(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182618
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】熱交換器の製造方法
(51)【国際特許分類】
F28F 1/16 20060101AFI20231219BHJP
B21D 53/06 20060101ALI20231219BHJP
B21C 23/00 20060101ALI20231219BHJP
B21C 37/22 20060101ALI20231219BHJP
B21C 23/10 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
F28F1/16 Z
B21D53/06 E
B21C23/00 A
B21C37/22
B21C23/10
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023149856
(22)【出願日】2023-09-15
(62)【分割の表示】P 2022510298の分割
【原出願日】2020-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 剛志
(72)【発明者】
【氏名】松本 武巳
(72)【発明者】
【氏名】西本 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】大熊 友理子
(72)【発明者】
【氏名】石橋 晃
(72)【発明者】
【氏名】八柳 暁
(57)【要約】
【課題】フィンと伝熱管との接合を不要な構造として熱交換性能の向上を図ることが可能な熱交換器の製造方法を提供する。
【解決手段】熱交換器の製造方法は、内部に冷媒流路を有する伝熱管と、伝熱管の管軸方向に沿って延びる板状のフィンと、を有する伝熱部材を備えた熱交換器の製造方法であって、伝熱管およびフィンを押出成形により形成する押出工程と、押出工程の後に、フィンに圧力を加えながら伝熱管の寸法を矯正するリサイズ工程と、リサイズ工程の後に、フィンを圧延する圧延工程と、を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に冷媒流路を有する伝熱管と、前記伝熱管の管軸方向に沿って延びる板状のフィンと、を有する伝熱部材を備えた熱交換器の製造方法であって、
前記伝熱管および前記フィンを押出成形により形成する押出工程と、
前記押出工程の後に、前記フィンに圧力を加えながら前記伝熱管の寸法を矯正するリサイズ工程と、
前記リサイズ工程の後に、前記フィンを圧延する圧延工程と、を有する熱交換器の製造方法。
【請求項2】
前記フィンは、前記伝熱管を挟んで対向する位置に2枚有し、前記圧延工程では、一方の前記フィンを圧延する工程と、他方の前記フィンを圧延する工程とを、異なるタイミングで行う請求項1記載の熱交換器の製造方法。
【請求項3】
内部に冷媒流路を有する伝熱管と、前記伝熱管の管軸方向に沿って延びる板状のフィンと、を有する伝熱部材を備えた熱交換器の製造方法であって、
前記伝熱管および前記フィンを押出成形により形成する押出工程と、
前記押出工程の後に、前記フィンを圧延する圧延工程と、を有し、
前記フィンは、前記伝熱管を挟んで対向する位置に2枚有し、前記圧延工程では、一方の前記フィンを圧延する工程と、他方の前記フィンを圧延する工程とを、異なるタイミングで行う熱交換器の製造方法。
【請求項4】
前記圧延工程では、前記フィンの前記伝熱管との結合部を除いて圧延する請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項5】
前記圧延工程は、前記伝熱部材を構成する材料の再結晶温度を超えた状態で行われる請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項6】
前記圧延工程で圧延された前記フィンの短手方向の端部をカットするカット工程を有する請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の熱交換器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、伝熱管と伝熱管の管軸方向に延びるフィンとを有する伝熱部材を備えた熱交換器の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の熱交換器の伝熱部材として、長板状のフィンの短手方向の中心部に、長手方向に延びる凹部を有し、この凹部に伝熱管をロウ付け接合して構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、フィンと伝熱管とが別体で構成されているため、製造時に両者をロウ付け接合する必要があり、接合時の熱でフィンと伝熱管とが熱変形する。このような熱変形が生じると、結果的に熱交換器の熱交換性能が低下するという問題があった。
【0005】
また、熱交換器においては、熱交換効率向上の観点から伝熱部材の熱伝導率の向上が求められている。
【0006】
本開示はこのような点を鑑みなされたもので、フィンと伝熱管との接合を不要な構造として熱交換性能の向上を図ることが可能な熱交換器の製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る熱交換器の製造方法は、内部に冷媒流路を有する伝熱管と、伝熱管の管軸方向に沿って延びる板状のフィンと、を有する伝熱部材を備えた熱交換器の製造方法であって、伝熱管およびフィンを押出成形により形成する押出工程と、押出工程の後に、フィンに圧力を加えながら伝熱管の寸法を矯正するリサイズ工程と、リサイズ工程の後に、フィンを圧延する圧延工程と、を有するものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、伝熱管とフィンとが一体に成形された構造であるため、伝熱管とフィンとを接合する場合の製造時の熱変形を回避でき、結果的に熱交換性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る熱交換器の構成を概略的に示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る熱交換器の伝熱部材の側面図である。
【
図5】実施の形態1に係る熱交換器の伝熱部材の製造方法の説明図である。
【
図6】
図5(c)のステップS6のA-A断面で切断した端面図である。
【
図7】実施の形態1に係る熱交換器の伝熱部材の製造方法の変形例の説明図である。
【
図8】実施の形態1に係る熱交換器の伝熱部材の変形例1のパターン1を示す図である。
【
図9】実施の形態1に係る熱交換器の伝熱部材の変形例1のパターン2を示す図である。
【
図10】実施の形態1に係る熱交換器の伝熱部材の変形例1のパターン3を示す図である。
【
図11】実施の形態1に係る熱交換器の伝熱部材の変形例2を示す図である。
【
図12】実施の形態1に係る熱交換器の伝熱部材の変形例3を示す図である。
【
図13】実施の形態1に係る熱交換器の伝熱部材の変形例4を示す図である。
【
図14】実施の形態1に係る熱交換器の伝熱部材の変形例5を示す図である。
【
図15】実施の形態1に係る熱交換器の伝熱部材の変形例6を示す図である。
【
図16】実施の形態2に係る冷凍サイクル装置の冷媒回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、
図1を含む以下の図面では、各構成部材の相対的な寸法の関係および形状等が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することとする。また、各図に記載の構成について、その形状、大きさおよび配置等は、本開示の範囲内で適宜変更することができる。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る熱交換器の構成を概略的に示す斜視図である。
図2は、実施の形態1に係る熱交換器の伝熱部材の側面図である。
図3は、
図2の伝熱部材のA-A断面図である。
図4は、
図3の一部を拡大した断面図である。
図1~
図4を用いて、実施の形態1に係る熱交換器1について説明する。
【0012】
図1に示すように、熱交換器1は、複数の伝熱部材2と、第1ヘッダ3と、第2ヘッダ4と、を有する。複数の伝熱部材2は、互いにX方向に間隔を空けて配置されており、伝熱部材2同士の間を、X方向に直交するY方向に空気が流れるようになっている。複数の伝熱部材2は、X方向およびY方向に直交するZ方向に延びた長尺状に形成されている。伝熱部材2のZ方向の両端は、第1ヘッダ3および第2ヘッダ4に接続されている。
【0013】
伝熱部材2は、内部を冷媒が流れる伝熱管20と、フィン21と、を備える。伝熱部材2は、伝熱管20とフィン21とが一体に成形された一体構造となっており、熱伝導性を有する金属材料で構成されている。金属材料としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、銅、または銅合金が用いられる。
【0014】
伝熱管20は、
図3に示すように断面形状が短軸と長軸とを有する扁平形状に形成され、貫通孔で形成された冷媒流路20aを複数有した扁平管で構成されている。長軸はY方向に延び、短軸はX方向に延びている。なお、伝熱管20は扁平管に限られたものではなく、円管でもよい。なお、ここでは伝熱部材2を複数備えた構成を示したが、伝熱部材2の数は任意であり、1以上であればよい。
【0015】
フィン21は、伝熱管20の管軸方向に沿って延びる長板状の平面板で構成されている。フィン21の長手方向はZ方向に相当し、フィン21の短手方向はY方向に相当する。フィン21は、伝熱管20を挟んで対向する位置に少なくとも2枚有する。具体的には、フィン21は、伝熱管20のY方向の両端部であってX方向の中間部に設けられている。フィン21は、伝熱管20との結合部分である結合部22と、結合部22よりも薄板のフィン部23とを有する。このように、フィン部23の板厚tを結合部22の板厚pよりも薄く形成することで、フィン21全体を結合部22と同じ板厚に形成する構成に比べて、フィン21の熱伝導率を向上することが可能となっている。
【0016】
図2に示すように、フィン21のZ方向の両端部は、伝熱管20のZ方向の両端部よりも内側に位置しており、伝熱管20の両端部がフィン21よりも突出した構成となっている。伝熱管20においてフィン21よりも突出した部分は、第1ヘッダ3および第2ヘッダ4に挿入される挿入部20bとなっている。
【0017】
フィン部23は、
図3に示すようにフィン部23の板厚寸法をt、フィン部23の幅寸法をwとしたとき、t/wが0.1以下となる寸法で構成されている。これにより、フィン部23の板厚を結合部22の板厚と同じとした場合に比べてフィン21の軽量化を図ることができる。また、フィン部23の板厚を薄くすることによりフィン材内部の熱抵抗が低下するため、冷媒側と空気側との熱交換効率が向上する。
【0018】
第1ヘッダ3および第2ヘッダ4は、X方向に延びる中空の容器である。
図1では、第1ヘッダ3および第2ヘッダ4が直方体状に形成されているが、形状は限定されるものではなく、円形状などでもよい。第1ヘッダ3および第2ヘッダ4には、複数の挿込孔(図示せず)が形成されている。第1ヘッダ3の複数の挿入孔には、複数の伝熱管20の一方の挿入部20bが挿入されて複数の伝熱管20の端部が第1ヘッダ3内部で連通している。第2ヘッダ4の複数の挿入孔には、複数の伝熱管20の他方の挿入部20bが挿入されて複数の伝熱管20の他方の端部が第1ヘッダ3内部で連通している。また、第1ヘッダ3には冷媒出入口管5が接続され、第2ヘッダ4には冷媒出入口管6が接続されている。
【0019】
このように構成された熱交換器1においては、冷媒出入口管5から冷媒が第1ヘッダ3に流入する。第1ヘッダ3内に流入した冷媒は、第1ヘッダ3から各伝熱部材2の伝熱管20に分配され、伝熱管20を第2ヘッダ4に向かって流れる。伝熱管20を流れる冷媒は、Y方向に流れる空気と熱交換した後、第2ヘッダ4内で合流し、冷媒出入口管6から流出する。なお、ここでは、第1ヘッダ3に接続された冷媒出入口管5から冷媒が流入し、第2ヘッダ4に接続された冷媒出入口管6から流出するとしたが、逆の流れでもよい。すなわち、第2ヘッダ4に接続された冷媒出入口管6から冷媒が流入し、第1ヘッダ3に接続された冷媒出入口管5から流出するようにしてもよい。
【0020】
ここで、伝熱管20を流れる冷媒と空気と熱交換においては、伝熱管20を流れる冷媒の熱がフィン21に伝わり、伝熱部材2全体と空気との間で熱交換が行われる。フィン21のフィン部23は、上述したように結合部22よりも板厚が薄く構成されている。このため、フィン21全体を結合部22と同じ厚みに形成した構成に比べて、フィン21の熱伝導率が向上している。したがって、伝熱管20からフィン21に伝わった冷媒の熱が、フィン21全体に効率良く伝わり、伝熱部材2と空気との熱交換効率が高められている。
【0021】
次に、伝熱部材2の製造方法について説明する。
【0022】
図5は、実施の形態1に係る熱交換器の伝熱部材の製造方法の説明図である。
図5(a)は、製造方法のフローチャートである。
図5(b)は、各工程における伝熱部材をX-Y平面で切断した断面図である。
図5(c)は、各工程における伝熱部材をX方向から見た側面図である。伝熱部材の製造方法は、
図5(a)に示すようにステップS1~ステップS6の工程を有し、
図5(b)には各ステップに対応した断面図を示し、
図5(c)には各ステップに対応した側面図を示している。
図5(c)では、フィン部分をドットで示している。
図6は、
図5(c)のステップS6のA-A断面で切断した端面図である。
【0023】
伝熱部材2の製造では、まず、加熱した金属材料をダイスの穴から押し出す押出成形を行い、
図5(b)のステップS1の断面形状を有する伝熱部材基材100を成形する(押出工程(ステップS1))。伝熱部材基材100は、伝熱管20と、伝熱管20のY方向の両端部に形成された2つのフィン21とを有する。次に、第1ヘッダ3および第2ヘッダ4に設けられた挿入孔の寸法に合わせて伝熱管20の矯正を行う(リサイズ工程(ステップS2))。このリサイズ工程では、伝熱部材基材100のY方向の両端部から、フィン21に圧力を加えることで行われる。リサイズ工程を次の圧延工程の前、つまりフィン21の板厚を薄くする前、に行うことで、フィン21が折れ曲がってしまうことなく伝熱管20に力を加えることができる。
【0024】
続いて、2つのフィン21を圧延する(圧延工程(ステップS3))。圧延工程では、フィン21が、設定された板厚となるように圧延する。この圧延工程により、フィン21のうち伝熱管20との結合部22を除いた部分であるフィン部23が、設定された板厚に形成される。ここで、結合部22も、設定板厚に圧延しようとすると、伝熱管20が変形するおそれがある。このため、フィン21のうち結合部22を除いたフィン部23を圧延するようにしている。圧延工程は、伝熱部材2を構成する材料の再結晶温度を超えた状態で行われる。これは、圧延工程を、伝熱部材2を構成する材料の再結晶温度以下の温度で行った場合、材料が硬くなって設定板厚に形成することが難しくなり、加工精度が落ちるからである。
【0025】
そして、上記工程を経た伝熱部材基材100を冷却し(冷却工程(ステップS4))、続いて、各フィン21のY方向の端部をカットする(カット工程(ステップS5))。圧延工程後のフィン21は、
図5(b)の端部が縒れていることから、カット工程では、その縒れ部分をカットしてフィン21の形を整える。そして、各フィン21のZ方向の両端部をカットする(端末加工工程(ステップS6))。端末加工工程では、
図6に示すようにフィン21と共に伝熱管20のY方向の両端部もカットする。この端末加工工程により、伝熱管20が、
図5(c)のステップS6に示すようにフィン21のZ方向の両端部よりも突出した状態となり、第1ヘッダ3および第2ヘッダ4に挿入される挿入部20bが形成される。以上により伝熱部材2が製造される。
【0026】
<製造方法の変形例>
伝熱部材2の製造方法は、
図5に示した製造方法に限られたものではなく、本実施の形態1の要旨を逸脱しない範囲で例えば以下のように変形して実施してもよい。
【0027】
(変形例)
図7は、実施の形態1に係る熱交換器の伝熱部材の製造方法の変形例の説明図である。以下、
図7の製造方法が、
図5に示した製造方法と異なる点を説明する。
図5に示した製造方法では、圧延工程において、2つのフィン21を同時に圧延していた。これに対し、この変形例では、2つのフィン21を異なるタイミングで圧延する。すなわち、
図7に示すように2つのフィン21のうちの一方を圧延し(第1圧延工程(ステップS3a))、続いて、2つのフィン21のうちの他方を圧延する(第2圧延工程(ステップS3b))。伝熱管20を挟んで対向する位置にある2枚のフィン21を同時に圧延すると、伝熱管20が引っ張られて変形するおそれがある。このため、変形例では、2つのフィン21を片方ずつ異なるタイミングで行うようにしている。これにより、伝熱管20の変形を抑制できる。
【0028】
<伝熱部材2の変形例>
伝熱部材2は、
図1~
図4に示した基本形態の構成に限られたものではなく、本実施の形態1の要旨を逸脱しない範囲で例えば以下のように変形して実施してもよい。
【0029】
(変形例1)
図8は、実施の形態1に係る熱交換器の伝熱部材の変形例1のパターン1を示す図である。
図9は、実施の形態1に係る熱交換器の伝熱部材の変形例1のパターン2を示す図である。
図10は、実施の形態1に係る熱交換器の伝熱部材の変形例1のパターン3を示す図である。
図8~
図10において、いずれも(a)は伝熱部材の断面図、(b)は伝熱部材の側面図である。
変形例1は、フィン部23を波形状としたものである。フィン部23の波形状は、
図8に示すように、X方向に変位する波がY方向に続く波形状でもよいし、
図9に示すようにX方向に変位する波がZ方向に続く波形状でもよいし、
図10に示すようにX方向に変位する波がY方向およびZ方向に続く波形状でもよい。このようにフィン部23を波形状とすることで、フィン部23の表面積を増やすことができ、空気への熱伝達率を向上できる。このようなフィン部23の波形状は、圧延工程時に同時に形成してもよいし、圧延工程後に形成してもよい。
【0030】
(変形例2)
図11は、実施の形態1に係る熱交換器の伝熱部材の変形例2を示す図である。
変形例2は、フィン部23の表面に凹凸形状24を有するものである。このようにフィン部23の表面に凹凸形状24を有することで、フィン部23の表面の空気の流れが乱流化され、空気への熱伝達率を向上できる。このような凹凸形状24は、圧延工程時に同時に形成してもよいし、圧延工程後に形成してもよい。
【0031】
(変形例3)
図12は、実施の形態1に係る熱交換器の伝熱部材の変形例3を示す図である。
上記基本形態では、フィン21の伝熱管20との結合部22のX方向の位置が、伝熱管20の中心部であったが、変形例3では伝熱管20のX方向の端部としたものである。このように構成した場合、フィン21を圧延するための圧延ローラーを簡素化できる。
【0032】
(変形例4)
図13は、実施の形態1に係る熱交換器の伝熱部材の変形例4を示す図である。
変形例4は、フィン21を伝熱管20の片側のみとしたものである。
【0033】
(変形例5)
図14は、実施の形態1に係る熱交換器の伝熱部材の変形例5を示す図である。
変形例5は、伝熱部材2が複数の伝熱管20を備えた構成としたものである。各伝熱管20同士はフィン21で繋がっている。なお、
図14において結合部22の図示は省略している。
【0034】
(変形例6)
図15は、実施の形態1に係る熱交換器の伝熱部材の変形例6を示す図である。
変形例6は、伝熱管20が円管で構成されている。ここでは、
図14の変形例の伝熱部材2の伝熱管20を円管とした例を示したが、上記基本形態および上記変形例1~5のいずれにおいても、伝熱管20を円管としてもよい。なお、
図15において結合部22の図示は省略している。
【0035】
(変形例7)
上記変形例を適宜組み合わせた構成としてもよい。たとえば、変形例1と変形例2とを組み合わせ、波形状を有するフィン部23の表面に凹凸形状24を設けた構成としてもよい。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態1の熱交換器1は、内部を冷媒が流れる伝熱管20と、伝熱管20に一体に成形され、伝熱管20の管軸方向に沿って延びる長板状のフィン21と、を有する伝熱部材2を備える。伝熱部材2のフィン21は、伝熱管20との結合部22以外のフィン部23の板厚が結合部22の板厚よりも薄く形成されている。このように、伝熱管20とフィン21とを一体とし、フィン21と伝熱管20との接合を不要な構造としたので、接合時の熱による変形を回避して、熱交換性能の向上を図ることができる。また、フィン部23の板厚を結合部22の板厚よりも薄く形成したことで、フィン21全体を結合部22と同じ板厚に形成する構成に比べて、フィン21の熱伝導率を向上できる。
【0037】
フィン部23は、波形状に構成されていてもよいし、フィン部23の表面に凹凸形状24が形成されていてもよい。フィン部23をこのように形成することで、空気への熱伝達率を向上できる。
【0038】
フィン21は、フィン部23の板厚寸法をt、フィン部23の短手方向の幅寸法をwとしたとき、t/wが0.1以下である。これにより、フィン部23の板厚を結合部22の板厚と同じとした場合に比べて、伝熱部材2の軽量化を図ることができる。
【0039】
伝熱部材2は、伝熱管20を複数有し、伝熱管20同士がフィン21で繋がった構成としてもよい。また、伝熱管20は、扁平管で構成してもよいし、円管で構成してもよい。
【0040】
本実施の形態1の熱交換器1の製造方法は、伝熱管20およびフィン21を押出成形により形成する押出工程と、フィン21を圧延する圧延工程と、を有する。このように伝熱管20およびフィン21を一体成形することで、接合工程を不要とでき、結果として熱交換性能の向上を図ることができる。そして、フィン21を圧延することで、フィン21の板厚を薄くでき、伝熱部材2の熱伝導率を向上することができる。
【0041】
圧延工程では、フィン21の伝熱管20との結合部22を除いて圧延する。これにより、圧延時の伝熱管20の変形を抑制できる。
【0042】
圧延工程は、伝熱部材2を構成する材料の再結晶温度を超えた状態で行われる。これにより、フィン21を加工精度高く、圧延できる。
【0043】
押出工程と圧延工程との間に、フィン21に圧力を加えながら伝熱管20の寸法を矯正するリサイズ工程を有する。このようにフィン21を圧延する前にリサイズ工程を行うことで、フィン21が折れ曲がってしまうことなく伝熱管20に力を加えることができる。
【0044】
フィン21は、伝熱管20を挟んで対向する位置に2枚有し、圧延工程では、一方のフィン21を圧延する工程と、他方のフィン21を圧延する工程とを、異なるタイミングで行う。これにより、伝熱管20の変形を抑制できる。
【0045】
本実施の形態1は、圧延工程で圧延されたフィン21の短手方向の端部をカットするカット工程を有する。これにより、フィン圧延後のフィン21の縒れ部分をカットして形を整えることができる。
【0046】
実施の形態2.
実施の形態2は、上記実施の形態1の熱交換器1を備えた冷凍サイクル装置に関する。
【0047】
図16は、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置の冷媒回路を示す図である。
冷凍サイクル装置200は、圧縮機201と、凝縮器202と、膨張弁等で構成された減圧装置203と、蒸発器204とを備えている。凝縮器202および蒸発器204の一方または両方には、実施の形態1の熱交換器1が用いられている。
【0048】
このように構成された冷凍サイクル装置200は、次のように動作する。
圧縮機201で圧縮された冷媒は、凝縮器202に流入する。凝縮器202に流入した冷媒は、凝縮器202を通過する空気と熱交換して冷却され、減圧装置203に流入する。減圧装置203に流入した冷媒は、減圧されて蒸発器204に流入する。蒸発器204に流入した冷媒は、蒸発器204を通過する空気と熱交換して加熱され、再び圧縮機201に吸入される。
【0049】
実施の形態2の冷凍サイクル装置200は、実施の形態1の熱交換器1を備えているので、熱交換性能の良い冷凍サイクル装置200を構成できる。
【0050】
なお、冷凍サイクル装置200は、空気調和機、冷蔵庫または冷凍機等に適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 熱交換器、2 伝熱部材、3 第1ヘッダ、4 第2ヘッダ、5 冷媒出入口管、6 冷媒出入口管、20 伝熱管、20a 冷媒流路、20b 挿入部、21 フィン、22 結合部、23 フィン部、24 凹凸形状、100 伝熱部材基材、200 冷凍サイクル装置、201 圧縮機、202 凝縮器、203 減圧装置、204 蒸発器。