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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182636
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/052 20100101AFI20231219BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20231219BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20231219BHJP
   H01M 10/0567 20100101ALI20231219BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20231219BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20231219BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20231219BHJP
   H01G 11/64 20130101ALI20231219BHJP
   H01G 11/60 20130101ALI20231219BHJP
   H01G 11/62 20130101ALI20231219BHJP
   H01G 11/46 20130101ALI20231219BHJP
   H01G 11/42 20130101ALI20231219BHJP
【FI】
H01M10/052
H01M10/0568
H01M10/0569
H01M10/0567
H01M4/587
H01M4/525
H01M4/66 A
H01G11/64
H01G11/60
H01G11/62
H01G11/46
H01G11/42
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023158359
(22)【出願日】2023-09-22
(62)【分割の表示】P 2021088123の分割
【原出願日】2016-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2015240755
(32)【優先日】2015-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】成田 和平
(72)【発明者】
【氏名】田島 亮太
(72)【発明者】
【氏名】小國 哲平
(57)【要約】
【課題】加熱処理による充放電特性の劣化が少ない蓄電装置を提供する。または、加熱処
理における安全性が高い蓄電装置を提供する。
【解決手段】正極と、負極と、セパレータと、電解液と、外装体と、を有し、セパレータ
は、正極および負極の間に位置し、セパレータは、ポリフェニレンサルファイドまたは溶
剤紡糸再生セルロース繊維を含み、電解液は、溶質および二種以上の溶媒を有し、溶質は
、LiBETAを含み、溶媒は、プロピレンカーボネートを含む、蓄電装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と、負極と、セパレータと、電解液と、外装体と、を有し、
前記正極は、正極活物質層と、正極集電体と、を含み、
前記負極は、負極活物質層と、負極集電体と、を含み、
前記セパレータは、前記正極および前記負極の間に位置し、
前記電解液は、溶質、溶媒及び添加剤を有し、
前記溶質は、LiBETA(リチウムビスペンタフルオロエタンスルホニルアミド)を含み、
前記溶媒は、プロピレンカーボネート及びエチレンカーボネートを含み、
前記添加剤は、プロパンスルトンを含む、
蓄電装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記負極活物質層が、黒鉛を含む、
蓄電装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記負極活物質層が、球状化天然黒鉛を含み、
前記球状化天然黒鉛は、第1の領域及び第2の領域を有し、
前記第1の領域は前記第2の領域を覆い、
前記第1の領域は前記第2の領域より結晶性が低い、
蓄電装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記正極活物質層が、LiCoOを含む、
蓄電装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
前記正極集電体が、アルミニウムまたはステンレスを含む、
蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、蓄電装置及び電子機器に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の
一態様は、物、方法、又は製造方法に関する。本発明の一態様は、プロセス、マシン、マ
ニュファクチャ、又は組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。そのため、よ
り具体的に本明細書で開示する発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置
、発光装置、蓄電装置、記憶装置、撮像装置、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法
を一例として挙げることができる。
【0003】
なお、本明細書中において、蓄電装置とは、蓄電機能を有する素子及び装置全般を指すも
のである。例えば、リチウムイオン二次電池などの蓄電装置(二次電池ともいう)、リチ
ウムイオンキャパシタ、及び電気二重層キャパシタなどを含む。
【背景技術】
【0004】
近年、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ、空気電池等、種々の蓄電装
置の開発が盛んに行われている。特に高出力、高エネルギー密度であるリチウムイオン二
次電池は、携帯電話、スマートフォン、もしくはノート型コンピュータ等の携帯情報端末
、携帯音楽プレーヤ、デジタルカメラ、医療機器、又は、ハイブリッド車(HEV)、電
気自動車(EV)、もしくはプラグインハイブリッド車(PHEV)等の次世代クリーン
エネルギー自動車など、半導体産業の発展と併せて急速にその需要が拡大し、繰り返し充
電可能なエネルギーの供給源として現代の情報化社会に不可欠なものとなっている。
【0005】
このように、様々な分野又は用途でリチウムイオン二次電池は用いられている。そのなか
で、リチウムイオン二次電池に求められる特性として、高エネルギー密度、高サイクル特
性、及び様々な動作環境での安全性などがある。
【0006】
また、リチウムイオン二次電池は、少なくとも、正極、負極、及び電解液を有している(
特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-9418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
リチウムイオン二次電池は、ウェアラブルデバイスや携帯情報端末等の電子機器に搭載さ
れる際、電子機器の加工に伴う加熱処理に耐えられる必要がある。特に、該電子機器の筐
体がリチウムイオン二次電池と一体形成される場合、該筐体の作製温度以上の耐熱性を有
する必要がある。
【0009】
本発明の一態様は、加熱処理による充放電特性の劣化が少ない蓄電装置を提供することを
課題の一とする。
【0010】
または、本発明の一態様は、加熱処理における安全性が高い蓄電装置を提供することを課
題の一とする。
【0011】
または、本発明の一態様は、可撓性の高い蓄電装置を提供することを課題の一とする。ま
たは、本発明の一態様は、新規な蓄電装置や電子機器等を提供することを課題の一とする
【0012】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題
は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図
面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、正極と、負極と、セパレータと、電解液と、外装体と、を有し、正極
は、正極活物質層と、正極集電体とを含み、負極は、負極活物質層と、負極集電体とを含
み、セパレータは、正極および負極の間に位置し、セパレータは、ポリフェニレンサルフ
ァイドまたは溶剤紡糸再生セルロース繊維を含み、電解液は、溶質および二種以上の溶媒
を有し、溶質は、LiBETA(リチウムビスペンタフルオロエタンスルホニルアミド)
を含み、溶媒は、プロピレンカーボネートを含む、蓄電装置である。
【0014】
また、溶媒が、プロピレンカーボネートおよびエチレンカーボネートを含む前述の蓄電装
置も、本発明の一態様である。
【0015】
また、負極活物質層が黒鉛を含む前述の蓄電装置も、本発明の一態様である。
【0016】
また、負極活物質層が球状化天然黒鉛を含み、球状化天然黒鉛は、第1の領域および第2
の領域を有し、第1の領域は第2の領域を覆い、第1の領域は第2の領域より結晶性が低
い前述の蓄電装置も、本発明の一態様である。
【0017】
また、正極活物質層がLiCoOを含む前述の蓄電装置も、本発明の一態様である。
【0018】
また、正極集電体がアルミニウムまたはステンレスを含む前述の蓄電装置も、本発明の一
態様である。
【0019】
また、前述の蓄電装置の作製方法であって、蓄電装置の通電前に第1の温度で10分の加
熱工程を行い、第1の温度は、110℃以上190℃以下である、蓄電装置の作製方法も
、本発明の一態様である。
【0020】
本発明の一態様は、前述の蓄電装置と、バンドと、表示パネルと、筐体と、を有し、蓄電
装置は、正極リードおよび負極リードを有し、正極リードは、正極と電気的に接続され、
負極リードは、負極と電気的に接続され、蓄電装置は、バンドの内部に埋め込まれ、正極
リードの一部および負極リードの一部は、バンドから突出し、蓄電装置は、可撓性を有し
、蓄電装置は、表示パネルと電気的に接続され、表示パネルは、筐体に含まれ、バンドは
、筐体と接続され、バンドは、ゴム材料を含む、電子機器である。
【0021】
また、ゴム材料が、フッ素ゴムまたはシリコーンゴムである前述の電子機器も、本発明の
一態様である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様により、加熱処理による充放電特性の劣化が少ない蓄電装置を提供するこ
とができる。
【0023】
または、本発明の一態様により、加熱処理における安全性が高い蓄電装置を提供すること
ができる。
【0024】
または、本発明の一態様により、可撓性の高い蓄電装置を提供することができる。または
、本発明の一態様により、新規な蓄電装置や電子機器等を提供することができる。
【0025】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は
、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面
、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】蓄電装置の一例及び電極の一例を示す図。
図2】蓄電装置の一例を示す図。
図3】蓄電装置の一例を示す図。
図4】蓄電装置の一例を示す図。
図5】エンボス加工の一例を示す図。
図6】蓄電装置の一例を示す図。
図7】蓄電装置の一例を示す図。
図8】蓄電装置の一例を示す図。
図9】蓄電装置の作製方法の一例を示す図。
図10】蓄電装置の作製方法の一例を示す図。
図11】蓄電装置の作製方法の一例を示す図。
図12】電子機器、バンドおよび蓄電装置の一例を示す図。
図13】バンドおよび蓄電装置の一例を示す図。
図14】蓄電装置の一例を示す図。
図15】漏液検出方法の一例を示す図。
図16】蓄電装置の一例を示す図。
図17】蓄電装置の一例を示す図。
図18】蓄電装置の一例を示す図。
図19】蓄電装置の作製方法の一例を示す図。
図20】蓄電装置の一例を示す図。
図21】蓄電装置の一例を示す図。
図22】蓄電装置の作製方法の一例を示す図。
図23】蓄電装置の一例を示す図。
図24】電子機器の一例を示す図。
図25】電子機器の一例を示す図。
図26】電子機器の一例を示す図。
図27】電子機器の一例を示す図。
図28】電子機器の一例を示す図。
図29】実施例1に係る充放電カーブを示す図。
図30】実施例1に係る充放電カーブを示す図。
図31】実施例2に係る断面TEM像。
図32】実施例2に係るラマンスペクトルの測定結果。
図33】実施例3に係る充放電カーブを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定さ
れず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し
得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の
記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0028】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同
一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の
機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0029】
また、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実
際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必
ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0030】
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、又は、状況に応じ
て、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」
という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語
を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0031】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の蓄電装置について図1乃至図11を用いて説明する
【0032】
本発明の一態様の蓄電装置は、正極、負極、セパレータ、電解液、及び外装体を有する。
【0033】
なお、本明細書等において、電解液は、液体に限られず、ゲルや固体であってもよい。
【0034】
蓄電装置の耐熱性を高くするためには、まず電解液に含まれる溶質の高温での安定性が高
いことが求められる。例えば溶質であるリチウム塩として普及している六フッ化リン酸リ
チウム(LiPF)は、高温でLiFとPFに分解するが、PFが溶媒の分解を引
き起こすと言われており、溶質としての高温における安定性は低いと考えられる。
【0035】
そこで、本発明の一態様の蓄電装置では、電解液に含まれる溶質としてリチウムビスペン
タフルオロエタンスルホニルアミド(Li(CSON、略称:LiBETA
)を用いることが好ましい。LiBETAは分解温度が350℃であり、耐熱性が高い。
また正極集電体にアルミニウムなどを用いた場合に、蓄電装置の充放電において集電体表
面に不動態被膜を形成しやすく、正極集電体の溶出を抑制できるため好ましい。
【0036】
また、蓄電装置の耐熱性を高くするために、電解液に含まれる溶媒を沸点が高く、蒸気圧
が低いものとすることが好ましい。たとえば沸点が242℃の非水溶媒としてプロピレン
カーボネート(PC)が挙げられる。
【0037】
しかし、負極活物質を黒鉛とした場合に、PCは黒鉛表面に不動態被膜を形成せず、リチ
ウムイオンと共に黒鉛層間に挿入されることで、黒鉛層の一部が黒鉛粒子から剥離してし
まう場合がある。
【0038】
よって、本発明の一態様の蓄電装置では、電解液は二種以上の溶媒を含み、溶媒は少なく
ともPCを含む。PC以外に電解液に含まれる溶媒は、負極表面に不動態被膜を形成する
機能を有することが好ましい。PC以外に電解液に含まれる溶媒として、例えばエチレン
カーボネート(EC)、ビニレンカーボネート(VC)などが挙げられる。
【0039】
ECの沸点は248℃であり、耐熱性が高くかつ蒸気圧が低い。また、選択する黒鉛材料
によっては、PCおよびECを混合した溶媒は黒鉛層の剥離が抑制できる。例えばPCお
よびECを、体積比で1:1の割合で混合したものを溶媒として用いることができる。ま
た、負極に黒鉛を用いる場合、PCの層間挿入が低減される黒鉛材料を選ぶことが好まし
い。本発明の一態様の蓄電装置は、負極活物質として球状化天然黒鉛を用いる。球状化天
然黒鉛は、表面側に結晶性が低い領域を有し、それによりPCの層間挿入を低減できる可
能性がある。
【0040】
1mol/lのLiBETAを溶解させた、PCおよびECを体積比1:1で混合した電
解液を内部に密封されたアルミラミネートセルは、170℃15分の加熱処理によって膨
張が起こらないことが確認されている。よって、PCおよびECを、体積比で1:1の割
合で混合した溶媒は高温における安定性が高く、かつ蒸気圧が低い。
【0041】
また、セパレータとして一般的に使用されるポリエチレン、ポリプロピレン等は熱に弱い
。高温下ではセパレータの微細孔が閉塞し、蓄電装置が動作しなくなる場合がある。
【0042】
そこで、本発明の一態様の蓄電装置では、ポリフェニレンサルファイドを含むセパレータ
または溶剤紡糸再生セルロース繊維を含むセパレータを用いる。
【0043】
ポリフェニレンサルファイドを含むセパレータ、および溶剤紡糸再生セルロース繊維を含
むセパレータは、耐熱性や耐薬品性に優れる。
【0044】
また、ポリフェニレンサルファイドを含むセパレータおよび溶剤紡糸再生セルロース繊維
を含むセパレータは、高温下における電解液との反応性が低い。そのため、出力特性や充
放電サイクル特性の低下を抑制することができる。
【0045】
<蓄電装置の構成例>
次に、本発明の一態様の蓄電装置の具体的な構成について説明する。
【0046】
図1(A)に、本発明の一態様の蓄電装置である、蓄電装置500を示す。図1(A)で
は、蓄電装置500の一例として、薄型の蓄電装置の形態を示すが、本発明の一態様の蓄
電装置はこれに限られない。
【0047】
図1(A)に示すように、蓄電装置500は、正極503、負極506、セパレータ50
7、及び外装体509を有する。蓄電装置500は、正極リード510及び負極リード5
11を有してもよい。また接合部518は、外装体509の外周を熱圧着によって接合し
た部位である。
【0048】
図2(A)、(B)に、図1(A)における一点鎖線A1-A2間の断面図の一例をそれ
ぞれ示す。図2(A)、(B)には、正極503と負極506を1組用いて作製した蓄電
装置500の断面構造をそれぞれ示す。
【0049】
図2(A)、(B)に示すように、蓄電装置500は、正極503、負極506、セパレ
ータ507、電解液508、及び外装体509を有する。セパレータ507は、正極50
3と負極506の間に位置する。外装体509内は、電解液508で満たされている。
【0050】
正極503は、正極活物質層502と、正極集電体501とを含む。負極506は、負極
活物質層505と、負極集電体504とを含む。活物質層は、集電体の片面又は両面に形
成すればよい。セパレータ507は、正極集電体501と負極集電体504の間に位置す
る。
【0051】
蓄電装置は、正極及び負極をそれぞれ1つ以上有していればよい。例えば、蓄電装置は、
複数の正極及び複数の負極からなる積層構造とすることもできる。
【0052】
図3(A)に、図1(A)における一点鎖線A1-A2間の断面図の別の例を示す。また
図3(B)に図1(A)における一点鎖線B1-B2間の断面図を示す。
【0053】
図3(A)、(B)には、正極503と負極506を複数組用いて作製した蓄電装置50
0の断面構造を示す。蓄電装置500が有する電極層数に限定はない。電極層数が多い場
合には、より多くの容量を有する蓄電装置とすることができる。また、電極層数が少ない
場合には、薄型化でき、可撓性に優れた蓄電装置とすることができる。
【0054】
図3(A)、(B)では、正極集電体501の片面に正極活物質層502を有する正極5
03を2つと、正極集電体501の両面に正極活物質層502を有する正極503を2つ
と、負極集電体504の両面に負極活物質層505を有する負極506を3つ用いる例を
示す。つまり、蓄電装置500は、6層の正極活物質層502と、6層の負極活物質層5
05を有する。なお、図3(A)、(B)では、セパレータ507が袋状の例を示すが、
これに限定されず、セパレータ507は短冊状であっても、蛇腹状であってもよい。
【0055】
また、図3において、正極集電体501の両面に正極活物質層502を有する一の正極を
、正極集電体501の片面に正極活物質層502を有する2つの正極に置き換えることが
好ましい。同様に、負極集電体504の両面に負極活物質層505を有する一の負極を、
負極集電体504の片面に負極活物質層505を有する2つの負極に置き換えることが好
ましい。図4に示す蓄電装置500は、正極集電体501の正極活物質層502が付着し
ていない面同士、ならびに負極集電体504の負極活物質層505が付着していない面同
士が向かい合わせとなって接している。このような構成とすることで、蓄電装置500を
湾曲させた場合に、2つの正極集電体501の界面および2つの負極集電体504の界面
が滑り面となり、蓄電装置500内部に生じる応力を緩和できる。
【0056】
次に、図1(B)に、正極503の外観図を示す。正極503は、正極集電体501及び
正極活物質層502を有する。
【0057】
また、図1(C)に、負極506の外観図を示す。負極506は、負極集電体504及び
負極活物質層505を有する。
【0058】
ここで、正極503及び負極506は、積層される複数の正極同士又は複数の負極同士を
電気的に接続するために、タブ領域を有することが好ましい。また、タブ領域にはリード
を電気的に接続することが好ましい。
【0059】
図1(B)に示すように、正極503は、タブ領域281を有することが好ましい。タブ
領域281の一部は、正極リード510と溶接されることが好ましい。タブ領域281は
正極集電体501が露出する領域を有することが好ましく、正極集電体501が露出する
領域に正極リード510を溶接することにより、接触抵抗をより低くすることができる。
また、図1(B)ではタブ領域281の全域において正極集電体501が露出している例
を示すが、タブ領域281は、その一部に正極活物質層502を有してもよい。
【0060】
図1(C)に示すように、負極506は、タブ領域282を有することが好ましい。タブ
領域282の一部は、負極リード511と溶接されることが好ましい。タブ領域282は
負極集電体504が露出する領域を有することが好ましく、負極集電体504が露出する
領域に負極リード511を溶接することにより、接触抵抗をより低くすることができる。
また、図1(C)ではタブ領域282の全域において負極集電体504が露出している例
を示すが、タブ領域282は、その一部に負極活物質層505を有してもよい。
【0061】
なお、図1(A)では、正極503と負極506の端部が概略揃っている例を示すが、正
極503は、負極506の端部よりも外側に位置する部分を有していてもよい。
【0062】
蓄電装置500において、負極506の正極503と重ならない領域の面積は小さいほど
好ましい。
【0063】
図2(A)では、負極506の端部が、正極503の内側に位置する例を示す。このよう
な構成とすることにより、負極506を全て正極503と重ねる、又は負極506の正極
503と重ならない領域の面積を小さくすることができる。
【0064】
または、蓄電装置500において、正極503と負極506の面積は概略同じであること
が好ましい。例えば、セパレータ507を挟んで向かい合う正極503と負極506の面
積は、概略同じであることが好ましい。例えば、セパレータ507を挟んで向かい合う正
極活物質層502の面積と負極活物質層505の面積は概略同じであることが好ましい。
【0065】
例えば、図3(A)、(B)に示すように、正極503のセパレータ507側の面の面積
と負極506のセパレータ507側の面の面積は概略同じであることが好ましい。正極5
03の負極506側の面の面積と負極506の正極503側の面の面積を概略同じとする
ことにより、負極506の正極503と重ならない領域を小さくする(あるいは理想的に
はなくす)ことができ、蓄電装置500の不可逆容量を減少させることができるため好ま
しい。または、図3(A)、(B)に示すように、正極活物質層502のセパレータ50
7側の面の面積と負極活物質層505のセパレータ507側の面の面積は概略同じである
ことが好ましい。
【0066】
また、図3(A)、(B)に示すように、正極503の端部と負極506の端部は概略揃
うことが好ましい。また、正極活物質層502と負極活物質層505の端部は概略揃うこ
とが好ましい。
【0067】
また、図2(B)では、正極503の端部が、負極506の内側に位置する例を示す。こ
のような構成とすることにより、正極503を全て負極506と重ねる、又は正極503
の負極506と重ならない領域の面積を小さくすることができる。負極506の端部が正
極503の端部よりも内側に位置すると、負極506の端部に電流が集中してしまう場合
がある。例えば、負極506の一部に電流が集中することで、負極506上にリチウムが
析出してしまうことがある。正極503の負極506と重ならない領域の面積を小さくす
ることで、負極506の一部に電流が集中することを抑制できる。これにより、例えば、
負極506上へのリチウムの析出が抑制でき、好ましい。
【0068】
図1(A)に示すように、正極リード510は、正極503に電気的に接続することが好
ましい。同様に、負極リード511は、負極506に電気的に接続することが好ましい。
正極リード510及び負極リード511は外装体509の外側に露出し、外部との電気的
接触を得る端子として機能する。
【0069】
または、正極集電体501及び負極集電体504は、外部との電気的接触を得る端子の役
割を兼ねることもできる。その場合は、リードを用いずに、正極集電体501及び負極集
電体504の一部を外装体509から外側に露出するように配置してもよい。
【0070】
なお、外装体509の表面の一部が凹凸を有することが好ましい。外装体509が凹凸を
有することで、蓄電装置500を湾曲させた場合に外装体509にかかる応力を緩和する
ことができる。よって、蓄電装置500の可撓性を高めることができる。上記のような凹
凸は、蓄電装置500を組み立てる前の外装体509に対してエンボス加工を行うことで
形成できる。
【0071】
ここで、プレス加工の一種であるエンボス加工の説明をする。
【0072】
図5は、エンボス加工の一例を示す断面図である。なお、エンボス加工とは、表面に凹凸
のあるエンボスロールをフィルムに圧接させ、エンボスロールの凹凸に対応する凹凸をフ
ィルムに形成する処理のことを指している。エンボスロールは、表面に模様を彫刻したロ
ールである。
【0073】
図5(A)は、外装体509に用いるフィルム50の片方の面にエンボス加工を行う例で
ある。
【0074】
図5(A)において、フィルムの一方の面に接するエンボスロール53と、もう一方の面
に接するロール54との間にフィルム50が挟まれ、フィルム50がフィルムの進行方向
60に送り出されている途中を示している。圧力や熱によってフィルム表面に模様を形成
している。
【0075】
図5(A)は、片面エンボス加工とも呼ばれ、エンボスロール53とロール54(金属ロ
ールまたは弾性ロール(ゴムロールなど))の組み合わせである。
【0076】
また、図5(B)はエンボスロール53とロール54との間に、一度片面にエンボス加工
を行ったフィルム51が挟まれ、進行方向60の方向に送り出されている途中を示してい
る。エンボスロール53は、フィルム51のまだエンボス加工がされていない面に接して
回転するため、フィルム51は両面にエンボス加工が行われる。この例のように、1枚の
フィルムについて複数回エンボス加工を行うことも可能である。
【0077】
また、図5(C)は両面にエンボス加工をしたフィルム52の断面の拡大図を示している
。Hはフィルムの凹部または凸部におけるフィルムの膜厚を示している。また、H
凹部とその凹部と隣り合う凸部の境界部分の膜厚、または、凸部とその凸部と隣り合う凹
部の境界部分のフィルムの膜厚を示している。フィルムの膜厚は均一でなく、HはH
よりも小さい。
【0078】
また、図5(D)はフィルムの両面にエンボス加工を行う別の例である。
【0079】
図5(D)において、フィルムの一方の面に接するエンボスロール53と、もう一方の面
に接するエンボスロール55との間にフィルム50が挟まれ、フィルム50がフィルムの
進行方向60に送り出されている途中を示している。
【0080】
図5(D)は、雄柄のエンボスロールであるエンボスロール53と雌柄のエンボスロール
55の組み合わせである。また、フィルム50の表面の一部を浮き上がらせるエンボスと
、表面をへこませたデボスが連続している凸凹により、フィルム50の表面に模様を形成
している。
【0081】
図5(E)は図5(D)の一方のエンボスロール55に形成された突起のピッチを変えた
エンボスロール56を使用している。ここで、突起のピッチあるいはエンボスのピッチと
は、隣り合う突起の頂点間の距離のことをいう。たとえば、図5(E)における距離Pを
突起のピッチあるいはエンボスのピッチという。図5(E)はエンボスロール53とエン
ボスロール56の間にフィルム50を挟み、進行方向60へ送り出される途中を示してい
る。突起のピッチを変えることで、フィルムの両面にエンボスピッチの異なる加工を行う
ことができる。
【0082】
図5(F)において、フィルムの一方の面に接するエンボスロール57と、もう一方の面
に接するエンボスロール58との間にフィルム50が挟まれ、フィルム50がフィルムの
進行方向60に送り出されている途中を示している。
【0083】
図5(F)は、Tip to Tipの両面エンボス加工とも呼ばれ、エンボスロール5
7と、そのエンボスロール57と同じ柄のエンボスロール58の組み合わせである。同一
のエンボスロールの凸部と凹部の位相を合わせたものであり、フィルム50の表裏に差の
ほとんど無い模様を形成することができる。また、図5(F)とは異なり、同一のエンボ
スロールの凸部と凹部の位相は合わせずにエンボス加工をすることも可能である。
【0084】
また、エンボスロールを用いることに限定されず、エンボスプレートを用いてもよい。ま
た、エンボス加工に限定されず、フィルムの一部に浮き彫り(レリーフ)を形成すればよ
い。
【0085】
上記のエンボス加工を行って凹凸を形成した外装体529を用いた蓄電装置500の一例
図6(A)に示す。また、図6(B)に図6(A)における一点鎖線H1-H2間の断
面図を示す。図6(B)の外装体529を除いた構成は、図3(B)と同様である。
【0086】
外装体529が有する凹凸は、正極503、負極506と重なる領域を含むように形成さ
れている。図6(A)では接合部518に凹凸が形成されていないが、接合部518に凹
凸が形成されていてもよい。
【0087】
また外装体529が有する凹凸は、蓄電装置500の長軸方向(図6(A)に示すY方向
)に周期的に形成されている。言い換えると、一の凹および一の凸は、蓄電装置500の
短軸方向(図6(A)に示すX方向)に延在するように形成されている。このような凹凸
を有することで、蓄電装置500を長軸方向に湾曲させる場合にかかる応力を緩和できる
【0088】
なお、外装体529が有する凹凸が、二方向の斜めの線が交差した幾何学模様が視認でき
るように形成されていてもよい(図7参照)。このような凹凸を有することで、蓄電装置
500の少なくとも二方向の湾曲において発生する応力を緩和できる。
【0089】
また、図1(A)では、正極リード510と負極リード511は、蓄電装置500の同じ
辺に配置されているが、図8に示すように、正極リード510と負極リード511を蓄電
装置500の異なる辺に配置してもよい。このように、本発明の一態様の蓄電装置は、リ
ードを自由に配置することができるため、設計自由度が高い。よって、本発明の一態様の
蓄電装置を用いた製品の設計自由度を高めることができる。また、本発明の一態様の蓄電
装置を用いた製品の生産性を高めることができる。
【0090】
<蓄電装置の作製方法例>
次に、本発明の一態様の蓄電装置である蓄電装置500の作製方法の一例を、図9乃至図
11を用いて説明する。
【0091】
まず、正極503、負極506、及びセパレータ507を積層する。具体的には、正極5
03の上にセパレータ507を配置する。その後、セパレータ507の上に負極506を
配置する。正極と負極を2組以上用いる場合は、さらに負極506の上にセパレータ50
7を配置した後、正極503を配置する。このようにセパレータ507を正極503と負
極506の間に挟みながら正極503と負極506を交互に積層する。
【0092】
あるいは、セパレータ507を袋状にしてもよい。セパレータ507で電極を包むことで
、該電極が製造工程中に損傷しにくくなり、好ましい。
【0093】
まず、セパレータ507上に正極503を配置する。次いで、セパレータ507を図9
A)の破線で示した部分で折り、セパレータ507で正極503を挟む。なお、ここでは
正極503をセパレータ507で挟む例について説明したが、負極506をセパレータ5
07で挟んでもよい。
【0094】
ここで、正極503の外側のセパレータ507の外周部分を接合して、セパレータ507
を袋状(又はエンベロープ状)とすることが好ましい。セパレータ507の外周部分の接
合は、接着剤などを用いて行ってもよいし、超音波溶接や、加熱による融着により行って
もよい。
【0095】
次に、セパレータ507の外周部分を加熱により接合する。図9(A)に接合部514を
示す。このようにして、正極503をセパレータ507で覆うことができる。
【0096】
なお、セパレータ507としてセルロースや紙等の材料を用いる場合、セパレータ507
の外周部を接着剤などを用いて接合するが、接着剤の量は少ないことが好ましい。セパレ
ータ507に挟み込む電極(図9(A)においては正極503)がセパレータ507から
はみ出ないように外周部の接合を行えばよいため、例えば図9(B)に示すように接合部
514を形成することで、接着剤の量を減らすことができる。図9(B)では、セパレー
タ507の外周部のうち、折り目が形成された辺と交わる2辺の折り目近傍部と、折り目
が形成された辺と向かい合う辺の一部に接合部514が形成されている。
【0097】
次に、図9(C)に示すように、負極506と、セパレータに覆われた正極503と、を
交互に重ねる。また、封止層115を有する正極リード510及び負極リード511を準
備する。
【0098】
次に、図10(A)に示すように、正極503のタブ領域281に、封止層115を有す
る正極リード510を接続する。図10(B)に接続部の拡大図を示す。接合部512に
圧力を加えながら超音波を照射して、正極503のタブ領域281及び正極リード510
を電気的に接続する(超音波溶接)。このとき、タブ領域281に湾曲部513を設ける
とよい。
【0099】
湾曲部513を設けることによって、蓄電装置500の作製後に外から力が加えられて生
じる応力を緩和することができる。よって、蓄電装置500の信頼性を高めることができ
る。
【0100】
同様の方法を用いて、負極506のタブ領域282と、負極リード511と、を電気的に
接続することができる。
【0101】
次に、外装体509上に、正極503、負極506、及びセパレータ507を配置する。
【0102】
次に、外装体509を、図10(C)の外装体509の中央付近に破線で示した部分で折
り曲げる。
【0103】
図11に、外装体509の外周を熱圧着により接合した部位を、接合部118として示す
。電解液508を入れるための導入口119以外の外装体509の外周部を、熱圧着によ
り接合する。熱圧着の際、リードに設けられた封止層も溶けてリードと外装体509との
間を固定することができる。また、外装体509とリードとの間の密着性を向上すること
ができる。
【0104】
そして、減圧雰囲気下、或いは不活性ガス雰囲気下で所望の量の電解液508を導入口1
19から外装体509の内側に入れる。そして、最後に、導入口119を熱圧着により接
合する。このようにして、薄型の蓄電装置である蓄電装置500を作製することができる
【0105】
蓄電装置500を作製した後には、エージングを行ってもよい。エージング条件の一例に
ついて以下に説明する。まず初めに0.001C以上0.2C以下のレートで充電を行う
。温度は例えば室温以上50℃以下とすればよい。このときに、電解液の分解が生じ、ガ
スが発生した場合には、そのガスが電極間にたまると、電解液が電極表面と接することが
できない領域が発生してしまう。つまり、電極の実効的な反応面積が減少し、実効的な抵
抗が高くなることに相当する。
【0106】
過度に抵抗が高くなると、負極電位が下がることによって、黒鉛へのリチウムの挿入が起
こると同時に、黒鉛表面にリチウムが析出してしまう。このリチウムの析出は容量の低下
を招く場合がある。例えば、リチウムが析出した後、表面に被膜等が成長してしまうと、
表面に析出したリチウムが再溶出できなくなり、容量に寄与しないリチウムが生じてしま
う。また、析出したリチウムが物理的に崩落し、電極との導通を失った場合にも、やはり
容量に寄与しないリチウムが生じてしまう。よって、負極電位が充電電圧上昇によりリチ
ウム電位まで到達しないように、ガスを抜くことが好ましい。
【0107】
ガス抜きを行う場合には、例えば薄型の蓄電装置の外装体の一部を切断し、開封すればよ
い。ガスにより外装体が膨張している場合には、再度、外装体の形を整えることが好まし
い。また、再封止の前に必要に応じて電解液を足してもよい。ガス抜きを実施できない場
合は、セル内部にガス退避用の空間を設け、電極間に溜まったガスを電極間から退避させ
てもよい。前記で説明したエンボス加工したラミネート外装を用いることで生まれる空間
をガス退避用の空間として利用することも可能である。
【0108】
また、ガス抜きを行った後に、室温よりも高い温度、好ましくは30℃以上60℃以下、
より好ましくは35℃以上50℃以下において、例えば1時間以上100時間以下の間、
充電状態で保持してもよい。初めに行う充電の際に、表面で分解した電解液は被膜を形成
する。よって、例えばガス抜き後に室温よりも高い温度で保持することにより、形成され
た被膜が緻密化する場合も考えられる。
【0109】
<蓄電装置の各構成要素>
以下では、本発明の一態様の蓄電装置の構成要素について、詳述する。なお、本実施の形
態にて示す各部材の材料から、可撓性を有する材料を選択して用いると、可撓性を有する
蓄電装置を作製することができる。
【0110】
≪セパレータ≫
本発明の一態様の蓄電装置では、ポリフェニレンサルファイドまたは溶剤紡糸再生セルロ
ース繊維を含むセパレータを用いる。セパレータは、単層構造であっても積層構造であっ
てもよい。例えば、溶剤紡糸再生セルロース繊維を含むセパレータと、他のセパレータと
、の積層構造であってもよい。
【0111】
セパレータに用いることができる材料として、ポリフェニレンサルファイドや溶剤紡糸再
生セルロース繊維の他に、ポリプロピレンサルファイド、フッ素系ポリマー、セルロース
、紙、不織布、ガラス繊維、セラミックス、あるいは、ナイロン(ポリアミド)、ビニロ
ン(ポリビニルアルコール系繊維)、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、ポリウ
レタンといった合成繊維等から選ばれる一種以上を用いることができる。
【0112】
≪電解液≫
電解液は、電解質および溶媒を含む。なお、本明細書等においては、電解質を溶質と記す
場合がある。
【0113】
電解液の溶媒としては、キャリアイオンが移動可能な材料を用いる。特に耐熱性が高く、
かつ黒鉛負極との反応性が低い溶媒が好ましい。本発明の一態様の蓄電装置では、PCお
よびECを混合したものを溶媒として用いる。
【0114】
また、溶媒としては非プロトン性有機溶媒が好ましく、EC、PCのほかに、ブチレンカ
ーボネート、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、ジメチルスルホキシド、メチル
ジグライム、ベンゾニトリル、スルホランの1種、又はこれらのうちの2種以上を任意の
組み合わせ及び比率で用いることができる。
【0115】
また、電解液の溶媒としてゲル化される高分子材料を用いることで、漏液性等に対する安
全性が高まる。また、蓄電装置の薄型化及び軽量化が可能である。ゲル化される高分子材
料の代表例としては、シリコーンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリエチ
レンオキサイド系ゲル、ポリプロピレンオキサイド系ゲル、フッ素系ポリマーのゲル等が
ある。
【0116】
また、電解液の溶媒として、難燃性及び難蒸発性であるイオン液体(常温溶融塩ともいう
)を一つまたは複数用いることで、蓄電装置の内部短絡や、過充電等によって内部温度が
上昇しても、蓄電装置の破裂や発火などを防ぐことができる。これにより、蓄電装置の安
全性を高めることができる。
【0117】
溶質としては、キャリアイオンを移動することが可能であり、且つキャリアイオンを有す
る材料を用いることができる。キャリアイオンがリチウムイオンである場合、溶質はリチ
ウム塩である。用いるリチウム塩としては、耐熱性の高いLiBETA、リチウムビスト
リフルオロメタンスルホニルアミド(Li(CFSON、略称:LiTFSA)
、リチウムビスフルオロスルホニルアミド(Li(FSON、略称:LiFSA)
、LiBF、リチウムビスオキサラトボレート(LiB(C、略称:LiB
OB)などが好ましい。
【0118】
ところで、蓄電装置中の電池反応において、電解液が正極の集電体と反応し該集電体に含
まれる金属が溶出すると、蓄電装置の容量の低下を生じ蓄電装置が劣化する。すなわち蓄
電装置のサイクル特性試験を行うと充放電を重ねる毎に容量の低下が著しく、短寿命の蓄
電装置となる。また、リードとの接続部の集電体の溶出が進行すると、断線に至る場合も
ある。そこで、本発明の一態様においては、電解液が有する溶質材料は、該集電体との反
応が抑制され、かつ該集電体中の金属の溶出が抑制された材料を用いる。
【0119】
正極の集電体材料中の金属としては、例えばアルミニウムまたはステンレスが挙げられる
。本発明の一態様において、電解液に用いる溶質の材料は、これらの金属の正極集電体か
らの溶出が抑制される溶質を用いる。具体的には、本発明の一態様に用いることができる
溶質には、リチウム塩として、LiBETAが挙げられる。
【0120】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、正極集電体中の金属の電解液への溶出が抑制されるた
め、正極集電体の劣化が抑制され、また、負極表面での金属の析出も抑制されるため、容
量の劣化が小さくサイクル寿命の良好な蓄電装置とすることができる。
【0121】
また、上記の電解質以外には、例えばLiPF、LiClO、LiAsF、LiA
lCl、LiSCN、LiBr、LiI、LiSO、Li10Cl10、Li
12Cl12、LiCFSO、LiCSO、LiC(CFSO
、LiC(CSO、LiN(CSO)(CFSO)、LiN(
SO等のリチウム塩を1種以上、任意の組み合わせ及び比率で用いること
ができる。
【0122】
なお、上記の電解質では、キャリアイオンがリチウムイオンである場合について説明した
が、リチウムイオン以外のキャリアイオンも用いることができる。リチウムイオン以外の
キャリアイオンとしては、アルカリ金属イオンや、アルカリ土類金属イオンの場合、電解
質として、上記リチウム塩において、リチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナト
リウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリ
ウム、ベリリウム、またはマグネシウム等)を用いてもよい。
【0123】
また、電解液にVC、プロパンスルトン(PS)、tert-ブチルベンゼン(TBB)
、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、LiBOBなどの添加剤を添加してもよい
。添加剤の濃度は、例えば溶媒全体に対して0.1wt%以上5wt%以下とすればよい
【0124】
上述の溶媒と上述の電解質を用いると、本発明の一態様に係る蓄電装置の電解液を作製す
ることができる。
【0125】
≪集電体≫
集電体は、蓄電装置内で顕著な化学変化を引き起こさずに高い導電性を示す限り、特別な
制限はない。正極集電体及び負極集電体には、例えば、ステンレス、金、白金、亜鉛、鉄
、ニッケル、銅、アルミニウム、チタン、タンタル、マンガン等の金属、これらの合金、
又は焼結した炭素などをそれぞれ用いることができる。または、銅もしくはステンレス鋼
を炭素、ニッケルもしくはチタン等で被覆して用いてもよい。または、シリコン、チタン
、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加されたアル
ミニウム合金を用いることができる。または、シリコンと反応してシリサイドを形成する
金属元素で集電体を形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素
としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム
、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。
【0126】
正極集電体の表面や、負極集電体の表面では、電解液との不可逆な反応が生じる場合があ
る。よって、正極集電体や負極集電体は、電解液との反応性が低いことが好ましい。
【0127】
また、正極集電体及び負極集電体には、それぞれ、箔状、板状(シート状)、網状、円柱
状、コイル状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状、多孔質状、及び不織布を包
括する様々な形態の形状を適宜用いることができる。さらに、活物質層との密着性を上げ
るために、正極集電体及び負極集電体は、それぞれ、表面に細かい凹凸を有していてもよ
い。また、正極集電体及び負極集電体は、それぞれ、厚みが5μm以上30μm以下のも
のを用いるとよい。
【0128】
また、集電体の表面の一部にアンダーコート層を設けてもよい。ここでアンダーコート層
とは、集電体と活物質層との接触抵抗の低減や、集電体と活物質層との密着性向上のため
の被覆層をいう。なお、アンダーコート層は、集電体の一面全体に形成されていなくても
よく、島状に(部分的に)形成されていてもよい。また、アンダーコート層が活物質とし
て容量を発現しても構わない。アンダーコート層としては、例えば炭素材料を用いること
ができる。炭素材料としては、例えば、黒鉛や、アセチレンブラック等のカーボンブラッ
ク、カーボンナノチューブなどを用いることができる。また、アンダーコート層として、
金属層、炭素及び高分子を含む層、並びに金属及び高分子を含む層を用いることもできる
【0129】
≪活物質層≫
活物質層は、活物質を含む。活物質とは、キャリアであるイオンの挿入・脱離に関わる物
質のみを指し、本明細書等では、活物質が含まれている層を活物質層と呼ぶ。活物質層に
は活物質に加えて導電助剤および結着剤(バインダー)が含まれていても良い。
【0130】
正極活物質層は、1種類以上の正極活物質を有する。負極活物質層は、1種類以上の負極
活物質を有する。
【0131】
正極活物質及び負極活物質は、蓄電装置の電池反応の中心的役割を担いキャリアイオンの
放出及び吸収を行う物質である。蓄電装置の寿命を高めるためには、活物質が、電池反応
の不可逆反応に係る容量が小さい材料であることが好ましく、充放電効率の高い材料であ
ることが好ましい。
【0132】
正極活物質には、リチウムイオン等のキャリアイオンの挿入及び脱離が可能な材料を用い
ることができる。正極活物質としては、例えば、オリビン型の結晶構造、層状岩塩型の結
晶構造、スピネル型の結晶構造、NASICON型の結晶構造を有する材料等が挙げられ
る。
【0133】
例えば、正極活物質として、LiCoO、LiNiO、LiMn、V
Cr、MnO、LiFeO等の化合物を材料として用いることができる。
【0134】
オリビン型の結晶構造を有する材料としては、リチウム含有複合リン酸塩(一般式LiM
PO(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上))
が挙げられる。一般式LiMPOの代表例としては、LiFePO、LiNiPO
、LiCoPO、LiMnPO、LiFeNiPO、LiFeCoPO
、LiFeMnPO、LiNiCoPO、LiNiMnPO(a+b
は1以下、0<a<1、0<b<1)、LiFeNiCoPO、LiFeNi
MnPO、LiNiCoMnPO(c+d+eは1以下、0<c<1、0
<d<1、0<e<1)、LiFeNiCoMnPO(f+g+h+iは1以
下、0<f<1、0<g<1、0<h<1、0<i<1)等の化合物が挙げられる。
【0135】
例えば、リン酸鉄リチウム(LiFePO)は、安全性、安定性、高容量密度、高電位
、初期酸化(充電)時に引き抜けるリチウムイオンの存在等、正極活物質に求められる事
項をバランスよく満たしているため、好ましい。
【0136】
層状岩塩型の結晶構造を有する材料としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO
)、LiNiO、LiMnO、LiMnO、LiNi0.8Co0.2
のNiCo系(一般式は、LiNiCo1-x(0<x<1))、LiNi0.5
Mn0.5等のNiMn系(一般式は、LiNiMn1-x(0<x<1))
、LiNi1/3Mn1/3Co1/3等のNiMnCo系(NMCともいう。一般
式は、LiNiMnCo1-x-y(x>0、y>0、x+y<1))が挙げら
れる。さらに、Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)O、LiMnO-L
iMO(MはCo、Ni又はMn)等も挙げられる。
【0137】
特に、LiCoOは、容量が大きいこと、LiNiOに比べて大気中で安定であるこ
と、LiNiOに比べて熱的に安定であること等の利点があるため、好ましい。
【0138】
スピネル型の結晶構造を有する材料としては、例えば、LiMn、Li1+xMn
2-x、LiMn2-xAl(0<x<2)、LiMn1.5Ni0.5
等が挙げられる。
【0139】
LiMn等のマンガンを含むスピネル型の結晶構造を有する材料に、少量のニッケ
ル酸リチウム(LiNiOやLiNi1-x(0<x<1、M=Co、Al等
))を混合すると、マンガンの溶出を抑制する、電解液の分解を抑制する等の利点があり
好ましい。
【0140】
または、正極活物質として、一般式Li(2-j)MSiO(Mは、Fe(II)、M
n(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上、0≦j≦2)等のリチウム含有複合
ケイ酸塩を用いることができる。一般式Li(2-j)MSiOの代表例としては、L
(2-j)FeSiO、Li(2-j)NiSiO、Li(2-j)CoSiO
、Li(2-j)MnSiO、Li(2-j)FeNiSiO、Li(2-j)
FeCoSiO、Li(2-j)FeMnSiO、Li(2-j)Ni
SiO、Li(2-j)NiMnSiO(k+lは1以下、0<k<1、0
<l<1)、Li(2-j)FeNiCoSiO、Li(2-j)FeNi
MnSiO、Li(2-j)NiCoMnSiO(m+n+qは1以下、0
<m<1、0<n<1、0<q<1)、Li(2-j)FeNiCoMnSiO
(r+s+t+uは1以下、0<r<1、0<s<1、0<t<1、0<u<1)等の
化合物が挙げられる。
【0141】
または、正極活物質として、A(XO(A=Li、Na、Mg、M=Fe、
Mn、Ti、V、Nb、Al、X=S、P、Mo、W、As、Si)の一般式で表される
NASICON型化合物を用いることができる。NASICON型化合物としては、Fe
(MnO、Fe(SO、LiFe(PO等が挙げられる。
【0142】
または、正極活物質として、LiMPOF、LiMP、LiMO(M=
Fe、Mn)の一般式で表される化合物、FeF等のペロブスカイト型フッ化物、Ti
、MoS等の金属カルコゲナイド(硫化物、セレン化物、テルル化物)、LiMV
等の逆スピネル型の結晶構造を有する材料、バナジウム酸化物系(V、V
13、LiV、LiVOPO等)、マンガン酸化物、有機硫黄化合物等の材料を
用いることができる。
【0143】
また、正極活物質として、上記材料を複数組み合わせた材料を用いてもよい。例えば、上
記材料を複数組み合わせた固溶体を正極活物質として用いることができる。例えば、Li
Co1/3Mn1/3Ni1/3とLiMnOの固溶体を正極活物質として用い
ることができる。
【0144】
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属
イオンの場合、正極活物質として、上記リチウム化合物、リチウム含有複合リン酸塩、及
びリチウム含有複合ケイ酸塩において、リチウムを、アルカリ金属(例えば、ナトリウム
やカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、
ベリリウム、マグネシウム等)などのキャリアで置換した化合物を用いてもよい。
【0145】
正極活物質の一次粒子の平均粒径は、例えば5nm以上100μm以下が好ましい。
【0146】
また、例えば正極活物質としてオリビン型構造のリチウム含有複合リン酸塩を用いた場合
には、リチウムの拡散経路が一次元であるため、リチウム拡散が遅い。よって、オリビン
型構造のリチウム含有複合リン酸塩を用いた場合、充放電の速度を高めるためには正極活
物質の平均粒径は、例えば好ましくは5nm以上1μm以下とするとよい。または、正極
活物質の比表面積は、例えば好ましくは10m/g以上50m/g以下とするとよい
【0147】
オリビン構造を有する活物質では、例えば層状岩塩型の結晶構造を有する活物質などと比
較して充放電に伴う構造変化がきわめて少なく、結晶構造が安定であるため、過充電など
の動作に対しても安定であり、正極活物質として用いた場合に安全性の高い蓄電装置を実
現することができる。
【0148】
負極活物質としては、例えば炭素系材料、合金系材料等を用いることができる。
【0149】
炭素系材料としては、黒鉛、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)、難黒鉛化性炭素(ハー
ドカーボン)、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック等がある。黒鉛と
しては、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、コークス系人造黒鉛、ピッチ系人造
黒鉛等の人造黒鉛や、球状化天然黒鉛等の天然黒鉛がある。また、黒鉛の形状としては鱗
片状のものや球状のものなどがある。
【0150】
黒鉛はリチウムイオンが黒鉛に挿入されたとき(リチウム-黒鉛層間化合物の生成時)に
リチウム金属と同程度に卑な電位を示す。これにより、リチウムイオン二次電池は高い作
動電圧を示すことができる。前述の通り、黒鉛は、単位体積当たりの容量が比較的高い、
体積膨張が小さい、安価である、リチウム金属に比べて安全性が高い等の利点を有するた
め、好ましい。
【0151】
ここで、黒鉛材料について説明する。黒鉛とは複数のグラフェン層が、ファンデルワール
ス力によって互いに平行に積層した層状化合物である。黒鉛材料の表面は、グラフェン層
に平行な面(ベーサル面、基底面ともいう。)と、複数のグラフェン層の端部が配列して
形成される面(エッジ面、端面ともいう。)と、を含んでいる。ベーサル面では黒鉛を構
成するグラフェン層のうち最外層に位置するグラフェン層の一方の面が露出しており、エ
ッジ面では複数のグラフェン層の端部が露出している。二次電池の充放電に際しては、リ
チウムの挿入脱離は黒鉛材料のエッジ面が黒鉛材料への主たる出入り口となる。
【0152】
負極活物質として黒鉛を用いる場合、エッジ面が露出した箇所においてPCを含む電解液
が触れると、充放電時に黒鉛とPCとの副反応が生じる場合がある。本発明の一態様の蓄
電装置が有する負極活物質として用いる球状化天然黒鉛は、上記エッジ面に接して、黒鉛
層よりも結晶性の低い層が形成されているため、黒鉛とPCとの副反応を抑制できる場合
がある。
【0153】
キャリアイオンがリチウムイオンである場合、合金系材料としては、例えば、Mg、Ca
、Ga、Si、Al、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Ag、Au、Zn、Cd、
Hg、In等のうち少なくとも一つを含む材料を用いることができる。このような元素は
炭素と比べて容量が大きく、特にシリコンは理論容量が4200mAh/gと高いため、
蓄電装置の容量を高めることができる。このような元素を用いた合金系材料(化合物系材
料)としては、例えば、MgSi、MgGe、MgSn、SnS、VSn
FeSn、CoSn、NiSn、CuSn、AgSn、AgSb、Ni
MnSb、CeSb、LaSn、LaCoSn、CoSb、InSb、S
bSn等がある。
【0154】
また、負極活物質として、SiO、SnO、SnO、二酸化チタン(TiO)、リチ
ウムチタン酸化物(LiTi12)、リチウム-黒鉛層間化合物(Li)、
五酸化ニオブ(Nb)、酸化タングステン(WO)、酸化モリブデン(MoO
)等の酸化物を用いることができる。ここで、SiOとは、珪素と酸素を有する化合物で
あり、珪素と酸素の原子数比を珪素:酸素=α:βとすると、αは、βの近傍の値を有す
ることが好ましい。ここで近傍の値を有するとは、例えばαとβの差の絶対値は、βの値
に対して好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下であればよい。
【0155】
また、負極活物質として、リチウムと遷移金属の複窒化物である、LiN型構造をもつ
Li3-xN(MはCo、Ni又はCu)を用いることができる。例えば、Li2.
Co0.4は大きな充放電容量(900mAh/g、1890mAh/cm)を
示し好ましい。
【0156】
リチウムと遷移金属の複窒化物を用いると、負極活物質中にリチウムイオンを含むため、
正極活物質としてリチウムイオンを含まないV、Cr等の材料と組み合わせ
ることができる。なお、正極活物質にリチウムイオンを含む材料を用いる場合でも、あら
かじめ正極活物質に含まれるリチウムイオンを脱離させることで、負極活物質としてリチ
ウムと遷移金属の複窒化物を用いることができる。
【0157】
また、コンバージョン反応が生じる材料を負極活物質として用いることもできる。例えば
、酸化コバルト(CoO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化鉄(FeO)等の、リチウム
と合金化反応を行わない遷移金属酸化物を負極活物質に用いてもよい。コンバージョン反
応が生じる材料としては、さらに、Fe、CuO、CuO、RuO、Cr
等の酸化物、CoS0.89、NiS、CuS等の硫化物、Zn、CuN、G
等の窒化物、NiP、FeP、CoP等のリン化物、FeF、BiF
等のフッ化物が挙げられる。
【0158】
負極活物質の一次粒子の平均粒径は、例えば5nm以上100μm以下が好ましい。
【0159】
正極活物質層及び負極活物質層は、それぞれ、導電助剤を有してもよい。
【0160】
導電助剤としては、例えば炭素材料、金属材料、又は導電性セラミックス材料等を用いる
ことができる。また、導電助剤として繊維状の材料を用いてもよい。活物質層の総量に対
する導電助剤の含有量は、1wt%以上10wt%以下が好ましく、1wt%以上5wt
%以下がより好ましい。
【0161】
導電助剤により、電極中に電気伝導のネットワークを形成することができる。導電助剤に
より、負極活物質どうしの電気伝導の経路を維持することができる。活物質層中に導電助
剤を添加することにより、高い電気伝導性を有する活物質層を実現することができる。
【0162】
導電助剤としては、例えば天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ等の人造黒鉛、炭素繊
維などを用いることができる。炭素繊維としては、例えばメソフェーズピッチ系炭素繊維
、等方性ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維を用いることができる。また炭素繊維として、カ
ーボンナノファイバーやカーボンナノチューブなどを用いることができる。カーボンナノ
チューブは、例えば気相成長法などで作製することができる。また、導電助剤として、例
えばカーボンブラック(アセチレンブラック(AB)など)、グラファイト(黒鉛)粒子
、グラフェン、酸化グラフェン、フラーレンなどの炭素材料を用いることができる。また
、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金などの金属粉末や金属繊維、導電性セラ
ミックス材料等を用いることができる。
【0163】
薄片状のグラフェンは、高い導電性を有するという優れた電気特性、及び柔軟性並びに機
械的強度という優れた物理特性を有する。そのため、グラフェンを、導電助剤として用い
ることにより、活物質同士の接触点や、接触面積を増大させることができる。
【0164】
グラフェンは、接触抵抗の低い面接触を可能とするものであり、また、薄くても導電性が
非常に高く、少ない量でも効率よく活物質層内で導電パスを形成することができる。
【0165】
平均粒径の小さい活物質、例えば1μm以下の活物質を用いる場合には、活物質の比表面
積が大きく、活物質同士を繋ぐ導電パスがより多く必要となる。このような場合には、導
電性が非常に高く少ない量でも効率よく導電パスを形成することができるグラフェンを用
いることが、特に好ましい。
【0166】
正極活物質層及び負極活物質層は、それぞれ、結着剤を有してもよい。
【0167】
本明細書中において、結着剤は、活物質と活物質を結着もしくは接着させる機能、及び/
又は、活物質層と集電体を結着もしくは接着させる機能を有する。また、結着剤は、電極
又は電池の作製中に、その状態が変化する場合がある。例えば、結着剤は、液体、固体、
又はゲル等の少なくともいずれか一の状態をとることがある。また、結着剤は、電極又は
電池の作製中に、単量体(モノマー)から重合体(ポリマー)に変化する場合がある。
【0168】
例えば、結着剤として水溶性の高分子を用いることができる。水溶性の高分子としては、
例えば多糖類などを用いることができる。多糖類としては、カルボキシメチルセルロース
(CMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジ
アセチルセルロース、再生セルロースなどのセルロース誘導体や、澱粉などを用いること
ができる。
【0169】
また、結着剤として、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン・イソプレン・ス
チレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、エチレ
ン・プロピレン・ジエン共重合体などのゴム材料を用いることができる。これらのゴム材
料は、前述の水溶性の高分子と併用して用いてもよい。これらのゴム材料は、ゴム弾性を
有し、伸び縮みしやすいため、充放電に伴う活物質の膨張収縮や、電極の曲げなどに伴う
ストレスに強く、信頼性の高い電極を得ることができる一方で、疎水基を有し水に溶けに
くい場合がある。このような場合には、水溶液中で粒子が水に溶解しない状態で分散する
ので、活物質層の形成に使用する溶剤を含む組成物(電極合剤組成物ともいう)を、塗布
するために適した粘度にまで高めることが難しいことがある。この際に、粘度調整機能の
高い水溶性高分子、例えば多糖類を用いると、溶液の粘度を適度に高める効果が期待でき
るうえに、ゴム材料と互いに均一に分散し、均一性の高い良好な電極、例えば電極膜厚や
電極抵抗の均一性が高い電極を得ることができる。
【0170】
または、結着剤として、PVdF、ポリスチレン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリ
ル酸メチル(ポリメチルメタクリレート(PMMA))、ポリアクリル酸ナトリウム、ポ
リビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキ
シド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアクリロ
ニトリル(PAN)、エチレンプロピレンジエンポリマー、ポリ酢酸ビニル、ニトロセル
ロース等の材料を用いることができる。
【0171】
結着剤は上記のうち二種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0172】
活物質層の総量に対する結着剤の含有量は、1wt%以上10wt%以下が好ましく、2
wt%以上8wt%以下がより好ましく、3wt%以上5wt%以下がさらに好ましい。
【0173】
≪外装体≫
外装体509は、電解液508と接する面、すなわち内側の面が電解液508と顕著な反
応を生じないことが好ましい。また、蓄電装置500の外部から蓄電装置500内に水分
が混入すると、電解液508の成分等と水との反応が生じる場合がある。よって外装体5
09は、水分の透過性が低いことが好ましい。
【0174】
外装体509には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アイオノ
マー、ポリアミド等を用いた膜上に、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル等の可撓
性に優れた金属薄膜を設け、さらに該金属薄膜上に外装体の外面としてポリアミド系樹脂
、ポリエステル系樹脂等の絶縁性合成樹脂膜を設けた三層構造のフィルムを用いることが
できる。このような三層構造とすることで、電解液や気体の透過を遮断するとともに、絶
縁性を確保し、併せて耐電解液性を有する。外装体を内側に折り曲げて重ねて、又は、2
つの外装体それぞれの内面を向かい合わせて重ねて熱を加えることにより、内面の材料が
融け2つの外装体を融着することができ、封止構造を作製することができる。
【0175】
外装体が融着等され封止構造が形成されている箇所を封止部とすると、外装体を内側に折
り曲げて重ねた場合は、折り目以外の個所に封止部が形成され、外装体の第1の領域と、
該第1の領域と重なる第2の領域とが融着等された構造となる。また、2枚の外装体を重
ねた場合は熱融着等の方法で外周全てに封止部が形成される。
【0176】
蓄電装置500は、可撓性を有する外装体509を用いることで、可撓性を有する構成と
することができる。可撓性を有する構成とすれば、可撓性を有する部位を少なくとも一部
有する電子機器に実装することができ、電子機器の変形に合わせて蓄電装置500も曲げ
ることもできる。
【0177】
なお、本発明の一態様において、蓄電装置を構成する各部材にグラフェン化合物を用いる
ことができる。グラフェン化合物は後述の通り、修飾により構造及び特性を幅広く選択す
ることができため、グラフェン化合物を適用しようとする部材に応じて、好ましい性質を
発現させることができる。また、グラフェン化合物は機械的強度が高いため、グラフェン
化合物は可撓性を有する蓄電装置を構成する各部材にも適用することができる。以下、グ
ラフェン化合物について説明する。
【0178】
グラフェンは、炭素原子が1原子層配列したものであり、炭素原子間にπ結合を有する。
グラフェンが2層以上100層以下重なったものを、マルチグラフェンと呼ぶ場合がある
。グラフェンおよびマルチグラフェンは、例えば、長手方向、あるいは面における長軸の
長さが50nm以上100μm以下または800nm以上50μm以下である。
【0179】
本明細書等において、グラフェンまたはマルチグラフェンを基本骨格として有する化合物
を「グラフェン化合物(「グラフェンコンパウンド:Graphene Compoun
d」ともいう)」と呼ぶ。グラフェン化合物には、グラフェンとマルチグラフェンを含む
【0180】
以下に、グラフェン化合物について詳細を説明する。
【0181】
グラフェン化合物は例えば、グラフェンまたはマルチグラフェンが、炭素以外の原子、ま
たは炭素以外の原子を有する原子団に修飾された化合物である。また、グラフェンまたは
マルチグラフェンが、アルキル基、アルキレン等の炭素を主とした原子団に修飾された化
合物であってもよい。なお、グラフェンまたはマルチグラフェンを修飾する原子団を、置
換基、官能基、または特性基等と呼ぶ場合がある。ここで、本明細書等において修飾とは
、置換反応、付加反応またはその他の反応により、グラフェン、マルチグラフェン、グラ
フェン化合物、または酸化グラフェン(後述)に、炭素以外の原子、炭素以外の原子を有
する原子団、または炭素を主とした原子団を導入することをいう。
【0182】
なお、グラフェンの表面と裏面は、それぞれ異なる原子や原子団により修飾されていても
よい。また、マルチグラフェンにおいては、それぞれの層が異なる原子や原子団に修飾さ
れていてもよい。
【0183】
上述の原子または原子団により修飾されたグラフェンの一例として、酸素または酸素を含
む官能基に修飾されたグラフェンまたはマルチグラフェンが挙げられる。ここで酸素を含
む官能基として例えば、エポキシ基、カルボキシル基などのカルボニル基、または水酸基
等が挙げられる。酸素または酸素を有する官能基により修飾されたグラフェン化合物を、
酸化グラフェンと呼ぶ場合がある。また、本明細書においては、酸化グラフェンは多層の
酸化グラフェンをも含むものとする。
【0184】
酸化グラフェンにおける修飾の一例として、酸化グラフェンのシリル化について説明する
。まず、窒素雰囲気中において、容器内に酸化グラフェンを入れ、容器にn-ブチルアミ
ン(CNH)を加え、60℃に保ち1時間撹拌する。次に、容器にトルエンを加
え、シリル化剤として、アルキルトリクロロシランをさらに加えて、窒素雰囲気中におい
て、60℃に保ち5時間撹拌する。次に、容器にさらにトルエンを加え、吸引濾過して固
体粉末を得て、これをエタノール中に分散させる。さらにこれを吸引濾過して固体粉末を
得て、アセトンに分散させる。さらに、これを吸引濾過して固体粉末を得て、液体成分を
気化してシリル化された酸化グラフェンが得られる。
【0185】
なお修飾は、シリル化に限定されず、シリル化も上述の方法に限定されない。また、1種
類の原子または原子団を導入するだけでなく、複数の種類の修飾を施し、複数の種類の原
子または原子団を導入してもよい。グラフェン化合物に特定の原子団を導入することで、
グラフェン化合物の物性を変化させることができる。従って、グラフェン化合物の用途に
応じて望ましい修飾を施すことにより、グラフェン化合物に所望の性質を意図的に発現さ
せることができる。
【0186】
次に、酸化グラフェンの作製方法の一例を説明する。酸化グラフェンは、上記グラフェン
またはマルチグラフェンを酸化して得ることができる。または、酸化グラフェンは、酸化
グラファイトを分離して得ることができる。酸化グラファイトは、グラファイトを酸化し
て得ることができる。ここで、酸化グラフェンに、さらに上述の原子または原子団を修飾
してもよい。
【0187】
酸化グラフェンを還元して得られる化合物を、「RGO(Reduced Graphe
ne Oxide)」と呼ぶ場合がある。なお、RGOには、酸化グラフェンに含まれる
酸素は全て脱離されずに、一部の酸素または酸素を含む原子団が炭素に結合した状態で残
存する場合がある。例えばRGOは、エポキシ基、カルボキシル基などのカルボニル基、
または水酸基等の官能基を有する場合がある。
【0188】
グラフェン化合物は、複数のグラフェン化合物が部分的に重なりながら1枚のシート状と
なっていてもよい。このようなグラフェン化合物を、グラフェン化合物シートと呼ぶ場合
がある。グラフェン化合物シートは例えば、厚さが0.33nm以上10mm以下、より
好ましくは0.34nmより大きく10μm以下の領域を有する。グラフェン化合物シー
トは、炭素以外の原子、炭素以外の原子を有する原子団、またはアルキル基等の炭素を主
とした原子団等により修飾されていてもよい。また、グラフェン化合物シートが有する複
数の層のそれぞれにおいて、異なる原子または原子団により修飾されていてもよい。
【0189】
グラフェン化合物は、炭素で構成される六員環の他に、炭素で構成される五員環や、炭素
で構成される七員環以上の多員環を有してもよい。ここで、七員環以上の多員環の近傍で
は、リチウムイオンが通過可能な領域が生じる場合がある。
【0190】
また例えば、複数のグラフェン化合物が集まって、シート状の形状となっていてもよい。
【0191】
グラフェン化合物は平面的な形状を有するため、面接触を可能とする。
【0192】
グラフェン化合物は薄くても導電性が高い場合があり、また面接触によりグラフェン化合
物同士、あるいはグラフェン化合物と活物質との間の接触面積を増加させることができる
。よって、体積あたりの量が少なくても効率よく導電パスを形成することができる。
【0193】
一方で、グラフェン化合物を絶縁体として用いることもできる。例えばグラフェン化合物
シートをシート状の絶縁体として用いることができる。ここで例えば、酸化グラフェンは
酸化されていないグラフェン化合物と比較して絶縁性が高い場合がある。また、原子団に
修飾されたグラフェン化合物は、修飾する原子団の種類により、絶縁性を高めることがで
きる場合がある。
【0194】
ここで、本明細書等においてグラフェン化合物は、グラフェン前駆体を有してもよい。グ
ラフェン前駆体とは、グラフェンを製造するために用いられる物質のことをいい、グラフ
ェン前駆体には例えば、上述の酸化グラフェンや、酸化グラファイトなどを含んでもよい
【0195】
なお、アルカリ金属を有するグラフェンや、酸素等の炭素以外の元素を有するグラフェン
を、グラフェン類似体と呼ぶ場合がある。本明細書等においてグラフェン化合物には、グ
ラフェン類似体も含まれる。
【0196】
また、本明細書等におけるグラフェン化合物は、層間に原子、原子団、およびそれらのイ
オンを有してもよい。なお、グラフェン化合物が層間に原子、原子団、およびそれらのイ
オンを有することにより、グラフェン化合物の物性、例えば電気伝導性やイオン伝導性が
変化する場合がある。また、層間距離が大きくなる場合がある。
【0197】
グラフェン化合物は、高い導電性を有するという優れた電気特性と、高い柔軟性および高
い機械的強度を有するという優れた物理特性と、を有する場合がある。また、グラフェン
化合物は、修飾の種類に応じて、導電性を極めて低くし絶縁体とすることができる場合が
ある。また、グラフェン化合物は平面的な形状を有する。グラフェン化合物は、接触抵抗
の低い面接触を可能とする。
【0198】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0199】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について、図12乃至図15を用いて説明
する。
【0200】
<スマートウォッチの構成例1>
図12(A)に、腕時計型の携帯情報端末(スマートウォッチとも呼ぶ)700の斜視図
を示す。携帯情報端末700は、筐体701、表示パネル702、留め金703、バンド
705A、705B、操作ボタン711、712を有する。
【0201】
ベゼル部を兼ねる筐体701に搭載された表示パネル702は、矩形状の表示領域を有し
ている。また、該表示領域は曲面を構成している。表示パネル702は可撓性を有するこ
とが好ましい。なお、表示領域は非矩形状であってもよい。
【0202】
バンド705Aおよびバンド705Bは、筐体701と接続される。留め金703は、バ
ンド705Aと接続される。バンド705Aと筐体701とは、例えば接続部でピンを軸
にして動かせるように接続される。バンド705Bと筐体701、ならびにバンド705
Aと留め金703の接続についても同様である。
【0203】
図12(B)、図12(C)にそれぞれ、バンド705Aおよび蓄電装置750の斜視図
を示す。バンド705Aは蓄電装置750を有する。蓄電装置750には、例えば実施の
形態1で説明した蓄電装置500を用いることができる。蓄電装置750はバンド705
Aの内部に埋め込まれ、正極リード751および負極リード752はそれぞれ一部がバン
ド705Aから突出している(図12(B)参照)。正極リード751および負極リード
752は、表示パネル702と電気的に接続される。また蓄電装置750の表面は外装体
753で覆われている(図12(C)参照)。なお、上記のピンが電極の機能を有してい
てもよい。具体的には、正極リード751および表示パネル702、ならびに負極リード
752および表示パネル702が、それぞれバンド705Aと筐体701とを接続するピ
ンを介して電気的に接続されていてもよい。このようにすることで、バンド705Aおよ
び筐体701の接続部における構成を簡略化できる。
【0204】
蓄電装置750は可撓性を有する。具体的には、外装体753の表面には実施の形態1で
説明したエンボス加工によって形成された凹凸を有することが好ましい。また、蓄電装置
750は、図4に示す蓄電装置500が有する滑り面を有することが好ましい。
【0205】
バンド705Aは、蓄電装置750と一体形成することで作製できる。例えば、バンド7
05Aの外形に対応する金型に蓄電装置750をセットし、バンド705Aの材料を該金
型に流し込み、該材料を硬化させることで図12(B)に示すバンド705Aを作製でき
る。
【0206】
バンド705Aの材料としてゴム材料を用いる場合、加熱処理によってゴムを硬化させる
。例えばゴム材料としてフッ素ゴムを用いる場合、170℃、10分の加熱処理によって
硬化させる。また、ゴム材料としてシリコーンゴムを用いる場合、150℃、10分の加
熱処理によって硬化させる。本発明の一態様の蓄電装置は耐熱性が高いため、ゴム材料と
の一体形成に伴う加熱処理における破壊や充放電特性の劣化を抑制できる。
【0207】
バンド705Aに用いる材料としては、フッ素ゴム、シリコーンゴムのほか、フロロシリ
コーンゴム、ウレタンゴムが挙げられる。
【0208】
なお、エージングを含む蓄電装置750への通電は、上記のバンド705Aとの一体形成
後に行うことが好ましい。換言すると、実施の形態1で説明した蓄電装置500は、蓄電
装置500の通電前に、加熱処理を行うことが好ましい。該加熱処理は、110℃以上1
90℃以下において、上記ゴム材料に対する適切な加硫時間、たとえば170℃において
10分行うことが好ましい。このようにすることで、加熱処理による蓄電装置500の充
放電特性の劣化を抑制できる。
【0209】
なお、図12(A)に示す携帯情報端末700は、様々な機能を有することができる。例
えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示領域に表示する機能、タッ
チパネル機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プ
ログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコ
ンピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信又は
受信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示領域
に表示する機能、等を有することができる。
【0210】
また、筐体701の内部に、スピーカ、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速
度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電
圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むも
の)、マイクロフォン等を有することができる。なお、携帯情報端末700は、発光素子
をその表示パネル702に用いることにより作製することができる。
【0211】
なお、図12では蓄電装置750がバンド705Aに含まれる例を示したが、蓄電装置7
50がバンド705Bに含まれていてもよい。バンド705Bとしてはバンド705Aと
同様の材料を用いることができる。
【0212】
バンド705Aに用いるゴム材料は、耐薬品性が高いことが好ましい。具体的には、蓄電
装置750に含まれる電解液に対する反応性が低いことが好ましい。
【0213】
ここで、バンド705Aが耐薬品性に優れていても、バンド705Aに亀裂や剥落が生じ
た場合、蓄電装置750から漏れた電解液に携帯情報端末700の使用者が触れてしまう
可能性がある。携帯情報端末700が電解液の漏れを検出する機能を有していると、電解
液の漏れを検出した時点で使用者が携帯情報端末700の操作を止め、取り外すことがで
きる。よって、安全性の高い携帯情報端末700とすることができる。
【0214】
<スマートウォッチの構成例2>
図13(A)は、図12(B)に示すバンド705Aとは異なる構成のバンド735Aの
斜視図である。バンド735Aと接続される筐体731は、蓄電装置の電解液の漏れを検
出する機能を有する漏液検知回路(図示しない)を備える(図12(A)参照)。なお、
漏液検知回路を有する携帯情報端末730の斜視図は、携帯情報端末700と同様である
【0215】
バンド735Aは蓄電装置760を有する。蓄電装置760はバンド735Aの内部に埋
め込まれ、正極リード751、負極リード752、端子761および端子762がバンド
735Aから突出している。正極リード751および負極リード752は、表示パネル7
02と電気的に接続される。端子761および端子762は、例えば、上記の漏液検知回
路と電気的に接続される。
【0216】
図13(B)に、蓄電装置760の斜視図を示す。図13(B)は明確化のため図13
A)よりも拡大して示している。蓄電装置760は、端子761、端子762、配線77
1および配線772を有する点が、図12(C)に示す蓄電装置750と異なる。端子7
61と配線771は電気的に接続される。また端子762と配線772は電気的に接続さ
れる。
【0217】
なお、明示化のため図13(B)において配線771と配線772は異なるハッチングで
示しているが、配線771と配線772は同じ材料で形成することで作製コストを削減で
きるため好ましい。また端子761と配線771、ならびに端子762と配線772はそ
れぞれ同じハッチングで示しているが、端子761と配線771、ならびに端子762と
配線772がそれぞれ異なる材料で形成されていてもよい。
【0218】
配線771および配線772は、所定の間隔をあけて外装体753の表面に敷設されてい
る(図13(B)参照)。電解液が外装体753の表面に漏出した場合、配線771と配
線772が電解液を介して導通することで漏液検知回路が電解液の漏れを検知できる。
【0219】
図13(B)では配線771および配線772が蓄電装置760の長軸方向に直線状に設
けられた配置を示しているが、これに限られない。例えば、図13(C)に示すように、
配線771および配線772を、櫛歯状に間隔をあけてかみ合うように設けてもよい。
【0220】
また、図13(C)は配線771、772が外装体753の上面にのみ設けられた例であ
るが、図14(A)に示すように外装体753の全面にわたって設けられていることが好
ましい。図14(B)は、図14(A)に示す蓄電装置760の背面斜視図である。
【0221】
配線771、772の膜厚が薄く、かつ幅が小さいと、蓄電装置760が有する可撓性を
維持できるため好ましい。例えば、蓄電装置760が、配線771、772の膜厚が5μ
m以上500μm以下となる領域を有することが好ましい。また、配線771と配線77
2の間隔が小さく、それらの幅が小さいことで、電解液の漏れが少量であっても検出でき
るため好ましい。例えば、蓄電装置760が、配線771と配線772の間隔が0.5m
m以上20mm以下となる領域を有することが好ましい。また、蓄電装置760が、配線
771、772の幅が0.5mm以上5mm以下となる領域を有することが好ましい。ま
た、外装体753の表面に占める配線771、772の面積が小さすぎると電解液の漏れ
に対して外装体753表面の全体をカバーできず、該面積が大きすぎると蓄電装置760
が有する可撓性が低下する場合がある。蓄電装置760において、外装体753の表面積
に対する、配線771、772の側面(外装体753と接する面)を除く表面積の割合が
5%以上50%以下であることが好ましい。
【0222】
配線771、772としては、延性または展性の高い材料を含むことが好ましい。特に、
延性と展性のいずれも高い材料を用いることで、蓄電装置760の湾曲に伴う配線771
、772の断線を抑制できる。延性及び展性の高い材料としては、金、銀、白金、鉄、ニ
ッケル、銅、アルミニウム、亜鉛、スズなどの金属材料や、当該金属材料を含む合金など
が挙げられる。
【0223】
≪漏液を検出する方法≫
以下より、携帯情報端末730における電解液の漏れを検出する方法の一例について説明
する。図15(A)に、電解液736が漏出した状態における、携帯情報端末730が有
する構成のブロック図を示す。図15(A)において、矢印を含む線は矢印の向きによっ
て有線信号または無線信号の伝達方向を示す。よって、該線で結ばれた各要素は電気的に
接続される場合がある。また矢印を含まない線は配線を示し、該線で結ばれた各要素は電
気的に接続される。
【0224】
携帯情報端末730は、漏液検知回路732と、電源733と、電流計734と、配線7
71と、配線772と、を有する(図15(A)参照)。漏液検知回路732、電源73
3および電流計734は、筐体731に含まれる。電源733および電流計734が、漏
液検知回路732に含まれる構成としてもよい。また、携帯情報端末730は機能回路7
39を有する。機能回路739は、上記のスピーカ、センサ、マイクロフォン等を含む。
機能回路739は、筐体731に含まれる。
【0225】
配線771、772は電源733と電気的に接続され、配線771と配線772の間には
任意の電圧が印加されている(図15(A)参照)。電源733のオンオフは漏液検知回
路732によって制御される。
【0226】
図15(B)は携帯情報端末730において電解液の漏れを検出する流れを示すフローチ
ャートである。例えば、携帯情報端末730において電解液の漏れを検出する方法は以下
の4つのステップを有する。
【0227】
蓄電装置760の電解液736が漏れた場合、電解液736は外装体753の表面に付着
する(図15(A)、(B)S1参照)。外装体753の表面に付着する電解液736が
配線771および配線772と接触することで、配線771および配線772に電流が流
れる(図15(B)S2参照)。該電流を、配線772に並列接続された電流計734が
検知すると、電流計734は検知信号を漏液検知回路732に出力する(図15(B)S
3参照)。漏液検知回路732は該検知信号に従って、表示パネル702または/および
機能回路739の動作を停止する(図15(B)S4参照)。
【0228】
なお、図15(A)では電流計734が配線772に接続された例を示すが、電流計73
4が配線771に接続されていてもよい。また、電源733および電流計734が漏液検
知回路732に含まれ、漏液検知回路732が配線771、772と電気的に接続されて
いてもよい(図15(C)参照)。この場合、漏液検知回路732は配線771、772
に所定の電圧を負荷する機能および配線771、772に流れる電流を検知する機能を有
する。
【0229】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0230】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様である、可撓性を有する蓄電装置について、図16
図23を用いて説明する。本発明の一態様の蓄電装置は、湾曲した形状であってもよい
。また、本発明の一態様の蓄電装置は、可撓性を有し、湾曲した状態と湾曲していない状
態の双方の状態において使用できてもよい。
【0231】
〈構成例1〉
図16(A)に二次電池200の斜視図を示し、図16(B)に二次電池200の上面図
を示す。
【0232】
図17(A)に、図16(B)における一点鎖線C1-C2間の断面図を示し、図17
B)に、図16(B)における一点鎖線C3-C4間の断面図を示す。なお、図17(A
)、(B)では図を明瞭にするため、一部の構成要素を抜粋して示す。
【0233】
二次電池200は、正極211、負極215、及びセパレータ203を有する。二次電池
200は、さらに、正極リード221、負極リード225、及び外装体207を有する。
【0234】
正極211及び負極215は、それぞれ、集電体及び活物質層を有する。正極211及び
負極215は、セパレータ203を介して、活物質層が互いに対向するように配置されて
いる。
【0235】
二次電池200が有する電極(正極211及び負極215)は、湾曲の内径側に位置する
ものより、外径側に位置するものの方が、湾曲の方向について長いことが好ましい。この
ような構成とすることで、二次電池200をある曲率で湾曲させた際、正極211及び負
極215の端部を揃えることができる。すなわち、正極211が有する正極活物質層のす
べての領域を、負極215の有する負極活物質層と対向して配置することができる。その
ため正極211が有する正極活物質を無駄なく電池反応に寄与させることができる。その
ため、二次電池200の体積当たりの容量を大きくすることができる。この構成は、二次
電池200を使用する際に二次電池200の曲率が固定される場合に特に有効である。
【0236】
正極リード221は、複数の正極211と電気的に接続されている。負極リード225は
、複数の負極215と電気的に接続されている。正極リード221及び負極リード225
は、それぞれ封止層220を有する。
【0237】
外装体207は、複数の正極211、複数の負極215、及び複数のセパレータ203を
覆う。二次電池200は、外装体207で覆われた領域に電解液(図示しない)を有する
。二次電池200は、外装体207の3辺を接着することで封止されている。
【0238】
図17(A)、(B)では、短冊状のセパレータ203を複数用い、正極211と負極2
15の間にそれぞれ1つずつセパレータ203を配置する例を示したが、本発明の一態様
はこれに限られない。1枚のシート状のセパレータをつづら折りにする(蛇腹型にする、
ともいえる)、又は捲回することで、正極と負極の間にセパレータが位置するようにして
もよい。
【0239】
例えば、図19(A)乃至(D)に二次電池200の作製方法を示す。この作製方法を用
いる場合の図16(B)における一点鎖線C1-C2間の断面図を、図18に示す。
【0240】
まず、セパレータ203上に、負極215を配置する(図19(A))。このとき、負極
215が有する負極活物質層が、セパレータ203と重畳するように配置する。
【0241】
次に、セパレータ203を折り曲げ、負極215の上にセパレータ203を重ねる。次に
、セパレータ203の上に、正極211を重ねる(図19(B))。このとき、正極21
1が有する正極活物質層が、セパレータ203及び負極活物質層と重畳するように配置す
る。なお、集電体の片面に活物質層が形成されている電極を用いる場合は、正極211の
正極活物質層と、負極215の負極活物質層がセパレータ203を介して対向するように
配置する。
【0242】
セパレータ203にポリプロピレン等の熱溶着が可能な材料を用いている場合は、セパレ
ータ203同士が重畳している領域を熱溶着してから次の電極を重ねることで、作製工程
中に電極がずれることを抑制できる。具体的には、負極215又は正極211と重畳して
おらず、セパレータ203同士が重畳している領域、たとえば図19(B)の領域203
aで示す領域を熱溶着することが好ましい。
【0243】
この工程を繰り返すことで、図19(C)に示すように、セパレータ203を挟んで正極
211及び負極215を積み重ねることができる。
【0244】
なお、あらかじめ繰り返し折り曲げたセパレータ203に、複数の負極215及び複数の
正極211を交互に挟むように配置してもよい。
【0245】
次に、図19(C)に示すように、セパレータ203で複数の正極211及び複数の負極
215を覆う。
【0246】
さらに、図19(D)に示すように、セパレータ203同士が重畳している領域、例えば
図19(D)に示す領域203bを熱溶着することで、複数の正極211と複数の負極2
15を、セパレータ203によって覆い、結束する。
【0247】
なお、複数の正極211、複数の負極215及びセパレータ203を、結束材を用いて結
束してもよい。
【0248】
このような工程で正極211及び負極215を積み重ねるため、セパレータ203は、1
枚のセパレータ203の中で、複数の正極211と複数の負極215に挟まれている領域
と、複数の正極211と複数の負極215を覆うように配置されている領域とを有する。
【0249】
換言すれば、図18図19(D)に示す二次電池200が有するセパレータ203は、
一部が折りたたまれた1枚のセパレータである。セパレータ203の折りたたまれた領域
に、複数の正極211と、複数の負極215が挟まれている。
【0250】
〈構成例2〉
図20(A)に二次電池250の斜視図を示し、図20(B)に二次電池250の上面図
を示す。また、図20(C1)に第1の電極組立体230の断面図を示し、図20(C2
)に第2の電極組立体231の断面図を示す。
【0251】
二次電池250は、第1の電極組立体230、第2の電極組立体231、及びセパレータ
203を有する。二次電池250は、さらに、正極リード221、負極リード225、及
び外装体207を有する。
【0252】
図20(C1)に示すように、第1の電極組立体230は、正極211a、セパレータ2
03、負極215a、セパレータ203、及び正極211aがこの順で積層されている。
正極211a及び負極215aは、それぞれ、集電体の両面に活物質層を有する構成であ
る。
【0253】
図20(C2)に示すように、第2の電極組立体231は、負極215a、セパレータ2
03、正極211a、セパレータ203、及び負極215aがこの順で積層されている。
正極211a及び負極215aは、それぞれ、集電体の両面に活物質層を有する構成であ
る。
【0254】
つまり、第1の電極組立体230及び第2の電極組立体231において、正極及び負極は
、セパレータ203を介して、活物質層が互いに対向するように配置されている。
【0255】
正極リード221は、複数の正極211と電気的に接続されている。負極リード225は
、複数の負極215と電気的に接続されている。正極リード221及び負極リード225
は、それぞれ封止層220を有する。
【0256】
図21に、図20(B)における一点鎖線D1-D2間の断面図の一例を示す。なお、図
21では図を明瞭にするため、一部の構成要素を抜粋して示す。
【0257】
図21に示すように、二次電池250は、複数の第1の電極組立体230及び複数の第2
の電極組立体231が、捲回したセパレータ203によって覆われている構成を有する。
【0258】
外装体207は、複数の第1の電極組立体230、複数の第2の電極組立体231、及び
セパレータ203を覆う。二次電池200は、外装体207で覆われた領域に電解液(図
示しない)を有する。二次電池200は、外装体207の3辺を接着することで封止され
ている。
【0259】
例えば、図22(A)乃至(D)に二次電池250の作製方法を示す。
【0260】
まずセパレータ203上に、第1の電極組立体230を配置する(図22(A))。
【0261】
次に、セパレータ203を折り曲げ、第1の電極組立体230の上にセパレータ203を
重ねる。次に、第1の電極組立体230の上下に、セパレータ203を介して、2組の第
2の電極組立体231を重ねる(図22(B))。
【0262】
次に、セパレータ203を、2組の第2の電極組立体231を覆うように捲回させる。さ
らに、2組の第2の電極組立体231の上下に、セパレータ203を介して、2組の第1
の電極組立体230を重ねる(図22(C))。
【0263】
次に、セパレータ203を、2組の第1の電極組立体230を覆うように捲回させる(図
22(D))。
【0264】
このような工程で複数の第1の電極組立体230及び複数の第2の電極組立体231を積
み重ねるため、これらの電極組立体は、渦巻き状に捲回されたセパレータ203の間に配
置される。
【0265】
なお、最も外側に配置される電極は、外側に活物質層を有さないことが好ましい。
【0266】
また図20(C1)、(C2)では、電極組立体が電極3枚とセパレータ2枚を有する構
成を示したが、本発明の一態様はこれに限らない。電極を4枚以上、セパレータを3枚以
上有する構成としてもよい。電極を増やすことで、二次電池250の容量をより向上させ
ることができる。また電極を2枚、セパレータを1枚有する構成としてもよい。電極が少
ない場合、より湾曲に強い二次電池とすることができる。また、図21では、二次電池2
50が第1の電極組立体230を3組、第2の電極組立体231を2組有する構成を示し
たが、本発明の一態様はこれに限らない。さらに多くの電極組立体を有する構成としても
よい。電極組立体を増やすことで、二次電池250の容量をより向上させることができる
。また、より少ない電極組立体を有する構成としてもよい。電極組立体が少ない場合、よ
り湾曲に強い二次電池とすることができる。
【0267】
また、図23に、図20(B)における一点鎖線D1-D2間の断面図の別の例を示す。
図23に示すように、セパレータ203を蛇腹状に折りたたむことで、第1の電極組立体
230と第2の電極組立体231の間にセパレータ203を配置してもよい。
【0268】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0269】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の蓄電装置の使用例について図24乃至図28を用い
て説明する。
【0270】
本発明の一態様の蓄電装置は、例えば、電子機器や照明装置に用いることができる。本発
明の一態様の蓄電装置は、充放電特性に優れる。したがって、電子機器や照明装置を、一
度の充電で長時間使用することができる。また、充放電サイクルに伴う容量の減少が抑制
されているため、充電を繰り返しても、使用可能な時間が短くなりにくい。また、本発明
の一態様の蓄電装置は、高温環境を含む、広い温度範囲で、優れた充放電特性を示し、長
期信頼性や安全性が高いため、電子機器や照明装置の安全性や信頼性を高めることができ
る。
【0271】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともい
う)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタル
フォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携
帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0272】
本発明の一態様の蓄電装置は可撓性を有するため、当該蓄電装置自体、又は、当該蓄電装
置を用いた電子機器もしくは照明装置を、家屋やビルの内壁もしくは外壁、又は、自動車
の内装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことも可能である。
【0273】
図24(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401
に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、ス
ピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、蓄電
装置7407を有している。
【0274】
図24(B)は、携帯電話機7400を湾曲させた状態を示している。携帯電話機740
0を外部の力により変形させて全体を湾曲させると、その内部に設けられている蓄電装置
7407も湾曲する。蓄電装置7407は薄型の蓄電装置である。蓄電装置7407は曲
げられた状態で固定されている。湾曲した状態の蓄電装置7407を図24(C)に示す
【0275】
図24(D)は、バングル型の表示装置の一例を示している。携帯表示装置7100は、
筐体7101、表示部7102、操作ボタン7103、及び蓄電装置7104を備える。
図24(E)に曲げられた蓄電装置7104の状態を示す。
【0276】
図24(F)は、腕時計型の携帯情報端末の一例を示している。携帯情報端末7200は
、筐体7201、表示部7202、バンド7203、バックル7204、操作ボタン72
05、入出力端子7206などを備える。
【0277】
携帯情報端末7200は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インタ
ーネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができ
る。
【0278】
表示部7202はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うこ
とができる。また、表示部7202はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面に
触れることで操作することができる。例えば、表示部7202に表示されたアイコン72
07に触れることで、アプリケーションを起動することができる。
【0279】
操作ボタン7205は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オフ
動作、マナーモードの実行及び解除、省電力モードの実行及び解除など、様々な機能を持
たせることができる。例えば、携帯情報端末7200に組み込まれたオペレーティングシ
ステムにより、操作ボタン7205の機能を自由に設定することもできる。
【0280】
また、携帯情報端末7200は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能で
ある。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで
通話することもできる。
【0281】
また、携帯情報端末7200は入出力端子7206を備え、他の情報端末とコネクターを
介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子7206を介して充電
を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子7206を介さずに無線給電により行
ってもよい。
【0282】
携帯情報端末7200の表示部7202には、本発明の一態様の蓄電装置を有している。
例えば、図24(E)に示した蓄電装置7104を、筐体7201の内部に湾曲した状態
で、又はバンド7203の内部に湾曲可能な状態で組み込むことができる。
【0283】
図25(A)は、手首装着型の活動量計の一例を示している。活動量計7250は、筐体
7251、バンド7203、バックル7204などを備える。また筐体7251の内部に
無線通信器、脈拍センサ、加速度センサ、温度センサなどを備える。活動量計7250は
、脈拍センサ、加速度センサにより装着者の脈拍推移、活動量などの情報を取得し、無線
通信器によって外部の携帯情報端末に該情報を送信する機能を有する。また、活動量計7
250は、装着者の消費カロリー、摂取カロリーを計測する機能、歩数を取得する機能、
睡眠状態を計測する機能などを有していてもよい。なお、活動量計7250が表示部を有
し、上記の機能により取得した情報を表示できるようにしてもよい。
【0284】
活動量計7250は、本発明の一態様の蓄電装置を有している。例えば、図24(E)に
示した蓄電装置7104を、筐体7201の内部に湾曲した状態で、又はバンド7203
の内部に湾曲可能な状態で組み込むことができる。
【0285】
図25(B)は、腕章型の表示装置の一例を示している。表示装置7300は、表示部7
304を有し、本発明の一態様の蓄電装置を有している。また、表示装置7300は、表
示部7304にタッチセンサを備えることもでき、また、携帯情報端末として機能させる
こともできる。
【0286】
表示部7304はその表示面が湾曲しており、湾曲した表示面に沿って表示を行うことが
できる。また、表示装置7300は、通信規格された近距離無線通信などにより、表示状
況を変更することができる。
【0287】
また、表示装置7300は入出力端子を備え、他の情報端末とコネクターを介して直接デ
ータのやりとりを行うことができる。また入出力端子を介して充電を行うこともできる。
なお、充電動作は入出力端子を介さずに無線給電により行ってもよい。
【0288】
図25(C)は、メガネ型の表示装置の一例を示している。表示装置7350は、レンズ
7351、フレーム7352などを有する。また、フレーム7352の内部またはフレー
ム7352と接して、レンズ7351に画像または映像を投影する投影部(図示しない)
を有する。表示装置7350は、レンズ7351の全体に画像7351Aを装着者が視認
できる向きに表示する機能を有する。または、レンズ7351の一部に画像7351Bを
装着者が視認できる向きに表示する機能を有する。
【0289】
表示装置7350は、本発明の一態様の蓄電装置を有している。図25(D)に、フレー
ム7352の先端部7355を拡大した図を示す。先端部7355はフッ素ゴム、シリコ
ーンゴム等のゴム材料で形成できる。先端部7355の内部には本発明の一態様の蓄電装
置7360が埋め込まれ、正極リード7361および負極リード7362が先端部735
5から突出している。正極リード7361および負極リード7362は、フレーム735
2の内部に設けられ投影部等と接続される配線と電気的に接続される。なお、先端部73
55は蓄電装置7360とともに、実施の形態2で説明した一体形成によって作製するこ
とができる。
【0290】
先端部7355および蓄電装置7360は可撓性を有する。よって、表示装置7350は
使用者の頭部形状に合わせて密着するように装着できる。
【0291】
図26(A)、(B)に、2つ折り可能なタブレット型端末の一例を示す。図26(A)
、(B)に示すタブレット型端末9600は、一対の筐体9630、一対の筐体9630
を接続する可動部9640、表示部9631a、表示部9631b、表示モード切り替え
スイッチ9626、電源スイッチ9627、省電力モード切り替えスイッチ9625、留
め具9629、操作スイッチ9628を有する。図26(A)は、タブレット型端末96
00を開いた状態を示し、図26(B)は、タブレット型端末9600を閉じた状態を示
している。
【0292】
また、タブレット型端末9600は、筐体9630の内部に蓄電体9635を有する。蓄
電体9635は、可動部9640を通り、一方の筐体9630から他方の筐体9630に
渡って設けられている。
【0293】
表示部9631aは、一部をタッチパネルの領域9632aとすることができ、表示され
た操作キー9638にふれることでデータ入力をすることができる。なお、表示部963
1aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、残りの半分の領
域がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部96
31aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部9
631aの全面にキーボードボタンを表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを
表示画面として用いることができる。
【0294】
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一部
をタッチパネルの領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボード
表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで
表示部9631bにキーボードボタン表示することができる。
【0295】
また、タッチパネルの領域9632aとタッチパネルの領域9632bに対して同時にタ
ッチ入力することもできる。
【0296】
また、表示モード切り替えスイッチ9626は、縦表示又は横表示などの表示の向きを切
り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えスイ
ッチ9625は、タブレット型端末9600に内蔵している光センサで検出される使用時
の外光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は
光センサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出
装置を内蔵させてもよい。
【0297】
また、図26(A)では表示部9631aと表示部9631bの表示面積が同じ例を示し
ているが特に限定されず、一方の表示部のサイズと他方の表示部のサイズが異なっていて
もよく、表示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行え
る表示パネルとしてもよい。
【0298】
図26(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、太陽電池96
33、DCDCコンバータ9636を含む充放電制御回路9634を有する。また、蓄電
体9635として、本発明の一態様の蓄電装置を用いる。
【0299】
なお、タブレット型端末9600は2つ折り可能なため、未使用時に一対の筐体9630
を重ね合せるように折りたたむことができる。折りたたむことにより、表示部9631a
、表示部9631bを保護できるため、タブレット型端末9600の耐久性を高めること
ができる。また、本発明の一態様の蓄電体を用いた蓄電体9635は可撓性を有し、曲げ
伸ばしを繰り返しても充放電容量が低下しにくい。よって、信頼性の優れたタブレット型
端末を提供できる。
【0300】
また、この他にも図26(A)、(B)に示したタブレット型端末は、様々な情報(静止
画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、カレンダー、日付又は時刻など
を表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入
力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有するこ
とができる。
【0301】
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル、
表示部、又は映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、筐
体9630の片面又は両面に設けることができ、蓄電体9635の充電を効率的に行う構
成とすることができるため好適である。なお、蓄電体9635としては、リチウムイオン
電池を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
【0302】
また、図26(B)に示す充放電制御回路9634の構成及び動作について、図26(C
)にブロック図を示し説明する。図26(C)には、太陽電池9633、蓄電体9635
、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3、表示
部9631について示しており、蓄電体9635、DCDCコンバータ9636、コンバ
ータ9637、スイッチSW1乃至SW3が、図26(B)に示す充放電制御回路963
4に対応する箇所となる。
【0303】
まず、外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する
。太陽電池で発電した電力は、蓄電体9635を充電するための電圧となるようDCDC
コンバータ9636で昇圧又は降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に太陽電
池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ963
7で表示部9631に必要な電圧に昇圧又は降圧をすることとなる。また、表示部963
1での表示を行わない際には、スイッチSW1をオフにし、スイッチSW2をオンにして
蓄電体9635の充電を行う構成とすればよい。
【0304】
なお、太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、
圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段による蓄
電体9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受信
して充電する無接点電力伝送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構成と
してもよい。
【0305】
図27に、他の電子機器の例を示す。図27において、表示装置8000は、本発明の一
態様に係る蓄電装置8004を用いた電子機器の一例である。具体的に、表示装置800
0は、TV放送受信用の表示装置に相当し、筐体8001、表示部8002、スピーカ部
8003、蓄電装置8004等を有する。本発明の一態様に係る蓄電装置8004は、筐
体8001の内部に設けられている。表示装置8000は、商用電源から電力の供給を受
けることもできるし、蓄電装置8004に蓄積された電力を用いることもできる。よって
、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る
蓄電装置8004を無停電電源として用いることで、表示装置8000の利用が可能とな
る。
【0306】
表示部8002には、液晶表示装置、有機EL素子などの発光素子を各画素に備えた発光
装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Devi
ce)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field
Emission Display)などの、半導体表示装置を用いることができる。
【0307】
なお、表示装置には、TV放送受信用の他、パーソナルコンピュータ用、広告表示用など
、全ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0308】
図27において、据え付け型の照明装置8100は、本発明の一態様に係る蓄電装置81
03を用いた電子機器の一例である。具体的に、照明装置8100は、筐体8101、光
源8102、蓄電装置8103等を有する。図27では、蓄電装置8103が、筐体81
01及び光源8102が据え付けられた天井8104の内部に設けられている場合を例示
しているが、蓄電装置8103は、筐体8101の内部に設けられていても良い。照明装
置8100は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置8103に蓄
積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が
受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置8103を無停電電源として用いる
ことで、照明装置8100の利用が可能となる。
【0309】
なお、図27では天井8104に設けられた据え付け型の照明装置8100を例示してい
るが、本発明の一態様に係る蓄電装置は、天井8104以外、例えば側壁8105、床8
106、窓8107等に設けられた据え付け型の照明装置に用いることもできるし、卓上
型の照明装置などに用いることもできる。
【0310】
また、光源8102には、電力を利用して人工的に光を得る人工光源を用いることができ
る。具体的には、白熱電球、蛍光灯などの放電ランプ、LEDや有機EL素子などの発光
素子が、上記人工光源の一例として挙げられる。
【0311】
図27において、室内機8200及び室外機8204を有するエアコンディショナーは、
本発明の一態様に係る蓄電装置8203を用いた電子機器の一例である。具体的に、室内
機8200は、筐体8201、送風口8202、蓄電装置8203等を有する。図27
は、蓄電装置8203が、室内機8200に設けられている場合を例示しているが、蓄電
装置8203は室外機8204に設けられていても良い。或いは、室内機8200と室外
機8204の両方に、蓄電装置8203が設けられていても良い。エアコンディショナー
は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置8203に蓄積された電
力を用いることもできる。特に、室内機8200と室外機8204の両方に蓄電装置82
03が設けられている場合、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時で
も、本発明の一態様に係る蓄電装置8203を無停電電源として用いることで、エアコン
ディショナーの利用が可能となる。
【0312】
なお、図27では、室内機と室外機で構成されるセパレート型のエアコンディショナーを
例示しているが、室内機の機能と室外機の機能とを1つの筐体に有する一体型のエアコン
ディショナーに、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることもできる。
【0313】
図27において、電気冷凍冷蔵庫8300は、本発明の一態様に係る蓄電装置8304を
用いた電子機器の一例である。具体的に、電気冷凍冷蔵庫8300は、筐体8301、冷
蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303、蓄電装置8304等を有する。図27では、蓄
電装置8304が、筐体8301の内部に設けられている。電気冷凍冷蔵庫8300は、
商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置8304に蓄積された電力を
用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時
でも、本発明の一態様に係る蓄電装置8304を無停電電源として用いることで、電気冷
凍冷蔵庫8300の利用が可能となる。
【0314】
なお、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器などの電子機器は、短時間で高い電力
を必要とする。よって、商用電源では賄いきれない電力を補助するための補助電源として
、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることで、電子機器の使用時に商用電源のブレー
カーが落ちるのを防ぐことができる。
【0315】
また、電子機器が使用されない時間帯、特に、商用電源の供給元が供給可能な総電力量の
うち、実際に使用される電力量の割合(電力使用率と呼ぶ)が低い時間帯において、蓄電
装置に電力を蓄えておくことで、上記時間帯以外において電力使用率が高まるのを抑える
ことができる。例えば、電気冷凍冷蔵庫8300の場合、気温が低く、冷蔵室用扉830
2、冷凍室用扉8303の開閉が行われない夜間において、蓄電装置8304に電力を蓄
える。そして、気温が高くなり、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303の開閉が行わ
れる昼間において、蓄電装置8304を補助電源として用いることで、昼間の電力使用率
を低く抑えることができる。
【0316】
また、本発明の一態様の蓄電装置は、車両に搭載することもできる。
【0317】
蓄電装置を車両に搭載すると、ハイブリッド車(HEV)、電気自動車(EV)、又はプ
ラグインハイブリッド車(PHEV)等の次世代クリーンエネルギー自動車を実現できる
【0318】
図28(A)、(B)に、本発明の一態様の蓄電装置を用いた車両を例示する。図28
A)に示す自動車8400は、走行のための動力源として電気モーターを用いる電気自動
車である。または、走行のための動力源として電気モーターとエンジンを適宜選択して用
いることが可能なハイブリッド自動車である。本発明の一態様を用いることで、航続距離
の長い車両を実現することができる。また、自動車8400は蓄電装置を有する。蓄電装
置は電気モーターを駆動するだけでなく、ヘッドライト8401やルームライト(図示せ
ず)などの発光装置に電力を供給することができる。
【0319】
また、蓄電装置は、自動車8400が有するスピードメーター、タコメーターなどの表示
装置に電力を供給することができる。また、蓄電装置は、自動車8400が有するナビゲ
ーションシステムなどの半導体装置に電力を供給することができる。
【0320】
図28(B)に示す自動車8500は、自動車8500が有する蓄電装置にプラグイン方
式や非接触給電方式等により外部の充電設備から電力供給を受けて、充電することができ
る。図28(B)に、地上設置型の充電装置8021から自動車8500に搭載された蓄
電装置に、ケーブル8022を介して充電を行っている状態を示す。充電に際しては、充
電方法やコネクターの規格等はCHAdeMO(登録商標)やコンボ等の所定の方式で適
宜行えばよい。充電装置8021は、商用施設に設けられた充電ステーションでもよく、
また家庭の電源であってもよい。例えば、プラグイン技術によって、外部からの電力供給
により自動車8500に搭載された蓄電装置を充電することができる。充電は、ACDC
コンバータ等の変換装置を介して、交流電力を直流電力に変換して行うことができる。
【0321】
また、図示しないが、受電装置を車両に搭載し、地上の送電装置から電力を非接触で供給
して充電することもできる。この非接触給電方式の場合には、道路や外壁に送電装置を組
み込むことで、停車中に限らず走行中に充電を行うこともできる。また、この非接触給電
の方式を利用して、車両同士で電力の送受信を行ってもよい。さらに、車両の外装部に太
陽電池を設け、停車時や走行時に蓄電装置の充電を行ってもよい。このような非接触での
電力の供給には、電磁誘導方式や磁界共鳴方式を用いることができる。
【0322】
本発明の一態様によれば、蓄電装置のサイクル特性が良好となり、信頼性を向上させるこ
とができる。また、本発明の一態様によれば、蓄電装置の特性を向上することができ、よ
って、蓄電装置自体を小型軽量化することができる。蓄電装置自体を小型軽量化できれば
、車両の軽量化に寄与するため、航続距離を向上させることができる。また、車両に搭載
した蓄電装置を車両以外の電力供給源として用いることもできる。この場合、電力需要の
ピーク時に商用電源を用いることを回避することができる。
【0323】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【実施例0324】
本実施例では、本発明の一態様の蓄電装置を作製し、その特性を評価した結果について説
明する。
【0325】
本実施例では、図1(A)に示す蓄電装置500を作製した。
【0326】
本実施例の試料は、本発明の一態様を適用した試料A1、A2、B1、B2、C1、C2
、D1、D2の計8個である。
【0327】
本実施例で作製した各試料では、正極集電体の片面に正極活物質層を有する正極を1つと
、負極集電体の片面に負極活物質層を有する負極を1つ用いた。つまり、本実施例の各試
料は、1層の正極活物質層と、1層の負極活物質層を有する構成である。
【0328】
まず、電極の作製方法について説明する。
【0329】
[負極の作製方法]
負極の作製方法は、本実施例の試料全てにおいて共通である。
【0330】
負極活物質には比表面積6.3m/g、平均粒径15μmの球状化天然黒鉛(日本黒鉛
工業株式会社製、CGB-15)を用いた。また、結着剤としてカルボキシメチルセルロ
ースナトリウム(CMC-Na)及びSBRを用いた。用いたCMC-Naの重合度は6
00以上800以下、1wt%水溶液として用いた場合の水溶液粘度は300mPa・s
以上500mPa・s以下の範囲の値であった。黒鉛、CMC-Na、及びSBRの配合
は、黒鉛:CMC-Na:SBR=97:1.5:1.5(wt%)とした。
【0331】
まず、CMC-Naの粉末と活物質とを混合し、混練機で混練し、第1の混合物を得た。
【0332】
次に、第1の混合物に少量の水を添加し、固練りを行い、第2の混合物を得た。ここで、
固練りとは、高粘度による混練のことである。
【0333】
次に、水をさらに添加し、混練機を用いて混練し、第3の混合物を得た。
【0334】
次に、SBRの50wt%水分散液を添加し、混練機を用いて混練した。その後、減圧下
での脱泡を行い、スラリーを得た。
【0335】
次に、連続塗工機を用いて、負極集電体にスラリーの塗布を行った。負極集電体には膜厚
18μmの圧延銅箔を用いた。塗工速度は、0.75m/minとした。
【0336】
次に、負極集電体上に塗布したスラリーの溶媒を、乾燥炉を用いて気化した。まず、大気
雰囲気下で、50℃、120秒間の処理を行った後に、80℃で120秒間の処理を行っ
た。さらに、減圧雰囲気下(ゲージ圧で-100kPa)で、100℃、10時間の処理
を行った。
【0337】
以上の工程により、負極集電体の片面に負極活物質層を作製し、負極を作製した。
【0338】
[正極の作製方法]
正極の作製方法は、本実施例の試料全てにおいて共通である。
【0339】
正極活物質には比表面積0.21m/g、平均粒径10μmのLiCoOを用い、結
着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用い、導電助剤としてアセチレンブラッ
クを用いた。LiCoO、PVdF、及びアセチレンブラックの配合は、LiCoO
:アセチレンブラック:PVdF=90:5:5(wt%)とした。
【0340】
初めに、アセチレンブラックとPVdFとを混合し、混練機で混練し、第1の混合物を得
た。
【0341】
次に、第1の混合物に活物質を添加し、第2の混合物を得た。
【0342】
次に、第2の混合物に溶媒であるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を添加し、混練
機を用いて混練した。以上の工程により、スラリーを作製した。
【0343】
次に、大型の混練機で混練を行った。
【0344】
次に、連続塗工機を用いて、正極集電体にスラリーの塗布を行った。正極集電体には、ア
ルミ集電体(膜厚20μm)を用いた。塗工速度は0.2m/minとした。
【0345】
その後、正極集電体上に塗布したスラリーの溶媒を、乾燥炉を用いて気化した。溶媒の気
化は、大気雰囲気下で行い、70℃で7.5分間の処理を行った後に90℃で7.5分間
の処理を行った。
【0346】
次に、減圧雰囲気下(ゲージ圧で-100kPa)で、170℃、10時間の加熱処理を
行った。その後、正極活物質層を、ロールプレス法によりプレスして圧密化した。
【0347】
以上の工程により、正極集電体の片面に正極活物質層を作製し、正極を作製した。
【0348】
作製した正極活物質層及び負極活物質層の活物質担持量、膜厚、及び密度の平均値を表1
に示す。なお、本明細書中で示すこれらの値は、試料を作製する際に用いた電極の各測定
値の平均値である。集電体の両面に活物質層を有する場合、これらの値は、片面の活物質
層における活物質担持量、膜厚、及び密度の平均値に相当する。
【0349】
【表1】
【0350】
電解液には、溶媒として、EC(エチレンカーボネート)とPC(プロピレンカーボネー
ト)を体積比1:1で混合したものを用い、溶質および添加剤としては、表2に示す条件
振りを行った。試料A1、A2(以下、これらの試料の電解液の構成を条件Aとする)は
、電解液の溶質として1mol/lのLiTFSA(リチウムビストリフルオロメタンス
ルホニルアミド)を用い、1wt%のVC(ビニレンカーボネート)および2wt%のL
iFSA(リチウムビスフルオロスルホニルアミド)を添加剤として用いた。試料B1、
B2(以下、条件Bとする)は、電解液の溶質として1mol/lのLiFSAを用い、
1wt%のVCを添加剤として用いた。試料C1、C2(以下、条件Cとする)は、電解
液の溶質として1mol/lのLiBETA(リチウムビスペンタフルオロエタンスルホ
ニルアミド)を用い、1wt%のVCを添加剤として用いた。試料D1、D2(以下、条
件Dとする)は、電解液の溶質として1mol/lのLiBETAを用い、1wt%のP
S(プロパンスルトン)を添加剤として用いた。条件Aの各試料にはLiFSAが添加剤
として、条件Bの各試料にはLiFSAが溶質として用いられている。
【0351】
【表2】
【0352】
また、セパレータとしてはポリフェニレンサルファイドを用いた厚さ46μmのセパレー
タ(以下、PPSセパレータとも記す)を2枚重ねたものを用いた。
【0353】
また、外装体には、アルミの両面に、樹脂層を被覆したフィルムを用いた。
【0354】
次に、試料の作製方法について説明する。
【0355】
まず、正極、負極、及びセパレータを切断した。正極の大きさは20.49cm、負極
の大きさは23.84cmとした。
【0356】
次に、タブ領域上の正極活物質及び負極活物質を剥がして、集電体を露出させた。
【0357】
次に、セパレータを挟んで正極および負極を積層した。このとき、正極および負極は、正
極活物質層と、負極活物質層が向かい合うように積層した。
【0358】
次に、正極及び負極にリードを超音波溶接によって取り付けた。
【0359】
次に、外装体の4辺のうち2辺を残して、外装体を加熱により接合した。
【0360】
次に、リードに設けられた封止層と外装体の封止層が重なるように配置し、加熱により接
合した。この時、電解液を注入する辺以外を接合した。
【0361】
次に、外装体と、外装体で包まれた正極、セパレータ、及び負極を乾燥させるための加熱
処理を行った。加熱条件は、減圧雰囲気下(ゲージ圧で-100kPa)で80℃、10
時間とした。
【0362】
次に、アルゴンガス雰囲気下で、封止されていない1辺から約600μlの電解液を注入
した。その後、減圧雰囲気下(ゲージ圧で-60kPa)で、加熱により外装体の1辺を
封止した。以上の工程により、薄型の蓄電装置を作製した。
【0363】
次に、試料A2、B2、C2、D2の加熱処理を行った。加熱条件は、実施の形態2で説
明したフッ素ゴムとの一体形成を想定して大気圧雰囲気下で170℃、15分とした。具
体的には、恒温槽を約170℃まで昇温後、各試料を恒温槽に投入し、15分後に各試料
を取り出した。該加熱処理において、各試料の外装体内部における膨張は見られなかった
【0364】
以上により、試料を作製した。
【0365】
次に、本実施例の各試料の25℃における充放電特性を評価した。該測定は、充放電測定
機(東洋システム社製)を用いて行った。4.3Vを上限として定電流-定電圧充電を行
い、2.5Vを下限として定電圧放電を行った。充放電は0.1Cのレートで行い、充電
後に10分の休止時間を設けた。充放電は2サイクル行った。
【0366】
ここで充電レート及び放電レートについて説明する。充電レート1Cとは、容量X(Ah
)のセルを定電流充電して、ちょうど1時間で充電終了となる電流値のことである。1C
=I(A)であるとすると、充電レート0.2CとはI/5(A)のことであり、すなわ
ちちょうど5時間で充電終了となる電流値を意味する。同様に、放電レート1Cとは、容
量X(Ah)のセルを定電流放電して、ちょうど1時間で放電終了となる電流値のことで
あり、放電レート0.2Cとは、I/5(A)のことであり、すなわちちょうど5時間で
放電終了となる電流値を意味する。なお、正極活物質であるLiCoOの充電上限電圧
を4.3Vとした時に得られる容量である170mAh/gを基準として、レートを算出
した。
【0367】
図29(A)には試料A1の、図29(B)には試料A2の、図29(C)には試料B1
の、図29(D)には試料B2の充放電カーブを示す。また図30(A)には試料C1の
図30(B)には試料C2の、図30(C)には試料D1の、図30(D)には試料D
2の充放電カーブを示す。図29(A)乃至図30(D)は、横軸が容量(mAh/g)
であり、縦軸が電圧(V)である。
【0368】
図29(A)、(C)に示すように、試料A1、A2、B1、B2においては、1回目の
充電時に異常が生じ、1回目の放電時に特性が急激に劣化していることがわかる。また、
2回目の放電においてはさらなる劣化がみられる。これは、電解液の溶質であるLiTF
SAおよびLiFSAが、正極が高電位の状態で正極集電体のアルミニウムを腐食してし
まうことを示していると考えられる。条件Aおよび条件Bの試料は、加熱処理を行った場
合にも同様の特性異常がみられる(図29(B)、(D)参照)。
【0369】
一方で図30(A)、(C)に示すように、試料C1、C2、D1、D2においては、1
回目および2回目の充電が正常に行われ、良好な充放電特性が得られていることがわかる
。この結果より、溶質にLiBETAを用いた蓄電装置は充電電圧4.3Vの充放電にお
いても正極集電体の腐食を抑制でき、安定した動作を行うことがわかる。また図30(B
)、(D)に示すように、条件Cおよび条件Dの試料は、加熱処理を行った場合にも容量
の低下が小さく、正常な充放電特性が得られており、耐熱性が高いことがわかる。表3に
は、条件Cおよび条件Dの試料の加熱処理による放電容量の維持率を示す。放電容量の維
持率の算出には、それぞれの試料の、2回目の放電容量を用いた。
【0370】
【表3】
【0371】
図30(B)、(D)および表3より、条件Dの電解液を用いた蓄電装置が最も耐熱性が
高く、高い電池容量を得られることがわかった。
【実施例0372】
本実施例では、本発明の一態様の蓄電装置が有する負極活物質として用いる球状化天然黒
鉛の表面状態を確認する実験を行った結果について説明する。
【0373】
[断面TEM観察]
球状化天然黒鉛の粉末を収束イオンビーム(FIB)法により薄片化して取り出した試料
に対して断面TEM(透過型電子顕微鏡)観察を行った。断面TEM観察に用いた装置は
、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製のH-9000NARであり、観察は加速電圧2
00kVで行った。得られたTEM像を図31(A)乃至(C)に示す。図31(B)、
(C)は、それぞれ図31(A)に示すエッジ面近傍を含む領域900、ベーサル面近傍
を含む領域901を拡大したTEM像である。ただし、断面TEM観察においてベーサル
面と見られる面においても、微小なエッジは存在しているものと考えられる。
【0374】
球状化天然黒鉛は、黒鉛層が折り畳まれた構造を有する(図31(A)参照)。図31
B)、(C)より、球状化天然黒鉛はエッジ面近傍、ベーサル面近傍のいずれにおいても
、規則的に配列された黒鉛層911より外側(最表面層)に、黒鉛層911より結晶性の
低い被覆層912を有することがわかる。
【0375】
[ラマンスペクトル測定]
次に、ラマン分光法によりラマンスペクトルを測定した結果について説明する。測定には
、(株)堀場製作所の顕微Raman装置LabRAMを用い、球状化天然黒鉛の粉末に
対して2点測定した。なおラマン測定に用いたレーザーの波長は532nmである。
【0376】
球状化天然黒鉛の粉末のラマン測定結果を図32に示す。図32において、黒鉛の結晶の
乱れを示すDバンド(ラマンスペクトルにおける1360cm-1付近のピーク)が明確
に認められる。また、Gバンド(ラマンスペクトルにおける1580cm-1付近のピー
ク)とDバンドの強度比の値(R値)を表4に示す。Dバンドが明確に認められることに
対応し、R値は0.28および0.38という小さくない値となっている。このようにR
値が小さくないことは、図31(B)、(C)に示すように球状化天然黒鉛の表面に結晶
性が低下した層が認められたことと対応しているものと考えられる。
【0377】
【表4】
【0378】
本実施例で示すような、TEM観察やラマン分光分析によって認められる、黒鉛粒子の最
表面に存在する結晶性の低い層が、PCの黒鉛層への挿入を抑制できる可能性がある。
【実施例0379】
本実施例では、本発明の一態様の蓄電装置を作製し、その特性を評価した結果について説
明する。
【0380】
本実施例では、図1(A)に示す蓄電装置500を作製した。
【0381】
本実施例の試料は、本発明の一態様を適用した試料E1、E2の計2個である。
【0382】
本実施例で作製した各試料では、正極集電体の片面に正極活物質層を有する正極を1つと
、負極集電体の片面に負極活物質層を有する負極を1つ用いた。つまり、本実施例の各試
料は、1層の正極活物質層と、1層の負極活物質層を有する構成である。
【0383】
まず、電極の作製方法について説明する。
【0384】
[負極の作製方法]
負極の作製方法は、本実施例の試料全てにおいて共通である。
【0385】
負極活物質には比表面積6.3m/g、平均粒径15μmの球状化天然黒鉛(日本黒鉛
工業株式会社製、CGB-15)を用いた。また、結着剤としてカルボキシメチルセルロ
ースナトリウム(CMC-Na)及びSBRを用いた。用いたCMC-Naの重合度は6
00以上800以下、1wt%水溶液として用いた場合の水溶液粘度は300mPa・s
以上500mPa・s以下の範囲の値であった。黒鉛、CMC-Na、及びSBRの配合
は、黒鉛:CMC-Na:SBR=97:1.5:1.5(wt%)とした。
【0386】
まず、CMC-Naの粉末と活物質とを混合し、混練機で混練し、第1の混合物を得た。
【0387】
次に、第1の混合物に少量の水を添加し、固練りを行い、第2の混合物を得た。ここで、
固練りとは、高粘度による混練のことである。
【0388】
次に、水をさらに添加し、混練機を用いて混練し、第3の混合物を得た。
【0389】
次に、SBRの50wt%水分散液を添加し、混練機を用いて混練した。その後、減圧下
での脱泡を行い、スラリーを得た。
【0390】
次に、連続塗工機を用いて、負極集電体にスラリーの塗布を行った。負極集電体には膜厚
18μmの圧延銅箔を用いた。塗工速度は、0.75m/minとした。
【0391】
次に、負極集電体上に塗布したスラリーの溶媒を、乾燥炉を用いて気化した。まず、大気
雰囲気下で、50℃、120秒間の処理を行った後に、80℃で120秒間の処理を行っ
た。さらに、減圧雰囲気下(ゲージ圧で-100kPa)で、100℃、10時間の処理
を行った。
【0392】
以上の工程により、負極集電体の両面に負極活物質層を作製し、負極を作製した。
【0393】
[正極の作製方法]
正極の作製方法は、本実施例の試料全てにおいて共通である。
【0394】
正極活物質には、平均粒径6μmのLiCoOを用い、結着剤としてポリフッ化ビニリ
デン(PVdF)を用い、導電助剤としてアセチレンブラックを用いた。LiCoO
PVdF、及びアセチレンブラックの配合は、LiCoO:アセチレンブラック:PV
dF=95:3:2(wt%)とした。
【0395】
初めに、アセチレンブラックとPVdFとを混合し、混練機で混練し、第1の混合物を得
た。
【0396】
次に、第1の混合物に活物質を添加し、第2の混合物を得た。
【0397】
次に、第2の混合物に溶媒であるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を添加し、混練
機を用いて混練した。以上の工程により、スラリーを作製した。
【0398】
次に、大型の混練機で混練を行った。
【0399】
次に、連続塗工機を用いて、正極集電体にスラリーの塗布を行った。正極集電体には、ア
ルミ集電体(膜厚20μm)を用いた。塗工速度は0.2m/minとした。
【0400】
その後、正極集電体上に塗布したスラリーの溶媒を、乾燥炉を用いて気化した。溶媒の気
化は、大気雰囲気下で行い、70℃で7.5分間の処理を行った後に90℃で7.5分間
の処理を行った。
【0401】
次に、減圧雰囲気下(ゲージ圧で-100kPa)で、170℃、10時間の加熱処理を
行った。その後、正極活物質層を、ロールプレス法によりプレスして圧密化した。
【0402】
以上の工程により、正極集電体の片面に正極活物質層を作製し、正極を作製した。
【0403】
作製した正極活物質層及び負極活物質層の活物質担持量、膜厚、及び密度の平均値を表5
に示す。なお、本明細書中で示すこれらの値は、試料を作製する際に用いた電極の各測定
値の平均値である。集電体の両面に活物質層を有する場合、これらの値は、片面の活物質
層における活物質担持量、膜厚、及び密度の平均値に相当する。
【0404】
【表5】
【0405】
電解液には、溶媒として、EC(エチレンカーボネート)とPC(プロピレンカーボネー
ト)を体積比1:1で混合したものを用いた。また電解液の溶質として1mol/lのL
iBETAを用い、1wt%のPS(プロパンスルトン)を添加剤として用いた。電解液
の条件をまとめたものを表6に示す。試料E1、E2の電解液の条件は、実施例1に示す
条件Dと同様である。
【0406】
【表6】
【0407】
また、セパレータとしては溶剤紡糸再生セルロース繊維を用いた厚さ46μmのセパレー
タを2枚重ねたものを用いた。
【0408】
また、外装体には、アルミの両面に、樹脂層を被覆したフィルムを用いた。
【0409】
次に、試料の作製方法について説明する。
【0410】
まず、正極、負極、及びセパレータを切断した。正極の大きさは20.49cm、負極
の大きさは23.84cmとした。
【0411】
次に、タブ領域上の正極活物質及び負極活物質を剥がして、集電体を露出させた。
【0412】
次に、セパレータを挟んで正極および負極を積層した。このとき、正極および負極は、正
極活物質層と、負極活物質層が向かい合うように積層した。
【0413】
次に、正極及び負極にリードを超音波溶接によって取り付けた。
【0414】
次に、正極及び負極の積層体をポリフェニレンサルファイドを用いたシートで包み込んだ
。これは、電池の加熱処理によって外装体のアルミニウム層が露出した場合にアルミニウ
ム層と正極または負極が接触してショートすることを防ぐためである。
【0415】
次に、外装体の4辺のうち2辺を残して、外装体を加熱により接合した。
【0416】
次に、リードに設けられた封止層と外装体の封止層が重なるように配置し、加熱により接
合した。この時、電解液を注入する辺以外を接合した。
【0417】
次に、外装体と、外装体で包まれた正極、セパレータ、及び負極を乾燥させるための加熱
処理を行った。加熱条件は、減圧雰囲気下(ゲージ圧で-100kPa)で80℃、10
時間とした。
【0418】
次に、アルゴンガス雰囲気下で、封止されていない1辺から約600μlの電解液を注入
した。その後、減圧雰囲気下(ゲージ圧で-100kPa)で、加熱により外装体の1辺
を封止した。以上の工程により、薄型の蓄電装置を作製した。
【0419】
次に、試料E2の加熱処理を行った。加熱条件は、実施の形態2で説明したフッ素ゴムと
の一体形成を想定して大気圧雰囲気下で170℃、15分とした。具体的には、恒温槽を
約170℃まで昇温後、試料を恒温槽に投入し、15分後に試料を取り出した。該加熱処
理において、試料の外装体内部における膨張は見られなかった。
【0420】
以上により、試料を作製した。
【0421】
次に、本実施例の各試料の25℃における充放電特性を評価した。該測定は、充放電測定
機(東洋システム社製)を用いて行った。4.3Vを上限として定電流-定電圧充電を行
い、2.5Vを下限として定電圧放電を行った。充放電は0.1Cのレートで行い、充電
後に10分の休止時間を設けた。充放電は2サイクル行った。
【0422】
図33(A)には試料E1の、図33(B)には試料E2の充放電カーブを示す。図33
(A)、(B)は、横軸が容量(mAh/g)であり、縦軸が電圧(V)である。
【0423】
図33(A)、(B)に示すように、試料E1、E2において、1回目および2回目の充
電が正常に行われ、良好な充放電特性が得られていることがわかる。また、図33(B)
の結果より、加熱処理を行った場合にも容量の低下が小さく、正常な充放電特性が得られ
ており、耐熱性が高いことがわかる。
【符号の説明】
【0424】
50 フィルム
51 フィルム
52 フィルム
53 エンボスロール
54 ロール
55 エンボスロール
56 エンボスロール
57 エンボスロール
58 エンボスロール
60 進行方向
101 正極活物質層
102 活物質層
105 電解液
115 封止層
118 接合部
119 導入口
200 二次電池
203 セパレータ
203a 領域
203b 領域
207 外装体
211 正極
211a 正極
215 負極
215a 負極
220 封止層
221 正極リード
225 負極リード
230 電極組立体
231 電極組立体
250 二次電池
281 タブ領域
282 タブ領域
500 蓄電装置
501 正極集電体
502 正極活物質層
503 正極
504 負極集電体
505 負極活物質層
506 負極
507 セパレータ
508 電解液
509 外装体
510 正極リード
511 負極リード
512 接合部
513 湾曲部
514 接合部
518 接合部
529 外装体
700 携帯情報端末
701 筐体
702 表示パネル
703 留め金
705A バンド
705B バンド
711 操作ボタン
712 操作ボタン
730 携帯情報端末
731 筐体
732 漏液検知回路
733 電源
734 電流計
735A バンド
736 電解液
739 機能回路
750 蓄電装置
751 正極リード
752 負極リード
753 外装体
760 蓄電装置
761 端子
762 端子
771 配線
772 配線
900 領域
901 領域
911 黒鉛層
912 被覆層
7100 携帯表示装置
7101 筐体
7102 表示部
7103 操作ボタン
7104 蓄電装置
7200 携帯情報端末
7201 筐体
7202 表示部
7203 バンド
7204 バックル
7205 操作ボタン
7206 入出力端子
7207 アイコン
7250 活動量計
7251 筐体
7300 表示装置
7304 表示部
7350 表示装置
7351 レンズ
7351A 画像
7351B 画像
7352 フレーム
7355 先端部
7360 蓄電装置
7361 正極リード
7362 負極リード
7400 携帯電話機
7401 筐体
7402 表示部
7403 操作ボタン
7404 外部接続ポート
7405 スピーカ
7406 マイク
7407 蓄電装置
8000 表示装置
8001 筐体
8002 表示部
8003 スピーカ部
8004 蓄電装置
8021 充電装置
8022 ケーブル
8024 蓄電装置
8100 照明装置
8101 筐体
8102 光源
8103 蓄電装置
8104 天井
8105 側壁
8106 床
8107 窓
8200 室内機
8201 筐体
8202 送風口
8203 蓄電装置
8204 室外機
8300 電気冷凍冷蔵庫
8301 筐体
8302 冷蔵室用扉
8303 冷凍室用扉
8304 蓄電装置
8400 自動車
8401 ヘッドライト
8500 自動車
9600 タブレット型端末
9625 スイッチ
9626 スイッチ
9627 電源スイッチ
9628 操作スイッチ
9629 留め具
9630 筐体
9631 表示部
9631a 表示部
9631b 表示部
9632a 領域
9632b 領域
9633 太陽電池
9634 充放電制御回路
9635 蓄電体
9636 DCDCコンバータ
9637 コンバータ
9638 操作キー
9639 ボタン
9640 可動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33