(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182648
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】臨床試験の需給予測のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G16H 10/20 20180101AFI20231219BHJP
【FI】
G16H10/20
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023162936
(22)【出願日】2023-09-26
(62)【分割の表示】P 2020516799の分割
【原出願日】2018-09-26
(31)【優先権主張番号】62/563,283
(32)【優先日】2017-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/143,049
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】518146131
【氏名又は名称】フォージー クリニカル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】4G CLINICAL LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【弁理士】
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】トゥルテロッテ,エドワード,アラン
(72)【発明者】
【氏名】ドルック,セドリック・クリスティアン・マルセル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】臨床試験の需給予測のためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】臨床試験供給予測システムにおいて、ユーザが電子的にアクセス可能な1つ以上のサーバ、データベースなどの形で実現される供給予測システムによって実行する方法は、患者数と、複数の実施施設と、1つ以上の信頼性値とを含む臨床試験のパラメータを含んだ1つ以上の電子ファイルをユーザから受信することと、前記患者数に従って、前記複数の実施施設それぞれの需要プロファイルを計算することと、前記1つ以上の信頼性値に従って、前記複数の実施施設それぞれのバッファ量を計算することと前記需要プロファイルおよび前記バッファ量に従って、前記臨床試験の供給計画を計算することと、前記供給計画を前記ユーザに送信することと、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータで実装される方法であって、
サーバによって、患者数と、複数の実施施設と、1つ以上の信頼性値とを含む、臨床試験のパラメータを含んだ1つ以上の電子ファイルをユーザから受信することと、
前記サーバによって、前記患者数に従って、前記複数の実施施設それぞれの需要プロファイルを計算することと、
前記サーバによって、前記1つ以上の信頼性値に従って、前記複数の実施施設それぞれのバッファ量を計算することと、
前記サーバによって、前記需要プロファイルおよび前記バッファ量に従って、前記臨床試験の供給計画を計算することと、
前記サーバによって、前記供給計画を前記ユーザに送信することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記1つ以上の電子ファイルは、1つ以上の電子スプレッドシートファイルと1つ以上のテキストファイルとを含み、
前記方法が、
前記1つ以上の電子スプレッドシートファイル内のデータを1つ以上の電子テキスト形式の表に変換することと、
前記1つ以上の電子テキスト形式の表を前記1つ以上のテキストファイルに挿入して、1つ以上の補完済テキストファイルを作成することと、
前記1つ以上のテキストファイルに対して自然言語処理を実行して、前記臨床試験の前記パラメータを特定することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の実施施設のうち1つの実施施設の前記需要プロファイルを計算することが、複数の時点それぞれにおける該実施施設の需要の平均値と統計分布とを計算することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記パラメータは、さらに、前記複数の実施施設それぞれの被験者登録限界値を含み、
前記方法が、
前記複数の実施施設それぞれについて、前記被験者登録限界値が達成される日付を計算すること、
をさらに含み、
前記複数の実施施設それぞれの需要プロファイルを計算することが、さらにそれぞれの前記日付に従って行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記被験者登録限界値が達成される日付を計算することが、モンテカルロシミュレーションを適用することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記供給計画を計算することが、
複数の時点それぞれにおける不確実性値を求めることと、
前記不確実性値それぞれに従って、前記複数の時点それぞれの需要量を計算することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記供給計画を前記ユーザに送信した後に、コンピュータによる無作為化および臨床試験供給管理(RTSM)システムとの電子通信を確立することと、
前記RTSMシステムのアプリケーションプログラミングインタフェース(API)を介して、前記RTSMシステムにコマンドを出力して前記臨床試験の状況を特定することと、
前記臨床試験の前記状況を前記供給計画と比較することと、
前記臨床試験が前記供給計画に沿っていないと判断することと、
前記臨床試験が前記供給計画に沿っていないことを示すものを含む電子通知をユーザに自動送信することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
コンピュータで実装される方法であって、
サーバによって、患者数と、複数の実施施設と、1つ以上の信頼性値とを含む、臨床試験のパラメータを含んだ1つ以上の電子ファイルをユーザから受信することと、
前記サーバによって、パラメータに従って、前記臨床試験の供給計画を計算することと、
前記サーバによって、前記供給計画を前記ユーザに送信することと、
前記供給計画を前記ユーザに送信した後に、前記臨床試験を運営するコンピュータによる無作為化および臨床試験供給管理(RTSM)システムとの電子通信を確立することと、
前記RTSMシステムのアプリケーションプログラミングインタフェース(API)を介して、前記RTSMシステムにコマンドを出力することと、
前記コマンドに応じて、前記RTSMシステムからデータを受信することと、
前記RTSMシステムから受信した前記データに従って、前記臨床試験の状況を特定することと、
前記臨床試験の前記状況を前記供給計画と比較することと、
前記臨床試験が前記供給計画に沿っていないと判断することと、
前記臨床試験が前記供給計画に沿っていないことを示すものを含む電子通知をユーザに自動送信することと、
を含む方法。
【請求項9】
前記APIを介して、前記RTSMシステムにコマンドを出力することが、前記臨床試験に関与する実施施設のリストと、前記実施施設それぞれにおける在庫と、前記実施施設それぞれにおける被験者登録数と、前記実施施設それぞれにおける被験者登録率とを特定するためのコマンドをそれぞれ出力することを含み、
前記臨床試験が前記供給計画に沿っていないと判断することが、前記実施施設それぞれにおける在庫と、前記実施施設それぞれにおける被験者登録数と、前記実施施設それぞれにおける被験者登録率とに基づく供給可能量が、前記供給計画における計画上の供給可能量を下回っていると判断することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、
前記臨床試験が変更後の供給計画に沿うように供給計画の変更を行うことを決定すること、
をさらに含み、
前記電子通知が、前記供給計画の変更を示すものをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記供給計画の変更が、前記複数の実施施設のうち1つ以上の実施施設への薬剤の追加注文を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記APIを介して、前記RTSMシステムにコマンドを出力することが、前記臨床試験に関与する実施施設のリストと、前記実施施設それぞれにおける在庫と、前記実施施設それぞれにおける今後の使用と、それぞれが前記1つ以上の実施施設のうちの一部からなる施設群に対して供給を行う1つ以上の供給拠点それぞれにおける在庫とを特定するためのコマンドをそれぞれ出力することを含み、
前記臨床試験が前記供給計画に沿っていないと判断することが、前記実施施設それぞれにおける在庫と、前記実施施設それぞれにおける今後の使用と、1つ以上の供給拠点それぞれにおける在庫とに基づく供給可能量が、前記供給計画における計画上の供給可能量を下回っていると判断することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記サーバによって、前記1つ以上の信頼性値に従って、前記複数の実施施設それぞれのバッファ量を計算することと、
前記サーバによって、前記需要プロファイルおよび前記バッファ量に従って、前記臨床試験の供給計画を計算することと、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ以上の電子ファイルは、電子スプレッドシートファイルと1つ以上のテキストファイルとを含み、
前記方法が、
前記電子スプレッドシートファイル内のデータを1つ以上の電子テキスト形式の表に変換することと、
前記1つ以上の電子テキスト形式の表を前記1つ以上のテキストファイルに挿入して、1つ以上の補完済テキストファイルを作成することと、
前記1つ以上のテキストファイルに対して自然言語処理を実行して、前記臨床試験の前記パラメータを特定することと、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
コンピュータで実装される方法であって、
サーバによって、患者数と、複数の実施施設と、1つ以上の信頼性値とを含む、臨床試験のパラメータを含んだ、1つ以上の電子スプレッドシートファイルと1つ以上のテキストファイルとを含む1つ以上の電子ファイルをユーザから受信することと、
前記電子スプレッドシートファイル内のデータを1つ以上の電子テキスト形式の表に変換することと、
前記1つ以上の電子テキスト形式の表を前記1つ以上のテキストファイルに挿入して、1つ以上の補完済テキストファイルを作成することと、
前記1つ以上のテキストファイルに対して自然言語処理を実行して、前記臨床試験の前記パラメータを特定することと、
前記サーバによって、前記パラメータに従って、前記臨床試験の供給計画を計算することと、
前記サーバによって、前記供給計画を前記ユーザに送信することと、
を含む方法。
【請求項16】
前記供給計画を前記ユーザに送信した後に、コンピュータによる無作為化および臨床試験供給管理(RTSM)システムとの電子通信を確立することと、
前記RTSMシステムのアプリケーションプログラミングインタフェース(API)を介して、前記RTSMシステムにコマンドを出力して前記臨床試験の状況を特定することと、
前記臨床試験の前記状況を前記供給計画と比較することと、
前記臨床試験が前記供給計画に沿っていないと判断することと、
前記臨床試験が前記供給計画に沿っていないことを示すものを含む電子通知をユーザに自動送信することと、
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記APIを介して、前記RTSMシステムにコマンドを出力することが、前記臨床試験に関与する実施施設のリストと、前記実施施設それぞれにおける在庫と、前記実施施設それぞれにおける被験者登録数と、前記実施施設それぞれにおける被験者登録率とを特定するためのコマンドをそれぞれ出力することを含み、
前記臨床試験が前記供給計画に沿っていないと判断することが、前記実施施設それぞれにおける在庫と、前記実施施設それぞれにおける被験者登録数と、前記実施施設それぞれにおける被験者登録率とに基づく供給可能量が、前記供給計画における計画上の供給可能量を下回っていると判断することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記APIを介して、前記RTSMシステムにコマンドを出力することが、前記臨床試験に関与する実施施設のリストと、前記実施施設それぞれにおける在庫と、前記実施施設それぞれにおける今後の使用と、それぞれが前記1つ以上の実施施設のうちの一部からなる施設群に対して供給を行う1つ以上の供給拠点それぞれにおける在庫とを特定するためのコマンドをそれぞれ出力することを含み、
前記臨床試験が前記供給計画に沿っていないと判断することが、前記実施施設それぞれにおける在庫と、前記実施施設それぞれにおける今後の使用と、1つ以上の供給拠点それぞれにおける在庫とに基づく供給可能量が、前記供給計画における計画上の供給可能量を下回っていると判断することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は、
前記臨床試験が変更後の供給計画に沿うように供給計画の変更を行うことを決定すること、
をさらに含み、
前記電子通知が、前記供給計画の変更を示すものをさらに含み、
前記供給計画の変更が、前記複数の実施施設のうち1つ以上の実施施設への薬剤の追加注文を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
非一時的コンピュータ可読媒体であって、プロセッサによって実行された場合に、プロセッサに
患者数と、複数の実施施設と、1つ以上の信頼性値とを含む、臨床試験のパラメータを含んだ1つ以上の電子ファイルをユーザから受信することと、
前記患者数に従って、前記複数の実施施設それぞれの需要プロファイルを計算することと、
前記1つ以上の信頼性値に従って、前記複数の実施施設それぞれのバッファ量を計算することと、
前記需要プロファイルおよび前記バッファ量に従って、前記臨床試験の供給計画を計算することと、
前記供給計画を前記ユーザに送信することと、
を実行させる命令を格納する媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年9月26日を出願日とする米国仮特許出願第62/563283号および2018年9月26日を出願日とする米国実用特許出願第16/143049号の優先権の利益を主張するものであり、そのすべての開示内容は引用することによって本明細書の一部をなすものとする。
【0002】
本明細書に記載の各実施形態は、臨床試験の供給および管理に関し、より詳細には、臨床試験の需給予測のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
過去10年の間、臨床試験の医薬品供給を管理する複数のシステムが開発されており、現在では、多くの製薬会社が、このようなシステムを頼りに生産計画の策定や、コストの最適化、被験者募集活動の管理などを行っている。そのようなシステムとして、例えば、独自に作成されたExcelスプレッドシートやExcelスプレッドシートテンプレート、平均値に基づく予測システム、モンテカルロシミュレーションを用いたシステムなどが知られており、一般に、モンテカルロシミュレーションを用いたシステムが最も精度が高いとされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に記載の各実施形態は、臨床試験の需給予測のためのシステムおよび方法に関する。コンピュータで実装される方法の一実施形態は、サーバによって、患者数と、複数の実施施設と、1つ以上の信頼性値とを含む、臨床試験のパラメータを含んだ1つ以上の電子ファイルをユーザから受信することと、サーバによって、患者数に従って、複数の実施施設それぞれの需要プロファイルを計算することと、サーバによって、1つ以上の信頼性値に従って、複数の実施施設それぞれのバッファ量を計算することと、サーバによって、需要プロファイルおよびバッファ量に従って、臨床試験の供給計画を計算することと、サーバによって、供給計画をユーザに送信することと、を含むことができる。
【0005】
コンピュータで実装される方法の一実施形態は、サーバによって、患者数と、複数の実施施設と、1つ以上の信頼性値とを含む、臨床試験のパラメータを含んだ1つ以上の電子ファイルをユーザから受信することと、サーバによって、パラメータに従って、臨床試験の供給計画を計算することと、サーバによって、供給計画をユーザに送信することと、供給計画をユーザに送信した後に、臨床試験を運営するコンピュータによる無作為化および臨床試験供給管理(RTSM:randomization and trial supply management)システムとの電子通信を確立することと、RTSMシステムのアプリケーションプログラミングインタフェース(API)を介して、RTSMシステムにコマンドを出力することと、コマンドに応じて、RTSMシステムからデータを受信することと、RTSMシステムから受信したデータに従って、臨床試験の状況を特定することと、臨床試験の状況を供給計画と比較することと、臨床試験が供給計画に沿っていないと判断することと、臨床試験が供給計画に沿っていないことを示すものを含む電子通知をユーザに自動送信することと、を含むことができる。
【0006】
コンピュータで実装される方法の一実施形態は、サーバによって、患者数と、複数の実施施設と、1つ以上の信頼性値とを含む、臨床試験のパラメータを含んだ、電子スプレッドシートファイルと1つ以上のテキストファイルとを含む1つ以上の電子ファイルをユーザから受信することと、電子スプレッドシートファイル内のデータを1つ以上の電子テキスト形式の表に変換することと、1つ以上の電子テキスト形式の表を1つ以上のテキストファイルに挿入して、1つ以上の補完済テキストファイルを作成することと、1つ以上のテキストファイルに対して自然言語処理を実行して、臨床試験のパラメータを特定することと、サーバによって、パラメータに従って、臨床試験の供給計画を計算することと、サーバによって、供給計画をユーザに送信することと、を含むことができる。
【0007】
非一時的コンピュータ可読媒体の一実施形態は、プロセッサによって実行された場合に、プロセッサに、患者数と、複数の実施施設と、1つ以上の信頼性値とを含む、臨床試験のパラメータを含んだ1つ以上の電子ファイルをユーザから受信することと、患者数に従って、複数の実施施設それぞれの需要プロファイルを計算することと、1つ以上の信頼性値に従って、複数の実施施設それぞれのバッファ量を計算することと、サーバによって、需要プロファイルおよびバッファ量に従って、臨床試験の供給計画を計算することと、供給計画をユーザに送信することと、を実行させる命令を格納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】医薬臨床試験の予測と管理を行うための例示的なシステムの概略図である。
【
図2】臨床試験供給予測システムの例示的な動作方法を示すフローチャートである。
【
図3A】臨床試験供給計画の例示的なグラフィック表示である。
【
図3B】臨床試験供給計画の例示的なグラフィック表示である
【
図4】提案された医薬臨床試験のパラメータを特定する例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図5】自然言語処理を行う例示的な電子仕様書インタプリタの概略図である。
【
図6】臨床試験供給予測を求める例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図7】臨床試験の供給予測を基準にその臨床試験を監視する例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図8】汎用コンピューティングシステム環境を備える例示的なコンピューティングシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
RTSMシステムは、患者が臨床試験に参加する施設である臨床試験施設での臨床資材供給の需要を予測し、投与に備えて当該臨床試験施設に適切な薬剤を事前配布し、必要に応じて当該臨床試験施設に薬剤を追加送付することができるシステムである。通常、この機能は「再供給アルゴリズム(resupply algorithm)」と呼ばれる。再供給アルゴリズムの制御は、最小レベル(安全在庫)、最大レベル(再供給レベル)、短期時間枠(short-window)、長期時間枠(look-ahead window)などのパラメータによって行うことができる。しかしながら、製薬会社にとって、これらのパラメータの管理、-すなわち、ある特定の臨床試験について、世界各地でのパラメータ予測値を計算し、さらにそれらのパラメータ予測値の追跡、更新を行うこと-は重い負担となっている。
【0010】
過去10年の間に、ある臨床試験について、供給ニーズの計画を事前に立てたり、再供給パラメータを継続的に調整し(そして今後の見通しを立て)たりするのに役立つ予測ツールの開発が行われてきた。しかし、既存の予測システムには多くの欠点があった。例えば、既存の予測ツールの一部は、予測力の基幹としてシミュレーション技術を用いるものである。そのような予測ツールは、予測対象となるRTSM再供給アルゴリズムの挙動を近似する必要があるため、通常、多種多様なRTSM製品と同一または類似のパラメータを内蔵する必要があるが、当該予測ツールが予測対象となるRTSM再供給アルゴリズムに完璧に適合することはまずない。その結果、公知の予測システムを使用した場合、不適切な情報(例えば、予測システムと管理システムとの間のアルゴリズムの相違のために、実際の臨床試験での使用状況とは合致しない予測)に基づいて重要な供給決定が行われる可能性があり、無駄な過剰供給や在庫切れが生じてしまうおそれがあった。さらに、通常、RTSMシステムと臨床試験供給管理システムとは全く別個のシステムであるため、臨床試験の実施中に試験後期段階の予測はあまり頻繁には行われず(1~6カ月ごと程度)、予測に際しては、これら2つのシステムそれぞれの臨床試験モデル間でユーザが手動でマッピングを行う必要があった。また、現行システムでの報告行為は厳しく規制されており、データの再活用は通常、Excelなどの外部システム以外では行うことができなかった。また多くの既存システムでは、認証の取得やCFR Part 11への準拠が行われていない-すなわち、臨床試験ソフトウェアが一般的に準拠しているものには準拠していない-ことから、何らかの不適合が生じたり、不適切な提案が行われたりするおそれがあり、そのような不適切な提案によって重要な供給決定が行われてしまう可能性があった。
【0011】
一般に、予測システムが、医薬臨床試験期間中に必要な供給量をモデル化する際には、互いに相関する多数の変数を考慮に入れる必要がある。例えば、患者の通院スケジュールや薬剤の投与スケジュールを考慮しなければならず、臨床試験期間中に患者が従う可能性のある臨床試験実施計画書(protocol)の通院スケジュールに変更があった場合には、その変更も考慮対象に含まれる。また、患者の被験者登録時期や、その臨床試験施設の場所および始動時期など、患者数の時間的、空間的特性も考慮する必要がある。さらに、予測に際しては、供給ネットワークの物流も考慮する必要があり、これには、在庫資材を臨床試験施設に届ける手段、在庫資材の出荷頻度、在庫資材が臨床試験施設に届くまでに要する時間などの事項が含まれる。また、(例えば、表示要件などの)各国固有の制約や、単位当たりの生産コストとその価格、品質保持期間、各ロットの使用期限などの在庫資材に関する制約も考慮する必要がある。
【0012】
再供給アルゴリズム(および予測器)は通常、予測可能な需要と予測不能な需要という2種類の需要を処理対象とする。予測可能な需要は、既存の既知の患者が将来の任意のタイミングで消費するであろう必要量を網羅するものであり、治療の種類と投与量レベルとが事前に分かっている需要である。一方、予測不能な需要は、未知の(非既存の)患者が消費するであろう必要量(「無相関の予測不能な需要」)や、無作為化による治療の割り当てがまだ行われていない既知の患者、または大枠の治療過程は割り当てられているものの将来的な投薬の変動が見込まれる臨床試験設計となっている既知の患者が消費するであろう必要量(「相関のある予測不能な需要」)を網羅する需要である。
【0013】
通常、予測可能な需要は、優れたRTSM予測器であれば適切に処理することができるが、予測不能な需要は、そもそも事前には分からない需要であるため、これを処理できるのは最高にロバスト性が高くかつ最高に強力な予測器に限られる。予測不能な需要に関しては、シミュレータによって、ある時間枠における統計的に現実的な上限値を求めることができるため、得られた上限値を使用して、安全在庫を生成したり、バッファ在庫(将来的な使用の見込みが明らかでなくても事前に臨床試験施設に置いておく在庫)を床から天井まで積み上げておいたりすることができる。しかしながら、通常、このようなバッファ在庫や設定は、労働集約的なプロセスによって手動で設定されていた。
【0014】
RTSMには2つの重要な時間枠がある。1つ目は、「短期時間枠(short window)」と呼ばれる場合があるもので、通常、供給拠点から対象の臨床試験施設までの出荷リードタイムと等しいか若干長い期間である。例えば、短期時間枠内で予想されるすべてまたはほぼすべてのニーズは、バッファ在庫や安全在庫でカバーするように設定することで、在庫切れや患者への投薬切れを防ぐことができる。しかしながら、薬剤が消費されるたびにその補充のための出荷を行うのは望ましくない場合がある。そこで、「長期時間枠(long-ahead window,long window)」と呼ばれる場合がある2つ目の時間枠によって、次の出荷が必要になるまで在庫を保持しておくべき期間をシステムに指示している。例えば、長期時間枠は30日に設定される場合がある。
【0015】
優れた予測ツールが優れたRTSMシステムと(データの常時送信によって)常に同期するという状況であれば、上述のようにパラメータ値を設定するためのアドバイスを当該予測ツールが、臨床試験依頼者としての企業に対して継続的に提供することができる。しかしながら、これは、このような状況以外では起こり得ない。このプロセスの多くの側面が有する複雑性は、ひとえに再供給アルゴリズムとそのパラメータの深い理解に根差すものであり、多くの臨床資材供給の専門家(またはこの職務を担う他の担当者)にとって手に負えるようなものではなかった。
【0016】
本発明に係る供給予測システムは、上述の欠陥の一部またはすべてを改善することができるものである。
【0017】
ここで図面を参照すると、各図面間において同一または類似の特徴(機能)を同様の参照番号で表している。
図1は、例えば、無作為化された医薬臨床試験などの臨床試験の予測と管理を行うための例示的なシステム10の概略図である。システム10は、供給予測システム12と無作為化および臨床試験供給管理(RTSM:randomization and trial supply management)システム14とを備えることができる。供給予測システム12とRTSMシステム14のいずれかまたは両方が、複数のユーザコンピューティングデバイス16(
図1では、そのうちの1つのみを図示する)と電子通信を行うことができる。
【0018】
一般に、予測システム12とRTSMシステム14とは、医薬臨床試験の計画策定と実施における異なる側面に関与するものと考えられる。以下でより詳細に説明するように、一般に、RTSMシステム14が、臨床試験の指針提示や実施を行うことができるのに対して、予測システム12は、臨床試験計画を策定することができる。ここで、臨床試験計画の策定は、その臨床試験についての完全な情報が入手可能となる前に行われるか、あるいは完全な情報がまだ入手できない段階にある臨床試験に対して行われる。
【0019】
各実施形態において、RTSMシステム14は、1つ以上のコンピューティングデバイスを備え、患者の無作為化、盲検化、薬剤の投与、薬剤の自動再供給など、医薬臨床試験を運営、指揮するための多くの業務を遂行することができる。RTSMシステム14は、1つ以上のユーザコンピューティングデバイス16と電子通信を行い、ユーザから(例えば、臨床試験のパラメータなどの)入力を受信し、ユーザに対して(例えば、1つ以上の薬剤の注文、臨床試験に参加している患者の状況、各臨床試験施設の情報などの)出力を与えることができる。
【0020】
RTSMシステム14は、多種多様なユーザとの通信や情報交換(すなわち、各種ユーザそれぞれの1つまたは複数のユーザコンピューティングデバイスとの通信)を行うように構成することができる。例えば、ある臨床試験において、RTSMシステム14は(例えば、製薬会社などの)臨床試験依頼者18用の入出力インタフェースを提供することができる。各実施形態において、臨床試験依頼者18は、ある臨床試験の完全なパラメータまたは臨床試験における1つの段階の完全なパラメータをRTSMシステム14に入力することができる。そのような完全なパラメータセットには、例えば、通院などの患者についてのアクション、ロットおよびロット操作、臨床試験施設レベルまたは拠点レベルでの在庫および在庫操作、出荷および出荷操作、温度逸脱(temperature excursion)とその管理、調剤済みまたは未調剤の薬剤の返品と薬剤返品に関連する承認やパラメータ、在庫の廃棄状況、警告や通知に対する対応、そして、臨床試験施設や、供給拠点、実施国の追加およびパラメータ化、信頼性ダイヤルおよび長期時間枠ダイヤルなどによる予測パラメータの設定、臨床試験施設群での被験者登録率の設定、ユーザとそのアクセス権の設定、被験者層(cohort)の設定、キット-無作為化リストのロード、患者およびキットの盲検化の解除などが含まれ得る。次に、RTSMシステム14は、どの再供給アクションをとる必要があるかを決定し、臨床試験依頼者に出力することができる。また、後述するように、RTSMシステム14は、1つ(1人)以上の供給拠点、臨床試験施設、医師、および患者からのデータに基づいて臨床試験の状況を追跡、記録することができ、その情報を臨床試験依頼者が利用できるようにすることができる。
【0021】
RTSMシステム14は、例えば病院または診療所などの1つ以上の臨床試験施設20との間で電子通信を行うことができる。例えば、RTSMシステム14は、特定の患者に対する投薬指示などの指示を臨床試験施設20に対して出力することができる。また、RTSMシステム14は、患者情報、投薬記録などのデータを臨床試験施設20から受信して、どの患者がどの試験施設でその臨床試験に係るどの薬剤をいつ服用したのかを示すデータを保有することができる。
【0022】
さらにRTSMシステム14は、1つ以上の分配施設22とも通信を行うことができる。分配施設22とは、臨床試験で使用する薬剤ロットおよびプラセボを臨床試験施設20に分配するために利用する供給拠点や倉庫などの施設などである。RTSMシステム14は、分配施設22に対して、例えば出荷指示を出すことができる。各実施形態では、RTSMシステム14が供給計画に基づいて、そのような出荷指示を自動生成、自動送信、または自動生成送信することができる。また、RTSMシステム14は、出荷記録や在庫情報などのデータを分配施設22から受信して、臨床試験で用いられる薬剤についての在庫資材の分配量、在庫残量、在庫のある場所を示すデータを保有することができる。
【0023】
また1人以上の医師24がRTSMシステム14と電子通信を行うことができる。RTSMシステム14は、そのような医師24に、臨床試験で用いられる薬剤に関する情報や臨床試験に関する情報を出力して、必要に応じて医師が患者に対して臨床試験に関する情報を開示できるようにすることができる。また、RTSMシステム14は(例えば、医師が当該臨床試験を受けるよう勧めた患者の数、それらの患者の特徴、被験者登録された患者の具体的な情報などの)被験者登録情報をそのような医師から受信して、登録者数と被験者登録された患者の特徴とを示すデータを保有することができる。
【0024】
供給予測システム12は、プロセッサ28と非一時的コンピュータ可読メモリ30とを備えることができる。メモリ30は、プロセッサ28によって実行された場合に、プロセッサ28に本発明の1つ以上の方法、アルゴリズム、プロセスなどを実行させる命令を含んでいる。メモリ30は、プロセッサ28によって実行可能な(例えば、ソフトウェアなどの)命令の形で1つ以上のモジュールを格納することができる。以下に、例示的なモジュールについて説明する。
【0025】
各実施形態において、メモリ30は、供給計画策定モジュール32を格納することができる。この供給計画策定モジュール32に基づいて、供給予測システムは、臨床試験(または臨床試験における1つの段階)の完全な情報が入手可能となる前に、臨床試験対象の薬剤および臨床試験で用いられるプラセボの供給計画を大枠で策定することができる。そして、供給予測システム12は、この臨床試験の供給計画を臨床試験依頼者18に出力して、臨床試験依頼者18が当該臨床試験の予算を適切に設定し、当該臨床試験に適した実施施設や物流チャネルなどを確保できるようにする。そのような情報交換を実現するため、供給予測システム12は、臨床試験依頼者18それぞれのユーザコンピューティングデバイス16を含む1つ以上のユーザコンピューティングデバイス16と電子通信を行うことができる。
【0026】
各実施形態において、メモリ30は、仕様書解釈モジュール34を格納することもできる。(例えば、上述のように臨床試験依頼者に関連付けられ得るユーザコンピューティングデバイスを介して)ユーザは、臨床試験のパラメータを示す情報を提出し、供給予測システム12はそれを受信することができる。仕様書解釈モジュール34は、受信した情報を処理、解析して、臨床試験パラメータを抽出、特定することができる。そして、ユーザから受信した臨床試験パラメータに基づいて、供給計画策定モジュール32は、供給計画を生成することができる。
【0027】
予測システム12は、臨床試験依頼者や、1つ以上の臨床試験施設、1つ以上の供給拠点、1人以上の医師、1人以上の患者が使用するための電子ユーザインタフェースを提供することができる。例えば、各実施形態では、予測システム12は1つ以上のダイヤルを備える電子ユーザインタフェースを提供することができ、ユーザはそのダイヤルを調整することによって、予測システムが計算する供給計画に対して一定の制約を設定することができる。そのようなダイヤルなどの入力手段に対するユーザの操作に基づいて、供給予測システム12は、後述するようなユーザの入力を受け取ることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、予測システム12は、例えば、予測される総需要に対してどの程度の信頼を置くべきかを示す(例えば、それが予測可能な需要、相関のある予測不能な需要、無相関の予測不能な需要のいずれであるかなどの)信頼性レベルを、ユーザから受け取ることができる。いくつかの実施形態では、異なる複数の信頼性レベルをユーザが提示することもでき、その場合、予測システムは、それら信頼性レベルのそれぞれについて供給計画予測を計算することができる。各実施形態では、予測システムは、例えば、総需要に対しては第1の信頼性レベル、相関のある予測不能な需要に対しては第2の信頼性レベルなどのように、種々の臨床試験パラメータごとに設定された多数の信頼性レベルをユーザから受け取ることができる。
【0029】
また、予測システムは、ユーザから1つ以上の臨床試験期間長を受け取ることができる。例えば、ユーザは、臨床試験期間の長さ、臨床試験の1つ以上の特定の段階の長さなどを提示することができる。いくつかの実施形態では、ユーザは、あらゆる異なる期間長を提示することもできる。その場合、予測システムは、これらの異なる期間長それぞれについての供給計画予測を計算することができる。
【0030】
供給予測システム12はまた、RTSMシステム14と電子通信を行うことができる。臨床試験中、供給予測システム12は、RTSMシステム14から各臨床試験のデータを検索して読み出すことができる。そのような情報検索を行うため、供給予測システム12は、RTSMシステム14のアプリケーションプログラミングインタフェース(API)36を介してRTSMシステム14と通信を行うことができる。そして、供給予測システム12は、計画比較モジュール36に基づいて、読み出した臨床試験の状況に関する情報を予測供給計画と比較し、臨床試験の状況が予測供給計画から大幅に逸脱した場合には、臨床試験依頼者への警告を生成することができる。
【0031】
一実施形態では、RTSMシステム14と供給予測システム12の一方または両方を、Software-as-a-Service(SaaS)ベースで実装することができる。したがって、供給予測システム12、RTSMシステム14の少なくとも一方を、インターネットを介してユーザが電子的にアクセス可能な1つ以上のサーバ、データベースなどの形で実現することができる。また、これに加えてまたは代えて、供給予測システム12とRTSMシステム14の一方または両方、または供給予測システム12およびRTSMシステム14の1つ以上の側面または機能を、例えば、臨床試験依頼者用のローカルサーバ上に実装することもできるほか、例えば、臨床試験依頼者、臨床試験施設、供給拠点などのそれぞれのユーザコンピューティングデバイスに格納されるローカルコピーとして実装することもできる。
【0032】
なお、RTSMシステム14と供給予測システム12とは、別体のシステムとして図示、説明しているが、各実施形態において、RTSMシステム14および供給予測システム12、またはその一部の機能を、1つのシステムまたは共通のコンピューティングリソースで実装することもできる。
【0033】
本発明の1つ以上の態様によれば、公知の供給予測方法およびシステムよりも向上した供給予測システムを提供することができる。第1に、公知の供給予測システムは通常、ある臨床試験全体の包括的な予測を計算するために使用されている。そして、このような予測システムは、通常、包括的な計画を策定するために大量の臨床試験に関する情報を必要とする。その結果、臨床試験に関して入手可能な情報が比較的少ないと考えられる臨床試験計画策定プロセスのごく初期においては、公知の予測システムがその有用性をあまり発揮できない可能性があり、この段階で公知の予測システムを使用するためには多くの仮設を立てる必要が生じてしまっていた。一方、本発明に係る供給予測システムは、各実施形態において、ユーザが入手可能なものであればどのような情報であっても、その情報に基づいて供給計画またはその一部を計算するように構成することができるほか、さらに、本発明に係る供給予測システムは、供給計画の再計算の実行トリガとなり得るまたは供給計画の新たな側面の計算の実行トリガとなり得る(例えば、日付、特定の情報が入手可能となることなどの)特定の節目(milestone)を特定してユーザに通知するように構成することができ、これにより、高額なコスト増を伴う臨床試験の遅延を起こすことのないように、臨床試験の最中にユーザが計画を変更できるようにすることもできる。本発明に係る供給予測システムは、異なるレベルの情報をその情報が明らかになったタイミングで柔軟に伝える方法を、ユーザに提供することができる。したがって、本発明に係る供給予測システムは、より柔軟かつロバスト性の高い供給計画予測を提供することにより医薬臨床試験実施時の物流の改善を可能にするとともに、薬剤必要量のより正確な予測を可能にすることにより、高額な廃棄の回避や、在庫切れなどの問題となる状況の予測を可能にするものである。例えば、本発明に係る供給予測システムによれば、過剰生産(overage:不確実性やサプライチェーンの非効率性をカバーするために、実際の患者のニーズを超えて臨床試験において必要とされる薬剤)を20%削減することができる。
【0034】
第2に、通常、公知の予測システムは、RTSMシステムとは別体のシステムであるため、非効率なファイル転送を介してRTSMシステムから情報を取得する必要がある。このようなファイル転送は、通常、ユーザが手動で介入する必要があるほか、転送時に必要量以上のデータ交換が行われる可能性があり、そのいずれもユーザが望む水準より非効率である可能性があった上、予測システムとRTSMシステムとの間で不正確なマッピングが行われるリスクもあった。一方、本発明に係る供給予測システムは、各実施形態において、RTSMシステムが公開するAPIを介してRTSMシステムに統合することができる。その結果、本発明に係る供給予測システムは、非効率なファイル転送を行うのではなく、APIを介してRTSMシステムに要求や指令を出すことによって、予測システムが必要とする特定の情報を収集することができ、手動の介入を必要としない。したがって、本発明によれば、コンピュータ実装型の予測システムの機能と効率とを向上させることができる。また、データのマッピングもほぼ自動化することができるため、手動介入を介してデータマッピングを行う場合よりもミスが起こりにくい。
【0035】
第3に、上述の通り、通常、公知の供給予測システムは、計画生成のために特定の種類の情報を必要とする。また、公知の予測システムは、通常、そのような情報を特定の単一の形式で必要とした。一方、本発明に係る予測システムは、各実施形態において、臨床試験情報の各側面を(例えば、1つ以上のテキストファイルと1つ以上のスプレッドシートでなどのように)複数の形式で受理することができ、そのように提出された情報を処理、解析して、供給計画の基礎となる臨床試験パラメータを抽出、特定することができる。
【0036】
図2は、臨床試験供給予測システムの例示的な動作方法40を示すフローチャートである。方法40、または方法40の1つ以上の側面は、例えば
図1の供給予測システム12などの供給予測システムによって実行することができる。
図2の方法40は、臨床試験供給予測システムの種々の比較的上位の機能を含んでいる。これらの機能の一部の詳細な内容については、
図4、
図5、
図6、
図7を参照して後述する。
【0037】
引き続き
図2を参照すると、方法40は、ユーザから1つ以上の仕様書ファイルを受信することを含むステップ42を含むことができる。ユーザは、例えば、(例えば、製薬会社などの)臨床試験依頼者であり得る。仕様書ファイルには1つ以上のファイル形式が含まれていてよい。例えば、一実施形態では、仕様書ファイルが1つ以上のテキストファイルと1つ以上のスプレッドシートファイルとを含むことができる。そして、各実施形態において、テキストの入力は、体系化されたプロンプトに応えて行うのではなく自由な(自然な)形式で行うことができる。仕様書ファイルには、臨床試験依頼者が提案する医薬臨床試験に関して臨床試験依頼者自身が入手可能な情報が含まれ得る。そのような情報としては、臨床試験の開始時期と期間、所望の患者数、当該臨床試験への患者の被験者登録率の期待値、スクリーニング導入の有無および当該スクリーニングの失敗率、患者の治療に関する説明(特に、薬剤の投与や、患者による服薬の抜け、患者による投与量の変更が起こり得る任意のイベントと、それらのイベントの間にどのような時間的相関や確率的相関があるか)、臨床試験施設の数、実施国リスト、臨床試験施設群、地域、供給拠点、供給ラインやリードタイムについての説明を含む供給ネットワークの説明、臨床試験でテストする各種薬剤についての説明、臨床試験でテストする各投与量についての説明、そして、薬剤の使用期限、残存品質保持期間、最大ロットサイズ(つまり、最大出庫頻度(maximum release frequency))などの薬剤供給の制約などが含まれる。
【0038】
方法40は、仕様書ファイルを変換、結合して、仕様書ファイルに含まれる臨床試験パラメータを抽出などの方法で特定することを含むステップ44をさらに含むことができる。ステップ44を実施するための例示的な方法については、
図4および
図5を参照して説明する。
【0039】
方法40は、仕様書から特定した臨床試験パラメータに基づいて臨床試験供給計画を策定することを含むステップ46をさらに含むことができる。ステップ46を実施するための例示的な方法については、
図5を参照して説明する。ステップ46において、1つまたは複数の臨床試験供給計画を定めることができる。例えば、臨床試験期間に関連付けられた異なる信頼性レベル、または臨床試験に必要な患者数に関連付けられた異なる信頼性レベル、または臨床試験でテストする投与量のバリエーションの数などごとに、複数の臨床試験供給計画を定めることができる。
【0040】
方法40は、臨床試験供給計画のグラフィック表示やその計算のために使用される入力のグラフィック表示を1つ以上生成することを含むステップ48をさらに含むことができる。
図3Aおよび
図3Bに、臨床試験供給計画またはその計算のために使用される入力の例示的なグラフィック表示60,70を示す。
図3Aを参照すると、第1のグラフィック表示60は、複数のノード62を含むことができる(
図3Aには、3つのノード62
1,62
2,62
3を示す。なお、図を分かりやすくするため、一部のノード62には参照番号を付していない。)。そして、それぞれのノード62が、例えば被験者群の無作為化や薬剤の投与などの、グラフィック表示60が表す臨床試験におけるアクションを表す。グラフィック表示は、各ノードから1本以上延びる枝64をさらに含むことができる。各枝64は、枝64の根元にあるノード62が表すアクションの結果を示すことができる。例えば、患者群の無作為化を表わす開始ノード62
1から3本の枝64
1,64
2,64
3が延びる場合がある。第1の枝64
1は、無作為化された患者群の50%が当該臨床試験のABC部に割り当てられることを示し、第2の枝64
2は、患者群の25%が同試験のプラセボ部に含まれることを示し、第3の枝64
3は、患者群の25%が同試験のXYZ部に含まれることを示す。
【0041】
図3Bを参照すると、第2のグラフィック表示70は、複数のノード72を含むことができる(
図3Bには、3つのノード72
1,72
2,72
3を示す。なお、図を分かりやすくするため、一部のノード72には参照番号を付していない。)。そして、それぞれのノード72が、供給拠点や臨床試験施設などの臨床試験に関わる施設のような、臨床試験における場所または場所の集合体を表す。例えば、第1のノード72
1は、米国への供給拠点(サービスエリアにカナダを含んでもよい)を表し、第2のノード72
2は、米国の被験者群を表し、第3のノード72
3は、米国の低投与量被験者群を表す。グラフィック表示は、各ノード72から1本以上延びる枝74をさらに含むことができる。各枝74は、枝74の根元にあるノード72に含まれる部分の薬剤用の分配チャネルを示すことができる。例えば、ある患者群を表す米国被験者群ノード72
2から3本の枝74
1,74
2,74
3が延びる場合がある。第1の枝74
1は、米国被験者群に指定された供給の一部が米国の低投与量被験者群72
3に届くことを示し、第2の枝74
2は、米国被験者群に指定された供給の一部が米国の中投与量被験者群に届くことを示し、第3の枝74
3は、米国被験者群に指定された供給の一部が米国の高投与量被験者群に届くことを示す。
【0042】
図2を再び参照すると、方法40は、臨床試験供給計画をユーザに送信することを含むステップ50をさらに含むことができる。また、臨床試験供給計画をユーザに送信することは、1つ以上のグラフィック表示を含む該供給計画のデータをユーザコンピューティングデバイス上に表示させるために当該ユーザコンピューティングデバイスに送信することを含むことができる。また、これに加えてまたは代えて、臨床試験供給計画をユーザに送信することは、該供給計画またはその1つ以上の部分を、表形式、テキスト形式、その他の形式、またはその任意の組み合わせの形式でユーザに送信することを含んでもよい。また、例えば、ユーザコンピューティングデバイスに配信されるホスト型ウェブページの形式で送信を行うこともできる。これに加えてまたは代えて、電子メール形式またはダウンロード可能な電子ファイルなどの他の電子形式で送信を行うこともできる。
【0043】
方法40は、臨床試験の開始後に経時的に臨床試験の状況を監視することを含むステップ52をさらに含むことができる。また、臨床試験の状況を監視することは、RTSMシステムから各臨床試験のデータを定期的に自動取得し、そのデータを臨床試験計画と比較することを含むことができる。そして、ステップ52では、臨床試験の任意またはすべての側面を供給計画予測と比較することができる。例えば、各臨床試験施設における臨床試験対象薬剤の在庫を供給計画予測と比較して、各臨床試験施設が施設内の被験者に提供するのに十分な在庫を確実に保有するために、注文スケジュールの変更が必要または必須であるかどうか、または分配スケジュールの変更が必要または必須であるかどうかを判断することができる。
【0044】
方法40は、臨床試験の状況が臨床試験供給計画から逸脱したときにユーザに警告することを含むステップ54をさらに含むことができる。ステップ52,54の例やさらに詳細な内容については、
図7を参照して説明する。
【0045】
図4は、提案された医薬臨床試験のパラメータを特定する例示的な方法80を示すフローチャートである。方法80、または方法80の1つ以上の側面は、例えば
図1の供給予測システム12などの供給予測システムによって実行することができる。
【0046】
方法80は、スプレッドシートファイルと1つ以上のテキストファイルをユーザから受信することを含むステップ82を含むことができる。これらのファイルは、実施する臨床試験に関してその時点でユーザが入手可能な情報を含み得る。テキストファイルは、例えば、HTMLファイルであってもよい。これらのスプレッドシートファイルとテキストファイルの受信は、例えば、供給予測システムが提供するウェブサイトを介したファイルアップロードによって行うことができる。各実施形態において、供給予測システムはインタフェースを提供することもできる。ユーザは、このインタフェースから自らが提案する臨床試験を説明するテキストを自由形式で入力することができる(この入力された自由形式テキストが、ステップ82における「1つ以上のテキストファイル」に相当するか、あるいは、ステップ82の「1つ以上のテキストファイル」に変換され得る)ほか、このインタフェースを介して1つ以上のスプレッドシートをさらにアップロードすることもできる。
【0047】
方法80は、スプレッドシートを1つ以上のテキスト形式の表に変換することを含むステップ84をさらに含むことができる。各実施形態において、スプレッドシートは、例えば、1つ以上のHTML形式の表に変換することができるほか、提出されたテキスト形式のファイルが有する任意の形式に変換することができる。
【0048】
方法80は、テキスト形式の表を1つ以上のテキストファイルに挿入することを含むステップ86と、当該1つ以上のテキストファイルに対して自然言語処理を実行して臨床試験のパラメータを特定することを含むステップ88とをさらに含むことができる。ステップ88で実行できる自然言語処理の例については、
図5を参照して説明する。なお、自然言語処理の説明については、米国特許出願公開第2017/0154168号(発明の名称:Generating RTSM System for Clinical Trials(臨床試験のためのRTSMシステムの生成)、発明者:Edward A. Tourtellotte(エドワード・A・トゥルテロッテ)、4G Clinical社に譲渡済)にさらに詳細に示されており、同文献のすべての内容は参照することによって本明細書の一部をなすものとする。自然言語処理(NLP)を利用することにより、ユーザ側は、その時点でどの程度詳細な情報まで入手できているかに関わらず普通の英語で臨床試験を記述することができ、予測システム側は、このような記述から臨床試験の現時点で入手できる詳細項目を特定して、後続の処理を行うことができる。
【0049】
図5は、自然言語処理を行う例示的な電子仕様書インタプリタ34の概略図である。各実施形態において、仕様インタプリタ34は、
図4の方法80、特にステップ88を実行することができる。仕様書インタプリタ34は、マスターインタプリタ92と、1つ以上の専門インタプリタ94と、1つ以上の情報抽出器96と、1つ以上の専門自然言語処理(NLP)ツール98と、1つ以上のコアNLPライブラリ100とを含むことができる。また、各実施形態において、仕様書インタプリタ34は、さらに追加のコンポーネントを含むこともできる。
【0050】
コアNLPライブラリ100などのコアNLPライブラリは、(例えば英語などの)自然言語の情報として、例えば、語彙と構文、コーパス、タガー、トークナイザ、ステマ、レマタイザ、学習アルゴリズムなどを含むことができる。そして、仕様書インタプリタ34は、仕様書作成者が入力した仕様書を、このコアNLPライブラリ100を使って調べることができる。例えば、仕様インタプリタ34は、コアNLPライブラリ100に基づいて、単語や語幹の認識、スペルミスへのフラグ付け、文法や意味の解析、論理演算やデータ定義の検出、代替用語の提案、またはその任意の組み合わせを行うことができる。また場合によっては、コアNLPライブラリ100の提供が、(例えばJavaやPythonなどの)特定のプログラミング言語用の開発ツールキット(例えば、自然言語ツールキット(NLTK:Natural Language Tool Kit)など)の一部などの形でサードパーティから行われる場合もある。
【0051】
専門NLPツール98などの専門NLPツールは、コアNLPライブラリ100に各システムに特化した拡張機能を提供することができるものである。例えば、専門NLPツール98は、(例えば、臨床試験などの)特定の分野において広く用いられ得る例えば、単語や、フレーズ、専門用語、構文、システム特有の単語やフレーズ、キーワード、演算子などに関する追加の情報を含むことができる。また、専門NLPツール98は、自然言語処理機能の中でも特に、トークン化、ステミング、文法、コロケーション、言語コーパス、文の構造および意味解析などの高度な言語分析機能を備えることができる。また、専門NLPツール98が人工ニューラルネットワークを備えることもできる。
【0052】
また、専門NLPツール98を使って、仕様書インタプリタ34は仕様書作成者が入力した仕様書を調べることもできる。例えば、専門NLPツール98によって、仕様書インタプリタ34は、システム特有の単語の認識、スペルミスへのフラグ付け、代替用語の提案、またはその任意の組み合わせを行うことができる。専門NLPツール98は、サードパーティが提供してもよく、内部で開発してもよい。また、情報抽出器96などの情報抽出器は、仕様書から特定の情報を抽出することができる。抽出する情報の種類の1つとして、(例えば、表構造の情報などの)行列を挙げることができる。自然言語よりも行列形式でデータを整理する方が便利な場合、行列を使用して仕様書を作成することがある。例えば、行列を使用して、患者の通院スケジュールとそれに関連付けられた投薬計画などの通院時のイベントを定義することができるほか、患者キットのタイプや、サプライチェーン間の関係性やリードタイムなど、行列での定義に適した任意のデータを、行列を使用して定義することができる。
【0053】
抽出する情報の他の種類として、定義などの特定のスタイルの文を挙げることもできる。定義は、例えば、「[定義の対象(定義の主語)][動詞の提示][項目または項目のリスト]」という構造を持つ可能性があるが、自由なスタイルで英語を書くことを許容しながら必要な情報の抽出を行うことができるよう、構造を上記とは異なるものとしたり、より柔軟性のあるものとしたりすることもできる。また、必要に応じて他の文のスタイルを定義することもできる。
【0054】
マスターインタプリタ92は、臨床試験の仕様書を受信することができる。また、マスターインタプリタ92は、仕様書に対して上位レベルの解析を行うことができ、複数のテーマを貫く一連の論理に従って解釈をまとめることができる。なお、1つのテーマが1つ以上の予め定義された臨床試験トピックを含む場合があり、これらのトピックが仕様書の1つ以上の節にまたがって展開されることがある。特定の1つの解釈テーマが1つの専門インタプリタ94に対応しており、各専門インタプリタ94は、当該特定テーマに関連する情報の解析を、仕様書全体に対して横断的に(1つ以上の節に対して)行うように構成されている。そして、マスターインタプリタ92は、異なる複数の専門インタプリタを呼び出して、仕様書全体の異なる複数の臨床試験テーマを処理することができる。
【0055】
専門インタプリタ94として、必要に応じて、臨床試験レベルインタプリタ、無作為化インタプリタ、アクションインタプリタ、薬剤供給インタプリタ、製造インタプリタ、被験者登録インタプリタ、などのインタプリタを備えることができる。臨床試験レベルインタプリタは、仕様書内の上位レベルの情報の解釈を行うことができる。上位レベルの情報には、例えば、スクリーニングや無作為化が望ましい患者の総数、無作為化のスキームと方法、その他の必要なパラメータなどの一定の臨床試験レベルの情報が含まれる。無作為化インタプリタは、仕様書中の無作為化情報の解釈を行うことができる。アクションインタプリタは、仕様書中のイベントアクション情報の解釈を行うことができる。イベントアクションとは、例えば、1回の患者の通院と関連してどのような薬剤の投与が起こり得るかなどの情報を含むものである。薬剤供給インタプリタは、仕様書中の薬剤供給情報の解釈を行うことができる。例えば、薬剤供給情報には、供給ネットワーク、出荷ルール、調剤キット情報などが含まれ得る。製造インタプリタは、臨床試験対象の物質から患者に投与可能なキットを作るための各種製造ステップや製造時の中間リードタイムの解釈を行うことができる。被験者登録インタプリタは、(臨床試験レベルや地域レベルなどの)様々なレベルでの臨床試験への患者の参加率の解釈を行うことができる。以上、専門インタプリタをリストアップしたが、このリストはすべてを網羅するものではない。必要に応じて、追加の専門インタプリタを追加することができる。
【0056】
場合によっては、マスターインタプリタ92を仕様書インタプリタ34への窓口とすることもできる。例えば、マスターインタプリタ92は、仕様書を受信し、その解釈を節やテーマごとに分割することができる。続いて、マスターインタプリタ92は、それぞれの節やテーマの解析に適した専門インタプリタ94を呼び出すことができる。そして、各専門インタプリタ94は、必要に応じて1つ以上の情報抽出器96を呼び出して、仕様書の各節やテーマから行列や定義などの情報を抽出することができる。そして、各情報抽出器96は、必要に応じて1つ以上の専門NLPツール98を呼び出すことができる。続いて、各専門NLPツール98が1つ以上のコアNLPライブラリ100を呼び出して、仕様書の節やテーマごとの処理を支援することができる。
【0057】
そして、コアNLPライブラリ100の出力結果は、コアNLPライブラリ100を呼び出した専門NLPツール98に返すことができる。専門NLPツール98の出力結果は、専門NLPライブラリ100を呼び出した情報抽出器96に返すことができる。情報抽出器96の出力結果は、情報抽出器96を呼び出した専門インタプリタ94に返すことができる。専門インタプリタ94の出力結果は、専門インタプリタ94を呼び出したマスターインタプリタ92に返すことができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、仕様書インタプリタ34の出力に、基本的なデータ構造とそれを利用する際のロジックとが含まれ得る。そして、基本的なデータ構造およびそれを利用する際のロジックは、論理コンテナなどの必要なまたは関連する構造を含むことができる。例えば、このデータ構造に、患者の通院計画と投薬に関する情報や、(例えば、投薬時に使用するBMIなどの)データ利用時に必要な情報、そして、サプライチェーン組織、供給資材の出荷、患者キット、またはその任意の組み合わせに関するデータなどの、臨床試験中に収集または対処することが望まれる任意のデータを保持することができる。また、必要に応じて、論理コンテナに、予測システムを仕様書に準拠させるための特別処理命令を保持することもできる。
【0059】
図6は、臨床試験供給予測を求める例示的な方法110を示すフローチャートである。方法110、または方法110の1つ以上の側面は、例えば
図1の供給予測システム12などの供給予測システムによって実行することができる。
【0060】
方法110は、複数の想定患者候補のそれぞれについて、需要の統計分布を計算することを含むステップ112を含むことができる。ある需要には、患者治療中の1つ以上の時点において必要な薬剤の量、一回当たりの投与量、プラセボの量、あるいはその任意の組み合わせが含まれ得る。また、需要の分布は、例えば、無作為化比率によって決定される離散分布とすることができる。ただし、他の実施形態では、他の種類の統計分布を使って患者需要を求めることもできる。また、この患者需要を計算するステップの結果を時系列とすることもできる。その場合、各ポイントで、累積的にまたは所定の期間において、需要が特定の量に達する確率が高まることになり得る。例えば、1カ月後の、キットKT-12mgの新規患者からの累積需要は、40%の確率で0、30%の確率で1、25%の確率で2、5%の確率で3、とすることができる。
【0061】
方法110は、複数の臨床試験施設における被験者登録パターンを計算することを含むステップ114をさらに含むことができる。各実施形態において、臨床試験施設ごとの被験者登録パターンはモンテカルロシミュレーションに基づいて計算することができる。この被験者登録のシミュレーションを行うステップの結果、複数の臨床試験施設それぞれで最も可能性が高い被験者登録患者数の組み合わせを得ることができる。
【0062】
また、方法110は、シミュレーションによって得られた被験者登録パターンと患者それぞれの需要プロファイルとに基づいて、臨床試験施設ごとに需給プロファイルを計算することを含むステップ116をさらに含むことができる。つまり、被験者登録率が患者レベルの分布に基づいて上述のように推定され得るポアソン分布として表される場合には、ステップ116は、各特定の臨床試験施設で被験者登録を行う可能性のあるすべての患者についての需要の複合統計分布を計算することを含むことができる。
【0063】
また、方法110は、臨床試験施設ごとに供給バッファを計算することを含むステップ118をさらに含むことができる。各実施形態において、供給バッファは、ユーザ入力に従って計算することができる。例えば、上述のように、ユーザは、1つ以上のダイヤルを操作して信頼度数を設定することができる。ユーザが信頼度数を低く設定するほど、供給バッファを高く設定し、逆に、ユーザが信頼度数を高く設定するほど、供給バッファを低く設定することができる。
【0064】
方法110は、施設需要プロファイルと施設供給バッファとに基づいて施設群レベルの需要を計算することを含むステップ120をさらに含むことができる。この施設群レベルの需要には、例えば、各臨床試験施設における(例えば、1種類以上の薬剤投与量およびプラセボなどの)供給資材タイプごとの需要が含まれ得る。一実施形態では、臨床試験施設ごとに設定されたバッファを加えて各施設の需要を計算することにより、施設群レベルの需要を求めることもできる。
【0065】
また、方法110は、施設群需要に基づいて地域需要を計算することを含むステップ122と、地域需要に基づいて供給拠点需要を計算することを含むステップ124と、供給拠点需要に基づいて総供給需要を計算するステップ126とをさらに含むことができる。各実施形態において、ステップ122,124,126は、単純な算術計算だけでなく統計計算も含み得る。そのような統計計算としては、例えば、期待値の観点または統計分布の観点から、ある地域内の各施設群の需要を加算してその地域の総需要を決定すること、ある特定の供給拠点のサービスエリアに含まれる各地域の需要を加算してその供給拠点の総需要を決定すること、などが含まれる。
【0066】
また、方法110は、臨床試験過程にわたって適切な製造、包装の時期と量とを決定することと、供給計画の再予測計算の実行トリガを決定することとを含むステップ128をさらに含むことができる。実行トリガは、最小頻度、薬剤の使用期限に基づく計算、または、薬剤の入手可能性などのユーザが与える外部制約のいずれかまたはそれらの組み合わせとすることができるほか、制約プログラミング(Constraint Programming)、ニューラルネットワーク(Neural Network)、混合整数計画法(Mixed Integer Programming)などのオペレーションズリサーチ技術に基づいて決定することもできる。
【0067】
図7は、臨床試験の供給予測を基準にその臨床試験を監視する例示的な方法130を示すフローチャートである。この方法、またはこの方法の1つ以上の側面は、例えば
図1の供給予測システム12などの供給予測システムによって実行することができる。
【0068】
方法130は、RTSMシステムに(例えば、電子的に)接続することを含むステップ132と、RTSMシステムが公開するAPIを介してRTSMシステムに1つ以上のコマンドを発信することを含むステップ134とを含むことができる。コマンドは、特定の種類のデータを要求するものであってよい。これにより、RTSMシステムと予測システムとの間で全てのファイルの送受信を行う必要がなくなるため、RTSMシステムと予測システム双方の効率を高めることができる。例えば、コマンドは、1つ以上の臨床試験施設、1つ以上の施設群、または1つ以上の地域などで被験者登録された患者数を要求するものであってもよい。また、これに加えてまたは代えて、コマンドは、1つ以上の臨床試験施設、1つ以上の供給拠点などにおいて供給可能な在庫情報を要求するものであってもよい。これに加えてまたは代えて、コマンドは、患者の薬剤投与量や患者情報などの臨床試験の状況に関する情報の記録を要求するものであってもよい。
【0069】
方法130は、ステップ134で発信したコマンドに応じて、臨床試験中の1つ以上の薬剤の供給状況を受信することを含むステップ136をさらに含むことができる。上述の通り、RTSMシステムAPIを使用しているため、RTSMシステムから予測システムに供給状況情報を提供する際には、全てのファイルの送受信を行う必要はなく、要求されたデータを直接送受信することができる上、その際に、そのデータを1つ以上のファイルとしてまとめたり、そのようなファイルを手動で選択して開いたりする必要もない。
【0070】
方法130は、臨床試験ごとに、臨床試験の供給状況と過去に計算した臨床試験の供給計画とを比較することを含むステップ138をさらに含むことができる。上述の通り、予測システムは、1つ以上の供給拠点または1つ以上の臨床試験施設における現在の在庫レベル、1つ以上の臨床試験施設における被験者登録者数などの、臨床試験の任意またはすべての側面を、予測システムが過去に計算し、臨床試験依頼者が臨床試験の物流面、財政面での責務を果たすために使用したと考えられる予測供給計画と比較することができる。
【0071】
方法130は、臨床試験の供給状況が供給計画とは異なっていると判断することを含むステップ140をさらに含むことができる。例えば、臨床試験の状況と供給計画との差から、臨床試験施設または供給拠点での在庫切れや、1つ以上の臨床試験施設で被験者登録者数不足のために所望の時間内に臨床試験を完了できない状況、などが起こると考えられる場合に、臨床試験の状況が供給計画とは異なっていると判断することができる。例えば、ステップ140は、供給計画との差が、(例えば5%のような)数%などの閾値比率よりも大きい場合に、臨床試験の供給状況が供給計画予測とは異なっていると判断することを含むことができる。なお、当然ながら、任意の適切な閾値比率を用いることができる。
【0072】
方法130は、臨床試験の供給状況が供給計画とは異なっていると判断した場合に、電子警告を生成してユーザに送信することを含むステップ142をさらに含むことができる。各実施形態において、電子警告は、電子メールやテキストメッセージなどのメッセージを介して送信することができる。例えば、予測システムが電子的にアクセス可能なインタフェースを提供する実施形態の場合、そのインタフェース内のユーザに関連付けられたユーザアカウントに警告を送信して、ユーザがインタフェースにアクセスしたときに確認できるようにすることができる。警告には、例えば、臨床試験の状況が予測計画から逸脱していることを知らせる通知を含めることもできる。また、これに加えてまたは代えて、警告に、1つ以上の臨床試験施設への1つ以上の出荷量の是正、1つ以上の供給資材の製造量の是正、1つ以上の臨床試験施設における被験者登録上限の是正などの是正処置を含めることもできる。一実施形態では、予測システムは、注文や、出荷指示、臨床試験施設への指示などの文書を自動生成して、警告に当該自動生成文書を組み込んで予測システムのユーザに送信し、必要に応じてユーザが是正措置を実行できるようにすることができる。
【0073】
図8は、汎用コンピューティングシステム環境150を備える例示的なコンピューティングシステムの概略図である。汎用コンピューティングシステム環境150の例としては、デスクトップ型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、スマートフォン、タブレットなど、非一時的コンピュータ可読媒体内に格納されるなどした命令を実行可能な任意のデバイスを挙げることができる。なお、以下の本明細書の記載および図面では、1つのコンピューティングシステム150を備える例を使って説明しているが、当業者であれば、以下に説明する様々なタスクを、ローカルネットワークまたは広域ネットワークを介して複数のコンピューティングシステム150が接続される分散環境でも実施できることを理解するであろう。なお、そのような分散環境の場合、上述の実行可能な命令は、複数のコンピューティングシステム150のうちの1つ以上のコンピューティングシステム150に関連付けられるか、当該1つ以上のコンピューティングシステム150によって実行されるか、あるいはその両方が行われ得る。そして、このようなコンピュータ環境またはその各部が、
図1の供給予測システム12、RTSMシステム14、および1つ以上のユーザコンピューティングデバイス16のうちの1つ以上を備えることができる。
【0074】
引き続き
図8を参照すると、通常、コンピューティングシステム環境150は、最も基本的な構成として、少なくとも1つの処理ユニット152と、処理ユニット152とバス156を介して接続され得る少なくとも1つのメモリ154とを備えることができる。コンピューティングシステム環境の正確な構成や種類によるが、コンピュータ可読メモリ154は、(RAM160などの)揮発性メモリ、(ROM158、フラッシュメモリなどの)不揮発性メモリ、または揮発性メモリと不揮発性メモリの組み合わせとすることができる。また、コンピューティングシステム環境150は、追加の特徴や機能をさらに有することもできる。例えば、コンピューティングシステム環境150は、追加の記憶装置(着脱式記憶装置、非着脱式記憶装置、またはその両方)をさらに備えることができる。そのような追加の記憶装置としては、磁気ディスク、光ディスク、テープドライブ、フラッシュドライブ、またはその任意の組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。そのような追加のメモリデバイスは、例えば、ハードディスクドライブインタフェース162、磁気ディスクドライブインタフェース164、光ディスクドライブインタフェース166などを介して、コンピューティングシステム環境150にアクセス可能とすることができる。当然ながら、上述の各デバイスをシステムバス156に接続することにより、ハードディスク168からの読み出しおよび書き込みや、着脱式磁気ディスク170からの読み出しおよび書き込み、CD-ROMやDVD-ROMなどの光学媒体のような着脱式光ディスク172からの読み出しおよび書き込みがそれぞれ可能となる。ドライブインタフェースとそのそれぞれに関連付けられたコンピュータ可読媒体とによって、コンピュータ可読命令や、データ構造、プログラムモジュールなどのコンピューティングシステム環境150用のデータの不揮発性記憶を行うことができる。さらに、当業者であれば、データを格納可能な他の種類のコンピュータ可読媒体も、上述と同様の目的のために使用できることを理解するであろう。そのような媒体デバイスの例としては、磁気カセット、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク、ベルヌーイカートリッジ、ランダムアクセスメモリ、ナノドライブ、メモリスティック、他の読み書きメモリや読み取り専用メモリ、などのコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールのようなデータなどの情報を記憶する任意の方法または技術が挙げられるが、これらに限定されるものではない。そのような任意のコンピュータ記憶媒体もコンピューティングシステム環境150の一部をなすことができる。
【0075】
そして、多数のプログラムモジュールを、1つ以上のメモリや媒体デバイスに格納することができる。例えば、ROM158に、起動時などにおけるコンピューティングシステム環境150内の各要素間での情報送信に役立つ基本ルーチンを組み込んだ基本入出力システム(BIOS)174を格納することができる。同様に、RAM160や、ハードディスクドライブ168、周辺メモリデバイスを使ってコンピュータ実行可能命令を格納することもできる。そのようなコンピュータ実行可能命令には、オペレーティングシステム176や、(例えば、Webブラウザなどの本発明の方法およびプロセスを実行するアプリケーションなどの)1つ以上のアプリケーションプログラム178、他のプログラムモジュール180、プログラムデータ182が含まれる。さらに、必要に応じて、例えばネットワーク接続を介して、コンピュータ実行可能命令をコンピューティングシステム環境150にダウンロードすることもできる。
【0076】
エンドユーザは、キーボード184やポインティングデバイス186などの入力デバイスを介して、コンピューティングシステム環境150にコマンドや情報を入力することができる。図示していないが、他の入力デバイスとして、マイク、ジョイスティック、ゲームパッド、スキャナなどを挙げることができる。通常、これらの入力デバイスなどの入力デバイスは、バス156に接続された周辺インタフェース188を介して処理ユニット152に接続される。また、入力デバイスを、例えば、パラレルポート、ゲームポート、ファイアワイヤ、ユニバーサルシリアルバス(USB)などのインタフェースを介して、直接的または間接的に処理ユニット152に接続することもできる。コンピューティングシステム環境150から出力された情報を表示するために、モニタ190などのディスプレイデバイスを、例えばビデオアダプタ192のようなインタフェースを介してバス156に接続することもできる。また、コンピューティングシステム環境150は、モニタ190に加えてスピーカやプリンタなどの図示しない他の周辺出力デバイスを備えることもできる。
【0077】
また、コンピューティングシステム環境150は、1つ以上のコンピューティングシステム環境への論理接続を利用することもできる。コンピューティングシステム環境150とそれとは遠隔のコンピューティングシステム環境との間の通信は、ネットワーク経路の選定を担うネットワークルータ202などのさらなる処理デバイスを介して双方向で行うことができる。そして、ネットワークルータ202との間の通信は、ネットワークインタフェースコンポーネント204を介して行うことができる。このように、例えば、インターネット、ワールドワイドウェブ、LANなどの有線または無線のネットワークで接続された環境内で、コンピューティングシステム環境150に関して描かれたプログラムモジュールまたはその一部を、コンピューティングシステム環境150の1つ以上のメモリ記憶デバイスに格納することができることが理解されるであろう。
【0078】
また、コンピューティングシステム環境150は、コンピューティングシステム環境150の位置を特定するためのローカリゼーションハードウェア206を備えることもできる。各実施形態において、ローカリゼーションハードウェア206は、例えば、GPSアンテナ、RFIDチップ、RFIDリーダ、WiFiアンテナを備えることができるほか、コンピューティングシステム環境150の位置の特定のために使用され得る信号を捕捉、送信するために使用され得る他のコンピューティングハードウェアを備えることができるが、これらは例示にすぎない。
【0079】
以上、本発明の特定の実施形態を説明してきたが、特許請求の範囲に明記している場合を除き、本発明の特許請求の範囲をこれらの実施形態に限定することを意図するものではないことが理解されよう。むしろ、本発明はその代替的な形態や変形例、均等物をその範囲に含むことを意図するものであり、これらもまた本発明の趣旨および範囲に含まれ得る。さらに、上述の発明の詳細な説明においては、記載した各実施形態を完全に理解してもらうために多くの具体的細部を示しているが、これらの具体的細部を含めることなく本発明の開示内容と合致するシステムおよび方法を実現できることは、当業者には明らかであろう。他方で、本発明の種々の態様を不必要に不明瞭とすることを避けるため、周知の方法、手順、コンポーネント、回路については詳細な説明を省いている。
【0080】
上述の発明の詳細な説明の一部に、手順、論理ブロック、処理(プロセス)などの、コンピュータまたはデジタルシステムメモリ内のデータビットに対する操作を象徴する表現に関する記載が含まれている。このような説明や表現は、データ処理分野の当業者が当該分野の他の当業者に対して自らの業務内容を伝えるときに使用する最も効果的な手段である。一般にそうであるように、本明細書において、手順、論理ブロック、処理(プロセス)などは、所望の結果につながる自己矛盾のない一連のステップまたは命令であると考えられる。そして、ステップは、物理量の物理的操作を必要とするものである。必ずしもそうとは限らないが、通常、この物理的操作は、コンピュータシステムなどの電子コンピューティングデバイスで格納、送信、結合、比較などの操作を行うことが可能な電子データまたは磁気データの形態をとる。便宜上の理由と一般的な用法に鑑み、本発明の種々の実施形態に関して、そのようなデータを、ビット、値、要素、記号、文字、用語、数などと呼んでいる。
【0081】
しかしながら、これらの用語は、物理的操作と物理的量に言及するものと解釈されるべきものであり、当技術分野において一般に使用される用語の観点から、より一層の解釈を行うべき便宜上のラベルに過ぎないものであることを留意されたい。本明細書の説明から明らかなように、特に明記しない限り、本実施形態の記載全体を通して、「決定/特定」、「出力」、「送信」、「記録」、「位置の特定」、「格納」、「表示」、「受信/受け取り」、「認識」、「利用」、「生成」、「提供」、「アクセス」、「チェック」、「通知」、「配信」などの用語を用いた説明は、データを操作、変換するコンピュータシステムなどの電子コンピューティングデバイスの動作およびプロセスを指すことが理解されるであろう。データは、コンピュータシステムのレジスタおよびメモリ内の物理的(電子的)量として表され、同じくコンピュータシステムのメモリまたはレジスタ内の物理的量として表される他のデータに変換されるか、あるいは本明細書に記載されているか、当業者であれば想到可能な他のそのような情報記憶デバイス、送信デバイス、または表示デバイスの物理的量として同様に表される他のデータに変換される。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータで実装される方法であって、
コンピュータが臨床試験の供給計画を予測するステップであって、
前記コンピュータが前記臨床試験の複数のパラメータを取得することであって、該パラメータは、複数の患者、複数の実施施設、および前記臨床試験に関連する複数のアクションに関連することと、
前記コンピュータが、前記複数の患者に含まれる各患者について、前記臨床試験に関連する前記複数のアクションに基づくそれぞれの需要の統計分布を特定することと、
前記コンピュータが、前記複数の実施施設に含まれる各実施施設について、それぞれの需給プロファイルを特定することであって、前記複数の施設の前記需給プロファイルは、前記複数の患者の需要の前記統計分布に基づいて特定されることと、
前記コンピュータが、前記需給プロファイルに基づいて前記臨床試験の前記供給計画を計算することと
を含むステップと、
前記コンピュータが、前記複数の患者のそれぞれの治療過程の変動に基づいて、前記臨床試験の前記供給計画を再予測するステップと、
サーバが、再予測された前記供給計画をユーザに送信するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記臨床試験の前記複数のパラメータが、前記臨床試験への患者の被験者登録率の期待値、患者のスクリーニングの失敗率、前記複数の患者の無作為化、前記複数の患者の治療に関する説明、および前記複数の患者への投与量の変更を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記臨床試験の前記複数のパラメータが、前記複数の患者のそれぞれの通院スケジュールおよび治療過程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の患者が特定の患者を含み、前記特定の患者に対する需要の前記統計分布が、前記特定の患者の治療中の1つ以上の時点において必要と判定される薬剤の量、一回当たりの投与量、プラセボの量、あるいはその任意の組み合わせを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記臨床試験に関する前記複数のアクションが、1人以上の予想される患者のスクリーニング、前記複数の患者へのそれぞれの治療過程の割り当て、1人以上の患者への薬剤の投与、試験からの1人以上の患者の抜け、1人以上の患者への薬剤の投与量の変更、あるいはその任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記供給計画を予測するステップが、第1の時点で入手可能な情報に基づいて第1の供給計画を予測することを含み、前記供給計画を再予測するステップが、第2の時点で入手可能な情報に基づいて第2の供給計画を予測することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の患者のそれぞれの治療過程の前記変動には、前記複数の患者への投薬の変動が含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の実施施設の前記需給プロファイルは、さらに、前記複数の実施施設におけるそれぞれの登録パターンに基づいて特定される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
供給予測システムであって、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行されたときに、請求項1-8のいずれか1項に記載の方法を前記システムに実現させる命令が記憶されたコンピュータ読み取り可能な媒体と
を含む供給予測システム。
【請求項10】
コンピュータで実装される方法であって、
コンピュータが臨床試験の供給計画を予測するステップであって、
前記コンピュータが前記臨床試験の複数のパラメータを取得することであって、該パラメータは、複数の患者、複数の実施施設、および前記臨床試験に関する複数のアクションに関連することと、
前記コンピュータが、前記複数の患者に含まれる各患者について、前記臨床試験に関連する前記複数のアクションに基づくそれぞれの需要の統計分布を特定することと、
前記コンピュータが、前記複数の実施施設に含まれる各実施施設について、それぞれの需給プロファイルを特定することであって、前記複数の施設の前記需給プロファイルは、前記複数の患者の前記需要の統計分布に基づいて特定されることと、
前記コンピュータが、前記需給プロファイルに基づいて前記臨床試験の前記供給計画を計算することと
を含むステップと、
前記コンピュータが、特定の節目に至ったときに、前記臨床試験の前記供給計画を再予測するステップと、
サーバが、再予測された前記供給計画をユーザに送信するステップと
を含む方法。
【請求項11】
前記臨床試験の前記複数のパラメータが、前記臨床試験への患者の被験者登録率の期待値、患者のスクリーニングの失敗率、前記複数の患者の無作為化、前記複数の患者の治療に関する説明、および前記複数の患者への投与量の変更を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記臨床試験の前記複数のパラメータが、前記複数の患者のそれぞれの通院スケジュールおよび治療過程を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の患者が特定の患者を含み、前記特定の患者に対する需要の前記統計分布が、前記特定の患者の治療中の1つ以上の時点において必要な薬剤の量、一回当たりの投与量、プラセボの量、あるいはその任意の組み合わせを示す、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記臨床試験に関する前記複数のアクションが、1人以上の予定された患者のスクリーニング、前記複数の患者へのそれぞれの治療過程の割り当て、1人以上の患者への薬剤の投与、試験からの1人以上の患者の抜け、1人以上の患者への薬剤の投与量の変更、あるいはその任意の組み合わせを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記供給計画を予測するステップが、第1の時点で入手可能な情報に基づいて第1の供給計画を予測することを含み、前記供給計画を再予測するステップが、第2の時点で入手可能な情報に基づいて第2の供給計画を予測することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記臨床試験の前記供給計画を再予測するステップが、前記複数の患者のそれぞれの治療過程の変動に基づく、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の患者のそれぞれの治療過程の前記変動には、前記複数の患者への投薬の変動が含まれる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記特定の節目は、特定の日付または特定の情報が入手可能となることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の実施施設の前記需給プロファイルは、さらに、前記複数の実施施設におけるそれぞれの登録パターンに基づいて特定される、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
供給予測システムであって、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行されたときに、請求項10-19のいずれか1項に記載の方法を前記システムに実現させる命令が記憶されたコンピュータ読み取り可能な媒体と
を含む供給予測システム。
【外国語明細書】