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特開2023-182560資源開発向けトータルオペレーション解析方法、トータルオペレーション解析プログラム、トータルオペレーション解析システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182560
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】資源開発向けトータルオペレーション解析方法、トータルオペレーション解析プログラム、トータルオペレーション解析システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20231219BHJP
   G06Q 50/02 20120101ALI20231219BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097446
(22)【出願日】2023-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2022095647
(32)【優先日】2022-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】501204525
【氏名又は名称】国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 充史
(72)【発明者】
【氏名】湯川 和浩
(72)【発明者】
【氏名】山本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】中島 康晴
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L049CC01
(57)【要約】
【課題】トータルオペレーションの最適化を図ることができる資源開発向けトータルオペレーション解析方法、解析プログラム、及び解析システムを提供すること。
【解決手段】コンピュータを用いて、資源開発の一連の工程について複数又は単一のオペレーション実施手段に関与した複数の要素オペレーションに分割した結果を取得するステップS1と、複数の要素オペレーションについてオペレーション上の制約条件を定義した結果を取得するステップS2と、要素オペレーション毎の制約条件を含む計算条件を取得するステップS3と、複数の要素オペレーションが時間的に同時に並行に実施されるものとして要素オペレーション毎のシミュレーションを行うステップS4と、シミュレーションの結果をトータルオペレーションとして統合するステップS7と、ステップS4とS7を繰り返す繰り返しステップS9と、トータルオペレーションの解析結果を出力するステップS10とを実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを用いて、資源開発を行う際の全体の過程を解析する方法であって、
前記資源開発の一連の工程について複数又は単一のオペレーション実施手段に関与した複数の要素オペレーションに分割した結果を取得する要素オペレーション取得ステップと、
複数の前記要素オペレーションについてオペレーション上の制約条件を定義した結果を取得する制約条件取得ステップと、
入力された複数の前記要素オペレーション毎の前記制約条件を含む計算条件を取得する計算条件取得ステップと、
複数の前記要素オペレーションが時間的に同時に並行に実施されるものとして前記要素オペレーション毎のシミュレーションを行うシミュレーションステップと、
前記シミュレーションの結果をトータルオペレーションとして統合するトータルオペレーション化ステップと、
前記シミュレーションステップと前記トータルオペレーション化ステップを前記計算条件を満たすまで繰り返す繰り返しステップと、
前記計算条件を満たした前記トータルオペレーションの解析結果を出力する出力ステップとを実行することを特徴とする資源開発向けトータルオペレーション解析方法。
【請求項2】
前記計算条件取得ステップで取得した前記制約条件としての外乱条件を読み込み、前記シミュレーションステップで前記外乱条件を考慮した複数の前記要素オペレーション毎の前記シミュレーションを行うとともに、
前記計算条件取得ステップで取得した前記要素オペレーション同士の制限条件を含む前記制約条件に従って、複数の前記要素オペレーション同士の前記制約条件の有無を判断する制約条件判断ステップと、
前記制約条件が有ると判断された場合に前記制約条件に基づいて該当する前記要素オペレーションの前記シミュレーションの結果を修正するシミュレーション結果修正ステップを実行することを特徴とする請求項1に記載の資源開発向けトータルオペレーション解析方法。
【請求項3】
複数の前記要素オペレーションについて逐次、前記制約条件判断ステップと前記シミュレーション結果修正ステップを実行することを特徴とする請求項2に記載の資源開発向けトータルオペレーション解析方法。
【請求項4】
前記出力ステップで、複数の前記要素オペレーション毎の作業時間を出力するとともに、
前記作業時間に基づいて複数の前記要素オペレーションの前記作業時間の偏りの有無を判断する作業時間偏り判断ステップと、
前記作業時間の偏りがある場合に取得した前記計算条件のボトルネックとなっているパラメータを推定するボトルネックパラメータ推定ステップと、
前記外乱条件が原因かを判断する外乱条件原因判断ステップと、ボトルネックと推定される前記パラメータを変更して前記要素オペレーション毎のシミュレーションを繰り返すシミュレーション繰り返しステップとを有したことを特徴とする請求項3に記載の資源開発向けトータルオペレーション解析方法。
【請求項5】
前記資源開発を海底資源開発に適用し、前記全体の過程を海底資源を採取し、海上に移送し、洋上施設に一時貯留し、さらに貯留地までシャトル船で輸送する過程としたことを特徴とする請求項4に記載の資源開発向けトータルオペレーション解析方法。
【請求項6】
前記要素オペレーション取得ステップで取得する分割した複数の前記要素オペレーションが、採取オペレーション、移送オペレーション、洋上施設オペレーション、及びシャトル船オペレーションであることを特徴とする請求項5に記載の資源開発向けトータルオペレーション解析方法。
【請求項7】
前記計算条件取得ステップで取得する前記計算条件として、前記外乱条件に気象海象条件と、前記制限条件に前記要素オペレーション同士が互いに影響することによる稼働率の変化とを含むことを特徴とする請求項5に記載の資源開発向けトータルオペレーション解析方法。
【請求項8】
前記計算条件取得ステップで取得する前記計算条件は、解析海域、解析年月、及び前記気象海象条件の考慮の有無を含む海域情報、海底資源条件と採取条件を含む採取オペレーション入力項目、移送条件を含む移送オペレーション入力項目、前記洋上施設の洋上施設資源貯蔵能力と払出条件を含む洋上施設オペレーション入力項目、並びに前記シャトル船のシャトル船資源貯蔵能力、前記貯留地までの距離、及び船速を含むシャトル船オペレーション入力項目であることを特徴とする請求項7に記載の資源開発向けトータルオペレーション解析方法。
【請求項9】
前記採取オペレーション入力項目、前記移送オペレーション入力項目、前記洋上施設オペレーション入力項目、及び前記シャトル船オペレーション入力項目に前記計算条件として、それぞれの前記オペレーション実施手段の検査メンテナンス条件を含むことを特徴とする請求項8に記載の資源開発向けトータルオペレーション解析方法。
【請求項10】
前記採取オペレーション及び前記洋上施設オペレーションにおいて、それぞれの前記オペレーション実施手段の偶発的故障に対するメンテナンスを行うメンテナンスステップを有することを特徴とする請求項6に記載の資源開発向けトータルオペレーション解析方法。
【請求項11】
前記メンテナンスステップにおける前記偶発的故障に対するメンテナンスは、予め設定した前記オペレーション実施手段のメンテナンスモデルを利用することを特徴とする請求項10に記載の資源開発向けトータルオペレーション解析方法。
【請求項12】
前記採取オペレーション入力項目に前記計算条件として、前記オペレーション実施手段である採取手段の設置/撤収条件を含むことを特徴とする請求項8に記載の資源開発向けトータルオペレーション解析方法。
【請求項13】
前記移送オペレーション入力項目に前記計算条件として、移送に当たっての前記気象海象条件の限界気象海象条件を含むことを特徴とする請求項8に記載の資源開発向けトータルオペレーション解析方法。
【請求項14】
前記洋上施設オペレーション入力項目に前記計算条件として、前記洋上施設の係留条件を含むことを特徴とする請求項8に記載の資源開発向けトータルオペレーション解析方法。
【請求項15】
前記シャトル船オペレーション入力項目に前記計算条件として、前記気象海象条件である前記洋上施設への離接近許容気象海象条件を含むことを特徴とする請求項8に記載の資源開発向けトータルオペレーション解析方法。
【請求項16】
前記出力ステップで出力される前記トータルオペレーションの解析結果として、前記採取オペレーション、前記移送オペレーション、前記洋上施設オペレーション、及び前記シャトル船オペレーションの時系列的な解析結果、並びに前記貯留地における累積荷役量の時系列結果を含むことを特徴とする請求項6に記載の資源開発向けトータルオペレーション解析方法。
【請求項17】
前記海底資源開発の前記トータルオペレーションの解析結果に基づいて、前記海底資源開発の経済性評価を行う経済性評価ステップを有することを特徴とする請求項5に記載の資源開発向けトータルオペレーション解析方法。
【請求項18】
前記経済性評価ステップで前記経済性評価を行うに当たって、前記海底資源開発の採取地点を含む海域、前記洋上施設と前記シャトル船の基本形式、前記海底資源の条件、生産計画、設備投資費用、及び前記トータルオペレーションの解析結果に基づく運営費用を考慮することを特徴とする請求項17に記載の資源開発向けトータルオペレーション解析方法。
【請求項19】
前記経済性評価の結果として、総収入、総コスト、及び総利益を導出することを特徴とする請求項18に記載の資源開発向けトータルオペレーション解析方法。
【請求項20】
前記コンピュータに、
請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の資源開発向けトータルオペレーション解析方法における各ステップを実行させることを特徴とする資源開発向けトータルオペレーション解析プログラム。
【請求項21】
前記コンピュータと、前記計算条件を入力する入力手段と、前記トータルオペレーションの解析結果を出力する出力手段を備え、請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の資源開発向けトータルオペレーション解析方法を実行することを特徴とする資源開発向けトータルオペレーション解析システム。
【請求項22】
前記コンピュータと、前記入力手段及び前記出力手段とを、情報通信網を介して接続したことを特徴とする請求項21に記載の資源開発向けトータルオペレーション解析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、資源開発を行う際の全体の過程を解析する資源開発向けトータルオペレーション解析方法、トータルオペレーション解析プログラム、及びトータルオペレーション解析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
資源開発では掘削機や破砕機、ベルトコンベヤ、一時貯留タンク、輸送トラック等の複数のオペレーション実施手段を用いて、掘削、破砕、一時貯留、輸送等の複数の要素オペレーションを実施し、開発サイトから生産物を採取し、貯留地まで輸送するというトータルオペレーションを繰り返し実行する。
【0003】
ここで、特許文献1には、プロセッサ及びメモリを備える情報処理装置を含んで構成され、所定の資源を産出可能な地域の情報である産出地域情報と、資源の産出のための作業が行われた領域の情報である作業領域情報とを記憶する産出履歴記憶部と、資源を産出可能な地域のうち資源の開発を行う領域を取得する開発領域取得部と、取得した領域に対して資源を開発する計画を立案する価値を示す情報である計画推奨度を、産出地域情報と、作業領域情報に基づき算出された、領域における作業の進捗を示す指標とに基づき算出する計画推奨度演算部と、算出した計画推奨度を出力する計画推奨度出力部とを備えた資源開発支援システムが開示されている。
また、特許文献2には、目標設定手段が海洋構造物の使用条件と利活用目的に基づいて目標を設定し、構想構築手段が目標設定手段で設定された目標に従って海洋構造物の構想を構築し、基本設計/基本特性分析手段が、構想構築手段で構築した構想に従って海洋構造物の基本設計及び/又は基本特性分析を行い、基本仕様を定め、基本評価手段が、基本設計/基本特性分析手段で定めた基本仕様に従って目標に対する基本評価を行い、副次評価手段が、基本設計/基本特性分析手段で定めた少なくとも構想に基づいて目標に対する副次評価を行い、成立性評価手段が、基本評価手段による基本評価の結果及び/又は副次評価手段による副次評価の結果に基づいて成立性評価を行い、成立性評価の結果に従って再検討を判断する海洋構造物の調和設計方法が開示されている。
また、特許文献3には、造成地の実測平面図を等間隔のメッシュ状に分割した場合の各格子点の位置と標高とを読み取って得られた格子点データを入力するための格子点データ入力手段と、格子点データを基に採掘前等高線図作成データを演算する等高線図データ演算手段と、採掘前等高線図作成データに境界線データと掘削方向データと掘削角度データと採集掘削レベルデータとを入力し演算処理して採掘シミュレーション後の格子点データを得るシミュレーションデータ演算手段と、採掘シミュレーション後の格子点データをもとに立体図作成データを算出するための立体図データ演算手段と、立体図作成データと等高線図作成データとを基に立体図および等高線を外部表示手段にイメージ出力させるグラフィック作成手段とを備え、掘削角度を境界線に直交する方向で設定した採掘シミュレーションシステムが開示されている。
また、特許文献4には、多数の格子点を有するメッシュからなる基準面設定手段と、作業対象物の高さを各格子点毎に読取って位置座標に加え三次元座標とする格子点データ入力手段と、格子点データを基に所望間隔の等高線を描くための等高線図データ演算手段と、等高線図で立体的に把握される作業対象物をブロック状に再分割し各ブロックを容積で表す個別ブロックとして特定するブロック換算手段と、シミュレートする作業条件を入力する作業条件入力手段と、個別ブロック毎に作業に関する時の要素やコスト等を算出して全体的な作業評価を行う作業評価算出手段とを備えてなる作業評価シミュレーションシステムが開示されている。
また、特許文献5には、原石山の実測平面図をメッシュ状に分割し各格子点の相互位置と標高とからなる格子点データ記録体と、格子点データをもとにメッシュ内に所望間隔の等高線で描かれたメッシュ地形図作成手段と、格子点データをもとに所望視点位置から見た透視図等の立体図を外部表示手段状に表示する立体図作成手段とを備えてなるマイニングシミュレーションシステムが開示されている。
また、非特許文献1においては、荒天稼働休止を考慮に入れたCO海上輸送・希釈放流システムの設備規模の初期計画法の検討、港や洋上における係船・荷役に関するルールや作業時間・限界風速を設定した物流シミュレーションの実施、及びコスト概算によるパラメタの最適化の可能性についての検討がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-055524号公報
【特許文献2】特開2011-238032号公報
【特許文献3】特開平4-166592号公報
【特許文献4】特開昭61-281369号公報
【特許文献5】特開昭60-201476号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】尾崎雅彦,外5名,“CO2海上輸送・希釈放流システムの荒天稼働休止を考慮に入れた初期計画法に関する研究”,日本船舶海洋工学会論文集,平成18年6月,第3号,p.87-95
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
資源開発においてトータルオペレーションを繰り返し実行する時に、開発サイトにおける気象条件等の外乱条件や貯留地までの距離等により稼働率が低下し、オペレーションコストが相対的に増加する可能性がある。
特許文献1の資源開発支援システムは、坑井掘削作業のみといった単一作業を対象としてその計画推奨度を演算し、ガスや石油等の資源を産出可能な地域において資源の開発や算出を行う価値があるか否かを把握しようとするものであり、産出物の輸送を含めたトータルオペレーションをシミュレートするものではない。また、気象条件等の外乱条件も考慮されていない。また、一時貯留や貯留地までの輸送を考慮出来ておらず、全体を俯瞰して評価する際には情報が不足する。
また、特許文献2の海洋構造物の調和設計方法は、洋上における資源開発を対象として係留浮体の稼働日数等を入力条件として資源開発の経済性を演算し、動揺性能、位置保持性能、又は稼働性等の稼働時の自然環境の影響を考慮して採鉱等を行う海洋構造物の調和設計を行うものであり、資源開発におけるトータルオペレーションをシミュレーションにより最適化するものではない。また、経済性評価に重点を置いており、稼働日数を手入力としているため、稼働日数はユーザーが考慮し決定する事となる。このため、実際に使用するシステムに即した現実的な情報を入力出来ない可能性がある。
また、特許文献3の採掘シミュレーションシステムは、採掘量や採掘後の形状をシミュレートして原石山や造成地等における採掘計画を立案するものであり、産出物の輸送を含めたトータルオペレーションをシミュレートするものではない。また、気象条件等の外乱条件も考慮されていない。
また、特許文献4の作業評価シミュレーションシステムは、原石山や造成地等における作業対象物をブロック状に細分割し、採掘作業に要する時間や経費をシミュレーションにより算出して個別ブロック毎の経済的評価を行うものであり、個別ブロック毎の関連を考慮してトータルオペレーションをシミュレートするものではない。また、気象条件等の外乱条件も考慮されていない。
また、特許文献5のマイニングシミュレーションシステムは、可採鉱量等を算出することにより原石山における採掘計画を立案するものであり、産出物の輸送を含めたトータルオペレーションをシミュレートするものではない。また、気象条件等の外乱条件も考慮されていない。
また、非特許文献1は、CO海上輸送・希釈放流システムに関する物流シミュレーションを行っているが、資源開発におけるトータルオペレーションをシミュレーションにより最適化するものではない。
そこで本発明は、資源開発における機器の稼働率向上やオペレーションコストの抑制等のための最適化を図ることができる資源開発向けトータルオペレーション解析方法、トータルオペレーション解析プログラム、及びトータルオペレーション解析システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載に対応した資源開発向けトータルオペレーション解析方法においては、コンピュータを用いて、資源開発を行う際の全体の過程を解析する方法であって、資源開発の一連の工程について複数又は単一のオペレーション実施手段に関与した複数の要素オペレーションに分割した結果を取得する要素オペレーション取得ステップと、複数の要素オペレーションについてオペレーション上の制約条件を定義した結果を取得する制約条件取得ステップと、入力された複数の要素オペレーション毎の制約条件を含む計算条件を取得する計算条件取得ステップと、複数の要素オペレーションが時間的に同時に並行に実施されるものとして要素オペレーション毎のシミュレーションを行うシミュレーションステップと、シミュレーションの結果をトータルオペレーションとして統合するトータルオペレーション化ステップと、シミュレーションステップとトータルオペレーション化ステップを計算条件を満たすまで繰り返す繰り返しステップと、計算条件を満たしたトータルオペレーションの解析結果を出力する出力ステップとを実行することを特徴とする。
請求項1に記載の本発明によれば、トータルオペレーションについて、分割した複数の要素オペレーション毎の制約条件が考慮されたシミュレーション結果を統合した解析結果が得られるため、この解析結果を基に資源開発におけるオペレーション実施手段(機器や装置等)の稼働率向上やオペレーションコストの抑制等、資源開発の最適化を図ることができる。
【0008】
請求項2記載の本発明は、計算条件取得ステップで取得した制約条件としての外乱条件を読み込み、シミュレーションステップで外乱条件を考慮した複数の要素オペレーション毎のシミュレーションを行うとともに、計算条件取得ステップで取得した要素オペレーション同士の制限条件を含む制約条件に従って、複数の要素オペレーション同士の制約条件の有無を判断する制約条件判断ステップと、制約条件が有ると判断された場合に制約条件に基づいて該当する要素オペレーションのシミュレーションの結果を修正するシミュレーション結果修正ステップを実行することを特徴とする。
請求項2に記載の本発明によれば、トータルオペレーションについて、制約条件としての外乱条件、及び時間的に同時に並行して進行する要素オペレーション同士の制約条件が考慮された、精度の高いシミュレーション結果を得ることができる。
【0009】
請求項3記載の本発明は、複数の要素オペレーションについて逐次、制約条件判断ステップとシミュレーション結果修正ステップを実行することを特徴とする。
請求項3に記載の本発明によれば、複数の要素オペレーション同士の制約条件の有無を判断し、制約条件がある場合にシミュレーション結果を修正することで、要素オペレーション毎のより精度の高いシミュレーション結果を得ることができる。
【0010】
請求項4記載の本発明は、出力ステップで、複数の要素オペレーション毎の作業時間を出力するとともに、作業時間に基づいて複数の要素オペレーションの作業時間の偏りの有無を判断する作業時間偏り判断ステップと、作業時間の偏りがある場合に取得した計算条件のボトルネックとなっているパラメータを推定するボトルネックパラメータ推定ステップと、外乱条件が原因かを判断する外乱条件原因判断ステップと、ボトルネックと推定されるパラメータを変更して要素オペレーション毎のシミュレーションを繰り返すシミュレーション繰り返しステップとを有したことを特徴とする。
請求項4に記載の本発明によれば、トータルオペレーションの最適化にあたり、作業時間の偏りに基づいて、外乱条件が原因かを判断した上、ボトルネックと推定されるパラメータを変更してシミュレーションを繰り返すことにより、ボトルネックの解消策を得ることができる。
【0011】
請求項5記載の本発明は、資源開発を海底資源開発に適用し、全体の過程を海底資源を採取し、海上に移送し、洋上施設に一時貯留し、さらに貯留地までシャトル船で輸送する過程としたことを特徴とする。
請求項5に記載の本発明によれば、資源を採取し貯留地まで輸送するという海底資源開発におけるトータルオペレーションについて、複数の要素オペレーション毎の制約条件が考慮されたシミュレーション結果を統合した解析結果が得られるため、この解析結果を基に機器等のオペレーション実施手段の稼働率向上やオペレーションコストの抑制等のための最適化を図ることができる。
【0012】
請求項6記載の本発明は、要素オペレーション取得ステップで取得する分割した複数の要素オペレーションが、採取オペレーション、移送オペレーション、洋上施設オペレーション、及びシャトル船オペレーションであることを特徴とする。
請求項6に記載の本発明によれば、これら各要素オペレーションのシミュレーション結果を統合したトータルオペレーションの解析結果を基に、海底資源開発の最適化を図ることができる。
【0013】
請求項7記載の本発明は、計算条件取得ステップで取得する計算条件として、外乱条件に気象海象条件と、制限条件に要素オペレーション同士が互いに影響することによる稼働率の変化とを含むことを特徴とする。
請求項7に記載の本発明によれば、外乱条件としての気象海象条件が各要素オペレーションの進行に与える影響と、制限条件として異なる要素オペレーションが並行して進行することによる稼働率への影響とが考慮されたシミュレーション結果を得られるため、トータルオペレーションの最適化を適切に図ることができる。
【0014】
請求項8記載の本発明は、計算条件取得ステップで取得する計算条件は、解析海域、解析年月、及び気象海象条件の考慮の有無を含む海域情報、海底資源条件と採取条件を含む採取オペレーション入力項目、移送条件を含む移送オペレーション入力項目、洋上施設の洋上施設資源貯蔵能力と払出条件を含む洋上施設オペレーション入力項目、並びにシャトル船のシャトル船資源貯蔵能力、貯留地までの距離、及び船速を含むシャトル船オペレーション入力項目であることを特徴とする。
請求項8に記載の本発明によれば、海底資源開発の各要素オペレーションに関わる主要なパラメータを適切に設定してシミュレーションを行い、その結果を基にトータルオペレーションの最適化をより適切に図ることができる。
【0015】
請求項9記載の本発明は、採取オペレーション入力項目、移送オペレーション入力項目、洋上施設オペレーション入力項目、及びシャトル船オペレーション入力項目に計算条件として、それぞれのオペレーション実施手段の検査メンテナンス条件を含むことを特徴とする。
請求項9に記載の本発明によれば、各入力項目に検査メンテナンスの頻度や期間等の計算条件を設定してシミュレートした採取オペレーション、移送オペレーション、洋上施設オペレーション、及びシャトル船オペレーションのシミュレーション結果を統合したトータルオペレーションの解析結果を得られるため、トータルオペレーションの最適化をさらに適切に図ることができる。
【0016】
請求項10記載の本発明は、採取オペレーション及び洋上施設オペレーションにおいて、それぞれのオペレーション実施手段の偶発的故障に対するメンテナンスを行うメンテナンスステップを有することを特徴とする。
請求項10に記載の本発明によれば、それぞれのオペレーション実施手段の偶発的故障に伴うメンテナンスについてもシミュレーションに組み込むことにより、メンテナンスによる稼働率の低下やコストの増加等について正確にシミュレーションを行うことができる。
【0017】
請求項11記載の本発明は、メンテナンスステップにおける偶発的故障に対するメンテナンスは、予め設定したオペレーション実施手段のメンテナンスモデルを利用することを特徴とする。
請求項11に記載の本発明によれば、メンテナンスモデルを利用することにより、採取オペレーション及び洋上施設オペレーションにおける偶発的故障によるメンテナンスの内容を適切に設定してシミュレーションを行い、その結果を基にトータルオペレーションの最適化をより適切に図ることができる。
【0018】
請求項12記載の本発明は、採取オペレーション入力項目に計算条件として、オペレーション実施手段である採取手段の設置/撤収条件を含むことを特徴とする。
請求項12に記載の本発明によれば、入力項目に採取手段の設置及び撤収の順序等の計算条件を設定してシミュレートした採取オペレーションのシミュレーション結果を統合したトータルオペレーションの解析結果を得られるため、トータルオペレーションの最適化をさらに適切に図ることができる。
【0019】
請求項13記載の本発明は、移送オペレーション入力項目に計算条件として、移送に当たっての気象海象条件の限界気象海象条件を含むことを特徴とする。
請求項13に記載の本発明によれば、例えば、気象海象が悪化しているときは作業を待機する等の計算条件を考慮してシミュレートした移送オペレーションのシミュレーション結果を統合したトータルオペレーションの解析結果を得られるため、トータルオペレーションの最適化を一層適切に図ることができる。
【0020】
請求項14記載の本発明は、洋上施設オペレーション入力項目に計算条件として、洋上施設の係留条件を含むことを特徴とする。
請求項14に記載の本発明によれば、入力項目に洋上施設の係留条件を設定してシミュレートした洋上施設オペレーションのシミュレーション結果を統合したトータルオペレーションの解析結果を得られるため、トータルオペレーションの最適化をさらに適切に図ることができる。
【0021】
請求項15記載の本発明は、シャトル船オペレーション入力項目に計算条件として、気象海象条件である洋上施設への離接近許容気象海象条件を含むことを特徴とする。
請求項15に記載の本発明によれば、例えば、気象海象の悪化により洋上施設への接近又は離脱が不可となることが予想されるときは出港を待機する等の計算条件を設定してシミュレートしたシャトル船オペレーションのシミュレーション結果を統合したトータルオペレーションの解析結果を得られるため、トータルオペレーションの最適化を一層適切に図ることができる。
【0022】
請求項16記載の本発明は、出力ステップで出力されるトータルオペレーションの解析結果として、採取オペレーション、移送オペレーション、洋上施設オペレーション、シャトル船オペレーションの時系列的な解析結果、及び貯留地における累積荷役量の時系列結果を含むことを特徴とする。
請求項16に記載の本発明によれば、トータルオペレーションの解析結果として出力された各要素オペレーションの時系列的な解析結果と貯留地における累積荷役量の時系列結果を基に、海底資源開発に必要なトータルオペレーションの解析結果の確認をすることができる。
【0023】
請求項17記載の本発明は、海底資源開発のトータルオペレーションの解析結果に基づいて、海底資源開発の経済性評価を行う経済性評価ステップを有することを特徴とする。
請求項17に記載の本発明によれば、稼働性及び経済性の観点から海底資源開発事業の事前検討等を行うことができる。
【0024】
請求項18記載の本発明は、経済性評価ステップで経済性評価を行うに当たって、海底資源開発の採取地点を含む海域、洋上施設とシャトル船の基本形式、海底資源の条件、生産計画、設備投資費用、及びトータルオペレーションの解析結果に基づく運営費用を考慮することを特徴とする。
請求項18に記載の本発明によれば、開発計画に基づいて経済性評価をより精度よく行うことができる。
【0025】
請求項19記載の本発明は、経済性評価の結果として、総収入、総コスト、及び総利益を導出することを特徴とする。
請求項19に記載の本発明によれば、総収入、総コスト、及び総利益を指標として海底資源開発の事業化検討等を行うことができる。
【0026】
請求項20記載に対応した資源開発向けトータルオペレーション解析プログラムにおいては、コンピュータに、資源開発向けトータルオペレーション解析方法における各ステップを実行させることを特徴とする。
請求項20に記載の本発明によれば、コンピュータにより、プログラムの各ステップを実行させることで、資源開発向けトータルオペレーション解析方法をより的確かつ迅速に行うことができる。
【0027】
請求項21記載に対応した資源開発向けトータルオペレーション解析システムにおいては、コンピュータと、計算条件を入力する入力手段と、トータルオペレーションの解析結果を出力する出力手段を備え、資源開発向けトータルオペレーション解析方法を実行することを特徴とする。
請求項21に記載の本発明によれば、コンピュータを含むシステムにより各ステップを実行することで、資源開発向けトータルオペレーション解析方法をより的確かつ迅速に行うことができる。
【0028】
請求項22記載の本発明は、コンピュータと、入力手段及び出力手段とを、情報通信網を介して接続したことを特徴とする。
請求項22に記載の本発明によれば、コンピュータから物理的に離れた場所においても情報通信網を介してシステムを利用できるため、利便性が向上する。
【発明の効果】
【0029】
本発明の資源開発向けトータルオペレーション解析方法によれば、トータルオペレーションについて、分割した複数の要素オペレーション毎の制約条件が考慮されたシミュレーション結果を統合した解析結果が得られるため、この解析結果を基に資源開発におけるオペレーション実施手段(機器や装置等)の稼働率向上やオペレーションコストの抑制等、資源開発の最適化を図ることができる。
【0030】
また、計算条件取得ステップで取得した制約条件としての外乱条件を読み込み、シミュレーションステップで外乱条件を考慮した複数の要素オペレーション毎のシミュレーションを行うとともに、計算条件取得ステップで取得した要素オペレーション同士の制限条件を含む制約条件に従って、複数の要素オペレーション同士の制約条件の有無を判断する制約条件判断ステップと、制約条件が有ると判断された場合に制約条件に基づいて該当する要素オペレーションのシミュレーションの結果を修正するシミュレーション結果修正ステップを実行する場合には、トータルオペレーションについて、制約条件としての外乱条件、及び時間的に同時に並行して進行する要素オペレーション同士の制約条件が考慮された、精度の高いシミュレーション結果を得ることができる。
【0031】
また、複数の要素オペレーションについて逐次、制約条件判断ステップとシミュレーション結果修正ステップを実行する場合には、複数の要素オペレーション同士の制約条件の有無を判断し、制約条件がある場合にシミュレーション結果を修正することで、要素オペレーション毎のより精度の高いシミュレーション結果を得ることができる。
【0032】
また、出力ステップで、複数の要素オペレーション毎の作業時間を出力するとともに、作業時間に基づいて複数の要素オペレーションの作業時間の偏りの有無を判断する作業時間偏り判断ステップと、作業時間の偏りがある場合に取得した計算条件のボトルネックとなっているパラメータを推定するボトルネックパラメータ推定ステップと、外乱条件が原因かを判断する外乱条件原因判断ステップと、ボトルネックと推定されるパラメータを変更して要素オペレーション毎のシミュレーションを繰り返すシミュレーション繰り返しステップとを有した場合には、トータルオペレーションの最適化にあたり、作業時間の偏りに基づいて、外乱条件が原因かを判断した上、ボトルネックと推定されるパラメータを変更してシミュレーションを繰り返すことにより、ボトルネックの解消策を得ることができる。
【0033】
また、資源開発を海底資源開発に適用し、全体の過程を海底資源を採取し、海上に移送し、洋上施設に一時貯留し、さらに貯留地までシャトル船で輸送する過程とした場合には、資源を採取し貯留地まで輸送するという海底資源開発におけるトータルオペレーションについて、複数の要素オペレーション毎の制約条件が考慮されたシミュレーション結果を統合した解析結果が得られるため、この解析結果を基に機器等のオペレーション実施手段の稼働率向上やオペレーションコストの抑制等のための最適化を図ることができる。
【0034】
また、要素オペレーション取得ステップで取得する分割した複数の要素オペレーションが、採取オペレーション、移送オペレーション、洋上施設オペレーション、及びシャトル船オペレーションである場合には、これら各要素オペレーションのシミュレーション結果を統合したトータルオペレーションの解析結果を基に、海底資源開発の最適化を図ることができる。
【0035】
また、計算条件取得ステップで取得する計算条件として、外乱条件に気象海象条件と、制限条件に要素オペレーション同士が互いに影響することによる稼働率の変化とを含む場合には、外乱条件としての気象海象条件が各要素オペレーションの進行に与える影響と、制限条件として異なる要素オペレーションが並行して進行することによる稼働率への影響とが考慮されたシミュレーション結果を得られるため、トータルオペレーションの最適化を適切に図ることができる。
【0036】
また、計算条件取得ステップで取得する計算条件は、解析海域、解析年月、及び気象海象条件の考慮の有無を含む海域情報、海底資源条件と採取条件を含む採取オペレーション入力項目、移送条件を含む移送オペレーション入力項目、洋上施設の洋上施設資源貯蔵能力と払出条件を含む洋上施設オペレーション入力項目、並びにシャトル船のシャトル船資源貯蔵能力、貯留地までの距離、及び船速を含むシャトル船オペレーション入力項目である場合には、海底資源開発の各要素オペレーションに関わる主要なパラメータを適切に設定してシミュレーションを行い、その結果を基にトータルオペレーションの最適化をより適切に図ることができる。
【0037】
また、採取オペレーション入力項目、移送オペレーション入力項目、洋上施設オペレーション入力項目、及びシャトル船オペレーション入力項目に計算条件として、それぞれのオペレーション実施手段の検査メンテナンス条件を含む場合には、各入力項目に検査メンテナンスの頻度や期間等の計算条件を設定してシミュレートした採取オペレーション、移送オペレーション、洋上施設オペレーション、及びシャトル船オペレーションのシミュレーション結果を統合したトータルオペレーションの解析結果を得られるため、トータルオペレーションの最適化をさらに適切に図ることができる。
【0038】
また、採取オペレーション及び洋上施設オペレーションにおいて、それぞれのオペレーション実施手段の偶発的故障に対するメンテナンスを行うメンテナンスステップを有する場合には、それぞれのオペレーション実施手段の偶発的故障に伴うメンテナンスについてもシミュレーションに組み込むことにより、メンテナンスによる稼働率の低下やコストの増加等について正確にシミュレーションを行うことができる。
【0039】
また、メンテナンスステップにおける偶発的故障に対するメンテナンスは、予め設定したオペレーション実施手段のメンテナンスモデルを利用する場合には、メンテナンスモデルを利用することにより、採取オペレーション及び洋上施設オペレーションにおける偶発的故障によるメンテナンスの内容を適切に設定してシミュレーションを行い、その結果を基にトータルオペレーションの最適化をより適切に図ることができる。
【0040】
また、採取オペレーション入力項目に計算条件として、オペレーション実施手段である採取手段の設置/撤収条件を含む場合には、入力項目に採取手段の設置及び撤収の順序等の計算条件を設定してシミュレートした採取オペレーションのシミュレーション結果を統合したトータルオペレーションの解析結果を得られるため、トータルオペレーションの最適化をさらに適切に図ることができる。
【0041】
また、移送オペレーション入力項目に計算条件として、移送に当たっての気象海象条件の限界気象海象条件を含む場合には、例えば、気象海象が悪化しているときは作業を待機する等の計算条件を考慮してシミュレートした移送オペレーションのシミュレーション結果を統合したトータルオペレーションの解析結果を得られるため、トータルオペレーションの最適化を一層適切に図ることができる。
【0042】
また、洋上施設オペレーション入力項目に計算条件として、洋上施設の係留条件を含む場合には、入力項目に洋上施設の係留条件を設定してシミュレートした洋上施設オペレーションのシミュレーション結果を統合したトータルオペレーションの解析結果を得られるため、トータルオペレーションの最適化をさらに適切に図ることができる。
【0043】
また、シャトル船オペレーション入力項目に計算条件として、気象海象条件である洋上施設への離接近許容気象海象条件を含む場合には、例えば、気象海象の悪化により洋上施設への接近又は離脱が不可となることが予想されるときは出港を待機する等の計算条件を設定してシミュレートしたシャトル船オペレーションのシミュレーション結果を統合したトータルオペレーションの解析結果を得られるため、トータルオペレーションの最適化を一層適切に図ることができる。
【0044】
また、出力ステップで出力されるトータルオペレーションの解析結果として、採取オペレーション、移送オペレーション、洋上施設オペレーション、シャトル船オペレーションの時系列的な解析結果、及び貯留地における累積荷役量の時系列結果を含む場合には、トータルオペレーションの解析結果として出力された各要素オペレーションの時系列的な解析結果と貯留地における累積荷役量の時系列結果を基に、海底資源開発に必要なトータルオペレーションの解析結果の確認をすることができる。
【0045】
また、海底資源開発のトータルオペレーションの解析結果に基づいて、海底資源開発の経済性評価を行う経済性評価ステップを有する場合には、稼働性及び経済性の観点から海底資源開発事業の事前検討等を行うことができる。
【0046】
また、経済性評価ステップで経済性評価を行うに当たって、海底資源開発の採取地点を含む海域、洋上施設とシャトル船の基本形式、海底資源の条件、生産計画、設備投資費用、及びトータルオペレーションの解析結果に基づく運営費用を考慮する場合には、開発計画に基づいて経済性評価をより精度よく行うことができる。
【0047】
また、経済性評価の結果として、総収入、総コスト、及び総利益を導出する場合には、総収入、総コスト、及び総利益を指標として海底資源開発の事業化検討等を行うことができる。
【0048】
また、本発明の資源開発向けトータルオペレーション解析プログラムによれば、コンピュータにより、プログラムの各ステップを実行させることで、資源開発向けトータルオペレーション解析方法をより的確かつ迅速に行うことができる。
【0049】
また、本発明の資源開発向けトータルオペレーション解析システムによれば、コンピュータを含むシステムにより各ステップを実行することで、資源開発向けトータルオペレーション解析方法をより的確かつ迅速に行うことができる。
【0050】
また、コンピュータと、入力手段及び出力手段とを、情報通信網を介して接続した場合には、コンピュータから物理的に離れた場所においても情報通信網を介してシステムを利用できるため、利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明の第一の実施形態による資源開発向けトータルオペレーション解析方法のフロー
図2】同トータルオペレーション解析システムのブロック図
図3】同トータルオペレーションと各要素オペレーションとの関係を示す図
図4】同シミュレーション部とサブルーチン部の処理関係を示す図
図5】同各要素オペレーションについてのシミュレーションの進行例を示す図
図6】同トータルオペレーションの解析結果の出力例を示す図
図7】同貯留地における累積荷役量を時系列に示した図
図8】同洋上施設における資源貯蔵量を時系列に示した図
図9】同採取オペレーションにおいて実施した作業ごとの時間を示した図
図10-1】同気象海象条件や各要素オペレーションの状況を時系列で整理しCSV形式で保存したデータの一部を示す図
図10-2】同気象海象条件や各要素オペレーションの状況を時系列で整理しCSV形式で保存したデータの一部を示す図
図11】本発明の第二の実施形態による資源開発向けトータルオペレーション解析方法のフロー
図12】同トータルオペレーション解析システムのブロック図
図13】本発明の第三の実施形態による各要素オペレーションについてのシミュレーションの進行例を示す図
図14】本発明の第四の実施形態による資源開発向けトータルオペレーション解析方法のフロー
図15】同トータルオペレーション解析システムのブロック図
図16】同資源開発向けトータルオペレーション解析プログラムの機能の一部を示す図
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明の第一の実施形態による資源開発向けトータルオペレーション解析方法、トータルオペレーション解析プログラム、及びトータルオペレーション解析システムについて説明する。
図1は本実施形態による資源開発向けトータルオペレーション解析方法のフロー、図2はトータルオペレーション解析システムのブロック図である。
図2に示す解析システムは、図1に示す資源開発向けトータルオペレーション解析方法に用いるものであり、資源開発シミュレーションを実行するコンピュータ10と、管理者や利用者等がシミュレーションの計算条件等をコンピュータ10に入力するための入力手段20と、コンピュータ10によるシミュレーション結果等を出力する出力手段30を備え、資源開発を行う際の全体の過程を解析する。
コンピュータ10は、例えば、プログラムにより実行されるその機能部として、要素オペレーション取得部11、制約条件取得部12、計算条件取得部13、シミュレーション部14、サブルーチン部15、トータルオペレーション化部16、計算条件適合判断部17、繰り返し部18、及び出力部19を有する。
入力手段20は、例えばGUI(Graphical User Interface)や、マウス、キーボード、音声入力機等であり、出力手段30は、例えばモニタやプリンタ等である。
【0053】
資源開発向けトータルオペレーション解析方法は、資源開発を行う際の全体の過程を解析する方法であって、タイムステップ毎に各要素オペレーションについてシミュレーションを行い、外乱条件や各オペレーション同士の制約条件を考慮したシミュレーションの結果を統合してトータルオペレーションの解析結果を得る。この解析結果は、機器や装置等の稼働率向上やオペレーションコストの抑制等のための最適化の検討に利用することができる。
ここで、図3はトータルオペレーションと各要素オペレーションとの関係を示す図である。トータルオペレーションは、複数の要素オペレーションを統合した一連のオペレーションであり、各要素オペレーションは、単一のオペレーション実施手段40、又は複数のオペレーション実施手段40が関与して実行される。すなわち、複数の要素オペレーションは、それぞれ少なくとも一つのオペレーション実施手段40と関与している。オペレーション実施手段40は、各要素オペレーションにおいて用いられる機器や装置等であり、例として掘削機や破砕機、ベルトコンベヤ、一時貯留タンク、輸送トラック等が挙げられる。
本実施形態でシミュレーションの適用対象とする資源開発は、海底に存在するコバルトリッチクラストやレアアース泥といった海底資源(海洋鉱物資源)を採取する海底資源開発であり、所定の開発サイト(海域)に母船等の洋上施設を配置し、採取手段(採取機器)を用いて海底資源を採取し、採取した海底資源を移送手段(移送機器)を用いて洋上施設に移送して一時貯留し、一時貯留されている海底資源を洋上施設からシャトル船で陸上等の貯留地に輸送するという過程を備える。
【0054】
図1に示すように、解析システムが処理を開始すると、コンピュータ10の要素オペレーション取得部11は、資源開発の一連の工程についてオペレーション実施手段40に関与した複数の要素オペレーションに分割した結果を取得する(S1:要素オペレーション取得ステップ)。
資源開発の一連の工程(トータルオペレーション)を複数の要素オペレーションに分割する作業は利用者等が行い、入力手段20を用いて分割結果をコンピュータ10に入力する。本実施形態では、トータルオペレーションを、採取オペレーション、移送オペレーション、海上施設オペレーション、及びシャトル船オペレーションの各要素オペレーションに分割している。
【0055】
次に、コンピュータ10の制約条件取得部12は、複数の要素オペレーションについてオペレーション上の制約条件を定義した結果を取得する(S2:制約条件取得ステップ)。下表1~4に、オペレーション上の制約条件の例を示す。表1は採取オペレーションの制約条件、表2は移送オペレーションの制約条件、表3は洋上施設オペレーションの制約条件、表4はシャトル船オペレーションの制約条件である。
表1~4に示すように、要素オペレーション毎に複数の制約条件を設定している。オペレーション上の制約条件は、オペレーション実施手段40の使用制限条件や、複数の要素オペレーションが関連して進行するが故の待機時間等の制限条件から生じる条件であり、利用者等が入力手段20を用いてコンピュータ10に入力する。
また、制約条件取得ステップS2において、制約条件取得部12は、利用者等が入力手段20を用いて入力した外乱条件を制約条件の一つとして取得する。外乱条件には、開発サイトにおける有義波高や風速といった海気象データ(気象海象条件)が含まれる。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0056】
次に、コンピュータ10の計算条件取得部13は、制約条件取得ステップS2で入力された複数の要素オペレーション毎の制約条件を含む計算条件を取得する(S3:計算条件取得ステップ)。計算条件は、利用者等が入力手段20を用いてコンピュータ10に入力する。
計算条件取得ステップS3で取得する計算条件には、外乱条件として気象海象条件が含まれ、制限条件として要素オペレーション同士が互いに影響することによる稼働率の変化が含まれる。これにより、外乱条件としての気象海象条件が各要素オペレーションの進行に与える影響と、制限条件として異なる要素オペレーションが並行して進行することによる稼働率への影響とが考慮されたシミュレーション結果を得られるため、トータルオペレーションの最適化をより適切に図ることができる。
【0057】
計算条件取得ステップS3で取得する計算条件は、解析海域、解析年月、及び気象海象条件の考慮の有無を含む海域情報と、海底資源条件及び採取条件を含む採取オペレーション入力項目と、移送条件を含む移送オペレーション入力項目と、洋上施設の洋上施設資源貯蔵能力(タンク容量等)及び払出条件を含む洋上施設オペレーション入力項目と、シャトル船のシャトル船資源貯蔵能力(タンク容量等)、貯留地までの距離、及び船速を含むシャトル船オペレーション入力項目としている。入力項目は、海底資源開発の各要素オペレーションに関する計算条件を利用者等が入力する項目である。これにより、各要素オペレーションに関わる主要なパラメータを適切に設定してシミュレーションを行い、その結果を基にトータルオペレーションの最適化をより適切に図ることができる。
採取オペレーション入力項目の海底資源条件とは、採取資源密度、開発エリア数、各開発エリア体積(面積)等である。なお、開発エリアは、資源が点在して存在している場合の一つの密集範囲と定義する。また、採取条件とは、採取速度、採取効率、検査メンテナンス条件(採取手段メンテナンス頻度・期間)、採取手段の設置/撤収条件(採取手段設置・撤収作業時間、採取手段設置・撤収作業限界気象海象条件)等である。
移送オペレーション入力項目の移送条件とは、限界気象海象条件(移送作業限界気象海象条件、移送作業継続可否判断時刻)、移送手段設置・撤収作業時間、検査メンテナンス条件(移送手段メンテナンス頻度・期間)等である。
洋上施設オペレーション入力項目の払出条件とは、資源払出し速度、資源払出し作業限界気象海象条件等である。なお、資源払出しは、洋上施設からシャトル船へ資源を払い出す作業と定義する。また、洋上施設オペレーション入力項目には、上記の他、検査メンテナンス条件(通常・長期定期検査開始時間、通常・長期定期検査継続日数)、係留条件(係留系有無、係留系敷設期間)、荒天待機時避泊地までの航行距離、航行速度等を含めることもできる。
シャトル船オペレーション入力項目には、上記の他、洋上施設への離接近許容気象海象条件(洋上施設への接近/離脱作業限界気象海象条件)、出入港可能時間帯、資源荷役速度、検査メンテナンス条件(通常・長期定期検査開始時期、通常・長期定期検査継続日数)等を含めることもできる。なお、荷役は、シャトル船が母港にて資源を陸上へ荷役する作業と定義する。
【0058】
上記のように、採取オペレーション入力項目と、移送オペレーション入力項目と、シャトル船オペレーション入力項目に、それぞれ気象海象条件を含めている。これにより、各入力項目に気象海象条件を設定してシミュレートした採取オペレーション、移送オペレーション、及びシャトル船オペレーションのシミュレーション結果を統合したトータルオペレーションの解析結果を得られるため、トータルオペレーションの最適化をさらに適切に図ることができる。
また、採取オペレーション入力項目と、移送オペレーション入力項目と、洋上施設オペレーション入力項目と、シャトル船オペレーション入力項目には、計算条件として、それぞれのオペレーション実施手段40の検査メンテナンス条件を含めている。これにより、各入力項目に検査メンテナンスの頻度や期間等の計算条件を設定してシミュレートした採取オペレーション、移送オペレーション、洋上施設オペレーション、及びシャトル船オペレーションのシミュレーション結果を統合したトータルオペレーションの解析結果を得られるため、トータルオペレーションの最適化をさらに適切に図ることができる。
また、採取オペレーション入力項目には、計算条件として、オペレーション実施手段40である採取手段の設置/撤収条件を含めている。これにより、入力項目に採取手段の設置及び撤収の順序等の計算条件を設定してシミュレートした採取オペレーションのシミュレーション結果を統合したトータルオペレーションの解析結果を得られるため、トータルオペレーションの最適化をさらに適切に図ることができる。
また、移送オペレーション入力項目には、計算条件として、移送に当たっての気象海象条件の限界気象海象条件を含めている。これにより、例えば、気象海象が悪化しているときは作業を待機する等の計算条件を考慮してシミュレートした移送オペレーションのシミュレーション結果を統合したトータルオペレーションの解析結果を得られるため、トータルオペレーションの最適化を一層適切に図ることができる。なお、限界気象海象条件とは、作業の実施が許容される気象海象条件の悪化限度を示すものである。
また、洋上施設オペレーション入力項目には、計算条件として、洋上施設の係留条件を含めている。これにより、入力項目に洋上施設の係留条件を設定してシミュレートした洋上施設オペレーションのシミュレーション結果を統合したトータルオペレーションの解析結果を得られるため、トータルオペレーションの最適化をさらに適切に図ることができる。
また、シャトル船オペレーション入力項目には、計算条件として、気象海象条件である洋上施設への離接近許容気象海象条件を含めている。これにより、例えば、気象海象の悪化により洋上施設への接近又は離脱が不可となることが予想されるときは出港を待機する等の計算条件を設定してシミュレートしたシャトル船オペレーションのシミュレーション結果を統合したトータルオペレーションの解析結果を得られるため、トータルオペレーションの最適化を一層適切に図ることができる。
【0059】
次に、コンピュータ10のシミュレーション部14及びサブルーチン部15は、計算条件取得ステップS3で取得された制約条件としての外乱条件を読み込み、複数の要素オペレーションが時間的に同時に並行に実施されるものとして、外乱条件を考慮した要素オペレーション毎のシミュレーションを行う(S4:シミュレーションステップ)とともに、計算条件取得ステップS3で取得された要素オペレーション同士の制限条件を含む制約条件に従って、複数の要素オペレーション同士の制約条件の有無を判断し(S5:制約条件判断ステップ)、制約条件が有ると判断した場合は制約条件に基づいて該当する要素オペレーションのシミュレーションの結果を修正する(S6:シミュレーション結果修正ステップ)。
この際、要素オペレーションのシミュレーションの結果として、各要素シミュレーションで求めた現タイムステップにおける各要素オペレーションの状況(例えば、設置、採取、開発エリア間移動等)と、予め与えられている制約条件がある場合はそれとを比較して修正を要するか否かを判断する。修正を要すると判断された場合は、条件に合わせて状況を逐次修正する(例えば、採取から撤収、荒天待機等への変更)。また、それに伴い、採取量や移送量、払出量、荷役量等も逐次修正する。
ここで、図4はシミュレーション部とサブルーチン部の処理関係を示す図、図5は各要素オペレーションについてのシミュレーションの進行例を示す図である。
シミュレーション部14は、メインルーチンの処理を担い、要素オペレーション(1)についてのシミュレーションも実行する。本実施形態では、要素オペレーション(1)は採取オペレーションである。一方、サブルーチン部15は、サブルーチンの処理を担い、要素オペレーション(1)以外の全ての要素オペレーション、すなわち要素オペレーション(2)から要素オペレーション(n)についてのシミュレーションを順次行う。本実施形態では、要素オペレーション(2)は移送オペレーション、要素オペレーション(3)は洋上施設オペレーション、要素オペレーション(4)はシャトル船オペレーションである。
【0060】
シミュレーション部14では、シミュレーションステップS4として、計算条件取得ステップS3で取得された計算条件に従い、要素オペレーション(1)についてのシミュレーションを行う(S4-1)。
また、制約条件判断ステップS5として、要素オペレーション(1)に他の要素オペレーションとの制約条件が存在するか否かを判断し(S5-1)、制約条件が存在する(YES)と判断した場合は、シミュレーション結果修正ステップS6として、制約条件を基に要素オペレーション(1)の結果を修正する(S6-1)。一方、制約条件が存在しない(NO)と判断した場合は、要素オペレーション(1)の結果を修正しない。
【0061】
サブルーチン部15では、計算条件取得ステップS3で取得された計算条件に従い、シミュレーションステップS4として、まず要素オペレーション(2)についてのシミュレーションを行う(S4-2)。
また、制約条件判断ステップS5として、要素オペレーション(2)に他の要素オペレーションとの制約条件が存在するか否かを判断し(S5-2)、制約条件が存在する(YES)と判断した場合は、シミュレーション結果修正ステップS6として、制約条件を基に要素オペレーション(2)の結果を修正したうえで(S6-2)、要素オペレーション(3)のシミュレーションに進む。一方、制約条件が存在しない(NO)と判断した場合は、要素オペレーション(2)の結果を修正せずに要素オペレーション(3)のシミュレーションに進む。
要素オペレーション(3)以降についても同様にS4-2、S5-2、及びS6-2の各ステップを実行し、要素オペレーション(4)、要素オペレーション(5)、・・要素オペレーション(n)について順次処理する。
このように、複数の要素オペレーションについて逐次、制約条件判断ステップS5とシミュレーション結果修正ステップS6を実行する。複数の要素オペレーション同士の制約条件の有無を判断し、制約条件がある場合にシミュレーション結果をすることで、要素オペレーション毎のより精度の高いシミュレーション結果を得ることができる。
【0062】
トータルオペレーション化部16は、シミュレーション部14及びサブルーチン部15により実行された要素オペレーション毎のシミュレーションの結果をトータルオペレーションとして統合する(S7:トータルオペレーション化ステップ)。これにより、時系列的に各要素オペレーションの状況が整理される。
トータルオペレーション化ステップS7の後、計算条件適合判断部17は、外乱条件等を含む計算条件を満たしたか否か、すなわち計算条件取得ステップS3で取得された計算条件に従った要素オペレーションのシミュレーションをすべて実行し終えたか否かを判断する(S8:シミュレーション終了判断ステップ)。
【0063】
シミュレーション終了判断ステップS8において計算条件を満たしていない(NO)と判断された場合は、繰り返し部18によってシミュレーションステップS4に戻され、シミュレーション部14及びサブルーチン部15は、未実行の計算条件に従って再度シミュレーションを開始する。この場合、シミュレーション判断ステップにおいて計算条件を満たしたと判断されるまで、シミュレーションステップS4からトータルオペレーション化ステップS7が繰り返される(S9:繰り返しステップ)。
【0064】
一方、シミュレーション終了判断ステップS8において計算条件を満たした(YES)と判断された場合は、トータルオペレーションの解析結果を出力部19が出力する(S10:出力ステップ)。出力手段30は、出力されたトータルオペレーションの解析結果を印刷又は表示等する。
ここで、図6はトータルオペレーションの解析結果の出力例を示す図である。図6の出力例では、時刻毎に、各要素オペレーション内の作業状況と、その時に発生していた外乱が表示されている。このように、出力ステップS10で出力されるトータルオペレーションの解析結果には、採取オペレーション、移送オペレーション、洋上施設オペレーション、及びシャトル船オペレーションの時系列的な解析結果を含むことができる。これにより、トータルオペレーションの解析結果として出力された各要素オペレーションの時系列的な解析結果を基に、海底資源開発に必要なトータルオペレーションの解析結果の確認をすることができる。
また他の出力例として、図7は貯留地における累積荷役量を時系列に示した図である。このように、出力ステップS10で出力されるトータルオペレーションの解析結果には、貯留地における累積荷役量の時系列結果を含むことができる。これにより、トータルオペレーションの解析結果として出力された貯留地における累積荷役量の時系列結果を基に、トータルオペレーションの最適化を図ることができる。
更に他の出力例として、図8は洋上施設における資源貯蔵量を時系列に示した図、図9は採取オペレーションにおいて実施した作業ごとの時間を示した図、図10-1及び図10-2は気象海象条件や各要素オペレーションの状況を時系列で整理しCSV形式で保存したデータの一部を示す図である。図10-1及び図10-2においては、解析年・月・日・時刻、有義波高時系列、風速時系列、各時刻におけるシャトル船の状態、洋上施設資源貯蔵量時系列、累積払出し量時系列、累積移送量時系列、累積荷役量時系列、各時刻における移送オペレーションの状況、各時刻における採取オペレーションの状況、採取オペレーション内の詳細作業時間、移送オペレーション内の詳細作業時間、及びシャトル船オペレーション内の詳細作業時間などに関するデータが収録されている。なお、図10-1及び図10-2に示すデータは同一ファイルのものであるが、見やすくするため図上では分割しており、図10-1には第A列から第R列のデータを示し、図10-2には第S列から第AC列までのデータを示している。このように、トータルオペレーションの解析結果は、様々な形で出力することができる。
【0065】
図2に示すように、本実施形態では、入力手段20及び出力手段30をコンピュータ10から物理的に離れているA社、B社、及び研究機関等のC機関にもそれぞれ設置し、コンピュータ10と、それぞれの入力手段20及び出力手段30を備えたそれぞれのコンピュータとをインターネット等の情報通信網を介して接続している。これにより、コンピュータ10から物理的に離れた場所においても情報通信網を介してシステムを利用できるため、利便性が向上する。
【0066】
以上説明したように、資源開発向けトータルオペレーション解析方法は、要素オペレーション取得ステップS1と、制約条件取得ステップS2と、計算条件取得ステップS3と、シミュレーションステップS4と、トータルオペレーション化ステップS7と、繰り返しステップS9と、出力ステップS10とを実行することで、トータルオペレーションについて、分割した複数の要素オペレーション毎の制約条件が考慮されたシミュレーション結果を統合した解析結果が得られるため、この解析結果を基に資源開発におけるオペレーション実施手段40の稼働率向上やオペレーションコストの抑制等、資源開発の最適化を図ることができる。
さらに、制約条件判断ステップS5と、シミュレーション結果修正ステップS6を実行することで、トータルオペレーションについて、制約条件としての外乱条件、及び時間的に同時に並行して進行する要素オペレーション同士の制約条件が考慮された、より精度の高いシミュレーション結果を得ることができる。
また、資源開発を海底資源開発に適用し、全体の過程を海底資源を採取し、海上に移送し、洋上施設に一時貯留し、さらに貯留地までシャトル船で輸送する過程とすることで、資源を採取し貯留地まで輸送するという海底資源開発におけるトータルオペレーションについて、複数の要素オペレーション毎の制約条件が考慮されたシミュレーション結果を統合した解析結果が得られるため、この解析結果を基に機器等のオペレーション実施手段40の稼働率向上やオペレーションコストの抑制等のための最適化を図ることができる。
また、海底資源開発に適用する場合、要素オペレーション取得ステップS1で取得する分割した複数の要素オペレーションを、採取オペレーション、移送オペレーション、洋上施設オペレーション、及びシャトル船オペレーションとすることで、これら各要素オペレーションのシミュレーション結果を統合したトータルオペレーションの解析結果を基に、海底資源開発の最適化を図ることができる。
【0067】
また、コンピュータ10、入力手段20及び出力手段30を備える資源開発向けトータルオペレーション解析システムを用いて資源開発向けトータルオペレーション解析方法を実行することにより、資源開発向けトータルオペレーション解析方法をより的確かつ迅速に行うことができる。
【0068】
また、資源開発向けトータルオペレーション解析方法は、資源開発向けトータルオペレーション解析プログラムにより実行することができる。
資源開発向けトータルオペレーション解析プログラムは、資源開発向けトータルオペレーション解析方法における要素オペレーション取得ステップS1と、制約条件取得ステップS2と、計算条件取得ステップS3と、シミュレーションステップS4と、トータルオペレーション化ステップS7と、繰り返しステップS9と、出力ステップS10をコンピュータ10に実行させる。資源開発向けトータルオペレーション解析プログラムを用い、コンピュータにより、各ステップを実行させることで、資源開発向けトータルオペレーション解析方法をより的確かつ迅速に行うことができる。
なお、トータルオペレーションを複数の要素オペレーションに分割した結果と、制約条件と、計算条件を予めコンピュータ10又はコンピュータ10に接続可能な記憶媒体に保存しておき、要素オペレーション取得ステップS1、制約条件取得ステップS2、及び計算条件取得ステップS3のそれぞれにおいて、当該保存情報が自動的に読み出されるようにプログラムをコーディングしておいてもよい。
また、資源開発向けトータルオペレーション解析プログラムは、制約条件判断ステップS5と、シミュレーション結果修正ステップS6をコンピュータ10に実行させることができる。これにより、並行する要素オペレーション同士の制約条件を考慮してシミュレートするプログラムを実行させることで、要素オペレーション同士の制約条件が考慮された、精度の高いトータルオペレーションの解析結果を得ることができる。
また、資源開発向けトータルオペレーション解析プログラムは、複数の要素オペレーションについて逐次、制約条件判断ステップS5と、シミュレーション結果修正ステップS6をコンピュータ10に実行させることができる。これにより、複数の要素オペレーション同士の制約条件の有無を判断し、シミュレーション結果を修正するプログラムを実行させることで、要素オペレーション毎のより精度の高いシミュレーション結果を得ることができる。
【0069】
次に、本発明の第二の実施形態による資源開発向けトータルオペレーション解析方法、トータルオペレーション解析プログラム、及びトータルオペレーション解析システムについて説明する。なお、第一の実施形態と同様のステップ及び手段等については同一符号を付して説明を省略する。
図11は本実施形態による資源開発向けトータルオペレーション解析方法のフロー、図12はトータルオペレーション解析システムのブロック図である。
本実施形態のコンピュータ100は、例えばプログラムにより実行されるその機能部として、第一の実施形態のコンピュータ10の機能に加えて、作業時間偏り判断部101、ボトルネックパラメータ推定部102、外乱条件原因判断部103、及びシミュレーション繰り返し部104を有する。
【0070】
図11に示すように、本実施形態の資源開発向けトータルオペレーション解析方法は、第一の実施形態と同様にして要素オペレーション取得ステップS1から出力ステップS10を行う。出力ステップS10において出力部19は、例えば要素オペレーション(1)の作業Aに要した時間が16時間で作業A2に要した時間が24時間、・・要素オペレーション(n)の作業Dに要した時間が8時間で作業D2に要した時間が20時間などのように、要素オペレーション毎の作業時間を作業時間偏り判断部101へ出力する。
作業時間偏り判断部101は、出力された作業時間に基づいて複数の要素オペレーションの作業時間の偏りの有無を判断する(S11:作業時間偏り判断ステップ)。偏りがあるか否かは、要素オペレーション毎に、例えばトータルの作業時間に占める各作業時間の割合を基に判断する。
【0071】
コンピュータ100は、作業時間偏り判断ステップS11において作業時間の偏りはないと(NO)と判断された場合は処理を終了する。
一方、作業時間偏り判断ステップS11において作業時間の偏りがある(YES)と判断された場合、ボトルネックパラメータ推定部102は、計算条件のボトルネックとなっているパラメータを推定する(S12:ボトルネックパラメータ推定ステップ)。パラメータは、計算条件として入力された入力項目のうちの、開発エリア数や、メンテナンス頻度、航行速度等である。
ボトルネックパラメータ推定ステップS12の後、外乱条件原因判断部103は、気象海象条件等の外乱条件がボトルネックの原因か否かを判断する(S13:外乱条件原因判断ステップ)。
【0072】
コンピュータ100は、外乱条件原因判断ステップS13において外乱条件がボトルネックの原因ではない(NO)と判断された場合は処理を終了する。
一方、外乱条件原因判断ステップS13において外乱条件がボトルネックの原因である(YES)と判断された場合、シミュレーション繰り返し部104は、ボトルネックと推定されるパラメータを変更して要素オペレーション毎のシミュレーションを繰り返す(S14:シミュレーション繰り返しステップ)。なお、パラメータの変更は、予め記憶媒体に記憶したパラメータを適用する方法や複数、パラメータから逐次選択して変更する方法、また、人が入力した変更したパラメータをコンピュータ100で取得して変更する方法等、各種の方法が採用可能である。
この場合、作業時間偏り判断ステップS11において作業時間の偏りはないと判断されるか、又は外乱条件原因判断ステップS13において外乱条件がボトルネックの原因ではないと判断されるまで、シミュレーションステップS4からシミュレーション繰り返しステップS14が実行される。
トータルオペレーションの最適化にあたり、作業時間の偏りに基づいて、外乱条件が原因かを判断した上、ボトルネックと推定されるパラメータを変更してシミュレーションを繰り返すことにより、ボトルネックの解消策を得ることができる。
【0073】
また、本実施形態の資源開発向けトータルオペレーション解析方法もプログラムを用いて行うことが可能であり、本実施形態の資源開発向けトータルオペレーション解析プログラムは、第一の実施形態の資源開発向けトータルオペレーション解析プログラムの各ステップに加えて、作業時間偏り判断ステップS11と、ボトルネックパラメータ推定ステップS12と、外乱条件原因判断ステップS13と、シミュレーション繰り返しステップS14を実行する。
このようにボトルネックとなっているパラメータを推定して変更し、作業時間の偏りが無くなるまで繰り返しシミュレートするプログラムを実行することで、トータルオペレーションの最適化にあたり、シミュレーションを通じてボトルネックの解消策を得ることができる。
【0074】
次に、本発明の第三の実施形態による資源開発向けトータルオペレーション解析方法、トータルオペレーション解析プログラム、及びトータルオペレーション解析システムについて説明する。なお、第一又は第二の実施形態と同様のステップ及び手段等については同一符号を付して説明を省略する。
図13は本実施形態による各要素オペレーションについてのシミュレーションの進行例を示す図である。
本実施形態において、トータルオペレーション解析システムは第一の実施の形態と同様の構成であるが、オペレーション実施手段40等のメンテナンスに関し、第一の実施形態では定期メンテナンス等のスケジュールされたメンテナンスの頻度や期間のみを考慮しているのに対し、本実施形態では更に偶発的故障に伴うメンテナンスの内容についても考慮する。
【0075】
本実施形態では、採取オペレーション及び洋上施設オペレーションにおいて、それぞれのオペレーション実施手段40の偶発的故障によるメンテナンスを行うメンテナンスステップを有する。メンテナンスには、修理、修繕、保守、保全作業等が含まれる。
計算条件取得ステップS3で取得する計算条件は、第一の実施形態と同様に、採取オペレーション入力項目と、移送オペレーション入力項目と、洋上施設オペレーション入力項目と、シャトル船オペレーション入力項目とするが、採取オペレーション入力項目の検査メンテナンス条件には、採取手段の偶発的故障に伴うメンテナンスの期間等が含まれ、洋上施設オペレーション入力項目の検査メンテナンス条件には、洋上施設の偶発的故障に伴うメンテナンスの期間等が含まれる。
そして、第一の実施形態と同様に、メインルーチンの処理を担うシミュレーション部14は、計算条件取得ステップS3で取得された計算条件に従い、採取オペレーションについて、シミュレーションステップS4、制約条件判断ステップS5、シミュレーション結果修正ステップS6を実行する。また、サブルーチンの処理を担うサブルーチン部15は、計算条件取得ステップS3で取得された計算条件に従い、移送オペレーション、洋上施設オペレーション、及びシャトル船オペレーションについて、シミュレーションステップS4、制約条件判断ステップS5、シミュレーション結果修正ステップS6を実行する。
このようにそれぞれのオペレーション実施手段40の偶発的故障に伴うメンテナンスについてもシミュレーションに組み込むことにより、メンテナンスによる稼働率の低下やコストの増加等について正確にシミュレーションを行うことができる。
【0076】
本実施形態における採取オペレーション入力項目と洋上施設オペレーション入力項目の検査メンテナンス条件の具体例は以下の通りである。
1.初期故障(初期不良)期間、通常使用期間、摩耗期間
2.形状パラメータβと特性寿命パラメータη(期間毎)
3.偶発的故障が発生した場合のメンテナンス日数
偶発的故障モデルとしては、初期故障期間、通常使用期間、摩耗期間共にワイブル分布で故障率をモデル化可能である。但し、形状パラメータβと特性寿命パラメータηは調整が必要となる。ワイブル分布の故障率R(t)は下式(1)で表される。なお、γは位置パラメータである。
【数1】
ワイブル分布により、上記1の三つの期間を有したバスタブ曲線を表現し信頼性解析に使用することができる。バスタブ曲線において、故障期待値=R(t)*Dtが1を超える場合(Dtは定期メンテナンス頻度)は、偶発的故障によるメンテナンスを考慮する。
このように、メンテナンスステップにおける偶発的故障に対するメンテナンスは、予め設定したオペレーション実施手段40のメンテナンスモデルを利用することで、メンテナンスモデルを利用することにより、採取オペレーション及び洋上施設オペレーションにおける偶発的故障によるメンテナンスの内容を適切に設定してシミュレーションを行い、その結果を基にトータルオペレーションの最適化をより適切に図ることができる。
【0077】
なお、本実施形態の資源開発向けトータルオペレーション解析方法を、第二の実施形態の資源開発向けトータルオペレーション解析方法と組み合わせることも可能である。
また、本実施形態の資源開発向けトータルオペレーション解析方法も、資源開発向けトータルオペレーション解析プログラムにより実行することができる。
【0078】
次に、本発明の第四の実施形態による資源開発向けトータルオペレーション解析方法、トータルオペレーション解析プログラム、及びトータルオペレーション解析システムについて説明する。なお、第一、第二又は第三の実施形態と同様のステップ及び手段等については同一符号を付して説明を省略する。
図14は本実施形態による資源開発向けトータルオペレーション解析方法のフロー、図15はトータルオペレーション解析システムのブロック図である。
本実施形態のコンピュータ200は、例えばプログラムにより実行されるその機能部として、第一の実施形態のコンピュータ10の機能に加えて、経済性評価部201を有する。
【0079】
図14に示すように、本実施形態の資源開発向けトータルオペレーション解析方法においては、開発計画に関する条件を、利用者等が入力手段20を用いてコンピュータ200に入力する。入力する条件は例えば以下である。なお、これら条件を予めデータベースにデータを収録しておき、その中から選択するようにしてもよい。
1.海底資源開発の採取地点を含む海域。例えば、採掘地や集積港の位置情報(緯度・経度)など。
2.洋上施設(プラットフォーム)とシャトル船等の輸送手段の基本形式。例えば、洋上施設の形式(船形orセミサブマーシブル)、輸送手段又は方式(自航式orシャトル船使用)、及び係留方式(DPS(自動船位保持装置)or係留)等の設備に関する情報など。
3.海底資源の条件。例えば、鉱物の種類、品位、比重、及び埋蔵量など。
4.生産計画。例えば、鉱物の生産期間、日生産量、及び最大生産日数など。
【0080】
コンピュータ200は、入力された開発計画に関する条件に基づき、航路設定及び輸送距離の算出、及び水深情報の取得等を行い、それらを計算条件に加えて要素オペレーション取得ステップS1から出力ステップS10を行う。
出力ステップS10においてコンピュータ200の出力部19が出力するトータルオペレーションの解析結果には、鉱物等の海底資源の生産期間、日生産量(1日あたりの生産量)、荷役回数、オペレーション実施手段40等の稼働率、及び作業別占有時間等が含まれる。このうち生産期間及び日生産量は生産計画に関するデータベースに蓄積される。
【0081】
経済性評価部201は、出力されたトータルオペレーションの解析結果に基づいて、海底資源開発の経済性評価を行う(S15:経済性評価ステップ)。例えば、トータルオペレーションの解析結果に含まれる鉱石比重、シャトル船の隻数、及び鉱物の生産量、荷役回数から算出される荷役間隔、並びに総生産(揚鉱)時間から算出される年間最大生産(揚鉱)日数に基づいて貯鉱量を導出し、データベースに収録されている算定式に基づいて、洋上施設の主要目(長さ、幅、深さ、喫水、排水量)、主機関の基数と出力、自動船位保持装置の基数と出力、及びシャトル船の主要目(長さ、幅、深さ、喫水、排水量、DWT)を算定し、設備や船舶の準備・運営に要する費用を予測する。
このように、海底資源開発のトータルオペレーションの解析結果に基づいて海底資源開発の経済性評価を行う経済性評価ステップS15を有することにより、稼働性及び経済性の観点から海底資源開発事業の事前検討等を行うことができる。
【0082】
経済性評価ステップで経済性評価を行うに当たっては、海底資源開発の採取地点を含む海域、洋上施設とシャトル船の基本形式、海底資源の条件、生産計画、設備投資費用、及び稼働率等のトータルオペレーションの解析結果に基づく運営費用を考慮することが好ましい。
この場合、経済性評価部201は、洋上施設やシャトル船の主要目等と所定の式に基づき求めた船体価格、掘削設備価格、自動船位保持装置価格、及びシャトル船価格等から設備投資費用(CAPEX)を算出し、さらに、洋上施設、揚鉱システム、探鉱システム、及びシャトル船のそれぞれの運営費用(OPEX)を算出する。
これにより、開発計画に基づいて経済性評価をより精度よく行うことができる。なお、運営費用はデータベースに蓄積される。
【0083】
経済性評価ステップS15においては、経済性評価の結果として、総収入、総コスト、及び総利益を導出することが好ましい。これにより、総収入、総コスト、及び総利益を指標として海底資源開発の事業化検討等を行うことができる。
また、これらの他、正味現在価値(NPV)や内部収益率(IRR)等も経済性評価の結果として導出し、経済性評価の指標に用いることができる。
出力部19は、経済性評価ステップS15で導出された総収入、総コスト、及び総利益等の経済性指標を出力する(S16:経済性評価結果出力ステップ)。出力手段30は、出力された経済性指標を印刷又は表示等する。
【0084】
本実施形態の資源開発向けトータルオペレーション解析方法は、資源開発向けトータルオペレーション解析プログラムにより実行することができる。図16は本実施形態の資源開発向けトータルオペレーション解析プログラムの機能の一部を示す図である。本実施形態の資源開発向けトータルオペレーション解析プログラムは、経済性評価プログラムと解析プログラムとからなり、図16に矢印で示すように、プログラム間で情報やデータが受け渡される。
なお、本実施形態の資源開発向けトータルオペレーション解析方法を、第二又は第三の実施形態の資源開発向けトータルオペレーション解析方法と組み合わせることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、複数の要素オペレーションを統合した一連のオペレーション(トータルオペレーション)について、各要素オペレーション(ライン)に分割し、外乱条件や各オペレーション同士の制約条件を考慮してタイムステップ毎に各要素オペレーションのシミュレーションを実行し、トータルオペレーションをシミュレートするため、資源開発向けトータルオペレーションを精度よく解析することができる。
本発明は、コバルトリッチクラストやレアアース泥、メタンハイドレート開発等の海底資源開発のトータルオペレーション解析に適用することができる。また、得られた情報を用いてOPEX等の経済性評価にも適用し、海底資源開発の初期検討として、最も重要となる稼働性及び経済性を踏まえた最適なシステムの選定に資する情報を提供することができる。さらに、外乱情報に予測データを取り込むことで、稼働状況や荷役量の推移予測にも応用可能である。
なお、資源開発は、海底資源のみならず陸上資源、またそれらを組み合わせたもの等あらゆる資源開発に適用が可能である。
【符号の説明】
【0086】
10、100、200 コンピュータ
20 入力手段
30 出力手段
40 オペレーション実施手段
S1 要素オペレーション取得ステップ
S2 制約条件取得ステップ
S3 計算条件取得ステップ
S4 シミュレーションステップ
S5 制約条件判断ステップ
S6 シミュレーション結果修正ステップ
S7 トータルオペレーション化ステップ
S9 繰り返しステップ
S10 出力ステップ
S11 作業時間偏り判断ステップ
S12 ボトルネックパラメータ推定ステップ
S13 外乱条件原因判断ステップ
S14 シミュレーション繰り返しステップ
S15 経済性評価ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10-1】
図10-2】
図11
図12
図13
図14
図15
図16