(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182678
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1368 20060101AFI20231219BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20231219BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G02F1/1368
H01L29/78 616T
H01L29/78 618C
H01L29/78 618Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023167691
(22)【出願日】2023-09-28
(62)【分割の表示】P 2023114456の分割
【原出願日】2008-06-27
(31)【優先権主張番号】P 2007179092
(32)【優先日】2007-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 幸恵
(72)【発明者】
【氏名】桑原 秀明
(72)【発明者】
【氏名】木村 肇
(57)【要約】
【課題】量産性の高い液晶表示装置を提供する。
【解決手段】対向基板と、遮光膜と、第1のカラーフィルタと、第2のカラーフィルタと
、第3のカラーフィルタと、対向電極と、スペーサとを有し、第1のカラーフィルタ乃至
第3のカラーフィルタは、互いに重なり、さらにスペーサとなる有機層が重なった液晶表
示装置である。上記の積層体によりスペーサを構成することができ、量産性が高い。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジスタのゲート電極としての機能を有する第1の導電層と、
前記第1の導電層上に位置する領域を有する第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上に位置する領域を有し、且つ前記トランジスタのチャネル形成領域を有する半導体層と、
前記半導体層上に位置する領域を有し、且つ前記トランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方としての機能を有する第2の導電層と、
前記半導体層上に位置する領域を有し、且つ前記トランジスタのソース電極及びドレイン電極の他方としての機能を有する第3の導電層と、
前記第2の導電層の上面と接する領域と、前記第3の導電層の上面と接する領域と、を有する第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層上に位置する領域を有し、且つ配線としての機能を有する第4の導電層と、を有し、
前記第2の導電層は、前記第2の絶縁層の開口部を介して前記第4の導電層と電気的に接続され、
前記第4の導電層は、積層構造を有し、
前記第2の導電層の膜厚は、前記第4の導電層の膜厚よりも小さく、
前記第3の導電層は、平面視において、前記第2の導電層に挟まれた領域を有し、
前記第3の導電層は、第1の方向に延在する領域を有し、
前記第4の導電層は、前記第1の方向と交差する第2の方向に延在する領域を有し、
平面視において、前記第4の導電層は、前記第1の導電層と重なる領域において、前記第2の導電層の周縁との重なりを有する、半導体装置。
【請求項2】
トランジスタのゲート電極としての機能を有する第1の導電層と、
前記第1の導電層上に位置する領域を有する第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上に位置する領域を有し、且つ前記トランジスタのチャネル形成領域を有する半導体層と、
前記半導体層上に位置する領域を有し、且つ前記トランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方としての機能を有する第2の導電層と、
前記半導体層上に位置する領域を有し、且つ前記トランジスタのソース電極及びドレイン電極の他方としての機能を有する第3の導電層と、
前記第2の導電層の上面と接する領域と、前記第3の導電層の上面と接する領域と、を有する第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層上に位置する領域を有し、且つ配線としての機能を有する第4の導電層と、を有し、
前記第2の導電層は、前記第2の絶縁層の開口部を介して前記第4の導電層と電気的に接続され、
前記第4の導電層は、積層構造を有し、
前記第2の導電層の膜厚は、前記第4の導電層の膜厚よりも小さく、
前記第3の導電層は、平面視において、前記第2の導電層に挟まれた領域を有し、
前記第3の導電層は、第1の方向に延在する領域を有し、
前記第4の導電層は、前記第1の方向と交差する第2の方向に延在する領域を有し、
平面視において、前記第2の導電層は、前記第1の方向に延在する第1の領域と、前記第2の方向に延在する第2の領域と、前記第1の方向に延在する第3の領域と、を有し、
前記第1の領域と前記第3の領域とは、前記第2の領域を介して繋がっており、
平面視において、前記第4の導電層は、前記第1の導電層と重なる領域において、前記第2の領域における前記第2の導電層の周縁との重なりを有する、半導体装置。
【請求項3】
トランジスタのゲート電極としての機能を有する第1の導電層と、
前記第1の導電層上に位置する領域を有する第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上に位置する領域を有し、且つ前記トランジスタのチャネル形成領域を有する半導体層と、
前記半導体層上に位置する領域を有し、且つ前記トランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方としての機能を有する第2の導電層と、
前記半導体層上に位置する領域を有し、且つ前記トランジスタのソース電極及びドレイン電極の他方としての機能を有する第3の導電層と、
前記第2の導電層の上面と接する領域と、前記第3の導電層の上面と接する領域と、を有する第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層上に位置する領域を有し、且つ配線としての機能を有する第4の導電層と、を有し、
前記第2の導電層は、前記第2の絶縁層の開口部を介して前記第4の導電層と電気的に接続され、
前記第4の導電層は、積層構造を有し、
前記第2の導電層の膜厚は、前記第4の導電層の膜厚よりも小さく、
前記第3の導電層は、平面視において、前記第2の導電層に挟まれた領域を有し、
前記第3の導電層は、第1の方向に延在する領域を有し、
前記第4の導電層は、前記第1の方向と交差する第2の方向に延在する領域を有し、
平面視において、前記第4の導電層は、前記第1の導電層と重なる領域において、前記第2の導電層の周縁との重なりを有し、
前記第3の導電層を通る前記第1の方向における前記トランジスタの断面視において、前記第2の導電層は、全面が前記第1の導電層との重なりを有し、且つ前記第3の導電層は、前記第1の導電層と重ならない領域を有する、半導体装置。
【請求項4】
トランジスタのゲート電極としての機能を有する第1の導電層と、
前記第1の導電層上に位置する領域を有する第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上に位置する領域を有し、且つ前記トランジスタのチャネル形成領域を有する半導体層と、
前記半導体層上に位置する領域を有し、且つ前記トランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方としての機能を有する第2の導電層と、
前記半導体層上に位置する領域を有し、且つ前記トランジスタのソース電極及びドレイン電極の他方としての機能を有する第3の導電層と、
前記第2の導電層の上面と接する領域と、前記第3の導電層の上面と接する領域と、を有する第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層上に位置する領域を有し、且つ配線としての機能を有する第4の導電層と、を有し、
前記第2の導電層は、前記第2の絶縁層の開口部を介して前記第4の導電層と電気的に接続され、
前記第4の導電層は、積層構造を有し、
前記第2の導電層の膜厚は、前記第4の導電層の膜厚よりも小さく、
前記第3の導電層は、平面視において、前記第2の導電層に挟まれた領域を有し、
前記第3の導電層は、第1の方向に延在する領域を有し、
前記第4の導電層は、前記第1の方向と交差する第2の方向に延在する領域を有し、
平面視において、前記第2の導電層は、前記第1の方向に延在する第1の領域と、前記第2の方向に延在する第2の領域と、前記第1の方向に延在する第3の領域と、を有し、
前記第1の領域と前記第3の領域とは、前記第2の領域を介して繋がっており、
平面視において、前記第4の導電層は、前記第1の導電層と重なる領域において、前記第2の領域における前記第2の導電層の周縁との重なりを有し、
前記第3の導電層を通る前記第1の方向における前記トランジスタの断面視において、前記第2の導電層は、全面が前記第1の導電層との重なりを有し、且つ前記第3の導電層は、前記第1の導電層と重ならない領域を有する、半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一において、
前記第4の導電層は、前記第1の導電層と交差する領域を有する、半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一において、
前記第2の導電層は、単層構造であり、
前記第3の導電層は、単層構造である、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも画素部に薄膜トランジスタを用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜(厚さ数十~数百nm程度)をチ
ャネル形成領域に用いて薄膜トランジスタを構成する技術が注目されている。薄膜トラン
ジスタはICや電気光学装置のような電子デバイスに広く応用され、特に画像表示装置の
スイッチング素子として開発が急がれている。
【0003】
画像表示装置のスイッチング素子として、非晶質半導体膜をチャネル形成領域に用いた薄
膜トランジスタ、または多結晶半導体膜をチャネル形成領域に用いた薄膜トランジスタ等
が用いられている。多結晶半導体膜の形成方法としては、パルス発振のエキシマレーザビ
ームを光学系により線状に加工して、非晶質珪素膜に対し線状ビームを走査させながら照
射して結晶化する技術が知られている。
【0004】
また、画像表示装置のスイッチング素子として、微結晶半導体膜をチャネル形成領域に用
いた薄膜トランジスタが用いられている(特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4-242724号公報
【特許文献2】特開2005-49832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多結晶半導体膜をチャネル形成領域に用いた薄膜トランジスタは、非晶質半導体膜をチャ
ネル形成領域に用いた薄膜トランジスタに比べて電界効果移動度が2桁以上高く、半導体
表示装置の画素部とその周辺の駆動回路を同一基板上に一体形成できるという利点を有し
ている。しかしながら、非晶質半導体膜をチャネル形成領域に用いた場合に比べて、半導
体膜の結晶化のために工程が複雑化するため、その分歩留まりが低減し、コストが高まる
という問題がある。
【0007】
また、微結晶半導体膜の結晶粒の表面は、酸化されやすいという問題がある。このため、
チャネル形成領域の結晶粒が酸化されると、結晶粒の表面に酸化膜が形成されてしまい、
当該酸化膜がキャリアの移動の障害となり、薄膜トランジスタの電気特性が低下するとい
う問題がある。
【0008】
上述した問題に鑑み、本発明は、電気特性が良好であり、信頼性の高い薄膜トランジス
タを有する液晶表示装置及びその液晶表示装置を量産高く作製する方法を提案することを
課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
逆スタガ型の薄膜トランジスタを有する液晶表示装置において、逆スタガの薄膜トランジ
スタは、ゲート電極上にゲート絶縁膜が形成され、ゲート絶縁膜上にチャネル形成領域と
して機能する微結晶半導体膜(セミアモルファス半導体膜ともいう。)が形成され、微結
晶半導体膜上にバッファ層が形成され、バッファ層上に一対のソース領域及びドレイン領
域が形成され、ソース領域及びドレイン領域の一部を露出するようにソース領域及びドレ
イン領域に接する一対のソース電極及びドレイン電極が形成される。このため、ソース領
域及びドレイン領域は、ソース電極及びドレイン電極に接する領域と、ソース電極及びド
レイン電極に接しない領域とを有する。また、ソース電極及びドレイン電極の外側におい
て、ソース領域及びドレイン領域の一部、並びにバッファ層の一部が露出しており、ソー
ス電極及びドレイン電極は、微結晶半導体膜及びソース領域及びドレイン領域の端部に重
ならない。また、ソース電極及びドレイン電極の端部の外側にソース領域及びドレイン領
域の端部、並びにバッファ層の端部が形成される。
【0010】
ソース電極及びドレイン電極の端部と、ソース領域及びドレイン領域の端部が一致せず、
ソース電極及びドレイン電極の端部の外側にソース領域及びドレイン領域の端部が形成さ
れることにより、ソース電極及びドレイン電極の端部の距離が離れるため、ソース電極及
びドレイン電極間のリーク電流やショートを防止することができる。また、ソース電極及
びドレイン電極並びにソース領域及びドレイン領域の端部に電界が集中せず、ゲート電極
と、ソース電極及びドレイン電極との間でのリーク電流を防止することができる。
【0011】
また、バッファ層は一部に凹部を有し、当該凹部の側面とソース領域及びドレイン領域の
端部とが一致している。バッファ層は一部に凹部を有し、ソース領域及びドレイン領域の
間の距離が離れているため、ソース領域及びドレイン領域の間のキャリアが移動する距離
が長いため、ソース領域及びドレイン領域の間でのリーク電流を低減することができる。
【0012】
また、微結晶半導体膜とソース領域及びドレイン領域との間に、バッファ層が形成されて
いる。微結晶半導体膜はチャネル形成領域として機能する。また、バッファ層は、微結晶
半導体膜の酸化を防止すると共に、高抵抗領域として機能する。微結晶半導体膜とソース
領域及びドレイン領域との間に、高抵抗率の非晶質半導体膜を用いてバッファ層が形成さ
れている。これらのため、本発明の薄膜トランジスタは、電界効果移動度が高く、且つオ
フの場合(即ち、ゲート電圧を負の電圧とした場合)リーク電流が少なく、ドレイン耐圧
が高い。
【0013】
バッファ層としては、非晶質半導体膜があり、更には、窒素、水素、またはハロゲンのい
ずれか一つ以上を含む非晶質半導体膜であることが好ましい。非晶質半導体膜に、窒素、
水素、またはハロゲンのいずれか一つを含むことで、微結晶半導体膜に含まれる結晶粒が
酸化されることを低減することが可能である。
【0014】
バッファ層は、プラズマCVD法、スパッタリング法等で形成することができる。また、
非晶質半導体膜を形成した後、非晶質半導体膜を窒素プラズマ、水素プラズマ、またはハ
ロゲンプラズマで処理して非晶質半導体膜を窒素化、水素化またはハロゲン化することが
できる。
【0015】
バッファ層を微結晶半導体膜の表面に設けることで、微結晶半導体膜に含まれる結晶粒の
酸化を低減することが可能であるため、薄膜トランジスタの電気特性の劣化を低減するこ
とができる。
【0016】
微結晶半導体膜は、多結晶半導体膜と異なり、微結晶半導体膜として直接基板上に成膜す
ることができる。具体的には、水素化珪素を原料ガスとし、プラズマCVD装置を用いて
成膜することができる。上記方法を用いて作製された微結晶半導体膜は、0.5nm~2
0nmの結晶粒を非晶質半導体中に含む微結晶半導体膜も含んでいる。よって、多結晶半
導体膜を用いる場合と異なり、半導体膜の成膜後に結晶化の工程を設ける必要がない。薄
膜トランジスタの作製における工程数を削減することができ、液晶表示装置の歩留まりを
高め、コストを抑えることができる。また、周波数が1GHz以上のマイクロ波を用いた
プラズマは電子密度が高く、原料ガスである水素化珪素の解離が容易となる。このため、
周波数が1GHz以上のマイクロ波を用いたプラズマCVD法を用いることで、周波数が
数十MHz~数百MHzのマイクロ波プラズマCVD法と比較して、微結晶半導体膜を容
易に作製することが可能であり、成膜速度を高めることが可能である。このため、液晶表
示装置の量産性を高めることが可能である。
【0017】
また、微結晶半導体膜を用い、薄膜トランジスタ(TFT)を作製し、該薄膜トランジ
スタを画素部、さらには駆動回路に用いて液晶表示装置を作製する。微結晶半導体膜を用
いた薄膜トランジスタは、その電界効果移動度が1~20cm2/V・secと、非晶質
半導体膜をチャネル形成領域に用いた薄膜トランジスタの2~20倍の電界効果移動を有
しているので、駆動回路の一部または全体を、画素部と同じ基板上に一体形成し、システ
ムオンパネルを形成することができる。
【0018】
また、液晶表示装置は液晶素子を含む。また、液晶表示装置は、液晶素子が封止された
状態にあるパネルと、該パネルにコントローラを含むIC等を実装した状態にあるモジュ
ールとを含む。さらに本発明は、該液晶表示装置を作製する過程における、液晶素子が完
成する前の一形態に相当する素子基板に関し、該素子基板は、電圧を液晶素子に供給する
ための手段を複数の各画素に備える。素子基板は、具体的には、液晶素子の画素電極のみ
が形成された状態であっても良いし、画素電極となる導電膜を成膜した後であって、エッ
チングして画素電極を形成する前の状態であっても良いし、あらゆる形態があてはまる。
【0019】
なお、本明細書中における液晶表示装置とは、画像表示デバイス、液晶表示デバイス、も
しくは光源(照明装置含む)を指す。また、コネクター、例えばFPC(Flexibl
e printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated
Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package
)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられ
たモジュール、または液晶素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC
(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て液晶表示装置に含むものとする。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、電気特性が良好であり、信頼性の高い薄膜トランジスタを有する液晶表
示装置を量産高く作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の液晶表示装置の作製方法を説明する断面図である。
【
図2】本発明の液晶表示装置の作製方法を説明する断面図である。
【
図3】本発明の液晶表示装置の作製方法を説明する断面図である。
【
図4】本発明の液晶表示装置の作製方法を説明する断面図である。
【
図5】本発明の液晶表示装置の作製方法を説明する上面図である。
【
図6】本発明の液晶表示装置の作製方法を説明する断面図である。
【
図7】本発明の液晶表示装置の作製方法を説明する断面図である。
【
図8】本発明の液晶表示装置の作製方法を説明する断面図である。
【
図9】本発明の液晶表示装置の作製方法を説明する上面図である。
【
図10】本発明のマイクロ波プラズマCVD装置を説明する上面図である。
【
図11】本発明に適用可能な多階調マスクを説明する断面図である。
【
図12】本発明の液晶表示パネルを説明する斜視図である。
【
図13】本発明の液晶表示装置を用いた電子機器を説明する斜視図である。
【
図14】本発明の液晶表示装置を用いた電子機器を説明する図である。
【
図15】本発明の液晶表示装置を説明する図である。
【
図16】本発明の液晶表示装置を説明する図である。
【
図17】本発明の液晶表示装置を説明する図である。
【
図18】本発明の液晶表示装置を説明する図である。
【
図19】本発明の液晶表示装置を説明する図である。
【
図20】本発明の液晶表示装置を説明する図である。
【
図21】本発明の液晶表示装置を説明する図である。
【
図22】本発明の液晶表示装置を説明する図である。
【
図23】本発明の液晶表示装置を説明する図である。
【
図24】本発明の液晶表示装置を説明する図である。
【
図25】本発明の液晶表示装置を説明する図である。
【
図26】本発明の液晶表示装置を説明する図である。
【
図27】本発明の液晶表示装置を説明する図である。
【
図28】本発明の液晶表示装置を説明する図である。
【
図29】本発明の液晶表示パネルを説明する上面図及び断面図である。
【
図30】本発明の液晶表示装置の構成を説明するブロック図である。
【
図31】本発明の液晶表示装置の駆動回路の構成を説明する等価回路図である。
【
図32】本発明の液晶表示装置の駆動回路の構成を説明する等価回路図である。
【
図33】本発明の液晶表示装置の駆動回路のレイアウトを説明する上面図である。
【
図34】微結晶半導体膜をラマン分光法で測定した結果を示す図である。
【
図35】デバイスシミュレーションに用いたモデル図を示す図である。
【
図36】デバイスシミュレーションにより得られた電流電圧特性を示す図である。
【
図37】デバイスシミュレーションに得られた薄膜トランジスタの電子濃度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多く
の異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱すること
なくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従っ
て、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
本実施の形態では、液晶表示装置に用いられる薄膜トランジスタの作製工程について、
図1乃至
図12を用いて説明する。
図1乃至
図4、
図6乃至
図8は、薄膜トランジスタの
作製工程を示す断面図であり、
図5、及び
図9は、一画素における薄膜トランジスタ及び
画素電極の接続領域の上面図である。
【0024】
微結晶半導体膜を有する薄膜トランジスタは、p型よりもn型の方が、電界効果移動が高
いので駆動回路に用いるのにより適している。同一の基板上に形成する薄膜トランジスタ
を全て同じ極性にそろえておくことが、工程数を抑えるためにも望ましい。ここでは、n
チャネル型の薄膜トランジスタを用いて説明する。
【0025】
図1(A)に示すように、基板50上にゲート電極51を形成する。基板50は、バリ
ウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、若しくはアルミノシリケートガラス
など、フュージョン法やフロート法で作製される無アルカリガラス基板、セラミック基板
の他、本作製工程の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板等を用いること
ができる。また、ステンレス合金などの金属基板の表面に絶縁膜を設けた基板を適用して
も良い。基板50がマザーガラスの場合、基板の大きさは、第1世代(320mm×40
0mm)、第2世代(400mm×500mm)、第3世代(550mm×650mm)
、第4世代(680mm×880mm、または730mm×920mm)、第5世代(1
000mm×1200mmまたは1100mm×1250mm)、第6世代1500mm
×1800mm)、第7世代(1900mm×2200mm)、第8世代(2160mm
×2460mm)、第9世代(2400mm×2800mm、2450mm×3050m
m)、第10世代(2950mm×3400mm)等を用いることができる。
【0026】
ゲート電極51は、チタン、モリブデン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウ
ムなどの金属材料またはその合金材料を用いて形成する。ゲート電極51は、スパッタリ
ング法や真空蒸着法で基板50上に導電膜を形成し、当該導電膜上にフォトリソグラフィ
技術またはインクジェット法によりマスクを形成し、当該マスクを用いて導電膜をエッチ
ングすることで、形成することができる。なお、ゲート電極51の密着性向上と下地への
拡散を防ぐバリアメタルとして、上記金属材料の窒化物膜を、基板50及びゲート電極5
1の間に設けてもよい。ここでは、第1のフォトマスクを用いて形成したレジストマスク
を用いて基板50上に形成された導電膜をエッチングしてゲート電極51を形成する。
【0027】
なお、ゲート電極51上には、絶縁膜、半導体膜、配線等を形成するので、段切れ防止
のため端部がテーパー状になるように加工することが望ましい。また、図示しないがこの
工程でゲート電極に接続する配線も同時に形成することができる。
【0028】
次に、ゲート電極51上に、ゲート絶縁膜52a、52b、微結晶半導体膜53、バッ
ファ層54、一導電型を付与する不純物元素が添加された半導体膜55、導電膜65a~
65cを順に形成する。次に、導電膜65c上にレジスト80を塗布する。なお、少なく
とも、ゲート絶縁膜52a、52b、微結晶半導体膜53、及びバッファ層54を連続的
に形成することが好ましい。さらには、ゲート絶縁膜52a、52b、微結晶半導体膜5
3、バッファ層54、及び一導電型を付与する不純物元素が添加された半導体膜55を連
続的に形成することが好ましい。少なくとも、ゲート絶縁膜52a、52b、微結晶半導
体膜53、及びバッファ層54を大気に触れさせることなく連続成膜することで、大気成
分や大気中に浮遊する汚染不純物元素に汚染されることなく各積層界面を形成することが
できるので、薄膜トランジスタ特性のばらつきを低減することができる。
【0029】
ゲート絶縁膜52a、52bはそれぞれ、CVD法やスパッタリング法等を用いて、酸化
珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、または窒化酸化珪素膜で形成することができる。
ここでは、ゲート絶縁膜52a、52bとして、酸化珪素膜または酸化窒化珪素膜と、窒
化珪素膜または窒化酸化珪素膜との順に積層して形成する形態を示す。なお、ゲート絶縁
膜を2層とせず、基板側から窒化珪素膜または窒化酸化珪素膜と、酸化珪素膜または酸化
窒化珪素膜と、窒化珪素膜または窒化酸化珪素膜との順に3層積層して形成することがで
きる。また、ゲート絶縁膜を、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、または窒化酸
化珪素膜の単層で形成することができる。
【0030】
ここでは、酸化窒化珪素膜とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いもので
あって、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscatt
ering Spectrometry)及び水素前方散乱法(HFS:Hydroge
n Forward Scattering)を用いて測定した場合に、濃度範囲として
酸素が50~70原子%、窒素が0.5~15原子%、珪素が25~35原子%、水素が
0.1~10原子%の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化珪素膜とは、その組成
として、酸素よりも窒素の含有量が多いものであって、RBS及びHFSを用いて測定し
た場合に、濃度範囲として酸素が5~30原子%、窒素が20~55原子%、珪素が25
~35原子%、水素が10~30原子%の範囲で含まれるものをいう。但し、酸化窒化珪
素または窒化酸化珪素を構成する原子の合計を100原子%としたとき、窒素、酸素、珪
素及び水素の含有比率が上記の範囲内に含まれるものとする。
【0031】
微結晶半導体膜53は、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造の
半導体を含む膜である。この半導体は、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半
導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質なものであり、粒径が0.5~
20nmの柱状または針状結晶が基板表面に対して法線方向に成長している。また、微結
晶半導体と非晶質半導体とが混在している。微結晶半導体の代表例である微結晶シリコン
は、そのラマンスペクトルが単結晶シリコンを示す521cm-1よりも低波数側に、シ
フトしている。即ち、単結晶シリコンを示す521cm-1とアモルファスシリコンを示
す480cm-1の間に微結晶シリコンのラマンスペクトルのピークがある。また、未結
合手(ダングリングボンド)を終端するため水素またはハロゲンを少なくとも1原子%ま
たはそれ以上含ませている。さらに、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの希
ガス元素を含ませて格子歪みをさらに助長させることで、安定性が増し良好な微結晶半導
体膜が得られる。このような微結晶半導体膜に関する記述は、例えば、米国特許4,40
9,134号で開示されている。
【0032】
この微結晶半導体膜は、周波数が数十MHz~数百MHzの高周波プラズマCVD法、
または周波数が1GHz以上のマイクロ波プラズマCVD装置により形成することができ
る。代表的には、SiH4、Si2H6などの水素化珪素を水素で希釈して形成すること
ができる。また、水素化珪素及び水素に加え、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオン
から選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈して微結晶半導体膜を形成することが
できる。これらのときの水素化珪素に対して水素の流量比を50倍以上1000倍以下、
好ましくは50倍以上200倍以下、更に好ましくは100倍とする。なお、水素化珪素
の代わりに、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4等を用いることがで
きる。
【0033】
また、微結晶半導体膜は、価電子制御を目的とした不純物元素を意図的に添加しないと
きに弱いn型の電気伝導性を示すので、薄膜トランジスタのチャネル形成領域として機能
する微結晶半導体膜に対しては、p型を付与する不純物元素を、成膜と同時に、或いは成
膜後に添加することで、しきい値制御をすることが可能となる。p型を付与する不純物元
素としては、代表的には硼素であり、B2H6、BF3などの不純物気体を1ppm~1
000ppm、好ましくは1~100ppmの割合で水素化珪素に混入させると良い。そ
してボロンの濃度を、例えば1×1014~6×1016atoms/cm3とすると良
い。
【0034】
また、微結晶半導体膜の酸素濃度を、5×1019cm-3以下、1×1019cm-
3以下、窒素及び炭素の濃度それぞれを3×1018cm-3以下とすることが好ましい
。酸素、窒素、及び炭素が微結晶半導体膜に混入する濃度を低減することで、微結晶半導
体膜がn型化になることを防止することができる。
【0035】
微結晶半導体膜53は、0nmより厚く200nm以下、好ましくは1nm以上100
nm以下、好ましくは5nm以上50nmで形成する。微結晶半導体膜53は後に形成さ
れる薄膜トランジスタのチャネル形成領域として機能する。微結晶半導体膜53の厚さを
5nm以上50nm以下とすることで、後に形成される薄膜トランジスタは、完全空乏型
となる。また、微結晶半導体膜53は成膜速度が非晶質半導体膜の成膜速度の1/10~
1/100と遅いため、膜厚を薄くすることでスループットを向上させることができる。
微結晶半導体膜は微結晶で構成されているため、非晶質半導体膜と比較して抵抗が低い。
このため、微結晶半導体膜をチャネル形成領域に用いた薄膜トランジスタは、電流電圧特
性を示す曲線の立ち上がり部分の傾きが急峻となり、スイッチング素子としての応答性が
優れ、高速動作が可能となる。また、薄膜トランジスタのチャネル形成領域に微結晶半導
体膜を用いることで、薄膜トランジスタの閾値の変動を抑制することが可能である。この
ため、電気特性のばらつきの少ない液晶表示装置を作製することができる。
【0036】
また、微結晶半導体膜は非晶質半導体膜と比較して移動度が高い。このため、液晶素子の
スイッチングとして、チャネル形成領域が微結晶半導体膜で形成される薄膜トランジスタ
を用いることで、チャネル形成領域の面積、即ち薄膜トランジスタの面積を縮小すること
が可能である。このため、一画素あたりに占める薄膜トランジスタの面積が小さくなり、
画素の開口率を高めることが可能である。この結果、解像度の高い装置を作製することが
できる。
【0037】
バッファ層54は、SiH4、Si2H6などの水素化珪素を用いて、プラズマCVD法
により形成することができる。また、上記水素化珪素に、ヘリウム、アルゴン、クリプト
ン、ネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈して非晶質半導体膜を形成
することができる。水素化珪素の流量の1倍以上20倍以下、好ましくは1倍以上10倍
以下、更に好ましくは1倍以上5倍以下の流量の水素を用いて、水素を含む非晶質半導体
膜を形成することができる。また、上記水素化珪素と窒素またはアンモニアとを用いるこ
とで、窒素を含む非晶質半導体膜を形成することができる。また、上記水素化珪素と、フ
ッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を含む気体(F2、Cl2、Br2、I2、HF、HC
l、HBr、HI等)を用いることで、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を含む非晶質
半導体膜を形成することができる。なお、水素化珪素の代わりに、SiH2Cl2、Si
HCl3、SiCl4、SiF4等を用いることができる。
【0038】
また、バッファ層54は、ターゲットに非晶質半導体を用いて水素、または希ガスでスパ
ッタリングして非晶質半導体膜を形成することができる。このとき、アンモニア、窒素、
またはN2Oを雰囲気中に含ませることにより、窒素を含む非晶質半導体膜を形成するこ
とができる。また、雰囲気中にフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を含む気体(F2、C
l2、Br2、I2、HF、HCl、HBr、HI等)を含ませることにより、フッ素、
塩素、臭素、またはヨウ素を含む非晶質半導体膜を形成することができる。
【0039】
また、バッファ層54として、微結晶半導体膜53の表面にプラズマCVD法またはスパ
ッタリング法により非晶質半導体膜を形成した後、非晶質半導体膜の表面を水素プラズマ
、窒素プラズマ、またはハロゲンプラズマで処理して、非晶質半導体膜の表面を水素化、
窒素化、またはハロゲン化してもよい。または、非晶質半導体膜の表面を、ヘリウムプラ
ズマ、ネオンプラズマ、アルゴンプラズマ、クリプトンプラズマ等で処理してもよい。
【0040】
バッファ層54は、結晶粒を含まない非晶質半導体膜で形成することが好ましい。このた
め、周波数が数十MHz~数百MHzの高周波プラズマCVD法、またはマイクロ波プラ
ズマCVD法で形成する場合は、結晶粒を含まない非晶質半導体膜となるように、成膜条
件を制御することが好ましい。
【0041】
バッファ層54は、後のソース領域及びドレイン領域の形成プロセスにおいて、一部エッ
チングされる場合があるが、そのときに、バッファ層54の一部がエッチング後に残存す
る厚さで形成することが好ましい。代表的には、150nm以上400nm以下の厚さで
形成することが好ましい。薄膜トランジスタの印加電圧の高い(例えば15V程度)液晶
表示装置において、バッファ層54の膜厚を上記範囲に示すように厚く形成すると、耐圧
が高くなり、薄膜トランジスタに高い電圧が印加されても、薄膜トランジスタが劣化する
ことを回避することができる。
【0042】
なお、バッファ層54には、リンやボロン等の一導電型を付与する不純物元素が添加され
ていないことが好ましい。特に、閾値を制御するために微結晶半導体膜に含まれるボロン
、または一導電型を付与する不純物元素が添加された半導体膜に含まれるリンがバッファ
層54に混入されないことが好ましい。この結果、PN接合によるリーク電流の発生領域
をなくすことで、リーク電流の低減を図ることができる。また、一導電型を付与する不純
物元素が添加された半導体膜と微結晶半導体膜との間に、リンやボロン等の一導電型を付
与する不純物元素が添加されない非晶質半導体膜を形成することで、微結晶半導体膜とソ
ース領域及びドレイン領域それぞれに含まれる不純物が拡散するのを妨げることが可能で
ある。
【0043】
微結晶半導体膜53の表面に、非晶質半導体膜、更には水素、窒素、またはハロゲンを含
む非晶質半導体膜を形成することで、微結晶半導体膜53に含まれる結晶粒の表面の自然
酸化を防止することが可能である。特に、非晶質半導体と微結晶粒が接する領域では、局
部応力により亀裂が入りやすい。この亀裂が酸素に触れると結晶粒は酸化され、酸化珪素
が形成される。しかしながら、微結晶半導体膜53の表面にバッファ層を形成することで
、微結晶粒の酸化を防ぐことができる。また、バッファ層を形成することで、後にソース
領域及びドレイン領域を形成する際に発生するエッチング残渣が微結晶半導体膜に混入す
ることを防ぐことができる。
【0044】
また、バッファ層54は、非晶質半導体膜を用いて、または、水素、窒素、若しくはハロ
ゲンを含む非晶質半導体膜で形成する。非晶質半導体膜のエネルギーギャップが微結晶半
導体膜に比べて大きく(非晶質半導体膜のエネルギーギャップは1.6eV以上1.8e
V以下、微結晶半導体膜のエネルギーギャップは1.1eV以上1.5eV以下)、また
抵抗が高く、移動度が低く、微結晶半導体膜の1/5~1/10である。このため、後に
形成される薄膜トランジスタにおいて、ソース領域及びドレイン領域と、微結晶半導体膜
との間に形成されるバッファ層は高抵抗領域として機能し、微結晶半導体膜がチャネル形
成領域として機能する。このため、薄膜トランジスタのオフ電流を低減することができる
。当該薄膜トランジスタを液晶表示装置のスイッチング素子として用いた場合、液晶表示
装置のコントラストを向上させることができる。
【0045】
一導電型を付与する不純物元素が添加された半導体膜55は、nチャネル型の薄膜トラ
ンジスタを形成する場合には、代表的な不純物元素としてリンを添加すれば良く、水素化
珪素にPH3などの不純物気体を加えれば良い。また、pチャネル型の薄膜トランジスタ
を形成する場合には、代表的な不純物元素としてボロンを添加すれば良く、水素化珪素に
B2H6などの不純物気体を加えれば良い。一導電型を付与する不純物元素が添加された
半導体膜55は、微結晶半導体膜、または非晶質半導体で形成することができる。さらに
は一導電型を付与する不純物元素が添加された半導体膜55を、一導電型を付与する不純
物元素が添加された非晶質半導体膜と、一導電型を付与する不純物元素が添加された微結
晶半導体膜との積層で形成してもよい。バッファ層54側に一導電型を付与する不純物元
素が添加された非晶質半導体膜を形成し、その上に一導電型を付与する不純物元素が添加
された微結晶半導体膜を形成することで、抵抗が段階的に変化するため、キャリアが流れ
やすくなり、移動度を高めることができる。一導電型を付与する不純物元素が添加された
半導体膜55は2nm以上50nm以下の厚さで形成する。一導電型を付与する不純物元
素が添加された半導体膜の膜厚を、薄くすることでスループットを向上させることができ
る。
【0046】
ここで、ゲート絶縁膜52a、52bから一導電型を付与する不純物元素が添加された
半導体膜55を連続成膜ことが可能なプラズマCVD装置について、
図10を用いて示す
。
図10はプラズマCVD装置の上断面を示す模式図であり、共通室1120の周りに、
ロード室1110、アンロード室1115、反応室(1)~反応室(4)1111~11
14を備えた構成となっている。共通室1120と各室の間にはゲートバルブ1122~
1127が備えられ、各室で行われる処理が、相互に干渉しないように構成されている。
基板はロード室1110、アンロード室1115のカセット1128、1129に装填さ
れ、共通室1120の搬送手段1121により反応室(1)~反応室(4)1111~1
114へ運ばれる。この装置では、堆積膜種ごとに反応室をあてがうことが可能であり、
複数の異なる被膜を大気に触れさせることなく連続して形成することができる。
【0047】
反応室(1)~反応室(4)それぞれにおいて、ゲート絶縁膜52a、52b、微結晶半
導体膜53、バッファ層54、及び一導電型を付与する不純物元素が添加された半導体膜
55を積層形成する。この場合は、原料ガスの切り替えにより異なる種類の膜を連続的に
複数積層することができる。この場合、ゲート絶縁膜を形成した後、反応室内にシラン等
の水素化珪素を導入し、残留酸素及び水素化珪素を反応させて、反応物を反応室外に排出
することで、反応室内の残留酸素濃度を低減させることができる。この結果、微結晶半導
体膜に含まれる酸素の濃度を低減することができる。また、微結晶半導体膜に含まれる結
晶粒の酸化を防止することができる。
【0048】
または、反応室(1)及び反応室(3)でゲート絶縁膜52a、52b、微結晶半導体膜
53、及びバッファ層54を形成し、反応室(2)及び反応室(4)で一導電型を付与す
る不純物元素が添加された半導体膜55を形成する。一導電型を付与する不純物のみ単独
で成膜することにより、チャンバに残存する一導電型を付与する不純物元素が他の膜に混
入することを防ぐことができる。
【0049】
このように、複数のチャンバが接続されたマイクロ波プラズマCVD装置で、同時にゲー
ト絶縁膜52a、52b、微結晶半導体膜53、バッファ層54、及び一導電型を付与す
る不純物元素が添加された半導体膜55を成膜することができるため、量産性を高めるこ
とができる。また、ある反応室がメンテナンスやクリーニングを行っていても、残りの反
応室において成膜処理が可能となり、成膜のタクトを向上させることができる。また、大
気成分や大気中に浮遊する汚染不純物元素に汚染されることなく各積層界面を形成するこ
とができるので、薄膜トランジスタ特性のばらつきを低減することができる。
【0050】
また、反応室(1)でゲート絶縁膜52a、52bを形成し、反応室(2)で微結晶半導
体膜53及びバッファ層54を形成し、反応室(3)で一導電型を付与する不純物元素が
添加された半導体膜55を形成することができる。また、ゲート絶縁膜52aを酸化珪素
膜または酸化窒化珪素膜で形成し、ゲート絶縁膜52bを窒化珪素膜または窒化酸化珪素
膜で形成する場合、反応室を5つ設け、反応室(1)で、ゲート絶縁膜52aの酸化珪素
膜または酸化窒化珪素膜を形成し、反応室(2)で、ゲート絶縁膜52bの窒化珪素膜ま
たは窒化酸化珪素膜を形成し、反応室(3)で、微結晶半導体膜を形成し、反応室(4)
でバッファ層を形成し、反応室(5)で、一導電型を付与する不純物元素が添加された半
導体膜を形成してもよい。また、微結晶半導体膜は成膜速度が遅いため、複数の反応室で
微結晶半導体膜を成膜してもよい。例えば、反応室(1)でゲート絶縁膜52a、52b
を形成し、反応室(2)及び(3)で微結晶半導体膜53を形成し、反応室(4)でバッ
ファ層54を形成し、反応室(5)で一導電型を付与する不純物元素が添加された半導体
膜55を形成してもよい。このように、複数の反応室で同時に微結晶半導体膜53を成膜
することでスループットを向上させることができる。なお、このとき、各反応室の内壁を
成膜する種類の膜でコーティングすることが好ましい。
【0051】
このような構成のプラズマCVD装置を用いれば、各反応室で種類の類似する膜または一
種類の膜を成膜することが可能であり、且つ大気に曝すことなく連続して形成することが
できるため、前に成膜した膜の残留物や大気に浮遊する不純物元素に汚染されることなく
、各積層界面を形成することができる。
【0052】
なお、
図10に示すプラズマCVD装置には、ロード室及びアンロード室が別々に設けら
れているが、一つとしロード/アンロード室とでもよい。また、プラズマCVD装置に予
備室を設けてもよい。予備室で基板を予備加熱することで、各反応室において成膜までの
加熱時間を短縮することが可能であるため、スループットを向上させることができる。
【0053】
以下に、成膜処理について説明する。これらの成膜処理は、その目的に応じて、ガス供給
部から供給するガスを選択すれば良い。
【0054】
ここでは、ゲート絶縁膜52aに、酸化窒化珪素膜を形成し、ゲート絶縁膜52bに窒化
酸化珪素膜を形成する方法を一例としてあげる。
【0055】
はじめに、マイクロ波プラズマCVD装置の反応室の処理容器の内部を、フッ素ラジカ
ルでクリーニングする。なお、フッ素ラジカルは、反応室の外側に設けられたプラズマ発
生器に、フッ化炭素、フッ化窒素、またはフッ素を導入し、解離し、フッ素ラジカルを反
応室に導入することで、反応室内をクリーニングすることができる。
【0056】
フッ素ラジカルでクリーニングした後、反応室内部に水素を大量に導入することで、反応
室内の残留フッ素と水素を反応させて、残留フッ素の濃度を低減することができる。この
ため、後に反応室の内壁に成膜する保護膜へのフッ素の混入量を減らすことが可能であり
、保護膜の厚さを薄くすることが可能である。
【0057】
次に、反応室の処理容器内壁表面に保護膜として酸化窒化膜を堆積する。ここでは、処理
容器内の圧力を1~200Pa、好ましくは1~100Paとし、プラズマ着火用ガスと
して、ヘリウム、アルゴン、キセノン、クリプトン等の希ガスのいずれか一種以上のガス
を導入する。さらには、希ガスのいずれか一種及び水素を導入する。特に、プラズマ着火
用ガスとしてヘリウム、更にはヘリウムと水素を用いることが好ましい。
【0058】
ヘリウムのイオン化エネルギーは24.5eVと高いエネルギーを持つが、約20eVに
準安定状態があるので、放電中においては約4eVでイオン化が可能である。このため、
放電開始電圧が低く、また放電を維持しやすい。よって、プラズマを均一に維持すること
が可能であると共に、省電力化が可能である。
【0059】
また、プラズマ着火用ガスとして、ヘリウム、アルゴン、キセノン、クリプトン等の希ガ
スのいずれか一種以上及び酸素ガスを導入してもよい。希ガスと共に、酸素ガスを処理容
器内に導入することで、プラズマの着火を容易とすることができる。
【0060】
次に、電源装置の電源をオンにし、電源装置の出力は500~6000W、好ましくは4
000~6000Wとしてプラズマを発生させる。次に、ガス供給部から原料ガスを処理
容器内に導入する。具体的には、原料ガスとして、一酸化二窒素、希ガス、及びシランを
導入することで、処理容器の内壁表面に保護膜として酸化窒化珪素膜を形成する。このと
きの水素化珪素の流量を50~300sccm、一酸化二窒素の流量を500~6000
sccmとし、保護膜の膜厚を500~2000nmとする。
【0061】
次に、原料ガスの供給を停止し、処理容器内の圧力を低下し、電源装置の電源をオフに
した後、処理容器内の支持台上に基板を導入する。
【0062】
次に、上記保護膜と同様の工程により、基板上にゲート絶縁膜52aとして酸化窒化珪素
膜を堆積させる。
【0063】
所定の厚さの酸化窒化珪素膜が堆積されたら、原料ガスの供給を停止し、処理容器内の圧
力を低下し、電源装置の電源をオフにする。
【0064】
次に、処理容器内の圧力を1~200Pa、好ましくは1~100Paとし、プラズマ着
火用ガスとして、ヘリウム、アルゴン、キセノン、クリプトン等の希ガスのいずれか一種
以上と、原料ガスであるシラン、一酸化二窒素、及びアンモニアを導入する。なお、原料
ガスとして、アンモニアの代わりに窒素を導入しても良い。次に、電源装置の電源をオン
にし、電源装置の出力は500~6000W、好ましくは4000~6000Wとしてプ
ラズマを発生させる。次に、ガス供給部から原料ガスを処理容器内に導入し、基板113
0の酸化窒化珪素膜上にゲート絶縁膜として窒化酸化珪素膜を形成する。次に、原料ガス
の供給を停止し、処理容器内の圧力を低下し、電源装置の電源をオフにして、成膜プロセ
スを終了する。
【0065】
以上の工程により、反応室内壁の保護膜を酸化窒化珪素膜とし、基板上に酸化窒化珪素膜
及び窒化酸化珪素膜を連続的に成膜することで、上層側の窒化酸化珪素膜中に酸化珪素等
の不純物の混入を低減することができる。電源装置としてマイクロ波を発生させることが
可能な電源装置を用いたマイクロ波プラズマCVD法により上記膜を形成することで、プ
ラズマ密度が高くなり耐圧の高い膜を形成することができ、当該膜をゲート絶縁膜として
用いると、トランジスタの閾値のばらつきを低減することができる。また、BT特性を向
上させることができる。また、静電気に対する耐性が高まり、高い電圧が印加されても破
壊にくいトランジスタを作製することができる。また、経時破壊の少ないトランジスタを
作製することができる。また、ホットキャリアダメージの少ないトランジスタを作製する
ことができる。
【0066】
また、ゲート絶縁膜として、マイクロ波プラズマCVD装置により形成した酸化窒化珪素
膜単層の場合、上記保護膜の形成方法及び酸化窒化珪素膜の形成方法を用いる。特に、シ
ランに対する一酸化二窒素の流量比を50倍以上300倍以下、好ましくは50倍以上2
50倍以下とすると、耐圧の高い酸化窒化珪素膜を形成することができる。
【0067】
次に、プラズマCVD法による微結晶半導体膜及びバッファ層として非晶質半導体膜を連
続的に成膜する成膜処理方法について示す。まず、上記ゲート絶縁膜と同様により、反応
室内をクリーニングする。次に、処理容器内に保護膜として珪素膜を堆積する。ここでは
、処理容器内の圧力を1~200Pa、好ましくは1~100Paとし、プラズマ着火用
ガスとして、ヘリウム、アルゴン、キセノン、クリプトン等の希ガスのいずれか一種以上
を導入する。なお、希ガスと共に水素を導入してもよい。
【0068】
次に、電源装置の電源をオンにし、電源装置の出力は500~6000W、好ましくは4
000~6000Wとしてプラズマを発生させる。次に、ガス供給部から原料ガスを処理
容器内に導入する。具体的には、原料ガスとして、具体的には、水素化珪素ガス、及び水
素ガスを導入することで、処理容器の内壁表面に保護膜として微結晶珪素膜を形成する。
また、水素化珪素ガス及び水素ガスに加え、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンか
ら選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈して微結晶半導体膜を形成することがで
きる。これらのときの水素化珪素に対して水素の流量比を5倍以上1000倍以下、好ま
しくは50倍以上200倍以下、更に好ましくは100倍以上150倍とする。また、こ
のときの保護膜の膜厚を500~2000nmとする。なお、電源装置の電源をオンにす
る前に、処理容器内に上記希ガスの他、水素化珪素ガス及び水素ガスを導入してもよい。
【0069】
また、水素化珪素ガス、及び水素ガスに加え、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオン
から選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈して、保護膜として非晶質半導体膜を
形成することができる。
【0070】
次に、原料ガスの供給を停止し、処理容器内の圧力を低下し、電源装置の電源をオフに
した後、処理容器内の支持台上に基板を導入する。
【0071】
次に、基板上に形成されるゲート絶縁膜52bの表面を水素プラズマ処理してもよい。微
結晶半導体膜を形成する前に水素プラズマ処理することにより、ゲート絶縁膜及び微結晶
半導体膜の界面における格子歪を低減することが可能であり、ゲート絶縁膜及び微結晶半
導体膜の界面特性を向上させることができる。このため、後に形成される薄膜トランジス
タの電気特性を向上させることができる。
【0072】
また、上記水素プラズマ処理において、処理容器内に形成された保護膜である非晶質半導
体膜または微結晶半導体膜をも水素プラズマ処理することにより、保護膜がエッチングさ
れてゲート絶縁膜52bの表面に少量の半導体が堆積する。当該半導体が結晶成長の核と
なり、当該核によって、微結晶半導体膜が堆積する。この結果、ゲート絶縁膜及び微結晶
半導体膜の界面における格子歪を低減することが可能であり、ゲート絶縁膜及び微結晶半
導体膜の界面特性を向上させることができる。このため、後に形成される薄膜トランジス
タの電気特性を向上させることができる。
【0073】
次に、上記保護膜と同様の工程により、基板上に微結晶珪素膜を堆積させる。微結晶珪素
膜の膜厚を0nmより厚く50nm以下、好ましくは0nmより厚く20nm以下とする
。
【0074】
所定の厚さの微結晶珪素膜が堆積されたら、次に、原料ガスの供給を停止し、処理容器内
の圧力を低下し、電源装置の電源をオフにして、微結晶半導体膜成膜プロセスを終了する
。
【0075】
次に、処理容器内の圧力を下げ、原料ガスの流量を調整する。具体的には、水素ガスの流
量を微結晶半導体膜の成膜条件より大幅に低減する。代表的には、水素化珪素の流量の1
倍以上20倍以下、好ましくは1倍以上10倍以下、更に好ましくは1倍以上5倍以下の
流量の水素ガスを導入する。または、水素ガスを処理容器内に導入せず、水素化珪素ガス
を導入する。このように水素化珪素に対する水素の流量を低減することにより、バッファ
層として非晶質半導体膜の成膜速度を向上させることができる。または、水素化珪素ガス
に加え、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種または複数種の希ガ
ス元素で希釈する。次に、電源装置の電源をオンにし、電源装置の出力は500~600
0W、好ましくは4000~6000Wとしてプラズマ200を発生させて、非晶質半導
体膜を形成することができる。非晶質半導体膜の成膜速度は微結晶半導体膜に比べて高い
ため、処理容器内の圧力を低く設定することができる。このときの非晶質半導体膜の膜厚
を200~400nmとする。
【0076】
所定の厚さの非晶質半導体膜が堆積されたら、次に、原料ガスの供給を停止し、処理容器
内の圧力を低下し、電源装置の電源をオフにして、非晶質半導体膜の成膜プロセスを終了
する。
【0077】
なお、微結晶半導体膜53及びバッファ層54である非晶質半導体膜をプラズマの着火し
たまま形成してもよい。具体的には微結晶半導体膜53を形成する原料ガスである水素化
珪素に対する水素の流量比を徐々に低減させて微結晶半導体膜53及びバッファ層54で
ある非晶質半導体膜を積層する。このような手法により微結晶半導体膜53及びバッファ
層54の界面に不純物が堆積せず、歪の少ない界面を形成することが可能であり、後に形
成される薄膜トランジスタの電気特性を向上させることができる。
【0078】
微結晶半導体膜53を形成する場合、周波数が1GHz以上のマイクロ波プラズマCV
D装置を用いることが好ましい。マイクロ波プラズマは、電子密度が高く、原料ガスから
多くのラジカルが形成され、基板1130へ供給されるため、基板でのラジカルの表面反
応が促進され、微結晶シリコンの成膜速度を高めることができる。また、1MHzから2
0MHz、代表的には13.56MHzの高周波、または20MHzより大きく120M
Hz程度までのVHF帯の高周波、代表的には27.12MHz、60MHzを用いたプ
ラズマCVD法により、微結晶半導体膜を形成することができる。
【0079】
なお、ゲート絶縁膜及び半導体膜それぞれの作製工程において、反応室の内壁に500~
2000nmの保護膜が形成されている場合は、上記クリーニング処理及び保護膜形成処
理を省くことができる。
【0080】
次に、一導電型を付与する不純物元素が添加された半導体膜55上に、導電膜65a~6
5cを形成する。導電膜65a~65cは、アルミニウム、銅、若しくはシリコン、チタ
ン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性向上元素若しくはヒロック防止元
素が添加されたアルミニウム合金の単層または積層で形成することが好ましい。また、一
導電型を付与する不純物元素が添加された半導体膜と接する側の膜を、チタン、タンタル
、モリブデン、タングステン、またはこれらの元素の窒化物で形成し、その上にアルミニ
ウムまたはアルミニウム合金を形成した積層構造としても良い。更には、アルミニウムま
たはアルミニウム合金の上面及び下面を、チタン、タンタル、モリブデン、タングステン
、またはこれらの元素の窒化物で挟んだ積層構造としてもよい。ここでは、導電膜として
は、導電膜65a~65c3層が積層した構造の導電膜を示し、導電膜65a、65cに
モリブデン膜、導電膜65bにアルミニウム膜を用いた積層導電膜や、導電膜65a、6
5cにチタン膜、導電膜65bにアルミニウム膜を用いた積層導電膜を示す。導電膜65
a~65cは、スパッタリング法や真空蒸着法で形成する。
【0081】
レジスト80は、ポジ型レジストまたはネガ型レジストを用いることができる。ここでは
、ポジ型レジストを用いて示す。
【0082】
次に、第2のフォトマスクとして多階調マスク59を用いて、レジスト80に光を照射し
て、レジスト80を露光する。
【0083】
ここで、多階調マスク59を用いた露光について、
図11を用いて説明する。
【0084】
多階調マスクとは、露光部分、中間露光部分、及び未露光部分に3つの露光レベルを行
うことが可能なマスクであり、一度の露光及び現像工程により、複数(代表的には二種類
)の厚さの領域を有するレジストマスクを形成することが可能である。このため、多階調
マスクを用いることで、フォトマスクの枚数を削減することが可能である。
【0085】
多階調マスクの代表例としては、
図11(A)に示すようなグレートーンマスク59a、
図11(C)に示すようなハーフトーンマスク59bがある。
【0086】
図11(A)に示すように、グレートーンマスク59aは、透光性を有する基板163及
びその上に形成される遮光部164並びに回折格子165で構成される。遮光部164に
おいては、光の透過率が0%である。一方、回折格子165はスリット、ドット、メッシ
ュ等の光透過部の間隔を、露光に用いる光の解像度限界以下の間隔とすることにより、光
の透過率を制御することができる。なお、回折格子165は、周期的なスリット、ドット
、メッシュ、または非周期的なスリット、ドット、メッシュどちらも用いることができる
。
【0087】
透光性を有する基板163は、石英等の透光性を有する基板を用いることができる。遮光
部164及び回折格子165は、クロムや酸化クロム等の光を吸収する遮光材料を用いて
形成することができる。
【0088】
グレートーンマスク59aに露光光を照射した場合、
図11(B)に示すように、遮光部
164においては、光透過率166は0%であり、遮光部164及び回折格子165が設
けられていない領域では光透過率166は100%である。また、回折格子165におい
ては、10~70%の範囲で調整可能である。回折格子165における光の透過率の調整
は、回折格子のスリット、ドット、またはメッシュの間隔あるいはピッチの調整により可
能である。
【0089】
図11(C)に示すように、ハーフトーンマスク59bは、透光性を有する基板163及
びその上に形成される半透過部167並びに遮光部168で構成される。半透過部167
は、MoSiN、MoSi、MoSiO、MoSiON、CrSiなどを用いることがで
きる。遮光部168は、クロムや酸化クロム等の光を吸収する遮光材料を用いて形成する
ことができる。
【0090】
ハーフトーンマスク59bに露光光を照射した場合、
図11(D)に示すように、遮光部
168においては、光透過率169は0%であり、遮光部168及び半透過部167が設
けられていない領域では光透過率169は100%である。また、半透過部167におい
ては、10~70%の範囲で調整可能である。半透過部167に於ける光の透過率の調整
は、半透過部167の材料により調整により可能である。
【0091】
多階調マスクを用いて露光した後、現像することで、
図1(B)に示すように、膜厚の異
なる領域を有するレジストマスク81を形成することができる。
【0092】
次に、レジストマスク81により、微結晶半導体膜53、バッファ層54、一導電型を付
与する不純物元素が添加された半導体膜55、及び導電膜65a~65cをエッチングし
分離する。この結果、
図2(A)に示すような、微結晶半導体膜61、バッファ層62、
一導電型を付与する不純物元素が添加された半導体膜63、及び導電膜85a~85cを
形成することができる。なお、
図2(A)は
図5(A)のA-Bにおける断面図に相当す
る(但しレジストマスク86を除く)。
【0093】
微結晶半導体膜61、バッファ層62の端部側面が傾斜していることにより、バッファ層
62上に形成されるソース領域及びドレイン領域と微結晶半導体膜61との間にリーク電
流が生じること防止することが可能である。また、ソース電極及びドレイン電極と、微結
晶半導体膜61との間にリーク電流が生じるのを防止することが可能である。微結晶半導
体膜61及びバッファ層62の端部側面の傾斜角度は、30°~90°、好ましくは45
°~80°である。このような角度とすることで、段差形状によるソース電極またはドレ
イン電極の段切れを防ぐことができる。
【0094】
次に、レジストマスク81をアッシングする。この結果、レジストの面積が縮小し、厚
さが薄くなる。このとき、膜厚の薄い領域のレジスト(ゲート電極51の一部と重畳する
領域)は除去され、
図6(B)に示すように、分離されたレジストマスク86を形成する
ことができる。
【0095】
次に、レジストマスク86を用いて一導電型を付与する不純物元素が添加された半導体膜
63、及び導電膜85a~85cをエッチングし分離する。ここでは、ドライエッチング
により、導電膜85a~85cを分離する。この結果、
図2(B)に示すような、一対の
導電膜89a~89c、及び一対のソース領域及びドレイン領域89を形成することがで
きる。なお、当該エッチング工程において、バッファ層62の一部もエッチングする。一
部エッチングされたバッファ層をバッファ層88と示す。ソース領域及びドレイン領域の
形成工程と、バッファ層の凹部とを同一工程で形成することができる。ここでは、バッフ
ァ層88の一部が、面積が縮小したレジストマスク86で一部エッチングされたため、導
電膜85a~85cの外側にバッファ層88が突出した形状となる。
【0096】
次に、
図2(C)に示すように、導電膜89a~89cの一部をエッチングしソース電極
及びドレイン電極92a~92cを形成する。ここでは、レジストマスク86を用いて導
電膜89a~89cをウエットエッチングすると、導電膜89a~89cの端部が選択的
にエッチングされる。この結果、レジストマスク86及び導電膜89a~89cより面積
の小さいソース電極及びドレイン電極92a~92cを形成することができる。ソース電
極及びドレイン電極92a~92cの端部と、ソース領域及びドレイン領域89の端部は
一致せずずれており、ソース電極及びドレイン電極92a~92cの端部の外側に、ソー
ス領域及びドレイン領域89の端部が形成される。この後、レジストマスク86を除去す
る。
【0097】
なお、
図2(C)は、
図5(B)のA-Bの断面図に相当する。
図5(B)に示すように
、ソース領域及びドレイン領域89の端部は、ソース電極及びドレイン電極92cの端部
の外側に位置することが分かる。また、バッファ層88の端部はソース電極及びドレイン
電極92c及びソース領域及びドレイン領域89の端部の外側に位置する。また、ソース
電極及びドレイン電極の一方はソース領域及びドレイン領域の他方を部分的に囲む形状(
具体的には、U字型、C字型)である。このため、キャリアが移動する領域の面積を増加
させることが可能であるため、電流量を増やすことが可能であり、薄膜トランジスタの面
積を縮小することができる。また、ゲート電極の内側において、微結晶半導体膜87、ソ
ース電極及びドレイン電極92cが重畳されているため、ゲート電極の端部における凹凸
の影響が少なく、被覆率の低減及びリーク電流の発生を抑制することができる。なお、ソ
ース電極またはドレイン電極の一方は、ソース配線またはドレイン配線としても機能する
。
【0098】
図2(C)に示すように、ソース電極及びドレイン電極92a~92cの端部と、ソース
領域及びドレイン領域89の端部は一致せずずれた形状となることで、ソース電極及びド
レイン電極92a~92cの端部の距離が離れるため、ソース電極及びドレイン電極間の
リーク電流やショートを防止することができる。このため、信頼性が高く、且つ耐圧の高
い薄膜トランジスタを作製することができる。
【0099】
以上の工程により、チャネルエッチ型の薄膜トランジスタ83を形成することができる
。また、2枚のフォトマスクを用いて薄膜トランジスタを形成することができる。
【0100】
本実施の形態で示す薄膜トランジスタは、ゲート電極上にゲート絶縁膜、微結晶半導体
膜、バッファ層、ソース領域及びドレイン領域、ソース電極及びドレイン電極が積層され
、チャネル形成領域として機能する微結晶半導体膜の表面をバッファ層が覆う。また、バ
ッファ層の一部には凹部(溝)が形成されており、当該凹部以外の領域がソース領域及び
ドレイン領域で覆われる。即ち、バッファ層に形成される凹部により、ソース領域及びド
レイン領域の間のキャリアが移動する距離が長いため、ソース領域及びドレイン領域の間
でのリーク電流を低減することができる。また、バッファ層の一部をエッチングすること
により凹部を形成するため、ソース領域及びドレイン領域の形成工程において発生するエ
ッチング残渣を除去することができるため、残渣を介してソース領域及びドレイン領域に
リーク電流(寄生チャネル)が発生することを回避することができる。
【0101】
また、チャネル形成領域として機能する微結晶半導体膜とソース領域及びドレイン領域と
の間に、バッファ層が形成されている。また、微結晶半導体膜の表面がバッファ層で覆わ
れている。高抵抗率の非晶質半導体膜で形成されたバッファ層は、微結晶半導体膜と、ソ
ース領域及びドレイン領域との間にまで延在しているため、薄膜トランジスタがオフの場
合(即ち、ゲート電圧を負の電圧とした場合)の、リーク電流を低減することができると
共に、高い電圧の印加による劣化を低減することができる。また、微結晶半導体膜の表面
に水素で表面が終端された非晶質半導体膜がバッファ層として形成されているため、微結
晶半導体膜の酸化を防止することが可能であると共に、ソース領域及びドレイン領域の形
成工程に発生するエッチング残渣が微結晶半導体膜に混入することを防ぐことができる。
このため、電気特性が高く、且つドレイン耐圧に優れた薄膜トランジスタである。
【0102】
また、ソース電極及びドレイン電極の端部と、ソース領域及びドレイン領域の端部は一致
せずずれた形状となることで、ソース電極及びドレイン電極の端部の距離が離れるため、
ソース電極及びドレイン電極間のリーク電流やショートを防止することができる。
【0103】
次に、
図3(A)に示すように、ソース電極及びドレイン電極92a~92c、ソース領
域及びドレイン領域89、バッファ層88、微結晶半導体膜87、及びゲート絶縁膜52
b上に絶縁膜76を形成する。絶縁膜76は、ゲート絶縁膜52a、52bと同様に形成
することができる。なお、絶縁膜76は、大気中に浮遊する有機物や金属物、水蒸気など
の汚染不純物の侵入を防ぐためのものであり、緻密な膜が好ましい。また、絶縁膜76に
窒化珪素膜を用いることで、バッファ層88中の酸素濃度を5×10
19atoms/c
m
3以下、好ましくは1×10
19atoms/cm
3以下とすることができる。
【0104】
次に、絶縁膜76にコンタクトホールを形成し、当該コンタクトホールにおいてソース電
極またはドレイン電極92cに接する画素電極77を形成する。なお、
図3(B)は、図
5(C)のA-Bの断面図に相当する。
【0105】
画素電極77は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むイ
ンジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム
錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、インジウム亜鉛酸化物、酸化
ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いることがで
きる。
【0106】
また、画素電極77として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成
物を用いて形成することができる。導電性組成物を用いて形成した画素電極は、シート抵
抗が10000Ω/□以下、波長550nmにおける透光率が70%以上であることが好
ましい。また、導電性組成物に含まれる導電性高分子の抵抗率が0.1Ω・cm以下であ
ることが好ましい。
【0107】
導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例え
ば、ポリアニリンまたはその誘導体、ポリピロールまたはその誘導体、ポリチオフェンま
たはその誘導体、若しくはこれらの2種以上の共重合体などがあげられる。
【0108】
以上により液晶表示装置に用いることが可能な素子基板を形成することができる。
【0109】
なお、
図2(A)に示すように、微結晶半導体膜61、バッファ層62、一導電型を付与
する不純物元素が添加された半導体膜63、及び導電膜85a~85cを形成した後、図
4(A)に示すように、レジストマスク86を用いて導電膜85a~85cをエッチング
する。ここでは、レジストマスク86を用いて導電膜85a~85cをウエットエッチン
グにより等方的にエッチングすると、導電膜85a~85cが選択的にエッチングされる
。この結果、レジストマスク86より面積の小さいソース電極及びドレイン電極92a~
92cを形成することができる。
【0110】
次に、
図4(B)に示すように、レジストマスク86を用いて一導電型を付与する不純物
元素が添加された半導体膜63をエッチングする。ここでは、ドライエッチングにより一
導電型を付与する不純物元素が添加された半導体膜63を異方的にエッチングすると、レ
ジストマスク86と同程度の面積のソース領域及びドレイン領域89を形成することがで
きる。
【0111】
ソース電極及びドレイン電極92a~92cの端部と、ソース領域及びドレイン領域89
の端部は一致せずずれた形状となることで、ソース電極及びドレイン電極92a~92c
の端部の距離が離れるため、ソース電極及びドレイン電極間のリーク電流やショートを防
止することができる。このため、信頼性が高く、且つ耐圧の高い薄膜トランジスタを作製
することができる。
【0112】
図1乃至
図4に示すように、ウエットエッチングで導電膜をエッチングし、ドライエッチ
ングで一導電型を付与する不純物元素が添加された半導体膜をエッチングすることで、少
ないフォトマスク数でソース電極及びドレイン電極の端部と、ソース領域及びドレイン領
域の端部が一致せず、異なる構造にすることができる。
【0113】
次に、上記形態とは異なる薄膜トランジスタの作製方法について、
図6乃至
図9を用い
て説明する。ここでは、ソース電極またはドレイン電極と、ソース配線またはドレイン配
線とが異なる形態について以下に示す。
【0114】
図6(A)に示すように、基板50上にゲート電極51を形成する。次に、ゲート電極5
1上に、ゲート絶縁膜52a、52b、微結晶半導体膜53、バッファ層54、一導電型
を付与する不純物元素が添加された半導体膜55、及び導電膜65aを順に形成する。次
に、導電膜65a上にレジストを塗布し、
図1(A)に示す多階調マスクを用いて厚さの
異なる領域を有するレジストマスク81を形成する。
【0115】
次に、レジストマスク81により、微結晶半導体膜53、バッファ層54、一導電型を付
与する不純物元素が添加された半導体膜55、及び導電膜65aをエッチングし分離する
。この結果、
図6(B)に示すような、微結晶半導体膜61、バッファ層62、一導電型
を付与する不純物元素が添加された半導体膜63、及び導電膜85aを形成する。なお、
図6(B)は
図9(A)のA-Bにおける断面図に相当する(但しレジストマスク86を
除く)。
【0116】
次に、レジストマスク81をアッシングして分離されたレジストマスク86を形成する。
次に、レジストマスク86を用いて一導電型を付与する不純物元素が添加された半導体膜
63、及び導電膜85aをエッチングし分離する。この結果、
図6(C)に示すような、
一対の導電膜89a、及び一対のソース領域及びドレイン領域89を形成することができ
る。なお、当該エッチング工程において、バッファ層62の一部もエッチングする。一部
エッチングされたバッファ層をバッファ層88と示す。ここでは、バッファ層88の一部
が、面積が縮小したレジストマスク86で一部エッチングされたため、導電膜85aの外
側にバッファ層88が突出した形状となる。本実施の形態に示すように、バッファ層の側
面において、階段状になっているため、後に形成される絶縁膜の被覆率が高まる。このた
め、絶縁膜上に形成される画素電極と、薄膜トランジスタとの間におけるリーク電流を低
減することができる。
【0117】
次に、レジストマスク86をアッシングする。この結果、
図7(A)に示すように、レジ
ストマスクの面積が縮小し、厚さが薄くなる。次にアッシングされたレジストマスク91
を用いて導電膜89aの一部をエッチングすることで、
図7(B)に示すように、ソース
電極及びドレイン電極92aを形成する。ソース電極及びドレイン電極92aの端部と、
ソース領域及びドレイン領域89の端部は一致せずずれる。ここでは、レジストマスク9
1を用いてドライエッチングにより導電膜89aの露出部を異方的にエッチングする。こ
の後、レジストマスク91を除去する。
【0118】
この結果、導電膜89aより面積の小さいソース電極及びドレイン電極92aを形成する
。この後、レジストマスク91を除去する。なお、
図7(B)は、
図9(B)のA-Bの
断面図に相当する。
図9(B)に示すように、ソース領域及びドレイン領域89の端部は
、ソース電極及びドレイン電極92aの端部の外側に位置することが分かる。また、バッ
ファ層88の端部は、ソース電極及びドレイン電極92a、並びにソース領域及びドレイ
ン領域89の外側に位置する。また、ソース電極及びドレイン電極92aはそれぞれ分離
されていて、隣接する画素に形成される電極と接続していない。なお、ここでは、レジス
トマスク86をアッシングして形成したレジストマスク91を用いてソース電極及びドレ
イン電極92aを形成したが、
図1乃至
図4に示す工程に示すように、レジストマスク8
6を用いてウエットエッチングしてソース電極及びドレイン電極92a~92cを形成し
てもよい。
【0119】
図7(B)に示すように、ソース電極及びドレイン電極92aの端部と、ソース領域及び
ドレイン領域89の端部は一致せずずれた形状となることで、ソース電極及びドレイン電
極92aの端部の距離が離れるため、ソース電極及びドレイン電極間のリーク電流やショ
ートを防止することができる。このため、信頼性が高く、且つ耐圧の高い薄膜トランジス
タを作製することができる。
【0120】
次に、
図7(C)に示すように、ソース電極及びドレイン電極92a、ソース領域及びド
レイン領域89、バッファ層88、及びゲート絶縁膜52b上に絶縁膜76を形成する。
絶縁膜76は、ゲート絶縁膜52a、52bと同様に形成することができる。
【0121】
次に、
図8(A)に示すように、絶縁膜76にコンタクトホールを形成し、当該コンタク
トホールにおいてソース電極またはドレイン電極92aの一方に接し、且つ積層された配
線93b、93cを形成する。なお、
図8(A)は、
図9(C)のA-Bの断面図に相当
する。また、配線93b、93cは、隣接する画素に形成されるソース電極またはドレイ
ン電極を接続する配線である。
【0122】
次に、
図8(B)に示すように、次に、コンタクトホールにおいてソース電極またはドレ
イン電極92aの他方に接する画素電極77を形成する。なお、
図8(B)は、
図9(D
)のA-Bの断面図に相当する。
【0123】
以上の工程により、チャネルエッチ型の薄膜トランジスタ84を形成することができる
。チャネルエッチ型の薄膜トランジスタは、作製工程数が少なく、コスト削減が可能であ
る。また、微結晶半導体膜でチャネル形成領域を構成することにより1~20cm2/V
・secの電界効果移動度を得ることができる。従って、この薄膜トランジスタを画素部
の画素のスイッチング用素子として、さらに走査線(ゲート線)側の駆動回路を形成する
素子として利用することができる。
【0124】
本実施の形態により、電気特性の信頼性の高い薄膜トランジスタを作製することができる
。
【0125】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で示す薄膜トランジスタを有する液晶表示装置につい
て、以下に示す。
【0126】
はじめにVA(Vertical Alignment)型の液晶表示装置について示す
。VA型の液晶表示装置とは、液晶パネルの液晶分子の配列を制御する方式の一種である
。VA型の液晶表示装置は、電圧が印加されていないときにパネル面に対して液晶分子が
垂直方向を向く方式である。本実施の形態では、特に画素(ピクセル)をいくつかの領域
(サブピクセル)に分け、それぞれ別の方向に分子を倒すよう工夫されている。これをマ
ルチドメイン化あるいはマルチドメイン設計という。以下の説明では、マルチドメイン設
計が考慮された液晶表示装置について説明する。
【0127】
図16及び
図17は、それぞれ画素電極及び対向電極を示している。なお、
図16は画
素電極が形成される基板側の平面図であり、図中に示す切断線A-Bに対応する断面構造
を
図15に表している。また、
図17は対向電極が形成される基板側の平面図である。以
下の説明ではこれらの図を参照して説明する。
【0128】
図15は、TFT628とそれに接続する画素電極624、及び保持容量部630が形
成された基板600と、対向電極640等が形成される対向基板601とが重ね合わせら
れ、液晶が注入された状態を示している。
【0129】
対向基板601においてスペーサ642が形成される位置には、遮光膜632、第1の着
色膜634、第2の着色膜636、第3着色膜638、対向電極640が形成されている
。この構造により、液晶の配向を制御するための突起644とスペーサ642の高さを異
ならせている。画素電極624上には配向膜648が形成され、同様に対向電極640上
にも配向膜646が形成されている。この間に液晶層650が形成されている。
【0130】
スペーサ642はここでは柱状スペーサを用いて示したがビーズスペーサを散布してもよ
い。さらには、スペーサ642を基板600上に形成される画素電極624上に形成して
もよい。
【0131】
基板600上には、TFT628とそれに接続する画素電極624、及び保持容量部63
0が形成される。画素電極624は、TFT628、配線、及び保持容量部630を覆う
絶縁膜620、絶縁膜620を覆う絶縁膜622をそれぞれ貫通するコンタクトホール6
23で、配線618と接続する。TFT628は実施の形態1で示す薄膜トランジスタを
適宜用いることができる。また、保持容量部630は、TFT628のゲート配線602
と同様に形成した第1の容量配線604と、ゲート絶縁膜606と、配線616、618
と同様に形成した第2の容量配線617で構成される。
【0132】
画素電極624と液晶層650と対向電極640が重なり合うことで、液晶素子が形成さ
れている。
【0133】
図16に基板600上の構造を示す。画素電極624は実施の形態1で示した材料を用い
て形成する。画素電極624にはスリット625を設ける。スリット625は液晶の配向
を制御するためのものである。
【0134】
図16に示すTFT629とそれに接続する画素電極626及び保持容量部631は、そ
れぞれTFT628、画素電極624及び保持容量部630と同様に形成することができ
る。TFT628とTFT629は共に配線616と接続している。この液晶パネルの画
素(ピクセル)は、画素電極624と画素電極626により構成されている。画素電極6
24と画素電極626はサブピクセルである。
【0135】
図17に対向基板側の構造を示す。遮光膜632上に対向電極640が形成されている
。対向電極640は、画素電極624と同様の材料を用いて形成することが好ましい。対
向電極640上には液晶の配向を制御する突起644が形成されている。また、遮光膜6
32の位置に合わせてスペーサ642が形成されている。
【0136】
この画素構造の等価回路を
図18に示す。TFT628とTFT629は、共にゲート
配線602、配線616と接続している。この場合、容量配線604と容量配線605の
電位を異ならせることで、液層素子651と液晶素子652の動作を異ならせることがで
きる。すなわち、容量配線604と容量配線605の電位を個別に制御することにより液
晶の配向を精密に制御して視野角を広げている。
【0137】
スリット625を設けた画素電極624に電圧を印加すると、スリット625の近傍に
は電界の歪み(斜め電界)が発生する。このスリット625と、対向基板601側の突起
644とを交互に咬み合うように配置することで、斜め電界が効果的に発生させて液晶の
配向を制御することで、液晶が配向する方向を場所によって異ならせている。すなわち、
マルチドメイン化して液晶パネルの視野角を広げている。
【0138】
次に、上記とは異なるVA型の液晶表示装置について、
図19乃至
図22を用いて説明す
る。
【0139】
図19と
図20は、VA型液晶パネルの画素構造を示している。
図20は基板600の
平面図であり、図中に示す切断線Y-Zに対応する断面構造を
図19に表している。以下
の説明ではこの両図を参照して説明する。
【0140】
この画素構造は、一つの画素に複数の画素電極が有り、それぞれの画素電極にTFTが
接続されている。各TFTは、異なるゲート信号で駆動されるように構成されている。す
なわち、マルチドメイン設計された画素において、個々の画素電極に印加する信号を、独
立して制御する構成を有している。
【0141】
画素電極624はコンタクトホール623において、配線618を用いてTFT628
と接続している。また、画素電極626はコンタクトホール627において、配線619
を用いてTFT629と接続している。TFT628のゲート配線602と、TFT62
9のゲート配線603には、異なるゲート信号を与えることができるように分離されてい
る。一方、データ線として機能する配線616は、TFT628とTFT629で共通に
用いられている。また、容量配線690、ゲート絶縁膜606、及び配線618で第1の
容量素子を形成し、容量配線690、ゲート絶縁膜606、及び配線619で第2の容量
素子を形成する。TFT628とTFT629は実施の形態1で示す薄膜トランジスタを
適宜用いることができる。
【0142】
画素電極624と画素電極626の形状は異なっており、スリット625によって分離
されている。V字型に広がる画素電極624の外側を囲むように画素電極626が形成さ
れている。画素電極624と画素電極626に印加する電圧のタイミングを、TFT62
8及びTFT629により異ならせることで、液晶の配向を制御している。この画素構造
の等価回路を
図22に示す。TFT628はゲート配線602と接続し、TFT629は
ゲート配線603と接続している。ゲート配線602とゲート配線603は異なるゲート
信号を与えることで、TFT628とTFT629の動作タイミングを異ならせることが
できる。
【0143】
対向基板601には、遮光膜632、第2の着色膜636、対向電極640が形成され
ている。また、第2の着色膜636と対向電極640の間には平坦化膜637が形成され
、液晶の配向乱れを防いでいる。
図21に対向基板側の構造を示す。対向電極640は異
なる画素間で共通化されている電極であるが、スリット641が形成されている。このス
リット641と、画素電極624及び画素電極626側のスリット625とを交互に咬み
合うように配置することで、斜め電界が効果的に発生させて液晶の配向を制御することが
できる。これにより、液晶が配向する方向を場所によって異ならせることができ、視野角
を広げている。
【0144】
画素電極624と液晶層650と対向電極640が重なり合うことで、第1の液晶素子が
形成されている。また、画素電極626と液晶層650と対向電極640が重なり合うこ
とで、第2の液晶素子が形成されている。また、一画素に第1の液晶素子と第2の液晶素
子が設けられたマルチドメイン構造である。
【0145】
次に、横電界方式の液晶表示装置について示す。横電界方式は、セル内の液晶分子に対し
て水平方向に電界を加えることで液晶を駆動して階調表現する方式である。この方式によ
れば、視野角を約180度にまで広げることができる。以下の説明では、横電界方式を採
用する液晶表示装置について説明する。
【0146】
図23は、TFT628とそれに接続する画素電極624が形成された基板600と、
対向基板601を重ね合わせ、液晶を注入した状態を示している。対向基板601には遮
光膜632、第2の着色膜636、平坦化膜637などが形成されている。画素電極は基
板600側に有るので、対向基板601側には設けられていない。基板600と対向基板
601の間に液晶層650が形成されている。
【0147】
基板600上には、第1の画素電極607及び第1の画素電極607に接続する容量配線
604、及び実施の形態1で示すTFT628が形成される。第1の画素電極607は、
実施の形態1で示す画素電極77と同様の材料を用いることができる。また、第1の画素
電極607は略画素の形状に区画化した形状で形成する。なお、第1の画素電極607及
び容量配線604上にはゲート絶縁膜606が形成される。
【0148】
TFT628の配線616、配線618がゲート絶縁膜606上に形成される。配線61
6は液晶パネルにおいてビデオ信号をのせるデータ線であり一方向に伸びる配線であると
同時に、ソース領域610と接続し、ソース及びドレインの一方の電極となる。配線61
8はソース及びドレインの他方の電極となり、第2の画素電極624と接続する配線であ
る。
【0149】
配線616、配線618上に絶縁膜620が形成される。また、絶縁膜620上には、
絶縁膜620に形成されるコンタクトホール623において、配線618に接続する第2
の画素電極624が形成される。画素電極624は実施の形態1で示した画素電極77と
同様の材料を用いて形成する。
【0150】
このようにして、基板600上にTFT628とそれに接続する第2の画素電極624
が形成される。なお、保持容量は第1の画素電極607と第2の画素電極624の間で形
成している。
【0151】
図24は、画素電極の構成を示す平面図である。画素電極624にはスリット625が
設けられる。スリット625は液晶の配向を制御するためのものである。この場合、電界
は第1の画素電極607と第2の画素電極624の間で発生する。第1の画素電極607
と第2の画素電極624の間にはゲート絶縁膜606が形成されているが、ゲート絶縁膜
606の厚さは50~200nmであり、2~10μmである液晶層の厚さと比較して十
分薄いので、実質的に基板600と平行な方向(水平方向)に電界が発生する。この電界
により液晶の配向が制御される。この基板と略平行な方向の電界を利用して液晶分子を水
平に回転させる。この場合、液晶分子はどの状態でも水平であるため、見る角度によるコ
ントラストなどの影響は少なく、視野角が広がることとなる。また、第1の画素電極60
7と第2の画素電極624は共に透光性の電極であるので、開口率を向上させることがで
きる。
【0152】
次に、横電界方式の液晶表示装置の他の一例について示す。
【0153】
図25と
図26は、IPS型の液晶表示装置の画素構造を示している。
図26は平面図
であり、図中に示す切断線A-Bに対応する断面構造を
図25に表している。以下の説明
ではこの両図を参照して説明する。
【0154】
図25は、TFT628とそれに接続する画素電極624が形成された基板600と、
対向基板601を重ね合わせ、液晶を注入した状態を示している。対向基板601には遮
光膜632、第2の着色膜636、平坦化膜637などが形成されている。画素電極は基
板600側にあるので、対向基板601側には設けられていない。基板600と対向基板
601の間に液晶層650が形成されている。
【0155】
基板600上には、共通電位線609、及び実施の形態1で示すTFT628が形成され
る。共通電位線609は薄膜トランジスタ628のゲート配線602と同時に形成するこ
とができる。
【0156】
TFT628の配線616、配線618がゲート絶縁膜606上に形成される。配線61
6は液晶パネルにおいてビデオ信号をのせるデータ線であり一方向に伸びる配線であると
同時に、ソース領域610と接続し、ソース及びドレインの一方の電極となる。配線61
8はソース及びドレインの他方の電極となり、第2の画素電極624と接続する配線であ
る。
【0157】
配線616、配線618上に第2の絶縁膜620が形成される。また、絶縁膜620上
には、絶縁膜620に形成されるコンタクトホール623において、配線618に接続す
る画素電極624が形成される。画素電極624は実施の形態1で示した画素電極77と
同様の材料を用いて形成する。なお、
図26に示すように、画素電極624は、共通電位
線609と同時に形成した櫛形の電極と横電界が発生するように形成される。また、画素
電極624の櫛歯の部分が共通電位線609と同時に形成した櫛形の電極と交互に咬み合
うように形成される。
【0158】
画素電極624に印加される電位と共通電位線609の電位との間に電界が生じると、
この電界により液晶の配向が制御される。この基板と略平行な方向の電界を利用して液晶
分子を水平に回転させる。この場合、液晶分子はどの状態でも水平であるため、見る角度
によるコントラストなどの影響は少なく、視野角が広がることとなる。
【0159】
このようにして、基板600上にTFT628とそれに接続する画素電極624が形成
される。保持容量は共通電位線609と容量電極615の間にゲート絶縁膜606を設け
、それにより形成している。容量電極615と画素電極624はコンタクトホール633
を介して接続されている。
【0160】
次に、TN型の液晶表示装置の形態について示す。
【0161】
図27と
図28は、TN型の液晶表示装置の画素構造を示している。
図28は平面図で
あり、図中に示す切断線A-Bに対応する断面構造を
図27に表している。以下の説明で
はこの両図を参照して説明する。
【0162】
画素電極624はコンタクトホール623により、配線618でTFT628と接続し
ている。データ線として機能する配線616は、TFT628と接続している。TFT6
28は実施の形態1に示すTFTのいずれかを適用することができる。
【0163】
画素電極624は、実施の形態1で示す画素電極77を用いて形成されている。
【0164】
対向基板601には、遮光膜632、第2の着色膜636、対向電極640が形成され
ている。また、第2の着色膜636と対向電極640の間には平坦化膜637が形成され
、液晶の配向乱れを防いでいる。液晶層650は画素電極624と対向電極640の間に
形成されている。
【0165】
画素電極624と液晶層650と対向電極640が重なり合うことで、液晶素子が形成さ
れている。
【0166】
対向電極640は、画素電極624と同様の材料を適宜用いることができる。画素電極
624と液晶層650と対向電極640が重なり合うことで、液晶素子が形成されている
。
【0167】
また、
図15乃至
図28に示す液晶表示装置において、基板600または対向基板60
1にカラーフィルタや、ディスクリネーションを防ぐための遮蔽膜(ブラックマトリクス
)などが形成されていても良い。また、基板600の薄膜トランジスタが形成されている
面とは逆の面に偏光板を貼り合わせ、また対向基板601の対向電極640が形成されて
いる面とは逆の面に、偏光板を貼り合わせておく。
【0168】
以上の工程により、液晶表示装置を作製することができる。本実施の形態の液晶表示装置
は、オフ電流が少なく、電気特性の信頼性の高い薄膜トランジスタを用いているため、コ
ントラストが高く、視認性の高い液晶表示装置である。また、レーザ結晶化工程のない微
結晶半導体膜をチャネル形成領域に用いた薄膜トランジスタを用いているため、視認性の
高い液晶表示装置を量産高く作製することができる。
【0169】
(実施の形態3)
次に、本発明の液晶表示装置の一形態である表示パネルの構成について、以下に示す。
【0170】
図12(A)に、信号線駆動回路6013のみを別途形成し、基板6011上に形成さ
れた画素部6012と接続している表示パネルの形態を示す。画素部6012及び走査線
駆動回路6014は、微結晶半導体膜をチャネル形成領域に用いた薄膜トランジスタを用
いて形成する。微結晶半導体膜をチャネル形成領域に用いた薄膜トランジスタよりも高い
電界効果移動が得られるトランジスタで信号線駆動回路を形成することで、走査線駆動回
路よりも高い駆動周波数が要求される信号線駆動回路の動作を安定させることができる。
なお、信号線駆動回路6013は、単結晶の半導体をチャネル形成領域に用いたトランジ
スタ、多結晶の半導体をチャネル形成領域に用いた薄膜トランジスタ、またはSOIを用
いたトランジスタであっても良い。画素部6012と、信号線駆動回路6013と、走査
線駆動回路6014とに、それぞれ電源の電位、各種信号等が、FPC6015を介して
供給される。
【0171】
なお、信号線駆動回路及び走査線駆動回路を、共に画素部と同じ基板上に形成しても良
い。
【0172】
また、駆動回路を別途形成する場合、必ずしも駆動回路が形成された基板を、画素部が
形成された基板上に貼り合わせる必要はなく、例えばFPC上に貼り合わせるようにして
も良い。
図12(B)に、信号線駆動回路6023のみを別途形成し、基板6021上に
形成された画素部6022と信号線駆動回路6023とを接続している液晶表示装置パネ
ルの形態を示す。画素部6022及び走査線駆動回路6024は、微結晶半導体膜をチャ
ネル形成領域に用いた薄膜トランジスタを用いて形成する。信号線駆動回路6023は、
FPC6025を介して画素部6022と接続されている。画素部6022と、信号線駆
動回路6023と、走査線駆動回路6024とに、それぞれ電源の電位、各種信号等が、
FPC6025を介して供給される。
【0173】
また、信号線駆動回路の一部または走査線駆動回路の一部のみを、微結晶半導体膜をチ
ャネル形成領域に用いた薄膜トランジスタを用いて画素部と同じ基板上に形成し、残りを
別途形成して画素部と電気的に接続するようにしても良い。
図12(C)に、信号線駆動
回路が有するアナログスイッチ6033aを、画素部6032、走査線駆動回路6034
と同じ基板6031上に形成し、信号線駆動回路が有するシフトレジスタ6033bを別
途異なる基板に形成して貼り合わせる液晶表示装置パネルの形態を示す。画素部6032
及び走査線駆動回路6034は、微結晶半導体膜をチャネル形成領域に用いた薄膜トラン
ジスタを用いて形成する。信号線駆動回路が有するシフトレジスタ6033bは、FPC
6035を介して画素部6032と接続されている。画素部6032と、信号線駆動回路
と、走査線駆動回路6034とに、それぞれ電源の電位、各種信号等が、FPC6035
を介して供給される。
【0174】
図12に示すように、本発明の液晶表示装置は、駆動回路の一部または全部を、画素部
と同じ基板上に、微結晶半導体膜をチャネル形成領域に用いた薄膜トランジスタを用いて
形成することができる。
【0175】
なお、別途形成した基板の接続方法は、特に限定されるものではなく、公知のCOG方
法、ワイヤボンディング方法、或いはTAB方法などを用いることができる。また接続す
る位置は、電気的な接続が可能であるならば、
図12に示した位置に限定されない。また
、コントローラ、CPU、メモリ等を別途形成し、接続するようにしても良い。
【0176】
なお本発明で用いる信号線駆動回路は、シフトレジスタとアナログスイッチのみを有す
る形態に限定されない。シフトレジスタとアナログスイッチに加え、バッファ、レベルシ
フタ、ソースフォロワ等、他の回路を有していても良い。また、シフトレジスタとアナロ
グスイッチは必ずしも設ける必要はなく、例えばシフトレジスタの代わりにデコーダ回路
のような信号線の選択ができる別の回路を用いても良いし、アナログスイッチの代わりに
ラッチ等を用いても良い。
【0177】
図30に本発明の液晶表示装置のブロック図を示す。
図30に示す液晶表示装置は、液
晶素子を備えた画素を複数有する画素部700と、各画素を選択する走査線駆動回路70
2と、選択された画素へのビデオ信号の入力を制御する信号線駆動回路703とを有する
。
【0178】
図30において信号線駆動回路703は、シフトレジスタ704、アナログスイッチ7
05を有している。シフトレジスタ704には、クロック信号(CLK)、スタートパル
ス信号(SP)が入力されている。クロック信号(CLK)とスタートパルス信号(SP
)が入力されると、シフトレジスタ704においてタイミング信号が生成され、アナログ
スイッチ705に入力される。
【0179】
またアナログスイッチ705には、ビデオ信号(video signal)が与えら
れている。アナログスイッチ705は入力されるタイミング信号に従ってビデオ信号をサ
ンプリングし、後段の信号線に供給する。
【0180】
次に、走査線駆動回路702の構成について説明する。走査線駆動回路702は、シフ
トレジスタ706、バッファ707を有している。また場合によってはレベルシフタを有
していても良い。走査線駆動回路702において、シフトレジスタ706にクロック信号
(CLK)及びスタートパルス信号(SP)が入力されることによって、選択信号が生成
される。生成された選択信号はバッファ707において緩衝増幅され、対応する走査線に
供給される。走査線には、1ライン分の画素のトランジスタのゲートが接続されている。
そして、1ライン分の画素のトランジスタを一斉にONにしなくてはならないので、バッ
ファ707は大きな電流を流すことが可能なものが用いられる。
【0181】
フルカラーの液晶表示装置で、R(赤)、G(緑)、B(青)に対応するビデオ信号を
、順にサンプリングして対応する信号線に供給している場合、シフトレジスタ704とア
ナログスイッチ705とを接続するための端子数が、アナログスイッチ705と画素部7
00の信号線を接続するための端子数の1/3程度に相当する。よって、アナログスイッ
チ705を画素部700と同じ基板上に形成することで、アナログスイッチ705を画素
部700と異なる基板上に形成した場合に比べて、別途形成した基板の接続に用いる端子
の数を抑えることができ、接続不良の発生確率を抑え、歩留まりを高めることができる。
【0182】
なお、
図30の走査線駆動回路702は、シフトレジスタ706、及びバッファ707を
有するが、シフトレジスタ706で走査線駆動回路702を構成してもよい。
【0183】
なお、
図30に示す構成は、本発明の液晶表示装置の一形態を示したに過ぎず、信号線
駆動回路と走査線駆動回路の構成はこれに限定されない。
【0184】
次に、極性が全て同一の微結晶半導体膜をチャネル形成領域に用いた薄膜トランジスタ
を含むシフトレジスタの一形態について
図31及び
図32を用いて説明する。
図31に、
本実施の形態のシフトレジスタの構成を示す。
図31に示すシフトレジスタは、複数のフ
リップフロップ(フリップフロップ701-1~701-n)で構成される。また、第1
のクロック信号、第2のクロック信号、スタートパルス信号、リセット信号が入力されて
動作する。
【0185】
図31のシフトレジスタの接続関係について説明する。
図31のシフトレジスタは、i段
目のフリップフロップ701-i(フリップフロップ701-1~701-nのうちいず
れか一)は、
図32に示した第1の配線501が第7の配線717-i-1に接続され、
図32に示した第2の配線502が第7の配線717-i+1に接続され、
図32に示し
た第3の配線503が第7の配線717-iに接続され、
図32に示した第6の配線50
6が第5の配線715に接続される。
【0186】
また、
図32に示した第4の配線504が奇数段目のフリップフロップでは第2の配線7
12に接続され、偶数段目のフリップフロップでは第3の配線713に接続され、
図32
に示した第5の配線505が第4の配線714に接続される。
【0187】
ただし、1段目のフリップフロップ701-1の
図32に示す第1の配線501は第1の
配線711に接続され、n段目のフリップフロップ701-nの
図32に示す第2の配線
502は第6の配線716に接続される。
【0188】
なお、第1の配線711、第2の配線712、第3の配線713、第6の配線716を、
それぞれ第1の信号線、第2の信号線、第3の信号線、第4の信号線と呼んでもよい。さ
らに、第4の配線714、第5の配線715を、それぞれ第1の電源線、第2の電源線と
呼んでもよい。
【0189】
次に、
図31に示すフリップフロップの詳細について、
図32に示す。
図32に示すフリ
ップフロップは、第1の薄膜トランジスタ171、第2の薄膜トランジスタ172、第3
の薄膜トランジスタ173、第4の薄膜トランジスタ174、第5の薄膜トランジスタ1
75、第6の薄膜トランジスタ176、第7の薄膜トランジスタ177及び第8の薄膜ト
ランジスタ178を有する。本実施の形態において、第1の薄膜トランジスタ171、第
2の薄膜トランジスタ172、第3の薄膜トランジスタ173、第4の薄膜トランジスタ
174、第5の薄膜トランジスタ175、第6の薄膜トランジスタ176、第7の薄膜ト
ランジスタ177及び第8の薄膜トランジスタ178は、nチャネル型トランジスタとし
、ゲート・ソース間電圧(Vgs)がしきい値電圧(Vth)を上回ったとき導通状態に
なるものとする。
【0190】
次に、
図32に示すフリップフロップの接続構成について、以下に示す。
【0191】
第1の薄膜トランジスタ171の第1の電極(ソース電極またはドレイン電極の一方)が
第4の配線504に接続され、第1の薄膜トランジスタ171の第2の電極(ソース電極
またはドレイン電極の他方)が第3の配線503に接続される。
【0192】
第2の薄膜トランジスタ172の第1の電極が第6の配線506に接続され、第2の薄膜
トランジスタ172第2の電極が第3の配線503に接続される。
【0193】
第3の薄膜トランジスタ173の第1の電極が第5の配線505に接続され、第3の薄膜
トランジスタ173の第2の電極が第2の薄膜トランジスタ172のゲート電極に接続さ
れ、第3の薄膜トランジスタ173のゲート電極が第5の配線505に接続される。
【0194】
第4の薄膜トランジスタ174の第1の電極が第6の配線506に接続され、第4の薄膜
トランジスタ174の第2の電極が第2の薄膜トランジスタ172のゲート電極に接続さ
れ、第4の薄膜トランジスタ174のゲート電極が第1の薄膜トランジスタ171のゲー
ト電極に接続される。
【0195】
第5の薄膜トランジスタ175の第1の電極が第5の配線505に接続され、第5の薄膜
トランジスタ175の第2の電極が第1の薄膜トランジスタ171のゲート電極に接続さ
れ、第5の薄膜トランジスタ175のゲート電極が第1の配線501に接続される。
【0196】
第6の薄膜トランジスタ176の第1の電極が第6の配線506に接続され、第6の薄膜
トランジスタ176の第2の電極が第1の薄膜トランジスタ171のゲート電極に接続さ
れ、第6の薄膜トランジスタ176のゲート電極が第2の薄膜トランジスタ172のゲー
ト電極に接続される。
【0197】
第7の薄膜トランジスタ177の第1の電極が第6の配線506に接続され、第7の薄膜
トランジスタ177の第2の電極が第1の薄膜トランジスタ171のゲート電極に接続さ
れ、第7の薄膜トランジスタ177のゲート電極が第2の配線502に接続される。第8
の薄膜トランジスタ178の第1の電極が第6の配線506に接続され、第8の薄膜トラ
ンジスタ178の第2の電極が第2の薄膜トランジスタ172のゲート電極に接続され、
第8の薄膜トランジスタ178のゲート電極が第1の配線501に接続される。
【0198】
なお、第1の薄膜トランジスタ171のゲート電極、第4の薄膜トランジスタ174のゲ
ート電極、第5の薄膜トランジスタ175の第2の電極、第6の薄膜トランジスタ176
の第2の電極及び第7の薄膜トランジスタ177の第2の電極の接続箇所をノード143
とする。さらに、第2の薄膜トランジスタ172のゲート電極、第3の薄膜トランジスタ
173の第2の電極、第4の薄膜トランジスタ174の第2の電極、第6の薄膜トランジ
スタ176のゲート電極及び第8の薄膜トランジスタ178の第2の電極の接続箇所をノ
ード144とする。
【0199】
なお、第1の配線501、第2の配線502、第3の配線503及び第4の配線504を
、それぞれ第1の信号線、第2の信号線、第3の信号線、第4の信号線と呼んでもよい。
さらに、第5の配線505を第1の電源線、第6の配線506を第2の電源線と呼んでも
よい。
【0200】
図32に示したフリップフロップの上面図の一例を
図33に示す。
【0201】
導電膜901は、第1の薄膜トランジスタ171の第1の電極として機能する部分を含み
、画素電極と同時に形成される配線951を介して第4の配線504と接続される。
【0202】
導電膜902は第1の薄膜トランジスタ171の第2の電極として機能する部分を含み、
画素電極と同時に形成される配線952を介して第3の配線503と接続される。
【0203】
導電膜903は、第1の薄膜トランジスタ171のゲート電極、及び第4の薄膜トランジ
スタ174のゲート電極として機能する部分を含む。
【0204】
導電膜904は、第2の薄膜トランジスタ172の第1の電極、第6の薄膜トランジスタ
176の第1の電極、第4の薄膜トランジスタ174の第1の電極、及び第8の薄膜トラ
ンジスタ178の第1の電極として機能する部分を含み、第6の配線506と接続される
。
【0205】
導電膜905は、第2の薄膜トランジスタ172の第2の電極として機能する部分を含み
、画素電極と同時に形成される配線954を介して第3の配線503と接続される。
【0206】
導電膜906は第2の薄膜トランジスタ172のゲート電極、及び第6の薄膜トランジス
タ176のゲート電極として機能する部分を含む。
【0207】
導電膜907は、第3の薄膜トランジスタ173の第1の電極として機能する部分を含み
、配線955を介して第5の配線505と接続される。
【0208】
導電膜908は、第3の薄膜トランジスタ173の第2の電極、及び第4の薄膜トランジ
スタ174の第2の電極として機能する部分を含み、画素電極と同時に形成される配線9
56を介して導電膜906と接続される。
【0209】
導電膜909は、第3の薄膜トランジスタ173のゲート電極として機能する部分を含み
、配線955を介して第5の配線505と接続される。
【0210】
導電膜910は、第5の薄膜トランジスタ175の第1の電極として機能する部分を含み
、画素電極と同時に形成される配線959を介して第5の配線505と接続される。
【0211】
導電膜911は、第5の薄膜トランジスタ175の第2の電極、及び第7の薄膜トランジ
スタ177の第2の電極として機能する部分を含み、画素電極と同時に形成される配線9
58を介して導電膜903と接続される。
【0212】
導電膜912は、第5の薄膜トランジスタ175のゲート電極として機能する部分を含み
、画素電極と同時に形成される配線960を介して第1の配線501と接続される。
【0213】
導電膜913は、第6の薄膜トランジスタ176の第2の電極として機能する部分を含み
、画素電極と同時に形成される配線957を介して導電膜903と接続される。
【0214】
導電膜914は、第7の薄膜トランジスタ177のゲート電極として機能する部分を含み
、画素電極と同時に形成される配線962を介して第2の配線502と接続される。
【0215】
導電膜915は、第8の薄膜トランジスタ178のゲート電極として機能する部分を含み
、画素電極と同時に形成される配線961を介して導電膜912と接続される。
【0216】
導電膜916は、第8の薄膜トランジスタ178の第2の電極として機能する部分を含み
、画素電極と同時に形成される配線953を介して導電膜906と接続される。
【0217】
なお、微結晶半導体膜981~988の一部は、それぞれ第1の薄膜トランジスタ~第8
の薄膜トランジスタのチャネル形成領域として機能する。
【0218】
図30乃至
図32に示したような回路を、微結晶半導体をチャネル形成領域に用いた薄膜
トランジスタで構成することにより、回路を高速に動作させることが出来る。例えば、非
晶質半導体膜をチャネル形成領域に用いた場合と微結晶半導体膜をチャネル形成領域に用
いた場合とを比較すると、微結晶半導体膜をチャネル形成領域に用いた場合の方が、薄膜
トランジスタの電界効果移動が大きいため、駆動回路(例えば走査線駆動回路702のシ
フトレジスタ706)の駆動周波数を高くすることが可能となる。走査線駆動回路702
を高速に動作させることが出来るため、フレーム周波数を高くすること、または、黒画面
挿入を実現することなども実現することが出来る。
【0219】
フレーム周波数を上げる場合は、画像の動きの方向に応じて、画面のデータを生成するこ
とが望ましい。つまり、動き補償を行って、データを補間することが望ましい。このよう
に、フレーム周波数を上げ、画像データを補間することにより、動画の表示特性が改善さ
れ、滑らかな表示を行うことが出来る。例えば、2倍(例えば120ヘルツ、100ヘル
ツ)以上、より好ましくは4倍(例えば480ヘルツ、400ヘルツ)以上にすることに
より、動画における画像のぼけや残像を低減することが出来る。その場合、走査線駆動回
路702も、駆動周波数を高くして、動作させることにより、フレーム周波数を上げるこ
とが出来る。
【0220】
黒画面挿入を行う場合は、画像データもしくは黒表示となるデータを画素部700に供給
できるようにする。その結果、インパルス駆動に近い形となり、残像を低減することが出
来る。その場合、走査線駆動回路702も、駆動周波数を高くして、動作させることによ
り、黒画面挿入を行うことが出来る。
【0221】
さらに、走査線駆動回路702の薄膜トランジスタのチャネル幅を大きくすることや、複
数の走査線駆動回路を配置することなどによって、さらに高いフレーム周波数を実現する
ことが出来る。例えば8倍(例えば960ヘルツ、800ヘルツ)以上のフレーム周波数
とすることが出来る。複数の走査線駆動回路を配置する場合は、偶数行の走査線を駆動す
る為の走査線駆動回路を片側に配置し、奇数行の走査線を駆動するための走査線駆動回路
をその反対側に配置することにより、フレーム周波数を高くすることを実現することが出
来る。一例としては、第2の薄膜トランジスタ172のチャネル幅は、300μm以上、
より望ましくは、1000μm以上であることが望ましい。
【0222】
なお、
図30乃至
図32に示したような回路を、微結晶半導体をチャネル形成領域に用い
た薄膜トランジスタで構成することにより、レイアウト面積を小さくすることが出来る。
そのため、液晶表示装置の額縁を小さくすることができる。例えば、非晶質半導体膜をチ
ャネル形成領域に用いた場合と微結晶半導体膜をチャネル形成領域に用いた場合とを比較
すると、微結晶半導体膜をチャネル形成領域に用いた場合の方が、薄膜トランジスタの電
界効果移動が大きいため、薄膜トランジスタのチャネル幅を小さくすることが出来る。そ
の結果、液晶表示装置を狭額縁化させることが可能となる。一例としては、第2の薄膜ト
ランジスタ172のチャネル幅は、3000μm以下、より望ましくは、2000μm以
下であることが望ましい。
【0223】
なお、
図32における第2の薄膜トランジスタ172は、第3の配線503にローレベル
の信号を出力する期間が長い。その間、第2の薄膜トランジスタ172は、ずっとオン状
態になっている。したがって、第2の薄膜トランジスタ172には、強いストレスが加わ
り、トランジスタ特性が劣化しやすくなっている。トランジスタ特性が劣化すると、しき
い値電圧が徐々に大きくなってくる。その結果、電流値が小さくなってくる。そこで、ト
ランジスタが劣化しても、十分な電流を供給できるようにするため、第2の薄膜トランジ
スタ172のチャネル幅は大きいことが望ましい。あるいは、トランジスタが劣化しても
、回路動作に支障がないように、補償されていることが望ましい。例えば、第2の薄膜ト
ランジスタ172と並列に、トランジスタを配置し、第2の薄膜トランジスタ172と交
互にオン状態となるようにすることによって、劣化の影響を受けにくくすることが望まし
い。
【0224】
しかしながら、非晶質半導体膜をチャネル形成領域に用いた場合と微結晶半導体膜をチャ
ネル形成領域に用いた場合とを比較すると、微結晶半導体膜をチャネル形成領域に用いた
場合の方が、劣化しにくい。したがって、微結晶半導体膜をチャネル形成領域に用いた場
合は、薄膜トランジスタのチャネル幅を小さくすることが出来る。または、劣化に対する
補償用の回路を配置しなくても正常に動作させることが出来る。これらにより、レイアウ
ト面積を小さくすることが出来る。
【0225】
次に、本発明の液晶表示装置の一形態に相当する液晶表示パネルの外観及び断面につい
て、
図29を用いて説明する。
図29(A)は、第1の基板4001上に形成された微結
晶半導体膜を有する薄膜トランジスタ4010及び液晶素子4013を、第2の基板40
06との間にシール材4005によって封止した、パネルの上面図であり、
図29(B)
は、
図29(A)のA-A’における断面図相当する。
【0226】
第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004とを囲
むようにして、シール材4005が設けられている。また画素部4002と、走査線駆動
回路4004の上に第2の基板4006が設けられている。よって画素部4002と、走
査線駆動回路4004とは、第1の基板4001とシール材4005と第2の基板400
6とによって、液晶4008と共に封止されている。また第1の基板4001上のシール
材4005によって囲まれている領域とは異なる領域に、別途用意された基板上に多結晶
半導体膜で形成された信号線駆動回路4003が実装されている。なお本実施の形態では
、多結晶半導体膜をチャネル形成領域に用いた薄膜トランジスタを有する信号線駆動回路
を、第1の基板4001に貼り合わせる例について説明するが、単結晶半導体をチャネル
形成領域に用いたトランジスタで信号線駆動回路を形成し、貼り合わせるようにしても良
い。
図29では、信号線駆動回路4003に含まれる、多結晶半導体膜で形成された薄膜
トランジスタ4009を例示する。
【0227】
また第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004は
、薄膜トランジスタを複数有しており、
図29(B)では、画素部4002に含まれる薄
膜トランジスタ4010を例示している。薄膜トランジスタ4010は微結晶半導体膜を
チャネル形成領域に用いた薄膜トランジスタに相当する。
【0228】
また、液晶素子4013が有する画素電極4030は、薄膜トランジスタ4010と配
線4040を介して電気的に接続されている。そして液晶素子4013の対向電極403
1は第2の基板4006上に形成されている。画素電極4030と対向電極4031と液
晶4008とが重なっている部分が、液晶素子4013に相当する。
【0229】
なお、第1の基板4001、第2の基板4006としては、ガラス、金属(代表的には
ステンレス)、セラミックス、プラスチックを用いることができる。プラスチックとして
は、FRP(Fiberglass-Reinforced Plastics)板、P
VF(ポリビニルフルオライド)フィルム、ポリエステルフィルム、ポリエステルフィル
ムまたはアクリル樹脂フィルムを用いることができる。また、アルミニウムホイルをPV
Fフィルムやポリエステルフィルムで挟んだ構造のシートを用いることもできる。
【0230】
また、球状のスペーサ4035は、画素電極4030と対向電極4031との間の距離
(セルギャップ)を制御するために設けられている。なお絶縁膜を選択的にエッチングす
ることで得られるスペーサを用いていても良い。
【0231】
また別途形成された信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004または画素部
4002に与えられる各種信号及び電位は、引き回し配線4014、4015を介して、
FPC4018から供給されている。
【0232】
本実施の形態では、接続端子4016が、液晶素子4013が有する画素電極4030
と同じ導電膜から形成されている。また、引き回し配線4014、4015は、配線40
40と同じ導電膜で形成されている。
【0233】
接続端子4016は、FPC4018が有する端子と、異方性導電膜4019を介して
電気的に接続されている。
【0234】
なお図示していないが、本実施の形態に示した液晶表示装置は配向膜、偏光板を有し、
更にカラーフィルタや遮蔽膜を有していても良い。
【0235】
また
図29では、信号線駆動回路4003を別途形成し、第1の基板4001に実装し
ている例を示しているが、本実施の形態はこの構成に限定されない。走査線駆動回路を別
途形成して実装しても良いし、信号線駆動回路の一部または走査線駆動回路の一部のみを
別途形成して実装しても良い。
【0236】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と組み合わせて実施することが可能で
ある。
【0237】
(実施の形態4)
本発明により得られる液晶表示装置によって、アクティブマトリクス型液晶モジュール
に用いることができる。即ち、それらを表示部に組み込んだ電子機器全てに本発明を実施
できる。
【0238】
その様な電子機器としては、ビデオカメラやデジタルカメラ等のカメラ、ヘッドマウン
トディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、プロジェクタ、カー
ステレオ、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話ま
たは電子書籍等)などが挙げられる。それらの一例を
図13に示す。
【0239】
図13(A)はテレビジョン装置である。表示モジュールを、
図13(A)に示すよう
に、筐体に組みこんで、テレビジョン装置を完成させることができる。FPCまで取り付
けられた表示パネルのことを表示モジュールとも呼ぶ。表示モジュールにより主画面20
03が形成され、その他付属設備としてスピーカー部2009、操作スイッチなどが備え
られている。このように、テレビジョン装置を完成させることができる。
【0240】
図13(A)に示すように、筐体2001に液晶素子を利用した表示用パネル2002
が組みこまれ、受信機2005により一般のテレビ放送の受信をはじめ、モデム2004
を介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより一方向(送信者から
受信者)又は双方向(送信者と受信者間、又は受信者間同士)の情報通信をすることもで
きる。テレビジョン装置の操作は、筐体に組みこまれたスイッチ又は別体のリモコン操作
機2006により行うことが可能であり、このリモコン装置にも出力する情報を表示する
表示部2007が設けられていても良い。
【0241】
また、テレビジョン装置にも、主画面2003の他にサブ画面2008を第2の表示用
パネルで形成し、チャネルや音量などを表示する構成が付加されていても良い。この構成
において、主画面2003を視野角の優れた液晶表示パネルで形成し、サブ画面を低消費
電力で表示可能な液晶表示パネルで形成しても良い。また、低消費電力化を優先させるた
めには、主画面2003を液晶表示パネルで形成し、サブ画面を液晶表示パネルで形成し
、サブ画面は点滅可能とする構成としても良い。
【0242】
図14はテレビ装置の主要な構成を示すブロック図を示している。表示パネル900には
、画素部921が形成されている。信号線駆動回路922と走査線駆動回路923は、表
示パネル900にCOG方式により実装されていても良い。
【0243】
その他の外部回路の構成として、映像信号の入力側では、チューナ924で受信した信
号のうち、映像信号を増幅する映像信号増幅回路925と、そこから出力される信号を赤
、緑、青の各色に対応した色信号に変換する映像信号処理回路926と、その映像信号を
ドライバICの入力仕様に変換するためのコントロール回路927などを有している。コ
ントロール回路927は、走査線側と信号線側にそれぞれ信号が出力する。デジタル駆動
する場合には、信号線側に信号分割回路928を設け、入力デジタル信号をm個に分割し
て供給する構成としても良い。
【0244】
チューナ924で受信した信号のうち、音声信号は、音声信号増幅回路929に送られ
、その出力は音声信号処理回路930を経てスピーカ933に供給される。制御回路93
1は受信局(受信周波数)や音量の制御情報を入力部932から受け、チューナ924や
音声信号処理回路930に信号を送出する。
【0245】
勿論、本発明はテレビジョン装置に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをは
じめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など大面積の
表示媒体としても様々な用途に適用することができる。
【0246】
図13(B)は携帯電話機2201の一例を示している。この携帯電話機2201は、表
示部2202、操作部2203などを含んで構成されている。表示部2202においては
、上記実施の形態で説明した液晶表示装置を適用することで、量産性を高めることができ
る。
【0247】
また、
図13(C)に示す携帯型のコンピュータは、本体2401、表示部2402等
を含んでいる。表示部2402に、上記実施の形態に示す液晶表示装置を適用することに
より、量産性を高めることができる。
【実施例0248】
微結晶珪素膜を成膜し、その膜をラマン分光法で結晶性を測定した結果を
図34に示す。
【0249】
微結晶珪素膜の成膜条件は、RF電源周波数を13.56MHzとし、成膜温度を280
℃とし、水素流量とシランガス流量の比を100:1とし、280Paの圧力で成膜を行
った。また、
図34(A)は、ラマン散乱スペクトルであり、成膜時のRF電源の電力を
100Wとした微結晶珪素膜と、300Wとした微結晶珪素膜とを比較した測定結果であ
る。
【0250】
なお、単結晶シリコンの結晶ピーク位置は、521cm
-1である。なお、アモルファス
シリコンは勿論、結晶ピークと言えるものは測定できず、
図34(B)に示すように48
0cm
-1になだらかな山が測定されるだけである。本明細書の微結晶珪素膜とは、ラマ
ン分光器で測定して481cm
-1以上520cm
-1以下に結晶ピーク位置を確認でき
るものを指す。
【0251】
成膜時のRF電源の電力を100Wとした微結晶珪素膜の結晶ピーク位置は、518.6
cm-1であり、半値幅(FWHM)は、11.9cm-1であり、結晶/アモルファス
ピーク強度比(Ic/Ia)は、4.1である。
【0252】
また、成膜時のRF電源の電力を300Wとした微結晶珪素膜の結晶ピーク位置は、51
4.8cm-1であり、半値幅(FWHM)は、18.7cm-1であり、結晶/アモル
ファスピーク強度比(Ic/Ia)は、4.4である。
【0253】
図34(A)に示すように、RF電力によって結晶ピーク位置と半値幅に大きな差が出て
いる。これは、大電力ではイオン衝撃が増加し粒成長が阻害されるため小粒径になる傾向
があるためと考えられる。また、
図34(A)の測定に用いた微結晶珪素膜を形成したC
VD装置の電源周波数が13.56MHzであるので結晶/アモルファスピーク強度比(
Ic/Ia)は、4.1または4.4となっているが、RF電源周波数が27MHzであ
れば、結晶/アモルファスピーク強度比(Ic/Ia)を6とすることができることも確
認している。従って、さらに27MHzよりも高いRF電源周波数、例えば、2.45G
HzのRF電源周波数とすることでさらに、結晶/アモルファスピーク強度比(Ic/I
a)を高めることができる。