0.05phr~約15phrの量で存在してもよい。或る実施形態では、遊離ラジカル開始剤は、コア配合物中に約0.1phr~約10phrの量で存在してもよい。他の実施形態では、遊離ラジカル開始剤は、コア配合物中に約0.5phr~約6phrの量で存在してもよい。さらに他の実施形態では、遊離ラジカル開始剤は、コア配合物中に約1phr~約5phrの量で存在してもよい。さらなる実施形態では、遊離ラジカル開始剤は、コア配合物中に約1.5phr~約3phrの量で存在してもよい。また、さらなる実施形態では、遊離ラジカル開始剤は、コア配合物中に約0.1phr~約2.5phrの量で存在する。また、さらなる実施形態では、遊離ラジカル開始剤は、コア配合物中に約0.25phr~約1.5phrの量で存在する。例えば、遊離ラジカル開始剤は、コア配合物中に約0.35phrの量で存在してもよい。他の実施形態では、遊離ラジカル開始剤は、コア配合物中に約0.6phrの量で存在してもよい。さらに他の実施形態では、遊離ラジカル開始剤は、コア配合物中に約1phrの量で存在してもよい。
【0051】
離水剤
本開示のコア配合物は、離水剤を含む。本明細書で使用される「離水剤」は、硬化プロセス中に放出可能な少なくとも1つの水分子を有する化合物を指す。上記で簡単に説明したように、コアの硬化時に遊離ラジカル開始剤が分解して分解熱が発生すると、コアの表面付近の温度は金型の温度と実質的に同じに保たれるが、コアの中心部付近の温度は遊離ラジカル開始剤の分解熱の蓄積により上昇する。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、所望の硬化温度で水を放出することができる離水剤をコア配合物に添加することによって、水は、遊離ラジカル開始剤のさらなる分解およびコアの中心部でのラジカルの不活性化を促進することができ、その結果、架橋密度の差と、中心部と表面との間の硬度勾配の増加とをもたらすと考えられる。
【0052】
本開示の離水剤は、硬化プロセス中に遊離ラジカル開始剤の分解およびラジカルの不活性化を促進するのに十分な量の水を放出することができる水分含有量を有する。或る実施形態では、離水剤は、少なくとも約5質量%の水分含有量(その分子形態で)を有する。さらなる実施形態において、離水剤は、約5質量%~約95質量%の範囲の水分含有量を有する。また、さらなる実施形態では、離水剤は、約10質量%~約90質量%の範囲の水分含有量を有する。また、さらなる実施形態において、離水剤は、約15質量%~約85質量%の範囲の水分含有量を有する。さらなる実施形態では、離水剤は、少なくとも約50質量%の水分含有量を有する。例えば、離水剤は約50質量%~95質量%の水分含有量を有する。
【0053】
或る実施形態では、本開示の離水剤は、本開示の反応中に放出され得る1つ以上の水和水を有する金属硫酸塩水和物であってもよい。一実施形態では、金属はアルカリ土類金属であってもよい。例えば、金属は、カルシウム、マグネシウム、ベリリウム、ストロンチウム、バリウム、またはラジウムであってもよい。一実施形態において、金属硫酸塩水和物の金属はカルシウムである。別の実施形態において、金属硫酸塩水和物の金属はマグネシウムである。さらなる実施形態では、金属は、遷移金属または遷移後金属であってもよい。例えば、金属は、亜鉛、銅、鉄、コバルト、マンガン、クロム、ニッケル、アルミニウム、ジルコニウム、カドミウム、インジウム、またはバナジウムであってもよい。また、さらなる実施形態では、金属はネオジムまたはランタンであってもよい。或る実施形態では、金属硫酸塩水和物の金属は亜鉛である。
【0054】
金属硫酸塩水和物は、任意の数の水和水を有してもよい。或る実施形態では、金属硫酸塩水和物は、0.5~10の水和水を有してもよい。例えば、金属硫酸塩水和物は、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物、五水和物、六水和物、七水和物、八水和物、九水和物、または十水和物であってもよい。さらなる実施形態では、金属硫酸塩水和物は、1~7の水和水を有してもよい。なおさらなる実施形態では、金属硫酸塩水和物は、1~4の水和水を有してもよい。またさらなる実施形態において、金属硫酸塩水和物は、1~3の水和水を有してもよい。他の実施形態では、金属硫酸塩水和物は、2つの水和水を有してもよい。例えば、一実施形態では、金属硫酸塩水和物は、二水和物であってもよい。なおさらなる実施形態では、金属硫酸塩水和物は、七水和物(すなわち、7つの水和水を有する)であってもよい。
【0055】
本開示による離水剤としての使用が企図される適切な金属硫酸塩水和物の例には、硫酸カルシウム二水和物(CaSO4・2H2O)、硫酸マグネシウム七水和物(MgSO4・7H2O)、硫酸亜鉛二水和物(ZnSO4・2H2O)、硫酸亜鉛七水和物(ZnSO4・7H2O)、酸化バナジウム硫酸水和物(VOSO4・xH2O)、硫酸ネオジム水和物(Nd2(SO4)3・xH2O)、シュウ酸ランタン水和物(La2(C2O4)3・xH2O)、硫酸亜鉛一水和物(ZnSO4・H2O)、硫酸ジルコニウム水和物(Zr(SO4)2・xH2O)、硫酸ニッケル七水和物(NiSO4・7H2O)、硫酸ニッケル六水和物(NiSO4・6H2O)、硫酸アルミニウム水和物(Al2(SO4)3・xH2O)、および硫酸銅五水和物(CuSO4・5H2O)が含まれるが、これらに限定されない。
【0056】
コア配合物は、上記の離水剤のいずれかの2つ以上を含んでもよい。例えば、コア配合物は、上記の金属硫酸塩水和物のいずれかのうちの2つ以上を含んでもよい。或る実施形態では、離水剤は、コア配合物中に約1phr~約15phrの量で存在する。他の実施形態では、離水剤は、コア配合物中に約2phr~約10phrの量で存在する。また、さらなる実施形態では、離水剤は、コア配合物中に約3phr~約8phrの量で存在する。また、さらなる実施形態では、離水剤は、コア配合物中に約5phr~約7phrの量で存在する。また、さらなる実施形態では、離水剤は、コア配合物中に約1phr~約4phrの量で存在する。さらなる実施形態では、離水剤は、コア配合物中に約1phr~約3.9phrの量で存在する。また、なおさらなる実施形態では、離水剤は、コア配合物中に約1phr~約3.75phrの量で存在する。また、なおさらなる実施形態では、離水剤は、コア配合物中に約1phr~約3phrの量で存在する。例えば、或る実施形態では、離水剤は、コア配合物中に約3phrの量で存在する。
【0057】
添加剤
ハロゲン化有機硫黄またはその金属塩、有機ジスルフィド化合物、または無機ジスルフィド化合物などのラジカル捕捉剤を本開示のコア配合物に添加してもよい。これらの化合物はまた、「軟化促進剤」として機能し得る。本明細書で使用される場合、「軟化促進剤」とは、1)一定の「反発係数」(CoR)でより柔らかい(より低い圧縮を有する)、および/または、2)軟化促進剤なしで同等に調製されたコアと比較した場合、より速い(等しい圧縮でより高いCORを有する)コアを作ることができる任意の化合物またはその混合物を意味する。コア配合物と共に使用され得るハロゲン化有機硫黄化合物の例には、ペンタクロロチオフェノール(PCTP)および亜鉛ペンタクロロチオフェノール(ZnPCTP)などのPCTPの塩が含まれるが、これらに限定されない。ゴルフボールの内側コアにPCTPおよびZnPCTPを使用すると、より柔らかくより速い内側コアを製造するのに役立つ。PCTPおよびZnPCTP化合物は、コアの弾性および反発係数を増加させるのに役立つ。或る実施形態では、軟化促進剤は、ZnPCTP、PCTP、ジトリルジスルフィド、ジフェニルジスルフィド、ジキシリルジスルフィド、2-ニトロレゾルシノール、またはそれらの組み合わせから選択される。或る実施形態では、軟化促進剤は、コア配合物中に約0.1phr~約3phrの量で使用されてもよい。さらなる実施形態では、軟化促進剤は、コア配合物中で約0.2phr~約1phrの量で使用されてもよい。例えば、軟化促進剤は、コア配合物中で約0.3phr~約0.35phrの量で使用されてもよい。
【0058】
本開示のコア配合物はまた、配合物の密度および/または比重を調整するために添加される「フィラー」を含んでもよい。適切なフィラーには、ポリマーまたは鉱物フィラー、金属フィラー、金属合金フィラー、金属酸化物フィラーおよび炭素質フィラーが含まれるが、これらに限定されない。フィラーは、フレーク、繊維、ウィスカー、フィブリル、プレート、粒子、および粉末を含むがこれらに限定されない任意の適切な形態であってもよい。研削されたゴムリグラインド、廃棄されたゴムゴルフボールコアから得られた再生ゴム材料もフィラーとして使用することができる。45.93g(1.62オンス)の最大ゴルフボール重量が米国ゴルフ協会(USGA)によって確立されているので、利用されるフィラーの量およびタイプは、ゴルフボール中の他の成分の量および重量によって左右される。
【0059】
コア配合物に添加され得る適切なポリマーまたは鉱物フィラーには、例えば、沈降水和シリカ、粘土、タルク、アスベスト、ガラス繊維、アラミド繊維、マイカ、メタケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リトポン、ケイ酸塩、炭化ケイ素、炭化タングステン、珪藻土、ポリ塩化ビニル、炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウムなどの炭酸塩が含まれる。適切な金属フィラーには、チタン、タングステン、アルミニウム、ビスマス、ニッケル、モリブデン、鉄、鉛、銅、ホウ素、コバルト、ベリリウム、亜鉛、およびスズが含まれる。適切な金属合金には、鋼、真鍮、青銅、炭化ホウ素ウィスカー、および炭化タングステンウィスカーが含まれる。適切な金属酸化物フィラーには、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、および酸化ジルコニウムが含まれる。適切な粒子状炭素質フィラーには、グラファイト、カーボンブラック、綿花綿、天然ビチューメン、セルロース綿および皮革繊維が含まれる。ガラスおよびセラミックなどのマイクロバルーンフィラー、ならびにフライアッシュフィラーも使用されることができる。或る実施形態では、本開示のコア配合物は酸化亜鉛を含む。酸化亜鉛は、約1phr~約15phrの範囲の量で使用されてもよい。或る実施形態では、酸化亜鉛は、約3phr~約10phr、例えば約5phrの範囲の量で使用されてもよい。さらなる実施形態では、本開示のコア配合物は硫酸バリウムを含む。硫酸バリウムは、約10phr~約30phr、例えば、約12phr~約14phrの範囲の量で使用されてもよい。
【0060】
コア配合物はまた、エラストマーの分解を防止するための酸化防止剤を含んでもよい。さらに、高分子量有機酸およびその塩などの加工助剤を配合物に添加してもよい。
【0061】
或る実施形態では、コア配合物中に存在する添加剤およびフィラーの総量は、コア配合物の総重量に基づいて、約15重量%以下であってもよい。他の実施形態では、コア配合物中に存在する添加剤およびフィラーの総量は、コア配合物の総重量に基づいて、約12重量%以下であってもよい。さらに他の実施形態では、コア配合物中に存在する添加剤およびフィラーの総量は、コア配合物の総重量に基づいて、約10重量%以下であってもよい。さらなる実施形態では、コア配合物中に存在する添加剤およびフィラーの総量は、コア配合物の総重量に基づいて、約8重量%以下であってもよい。なおさらなる実施形態では、コア配合物中に存在する添加剤およびフィラーの総量は、コア配合物の総重量に基づいて、約5重量%以下であってもよい。
【0062】
コア配合物の硬化
本開示によるベースゴム、遊離ラジカル開始剤、架橋剤、離水剤、フィラー、およびコアを形成するのに使用される任意の他の材料は、当業者に公知の任意のタイプの混合によって混合物を形成するために組み合わされてもよい。適切なタイプの混合には、シングルパス混合およびマルチパス混合などが含まれる。このタイプの混合は効率を高め、プロセスのコストを削減する傾向があるため、成分を連続的に添加するシングルパス混合プロセスが好ましい。配合物は、ゴルフボール用ゴム組成物のための当該技術分野で公知の任意の技術を使用して硬化され得る。
【0063】
ゴルフボールの構造
本開示のコア配合物は、様々な構造のゴルフボールと共に使用され得る。
図1に示す一バージョンでは、本開示のゴルフボールは、単一のコア層12と単一のカバー層14とを備える2ピースボール10である。
図2に示すように、一実施形態では、ゴルフボール20は、コア層22と、中間層24と、カバー層26とを備える。
図2では、中間層24は、外側コア層、内側カバー層、マントル層もしくはケーシング層、またはコア22とカバー層26との間に配置された任意の他の層と見なされ得る。
図3を参照すると、別の実施形態では、4ピースゴルフボール30は、内側コア層32と、外側コア層34と、中間層36と、外側カバー層38とを備える。
図3では、中間層36は、ケーシングもしくはマントル層、または内側カバー層、または外側コア層34とボール38の外側カバーとの間に配置された任意の他の層と見なされ得る。
図4を参照すると、別のバージョンでは、5ピースゴルフボール40は、内側コア層42、中間コア層44、外側コア層46、内側カバー層48、および外側カバー層50を有する三層コアを含む。本明細書に例示されるように、本開示によるゴルフボールは、任意の数のコア層、中間層、およびカバー層の任意の組み合わせを備えることができる。
【0064】
本開示のコア配合物は、単層コアまたは多層コアと共に使用されてもよい。コア配合物は、コアの1つ以上の層で使用されてもよい。一実施形態では、本明細書に記載のコア配合物は、ゴルフボールのソリッドコアに使用されてもよい。他の実施形態では、本明細書に記載のコア配合物は、内側コア(中心部)および周囲の外側コア層を有する二重コアで使用されてもよい。一実施形態では、内側コア層(中心部)は、本開示のコア配合物から形成されてもよく、外側コア層は、ゴム組成物から形成されてもよい。別の実施形態では、外側コア層はコア配合物から形成されてもよく、内側コア層はゴム組成物から形成されてもよい。他の実施形態では、内側コア層と外側コア層の両方が、本開示のコア配合物から形成されてもよい。さらに他の実施形態では、本明細書に記載のコア配合物は、3つ以上の層を有する多層コアに使用され得る。例えば、コアの中心部は、本開示のコア配合物から形成されてもよく、コアの他の層は、ゴム組成物から形成されてもよい。さらに他の実施形態では、コアの2つ以上の層が本開示のコア配合物から形成されてもよい。
【0065】
或る実施形態では、ゴルフボールコアが二重コアまたは多層コアである場合、周囲の外側コア層は、ポリブタジエンゴム組成物から形成されてもよい。ゴム組成物は、上記のベースゴム、遊離ラジカル開始剤、架橋剤、軟化促進剤、添加剤、ならびにフィラーのいずれかを含有してもよく、組成物は、上記の従来の方法を使用して硬化されてもよい。或る実施形態では、周囲の外側コア層は、ベースゴムとしてポリブタジエンゴムとスチレンブタジエンゴム(SBR)との組み合わせを含んでもよい。この実施形態において、ポリブタジエンゴムは、約80phr~約99phrの量で使用されてもよく、SBRは、約1phr~約20phrの量で使用されてもよい。例えば、或る実施形態では、周囲の外側コア層は、ポリブタジエンゴム、SBR、ジクミルペルオキシド、リグラインド、亜鉛ペンタクロロチオフェノール、ジアクリル酸亜鉛、および酸化亜鉛を含むゴム組成物から形成されてもよい。
【0066】
ソリッドコアの実施形態では、コアは、約1.39インチ~約1.62インチの範囲の直径を有してもよい。或る実施形態では、ソリッドコアは、約1.45インチ~約1.60インチの直径を有してもよい。さらなる実施形態では、ソリッドコアは、約1.50インチ~約1.55インチの直径を有してもよい。
【0067】
二重コアの実施形態では、内側コア(中心部)は、約0.25インチ~約1.51インチの直径を有してもよい。他の実施形態では、内側コア(中心部)は、約0.30インチ~約1.45インチの直径を有してもよい。さらに他の実施形態では、内側コア(中心部)は、約0.50インチ~約1.30インチの直径を有してもよい。さらなる実施形態では、内側コア(中心部)は、約0.75インチ~約1.15インチの直径を有してもよい。また、さらなる実施形態では、内側コア(中心部)は、約0.90インチ~約1.05インチの直径を有してもよい。例えば、内側コア(中心部)は、約1.01インチの直径を有してもよい。中心部および外側コア層を含む二重コアは、約1.39インチ~約1.62インチの直径を有してもよい。或る実施形態では、二重コアは、約1.45インチ~約1.60インチの直径を有する。また、さらなる実施形態では、二重コアは、約1.50インチ~約1.55インチの直径を有する。
【0068】
或る実施形態では、1つ以上の中間層を、単層コアまたは多層コアと周囲のカバー層との間に配置されてもよい。これらの中間層は、ケーシングまたは内側カバー層とも呼ばれることができる。中間層は、熱可塑性材料および熱硬化性材料を含む、当該技術分野で公知の任意の材料から形成することができる。或る実施形態では、中間層は、少なくとも部分的に中和された酸基を含有するエチレン酸コポリマーを含むアイオノマー組成物から形成される。中間層を形成するために使用され得る適切なエチレン酸コポリマーは、一般にエチレンのコポリマーと呼ばれる。C3~C8α、β-エチレン性不飽和モノカルボン酸またはβ-エチレン性不飽和ジカルボン酸、および任意の軟化性モノマーを含む。
【0069】
保護カバー層は、コアおよび任意の中間層の上に配置されてもよい。本開示のカバー層は、例えば、高い耐衝撃性および高い剪断抵抗レベルなどの様々な有利な機械的特性をボールに提供する。ゴルフボールは、1つ以上のカバー層を含んでもよい。例えば、ゴルフボールは、単層カバーを有してもよい。他の実施形態では、ゴルフボールは、内側カバー層および外側カバー層を含む二重層カバーを有してもよい。さらに他の実施形態では、ゴルフボールは、内側カバー層、1つ以上の中間カバー層、および外側カバー層を含む多層カバーを有してもよい。
【0070】
カバー層を形成するために使用することができる適切な従来の材料には、ポリウレタン;熱可塑性ポリウレタン;ポリ尿素、ポリウレタンとポリ尿素とのコポリマー、混合物およびハイブリッド;オレフィン系コポリマーアイオノマー樹脂(例えば、Surlyn(登録商標)アイオノマー樹脂およびDuPont HPF(登録商標)1000、HPF(登録商標)2000、およびHPF(登録商標)1035;およびDuPontから市販されているHPF(登録商標)AD 1172;ExxonMobil Chemical Companyから市販されているIotek(登録商標)アイオノマー;The Dow Chemical Companyから市販されているエチレンアクリル酸コポリマーのアイオノマーに対するAmplify(登録商標);およびA.Schulman Inc.から市販されているClarix(登録商標)アイオノマー樹脂);例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、および高密度ポリエチレンを含むポリエチレン;ポリプロピレン;ゴム強化オレフィンポリマー;アイオノマーコポリマーの一部にならない酸コポリマー、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸;プラストマー;フレキソマー;スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー;スチレン/エチレン-ブチレン/スチレンブロックコポリマー;動的加硫エラストマー;エチレンと酢酸ビニルのコポリマー;エチレンとアクリル酸メチルとのコポリマー;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリアミド;ポリ(アミドエステル)エラストマー、およびアイオノマーとポリアミドとのグラフトコポリマー、例えばArkema Incから市販されているPebax(登録商標)熱可塑性ポリエーテルブロックアミドを含む;架橋トランスポリイソプレンおよびその混合物;DuPontから市販されているHytrel(登録商標)またはTicona Engineering Polymersから市販されているRiteFlex(登録商標)などのポリエステル系熱可塑性エラストマー;BASFから市販されているエラストラン(登録商標)などのポリウレタン系熱可塑性エラストマー;合成または天然加硫ゴム;およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。ポリウレタン、ポリ尿素、およびポリウレタン-ポリ尿素のハイブリッドは、これらの材料を使用して、高い弾性および柔らかい感触を有するゴルフボールを作製することができるので、特に望ましい。「ポリウレタン-ポリ尿素のハイブリッド」という用語は、コポリマーおよびその混合物を含むことを意味する。
【0071】
カバー層に適したアイオノマー組成物には、例えば、2つ以上の部分的に中和されたアイオノマーの混合物、2つ以上の高度に中和されたアイオノマーの混合物、および1つ以上の部分的に中和されたアイオノマーと1つ以上の高度に中和されたアイオノマーとの混合物から形成されたアイオノマーを含む、部分的に中和されたアイオノマーおよび高度に中和されたアイオノマー(HNP)が含まれる。本開示の目的のために、「HNP」は、組成物中に存在するすべての酸基の少なくとも70%が中和された後の酸コポリマーを指す。好ましいアイオノマーは、O/X-およびO/X/Y型酸コポリマーの塩であり、ここで、Oはα-オレフィンであり、XはC3-C8α、β-エチレン性不飽和カルボン酸であり、Yは軟化性モノマーである。Oは、好ましくはエチレンおよびプロピレンから選択される。Xは、好ましくはメタクリル酸、アクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸およびイタコン酸から選択される。メタクリル酸およびアクリル酸が特に好ましい。Yは、好ましくは、(メタ)アクリレート、(メタ)アルキルアクリレートから選択され、アルキル基は、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸メチルおよび(メタ)アクリル酸エチルを含むがこれらに限定されない、1~8個の炭素原子を有する。
【0072】
或る実施形態では、本開示のゴルフボールは、本明細書に記載のコア配合物から作製されたソリッドコアの上に配置されたアイオノマー組成物、熱可塑性ポリウレタン、またはキャスタブルポリウレタンから形成された単層カバーを含んでもよい。他の実施形態では、本開示のゴルフボールは、二重層カバーを含んでもよく、内側カバー層は、アイオノマー組成物から形成され、外側カバー層は、本明細書に記載のコア配合物から作製されたソリッドコアの上に配置された熱可塑性ポリウレタンまたはキャスタブルポリウレタンから形成される。
【0073】
さらなる実施形態では、本開示のゴルフボールは、二重コア上に配置されたアイオノマー組成物、熱可塑性ポリウレタン、またはキャスタブルポリウレタンから形成された単層カバーを含んでもよく、内側コア(中心部)は本明細書に記載のコア配合物から作製される。さらなる実施形態では、本開示のゴルフボールは、二重層カバーを含んでもよく、内側カバー層は、アイオノマー組成物から形成され、外側カバー層は、二重コアの上に配置されたキャスタブルポリウレタンから形成され、内側コア(中心部)は、本明細書に記載のコア配合物から作製される。
【0074】
或る実施形態では、カバーは、約0.010インチ~約0.040インチの厚さを有する単一層であってもよい。他の実施形態では、カバーは、約0.020インチ~約0.035インチの厚さを有する単一層であってもよい。さらなる実施形態では、カバーは、約0.025インチ~約0.030インチの厚さを有する単一層であってもよい。
【0075】
さらなる実施形態では、カバーは、内側カバー層および外側カバー層を含む。内側カバー層は、約0.010インチ~約0.120インチの範囲の厚さを有してもよい。或る実施形態では、内側カバー層は、約0.015インチ~約0.080インチの範囲の厚さを有してもよい。さらなる実施形態では、内側カバー層は、約0.020インチ~約0.045インチの範囲の厚さを有してもよい。外側カバー層は、約0.004インチ~約0.080インチの範囲の厚さを有してもよい。他の実施形態では、外側カバー層は、約0.010インチ~約0.055インチの範囲の厚さを有してもよい。さらなる実施形態では、外側カバー層は、約0.020インチ~約0.035インチの範囲の厚さを有してもよい。またさらなる実施形態では、外側カバー層は、約0.020インチ未満の厚さを有してもよい。
【0076】
ゴルフボールの特性
本開示のコア配合物から形成されたコアを有するゴルフボールは、有利な機械的特性および競技性能特性を有する。上記で簡単に考察したように、本開示のコア配合物中の離水剤は、硬化プロセス中にコアの中心部でラジカルのさらなる分解および不活性化の促進剤として働き、架橋密度の差およびコアの中心部と表面との間の硬度勾配の増加をもたらす。コアの硬度勾配の増加は、クラブによってゴルフボールがヒットされた後のゴルフボールの回転数(または回転速度)を低減することができる。比較的高い回転数を有するボールは、特にレクレーション目的のプレイヤにとって、ドライブの制御が困難であり、飛距離がより短くなり得る。本開示に従って作製されたコアを有するゴルフボールは、ティーからのより高いドライバ速度、より高い発射角度、およびより低いドライバ回転数を有する。したがって、ボールは長距離を移動することができ、ボールの飛行経路をより容易に制御することができる。この速度および制御により、プレイヤはより良好なドライバショットを行うことができる。
【0077】
コアの硬度
本開示のゴルフボールの中心部または内側コア層は、「正の」硬度勾配(すなわち、内側コアの外面は、その幾何学的中心部よりも硬い)を有する。内側コアの正の硬度勾配は、内側コアの外面および内側コアの中心部に向かって半径方向内側で行われた硬度測定によって画定される。これらの測定は、以下の試験方法に記載されているように、典型的には2mm刻みで行われる。
【0078】
或る実施形態では、内側コア層は、約40ショアC~約70ショアCの幾何学的中心部硬度を有する。他の実施形態では、内側コア層は、約45ショアC~約65ショアCの幾何学的中心部硬度を有する。さらなる実施形態では、内側コア層は、約50ショアC~約60ショアCの幾何学的中心部硬度を有する。さらに別の実施形態では、内側コア層は、約50ショアC~約55ショアCの幾何学的中心部硬度を有する。例えば、一実施形態では、内側コア層は、約55ショアCの幾何学的中心部硬度を有してもよい。
【0079】
さらなる実施形態では、内側コア層は、約75ショアC~約105ショアCの外面硬度を有する。或る実施形態では、内側コア層は、約80ショアC~約100ショアCの外面硬度を有する。さらに別の実施形態では、内側コア層は、約85ショアC~約95ショアCの外面硬度を有する。さらに別の実施形態では、内側コア層は、約85ショアC~約90ショアCの外面硬度を有する。例えば、一実施形態では、内側コア層は、約89ショアCの外面硬度を有してもよい。別の実施形態では、内側コア層は、約91ショアCの外面硬度を有してもよい。
【0080】
本開示の内側コア層は、少なくとも約30ショアC単位の正の硬度勾配を有してもよい。すなわち、内側コア層の外面硬度と幾何学的中心部硬度との差は、少なくとも約30ショアC単位であればよい。或る実施形態では、内側コア層は、少なくとも約33ショアC単位の正の硬度勾配を有してもよい。さらに他の実施形態では、内側コア層は、少なくとも約36ショアC単位の正の硬度勾配を有してもよい。さらなる実施形態では、内側コア層は、少なくとも約40ショアC単位の正の硬度勾配を有してもよい。例えば、内側コア層の正の硬度勾配は、約30ショアC単位~約50ショアC単位の範囲であってもよい。他の実施形態では、内側コア層の正の硬度勾配は、約30ショアC単位~約40ショアC単位の範囲であってもよい。
【0081】
ゴルフボールが二重コアまたは多層コアを含む実施形態では、内側コアは正の硬度勾配を有してもよく、外側コア層は「0の」硬度勾配(すなわち、外側コア層の外面および外側コア層の内面の硬度値は、実質的に同じである)または「負の」硬度勾配(すなわち、外側コア層の外面は、外側コア層の内面よりも柔らかい)を有してもよい。ゴルフボールが二重コアまたは多層コアを含む他の実施形態では、内側コア層およびコアの他の層(例えば、外側コア層)は、正の硬度勾配を有してもよい。
【0082】
コア部品の関係
一実施形態では、コアを形成するために使用されるゴム配合物中に存在する離水剤の量および離水剤の水和水は、以下の式Iに示される関係に従って、コアの硬度勾配に関連し、
【数9】
式中、WRA
Cは、ゴム配合物中の離水剤の濃度を離水剤の量を百分率で表し、
【数10】
は、コアの硬度勾配(ショアC)またはコアの表面での硬度(H
S)とコアの幾何学的中心部での硬度(H
C)との差(H
S-H
C)かつ30≧H
Gr≧50を表し、WRA
WOHは、離水剤中の水和水の数を表す。例えば、離水剤が硫酸カルシウム二水和物である場合、WRA
WOHは2に等しい。
【0083】
別の実施形態では、コアを形成するために使用されるゴム配合物中に存在する離水剤の量および離水剤の水和水は、以下の式IIに示される関係に従って、コアの硬度勾配に関連し、
【数11】
式中、WRA
Cは、ゴム配合物中の離水剤の濃度を離水剤の量を百分率で表し、
【数12】
は、コアの硬度勾配(ショアC)またはコアの表面での硬度(H
S)とコアの幾何学的中心部での硬度(H
C)との差(H
S-H
C)かつ30≧H
Gr≧50を表し、WRA
WOHは、離水剤中の水和水の数を表す。
【0084】
さらに別の実施形態では、コアを形成するために使用されるゴム配合物中に存在する離水剤の量および離水剤の水和水は、以下の式IIに示される関係に従って、コアの硬度勾配に関連し、
【数13】
式中、WRA
Cは、ゴム配合物中の離水剤の濃度を離水剤の量を百分率で表し、
【数14】
は、コアの硬度勾配(ショアC)またはコアの表面での硬度(H
S)とコアの幾何学的中心部での硬度(H
C)との差(H
S-H
C)かつ30≧H
Gr≧50を表し、WRA
WOHは、離水剤中の水和水の数を表す。
【0085】
さらに別の実施形態では、コアを形成するために使用されるゴム配合物中に存在する離水剤の量および離水剤の水和水は、以下の式IVに示される関係に従って、コアの硬度勾配に関連し、
【数15】
式中、WRA
Cは、ゴム配合物中の離水剤の濃度を離水剤の量を百分率で表し、
【数16】
は、コアの硬度勾配(ショアC)またはコアの表面での硬度(H
S)とコアの幾何学的中心部での硬度(H
C)との差(H
S-H
C)かつ30≧H
Gr≧50を表し、WRA
WOHは、離水剤中の水和水の数を表す。
【0086】
さらなる実施形態では、コアを形成するために使用されるゴム配合物中に存在する離水剤の水和水の数は、以下の式Vに示される関係に従って、コアの硬度勾配に関連し、
【数17】
式中、WRA
WOHは、離水剤中の水和水の数を表し、
【数18】
は、コアの硬度勾配(ショアC)またはコアの表面での硬度(H
S)とコアの幾何学的中心部での硬度(H
C)との差(H
S-H
C)かつ30≧H
Gr≧50を表す。
【0087】
さらに別の実施形態では、コアを形成するために使用されるゴム配合物中に存在する離水剤中の水和水の数は、以下の式VIに示される関係に従って、コアの硬度勾配に関連し、
【数19】
式中、WRA
WOHは、離水剤中の水和水の数を表し、
【数20】
は、コアの硬度勾配(ショアC)またはコアの表面での硬度(H
S)とコアの幾何学的中心部での硬度(H
C)との差(H
S-H
C)かつ30≧H
Gr≧50を表す。
【0088】
さらに別の実施形態では、コアを形成するために使用されるゴム配合物中に存在する離水剤中の水和水の数は、以下の式VIIに示される関係に従って、コアの硬度勾配に関連し、
【数21】
式中、WRA
WOHは、離水剤中の水和水の数を表し、
【数22】
は、コアの硬度勾配(ショアC)またはコアの表面での硬度(H
S)とコアの幾何学的中心部での硬度(H
C)との差(H
S-H
C)かつ30≧H
Gr≧50を表す。
【0089】
圧縮
本開示のゴルフボールのコアは、優れた圧縮値を示す。或る実施形態では、本明細書に記載の配合物から作製されたコアは、約10~約95の圧縮値を有する。他の実施形態では、本明細書に記載の配合物から作製されたコアは、約30~約85の圧縮値を有する。なおさらなる実施形態では、本明細書に記載の配合物から作製されたコアは、約45~約80の圧縮値を有する。さらなる実施形態では、本明細書に記載の配合物から作製されたコアは、約60~約80の圧縮値を有する。
【0090】
本開示の完成したゴルフボールは、約70~約110の範囲の圧縮値を有してもよい。他の実施形態では、完成したゴルフボールは、約75~約105の範囲の圧縮値を有してもよい。さらに他の実施形態では、完成したゴルフボールは、約80~約100の範囲の圧縮値を有してもよい。さらなる実施形態では、完成したゴルフボールは、約85~約95の範囲の圧縮値を有してもよい。
【0091】
反発係数(CoR)
本開示のゴルフボールのコアはまた、優れた反発係数(CoR)値を示す。或る実施形態では、125ft/sにおける本開示のコアの全体的なCoRは、少なくとも約0.775である。他の実施形態では、125ft/sにおける本開示のコアの全体的なCoRは、少なくとも約0.780である。さらなる実施形態では、125ft/sにおける本開示のコアの全体的なCoRは、少なくとも約0.785である。また、さらなる実施形態では、125ft/sにおける本開示のコアの全体的なCoRは、少なくとも約0.790である。他の実施形態では、125ft/sにおける本開示のコアの全体的なCoRは、少なくとも約0.795である。さらに他の実施形態では、125ft/sにおける本開示のコアの全体的なCoRは、少なくとも約0.800である。
【0092】
本開示の完成したゴルフボールは、少なくとも約0.750の全体的なCoRを有してもよい。他の実施形態では、本開示の完成したゴルフボールは、少なくとも約0.760の全体的なCoRを有してもよい。さらに他の実施形態では、本開示の完成したゴルフボールは、少なくとも約0.770の全体的なCoRを有してもよい。さらなる実施形態では、完成したゴルフボールは、少なくとも約0.780の全体的なCoRを有する。また、さらなる実施形態では、完成したゴルフボールは、少なくとも約0.790の全体的なCoRを有する。例えば、完成したゴルフボールは、少なくとも約0.800の全体的なCoRを有する。優れた圧縮特性およびCoR特性により、プレイヤは、ティーからより大きなボール速度を生成し、自分のドライブでより大きな距離を達成することができる。
【0093】
回転数
上記で簡単に説明したように、本開示のコアの硬度勾配の増加は、クラブによってゴルフボールがヒットされた後のゴルフボールの回転数(または回転速度)を低減することができる。クラブインパクト後の回転数が低いと、ボールがミスヒットしたときのショットが真っ直ぐになり、飛行効率が高くなり、ショットの距離が長くなる。上記の離水剤を配合したコアを用いて作製された本開示のゴルフボールは、離水剤無しのコアを用いて形成されたゴルフボールと比較した場合、より低い回転数を示す。
【0094】
或る実施形態では、本開示のゴルフボールは、約150マイル/時(mph)のボール速度で約2900回転/分(rpm)以下のドライバ回転数を有する。例えば、本開示のゴルフボールは、約150mphのボール速度で約2700rpm~約2900rpmのドライバ回転数を有する。さらなる実施形態では、本開示のゴルフボールは、約150mphのボール速度で約2800rpm~約2900rpmのドライバ回転数を有する。他の実施形態では、本開示のゴルフボールは、約183mphのボール速度で約2750rpm以下のドライバ回転数を有する。例えば、本開示のゴルフボールは、約183mphのボール速度で約2500rpm~約2750rpmのドライバ回転数を有する。また、さらなる実施形態では、本開示のゴルフボールは、約183mphのボール速度で約2600rpm~約2750rpmのドライバ回転数を有する。
【0095】
さらなる実施形態では、本開示のゴルフボールは、8番アイアンで打ったときに約120mphのボール速度で約7900rpm以下の回転数を有する。例えば、本開示のゴルフボールは、8番アイアンで打ったときに約120mphのボール速度で約7500rpm~約7850rpmの回転数を有する。さらに別の実施形態では、本開示のゴルフボールは、8番アイアンで打ったときに約120mphのボール速度で約7600rpm~約7850rpmの回転数を有する。
【0096】
さらに別の実施形態では、本開示のゴルフボールは、5番アイアンで打ったときに、約136mphのボール速度で約5300rpm以下の回転数を有する。例えば、本開示のゴルフボールは、5番アイアンで打った場合、約136mphのボール速度で約4900rpm~約5200rpmの回転数を有する。さらなる実施形態では、本開示のゴルフボールは、5番アイアンで打ったときに約136mphのボール速度で約5000rpm~約5200rpmの回転数を有する。
【0097】
さらに別の実施形態では、本開示のゴルフボールは、ハーフウェッジで打ったときに約53mphのボール速度で約7000rpm以下の回転数を有する。例えば、本開示のゴルフボールは、ハーフウェッジで打ったときに約53mphのボール速度で約6700rpm~約7000rpmの回転数を有する。さらに別の実施形態では、本開示のゴルフボールは、ハーフウェッジで打ったときに約53mphのボール速度で約6800rpm~約7000rpmの回転数を有する。
【0098】
実施例
以下の非限定的な例は、本開示に従って作製され得るゴルフボールおよびゴルフボールコアを示す。実施例は、本開示の好ましい実施形態の単なる例示であり、本開示を限定するものと解釈されるべきではなく、その範囲は添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0099】
実施例1および実施例2:ソリッドコアの例示的なコア配合物
以下の表1Aは、ソリッドコアの例示的なコア配合物を示す。表1Aに示すように、離水剤である硫酸カルシウム二水和物は、コア配合物中に3phrの量で使用される。
【0100】
【0101】
実施例1および2で形成されたコアについて、以下の試験方法に従って、圧縮、表面硬度、中心部硬度、反発係数(COR)および硬度勾配を評価した。結果を表1Bに示す。
【0102】
【0103】
実施例3:二重コアの例示的なコア配合物
以下の表2は、二重コアの例示的なコア配合物を示す。表2に示すように、離水剤である硫酸カルシウム二水和物は、3phrの量で内側コアのコア配合物に使用される。
【0104】
【0105】
実施例4:例示的なコア配合物で形成されたコアおよび結果として得られるゴルフボールの特性
コア
以下の表3に示すコア配合物を使用して、実施例4、5、6および比較例のソリッドコアを形成した。配合物を、当該技術分野で公知の従来の技術を使用して硬化させた。
【0106】
【0107】
実施例および比較例で形成されたコアについて、以下の試験方法に従って、圧縮、表面硬度、中心部硬度、反発係数(COR)および硬度勾配を評価した。結果を表4に示す。
【0108】
【0109】
表4に示すように、例示的な配合物で形成されたコアは、比較例のコアと比較して増加した硬度勾配を有していた。同様に、例示的な配合物で形成されたコアは、比較例のコアよりも良好なCORおよび圧縮を示した。
【0110】
結果として得られるゴルフボール
作製した各実施例および比較例のコアの上に、内側カバー層および外側カバー層を有するカバーを配置した、3層を有するゴルフボールを形成した。ゴルフボールの回転数と耐久性能を評価した。各ゴルフボールの回転数は、2900rpmの初期回転数を有する約150mphのボール速度かつ11度の発射角度でのドライバ、約182mphのボール速度、2700rpmの初期回転数、かつ10度の発射角度のドライバ、8番アイアン、5番アイアン、およびハーフウェッジのゴルフクラブで打った後に測定された。
【0111】
図5~
図10は、回転数および耐久性能試験の結果を示すグラフである。具体的には、
図5は、約150mphのボール速度でドライバが打った後の例示的なゴルフボールおよび比較例のゴルフボールの各々の測定された回転数およびボール速度を示す。
図6は、約182mphのボール速度でドライバが打った後の例示的および比較的なゴルフボールの各々の測定された回転数およびボール速度を示す。
図7は、8番アイアンで打った後の例示的なゴルフボールおよび比較例のゴルフボールの各々の測定された回転数およびボール速度を示す。
図8は、5番アイアンで打った後の例示的なゴルフボールおよび比較例のゴルフボールの各々の測定された回転数およびボール速度を示す。
図9は、ハーフウェッジによる打撃後の例示的なゴルフボールおよび比較例のゴルフボールの各々の測定された回転数およびボール速度を示す。
図10は、特定の数のヒット後の例示的および比較的なゴルフボールの各々の破損数を示す。
【0112】
図5~
図10に示される結果から、離水剤が硬化中にコアに添加された例示的な配合物から形成されたコアを有するゴルフボールは、水がコアに添加されていない比較のゴルフボールよりもボール速度の増加および回転数の低下を示した。同様に、
図6に示すように、例示的な配合物から形成されたコアを有するゴルフボールは、比較例のゴルフボールよりも高い耐久性を示した。
【0113】
試験方法
硬度
コアの中心部硬度は、以下の手順で得られる。コアは、コアの幾何学的中心面を同時に露出させたままでコアがホルダの半球部分内の所定位置に保持されるように、コアの直径よりもほぼわずかに小さい内径を有する半球ホルダ内に緩やかに押し込まれる。コアは、切削および研削ステップ中に移動しないように摩擦によってホルダ内に固定されるが、摩擦はコアの自然形状の歪みが生じるほど過度ではない。コアは、コアの分割線がホルダの上部にほぼ平行になるように固定される。コアの直径は、固定前にこの配向に対して90度測定される。将来の計算のための基準点を提供するために、ホルダの底部からコアの上部まで測定が行われる。バンドソーまたは他の適切な切削工具を使用して、コアの露出した幾何学的中心部のわずかに上方に粗切削を行い、このステップ中にコアがホルダ内で移動しないようにする。まだホルダ内にあるコアの残りの部分は、表面研削機のベースプレートに固定される。露出した「粗い」表面は滑らかで平坦な表面に研削され、コアの幾何学的中心部が露出し、これは、ホルダの底部からコアの露出表面までの高さを測定すること、および上記で測定したコアの元の高さの正確に半分が0.004インチ以内に除去されていることを確認することによって検証されることができる。コアをホルダ内に残して、コアの中心部をセンタースクエアで見つけ、慎重にマークし、ASTM D-2240に準拠してセンターマークで硬度を測定する。コアの中心部から任意の距離での追加の硬度測定は、センターマークから半径方向外側に線を引き、線に沿った任意の所与の距離で、典型的には中心部~2mm刻みで硬度を測定することによって行うことができる。中心部から特定の距離における硬度は、それぞれ180°または90°離れて配置された少なくとも2つ、好ましくは4つのラジアルアームに沿って測定され、次いで平均化されるべきである。幾何学的中心部を通過する平面上で行われるすべての硬度測定は、コアがまだホルダ内にあり、その配向を乱すことなく行われ、その結果、試験面は常にホルダの底部に平行であり、したがってデュロメータの適切に位置合わせされた足部にも平行である。
【0114】
ゴルフボール層の外面硬度は、層の実際の外面で測定され、コアの分割線または穴もしくは突起などの表面欠陥での測定を避けるように注意して、対向する半球から得られた複数の測定値の平均から得られる。硬度測定は、ASTM D-2240「Indentation Hardness of Rubber and Plastic by Means of a Durometer」に準拠して行う。曲面のために、表面硬度の読み取り値が得られる前に、ゴルフボールまたはゴルフボールサブアセンブリがデュロメータ圧子の下に確実にセンタリングされるように注意しなければならない。硬度測定には、0.1硬度単位まで読み取ることができる較正されたデジタルデュロメータが使用される。デジタルデュロメータは、自動スタンドの基部に取り付けられ、その足部を平行にしなければならない。デュロメータの重量およびアタックレートは、ASTM D-2240に準拠している。
【0115】
上記のように、ゴルフボール層の硬度勾配の方向は、特定の層の外面および内面で得られた硬度測定値の差によって画定される。単一コアボールまたは外側コア層における内側コアの中心部硬度および内側コアの外面の硬度は、上記の試験手順に従って容易に決定される。二重コアボールの内側コア層(または他の任意の中間コア層)の外面もまた、層を追加のコア層で囲む前に測定を行う場合、ゴルフボール層の外面硬度を測定するための本明細書に記載の手順に従って容易に決定される。追加のコア層が対象の層を取り囲むと、任意の内層または中間層の内面および外面の硬度を決定することが困難になり得る。したがって、本開示の目的のために、内層が別のコア層で囲まれた後にコア層の内面または外面の硬度が必要とされる場合、界面から1mmに配置される点を測定するための上記の試験手順が使用される。
【0116】
圧縮
任意の他の名称によるJeff DaltonのCompression by Any Other Name,Science and Golf IV,Proceedings of the World Scientific Congress of Golf(Eric Thain編、Routledge,2002)(「J.Dalton」)に開示されているように、Atti圧縮、Riehle圧縮、様々な固定荷重およびオフセットでの荷重/歪み測定、ならびに有効弾性率を含む、複数の異なる方法を使用して圧縮を測定することができる。本開示の目的のために、圧縮は、軟質中心部歪み指数(「SCDI」)を指す。SCDIは、コアをその直径の10%歪ませるのに必要なポンドの決定を可能にする動的圧縮機(「DCM」)のプログラム変更である。DCMは、コアまたはボールに荷重を加え、測定された荷重でコアまたはボールが歪められるインチ数を測定する装置である。Atti圧縮スケールに適合する粗荷重/歪み曲線が生成され、結果としてAtti圧縮を表す数が生成される。DCMは、固定コアに向かって固定速度(典型的には約1.0フィート/秒)で空気圧でトリガされる油圧シリンダの底部に取り付けられたロードセルを介してこれを行う。シリンダには、試験時間枠の間にシリンダが移動する距離を測定するLVDTが取り付けられている。ソフトウェアベースの対数アルゴリズムは、試験の初期段階中に少なくとも5回の連続した荷重の増加が検出されるまで測定が行われないことを確実にする。SCDIは、この構成のわずかな変形である。ハードウェアは同じであるが、ソフトウェアおよび出力が変化している。SCDIでは、コアを歪めるのに必要な力のポンド×インチの量を対象とするその歪み量は、コア直径の10%である。DCMがトリガされ、シリンダがコアをその直径の10%だけ歪め、DCMは、コアをその量だけ偏向させるのに必要な(取り付けられたロードセルから測定される)力のポンドをレポートする。表示される値は、ポンド単位の単一の数である。
【0117】
反発係数
CORは既知の手順に従って決定され、ゴルフボールまたはゴルフボールサブアセンブリ(例えば、ゴルフボールコア)が2つの所与の速度で空気大砲から発射され、125ft/sの速度が計算に使用される。弾道ライトスクリーンは、ボール速度を測定するために、一定の距離で空気大砲と鋼板との間に配置される。ボールが鋼板に向かって移動すると、各ライトスクリーンが作動し、各ライトスクリーンにおけるボールの時間が測定される。これは、ボールの進入速度に反比例する進入通過時間を提供する。ボールは、鋼板と衝突して跳ね返り、その結果、ライトスクリーンを再び通過する。跳ね返るボールが各ライトスクリーンを作動させると、各スクリーンにおけるボールの時間が測定される。これは、ボールの退出速度に反比例する退出通過時間を提供する。次いで、CORは、ボールの進入通過時間に対するボールの退出通過時間の比として計算される(COR=Vout/Vin=Tin/Tout)。
【0118】
本明細書に記載され特許請求されるゴルフボールは、これらの実施形態が本開示の複数の態様の例示として意図されているので、本明細書に開示される特定の実施形態によって範囲が限定されるものではない。任意の同等の実施形態は、本開示の範囲内にあることが意図されている。実際、本明細書に示され説明されたものに加えて、ゴルフボールの様々な変更は、前述の説明から当業者には明らかになるであろう。そのような変更もまた、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。上記の本文で引用されたすべての特許および特許出願は、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。本明細書のセクションの見出しは、37C.F.R.§1.77の提案との整合性のためにのみ、または組織的待ち行列を提供するためにのみ提供される。これらの見出しは、本明細書に記載の発明を限定または特徴付けるものではない。
【符号の説明】
【0119】
10 2ピースボール
12、22 コア層
14、26 カバー層
20 ゴルフボール
24、36 中間層
30 4ピースゴルフボール
32、42 内側コア層
34、46 外側コア層
38 外側カバー層
40 5ピースゴルフボール
44 中間コア層
48 内側カバー層
50 外側カバー層
【外国語明細書】