IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 深▲せん▼市精鋒医療科技股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特開2023-182733手術ロボット及びそのロボットアームの制御方法、制御装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182733
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】手術ロボット及びそのロボットアームの制御方法、制御装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/37 20160101AFI20231219BHJP
   B25J 3/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
A61B34/37
B25J3/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023172342
(22)【出願日】2023-10-03
(62)【分割の表示】P 2022511389の分割
【原出願日】2020-09-08
(31)【優先権主張番号】201910854105.6
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521464499
【氏名又は名称】深▲せん▼市精鋒医療科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shenzhen edge medical CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】2B1901, Phase II, Smart Home, No. 76 Baohe Avenue, Baolong Community, Baolong Street, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】高 元倩
(72)【発明者】
【氏名】叶 国強
(57)【要約】      (修正有)
【課題】手術ロボット及びそのロボットアームの制御方法、制御装置である。
【解決手段】手術ロボットは、ロボットアーム(21)及び制御装置を含み、制御装置は、動力機構(22)に付与される外力を受け、入力された動力機構(22)のタスク自由度の操作指令を取得し、タスク自由度に合わせて外力を解析して動力機構(22)のベース座標系における目標位置姿勢情報を取得し、目標位置姿勢情報に基づいて、ロボットアーム(21)内における各関節を作動させて動力機構(22)を相応のタスク自由度で動かす。操作指令は、タスク自由度が有効自由度と完全に合致することに関連する第1操作指令、または、タスク自由度が有効自由度と完全に合致しないが有効自由度に含まれることに関連する第2操作指令を含む。前記手術ロボットにより、動力機構(22)を正確に自由にドラッグしたり制約ドラッグしたりすることができる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術ロボットであって、
関節により連結される複数のリンクを有し、遠位端とする前記リンクが動力機構であるロボットアームと、
前記ロボットアームに接続される制御装置と、を含み、
前記制御装置は、
前記リンクのうちの受力リンクを決定して前記受力リンクに付与される外力を受け、
前記受力リンクが1つであり、かつ前記受力リンクが前記動力機構を含まない場合、前記動力機構に設定されたタスク自由度が、前記ロボットアームにおける、姿勢自由度に応じた有効自由度であると、前記受力リンクへの外力を解析し、前記受力リンクの前記ロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得するとともに、前記動力機構の前記ベース座標系における現在位置姿勢情報を取得し、
前記受力リンクが前記ベース座標系における前記目標位置姿勢情報に応じた目標位置姿勢に到達した条件では、前記動力機構の前記ベース座標系における現在位置姿勢情報を換算して前記動力機構の前記受力リンクの座標系における目標位置姿勢情報を取得し、
前記受力リンクの前記ベース座標系における目標位置姿勢情報に基づいて、前記受力リンク及びその近位端の各前記リンクを作動させて前記受力リンクを相応の目標位置姿勢に到達させるとともに、前記動力機構の前記受力リンクの座標系における目標位置姿勢情報に基づいて、前記動力機構、及び前記動力機構と前記受力リンクとの間の各前記リンクを作動させて前記動力機構を現在位置または位置姿勢に保持する
よう配置されことを特徴とする手術ロボット。
【請求項2】
前記ロボットアームは、前記制御装置に接続されて受力情報を収集するための6軸力覚センサを複数含み、
前記動力機構を含んで連続する2つ以上の隣り合う前記リンクの間には、それぞれ1つの6軸力覚センサが設置され、
前記リンクのうちの受力リンクを決定して前記受力リンクに付与される外力を受けることは、
各前記6軸力覚センサでの1組の負荷パラメータを取得することと、
各前記6軸力覚センサでの1組の負荷パラメータに基づいて、対応する前記6軸力覚センサの座標系における、前記6軸力覚センサ遠位端の各前記リンクによる負荷に応じた負荷力学モデルを決定することと、
前記ロボットアーム内における各関節の位置情報を取得し、各前記6軸力覚センサでの負荷力学モデルに合わせて各前記6軸力覚センサでの負荷の6軸力/モーメントベクトルをそれぞれ計算することと、
ゼロオフセットの6軸力/モーメントベクトル及び6軸力/モーメントベクトルの合計を取得し、各前記6軸力覚センサでの負荷の6軸力/モーメントベクトルに合わせて、各前記6軸力覚センサに作用する外力の6軸力/モーメントベクトルを算出することと、
算出された、各前記6軸力覚センサに作用する外力の6軸力/モーメントベクトル、及びその遠位端に隣り合う1つの前記6軸力覚センサに作用する外力の6軸力/モーメントベクトルに基づいて受力リンクを決定するとともに、前記受力リンクに付与される外力を算出することと、を含み、
前記1組の負荷パラメータは、対応する前記6軸力覚センサ遠位端に位置する各前記リンクの負荷パラメータを含み、
前記動力機構の負荷パラメータは、前記動力機構内部の取付状態情報及び位置状態情報に基づいて取得され、
前記負荷パラメータは、質量パラメータ及び重心パラメータを含むことを特徴とする請求項1に記載の手術ロボット。
【請求項3】
手術ロボットであって、
関節により連結される複数のリンクを有し、遠位端とする前記リンクが動力機構であるロボットアームと、
前記ロボットアームに接続される制御装置と、を含み、
前記制御装置は、
前記リンクのうちの受力リンクを決定して前記受力リンクに付与される外力を受け、前記受力リンクが第1受力リンクを含み、前記第1受力リンクが前記動力機構を含まず、
前記第1受力リンクへの外力を解析して前記第1受力リンクの前記ロボットアームのベース座標系における第1目標位置姿勢情報を取得し、
前記動力機構の隣接する前記第1受力リンクの座標系における第2目標位置姿勢情報を取得し、
前記第1目標位置姿勢情報に基づいて、前記第1受力リンク及びその近位端の各前記リンクを作動させて前記第1受力リンクを相応の第1目標位置姿勢に到達させるとともに、前記第2目標位置姿勢情報に基づいて、前記動力機構、及び前記動力機構と前記第1受力リンクとの間の各前記リンクを作動させて前記動力機構を現在位置または位置姿勢に保持する
よう配置されることを特徴とする手術ロボット。
【請求項4】
前記動力機構の隣接する前記第1受力リンクの座標系における第2目標位置姿勢情報を取得することは、
前記第1受力リンクが前記ベース座標系における前記第1目標位置姿勢情報に応じた目標位置姿勢に到達した条件では、前記動力機構の前記ベース座標系における現在位置姿勢情報を換算して前記動力機構の隣接する前記第1受力リンクの座標系における前記第2目標位置姿勢情報を取得することを含むことを特徴とする請求項3に記載の手術ロボット。
【請求項5】
前記受力リンクは、前記動力機構をさらに含み、
前記動力機構の前記第1受力リンクの座標系における第2目標位置姿勢情報を取得することは、
前記動力機構への外力を解析して前記動力機構の前記ベース座標系における目標位置姿勢情報を取得することと、
前記第1受力リンクが前記ベース座標系における第1目標位置姿勢情報に応じた目標位置姿勢に到達した条件では、前記動力機構の前記ベース座標系における前記目標位置姿勢情報を換算して前記動力機構の隣接する前記第1受力リンクの座標系における前記第2目標位置姿勢情報を取得することと、を含むことを特徴とする請求項3に記載の手術ロボット。
【請求項6】
前記受力リンクの前記ベース座標系における目標位置姿勢情報に基づいて、前記受力リンク及びその近位端の各前記リンクを作動させて前記受力リンクを相応の目標位置姿勢に到達させるとともに、前記動力機構の前記受力リンクの座標系における目標位置姿勢情報に基づいて、前記動力機構、及び前記動力機構と前記受力リンクとの間の各前記リンクを作動させて前記動力機構を現在位置または位置姿勢に保持する前に、
前記動力機構の隣接する前記第1受力リンクの座標系における前記第2目標位置姿勢情報が有効であるか否かを判断することと、
有効な場合、前記受力リンクの前記ベース座標系における目標位置姿勢情報に基づいて、前記受力リンク及びその近位端の各前記リンクを作動させて前記受力リンクを相応の目標位置姿勢に到達させるとともに、前記動力機構の前記受力リンクの座標系における目標位置姿勢情報に基づいて、前記動力機構、及び前記動力機構と前記受力リンクとの間の各前記リンクを作動させて前記動力機構を現在位置または位置姿勢に保持し、
無効な場合、前記動力機構の前記ベース座標系における目標位置姿勢情報に基づいて、前記ロボットアーム内における各前記リンクを作動させ、前記動力機構を現在位置に保持するとともに姿勢を調節することと、をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の手術ロボット。
【請求項7】
前記第1受力リンクは、近位端受力リンクおよび遠位端受力リンクを含み、
前記第1受力リンクへの外力を解析して前記第1受力リンクの前記ロボットアームのベース座標系における第1目標位置姿勢情報を取得することは、
前記近位端受力リンクへの外力を解析して前記近位端受力リンクの前記ベース座標系における近位端目標位置姿勢情報を取得することと、
前記遠位端受力リンクへの外力を解析して前記遠位端受力リンクの、前記近位端受力リンクの座標系における遠位端目標位置姿勢情報を取得することと、を含み、
前記第1目標位置姿勢情報に基づいて、前記第1受力リンク及びその近位端の各前記リンクを作動させて前記第1受力リンクを第1目標位置姿勢に到達させることは、
前記近位端目標位置姿勢情報に基づいて、前記近位端受力リンク及びその近位端の各前記リンクを作動させて前記近位端受力リンクを相応の近位端目標位置姿勢に到達させることと、
前記遠位端目標位置姿勢情報に基づいて、前記遠位端受力リンクとその前記近位端受力リンクとの間の各前記リンクを作動させて前記遠位端受力リンクを相応の遠位端目標位置姿勢に到達させることと、を含むことを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の手術ロボット。
【請求項8】
手術ロボットのロボットアームに適用する手術ロボットの制御方法は、
前記ロボットアームは、関節により連結される複数のリンクを有し、前記ロボットアームの遠位端とする前記リンクが動力機構であり、
前記リンクのうちの受力リンクを決定して前記受力リンクに付与される外力を受けることと、
前記受力リンクが1つであり、かつ前記受力リンクが前記動力機構を含まない場合、前記動力機構に設定されたタスク自由度が、前記ロボットアームにおける、姿勢自由度に応じた有効自由度であると、前記受力リンクへの外力を解析して前記受力リンクの前記ロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得するとともに、前記動力機構の前記ベース座標系における現在位置姿勢情報を取得することと、
前記受力リンクが前記ベース座標系における前記目標位置姿勢情報に応じた目標位置姿勢に到達した条件では、前記動力機構の前記ベース座標系における現在位置姿勢情報を換算して前記動力機構の前記受力リンクの座標系における目標位置姿勢情報を取得することと、
前記受力リンクの前記ベース座標系における目標位置姿勢情報に基づいて、前記受力リンク及びその近位端の各前記リンクを作動させて前記受力リンクを相応の目標位置姿勢に到達させるとともに、前記動力機構の前記受力リンクの座標系における目標位置姿勢情報に基づいて、前記動力機構、及び前記動力機構と前記受力リンクとの間の各前記リンクを作動させて前記動力機構を現在位置または位置姿勢に保持することと、を含むことを特徴とする手術ロボットの制御方法。
【請求項9】
手術ロボットのロボットアームに適用する手術ロボットの制御方法は、
前記ロボットアームは、関節により連結される複数のリンクを有し、前記ロボットアームの遠位端とする前記リンクが動力機構であり、
前記リンクのうちの受力リンクを決定して前記受力リンクに付与される外力を受け、前記受力リンクが第1受力リンクを含み、前記第1受力リンクが前記動力機構を含まないことと、
前記動力機構に設定されたタスク自由度が、前記ロボットアームにおける、姿勢自由度に応じた有効自由度であると、前記第1受力リンクへの外力を解析し、前記第1受力リンクの前記ロボットアームのベース座標系における第1目標位置姿勢情報を取得することと、
前記動力機構の隣接する前記第1受力リンクの座標系における第2目標位置姿勢情報を取得することと、
前記第1目標位置姿勢情報に基づいて、前記第1受力リンク及びその近位端の各前記リンクを作動させて前記第1受力リンクを相応の第1目標位置姿勢に到達させるとともに、前記第2目標位置姿勢情報に基づいて、前記動力機構、及び前記動力機構と前記第1受力リンクとの間の各前記リンクを作動させて前記動力機構を現在位置または位置姿勢に保持することと、を含むことを特徴とする手術ロボットの制御方法。
【請求項10】
コンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
コンピュータプログラムが記憶されており、
前記コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されて請求項8または請求項9の記載の制御方法を実現するよう配置されることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出願日が2019年9月10日に出願され、名称が「手術ロボット及びそのロボットアームの制御方法、制御装置」である中国特許出願CN201910854105.6の優先権を主張する。この引用により、前記中国特許出願の内容を本出願中に全て取り込んだものとする。
本発明は、低侵襲手術医療機器領域に関し、特に、手術ロボット及びそのロボットアームの制御方法、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
低侵襲手術とは、腹腔鏡や胸腔鏡等の最新の医療機器と関連設備を用いて、人の体腔内で手術を行う手術方法を指す。従来の手術方法と比べて、低侵襲手術には、外傷が少なく、痛みが少なく、回復が早いという利点等がある。
【0003】
技術の進歩に伴って、低侵襲手術ロボット技術は徐々に成熟し、かつ幅広く応用されている。低侵襲手術ロボットは、通常、マスタコンソール及びスレーブ操作装置を含み、マスタコンソールがハンドルを含み、医師はハンドルを操作してスレーブ操作装置に制御指令を送信する。スレーブ操作装置は、ロボットアームを含み、ロボットアーム遠位端は作動アームを有し、作動アームが端部器具を有する。医師は患者に手術を実施する前に、ロボットアームをドラッグしてその遠位端を、医師が計画した患者の手術切り口部位の所望の位置姿勢まで動かす必要がある。
【0004】
しかしながら、計画位置までにロボットアームをドラッグすると、受力位置遠位端の構造による負荷の状況が不安定なため、操作者によって付与される外力を正確に決定することができなくて、ドラッグ手触りと操作者の意図との間にギャップが大きく、追従性が悪いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のことにより、動力機構を良好にドラッグ可能な手術ロボット及びその制御方法、コンピュータ読み取り可能な記録媒体の提供が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本発明は、手術ロボットのロボットアームの制御方法を提供し、動力機構内部の取付状態情報及び位置状態情報に基づいて、動力機構の相応の状態での、質量パラメータ及び重心パラメータを含む負荷パラメータを取得するステップと、負荷パラメータに基づいて、6軸力覚センサの座標系における、動力機構による負荷に応じた負荷力学モデルを決定するステップと、ロボットアーム内における各関節の位置情報を取得し、負荷力学モデルに合わせて負荷の6軸力/モーメントベクトルを計算するステップと、ゼロオフセットの6軸力/モーメントベクトル及び6軸力/モーメントベクトルの合計を取得するステップと、6軸力/モーメントベクトルの合計、ゼロオフセットの6軸力/モーメントベクトル、及び負荷の6軸力/モーメントベクトルに基づいて、動力機構に付与される外力の6軸力/モーメントベクトルを計算するステップと、外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して動力機構のロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得するとともに、目標位置姿勢情報に基づいて、ロボットアーム内における各関節を作動させて動力機構を相応の目標位置姿勢に到達させるステップと、を含む。
【0007】
1つの実施例では、前記取付状態情報は、各前記動力部の前記作動アームの取付状態に関連し、前記位置状態情報は、各前記動力部の相応の前記ガイドレールに対する位置状態に関連し、前記取付状態情報は、各前記動力部に作動アームが取り付けられるか否かの情報、及び/又は、各前記動力部に取り付けられる作動アームの種類情報を含む。
【0008】
1つの実施例では、前記動力機構内部の取付状態情報及び位置状態情報に基づいて、前記動力機構の相応の状態での負荷パラメータを取得するステップの前に、前記動力機構内部の各取付状態に応じて、前記動力機構が相応の前記取付状態にあって内部が異なる位置状態であるときに応じた前記動力機構の負荷パラメータをそれぞれ測定ステップと、測定された、前記動力機構の相応の前記取付状態にあって内部が異なる位置状態であるときに応じた負荷パラメータに基づいて、前記動力機構の各取付状態に応じた1つのパラメータ計算モデルをそれぞれ確立するステップと、を含む。
【0009】
1つの実施例では、前記動力機構内部の取付状態情報及び位置状態情報に基づいて、前記動力機構の相応の状態での負荷パラメータを取得するステップでは、前記動力機構の内部の取付状態情報及び位置状態情報を取得するステップと、前記動力機構の取付状態情報に基づいてパラメータ計算モデルを呼び出すステップと、呼び出された前記パラメータ計算モデル及び前記動力機構の位置状態情報に合わせて、前記動力機構の相応の状態での負荷パラメータを算出するステップと、を含む。
【0010】
1つの実施例では、前記外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して前記動力機構の前記ロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得するステップの前に、入力された、前記動力機構のタスク自由度に関連する操作指令を取得するステップを含む。前記外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して前記動力機構の前記ロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得するステップでは、具体的に、前記タスク自由度に合わせて、前記外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して前記動力機構の前記ロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得することで、前記動力機構を相応のタスク自由度で作動させることが可能である。
【0011】
1つの実施例では、前記操作指令は、第1操作指令及び第2操作指令を含む。前記第1操作指令は、前記タスク自由度が前記ロボットアームの有効自由度と完全に合致する場合に関連し、前記第1操作指令に基づいて取得された前記目標位置姿勢情報に応じて前記動力機構を自由にドラッグ制御する。前記第2操作指令は、前記タスク自由度が前記ロボットアームの有効自由度と完全に合致しないが前記ロボットアームの有効自由度に含まれる場合に関連し、前記第2操作指令に基づいて取得された前記目標位置姿勢情報に応じて、設定されたタスク自由度内のみで前記動力機構をドラッグ制御する。
【0012】
1つの実施例では、前記第2操作指令は、前記動力機構のタスク自由度が前記ロボットアームの有効自由度のうちの、姿勢自由度に関連する有効自由度から選択される場合に関連する。
【0013】
1つの実施例では、前記外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して前記動力機構の前記ロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得するステップでは、具体的に、パラメータが調整可能な剛度マトリックスを制御して前記外力の6軸力/モーメントベクトルを前記動力機構の前記ロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報に変換する。
【0014】
他の態様では、本発明は、手術ロボットのロボットアームの制御方法を提供し、各6軸力覚センサでの、対応する6軸力覚センサ遠位端に位置する各リンクの負荷パラメータを含む負荷パラメータを1組取得し、動力機構内部の取付状態情報及び位置状態情報に基づいて、質量パラメータ及び重心パラメータを含む動力機構の負荷パラメータを取得するステップと、各6軸力覚センサでの1組の負荷パラメータにより、対応する6軸力覚センサ座標系における、6軸力覚センサ遠位端の各リンクによる負荷に応じた負荷力学モデルを決定するステップと、ロボットアーム内における各関節の位置情報を取得し、各6軸力覚センサでの負荷力学モデルに合わせて各6軸力覚センサでの負荷の6軸力/モーメントベクトルを計算するステップと、ゼロオフセットの6軸力/モーメントベクトル及び6軸力/モーメントベクトルの合計を取得し、各前記6軸力覚センサでの負荷の6軸力/モーメントベクトルに合わせて、各6軸力覚センサに作用する外力の6軸力/モーメントベクトルを算出するステップと、算出された、各6軸力覚センサに作用する外力の6軸力/モーメントベクトル、及びその遠位端に隣り合う1つの前記6軸力覚センサに作用する外力の6軸力/モーメントベクトルに基づいて受力リンクを決定するとともに、受力リンクに付与される外力の6軸力/モーメントベクトルを算出するステップと、受力リンクに付与される外力の6軸力/モーメントベクトルを解析し、受力リンクの相応の座標系における目標位置姿勢情報を取得するとともに、目標位置姿勢情報に従ってロボットアームを作動させるステップと、を含む。
【0015】
1つの実施例では、前記取付状態情報は、各前記動力部の前記作動アームの取付状態に関連する。前記位置状態情報は、各前記動力部の相応の前記ガイドレールに対する位置状態に関連する。前記取付状態情報は、各前記動力部に作動アームが取り付けられるか否かの情報、及び/又は、各前記動力部に取り付けられる作動アームの種類情報を含む。
【0016】
1つの実施例では、前記動力機構内部の取付状態情報及び位置状態情報に基づいて、前記動力機構の相応の状態での負荷パラメータを取得するステップの前に、前記動力機構内部の各取付状態に応じて、前記動力機構が相応の前記取付状態にあって内部が異なる位置状態であるときに応じた前記動力機構の負荷パラメータをそれぞれ測定ステップと、測定された、前記動力機構の相応の前記取付状態にあって内部が異なる位置状態であるときに応じた負荷パラメータに基づいて、前記動力機構の各取付状態に応じた1つのパラメータ計算モデルをそれぞれ確立するステップと、を含む。
【0017】
1つの実施例では、前記動力機構内部の取付状態情報及び位置状態情報に基づいて、前記動力機構の相応の状態での負荷パラメータを取得するステップは、前記動力機構の内部の取付状態情報及び位置状態情報を取得するステップと、前記動力機構の取付状態情報に基づいてパラメータ計算モデルを呼び出すステップと、呼び出された前記パラメータ計算モデル及び前記動力機構の位置状態情報に合わせて、前記動力機構の相応の状態での負荷パラメータを算出するステップと、を含む。
【0018】
1つの実施例では、前記受力リンクに付与される外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して前記受力リンクの相応の座標系における目標位置姿勢情報を取得するステップの前に、入力された、前記動力機構のタスク自由度に関連する操作指令を取得するステップを含む。前記受力リンクに付与される外力の6軸力/モーメントベクトルを解析し、それに対応して前記ロボットアームを作動させるための制御指令を取得するステップでは、具体的に、前記動力機構のタスク自由度に合わせて、前記受力リンクに付与される外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して前記受力リンクの相応の座標系における目標位置姿勢情報を取得する。
【0019】
1つの実施例では、前記操作指令は、第1操作指令及び第2操作指令を含む。前記第1操作指令は、前記タスク自由度が前記ロボットアームの有効自由度と完全に合致する場合に関連し、前記第1操作指令に基づいて取得された前記目標位置姿勢情報に応じて前記動力機構を自由にドラッグ制御する。前記第2操作指令は、前記タスク自由度が前記ロボットアームの有効自由度と完全に合致しないが前記ロボットアームの有効自由度に含まれる場合に関連し、前記第2操作指令に基づいて取得された前記目標位置姿勢情報に応じて、設定されたタスク自由度内のみで前記動力機構をドラッグ制御する。
【0020】
1つの実施例では、前記第2操作指令は、前記動力機構のタスク自由度が前記ロボットアームの有効自由度のうちの、姿勢自由度に関連する有効自由度から選択される場合に関連する。
【0021】
1つの実施例では、前記受力リンクが1つの場合、前記受力リンクが前記動力機構であると、前記受力リンクに付与される外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して前記受力リンクの相応の座標系における目標位置姿勢情報を取得するとともに、前記目標位置姿勢情報に従って前記ロボットアームを作動させるステップは、前記動力機構のタスク自由度に合わせて、前記受力リンクに付与される外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して前記動力機構の前記ロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得するステップと、前記目標位置姿勢情報に基づいて、前記ロボットアーム内における各前記リンクを作動させて前記動力機構を相応の目標位置姿勢に到達させると、を含む。
【0022】
1つの実施例では、前記受力リンクが1つの場合、前記受力リンクが前記動力機構でなくて、かつ取得された入力が前記第1操作指令であると、前記受力リンクに付与される外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して前記受力リンクの相応の座標系における目標位置姿勢情報を取得するとともに、前記目標位置姿勢情報に従って前記ロボットアームを作動させるステップは、前記受力リンクへの外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して前記受力リンクの前記ロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得するステップと、前記目標位置姿勢情報に基づいて、前記ロボットアーム内における前記受力リンク及びその近位端の各前記リンクを作動させて前記受力リンクを相応の目標位置姿勢に到達させるステップと、を含む。
【0023】
1つの実施例では、前記受力リンクが1つの場合、前記受力リンクが前記動力機構でなくて、かつ取得された入力が前記第2操作指令であると、前記受力リンクに付与される外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して前記受力リンクの相応の座標系における目標位置姿勢情報を取得するとともに、前記目標位置姿勢情報に従って前記ロボットアームを作動させるステップは、前記受力リンクへの外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して前記受力リンクの前記ロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得するとともに、前記動力機構の前記ロボットアームのベース座標系における現在位置姿勢情報を取得するステップと、前記動力機構の前記ロボットアームのベース座標系における現在位置姿勢情報を換算し、前記動力機構の前記受力リンクの座標系における、前記受力リンクが前記受力リンクの前記ロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報に応じた目標位置姿勢に到達したときの目標位置姿勢情報を取得するステップと、前記受力リンクの目標位置姿勢情報に基づいて、前記受力リンク及びその近位端の各前記リンクを作動させて前記受力リンクを相応の目標位置姿勢に到達させるとともに、前記動力機構の目標位置姿勢情報に基づいて、前記動力機構及び前記動力機構と前記受力リンクとの間の各前記リンクを作動させて前記動力機構を現在位置または位置姿勢に保持するステップと、を含む。
【0024】
1つの実施例では、前記受力リンクが2つ以上の場合、取得された入力が前記第1操作指令であると、前記受力リンクに付与される外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して前記受力リンクの相応の座標系における目標位置姿勢情報を取得するとともに、前記目標位置姿勢情報に従って前記ロボットアームを作動させるステップは、前記ロボットアーム近位端に絶対的に隣り合う前記受力リンクへの外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して前記受力リンクの前記ロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得するステップと、各隣り合う2つの前記受力リンクのうちの、前記ロボットアーム近位端から相対的に離れる前記受力リンクの外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して前記受力リンクの隣り合う前記受力リンクの座標系における目標位置姿勢情報を取得するステップと、前記ロボットアーム近位端に絶対的に隣り合う前記受力リンクの目標位置姿勢情報に基づいて、前記ロボットアーム近位端に絶対的に隣り合う前記受力リンク及びその近位端の各前記リンクを作動させて前記ロボットアーム近位端に絶対的に隣り合う前記受力リンクを相応の目標位置姿勢に到達させ、各隣り合う2つの前記リンクのうちの、前記ロボットアーム近位端から相対的に離れる前記受力リンクの目標位置姿勢情報に基づいて、前記ロボットアーム近位端から相対的に離れる前記受力リンク、及びそれに隣り合う前記受力リンクとの間の各前記リンクを作動させて前記ロボットアーム近位端から相対的に離れる前記受力リンクを相応の目標位置姿勢に到達させるステップと、を含む。
【0025】
1つの実施例では、前記受力リンクが2つ以上の場合、取得された入力が前記第2操作指令でありかつ前記受力リンクに前記動力機構が含まれないと、前記受力リンクに付与される外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して前記受力リンクの相応の座標系における目標位置姿勢情報を取得するとともに、前記目標位置姿勢情報に従って前記ロボットアームを作動させるステップは、前記ロボットアーム近位端に絶対的に隣り合う前記受力リンクへの外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して前記受力リンクの前記ロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得するステップと、各隣り合う2つの前記受力リンクのうちの、前記ロボットアーム近位端から相対的に離れる前記受力リンクの外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して前記受力リンクの隣り合う前記受力リンクの座標系における目標位置姿勢情報を取得するステップと、前記動力機構の前記ロボットアームのベース座標系における現在位置姿勢情報を取得し、前記動力機構の前記ロボットアームのベース座標系における現在位置姿勢情報を換算し、前記動力機構の隣り合う前記受力リンクの座標系における、前記受力リンクが相応の座標系における目標位置姿勢情報に応じた目標位置姿勢に到達したときの目標位置姿勢情報を取得するステップと、前記ロボットアーム近位端に絶対的に隣り合う前記受力リンクの目標位置姿勢情報に基づいて、前記ロボットアーム近位端に絶対的に隣り合う前記受力リンク及びその近位端の各前記リンクを作動させ、前記ロボットアーム近位端に絶対的に隣り合う前記受力リンクを相応の目標位置姿勢に到達させ、前記ロボットアーム近位端から相対的に離れる前記受力リンクの目標位置姿勢情報に基づいて、前記ロボットアーム近位端から相対的に離れる前記受力リンク及びそれに隣り合う前記受力リンクとの間の各前記リンクを作動させ、前記ロボットアーム近位端から相対的に離れる前記受力リンクを相応の目標位置姿勢に到達させ、前記動力機構の目標位置姿勢情報に基づいて、前記動力機構、及び前記動力機構と隣り合う前記受力リンクとの間の各前記リンクを作動させ、前記動力機構を現在位置または位置姿勢に保持するステップと、を含む。
【0026】
1つの実施例では、前記受力リンクが2つ以上の場合、取得された入力が前記第2操作指令でありかつ前記受力リンクに前記動力機構が含まれると、前記受力リンクに付与される外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して前記受力リンクの相応の座標系における目標位置姿勢情報を取得するとともに、前記目標位置姿勢情報に従って前記ロボットアームを作動させるステップは、前記ロボットアーム近位端に絶対的に隣り合う前記受力リンクへの外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して前記受力リンクの前記ロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得するステップと、前記動力機構の外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して前記動力機構の前記ロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得するステップと、前記動力機構以外の各隣り合う2つの前記受力リンクのうちの、前記ロボットアーム近位端から相対的に離れる前記受力リンクの外力の6軸力/モーメントベクトルを解析し、前記受力リンクの隣り合う前記受力リンクの座標系における目標位置姿勢情報を取得するステップと、前記動力機構の前記ロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を換算し、前記動力機構の隣り合う前記受力リンクの座標系における、前記動力機構に隣り合う前記受力リンクが相応の座標系における目標位置姿勢情報に応じた目標位置姿勢に到達したときの目標位置姿勢情報を取得するステップと、前記動力機構の隣り合う前記受力リンクの座標系における目標位置姿勢情報が有効であるか否かを判断するステップと、有効な場合、前記ロボットアーム近位端に絶対的に隣り合う前記受力リンクの目標位置姿勢情報に基づいて、前記ロボットアーム近位端に絶対的に隣り合う前記受力リンク及びその近位端の各前記リンクを作動させて前記ロボットアーム近位端に絶対的に隣り合う前記受力リンクを相応の目標位置姿勢に到達させ、前記ロボットアーム近位端から相対的に離れる前記受力リンクの目標位置姿勢情報に基づいて、前記ロボットアーム近位端から相対的に離れる前記受力リンク及びそれに隣り合う前記受力リンクの間の各前記リンクを作動させ、前記ロボットアーム近位端から相対的に離れる前記受力リンクを相応の目標位置姿勢に到達させ、前記動力機構の目標位置姿勢情報に基づいて、前記動力機構及び前記動力機構と隣り合う前記受力リンクとの間の各前記リンクを作動させ、前記動力機構を位置保持するとともに姿勢を調節するステップと、無効な場合、前記動力機構のタスク自由度に合わせて前記動力機構の外力の6軸力/モーメントベクトルを解析し、前記動力機構の前記ロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得するとともに、前記動力機構の目標位置姿勢情報に基づいて、前記ロボットアーム内における各前記リンクを作動させ、前記動力機構を位置保持するとともに姿勢を調節するステップと、を含む。
【0027】
他の態様では、本発明は、手術ロボットのロボットアームの制御装置を提供し、コンピュータプログラムを記憶するためのメモリと、前記コンピュータプログラムをロードして実行するためのプロセッサと、を含む。前記コンピュータプログラムは、前記プロセッサによってロードされて上述した実施例の何れかに記載の制御方法のステップを実行する。
【0028】
他の態様では、本発明は、手術ロボットを提供し、ロボットアーム及び制御装置を含む。ロボットアームは、関節により連結される複数のリンクを有する。ロボットアーム遠位端とするリンクは、動力機構である。動力機構は、6軸力覚センサにより隣り合うリンクに接続され、ガイドレールと、前記ガイドレールに摺動可能に設置される動力部とを含む。動力部は、手術操作を行う作動アームの取付及び駆動に用いられる。制御装置は、上述した実施例の何れかに記載の制御方法のステップを実行する。
【0029】
他の態様では、本発明は、手術ロボットを提供し、関節により連結される複数のリンクを有し、遠位端とする前記リンクが動力機構であるロボットアームと、前記ロボットアームに接続される制御装置と、を含む。前記制御装置は、前記動力機構に付与される外力を受け、入力された、前記動力機構のタスク自由度に関連する操作指令を取得し、前記動力機構のタスク自由度に合わせて、前記外力を解析して前記動力機構の前記ロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得するとともに、前記目標位置姿勢情報に基づいて前記ロボットアーム内における各関節を作動させ、前記動力機構を相応のタスク自由度で作動させて相応の目標位置姿勢に到達させるよう配置される。前記操作指令は、第1操作指令または第2操作指令を含む。前記第1操作指令は、前記タスク自由度が前記ロボットアームの有効自由度と完全に合致する場合に関連し、前記第1操作指令に基づいて取得された前記目標位置姿勢情報に応じて前記動力機構を自由にドラッグ制御する。前記第2操作指令は、前記タスク自由度が前記ロボットアームの有効自由度と完全に合致しないが前記ロボットアームの有効自由度に含まれる場合に関連し、前記第2操作指令に基づいて取得された前記目標位置姿勢情報に応じて、設定されたタスク自由度内のみで前記動力機構をドラッグ制御する。
【0030】
他の態様では、本発明は、手術ロボットを提供し、関節により連結される複数のリンクを有し、遠位端とする前記リンクが動力機構であるロボットアームと、前記ロボットアームに接続される制御装置と、を含む。前記制御装置は、前記リンクのうちの受力リンクを決定して前記受力リンクに付与される外力を受け、入力された、前記動力機構のタスク自由度に関連する操作指令を取得し、前記動力機構のタスク自由度に合わせて、前記受力リンクに付与される外力を解析して前記受力リンクの相応の座標系における目標位置姿勢情報を取得するとともに、前記目標位置姿勢情報に従って前記ロボットアームを作動させるよう配置される。前記操作指令は、第1操作指令または第2操作指令を含む。前記第1操作指令は、前記タスク自由度が前記ロボットアームの有効自由度と完全に合致する場合に関連し、前記第1操作指令に基づいて取得された前記目標位置姿勢情報に応じて前記動力機構を自由にドラッグ制御する。前記第2操作指令は、前記タスク自由度が前記ロボットアームの有効自由度と完全に合致しないが前記ロボットアームの有効自由度に含まれる場合に関連し、前記第2操作指令に基づいて取得された前記目標位置姿勢情報に応じて、設定されたタスク自由度内のみで前記動力機構をドラッグ制御する。
【0031】
他の態様では、本発明は、手術ロボットのロボットアームの制御方法を提供し、前記ロボットアームは、関節により連結される複数のリンクを有する。前記ロボットアーム遠位端とする前記リンクは、動力機構である。前記制御方法は、前記リンクのうちの受力リンクを決定して前記受力リンクに付与される外力を受けるステップと、入力された、前記動力機構のタスク自由度に関連する操作指令を取得するステップと、前記動力機構のタスク自由度に合わせて、前記受力リンクに付与される外力を解析して前記受力リンクの相応の座標系における目標位置姿勢情報を取得するとともに、前記目標位置姿勢情報に従って前記ロボットアームを作動させるよう配置されるステップと、を含む。前記操作指令は、第1操作指令または第2操作指令を含む。前記第1操作指令は、前記タスク自由度が前記ロボットアームの有効自由度と完全に合致する場合に関連し、前記第1操作指令に基づいて取得された前記目標位置姿勢情報に応じて前記動力機構を自由にドラッグ制御する。前記第2操作指令は、前記タスク自由度が前記ロボットアームの有効自由度と完全に合致しないが前記ロボットアームの有効自由度に含まれる場合に関連し、前記第2操作指令に基づいて取得された前記目標位置姿勢情報に応じて、設定されたタスク自由度内のみで前記動力機構をドラッグ制御する。
【発明の効果】
【0032】
本発明の有益効果は以下通りである。
【0033】
受力部材遠位端構造による負荷の負荷パラメータを正確に決定することで、負荷の6軸力/モーメントベクトルを正確に決定することに寄与し、受力部材が受ける外力の6軸力/モーメントベクトルを正確に決定することができ、さらに、外力により受力部材を正確にドラッグすることに寄与し、ドラッグ手触りが良く、追従性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の手術ロボットの一実施例の構成を示す図である。
図2図1に示す手術ロボットの一部を示す図である。
図3図1に示す手術ロボットの一部を示す図である。
図4】~
図7】動力機構内部の異なる取付状態及び位置状態を示す図である。
図8図1に示すロボットアームの一配置構造での動作を示す図である。
図9-12】本発明の制御方法の異なる実施例を示すフローチャートである。
図13図1に示すロボットアームの一原理構造を示す図である。
図14】本発明の制御方法における空間動き角度の解析を示す図である。
図15-18】図1に示すロボットアームの他の配置構造での異なる動作を示す図である。
図19-23】本発明の制御方法の異なる実施例を示すフローチャートである。
図24】本発明の手術ロボットの他の実施例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明を理解しやすく説明するために、以下、関連図面を参照しながら本発明をより全体的に説明する。図面に本発明の好ましい実施形態を示している。しかしながら、本発明は、本明細書に示す実施形態に限られず、その他様々な形態でも実施することができる。明細書に示す実施形態で説明するのは、本発明で開示している内容をより明瞭かつ全体的に理解できるようにするために過ぎない。
【0036】
なお、部材が他の部材に「設置される」と表現された場合は、当該部材が他の部材に直接に配置されてもよいし、両者の間に介在する部材が存在してもよい。部材が他の部材に「接続される」と表現された場合は、当該部材が他の部材に直接に接続されてもよいし、両者の間に介在する部材が存在してもよい。部材が他の部材に「連結される」と表現された場合は、当該部材が他の部材に直接に連結されてもよいし、両者の間に介在する部材が存在してもよい。本明細書で用いられる用語「垂直」、「水平」、「左」、「右」、及びこれらに類似する他の表現は、説明の目的で用いられるものに過ぎず、実施形態をこれに限定するためのものではない。本明細書で用いられる用語「遠位端」、「近位端」を方位用語とし、これらの方位用語は医療機器領域の慣用技術用語とし、「遠位端」が手術中に操作者から離れる一端を表し、「近位端」が手術中に操作者に近接する一端を表す。
【0037】
他の定めがない限り、本明細書で使用されるあらゆる技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術領域の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、具体的な実施形態を説明するためのもののみであり、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で用いられる用語「及び/又は」とは、関連する列記項目の1つまたは複数のありとあらゆる組合せを含む。本発明では、「各」とは、1つ及び2つ以上の数を含む。
【0038】
図1図3は、それぞれ本発明の手術ロボットの一実施例の構成を示す図、及び本発明の手術ロボットの一部を示す図である。
【0039】
手術ロボットは、マスタコンソール1及びスレーブ操作装置2を含む。マスタコンソール1は、ハンドル11及びディスプレイ12を有する。医師は、ハンドル11を操作してスレーブ操作装置2に制御指令を送信することで、スレーブ操作装置2がハンドル11への医師の操作による制御指令に応じた動作を行うとともに、ディスプレイ12により手術領域を観察する。なお、ハンドル11が自由に移動や回転可能であるため、医師に対して比較的に大きな操作スペースを確保することになる。例えば、ハンドル11は、配線や回転するリンクを介してマスタコンソール1に接続されることが可能である。スレーブ操作装置2は、関節により連結される複数のリンクを有するロボットアーム21を含む。ロボットアーム21遠位端のリンクは、1つの動力機構22である。当該動力機構22は、端部器具34を有する作動アーム31の取付や駆動に用いられる。
【0040】
一実施例では、ハンドル11によりロボットアーム21の各関節を遠隔操作して連動させることで、動力機構22を所望の位置姿勢までに動かしてもよい。
【0041】
他の実施例では、動力機構22をドラッグしてロボットアーム21の各関節を連動させることで、動力機構22を所望の位置姿勢までに動かしてもよい。本明細書では、動力機構22を所望の位置姿勢までに引っ張ることを実現するための技術案を詳しく説明する。
【0042】
図4に示すように、動力機構22は、ロボットアーム21遠位端の関節に連結されるハウジング223を含む。ハウジング223の内部には、ガイドレール221が装着される。ガイドレール221には、端部器具34を有する作動アーム31を取り付けて駆動するための動力部222が摺動可能に設置される。ガイドレール221の数は1つ以上である(図4に4つが示される)。動力部222は、ガイドレール221と数が同じである。前記ガイドレール221は、通常、直線ガイドレールである。動力部222は、ガイドレール221に直線に移動する。具体的には、ガイドレール221には、動力部222をガイドレール221に摺動させるための駆動部(未図示)が配置される。ドラッグを容易にするために、ハウジング223に1つの取っ手(未図示)が設置されてもよい。
【0043】
前記動力機構22内部の取付状態及び位置状態の変化により、負荷が容易に変化し、さらに、動力機構22をより良くドラッグすることが影響される。動力機構22内部の取付状態は、具体的に、各動力部222に作動アーム31が取り付けられるかどうか、及び/又は、取り付けられる作動アーム31の種類に関連し、動力機構22内部の位置状態は、具体的に、各動力部222の相応のガイドレール221に対する位置に関連する。
【0044】
例示的には、図4では、各動力部222に作動アームが取り付けられず、図5では、ある動力部222に作動アーム31が取り付けられ、図6では、4つの動力部222にいずれも1つの作動アーム31が取り付けられるとともに、この4つの動力部222の相応のガイドレール221に対する位置状態が同じであり、図7では、4つの動力部222にいずれも同様に1つの作動アーム31が取り付けられるが、そのうちの1つの動力部222の相応のガイドレール221に対する位置状態が、他の動力部222の相応のガイドレールに対する位置状態と異なる。図4図7では、動力部222に取り付けられた作動アーム31の種類が負荷変化に影響を及ぼさないと想定した場合は、基本的に動力機構22内部の異なる状態変化を反映することができ、これらの状態変化は6軸力覚センサに対する負荷の変化を引き起こす。実際には、動力部222に取り付けられた作動アーム31の種類によって負荷変動に影響を及ぼす程度が異なるため、以下の制御方法を採用する場合にこれらを共に考慮することが可能である。
【0045】
一実施例では、図8に示すように、動力機構22は、6軸力覚センサにより動力機構22に隣り合うリンクに接続され、当該6軸力覚センサは、手術ロボットの制御装置に接続される。なお、「〇」は、前記関節に6軸力覚センサが装着されないことを表し、「●」は、6軸力覚センサが装着されることを表す。より具体的には、前記6軸力覚センサは、ロボットアーム21遠位端の関節に設置されて動力機構222のハウジング223に剛性連結される。前記6軸力覚センサに対して、前記動力機構22全体は6軸力覚センサの負荷になる。前記6軸力覚センサは、負荷側の全ての力/モーメントベクトルを監視することが可能である。
【0046】
図9に示すように、一実施例に係る手術ロボットのロボットアームの制御方法は、以下のステップを含む。
ステップS11:動力機構内部の取付状態情報及び位置状態情報に基づいて、対応する状態での動力機構の負荷パラメータを取得する。
【0047】
前記負荷パラメータは、質量パラメータ及び重心パラメータを含む。
【0048】
ステップS12:負荷パラメータに基づいて、6軸力覚センサの座標系における、動力機構から構成される負荷に応じた負荷力学モデルを決定する。
【0049】
ステップS13:ロボットアーム内における各関節の位置情報を取得し、負荷力学モデルに合わせて負荷の6軸力/モーメントベクトルを計算する。
【0050】
ステップS14:6軸力覚センサの6軸力/モーメントベクトルの合計を取得するとともに、6軸力覚センサのゼロオフセットの6軸力/モーメントベクトルを取得する。なお、このステップは、ステップS15の前に実行されればよい。
【0051】
具体的には、6軸力覚センサで収集されたデータをデカップリング及びフィルタリングすることで、対応する6軸力/モーメントベクトルを取得する。前記ゼロオフセットの6軸力/モーメントベクトルは、事前に測定されれば取得可能である。
【0052】
ステップS15:6軸力/モーメントベクトルの合計、ゼロオフセットの6軸力/モーメントベクトル、及び負荷の6軸力/モーメントベクトルに基づいて、動力機構に付与される外力の6軸力/モーメントベクトルを計算する。
【0053】
ステップS16:外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して動力機構のロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得するとともに、目標位置姿勢情報に基づいて、ロボットアーム内における各関節を作動させて動力機構を相応の目標位置姿勢に到達させる。
【0054】
一実施例では、図10に示すように、ステップS11の前に、以下のステップを含む。
ステップS111:動力機構内部の各取付状態に応じて、動力機構が相応の取付状態であって内部が異なる位置状態であるときに応じた動力機構の負荷パラメータをそれぞれ測定する。
【0055】
同一の取付状態では、測定された負荷パラメータは、通常、選択される位置状態が多いほどより正確になる。なお、各動力部222の作動アーム31の取付は、一般的に、人工的に行われる必要があるが、制御装置が駆動部を制御して動力部222をガイドレール221に摺動させることで、動力部222の対応するガイドレール221に対する位置を変更し、例えば、制御装置により各駆動部のためにランダム位置パラメータを生成することで、各駆動部で動力部222をガイドレール221において相応の位置までに摺動させる。
【0056】
ステップS112:測定された、動力機構が相応の取付状態であって内部が異なる位置状態であるときに応じた動力機構の負荷パラメータに基づいて、動力機構の各取付状態に応じた1つのパラメータ計算モデルを確立する。
【0057】
さらに、図11に示すように、ステップS11は、以下のステップを含む。
ステップS113:動力機構内部の取付状態情報及び位置状態情報を取得する。
【0058】
ステップS114:動力機構の取付状態情報に基づいてパラメータ計算モデルを呼び出す。
【0059】
ステップS115:呼び出されたパラメータ計算モデル及び動力機構の位置状態情報を合わせて、対応する状態での動力機構の負荷パラメータを算出する。
【0060】
前記ステップS113では、前記取付状態情報のうちの、各動力部222に作動アーム31が取り付けられたか否かの情報を取得するために、各動力部222に検出機構が設置されてもよい。この検出機構は、前記動力部222に作動アーム31が取り付けられたか否かを検出し、近接センサ、圧力センサ、光電式センサ等から選ばれてもよい。
【0061】
前記ステップS113では、前記取付状態情報のうちの、各動力部222に取り付けられた作動アーム31の種類の情報を取得するために、種類情報を記憶するメモリが各作動アーム31に設置され、動力機構22内、例えば、動力部222に手術ロボットの制御装置に接続されるデータインタフェースが設置され、作動アーム31が動力部222に取り付けられる場合、前記データインタフェースが前記メモリに接続されることで、前記データインタフェースにより作動アーム31の種類情報を読み取ってもよいし、種類情報を記憶する電子タグが各作動アーム31に設置され、それに対応して動力機構22内に手術ロボットの制御装置に接続されるリーダライタが設置され、作動アーム31が動力部222に取り付けられる場合、前記リーダライタが電子タグを感知して作動アーム31の種類情報を読み取ってもよい。前記電子タグは、RFID電子タグまたはNFC電子タグ等であってもよい。それに対応して、前記リーダライタは、RFIDリーダライタまたはNFCリーダライタであってもよい。なお、作動アーム31の種類は、主にその端部器具34の種類に関連し、作動アーム自身の構造の種類に関連することもある。端部器具34は、図2に示す画像端部器具34A及び操作端部器具34Bを含む。一般的に、画像端部器具34Aの種類は比較的に単一であり、操作端部器具34Bの種類は比較的に豊富である。
【0062】
前記ステップS113では、前記位置状態情報のうちの、各動力部222の相応のガイドレール221に対する位置情報を取得するために、動力部222をガイドレール221に対して摺動させる各駆動部内に位置センサを設置して前記位置情報を感知してもよい。駆動部は、通常、モータ及びエンコーダを含む。前記エンコーダは、位置センサとして用いられて上述した位置情報を取得してもよい。
【0063】
具体的には、ステップS112のパラメータ計算モデルの数は、動力機構22内部の取付状態の数と一致する。動力機構22内における動力部222の数をnとし、作動アーム31の種類の数をmとすると、設定条件によって以下通りの数の取付状態になる場合がある。
【0064】
例1:各動力部222に作動アーム31が取り付けられるか否かのみを考慮すると、2種のパラメータ計算モデルに応じた合計2種の取付状態を取得することが可能である。
【0065】
例2:各動力部222に作動アーム31が取り付けられるか否か、及び作動アーム31の種類を考慮すると、(m+1)種のパラメータ計算モデルに応じた合計(m+1)種の取付状態を取得することが可能である。
【0066】
【0067】
【0068】
異なる条件を制限することにより、識別可能な取付状態の数をその分減らし、さらにパラメータ計算モデルの数を減らすことが可能である。
【0069】
ステップS112のパラメータ計算モデルの確立過程は、パラメータ計算モデルの数式を定義するステップと、パラメータ計算モデル入出力データをサンプリングして計算するステップと、サンプリングして計算されたパラメータ計算モデル入出力データに基づいて、モデルパラメータを推定して前記パラメータ計算モデルを決定するステップと、を含む。
【0070】
なお、前記パラメータ計算モデルは、MISO(多入力単出力)形態であってもよいし、MIMO(多入力多出力)形態であってもよく、具体的に、決定待ちの負荷力学モデルのモデルパラメータの結合状況によって決定される。また、1つの学習モデルを定義して異なる取付状態に対応させてもよく、前記パラメータ計算モデルは、機械学習を用いるとともに、できるだけ多くの、サンプリングされたパラメータ計算モデルに関連する入出力データによってトレーニングを行うことで取得されてもよい。前記パラメータ計算モデルは、線形であってもよいし、非線形であってもよく、初期の力学分析またはテストデータによって線形または非線形が決定されてもよい。前記パラメータ計算モデルのモデルパラメータは、前記パラメータ計算モデルが線形の場合に最小二乗法や最尤法等の方法で決定され、前記パラメータ計算モデルが非線形の場合にニュートンガウス等の非線形最適化計算方法で決定されてもよい。
【0071】
上記ステップS112では、パラメータ計算モデル及びそれに応じた取付状態情報を関連付けて、パラメータ辞書やリスト等のデータ構造に格納することで、後続のステップS114で容易に呼び出すことが可能である。
【0072】
【0073】
例示的に、Pload=kS’+kS’+ ・・・+kS’+kn+1とすると、nは動力部の数を表し、P’はパラメータ計算モデルのモデルパラメータを表し、すなわち、k~kn+1、S’~S’であり、それぞれ各動力部の相応のガイドレールに対する位置状態情報を表す。なお、kn+1はパラメータ計算モデルのゼロパラメータであり、k~kn+1はいずれも測定(例えば、標定及び/又は識別)で得られる。
【0074】
【0075】
ロボットアーム21内における各関節の位置状態情報は、各関節に配置される位置センサによって取得されてもよい。簡単に言うと、前記センサは、同様に各関節の作動を駆動する駆動部(すなわち、エンコーダを有するモータ)におけるエンコーダであってもよい。
上記ステップS15は、以下の式で算出されてもよい。
= F-F-F
は外力の6軸力/モーメントベクトル、Fは6軸力/モーメントベクトルの合計、Fは負荷の6軸力/モーメントベクトル、Fはオフセットの6軸力/モーメントベクトルである。なお、Fの計算に対して、同一の参照座標系においてF、F及びFを計算する必要があり、通常、6軸力覚センサのセンサ座標系においてF、F及びFを計算してもよい。
【0076】
図12に示すように、上記ステップS16では、以下のステップを含む。
ステップS161:外力の6軸力/モーメントベクトルを動力機構のロボットアームのベース座標系における増量位置姿勢情報として解析する。
【0077】
ステップS162:ロボットアームの各関節モジュールの位置情報を取得する。
【0078】
図1及び図13に示す実施例では、前記ロボットアーム21は5つの自由度を有し、各位置センサによってこのような位置情報(d1,θ2,θ3,θ4,θ5)を1組採取することができる。
ステップS163:各関節モジュールの位置情報に基づいて、動力機構のロボットアームのベース座標系における現在位置姿勢情報を算出する。
【0079】
【0080】
ステップS164:動力機構のロボットアームのベース座標系における現在位置姿勢情報及び増量位置姿勢情報に基づいて、動力機構のロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を算出する。
【0081】
【0082】
ステップS165:目標位置姿勢情報に基づいて、ロボットアーム内における各関節モジュールの目標位置情報を算出する。
【0083】
通常、前記ステップでは、逆運動学と合わせて計算を行ってもよい。
【0084】
ステップS166:各関節モジュールの目標位置情報に基づいて、ロボットアーム内における各関節モジュールを連動させて動力機構遠位端を目標位置姿勢までに動かす。
【0085】
前記ステップは、例えば、CSP(サイクル同期位置制御)モードを用いてPID制御に合わせてロボットアーム21における各関節を連動させる。
【0086】
前記実施例では、具体的に、ステップS16の、外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して動力機構のロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得することでは、入力された、動力機構のタスク自由度に関連する操作指令を取得するとともに、前記タスク自由度に合わせて外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して動力機構のロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得する。
【0087】
操作指令は、第1操作指令及び第2操作指令を含む。第1操作指令は、タスク自由度がロボットアーム21の有効自由度と完全に合致する場合に関連し、第1操作指令に基づいて解析して取得された目標位置姿勢情報により、動力機構22を自由にドラッグ制御することができる。第2操作指令は、タスク自由度がロボットアーム21の有効自由度と完全に合致しないがロボットアーム21の有効自由度に含まれる場合に関連し、第2操作指令に基づいて解析して取得された目標位置姿勢情報に応じて、設定されたタスク自由度内のみで動力機構22をドラッグ制御する。さらに、第2操作指令は、動力機構22のタスク自由度がロボットアーム21の有効自由度のうちの、姿勢自由度に関連する有効自由度から選択される場合に関連する。
【0088】
具体的に、動力機構22のタスク自由度は、デカルト空間における動力機構22の許容される動きの自由度と理解されてもよく、6つ以下である。動力機構22は、デカルト空間において有効自由度を有する。動力機構22の有効自由度は、ロボットアーム21の構成(すなわち、構造特徴)に関連し、動力機構22のデカルト空間における実現可能な自由度と理解されてもよく、同様に6つ以下である。動力機構22のタスク自由度は、すなわち、動力機構22の動きが許容されるような自由度である。
【0089】
ステップS16では、前記タスク自由度(の設定情報)により外力の6軸力/モーメントベクトルを解析した後、解析された外力の6軸力/モーメントベクトルを動力機構の増量位置姿勢情報としてマッピングしてもよい。例えば、前記タスク自由度は、位置姿勢情報[x,y,z,α,β,γ]のうちの[x,y,z]であるこの3つの自由度の動きを許容する場合、外力の6軸力/モーメントベクトルを解析する際に、[x,y,z]であるこの3つの自由度に応じた外力の6軸力/モーメントベクトルのみを解析した後に、[x,y,z]であるこの3つの自由度に応じた外力の6軸力/モーメントベクトルを動力機構22の増量位置姿勢情報としてマッピングする。
【0090】
当然ながら、外力の6軸力/モーメントベクトルを全面的に解析した後、前記タスク自由度に基づいて、解析された外力の6軸力/モーメントベクトルを動力機構22の増量位置姿勢情報としてマッピングしてもよい。例えば、前記タスク自由度は、同様に、位置姿勢情報[x,y,z,α,β,γ]のうちの[x,y,z]であるこの3つの自由度の動きを許容する場合、外力の6軸力/モーメントベクトルを解析する際に、[x,y,z,α,β,γ]であるこの6つの自由度全部に応じた外力の6軸力/モーメントベクトルを解析した後に、[x,y,z]であるこの3つの自由度に応じた外力の6軸力/モーメントベクトルを動力機構22の増量位置姿勢情報としてマッピングする。
【0091】
例えば、図13に示すロボットアーム21では、ロボットアーム21の有効自由度の情報は、[x,y,z,α,β]を含み、関節モジュール210~214によるものであり、ロール角γにおいて自由度を有しない。
動力機構22のタスク自由度を設定するための設定情報が[x,y,z,α,β]の場合、動力機構22のタスク自由度の設定情報はロボットアーム21の有効自由度の情報と完全に合致し、その際、動力機構22に対して自由制御を行い、動力機構22を広範囲に動かして手術室の配置に適用させ、このような設定は上記第1操作指令に関連する場合に対応する。
【0092】
動力機構22のタスク自由度を設定するための設定情報が[x,y,z,α]または[x,y,z]等の場合、動力機構22のタスク自由度の設定情報はロボットアーム21の有効自由度の情報内に含まれるが完全に合致せず、動力機構を制御すると、[x,y,z,α]または[x,y,z]である相応の自由度のみで調節を行い、その際、動力機構22に対して制約制御を行い、限定される範囲内に動力機構22を制御する。
【0093】
特に、動力機構22のタスク自由度を設定するための設定情報が[α,β]のみを含む場合、制約制御におけるRCM制約制御に属し、すなわち、遠隔運動中心(すなわち、固定点)の周りに運動し、ヨー角及びピッチ角のみを調節し、手術中の微調整を満たすことができ、このような設定は上記第2操作指令に関連する場合に対応する。
【0094】
当然ながら、ロボットアーム21の有効自由度の情報は、[x,y,z,α,β,γ]を含み、動力機構22のタスク自由度を設定することで、RCM制約制御は、合計で、ヨー角のみの調節、ピッチ角のみの調節、ロール角のみの調節、ヨー角及びピッチ角の調節、ヨー角及びロール角の調節、ピッチ角及びロール角の調節、ヨー角、ピッチ角及びロール角の調節である多種類を含んでもよい。
【0095】
前記ステップS16では、具体的に、剛度マトリックスで外力の6軸力/モーメントベクトルを解析し、動力機構のロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得する。
【0096】
なお、前記剛度マトリックスは、力情報から位置姿勢情報への変換を実現するためのものであり、通常、タスク自由度及び外力のベクトル次元に関連するマトリックスである。例示的に、動力機構22のタスク自由度の設定情報がa(1≦a≦6)個の自由度の動きの許容を記述するとともに、外力のベクトル次元がb(1≦b≦6)であると想定すると、前記剛度マトリックスは、1つのa×b(行列)のマトリックスと記述される。異なる剛度マトリックスは、通常、異なる制御パラメータを有し、いずれも限られた数の実験またはコンピュータの自動演算によって決定されることが可能である。
【0097】
前記剛度マトリックスの制御パラメータは、調節可能に設定されてもよく、必要に応じて、外力情報から位置姿勢情報への線形または指数的拡大または縮小を実現する。例示的に、制御装置に接続される1つの入力装置は設置されてもよい。この入力装置は、前記剛度マトリックスの制御パラメータを調整するための制御情報を入力する。なお、前記制御情報は、通常、入力される1つの物理パラメータであり、その具体的な調整過程は、物理パラメータを取得するステップで実現されてもよい。
【0098】
なお、前記物理パラメータは、ディスクリートタイプであってもよいし、連続タイプであってもよく、入力装置自身の特性によって決定され、例えば、歯車や押しボタン等の入力装置は、一般的、ディスクリートタイプの物理パラメータを入力するが、無段階ノブやタッチバー等のタイプの入力装置は、一般的、連続的な物理パラメータを入力する。
【0099】
パラメータ調整モデル及び物理パラメータを合わせて剛度マトリックスにおける制御パラメータを調整する。
【0100】
一例では、ディスクリートタイプの物理パラメータに対応して、前記パラメータ調整モデルは1つの制御パラメータ辞書であってもよい。前記パラメータ辞書には、複数組の制御パラメータが記憶されている。前記複数組の制御パラメータは、入力装置を操作して生じる一連のディスクリートタイプの物理パラメータに1対1に対応する。この場合、剛度マトリックスへの制御が必要な場合、パラメータ辞書における物理パラメータと制御パラメータとのマッピング関係により、対応する制御パラメータをインデキシング、呼び出して剛度マトリックスを調節すればよい。こうすることで、操作者によるロボットアームへのドラッグ習慣により合致し、ユーザ体験を向上させる。
【0101】
一例では、連続的な物理パラメータに対応して、パラメータ調整モデルは1つのパラメータ計算モデルであってもよい。前記パラメータ計算モデルは、決定された一種の数式であり、入力装置を操作して生じる連続的な物理パラメータは前記制御パラメータ計算モデルの独立変数とされ、制御パラメータは前記パラメータ計算モデルの説明変数として前記パラメータ計算モデルに入力された物理パラメータによって変化する。この場合では、剛度マトリックスへの制御が必要な場合、物理パラメータと制御パラメータとが制御パラメータ計算モデルにおいて独立変数と説明変数との関係であり、物理パラメータによって制御パラメータを算出して剛度マトリックスにおける剛度マトリックスを調節すればよい。この例示では、パラメータ計算モデルは、多項式モデルに設定されてもよく、5次多項式モデルが好ましい。5次多項式モデルは、軌跡が傾斜率方向の一致する増加曲線を有し、特に、5次多項式モデルの軌跡が両端において相対的に緩やかであることで、外力への円滑な制御に寄与する。
【0102】
上述したパラメータ調整モデルは、あらゆる制御ニーズに応じるよう上記2種のモデルを含んでもよいし、ある具体的な制御ニーズに応じるよう上記2種のモデルからいずれかを選択してもよい。上記パラメータ調整モデルは、入力装置の種類情報に基づいて、適切なパラメータ調整モデルを呼び出して入力装置で入力された物理パラメータに合わせて前記制御パラメータを取得すればよい。
【0103】
一実施例では、動力機構22のタスク自由度の設定情報は、ロボットアーム21の有効自由度の情報に部分的に含まれる場合、好適な選択肢として、設定にエラーがあるとの情報を提示し、他の選択肢として、ロボットアーム21の有効自由度の情報に含まれる部分自由度のみの調節を許容してもよい。図13に示すロボットアーム21を例として、動力機構22のタスク自由度の設定情報が[y,z,α,β,γ]または[x,y,z,α,β,γ]である場合、設定にエラーがあるとの情報を提示し、一方、[y,z,α,β]または[x,y,z,α,β]において対応する自由度の調節を許容してもよい。これは必要に応じて設定されてもよい。
【0104】
前記手術ロボットは、他のハードウェア配置を有してもよく、主に6軸力覚センサの装着数の相違で表す。この実施例では、動力機構をリンクとする、連続する2つ以上の隣り合うリンクの間にそれぞれ6軸が装着された力覚センサを含むことができ、例えば、図15に示すように、同様に、「〇」はこの関節に6軸力覚センサが装着されないことを表し、「●」は6軸力覚センサが設置されることを表す。このようなハードウェア配置により、操作者は、動力機構以外の、6軸力覚センサが配置されたリンクをドラッグすることで、相応の制御目的を実現し、特に、ロボットアームの冗長自由度の多い場合に適用する。前記ハードウェア配置により、他の手術ロボットにおけるロボットアームの制御方法は提供され、図19に示すように、以下のステップを含む。
ステップS21:各6軸力覚センサでの負荷パラメータを1組取得する。
【0105】
前記1組負荷パラメータは、対応する6軸力覚センサ遠位端に位置する各リンクの負荷パラメータを含む。負荷パラメータは、質量パラメータ及び重心パラメータを含む。動力機構22以外の他のリンクの負荷パラメータは測定によって取得されればよいが、前記動力機構の負荷パラメータは上述した実施例で記載されたステップS111~ステップS115によって得られることに注意されたく、詳細については省略する。
【0106】
ステップS22:各6軸力覚センサでの1組の負荷パラメータにより、対応する6軸力覚センサ座標系における、6軸力覚センサ遠位端の各リンクによる負荷に応じた負荷力学モデルを決定する。
【0107】
ステップS23:ロボットアーム内における各関節の位置情報を取得し、各6軸力覚センサでの負荷力学モデルに合わせて各6軸力覚センサでの負荷の6軸力/モーメントベクトルを計算する。
【0108】
ステップS24:6軸力覚センサの6軸力/モーメントベクトルの合計を取得し、6軸力覚センサのオフセットの6軸力/モーメントベクトルを取得し、各6軸力覚センサでの負荷の6軸力/モーメントベクトルに合わせて、各6軸力覚センサに作用する外力の6軸力/モーメントベクトルを算出する。
【0109】
ステップS25:算出された各6軸力覚センサに作用する外力の6軸力/モーメントベクトル、及びその遠位端に隣り合う1つの前記6軸力覚センサに作用する外力の6軸力/モーメントベクトルに基づいて受力リンクを決定するとともに、受力リンクに付与される外力の6軸力/モーメントベクトルを算出する。
【0110】
対応する6軸力覚センサ座標系での6軸力/モーメントベクトルの合計が、その遠位端負荷の6軸力/モーメントベクトルと、オフセットの6軸力/モーメントベクトルと、その遠位端に隣り合う1つの6軸覚センサに作用する外力の6軸力/モーメントベクトルとの合計と同じである場合、前記6軸力覚センサ遠位端に隣り合うリンクが付勢されないと決定する。対応する6軸力覚センサ座標系での6軸力/モーメントベクトルの合計が、その遠位端負荷の6軸力/モーメントベクトルと、オフセットの6軸力/モーメントベクトルと、その遠位端に隣り合う1つの6軸覚センサに作用する外力の6軸力/モーメントベクトルとの合計よりも大きい場合、前記6軸力覚センサ遠位端に隣り合うリンクが付勢されると決定する。対応する6軸力覚センサ座標系での6軸力/モーメントベクトルの合計と、その遠位端負荷の6軸力/モーメントベクトル、オフセットの6軸力/モーメントベクトル、その遠位端に隣り合う1つの6軸覚センサに作用する外力の6軸力/モーメントベクトルとの差は、受力リンクに付与される外力の6軸力/モーメントベクトルである。「作用する」の概念は、「付与する」の概念と異なり、「作用する」は、「付与する」の概念を含むことに注意されたい。
【0111】
ステップS26:受力リンクに付与される外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して受力リンクの相応の座標系における目標位置姿勢情報を取得するとともに、目標位置姿勢情報に従ってロボットアームを作動させる。
【0112】
この実施例では、同様に、動力機構にタスク自由度を設定してもよく、ステップS26では、動力機構のタスク自由度に合わせて、受力リンクに付与される外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して受力リンクの相応の座標系における目標位置姿勢情報を取得する。ここでは、詳細な説明を省略する。
【0113】
この例のハードウェアを配置する前提において、ロボットアーム21の、6軸力覚センサが装着されたリンクは、1つにのみ付勢される場合や、2つ以上に付勢される場合がある。
一実施例では、受力リンクが1つの場合、受力リンクが動力機構であると、図15に示すように、上記ステップS26は、動力機構のタスク自由度に合わせて、受力リンクへの外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して動力機構のロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得するステップを含む。
【0114】
目標位置姿勢情報に基づいて、ロボットアーム内における各リンクを作動させて動力機構を相応の目標位置姿勢までに到達させる。
【0115】
この場合は、上述した実施例、例えば、図8に示す場合と同じであり、例えば、図8に示す配置により動力機構22の自由ドラッグまたはRCM制約ドラッグを実現し、すなわち、取得された入力が第1操作指令であるかまたは第2操作指令であるかに関係なく上記ステップで制御を実現することができる。
【0116】
一実施例では、受力リンクが1つの場合、受力リンクが動力機構でなくて、かつ取得された入力が上述した第1操作指令であると、図16に示すように、上記ステップS26は、以下のステップを含む。
受力リンクへの外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して受力リンクのロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得する。
【0117】
目標位置姿勢情報に基づいて、ロボットアーム内における受力リンク及びその近位端の各リンクを作動させて受力リンクを相応の目標位置姿勢に到達させる。
【0118】
この場合では、ロボットアーム21は半割にしたことに相当し、受力リンク近位端の各リンクを作動させて受力リンクを相応の目標位置姿勢に到達させ、受力リンク遠位端の各リンクを受力リンクに伴って作動させればよい。
【0119】
一実施例では、受力リンクが1つの場合、受力リンクが動力機構でなくて、かつ取得された入力が上述した第2操作指令であると、図16及び図20を合わせて参照し、上記ステップS26は、以下のステップを含む。
ステップS2611:受力リンクへの外力の6軸力/モーメントベクトルを解析し、受力リンクのロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得するとともに、動力機構のロボットアームのベース座標系における現在位置姿勢情報を取得する。
【0120】
ステップS2612:受力リンクが受力リンクのロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報に応じた目標位置姿勢に到達した条件では、動力機構のロボットアームのベース座標系における現在位置姿勢情報を換算して動力機構の受力リンクの座標系における目標位置姿勢情報を取得する。
【0121】
【0122】
ステップS2613:受力リンクの目標位置姿勢情報に基づいて、受力リンク及びその近位端の各リンクを作動させて受力リンクを相応の目標位置姿勢に到達させるとともに、動力機構の目標位置姿勢情報に基づいて、動力機構、及び動力機構と受力リンクとの間の各リンクを作動させて動力機構を現在位置または位置姿勢に保持する。
【0123】
この場合では、ロボットアーム21を半割にしたことに相当し、受力リンク近位端の各リンクを作動させて受力リンクを相応の目標位置姿勢に到達させるとともに、受力リンク遠位端の各リンクを作動させて動力機構22を現在位置または位置姿勢に保持する。この使用シーンとしては、ロボットアームのある部分の作動を調整して障害物回避等の効果を実現するほか、手術過程の安全性を保証するシーンであってもよい。
【0124】
上記ステップS2613の前に、動力機構の受力リンクの座標系における目標位置姿勢情報の有効性を判断し、有効な場合にのみステップS2613を実行してもよい。例えば、この有効性判断のステップでは、前記目標位置姿勢情報をロボットアームの相応の一部構造における各関節の目標作動状態パラメータ(位置パラメータ、速度パラメータ及び加速度パラメータを含む)として解析した後、前記目標作動パラメータを対応する関節の作動状態閾値と1つずつ比較し、各目標作動パラメータが対応する作動状態閾値内にある場合に有効と判断され、逆の場合に無効と判断されてもよい。
【0125】
一実施例では、受力リンクが2つ以上の場合、取得された入力が前記第1操作指令であると、図21に示すように、前記ステップS26は、以下のステップを含む。
ステップS2621:ロボットアーム近位端に絶対的に隣り合う受力リンクへの外力の6軸力/モーメントベクトルを解析し、前記受力リンクのロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得する。
【0126】
ステップS2622:各隣り合う2つの受力リンクのうちの、ロボットアーム近位端から相対的に離れる受力リンクの外力の6軸力/モーメントベクトルを解析し、受力リンクの隣り合う受力リンクの座標系における目標位置姿勢情報を取得する。
【0127】
ステップS2623:ロボットアーム近位端に絶対的に隣り合う受力リンクの目標位置姿勢情報に基づいて、ロボットアーム近位端に絶対的に隣り合う受力リンク及びその近位端の各リンクを作動させてロボットアーム近位端に絶対的に隣り合う受力リンクを相応の目標位置姿勢に到達させ、各隣り合う2つのリンクのうちの、ロボットアーム近位端から相対的に離れる受力リンクの目標位置姿勢情報に基づいて、ロボットアーム近位端から相対的に離れる受力リンクとそれに隣り合う受力リンクとの間の各リンクを作動させてロボットアーム近位端から相対的に離れる受力リンクを相応の目標位置姿勢に到達させる。
【0128】
この場合、受力リンクの数はdであると、ロボットアーム21をd+1部分に分割することに相当し、ロボットアーム近位端に絶対的に隣り合う受力リンクは、相応の目標位置姿勢情報に従って作動してロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢までに到達するほか、他の受力リンクは、各自に応じた目標位置姿勢情報に従って作動することで、相応の受力リンクをその近位端に隣り合う受力リンクの座標系に対して作動させて各自の相応の位置姿勢に到達させる。ロボットアーム21遠位端の受力リンク遠位端がリンクをさらに有する場合、これらのリンクはロボットアーム21遠位端の受力リンクに伴って作動すればよい。
【0129】
前記ステップS2621~ステップS2623は、図17及び図18に示すいずれかの付勢の場合に適し、すなわち、この方法は、受力リンクが動力機構22を含むかどうかに関係なく適用できる。
【0130】
一実施例では、受力リンクが2つ以上の場合、取得された入力が前記第2操作指令でありかつ受力リンクに動力機構が含まれないと、図17及び図22に合わせて、前記ステップS26は、以下のステップを含む。
ステップS2631:ロボットアーム近位端に絶対的に隣り合う受力リンクへの外力の6軸力/モーメントベクトルを解析し、受力リンクのロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得する。
【0131】
ステップS2632:各隣り合う2つの受力リンクのうちの、ロボットアーム近位端から相対的に離れる受力リンクの外力の6軸力/モーメントベクトルを解析し、受力リンクの隣り合う受力リンクの座標系における目標位置姿勢情報を取得する。
【0132】
ステップS2633:動力機構のロボットアームのベース座標系における現在位置姿勢情報を取得し、各受力リンクが相応の座標系における目標位置姿勢情報に応じた目標位置姿勢に到達した条件では、動力機構のロボットアームのベース座標系における現在位置姿勢情報を換算して動力機構の隣り合う受力リンクの座標系における目標位置姿勢情報を取得する。
【0133】
前記ステップS2633は、例えばステップS2612の数式及び原理を用いて換算を行ってもよい。
【0134】
ステップS2634:ロボットアーム近位端に絶対的に隣り合う受力リンクの目標位置姿勢情報に基づいて、ロボットアーム近位端に絶対的に隣り合う受力リンク及びその近位端の各リンクを作動させてロボットアーム近位端に絶対的に隣り合う受力リンクを相応の目標位置姿勢に到達させ、ロボットアーム近位端から相対的に離れる受力リンクの目標位置姿勢情報に基づいて、ロボットアーム近位端から相対的に離れる受力リンク及びそれに隣り合う受力リンクの間の各リンクを作動させてロボットアーム近位端から相対的に離れる受力リンクを相応の目標位置姿勢に到達させ、動力機構の目標位置姿勢情報に基づいて、動力機構、及び動力機構と隣り合う受力リンクとの間の各リンクを作動させて動力機構を現在位置または位置姿勢に保持する。
【0135】
この場合では、ロボットアーム21を複数の部分に分割することに相当し、各受力リンクは各自に応じた座標系に対して作動して目標位置姿勢に到達するとともに、動力機構22を現在位置または位置姿勢に保持して手術過程の安全性を確保する。
【0136】
一実施例では、受力リンクが2つ以上の場合、取得された入力が前記第2操作指令であり、かつ受力リンクに動力機構が含まれる場合、図18及び図23に合わせて、前記ステップS26は、以下のステップを含む。
ステップS2641:ロボットアーム近位端に絶対的に隣り合う受力リンクへの外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して受力リンクのロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得する。
【0137】
ステップS2642:動力機構の外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して動力機構のロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得する。
【0138】
ステップS2643:動力機構以外の各隣り合う2つの受力リンクのうちの、ロボットアーム近位端から相対的に離れる受力リンクの外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して受力リンクの隣り合う受力リンクの座標系における目標位置姿勢情報を取得する。
【0139】
ステップS2644:動力機構に隣り合う受力リンクが相応の座標系における目標位置姿勢情報に応じた目標位置姿勢に到達した条件では、動力機構のロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を換算して動力機構の隣り合う受力リンクの座標系における目標位置姿勢情報を取得する。
【0140】
前記ステップS2644は、例えばステップS262の数式及び原理を用いて換算を行ってもよい。
【0141】
ステップS2645:動力機構の隣り合う受力リンクの座標系における目標位置姿勢情報は有効であるか否かを判断する。
【0142】
有効な場合、ステップS2646に移行する。無効な場合、ステップS2647に移行する。
【0143】
ステップS2646:ロボットアーム近位端に絶対的に隣り合う受力リンクの目標位置姿勢情報に基づいて、ロボットアーム近位端に絶対的に隣り合う受力リンク及びその近位端の各リンクを作動させてロボットアーム近位端に絶対的に隣り合う受力リンクを相応の目標位置姿勢に到達させ、ロボットアーム近位端から相対的に離れる受力リンクの目標位置姿勢情報に基づいて、ロボットアーム近位端から相対的に離れる受力リンク及びそれに隣り合う受力リンクの間の各リンクを作動させてロボットアーム近位端から相対的に離れる受力リンクを相応の目標位置姿勢に到達させ、動力機構の目標位置姿勢情報に基づいて、動力機構、及び動力機構と隣り合う受力リンクとの間の各リンクを作動させて動力機構を位置保持するとともに姿勢を調節する。
【0144】
ステップS2647:動力機構のタスク自由度に合わせて動力機構の外力の6軸力/モーメントベクトルを解析して動力機構のロボットアームのベース座標系における目標位置姿勢情報を取得するとともに、動力機構の目標位置姿勢情報に基づいて、ロボットアーム内における各リンクを作動させて動力機構を位置保持するとともに姿勢を調節する。
【0145】
この場合、すなわち、ステップS2645で目標位置姿勢情報が有効であると判断されると、ロボットアーム21を分割して制御するとともに、動力機構22のRCM制約ドラッグ制御を実現し、一方、無効な場合、ロボットアーム21を全体的に制御してRCM制約ドラッグ制御を実現すればよい。
【0146】
上述した各実施例では、取得された各目標位置姿勢情報の有効性を判断し、この判断過程及び原理はステップS2612とステップS2613との間の判断過程及び原理と同一または類似し、さらに、有効な場合、相応の後続のステップに移行して相応の制御を実現し、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0147】
上述した実施例は、図1に示す種類の手術ロボットのロボットアームへの制御に適用する。この種類の手術ロボットは、1つのロボットアーム21と、前記ロボットアーム21遠位端に装着されて端部器具34を有する1つ以上の作動アーム31とを含む。前記ロボットアーム21及び作動アーム31は、いずれも複数の自由度を有する。
【0148】
上述した実施例は、同様に、図24に示す種類の手術ロボットのロボットアームへの制御に適用する。この種類の手術ロボットは、1つのメインアーム32’、メインアーム32’遠位端に装着された1つ以上の調整アーム30’、及び調整アーム30’遠位端に装着されて端部器具を有する1つ以上の作動アーム31’を含む。前記メインアーム32’、調整アーム30’及び作動アーム31’は、いずれも複数の自由度を有する。図24に示すように、この手術ロボットでは、調整アーム30’が4つ設置されてもよく、各調整アーム30’に1つの作動アーム31’のみが設置されてもよい。実際の使用シーンでは、図24に示す種類の手術ロボットの三段式アーム体構造を、図1に示す種類の手術ロボットの二段式アーム体構造に配置して制御を実現してもよい。一実施例では、この2種類の手術ロボットの作動アームの概念が同じである場合、例えば、配置により、図24に示す種類の手術ロボットの各調整アーム30’を、図1に示す種類の手術ロボットのロボットアーム21として制御してもよい。また、例えば、配置により、図24に示す種類の手術ロボットのいずれかの調整アーム30’及びメインアーム32’全体を、図1に示す種類の手術ロボットのロボットアーム21として制御してもよい。一実施例では、図24に示す種類の手術ロボットのメインアーム32’を、図1に示す種類の手術ロボットのロボットアーム21とするとともに、図24に示す種類の手術ロボットの調整アーム30’及びそれに対応する作動アーム31’全体を、図1に示す種類の手術ロボットの作動アーム31として制御してもよい。
【0149】
一実施例では、上記手術ロボットの制御方法は、通常、手術ロボットの制御装置内に設定されて実現され、前記制御装置は、メモリ及び1つ以上のプロセッサを含み、メモリはコンピュータプログラムを記憶し、プロセッサは、コンピュータプログラムをロードして実行することで、上記いずれかの実施例に記載の制御方法を実現する。
【0150】
一実施例では、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供し、コンピュータ読み取り可能な記録媒体には、コンピュータプログラムが記憶されている。前記コンピュータプログラムは、1つ以上のプロセッサによって実行されて上記いずれかの実施例に記載の制御方法を実現するよう配置される。
【0151】
以上の実施例の各技術的特徴は任意に組み合わせることができ、説明を簡潔にするために、上記実施例における各技術的特徴のすべての可能な組合せについて説明していないが、これらの技術的特徴の組合せは矛盾しない限り、本明細書に記載されている範囲に属すると考えられる。
【0152】
上述した実施例の各技術的特徴と任意の技術的特徴との組み合わせは汎用性を有し、シングルポート手術ロボットに適用するだけでなく、マルチポート手術ロボットにも適用し、さらに、構成の異なるロボットアームでの使用に影響を与えたり制限したりすることがない。
【0153】
上記実施例は本発明の幾つかの実施形態のみを詳細且つ具体的に示しているが、本発明の保護範囲を限定するものではないと理解すべきである。当業者にとって、本発明の創造的構想から逸脱しない前提で、幾つかの変形や改善を行うことができ、これらはすべて本発明の保護範囲に属するべきであると理解しなければならない。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に指定された内容を基準とする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24