(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182556
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】アンテナパッケージ構造
(51)【国際特許分類】
H01Q 23/00 20060101AFI20231219BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20231219BHJP
H01Q 3/26 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H01Q23/00
H01Q21/06
H01Q3/26 Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097270
(22)【出願日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】63/351,881
(32)【優先日】2022-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/066,002
(32)【優先日】2022-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523225520
【氏名又は名称】トロン フューチャー テック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】チェン クァン-ネン
(72)【発明者】
【氏名】フー ハン-ウェン
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ イー-チー
(72)【発明者】
【氏名】ワン ユー-ジウ
(72)【発明者】
【氏名】チャン リー ハン
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA09
5J021AA11
5J021DB01
5J021FA32
5J021GA02
5J021JA09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アンテナパッケージ構造を提供する。
【解決手段】アンテナパッケージ構造10は、ガラス基板100と、相互接続構造106と、複数の半導体チップ102と、アンテナアレイ構造104と、を含む。ガラス基板100は、第一の表面100Aと、第一の表面100Aとは反対側の第二の表面100Bとを有する。相互接続構造106は、ガラス基板100の第一の表面100A上に配置される。複数の半導体チップ102は、相互接続構造106上に装着される。アンテナアレイ構造104は、ガラス基板100の第二の表面100B上に形成される。さらに、複数の半導体チップ102は、相互接続構造106及びガラス基板100を介してアンテナアレイ構造104に結合される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナパッケージ構造であって、
第一の表面と、前記第一の表面とは反対側の第二の表面とを有するガラス基板と、
前記ガラス基板の前記第一の表面上に配置された相互接続構造と、
前記相互接続構造上に装着された複数の半導体チップと、
前記ガラス基板の前記第二の表面上に形成されたアンテナアレイ構造と、
を備え、
前記複数の半導体チップは、前記相互接続構造及び前記ガラス基板を介して前記アンテナアレイ構造に結合される、アンテナパッケージ構造。
【請求項2】
前記ガラス基板は、ビアフリーガラス基板である、請求項1に記載のアンテナパッケージ構造。
【請求項3】
前記相互接続構造から前記アンテナアレイ構造に信号を結合するため、又は前記アンテナアレイ構造から前記相互接続構造に信号を結合するために、前記ガラス基板の前記第一の表面に形成された複数のアパーチャをさらに備える、請求項1に記載のアンテナパッケージ構造。
【請求項4】
前記ガラス基板は、複数のガラス貫通ビアを備える、請求項1に記載のアンテナパッケージ構造。
【請求項5】
前記相互接続構造は、
前記ガラス基板の前記第一の表面上に配置された第一の誘電体層であって、前記ガラス基板を介して前記アンテナアレイ構造へRF信号を伝送するための複数のアパーチャを形成するための第一の再分配層を有するように構成された、第一の誘電体層
を備え、
前記第一の再分配層は、接地電圧に電気的に接続される、請求項1に記載のアンテナパッケージ構造。
【請求項6】
前記相互接続構造は、
前記第一の誘電体層上に配置され、供給電力を伝導するための第二の再分配層を有するように構成された第二の誘電体層
をさらに備え、
前記第一の誘電体層は、前記ガラス基板と前記第二の誘電体層との間に形成され、前記第一の誘電体層の厚さは、前記第二の誘電体層の厚さよりも大きい、請求項5に記載のアンテナパッケージ構造。
【請求項7】
前記相互接続構造は、
前記第二の誘電体層上に配置され、約10GHz~約28GHzの範囲の周波数を有する前記RF信号を伝導するための第三の再分配層を有するように構成された第三の誘電体層
をさらに備え、
前記第二の誘電体層は、前記第三の誘電体層と前記第一の誘電体層との間に形成され、前記第二の誘電体層の厚さは、前記第三の誘電体層の厚さよりも大きい、請求項6に記載のアンテナパッケージ構造。
【請求項8】
前記第一の誘電体層の厚さは、約20μm~約60μmであり、前記第二の誘電体層の厚さは、約10μmである、請求項6に記載のアンテナパッケージ構造。
【請求項9】
前記アンテナアレイ構造は、複数のフェーズドアレイアンテナを備え、前記複数のフェーズドアレイアンテナは、前記半導体チップに一対一でマッピングされる、請求項1に記載のアンテナパッケージ構造。
【請求項10】
前記半導体チップは、前記相互接続構造及び前記ガラス基板を介して前記アンテナアレイ構造へRF信号を送信するための複数の送信チップ、又は前記相互接続構造及び前記ガラス基板を介して前記アンテナアレイ構造からRF信号を受信するための複数の受信チップを備える、請求項1に記載のアンテナパッケージ構造。
【請求項11】
前記ガラス基板の側面の長さは、約40cmより大きい、請求項1に記載のアンテナパッケージ構造。
【請求項12】
前記第三の再分配層は、前記第三の誘電体層の誘電体材料から露出した複数の導電ラインを備え、前記半導体チップは、前記複数の導電ライン上に装着される、請求項7に記載のアンテナパッケージ構造。
【請求項13】
アンテナパッケージ構造であって、
第一の表面と、前記第一の表面とは反対側の第二の表面とを有する基板と、
前記基板の前記第一の表面上に装着された半導体チップと、
前記基板の前記第二の表面に形成されたアンテナと、
を備え、
前記半導体チップは、前記基板を介して前記アンテナに電磁気的に結合される、アンテナパッケージ構造。
【請求項14】
前記基板の厚さは、約2mm以下である、請求項13に記載のアンテナパッケージ構造。
【請求項15】
前記基板と前記半導体チップとの間に形成された相互接続構造をさらに備え、前記相互接続構造は、3つ以下の導電層を備える、請求項13に記載のアンテナパッケージ構造。
【請求項16】
前記導電層は、複数の導電ビアによって接続され、前記複数の導電ビアのそれぞれは、ディンプルプロファイルを備え、前記複数の導電ビアのそれぞれは、投影方向から互いに千鳥配置される、請求項15に記載のアンテナパッケージ構造。
【請求項17】
前記相互接続構造は、
前記基板の前記第一の表面上に配置された第一の誘電体層と、
前記第一の誘電体層上に配置された第二の誘電体層であって、前記第二の誘電体層の一部分は、前記ディンプルプロファイルを介して前記第一の誘電体層に向かって突出する、第二の誘電体層と、
をさらに備える、請求項16に記載のアンテナパッケージ構造。
【請求項18】
前記第二の誘電体層の底面の最下点は、断面図から見て、前記第一の誘電体層の上面より低い、請求項17に記載のアンテナパッケージ構造。
【請求項19】
前記相互接続構造は、複数のポリイミドフィルムを備え、前記複数のポリイミドフィルムのそれぞれの厚さは、互いに異なる、請求項15に記載のアンテナパッケージ構造。
【請求項20】
前記導電層の1つは、前記基板の前記第一の表面にアパーチャを形成するように編成され、前記アパーチャは、電磁信号を伝送するように構成され、前記アパーチャの幅は、回折の発生を防止する下限より大きく、前記電磁信号を伝送する上限より小さい、請求項15に記載のアンテナパッケージ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権主張及び相互参照)
本出願は、2022年6月14日に出願された米国仮出願第63/351,881号、及び2022年12月14日に出願された米国非仮出願第18/066,002号の優先権を主張し、これらの開示内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、アンテナパッケージ構造に関する。
【背景技術】
【0003】
現代の無線通信技術において、フェーズドアレイアンテナ技術は、従来のアンテナ技術と比較して、高利得、高信頼性、ビームステアリング能力等の利点があるため、多くの注目を浴びている。フェーズドアレイアンテナ技術は、アンテナ間隔を適切に管理して編成されたアンテナのアレイを採用するため、アレイアンテナが配置される基板面積は、従来の非アレイアンテナに比べて、はるかに大きい。基板の平面性は、許容できるコストで大規模なアンテナアレイを開発するための重要な課題の一つである。一方、アンテナアレイの信号処理性能を向上させるためには、回路密度が高く、消費電力が少ない高周波回路が必要である。
【発明の概要】
【0004】
例示的な一態様において、アンテナパッケージ構造が提供される。アンテナパッケージ構造は、ガラス基板と、相互接続構造と、複数の半導体チップと、アンテナアレイ構造とを含む。ガラス基板は、第一の表面と、第一の表面とは反対側の第二の表面とを有する。相互接続構造は、ガラス基板の第一の表面上に配置される。複数の半導体チップは、相互接続構造の上に装着される。アンテナアレイ構造は、ガラス基板の第二の表面上に形成される。さらに、複数の半導体チップは、相互接続構造及びガラス基板を介してアンテナアレイ構造に結合される。
【0005】
別の例示的な一態様において、アンテナパッケージ構造が提供される。アンテナパッケージ構造は、基板と、半導体チップと、アンテナとを含む。基板は、第一の表面と、第一の表面とは反対側の第二の表面とを有する。半導体チップは、基板の第一の表面の上に装着される。アンテナは、基板の第二の表面上に形成される。さらに、半導体チップは、基板を介してアンテナに電磁気的に結合される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示の態様は、添付の図と一緒に読むと、以下の詳細な説明から最もよく理解される。当業界の標準的な慣行に従って、様々な構造は、縮尺通りに描かれていないことに留意されたい。実際、様々な構造の寸法は、議論を明確にするために、任意に大きく、又は小さくすることがある。
【0007】
【
図1A】本開示のいくつかの比較実施形態によるアンテナパッケージ構造の断面図を示す。
【
図1B】本開示のいくつかの比較実施形態によるアンテナパッケージ構造の三次元概略図を示す。
【
図1C】本開示のいくつかの比較実施形態によるアンテナパッケージ構造の断面図を示す。
【
図1D】本開示のいくつかの比較実施形態によるアンテナパッケージ構造の断面図を示す。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態によるアンテナパッケージ構造の断面図を示す。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態によるアンテナパッケージ構造の三次元概略図を示す。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態によるアンテナパッケージ構造の断面図を示す。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態によるアンテナパッケージ構造の断面図を示す。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態によるアンテナパッケージ構造の断面図を示す。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態によるアンテナパッケージ構造の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の開示は、提供される主題の異なる特徴を実施するために、多くの異なる実施形態又は例を提供する。本開示を簡略化するために、要素及び配置の具体例を以下で説明する。当然、これらは単なる例であり、限定を意図するものではない。例えば、以下の説明において、第二の特徴の全体に、又はその上に第一の特徴を形成することは、第一及び第二の特徴が直接接触して形成される実施形態を含んでもよいし、また第一及び第二の特徴が直接接触し得ないように、第一及び第二の特徴の間に追加の特徴を形成し得る実施形態を含んでもよい。さらに、本開示では、様々な例において、参照番号及び/又は文字を繰り返すこともある。この繰り返しは、単純化及び明確化のためであり、それ自体では、議論される様々な実施形態及び/又は構成の間の関係を指示するものではない。
【0009】
さらに、「下方に」、「下に」、「下部」、「上方に」、「上部」、「上に」等の空間的に相対的な用語は、本明細書では、説明を容易にするために、図面に示すように、1つの要素又は特徴について、別の要素又は特徴に対する関係を説明するために使用することがある。空間的に相対的な用語は、図面に描かれている向きに加えて、使用中又は動作中のデバイスの異なる向きを包含することを意図している。装置は、別の向きを向いていてもよく(90°回転していても、他の向きにあってくよく)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は、同様に、それに応じて解釈されてもよい。
【0010】
本明細書で使用される場合、「第一の」、「第二の」及び「第三の」等の用語は、様々な要素、コンポーネント、領域、層及び/又はセクションを説明するが、これらの要素、コンポーネント、領域、層及び/又はセクションは、これらの用語によって制限されるべきではない。これらの用語は、ある要素、コンポーネント、領域、層又はセクションを別の要素、コンポーネント、領域、層又はセクションと区別するためにのみ使用することができる。「第一の」、「第二の」、及び「第三の」等の用語は、本明細書で使用される場合、文脈によって明確に示されない限り、シーケンス又は順序を意味するものではない。
【0011】
図1Aに示す比較実施形態では、パッケージ基板91を有するアンテナパッケージ構造90が提供される。このような実施形態では、アンテナパッケージ構造90は、アンテナインパッケージ(AiP)技術でパッケージ化される。AiP技術は、ベアRFチップ(トランシーバ)を搭載可能なICパッケージに、1つ又は複数のアンテナを実装するアンテナパッケージソリューションである。例えば、典型的なAiPは、プリント回路基板(PCB)93に接続するために半田ボールでパッケージ基板91に取り付けられた1つ以上のRFチップ92を含むことができ、アンテナのアレイ94もPCB93上に形成される。他の例では、
図1Bを参照すると、RFチップ92は、液晶ポリマー(LCP)層95に埋め込むことができる。LCP層95は、フレキシブルPCB(FPCB)96の側面に取り付けられ、アンテナのアレイ94は、FPCB96の別の側面に形成される。
【0012】
図1Cに示す他の比較実施形態では、アンテナパッケージ構造90に使用されるPCBは、従来のPCBよりも単位面積当たりの配線密度が高いPCBである高密度インターコネクタ(HDI)PCB97であり得る。一般に、HDI PCBは、マイクロビア、ブラインドビア/埋込ビア、ビルドアップラミネーション、及び高信号性能の考慮を含む特徴のうちの1つ又は全てを有するPCBとして定義される。HDI技術を使用することで、設計者は、生のPCBの両面に多くのコンポーネントを配置することができる。ビアインパッドやブラインドビア技術等の複数のビアプロセスを使用することで、コンポーネントをより近くに配置することができ、コンポーネントのサイズを小さくして、より小さなジオメトリでより多くのI/Oを実現できる。HDI PCB97は、内部に最大で約16層の金属層を有することができる。HDI PCB97の寄生容量は低いが、HDI PCB97の熱膨張係数は十分に高く、反り等のプロファイル欠陥の状況を誘発する。
【0013】
HDI PCB97以外にも、
図1DのPCBは、代替のガラス-セラミック多層基板である低温同時焼成セラミックス(LTCC)基板98にすることができる。LTCCは、高周波モジュール、半導体パッケージの基板、耐環境性が要求される用途の基板に使用できる積層技術である。例えば、LTCCはセラミックを含む材料であるため、耐熱性、耐湿性に優れ、アウトガスの発生がない。LTCC基板98は、内部に最大で約60層の金属層を有することができる。さらに、LTCC基板98の熱膨張係数は比較的シリコンの熱膨張係数に近いので、ベアチップ装着に有利な基板である。しかしながら、LTCC基板98は、コストが高く、精度が低く、層間の位置合わせが正確でなく、焼結時の収縮の問題があるため、その適用が制限されている。
【0014】
図2を参照すると、本開示のいくつかの実施形態では、ガラス基板を有するアンテナパッケージ構造10が提供される。アンテナパッケージ構造10は、基板100と、複数の半導体チップ102と、アンテナアレイ構造104と、を含む。基板100は、第一の表面100Aと、第一の表面100Aとは反対側の第二の表面100Bとを含む。いくつかの実施形態では、基板100は、平面プロファイルを含み、それゆえ、第一の表面100A及び第二の表面100Bの両方は、実質的に平坦で、互いに平行である。基板100の2つの主面の平坦性を確保することは、基板100の材料を選択する際に考慮されるべき項目の1つである。
【0015】
すなわち、シリコン基板(例えば、シリコンウェーハ、シリコンベースのプリント回路基板等)が現在の電気技術において一般的な選択肢として使用されているにもかかわらず、大面積を必要とするアンテナパッケージ構造の一部に基板が実装される状況(例えば、20cm四方の面積を有する基板)では、シリコン基板は、コストと平坦性の問題のために優先的な選択肢とはならない。より詳細には、シリコンウェーハの平坦性は、アンテナパッケージ構造の製造において、許容されるかもしれないが、シリコンウェーハのコストは大きな障壁である。さらに、シリコンウェーハの円形状もアンテナパッケージ構造には適さない。シリコンウェーハという選択肢があるにもかかわらず、一般的なプリント基板のような基板は、広い面積で実質的な平面を提供できないため、同様に適用できない。
【0016】
このように、本開示のいくつかの実施形態では、基板100は、ガラス基板である。ガラス製の基板は、低コストと優れた平坦性との両方の側面で特典を有することができる。いくつかの実施形態では、基板100は、4つの直線状の辺を有する長方形の形状又は正方形の形状を有する。いくつかの実施形態では、基板100の一辺の長さ(すなわち、基板100の辺の長さ)は、約20cm以上である。いくつかの実施形態では、基板100の一辺の長さは、約40cm以上である。いくつかの実施形態では、基板100の一辺の長さは、約80cm以上であり、そのため、アンテナパッケージ構造10は、約80cm*80cm以上の面積を有することができ、これは、一般のシリコン基板のスケールよりはるかに大きい。言い換えれば、本開示で実装される基板100は、パネルレベルのサイズを有するが、典型的な半導体構造を形成するための基板のサイズは、ウェーハレベルである。くつかの実施形態では、本開示における基板100は、3.5世代設備等の薄膜トランジスタ(TFT)パネル技術によって提供することができる。また、TFTパネル技術を用いることにより、アンテナパッケージ構造10の線幅は、通常のPCB(例えば、HDI PCB、LTCC基板等)における線幅よりも著しく狭くすることができる。例えば、線幅は、通常のPCBにおける線幅の約1/8まで狭くすることができ、したがって、寄生容量及び信号損失を低減することができる。いくつかの実施形態では、基板100を形成するためのガラス材料は、ガラスと同様の透明材料、例えば、溶融シリカ、酸化ケイ素、石英等とすることができる。
【0017】
本開示の基板100は、アンテナパッケージ構造の分野に使用されるため、基板100の面積は、アンテナの構造に対応しなければならない。半導体デバイスを形成するための基板(例えば、半導体基板、シリコンウェーハ等)と比較すると、半導体デバイスの平均コストを下げるために、基板上に形成される半導体デバイスの密度は、できるだけ高いことが望ましい。言い換えれば、半導体デバイスは、基板上に密集して形成される。これに対して、本開示では、アンテナの構造間の間隔又はピッチがアンテナの波長(例えば、1/2λ)に関係するため、アンテナの構造は、基板100上に密集して編成されない。さらに、基板上に密集して形成された半導体デバイスは、最終的には基板のスクライブラインに沿ってダイシングされるが、本開示における基板100は、その上に少なくともアンテナアレイを配置するためのものであり、これらのアンテナ構造をさらに分離せずに、最終製品として実装することになる。
【0018】
さらに、いくつかの実施形態では、基板100の特徴は、ガラス製の大面積基板であることだけでなく、厚さがかなり薄いガラス基板であることである。いくつかの実施形態では、基板100の厚さは、約5mm以下である。いくつかの実施形態では、基板100の厚さは、約3mm以下である。いくつかの実施形態では、基板100の厚さは、約2mm以下である。いくつかの実施形態では、基板100の厚さは、約0.5mm~約1.5mmの範囲内である。いくつかの実施形態では、基板100の厚さは、アンテナ構造の特定の動作周波数に応じた誘電率(Dk)及び誘電損失(Df)のパラメータの考慮に基づくものである。一般に、ガラス製の基板は、良好な絶縁特性及び低い電気損失(特に高い動作周波数において)のようなある種の利点を有することができる。
【0019】
基板100が厚さの薄いガラス製の大面積であるという状況において、本開示のいくつかの実施形態では、基板100は、ビアフリーガラス基板である。言い換えれば、本実施形態では、基板100に導電ビア構造又はガラス貫通ビアが形成されていない。半導体製造の分野では、半導体パッケージ用、ガラスインターポーザ形成用、三次元ガラス集積受動デバイス(IPD)形成用、MEMS又はセンサデバイス形成用等、複数の貫通孔を有するように穿孔できるガラス基板が存在する。このようなガラス基板の貫通孔は、ガラス貫通ビア(TGV)と呼ばれ、レーザドリル又はエッチングの技術によって形成することができる。しかしながら、TGVを形成する際のコストは高く、また基板の歩留まり及び強度も同時に低下し得るため、それゆえ、本開示のいくつかの実施形態では、基板100のプロファイルは、貫通孔、トレンチ、凹部等を一切有さず、そのままである。
【0020】
図2に示すように、いくつかの実施形態では、相互接続構造106が、ガラス基板100の第一の表面100A上に形成される。いくつかの実施形態では、相互接続構造106は、1つ以上の再分配層(RDL)を含む。複数の半導体チップ102は、相互接続構造106の上に装着される。いくつかの実施形態では、相互接続構造106は、複数の誘電体層を含み、一方、これらの誘電体層は、複数の導電層(又は再分配層と呼ばれる)及びそこに埋め込まれた導電ビアを含む。いくつかの実施形態では、再分配層及び導電ビアは、銅、タングステン、アルミニウム、チタン、タンタル、それらの合金等の導電性材料で形成される。
【0021】
図2に示すように、いくつかの実施形態では、相互接続構造106は、基板100の第一の表面100A上に配置された第一の誘電体層108と、第一の誘電体層108上にスタックされて配置された第二の誘電体層110とを含む。さらに、複数の誘電体層のスタック内では、基板100の第一の表面100A上に第一の再分配層112が形成され、第一の誘電体層108の上面上に第二の再分配層114が形成される。いくつかの実施形態では、第一の再分配層112は、第一の誘電体層108に埋め込まれた導電性金属パターンであり、第二の再分配層114は、第二の誘電体層110に埋め込まれた別の導電性金属パターンである。いくつかの実施形態では、第一の再分配層112及び第二の再分配層114は、相互接続構造106の導電ビアを介して電気的に接続される。相互接続構造106内の誘電体層の数は、アンテナパッケージ構造のレイアウト設計に依存する。例えば、より多くの電力線が必要とされるシナリオでは、3つ以上の誘電体層が実現可能である。
【0022】
いくつかの実施形態では、第一の誘電体層は、ガラス基板と第二の誘電体層との間に形成される。いくつかの実施形態では、第一の誘電体層108は、基板100を介してアンテナアレイ構造104にRF信号を伝送するための複数のアパーチャを形成するための第一の再分配層112を有するように構成される。いくつかの実施形態では、第一の再分配層112は、接地電圧に電気的に接続される。いくつかの実施形態では、第二の誘電体層110は、供給電力を伝導するための第二の再分配層114を有するように構成される。第二の再分配層114は、アパーチャの対応する位置へ/から信号を送信するための信号ポートであるように構成されてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、導電ビアの少なくともいくつかはディンプルプロファイルを含み、したがって、その上に形成された誘電体層は、そのようなディンプルプロファイルをある程度複製することができる。すなわち、
図2に示すように、第一の導電ビア116Aはディンプルプロファイル116Bを含み、したがって、第二の誘電体層110の一部分は、第一の導電ビア116Aのディンプルプロファイル116Bに埋め込まれる。一方、第の2誘電体層110は、ある程度ディンプルプロファイル116Bから複製されたディンプルプロファイル110Bを有することができる。ディンプルプロファイル110Bは、第一の導電ビア116Aのディンプルプロファイル116Bの上に直接形成される。同様に、第二の誘電体層110の上に形成される追加の層があれば、より多くのディンプルプロファイル(例えば、ディンプルプロファイル118B)をディンプルプロファイル110Bの上に直接形成することができる。一般に、第一の導電ビア116Aのディンプルプロファイル116Bは、第一の導電ビア116A上に形成された少なくともいくつかの層の平坦性に影響を与え得る。
【0024】
言い換えれば、第二の誘電体層110の平坦性及び第二の再分配層114の平坦性は、その下に形成された第一の導電ビア116Aによって低下することがある。したがって、いくつかの実施形態では、相互接続構造106と基板100との間の投影方向から見て、相互接続構造106に形成された導電ビアは、これらの導電ビアが平坦な導電性材料に着地しなければならないので、互いに千鳥配置される。例えば、第二の誘電体層110の第二の導電ビア126Aは、ディンプルプロファイル116Bを避けるために、第一の誘電体層108の第一の導電ビア116Aと千鳥配置され(すなわち、互いに垂直に並んでいない)、第一の導電ビア116Aは、第一の導電ビア116Aの延在部分116Cによって第二の再配線層114に接続されている。また、第一の導電ビア116Aの延在部分116Cは、第二の再分配層114の一部分であるとも言える。したがって、第二の再分配層114は、ディンプルプロファイル116Bによる影響を受けず、第二の導電ビア着地のために平坦な上面を有することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、第三の誘電体層118は、第二の誘電体層110上に配置され得る。いくつかの実施形態では、第二の誘電体層110は、第三の誘電体層118と第一の誘電体層108との間に形成される。第三の誘電体層118は、第三の再分配層120を有するように構成される。いくつかの実施形態では、第三の再分配層120は、デジタル及びRFファンアウト層として機能する。いくつかの実施形態では、第三の再分配層120は、約10GHz~約28GHzの範囲の周波数を有するRF信号を伝導するために使用することができる。さらに、第三の誘電体層118は、相互接続構造106の最上層であり、そのため、第三の誘電体層118は、相互接続構造106上に半田付けするためのソルダーレジスト層(すなわち、半田マスク)としても機能する。いくつかの実施形態では、第三の再分配層120は、第三の誘電体層118の誘電体材料から露出した複数の導電ラインを含み、半導体チップ102は、その導電ライン上に実装される。言い換えれば、第三の再分配層120は、半導体チップ102から/へデジタル及びRFを受信/送信するように構成される。
【0026】
いくつかの実施形態では、相互接続構造106に使用される誘電体材料は、ポリイミド、エポキシ樹脂等の絶縁材料である。いくつかの実施形態では、相互接続構造106の誘電体層のそれぞれは、薄いポリマー層である。例えば、第一の誘電体層108及び第二の誘電体層110の材料は、ポリイミドを含むことができる。いくつかの実施形態では、第三の誘電体層118の材料は、それによって覆われる誘電体層の材料と同じである。相互接続構造106の誘電体材料の選択は、誘電体層の厚さ要件に関係する。すなわち、本開示のいくつかの実施形態では、誘電体層(例えば、第一の誘電体層108)の厚さは、約50μmである。いくつかの実施形態では、誘電体層の厚さは、約30μm以上である。いくつかの実施形態では、誘電体層の厚さは、約10μm以上である。いくつかの実施形態では、第一の誘電体層108の厚さは、約20μm~約60μmであり、第二の誘電体層110の厚さは、約10μmである。本開示におけるポリイミド製の誘電体層と比較して、典型的な半導体における誘電体層の厚さは、はるかに薄い。例えば、一般的な半導体における誘電体層の厚さは、通常、約5μm未満(例えば、約2~3μm以下)であり、これらの薄い誘電体層は、通常、酸化シリコンで作られている。言い換えれば、アンテナパッケージ構造を形成する際の厚さの要求のために、半導体構造で使用されるいくつかの一般的な誘電体材料は、本開示では実現不可能である。
【0027】
さらに、相互接続構造106の誘電体層のそれぞれの厚さは、互いに異なることができる。例えば、第一の誘電体層108の厚さは、第一の誘電体層108に隣接する第二の誘電体層110の厚さとは異なることができる。いくつかの実施形態では、誘電体層の厚さは、そこを通る信号送信に関連する。例えば、
図2に示す実施形態のように、第一の誘電体層108は、第二の誘電体層110よりも厚い。なぜなら、第一の誘電体層108の厚さは、そこを通る無線周波数(RF)信号と対応するからである。誘電体層の厚さが約10μm以下(例えば、6μm)であるシナリオでは、好ましい信号伝送品質を獲得するために、そこを通るRF信号の周波数は、約50GHz又は約60GHzであるべきである。その代わりに、誘電体層を通って伝送される(すなわち、その中の導電性材料によって誘電体層を通過する)RF信号の周波数が約10GHz~約28GHzの範囲(又は約10GHz又は約28GHz)であるというシナリオでは、信号伝送の品質を維持するために、誘電体層の厚さを約50μmに増加させる必要がある。言い換えれば、本出願における誘電体層の厚さは、アンテナパッケージ構造用に設計された送信されるRF信号の周波数に応じて、調整可能である。さらに、厚い誘電体層、すなわち、約10GHzから/及び約28GHzの範囲の周波数を有するRF信号を送信するために実装された誘電体層は、どの層がそこに設計された伝送経路であるかに応じて、第一の誘電体層108又は第二の誘電体層110であることができる。いくつかの実施形態では、第二の誘電体層110の厚さは、第三の誘電体層118の厚さよりも厚い。
【0028】
いくつかの実施形態では、第一の再分配層112は、接地を提供し、電磁結合(これは後の段落で説明される)のためのアパーチャを提供するように構成される。アパーチャは、特定のパターンで金属層上に形成された開口部であってもよい。いくつかの実施形態では、第二の再分配層114は、電力と接続し、遷移のために構成される。いくつかの実施形態では、第三の再分配層120は、第二の誘電体層110の上に配置することができ、第三の再分配層120は、前述したように、RF及びデジタルファンアウトを提供するよう構成される。
【0029】
いくつかの実施形態では、相互接続構造106の再分配層は3つ以下である。相互接続構造106の層の数は、典型的には、相互接続構造106の上に装着された半導体チップ102の数に関連している。一般的なPCB上に16*16又は32*32のチップ又はダイが装着されている状況では、PCBは、PCB内の複雑な配線を通して、これらのチップ又はダイを接続するために7つ又は8つの金属層を有する必要がある。しかしながら、本開示のいくつかの実施形態では、相互接続構造106の上に装着された半導体チップ102は、相互接続構造106の最上再分配層の有意なパターンによって、接続することができるので、これらの半導体チップ102は、相互接続構造106の上面に近接する複数の導電ライン130(
図3参照)を介して既に相互接続されており、相互接続構造106の再分配層の数を、上記のような複雑なルーティングを使用せずに、2つ又は3つの層に単純化できるようになる。これらの導電ライン130は、相互接続構造106の最上誘電体層の誘電体材料から露出される。
【0030】
前述したように、誘電体層内の導電ビアは、その上面にディンプルプロファイルを有することができる。いくつかの実施形態では、ディンプルプロファイルの深さは、断面図から見た導電ビアのアスペクト比に対応する。例えば、第一の誘電体層108の厚さが第二の誘電体層110の厚さよりも大きい場合、第一の導電ビア116A(第一の誘電体層108によって横方向に囲まれている)のディンプルプロファイル116Bの深さは、第二の誘電体層110における第二の導電ビア126Aのディンプルプロファイル110Bより大きい。いくつかの実施形態では、第二の誘電体層110の一部は、第一の誘電体層108に向かって突出することによって、第一の誘電体層108に埋め込まれる。言い換えれば、ディンプルプロファイル116Bによって提供される凹部に起因して、第二の誘電体層110の底面の最下点(すなわち、ディンプルプロファイル116Bの点縁)は、第一の誘電体層108の上面よりも低くなり得る(すなわち、このような最下点は、第一の誘電体層108の上面よりも基板100に近接される)。
【0031】
ディンプルプロファイル110Bは、第一の導電ビア116Aの第一のディンプルプロファイル116Bの上に直接形成される。同様に、第二の誘電体層110の上に形成される追加の層があれば、より多くのディンプルプロファイルが第二のディンプルプロファイル110Bの上に直接形成されることができる。前述したように、導電ビアのディンプルプロファイルは、その上に形成される誘電体層の平坦性に影響を与え得る。導電ビア上に形成された誘電体層がディンプルプロファイルをある程度補償できるとしても、しかしながら、本開示におけるいくつかの実施形態のように、相互接続構造106に2つ又は3つの誘電体層しかない状況では、相互接続構造106の上面が依然としてディンプルプロファイルを呈し得ることが可能である。したがって、いくつかの実施形態では、相互接続構造106の導電ビアのそれぞれ及び1つは、互いに千鳥配置される。
【0032】
相互接続構造106及び複数の半導体チップ102は、基板100の第一の表面100A上に配置された構造であり、これらの構造に対応して、アンテナアレイ構造104は、基板100の第二の表面100B上に配置され、したがって、基板100は、それに応じて、アンテナアレイ構造104と相互接続構造106によって挟まれる。
【0033】
いくつかの実施形態では、アンテナアレイ構造104は、複数のフェーズドアレイアンテナを含む。フェーズドアレイアンテナは、その単一放射体が異なる位相シフトで給電され得るアレイアンテナである。いくつかの実施形態では、アンテナアレイ構造104のフェーズドアレイアンテナは、相互接続構造106及び基板100を介して、半導体チップ102に無線で結合される。フェーズドアレイアンテナは、半導体チップ102に一対一でマッピングされる。すなわち、半導体チップ102のそれぞれは、基板100を介して、アンテナ(すなわち、フェーズドアレイアンテナ)に電磁気的に結合される。一実施形態では、半導体チップ102のそれぞれは、基板100と相互接続構造106を間に挟んで、対応するアンテナの直上(又は直下)に位置している。他の実施形態では、半導体チップ102のそれぞれは、対応するアンテナの上(又は下)に位置していない。例えば、半導体チップ102は、アンテナアレイ構造104の上部に対応するアンテナを見る位置から、わずかにずれていてもよい。
【0034】
前述したように、本開示のいくつかの実施形態におけるガラス製の薄い基板は、ビアフリーであり、これは、ガラス基板を貫通するビアホールを有さないこと(例えば、複数のTGVを形成しないこと)を意味し、したがって、基板100の第一の表面100A及び第二の表面100Bは、完全に平坦で、無傷のままである。アンテナアレイ構造104及び半導体チップ102が基板100の2つの反対側に配置されている間に、相互接続構造106及び基板100を介して、アンテナアレイ構造104及び半導体チップ102を無線結合するために、電磁結合技術が、このように適用される。
【0035】
すなわち、いくつかの実施形態では、アンテナアレイ構造104と半導体チップ102との間の通信は、透明基板100を通過するRF信号に基づいている。いくつかの実施形態では、再分配層のうちの1つは、基板100の第一の表面100A上に1つ以上のアパーチャを形成するように編成され、一方、アパーチャは、電磁信号を送信又は放射するように構成される。いくつかの実施形態では、第一の誘電体層108によって覆われた第一の再分布層112は、相互接続構造106からアンテナアレイ構造104への結合信号又はアンテナアレイ構造104から相互接続構造106への結合信号を含むRF信号を方向付けるために基板100の第一の表面100A上に形成された複数のアパーチャ124を提供してもよい。例えば、アパーチャ124のそれぞれは、アンテナアレイ構造104と半導体チップ102との間の通信のために、基板100を通過するRF信号を方向付けるためのレンズとして機能させることができる。一般に、アパーチャ124の幅は、狭すぎてはならず、そうでなければ、そのようなアパーチャ124は、RF信号の回折を誘発し得る。したがって、いくつかの実施形態では、アパーチャ124の幅は、回折の発生を防止する上で下限よりも大きく、信号の電磁結合を行う(すなわち、電磁信号を送信する)ために少なくとも対応する幅を確保するために上限よりも小さくされる。いくつかの実施形態では、アパーチャ124のそれぞれは、アパーチャ124を通過する既述のRF信号を伴う補正電磁信号を送信するための補正アパーチャとグループ化されてもよい。Iいくつかの実施形態では、アパーチャ124のそれぞれの幅は、それとグループ化された補正アパーチャの幅と同一である。いくつかの実施形態では、アパーチャ124のそれぞれは、それとグループ化された補正アパーチャに隣接している。アパーチャ124と補正アパーチャとで構成されるグループは、アンテナアレイ構造104の補正機能を提供することができる。特に、基板100の第二の表面100Bにフェーズドアレイアンテナがアレイ状に編成されているため、異なるフェーズドアレイアンテナに属する信号が互いに干渉する可能性があるので、アパーチャのグループを通じた自己補正設計により、アンテナアレイの動作品質を確保できる。例えば、適切な補正計算の下で、アレイ分布において高品質の円偏波アンテナ性能を提供することができる。
【0036】
いくつかの代替の実施形態では、コスト等のいくつかの考慮事項にもかかわらず、半導体チップ102及びアンテナアレイ構造104は、透明なガラス基板100を横切って放射されるRF信号を通じて通信されず、信号は、前述のように、TGVを通過する等、基板に形成された物理的なラインを通じて送信される。これらの代替の実施形態は、いくつかのまれな状況において依然として選択可能である。
【0037】
図4を参照すると、いくつかの実施形態では、複数の半田バンプ200又は半田ボール(
図4はそのうちの1つを図示)を使用して、相互接続構造106の上に半導体チップ102を接合することができる。複数の半田バンプ200は、最上誘電体層の開口部に形成される。例えば、図示された第三の誘電体層118のようなものである。いくつかの実施形態では、UBM(Under Bump Metallization)層122を開口部内の半田バンプ200のそれぞれの下に形成することができる。Cuピラーバンプと比較して、これらの鉛フリー半田バンプ200を形成する際のコストは、より安価である。さらに、他の金属バンプ構造と比較して、半田バンプ200は、共晶(EU)バンプよりも優れた信頼性を提供することができる。
【0038】
最上誘電体層はソルダーレジスト層として使用されるため、最上誘電体層(例えば、第三の誘電体層118)は、半田材料と接続される導電性金属(例えば、第三の再分配層120)のそれぞれの少なくとも一部分を覆うことができる。図に示すように、第三の誘電体層118の開口部のそれぞれの幅は、導電パッド(すなわち、第三の再分配層120等の最上再分配層)の幅よりも小さい。一般に、ソルダーレジスト層は、半田付け時及びその後の導電ラインとパッドとの間の短絡の危険性を防止するために使用される。本開示のいくつかの実施形態では、最上誘電体層は、ソルダーレジスト層として実装され、最上誘電体層の開口部は、UBM及び/又は半田バンプ200を形成するための導電パッドを露出させることができる。
【0039】
本開示における半導体チップ102は、アンテナパッケージ構造のタイプに応じて、RXチップ(例えば、受信機)又はTXチップ(例えば、送信機)であることができる。すなわち、半導体チップは、相互接続構造106及び基板100を介してアンテナアレイ構造104にRF信号を送信するための複数の送信チップ、又は相互接続構造106及び基板100を介してアンテナアレイ構造104からRF信号を受信するための複数の受信チップを含む。さらに、1つのアンテナパッケージ構造内で、RXチップとTXチップを混在させるのではなく、相互接続構造106上に装着される半導体チップ102の全てが、RXチップ又はTXチップでなければならない。
【0040】
全体として、半導体チップ102のそれぞれは、基板100の別の側に位置するアンテナアレイ構造104のアンテナのそれぞれと通信するために、ガラス基板100の上に(その間に挟まれた相互接続構造106を介して)フリップチップ接合される。前述したように、半導体チップ102は、半田付けによって相互接続構造106に接合することができる。半田付け以外の、何らかの代替的な接合技術も実現可能である。いくつかの実施形態では、
図5に示すように、半導体チップ102は、金属接合技法によって相互接続構造106に装着することができる。いくつかの実施形態では、
図6に示すように、半導体チップ102は、ハイブリッド接合技術によって相互接続構造106上に装着することができ、例えば、相互接続構造106の最上誘電体層は、半導体チップ102の表面誘電体層に接着することができるが、相互接続構造106の最上誘電体層(例えば、第一のハイブリッド接合誘電体層128)及び表面誘電体層(例えば、第二のハイブリッド接合誘電体層132)のそれぞれ上に分布し、同一平面上にある複数の導電パッド138、及び半導体チップ102の導電パッド134は、アニールプロセスを通してバンプすることができる。いくつかの実施形態では、
図7に示すように、半導体チップ102は、チップ・オン・ガラス(COG)技術を通じて相互接続構造106の上に装着することができる。例えば、半導体チップ102は、異方性導電膜(ACF)又は非導電膜(NCF)等の導電性媒体136を用いることによって、相互接続構造106の金属パッドと電気的に結合できる。接合技術の選択は、実質的にオープンであり、したがって、アンテナアレイ構造104を有する側とは反対側の基板100の側面の上に半導体チップ102を装着する際の接合技術は、
図5~
図7に示すような例示的な実施形態に限定されない。
【0041】
本開示の実施形態によれば、ガラス基板を有するアンテナパッケージ構造が提供される。基板の表面の平坦性の要求と基板の大面積の要求に関する側面から、このようにガラス基板が選択され、アンテナアレイ構造と半導体チップは、それぞれ基板の異なる面上に形成されて装着される。さらに、電磁結合技術を使用することにより、基板内の物理的なビア構造を使用せずに、基板を横切って放射される電磁信号(例えば、光信号)によって、アンテナアレイ構造と半導体チップを通信することができる。さらに、HDIベース又はLTCCベースのPCB又は基板等のいくつかのパッケージ技術と比較して、本開示のアンテナパッケージ構造は、配線における層数がはるかに少なく、配線が簡素化されることにより、アンテナパッケージ構造をより薄くして、より良好で高速な性能、及び魅力ある収率とコストで実現できる。
【0042】
前述は、当業者が本開示の態様をよりよく理解できるように、いくつかの実施形態の構造を概説したものである。当業者は、本開示を、本明細書で紹介した実施形態の同じ目的を実行するために、及び/又は同じ利点を達成するために、他の操作及び構造を設計又は修正するための基礎として、本開示を容易に使用できることを理解すべきである。また、当業者は、そのような同等の構造が本開示の精神及び範囲から逸脱しないことも、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく本明細書において様々な変更、置換、及び改変を実行可能なことを認識すべきである。