(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182680
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20231219BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20231219BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20231219BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20231219BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20231219BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20231219BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20231219BHJP
G06F 3/045 20060101ALI20231219BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20231219BHJP
G06F 3/042 20060101ALI20231219BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20231219BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20231219BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20231219BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G09G3/36
G09F9/30 338
G09F9/00 366A
G09G3/20 691D
G09G3/20 624B
G09G3/20 660U
G09G3/20 621A
G09G3/20 611G
G09G3/20 611A
G09G3/20 612G
G09G3/20 660W
G09G3/20 612U
G02F1/1368
G02F1/133 550
G06F3/041 495
G06F3/045
G06F3/044 120
G06F3/042 471
H01L29/78 618B
H01L29/78 619A
H01L27/06 102A
H01L27/088 331E
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023168374
(22)【出願日】2023-09-28
(62)【分割の表示】P 2022084327の分割
【原出願日】2011-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2010102891
(32)【優先日】2010-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】小山 潤
(57)【要約】
【課題】消費電力の低減を実現することができる、タッチパネルを有する半導体表示装置
の提案を課題とする。
【解決手段】画素部、及び、画素部への画像信号の入力を制御する駆動回路が設けられた
パネルと、画素部においてパネルと重なる位置に設けられたタッチパネルとを有する。画
素部は、入力される画像信号の電圧に従って表示を行う表示素子と、電圧の保持を制御す
るトランジスタとを有する。トランジスタは、そのチャネル形成領域に酸化物半導体を含
んでいる。そして、駆動回路の駆動周波数、すなわち一定期間内における画像信号の書き
込み回数を、タッチパネルから入力される操作信号に従って変更する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素部と、走査線駆動回路と、タッチパネルと、を有し、
前記画素部は、トランジスタと、表示素子と、を有し、
前記トランジスタは、チャネル形成領域に酸化物半導体膜を有し、
静止画を表示する期間は、第1の期間と、前記第1の期間において設定された表示状態を保持する第2の期間と、を有し、
前記第1の期間では、前記画素部への画像信号の書き込みを第1の動作周波数で行い、
前記第2の期間では、前記画素部への画像信号の書き込みを前記第1の動作周波数より小さい第2の動作周波数で行い、
前記タッチパネルからの操作信号に応じて前記第2の期間の終了のタイミングが制御される、表示装置。
【請求項2】
画素部と、走査線駆動回路と、タッチパネルと、を有し、
前記画素部は、トランジスタと、表示素子と、を有し、
静止画を表示する期間は、第1の期間と、前記第1の期間において設定された表示状態を保持する第2の期間と、を有し、
前記第1の期間では、前記画素部への画像信号の書き込みを第1の動作周波数で行い、
前記第2の期間では、前記画素部への画像信号の書き込みを前記第1の動作周波数より小さい第2の動作周波数で行い、
前記タッチパネルからの操作信号に応じて前記第2の期間の終了のタイミングが制御され、
前記トランジスタは、
酸化物半導体膜と、
絶縁膜と、
前記絶縁膜を介して前記酸化物半導体膜と重なる第1の導電膜と、
前記酸化物半導体膜の上方の酸化珪素膜と、
前記酸化珪素膜の上方の窒化珪素膜と、を有し、
前期酸化物半導体膜は、前記第1の導電膜と重なる領域にチャネル形成領域を有し、
前記酸化物半導体膜は、Inと、Gaと、Znと、を有する、表示装置。
【請求項3】
画素部と、走査線駆動回路と、タッチパネルと、を有し、
前記画素部は、トランジスタと、表示素子と、を有し、
静止画を表示する期間は、第1の期間と、前記第1の期間において設定された表示状態を保持する第2の期間と、を有し、
前記第1の期間では、前記画素部への画像信号の書き込みを第1の動作周波数で行い、
前記第2の期間では、前記画素部への画像信号の書き込みを前記第1の動作周波数より小さい第2の動作周波数で行い、
前記タッチパネルからの操作信号に応じて前記第2の期間の終了のタイミングが制御され、
前記トランジスタは、
酸化物半導体膜と、
絶縁膜と、
前記絶縁膜を介して前記酸化物半導体膜と重なる第1の導電膜と、
前記酸化物半導体膜と重なる第2の導電膜と、
前記酸化物半導体膜の上方の酸化珪素膜と、
前記酸化珪素膜の上方の窒化珪素膜と、を有し、
前期酸化物半導体膜は、前記第1の導電膜と重なる領域にチャネル形成領域を有し、
前記第2の導電膜は、前記チャネル形成領域と重なる領域を有し、
前記酸化物半導体膜は、Inと、Gaと、Znと、を有する、表示装置。
【請求項4】
画素部と、走査線駆動回路と、タッチパネルと、を有し、
前記画素部は、トランジスタと、表示素子と、を有し、
静止画を表示する期間は、第1の期間と、前記第1の期間において設定された表示状態を保持する第2の期間と、第3の期間と、を有し、
前記第1の期間では、前記画素部への画像信号の書き込みを第1の動作周波数で行い、
前記第2の期間では、前記画素部への画像信号の書き込みを前記第1の動作周波数より小さい第2の動作周波数で行い、
前記第3の期間では、前記画素部への画像信号の書き込みを前記第1の動作周波数で行い、
前記第2の期間は、前記タッチパネルから操作信号が供給される場合と、一定期間が経過した場合のうち、いずれか短い期間で終了し、
前記トランジスタは、
酸化物半導体膜と、
絶縁膜と、
前記絶縁膜を介して前記酸化物半導体膜と重なる第1の導電膜と、
前記酸化物半導体膜の上方の酸化珪素膜と、
前記酸化珪素膜の上方の窒化珪素膜と、を有し、
前期酸化物半導体膜は、前記第1の導電膜と重なる領域にチャネル形成領域を有し、
前記酸化物半導体膜は、Inと、Gaと、Znと、を有する、表示装置。
【請求項5】
画素部と、走査線駆動回路と、タッチパネルと、を有し、
前記画素部は、トランジスタと、表示素子と、を有し、
静止画を表示する期間は、第1の期間と、前記第1の期間において設定された表示状態を保持する第2の期間と、を有し、
前記第1の期間では、前記画素部への画像信号の書き込みを第1の動作周波数で行い、
前記第2の期間では、前記画素部への画像信号の書き込みを前記第1の動作周波数より小さい第2の動作周波数で行い、
前記第2の期間は、前記タッチパネルから操作信号が供給される場合と、一定期間が経過した場合のうち、いずれか短い期間で終了し、
前記トランジスタは、
酸化物半導体膜と、
絶縁膜と、
前記絶縁膜を介して前記酸化物半導体膜と重なる第1の導電膜と、
前記酸化物半導体膜と重なる第2の導電膜と、
前記酸化物半導体膜の上方の酸化珪素膜と、
前記酸化珪素膜の上方の窒化珪素膜と、を有し、
前期酸化物半導体膜は、前記第1の導電膜と重なる領域にチャネル形成領域を有し、
前記第2の導電膜は、前記チャネル形成領域と重なる領域を有し、
前記酸化物半導体膜は、Inと、Gaと、Znと、を有する、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
トランジスタを用いたアクティブマトリクス型の半導体表示装置及びその駆動方法に関す
る。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、指またはスタイラスなどが指し示した位置を検出し、その位置情報を含
む信号を生成することができる位置入力装置である。そして、画像表示領域にタッチパネ
ルを重ねることで得られる表示装置は、タッチスクリーンとも呼ばれており、画像表示領
域において画像の表示を行うと共に、ユーザーが画像表示領域のどの位置を指し示したか
を情報として得ることができる。また、タッチスクリーンには、フォトセンサとも呼ばれ
る光電変換素子を画像表示領域に設けることで、ユーザーが指し示した位置を光の強度に
より検出するタイプも含まれる。タッチスクリーンは、位置入力装置としての機能と、表
示装置としての機能とを併せ持つことになるため、操作性が高く、タッチパッドやマウス
のような位置入力装置を用いた場合に比べて電子機器を小型化しやすい。
【0003】
下記の特許文献1には、タッチパネルと液晶表示パネルとを有する情報表示装置について
記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、タッチスクリーンは電子機器の小型化を図りやすいというメリットを有
する。タッチパネル、或いはフォトセンサを、フラットパネルディスプレイのような薄型
の半導体表示装置に付加することで、さらに電子機器を小型化、或いは薄型化することが
できる。そのため、タッチパネルが付加された半導体表示装置は、据え置き型のみならず
、携帯型を含めた様々な電子機器への応用が期待できる。
【0006】
ところで、半導体表示装置の性能を評価する上で低消費電力であることは重要なポイント
の一つであるが、タッチパネル或いはフォトセンサを有する半導体表示装置も例外ではな
い。特に、携帯電話などの携帯型の電子機器だと、タッチパネル或いはフォトセンサを有
する半導体表示装置の消費電力の高さは、連続使用時間の短縮化というデメリットに繋が
るため、消費電力の低さが求められる。
【0007】
上記特許文献1でも、消費電力の低減を課題としている。具体的に、特許文献1では、消
費電力を低減させるために、タッチパネルへのキー操作がないときに液晶表示パネルの駆
動を停止する構成について記載されている。しかし、特許文献1では、上記構成を実現さ
せるために液晶材料の種類を限定する必要があり、汎用性が低い。なおかつ、上記液晶表
示パネルはフルカラーの画像を表示するために、各色に対応する表示層を積層するので、
パネル内部での光の損失が大きく、表示が暗い。
【0008】
上述の課題に鑑み、本発明は、画像の品質低下を防ぎつつ、消費電力の低減を実現するこ
とができる、タッチパネル或いはフォトセンサを有する半導体表示装置の提案を課題とす
る。或いは、本発明は、画像の品質低下を防ぎつつ、消費電力の低減を実現することがで
きる、タッチパネル或いはフォトセンサを有する半導体表示装置の駆動方法の提案を課題
とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、通常、半導体表示装置に位置情報を入力する直前において、画像表示領域
に表示される画像が動画であるよりも静止画である方が、ユーザーにとって入力位置を特
定しやすいと考えた。そして、半導体表示装置に位置情報を断続的に入力する際は、ユー
ザーからの位置情報の入力を待ち受けている期間が長くなりやすいため、画像表示領域に
おいて静止画の表示されている期間も長くなることに着目した。本発明者らは、上記期間
において、半導体表示装置の消費電力を低減させる余地が残されているのではないかと考
えた。
【0010】
そこで、本発明の一態様に係る半導体表示装置では、タッチパネル或いはフォトセンサへ
の位置情報の入力前に静止画が表示される際の駆動周波数を、動画を表示する際の駆動周
波数よりも低くすることで、半導体表示装置の消費電力の低減を図る。或いは、本発明の
一態様に係る半導体表示装置では、タッチパネル或いはフォトセンサへの位置情報の入力
後に静止画が表示される際の駆動周波数を、動画を表示する際の駆動周波数よりも低くす
ることで、半導体表示装置の消費電力の低減を図ることを特徴とする。上記構成により、
タッチパネル或いはフォトセンサへの位置情報の入力を待ち受けている期間において、消
費電力を低減させることができる。
【0011】
さらに、本発明の一態様では、上記構成を実現するために、半導体表示装置の画像表示領
域に相当する画素部に、表示素子と、当該表示素子に与えられる電圧の保持を制御するた
めの、オフ電流が極めて小さい絶縁ゲート電界効果型トランジスタ(以下、単にトランジ
スタとする)とを設けることを特徴とする。オフ電流の極めて小さいトランジスタを用い
ることで、表示素子に与えられる電圧が保持される期間を長くすることができる。そのた
め、静止画のように、連続する幾つかのフレーム期間に渡って、画素部に同じ画像情報を
有する画像信号が書き込まれる場合などは、駆動周波数を低くする、言い換えると一定期
間内における画像信号の書き込み回数を少なくしても、画像の表示を維持することができ
る。
【0012】
上記トランジスタは、シリコン半導体よりもバンドギャップが広い半導体材料を、チャネ
ル形成領域に含むことを特徴とする。上述したような特性を有する半導体材料をチャネル
形成領域に含むことで、オフ電流が極めて低いトランジスタを実現することができる。こ
のような半導体材料としては、例えば、シリコンの約2倍以上の大きなバンドギャップを
有する、酸化物半導体が挙げられる。上記構成を有するトランジスタを、表示素子に与え
られる電圧を保持するためのスイッチング素子として用いることで、表示素子からの電荷
のリークを防ぐことができる。
【0013】
具体的に、本発明の一態様に係る半導体表示装置は、画素部、及び、前記画素部への画像
信号の入力を制御する駆動回路が設けられたパネルと、前記画素部において前記パネルと
重なる位置に設けられたタッチパネルとを有する。前記画素部は、入力される画像信号の
電圧に従って表示を行う表示素子と、前記電圧の保持を制御するトランジスタとを有する
。そして、前記トランジスタは、そのチャネル形成領域に、例えば酸化物半導体などの、
バンドギャップがシリコン半導体よりも広い半導体材料を含んでいる。そして、本発明の
一態様に係る半導体表示装置は、上記構成に加えて、駆動回路の駆動周波数、すなわち一
定期間内における画像信号の書き込み回数を、タッチパネルから入力される操作信号に従
って変更する。
【0014】
或いは、本発明の一態様に係る半導体表示装置は、画素部、及び、前記画素部への画像信
号の入力を制御する駆動回路が設けられたパネルを有する。前記画素部は、入力される画
像信号の電圧に従って表示を行う表示素子と、前記電圧の保持を制御するトランジスタと
を画素に有する。さらに、前記画素部は、フォトセンサを有し、上記フォトセンサは、フ
ォトダイオードなど、受光することで電気信号を発する機能を有する受光素子と、トラン
ジスタとを有する。そして、前記トランジスタは、そのチャネル形成領域に、例えば酸化
物半導体などの、バンドギャップがシリコン半導体よりも広い半導体材料を含んでいる。
そして、本発明の一態様に係る半導体表示装置は、上記構成に加えて、駆動回路の駆動周
波数、すなわち一定期間内における画像信号の書き込み回数を、タッチパネルから入力さ
れる操作信号に従って変更する。
【0015】
なお、酸化物半導体は、微結晶シリコンまたは多結晶シリコンによって得られるのと同程
度の高い移動度と、非晶質シリコンによって得られる均一な素子特性とを兼ね備えた、半
導体特性を示す金属酸化物である。水分または水素などの不純物濃度が十分に低減され、
なおかつ酸素欠損が低減された酸化物半導体膜を用いることにより、トランジスタのオフ
電流、リーク電流を下げることができる。
【0016】
具体的に、酸化物半導体膜を活性層として用いたトランジスタのオフ電流が低いことは、
いろいろな実験により証明できる。例えば、チャネル幅が1×106μmでチャネル長が
10μmの素子であっても、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1V
から10Vの範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、
すなわち1×10-13A以下という特性を得ることができる。この場合、オフ電流をト
ランジスタのチャネル幅で除した数値に相当するオフ電流密度は、100zA/μm以下
であることが分かる。また、容量素子とトランジスタ(ゲート絶縁膜の厚さは100nm
)とを接続して、容量素子に供給される又は容量素子から放出される電荷を当該トランジ
スタで制御する回路を用いて、オフ電流密度の測定を行った。当該測定では、上記トラン
ジスタのチャネル形成領域に高純度化され、酸素欠損が低減された酸化物半導体膜を用い
、容量素子の単位時間あたりの電荷量の推移から当該トランジスタのオフ電流密度を測定
した。その結果、トランジスタのソース電極とドレイン電極間の電圧が3Vの場合に、1
0zA/μm乃至100zA/μmという、さらに低いオフ電流密度が得られることが分
かった。したがって、本発明の一態様に係る半導体表示装置では、酸化物半導体膜を活性
層として用いたトランジスタのオフ電流密度を、ソース電極とドレイン電極間の電圧によ
っては、10zA/μm以下、好ましくは1zA/μm以下、更に好ましくは1yA/μ
m以下にすることができる。従って、高純度化され、酸素欠損が低減された酸化物半導体
膜を活性層として用いたトランジスタは、オフ電流が、結晶性を有するシリコンを用いた
トランジスタに比べて著しく低い。
【0017】
なお、酸化物半導体は、四元系金属酸化物であるIn-Sn-Ga-Zn-O系酸化物半
導体や、三元系金属酸化物であるIn-Ga-Zn-O系酸化物半導体、In-Sn-Z
n-O系酸化物半導体、In-Al-Zn-O系酸化物半導体、Sn-Ga-Zn-O系
酸化物半導体、Al-Ga-Zn-O系酸化物半導体、Sn-Al-Zn-O系酸化物半
導体や、二元系金属酸化物であるIn-Zn-O系酸化物半導体、Sn-Zn-O系酸化
物半導体、Al-Zn-O系酸化物半導体、Zn-Mg-O系酸化物半導体、Sn-Mg
-O系酸化物半導体、In-Mg-O系酸化物半導体、In-Ga-O系酸化物半導体や
、In-O系酸化物半導体、Sn-O系酸化物半導体、Zn-O系酸化物半導体などを用
いることができる。なお、本明細書においては、例えば、In-Sn-Ga-Zn-O系
酸化物半導体とは、インジウム(In)、錫(Sn)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)
を有する金属酸化物、という意味であり、その組成比は特に問わない。また、上記酸化物
半導体は、珪素を含んでいてもよい。
【0018】
また、酸化物半導体は、化学式InMO3(ZnO)m(m>0)で表記することができ
る。ここで、Mは、Ga、Al、MnおよびCoから選ばれた一または複数の金属元素を
示す。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様では、半導体表示装置への位置情報の入力時において、静止画を表示する
際の駆動周波数を、動画を表示する際の駆動周波数よりも低くすることができる。そのた
め、画像の品質低下を防ぎつつ、消費電力を低減することができる、タッチパネルを有す
る半導体表示装置を実現することができる。或いは、画像の品質低下を防ぎつつ、消費電
力を低減することができる、半導体表示装置の駆動方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】半導体表示装置の動作を示すフローチャート。
【
図3】半導体表示装置の動作を示すタイミングチャート。
【
図6】シフトレジスタの動作を示すタイミングチャート。
【
図17】フォトセンサを有する画素部の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は
以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び
詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明
は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0022】
なお、本発明の半導体表示装置は、液晶表示装置、有機発光素子(OLED)に代表され
る発光素子を各画素に備えた発光装置、電子ペーパー、DMD(Digital Mic
romirror Device)、PDP(Plasma Display Pane
l)、FED(Field Emission Display)等や、トランジスタを
画素部に有しているその他の半導体表示装置をその範疇に含む。
【0023】
(実施の形態1)
本発明の一態様に係る半導体表示装置の構成を示すブロック図を、
図1に一例として示す
。なお、本明細書では、ブロック図において、回路を機能ごとに分類し、互いに独立した
ブロックとして示しているが、実際の回路は機能ごとに完全に切り分けることが難しく、
一つの回路が複数の機能に係わることもあり得る。
【0024】
図1に示す半導体表示装置は、パネル100と、表示制御回路101と、CPU102と
、タッチパネル104とを有する。さらに、本発明の一態様に係る半導体表示装置は、タ
ッチパネル用制御回路を有していても良い。
【0025】
パネル100は、各画素110にトランジスタ105及び表示素子106を有する画素部
107と、画素部107の動作を制御する、例えば、信号線駆動回路108及び走査線駆
動回路109などの駆動回路111とを有する。走査線駆動回路109は、画素部107
が有する画素110を、トランジスタ105のスイッチングを制御することで選択する。
信号線駆動回路108は、選択された画素110の表示素子106への、画像信号の入力
を制御する。
【0026】
表示制御回路101は、パネル100が有する信号線駆動回路108及び走査線駆動回路
109への、画像信号、駆動信号及び電源電位の供給を制御する。なお、駆動信号はパル
スによって駆動回路111の動作を制御するための信号であるが、駆動回路111の構成
によって、その動作に必要な駆動信号の種類は異なる。例えば、駆動信号には、シフトレ
ジスタの動作を制御するスタート信号及びクロック信号、記憶回路におけるデータ保持の
タイミングを制御するラッチ信号等が挙げられる。信号線駆動回路108と走査線駆動回
路109は、駆動信号及び電源電位の供給により、上記動作を行うことができる。
【0027】
タッチパネル104は、パネル100の画素部107と重なるように配置されており、ユ
ーザーがスタイラスまたは指などをタッチパネル104に接触させる、或いはタッチパネ
ル104近傍に近づけると、その位置情報を含む操作信号を生成する。タッチパネル用制
御回路は、タッチパネル104から入力された操作信号に、AD変換、振幅処理などの各
種信号処理を施し、CPU102に送る。
【0028】
操作信号には、画素部107のどの位置がユーザーにより選択されたかを特定するための
位置情報が含まれている。CPU102は、操作信号に含まれる上記位置情報を用い、画
素部107において画像の書き換えを行うか否かを選択する。そして、選択された結果に
従って、表示制御回路101の動作を制御する。具体的には、駆動回路111への駆動信
号及び電源電位の供給の有無を選択する。また、例えば、書き換えを行う場合は、上記位
置情報に対応する画像信号を記憶回路から読み出し、表示制御回路101に送る。なお、
上記記憶回路は、CPU102の内部に設けられていても良いし、CPU102の外部に
設けられていても良い。或いは、上記記憶回路は、半導体表示装置の外部に設けられてい
ても良い。
【0029】
なお、タッチパネル104において指し示した位置と、当該位置と重なる画素部107の
位置の対応関係を、キャリブレーションと呼ばれる位置補正操作によりあらかじめ抽出、
或いは補正する。その対応関係のデータは、CPU102が有する記憶回路、或いは、タ
ッチパネル用制御回路が有する記憶回路に保存しておく。
【0030】
なお、
図1では、タッチパネル104を用いた半導体表示装置の構成を示しているが、本
発明の一態様に係る半導体表示装置は、タッチパネル104の代わりにフォトセンサを用
いることができる。フォトセンサは、画素110と共に、画素部107に設けることがで
きる。フォトセンサを用いる場合は、タッチパネル104を用いる場合とは異なり、上述
した位置補正操作は必ずしも必要ではない。
【0031】
そして、本発明の一態様では、タッチパネル104、或いはフォトセンサへの操作信号の
入力により書き換えが行われた結果、画素部107において表示される画像が静止画であ
る場合と、動画である場合とで、駆動回路111の駆動周波数を異ならせる。具体的には
、静止画が表示される際の信号線駆動回路108と走査線駆動回路109の駆動周波数を
、動画が表示される際の上記駆動周波数よりも低くする。上記構成により、半導体表示装
置の消費電力の低減を図る。
【0032】
また、本発明の一態様では、画素部107において、表示素子106に与えられる電圧の
保持を制御するために、オフ電流が極めて小さいトランジスタを用いることを特徴とする
。オフ電流の極めて小さいトランジスタを用いることで、表示素子106に与えられる電
圧が保持される期間を長くすることができる。そのため、静止画のように、連続する幾つ
かのフレーム期間に渡って、画素部107に同じ画像情報を有する画像信号が書き込まれ
る場合などは、駆動周波数を低くする、言い換えると一定期間内における画素部107へ
の画像信号の書き込み回数を少なくしても、画像の表示を維持することができる。例えば
、上述したような、高純度化され、酸素欠損が低減された酸化物半導体膜を活性層として
用いたトランジスタを用いることで、画像信号の書き込みの間隔を10秒以上、好ましく
は30秒以上、さらに好ましくは1分以上にすることができる。そして、画像信号が書き
込まれる間隔を長くすればするほど、より消費電力を低減することができる。
【0033】
なお、特に断りがない限り、本明細書では、オフ電流とは、nチャネル型(pチャネル型
)トランジスタにおいては、ドレイン電極をソース電極とゲート電極よりも高い電位(低
い電位)とした状態において、ソース電極の電位を基準としたときのゲート電極の電位が
0以下(0以上)であるときに、ソース電極とドレイン電極の間に流れる電流のことを意
味する。また、特に断りがない限り、リーク電流とは、絶縁膜を通してソース電極あるい
はドレイン電極とゲート電極との間に流れる電流のことを意味する。
【0034】
本発明の一態様に係る半導体表示装置の動作は、動画を表示する期間と静止画を表示する
期間とに分けて説明することができる。静止画を表示するときの、画素110、駆動回路
111の具体的な動作の一例について、
図3を用いて説明する。
図3に、画素110の動
作状態の時間変化と、駆動回路111の動作状態の時間変化とを、模式的に示す。
【0035】
静止画を表示する期間において、画素110への画像信号IMGの書き込みを行う期間A
と、画像信号IMGによって表示素子106が階調の表示を維持している期間Bは、交互
に出現する。
図3では、期間A1~期間A4で示す4つの期間Aと、期間B1~期間B4
で示す4つの期間Bが、交互に出現している場合を例示している。具体的に
図3では、各
期間が、期間A1、期間B1、期間A2、期間B2、期間A3、期間B3、期間A4、期
間B4の順に並んでいる。
【0036】
期間Aでは、駆動回路111に駆動信号及び電源電位の供給を行うことで、信号線駆動回
路108、走査線駆動回路109などの各駆動回路を動作している状態にする。
図3では
、駆動回路111が動作している状態を、SSTで示す。
【0037】
走査線駆動回路109が動作状態になると、走査信号SCNが走査線駆動回路109から
画素部107に入力されることで、画素110が順次選択される。具体的には、走査信号
SCNによりトランジスタ105がオンになることで、画素110の選択が行われる。信
号線駆動回路108が動作状態になると、走査線駆動回路109により選択された画素1
10に、信号線駆動回路108から画像信号IMGが入力される。具体的には、オンのト
ランジスタ105を介して、画像信号IMGが表示素子106に入力される。
【0038】
選択された画素110に画像信号IMGが入力されると、表示素子106は画像信号IM
Gに応じて階調の表示を行う。表示素子106によって表示される階調の階調数は、2値
であっても良いし、3値以上の多値であっても良い。画像信号IMGによる階調の表示状
態は、一定期間保持される。
【0039】
上述した画像信号IMGの画素110への入力は、他の全ての画素110においても同様
に行われる。全ての画素の表示状態が設定され、画素部107全体において、画像信号I
MGのデータに基づいた画像が表示される。全ての画素110に画像信号IMGのデータ
が書き込まれて表示状態が設定された状態を、
図3ではWで示す。
【0040】
次いで、期間Bでは、駆動回路111への駆動信号及び電源電位の供給を停止することで
、信号線駆動回路108、走査線駆動回路109などの各駆動回路を停止状態にする。図
3では、駆動回路111が動作を停止している状態を、SSTPで示す。信号線駆動回路
108が停止状態になることで、画像信号IMGの画素部107への入力が停止する。
【0041】
また、走査線駆動回路109が停止状態になることで、走査信号SCNの画素部107へ
の入力が停止する。そのため、走査線駆動回路109による画素110の選択が停止する
ため、画素110が有する表示素子106は、直前の期間Aにおいて設定された表示状態
を保持する。表示素子106による階調の表示が保持されている状態を、
図3ではHで示
す。
【0042】
具体的に、
図3では、期間A1において設定された表示状態を、期間B1において保持す
る。期間A2において設定された表示状態を、期間B2において保持する。期間A3にお
いて設定された表示状態を、期間B3において保持する。期間A4において設定された表
示状態を、期間B4において保持する。
【0043】
本発明の一態様では、上述したように、オフ電流が極めて小さいトランジスタ105を用
いているので、期間Bのそれぞれにおける表示状態の保持を、10秒以上、好ましくは3
0秒以上、さらに好ましくは1分以上にすることができる。
【0044】
そして、本発明の一態様では、期間Bの長さを、タッチパネル104或いはフォトセンサ
に入力される操作信号のパルスのタイミングに従って、適宜変更することができる。例え
ば、
図3では、期間B2の終了のタイミングを、操作信号のパルスにより設定している場
合を例示している。
図3では、期間B2が操作信号のパルスの入力により強制的に終了し
、次いで、期間A3が開始されている。よって、
図3の場合、期間B2は、期間B1、期
間B3などの、操作信号のパルスの入力に係わらずに自動的に終了した期間Bに比べて短
い。
【0045】
なお、表示素子が表示状態を維持できる期間には限りがある。よって、表示素子が表示状
態を維持できる期間を考慮し、操作信号のパルスが入力されない間における、期間Bが取
り得る最大の長さをあらかじめ定めておく。すなわち、静止画の表示を行う期間が、期間
Bの取り得る最大の長さよりも長い場合は、操作信号のパルスの入力がなくても、自動的
に当該期間Bを終了させる。そして、次の期間Aにおいて同じ画像信号IMGの画素部1
07へ再度入力し、画素部107全体において、直前の期間Bにおいて保持されていた画
像を、再度表示するようにする。
【0046】
本発明の一態様では、静止画の表示を行う期間において、画像の表示を維持しつつ、画像
信号IMGの画素部107への書き込み回数を大幅に削減することができる。よって、駆
動回路の駆動周波数を大幅に低減することができ、半導体表示装置の消費電力を低減する
ことができる。
【0047】
なお、動画を表示する期間では、静止画を表示する期間と同様に、選択された画素110
に画像信号IMGを書き込む。そして、表示素子106は、画像信号IMGに応じて階調
の表示を行う。しかし、静止画の表示を行う期間とは異なり、全ての画素110に画像信
号IMGを書き込んで表示状態を設定した後に、駆動回路の動作を必ずしも停止しなくと
も良い。
【0048】
次いで、タッチパネル104への操作信号の入力と、それに伴って行われる、画素部10
7における画像の書き換え動作の流れについて説明する。なお、
図2では、タッチパネル
104を用いた場合を例に挙げているが、タッチパネル104の代わりにフォトセンサを
用いた場合でも、同様の動作を行うことが可能である。
【0049】
図2は、半導体表示装置の動作の流れを一例として示すフローチャートである。
図2では
、ユーザーがタッチパネル104への位置情報の入力を行う前に、画素部107において
静止画が表示されている場合(A01:静止画の表示)と、動画が表示されている場合(
A02:動画の表示)とを想定している。
【0050】
本発明の一態様では、まず、画素部107に表示される画像を、タッチパネル104への
入力を行うための、入力用の静止画に書き換える(A03:入力モードへの移行)。具体
的には、タッチパネル104に操作信号を入力する(A04:タッチパネルへの操作信号
の入力)ことで、画素部107に入力用の静止画を表示させる(A05:入力用の静止画
の表示)。動画が表示されている場合(A02:動画の表示)では、入力用の静止画に画
像を書き換えることで、ユーザーが入力位置を特定しやすくなる。
【0051】
次いで、入力用の静止画に基づいて、タッチパネル104への操作信号の入力を行う(A
06:タッチパネルへの操作信号の入力)。タッチパネル104に操作信号が入力される
ことで、画素部107への画像信号の書き込みが行われ、画素部107に表示されている
画像が書き換えられる。この書き換えにより表示される画像は、操作信号の有する位置情
報により従って定められる。
図2では、再度、入力用の静止画が表示される場合(A07
:入力用の静止画の表示)と、操作信号の入力により得られた情報を示す画像が表示され
る場合(A08:結果の表示)とを例示している。また、
図2に示すように、一定の期間
、操作信号の入力により得られた情報を示す画像が表示(A09:結果の表示)された後
に、操作信号の入力を行わなくとも、再度、入力用の静止画が自動的に表示される(A1
0:入力用の静止画の表示)ようにしても良い。
【0052】
なお、操作信号の入力により得られた情報を示す画像は、静止画であっても、動画であっ
ても良い。
【0053】
そして、本発明の一態様では、タッチパネル104への操作信号の入力による静止画の表
示期間において、
図3に示したような駆動回路の動作を停止する駆動方法を採用する。図
2に示すフローチャートでは、例えば、(A05:入力用の静止画の表示)、(A07:
入力用の静止画の表示)、または(A10:入力用の静止画の表示)において、上記駆動
方法を採用することができる。
【0054】
さらに、操作信号の入力により得られた情報を示す画像が静止画である場合も、
図3に示
したような駆動回路の動作を停止する駆動方法を採用しても良い。
【0055】
上記構成により、ユーザーによるタッチパネル104への操作信号の入力が断続的に行わ
れる際に、合間に行われる静止画の表示時に駆動回路の動作を停止し、消費電力を低減さ
せることができる。
【0056】
(実施の形態2)
本実施の形態では、
図1に示した半導体表示装置において、静止画を表示する期間に、表
示制御回路101から駆動回路111に送られる駆動信号及び電源電位について、
図4を
用いて説明する。
【0057】
表示制御回路101には、スタート信号SP、クロック信号CK、及び電源電位Vpが入
力されている。また、表示制御回路101には、CPU102から制御信号GDCTL及
び制御信号SDCTLが入力されている。制御信号GDCTLは、走査線駆動回路109
の駆動を制御するための信号であり、制御信号SDCTLは、信号線駆動回路108の駆
動を制御するための信号である。表示制御回路101は、入力されたスタート信号SP、
クロック信号CK、及び電源電位Vpなどの信号又は電位を、制御信号GDCTL及び制
御信号SDCTLに従って、走査線駆動回路109又は信号線駆動回路108に供給する
。
【0058】
なお、走査線駆動回路109に入力されるスタート信号SPをスタート信号GSP、信号
線駆動回路108に入力されるスタート信号SPをスタート信号SSPとする。また、走
査線駆動回路109に入力されるクロック信号CKをクロック信号GCK、信号線駆動回
路108に入力されるクロック信号CKをクロック信号SCKとする。走査線駆動回路1
09に入力される電源電位Vpを電源電位GVp、信号線駆動回路108に入力される電
源電位Vpを電源電位SVpとする。
【0059】
なお、スタート信号GSPは、垂直同期周波数に応じたパルス信号であり、スタート信号
SSPは、1ゲート選択期間に応じたパルス信号である。
【0060】
また、クロック信号GCKは、1つのクロック信号に限定されず、位相の異なる複数のク
ロック信号をクロック信号GCKとして用いてもよい。複数のクロック信号をクロック信
号GCKとして用いることにより、走査線駆動回路109の動作速度を向上させることが
できる。また、クロック信号SCKは、1つのクロック信号に限定されず、位相の異なる
複数のクロック信号をクロック信号SCKとして用いてもよい。位相の異なる複数のクロ
ック信号をクロック信号SCKとして用いることにより、信号線駆動回路108の動作速
度を向上させることができる。なおクロック信号GCK及びクロック信号SCKとして共
通のクロック信号CKを用いてもよい。
【0061】
次いで、上記駆動信号及び電源電位を用いた場合の、本発明の一態様に係る半導体表示装
置の、駆動方法の一例について説明する。
図4は、制御信号GDCTL、電源電位GVp
、クロック信号GCK、スタート信号GSP、制御信号SDCTL、電源電位SVp、ク
ロック信号SCK、スタート信号SSP、の電位の時間変化を示している。なお、本実施
の形態では、電源電位GVp及び電源電位SVpが共通の電源電位であり、クロック信号
GCKが1つのクロック信号であり、クロック信号SCKが1つのクロック信号であり、
制御信号GDCTL、制御信号SDCTL、スタート信号GSP、及びスタート信号SS
Pが全て2値のデジタル信号である場合を例示している。
【0062】
図4では、動画を表示するフレーム期間311と、静止画を表示するフレーム期間312
と、動画を表示するフレーム期間313に分けられる。
【0063】
まず、フレーム期間311において、表示制御回路101は、制御信号GDCTLのパル
スが入力されると、電源電位GVp、スタート信号GSP、及びクロック信号GCKの出
力を開始する。具体的には、まず、電源電位GVpの出力を開始し、電源電位GVpの出
力が安定したら、次にクロック信号GCKの出力を開始した後、スタート信号GSPの出
力を開始する。なお、クロック信号GCKの出力を開始する直前に、クロック信号GCK
の入力される配線に、クロック信号GCKのハイレベルの電位を印加することで、当該配
線の電位を安定化させておくことが好ましい。上記方法により、動作を開始する際に、走
査線駆動回路109が誤動作するのを防ぐことができる。
【0064】
また、フレーム期間311において、表示制御回路101は、制御信号SDCTLのパル
スが入力されると、電源電位SVp、スタート信号SSP、及びクロック信号SCKの出
力を開始する。具体的には、まず、電源電位SVpの出力を開始し、電源電位SVpの出
力が安定したら、次にクロック信号SCKの出力を開始した後、スタート信号SSPの出
力を開始する。なお、クロック信号SCKの出力を開始する直前に、クロック信号SCK
の入力される配線に、クロック信号SCKのハイレベルの電位を印加することで、当該配
線の電位を安定化させておくことが好ましい。上記方法により、動作を開始する際に、信
号線駆動回路108が誤動作するのを防ぐことができる。
【0065】
走査線駆動回路109が動作を開始すると、走査線駆動回路109から走査線に走査信号
SCNが入力されることで、画素部において画素が順次選択される。そして、信号線駆動
回路108が動作を開始すると、信号線駆動回路108から信号線を介して選択された画
素に画像信号IMGが入力される。画像信号IMGが入力された画素では、当該画像信号
IMGに従って表示素子が表示状態を設定する。
【0066】
次に、フレーム期間312において、表示制御回路101は、電源電位GVp、スタート
信号GSP、及びクロック信号GCKの出力を停止する。具体的には、まず、スタート信
号GSPの出力を停止することで、走査線駆動回路109における走査信号SCNの出力
を停止し、全ての走査線の選択動作を終了させる。その後、電源電位GVpの出力を停止
する。なお、出力の停止とは、例えば信号又は電位が入力されていた配線を浮遊状態にす
ること、或いは、信号又は電位が入力されていた配線に、ローレベルの電位を与えること
を意味する。上記方法により、動作を停止する際に、走査線駆動回路109が誤動作する
のを防ぐことができる。
【0067】
なお、
図4では、フレーム期間312において、表示制御回路101に制御信号GDCT
Lのパルスが入力されていない場合を例示しているが、本発明の一態様はこの構成に限定
されない。フレーム期間312において、制御信号GDCTLのパルスが表示制御回路1
01に入力されていても良い。この場合、表示制御回路101は、制御信号GDCTLの
パルスが入力されていても、電源電位GVp、スタート信号GSP、及びクロック信号G
CKの出力を停止する機構を備えていればよい。
【0068】
また、フレーム期間312において、表示制御回路101は、電源電位SVp、スタート
信号SSP、及びクロック信号SCKの出力を停止する。具体的には、まず、スタート信
号SSPの出力を停止することで、信号線駆動回路108における画像信号IMGの出力
を停止し、全ての信号線への画像信号IMGの入力動作を終了させる。その後、電源電位
SVpの出力を停止する。上記方法により、動作を停止する際に、信号線駆動回路108
が誤動作するのを防ぐことができる。
【0069】
なお、
図4では、フレーム期間312において、表示制御回路101に制御信号SDCT
Lのパルスが入力されていない場合を例示しているが、本発明の一態様はこの構成に限定
されない。フレーム期間312において、制御信号SDCTLのパルスが表示制御回路1
01に入力されていても良い。この場合、表示制御回路101は、制御信号SDCTLの
パルスが入力されていても、電源電位SVp、スタート信号SSP、及びクロック信号S
CKの出力を停止する機構を備えていればよい。
【0070】
そして、フレーム期間312において、画素が有する表示素子は、フレーム期間311に
書き込まれた画像信号IMGのデータに基づく表示状態を保持する。例えば、液晶素子を
表示素子として用いる場合、液晶素子が有する画素電極は浮遊状態となるため、当該液晶
素子は、フレーム期間311に書き込まれた画像信号IMGのデータに基づいて設定され
た透過率を保持する。従って、フレーム期間312において画素部は、フレーム期間31
1に書き込まれた画像信号IMGのデータに基づく画像を静止画として一定期間保持する
。そして、画像信号IMGのデータに基づく画像の保持期間の長さは、例えばCPU10
2から出力される制御信号GDCTL及び制御信号SDCTLのパルス間隔により制御す
ることができる。
【0071】
次に、フレーム期間313において、表示制御回路101は、フレーム期間311と同様
に、上記駆動信号及び電源電位の出力を開始することで、信号線駆動回路108と走査線
駆動回路109の動作を開始させる。
【0072】
上記に一例として示すように、本実施の形態の一態様に係る半導体表示装置では、静止画
の表示を行う期間において、駆動回路へのスタート信号、クロック信号、及び電源電位の
供給を停止させ、且つ、画素部において画像の表示を一定期間維持することができる。上
記構成により、本実施の形態の一態様に係る半導体表示装置は、消費電力を低減すること
ができる。
【0073】
また、本実施の形態の一態様に係る半導体表示装置では、画像信号IMGを画素に書き込
む間隔を大きくすることができるため、画像の切り替わりに起因する目の疲労を低減する
ことができる。
【0074】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0075】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態に示す半導体表示装置における走査線駆動回路及び信
号線駆動回路に適用可能なシフトレジスタの一例について説明する。
【0076】
図5に、本実施の形態におけるシフトレジスタの構成の一例を示す。
【0077】
図5(A)に示すシフトレジスタは、P個(Pは3以上の自然数)の単位順序回路10を
用いて構成されている。
図5(A)では、P個の単位順序回路10を、それぞれ単位順序
回路FF_1乃至単位順序回路FF_Pとして示す。
【0078】
単位順序回路FF_1乃至単位順序回路FF_Pのそれぞれは、スタート信号ST及びリ
セット信号Resが入力される。
【0079】
さらに単位順序回路FF_1乃至単位順序回路FF_Pのそれぞれは、クロック信号CK
1、クロック信号CK2、及びクロック信号CK3が入力される。クロック信号CK1、
クロック信号CK2、及びクロック信号CK3は、例えば第1のクロック信号(CLK1
ともいう)、第2のクロック信号(CLK2ともいう)、第3のクロック信号(CLK3
ともいう)、及び第4のクロック信号(CLK4ともいう)のうちのいずれか3つのクロ
ック信号を用いることできる。第1のクロック信号乃至第4のクロック信号は、ハイレベ
ルとローレベルの電位が繰り返し出現するデジタル信号である。なお、互いに隣り合う単
位順序回路10には、互いに異なる組み合わせのクロック信号が入力さるものとする。図
5(A)に示すシフトレジスタは、第1のクロック信号乃至第4のクロック信号を用いて
単位順序回路10の動作を制御する。上記構成により、動作速度を向上させることができ
る。
【0080】
さらに、
図5(A)に示す単位順序回路10の、具体的な回路構成の一例を
図5(B)に
示す。
【0081】
図5(B)に示す単位順序回路は、トランジスタ31、トランジスタ32、トランジスタ
33、トランジスタ34、トランジスタ35、トランジスタ36、トランジスタ37、ト
ランジスタ38、トランジスタ39、トランジスタ40、トランジスタ41を有する。以
下、上記全てのトランジスタがnチャネル型である場合を例に挙げて、その具体的な接続
関係について説明する。
【0082】
なお、本明細書において接続とは電気的な接続を意味しており、電流、電圧または電位が
、供給可能、或いは伝送可能な状態に相当する。従って、接続している状態とは、直接接
続している状態を必ずしも指すわけではなく、電流、電圧または電位が、供給可能、或い
は伝送可能であるように、配線、抵抗、ダイオード、トランジスタなどの回路素子を介し
て間接的に接続している状態も、その範疇に含む。
【0083】
また、回路図上は独立している構成要素どうしが接続されている場合であっても、実際に
は、例えば配線の一部が電極としても機能する場合など、一の導電膜が、複数の構成要素
の機能を併せ持っている場合もある。本明細書において接続とは、このような、一の導電
膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
【0084】
また、トランジスタが有するソース電極とドレイン電極は、トランジスタの極性及び各電
極に与えられる電位の高低差によって、その呼び方が入れ替わる。一般的に、nチャネル
型トランジスタでは、低い電位が与えられる電極がソース電極と呼ばれ、高い電位が与え
られる電極がドレイン電極と呼ばれる。また、pチャネル型トランジスタでは、低い電位
が与えられる電極がドレイン電極と呼ばれ、高い電位が与えられる電極がソース電極と呼
ばれる。本明細書では、ソース電極とドレイン電極のいずれか一方を第1端子、他方を第
2端子とし、トランジスタの接続関係を説明する。
【0085】
トランジスタ31の第1端子は、電源電位Vaが入力され、トランジスタ31のゲート電
極は、スタート信号STが入力される。
【0086】
トランジスタ32の第1端子は、電源電位Vbが入力され、トランジスタ32の第2端子
は、トランジスタ31の第2端子に接続される。
【0087】
なお、電源電位Vaと電源電位Vbのいずれか一方はハイレベルの電位Vddであり、他
方はローレベルの電位Vssである。電源電位Va及び電源電位Vbの値は、上記全ての
トランジスタがpチャネル型である場合、その電位の関係は互いに入れ替わる。また、電
源電位Va及び電源電位Vbの電位差が電源電圧に相当する。
【0088】
トランジスタ33の第1端子は、トランジスタ31の第2端子に接続され、トランジスタ
33のゲート電極は、電源電位Vaが入力される。
【0089】
トランジスタ34の第1端子は、電源電位Vaが入力され、トランジスタ34のゲート電
極は、クロック信号CK3が入力される。
【0090】
トランジスタ35の第1端子は、トランジスタ34の第2端子に接続され、トランジスタ
35の第2端子は、トランジスタ32のゲート電極に接続され、トランジスタ35のゲー
ト電極は、クロック信号CK2が入力される。
【0091】
トランジスタ36の第1端子は、電源電位Vaが入力され、トランジスタ36のゲート電
極は、リセット信号Resが入力される。
【0092】
トランジスタ37の第1端子は、電源電位Vbが入力され、トランジスタ37の第2端子
は、トランジスタ32のゲート電極及びトランジスタ36の第2端子に接続され、トラン
ジスタ37のゲート電極は、スタート信号STが入力される。
【0093】
トランジスタ38の第1端子は、クロック信号CK1となる信号が入力され、トランジス
タ38のゲート電極は、トランジスタ33の第2端子に接続される。
【0094】
トランジスタ39の第1端子は、電源電位Vbが入力され、トランジスタ39の第2端子
は、トランジスタ38の第2端子に接続され、トランジスタ39のゲート電極は、トラン
ジスタ32のゲート電極に接続される。
【0095】
トランジスタ40の第1端子は、クロック信号CK1が入力され、トランジスタ40のゲ
ート電極は、トランジスタ33の第2端子に接続される。
【0096】
トランジスタ41の第1端子は、電源電位Vbが入力され、トランジスタ41の第2端子
は、トランジスタ40の第2端子に接続され、トランジスタ41のゲート電極は、トラン
ジスタ32のゲート電極に接続される。
【0097】
なお、
図5(B)において、トランジスタ33の第2端子と、トランジスタ38のゲート
電極と、トランジスタ40のゲート電極との接続箇所をノードNAとする。また、トラン
ジスタ32のゲート電極と、トランジスタ35の第2端子と、トランジスタ36の第2端
子と、トランジスタ37の第2端子と、トランジスタ39のゲート電極と、トランジスタ
41のゲート電極との接続箇所をノードNBとする。また、トランジスタ38の第2端子
とトランジスタ39の第2端子との接続箇所をノードNCとする。また、トランジスタ4
0の第2端子とトランジスタ41の第2端子との接続箇所をノードNDとする。
【0098】
図5(B)に示す単位順序回路は、ノードNCの電位を第1の出力信号OUT1として出
力し、ノードNDの電位を第2の出力信号OUT2として出力する。第2の出力信号OU
T2は、例えば、走査線駆動回路では、画素を選択する走査信号SCNとして用いること
ができ、信号線駆動回路では、画像信号IMGを選択された画素に出力するための信号と
して用いられる。
【0099】
なお、1段目の単位順序回路FF_1に入力されるスタート信号STには、例えば、上記
実施の形態の半導体表示装置におけるスタート信号GSP又はスタート信号STPなどが
用いられる。また、2段目以降の単位順序回路FF_2乃至単位順序回路FF_Pでは、
それぞれ前段の単位順序回路における第1の出力信号OUT1を、スタート信号STとし
て用いる。
【0100】
そして、単位順序回路FF_1乃至単位順序回路FF_P-2では、それぞれ2つ後段の
単位順序回路における第1の出力信号OUT1をリセット信号Resとして用いる。また
、単位順序回路FF_P-1と、単位順序回路FF_Pでは、リセット信号Resとして
、例えば別途生成された信号を用いることができる。なお、P-1段目の単位順序回路F
F_P-1と、P段目の単位順序回路FF_Pは、ダミーの単位順序回路として用いられ
る。
【0101】
次に、
図5(A)に示すシフトレジスタの動作の一例について、
図6を用いて説明する。
【0102】
図6(A)は、
図5(B)に示す単位順序回路の動作の一例を示すタイミングチャートで
あり、
図6(B)は、
図5(A)に示すシフトレジスタの動作の一例を示すタイミングチ
ャートである。
【0103】
なお、
図6(A)では、
図5(A)に示す単位順序回路10が
図5(B)に示す構成を有
する場合のタイミングチャートを例示している。また、
図5(B)に示す単位順序回路1
0におけるトランジスタ31乃至トランジスタ41のそれぞれを、全てnチャネル型とし
、電源電位Vaとして電位Vddが入力され、電源電位Vbとして電位Vssが入力され
る場合を例に挙げて、以下説明を行う。
【0104】
図6(A)に示すように、各単位順序回路10では、選択期間61において、スタート信
号STのパルスが入力されることで、トランジスタ31がオンになると、ブートストラッ
プ動作により、ノードNAの電位が電位Vdd以上の高さになり、トランジスタ38及び
トランジスタ40がオンになる。また、スタート信号STのパルスが入力されることで、
トランジスタ37がオンになると、ノードNBの電位がローレベルになり、トランジスタ
39及びトランジスタ41がオフになる。よって、第1の出力信号OUT1の電位がハイ
レベルになり及び第2の出力信号OUT2の電位がハイレベルになる。
【0105】
さらに、非選択期間62において、リセット信号Resのパルスが入力されることにより
、トランジスタ36がオンになるので、ノードNBの電位がハイレベルになり、トランジ
スタ32、トランジスタ39及びトランジスタ41がオンになる。また、トランジスタ3
2がオンになることで、ノードNAの電位がローレベルになり、トランジスタ38及びト
ランジスタ40がオフになる。よって、第1の出力信号OUT1及び第2の出力信号OU
T2の電位はローレベルに維持される。
【0106】
そして、上記動作を第1のクロック信号CLK1乃至第4のクロック信号CLK4に従っ
て、単位順序回路10において順に行うことにより、各単位順序回路10から、
図6(B
)に示すように、順次パルスがシフトする第1の出力信号OUT1及び第2の出力信号O
UT2を出力することができる。
【0107】
本実施の形態で示したシフトレジスタを、上記実施の形態の半導体表示装置が有する走査
線駆動回路または信号線駆動回路に用いる場合、各単位順序回路に入力される電源電位、
クロック信号CLKなどの駆動信号、1段目の単位順序回路に入力されるスタート信号S
Pなどの駆動信号の供給を停止することで、走査線駆動回路及び信号線駆動回路の動作を
停止することができる。
【0108】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0109】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の半導体表示装置の一つである液晶表示装置を例に挙げ、画素
部の具体的な構成について説明する。
【0110】
図7に、複数の画素300が設けられた画素部301の構成を、一例として示す。
図7に
おいて、各画素300は、信号線S1~Sxの少なくとも1つと、走査線G1~Gyの少
なくとも1つとを有している。また、画素300は、スイッチング素子として機能するト
ランジスタ305と、液晶素子306と、容量素子307とを有する。液晶素子306は
、画素電極と、対向電極と、画素電極と対向電極間の電圧が印加される液晶とを有してい
る。
【0111】
トランジスタ305は、液晶素子306の画素電極に、信号線の電位、すなわち画像信号
IMGの電位を与えるか否かを制御する。液晶素子306の対向電極には、所定の電源電
位が与えられている。また、容量素子307は一対の電極を有しており、一方の電極(第
1電極)は液晶素子306の画素電極に接続されており、他方の電極(第2電極)には所
定の電源電位が与えられている。
【0112】
なお、
図7では、画素300において、一のトランジスタ305をスイッチング素子とし
て用いている場合について示しているが、本発明はこの構成に限定されない。一のスイッ
チング素子として複数のトランジスタを用いても良い。
【0113】
次に、
図7に示す画素部301の動作について説明する。
【0114】
まず、走査線G1~Gyが順に選択されると、選択された走査線を有する画素300にお
いて、トランジスタ305がオンになる。そして信号線S1~Sxに画像信号IMGの電
位が与えられると、オンのトランジスタ305を介して、画像信号IMGの電位が液晶素
子306の画素電極に与えられる。
【0115】
液晶素子306では、画素電極と対向電極の間に与えられる電圧の値に従って、液晶分子
の配向が変化し、透過率が変化する。よって、液晶素子306は、画像信号IMGの電位
によってその透過率が制御されることで、階調を表示することができる。
【0116】
次に、走査線の選択が終了すると、該走査線を有する画素300において、トランジスタ
305がオフになる。そして、液晶素子306は、画素電極と対向電極の間に与えられた
電圧を保持することで、階調の表示を維持する。
【0117】
なお、液晶表示装置では、焼き付きと呼ばれる液晶の劣化を防ぐために、液晶素子306
に印加する電圧の極性を所定のタイミングに従って反転させる、所謂、交流駆動が行われ
る。具体的に、交流駆動は、各画素300に入力する画像信号IMGの電位の極性を、対
向電極の電位を基準として反転させることによって行うことができる。そして、交流駆動
を行うと、信号線に与えられる電位の変化が大きくなるため、スイッチング素子として機
能するトランジスタ305のソース電極とドレイン電極の電位差が大きくなる。よって、
トランジスタ305は、閾値電圧がシフトするなどの特性劣化が生じやすい。また、液晶
素子306に保持されている電圧を維持するために、ソース電極とドレイン電極の電位差
が大きくても、オフ電流が低いことが要求される。
【0118】
本発明の一態様では、トランジスタ305に、シリコンまたはゲルマニウムよりもバンド
ギャップが大きい酸化物半導体などの半導体を用いているので、トランジスタ305の耐
圧性を高めることができる。よって、トランジスタ305の耐圧性を高めることで、液晶
表示装置の信頼性を高めることができる。
【0119】
また、電子供与体(ドナー)となる水分または水素などの不純物の低減により高純度化さ
れ、なおかつ酸素の供与により酸素欠損が低減された酸化物半導体をトランジスタ305
に用いることで、トランジスタ305のオフ電流を著しく低くすることができる。
【0120】
トランジスタ305のオフ電流を低減することで、静止画を表示する期間内において、画
像信号IMGの書き込み回数を少なくしても、オフ電流に起因する透過率の変化を小さく
抑えることができ、よって、画像の表示を維持することができる。
【0121】
なお、本発明の一態様では、液晶素子306の対向電極の電位、または、容量素子307
の第2電極の電位を、静止画を表示する期間内において、別途設けたオフ電流の著しく低
いトランジスタを用いて、保持するようにしても良い。上記構成により、半導体表示装置
の消費電力をより低減させることができる。
【0122】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0123】
(実施の形態5)
本実施の形態では、半導体表示装置が有する駆動回路の構成について説明する。
【0124】
図8に、半導体表示装置が有するパネル100の、より詳しい構成の一例をブロック図で
示す。
図8に示すパネル100では、信号線駆動回路108が、シフトレジスタ130、
第1記憶回路131、第2記憶回路132、レベルシフタ133、DAC134、アナロ
グバッファ135を有している。また、走査線駆動回路109が、シフトレジスタ136
、デジタルバッファ137を有している。
【0125】
次いで、
図8に示すパネル100の動作について説明する。信号線駆動回路108の動作
時において、信号線駆動回路108が有する上記各回路には、電源電位SVpが入力され
る。また、走査線駆動回路109の動作時において、走査線駆動回路109が有する上記
各回路には、電源電位GVpが入力される。なお、電源電位SVp、電源電位GVpはそ
れぞれ、必ずしも一系統の電源電位を意味するものではなく、高さが異なる複数系統の電
源電位もその意味に含まれる。
【0126】
シフトレジスタ130に、スタート信号SSP、クロック信号SCKが入力されると、シ
フトレジスタ130は、パルスが順次シフトするタイミング信号を生成する。
【0127】
第1記憶回路131には、画像信号IMGが入力される。そして、第1記憶回路131に
タイミング信号が入力されると、該タイミング信号のパルスに従って、画像信号IMGが
サンプリングされ、第1記憶回路131が有する複数の記憶素子に順に書き込まれる。す
なわち、シリアルで信号線駆動回路108に入力された画像信号IMGが、第1記憶回路
131にパラレルで書き込まれることになる。第1記憶回路131に書き込まれた画像信
号IMGは、保持される。
【0128】
なお、第1記憶回路131が有する複数の記憶素子に順に画像信号IMGを書き込んでも
良いが、第1記憶回路131が有する複数の記憶素子をいくつかのグループに分け、該グ
ループごとに並行して画像信号IMGを入力する、いわゆる分割駆動を行っても良い。な
おこのときのグループ数を分割数と呼ぶ。例えば4つの記憶素子ごとにグループに分けた
場合、4分割で分割駆動することになる。
【0129】
第2記憶回路132には、ラッチ信号LPが入力される。第1記憶回路131への、画像
信号IMGの書き込みが一通り終了した後、帰線期間において、第2記憶回路132に入
力されるラッチ信号LPのパルスに従い、第1記憶回路131に保持されている画像信号
IMGが、第2記憶回路132に一斉に書き込まれ、保持される。画像信号IMGを第2
記憶回路132に送出し終えた第1記憶回路131では、再びシフトレジスタ130から
のタイミング信号に従って、次の画像信号IMGの書き込みが順次行われる。この2順目
の1ライン期間中には、第2記憶回路132に書き込まれ、保持されている画像信号IM
Gが、レベルシフタ133において、その電圧の振幅を調整された後、DAC134に送
られる。DAC134では、入力された画像信号IMGがデジタルからアナログに変換さ
れる。そして、アナログに変換された画像信号IMGは、アナログバッファ135に送ら
れる。DAC134から送られてきた画像信号IMGは、アナログバッファ135から信
号線を介して画素部107に送られる。
【0130】
一方、走査線駆動回路109において、シフトレジスタ136は、スタート信号GSP、
クロック信号GCKが入力されると、パルスが順次シフトする走査信号SCNを生成する
。シフトレジスタ130から出力された走査信号SCNは、デジタルバッファ137から
走査線を介して画素部107に送られる。
【0131】
画素部107が有する画素は、走査線駆動回路109から入力された走査信号SCNによ
り選択される。信号線駆動回路108から信号線を介して画素部107に送られた画像信
号IMGは、上記選択された画素に入力される。
【0132】
図8に示すパネル100では、スタート信号SSP、クロック信号SCK、ラッチ信号L
Pなどが、信号線駆動回路108の駆動信号に相当する。また、スタート信号GSP、ク
ロック信号GCKなどが、走査線駆動回路109の駆動信号に相当する。静止画を表示す
る期間において、駆動信号及び電源電位の供給を停止することで、画素部107への画像
信号IMGの書き込み回数を少なくし、半導体表示装置の消費電力を低減させることがで
きる。
【0133】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0134】
(実施の形態6)
次いで、トランジスタの作製方法の一例について説明する。
【0135】
まず、
図9(A)に示すように、絶縁表面を有する基板800上に、ゲート電極801、
容量用の電極802を形成する。
【0136】
ゲート電極801、電極802の材料は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タン
グステン、ネオジム、スカンジウム等の金属材料、これら金属材料を主成分とする合金材
料を用いた導電膜、或いはこれら金属の窒化物を、単層で又は積層で用いることができる
。なお、後の工程において行われる加熱処理の温度に耐えうるのであれば、上記金属材料
としてアルミニウム、銅を用いることもできる。アルミニウムまたは銅は、耐熱性や腐食
性の問題を回避するために、高融点金属材料と組み合わせて用いると良い。高融点金属材
料としては、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ネオジム、スカン
ジウム等を用いることができる。
【0137】
例えば、二層の積層構造を有するゲート電極801、電極802として、アルミニウム膜
上にモリブデン膜が積層された二層の積層構造、銅膜上にモリブデン膜を積層した二層構
造、銅膜上に窒化チタン膜若しくは窒化タンタル膜を積層した二層構造、または、窒化チ
タン膜とモリブデン膜とを積層した二層構造とすることが好ましい。3層の積層構造を有
するゲート電極801、電極802としては、アルミニウム膜、アルミニウムとシリコン
の合金膜、アルミニウムとチタンの合金膜またはアルミニウムとネオジムの合金膜を中間
層とし、タングステン膜、窒化タングステン膜、窒化チタン膜またはチタン膜を上下層と
して積層した構造とすることが好ましい。
【0138】
また、ゲート電極801、電極802に酸化インジウム、酸化インジウム酸化スズ合金、
酸化インジウム酸化亜鉛合金、酸化亜鉛、酸化亜鉛アルミニウム、酸窒化亜鉛アルミニウ
ム、または酸化亜鉛ガリウム等の透光性を有する酸化物導電膜を用いることもできる。
【0139】
ゲート電極801、電極802の膜厚は、10nm~400nm、好ましくは100nm
~200nmとする。本実施の形態では、タングステンターゲットを用いたスパッタ法に
より150nmのゲート電極用の導電膜を形成した後、該導電膜をエッチングにより所望
の形状に加工(パターニング)することで、ゲート電極801、電極802を形成する。
なお、形成されたゲート電極の端部がテーパー形状であると、上に積層するゲート絶縁膜
の被覆性が向上するため好ましい。なお、レジストマスクをインクジェット法で形成して
もよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため
、製造コストを低減できる。
【0140】
次いで、
図9(B)に示すように、ゲート電極801、電極802上に、ゲート絶縁膜8
03を形成する。ゲート絶縁膜803は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用
いて、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化アルミニウム膜
、窒化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、窒化酸化アルミニウム膜、酸化ハフニ
ウム膜または酸化タンタル膜を単層で又は積層させて形成することができる。ゲート絶縁
膜803は、水分や、水素、酸素などの不純物を極力含まないことが望ましい。スパッタ
リング法により酸化珪素膜を成膜する場合には、ターゲットとしてシリコンターゲット又
は石英ターゲットを用い、スパッタガスとして酸素又は、酸素及びアルゴンの混合ガスを
用いる。
【0141】
不純物が除去された酸化物半導体(高純度化された酸化物半導体)は界面準位、界面電荷
に対して極めて敏感であるため、高純度化された酸化物半導体とゲート絶縁膜803との
界面は重要である。そのため高純度化された酸化物半導体に接するゲート絶縁膜(GI)
は、高品質化が要求される。
【0142】
例えば、μ波(周波数2.45GHz)を用いた高密度プラズマCVDは、緻密で絶縁耐
圧の高い高品質な絶縁膜を形成できるので好ましい。高純度化された酸化物半導体と高品
質なゲート絶縁膜とが密接することにより、界面準位を低減して界面特性を良好なものと
することができるからである。
【0143】
もちろん、ゲート絶縁膜として良質な絶縁膜を形成できるものであれば、スパッタリング
法やプラズマCVD法など他の成膜方法を適用することができる。また、成膜後の熱処理
によってゲート絶縁膜の膜質、ゲート絶縁膜と酸化物半導体との界面特性が改善される絶
縁膜であっても良い。いずれにしても、ゲート絶縁膜としての膜質が良好であることは勿
論のこと、ゲート絶縁膜と酸化物半導体との界面準位密度を低減し、良好な界面を形成で
きるものであれば良い。
【0144】
バリア性の高い材料を用いた絶縁膜と、窒素の含有比率が低い酸化珪素膜、酸化窒化珪素
膜などの絶縁膜とを積層させた構造を有するゲート絶縁膜803を形成しても良い。この
場合、酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜などの絶縁膜は、バリア性の高い絶縁膜と酸化物半導
体膜の間に形成する。バリア性の高い絶縁膜として、例えば窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜
、窒化アルミニウム膜、または窒化酸化アルミニウム膜などが挙げられる。バリア性の高
い絶縁膜を用いることで、水分または水素などの雰囲気中の不純物、或いは基板内に含ま
れるアルカリ金属、重金属などの不純物が、酸化物半導体膜内、ゲート絶縁膜803内、
或いは、酸化物半導体膜と他の絶縁膜の界面とその近傍に入り込むのを防ぐことができる
。また、酸化物半導体膜に接するように窒素の含有比率が低い酸化珪素膜、酸化窒化珪素
膜などの絶縁膜を形成することで、バリア性の高い絶縁膜が直接酸化物半導体膜に接する
のを防ぐことができる。
【0145】
例えば、第1のゲート絶縁膜としてスパッタリング法により膜厚50nm以上200nm
以下の窒化珪素膜(SiNy(y>0))を形成し、第1のゲート絶縁膜上に第2のゲー
ト絶縁膜として膜厚5nm以上300nm以下の酸化珪素膜(SiOx(x>0))を積
層して、膜厚100nmのゲート絶縁膜803としても良い。ゲート絶縁膜803の膜厚
は、トランジスタに要求される特性によって適宜設定すればよく350nm乃至400n
m程度でもよい。
【0146】
本実施の形態では、スパッタ法で形成された膜厚50nmの窒化珪素膜上に、スパッタ法
で形成された膜厚100nmの酸化珪素膜を積層させた構造を有する、ゲート絶縁膜80
3を形成する。
【0147】
なお、ゲート絶縁膜803に水素、水酸基及び水分がなるべく含まれないようにするため
には、成膜の前処理として、スパッタリング装置の予備加熱室でゲート電極801、電極
802が形成された基板800を予備加熱し、基板800に吸着した水分または水素など
の不純物を脱離し排気することが好ましい。なお、予備加熱の温度は、100℃以上40
0℃以下、好ましくは150℃以上300℃以下である。なお、予備加熱室に設ける排気
手段はクライオポンプが好ましい。なお、この予備加熱の処理は省略することもできる。
【0148】
次いで、ゲート絶縁膜803上に膜厚2nm以上200nm以下、好ましくは膜厚3nm
以上50nm以下、さらに好ましくは膜厚3nm以上20nm以下の酸化物半導体膜を形
成する。酸化物半導体膜は、酸化物半導体をターゲットとして用い、スパッタ法により成
膜する。また、酸化物半導体膜は、希ガス(例えばアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、
又は希ガス(例えばアルゴン)及び酸素混合雰囲気下においてスパッタ法により形成する
ことができる。
【0149】
なお、酸化物半導体膜をスパッタ法により成膜する前に、アルゴンガスを導入してプラズ
マを発生させる逆スパッタを行い、ゲート絶縁膜803の表面に付着している塵埃を除去
することが好ましい。逆スパッタとは、ターゲット側に電圧を印加せずに、アルゴン雰囲
気下で基板側にRF電源を用いて電圧を印加して基板にプラズマを形成して表面を改質す
る方法である。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウムなどを用いてもよい。また
、アルゴン雰囲気に酸素、亜酸化窒素などを加えた雰囲気で行ってもよい。また、アルゴ
ン雰囲気に塩素、四フッ化炭素などを加えた雰囲気で行ってもよい。
【0150】
酸化物半導体膜は、上述したように、四元系金属酸化物であるIn-Sn-Ga-Zn-
O系酸化物半導体や、三元系金属酸化物であるIn-Ga-Zn-O系酸化物半導体、I
n-Sn-Zn-O系酸化物半導体、In-Al-Zn-O系酸化物半導体、Sn-Ga
-Zn-O系酸化物半導体、Al-Ga-Zn-O系酸化物半導体、Sn-Al-Zn-
O系酸化物半導体や、二元系金属酸化物であるIn-Zn-O系酸化物半導体、Sn-Z
n-O系酸化物半導体、Al-Zn-O系酸化物半導体、Zn-Mg-O系酸化物半導体
、Sn-Mg-O系酸化物半導体、In-Mg-O系酸化物半導体、In-Ga-O系酸
化物半導体や、In-O系酸化物半導体、Sn-O系酸化物半導体、Zn-O系酸化物半
導体などを用いることができる。また、上記酸化物半導体は、珪素を含んでいてもよい。
【0151】
また、酸化物半導体は、化学式InMO3(ZnO)m(m>0)で表記することができ
る。ここで、Mは、Ga、Al、MnおよびCoから選ばれた一または複数の金属元素を
示す。
【0152】
本実施の形態では、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、及びZn(亜鉛)を含む金
属酸化物ターゲットを用いたスパッタ法により得られる膜厚30nmのIn-Ga-Zn
-O系非単結晶膜を、酸化物半導体膜として用いる。上記ターゲットとして、例えば、I
n2O3:Ga2O3:ZnO=1:1:1[モル数比]の組成比を有するターゲットを
用いる。また、In2O3:Ga2O3:ZnO=1:1:2[モル数比]の組成比を有
するターゲット、またはIn2O3:Ga2O3:ZnO=1:1:4[モル数比]を有
するターゲットを用いることができる。また、SiO2を2重量%以上10重量%以下含
むターゲットを用いて成膜を行ってもよい。また、In、Ga、及びZnを含む金属酸化
物ターゲットの充填率は90%以上100%以下、好ましくは95%以上99.9%以下
である。充填率の高い金属酸化物ターゲットを用いることにより、成膜した酸化物半導体
膜は緻密な膜となる。
【0153】
また、酸化物半導体としてIn-Zn-O系の材料を用いる場合、用いるターゲットの組
成比は、原子数比で、In:Zn=50:1~1:2(モル数比に換算するとIn2O3
:ZnO=25:1~1:4)、好ましくはIn:Zn=20:1~1:1(モル数比に
換算するとIn2O3:ZnO=10:1~2:1)、さらに好ましくはIn:Zn=1
.5:1~15:1(モル数比に換算するとIn2O3:ZnO=3:4~15:2)と
する。例えば、In-Zn-O系酸化物半導体の形成に用いるターゲットは、原子数比が
In:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。
【0154】
本実施の形態では、減圧状態に保持された処理室内に基板を保持し、処理室内の残留水分
を除去しつつ水素及び水分が除去されたスパッタガスを導入し、上記ターゲットを用いて
基板800上に酸化物半導体膜を成膜する。成膜時に、基板温度を100℃以上600℃
以下、好ましくは200℃以上400℃以下としても良い。基板を加熱しながら成膜する
ことにより、成膜した酸化物半導体膜に含まれる不純物濃度を低減することができる。ま
た、スパッタリングによる損傷が軽減される。処理室内の残留水分を除去するためには、
吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、
チタンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、排気手段としては、ター
ボポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプを用いて成膜
室を排気すると、例えば、水素原子、水(H2O)など水素原子を含む化合物(より好ま
しくは炭素原子を含む化合物も)等が排気されるため、当該成膜室で成膜した酸化物半導
体膜に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0155】
成膜条件の一例としては、基板とターゲットの間との距離を100mm、圧力0.6Pa
、直流(DC)電源0.5kW、酸素(酸素流量比率100%)雰囲気下の条件が適用さ
れる。なお、パルス直流(DC)電源を用いると、成膜時に発生するパーティクルと呼ば
れる塵埃が軽減でき、膜厚分布も均一となるために好ましい。
【0156】
なお、酸化物半導体膜に水素、水酸基及び水分がなるべく含まれないようにするために、
成膜の前処理として、スパッタリング装置の予備加熱室でゲート絶縁膜803までが形成
された基板800を予備加熱し、基板800に吸着した水分または水素などの不純物を脱
離し排気することが好ましい。なお、予備加熱の温度は、100℃以上400℃以下、好
ましくは150℃以上300℃以下である。なお、予備加熱室に設ける排気手段はクライ
オポンプが好ましい。なお、この予備加熱の処理は省略することもできる。またこの予備
加熱は、絶縁膜808の成膜前に、ソース電極805及びドレイン電極806、容量用の
電極807まで形成した基板800にも同様に行ってもよい。
【0157】
次いで、
図9(B)に示すように、酸化物半導体膜をエッチングなどにより所望の形状に
加工(パターニング)し、ゲート絶縁膜803上のゲート電極801と重なる位置に、島
状の酸化物半導体膜804を形成する。
【0158】
島状の酸化物半導体膜804を形成するためのレジストマスクをインクジェット法で形成
してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しない
ため、製造コストを低減できる。
【0159】
なお、島状の酸化物半導体膜804を形成するためのエッチングは、ドライエッチングで
もウェットエッチングでもよく、両方を用いてもよい。ドライエッチングに用いるエッチ
ングガスとしては、塩素を含むガス(塩素系ガス、例えば塩素(Cl2)、塩化硼素(B
Cl3)、塩化珪素(SiCl4)、四塩化炭素(CCl4)など)が好ましい。また、
フッ素を含むガス(フッ素系ガス、例えば四弗化炭素(CF4)、弗化硫黄(SF6)、
弗化窒素(NF3)、トリフルオロメタン(CHF3)など)、臭化水素(HBr)、酸
素(O2)、これらのガスにヘリウム(He)やアルゴン(Ar)などの希ガスを添加し
たガス、などを用いることができる。
【0160】
ドライエッチング法としては、平行平板型RIE(Reactive Ion Etch
ing)法や、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導
結合型プラズマ)エッチング法を用いることができる。所望の加工形状にエッチングでき
るように、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加さ
れる電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節する。
【0161】
ウェットエッチングに用いるエッチング液としては、ITO-07N(関東化学社製)を
用いる。また、ウェットエッチング後のエッチング液はエッチングされた材料とともに洗
浄によって除去される。その除去された材料を含むエッチング液の廃液を精製し、含まれ
る材料を再利用してもよい。当該エッチング後の廃液から酸化物半導体膜に含まれるイン
ジウム等の材料を回収して再利用することにより、資源を有効活用し低コスト化を図るこ
とができる。
【0162】
なお、次工程の導電膜を形成する前に逆スパッタを行い、島状の酸化物半導体膜804及
びゲート絶縁膜803の表面に付着しているレジスト残渣などを除去することが好ましい
。
【0163】
次いで、窒素、酸素、超乾燥空気、または希ガス(アルゴン、ヘリウムなど)の雰囲気下
において、酸化物半導体膜804に加熱処理を施す。上記ガスは、水の含有量が20pp
m以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下であることが望ましい。酸
化物半導体膜804に加熱処理を施すことで、酸化物半導体膜804中の水分または水素
を脱離させることができる。具体的には、300℃以上850℃以下(若しくはガラス基
板の歪点以下の温度)、好ましくは550℃以上750℃以下で加熱処理を行えば良い。
例えば、600℃、3分間以上6分間以下程度で行えばよい。加熱処理にはRTA法を用
いれば、短時間に脱水化または脱水素化が行えるため、ガラス基板の歪点を超える温度で
も処理することができる。或いは、基板温度が450℃に達した状態で、1時間程度、加
熱処理を行うようにしても良い。
【0164】
本実施の形態では、加熱処理装置の一つである電気炉を用い、酸化物半導体膜804に対
して、窒素雰囲気下において、加熱処理を行う。
【0165】
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱
輻射によって、被処理物を加熱する装置を備えていてもよい。例えば、GRTA(Gas
Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid
Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal An
neal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライ
ドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧
水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置
である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。気体には、ア
ルゴンなどの希ガス、または窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しない不活
性気体が用いられる。
【0166】
例えば、加熱処理として、650℃~700℃の高温に加熱した不活性ガス中に基板を移
動させて、数分間加熱した後、基板を移動させて高温に加熱した不活性ガス中から出すG
RTAを行ってもよい。GRTAを用いると短時間での高温加熱処理が可能となる。
【0167】
なお、加熱処理においては、窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスに、水
分または水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する窒素、
またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上
、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ま
しくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0168】
水分または水素などの不純物が酸化物半導体に添加されていると、ゲートバイアス・熱ス
トレス試験(BT試験、試験条件は例えば、85℃、2×106V/cm、12時間)に
おいて、不純物と酸化物半導体の主成分との結合手が、強電界(B:バイアス)と高温(
T:温度)により切断され、生成された未結合手がしきい値電圧(Vth)のドリフトを
誘発することとなる。しかし、上述したように、ゲート絶縁膜と酸化物半導体膜との界面
特性を良好にし、なおかつ、酸化物半導体膜中の不純物、特に水分または水素等を極力除
去することにより、BT試験に対しても安定なトランジスタが得られる。
【0169】
以上の工程により酸化物半導体膜804中の水素の濃度を低減し、高純度化することがで
きる。また、当該水素濃度が低減されることにより高純度化され、酸素の供給により酸素
欠損が低減された酸化物半導体膜を用いることで、耐圧性が高く、ショートチャネル効果
が低く、オンオフ比の高いトランジスタを作製することができる。
【0170】
なお、酸化物半導体膜を加熱する場合、酸化物半導体膜の材料や加熱条件にもよるが、そ
の上表面に板状結晶が形成されることがある。板状結晶は、酸化物半導体膜の表面に対し
て略垂直にc軸配向した単結晶体であることが好ましい。また、単結晶体でなくとも、各
結晶が、酸化物半導体膜の表面に対して略垂直にc軸配向した多結晶体であることが好ま
しい。そして、上記多結晶体は、c軸配向している事に加えて、各結晶のab面が一致す
るか、a軸、或いは、b軸が一致していることが好ましい。なお、酸化物半導体膜の下地
表面に凹凸がある場合、板状結晶は多結晶体となる。したがって、下地表面は可能な限り
平坦であることが望まれる。
【0171】
次に、酸化物半導体膜804上に、ソース電極またはドレイン電極(これと同じ層で形成
される配線を含む)として用いる導電膜を、スパッタ法や真空蒸着法で形成したあと、エ
ッチング等により該導電膜をパターニングすることで、
図9(C)に示すように、酸化物
半導体膜804上のソース電極805及びドレイン電極806と、ゲート絶縁膜803を
間に挟んで電極802と重なる電極807とを、それぞれ形成する。
【0172】
ソース電極805、ドレイン電極806、及び電極807(これと同じ層で形成される配
線を含む)となる導電膜の材料としては、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから
から選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせ
た合金膜等が挙げられる。また、Al、Cuなどの金属膜の下側もしくは上側にCr、T
a、Ti、Mo、Wなどの高融点金属膜を積層させた構成としても良い。また、Si、T
i、Ta、W、Mo、Cr、Nd、Sc、YなどAl膜に生ずるヒロックやウィスカーの
発生を防止する元素が添加されているAl材料を用いることで耐熱性を向上させることが
可能となる。
【0173】
また、導電膜は、単層構造でも、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを
含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する2層構造、Ti
膜と、そのTi膜上に重ねてアルミニウム膜を積層し、さらにその上にTi膜を成膜する
3層構造などが挙げられる。
【0174】
また、ソース電極805、ドレイン電極806、及び電極807(これと同じ層で形成さ
れる配線を含む)となる導電膜としては導電性の金属酸化物で形成しても良い。導電性の
金属酸化物としては酸化インジウム(In2O3)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(
ZnO)、酸化インジウム酸化スズ合金(In2O3―SnO2、ITOと略記する)、
酸化インジウム酸化亜鉛合金(In2O3―ZnO)または前記金属酸化物材料にシリコ
ン若しくは酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
【0175】
導電膜形成後に加熱処理を行う場合には、この加熱処理に耐える耐熱性を導電膜に持たせ
ることが好ましい。
【0176】
なお、導電膜のエッチングの際に、酸化物半導体膜804がなるべく除去されないように
それぞれの材料及びエッチング条件を適宜調節する。エッチング条件によっては、島状の
酸化物半導体膜804の露出した部分が一部エッチングされることで、溝部(凹部)が形
成されることもある。
【0177】
なお、フォトリソグラフィ工程で用いるフォトマスク数及び工程数を削減するため、透過
した光に多段階の強度をもたせる多階調マスクによって形成されたレジストマスクを用い
てエッチング工程を行ってもよい。多階調マスクを用いて形成したレジストマスクは複数
の膜厚を有する形状となり、エッチングを行うことでさらに形状を変形することができる
ため、異なるパターンに加工する複数のエッチング工程に用いることができる。よって、
一枚の多階調マスクによって、少なくとも二種類以上の異なるパターンに対応するレジス
トマスクを形成することができる。よって露光マスク数を削減することができ、対応する
フォトリソグラフィ工程も削減できるため、工程の簡略化が可能となる。
【0178】
次いで、N2O、N2、またはArなどのガスを用いたプラズマ処理を行う。このプラズ
マ処理によって露出している酸化物半導体膜の表面に付着した吸着水などを除去する。ま
た、酸素とアルゴンの混合ガスを用いてプラズマ処理を行ってもよい。
【0179】
なお、プラズマ処理を行った後、
図9(D)に示すように、ソース電極805及びドレイ
ン電極806と、電極807と、酸化物半導体膜804とを覆うように、絶縁膜808を
形成する。絶縁膜808は、水分や、水素などの不純物を極力含まないことが望ましく、
単層の絶縁膜であっても良いし、積層された複数の絶縁膜で構成されていても良い。絶縁
膜808に水素が含まれると、その水素が酸化物半導体膜へ侵入し、又は水素が酸化物半
導体膜中の酸素を引き抜き、酸化物半導体膜のバックチャネル部が低抵抗化(n型化)し
てしまい、寄生チャネルが形成されるおそれがある。よって、絶縁膜808はできるだけ
水素を含まない膜になるように、成膜方法に水素を用いないことが重要である。上記絶縁
膜808には、バリア性の高い材料を用いるのが望ましい。例えば、バリア性の高い絶縁
膜として、窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、窒化アルミニウム膜、または窒化酸化アルミニ
ウム膜などを用いることができる。複数の積層された絶縁膜を用いる場合、窒素の含有比
率が低い酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜などの絶縁膜を、上記バリア性の高い絶縁膜よりも
、酸化物半導体膜804に近い側に形成する。そして、窒素の含有比率が低い絶縁膜を間
に挟んで、ソース電極805及びドレイン電極806及び酸化物半導体膜804と重なる
ように、バリア性の高い絶縁膜を形成する。バリア性の高い絶縁膜を用いることで、酸化
物半導体膜804内、ゲート絶縁膜803内、或いは、酸化物半導体膜804と他の絶縁
膜の界面とその近傍に、水分または水素などの不純物が入り込むのを防ぐことができる。
また、酸化物半導体膜804に接するように窒素の比率が低い酸化珪素膜、酸化窒化珪素
膜などの絶縁膜を形成することで、バリア性の高い材料を用いた絶縁膜が直接酸化物半導
体膜804に接するのを防ぐことができる。
【0180】
本実施の形態では、スパッタ法で形成された膜厚200nmの酸化珪素膜上に、スパッタ
法で形成された膜厚100nmの窒化珪素膜を積層させた構造を有する、絶縁膜808を
形成する。成膜時の基板温度は、室温以上300℃以下とすればよく、本実施の形態では
100℃とする。
【0181】
なお、絶縁膜808を形成した後に、加熱処理を施しても良い。加熱処理は、窒素、酸素
、超乾燥空気、または希ガス(アルゴン、ヘリウムなど)の雰囲気下において、好ましく
は200℃以上400℃以下、例えば250℃以上350℃以下で行う。上記ガスは、水
の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下である
ことが望ましい。本実施の形態では、例えば、窒素雰囲気下で250℃、1時間の加熱処
理を行う。或いは、ソース電極805及びドレイン電極806と、電極807とを形成す
る前に、酸化物半導体膜に対して行った先の加熱処理と同様に、高温短時間のRTA処理
を行っても良い。酸化物半導体膜に対して行った先の加熱処理により、酸化物半導体膜8
04に酸素欠損が発生していたとしても、ソース電極805とドレイン電極806の間に
設けられた酸化物半導体膜804の露出領域に接して、酸素を含む絶縁膜808が設けら
れた後に、加熱処理が施されることによって、酸化物半導体膜804に酸素が供与される
。そのため、酸化物半導体膜804の絶縁膜808と接する領域に酸素が供与されること
で、ドナーとなる酸素欠損を低減し、化学量的組成比を満たすことが可能である。その結
果、トランジスタの電気特性の向上および、電気特性のばらつきを軽減することができる
。この加熱処理を行うタイミングは、絶縁膜808の形成後であれば特に限定されず、他
の工程、例えば樹脂膜形成時の加熱処理や、透明導電膜を低抵抗化させるための加熱処理
と兼ねることができる。
【0182】
次いで、絶縁膜808上に導電膜を形成した後、該導電膜をパターニングすることで、酸
化物半導体膜804と重なる位置にバックゲート電極を形成しても良い。バックゲート電
極を形成する場合、バックゲート電極を覆うように絶縁膜を形成する。バックゲート電極
は、ゲート電極801、電極802、或いはソース電極805及びドレイン電極806、
電極807と同様の材料、構造を用いて形成することが可能である。
【0183】
バックゲート電極の膜厚は、10nm~400nm、好ましくは100nm~200nm
とする。本実施の形態では、チタン膜、アルミニウム膜、チタン膜が積層された構造を有
する導電膜を形成した後、フォトリソグラフィ法などによりレジストマスクを形成し、エ
ッチングにより不要な部分を除去して、該導電膜を所望の形状に加工(パターニング)す
ることで、バックゲート電極を形成する。
【0184】
絶縁膜は、雰囲気中の水分、水素などがトランジスタの特性に影響を与えるのを防ぐこと
ができる、バリア性の高い材料を用いるのが望ましい。例えば、バリア性の高い絶縁膜と
して、窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、窒化アルミニウム膜、または窒化酸化アルミニウム
膜などを、プラズマCVD法又はスパッタリング法等により単層で又は積層させて形成す
ることができる。バリア性の効果を得るには、絶縁膜は、例えば厚さ15nm~400n
mの膜厚で形成することが好ましい。
【0185】
本実施の形態では、プラズマCVD法により300nmの絶縁膜を形成する。成膜条件は
、シランガスの流量を4sccmとし、一酸化二窒素(N2O)の流量を800sccm
とし、基板温度を400℃とする。
【0186】
以上の工程により、トランジスタ809と、容量素子810が形成される。なお、容量素
子810は、電極802と電極807とが、ゲート絶縁膜803を間に挟んで重なり合っ
ている領域に形成される。
【0187】
トランジスタ809は、ゲート電極801と、ゲート電極801上のゲート絶縁膜803
と、ゲート絶縁膜803上においてゲート電極801と重なっている酸化物半導体膜80
4と、酸化物半導体膜804上に形成された一対のソース電極805またはドレイン電極
806とを有する。さらに、トランジスタ809は、酸化物半導体膜804上に形成され
た絶縁膜808を、その構成要素に含めても良い。
図9(D)に示すトランジスタ809
は、ソース電極805とドレイン電極806の間において、酸化物半導体膜804の一部
がエッチングされたチャネルエッチ構造である。
【0188】
なお、トランジスタ809はシングルゲート構造のトランジスタを用いて説明したが、必
要に応じて、電気的に接続された複数のゲート電極801を有することで、チャネル形成
領域を複数有する、マルチゲート構造のトランジスタも形成することができる。
【0189】
なお、酸化物半導体のバンドギャップは3.0eV~3.5eVである。一方、炭化シリ
コンのバンドギャップは3.26eV、窒化ガリウムのバンドギャップは3.39eVと
、ともにシリコンの約3倍程度の大きなバンドギャップを有している。よって、これら炭
化シリコンや窒化ガリウムなどの化合物半導体は、ワイドギャップ半導体という点におい
て、酸化物半導体と共通であり、バンドギャップが大きいという特性が、信号処理回路の
耐圧向上、電力損失の低減などに有利である。
【0190】
ところが、炭化シリコンや窒化ガリウムなどの化合物半導体は単結晶であることが必須で
、単結晶材料を得るためには、酸化物半導体のプロセス温度よりも著しく高い温度による
結晶成長であるとか、特殊な基板上のエピタキシャル成長が必要であるとか、作製条件が
厳しく、いずれも入手が容易なシリコンウェハや低いガラス基板上への成膜は不可能であ
る。よって、安価な基板を利用できない上に、基板の大型化には対応できないため、炭化
シリコンや窒化ガリウムなどの化合物半導体を用いた信号処理回路は量産性が低い。一方
、酸化物半導体は、室温でも成膜ができるので、ガラス基板上への成膜が可能であり、量
産性が高い。
【0191】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0192】
(実施の形態7)
本実施の形態では、実施の形態6とは異なる、トランジスタの構成について説明する。
【0193】
図10(A)に、トランジスタ401と容量素子402とが、基板400上に形成されて
いる例を示す。
【0194】
トランジスタ401は、絶縁表面を有する基板400上に、ゲート電極403と、ゲート
電極403上の絶縁膜404と、絶縁膜404を間に挟んでゲート電極403と重なる、
活性層として機能する酸化物半導体膜405と、酸化物半導体膜405上のチャネル保護
膜406と、酸化物半導体膜405上のソース電極407及びドレイン電極408とを有
している。酸化物半導体膜405、チャネル保護膜406、ソース電極407及びドレイ
ン電極408上には、絶縁膜409が形成されており、トランジスタ401は絶縁膜40
9を構成要素に含んでいても良い。
【0195】
また、容量素子402は、電極410と、電極410上の絶縁膜404と、絶縁膜404
上の電極411とを有している。
【0196】
チャネル保護膜406は、プラズマCVD法や熱CVD法などの気相成長法やスパッタリ
ング法を用いて形成することができる。また、チャネル保護膜406には、酸素を含む無
機材料(酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素など)を用いることが望ましい。酸素を
含む無機材料をチャネル保護膜406に用いることで、酸化物半導体膜405中の水分ま
たは水素を低減させるための加熱処理により酸素欠損が発生していたとしても、酸化物半
導体膜405の少なくともチャネル保護膜406と接する領域に酸素を供給し、ドナーと
なる酸素欠損を低減して化学量的組成比を満たす構成とすることが可能である。よって、
酸素欠損によるトランジスタ401の電気特性のばらつきを軽減し、電気特性の向上を実
現することができる。
【0197】
なお、チャネル形成領域とは、半導体膜のうち、ゲート絶縁膜を間に挟んでゲート電極と
重なる領域に相当する。
【0198】
トランジスタ401は、絶縁膜409上に、バックゲート電極をさらに有していても良い
。バックゲート電極は、酸化物半導体膜405のチャネル形成領域と重なるように形成す
る。バックゲート電極は、電気的に絶縁しているフローティングの状態であっても良いし
、電位が与えられる状態であっても良い。後者の場合、バックゲート電極には、ゲート電
極403と同じ高さの電位が与えられていても良いし、グラウンドなどの固定電位が与え
られていても良い。バックゲート電極に与える電位の高さを制御することで、トランジス
タ401の閾値電圧を制御することができる。
【0199】
また、
図10(B)に、
図10(A)とは異なる構成を有する、トランジスタ421と容
量素子422とが、基板400上に形成されている例を示す。
【0200】
トランジスタ421は、絶縁表面を有する基板400上に、ゲート電極423と、ゲート
電極423上の絶縁膜424と、絶縁膜424上のソース電極427及びドレイン電極4
28と、絶縁膜424を間に挟んでゲート電極423と重なり、なおかつソース電極42
7及びドレイン電極428と接している、活性層として機能する酸化物半導体膜425と
を有している。酸化物半導体膜425、ソース電極427及びドレイン電極428上には
、絶縁膜429が形成されており、トランジスタ421は絶縁膜429を構成要素に含ん
でいても良い。
【0201】
また、容量素子422は、電極430と、電極430上の絶縁膜424と、絶縁膜424
上の電極431とを有している。
【0202】
トランジスタ421は、絶縁膜429上に、バックゲート電極をさらに有していても良い
。バックゲート電極は、酸化物半導体膜425のチャネル形成領域と重なるように形成す
る。バックゲート電極は、電気的に絶縁しているフローティングの状態であっても良いし
、電位が与えられる状態であっても良い。後者の場合、バックゲート電極には、ゲート電
極423と同じ高さの電位が与えられていても良いし、グラウンドなどの固定電位が与え
られていても良い。バックゲート電極に与える電位の高さを制御することで、トランジス
タ421の閾値電圧を制御することができる。
【0203】
また、
図10(C)に、
図10(A)、
図10(B)とは異なる構成を有するトランジス
タ441と容量素子442とが、基板400上に形成されている例を示す。
【0204】
トランジスタ441は、絶縁表面を有する基板400上に、ソース電極447及びドレイ
ン電極448と、ソース電極447及びドレイン電極448上の、活性層として機能する
酸化物半導体膜445と、酸化物半導体膜445上の絶縁膜444と、絶縁膜444を間
に挟んで酸化物半導体膜445と重なっているゲート電極443とを有している。ゲート
電極443上には絶縁膜449が形成されており、トランジスタ441は絶縁膜449を
構成要素に含んでいても良い。
【0205】
また、容量素子442は、電極450と、電極450上の絶縁膜444と、絶縁膜444
上の電極451とを有している。
【0206】
なお、スパッタ等で成膜された酸化物半導体膜中には、不純物である水分または水素が多
量に含まれていることが判明している。水分または水素はドナー準位を形成しやすいため
、酸化物半導体にとっては不純物である。そこで、酸化物半導体膜中の水分または水素な
どの不純物を低減して高純度化するためには、酸化物半導体膜に対して、窒素、酸素、超
乾燥空気、または希ガス(アルゴン、ヘリウムなど)の雰囲気下で加熱処理を行う。上記
ガスは、水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb
以下であることが望ましい。上記加熱処理は、500℃以上850℃以下(若しくはガラ
ス基板の歪点以下)、好ましくは550℃以上750℃以下の温度範囲で行うのが望まし
い。なお、この加熱処理は、用いる基板の耐熱温度を超えないものとする。水分または水
素の加熱処理による脱離の効果については、TDS(Thermal Desorpti
on Spectrometry;昇温脱離ガス分析法)により確認済みである。
【0207】
なお、本発明の一態様に係る半導体表示装置は、酸化物半導体をチャネル形成領域に有す
るトランジスタを画素部に用いることを特徴としているが、駆動回路も上記トランジスタ
で構成されていても良い。この場合、画素部と駆動回路とを一の基板に作り込むことがで
きる。
【0208】
或いは、駆動回路の一部または全てを、酸化物半導体よりも移動度が高い多結晶半導体ま
たは単結晶半導体を用いて作製し、画素部の形成された基板に実装するようにしても良い
。例えば、酸化物半導体よりも移動度が高いシリコンまたはゲルマニウムなどを有する、
多結晶、単結晶などの結晶性半導体を用いたトランジスタは、シリコンウェハ、SOI(
Silicon on Insulator)基板、絶縁表面上に成膜された多結晶半導
体膜などを用いて形成することができる。
【0209】
SOI基板は、例えば、スマートカット(登録商標)に代表されるUNIBOND(登録
商標)、ELTRAN(Epitaxial Layer Transfer)(登録商
標)、誘電体分離法、PACE(Plasma Assisted Chemical
Etching)法などや、SIMOX(Separation by Implant
ed Oxygen)法などを用いて作製することができる。
【0210】
絶縁表面を有する基板上に成膜されたシリコンの半導体膜は、公知の技術により結晶化し
たものであっても良い。公知の結晶化方法としては、レーザ光を用いたレーザ結晶化法、
触媒元素を用いる結晶化法がある。或いは、触媒元素を用いる結晶化法とレーザ結晶化法
とを組み合わせて用いることもできる。また、石英のような耐熱性に優れている基板を用
いる場合、電熱炉を使用した熱結晶化方法、赤外光を用いたランプアニール結晶化法、触
媒元素を用いる結晶化法、950℃程度の高温アニール法を組み合わせた結晶法を用いて
も良い。
【0211】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0212】
(実施の形態8)
本発明の一態様に係る半導体表示装置は、タッチパネルと呼ばれる位置入力装置を有して
いる。
【0213】
タッチパネルは、位置検出部において、指またはスタイラスなどが指し示す位置を検出し
、その位置情報を含む信号を生成することができる。よって、位置検出部がパネルの画素
部に重なるようにタッチパネルを設けることで、半導体表示装置のユーザーが画素部のど
の位置を指し示したかを情報として得ることができる。
【0214】
位置検出部における位置の検出は、抵抗膜方式、静電容量方式、超音波方式、赤外線方式
を含む光学方式、電磁誘導方式など、様々な方式を用いて行うことができる。
図11に、
抵抗膜方式を用いた位置検出部の斜視図を示す。抵抗膜方式の位置検出部は、複数の第1
電極1630と複数の第2電極1631とが、間隔をおいて対峙するように設けられてい
る。指などで複数の第1電極1630のいずれかに押圧が加えられると、当該第1電極1
630が複数の第2電極1631のいずれかに接触する。そして、複数の各第1電極16
30の両端に印加される電圧の値と、複数の各第2電極1631の両端に印加される電圧
の値とをモニターすると、いずれの第1電極1630と第2電極1631が接触したのか
を特定することができるので、指が触れた位置を検出することができる。
【0215】
第1電極1630と第2電極1631は、透光性を有する導電材料、例えば、酸化珪素を
含む酸化インジウムスズ(ITSO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(Zn
O)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)などで、
形成することができる。
【0216】
また、
図12(A)に、静電容量方式のうち、投影静電容量方式を用いた位置検出部の斜
視図を示す。投影静電容量方式の位置検出部は、複数の第1電極1640と複数の第2電
極1641とが重なるように設けられている。各第1電極1640は、矩形状の導電膜1
642が複数接続された構成を有しており、各第2電極1641は、矩形状の導電膜16
43が複数接続された構成を有している。なお、第1電極1640と第2電極1641の
形状はこの構成に限定されない。
【0217】
また、
図12(A)では、複数の第1電極1640と複数の第2電極1641の上に、誘
電体として機能する絶縁層1644が重なっている。
図12(B)に、
図12(A)に示
した複数の第1電極1640と、複数の第2電極1641と、絶縁層1644とが重なり
合っている様子を示す。
図12(B)に示すように、複数の第1電極1640と複数の第
2電極1641は、矩形状の導電膜1642と矩形状の導電膜1643の位置が互いにず
れるように、重なり合っている。
【0218】
絶縁層1644に指などが接触すると、複数の第1電極1640のいずれかと、指との間
に容量が形成される。また、複数の第2電極1631のいずれかと、指との間にも容量が
形成される。よって、静電容量の変化をモニターすることで、いずれの第1電極1630
と第2電極1631が指に最も近づいたのかを特定することができるので、指が触れた位
置を検出することができる。
【0219】
なお、本発明の一態様に係る半導体表示装置が有するタッチパネルは、ユーザーが位置検
出部において指し示した位置情報を信号として取り出すことができる構成を有していれば
良く、
図11及び
図12に示した構成以外の形態も取りうる。
【0220】
また、本発明の一態様に係る液晶表示装置は、タッチパネルの代わりにフォトセンサを画
素部に有していても良い。
図17(A)に、フォトセンサを有する画素部の構造の一例を
、模式的に示す。
【0221】
図17(A)に示す画素部1650は、画素1651と、該画素1651に対応したフォ
トセンサ1652とを有する。フォトセンサ1652は、フォトダイオードなど、受光す
ることで電気信号を発する機能を有する受光素子と、トランジスタとを有する。なお、フ
ォトセンサ1652が受光する光は、バックライトからの光が被検出物に照射された際の
反射光を利用することができる。
【0222】
図17(B)に、フォトセンサ1652の構成を一例として示す。
図17(B)に示すフ
ォトセンサ1652は、フォトダイオード1653、トランジスタ1654及びトランジ
スタ1655を有する。フォトダイオード1653は、一方の電極がリセット信号線16
56に、他方の電極がトランジスタ1654のゲート電極に接続されている。トランジス
タ1654は、ソース電極とドレイン電極のいずれか一方が、基準信号線1657に、他
方がトランジスタ1655のソース電極とドレイン電極のいずれか一方に接続されている
。トランジスタ1655は、ゲート電極がゲート信号線1658に、ソース電極とドレイ
ン電極の他方が出力信号線1659に接続されている。
【0223】
なお、フォトセンサ1652の回路構成は上記形態に限定されず、光の強度の情報を電気
信号として取り出すことができる回路構成であればよい。また、フォトダイオード165
3には、非晶質、微結晶、多結晶、或いは単結晶のシリコンを用いることができる。
【0224】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0225】
(実施の形態9)
本発明の一態様に係る液晶表示装置は、画素部にオフ電流が低く、なおかつ信頼性の高い
トランジスタを用いているので、高い視認性、高い信頼性を得ることができる。
【0226】
図13に、本発明の一態様に係る液晶表示装置の、画素の断面図を一例として示す。
図1
3に示すトランジスタ1401は、絶縁表面上に形成されたゲート電極1402と、ゲー
ト電極1402上のゲート絶縁膜1403と、ゲート絶縁膜1403上においてゲート電
極1402と重なっている酸化物半導体膜1404と、酸化物半導体膜1404上に順に
積層するように形成され、ソース電極またはドレイン電極として機能する導電膜1405
及び導電膜1406とを有する。さらに、トランジスタ1401は、酸化物半導体膜14
04上に形成された絶縁膜1407を、その構成要素に含めても良い。絶縁膜1407は
、ゲート電極1402と、ゲート絶縁膜1403と、酸化物半導体膜1404と、導電膜
1405及び導電膜1406とを覆うように形成されている。
【0227】
絶縁膜1407上には絶縁膜1408が形成されている。絶縁膜1407、絶縁膜140
8の一部には開口部が設けられており、該開口部において導電膜1406と接するように
、画素電極1410が形成されている。
【0228】
また、絶縁膜1408上には、液晶素子のセルギャップを制御するためのスペーサ141
7が形成されている。スペーサ1417は絶縁膜を所望の形状にエッチングすることで形
成することが可能であるが、球状スペーサを絶縁膜1408上に分散させることでセルギ
ャップを制御するようにしても良い。
【0229】
そして、画素電極1410上には、配向膜1411が形成されている。また、画素電極1
410と対峙する位置には、対向電極1413が設けられており、対向電極1413の画
素電極1410に近い側には配向膜1414が形成されている。配向膜1411、配向膜
1414は、ポリイミド、ポリビニルアルコールなどの有機樹脂を用いて形成することが
でき、その表面には、ラビングなどの、液晶分子を一定方向に配列させるための配向処理
が施されている。ラビングは、配向膜に接するように、ナイロンなどの布を巻いたローラ
ーを回転させて、上記配向膜の表面を一定方向に擦ることで、行うことができる。なお、
酸化珪素などの無機材料を用い、配向処理を施すことなく、蒸着法で配向特性を有する配
向膜1411、配向膜1414を直接形成することも可能である。
【0230】
そして、画素電極1410と、対向電極1413の間においてシール材1416に囲まれ
た領域には、液晶1415が設けられている。液晶1415の注入は、ディスペンサ式(
滴下式)を用いても良いし、ディップ式(汲み上げ式)を用いていても良い。なお、シー
ル材1416にはフィラーが混入されていても良い。
【0231】
また、
図13では、画素間における液晶1415の配向の乱れに起因するディスクリネー
ションが視認されるのを防ぐために、画素間に、光を遮蔽することができる遮蔽膜142
1が設けられている。遮蔽膜には、カーボンブラック、低次酸化チタンなどの黒色顔料を
含む有機樹脂を用いることができる。または、クロムを用いた膜で、遮蔽膜を形成するこ
とも可能である。
【0232】
そして、画素電極1410、対向電極1413、液晶1415と重なる位置に、カラーフ
ィルタとして機能する、特定の波長領域の可視光のみを優先的に透過する着色層1422
が設けられている。赤、青、緑に対応する波長領域の光を、それぞれ優先的に透過するよ
うな着色層1422を画素ごとに設けることで、フルカラーの画像を表示することができ
る。この場合、白の光が得られるバックライトを用いることが、画像の有する色の純度を
高める上で望ましい。白の光が得られるバックライトとして、例えば、赤の光源と青の光
源と緑の光源を組み合わせた構成、黄または橙の光源と青の光源を組み合わせた構成、白
の光源を単体で用いる構成、シアンの光源とマゼンタの光源と黄の光源を組み合わせた構
成などを、用いることができる。
【0233】
或いは、バックライトから、赤、青、緑に対応する波長領域の光を順に出力するようにし
ても良い。この場合、カラーフィルタを用いなくともフルカラーの画像を表示することが
でき、半導体表示装置の発光効率を高めることができる。ただし、静止画を表示する際に
表示素子の表示状態を固定にすると、カラーフィルタを用いない場合はフルカラーではな
く単色の画像が得られ、カラーフィルタを用いるとフルカラーの画像が得られる。
【0234】
また、光源として、冷陰極管の他、LED、OLEDなどの発光素子を用いることができ
る。ただし、光源によって得られる光の波長が異なるので、必要とする色に合わせて適宜
用いる光源を選択すると良い。
【0235】
なお、
図13では、遮蔽膜1421と着色層1422とを、対向電極1413側に設けた
場合を例示しているが、遮蔽膜1421または着色層1422を、画素電極1410側に
設けても良い。液晶1415への光の入射方向と、液晶1415を透過した光の射出方向
とに合わせて、適宜、遮蔽膜1421と着色層1422の設ける位置を定めることができ
る。
【0236】
画素電極1410と対向電極1413は、例えば、酸化珪素を含む酸化インジウムスズ(
ITSO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛
(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)などの透明導電材料を用いることが
できる。
【0237】
なお、本実施の形態では、液晶表示装置として、TN(Twisted Nematic
)型を示したが、VA(Vertical Alignment)型、OCB(Opti
cally Compensated Birefringence)型、IPS(In
-Plane Switching)型、MVA(Multi-domain Vert
ical Alignment)型等の、その他の液晶表示装置であっても良い。
【0238】
また、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つで
あり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直
前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善
するために5重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を液晶1415に用いる。
ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が10μsec.以上
100μsec.以下と短く、光学的等方性であるため配向処理が不要であり、視野角依
存性が小さい。
【0239】
なお、
図13では、画素電極1409と対向電極1413の間に液晶1415が挟まれて
いる構造を有する液晶素子を例に挙げて説明したが、本発明の一態様に係る液晶表示装置
はこの構成に限定されない。IPS型の液晶素子やブルー相を用いた液晶素子のように、
一対の電極が共に一の基板に形成されていても良い。
【0240】
次いで、本発明の一態様に係る液晶表示装置のパネルの外観について、
図14を用いて説
明する。
図14(A)は、基板4001と対向基板4006とをシール材4005によっ
て接着させたパネルの上面図であり、
図14(B)は、
図14(A)の破線A-A’にお
ける断面図に相当する。
【0241】
基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004とを囲むように
、シール材4005が設けられている。また、画素部4002、走査線駆動回路4004
の上に対向基板4006が設けられている。よって、画素部4002と走査線駆動回路4
004は、基板4001とシール材4005と対向基板4006とによって、液晶400
7と共に封止されている。
【0242】
また、基板4001上のシール材4005によって囲まれている領域とは異なる領域に、
信号線駆動回路4003が形成された基板4021が、実装されている。
図14では、信
号線駆動回路4003に含まれるトランジスタ4009を例示している。
【0243】
また、基板4001上に設けられた画素部4002、走査線駆動回路4004は、トラン
ジスタを複数有している。
図14(B)では、画素部4002に含まれるトランジスタ4
010、トランジスタ4022を例示している。トランジスタ4010、トランジスタ4
022は、酸化物半導体をチャネル形成領域に含んでいる。
【0244】
また、液晶素子4011が有する画素電極4030は、トランジスタ4010と電気的に
接続されている。そして、液晶素子4011の対向電極4031は、対向基板4006に
形成されている。画素電極4030と対向電極4031と液晶4007とが重なっている
部分が、液晶素子4011に相当する。
【0245】
また、スペーサ4035が、画素電極4030と対向電極4031との間の距離(セルギ
ャップ)を制御するために設けられている。なお、
図14(B)では、スペーサ4035
が、絶縁膜をパターニングすることで形成されている場合を例示しているが、球状スペー
サを用いていても良い。
【0246】
また、信号線駆動回路4003、走査線駆動回路4004、画素部4002に与えられる
画像信号、駆動信号及び電源電位は、引き回し配線4014及び4015を介して、接続
端子4016から供給されている。接続端子4016は、FPC4018が有する端子と
、異方性導電膜4019を介して電気的に接続されている。
【0247】
次いで、
図15は、本発明の一態様に係る液晶表示装置の構造を示す、斜視図の一例であ
る。
図15に示す液晶表示装置は、タッチパネル1600と、パネル1601と、第1の
拡散板1602と、プリズムシート1603と、第2の拡散板1604と、導光板160
5と、反射板1606と、バックライト1607と、回路基板1608と、信号線駆動回
路の形成された基板1611とを有している。
【0248】
タッチパネル1600と、パネル1601と、第1の拡散板1602と、プリズムシート
1603と、第2の拡散板1604と、導光板1605と、反射板1606とは、順に積
層されている。バックライト1607は、導光板1605の端部に設けられており、導光
板1605内部に拡散されたバックライト1607からの光は、第1の拡散板1602、
プリズムシート1603及び第2の拡散板1604によって、均一にパネル1601に照
射される。
【0249】
タッチパネル1600は、位置検出部1620を有している。そして、位置検出部162
0は、パネル1601が有する画素部1621と重なるように配置されている。そして、
位置検出部1620に、指またはスタイラスなどが触れる、或いは近づくと、その位置情
報を含む信号が生成される。
【0250】
なお、
図15に示す半導体表示装置では、タッチパネル1600が、パネル1601とユ
ーザーの間に位置するように配置されている。この場合、タッチパネル1600の位置検
出部1620に透光性を持たせることで、ユーザーは、位置検出部1620を介して画素
部1621の画像を見ることができる。なお、タッチパネル1600は、必ずしもパネル
1601とユーザーの間に位置している必要はない。例えば、電磁誘導方式のタッチパネ
ル1600の場合、ユーザーとタッチパネル1600の間にパネル1601が位置してい
ても良い。
【0251】
また、本実施の形態では、第1の拡散板1602と第2の拡散板1604とを用いている
が、拡散板の数はこれに限定されず、単数であっても3以上であっても良い。そして、拡
散板は導光板1605とパネル1601の間に設けられていれば良い。よって、プリズム
シート1603よりもパネル1601に近い側にのみ拡散板が設けられていても良いし、
プリズムシート1603よりも導光板1605に近い側にのみ拡散板が設けられていても
良い。
【0252】
またプリズムシート1603は、
図15に示した断面が鋸歯状の形状に限定されず、導光
板1605からの光をパネル1601側に集光できる形状を有していれば良い。
【0253】
回路基板1608には、タッチパネル用制御回路、CPU、表示制御回路、バックライト
1607の駆動を制御する制御系の回路などが設けられている。そして、
図15では、回
路基板1608とパネル1601とが、COFテープ1609を介して接続されている。
また、信号線駆動回路の形成された基板1611が、COF(Chip On Film
)法を用いてCOFテープ1609に接続されている。また、回路基板1608とタッチ
パネル1600とが、FPC1622を介して接続されている。
【0254】
また、
図15では、バックライト1607の駆動を制御する制御系の回路とバックライト
1607とが、FPC1610を介して接続されている例を示している。ただし、上記制
御系の回路はパネル1601に形成されていても良く、この場合はパネル1601とバッ
クライト1607とがFPCなどにより接続されるようにする。
【0255】
なお、
図15は、パネル1601の端にバックライト1607を配置するエッジライト型
のバックライトを例示しているが、本発明の液晶表示装置はバックライト1607がパネ
ル1601の直下に配置される直下型であっても良い。
【0256】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【実施例0257】
本発明の一態様に係る半導体表示装置を用いることで、低消費電力の電子機器を提供する
ことが可能である。特に電力の供給を常時受けることが困難な携帯用の電子機器の場合、
本発明の一態様に係る半導体表示装置をその構成要素に追加することにより、連続使用時
間が長くなるといったメリットも得られる。
【0258】
本発明の一態様に係る半導体表示装置は、表示装置、ノート型パーソナルコンピュータ、
記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatil
e Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)
に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る半導体表示装置を用いることが
できる電子機器として、携帯電話、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、電子書籍、ビデオカ
メラ、デジタルスチルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)
、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイ
ヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンター、プリンター複合機、現金自動預け入れ払
い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を
図16に示す
。
【0259】
図16(A)は電子書籍であり、筐体7001、表示部7002等を有する。本発明の一
態様に係る半導体表示装置は、表示部7002に用いることができる。表示部7002に
本発明の一態様に係る半導体表示装置を用いることで、低消費電力の電子書籍を提供する
ことができる。また、可撓性を有する基板でパネルを作製し、なおかつタッチパネルにも
可撓性を持たせることで、半導体表示装置に可撓性を持たせることができるので、フレキ
シブルかつ軽くて使い勝手の良い電子書籍を提供することができる。
【0260】
図16(B)は表示装置であり、筐体7011、表示部7012、支持台7013等を有
する。本発明の一態様に係る半導体表示装置は、表示部7012に用いることができる。
表示部7012に本発明の一態様に係る半導体表示装置を用いることで、低消費電力の表
示装置を提供することができる。なお、表示装置には、パーソナルコンピュータ用、TV
放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0261】
図16(C)は現金自動預け入れ払い機であり、筐体7021、表示部7022、硬貨投
入口7023、紙幣投入口7024、カード投入口7025、通帳投入口7026等を有
する。本発明の一態様に係る半導体表示装置は、表示部7022に用いることができる。
表示部7022に本発明の一態様に係る半導体表示装置を用いることで、低消費電力の現
金自動預け入れ払い機を提供することができる。
【0262】
図16(D)は携帯型ゲーム機であり、筐体7031、筐体7032、表示部7033、
表示部7034、マイクロホン7035、スピーカー7036、操作キー7037、スタ
イラス7038等を有する。本発明の一態様に係る半導体表示装置は、表示部7033、
表示部7034に用いることができる。表示部7033、表示部7034に本発明の一態
様に係る半導体表示装置を用いることで、低消費電力の携帯型ゲーム機を提供することが
できる。なお、
図16(D)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部7033と表示部
7034とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない
。
【0263】
図16(E)は携帯電話であり、筐体7041、表示部7042、音声入力部7043、
音声出力部7044、操作キー7045、受光部7046等を有する。受光部7046に
おいて受信した光を電気信号に変換することで、外部の画像を取り込むことができる。本
発明の一態様に係る半導体表示装置は、表示部7042に用いることができる。表示部7
042に本発明の一態様に係る半導体表示装置を用いることで、低消費電力の携帯電話を
提供することができる。
【0264】
図16(F)は携帯情報端末であり、筐体7051、表示部7052、操作キー7053
等を有する。
図16(F)に示す携帯情報端末は、モデムが筐体7051に内蔵されてい
ても良い。本発明の一態様に係る半導体表示装置は、表示部7052に用いることができ
る。表示部7052に本発明の一態様に係る半導体表示装置を用いることで、低消費電力
の携帯情報端末を提供することができる。
【0265】
本実施例は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。