(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018256
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】ポンプ用ストレーナおよびポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 29/70 20060101AFI20230201BHJP
F04D 29/60 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
F04D29/70 D
F04D29/60 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122241
(22)【出願日】2021-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000150844
【氏名又は名称】株式会社鶴見製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】森本 健斗
(72)【発明者】
【氏名】中野 寛之
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AB13
3H130AB22
3H130AB42
3H130AC30
3H130BA44J
3H130BA44Z
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130DG02Z
3H130DJ02X
3H130EA07J
3H130EA07Z
3H130EB01J
3H130EB01Z
3H130EB02J
3H130EB02Z
(57)【要約】
【課題】通水穴の目詰まりを抑制することが可能なポンプ用ストレーナおよびポンプを提供する。
【解決手段】このポンプ用ストレーナは、ポンプ本体101の吸込口110aを取り囲む筐体1と、筐体1に設けられた通水穴30と、筐体1に設けられ、通水穴30の近傍に配置されるとともに、筐体1の外方に突出する突出片31a~31dと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ本体の吸込口を取り囲む筐体と、
前記筐体に設けられた通水穴と、
前記筐体に設けられ、前記通水穴の近傍に配置されるとともに、前記筐体の外方に突出する突出片と、を備える、ポンプ用ストレーナ。
【請求項2】
前記突出片は、前記突出片の近傍に配置された前記通水穴が設けられた位置における前記筐体の外表面に直交する直交方向から見て、前記通水穴の少なくとも一部と重なっている、請求項1に記載のポンプ用ストレーナ。
【請求項3】
前記突出片は、前記直交方向から見て前記通水穴と重なるように、前記筐体の前記外表面に対して前記通水穴側に傾斜している、請求項2に記載のポンプ用ストレーナ。
【請求項4】
前記突出片は、前記筐体に複数設けられ、
複数の前記突出片は、
第1領域に設けられた第1傾斜方向を有する第1突出片と、
前記第1領域とは異なる第2領域に設けられ、前記第1傾斜方向とは異なる第2傾斜方向を有する第2突出片と、を含む、請求項3に記載のポンプ用ストレーナ。
【請求項5】
前記突出片は、前記直交方向から見て、前記通水穴の大きさの半分以上の範囲で前記通水穴と重なっている、請求項2~4のいずれか1項に記載のポンプ用ストレーナ。
【請求項6】
前記突出片は、前記通水穴の端部で前記筐体の外表面に接続されている、請求項1~5のいずれか1項に記載のポンプ用ストレーナ。
【請求項7】
前記突出片は、前記筐体の前記外表面を構成する金属製の板部材に対する切り起こし加工により前記板部材に一体的に形成されている、請求項6に記載のポンプ用ストレーナ。
【請求項8】
前記筐体は、前記通水穴および前記突出片が各々に設けられた板状の複数のストレーナ部材と、前記ポンプ本体に設置されるとともに、前記複数のストレーナ部材を着脱可能に取り付ける多角柱状のストレーナ取付部材とを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のポンプ用ストレーナ。
【請求項9】
前記突出片は、前記突出片の近傍に配置された前記通水穴が設けられた位置における前記筐体の外表面に直交する直交方向から見て前記通水穴と重なるように、前記外表面に対して前記通水穴側に傾斜しており、
前記ストレーナ取付部材は、前記突出片の傾斜方向が変わるように、前記ストレーナ部材の向きを変えて取り付けることが可能に構成されている、請求項8に記載のポンプ用ストレーナ。
【請求項10】
前記ストレーナ部材は、正方形状に形成されており、
前記ストレーナ取付部材は、正方形状の前記ストレーナ部材の上下左右の向きを変えて取り付けることが可能に構成されている、請求項9に記載のポンプ用ストレーナ。
【請求項11】
前記筐体は、4つの前記ストレーナ部材を含む直方体状に形成され、
前記4つのストレーナ部材は、前記直方体状の前記筐体の4つの各側面を形成している、請求項10に記載のポンプ用ストレーナ。
【請求項12】
前記ストレーナ取付部材の下面は、前記ポンプ本体を直立状態で保持するスタンドとして構成されている、請求項8~11のいずれか1項に記載のポンプ用ストレーナ。
【請求項13】
ポンプ本体と、
前記ポンプ本体に設けられるポンプ用ストレーナと、を備え、
前記ポンプ用ストレーナは、
前記ポンプ本体の吸込口を取り囲む筐体と、
前記筐体に設けられた通水穴と、
前記筐体に設けられ、前記通水穴の近傍に配置されるとともに、前記筐体の外方に突出する突出片と、を含む、ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ本体に異物が流入することを抑制するポンプ用ストレーナおよびポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポンプ本体に異物が流入することを抑制するストレーナを備えるポンプが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、吸込口を有するポンプ本体と、吸込口を取り囲むようにポンプ本体に取り付けられるストレーナとを備えるポンプが開示されている。ストレーナには、円形状の比較的小さな複数の通水穴が設けられており、吸込口側であるストレーナの内側に異物が流入することを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のポンプでは、ウエス(布状の異物)やビニール袋などの比較的変形しやすく、通水穴に対して比較的大きな異物がポンプの周囲にある場合、異物がストレーナの外表面に沿って広がった状態でストレーナの外表面に張り付きやすいという不都合がある。異物がストレーナの外表面に沿って広がった状態でストレーナの外表面に張り付いた場合、通水穴に異物が吸着して通水穴の目詰まりが発生するという問題点がある。なお、通水穴の目詰まりは、ポンプの排水性能の低下を招くため好ましくない。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、通水穴の目詰まりを抑制することが可能なポンプ用ストレーナおよびポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面におけるポンプ用ストレーナは、ポンプ本体の吸込口を取り囲む筐体と、筐体に設けられた通水穴と、筐体に設けられ、通水穴の近傍に配置されるとともに、筐体の外方に突出する突出片と、を備える。
【0008】
この発明の第1の局面によるポンプ用ストレーナでは、上記のように、筐体に設けられ、通水穴の近傍に配置されるとともに、筐体の外方に突出する突出片を設ける。これによって、ウエス(布状の異物)やビニール袋などの比較的変形しやすく、通水穴に対して比較的大きな異物などがポンプ本体の周囲にある場合、筐体の外方に突出する突出片に異物が引っかかった状態で異物と通水穴との間に隙間を確保することができる。その結果、通水穴に異物が吸着することを抑制することができるので、通水穴の目詰まりを抑制することができる。
【0009】
上記第1の局面によるポンプ用ストレーナにおいて、好ましくは、突出片は、突出片の近傍に配置された通水穴が設けられた位置における筐体の外表面に直交する直交方向から見て、通水穴の少なくとも一部と重なっている。このように構成すれば、突出片により通水穴を覆うようにして、通水穴に対して突出片を配置することができるので、突出片に引っかかった異物と通水穴との間に隙間をより確実に確保することができる。その結果、通水穴の目詰まりをより抑制することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、突出片は、直交方向から見て通水穴と重なるように、筐体の外表面に対して通水穴側に傾斜している。このように構成すれば、直交方向から見て突出片を通水穴側に傾斜させるだけで、通水穴と重なる突出片を筐体に形成することができる。
【0011】
上記突出片が通水穴側に傾斜している構成において、好ましくは、突出片は、筐体に複数設けられ、複数の突出片は、第1領域に設けられた第1傾斜方向を有する第1突出片と、第1領域とは異なる第2領域に設けられ、第1傾斜方向とは異なる第2傾斜方向を有する第2突出片と、を含む。このように構成すれば、互いに異なる傾斜方向を有する第1領域の第1突出片および第2領域の第2突出片により、第1領域の通水穴に対する第1突出片の位置と、第2領域の通水穴に対する第2突出片の位置とを互いに異ならせることができる。その結果、たとえば、ポンプ用ストレーナが設置される水域の流れが一方向の流れを有する場合に、第1領域の通水穴と第2領域の通水穴との間で、異物による目詰まりのしやすさを変えることができる。したがって、第1領域の通水穴と第2領域の通水穴の両方が目詰まりしやすい状態になることを回避することができる。その結果、通水穴の目詰まりをより抑制することができる。
【0012】
上記突出片が通水穴の少なくとも一部と重なっている構成において、好ましくは、突出片は、直交方向から見て、通水穴の大きさの半分以上の範囲で通水穴と重なっている。このように構成すれば、突出片により通水穴のより大きな範囲を覆うことができるので、突出片に引っかかった異物と通水穴との間に隙間をより一層確実に確保することができる。その結果、通水穴の目詰まりをより効果的に抑制することができる。
【0013】
上記第1の局面によるポンプ用ストレーナにおいて、好ましくは、突出片は、通水穴の端部で筐体の外表面に接続されている。このように構成すれば、突出片が通水穴の端部から離間した位置で筐体の外表面に接続される場合と比較して、突出片を通水穴のより近くに配置することができるので、異物と通水穴との間に隙間をより確実に確保することができる。その結果、通水穴の目詰まりをより抑制することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、突出片は、筐体の外表面を構成する金属製の板部材に対する切り起こし加工により板部材に一体的に形成されている。このように構成すれば、ポンプ用ストレーナの部品点数を削減して、装置構成を簡素化することができる。また、突出片を切り起こし加工により形成することができるので、突出片を容易に形成することができる。
【0015】
上記第1の局面によるポンプ用ストレーナにおいて、好ましくは、筐体は、通水穴および突出片が各々に設けられた板状の複数のストレーナ部材と、ポンプ本体に設置されるとともに、複数のストレーナ部材を着脱可能に取り付ける多角柱状のストレーナ取付部材とを含む。このように構成すれば、ストレーナ取付部材から複数のストレーナ部材を取り外すことができるので、多量の異物が突出片に引っかかった場合などに、ストレーナ取付部材から複数のストレーナ部材を容易に取り外して筐体を分解することができる。その結果、異物を筐体から容易に除去することができる。
【0016】
この場合、好ましくは、突出片は、突出片の近傍に配置された通水穴が設けられた位置における筐体の外表面に直交する直交方向から見て通水穴と重なるように、外表面に対して通水穴側に傾斜しており、ストレーナ取付部材は、突出片の傾斜方向が変わるように、ストレーナ部材の向きを変えて取り付けることが可能に構成されている。このように構成すれば、ポンプ用ストレーナが設置される水域の流れの向きなどによる通水穴の目詰まりのしやすさを考慮して、突出片の傾斜方向を変えることができる。
【0017】
上記ストレーナ取付部材がストレーナ部材の向きを変えて取り付けることが可能な構成において、好ましくは、ストレーナ部材は、正方形状に形成されており、ストレーナ取付部材は、正方形状のストレーナ部材の上下左右の向きを変えて取り付けることが可能に構成されている。このように構成すれば、ストレーナ部材が正方形状に形成されているため、ストレーナ部材の上下左右の向きを容易に変更することができる。
【0018】
上記ストレーナ取付部材がストレーナ部材の上下左右の向きを変えて取り付けることが可能な構成において、好ましくは、筐体は、4つのストレーナ部材を含む直方体状に形成され、4つのストレーナ部材は、直方体状の筐体の4つの各側面を形成している。このように構成すれば、ポンプ本体を直立状態で使用する場合に、塞がれることのない位置に、突出片および通水穴を配置することができる。
【0019】
上記筐体が複数のストレーナ部材とストレーナ取付部材とを含む構成において、好ましくは、ストレーナ取付部材の下面は、ポンプ本体を直立状態で保持するスタンドとして構成されている。このように構成すれば、スタンドとしてストレーナ取付部材の下面により、ポンプ本体を容易に直立状態で保持することができる。
【0020】
この発明の第2の局面におけるポンプは、ポンプ本体と、ポンプ本体に設けられるポンプ用ストレーナと、を備え、ポンプ用ストレーナは、ポンプ本体の吸込口を取り囲む筐体と、筐体に設けられた通水穴と、筐体に設けられ、通水穴の近傍に配置されるとともに、筐体の外方に突出する突出片と、を含む。
【0021】
この発明の第2の局面によるポンプでは、上記のように、筐体に設けられ、通水穴の近傍に配置されるとともに、筐体の外方に突出する突出片を設ける。これによって、ウエス(布状の異物)やビニール袋などの比較的変形しやすく、通水穴に対して比較的大きな異物などがポンプ本体の周囲にある場合、筐体の外方に突出する突出片に異物が引っかかった状態で異物と通水穴との間に隙間を確保することができる。その結果、通水穴に異物が吸着することを抑制することができるので、通水穴の目詰まりを抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、上記のように、通水穴の目詰まりを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態によるポンプ用ストレーナ備えるポンプの全体構成を示した正面図である。
【
図2】
図1のポンプ用ストレーナから複数のストレーナ部材を取り外した状態を示した正面図である。
【
図3】
図1の900-900に沿った断面図であり、突出片に異物が引っ掛かった状態を示した図である。
【
図4】本実施形態のポンプを上方の一方側(A1方向側かつB2方向側)から示した斜視図である。
【
図5】本実施形態のポンプを上方の他方側(A2方向側かつB1方向側)から示した斜視図である。
【
図6】本実施形態のポンプ用ストレーナのストレーナ取付部材を示した斜視図である。
【
図7】本実施形態のポンプ用ストレーナのストレーナ部材を示した斜視図である。
【
図8】変形例の三角形状の突出片および通水穴を示した図である。
【
図9】変形例の矩形状の突出片および通水穴を示した図である。
【
図10】変形例の半円状の突出片および通水穴を示した図である。
【
図11】変形例の六角柱状のポンプ用ストレーナを備えるポンプを上方から示した斜視図である。
【
図12】変形例の円柱状のポンプ用ストレーナを備えるポンプを上方から示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
[実施形態]
図1~
図7を参照して、ポンプ用ストレーナ102を備えるポンプ100の実施形態について説明する。
【0026】
各図では、上下方向をZ方向により示し、上方をZ1方向により示し、下方をZ2方向により示す。
【0027】
各図では、ポンプ用ストレーナ102(筐体1)の矩形状の上面102aを構成する各辺が延びる方向をA方向およびB方向により示す。A方向およびB方向は、互いに略直交している。A方向およびB方向は、Z方向に略直交している。A方向のうちの一方をA1方向により示し、他方をA2方向により示す。B方向のうちの一方をB1方向により示し、他方をB2方向により示す。なお、A方向およびB方向は、特許請求の範囲の「直交方向」の一例である。
【0028】
図1および
図2に示すポンプ100は、貯水域や、川、海などの種々の水域において排水目的などで使用される。ポンプ100は、原則、ポンプ100が使用される水域の底に接触する直立状態で使用される。
【0029】
ポンプ100は、ポンプ本体101と、ポンプ本体101に設けられるポンプ用ストレーナ102とを備えている。
【0030】
ポンプ本体101とポンプ用ストレーナ102とは別体の構成である。ポンプ用ストレーナ102は、ポンプ本体101の吸込口110aを取り囲んでいる。ポンプ100は、ポンプ用ストレーナ102によりポンプ本体101の内部に異物G(
図3参照)が侵入するのを抑制している。
【0031】
異物Gとは、たとえば、ウエスや、ビニール袋、落ち葉などの比較的大きな物であり、水とともにポンプ本体101の内部に侵入することによりポンプ100の排水性能の低下などを招く可能性がある種々の物である。
【0032】
(ポンプ本体の構成)
ポンプ本体101は、ポンプケーシング110と、モータ111と、羽根車112とを備えている。
【0033】
図2に示すように、ポンプケーシング110の下方側には、外部からポンプ本体101の内部に水を吸い込む入口として機能する吸込口110aが設けられている。ポンプケーシング110の内側には、羽根車112が配置されるポンプ室110bが設けられている。
【0034】
モータ111は、ポンプケーシング110の上方に配置されている。モータ111は、出力軸である回転軸111aを有している。回転軸111aは、上下方向に延びている。
【0035】
羽根車112は、回転軸111aの下端に取り付けられている。羽根車112は、回転軸111aを介してモータ111により駆動され、吸込口110aからポンプケーシング110の内部に水を流入させるように構成されている。吸込口110aから流入した水は、ポンプ本体101の上方側に設けられた吐出口(図示せず)から吐出される。
【0036】
(ポンプ用ストレーナの構成)
ポンプ用ストレーナ102は、耐腐食性を有する金属材料により形成されている。一例ではあるが、ポンプ用ストレーナ102は、ステンレス鋼により形成されている。ポンプ用ストレーナ102は、概して、直方体状に形成されている。ポンプ用ストレーナ102は、上面102aおよび下面102bが水平方向に延びており、4つの側面102cが上下方向に延びている。
【0037】
ポンプ用ストレーナ102(筐体1)の上面102aには、ポンプ本体101を配置するためのポンプ配置穴102dが設けられている。ポンプ本体101の下方側は、ポンプ配置穴102dを介してポンプ用ストレーナ102の内部に収容されている。また、ポンプ本体101の上方側は、ポンプ配置穴102dの上方で、かつ、ポンプ用ストレーナ102の外部に配置されている。
【0038】
図4および
図5に示すように、ポンプ用ストレーナ102は、ポンプ本体101に設置されるストレーナ取付部材2と、複数(4つ)の板状のストレーナ部材3a~3dとを備えている。
【0039】
ポンプ用ストレーナ102は、ストレーナ取付部材2と、複数(4つ)のストレーナ部材3a~3dとにより、筐体1が構成されている。筐体1(ストレーナ部材3a~3d)には、通水穴30が複数設けられている。また、筐体1(ストレーナ部材3a~3d)には、筐体1の外方に突出する突出片31a~31dが複数設けられている。
【0040】
筐体1は、4つのストレーナ部材3a~3dを含む直方体状に形成されている。4つのストレーナ部材3a~3dは、直方体状の筐体1の4つの各側面102cを形成している。
【0041】
(ポンプ用ストレーナの「ストレーナ取付部材」の構成)
ストレーナ取付部材2は、複数(4つ)のストレーナ部材3a~3dを着脱可能に取り付けるための部材である。ストレーナ取付部材2は、突出片31a~31dの後述する傾斜方向が変わるように、ストレーナ部材3a~3dの向きを変えて取り付けることが可能に構成されている。詳細については後述する。
【0042】
図6に示すように、ストレーナ取付部材2は、多角柱状に形成されている。より詳細には、ストレーナ取付部材2は、四角柱状(直方体状)の骨組構造を有している。
【0043】
ストレーナ取付部材2は、矩形状(正方形状)の上面102aと、矩形状(正方形状)の下面102bと、4つの接続部(梁部)20とを含んでいる。
【0044】
上面102aは、水平方向に延びる平坦面であり、中央に円形状のポンプ配置穴102dが設けられている。下面102bは、水平方向に延びる平坦面であり、ポンプ100を構成する各部材の中で最下部に位置する構成である。下面102bは、ポンプ本体101(
図1参照)を直立状態で保持するスタンドとして構成されている。すなわち、下面102bは、接地面である。
【0045】
上面102aおよび下面102bには、固定部材取付穴F1が設けられている。固定部材取付穴F1には、ストレーナ部材3a~3dをストレーナ取付部材2に固定する際に固定部材F(
図4参照)が取り付けられる。一例ではあるが、固定部材Fは、ボルトおよびナットなどである。上面102aおよび下面102bの固定部材取付穴F1は、突出片31a~31dが横方向を向くように、ストレーナ部材3a~3dをストレーナ取付部材2に取り付ける際に用いられる。
【0046】
4つの接続部20は、矩形状の上面102aおよび下面102bの4つの角部の各々を互いに接続するように上下方向に延びている。すなわち、4つの接続部20は、上面102aを下方から支持する柱状の構成である。各接続部20は、平面視でポンプ本体101(ポンプ用ストレーナ102の内部)に向けて屈曲するL字状に形成されている。
【0047】
接続部20には、固定部材取付穴F1が設けられている。固定部材取付穴F1には、ストレーナ部材3a~3dをストレーナ取付部材2に固定する際に固定部材Fが取り付けられる。接続部20の固定部材取付穴F1は、突出片31a~31dが上下方向を向くように、ストレーナ部材3a~3dをストレーナ取付部材2に取り付ける際に用いられる。
【0048】
(ポンプ用ストレーナの「ストレーナ部材」の構成)
図4、
図5および
図7に示すように、ストレーナ部材3aには、複数の通水穴30および複数の突出片31aが設けられている。ストレーナ部材3bには、複数の通水穴30および複数の突出片31bが設けられている。ストレーナ部材3cには、複数の通水穴30および複数の突出片31cが設けられている。ストレーナ部材3dには、複数の通水穴30および複数の突出片31dが設けられている。なお、突出片31aは、特許請求の範囲の「第1突出片」の一例である。また、突出片31b~31dは、特許請求の範囲の「第2突出片」の一例である。
【0049】
ストレーナ部材3aは、筐体1のA1方向側の領域R1に配置されている(取り付けられる)。ストレーナ部材3bは、筐体1のA2方向側の領域R2に配置されている(取り付けられる)。ストレーナ部材3cは、筐体1のB1方向側の領域R3に配置されている(取り付けられる)。ストレーナ部材3dは、筐体1のB2方向側の領域R4に配置されている(取り付けられる)。なお、筐体1のA1方向側の領域R1は、特許請求の範囲の「第1領域」の一例である。また、筐体1のA2方向側の領域R2、筐体1のB1方向側の領域R3、および、筐体1のB2方向側の領域R4は、特許請求の範囲の「第2領域」の一例である。
【0050】
4つのストレーナ部材3a~3dは、互いに同じ形状を有している。このため、以下では、ストレーナ部材3aについて詳細に説明し、ストレーナ部材3b~3dについては簡単に説明する。なお、4つのストレーナ部材3a~3dは、ストレーナ取付部材2に対する取り付け位置および取り付け方向(向き)が互いに異なっている。
【0051】
このため、4つのストレーナ部材3a~3dは、ストレーナ取付部材2に取り付けられた状態で、各々の突出片31a~31dが互いに異なる領域R1~R4(位置)に配置されるとともに、各々の突出片31a~31dの向きが互いに異なっている。
【0052】
(ストレーナ部材3aについて)
ストレーナ部材3aは、外形が正方形状に形成されている。ストレーナ取付部材2は、正方形状のストレーナ部材3aの上下左右の向きを変えて取り付けることが可能に構成されている。すなわち、ストレーナ取付部材2は、ストレーナ部材3aの向きを90度、180度および270度のいずれかの角度だけ変更して取り付けることが可能に構成されている。その結果、ポンプ用ストレーナ102は、ストレーナ部材3aの突出片31aの傾斜方向を、上下左右の各向きに変更することが可能である。
【0053】
ストレーナ部材3aの複数の突出片31aは、1つの通水穴30に対して1つずつ設けられている。すなわち、ストレーナ部材3aには、1つの突出片31aおよび1つの通水穴30を1組として、複数組の突出片31aおよび通水穴30が設けられている。なお、1組の突出片31aおよび通水穴30において、突出片31aは、通水穴30の近傍に配置されている。
【0054】
一例ではあるが、複数組の突出片31aおよび通水穴30は、縦横にN行M列のマトリクス状に配列されている。具体的には、複数組の突出片31aおよび通水穴30は、縦方向(Z方向)4行、横方向(B方向)5列のマトリクス状に配列されている。
【0055】
突出片31aは、突出片31aの近傍に配置された通水穴30が設けられた位置における筐体1(ストレーナ部材3a)の外表面1aに直交する直交方向(A方向)から見て、通水穴30の少なくとも一部と重なっている。詳細には、突出片31aは、直交方向(A方向)から見て、通水穴30の大きさの半分以上の範囲で通水穴30と重なっている。すなわち、
図1に一点鎖線で示す通水穴30の範囲内において、突出片31aが存在する範囲の面積S1は、突出片31aが存在しない範囲の面積S2以上の大きさとなる。
【0056】
図3に示すように、突出片31aは、直交方向(A方向)から見て通水穴30と重なるように、筐体1の外表面1aに対して通水穴30側に傾斜している。突出片31aは、直交方向(A方向)から見て、上方側(Z1方向側)を向く傾斜方向を有している。一例ではあるが、突出片31aの筐体1(ストレーナ部材3a)の外表面1aに対する傾斜角度θは、約30度である。なお、上方側(Z1方向側)を向く傾斜方向は、特許請求の範囲の「第1傾斜方向」の一例である。
【0057】
突出片31aは、筐体1(ストレーナ部材3a)の外表面1aを構成する金属製の板部材に対する切り起こし加工により板部材に一体的に形成されている。すなわち、突出片31aは、いわゆる板金加工により形成されている。詳細には、突出片31aは、筐体1(ストレーナ部材3a)の外表面1aを構成する金属製の板部材に対してU字状の切り込みを形成して、U字状の部分を筐体1の外方(A1方向)に折り曲げることにより板部材に対して一体的に形成されている。突出片31aは、先端Tが丸みを帯びた円弧状に形成されている。
【0058】
また、切り起こし加工の結果、筐体1(ストレーナ部材3a)の外表面1aを構成する金属製の板部材に通水穴30も一体的に形成される。したがって、突出片31aは、通水穴30の端部30aで筐体1(ストレーナ部材3a)の外表面1aに接続されている。すなわち、切り起こし加工の結果、突出片31aと通水穴30とが近傍に配置されることになる。
【0059】
ストレーナ部材3aのB1方向およびB2方向の両側の縁部E(
図7参照)は、A1方向に屈曲している。この縁部Eには、固定部材F(
図4参照)を取り付けるための固定部材取付穴F2(
図7参照)が設けられている。固定部材取付穴F2は、ストレーナ取付部材2の固定部材取付穴F1に対応する位置に配置された状態で、固定部材Fが取り付けられる。その結果、ストレーナ部材3aは、ストレーナ取付部材2に固定される。
【0060】
図3に示すように、ポンプ用ストレーナ102は、突出片31aの先端Tに異物Gが引っ掛かった場合、突出片31aの先端Tと通水穴30とがA方向において離間していることから、異物Gと通水穴30との間に隙間GPを確保することが可能に構成されている。したがって、ポンプ用ストレーナ102は、異物Gによって通水穴30が塞がれにくい構造を有している。
【0061】
また、Z2方向側(下方側)から見て、突出片31aの近傍の通水穴30は、突出片31aの裏側(Z1方向側)に隠れる配置となっている。したがって、突出片31aの近傍の通水穴30は、Z1方向を向く水の流れがある場合には、特に異物Gにより塞がれにくくなっている。
【0062】
(ストレーナ部材3bについて)
図5に示すように、ストレーナ部材3bの複数の突出片31bは、1つの通水穴30に対して1つずつ設けられている。1組の突出片31bおよび通水穴30において、突出片31bは、通水穴30の近傍に配置されている。突出片31bは、突出片31bの近傍に配置された通水穴30が設けられた位置における筐体1(ストレーナ部材3b)の外表面1aに直交する直交方向(A方向)から見て、通水穴30の少なくとも一部と重なっている。
【0063】
また、突出片31bは、直交方向(A方向)から見て通水穴30と重なるように、筐体1の外表面1aに対して通水穴30側に傾斜している。突出片31bは、直交方向(A方向)から見て、下方側(Z2方向側)を向く傾斜方向を有している。なお、下方側(Z2方向側)を向く傾斜方向は、特許請求の範囲の「第2傾斜方向」の一例である。
【0064】
ストレーナ部材3bのB1方向およびB2方向の両側の縁部Eは、A2方向に屈曲している。この縁部Eには、固定部材Fを取り付けるための固定部材取付穴F2が設けられている。
【0065】
Z1方向側(上方側)から見て、突出片31bの近傍の通水穴30は、突出片31bの裏側(Z2方向側)に隠れる配置となっている。したがって、突出片31bの近傍の通水穴30は、Z2方向を向く水の流れがある場合には、特に異物Gにより塞がれにくくなっている。
【0066】
(ストレーナ部材3cについて)
図5に示すように、ストレーナ部材3cの複数の突出片31cは、1つの通水穴30に対して1つずつ設けられている。1組の突出片31cおよび通水穴30において、突出片31cは、通水穴30の近傍に配置されている。突出片31cは、突出片31cの近傍に配置された通水穴30が設けられた位置における筐体1(ストレーナ部材3c)の外表面1aに直交する直交方向(B方向)から見て、通水穴30の少なくとも一部と重なっている。
【0067】
また、突出片31cは、直交方向(B方向)から見て通水穴30と重なるように、筐体1の外表面1aに対して通水穴30側に傾斜している。突出片31cは、直交方向(B方向)から見て、A2方向側を向く傾斜方向を有している。なお、A2方向側を向く傾斜方向は、特許請求の範囲の「第2傾斜方向」の一例である。
【0068】
ストレーナ部材3cのZ1方向およびZ2方向の両側の縁部Eは、B1方向に屈曲している。この縁部Eには、固定部材Fを取り付けるための固定部材取付穴F2が設けられている。
【0069】
A1方向側から見て、突出片31cの近傍の通水穴30は、突出片31cの裏側(A2方向側)に隠れる配置となっている。したがって、突出片31cの近傍の通水穴30は、A2方向を向く水の流れがある場合には、特に異物Gにより塞がれにくくなっている。
【0070】
(ストレーナ部材3dについて)
図4に示すように、ストレーナ部材3dの複数の突出片31dは、1つの通水穴30に対して1つずつ設けられている。1組の突出片31dおよび通水穴30において、突出片31dは、通水穴30の近傍に配置されている。突出片31dは、突出片31dの近傍に配置された通水穴30が設けられた位置における筐体1(ストレーナ部材3d)の外表面1aに直交する直交方向(B方向)から見て、通水穴30の少なくとも一部と重なっている。
【0071】
また、突出片31dは、直交方向(B方向)から見て通水穴30と重なるように、筐体1の外表面1aに対して通水穴30側に傾斜している。突出片31dは、直交方向(B方向)から見て、A1方向側を向く傾斜方向を有している。なお、A1方向側を向く傾斜方向は、特許請求の範囲の「第2傾斜方向」の一例である。
【0072】
ストレーナ部材3dのZ1方向およびZ2方向の両側の縁部Eは、B2方向に屈曲している。この縁部Eには、固定部材Fを取り付けるための固定部材取付穴F2が設けられている。
【0073】
A2方向側から見て、突出片31dの近傍の通水穴30は、突出片31dの裏側(A1方向側)に隠れる配置となっている。したがって、突出片31dの近傍の通水穴30は、A1方向を向く水の流れがある場合には、特に異物Gにより塞がれにくくなっている。
【0074】
以上のように、突出片31aの近傍の通水穴30、突出片31bの近傍の通水穴30、突出片31cの近傍の通水穴30、および、突出片31dの近傍の通水穴30は、異物Gによる目詰まりが発生しにくくなる水の流れの方向が互いに異なっている。
【0075】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0076】
本実施形態では、上記のように、筐体1に設けられ、通水穴30の近傍に配置されるとともに、筐体1の外方に突出する突出片31a~31dを設ける。これによって、ウエス(布状の異物G)やビニール袋などの比較的変形しやすく、通水穴30に対して比較的大きな異物Gなどがポンプ本体101の周囲にある場合、筐体1の外方に突出する突出片31a~31dに異物Gが引っかかった状態で異物Gと通水穴30との間に隙間GPを確保することができる。その結果、通水穴30に異物Gが吸着することを抑制することができるので、通水穴30の目詰まりを抑制することができる。
【0077】
本実施形態では、上記のように、突出片31a~31dは、突出片31a~31dの近傍に配置された通水穴30が設けられた位置における筐体1の外表面1aに直交する直交方向から見て、通水穴30の少なくとも一部と重なっている。これによって、突出片31a~31dにより通水穴30を覆うようにして、通水穴30に対して突出片31a~31dを配置することができるので、突出片31a~31dに引っかかった異物Gと通水穴30との間に隙間GPをより確実に確保することができる。その結果、通水穴30の目詰まりをより抑制することができる。
【0078】
本実施形態では、上記のように、突出片31a~31dは、上記の直交方向から見て通水穴30と重なるように、筐体1の外表面1aに対して通水穴30側に傾斜している。これによって、直交方向から見て突出片31a~31dを通水穴30側に傾斜させるだけで、通水穴30と重なる突出片31a~31dを筐体1に形成することができる。
【0079】
本実施形態では、上記のように、突出片(31a~31d)は、筐体1に複数設けられ、複数の突出片は、筐体1のA1方向側の領域R1に設けられた上方側(Z1方向側)を向く傾斜方向を有する突出片31aと、領域R1とは異なる「筐体1のA2方向側の領域R2(筐体1のB1方向側の領域R3、筐体1のB2方向側の領域R4)」に設けられ、上方側(Z1方向側)を向く傾斜方向とは異なる下方側(Z2方向側)を向く傾斜方向(A2方向側を向く傾斜方向、A1方向側を向く傾斜方向)を有する突出片31b(31c、31d)と、を含む。これによって、互いに異なる傾斜方向を有する領域R1の突出片31aおよび領域R2(R3、R4)の突出片31b(31c、31d)により、領域R1の通水穴30に対する突出片31aの位置と、領域R2(R3、R4)の通水穴30に対する突出片31b(31c、31d)の位置とを互いに異ならせることができる。その結果、たとえば、ポンプ用ストレーナ102が設置される水域の流れが一方向の流れを有する場合に、領域R1の通水穴30と領域R2(R3、R4)の通水穴30との間で、異物Gによる目詰まりのしやすさを変えることができる。したがって、領域R1の通水穴30と領域R2(R3、R4)の通水穴30の両方が目詰まりしやすい状態になることを回避することができる。その結果、通水穴30の目詰まりをより抑制することができる。
【0080】
本実施形態では、上記のように、突出片31a~31dは、上記の直交方向から見て、通水穴30の大きさの半分以上の範囲で通水穴30と重なっている。これによって、突出片31a~31dにより通水穴30のより大きな範囲を覆うことができるので、突出片31a~31dに引っかかった異物Gと通水穴30との間に隙間GPをより一層確実に確保することができる。その結果、通水穴30の目詰まりをより効果的に抑制することができる。
【0081】
本実施形態では、上記のように、突出片31a~31dは、通水穴30の端部30aで筐体1の外表面1aに接続されている。これによって、突出片が通水穴の端部から離間した位置で筐体の外表面に接続される場合と比較して、突出片31a~31dを通水穴30のより近くに配置することができるので、異物Gと通水穴30との間に隙間GPをより確実に確保することができる。その結果、通水穴30の目詰まりをより抑制することができる。
【0082】
本実施形態では、上記のように、突出片31a~31dは、筐体1の外表面1aを構成する金属製の板部材に対する切り起こし加工により板部材に一体的に形成されている。これによって、ポンプ用ストレーナ102の部品点数を削減して、装置構成を簡素化することができる。また、突出片31a~31dを切り起こし加工により形成することができるので、突出片31a~31dを容易に形成することができる。
【0083】
本実施形態では、上記のように、筐体1は、通水穴30および突出片31a~31dが各々に設けられた板状の複数のストレーナ部材3a~3dと、ポンプ本体101に設置されるとともに、複数のストレーナ部材3a~3dを着脱可能に取り付ける多角柱状のストレーナ取付部材2とを含む。これによって、ストレーナ取付部材2から複数のストレーナ部材3a~3dを取り外すことができるので、多量の異物Gが突出片31a~31dに引っかかった場合などに、ストレーナ取付部材2から複数のストレーナ部材3a~3dを容易に取り外して筐体1を分解することができる。その結果、異物Gを筐体1から容易に除去することができる。
【0084】
本実施形態では、上記のように、突出片31a~31dは、突出片31a~31dの近傍に配置された通水穴30が設けられた位置における筐体1の外表面1aに直交する直交方向から見て通水穴30と重なるように、外表面1aに対して通水穴30側に傾斜しており、ストレーナ取付部材2は、突出片31a~31dの傾斜方向が変わるように、ストレーナ部材3a~3dの向きを変えて取り付けることが可能に構成されている。これによって、ポンプ用ストレーナ102が設置される水域の流れの向きなどによる通水穴30の目詰まりのしやすさを考慮して、突出片31a~31dの傾斜方向を変えることができる。
【0085】
本実施形態では、上記のように、ストレーナ部材3a~3dは、正方形状に形成されており、ストレーナ取付部材2は、正方形状のストレーナ部材3a~3dの上下左右の向きを変えて取り付けることが可能に構成されている。これによって、ストレーナ部材3a~3dが正方形状に形成されているため、ストレーナ部材3a~3dの上下左右の向きを容易に変更することができる。
【0086】
本実施形態では、上記のように、筐体1は、4つのストレーナ部材3a~3dを含む直方体状に形成され、4つのストレーナ部材3a~3dは、直方体状の筐体1の4つの各側面102cを形成している。これによって、ポンプ本体101を直立状態で使用する場合に、塞がれることのない位置に、突出片31a~31dおよび通水穴30を配置することができる。
【0087】
本実施形態では、上記のように、ストレーナ取付部材2の下面102bは、ポンプ本体101を直立状態で保持するスタンドとして構成されている。これによって、スタンドとしてストレーナ取付部材2の下面102bにより、ポンプ本体101を容易に直立状態で保持することができる。
【0088】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0089】
たとえば、本実施形態では、突出片の先端を、丸みを帯びた円弧状に形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図8に示す変形例のように、突出片231の先端を、三角形状に形成してもよい。この場合、突出片231の形状に合わせて通水穴230も三角形状の端部を有する形状になる。また、
図9に示す変形例のように、突出片331の先端を、矩形状に形成してもよい。この場合、突出片331の形状に合わせて通水穴330も矩形状の端部を有する形状になる。また、
図10に示す変形例のように、突出片431の先端を、半円状に形成してもよい。この場合、突出片431の形状に合わせて通水穴430も半円状の端部を有する形状になる。上記各形状に限らず、通水穴の近傍で異物を突出片に引っ掛けることが可能であれば突出片をいかなる形状に形成してもよい。
【0090】
また、本実施形態では、本発明のポンプ用ストレーナ(筐体)を四角柱状に形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図11に示すように、ポンプ用ストレーナ502(筐体)を六角柱状などの四角柱状以外の形状に形成してもよい。この他、
図12に示すように、ポンプ用ストレーナ602を円柱状に形成してもよい。
【0091】
また、本実施形態では、突出片が、突出片の近傍に配置された通水穴が設けられた位置における筐体の外表面に直交する直交方向から見て、通水穴の少なくとも一部と重なる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図12に示すポンプ600のポンプ用ストレーナ602ように、突出片631が、突出片631の近傍に配置された通水穴630が設けられた位置における筐体601aの外表面1aに直交する直交方向から見て、通水穴630と重なっていなくてもよい。なお、突出片631は、円形状の通水穴630の外縁に沿って円弧状に延びている。また、突出片631は、突出片631の近傍に配置された通水穴630が設けられた位置における筐体601aの外表面1aに略直交する方向に延びている。
【0092】
また、本実施形態では、ポンプ本体とポンプ用ストレーナ(筐体)とを別体により形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図12に示すポンプ600のように、ポンプ本体601とポンプ用ストレーナ602(筐体)とを一体的に形成してもよい。
【0093】
また、本実施形態では、複数の突出片(通水穴)を、縦方向4行、横方向5列のマトリクス状に配列した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の突出片(通水穴)を、縦方向6行、横方向11列のマトリクス状などのいかなる配列にしてもよい。すなわち、突出片の数は、上記実施形態に示した数に限られない。また、複数の突出片を、マトリクス状以外にも、円形状や三角形状などに配置してもよい。
【0094】
また、本実施形態では、突出片を、直線状に延びるように形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、突出片を、L字状などの種々の形状に形成してもよい。
【0095】
また、本実施形態では、本発明のポンプを縦型のポンプとした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ポンプを横型のポンプとしてもよい。
【0096】
また、本実施形態では、突出片の傾斜角度を約30度とした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、突出片の傾斜角度を45度などの約30度とは異なる傾斜角度としてもよい。
【0097】
また、本実施形態では、筐体の下面がスタンドとして機能する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、筐体とは別体のスタンド部材を設けてもよい。
【0098】
また、本実施形態では、複数の突出片の傾斜方向が4つある例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の突出片の傾斜方向が1つ、2つ、3つまたは5つ以上であってもよい。
【0099】
また、本実施形態では、突出片を切り起こし加工により形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、突出片を溶接などの他の加工により形成してもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 筐体
1a (筐体の)外表面
2 ストレーナ取付部材
3a~3d ストレーナ部材
30、230、330、430、630 通水穴
31a 突出片(第1突出片)
31b~31d 突出片(第2突出片)
100、600 ポンプ
101、601 ポンプ本体
102、502、602 ポンプ用ストレーナ
102b (ストレーナ取付部材の)下面
102c (筐体の)側面
231、331、431、631 突出片
R1 (筐体のA1方向側の)領域(第1領域)
R2 (筐体のA2方向側の)領域(第2領域)
R3 (筐体のB1方向側の)領域(第2領域)
R4 (筐体のB2方向側の)領域(第2領域)