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特開2023-182580スカンジウムを含む酸性溶液から金属汚染物質を取り除く方法
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  • 特開-スカンジウムを含む酸性溶液から金属汚染物質を取り除く方法 図1
  • 特開-スカンジウムを含む酸性溶液から金属汚染物質を取り除く方法 図2
  • 特開-スカンジウムを含む酸性溶液から金属汚染物質を取り除く方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182580
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】スカンジウムを含む酸性溶液から金属汚染物質を取り除く方法
(51)【国際特許分類】
   C22B 59/00 20060101AFI20231219BHJP
   C22B 3/24 20060101ALI20231219BHJP
   C22B 3/02 20060101ALI20231219BHJP
   B01J 39/05 20170101ALI20231219BHJP
   B01J 49/53 20170101ALI20231219BHJP
【FI】
C22B59/00
C22B3/24 101
C22B3/02
B01J39/05
B01J49/53
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023144490
(22)【出願日】2023-09-06
(62)【分割の表示】P 2020563712の分割
【原出願日】2019-05-03
(31)【優先権主張番号】62/667,797
(32)【優先日】2018-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520432853
【氏名又は名称】リオ・ティント・アイアン・アンド・チタニウム・カナダ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】パカン,ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】フィリポウ,ディミトリオス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】Scを含む保存溶液から少なくとも1種の金属汚染物質を取り除くシステムを提供する。
【解決手段】a)金属イオン交換樹脂錯体を製造するために、Sc及び少なくとも1種の金属汚染物質を取り込んでいるイオン交換樹脂と保存溶液を接触させる工程と、b)Scイオン交換樹脂錯体及び使用済カルボキシラート溶液を製造するために、カルボキシラートイオンを含む洗浄溶液で金属樹脂錯体を洗浄する工程とを含む、Scを含有する保存溶液から少なくとも1種の金属の汚染物質を取り除く方法を提供し、その使用済カルボキシラート溶液は、洗浄に必要なカルボキシラートイオンを再生するために、電気透析によって処理され得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Scを含む保存溶液から少なくとも1種の金属汚染物質を取り除くシステムであって、前記システムが、
前記少なくとも1種の金属汚染物質を含む保存溶液を含む、第一のコンパートメント、
Sc及び前記少なくとも1種の金属汚染物質を取り込んで金属イオン交換樹脂錯体を製造するためのイオン交換樹脂を含むカラム、
Scイオン交換樹脂錯体及び使用済カルボキシラート溶液を製造するための、2.5~4.0の範囲のpKaを有するカルボキシラートイオンを有する塩を含む洗浄溶液を含む、第二のコンパートメント、及び
前記保存溶液を前記イオン交換樹脂と接触させるため、及び、前記金属イオン交換樹脂錯体を前記洗浄溶液で洗浄するための、前記第一のコンパートメント、前記第二のコンパートメント、及び前記カラムと流体連通している、ポンプ
を含む、システム。
【請求項2】
前記保存溶液中のScが、Sc3+のイオンの形で存在している、請求項1に記載のシステム
【請求項3】
可溶性金属汚染物質錯体を製造するために、前記カルボキシラートイオンが、前記少なくとも1種の金属汚染物質と結合することが可能である、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記保存溶液が水性の酸性溶液である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記保存溶液が鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)を含まない、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1種の金属汚染物質が、チタン(Ti)、トリウム(Th)、またはジルコニウム(Zr)である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1種の金属汚染物質がTiである、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記塩が、クエン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、乳酸塩及びそれらの組み合わせの少なくとも1種である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記塩がクエン酸塩である、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記イオン交換樹脂が、以下の官能基の少なくとも1種:スルホン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸モノエチル/ジエチルエステル、ホスホン酸/三級アミン、ホスホン酸/ジメチルエステル及びそれらの組み合わせを含む、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記洗浄溶液が、3.0と4.0の間のpHを有する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記洗浄溶液が、約3.8のpHを有する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記ポンプが、蠕動ポンプである、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記イオン交換樹脂が、固体粒子のイオン交換樹脂である、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記保存が、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸の一つ以上を含む、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記保存が、塩酸を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記イオン交換樹脂が、マクロ孔質キレート樹脂である、請求項1乃至16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記樹脂が、スルホン酸カチオン交換部位及びホスホン酸キレート部位を有する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記カラムが、ガラス製である、請求項1乃至18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記カルボキシラートイオンは、クエン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、乳酸塩、またはそれらの組み合わせ中に存在する、請求項1乃至19のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年5月7日に出願された米国仮出願第62/667,797号に対する優先権及び利益を主張するものであり、その全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書は、スカンジウムの回収、特にスカンジウムを含む酸性溶液から低濃度の金属汚染物質を除去/取り除く方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
スカンジウムは、天然鉱石(イルメナイト、ルチルなど)及び人工の生産物(チタンスラグ、合成ルチルなど)を含む色々な種類の二酸化チタン原材料において、10~100g/tなどの低濃度で存在する場合がある。
【0004】
二酸化チタン原材料(イルメナイト、チタンスラグなど)の品質を向上させる場合、または二酸化チタン原材料を二酸化チタン顔料及びチタン金属に変換する場合、スカンジウムを含む水性溶液が製造される。スカンジウムを含む溶液の例としては、二酸化チタン原材料の品質向上をする操作由来の使用済塩酸、チタン顔料プラント由来の廃溶出液、チタン金属プラント由来の廃溶出液などが挙げられる。このような溶液は、イオン交換樹脂で処理することで、スカンジウムを回収することが可能である。
【0005】
しかし、チタン、トリウム及びジルコニウムなどの残留性のある構造の類似した金属の不純物元素の一部は、そのようなスカンジウムを含む溶液からの分離が困難である。高純度(例えば、>99wt%)の酸化スカンジウムの製造を簡易化及び改善するために、それらの類似の不純物の濃度を下げる必要がある。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、Scを含む保存溶液から少なくとも1種の金属汚染物質を取り除く方法を提供し、この方法は、a)金属イオン交換樹脂錯体を製造するために、イオン交換樹脂と保存溶液を接触させてSc及び少なくとも1種の金属汚染物質を取り込むことと、b)Scイオン交換樹脂錯体及び使用済カルボキシラート溶液を製造するために、カルボキシラートイオンを有する塩を含む洗浄溶液でその金属樹脂錯体を洗浄することとを含む。
【0007】
別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいてカルボキシラートイオンは2.5~4.0の範囲のpKaを有する。
【0008】
さらに別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいて、塩はカルボキシラートイオンに近接するアルコール部分を含む。
【0009】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいて、可溶性金属汚染物質錯体を製造するために、カルボキシラートイオンは少なくとも1種の金属汚染物質と結合することが可能である。
【0010】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいてこの方法は、工程a)の前に、a-i)Sc、少なくとも1種の金属汚染物質及び過剰な金属イオンを含む第1の溶液を提供することと、a-ii)イオン交換樹脂にこの第1の溶液を接触させることと、a-iii)そのイオン交換樹脂に強酸を加えることで、過剰な金属イオン酸性溶液として、イオン交換樹脂から過剰な金属イオンを溶解及び除去することと、a-iv)保存溶液を形成することとを含む。
【0011】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいて過剰な金属イオンには、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)及びそれらの組み合わせの少なくとも1種が含まれる。
【0012】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいて過剰な金属イオンには、Feが含まれる。
【0013】
さらになお別の態様では、可溶性Sc溶液を製造するアルカリ性溶液とともに、イオン交換樹脂錯体からScを溶出させることをさらに含む、本明細書に記載する方法を提供する。
【0014】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいてアルカリ性溶液は、水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩を含む。
【0015】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいて少なくとも1種の金属汚染物質とは、チタン(Ti)、トリウム(Th)及びジルコニウム(Zr)の少なくとも1種である。
【0016】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいて少なくとも1種の金属汚染物質は、Tiである。
【0017】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいて塩は、クエン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、乳酸塩またはその組み合わせの少なくとも1種である。
【0018】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいて塩は、クエン酸塩である。
【0019】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいてイオン交換樹脂は、以下の官能基のうち少なくとも1種:スルホン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸モノエチル/ジエチルエステル、ホスホン酸/三級アミン、ホスホン酸/ジメチルエステル及びそれらの組み合わせを含む。
【0020】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいて洗浄溶液の温度は、65℃以下である。
【0021】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいて洗浄溶液の温度は、20℃と65℃の間である。
【0022】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいて洗浄溶液は、3.0と4.0の間のpHを有する。
【0023】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいて洗浄溶液は、約3.8のpHを有する。
【0024】
さらになお別の態様では、c)使用済カルボキシラート溶液から洗浄溶液を再生するこ
とをさらに含む、本明細書に記載する方法を提供する。
【0025】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいて、使用済カルボキシラート溶液の再生は、c-i)アルカリ性溶液中に使用済カルボキシラート溶液から金属を含む固体を沈殿させることと、c-ii)不純物を取り除いたカルボキシラート溶液を形成するために、使用済カルボキシラート溶液から金属を含む固体を分離することと、c-iii)再生させたカルボキシラート溶液を製造するために、不純物を取り除いたカルボキシラート溶液を電気透析することとを含む。
【0026】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいてアルカリ性溶液は、水酸化物を含む。
【0027】
さらになお別の態様では、c-iv)洗浄溶液として工程b)に再生させたカルボキシラート溶液を戻すことをさらに含む、本明細書に記載する方法を提供する。
【0028】
さらになお別の態様では、チタン(Ti)、トリウム(Th)及びジルコニウム(Zr)の少なくとも1種をScを含む保存溶液から取り除く方法を提供し、そこにおいてこの方法は、a)イオン交換樹脂と保存溶液を接触させて、ScならびにTi、Th及びZrの少なくとも1種を取り込んで金属樹脂錯体を製造することと、b)Scイオン交換樹脂錯体及び使用済カルボキシラート溶液を製造するために、クエン酸イオンを有する塩を含む洗浄溶液でその金属樹脂錯体を洗浄することとを含む。
【0029】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいて、Ti、Th及びZrの少なくとも1種と結合するクエン酸イオンは、可溶性Ti、Th及びZrの汚染物質錯体を製造する。
【0030】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいてこの方法は、工程a)の前に、a-i)Scと、Ti、Th及びZrの少なくとも1種と、過剰な金属イオンとを含む第1の溶液を提供することと、a-ii)イオン交換樹脂にこの第1の溶液を接触させることと、a-iii)そのイオン交換樹脂に強酸を加えることで、過剰なイオン酸性溶液として、イオン交換樹脂から過剰な金属イオンを溶解及び除去することと、a-iv)保存溶液を形成することとを含む。
【0031】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、過剰な金属イオンは、Fe、Mg、Al及びそれらの組み合わせである。
【0032】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいて過剰な金属イオンには、Feが含まれる。
【0033】
さらになお別の態様では、可溶性Sc溶液を製造するアルカリ性溶液とともに、イオン交換樹脂錯体からScを溶出させることをさらに含む、本明細書に記載する方法を提供する。
【0034】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいてアルカリ性溶液は、水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩を含む。
【0035】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいてイオン交換樹脂は、以下の官能基の少なくとも1種:スルホン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸モノエチル/ジエチルエステル、ホスホン酸/三級アミン、ホスホン酸/ジメチルエステル及びそれらの組み合わせを含む。
【0036】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいて洗浄溶液の温度は、65℃以下である。
【0037】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいて洗浄溶液の温度は、20℃と65℃の間である。
【0038】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいて洗浄溶液は、3.0と4.0の間のpHを有する。
【0039】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいて洗浄溶液は、約3.8のpHを有する。
【0040】
さらになお別の態様では、c)使用済カルボキシラート溶液から洗浄溶液を再生することをさらに含む、本明細書に記載する方法を提供する。
【0041】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいて使用済カルボキシラート溶液の再生は、c-i)アルカリ性溶液中に使用済カルボキシラート溶液から金属を含む固体を沈殿させることと、c-ii)不純物を取り除いたカルボキシラート溶液を形成するために、使用済カルボキシラート溶液から金属を含む固体を分離することと、c-iii)再生させたカルボキシラート溶液を製造するために、不純物を取り除いたカルボキシラート溶液を電気透析することとを含む。
【0042】
さらになお別の態様では、本明細書に記載する方法を提供し、そこにおいてアルカリ性溶液は、水酸化物を含む。
【0043】
さらになお別の態様では、c-iv)洗浄溶液として工程b)に再生させたカルボキシラート溶液を戻すことをさらに含む、本明細書に記載する方法を提供する。
【0044】
ここで、添付の図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1図1は、本明細書に記載するスカンジウムを含む酸性溶液から汚染物質を除去/取り除く方法の一実施形態によるイオン交換方法の流れ図を示す。
図2図2は、本明細書に記載するスカンジウムを含む酸性溶液から低濃度の金属汚染物質を除去/取り除く方法と組み合わされる一実施形態によるスカンジウム回収方法の流れ図を示す。
図3図3は、本明細書に記載するスカンジウムを含む酸性溶液から低濃度の金属汚染物質を除去/取り除く方法と組み合わされる一実施形態によるクエン酸塩の再生方法の流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本開示は、スカンジウムを含む保存溶液から少なくとも1種の金属汚染物質を取り除く方法に関する。スカンジウムは、さまざまな保存溶液中に存在する。チタン原材料の品質を向上させる方法において、概してスカンジウムは、それぞれ約30~40mg/L及び300~400mg/Lの濃度で、一部のチタンとともに保存されている塩酸中に見られる。そのような実施形態において、Scを回収するために用いられ得る保存溶液は、約5~約50、約5~約20、及び約10の質量比Ti/Scを有する場合がある。別の実施形態において、保存溶液は、約10の質量比Ti/Scを有する場合がある。
【0047】
TiO顔料を製造するためのクロライド方法と、クロール法によるチタン金属の製造とにおいて用いられる二酸化チタン原材料は、スカンジウムを回収するためにも用いられ得る。それらの実施形態において、原材料中に存在するほぼ全てのスカンジウムは、最終的に廃塩化物塩になる。この塩は、弱い塩酸に溶解することで廃塩化物溶液を製造でき、その溶液は、例えば石灰を用いて中和させることで、廃固体水酸化物の形態で金属の不純物を沈殿させることが可能である。典型的なチタン原材料の分析によると、これらの2つの方法の廃塩化物溶液中にあるSc及びTiの推定濃度は、中和する前でScが25~100mg/L、Tiが約5g/Lである。それらの実施形態において、廃塩化物溶液は、潜在的にScを回収するために用いることができ、50と200の間の質量比Ti/Scを有する。
【0048】
TiO顔料を製造するための硫酸塩方法で用いられる二酸化チタン原材料は、スカンジウムを回収するためにも用いられ得るが、そこにおいて廃硫酸溶液は、約10~50mg/LのSc及び約2~5g/LのTiを含むように製造される。廃硫酸の典型的な組成は、Li et al.(2018)及び米国特許第9,102,999号に記載されている。この実施形態において、この硫酸溶液は、約100と400の間で変化する質量比Ti/Scを有している。
【0049】
本開示は、スカンジウム保存溶液から少なくとも1種の金属汚染物質を取り除く方法に関する。用語「金属汚染物質を取り除く」は、スカンジウムを含む溶液中にある低濃度の1種または複数種の金属汚染物質を取り除くこととして理解される。一実施形態において、金属汚染物質はスカンジウムを含む保存溶液中に1g/L未満の濃度で存在し、さらにいくつかの実施形態においては、スカンジウムを含む保存溶液中に0.2~0.4g/Lの範囲で存在する。本明細書に記載する方法で取り除かれ得る金属汚染物質は、チタン(Ti)、トリウム(Th)及びジルコニウム(Zr)などで、スカンジウム(Sc)に物理的及び化学的に類似する点を有する。好ましい実施形態では、取り除かれる金属汚染物質は、チタンである。Tiは、原子の大きさ及び特性がScと類似している。Sc及びTiは、それぞれ周期表で元素21及び22である。
【0050】
本明細書に記載する方法には、イオン交換樹脂の使用が含まれる。「イオン交換樹脂」は、目的の金属イオン(例えば、スカンジウム金属イオン)と同様に、金属イオン汚染物質(例えば、鉄、マグネシウムアルミニウム、チタン、トリウム、銅及び/またはジルコニウム)に対して親和性を有する樹脂として理解される。本明細書に記載する方法によって、イオン交換樹脂を用いることで、目的の金属イオンから金属イオン汚染物質を取り除くことが可能である。
【0051】
本明細書において、保存溶液はスカンジウム(Sc)及び汚染物質を含む水性の(酸性)溶液である。いくつかの実施形態において、スカンジウムを含む保存溶液は、浮遊する固体粒子を取り除き、溶解している汚染物質(特に鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)及び/またはアルミニウム(Al))を減少させるために処理され得る。本明細書に示す通り、保存しているイオン交換溶液中に浮遊する固体または高濃度の溶解したイオン(Fe)などの汚染物質は、未処理の溶液がイオン交換カラムを通過するのをブロックし得る。したがって、汚染物質を除去する処理を施した保存溶液は、その濃度の汚染物質がイオン交換樹脂をブロックせず、過度の操作圧力を生み出さないものとして理解される。実施形態において、保存溶液は、イオン交換樹脂に接触させる前に、(選択的)溶媒の抽出にかけられ得る。別の実施形態において、保存溶液は、イオン交換樹脂に接触させる前に、(選択的)沈殿し得る。さらに別の実施形態において、保存溶液はイオン交換樹脂に接触するように配置され、さらに取り除く工程の前に酸洗浄の工程に進み得る(以下で説明する通り及び図1に示す通り)。
【0052】
取り除く方法の第1の工程では、保存溶液は、イオン交換樹脂と接触させる。用語「保存溶液を接触させる」は、イオン交換樹脂とその溶液を密接に接触させることとして理解される。これは、当業者には既知であるさまざまな方法で実施され得る。好ましい実施形態では、溶液は、イオン交換樹脂を保持しているカラムにポンプで流される。接触させる工程によって、その樹脂は、スカンジウムと同様に一部の汚染物質を取り込むことで、金属樹脂錯体を形成することが可能である。
【0053】
取り除く方法の第2の工程では、少なくとも一部の汚染物質を取り除き、さらにスカンジウムイオン交換樹脂錯体及び使用済カルボキシラート溶液を得るために、金属樹脂錯体を洗浄溶液で洗浄する。本開示の方法では、洗浄溶液は約65℃の最高温度を有し、いくつかの実施形態においては約40℃と約50℃の間の温度、さらにいくつかの実施形態においては約50℃の温度である。
【0054】
この洗浄溶液は、2.5~4の範囲のpKaを有する、少なくとも1種(及びいくつかの実施形態においては複数)のカルボキシラートイオンを有する化合物でもあり得る。このカルボキシラートイオンは、有機ポリ酸から提供され得るが、そこにおいて少なくとも1種のカルボキシラートイオンは、中和されている(別のカチオンで脱プロトン化されている)。いくつかの実施形態において、カルボキシラートイオンは、クエン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、乳酸塩と同様にそれらの組み合わせ中に存在し得る。クエン酸塩がカルボキシラートイオンを提供する実施形態において、洗浄溶液のpHは、約3.0と4.0の間であり得るが、いくつかの実施形態では、3.0と3.8の間であり得る。実施例において、洗浄溶液のpHは、少なくとも約3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8または3.9及び/または約4.0、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.2または3.1以下であり得る。
【0055】
洗浄溶液の化合物は、カルボキシラートイオンに近接したアルコール部分も含み得る。
【0056】
いくつかの実施形態において、洗浄溶液は、有機ポリ酸(例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸及び/または乳酸など)中に存在する少なくとも1種のカルボキシラートイオンを中和することで、樹脂に洗浄溶液を加える前にin situで調製される。これは、そのような中和が達成するまで、有機ポリ酸と塩基(例えば、NaOH、KOHまたはNHOH)を合わせることで実施され得る。いくつかの実施形態において、有機ポリ酸のカルボキシラート部分の全てが中和されているのではない。特定の実施形態において、有機ポリ酸は、有機ポリ酸分子によって中和される単一のカルボキシラート部分を考慮した条件下で塩基と合わせられる。例えば、カルボキシラートイオンがクエン酸から提供される場合、クエン酸ナトリウム溶液は、洗浄溶液として調製されかつ用いられる。
【0057】
いくつかの実施形態において、洗浄方法の間のカルボキシラートイオンは、少なくとも可溶性金属汚染物質錯体を製造するために、金属イオン交換樹脂錯体中に存在する少なくとも一部の汚染物質と結合し得る。用語「可溶性金属汚染物質錯体」は、金属汚染物質(必ずスカンジウムを除外する)と、カルボキシラートイオンを含む化合物との間の錯体を指す。そのため、可溶性金属汚染物質錯体は、洗浄溶液を流すことでイオン交換樹脂から除去される。
【0058】
一度洗浄工程が終了すると、イオン交換樹脂の上に載せたスカンジウムをさらに処理することでスカンジウムを溶出させて、精製された固体のスカンジウム生成物を得ることが可能である。組み合わせてまたは平行して、使用済カルボキシラート溶液の破棄、または洗浄溶液へのさらなる再生が可能である(図3に示す通り)。簡潔に言うと、アルカリ(例えばNaOH溶液)で使用済カルボキシラート溶液の固体を沈殿させて、金属を含む固体を分離してカルボキシラート溶液の不純物を取り除き、その不純物を取り除いたカルボキシラート溶液を電気透析することで、使用済カルボキシラート溶液を再生することが可能である。必要に応じて、再生させたカルボキシラート溶液を洗浄溶液として用いることが可能である。
【0059】
付属の図1及び2は、ともに保存溶液からスカンジウムを回収する方法1を示しており、そこにおいて、図1は、イオン交換に関連する方法のセクター3に関連し、そして図2は、スカンジウムの回収及び精製に関連する方法のセクター5に関する。
【0060】
操作10であるイオン交換吸着について、より詳細に説明する。固体粒子のイオン交換樹脂11をカラムの中に入れて、保持させる。スカンジウムを含む保存溶液12をカラムに通して、カラム中で保持されたイオン交換樹脂11に接触させる。スカンジウムを含む保存溶液12は、スカンジウムを抽出することが可能である、塩酸(HCl)、硫酸(HSO)、リン酸(HPO)、硝酸(HNO)及びそれらの組み合わせを含む多くの無機酸のいずれか1つであり得る。好ましい実施形態では、保存溶液は、二酸化チタン原材料(イルメナイト、チタンスラグなど)の品質向上から得られる塩酸、または二酸化チタン顔料もしくはチタン金属へ二酸化チタン原材料を変換する際に生成する廃酸を含むまたはそのものである。イオン交換樹脂は、スカンジウム(Sc)と同様に、「金属汚染物質」としてここでみなしている、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、トリウム(Th)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)などの多くの他の元素も吸着する。
【0061】
イオン交換樹脂11は、スルホン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸モノエチル/ジエチルエステル、ホスホン酸/三級アミン、ホスホン酸/ジメチルエステル及びそれらの組み合わせからなる群から選択された少なくとも1種の官能基を含む。
【0062】
Purolite(登録商標)S957は、マクロ孔質キレート樹脂として市販されており、イオン交換樹脂の実施形態である。Purolite(登録商標)樹脂は、式1に示す通り、2つの官能基であるスルホン酸カチオン交換部位(-SOH)及びホスホン酸キレート部位(-PO(OH))を有する。
【化1】
【0063】
いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、保存溶液12中のスカンジウム、チタン及びトリウムは、それぞれSc3+、TiO 、Th4+のイオンの形で存在していると仮定される。この仮定は、酸性の塩化物溶液中のSc、Ti及びThを分離する文献データで支持されるものである(Wood et al.,2006;Comb
a et al.1987;Buettner et al.,2012及びZebroski et al.,1951)。
【0064】
スルホン酸基は、反応(1)による通り、プロトン(H)を金属イオン(Mn+)と交換することが可能である。
【化2】
式中、(r)は樹脂表面上の化学種であり、さらに(aq)は大量の水溶液中の化学種を示す。
【0065】
これは、Fe3+、Al3+、Mg2+及びCa2+が樹脂に付着するメカニズムであると考えられる。したがって、濃縮された再生塩酸または購入した不純物の入っていない塩酸などのさらに強い酸溶液を樹脂に通すことによって、一部の汚染物質(特にFe)は、実質的に樹脂から除去される。
【0066】
対照的に、ホスホン酸基は、水性の金属イオンと少し異なる結合を形成する。
【0067】
弱い酸溶液中でのホスホン酸基との吸着は、反応(2)及び(3)で一般化され得る。
【化3】
【0068】
強酸溶液において、金属イオンは、反応(4)で一般化される通り、ホスホリル基のP=O結合の酸素と強い配位錯体を形成することが可能である。
【化4】
【0069】
一部の金属イオンに対して、ホスホン酸基と金属カチオンとの結合は非常に強いので、溶液の酸度を増加させる、すなわち反応(2)、(3)または(4)を反転させるだけではこの結合を反転させることはできない。イオンSc3+、TiO2+、Th4+及びおそらくZrO2+は、ホスホン酸基とこのような強い錯体を形成する可能性があり、強酸の洗浄によって除去することができない。ホスホン酸-金属結合を切断するためには、別のさらに強い水性の錯体形成薬が必要になると考えられる。
【0070】
したがって、イオン交換吸着の操作10では、2つの方法のストリームである、カラムを出るスカンジウムの少ない保存酸13(「抽出ラフィネート」)と、スカンジウム及びFe、Mg、Al、Ca、Ti、Th、Zrなどの一部の金属イオン不純物を保持するカラム中の樹脂15とを製造する。
【0071】
図1に戻り、操作20(「Feなどの洗浄」)は、イオン交換樹脂11中を洗浄する第1の任意の操作であり、そこにおいて、保存溶液12中に見られ、さらに樹脂15上に結合している大量/過剰な金属イオン(反応(1)により除去された可能性のあるFe、Mg、Al、Caなど)は除去される。樹脂15のこの第1の大量の洗浄は、強酸22、好
ましくはHClで行う。この第1の不純物洗浄酸22は、混合酸であってもよく、好ましくは10~25wt%濃度のHClを有している。したがって、第1の洗浄酸22は、再生酸の一般的な濃度範囲にある。第1の洗浄酸22は、樹脂11から、大量のイオンFe、Mg、Al、Ca及びその他の不純物(と同様に一部のSc、Ti、Th及びZrイオン)を放出するスルホン酸基にプロトンを付加すると考えられる。この第1の洗浄酸22は、溶解したFe不純物を含むFe不純物洗浄ラフィネート溶液23を介してカラムを出る。第1の洗浄操作20によって、本明細書に記述される汚染物質を取り除く方法に適切なカラムの中に樹脂25が提供される。
【0072】
操作20の後に、スカンジウム及び任意の残存する類似の金属(Ti、Th及びZr)不純物錯体/錯体(複数)は、おそらくはホスホン酸基に結合して、樹脂25上に残存する。この取り除く方法(操作30:「Tiなどの洗浄」)では、カルボキシラート洗浄溶液32がカラムに加えられて、さらにそれは塩であるまたは塩を含む。好ましい実施形態では、カルボキシラート洗浄溶液32は、3.0~4.0のpH(及びいくつかの実施形態では、pHは3.8)及び周囲温度と65℃の間の温度(及びいくつかの実施形態では、50℃)を有するクエン酸ナトリウム溶液を含む、またはその溶液である。カルボキシラート洗浄溶液32は、樹脂から吸着した類似の金属(Ti、Th及びZr)不純物のほとんどを除去するが、スカンジウムは除去しないように意図される。カルボキシラート洗浄溶液32は、溶解して吸着したような金属を含む使用済カルボキシラートイオン溶液33を介してカラムから出て、樹脂35に入る。
【0073】
いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、チタンはクエン酸イオンと強い水性錯体を形成し得る。例えば、[Ti(Hcit)2-錯体アニオン(式中、「cit」は、クエン酸塩アニオンC 3-である)は、pH3~4で支配的である。チタン洗浄操作は、反応(5)に基づいて理解され得る。
【化5】
【0074】
クエン酸ナトリウム(NaHcit)溶液は、クエン酸(Hcit)溶液をpH3~4、好ましくはpH3.8に中和することで調製され得る。上のチタン洗浄反応における、チタン(Ti)とクエン酸塩(cit)の化学量論比は3と等しい。
【0075】
トリウムは、約3.8のpHで強い可溶性クエン酸塩錯体を形成することが可能であると推測される。したがって、かなりの割合のトリウムは、載せた樹脂をクエン酸ナトリウム溶液で洗浄する場合にも洗浄することが可能であり、これは、洗浄温度が周囲温度から約50℃、または樹脂の熱的安定性の限界に応じてさらに高温になるとさらに顕著になる。
【0076】
図1で示す方法において、スカンジウムは、アルカリ性水溶液43、典型的には炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム及び水酸化アンモニウムの溶液を5~20wt%の濃度範囲で、いくつかの実施形態では、約15wt%の濃度の炭酸ナトリウム溶液で任意に樹脂から取り除く(工程40の「溶出」)ことも可能である。水性アルカリ性溶液43は、溶出液45(スカンジウムを含む)とともにカラムから出る。
【0077】
任意の操作50及び60において、アルカリ性溶液で取り除かれた樹脂は、水で洗浄して新たな塩酸(例えば5~15wt%HCl)で再生させることで、吸着段階(操作10
)で再び使用できる。
【0078】
いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、スカンジウムは炭酸ナトリウム溶液を用いることで、Scを載せたイオン交換樹脂から容易に除去されることが知られている。炭酸ナトリウムが過剰になると、メカニズムは以下になると考えても差し支えない。
【化6】
【0079】
図2に示す通り、スカンジウムがカラムから溶出すればさらに精製することが可能である。スカンジウムを含む「溶出液」45はまだ相当にアルカリ性であるが、ろ過または遠心分離をする(操作70:固体/液体分離)ことで、あらゆる入り込んだ固体(金属イオン加水分解によって形成した残存化合物)を除去することが可能である。操作70の固体77は、洗浄して、何らかの酸で中和して、残渣85として廃棄することができる(操作80)。操作70の後、スカンジウムを含む「溶出液」75は、溶出液45から実質的には変化していない。操作90において、溶出液75を強酸93(例えば、18~35wt%HCl)で中和(例えば、pH6.5)することで、固体の粗製(不純物がある)スカンジウム水酸化物/炭酸塩/重炭酸塩95が沈殿し得る。固体の粗製スカンジウム沈殿物95を洗浄して、固体/液体分離(操作100)をすることにより、洗浄した固体粗製(不純物がある)スカンジウム水酸化物/炭酸塩105として回収できる。操作110において、スカンジウムは酸溶液113(18~35wt%HCl)、好ましくはpH2.5及び90℃で、粗製スカンジウム沈殿物105から浸出し得る。操作110の生成物は、スカンジウムを含む浸出液及び不溶の固体からできたスラリー115である。さらなる固体-液体分離(操作120)の後に、スカンジウム浸出液125を得る。溶液125は、シュウ酸133で処理することで、スラリー135中にスカンジウムシュウ酸塩結晶を沈殿させることが可能である(操作130)。スカンジウムシュウ酸塩結晶145は、ろ過(操作140)で回収することができ、この結晶を酸化スカンジウム生成物155まで最終的に約900℃で数時間焼成する(操作150)。
【0080】
酸化スカンジウム生成物155の最終純度が、精製に入るスカンジウム溶出液45の最初の純度に直接的に影響を受けることは、当業者には理解される。本明細書に記載する方法により、スカンジウム溶出液の純度を向上させることで、酸化スカンジウム生成物の最終純度が上がる。
【0081】
図3は、さらにクエン酸ナトリウムを洗浄溶液として用いる場合のスカンジウムを取り除く方法の利点及び特にクエン酸ナトリウムが電気透析で再生され得る方法について示しており、この方法は、今の方法にコスト上の重大な利点をもたらすものである。操作30で得られた使用済カルボキシラート(クエン酸)イオン溶液33は、水酸化ナトリウム36で沈殿させることが可能である(操作30a中)。操作30cで電気透析したクエン酸塩の水相39(ろ液)から分離したチタンを含む廃棄された不純物38で、不純物のスラリー37は、操作30b中で分離され得る。pHを混合及び制御した後のクエン酸ナトリウム溶液39bは、再生させたカルボキシラート洗浄溶液39bとして、Ti洗浄操作30に戻す用意が整う。再生させた水酸化ナトリウム溶液39aは、操作30aに戻すか、または操作30dで(新しい)クエン酸39cと混合することで新たなクエン酸ナトリウム溶液39dを形成し得るが、これはカルボキシラート洗浄溶液32として用いられ得る。
【0082】
実施例1
操作10-イオン交換吸着
高さが61cm(24in)で内径が2.54cm(1in)の寸法であるガラスカラムに、250mLのPurolite(登録商標)S957樹脂を充填し、TiOスラグアップグレードプラントの塩酸保存溶液を処理した。
【0083】
保存溶液12は、あらかじめろ過をして、5μmより大きいサイズの浮遊するあらゆる固体を除去しておいた。前ろ過後、スカンジウムを吸着させるために、保存溶液(「供給溶液」)12を、樹脂を充填したカラムにポンプで流した。ある吸着試験では、このカラムを流れる保存溶液12の流速は、蠕動ポンプを用いて1.32L/hまたは5.28床速度/時間(BV/h)で一定に保った。カラムは、温水で55℃まで加熱した。サンプルをさまざまな時間間隔でアウトフローから採取して、さまざまな元素について分析した。さらに、カラムを出た(「抽出ラフィネート」)スカンジウムが少ない保存酸13(ここで全抽出ラフィネートを特定した)を回収して、分析した。表1では、供給溶液(Scを含む保存酸)12及び200BV(50L)の後の全抽出ラフィネート13の分析について示す。
【0084】
【表1】
【0085】
表1に示す通り、この樹脂は、スカンジウム(Sc)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)及びトリウム(Th)に対して高い親和性を有している。この樹脂は、鉄(Fe)に対しても相当の親和性を示している。
【0086】
操作20-イオンの洗浄
操作10のスカンジウム及びその他の金属イオンを載せた樹脂を、前述の通り、第1の不純物洗浄ストリーム22用の2種類の酸、まず2L(8BV)の工業用に再生させた18wt%塩酸(「洗浄供給液1」)で、次に1L(4BV)の不純物の入っていない18wt%塩酸(「洗浄供給液2」)で連続して処理したが、これは樹脂上に吸着した一部の鉄を除去できるかどうかを確認するためである。洗浄試験の温度は55℃で、流速は0.66L/h(2.64BV/h)で一定であった。下の表2では、洗浄供給液の分析及び蓄積した洗浄溶出液(「洗浄ラフィネート1」及び「洗浄ラフィネート2」)の分析について示す。
【0087】
【表2】
【0088】
表2に示す通り、吸着した一部の鉄及び吸着したチタンの約10%が除去された。洗浄された鉄の正確なパーセントは、鉄分析の際に不正確な点があったために推定はできなかった。しかし、その後の方法の工程(操作30~150)の試験によると、操作20を行うことで、最終酸化スカンジウム生成物に対する、鉄による任意の汚染を効果的に防ぐことが示された。
【0089】
操作30-チタン、トリウム及びジルコニウムの洗浄
酸洗浄操作20の後、実施例1の樹脂を1.5L(6BV)の純水を用いて一定の流速2.64L/h(10.56BV/h)、周囲温度において洗浄した。次に、洗浄した樹脂をクエン酸ナトリウムのカルボキシラート洗浄溶液32で処理して、吸着したチタンの大部分を除去した。クエン酸ナトリウム溶液は、水酸化ナトリウムでpH3.8に中和した15wt%クエン酸溶液から前もって調製した。合計2.5L(10BV)のクエン酸ナトリウム溶液を、0.66L/h(2.64BV/h)の一定の流速及び周囲温度でカラムにポンプで押し出した。下の表3では、蓄積したチタン洗浄溶出液33(「洗浄ラフィネート3」)の組成を示す。
【0090】
【表3】
【0091】
表3に示す通り、一部のチタン(約25wt%)を除去した。実質的に未検出であるカラムに蓄積していた一部のトリウム及び一部のジルコニウムも除去した。
【0092】
別の同様の実験では、50℃に加熱した15wt%クエン酸ナトリウムを有する別のカ
ルボキシラート洗浄溶液32で洗浄を繰り返した。他の全ての条件は同じものであった。以下の表4で示す結果では、より高い温度では、チタン、トリウム及びジルコニウムのイオンの洗浄が良好になることが明確に示されている。特にチタンについては、樹脂から全て除去されている。
【0093】
【表4】
【0094】
操作40-スカンジウムの溶出
クエン酸ナトリウム溶液で洗浄した後に、樹脂を1.5L(6BV)の純水を用いて、一定の流速2.64L/h(10.56BV/h)、周辺温度で洗浄した(操作40)。水で洗浄した後、樹脂を15wt%炭酸ナトリウムを含む溶液で処理した。合計1.25L(5BV)の炭酸ナトリウム溶液を一定の流速1.98L/h(7.92BV/h)及び周囲温度でカラムにポンプで押し出した。
【0095】
表5では、チタン、トリウム及びジルコニウムの洗浄(操作30)を室温(約25℃)で行った場合のスカンジウム(「溶出液」)が豊富である、蓄積したSc溶出液45の組成を提供する。
【0096】
【表5】
【0097】
表5から、約95%のスカンジウムまたはそれ以上が、溶出液中から回収されたことが推定できる。この結果から、一部のチタン及び一部のジルコニウムを含む溶出液は前の操作30で洗浄されないことが示された。
【0098】
実施例2
操作30-さらに濃縮したクエン酸ナトリウム溶液を用いた、高温下のチタン、トリウム及びジルコニウムの洗浄
表6では、チタン、トリウム及びジルコニウムの洗浄を50℃及び室温(25℃)でpH3.5の20wt%クエン酸ナトリウム溶液を用いた場合の、累積した使用済カルボキシラートイオン溶液33における組成の比較について示す。
【0099】
【表6】
【0100】
表6から明らかであるように、クエン酸ナトリウムの比較的温かいカルボキシラート洗浄溶液32で第2の洗浄(操作30)を行った場合、樹脂から除去されるチタン、ジルコニウム及びトリウムの量は、さらに多かった。
【0101】
操作50及び60-樹脂の洗浄及び再生
溶出後、最後に一度だけ周囲温度で純水を用いて樹脂をすすいだ。最後に、樹脂を10wt%塩酸(HCl)溶液で処理して、別の吸着-洗浄-溶出サイクルにおけるスカンジウム回収にその樹脂を用いるために、その活性成分を回復させ、樹脂を再生させた。
【0102】
実施例3
操作40-チタン、トリウム及びジルコニウムの事前洗浄を行わないスカンジウムの溶出
酸洗浄(操作20)の後、樹脂を1.5L(6BV)の純水を用いて一定の流速2.64L/h(10.56BV/h)、周囲温度において洗浄した。水で洗浄した後の樹脂はさらに洗浄する対象ではないが、樹脂上に吸着したスカンジウムを溶出させるために、15wt%炭酸ナトリウムを含むアルカリ性溶液43で直ちに処理した。
【0103】
溶出中、白色沈殿物がカラムの内側に形成したことを確認した。この沈殿物は、目に見える塊が形成されるまで非常に深くなった。最終的にカラムがブロックされたので、溶出を停止させなければならなかった。樹脂でろ過した水溶液を分析したところ、固まった塊は、チタンが豊富であることが推論された。
【0104】
実施例4
操作30a~30d-クエン酸ナトリウム溶液の再生
操作30で回収した約25Lの洗浄ラフィネート23を水酸化ナトリウム36で処理して、pHを約12まで上げた。この方法で、固体水酸化物の形態のチタン及びその他の不純物を沈殿させた(操作30a)。得られた不純物スラリー37をろ過して、不純物を含む固体を廃棄(38)した(操作30b)。
【0105】
16Lのろ液を電気透析装置で行った電気透析試験(操作30c)の陽極液として用いた。水酸化ナトリウム溶液(17g/L NaOHを8L)を同じ電気透析装置中の陰極液として用いた。電気透析装置は、(a)カチオン交換膜及びバイポーラ膜が交互になることで分離された12のコンパートメント、(b)一端にステンレス製カソード及び(c)もう一端にプラチナ/イリジウムでコートしたチタンから製造した寸法安定性のアノード(DSA)からなった。各膜は、380cmの活性区域を有していた。リザーバーと各電気透析のコンパートメントの間にある閉回路中で、陽極液と陰極液の両方を再循環させた。
【0106】
この試験を約1時間55分間続けた。水酸化ナトリウムの濃縮溶液(116g/L NaOHを8L)をカソード側に製造し、クエン酸ナトリウムの濃縮溶液(pH3.8の153g/Lクエン酸塩)をアノード側に製造した。電流密度は、150mA/cm(1500A/m)であった。クエン酸ナトリウムを製造するための電流効率は、81%に等しく、水酸化ナトリウムを製造するための電流効率は85%であり、推定エネルギー消費量については、クエン酸ナトリウムは1.63kWh/kg、水酸化ナトリウムは2.60kWh/kgであることがわかった。反応の全体は、以下の通り簡易化した形態で記述することができる。
【化7】
【0107】
再生させたクエン酸ナトリウム洗浄溶液32は、チタン及びトリウムの洗浄(操作30)で用いられ、一方再生させた水酸化ナトリウムは、洗浄ラフィネート33の不純物を沈殿させるため(操作30a)、さらに最終pHが3.8になるまで新しいクエン酸溶液と混合することで、新たな(再生)クエン酸ナトリウム溶液を製造する際に用いられる。
【0108】
実施例3の試験によると、クエン酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムの少なくとも50%は、およそ2時間で再生し得る。このことは、クエン酸ナトリウムで洗浄すること(すなわち、本発明)の重大なコスト上の利点を与えるものである。
【0109】
上の説明は、例示的であることのみが意図されており、開示された本発明から逸脱することなく、説明された実施形態に変更を加えることができることを当業者であれば理解されよう。本開示の検討に照らして、本発明の範囲内に含まれるさらに他の修正が当業者には明らかとなり、このような修正は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。
【0110】
参考文献
Y.Li et al.,Hydrometallurgy,vol.178(2018)。
米国特許第9,102,999号。
S.A.Wood et al.,Ore Geol.Rev.,vol.28(2006),pp.57-102。
P.Comba and A.Merbach,Inorg.Chem.,vol26(1987),pp.1315-1323。
K.M.Buettner and A.M.Valentine,Chem.Rev.,vol.112(2012),pp.1863-1881。
E.L.Zebroski et al.,Am.Chem.Soc.,vol.73(1951),pp.5646-5650。
[1]Scを含む保存溶液から少なくとも1種の金属汚染物質を取り除く方法であって、前記方法が、
a)金属イオン交換樹脂錯体を製造するために、イオン交換樹脂と前記保存溶液を接触させてSc及び前記少なくとも1種の金属汚染物質を取り込むことと、
b)Scイオン交換樹脂錯体及び使用済カルボキシラート溶液を製造するために、2.5~4.0の範囲のpKaを有するカルボキシラートイオンを有する塩を含む洗浄溶液で前記金属樹脂錯体を洗浄することとを含む、前記方法。
[2]可溶性金属汚染物質錯体を製造するために、前記カルボキシラートイオンが、前記少なくとも1種の金属汚染物質と結合することが可能である、[1]に記載の方法。
[3]工程a)の前に、前記方法が、
a-i)Sc、前記少なくとも1種の金属汚染物質及び過剰な金属イオンを含む第1の溶液を提供する工程と、
a-ii)前記第1の溶液を前記イオン交換樹脂と接触させる工程と、
a-iii)前記イオン交換樹脂に強酸を加えることで、過剰な金属イオン酸性溶液として、前記イオン交換樹脂から前記過剰な金属イオンを溶解及び除去する工程と、
a-iv)前記保存溶液を形成する工程とを含む、[1]または[2]に記載の方法。
[4]前記過剰な金属イオンに、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)及びそれらの組み合わせの少なくとも1種が含まれる、[3]に記載の方法。
[5]前記過剰な金属イオンにFeが含まれる、[4]に記載の方法。
[6]アルカリ性溶液で、前記イオン交換樹脂錯体からScを溶出させ、可溶性Sc溶液を製造することをさらに含む、[1]~[5]のいずれか1つに記載の方法。
[7]前記アルカリ性溶液が、水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩を含む、[6]に記載の方法。
[8]前記少なくとも1種の金属汚染物質が、チタン(Ti)、トリウム(Th)、またはジルコニウム(Zr)である、[1]~[7]のいずれか1つに記載の方法。
[9]前記少なくとも1種の金属汚染物質がTiである、[8]に記載の方法。
[10]前記塩が、クエン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、乳酸塩及びそれらの組み合わせの少なくとも1種である、[1]~[9]のいずれか1つに記載の方法。
[11]前記塩がクエン酸塩である、[10]に記載の方法。
[12]前記イオン交換樹脂が、以下の官能基の少なくとも1種:スルホン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸モノエチル/ジエチルエステル、ホスホン酸/三級アミン、ホスホン酸/ジメチルエステル及びそれらの組み合わせを含む、[1]~[11]のいずれか1つに記載の方法。
[13]前記洗浄溶液の温度が65℃以下である、[1]~[12]のいずれか1つに記載の方法。
[14]前記洗浄溶液の温度が、20℃と65℃の間である、[13]に記載の方法。
[15]前記洗浄溶液が、3.0と4.0の間のpHを有する、[1]~[14]のいずれか1つに記載の方法。
[16]前記洗浄溶液が、約3.8のpHを有する、[1]~[15]のいずれか1つに記載の方法。
[17]c.前記使用済カルボキシラート溶液から前記洗浄溶液を再生することをさらに含む、[1]~[16]のいずれか1つに記載の方法。
[18]前記使用済カルボキシラート溶液の再生が、
c-i)アルカリ性溶液中に使用済カルボキシラート溶液から金属を含む固体を沈殿させることと、
c-ii)不純物を取り除いたカルボキシラート溶液を形成するために、前記使用済カルボキシラート溶液から前記金属を含む固体を分離することと、
c-iii)再生させたカルボキシラート溶液を製造するために、前記不純物を取り除いたカルボキシラート溶液を電気透析することとを含む、[17]に記載の方法。
[19]前記アルカリ性溶液が水酸化物を含む、[18]に記載の方法。
[20]c-iv)前記洗浄溶液として工程b)に前記再生させたカルボキシラート溶液を戻すことをさらに含む、[18]または[19]に記載の方法。
[21]Scを含む保存溶液から、チタン(Ti)、トリウム(Th)及びジルコニウム(Zr)の少なくとも1種を取り除く方法であって、前記方法が、
a)イオン交換樹脂と前記保存溶液を接触させて、Scならびに前記Ti、Th及びZrの少なくとも1種を取り込んで金属樹脂錯体を製造することと、
b)Scイオン交換樹脂錯体及び使用済カルボキシラート溶液を製造するために、3.0と4.0の間のpHで、クエン酸イオンを有する塩を含む洗浄溶液で前記金属樹脂錯体を洗浄することとを含む、前記方法。
[22]前記少なくとも1種のTi、Th及びZrと結合する前記クエン酸イオンが、可溶性Ti、Th及びZrの汚染物質錯体を製造する、[21]に記載の方法。
[23]工程a)の前に、前記方法が、
a-i)Scと、前記少なくともTi、Th及びZrと、過剰な金属イオンとを含む第1の溶液を提供する工程と、
a-ii)前記第1の溶液を前記イオン交換樹脂と接触させる工程と、
a-iii)前記イオン交換樹脂に強酸を加えることで、過剰なイオン酸性溶液として、前記イオン交換樹脂から前記過剰な金属イオンを溶解及び除去する工程と、
a-iv)前記保存溶液を形成する工程とを含む、[21]または[22]に記載の方法。
[24]前記過剰なイオンが、Fe、Mg、Al及びそれらの組み合わせである、[23]に記載の方法。
[25]前記過剰な金属イオンにFeが含まれる、[24]に記載の方法。
[26]アルカリ性溶液で、前記イオン交換樹脂錯体からScを溶出させ、可溶性Sc溶液を製造することをさらに含む、[21]~[25]のいずれか1つに記載の方法。
[27]前記アルカリ性溶液が、水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩を含む、[26]に記載の方法。
[28]前記イオン交換樹脂が、以下の官能基の少なくとも1種:スルホン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸モノエチル/ジエチルエステル、ホスホン酸/三級アミン、ホスホン酸/ジメチルエステル及びそれらの組み合わせを含む、[21]~[27]のいずれか1つに記載の方法。
[29]前記洗浄溶液の温度が65℃以下である、[21]~[28]のいずれか1つに記載の方法。
[30]前記洗浄溶液の温度が20℃と65℃の間である、[29]に記載の方法。
[31]前記洗浄溶液が約3.8のpHを有する、[21]~[30]のいずれか1つに記載の方法。
[32]c.前記使用済カルボキシラート溶液から前記洗浄溶液を再生することをさらに含む、[21]~[31]のいずれか1つに記載の方法。
[33]前記使用済カルボキシラート溶液の再生が、
c-i)アルカリ性溶液中に前記使用済カルボキシラート溶液から金属を含む固体を沈殿させることと、
c-ii)不純物を取り除いたカルボキシラート溶液を形成するために、前記使用済カルボキシラート溶液から前記金属を含む固体を分離することと、
c-iii)再生させたカルボキシラート溶液を製造するために、前記不純物を取り除いたカルボキシラート溶液を電気透析することとを含む、[32]に記載の方法。
[34]前記アルカリ性溶液が水酸化物を含む、[33]に記載の方法。
[35]c-iv)前記洗浄溶液として工程b)に前記再生させたカルボキシラート溶液を戻すことをさらに含む、[33]または[34]に記載の方法。
図1
図2
図3