(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018264
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】レール両側積卸機
(51)【国際特許分類】
E01B 29/16 20060101AFI20230201BHJP
【FI】
E01B29/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122258
(22)【出願日】2021-07-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)本願発明に係る「レール両側積卸機」を6/10開催の“令和3年度鉄道施設技術研究発表会保線部門(地区大会)”で発表した。 (2)本願発明に係る「レール両側積卸機」を7/5開催の“第9回 鉄道施設技術発表会”で発表した。 (3)本願発明に係る「レール両側積卸機」を7/13発行の‘交通新聞’で公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】591065848
【氏名又は名称】名工建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391030125
【氏名又は名称】保線機器整備株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】山下 隆
(72)【発明者】
【氏名】垣内 厚司
(72)【発明者】
【氏名】金原 恵二
(72)【発明者】
【氏名】細川 誠二
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 洋治
【テーマコード(参考)】
2D057
【Fターム(参考)】
2D057BA02
2D057BA13
(57)【要約】
【課題】第1にはビームをバランス良く支持することができ、第2にはさらにコストも低減することができるレール両側積卸機を提供する。
【解決手段】レール運搬車本体11の左右両側それぞれに設けた可倒式タワー部12L,12Rは、それぞれ、ビーム12aを固定する箇所にナット部が設けられたナット側可倒式支柱12L1,12R1と、ビーム支持ボルト14が通されるボルト貫通孔12a1が設けられ反対側から起立するボルト側可倒式支柱12L2,12R2とを有し、ナット側可倒式支柱12L1,12R1およびボルト側可倒式支柱12L2,12R2の上部でビーム12aの左右両側を挟むと共に、ビーム支持ボルト14の軸部をボルト側可倒式支柱12L2,12R2のボルト貫通孔12a1からナット側可倒式支柱12L1,12R1のナット部に通して締結することによりビーム12aを所定の高さに固定する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換用レールを載せて線路の走行レール上を走行するレール運搬車本体と、
前記レール運搬車本体の長手方向に間隔を空けて少なくとも2箇所設置され、前記交換用レールの積降ろしを行うクレーンが設けられた複数のレール積み降ろし機構体とを備え、
前記複数のレール積み降ろし機構体は、それぞれ、
前記走行レールを横切るように設けられ、前記クレーンがスライド可能に設けられたビームと、
前記レール運搬車本体の左右両側それぞれに回転軸を介して走行レールの長手方向に起立および倒伏可能に設けられ、前記ビームを所定の高さで固定することによって前記ビームを前記レール運搬車本体の左右両側で門型状態またはレール運搬車本体の左右いずれか側から片持ち梁状態で支持する左右一対の可倒式タワー部とを備え、
前記ビームの左右両側には、それぞれ、左右両側の前記左右一対の可倒式タワー部と固定するためのビーム支持ボルトが通されるボルト貫通孔が設けられており、
前記左右一対の可倒式タワー部は、それぞれ、
前記ビームを固定する箇所にナット部が設けられたナット側可倒式支柱と、
前記ビーム支持ボルトが通されるボルト貫通孔が設けられ、前記ナット側可倒式支柱とは反対側から起立するボルト側可倒式支柱とを有し、
前記ナット側可倒式支柱と前記ボルト側可倒式支柱とを起立させて前記ナット側可倒式支柱および前記ボルト側可倒式支柱の上部で前記ビームの左右両側を挟むと共に、前記ビーム支持ボルトの軸部を前記ボルト側可倒式支柱のボルト貫通孔から前記ナット側可倒式支柱のナット部に通して締結することにより前記ビームを所定の高さに固定することを特徴とするレール両側積卸機。
【請求項2】
請求項1記載のレール両側積卸機において、
前記左右一対の可倒式タワー部の基部には、それぞれ、車輪を有する走行部が設けられている一方、
前記レール運搬車本体の上面には、前記左右一対の可倒式タワー部の走行部が走行するサブレールが前記走行レールの長手方向に設けられていることを特徴とするレール両側積卸機。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のレール両側積卸機において、
前記ビームの左右両側にそれぞれ設けられた前記ビーム支持ボルト貫通孔の入口および出口側には、それぞれ、前後方向にそれぞれ先細の円錐台形面を有する環状の前後円錐台形凸部が設けられている一方、
前記ナット側可倒式支柱の前記ナット部と、前記ボルト側可倒式支柱の前記ビーム支持ボルト貫通孔における前記ビームの対向側には、それぞれ、前記ビームの左右両側に設けられた前記前後円錐台形凸部の円錐台形面が嵌合する円環状のすり鉢状傾斜凹面を有するビーム支持ボルト用環状突起部が設けられていることを特徴とするレール両側積卸機。
【請求項4】
請求項3記載のレール両側積卸機において、
前記ナット側可倒式支柱および前記ボルト側可倒式支柱におけるそれぞれの前記ビーム支持ボルト用環状突起部の下方には、それぞれ、前記ビームを介さずに前記ナット側可倒式支柱と前記ボルト側可倒式支柱とを連結する補助ボルトが通る補助ボルト貫通孔を有する補助ボルト用環状突起部が設けられていることを特徴とするレール両側積卸機。
【請求項5】
請求項4に記載のレール両側積卸機において、
前記ビームの端部には、ターンバックルの上端部が連結される一方、前記前記ナット側可倒式支柱および前記ボルト側可倒式支柱それぞれの前記補助ボルト用環状突起部の補助ボルト貫通孔を通る前記補助ボルトには、前記ターンバックルの下端部が連結されることを特徴とするレール両側積卸機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換用レールの積降ろしを行って交換用レールを運搬するレール両側積卸機に関する。
【背景技術】
【0002】
レール両側積卸機として、例えば、レール両側積卸機に積み込むレールが左右どちらの位置に有っても容易に積み込み可能で、且つ、取り卸し場所の方向が左右どちらにでも容易に切り替え可能にするため、油圧等の昇降機構により、使用時は直立させ、収納時は回動軸部を中心にして、それぞれ独立して垂直状態から水平状態まで回動し、収納可能に設けた左右二本の支柱と、支柱の上端部にビーム保持部をそれぞれ設け、且つ、該ビームの両端部、及び、支柱上下ほぼ中程部に支持穴を設け、ターンバックル等の支持部材で支持し、支柱直立時にビームが支柱に対して直角に固着可能に設けたビームと、レールを昇降させるチェーンブロック等の搬送装置から成り、且つ、使用時の状況に応じて左右どちらからでもレール積み込み、及びレール取り卸し作業を可能にすることができるレール両側積卸機が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載のレール両側積卸機では、左右の支柱はそれぞれ1本ずつで、その1本の支柱を起立させてチェーンブロック等か設けられたビームを片持ち梁状態に支持するため、支柱上端の片側でビームを固定することになり、ビームのチェーブロックで重いレールを吊り上げた場合、バランス良くビームを支持できないという問題があった。
【0005】
また、上記特許文献1に記載の油圧シリンダー等の昇降機構によって支柱を起立させたり倒伏させるため、コストがかかるという問題もあった。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、第1にはビームをバランス良く支持することができ、第2にはさらにコストも低減することができるレール両側積卸機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係るレール両側積卸機は、交換用レールを載せて線路の走行レール上を走行するレール運搬車本体と、前記レール運搬車本体の長手方向に間隔を空けて少なくとも2箇所設置され、前記交換用レールの積降ろしを行うクレーンが設けられた複数のレール積み降ろし機構体とを備え、前記複数のレール積み降ろし機構体は、それぞれ、前記走行レールを横切るように設けられ、前記クレーンがスライド可能に設けられたビームと、前記レール運搬車本体の左右両側それぞれに回転軸を介して走行レールの長手方向に起立および倒伏可能に設けられ、前記ビームを所定の高さで固定することによって前記ビームを前記レール運搬車本体の左右両側で門型状態またはレール運搬車本体の左右いずれか側から片持ち梁状態で支持する左右一対の可倒式タワー部とを備え、前記ビームの左右両側には、それぞれ、左右両側の前記左右一対の可倒式タワー部と固定するためのビーム支持ボルトが通されるボルト貫通孔が設けられており、前記左右一対の可倒式タワー部は、それぞれ、前記ビームを固定する箇所にナット部が設けられたナット側可倒式支柱と、前記ビーム支持ボルトが通されるボルト貫通孔が設けられ、前記ナット側可倒式支柱とは反対側から起立するボルト側可倒式支柱とを有し、前記ナット側可倒式支柱と前記ボルト側可倒式支柱とを起立させて前記ナット側可倒式支柱および前記ボルト側可倒式支柱の上部で前記ビームの左右両側を挟むと共に、前記ビーム支持ボルトの軸部を前記ボルト側可倒式支柱のボルト貫通孔から前記ナット側可倒式支柱のナット部に通して締結することにより前記ビームを所定の高さに固定することを特徴とする。
また、本発明に係るレール両側積卸機では、前記左右一対の可倒式タワー部の基部には、それぞれ、車輪を有する走行部が設けられている一方、前記レール運搬車本体の上面には、前記左右一対の可倒式タワー部の走行部が走行するサブレールが前記走行レールの長手方向に設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係るレール両側積卸機では、前記ビームの左右両側にそれぞれ設けられた前記ビーム支持ボルト貫通孔の入口および出口側には、それぞれ、前後方向にそれぞれ先細の円錐台形面を有する環状の前後円錐台形凸部が設けられている一方、前記ナット側可倒式支柱の前記ナット部と、前記ボルト側可倒式支柱の前記ビーム支持ボルト貫通孔における前記ビームの対向側には、それぞれ、前記ビームの左右両側に設けられた前記前後円錐台形凸部の円錐台形面が嵌合する円環状のすり鉢状傾斜凹面を有するビーム支持ボルト用環状突起部が設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係るレール両側積卸機では、前記ナット側可倒式支柱および前記ボルト側可倒式支柱におけるそれぞれの前記ビーム支持ボルト用環状突起部の下方には、それぞれ、前記ビームを介さずに前記ナット側可倒式支柱と前記ボルト側可倒式支柱とを連結する補助ボルトが通る補助ボルト貫通孔を有する補助ボルト用環状突起部が設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係るレール両側積卸機では、前記ビームの端部には、ターンバックルの上端部が連結される一方、前記前記ナット側可倒式支柱および前記ボルト側可倒式支柱それぞれの前記補助ボルト用環状突起部の補助ボルト貫通孔を通る前記補助ボルトには、前記ターンバックルの下端部が連結されることも特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るレール両側積卸機では、左右一対の可倒式タワー部は、それぞれ、ビームを固定する箇所にナット部が設けられたナット側可倒式支柱と、ボルトが通されるボルト貫通孔が設けられ、ナット側可倒式支柱とは反対側から起立するボルト側可倒式支柱とを有し、ナット側可倒式支柱とボルト側可倒式支柱とを起立させてナット側可倒式支柱およびボルト側可倒式支柱の上部でビームの左右両側を挟むと共に、ボルトの軸部をボルト側可倒式支柱のボルト貫通孔からナット側可倒式支柱のナット部に通して締結することによりビームを所定の高さに固定する。
そのため、クレーンが設けられたビームは、ナット側可倒式支柱とボルト側可倒式支柱とで挟まれた状態で所定の高さで固定されるため、ビームをバランス良く支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態のレール両側積卸機を3台連結した状態を示す平面図、正面図である。
【
図2】本発明に係る実施形態のレール両側積卸機の側面図である。
【
図3】本発明に係る実施形態のレール両側積卸機の正面図である。
【
図4】本発明に係る実施形態のレール両側積卸機におけるビームの部分拡大断面図である。
【
図5】(a),(b)それぞれ
図2におけるA部分、B部分の部分拡大断面図である。
【
図6】本発明に係る実施形態のレール両側積卸機における支柱の左右切替手順を示す図であって、倒伏させていたナット側可倒式支柱を起こし、凹前後円錐台形凸部が合うようにビームを上下させて位置決めする状態を示す側面図である。
【
図7】本発明に係る実施形態のレール両側積卸機における支柱の左右切替手順を示す図であって、倒伏させていたボルト側可倒式支柱を起こしている状態を示す側面図である。
【
図8】本発明に係る実施形態のレール両側積卸機における支柱の左右切替手順を示す図であって、倒伏させていたボルト側可倒式支柱を起こし、凹前後円錐台形凸部を合わせてボルトを挿入しナット側可倒式支柱と共にビームを挟んで固定する状態を示す部分拡大側面図である。
【
図9】本発明に係る実施形態のレール両側積卸機における支柱の左右切替手順を示す図であって、新たに起立させた支柱側の作業用ステップを出してターンバックルの上端部をビームに取付けている状態を示す側面図である。
【
図10】本発明に係る実施形態のレール両側積卸機における支柱の左右切替手順を示す図であって、新たに起立させた支柱側の作業用ステップを出してターンバックルの下端部を支柱に取付けている状態を示す側面図である。
【
図11】本発明に係る実施形態のレール両側積卸機における支柱の左右切替手順を示す図であって、今まで起立させていた支柱側の作業用ステップを出してターンバックルを取り外した状態を示す側面図である。
【
図12】本発明に係る実施形態のレール両側積卸機における支柱の左右切替手順を示す図であって、今まで起立させていた支柱側のナット側可倒式支柱およびボルト側可倒式支柱を倒し、さらに作業用ステップを格納した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態のレール両側積卸機1を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、下記に説明する実施形態は、あくまで本発明の一例であり、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で適宜変更可能である。
【0011】
<実施形態のレール両側積卸機1の構成>
実施形態のレール両側積卸機1は、機動車(図示せず。)で牽引したり、あるいは機動車(図示せず。)で後ろから押して線路の軌道レールR上を走行するもので、
図1(a),(b)に示すように、交換用レール3を載せて軌道レールR上を走行するレール運搬車本体11と、レール運搬車本体11の上で交換用レール3の積降ろしを行うクレーン12cが設けられた3基(3台)のレール積み降ろし機構体12と、レール運搬車本体11の長手方向に間隔を空けて3箇所設置され、3基(3台)のレール積み降ろし機構体12それぞれがレール運搬車本体11の長手方向に移動するサブレール13a1~13c1が設けられたサブレール構成体13a,13b,13cとを備えて構成される。
【0012】
尚、交換用レール3とは、線路上の軌道用レールRと区別するための名称で、線路から取外した旧い軌道用レールや線路に新たに敷設する新しい軌道用レールのことで、例えば、25000mm(25m)の長さを有している。
【0013】
(レール運搬車本体11)
レール運搬車本体11は、交換用レール3を積載しながら線路の軌道レールR上を走行するもので、
図1(a),(b)に示すように、下側面側に軌道レールR上を走行する複数の車輪11aが設けられると共に、機動車(図示せず。)等と連結するための機関車用連結部11b等が設けられた運搬車で、交換用レール3を運搬するため、例えば、15m~20m前後の長さを有している。
【0014】
(レール積み降ろし機構体12)
3基(3台)のレール積み降ろし機構体12は、それぞれ、レール運搬車本体11上面のサブレール構成体13a,13b,13cの上に移動可能に設けられ、交換用レール3の積降ろしを行うもので、クレーン12cが設けられ水平方向に延びるビーム12aと、ビーム12aを支持する左右一対の可倒式タワー部12L,12Rと、走行部12b,12bと、クレーン12c等を備えて構成される。
【0015】
(ビーム12a)
ビーム12aは、フランジおよびウエブを有するH型鋼等を使用して走行レールR,Rを横切るように設けられ、ビーム12aの下側にチェーブロック式や電動式等のクレーン12cがスライド可能に設けられて構成されている。
【0016】
また、ビーム12aのウエブの左右両側には、
図4等に示すように、それぞれ、前後方向にそれぞれ先細の円錐台形面12a11を有する前後円錐台形凸部12a1,12a1がそれぞれ設けられており、その左右それぞれの前後円錐台形凸部12a1,12a1には、左右両側の左右一対の可倒式タワー部12L,12Rをそれぞれ構成するナット側可倒式支柱12L1,12R1とボルト側可倒式支柱12L2,12R2の上部によって挟まれた状態で固定するためのビーム支持ボルト14が前後方向に貫通して通されるボルト貫通孔12a12,12a12が設けられている。
【0017】
そして、ビーム12aには、交換用レール3の積降ろしを行うチェーブロック式や電動式等のクレーン12cがビーム12aの長手方向、つまり走行レールR,Rを横切る方向に移動可能に設けられ、交換用レール3をレール運搬車本体11の上から現場の走行レールR,R等へあるいはその逆に積み下ろしできるように構成している。
【0018】
(可倒式タワー部12L,12R)
左右の可倒式タワー部12L,12Rは、それぞれ、ビーム12aに対し前方側に設けられるナット側可倒式支柱12L1,12R1と、ビーム12aに対し後方側に設けられ、ビーム12aを介しナット側可倒式支柱12L1,12R1とは反対側から起立するボルト側可倒式支柱12L2,12R2とを有する。
【0019】
ナット側可倒式支柱12L1,12R1は、それぞれ、上端部におけるビーム12aを固定する箇所にビーム支持ボルトのネジ部(軸部)が螺合する雌ネジ部を有するナット部12L11,12R11(
図5(a)参照。)が設けられている一方、下端部は、それぞれ、ビーム12aの幅だけで離間して、レール運搬車本体11に前方側に向かって起立状態から倒伏状態までの90度だけ回動可能に連結されて構成されている。
【0020】
また、ナット側可倒式支柱12L1,12R1それぞれのナット部12L11,12R11の入口側、つまりビーム12a側周囲には、
図5(a)等に示すようにビーム12aの左右両側の前後円錐台形凸部12a1,12a1の円錐台形面12a11が当接するすり鉢状のすり鉢状傾斜凹面12L12a,12R12aを有するビーム支持ボルト用環状突起部12L12,12R12がそれぞれ設けられている。尚、
図5(a)では、ナット側可倒式支柱12R1のナット部12R11周辺のみを示しているが、ナット側可倒式支柱12L1のナット部12L11も同様に構成されている。
【0021】
尚、
図2では、図上、奥側となるナット側可倒式支柱12L1は、起立してボルト側可倒式支柱12L2と共にビーム12aを片持ち状態で示している一方、手前側となるナット側可倒式支柱12R1は、倒伏状態を示している。また、
図3の正面図では、正面視、左側で表側となるナット側可倒式支柱12L1は、起立してボルト側可倒式支柱12L2と共にビーム12aを片持ち状態で示している一方、右側となるナット側可倒式支柱12R1は、倒伏状態を示している。
【0022】
ボルト側可倒式支柱12L2,12R2は、それぞれ、上端部におけるビーム12aを固定する箇所にビーム支持ボルト14が通されるボルト貫通孔12L21,12R21(
図5(b)参照。)が設けられている一方、下端部は、ナット側可倒式支柱12L1,12R1からそれぞれビーム12aの幅だけで離間して、レール運搬車本体11に後方側に向かって起立状態から倒伏状態までの90度だけ回動可能に連結されて構成されている。
【0023】
また、ボルト側可倒式支柱12L2,12R2それぞれのボルト貫通孔12L21,12R21の出口側、つまりビーム12a側周囲には、
図5(b)等に示すようにビーム12aの左右両側の前後円錐台形凸部12a1,12a1の円錐台形面12a11が当接するすり鉢状のすり鉢状傾斜凹面12L23,12R23を有するビーム支持ボルト用環状突起部12L22,12R22がそれぞれ設けられている。尚、
図5(b)では、ボルト側可倒式支柱12R2のボルト貫通孔12R21周辺を示しているが、ボルト側可倒式支柱12L2のボルト貫通孔12L21周辺も同様に構成されている。
【0024】
尚、
図2では、図上、奥側となるボルト側可倒式支柱12L2は、起立してナット側可倒式支柱12L1と共にビーム12aを片持ち状態で示している一方、手前側となるボルト側可倒式支柱12R2は、作業員が手作業で起こしている状態を示している。また、
図3の正面図では、正面視、左側でかつ裏側となるボルト側可倒式支柱12L2は、起立してナット側可倒式支柱12L1と共にビーム12aを片持ち状態で示している一方、右側となるボルト側可倒式支柱12R2は、倒伏状態を示している。
【0025】
さらに、ナット側可倒式支柱12L1,12R1およびボルト側可倒式支柱12L2,12R2におけるそれぞれのビーム支持ボルト用環状突起部12L12,12L22、12R12,12R22の下方には、それぞれ、
図2等に示すようにビーム12aを介さずにナット側可倒式支柱12L1,12R1とボルト側可倒式支柱12L2,12R2とを連結する補助ボルト15が通る補助ボルト貫通孔を有する補助ボルト用環状突起部12L13,12L23、12R13,12R23が設けられていると共に、ビーム支持ボルト用環状突起部12L12,12L22、12R12,12R22と補助ボルト用環状突起部12L13,12L23、12R13,12R23との間のほぼ中間の位置には、それぞれ、作業員がナット側可倒式支柱12L1,12R1およびボルト側可倒式支柱12L2,12R2を起立させたり倒伏させる際に掴む把持部12L14,12L24、12R14,12R24が設けられている。
【0026】
(走行部12b,12b)
走行部12b,12bは、それぞれ、複数の車輪12b1,12b1が設けられ、レール運搬車本体11の上面に設けられたサブレール構成体13a,13b,13cのサブレール13a1~13c1に従って走行するもので、上面側には可倒式タワー部12L,12Rを構成するナット側可倒式支柱12L1,12L2とボルト側可倒式支柱12L2,12R2の基部(下端部)とがそれぞれ前後方向に90度回動可能に取り付けられ、倒伏状態と起立状態とになるように構成されている。
【0027】
(クレーン12c)
クレーン12cは、
図3等に示すようにレール運搬車本体11の上で交換用レール3を吊り上げてビーム12aに沿って移動して交換用レール3の積降ろしを行うもので、クレーン本体12c1と、フック12c2と、リモコン12c3等を備えた周知のものである。
【0028】
(サブレール構成体13a,13b,13c)
サブレール構成体13a,13b,13cは、それぞれ、
図1(a),(b)に示すようにレール運搬車本体11の上面に所定間隔を空けて設けられるもので、レール運搬車本体11の長手方向に可倒式タワー部12L,12Rの走行部12b,12bが走行するサブレール13a1,13a1、13b1,13b1,13c1,13c1が設けられていると共に、レール運搬車本体11の短手方向にサブレール13a1,13a1、13b1,13b1,13c1,13c1間の間隔を保持するサブレール間隔保持鋼13a2,13b2,13c2が設けられている。
【0029】
尚、サブレール構成体13a,13b,13cの内、中央のレール積み降ろし機構体13bのサブレール13a2の長さは、前後のレール積み降ろし機構体サブレール13a1,13a3の長さよりも長く構成しており、積み下ろす交換用レール3の長さや積み下ろす現場等に応じてレール運搬車本体11における3基(3台)のレール積み降ろし機構体12をそれぞれ最適な位置に移動できるように構成している。
【0030】
<実施形態のレール両側積卸機1における可倒式タワー部12L,12Rの切替方法>
次に、以上のように構成された本発明に係る実施形態のレール両側積卸機1における可倒式タワー部12L,12Rの切替方法について説明する。
【0031】
例えば、
図2および
図3に示すように、
図2における側面視、奥側、つまり
図3における正面視、左側の可倒式タワー部12Lを構成するナット側可倒式支柱12L1およびボルト側可倒式支柱12L2が起立してビーム12aを
図3に示すように片持ち梁状態で支持しているものとし、ビーム12aを
図2における側面視、手前側、つまり
図3における正面視、右側の可倒式タワー部12Rでの片持ち梁状態での支持への切り替え方法について説明する。
【0032】
まず、
図6に示すように、作業員は、倒伏状態である
図3における正面視、右側の可倒式タワー部12Rのナット側可倒式支柱12R1を起こすと共に、ビーム12aの右側を上下動させて、ビーム12aの右側である可倒式タワー部12R側の前後円錐台形凸部12a1(
図4参照。)が、ナット側可倒式支柱12R1のビーム支持ボルト用環状突起部12R12のすり鉢状傾斜凹面12R12a(
図5(a)参照。)に嵌合、つまり収まるように位置決めし、下部のターンバックル12R14を連結すると共に締め付けてナット側可倒式支柱12R1が90度で起立して倒伏しないように固定する。
【0033】
ビーム12aの右側の前後円錐台形凸部12a1(
図4参照。)が、ナット側可倒式支柱12R1のすり鉢状のすり鉢状傾斜凹面12R12a(
図5(a)参照。)に嵌合すると、ビーム12aの右側の前後円錐台形凸部12a1のボルト貫通孔12a12(
図4参照。)と、ナット側可倒式支柱12R1のナット部12R11の雌ネジ孔が一致することになる。
【0034】
次に、作業員は、
図7に示すように、倒伏状態である
図3における正面視、右側の可倒式タワー部12Rのボルト側可倒式支柱12R2を起こすと共に、ビーム12aの右側である可倒式タワー部12R側の前後円錐台形凸部12a1(
図4参照。)が、ボルト側可倒式支柱12R2のすり鉢状のすり鉢状傾斜凹面12R23に嵌合、つまり収まるように位置決めする。
【0035】
この位置決めにより、ビーム12aの右側の前後円錐台形凸部12a1のボルト貫通孔12a12(
図4参照。)と、ボルト側可倒式支柱12R2のボルト貫通孔12R21とが一致することになる。尚、この場合には、先に、ビーム12aの右側である可倒式タワー部12R側の前後円錐台形凸部12a1が、ナット側可倒式支柱12R1のすり鉢状のすり鉢状傾斜凹面12R12aに嵌合、つまり収まるように位置決めしているので、それほどビーム12aを上下動する必要はない。
【0036】
そして、位置決めの完了後、
図8等に示すように、ビーム支持ボルト14の軸部(ネジ部)をボルト側可倒式支柱12R2のボルト貫通孔12R21(
図5(b)参照。)から通して、ビーム12aの前後円錐台形凸部12a1のボルト貫通孔12a12(
図4参照。)を介してビーム支持ボルト14の軸部(ネジ部)をナット側可倒式支柱12R1のナット部12R11の雌ネジ孔に螺合してビーム12aの右側上端部をビーム右側の可倒式タワー部12Rに固定し、下部のターンバックル12R24を締め付けてボルト側可倒式支柱12R2が倒伏しないように固定する。
【0037】
尚、この状態は、ビーム12aの左右両端は、それぞれ、左側の可倒式タワー部12Lと右側の可倒式タワー部12Rの双方で支持したことになる。
【0038】
次に、作業員は、
図9に示すように、
図3における正面視、右側である新たに起立させた可倒式タワー部12R基部の格納式ステップ12b2を起こしてそこに乗り、ターンバックル12R15の上端部をビーム12aの右側端部に連結して吊り下げ、次いで
図10に示すようにターンバックル12R15の下端部のボルト孔が可倒式タワー部12R中間部のボルト孔に合うように調整して、そのボルト孔に補助ボルト15を通してターンバックル12R15の下端部を補助ボルト15に通して固定する。
【0039】
次に、作業員は、
図11に示すように、
図3における正面視、左側である以前から起立させていた可倒式タワー部12L基部の格納式ステップ12b2を起こしてそこに乗り、可倒式タワー部12Lの中間部とビーム12aの左側端部とを支持していたターンバックル12R25を取り外すと共に、可倒式タワー部12Lの上端部とビーム12aの左側とを固定してたビーム支持ボルト14を抜き、さらに
図12に示すように可倒式タワー部12Lを構成するナット側可倒式支柱12L1およびボルト側可倒式支柱12L2をそれぞれ前側または後側に倒伏して、その後、可倒式タワー部12L基部の格納式ステップ12b2を折り畳んで格納する。
【0040】
これにより、最初は、
図2および
図3に示すように、
図2における側面視、奥側、つまり
図3における正面視、左側の可倒式タワー部12Lを構成するナット側可倒式支柱12L1およびボルト側可倒式支柱12L2が起立してビーム12aを
図3に示すように片持ち梁状態で支持していた状態からビーム12aを
図2における側面視、手前側、つまり
図3における正面視、右側の可倒式タワー部12Rでの片持ち梁状態での支持に切り替えることができる。
【0041】
<本発明に係る実施形態のレール両側積卸機1のまとめ>
従って、本発明に係る実施形態のレール両側積卸機1では、左右一対の可倒式タワー部12L,12Rは、それぞれ、ビーム12aを固定する箇所にナット部12L11,12R11が設けられたナット側可倒式支柱12L1,12R1と、ビーム支持ボルト14が通されるボルト貫通孔12a1が設けられ、ナット側可倒式支柱12L1,12R1とは反対側から起立するボルト側可倒式支柱12L2,12R2とを有し、ナット側可倒式支柱12L1,12R1とボルト側可倒式支柱12L2,12R2とを起立させてナット側可倒式支柱12L1,12R1およびボルト側可倒式支柱12L2,12R2の上部でビーム12aの左右両側を挟むと共に、ビーム支持ボルト14の軸部をボルト側可倒式支柱12L2,12R2のボルト貫通孔12a1からナット側可倒式支柱12L1,12R1のナット部12L11,12R11に通して締結することによりビーム12aを所定の高さに固定する。
【0042】
そのため、クレーン12cが設けられたビーム12aは、ナット側可倒式支柱12L1,12R1とボルト側可倒式支柱12L2,12R2とで挟まれた状態で所定の高さで固定されるため、ビームをバランス良く支持することができる。
【0043】
特に、本発明に係る実施形態のレール両側積卸機1では、上記特許文献1に記載の背景技術のように油圧シリンダー等の昇降機構によってナット側可倒式支柱12L1,12R1およびボルト側可倒式支柱12L2,12R2を起立させたり倒伏させないので、コストを低減することもできる。
【0044】
また、本発明に係る実施形態のレール両側積卸機1では、左右一対の可倒式タワー部12L,12Rの基部には、それぞれ、車輪を有する走行部12b,12bを設ける一方、レール運搬車本体11の上面には、左右一対の可倒式タワー部12L,12Rの走行部12b,12bが走行するサブレール構成体13a,13b,13cが走行レールR,Rの長手方向に設けている。
【0045】
そのため、3基(3台)のレール積み降ろし機構体12は、それぞれ、レール運搬車本体11の長手方向に間隔を空けて3箇所設置されたサブレール構成体13a,13b,13cのサブレール13a1~13c1に沿って走行することができるので、走行レールR,Rの長手方向への交換用レール3の移動が容易になると共に、交換用レール3の長さが変わった場合でも、レール運搬車本体11の長手方向における3基(3台)のレール積み降ろし機構体12の位置を用に変更して簡単に対応することができる。
【0046】
また、本発明に係る実施形態のレール両側積卸機1では、ビーム12aの左右両側にそれぞれ設けられたボルト貫通孔12a1は、前後方向にそれぞれ先細の円錐台形面12a11を有する前後円錐台形凸部12a1,12a1(
図4参照。)に設けられている一方、ナット側可倒式支柱12L1,12R1のナット部12L11,12R11と、ボルト側可倒式支柱12L2,12R2のボルト貫通孔12a1との周囲には、それぞれ、ビーム12aの左右両側のボルト貫通孔12a1が設けられた前後円錐台形凸部12a1,12a1の円錐台形面12a11,12a11が嵌合する円環状のすり鉢状傾斜凹面12L12a,12R12a、12L22a,12R22a(
図5(a)参照。)を有するビーム支持ボルト用環状突起部12L12,12R12、12L22,12R22を設けている。
【0047】
そのため、ビーム12aを左側のナット側可倒式支柱12L1およびボルト側可倒式支柱12L2で挟持してビーム支持ボルト14で固定する際、ビーム12aを右側のナット側可倒式支柱12R1およびボルト側可倒式支柱12R2で挟持してビーム支持ボルト14で固定する際には、ビーム12aの前後円錐台形凸部12a1,12a1とナット側可倒式支柱12L1,12R1およびボルト側可倒式支柱12L2,12R2のビーム支持ボルト用環状突起部12L12,12R12、12L22,12R22とで容易に位置決めすることが可能となるので、作業効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 レール両側積卸機
11 レール運搬車本体
11a 車輪
11b 機関車用連結部
12 レール積み降ろし機構体
12a ビーム
12a1 前後円錐台形凸部
12a12 ボルト貫通孔
12c クレーン
12L,12R 可倒式タワー部
12L1,12R1 ナット側可倒式支柱
12L2,12R2 ボルト側可倒式支柱
12L11,12R11 ナット部
12L12,12L22、12R12,12R22 ビーム支持ボルト用環状突起部
12L12a,12R12a、12L22a,12R22a すり鉢状傾斜凹面
12L13,12L23、12R13,12R23 補助ボルト用環状突起部
12L21,12R21 ボルト貫通孔
13a,13b,13c サブレール構成体
13a1,13b1,13c1 サブレール
13a2,13b2,13c2サブレール間隔保持鋼
14 ビーム支持ボルト
15 補助ボルト
3 交換用レール
R 軌道用レール