(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182615
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】凍結融解添加剤組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 201/00 20060101AFI20231219BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20231219BHJP
C09K 23/42 20220101ALI20231219BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D7/63
C09K23/42
C09K3/00 102
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023149741
(22)【出願日】2023-09-15
(62)【分割の表示】P 2021559558の分割
【原出願日】2019-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】チョン、リン
(72)【発明者】
【氏名】チー、チン
(72)【発明者】
【氏名】シェン、チョン
(72)【発明者】
【氏名】ム-、チェンハイ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】塗料配合物の凍結融解性能を改善するために、特定の界面活性剤および特定の凍結防止化合物のブレンドを提供する。
【解決手段】(a)少なくとも1つの凍結防止化合物と、(b)少なくとも1つの乳化剤と、を含む、凍結融解安定剤添加剤組成物であって、前記凍結融解安定剤添加剤組成物が、安定性を有する塗料配合物を提供し、前記塗料配合物の粘度が、凍結融解安定性試験前および後にストーマー粘度計を使用して23℃で測定される場合、前記配合物が、GB/T-9168-2008に記載の凍結融解安定性試験に供された後、前記塗料配合物の粘度の変化が、0パーセント~10パーセント未満であるような、凍結融解安定剤添加剤組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1つの凍結防止化合物と、(b)少なくとも1つの乳化剤と、を含
む、凍結融解安定剤添加剤組成物であって、前記凍結融解安定剤添加剤組成物が、安定性
を有する塗料配合物を提供し、前記塗料配合物の粘度が、凍結融解安定性試験前および後
にストーマー粘度計を使用して23℃で測定される場合、前記配合物が、GB/T-91
68-2008に記載の凍結融解安定性試験に供された後、前記塗料配合物の粘度の変化
が、0パーセント~10パーセント未満であるような、凍結融解安定剤添加剤組成物。
【請求項2】
前記凍結防止化合物が、グリセリンアルコキシレート、ペンタエリスリトールアルコ
キシレート、ソルビトールアルコキシレート、およびそれらの混合物からなる群から選択
される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つの乳化剤が、C12~C14第一級もしくは第二級アルコキシレ
ート、ヒマシ油エトキシレート、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、ブ
チレンオキシド、またはそれらの混合物を含む、請求項1または請求項2に記載の組成物
。
【請求項4】
前記凍結融解安定剤添加剤組成物が、粒子凝集、沈降、またはケーキングを欠く外観
を有する塗料配合物を提供する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記凍結融解安定剤添加剤組成物が、(i)0重量パーセント~1重量パーセント未
満のVOCレベル、および(ii)0重量パーセント~0.1重量パーセント未満のAP
Eレベルを有する塗料配合物を提供する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記凍結融解安定剤添加剤組成物が、ASTM D2486-74Aに記載の手順に
従って測定されるようにプロピレングリコールを含むものの60パーセント~120パー
セントのスクラブ耐性を有する塗料配合物を提供する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記乳化剤が、アルコキシル化乳化剤またはその誘導体である、請求項1に記載の組
成物。
【請求項8】
前記凍結防止化合物の濃度が、1重量パーセント~99重量パーセントであり、前記
乳化剤の濃度が、1重量パーセント~99重量パーセントであり、それぞれ、前記組成物
の総重量に基づく、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
(a)少なくとも1つの凍結防止化合物と、(b)少なくとも1つの乳化剤と、を混
合することを含む、凍結融解安定剤添加剤組成物を作製するためのプロセス。
【請求項10】
(a)グリセリンアルコキシレート、ペンタエリスリトールアルコキシレート、ソル
ビトールアルコキシレート、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも
1つの凍結防止化合物と、(b)C12~C14第一級もしくは第二級アルコキシレート
、ヒマシ油エトキシレート、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、ブチレ
ンオキシド、またはそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの乳化剤と
、を含む、凍結融解安定剤添加剤組成物。
【請求項11】
(A)樹脂系と、(B)請求項1に記載の凍結融解安定剤添加剤組成物と、を含む、
塗料配合物。
【請求項12】
前記樹脂系、成分(A)が、アクリルポリマー、スチレン-アクリルポリマー、酢酸
ビニル-アクリルポリマー、エチレン-酢酸ビニルポリマー、およびそれらの混合物から
なる群から選択される少なくとも1つの結合剤を含む、請求項11に記載の塗料配合物。
【請求項13】
前記結合剤が、前記塗料配合物の総重量に基づいて、5重量パーセント~60重量パ
ーセントの濃度で存在する、請求項12に記載の塗料配合物。
【請求項14】
水性塗料配合物を含む、請求項11に記載の塗料配合物。
【請求項15】
(A)樹脂系と、(B)請求項1に記載の凍結融解安定剤添加剤組成物と、を混合す
ることを含む、塗料配合物を作製するためのプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料配合物に有用な凍結融解安定剤添加剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ラテックス塗料配合物は、一般に、非常に複雑な組成物で構成されており、複数の許
容可能な特性を有さなければならず、複数の性能基準を満たさなければならない。凍結融
解(FT)安定性は、ラテックス塗料配合物が良好な品質の建築塗料を確保するために示
すべき重要な特性のうちの1つである。FT安定塗料配合物は、凍結および融解すること
ができ、依然として滑らかで加工可能な材料のままである。適切なFT特性を有する塗料
配合物を達成するために、FT安定剤添加剤は、典型的には、塗料配合物に添加される。
エチレングリコール(EG)およびプロピレングリコール(PG)は、塗料業界で最も広
く受け入れられているFT安定剤である。EGおよびPGは、水および塗料配合物に容易
に溶解し、塗料配合物において安定剤として使用されるこれらの化合物は、低投与量での
凍結および融解サイクル中に塗料配合物を安定に保つのに効率的である。しかしながら、
EGおよびPGは、強い揮発性を有し、揮発性有機化合物(VOC)の主要な供給源の1
つとみなされる。環境を保護するための政府規制の圧力が高まるにつれて、建築塗料に存
在するVOCの量を低減することが非常に望ましい。また、高性能で環境にやさしい塗料
配合物用FT安定剤は、塗料顧客による需要が高い。
【0003】
EGおよびPG安定剤の非VOC代替物として、トリスチリルフェノール(TSP)
エトキシレート界面活性剤が塗料業界で受け入れられている。TSPタイプの界面活性剤
は、現在「非アルキルフェノールエトキシレート(非APE)ベース」添加剤または「ア
ルキルフェノールエトキシレートフリー」(APEフリー)添加剤として分類されるが、
TSPタイプの界面活性剤は、おそらく、TSP界面活性剤の主要な構造がトリスチリル
フェノールで開始されるエトキシレートであるため、当業者によってAPE(アルキルフ
ェノールエトキシレート)添加剤とみなされ得る。しかしながら、TSPタイプの界面活
性剤の性能の観点から、FT添加剤として使用されるTSPタイプの界面活性剤は、塗料
業界では、高い(例えば、[>]50パーセント[%]超の)顔料体積濃度[PVC]含
有量を有するミドルエンドの塗料配合物における使用について性能が低いと考えられてい
る。同時に、一部の塗料顧客および配合者は、TSPタイプの生成物が他の安定剤生成物
よりも高価であるだけでなく、TSPエトキシレートの使用がスクラブ耐性に関連する性
能などの塗料性能に悪影響を有していると訴えている。したがって、水性塗料配合物で使
用するための環境に優しい(非VOC、非APEベースの)FT安定剤組成物を提供する
ことが非常に望ましく、FT安定剤組成物は、既知のPGおよびTSPと比較した場合に
同等または増加したFT性能を有する。エトキシレート界面活性剤;FT安定剤組成物は
、耐スクラブ性などの他の塗料特性を改善を提供する。
【0004】
これまで、様々な界面活性剤組成物を使用して塗料配合物のFT性能を改善する試み
がなされてきた。例えば、米国特許第8,993,658(B2)号は、界面活性剤組成
物およびそのような界面活性剤組成物の水性組成物のための使用を開示しており、ArO
-[CH2CH-(CH2CH3)]1-10(CH2CH2O)5-50Hが、水性塗
料組成物におけるFT安定性を改善することを教示する。しかしながら、上記特許は、同
時に水性塗料組成物のFT安定性を増加させながら、水性塗料組成物に対して他の改善を
提供しない。
【0005】
組成物のFT性能の改善に加えて、様々な成分を使用する組成物中のVOCの含有量
を低下させる試みがなされてきた。例えば、米国特許第8,119,717 B2号は、
建設業界によって保護または装飾として使用されるコーティング組成物を開示する。コー
ティングは、ラテックス成分、および揮発性合体溶媒を置換する薬剤を含み、得られるコ
ーティング組成物は、低VOC含有量(例えば、1モル当たり132グラム[g/mol
]以上の分子量[Mw])を有する。組成物は、(1)低VOC合体剤成分として使用さ
れるC10-ゲルベアルコールアルコキシレート、および(2)凍結融解添加剤として使
用されるポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコール(PPG)
を含む。しかしながら、上記特許で教示される塗料配合物は、複雑であり、塗料配合物に
対して記載される利点を達成するために複数の成分を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
いくつかの塗料配合物は、FT添加剤として使用され得る成分を含有し得るが、塗料
業界では、塗料配合物のFT性能を改善するために特定の界面活性剤および特定の凍結防
止化合物のブレンドを提供することが望まれる。
【0007】
先行技術の問題は、FT安定剤添加剤組成物が特定の凍結防止化合物および特定の乳
化剤の混合物を含む、塗料配合物に有用なFT安定剤添加剤組成物に関する本発明によっ
て解決される。いくつかの実施形態では、そのような混合物は、塗料配合物の粘度変化に
関連する相乗効果を提供する。驚くべきことに、相乗効果は、特定の凍結防止化合物およ
び特定の乳化剤の所定の混合比を使用して、FT安定剤添加剤組成物を含有する塗料配合
物のFT性能を改善するときに生じる。
【0008】
本発明の新規FT安定剤添加剤組成物は、組成物が非VOCおよび非APEベースの
利点を示す一方で、例えば、異なるタイプの樹脂系から作製された塗料配合物における良
好なFT安定化効果を含み、様々な実施形態においていくつかの利点を示す。塗料配合物
における組成物の性能評価はまた、いくつかの実施形態では、従来のTSPタイプの生成
物と比較して改善されたスクラブ耐性を示す。さらに、本発明のFT添加剤組成物は、例
えば、従来の複雑な合成経路に頼ることなく、単純な混合ステップによって容易に生成す
ることができる。
【0009】
一実施形態では、本発明は、例えば、(a)グリセリンアルコキシレート、ペンタエ
リスリトールアルコキシレート、ソルビトールアルコキシレートなどのような少なくとも
1つの凍結防止化合物と、(b)C12~C14一次または二次エトキシレート、エチレ
ンオキシド(EO)/プロピレンオキシド(PO)ブロックコポリマー、ヒマシ油エトキ
シレート、イソオクタノールアルコキシレート、イソデカノールアルコキシレートなどの
ような少なくとも1つの乳化剤と、(c)所望に応じていずれかの任意の化合物と、を含
む、FT安定剤添加剤組成物を提供する。
【0010】
別の実施形態では、本発明は、上記FT安定剤添加剤組成物を作製するためのプロセ
スを提供する。
【0011】
また別の実施形態では、本発明は、例えば、(A)樹脂系、(B)上記FT安定剤添
加剤組成物、および(C)いずれかの所望の任意の化合物を含む塗料配合物を提供する。
【0012】
さらに別の実施形態では、本発明は、上記塗料配合物を作製するためのプロセスを提
供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、配合物に対してFT試験を行った後の塗料配合物の粘度変化(KU粘度)と配合物中のFT添加剤組成物の投与量(凍結防止剤と乳化剤の比率)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において、配合物に関する、「凍結融解安定性」は、GB/T-9168-
2008に記載される凍結融解安定性試験を使用して決定される凍結融解プロセスの特定
のサイクル数後の安定性を意味する。
【0015】
本明細書における「凍結防止化合物」とは、水の凝固点を下げることができる添加剤
を意味する。
【0016】
広範な実施形態では、本発明は、水性塗料配合物において有用な凍結融解(FT)安
定剤添加剤組成物に関する。本発明のFT安定剤添加剤組成物は、(a)少なくとも1つ
の凍結防止化合物と、(b)少なくとも1つのアルコキシル化乳化剤と、を含む。所望に
応じて、任意の化合物を凍結融解(FT)安定剤添加剤組成物に添加することもできる。
【0017】
本発明のFT添加剤組成物は、1つ以上の凍結防止化合物を含むことができる。例えば
、一実施形態では、凍結防止化合物は、それらのすべての組み合わせを含む以下の1つ以
上が、(1)以上の機能性を有する1つ以上のアルコキシル化凍結防止化合物を含むこと
ができる。(≧)例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、およびソルビトールで開
始されるアルコキシレートを含む、マルチOH基などの2つの官能基。およびそれらの混
合物;(2)エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよびそれらの
混合物などの出発アルキレンオキシド化合物から誘導される。(3)1重量%水溶液で曇
点が(>)20℃を超える水溶性。(4)一実施形態では(<)1,000未満、別の実
施形態では<700、さらに別の実施形態では<500のMwを有する。(5)低VOC
または非VOC化合物。(6)一実施形態では>250℃、別の実施形態では>287℃
の沸点を有する。
【0018】
一実施形態では、凍結防止添加剤化合物は、グリセリンアルコキシレート、ペンタエ
リスリトールアルコキシレート、ソルビトールアルコキシレート、およびそれらの混合物
のうちの少なくとも1つを含む。凍結防止化合物は、例えば、VORANOL(商標)C
P 300、DOWFAX(商標)DF 121、VORANOL(商標)RN482(
The Dow Chemical Companyから入手可能)、ポリオール464
0(Perstorpから入手可能)、およびそれらの混合物などの市販の化合物を含む
ことができる。
【0019】
本発明の組成物を調製するために使用される凍結防止化合物の量は、FT添加剤組成
物の総重量に基づいて、例えば、一実施形態では1重量%~99重量%、別の実施形態で
は10重量%~90重量%、さらに別の実施形態では20重量%~80重量%を含む。
【0020】
凍結防止化合物によって示される有利な特性のいくつかは、例えば、(1)化合物が
非VOC化合物であり、(2)化合物が低発泡性であることを含む。例えば、凍結防止添
加剤化合物を使用する利点の1つは、凍結防止添加剤化合物が非VOCであることである
。本明細書における「非VOC」とは、添加剤のVOC含有量が、一実施形態では0重量
%~1重量%未満、別の実施形態では0~0.05重量%、さらに別の実施形態では0重
量%~0.001重量%を含むことを意味する。凍結防止添加剤化合物のVOC特性は、
GB 18582に従ってガスクロマトグラフィーによって測定される。
【0021】
凍結防止添加剤化合物を使用する別の利点は、凍結防止添加剤化合物が低発泡性であ
ることである。本明細書における「低発泡性」とは、添加剤の発泡がゼロであるか、また
は従来の凍結防止添加剤化合物と比較して発泡の目視観察によって決定されるように少な
くとも微小レベルに維持されることを意味する。
【0022】
本発明のFT添加剤組成物は、1つ以上のアルコキシル化乳化剤を含むことができる
。例えば、一実施形態では、アルコキシル化乳化剤は、(bi)開始剤および(bii)
アルキレンオキシドを反応させることによって調製される1つ以上のアルコキシル化乳化
剤を含むことができる。開始剤成分(bi)には、例えば、C4~C18直鎖または分岐
アルコール、酸、エステル、アミン、およびそれらの混合物が含まれる。開始剤の典型に
は、C12~C14第一級および第二級アルコール、ヒマシ油、イソオクタノール、イソ
デカノール、およびそれらの混合物が含まれ得る。アルキレンオキシドの典型、成分(b
ii)は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、およびそれらの
混合物を含み得る。
【0023】
別の実施形態では、アルコキシル化乳化剤は、リン酸エステル、硫酸塩、およびそれ
らの混合物などのアルコキシル化乳化剤の誘導体を含む。
【0024】
一実施形態では、それによって限定されないが、例えば、本発明で有用なアルコキシ
ル化乳化剤、成分(b)は、例えば、以下の1つ以上のアルコキシル化乳化剤から選択さ
れる:(1)いくつかのアルキレンオキシドを有する一実施形態では>1、別の実施形態
では>3、さらに別の実施形態では>5の単位。(2)例えば、一実施形態では8から1
8の範囲、別の実施形態では8から15の範囲の中間の親水性-親油性バランス(HLB
)値を有する。さらに別の実施形態では10から15まで。(3)水に分散または溶解す
る。(4)非APEベースの組成物を使用する場合、開始剤である成分(bi)にアルキ
ルフェノール基を使用することは避けてください。
【0025】
1つの好ましい実施形態では、乳化剤は、C12~C14第一級または第二級アルコ
キシレート、ヒマシ油エトキシレート、およびEO/POブロックコポリマー、ならびに
それらの混合物を含む。乳化剤はまた、例えば、TERGITOL(商標)15-S、E
COSURF(商標)LF、TERGITOL(商標)L TERGITOL(商標)X
(The Dow Chemical Companyから入手可能)などの市販の化合
物、およびそれらの混合物を含む。
【0026】
本発明のFT安定剤添加剤組成物を調製するために使用される乳化剤の量は、例えば
、それぞれFT安定剤添加剤組成物の総重量に基づいて、一実施形態では1重量%~99
重量%、
別の実施形態では20重量%~90重量%、さらに別の実施形態では20重量%~80
重量%を含む。
【0027】
1つの好ましい実施形態では、凍結融解(FT)安定剤添加剤組成物が調製され、水
性塗料配合物で使用される場合、成分(a)対成分(b)の混合比は、一実施形態では重
量で9/1~1/9、別の実施形態では重量で8/2~2/8であり、さらに別の実施形
態では重量で8/2~4/6である。上記範囲において、FT安定剤添加剤組成物は、添
加剤組成物が使用される水性塗料配合物に相乗的なFT安定化効果を提供する。
【0028】
本明細書において、塗料配合物に関して、「相乗的FT安定化効果」とは、FT安定
剤添加剤組成物が塗料配合物の粘度に実質的または有意に影響を及ぼさないことを意味す
る。本明細書において、塗料配合物に関して、「粘度に有意に影響を及ぼす」とは、FT
安定剤添加剤組成物の使用が、塗料配合物に添加される場合、塗料配合物の粘度を増加ま
たは減少させないことを意味する。または、少なくともFT安定剤添加剤組成物を使用す
ることによる塗料配合物の粘度における任意の変化は、最小限に保たれる。塗料配合物に
おける、凍結防止添加剤化合物、成分(a)単独の使用は、組み合わされた凍結防止添加
剤化合物、成分(a)、および乳化剤、成分(b)よりも実質的に高い粘度を有する塗料
配合物をもたらすことが見出された。この場合、単独で使用される凍結防止添加剤化合物
は、配合物が流動性となり、容易に取り扱われることを妨げる粘度を有する塗料配合物を
提供する。塗料配合物における、乳化剤、成分(b)単独の使用は、組み合わされた凍結
防止添加剤化合物、成分(a)、および乳化剤、成分(b)よりもわずかに高いか、また
は同じ粘度を有する塗料配合物をもたらすことが見出された。よって、本発明のFT安定
剤添加剤組成物の相乗的なFT安定化効果は、塗料配合物の粘度の変化、増加または減少
のいずれかを、ゼロまたは最小限に維持することを含む。例えば、本発明のFT安定剤添
加剤組成物の添加前および後の塗料配合物の粘度の変化は、一実施形態では20%未満、
別の実施形態では0%~20%、また別の実施形態では0%~10%、さらに別の実施形
態では0%~5%である。塗料配合物の粘度特性は、ストーマー粘度計などのKU粘度計
を使用してクレブス単位(KU)で測定される。
【0029】
上記の、FT添加剤化合物、成分(a)、およびアルコキシル化乳化剤、成分(b)
に加えて、本発明の凍結融解(FT)安定剤添加剤組成物はまた、他の追加の任意の化合
物または添加剤を含み得、そのような任意の化合物は、FT添加剤化合物または乳化剤と
ともに組成物に添加され得る。本発明の凍結融解(FT)安定剤添加剤組成物を調製する
ために使用することができる任意の添加剤または薬剤は、それらの使用または機能につい
て当該技術分野で知られている1つ以上の任意の化合物を含むことができる。例えば、本
発明のFT安定剤添加剤組成物を作製するのに有用な任意の添加剤、薬剤、または成分は
、湿潤剤、分散剤、発泡制御剤、レオロジー調整剤、殺生物剤、pH中和剤、水など、お
よびそれらの混合物を含むことができる。
【0030】
本発明の組成物を調製するために使用される任意の化合物の量は、例えば、一実施形
態では0重量%~50重量%、別の実施形態では0.01重量%~30重量%、また別の
実施形態では1重量%~10重量%を含む。
【0031】
一般的な実施形態では、本発明の凍結融解(FT)安定剤添加剤組成物を作製するた
めのプロセスは、(a)少なくとも1つの凍結防止添加剤化合物と、(b)少なくとも1
つのアルコキシル化乳化剤と、(c)いずれかの所望の任意の化合物と、を混合するステ
ップを含む。
【0032】
好ましい実施形態では、本発明の凍結融解(FT)安定剤添加剤組成物は、例えば、
(i)所定量の成分(a)および(b)を秤量し、成分を混合物を形成するために容器に
充填するステップ、ならびに
(ii)容器内の混合物を、以下の混合速度で機械的撹拌下で撹拌するステップ、によ
って調製される。
一実施形態では、20分(分)から2時間(時間)までの期間で、一実施形態では、毎
分200回転(rpm)から1,000rpmである。
【0033】
組成物が作製されると、FT添加剤組成物の様々な実施形態によって示されるいくつ
かの有利な特性が存在する。例えば、(1)FT添加剤組成物は優れた凍結融解安定性を
示すことができる(2)FT添加剤組成物は良好な耐スクラブ性を示す、(3)FT添加
剤組成物は非VOCである、(4)FT添加剤組成物は非である-APEベースである、
および(5)FT添加剤組成物は、様々な樹脂と幅広い適合性がある。
【0034】
例えば、FT添加剤組成物の特性の1つは、一実施形態では0.5重量%~1.5重
量%、別の実施形態では0.5重量%~1重量%の凍結融解安定性を有する塗料配合物を
提供することである。塗料配合物の安定性は、粒子サイズ測定または肉眼での目視観察に
よって測定される。
【0035】
例えば、FT添加剤組成物の別の特性は、良好なスクラブ耐性を有する塗料を提供す
ることである。良好なスクラブ耐性は、FT添加剤化合物が、FT添加剤としての従来の
PGまたはEGと比較して、塗料フィルムのスクラブ耐性を低減しないか、または少なく
ともスクラブ耐性の最小の低減に維持されることを意味する。スクラブ耐性は、例えば、
一実施形態ではFT添加剤としてPGを有するものの60%~120%、別の実施形態で
は80%~120%、さらに別の実施形態では90%~110%を含む。塗料配合物のス
クラブ耐性特性は、ASTM D2486-74Aに記載されている手順に従って、フィ
ルムサンプルがフィルムサンプルの厚さにわたってスクラブされる前に、ペイントフィル
ムサンプルが通過するサイクル数によって測定される。
【0036】
FT添加剤組成物の別の有利な特性には、例えば、非VOC組成物であるFT添加剤
組成物が含まれる。本明細書における「非VOC」とは、FT添加剤組成物のVOC含有
量が、一実施形態では1重量%未満、別の実施形態では0重量%~0.05重量%、さら
に別の実施形態では0重量%~0.001重量%を含むことを意味する。FT添加剤組成
物のVOC特性は、GB 18582に従ってガスクロマトグラフィーによって測定され
る。
【0037】
FT添加剤組成物のさらに別の有利な特性には、例えば、非APEベースの組成物で
あるFT添加剤組成物が含まれる。本明細書における「非APEベース」または「APE
フリー」とは、組成物のアルキルフェノールエトキシレート含有量が、一実施形態では0
.1重量%未満、別の実施形態では0重量%~0.1重量%未満、また別の実施形態では
0重量%~0.01重量%、
さらに別の実施形態では0重量%~0.0005重量%を含むことを意味する。組成物
のアルキルフェノールエトキシレート含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC
)によって測定される。
【0038】
また、FT添加剤組成物は、有益には、スチレンアクリル(SA)樹脂、純粋または
全アクリル(AA)樹脂、ビニルアクリル(VA)樹脂、エチレン-酢酸ビニル(EVA
)結合剤、およびそれらの混合物などの様々な樹脂に対して広範な適合性を有する。本明
細書における「適合性」とは、本発明のFT添加剤組成物が、SA樹脂でのみ作用するこ
とができる従来のTSPタイプのFT添加剤と比較して、上記の異なるタイプの樹脂にお
いて効果的に作用し、VA樹脂などの他の樹脂には適さないことを意味する。
【0039】
塗料組成物または配合物を構成する成分は、塗料を作製する技術においてよく知られ
ており、典型的には、樹脂ポリマーおよび添加剤、例えば、水、分散剤、湿潤剤、消泡剤
、増粘剤、レオロジー調整剤、pH緩衝剤、pH中和剤、殺生物剤、顔料、充填剤、合体
剤など、ならびにそれらの混合物を含む。本発明のFT安定剤添加剤組成物は、塗料配合
物のための別の添加剤として有用である。1つの好ましい実施形態では、FT安定剤添加
剤組成物は、例えば、水性塗料配合物において有用である。
【0040】
1つの一般的な実施形態では、塗料配合物は、例えば、(A)樹脂系と、(B)上記
の凍結融解安定剤添加剤組成物と、(C)上記のようないずれかの他の所望の任意の添加
剤化合物と、を含む。好ましい実施形態では、塗料配合物の樹脂系、成分(A)は、例え
ば、少なくとも1つの結合剤を含む。結合剤は、塗料配合物組成物でフィルム形成をコー
ティングするために有用である。例えば、結合剤は、純粋または全アクリル(AA)ポリ
マー、スチレン-アクリル(SA)ポリマー、ビニルアクリル(VA)ポリマー、酢酸ビ
ニル-アクリルポリマー、エチレン-酢酸ビニル(EVA)ポリマーなど、およびそれら
の混合物からなる群から選択される。
【0041】
塗料配合物中の結合剤の濃度は、例えば、一実施形態では5重量%~60重量%、別
の実施形態では10重量%~60重量%、
さらに別の実施形態では10重量%~40重量%である。
【0042】
FT添加剤組成物は上記のように非VOC組成物であるため、有利には、本発明の塗
料配合物は、配合物中に揮発性有機化合物が存在しないか、または、意図しない汚染のた
めに、配合物中に少なくとも微量のVOCが存在する。一般に、配合物中のVOCの濃度
は、例えば、一実施形態では1リットル当たり150グラム(g/L)未満、別の実施形
態では50g/L未満、さらに別の実施形態では5g/L未満である。他の実施形態では
、配合物のVOC含有量は、例えば、一実施形態では0.01g/L~150g/L未満
、別の実施形態では0.01g/L~50g/L未満、さらに別の実施形態では0.01
g/L~5g/L未満を含む。
【0043】
一般に、塗料配合物は、水性塗料配合物を含む。一実施形態では、水性塗料配合物は
、外装建築塗料を含む。別の実施形態では、水性塗料配合物は、内装建築塗料を含む。
【0044】
前述のように、本発明のFT安定剤添加剤組成物が作製されると、FT安定剤添加剤
組成物は、例えば、FT安定化塗料生成物を調製するための塗料配合物に添加される。広
範な実施形態では、塗料配合物を作製するためのプロセスは、例えば、(A)上記の樹脂
系と、(B)上記の凍結融解安定剤添加剤組成物と、(C)いずれかの所望の任意の化合
物と、を混合することを含む。塗料業界で使用される従来の混合方法はまた、本明細書に
おいて塗料配合物を調製するために有用であり、配合物の成分の混合は、例えば、1つの
一般的な実施形態では摂氏20度(℃)~30℃の温度で実施される。
【0045】
FT安定剤添加剤組成物を含有する塗料配合物は、例えば、以下を含む、いくつかの
有益な特性を示す:(1)塗料配合物は、改善したFT安定性を有する、(2)塗料配合
物は、増加したスクラブ耐性を有する、(3)塗料配合物は、非VOC代替物である、(
4)塗料配合物は、非APEベース代替物である。
【0046】
例えば、塗料配合物の特性の1つは、例えば、塗料配合物が、一実施形態では-5℃
~室温(20℃)、別の実施形態では-10℃~室温(20℃)、さらに別の実施形態で
は-18℃~室温(20℃)の凍結融解安定性を有することを含む。塗料配合物の安定性
特性およびその粘度は、GB/T-9168-2008に記載される試験手順に従って測
定される。安定性を測定する上記試験に加えて、塗料配合物は、肉眼に対するその外観に
よって分析して、望ましくない凝集、沈降、またはケーキングを形成し得る任意の粒子を
観察して、塗料配合物の安定性特性を確認することができる。
【0047】
塗料配合物の別の特性には、例えば、配合物を環境に優しい配合物にする非VOCま
たは低VOC濃度を有する塗料配合物が含まれる。例えば、塗料配合物のVOC濃度は、
存在する場合、
一実施形態では<150g/L、別の実施形態では<50g/L、さらに別の実施形態
では<5g/Lである。塗料配合物のVOC特性は、GB 18582に従ってガスクロ
マトグラフィーによって測定される。
【0048】
塗料配合物のさらに別の特性には、例えば、スクラブ耐性の増加を示す塗料配合物が
含まれる。例えば、スクラブ耐性は、一実施形態ではFT添加剤としてPGを有する対照
試料の60%~120%、別の実施形態では80%~120%、さらに別の実施形態では
90%~110%を含む。塗料配合物のスクラブ耐性特性は、ASTM D2486-7
4Aに記載される手順に従ってフィルムがスクラブされるサイクルによって測定される。
【0049】
FT添加剤組成物は、例えば、水性塗料配合物において有用である。有利なことに、
低VOC水性塗料配合物は、上記FT安定剤、成分(a)を使用して生成される。記載さ
れるFT安定剤、成分(a)を有する低VOC水性塗料は、例えば、外装建築塗料および
/または内装建築塗料において有用である。
【実施例0050】
以下の実施例は、本発明をさらに詳細に説明するために提示されるが、特許請求の範
囲を限定するものとして解釈されるべきではない。すべての部および割合は、特に指示が
ない限り重量である。
【0051】
以下の発明例(Inv.Ex.)および比較例(Comp.Ex.)で使用される様
々な用語および呼称を、以下で説明する。
「PVC」は、顔料体積濃度の略である。
【0052】
本発明のFT添加剤組成物を調製する際に使用される様々な材料、成分、または原料
を表Iに説明する。
【表1】
【0053】
実施例1~6および比較例A~E-凍結融解添加剤
Inv.Ex.1~6およびComp.Ex.EのFT添加剤組成物試料は、表II
に指定される2つの成分を機械的撹拌下で単純に混合することによって調製した。組成物
試料を表IIに記載する。
【表2】
【0054】
本発明のFT添加剤組成物を含有する塗料配合物を調製する際に使用される様々な材
料、成分、または原料を表IIIに説明する。
【表3】
【0055】
塗料配合物を調製するための一般的なプロセス
以下の一般的なプロセスを使用して、本発明のFT添加剤組成物(本明細書では「F
T安定剤」と呼ばれる)を含有する塗料配合物を調製した。
【0056】
パートA:粉砕手順
ステップ(1):分散プレートを分散機に取り付けた。
【0057】
ステップ(2):水を1リットル(L)ステンレススチールカップに加えた。
【0058】
ステップ(3):増粘剤およびpH緩衝剤をスチールカップに加え、スチールカップ
の内容物を450rpmで10分間継続的に分散させた。得られた混合物は徐々に粘度が
高くなった。
【0059】
ステップ(4):分散剤および湿潤剤をそれぞれスチールカップにおいて混合物に添
加し、スチールカップの内容物を10分間継続的に分散させた。
【0060】
ステップ(5):スチールカップにおける混合物の粘度が増加するにつれて、分散速
度を徐々に1,800rpmに上昇させながら、二酸化チタンおよび充填剤をスチールカ
ップにおいて混合物に添加した。
【0061】
ステップ(6):ステップ(5)から得られた混合物をさらに30分間連続的に分散
させて、得られた最終混合物の均一性を保証した。
【0062】
パートB:レットダウン手順
ステップ(7):分散プレートを撹拌機に交換し、ステップ(6)から得られた混合
物を撹拌機で1,800rpmで連続的に撹拌した。
【0063】
ステップ(8):結合剤、消泡剤、合体剤、および殺生物剤を、ステップ(7)から
得られた混合物にそれぞれ加えた。混合物の粘度が低下するにつれて、撹拌機の撹拌速度
を徐々に700~800rpmに減速し、次いで混合物を700~800rpmで10分
間連続的に撹拌した。
【0064】
ステップ(9):増粘剤をステップ(8)からの混合物に加え、混合物の粘度が増加
するにつれて、撹拌速度を1,800rpmまで増加させ、混合物を10分間連続的に撹
拌した。塗料配合物である得られた混合物の、クレブス単位(KU)で報告される、粘度
は、増粘剤を使用して調整した。KU粘度は、95KU~100KUの範囲で調整した。
粘度は、従来のストーマー粘度計を使用して測定されるようにKUで報告する。よく知ら
れているように、ストーマー粘度計は、粘度を決定するために負荷ベース回転を使用する
。
【0065】
パートC:FT安定剤の追加
ステップ(10):ステップ(9)からの塗料配合物は、いくつかのパートに分けた
。
【0066】
ステップ(11):塗料配合物の各パートを700~800rpmで連続的に撹拌し
、次いで、配合物を連続的に10分間撹拌しながら、FT安定剤を(表IIに記載される
ように試験される特定の配合物に従った)配合物に添加した。
【0067】
ステップ(12):試験されるステップ(11)の配合物からの各塗料配合物試料は
、試料をFT試験に供する前に、実験室において実験室カウンタートップ上で室温(約2
3℃)で少なくとも24時間保持した。
【0068】
実施例7~9-塗料配合物
3つの塗料配合物は、上記一般手順を使用して調製し、塗料配合物は、本明細書にお
いて以下に記載されるように試験および評価した。3つの塗料配合物は、表IVに記載さ
れており、(1)SA結合剤(59%PVC)を含むミドルエンド建築塗料、(2)AA
結合剤(52%PVC)を含む内装建築塗料、および(3)AA結合剤(55.6%PV
C)を含むミドルエンド外装建築塗料を含む。配合物に使用されるPVCは、50%~7
0%の範囲で適用され、3つの配合物は、内装および外装の両方の建築塗料をカバーし、
配合物にはSAおよびAAタイプの結合剤を使用した。
【表4】
【0069】
性能評価試験
凍結融解安定性試験(GB/T-9168-2008)
塗料配合物試料を-5±2℃の温度の冷凍庫に入れ、18時間凍結させた。次いで、
塗料試料を冷凍庫から取り出し、室温(約23℃)下に6時間置いた。凍結融解(FT)
プロセスを各塗料試料について3サイクル繰り返し、配合物の外観を、現象:沈殿、ゲル
化、凝固、または凝集のいずれかについて視覚的に確認した。配合物において上記の現象
が視覚的に観察されなかった場合、配合物の凍結融解安定性を認定した。
【0070】
塗料配合物のKU粘度は、FT性能の指標として上記FT試験前および後に試験した
。KU粘度変化が低いほど、配合物のFT性能が良好である。
【0071】
スクラブ耐性試験(ASTM試験方法D 2486-74A)
塗料配合物試料を試験するための一般的な手順は、以下のとおりであった:
ステップ(1):黒色ビニルスクラブチャート上に150ミクロン(μm)フィルムア
プリケーターで塗料のドローダウンを作製する。
【0072】
ステップ(2):黒色ビニルスクラブチャートを現在の温度の部屋(CTR)で7日
間乾燥させる。
【0073】
ステップ(3):黒色ビニルスクラブチャートをスクラブマシンに置き、研磨スクラ
ブ媒体、例えば、タイプSC-2を使用してチャートを試験する。
【0074】
ステップ(4):スクラブ耐性試験を開始し、第1のカットスルーサイクルを記録す
る。
【0075】
性能評価結果
実験1-SA結合剤(59%PVC)を含む塗料配合物
(a)粘度
凍結融解添加剤試料の総投与量は、各試験で1重量%に保った。デルタKU、すなわ
ち、FT試験後に得られたKUから初期KUを引いたものが、本明細書では凍結融解添加
剤試料のFT性能の尺度として使用される。デルタKUが小さいほど、FT安定化性能が
良好である。
【0076】
表Vおよび
図1に示される試験結果から、凍結防止化合物、CP300、単独(Co
mp.Ex.A)が低いFT安定化性能を示したことを見ることができる。
FT試験の3サイクル後、塗料試料は、撹拌下でも流動性のない固化した外観を示した
。凍結防止化合物、CP300を乳化剤、15-S-9と混合した場合(Inv.Ex.
1~4)、より良好な流動性およびより少ない骨材とともにFT性能が大幅に改善した。
凍結防止化合物、CP300、単独(Comp.Ex.A)および乳化剤、15-S-9
、単独(Comp.Ex.B)と比較して、2つの成分のブレンドは、より小さなデルタ
KUを示した。相乗効果は、重量で8/2~4/6のCP300/15-S-9の混合比
に見られた。対照的に、Comp.Ex.Eでは、乳化剤、L-64を凍結防止化合物、
CP300と混合し、低いFT性能が見られた。
【表5】
【0077】
(b)スクラブ耐性
スクラブ耐性は、塗料層の高密度化および粉砕防止の指標である。前述のように、T
SPタイプ生成物の1つの欠点は、スクラブ耐性特性に対する悪影響である。このスクラ
ブ耐性試験では、Comp.Ex.D(1%PGを使用)を対照として使用した。表VI
に示されるように、Inv.Ex.5(CP-300/15-S-9)が使用された場合
、スクラブ耐性は、PG性能の91.7%に維持された。対照的に、Comp.Ex.B
(15-S-9)のスクラブ耐性は、PG性能の48.2%に維持された。乳化剤、15
-S-9を含むComp.Ex.Bは、表Vに示されるInv.Ex.1のデルタKU粘
度よりも高いデルタKU粘度を有し、Comp.Ex.Bのスクラブ耐性は、表VIに示
されるInv.Ex.1のスクラブ耐性よりもほぼ2倍悪かった。Comp.Ex.C(
FT-100)のスクラブ耐性性能は、51.9%であり、これも良くなかった。
【表6】
【0078】
実験2-AA結合剤(52%PVC)を含む内装建築塗料
発明例は、AA結合剤を含有する塗料配合物において評価した。表VIIに示される
ように、Comp.Ex.BおよびComp.Ex.Cと比較して、FT添加剤組成物(
Inv.Ex.2および6)は、非常に小さいデルタKUを達成した。同時に、FT添加
剤組成物(Inv.Ex.2および6)のスクラブ耐性性能は、
FT-100(Comp.Ex.B)よりも良好であった。
【表7】
【0079】
実験3-AA結合剤(55.6%PVC)を含むミドルエンド外装建築塗料
表VIIIに示されるように、AA結合剤を含む外装塗料で試験を実施した。上記の
他の実験の結果と同様に、Inv.Ex.2は、小さなデルタKUで良好なFT性能を示
した。加えて、Inv.Ex.2のスクラブ耐性は、Comp.Ex.BおよびComp
.Ex.Cの両方よりも良好であった。
【表8】
【0080】
上記のように実施される試験から、例えば、以下を含むいくつかの結論に到達するこ
とができる:(1)本発明の解決策は、単純な機械的混合によって容易に得ることができ
る、(2)上述の基準を満たす凍結防止化合物および乳化剤の混合物は、凍結融解サイク
ル中に塗料配合物を安定化するための効果的な性能を達成することができる、(3)相乗
効果は、本発明の組成物の成分についての特定の混合比を使用することによって達成する
ことができる、(4)良好なEH&Sプロファイルは、非VOC、非APEOベース特性
で達成することができる、(5)スクラブ耐性性能の有意な改善は、従来のTSP誘導体
と比較して、本発明の組成物を使用して得ることができる、(6)解決策は、水性建築塗
料配合物における異なる結合剤と適合性であり得る。
(a)少なくとも1つの凍結防止化合物と、(b)少なくとも1つの乳化剤と、を含む、凍結融解安定剤添加剤組成物であって、前記凍結融解安定剤添加剤組成物が、安定性を有する塗料配合物を提供し、前記塗料配合物の粘度が、凍結融解安定性試験前および後にストーマー粘度計を使用して23℃で測定される場合、前記配合物が、GB/T-9168-2008に記載の凍結融解安定性試験に供された後、前記塗料配合物の粘度の変化が、0パーセント~10パーセント未満であるような、凍結融解安定剤添加剤組成物。
FT添加剤組成物は、例えば、水性塗料配合物において有用である。有利なことに、低VOC水性塗料配合物は、上記FT安定剤、成分(a)を使用して生成される。記載されるFT安定剤、成分(a)を有する低VOC水性塗料は、例えば、外装建築塗料および/または内装建築塗料において有用である。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
(a)少なくとも1つの凍結防止化合物と、(b)少なくとも1つの乳化剤と、を含む、凍結融解安定剤添加剤組成物であって、前記凍結融解安定剤添加剤組成物が、安定性を有する塗料配合物を提供し、前記塗料配合物の粘度が、凍結融解安定性試験前および後にストーマー粘度計を使用して23℃で測定される場合、前記配合物が、GB/T-9168-2008に記載の凍結融解安定性試験に供された後、前記塗料配合物の粘度の変化が、0パーセント~10パーセント未満であるような、凍結融解安定剤添加剤組成物。
項2.
前記凍結防止化合物が、グリセリンアルコキシレート、ペンタエリスリトールアルコキシレート、ソルビトールアルコキシレート、およびそれらの混合物からなる群から選択される、項1に記載の組成物。
項3.
前記少なくとも1つの乳化剤が、C12~C14第一級もしくは第二級アルコキシレート、ヒマシ油エトキシレート、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、ブチレンオキシド、またはそれらの混合物を含む、項1または項2に記載の組成物。
項4.
前記凍結融解安定剤添加剤組成物が、粒子凝集、沈降、またはケーキングを欠く外観を有する塗料配合物を提供する、項1に記載の組成物。
項5.
前記凍結融解安定剤添加剤組成物が、(i)0重量パーセント~1重量パーセント未満のVOCレベル、および(ii)0重量パーセント~0.1重量パーセント未満のAPEレベルを有する塗料配合物を提供する、項1に記載の組成物。
項6.
前記凍結融解安定剤添加剤組成物が、ASTM D2486-74Aに記載の手順に従って測定されるようにプロピレングリコールを含むものの60パーセント~120パーセントのスクラブ耐性を有する塗料配合物を提供する、項1に記載の組成物。
項7.
前記乳化剤が、アルコキシル化乳化剤またはその誘導体である、項1に記載の組成物。
項8.
前記凍結防止化合物の濃度が、1重量パーセント~99重量パーセントであり、前記乳化剤の濃度が、1重量パーセント~99重量パーセントであり、それぞれ、前記組成物の総重量に基づく、項1に記載の組成物。
項9.
(a)少なくとも1つの凍結防止化合物と、(b)少なくとも1つの乳化剤と、を混合することを含む、凍結融解安定剤添加剤組成物を作製するためのプロセス。
項10.
(a)グリセリンアルコキシレート、ペンタエリスリトールアルコキシレート、ソルビトールアルコキシレート、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの凍結防止化合物と、(b)C12~C14第一級もしくは第二級アルコキシレート、ヒマシ油エトキシレート、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、ブチレンオキシド、またはそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの乳化剤と、を含む、凍結融解安定剤添加剤組成物。
項11.
(A)樹脂系と、(B)項1に記載の凍結融解安定剤添加剤組成物と、を含む、塗料配合物。
項12.
前記樹脂系、成分(A)が、アクリルポリマー、スチレン-アクリルポリマー、酢酸ビニル-アクリルポリマー、エチレン-酢酸ビニルポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの結合剤を含む、項11に記載の塗料配合物。
項13.
前記結合剤が、前記塗料配合物の総重量に基づいて、5重量パーセント~60重量パーセントの濃度で存在する、項12に記載の塗料配合物。
項14.
水性塗料配合物を含む、項11に記載の塗料配合物。
項15.
(A)樹脂系と、(B)項1に記載の凍結融解安定剤添加剤組成物と、を混合することを含む、塗料配合物を作製するためのプロセス。