(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182738
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】閉ループ酸素制御
(51)【国際特許分類】
A61M 16/10 20060101AFI20231219BHJP
A61M 16/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
A61M16/10 Z
A61M16/00 370Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023173161
(22)【出願日】2023-10-04
(62)【分割の表示】P 2020519339の分割
【原出願日】2018-10-05
(31)【優先権主張番号】62/569,429
(32)【優先日】2017-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/596,722
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513259285
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】リース、マシュー、ジェームズ、ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル、ウィリアム、バージェス
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド、マーティン、ラッセル
(72)【発明者】
【氏名】アントン、キム、ガリー
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ、グレイディ、キャントレル
(72)【発明者】
【氏名】イー、リン、ホアン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】フロー療法装置での酸素供給を制御するための方法及びシステムに関する。
【解決手段】フロー療法装置10は、閉ループ制御を使用して患者へのガスの供給を制御するように構成されたコントローラ13を含む。コントローラは少なくとも1つのセンサー26から、患者の酸素飽和度(SpO2)を示す患者パラメータデータを受信し、制御フェーズを実行する。治療セッション中の呼吸器の動作は、少なくとも一部には患者パラメータデータに基づいている。呼吸器の動作中、少なくともガス流の酸素含有量(FdO2)を決定するように構成された超音波センサーシステムであるガス組成センサーを含む。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者にガスの流れを提供する呼吸器であって、
閉ループ制御を使用して前記患者へのガスの供給を制御するように構成されたコントローラであって、
少なくとも1つのセンサーから、前記患者の酸素飽和度(SpO2)を示す患者パラメータデータを受信すること、
制御フェーズを実行することであって、治療セッション中の前記呼吸器の動作は、少なくとも一部には前記患者パラメータデータに基づいている、実行すること
を行うように構成されるコントローラと、
前記呼吸器の動作中、少なくともガス流の酸素含有量(FdO2)を決定するように構成されたガス組成センサーであって、超音波センサーシステムであるガス組成センサーとを含む呼吸器。
【請求項2】
フェイスマスク、鼻マスク、鼻枕マスク、気管切開インターフェース、鼻カニューレ又は気管内チューブの少なくとも1つから選択される患者インターフェースをさらに含む、請求項1に記載の呼吸器。
【請求項3】
前記鼻カニューレは、非シール鼻カニューレである、請求項2に記載の呼吸器。
【請求項4】
ネーザルハイフロー(NHF)でガスの流れを前記患者に供給するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項5】
前記少なくとも1つのセンサーは、パルスオキシメータである、請求項1~4のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項6】
前記コントローラは、前記ガス流の酸素濃度を示す機器パラメータデータを受信するように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項7】
補足ガス流入口弁をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項8】
前記コントローラは、前記補足ガス流入口弁の動作を制御するように構成される、請求項7に記載の呼吸器。
【請求項9】
前記補足ガス流入口弁は、比例弁である、請求項7又は8に記載の呼吸器。
【請求項10】
前記補足ガス流入口弁は、酸素流入口弁である、請求項7~9のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項11】
前記補足ガス流入口弁は、スイベルコネクタを含む、請求項7~10のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項12】
周囲空気流入口をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項13】
前記酸素流入口弁は、フィルターモジュールと流体連通しており、前記呼吸器は、前記フィルターモジュール内の前記周囲空気流入口からの周囲空気と一緒に、前記酸素流入口弁から受け入れられた酸素を吸い込むように構成される、請求項10に従属する場合の請求項12に記載の呼吸器。
【請求項14】
前記ガス組成センサーは、前記呼吸器の送風器モジュールの下流に位置決めされる、請求項1~13のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項15】
前記フィルターモジュールは、前記呼吸器の前記送風器モジュールの上流に位置決めされる、請求項13に従属する場合の請求項14に記載の呼吸器。
【請求項16】
前記送風器モジュールは、周囲空気と酸素とを混合する、請求項14又は15に記載の呼吸器。
【請求項17】
前記閉ループ制御は、供給された酸素の目標割合(FdO2)を決定するように構成された第1の閉ループ制御モデルを使用することを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項18】
前記目標FdO2は、少なくとも一部には目標SpO2及び実測SpO2に基づいて決定される、請求項17に記載の呼吸器。
【請求項19】
前記目標FdO2は、少なくとも一部には実測FdO2にさらに基づいている、請求項18に記載の呼吸器。
【請求項20】
前記目標FdO2は、少なくとも一部には以前の目標FdO2にさらに基づいている、請求項18又は19に記載の呼吸器。
【請求項21】
前記閉ループ制御は、少なくとも一部には前記目標FdO2と前記実測FdO2との差に基づいて、酸素流入口弁のための制御信号を決定するように構成された第2の閉ループ制御モデルを使用することを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項22】
前記酸素弁のための前記制御信号は、少なくとも一部には前記目標FdO2及び前記実測FdO2に基づいて決定される、請求項21に記載の呼吸器。
【請求項23】
前記酸素弁のための前記制御信号は、少なくとも一部にはガス流量にさらに基づいて決定される、請求項22に記載の呼吸器。
【請求項24】
前記ガス流量は、総ガス流量である、請求項23に記載の呼吸器。
【請求項25】
前記コントローラは、前記少なくとも1つのセンサーの信号品質が閾値を下回るとき、手動動作モードに移るように構成される、請求項1~24のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項26】
前記コントローラは、前記患者SpO2が、規定された限界値外であるとき、手動動作モードに移るように構成される、請求項1~25のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項27】
前記コントローラは、前記患者SpO2が、前記規定された限界値外であるとき、アラームをトリガするように構成される、請求項1~26のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項28】
前記ガスの供給の制御は、前記ガス流のFdO2の制御を含み、前記コントローラは、前記少なくとも1つのセンサーの信号品質の表示度数を受信し、且つ少なくとも一部には前記信号品質に基づいて前記FdO2の前記制御に重み付けを適用するように構成される、請求項1~27のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項29】
前記信号品質の表示度数は、特定のSpO2読取値に対応する、請求項28に記載の呼吸器。
【請求項30】
前記制御フェーズは、患者特有モデルを使用して実行されるように構成される、請求項1~29のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項31】
前記患者特有モデルは、前記治療セッションの学習フェーズ中に生成される、請求項30に記載の呼吸器。
【請求項32】
前記患者特有モデルは、前記治療セッション中に生成される、請求項30に記載の呼吸器。
【請求項33】
前記患者特有モデルは、前記治療セッション中に更新される、請求項30~32のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項34】
前記制御フェーズは、少なくとも一部には前記患者特有モデルに基づいてPID制御を使用して実行されるように構成される、請求項30~33のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項35】
前記患者特有モデルは、前記患者の酸素効率を含む、請求項30~34のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項36】
前記酸素効率は、少なくとも一部には実測SpO2及び実測FdO2に基づいて決定される、請求項35に記載の呼吸器。
【請求項37】
前記酸素効率は、少なくとも一部には、実測FdO2で割られた実測SpO2に基づいて決定される、請求項35又は36に記載の呼吸器。
【請求項38】
前記酸素効率は、少なくとも一部には、前記患者の実測SpO2と実測FdO2との間の非線形関係に基づいて決定される、請求項35又は36に記載の呼吸器。
【請求項39】
前記コントローラは、少なくとも一部には前記実測FdO2に基づいて前記患者の前記SpO2を予測するように構成される、請求項1~38のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項40】
前記SpO2の以前の予測値は、モデル誤差を計算するために実測SpO2と比較される、請求項39に記載の呼吸器。
【請求項41】
前記モデル誤差は、前記少なくとも1つのセンサーの信号品質によって重み付けされる、請求項40に記載の呼吸器。
【請求項42】
前記モデル誤差は、現在のSpO2予測値を訂正するために使用される、請求項40又は41に記載の呼吸器。
【請求項43】
予測SpO2は、少なくとも一部にはスミス予測器に基づいている、請求項39~42のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項44】
前記コントローラは、前記患者の特性を識別する入力を受信するように構成される、請求項1~43のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項45】
前記患者特性は、患者タイプ、年齢、体重、身長又は性別の少なくとも1つを含む、請求項44に記載の呼吸器。
【請求項46】
前記患者タイプは、正常、高炭酸ガス血症又はユーザが定義したものの1つである、請求項45に記載の呼吸器。
【請求項47】
前記コントローラは、前記実測FdO2及び前記実測SpO2に対応するデータを記録するようにさらに構成される、請求項1~46のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項48】
加湿器をさらに含む、請求項1~47のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項49】
統合された送風器及び加湿器をさらに含む、請求項1~48のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項50】
運搬可能であるように構成される、請求項1~49のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項51】
制御された可変流量を有するように構成される、請求項1~50のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項52】
加熱された呼吸管をさらに含む、請求項1~51のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項53】
前記超音波センサーシステムは、第1の超音波トランスデューサ及び第2の超音波トランスデューサを含む、請求項1~52のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項54】
前記第1の超音波トランスデューサ及び前記第2の超音波トランスデューサのそれぞれは、受信器及び送信器である、請求項53に記載の呼吸器。
【請求項55】
前記第1の超音波トランスデューサ及び前記第2の超音波トランスデューサは、双方向にパルスを送る、請求項54に記載の呼吸器。
【請求項56】
前記第1の超音波トランスデューサは、送信器であり、及び前記第2の超音波トランスデューサは、受信器である、請求項55に記載の呼吸器。
【請求項57】
前記第1の超音波トランスデューサ又は前記第2の超音波トランスデューサの少なくとも一方は、前記ガス流に沿ってパルスを送る、請求項53~56のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項58】
前記第1の超音波トランスデューサ又は前記第2の超音波トランスデューサの少なくとも一方は、前記ガス流にわたってパルスを送る、請求項53~56のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項59】
前記コントローラは、前記呼吸器のディスプレイに第1の酸素効率特性を表示するように構成される、請求項1~58のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項60】
前記コントローラは、前記呼吸器のディスプレイに第2の酸素効率特性を表示するように構成され、酸素効率の第2の表示度数は、少なくとも一部には前記患者の酸素効率及び実測呼吸数に基づいている、請求項1~59のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項61】
前記第2の酸素効率特性は、実測SpO2を実測FdO2で割り、且つ結果として生じる値を前記実測呼吸数で割ることによって計算される、請求項60に記載の呼吸器。
【請求項62】
前記コントローラは、規定された期間にわたる前記第1の酸素効率特性又は前記第2の酸素効率特性の少なくとも一方を示すグラフ又は傾向線を表示するように構成される、請求項60又は61に記載の呼吸器。
【請求項63】
患者にガスの流れを提供する呼吸器であって、
閉ループ制御を使用して前記患者へのガスの供給を制御するように構成されたコントローラであって、
前記患者への前記ガス流の酸素濃度(FdO2)を制御することと、
少なくとも1つの患者センサーから、前記患者の実測酸素飽和度(SpO2)を示すデータを受信することと、
前記ガス流の実測FdO2を示すデータを受信することと、
前記患者の目標SpO2を受信することと、
前記ガス流の前記FdO2に対してステップ変化を実行することであって、前記ステップ変化の大きさは、少なくとも一部には前記患者の前記実測SpO2、前記目標SpO2及び酸素効率に基づいている、実行することと
を行うように構成されるコントローラ
を含む呼吸器。
【請求項64】
前記酸素効率は、少なくとも一部には実測SpO2及び実測FdO2に基づいて決定される、請求項63に記載の呼吸器。
【請求項65】
前記酸素効率は、少なくとも一部には、実測FdO2で割られた実測SpO2に基づいて決定される、請求項63又は64に記載の呼吸器。
【請求項66】
前記酸素効率は、少なくとも一部には、前記患者の実測SpO2と実測FdO2との間の非線形関係に基づいて決定される、請求項63又は64に記載の呼吸器。
【請求項67】
前記ステップ変化の前記大きさは、少なくとも一部には前記ステップ変化前の前記目標FdO2に対する最近の変化に基づいている、請求項63~66のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項68】
新しい目標FdO2は、少なくとも一部には以前の目標FdO2に基づいて計算される、請求項67に記載の呼吸器。
【請求項69】
前記コントローラは、前記ステップ変化後にフィードフォワードステージを実行するように構成される、請求項63~68のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項70】
前記コントローラは、前記ステップ変化の直後に前記フィードフォワードステージの全持続時間にわたって前記目標FdO2を維持するようにさらに構成される、請求項69に記載の呼吸器。
【請求項71】
前記フィードフォワードステージは、前記実測SpO2が前記目標SpO2を満たすか又はそれを上回る場合に終了する、請求項69又は70に記載の呼吸器。
【請求項72】
前記フィードフォワードステージは、規定された最大期間に達する場合に終了する、請求項69~71のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項73】
フェイスマスク、鼻マスク、鼻枕マスク、気管切開インターフェース、鼻カニューレ又は気管内チューブの少なくとも1つから選択される患者インターフェースをさらに含む、請求項63~72のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項74】
前記鼻カニューレは、非シール鼻カニューレである、請求項73に記載の呼吸器。
【請求項75】
ネーザルハイフロー(NHF)でガスの流れを前記患者に供給するように構成される、請求項63~74のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項76】
前記少なくとも1つの患者センサーは、パルスオキシメータである、請求項63~75のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項77】
加湿器をさらに含む、請求項63~76のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項78】
前記呼吸器の動作中に前記実測FdO2を決定するように構成されたガス組成センサーをさらに含み、前記ガス組成センサーは、超音波トランスデューサシステムである、請求項63~77のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項79】
前記コントローラは、前記フィードフォワードステージ後に制御フェーズを実行するようにさらに構成される、請求項63~78のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項80】
前記制御フェーズでは、前記コントローラは、フィードバック制御を使用して前記目標FdO2を達成するために前記ガス流のFdO2を制御するようにさらに構成される、請求項79に記載の呼吸器。
【請求項81】
前記コントローラは、前記少なくとも1つの患者センサーの信号品質の表示度数を受信し、且つ少なくとも一部には前記信号品質に基づいて前記FdO2の前記制御に重み付けを適用するようにさらに構成される、請求項80に記載の呼吸器。
【請求項82】
前記コントローラは、前記患者の予測SpO2を使用して前記制御フェーズを実行するようにさらに構成される、請求項79~81のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項83】
運搬可能であるように構成される、請求項63~82のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項84】
前記コントローラは、前記呼吸器のディスプレイに第1の酸素効率特性を表示するように構成される、請求項63~83のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項85】
前記コントローラは、前記呼吸器のディスプレイに第2の酸素効率特性を表示するように構成され、酸素効率の第2の表示度数は、少なくとも一部には前記患者の酸素効率及び実測呼吸数に基づいている、請求項63~84のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項86】
前記第2の酸素効率特性は、実測SpO2を実測FdO2で割り、且つ結果として生じる値を前記実測呼吸数で割ることによって計算される、請求項85に記載の呼吸器。
【請求項87】
前記コントローラは、規定された期間にわたる前記第1の酸素効率特性又は前記第2の酸素効率特性の少なくとも一方を示すグラフ又は傾向線を表示するように構成される、請求項85又は86に記載の呼吸器。
【請求項88】
患者にガスの流れを提供する呼吸器であって、
閉ループ制御を使用して前記患者へのガスの供給を制御するように構成されたコントローラであって、
前記ガス流の酸素濃度(FdO2)を示す機器パラメータデータを受信することと、
少なくとも1つのセンサーから、前記患者の酸素飽和度(SpO2)読取値を示す患者パラメータデータを受信することであって、前記患者の前記SpO2は、前記ガス流の前記FdO2によって影響される、受信することと、
前記少なくとも1つのセンサーの信号品質の表示度数を受信することと、
少なくとも一部には前記信号品質に基づいて前記FdO2の制御に重み付けを適用することと
を行うように構成されるコントローラ
を含む呼吸器。
【請求項89】
前記信号品質の表示度数は、特定のSpO2読取値に対応する、請求項88に記載の呼吸器。
【請求項90】
フェイスマスク、鼻マスク、鼻枕マスク、気管切開インターフェース、鼻カニューレ又は気管内チューブの少なくとも1つから選択される患者インターフェースをさらに含む、請求項88又は89に記載の呼吸器。
【請求項91】
前記鼻カニューレは、非シール鼻カニューレである、請求項90に記載の呼吸器。
【請求項92】
ネーザルハイフロー(NHF)でガスの流れを前記患者に供給するように構成される、請求項88~91のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項93】
前記少なくとも1つのセンサーは、パルスオキシメータである、請求項88~92のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項94】
前記コントローラは、前記患者の特性を識別する入力を受信するように構成される、請求項88~93のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項95】
前記コントローラは、前記患者の予測SpO2を使用してガスの供給を制御するように構成される、請求項88~94のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項96】
前記予測SpO2は、少なくとも一部にはスミス予測器に基づいている、請求項95に記載の呼吸器。
【請求項97】
前記コントローラは、患者特有モデルを使用してガスの供給を制御するように構成される、請求項88~96のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項98】
前記モデルは、前記患者の治療セッションの学習フェーズ中に生成される患者特有モデルである、請求項97に記載の呼吸器。
【請求項99】
前記患者特有モデルは、少なくとも一部にはデフォルトモデルに基づいて前記治療セッション中に生成される、請求項97に記載の呼吸器。
【請求項100】
前記患者特有モデルは、前記治療セッション中に更新される、請求項97~99のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項101】
前記モデルは、遅延時間を含む、請求項97~100のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項102】
前記モデルは、指数関数的減衰を含む、請求項97~101のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項103】
前記モデルは、前記患者の酸素効率を含む、請求項97~102のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項104】
前記酸素効率は、少なくとも一部には実測SpO2及び実測FdO2に基づいて決定される、請求項103に記載の呼吸器。
【請求項105】
前記酸素効率は、少なくとも一部には、実測FdO2で割られた実測SpO2に基づいて決定される、請求項103又は104に記載の呼吸器。
【請求項106】
前記酸素効率は、少なくとも一部には、前記患者の実測SpO2と実測FdO2との間の非線形関係に基づいて決定される、請求項103又は104に記載の呼吸器。
【請求項107】
運搬可能であるように構成される、請求項88~106のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項108】
患者にガスの流れを提供する呼吸器であって、
閉ループ制御を使用して前記患者へのガスの供給を制御するように構成されたコントローラであって、
前記患者への前記ガス流の酸素濃度(FdO2)を制御することと、
少なくとも1つの患者センサーから、前記患者の実測酸素飽和度(SpO2)を示すデータを受信することと、
前記ガス流の実測FdO2を示すデータを受信することと、
前記患者の目標SpO2を受信することと、
待機ステージを実行することであって、前記待機ステージ中、前記コントローラは、制御フェーズに移る前にフィードフォワードステージを実行するかどうかを決定するように構成され、前記ガス流の前記目標FdO2は、前記待機ステージ中、一定に保たれる、実行することと、
制御フェーズを実行することであって、前記FdO2は、フィードバック制御を使用して前記目標SpO2を達成するように制御される、実行することと
を行うように構成されるコントローラ
を含む呼吸器。
【請求項109】
前記コントローラは、少なくとも一部には前記目標SpO2及び前記実測SpO2に基づいて、前記フィードフォワードステージを実行するかどうかを決定するようにさらに構成される、請求項108に記載の呼吸器。
【請求項110】
前記コントローラが前記フィードフォワードステージを実行すると決定する場合、前記コントローラは、前記待機ステージ後に前記フィードフォワードステージを実行し、及び前記コントローラが前記フィードフォワードステージを実行しないと決定する場合、前記コントローラは、前記待機フェーズ後に前記制御フェーズを実行する、請求項108又は109に記載の呼吸器。
【請求項111】
前記コントローラは、前記フィードフォワードステージの全持続時間にわたって目標FdO2を維持するようにさらに構成される、請求項108~110のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項112】
前記フィードフォワードステージは、前記実測SpO2が前記目標SpO2を満たすか又はそれを上回る場合に終了する、請求項108~111のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項113】
前記フィードフォワードステージは、規定された最大期間に達する場合に終了する、請求項108~112のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項114】
前記コントローラは、前記フィードフォワードステージ後に前記制御フェーズを実行するようにさらに構成される、請求項108~113のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項115】
前記フィードフォワードステージの実行前、前記コントローラは、前記ガス流の前記FdO2に対してステップ変化を実行するかどうかを決定するように構成される、請求項108~114のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項116】
前記コントローラは、少なくとも一部には前記目標FdO2に対する最近の変化に基づいて、前記ステップ変化を実行するかどうかを決定するようにさらに構成される、請求項115に記載の呼吸器。
【請求項117】
前記コントローラは、少なくとも一部には前記目標SpO2及び前記実測SpO2に基づいて、前記ステップ変化を実行するかどうかを決定するようにさらに構成される、請求項115又は116に記載の呼吸器。
【請求項118】
前記コントローラは、少なくとも一部には前記患者の酸素効率に基づいて、前記ステップ変化を実行するかどうかを決定するようにさらに構成される、請求項115~117のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項119】
前記ステップ変化の大きさは、少なくとも一部には前記患者の前記実測SpO2、前記目標SpO2及び酸素効率に基づいている、請求項115~118のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項120】
前記酸素効率は、少なくとも一部には実測SpO2及び実測FdO2に基づいて決定される、請求項118又は119に記載の呼吸器。
【請求項121】
前記酸素効率は、少なくとも一部には、実測FdO2で割られた実測SpO2に基づいて決定される、請求項118~120のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項122】
前記酸素効率は、少なくとも一部には、前記患者の実測SpO2と実測FdO2との間の非線形関係に基づいて決定される、請求項118~121のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項123】
前記ステップ変化の前記大きさは、少なくとも一部には前記目標FdO2に対する最近の変化に基づいている、請求項119~122のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項124】
フェイスマスク、鼻マスク、鼻枕マスク、気管切開インターフェース、鼻カニューレ又は気管内チューブの少なくとも1つから選択される患者インターフェースをさらに含む、請求項108~123のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項125】
前記鼻カニューレは、非シール鼻カニューレである、請求項124に記載の呼吸器。
【請求項126】
ネーザルハイフロー(NHF)でガスの流れを前記患者に供給するように構成される、請求項108~125のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項127】
前記少なくとも1つの患者センサーは、パルスオキシメータである、請求項108~126のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項128】
加湿器をさらに含む、請求項108~127のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項129】
前記呼吸器の動作中に実測FdO2を決定するように構成されたガス組成センサーをさらに含み、前記ガス組成センサーは、超音波トランスデューサシステムである、請求項108~128のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項130】
前記コントローラは、前記少なくとも1つの患者センサーの信号品質の表示度数を受信し、且つ少なくとも一部には前記信号品質に基づいて前記FdO2の前記制御に重み付けを適用するようにさらに構成される、請求項108~129のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項131】
前記コントローラは、前記制御フェーズ中に前記重み付けを適用するようにさらに構成される、請求項108~130のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項132】
前記コントローラは、前記患者の予測SpO2を使用して前記制御フェーズを実行するようにさらに構成される、請求項108~131のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項133】
運搬可能であるように構成される、請求項108~132のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項134】
患者にガスの流れを提供する呼吸器であって、
閉ループ制御を使用して前記患者へのガスの供給を制御するように構成されたコントローラであって、
前記患者にネーザルハイフロー(NHF)でガス流を供給することと、
少なくとも1つの患者センサーから、前記患者の実測酸素飽和度(SpO2)を示すデータを受信することと、
前記ガス流の供給された酸素の実測割合(FdO2)を示すデータを受信することと、 前記患者の酸素効率を決定することと、
患者特有モデルを生成することであって、前記患者特有モデルは、前記患者の前記酸素効率を使用する、生成することと
を行うように構成されるコントローラ
を含む呼吸器。
【請求項135】
前記酸素効率は、少なくとも一部には実測SpO2及び実測FdO2に基づいて決定される、請求項134に記載の呼吸器。
【請求項136】
前記酸素効率は、少なくとも一部には、実測FdO2で割られた実測SpO2に基づいて決定される、請求項134又は135に記載の呼吸器。
【請求項137】
前記酸素効率は、少なくとも一部には、前記患者の実測SpO2と実測FdO2との間の非線形関係に基づいて決定される、請求項134又は135に記載の呼吸器。
【請求項138】
前記患者特有モデルは、少なくとも一部にはデフォルトモデルに基づいて生成される、請求項134に記載の呼吸器。
【請求項139】
前記患者特有モデルは、学習フェーズ中に生成される、請求項134に記載の呼吸器。
【請求項140】
前記患者特有モデルは、前記患者の治療セッション中に更新される、請求項134に記載の呼吸器。
【請求項141】
前記患者特有モデルは、少なくとも一部にはFdO2の変化に基づいてSpO2の変化の大きさをモデリングする、請求項134~140のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項142】
前記患者特有モデルは、前記ガス流の流量を使用する、請求項134~141のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項143】
前記患者特有モデルは、前記患者のFdO2の変化とSpO2の変化との間の遅延時間を含む、請求項134~142のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項144】
前記遅延時間は、少なくとも一部には前記ガス流の前記流量に基づいている、請求項143に記載の呼吸器。
【請求項145】
前記患者特有モデルは、指数関数的減衰を含む、請求項134~144のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項146】
前記少なくとも1つの患者センサーは、パルスオキシメータである、請求項134~145のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項147】
加湿器をさらに含む、請求項134~146のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項148】
前記FdO2は、超音波トランスデューサシステムを使用して測定される、請求項134~147のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項149】
前記超音波トランスデューサシステムは、第1の超音波トランスデューサ及び第2の超音波トランスデューサを含む、請求項148に記載の呼吸器。
【請求項150】
前記第1の超音波トランスデューサ及び前記第2の超音波トランスデューサのそれぞれは、受信器及び送信器である、請求項149に記載の呼吸器。
【請求項151】
前記第1の超音波トランスデューサ及び前記第2の超音波トランスデューサは、双方向にパルスを送る、請求項150に記載の呼吸器。
【請求項152】
前記第1の超音波トランスデューサは、送信器であり、及び前記第2の超音波トランスデューサは、受信器である、請求項148に記載の呼吸器。
【請求項153】
前記第1の超音波トランスデューサ又は前記第2の超音波トランスデューサの少なくとも一方は、前記ガス流に沿ってパルスを送る、請求項149~151のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項154】
前記第1の超音波トランスデューサ又は前記第2の超音波トランスデューサの少なくとも一方は、前記ガス流にわたってパルスを送る、請求項149~151のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項155】
運搬可能であるように構成される、請求項134~154のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項156】
患者にガスの流れを提供する呼吸器であって、
閉ループ制御を使用して前記患者へのガスの供給を制御するように構成されたコントローラであって、
前記患者への前記ガス流の酸素濃度(FdO2)を制御することと、
少なくとも1つの患者センサーから、前記患者の実測酸素飽和度(SpO2)を示すデータを受信することと、
前記ガス流の実測FdO2を示すデータを受信することと、
前記患者の目標SpO2を受信することと、
前記ガス流の前記FdO2に対して、目標FdO2へのステップ変化を実行することと、
フィードフォワードステージを実行することと、
制御フェーズを実行することであって、前記FdO2は、フィードバック制御を使用して前記目標SpO2を達成するように制御される、実行することと
を行うように構成されるコントローラ
を含む呼吸器。
【請求項157】
前記ステップ変化の大きさは、少なくとも一部には前記患者の前記実測SpO2、前記目標SpO2及び酸素効率に基づいている、請求項156に記載の呼吸器。
【請求項158】
前記目標FdO2は、少なくとも一部には前記ステップ変化前の前記目標FdO2に対する最近の変化に基づいている、請求項157に記載の呼吸器。
【請求項159】
前記コントローラは、前記ステップ変化の直後に前記フィードフォワードステージの全持続時間にわたって前記目標FdO2を維持するようにさらに構成される、請求項156~158のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項160】
前記フィードフォワードステージは、規定された最大期間に達する場合に終了する、請求項156~159のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項161】
前記フィードフォワードステージは、前記実測SpO2が前記目標SpO2を満たすか又はそれを上回る場合に終了する、請求項156~160のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項162】
前記コントローラは、前記フィードフォワードステージ後に前記制御フェーズを実行するようにさらに構成される、請求項156~161のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項163】
フェイスマスク、鼻マスク、鼻枕マスク、気管切開インターフェース、鼻カニューレ又は気管内チューブの少なくとも1つから選択される患者インターフェースをさらに含む、請求項156~162のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項164】
前記鼻カニューレは、非シール鼻カニューレである、請求項163に記載の呼吸器。
【請求項165】
ネーザルハイフロー(NHF)でガスの流れを前記患者に供給するように構成される、請求項156~164のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項166】
前記少なくとも1つの患者センサーは、パルスオキシメータである、請求項156~165のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項167】
加湿器をさらに含む、請求項156~166のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項168】
前記呼吸器の動作中に実測FdO2を決定するように構成されたガス組成センサーをさらに含み、前記ガス組成センサーは、超音波トランスデューサシステムである、請求項156~167のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項169】
前記コントローラは、前記少なくとも1つの患者センサーの信号品質の表示度数を受信し、且つ少なくとも一部には前記信号品質に基づいて前記FdO2の前記制御に重み付けを適用するようにさらに構成される、請求項156~168のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項170】
前記コントローラは、前記患者の予測SpO2を使用して前記制御フェーズを実行するようにさらに構成される、請求項156~169のいずれか一項に記載の呼吸器。
【請求項171】
運搬可能であるように構成される、請求項156~170のいずれか一項に記載の呼吸器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フロー療法装置での酸素供給を制御するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸器は、病院、医療施設、居住介護又は家庭環境などの様々な環境においてユーザ又は患者にガスの流れを供給するために使用されている。呼吸器又はフロー療法装置は、ガスの流れと共に補足酸素を供給できるようにする酸素流入口並びに/又は加熱及び加湿ガスを供給するための加湿装置を含み得る。フロー療法装置は、流量、温度、酸素濃度などのガス濃度、湿度、圧力などを含むガス流の特性の調整及び制御を可能にし得る。
【発明の概要】
【0003】
本明細書で開示する第1の実施形態のいくつかの特性、態様及び利点によれば、患者にガスの流れを提供する呼吸器であって、閉ループ制御を使用して患者へのガスの供給を制御するように構成されたコントローラであって、少なくとも1つのセンサーから、患者の酸素飽和度(SpO2)を示す患者パラメータデータを受信すること、制御フェーズを実行することであって、治療セッション中の呼吸器の動作は、少なくとも一部には患者パラメータデータに基づいている、実行することを行うように構成されるコントローラと、呼吸器の動作中、少なくともガス流の酸素含有量(FdO2)を決定するように構成されたガス組成センサーであって、超音波センサーシステムであるガス組成センサーとを含む呼吸器である。
【0004】
第1の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、フェイスマスク、鼻マスク、鼻枕マスク、気管切開インターフェース、鼻カニューレ又は気管内チューブの少なくとも1つから選択される患者インターフェースを含む。
【0005】
第1の実施形態のいくつかの構成では、鼻カニューレは、非シール鼻カニューレである。
【0006】
第1の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、ネーザルハイフロー(NHF)でガスの流れを患者に供給するように構成される。
【0007】
第1の実施形態のいくつかの構成では、少なくとも1つのセンサーは、パルスオキシメータである。
【0008】
第1の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、ガス流の酸素濃度を示す機器パラメータデータを受信するように構成される。
【0009】
第1の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、補足ガス流入口弁を含む。
【0010】
第1の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、補足ガス流入口弁の動作を制御するように構成される。
【0011】
第1の実施形態のいくつかの構成では、補足ガス流入口弁は、比例弁である。
【0012】
第1の実施形態のいくつかの構成では、補足ガス流入口弁は、酸素流入口弁である。
【0013】
第1の実施形態のいくつかの構成では、補足ガス流入口弁は、スイベルコネクタを含む。
【0014】
第1の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、周囲空気流入口を含む。
【0015】
第1の実施形態のいくつかの構成では、酸素流入口弁は、フィルターモジュールと流体連通しており、及び呼吸器は、フィルターモジュール内の周囲空気流入口からの周囲空気と一緒に、酸素流入口弁から受け入れられた酸素を吸い込むように構成される。
【0016】
第1の実施形態のいくつかの構成では、ガス組成センサーは、呼吸器の送風器モジュールの下流に位置決めされる。
【0017】
第1の実施形態のいくつかの構成では、フィルターモジュールは、呼吸器の送風器モジュールの上流に位置決めされる。
【0018】
第1の実施形態のいくつかの構成では、送風器モジュールは、周囲空気と酸素とを混合する。
【0019】
第1の実施形態のいくつかの構成では、閉ループ制御は、供給された酸素の目標割合(FdO2)を決定するように構成された第1の閉ループ制御モデルを使用することを含む。
【0020】
第1の実施形態のいくつかの構成では、目標FdO2は、少なくとも一部には目標SpO2及び実測SpO2に基づいて決定される。
【0021】
第1の実施形態のいくつかの構成では、目標FdO2は、少なくとも一部には実測FdO2にさらに基づいている。
【0022】
第1の実施形態のいくつかの構成では、目標FdO2は、少なくとも一部には以前の目標FdO2にさらに基づいている。
【0023】
第1の実施形態のいくつかの構成では、閉ループ制御は、少なくとも一部には目標FdO2と実測FdO2との差に基づいて、酸素流入口弁のための制御信号を決定するように構成された第2の閉ループ制御モデルを使用することを含む。
【0024】
第1の実施形態のいくつかの構成では、酸素弁のための制御信号は、少なくとも一部には目標FdO2及び実測FdO2に基づいて決定される。
【0025】
第1の実施形態のいくつかの構成では、酸素弁のための制御信号は、少なくとも一部にはガス流量にさらに基づいて決定される。
【0026】
第1の実施形態のいくつかの構成では、ガス流量は、総ガス流量である。
【0027】
第1の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、少なくとも1つのセンサーの信号品質が閾値を下回るとき、手動動作モードに移るように構成される。
【0028】
第1の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、ユーザに対して、少なくとも1つのセンサーの信号品質が閾値を下回っていることを示す通知を生成するように構成される。
【0029】
第1の実施形態のいくつかの構成では、通知は、手動動作モードに移るかどうかのユーザ指示の入力を要求する。
【0030】
第1の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、患者SpO2が、規定された限界値外であるとき、手動動作モードに移るように構成される。
【0031】
第1の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、患者SpO2が、規定された限界値外であるとき、アラームをトリガするように構成される。
【0032】
第1の実施形態のいくつかの構成では、ガスの供給の制御は、ガス流のFdO2の制御を含み、及びコントローラは、少なくとも1つのセンサーの信号品質の表示度数を受信し、且つ少なくとも一部には信号品質に基づいてFdO2の制御に重み付けを適用するように構成される。
【0033】
第1の実施形態のいくつかの構成では、信号品質の表示度数は、特定のSpO2読取値に対応する。
【0034】
第1の実施形態のいくつかの構成では、制御フェーズは、患者特有モデルを使用して実行されるように構成される。
【0035】
第1の実施形態のいくつかの構成では、患者特有モデルは、治療セッションの学習フェーズ中に生成される。
【0036】
第1の実施形態のいくつかの構成では、患者特有モデルは、治療セッション中に生成される。
【0037】
第1の実施形態のいくつかの構成では、患者特有モデルは、治療セッション中に更新される。
【0038】
第1の実施形態のいくつかの構成では、制御フェーズは、少なくとも一部には患者特有モデルに基づいてPID制御を使用して実行されるように構成される。
【0039】
第1の実施形態のいくつかの構成では、患者特有モデルは、患者の酸素効率を含む。
【0040】
第1の実施形態のいくつかの構成では、酸素効率は、少なくとも一部には実測SpO2及び実測FdO2に基づいて決定される。
【0041】
第1の実施形態のいくつかの構成では、酸素効率は、少なくとも一部には、実測FdO2で割られた実測SpO2に基づいて決定される。
【0042】
第1の実施形態のいくつかの構成では、酸素効率は、少なくとも一部には、患者の実測SpO2と実測FdO2との間の非線形関係に基づいて決定される。
【0043】
第1の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、少なくとも一部には実測FdO2に基づいて患者のSpO2を予測するように構成される。
【0044】
第1の実施形態のいくつかの構成では、SpO2の以前の予測値は、モデル誤差を計算するために実測SpO2と比較される。
【0045】
第1の実施形態のいくつかの構成では、モデル誤差は、少なくとも1つのセンサーの信号品質によって重み付けされる。
【0046】
第1の実施形態のいくつかの構成では、モデル誤差は、現在のSpO2予測値を訂正するために使用される。
【0047】
第1の実施形態のいくつかの構成では、予測SpO2は、少なくとも一部にはスミス予測器(Smith predictor)に基づいている。
【0048】
第1の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、患者の特性を識別する入力を受信するように構成される。
【0049】
第1の実施形態のいくつかの構成では、患者特性は、患者タイプ、年齢、体重、身長又は性別の少なくとも1つを含む。
【0050】
第1の実施形態のいくつかの構成では、患者タイプは、正常、高炭酸ガス血症又はユーザが定義したものの1つである。
【0051】
第1の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、実測FdO2及び実測SpO2に対応するデータを記録するようにさらに構成される。
【0052】
第1の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、加湿器を含む。
【0053】
第1の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、統合された送風器及び加湿器を含む。
【0054】
第1の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、運搬可能であるように構成される。
【0055】
第1の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、制御された可変流量を有するように構成される。
【0056】
第1の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、加熱された呼吸管を含む。
【0057】
第1の実施形態のいくつかの構成では、超音波センサーシステムは、第1の超音波トランスデューサ及び第2の超音波トランスデューサを含む。
【0058】
第1の実施形態のいくつかの構成では、第1の超音波トランスデューサ及び第2の超音波トランスデューサのそれぞれは、受信器及び送信器である。
【0059】
第1の実施形態のいくつかの構成では、第1の超音波トランスデューサ及び第2の超音波トランスデューサは、双方向にパルスを送る。
【0060】
第1の実施形態のいくつかの構成では、第1の超音波トランスデューサは、送信器であり、及び第2の超音波トランスデューサは、受信器である。
【0061】
第1の実施形態のいくつかの構成では、第1の超音波トランスデューサ又は第2の超音波トランスデューサの少なくとも一方は、ガス流に沿ってパルスを送る。
【0062】
第1の実施形態のいくつかの構成では、第1の超音波トランスデューサ又は第2の超音波トランスデューサの少なくとも一方は、ガス流にわたってパルスを送る。
【0063】
第1の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、呼吸器のディスプレイに第1の酸素効率特性を表示するように構成される。
【0064】
第1の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、呼吸器のディスプレイに第2の酸素効率特性を表示するように構成され、及び酸素効率の第2の表示度数は、少なくとも一部には患者の酸素効率及び実測呼吸数に基づいている。
【0065】
第1の実施形態のいくつかの構成では、第2の酸素効率特性は、実測SpO2を実測FdO2で割り、且つ結果として生じる値を実測呼吸数で割ることによって計算される。
【0066】
第1の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、規定された期間にわたる第1の酸素効率特性又は第2の酸素効率特性の少なくとも一方を示すグラフ又は傾向線を表示するように構成される。
【0067】
本明細書で開示する第2の実施形態のいくつかの特性、態様及び利点によれば、患者にガスの流れを提供する呼吸器であって、閉ループ制御を使用して患者へのガスの供給を制御するように構成されたコントローラであって、患者へのガス流の酸素濃度(FdO2)を制御することと、少なくとも1つの患者センサーから、患者の実測酸素飽和度(SpO2)を示すデータを受信することと、ガス流の実測FdO2を示すデータを受信することと、患者の目標SpO2を受信することと、ガス流のFdO2に対してステップ変化を実行することであって、ステップ変化の大きさは、少なくとも一部には患者の実測SpO2、目標SpO2及び酸素効率に基づいている、実行することとを行うように構成されるコントローラを含む呼吸器である。
【0068】
第2の実施形態のいくつかの構成では、酸素効率は、少なくとも一部には実測SpO2及び実測FdO2に基づいて決定される。
【0069】
第2の実施形態のいくつかの構成では、酸素効率は、少なくとも一部には、実測FdO2で割られた実測SpO2に基づいて決定される。
【0070】
第2の実施形態のいくつかの構成では、酸素効率は、少なくとも一部には、患者の実測SpO2と実測FdO2との間の非線形関係に基づいて決定される。
【0071】
第2の実施形態のいくつかの構成では、ステップ変化の大きさは、少なくとも一部にはステップ変化前の目標FdO2に対する最近の変化に基づいている。
【0072】
第2の実施形態のいくつかの構成では、ステップ変化の大きさは、少なくとも一部にはステップ変化前の目標FdO2に対する最近の変化に基づいている。
【0073】
第2の実施形態のいくつかの構成では、新しい目標FdO2は、少なくとも一部には以前の目標FdO2に基づいて計算される。
【0074】
第2の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、ステップ変化後にフィードフォワードステージを実行するように構成される。
【0075】
第2の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、ステップ変化の直後にフィードフォワードステージの全持続時間にわたって目標FdO2を維持するようにさらに構成される。
【0076】
第2の実施形態のいくつかの構成では、フィードフォワードステージは、実測SpO2が目標SpO2を満たすか又はそれを上回る場合に終了する。
【0077】
第2の実施形態のいくつかの構成では、フィードフォワードステージは、規定された最大期間に達する場合に終了する。
【0078】
第2の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、フェイスマスク、鼻マスク、鼻枕マスク、気管切開インターフェース、鼻カニューレ又は気管内チューブの少なくとも1つから選択される患者インターフェースを含む。
【0079】
第2の実施形態のいくつかの構成では、鼻カニューレは、非シール鼻カニューレである。
【0080】
第2の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、ネーザルハイフロー(NHF)でガスの流れを患者に供給するように構成される。
【0081】
第2の実施形態のいくつかの構成では、少なくとも1つの患者センサーは、パルスオキシメータである。
【0082】
第2の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、加湿器を含む。
【0083】
第2の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、呼吸器の動作中に実測FdO2を決定するように構成されたガス組成センサーを含み、及びガス組成センサーは、超音波トランスデューサシステムである。
【0084】
第2の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、フィードフォワードステージ後に制御フェーズを実行するようにさらに構成される。
【0085】
第2の実施形態のいくつかの構成では、制御フェーズでは、コントローラは、フィードバック制御を使用して目標FdO2を達成するためにガス流のFdO2を制御するようにさらに構成される。
【0086】
第2の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、少なくとも1つの患者センサーの信号品質の表示度数を受信し、且つ少なくとも一部には信号品質に基づいてFdO2の制御に重み付けを適用するようにさらに構成される。
【0087】
第2の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、患者の予測SpO2を使用して制御フェーズを実行するようにさらに構成される。
【0088】
第2の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、運搬可能であるように構成される。
【0089】
第2の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、呼吸器のディスプレイに第1の酸素効率特性を表示するように構成される。
【0090】
第2の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、呼吸器のディスプレイに第2の酸素効率特性を表示するように構成され、及び酸素効率の第2の表示度数は、少なくとも一部には患者の酸素効率及び実測呼吸数に基づいている。
【0091】
第2の実施形態のいくつかの構成では、第2の酸素効率特性は、実測SpO2を実測FdO2で割り、且つ結果として生じる値を実測呼吸数で割ることによって計算される。
【0092】
第2の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、規定された期間にわたる第1の酸素効率特性又は第2の酸素効率特性の少なくとも一方を示すグラフ又は傾向線を表示するように構成される。
【0093】
本明細書で開示する第3の実施形態のいくつかの特性、態様及び利点によれば、患者にガスの流れを提供する呼吸器であって、閉ループ制御を使用して患者へのガスの供給を制御するように構成されたコントローラであって、ガス流の酸素濃度(FdO2)を示す機器パラメータデータを受信することと、少なくとも1つのセンサーから、患者の酸素飽和度(SpO2)読取値を示す患者パラメータデータを受信することであって、患者のSpO2は、ガス流のFdO2によって影響される、受信することと、少なくとも1つのセンサーの信号品質の表示度数を受信することと、少なくとも一部には信号品質に基づいてFdO2の制御に重み付けを適用することとを行うように構成されるコントローラを含む呼吸器である。
【0094】
第3の実施形態のいくつかの構成では、信号品質の表示度数は、特定のSpO2読取値に対応する。
【0095】
第3の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、フェイスマスク、鼻マスク、鼻枕マスク、気管切開インターフェース、鼻カニューレ又は気管内チューブの少なくとも1つから選択される患者インターフェースを含む。
【0096】
第3の実施形態のいくつかの構成では、鼻カニューレは、非シール鼻カニューレである。
【0097】
第3の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、ネーザルハイフロー(NHF)でガスの流れを患者に供給するように構成される。
【0098】
第3の実施形態のいくつかの構成では、少なくとも1つのセンサーは、パルスオキシメータである。
【0099】
第3の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、患者の特性を識別する入力を受信するように構成される。
【0100】
第3の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、患者の予測SpO2を使用してガスの供給を制御するように構成される。
【0101】
第3の実施形態のいくつかの構成では、予測SpO2は、少なくとも一部にはスミス予測器に基づいている。
【0102】
第3の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、患者特有モデルを使用してガスの供給を制御するように構成される。
【0103】
第3の実施形態のいくつかの構成では、モデルは、患者の治療セッションの学習フェーズ中に生成される患者特有モデルである。
【0104】
第3の実施形態のいくつかの構成では、患者特有モデルは、少なくとも一部にはデフォルトモデルに基づいて治療セッション中に生成される。
【0105】
第3の実施形態のいくつかの構成では、患者特有モデルは、治療セッション中に更新される。
【0106】
第3の実施形態のいくつかの構成では、モデルは、遅延時間を含む。
【0107】
第3の実施形態のいくつかの構成では、モデルは、指数関数的減衰を含む。
【0108】
第3の実施形態のいくつかの構成では、モデルは、患者の酸素効率を含む。
【0109】
第3の実施形態のいくつかの構成では、酸素効率は、少なくとも一部には実測SpO2及び実測FdO2に基づいて決定される。
【0110】
第3の実施形態のいくつかの構成では、酸素効率は、少なくとも一部には、実測FdO2で割られた実測SpO2に基づいて決定される。
【0111】
第3の実施形態のいくつかの構成では、酸素効率は、少なくとも一部には、患者の実測SpO2と実測FdO2との間の非線形関係に基づいて決定される。
【0112】
第3の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、運搬可能であるように構成される。
【0113】
本明細書で開示する第4の実施形態のいくつかの特性、態様及び利点によれば、患者にガスの流れを提供する呼吸器であって、閉ループ制御を使用して患者へのガスの供給を制御するように構成されたコントローラであって、患者へのガス流の酸素濃度(FdO2)を制御することと、少なくとも1つの患者センサーから、患者の実測酸素飽和度(SpO2)を示すデータを受信することと、ガス流の実測FdO2を示すデータを受信することと、患者の目標SpO2を受信することと、待機ステージを実行することであって、この待機ステージ中、コントローラは、制御フェーズに移る前にフィードフォワードステージを実行するかどうかを決定するように構成され、ガス流の目標FdO2は、この待機ステージ中、一定に保たれる、実行することと、制御フェーズを実行することであって、FdO2は、フィードバック制御を使用して目標SpO2を達成するように制御される、実行することとを行うように構成されるコントローラを含む呼吸器である。
【0114】
第4の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、少なくとも一部には目標SpO2及び実測SpO2に基づいて、フィードフォワードステージを実行するかどうかを決定するようにさらに構成される。
【0115】
第4の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、少なくとも一部には患者の酸素効率に基づいて、フィードフォワードステージを実行するかどうかを決定するようにさらに構成される。
【0116】
第4の実施形態のいくつかの構成では、酸素効率は、少なくとも一部には実測SpO2及び実測FdO2に基づいて決定される。
【0117】
第4の実施形態のいくつかの構成では、酸素効率は、少なくとも一部には、実測FdO2で割られた実測SpO2に基づいて決定される。
【0118】
第4の実施形態のいくつかの構成では、酸素効率は、少なくとも一部には、患者の実測SpO2と実測FdO2との間の非線形関係に基づいて決定される。
【0119】
第4の実施形態のいくつかの構成では、コントローラがフィードフォワードステージを実行すると決定する場合、コントローラは、待機ステージ後にフィードフォワードステージを実行し、及びコントローラがフィードフォワードステージを実行しないと決定する場合、コントローラは、待機フェーズ後に制御フェーズを実行する。
【0120】
第4の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、フィードフォワードステージの全持続時間にわたって目標FdO2を維持するようにさらに構成される。
【0121】
第4の実施形態のいくつかの構成では、フィードフォワードステージは、実測SpO2が目標SpO2を満たすか又はそれを上回る場合に終了する。
【0122】
第4の実施形態のいくつかの構成では、フィードフォワードステージは、規定された最大期間に達する場合に終了する。
【0123】
第4の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、フィードフォワードステージ後に制御フェーズを実行するようにさらに構成される。
【0124】
第4の実施形態のいくつかの構成では、フィードフォワードステージの実行前、コントローラは、ガス流のFdO2に対してステップ変化を実行するかどうかを決定するように構成される。
【0125】
第4の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、少なくとも一部には目標FdO2に対する最近の変化に基づいて、ステップ変化を実行するかどうかを決定するようにさらに構成される。
【0126】
第4の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、少なくとも一部には目標SpO2及び実測SpO2に基づいて、ステップ変化を実行するかどうかを決定するようにさらに構成される。
【0127】
第4の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、少なくとも一部には患者の酸素効率に基づいて、ステップ変化を実行するかどうかを決定するようにさらに構成される。
【0128】
第4の実施形態のいくつかの構成では、ステップ変化の大きさは、少なくとも一部には患者の実測SpO2、目標SpO2及び酸素効率に基づいている。
【0129】
第4の実施形態のいくつかの構成では、ステップ変化の大きさは、少なくとも一部には目標FdO2に対する最近の変化に基づいている。
【0130】
第4の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、フェイスマスク、鼻マスク、鼻枕マスク、気管切開インターフェース、鼻カニューレ又は気管内チューブの少なくとも1つから選択される患者インターフェースを含む。
【0131】
第4の実施形態のいくつかの構成では、鼻カニューレは、非シール鼻カニューレである。
【0132】
第4の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、ネーザルハイフロー(NHF)でガスの流れを患者に供給するように構成される。
【0133】
第4の実施形態のいくつかの構成では、少なくとも1つの患者センサーは、パルスオキシメータである。
【0134】
第4の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、加湿器を含む。
【0135】
第4の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、呼吸器の動作中に実測FdO2を決定するように構成されたガス組成センサーを含み、及びガス組成センサーは、超音波トランスデューサシステムである。
【0136】
第4の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、少なくとも1つの患者センサーの信号品質の表示度数を受信し、且つ少なくとも一部には信号品質に基づいてFdO2の制御に重み付けを適用するようにさらに構成される。
【0137】
第4の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、制御フェーズ中に重み付けを適用するようにさらに構成される。
【0138】
第4の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、患者の予測SpO2を使用して制御フェーズを実行するようにさらに構成される。
【0139】
第4の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、運搬可能であるように構成される。
【0140】
本明細書で開示する第5の実施形態のいくつかの特性、態様及び利点によれば、患者にガスの流れを提供する呼吸器であって、閉ループ制御を使用して患者へのガスの供給を制御するように構成されたコントローラであって、患者にネーザルハイフロー(NHF)でガス流を供給することと、少なくとも1つの患者センサーから、患者の実測酸素飽和度(SpO2)を示すデータを受信することと、ガス流の供給された酸素の実測割合(FdO2)を示すデータを受信することと、患者の酸素効率を決定することと、実測SpO2及び実測FdO2に基づいて患者特有モデルを生成することであって、患者特有モデルは、患者の酸素効率を使用する、生成することとを行うように構成されるコントローラを含む呼吸器である。
【0141】
第5の実施形態のいくつかの構成では、酸素効率は、少なくとも一部には実測SpO2及び実測FdO2に基づいて決定される。
【0142】
第5の実施形態のいくつかの構成では、酸素効率は、少なくとも一部には、実測FdO2で割られた実測SpO2に基づいて決定される。
【0143】
第5の実施形態のいくつかの構成では、酸素効率は、少なくとも一部には、患者の実測SpO2と実測FdO2との間の非線形関係に基づいて決定される。
【0144】
第5の実施形態のいくつかの構成では、患者特有モデルは、少なくとも一部にはデフォルトモデルに基づいて生成される。
【0145】
第5の実施形態のいくつかの構成では、患者特有モデルは、学習フェーズ中に生成される。
【0146】
第5の実施形態のいくつかの構成では、患者特有モデルは、患者の治療セッション中に更新される。
【0147】
第5の実施形態のいくつかの構成では、患者特有モデルは、少なくとも一部にはFdO2の変化に基づいてSpO2の変化の大きさをモデリングする。
【0148】
第5の実施形態のいくつかの構成では、患者特有モデルは、ガス流の流量を使用する。
【0149】
第5の実施形態のいくつかの構成では、患者特有モデルは、患者のFdO2の変化とSpO2の変化との間の遅延時間を含む。
【0150】
第5の実施形態のいくつかの構成では、遅延時間は、少なくとも一部にはガス流の流量に基づいている。
【0151】
第5の実施形態のいくつかの構成では、患者特有モデルは、指数関数的減衰を含む。
【0152】
第5の実施形態のいくつかの構成では、少なくとも1つの患者センサーは、パルスオキシメータである。
【0153】
第5の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、加湿器を含む。
【0154】
第5の実施形態のいくつかの構成では、FdO2は、超音波トランスデューサシステムを使用して測定される。
【0155】
第5の実施形態のいくつかの構成では、超音波トランスデューサシステムは、第1の超音波トランスデューサ及び第2の超音波トランスデューサを含む。
【0156】
第5の実施形態のいくつかの構成では、第1の超音波トランスデューサ及び第2の超音波トランスデューサのそれぞれは、受信器及び送信器である。
【0157】
第5の実施形態のいくつかの構成では、第1の超音波トランスデューサ及び第2の超音波トランスデューサは、双方向にパルスを送る。
【0158】
第5の実施形態のいくつかの構成では、第1の超音波トランスデューサは、送信器であり、及び第2の超音波トランスデューサは、受信器である。
【0159】
第5の実施形態のいくつかの構成では、第1の超音波トランスデューサ又は第2の超音波トランスデューサの少なくとも一方は、ガス流に沿ってパルスを送る。
【0160】
第5の実施形態のいくつかの構成では、第1の超音波トランスデューサ又は第2の超音波トランスデューサの少なくとも一方は、ガス流にわたってパルスを送る。
【0161】
第5の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、運搬可能であるように構成される。
【0162】
本明細書で開示する第6の実施形態のいくつかの特性、態様及び利点によれば、患者にガスの流れを提供する呼吸器であって、閉ループ制御を使用して患者へのガスの供給を制御するように構成されたコントローラであって、患者へのガス流の酸素濃度(FdO2)を制御することと、少なくとも1つの患者センサーから、患者の実測酸素飽和度(SpO2)を示すデータを受信することと、ガス流の実測FdO2を示すデータを受信することと、患者の目標SpO2を受信することと、ガス流のFdO2に対して、目標FdO2へのステップ変化を実行することと、フィードフォワードステージを実行することと、制御フェーズを実行することであって、FdO2は、フィードバック制御を使用して目標SpO2を達成するように制御される、実行することとを行うように構成されるコントローラを含む呼吸器である。
【0163】
第6の実施形態のいくつかの構成では、ステップ変化の大きさは、少なくとも一部には患者の実測SpO2、目標SpO2及び酸素効率に基づいている。
【0164】
第6の実施形態のいくつかの構成では、目標FdO2は、少なくとも一部にはステップ変化前の目標FdO2に対する最近の変化に基づいている。
【0165】
第6の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、ステップ変化の直後にフィードフォワードステージの全持続時間にわたって目標FdO2を維持するようにさらに構成される。
【0166】
第6の実施形態のいくつかの構成では、フィードフォワードステージは、規定された最大期間に達する場合に終了する。
【0167】
第6の実施形態のいくつかの構成では、フィードフォワードステージは、実測SpO2が目標SpO2を満たすか又はそれを上回る場合に終了する。
【0168】
第6の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、フィードフォワードステージ後に制御フェーズを実行するようにさらに構成される。
【0169】
第6の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、フェイスマスク、鼻マスク、鼻枕マスク、気管切開インターフェース、鼻カニューレ又は気管内チューブの少なくとも1つから選択される患者インターフェースを含む。
【0170】
第6の実施形態のいくつかの構成では、鼻カニューレは、非シール鼻カニューレである。
【0171】
第6の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、ネーザルハイフロー(NHF)でガスの流れを患者に供給するように構成される。
【0172】
第6の実施形態のいくつかの構成では、少なくとも1つの患者センサーは、パルスオキシメータである。
【0173】
第6の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、加湿器を含む。
【0174】
第6の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、呼吸器の動作中に実測FdO2を決定するように構成されたガス組成センサーを含み、ガス組成センサーは、超音波トランスデューサシステムである。
【0175】
第6の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、少なくとも1つの患者センサーの信号品質の表示度数を受信し、且つ少なくとも一部には信号品質に基づいてFdO2の制御に重み付けを適用するようにさらに構成される。
【0176】
第6の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、患者の予測SpO2を使用して制御フェーズを実行するようにさらに構成される。
【0177】
第6の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、運搬可能であるように構成される。
【0178】
本明細書で開示する第7の実施形態のいくつかの特性、態様及び利点によれば、患者にガスの流れを提供する呼吸器であって、閉ループ制御を使用して患者へのガスの供給を制御するように構成されたコントローラであって、ネーザルハイフロー(NHF)を使用して患者にガスの流れを供給することと、患者へのガス流の酸素濃度(FdO2)を制御することと、少なくとも1つの患者センサーから、患者の実測酸素飽和度(SpO2)を示すデータを受信することと、患者の目標SpO2を受信することと、ガス流のFdO2に対してステップ変化を実行することであって、ステップ変化の大きさは、少なくとも一部には患者の実測SpO2及び目標SpO2に基づいている、実行することとを行うように構成されるコントローラを含む呼吸器である。
【0179】
第7の実施形態のいくつかの構成では、ステップ変化は、少なくとも一部には患者の酸素効率にさらに基づいている。
【0180】
第7の実施形態のいくつかの構成では、酸素効率は、少なくとも一部には実測SpO2及び実測FdO2に基づいて決定される。
【0181】
第7の実施形態のいくつかの構成では、酸素効率は、少なくとも一部には、実測FdO2で割られた実測SpO2に基づいて決定される。
【0182】
第7の実施形態のいくつかの構成では、酸素効率は、少なくとも一部には、患者の実測SpO2と実測FdO2との間の非線形関係に基づいて決定される。
【0183】
第7の実施形態のいくつかの構成では、ステップ変化の大きさは、少なくとも一部には、ステップ変化前の規定された期間内の目標FdO2の変化に基づいている。
【0184】
第7の実施形態のいくつかの構成では、新しい目標FdO2は、少なくとも一部には以前の目標FdO2に基づいて計算される。
【0185】
第7の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、ステップ変化後にフィードフォワードステージを実行するように構成される。
【0186】
第7の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、フィードフォワードステージの全持続時間にわたってFdO2を目標FdO2に維持するようにさらに構成される。
【0187】
第7の実施形態のいくつかの構成では、フィードフォワードステージは、実測SpO2が目標SpO2を満たすか又はそれを上回る場合に終了する。
【0188】
第7の実施形態のいくつかの構成では、フィードフォワードステージは、規定された最大期間に達する場合に終了する。
【0189】
第7の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、フェイスマスク、鼻マスク、鼻枕マスク、気管切開インターフェース、鼻カニューレ又は気管内チューブの少なくとも1つから選択される患者インターフェースを含む。
【0190】
第7の実施形態のいくつかの構成では、鼻カニューレは、非シール鼻カニューレである。
【0191】
第7の実施形態のいくつかの構成では、少なくとも1つの患者センサーは、パルスオキシメータである。
【0192】
第7の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、加湿器を含む。
【0193】
第7の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、呼吸器の動作中に実測FdO2を決定するように構成されたガス組成センサーを含み、及びガス組成センサーは、超音波トランスデューサシステムである。
【0194】
第7の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、フィードフォワードステージ後に制御フェーズを実行するようにさらに構成される。
【0195】
第7の実施形態のいくつかの構成では、制御フェーズでは、コントローラは、フィードバック制御を使用して目標FdO2を達成するためにガス流のFdO2を制御するようにさらに構成される。
【0196】
第7の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、少なくとも1つの患者センサーの信号品質の表示度数を受信し、且つ少なくとも一部には信号品質に基づいてFdO2の制御に重み付けを適用するようにさらに構成される。
【0197】
第7の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、患者の予測SpO2を使用して制御フェーズを実行するようにさらに構成される。
【0198】
第7の実施形態のいくつかの構成では、呼吸器は、運搬可能であるように構成される。
【0199】
第7の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、呼吸器のディスプレイに第1の酸素効率特性を表示するように構成される。
【0200】
第7の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、呼吸器のディスプレイに第2の酸素効率特性を表示するように構成され、及び酸素効率の第2の表示度数は、少なくとも一部には患者の酸素効率及び実測呼吸数に基づいている。
【0201】
第7の実施形態のいくつかの構成では、第2の酸素効率特性は、実測SpO2を実測FdO2で割り、且つ結果として生じる値を実測呼吸数で割ることによって計算される。
【0202】
第7の実施形態のいくつかの構成では、コントローラは、規定された期間にわたる第1の酸素効率特性又は第2の酸素効率特性の少なくとも一方を示すグラフ又は傾向線を表示するように構成される。
【0203】
本明細書で開示する実施形態の少なくとも1つのいくつかの特性、態様及び利点によれば、患者にガスの流れを提供する呼吸器であって、閉ループ制御を使用して患者へのガスの供給を制御するように構成されたコントローラであって、少なくとも1つのセンサーから、患者の酸素飽和度(SpO2)を示す患者パラメータデータを受信することと、制御フェーズを実行することであって、治療セッション中の呼吸器の動作は、少なくとも一部には患者パラメータデータに基づいている、実行することとを行うように構成されるコントローラを含む呼吸器である。
【0204】
いくつかの構成では、呼吸器は、フェイスマスク、鼻マスク、鼻枕マスク、気管切開インターフェース、鼻カニューレ又は気管内チューブの少なくとも1つから選択される患者インターフェースを含む。
【0205】
いくつかの構成では、呼吸器は、ネーザルハイフロー(NHF)でガスの流れを患者に供給するように構成される。
【0206】
いくつかの構成では、少なくとも1つのセンサーは、パルスオキシメータである。
【0207】
いくつかの構成では、呼吸器は、補足ガス流入口弁を含む。
【0208】
いくつかの構成では、コントローラは、補足ガス流入口弁の動作を制御するように構成される。
【0209】
いくつかの構成では、補足ガス流入口弁は、比例弁である。
【0210】
いくつかの構成では、補足ガス流入口弁は、酸素流入口弁である。
【0211】
いくつかの構成では、呼吸器は、周囲空気流入口を含む。
【0212】
いくつかの構成では、酸素流入口弁は、フィルターモジュールと流体連通しており、呼吸器は、フィルターモジュール内の周囲空気流入口からの周囲空気と一緒に、酸素流入口弁から受け入れられた酸素を吸い込むように構成される。
【0213】
いくつかの構成では、呼吸器は、呼吸器の動作中、少なくともガス流の酸素含有量を決定するように構成されたガス組成センサーを含む。
【0214】
いくつかの構成では、ガス組成センサーは、超音波トランスデューサシステムである。
【0215】
いくつかの構成では、ガス組成センサーは、呼吸器の送風器モジュールの下流に位置決めされる。
【0216】
いくつかの構成では、フィルターモジュールは、呼吸器の送風器モジュールの上流に位置決めされる。
【0217】
いくつかの構成では、閉ループ制御は、供給された酸素の目標割合(FdO2)を決定するように構成された第1の閉ループ制御モデルを使用することを含む。
【0218】
いくつかの構成では、目標FdO2は、少なくとも一部には患者の目標SpO2及びSpO2に基づいて決定される。
【0219】
いくつかの構成では、目標FdO2は、少なくとも一部には実測FdO2にさらに基づいている。
【0220】
いくつかの構成では、閉ループ制御は、酸素流入口弁のための制御信号を決定するように構成された第2の閉ループ制御モデルを使用することを含む。
【0221】
いくつかの構成では、酸素弁のための制御信号は、少なくとも一部には目標FdO2及び実測FdO2に基づいて決定される。
【0222】
いくつかの構成では、酸素弁のための制御信号は、少なくとも一部にはガス流量にさらに基づいて決定される。
【0223】
いくつかの構成では、コントローラは、少なくとも1つのセンサーの信号品質が閾値を下回るとき、手動動作モードに移るように構成される。
【0224】
いくつかの構成では、コントローラは、患者のSpO2が、規定された限界値外であるとき、手動動作モードに移るように構成される。
【0225】
いくつかの構成では、コントローラは、信号品質の表示度数を受信し、且つ少なくとも一部には信号品質に基づいてFdO2の制御に重み付けを適用するように構成される。
【0226】
いくつかの構成では、信号品質の表示度数は、特定のSpO2読取値に対応する。
【0227】
いくつかの構成では、コントローラは、呼吸器の治療セッション中、複数のフェーズを実行するように構成され、コントローラは、学習フェーズを実行し、学習フェーズ中、コントローラは、患者特有モデを生成するように構成され、且つ少なくとも一部には患者特有モデルに基づいて制御フェーズを実行するように構成される。
【0228】
いくつかの構成では、学習フェーズ中、コントローラは、患者に提供されるガス流の酸素濃度を示す機器パラメータデータを受信し、且つ少なくとも1つのセンサーから、患者の酸素飽和度を示す患者パラメータデータを受信するように構成される。
【0229】
いくつかの構成では、コントローラは、少なくとも一部には、ガス流の酸素濃度と患者の酸素飽和度との間の関係に基づいて患者特有モデルを生成するように構成される。
【0230】
いくつかの構成では、学習フェーズは、最大持続時間を有する。
【0231】
いくつかの構成では、学習フェーズは、治療セッション中に複数回実行される。
【0232】
いくつかの構成では、コントローラは、学習フェーズ中に酸素濃度を変化させるようにさらに構成される。
【0233】
いくつかの構成では、コントローラは、患者パラメータの実測酸素飽和度が安定していることをコントローラが検出した後、酸素濃度を変化させるようにさらに構成される。
【0234】
いくつかの構成では、変化は、酸素濃度を上げることである。
【0235】
いくつかの構成では、変化は、酸素濃度を下げることである。
【0236】
いくつかの構成では、患者特有モデルは、少なくとも一部には、学習フェーズ中に記録されるセンサーの信号品質データに基づいている。
【0237】
いくつかの構成では、患者特有モデルは、遅延時間を決定し、遅延時間は、ガス流の酸素濃度の変化が生じる時点と患者の酸素飽和度の反応との間の期間である。
【0238】
いくつかの構成では、患者特有モデルは、指数関数的減衰を計算する。
【0239】
いくつかの構成では、患者特有モデルのパラメータは、遅延時間、指数関数的減衰速度、酸素濃度の変化及び血中酸素飽和度の変化の少なくとも1つを含む。
【0240】
いくつかの構成では、コントローラは、定義された特徴付け基準を患者特有モデルが満たした後、制御フェーズを実行するようにさらに構成される。
【0241】
いくつかの構成では、定義された特徴付け基準は、患者特有モデルのパラメータの1つ以上のそれぞれに関して、パラメータに関する許容可能な値の範囲を定義する。
【0242】
いくつかの構成では、制御フェーズは、少なくとも一部には患者特有モデルに基づいてPID制御を使用して実行されるように構成される。
【0243】
いくつかの構成では、コントローラは、ガス流の酸素濃度を示す機器パラメータデータを受信するように構成される。
【0244】
いくつかの構成では、コントローラは、少なくとも一部にはガス流の酸素濃度に基づいて患者の酸素飽和度を予測するように構成される。
【0245】
いくつかの構成では、予測値は、少なくとも部分的に1つ以上の患者パラメータ読取値に基づいている。
【0246】
いくつかの構成では、患者パラメータの以前の予測値は、モデル誤差を計算するために実測患者パラメータ読取値と比較される。
【0247】
いくつかの構成では、モデル誤差は、信号品質によって重み付けされる。
【0248】
いくつかの構成では、モデル誤差は、現在の予測値を訂正するために使用される。
【0249】
いくつかの構成では、予測値は、モデルに基づいている。
【0250】
いくつかの構成では、モデルは、患者特有である。
【0251】
いくつかの構成では、モデルは、治療セッションの学習フェーズ中に生成される。
【0252】
いくつかの構成では、制御フェーズは、患者の酸素飽和度を予測するために予測アルゴリズムを使用して実行されるように構成される。
【0253】
いくつかの構成では、予測アルゴリズムは、スミス予測器である。
【0254】
いくつかの構成では、予測アルゴリズムの出力は、少なくとも一部には患者特有モデルに基づいている。
【0255】
いくつかの構成では、コントローラは、患者の特性を識別する入力を受信するように構成される。
【0256】
いくつかの構成では、患者の特性は、患者タイプ、年齢、体重、身長又は性別の少なくとも1つを含む。
【0257】
いくつかの構成では、患者タイプは、正常、高炭酸ガス血症又はユーザが定義したものの1つである。
【0258】
いくつかの構成では、コントローラは、学習フェーズを実行することであって、学習フェーズ中、コントローラは、患者に提供されるガス流の酸素濃度を示す機器パラメータデータを受信し、少なくとも1つのセンサーから、患者の酸素飽和度を示す患者パラメータデータを受信し、且つ機器パラメータデータ及び患者パラメータデータに基づいて、患者特有モデルに関して1つ以上のモデルパラメータを計算するように構成される、実行することと、1つ以上のパラメータの少なくとも1つが患者特有モデルの生成のための患者特徴付け基準を満たしていないことを決定することと、制御フェーズを実行することであって、治療セッション中の呼吸器の動作は、少なくとも一部にはデフォルトの患者モデルに基づいている、実行することとを行うように構成される。
【0259】
いくつかの構成では、デフォルトの患者モデルは、少なくとも一部には患者の特性の1つ以上に基づいて複数のデフォルトの患者モデルから選択される。
【0260】
いくつかの構成では、デフォルトの患者モデルは、少なくとも一部には患者のタイプに基づいて複数のデフォルトの患者モデルから選択される。
【0261】
いくつかの構成では、コントローラは、実測酸素濃度及び実測酸素飽和度に対応するデータを記録するようにさらに構成される。
【0262】
いくつかの構成では、コントローラは、規定された期間後、データの記録を停止するようにさらに構成される。
【0263】
いくつかの構成では、コントローラは、患者特有モデルが、定義された特徴付け基準を満たした後、データの記録を停止するようにさらに構成される。
【0264】
いくつかの構成では、呼吸器は、加湿器を含む。
【0265】
いくつかの構成では、呼吸器は、統合された送風器及び加湿器を含む。
【0266】
いくつかの構成では、呼吸器は、運搬可能であるように構成される。
【0267】
いくつかの構成では、呼吸器は、制御された可変流量を有するように構成される。
【0268】
いくつかの構成では、目標FdO2は、少なくとも一部には信号品質にさらに基づいている。
【0269】
いくつかの構成では、呼吸器は、送風器のモータ速度を変えることにより、流量を変えるように構成される。
【0270】
本明細書で開示する実施形態の少なくとも1つのいくつかの特性、態様及び利点によれば、患者にガスの流れを提供する方法であって、呼吸器のコントローラにより、少なくとも1つのセンサーから、患者の酸素飽和度を示す患者パラメータデータを受信することと、少なくとも一部には患者パラメータデータに基づいて、治療セッションの制御フェーズ中、閉ループ制御を使用して呼吸療法装置の動作を制御することとを含む方法である。
【0271】
いくつかの構成では、方法は、治療セッション中に学習フェーズを実行することであって、学習フェーズは、患者に提供されるガス流の酸素濃度を示す機器パラメータデータ及び少なくとも1つのセンサーからの患者の酸素飽和度を示す患者パラメータデータを受信することを含む、実行すること、少なくとも一部には、ガス流の酸素濃度と患者の酸素飽和度との間の関係に基づいて患者特有モデルを生成することを含む。
【0272】
いくつかの構成では、方法は、少なくとも一部には患者特有モデルに基づいて、治療セッションの制御フェーズ中、呼吸療法装置の動作を制御することを含む。
【0273】
いくつかの構成では、方法は、実測酸素濃度及び実測酸素飽和度に対応するデータを記録することを含む。
【0274】
いくつかの構成では、方法は、規定された期間後、データの記録を停止することを含む。
【0275】
いくつかの構成では、方法は、少なくとも一部には、学習フェーズ中に記録される少なくとも1つのセンサーの信号品質データに基づいて患者特有モデルを生成することを含む。
【0276】
いくつかの構成では、患者特有モデルのパラメータは、遅延時間、指数関数的減衰速度、酸素濃度の変化及び血中酸素飽和度の変化の少なくとも1つを含む。
【0277】
いくつかの構成では、方法は、定義された特徴付け基準を患者特有モデルが満たした後、制御フェーズを実行することを含む。
【0278】
いくつかの構成では、定義された特徴付け基準は、患者特有モデルのパラメータの1つ以上のそれぞれに関して、パラメータに関する許容可能な値の範囲を定義する。
【0279】
いくつかの構成では、方法は、少なくとも一部には患者特有モデルに基づいてPID制御を使用して制御フェーズを実行することを含む。
【0280】
いくつかの構成では、方法は、患者の酸素飽和度を予測するために予測アルゴリズムを使用して制御フェーズを実行することを含む。
【0281】
いくつかの構成では、方法は、制御フェーズ中、予測酸素飽和度を使用することを含む。
【0282】
いくつかの構成では、予測アルゴリズムは、スミス予測器である。
【0283】
いくつかの構成では、予測アルゴリズムの出力は、少なくとも一部には患者特有モデルに基づいている。
【0284】
いくつかの構成では、方法は、患者の特性を識別する入力を受信することを含む。
【0285】
いくつかの構成では、患者の特性は、患者タイプ、年齢、体重、身長又は性別の少なくとも1つを含む。
【0286】
いくつかの構成では、方法は、学習フェーズ中に酸素濃度を変化させることを含む。
【0287】
いくつかの構成では、方法は、患者パラメータの実測酸素飽和度が安定していることを検出した後、学習フェーズ中に酸素濃度を変化させることを含む。
【0288】
いくつかの構成では、変化は、酸素濃度を上げることである。
【0289】
いくつかの構成では、変化は、酸素濃度を下げることである。
【0290】
いくつかの構成では、方法は、治療セッション中に学習フェーズを複数回実行することを含む。
【0291】
いくつかの構成では、方法は、少なくとも1つのセンサーの信号品質が閾値を下回るとき、手動動作モードに移ることを含む。
【0292】
いくつかの構成では、方法は、患者のSpO2が、規定された限界値外であるとき、手動動作モードに移ることを含む。
【0293】
いくつかの構成では、方法は、第1の閉制御ループを使用して目標FdO2を決定することを含む。
【0294】
いくつかの構成では、目標FdO2は、少なくとも一部には患者の目標SpO2及びSpO2に基づいて決定される。
【0295】
いくつかの構成では、目標FdO2は、少なくとも一部には実測FdO2にさらに基づいている。
【0296】
いくつかの構成では、方法は、第2の閉制御ループを使用して、酸素流入口弁のための制御信号を決定することを含む。
【0297】
いくつかの構成では、制御信号は、少なくとも一部には目標FdO2及び実測FdO2に基づいて決定される。
【0298】
いくつかの構成では、酸素弁のための制御信号は、少なくとも一部にはガス流量にさらに基づいている。
【0299】
いくつかの構成では、方法は、制御信号に基づいて酸素流入口弁を調整することを含む。
【0300】
いくつかの構成では、方法は、呼吸器のフィルターモジュール内の周囲空気流入口からの周囲空気と一緒に、酸素流入口弁から酸素を吸い込むことを含む。
【0301】
いくつかの構成では、方法は、信号品質の表示度数を受信することと、少なくとも一部には信号品質に基づいてFdO2の制御に重み付けを適用することとを含む。
【0302】
いくつかの構成では、方法は、呼吸器の動作中、ガス流の少なくとも酸素含有量を決定することを含む。
【0303】
いくつかの構成では、目標FdO2は、少なくとも一部には信号品質にさらに基づいている。
【0304】
本明細書で開示する実施形態の少なくとも1つのいくつかの特性、態様及び利点によれば、患者にガスの流れを提供する呼吸器であって、患者にガスの供給を制御するように構成されたコントローラであって、学習フェーズを実行することであって、学習フェーズ中、コントローラは、患者に提供されるガス流の酸素濃度を示す機器パラメータデータを受信し、少なくとも1つのセンサーから、患者の酸素飽和度を示す患者パラメータデータを受信し、且つ少なくとも一部には、ガス流の酸素濃度と患者の酸素飽和度との間の関係に基づいて患者特有モデルを生成するように構成される、実行することと、制御フェーズを実行することであって、治療セッション中の呼吸器の動作は、少なくとも一部には患者特有モデルに基づいている、実行することとを行うように構成されるコントローラを含む呼吸器である。
【0305】
いくつかの構成では、呼吸器は、フェイスマスク、鼻マスク、鼻枕マスク、気管切開インターフェース、鼻カニューレ又は気管内チューブの少なくとも1つから選択される患者インターフェースを含む。
【0306】
いくつかの構成では、呼吸器は、ネーザルハイフロー(NHF)でガスの流れを供給する装置である。
【0307】
いくつかの構成では、センサーは、パルスオキシメータである。
【0308】
いくつかの構成では、コントローラは、実測酸素濃度及び実測酸素飽和度に対応するデータを記録するようにさらに構成される。
【0309】
いくつかの構成では、コントローラは、規定された期間後、データの記録を停止するようにさらに構成される。
【0310】
いくつかの構成では、患者特有モデルは、少なくとも一部には、学習フェーズ中に記録されるセンサーの信号品質データに基づいている。
【0311】
いくつかの構成では、患者特有モデルは、遅延時間を決定し、遅延時間は、ガス流の酸素濃度の変化時点と患者の酸素飽和度の反応との間の期間である。
【0312】
いくつかの構成では、患者特有モデルは、指数関数的減衰を計算する。
【0313】
いくつかの構成では、患者特有モデルのパラメータは、遅延時間、指数関数的減衰速度、酸素濃度の変化及び血中酸素飽和度の変化の少なくとも1つを含む。
【0314】
いくつかの構成では、コントローラは、定義された特徴付け基準を患者特有モデルが満たした後、制御フェーズを実行するようにさらに構成される。
【0315】
いくつかの構成では、定義された特徴付け基準は、患者特有モデルのパラメータの1つ以上のそれぞれに関して、パラメータに関する許容可能な値の範囲を定義している。
【0316】
いくつかの構成では、制御フェーズは、閉ループ制御を使用して実行されるように構成される。
【0317】
いくつかの構成では、制御フェーズは、少なくとも一部には患者特有モデルに基づいてPID制御を使用して実行されるように構成される。
【0318】
いくつかの構成では、制御フェーズは、患者の酸素飽和度を予測するために予測アルゴリズムを使用して実行されるように構成される。
【0319】
いくつかの構成では、コントローラは、制御フェーズ中に予測酸素飽和度を使用するようにさらに構成される。
【0320】
いくつかの構成では、予測アルゴリズムは、スミス予測器である。
【0321】
いくつかの構成では、予測アルゴリズムの出力は、少なくとも一部には患者特有モデルに基づいている。
【0322】
いくつかの構成では、コントローラは、患者の特性を識別する入力を受信するように構成される。
【0323】
いくつかの構成では、患者の特性は、患者タイプ、年齢、体重、身長又は性別の少なくとも1つを含む。
【0324】
いくつかの構成では、コントローラは、学習フェーズ中に酸素濃度を変化させるようにさらに構成される。
【0325】
いくつかの構成では、コントローラは、患者パラメータの実測酸素飽和度が安定していることをコントローラが検出した後、酸素濃度を変化させるようにさらに構成される。いくつかの構成では、変化は、酸素濃度を上げることである。いくつかの構成では、変化は、酸素濃度を下げることである。
【0326】
いくつかの構成では、学習フェーズは、治療セッション中に複数回実行される。
【0327】
さらに、本明細書で開示する実施形態の少なくとも1つのいくつかの特性、態様及び利点によれば、患者にガスの流れを提供する呼吸器であって、ネーザルハイフロー(NHF)でガスの流れを患者に供給するように構成され、呼吸器の治療セッション中、呼吸器の動作を制御し、且つ複数のフェーズを実行するように構成されたコントローラであって、学習フェーズを実行することであって、学習フェーズ中、コントローラは、患者特有モデルを生成するように構成される、実行することと、制御フェーズを実行することであって、治療セッション中の呼吸器の動作は、少なくとも一部には患者特有モデルに基づいている、実行することとを行うように構成されるコントローラを含む呼吸器である。
【0328】
いくつかの構成では、学習フェーズ中、コントローラは、患者に提供されるガス流の特性を測定するようにさらに構成される。いくつかの構成では、特性は、ガス流の酸素濃度である。
【0329】
いくつかの構成では、学習フェーズ中、コントローラは、少なくとも1つのセンサーを使用して患者の生理的パラメータを測定するようにさらに構成される。いくつかの構成では、生理的パラメータは、患者の酸素飽和度である。
【0330】
いくつかの構成では、コントローラは、患者に提供されるガス流の酸素濃度を示す機器パラメータデータを受信し、且つ少なくとも1つのセンサーから、患者の酸素飽和度を示す患者パラメータデータを受信するようにさらに構成される。いくつかの構成では、学習フェーズ中、コントローラは、少なくとも一部には、ガス流の酸素濃度と患者の酸素飽和度との間の関係に基づいて患者特有モデルを生成するようにさらに構成される。
【0331】
いくつかの構成では、少なくとも1つのセンサーは、パルスオキシメータである。
【0332】
いくつかの構成では、コントローラは、学習フェーズ中に酸素濃度を変化させるようにさらに構成される。いくつかの構成では、コントローラは、患者パラメータの実測酸素飽和度が安定していることをコントローラが検出した後、酸素濃度を変化させるようにさらに構成される。いくつかの構成では、変化は、酸素濃度を上げることである。いくつかの構成では、変化は、酸素濃度を下げることである。
【0333】
いくつかの構成では、コントローラは、実測酸素濃度及び実測酸素飽和度に対応するデータを記録するようにさらに構成される。
【0334】
いくつかの構成では、コントローラは、規定された期間後、データの記録を停止するようにさらに構成される。
【0335】
いくつかの構成では、コントローラは、定義された特徴付け基準を患者特有モデルが満たした後、データの記録を停止するようにさらに構成される。
【0336】
いくつかの構成では、患者特有モデルは、少なくとも一部には、学習フェーズ中に記録されるセンサーの信号品質データに基づいている。
【0337】
いくつかの構成では、センサーデータに関する誤差値は、対応する信号品質データによって重み付けされ得る。
【0338】
いくつかの構成では、患者特有モデルは、遅延時間を決定し、遅延時間は、ガス流の酸素濃度の変化時点と患者の酸素飽和度の反応との間の期間である。
【0339】
いくつかの構成では、患者特有モデルは、指数関数的減衰を計算する。
【0340】
いくつかの構成では、患者特有モデルのパラメータは、少なくとも、遅延時間、指数関数的減衰速度、酸素濃度の変化及び血中酸素飽和度の変化を含む。
【0341】
いくつかの構成では、制御フェーズは、閉ループ制御を使用して実行されるように構成される。
【0342】
いくつかの構成では、制御フェーズは、少なくとも一部には患者特有モデルに基づいてPID制御を使用して実行されるように構成される。
【0343】
いくつかの構成では、制御フェーズは、患者の生理的パラメータを予測するための予測アルゴリズムを使用して実行されるように構成される。
【0344】
いくつかの構成では、コントローラは、制御フェーズ中に予測酸素飽和度を使用するようにさらに構成される。
【0345】
いくつかの構成では、予測アルゴリズムは、スミス予測器である。
【0346】
いくつかの構成では、予測アルゴリズムの出力は、少なくとも一部には患者特有モデルに基づいている。
【0347】
いくつかの構成では、学習フェーズは、治療セッション中に複数回実行される。
【0348】
いくつかの構成では、コントローラは、患者の特性を識別する入力を受信するように構成される。いくつかの構成では、患者の特性は、患者タイプ、年齢、体重、身長又は性別の少なくとも1つを含む。いくつかの構成では、患者タイプは、正常、高炭酸ガス血症又はユーザが定義したものの1つである。
【0349】
さらに、本明細書で開示する実施形態の少なくとも1つのいくつかの特性、態様及び利点によれば、患者にガスの流れを提供する呼吸器であって、患者へのガスの供給を制御するように構成されたコントローラであって、ガス流の酸素濃度を示す機器パラメータデータを受信することと、患者の酸素飽和度読取値を示す患者パラメータデータを受信することであって、患者の酸素飽和度は、ガス流の酸素濃度によって影響される、受信することと、少なくとも一部にはガス流の酸素濃度に基づいて患者の酸素飽和度を予測することとを行うように構成されるコントローラを含む呼吸器である。
【0350】
いくつかの構成では、呼吸器は、フェイスマスク、鼻マスク、鼻枕マスク、気管切開インターフェース、鼻カニューレ又は気管内チューブの少なくとも1つから選択される患者インターフェースを含む。
【0351】
いくつかの構成では、呼吸器は、ネーザルハイフロー(NHF)でガスの流れを供給する装置である。
【0352】
いくつかの構成では、センサーは、パルスオキシメータである。
【0353】
いくつかの構成では、予測値は、少なくとも部分的に1つ以上の患者パラメータ読取値に基づいている。いくつかの構成では、患者パラメータの以前の予測値は、モデル誤差を計算するために実測患者パラメータ読取値と比較される。
【0354】
いくつかの構成では、モデル誤差は、信号品質によって重み付けされる。
【0355】
いくつかの構成では、モデル誤差は、現在の予測値を訂正するために使用される。
【0356】
いくつかの構成では、予測値は、モデルに基づいている。
【0357】
いくつかの構成では、モデルは、患者特有である。
【0358】
いくつかの構成では、モデルは、治療セッションの学習フェーズ中に生成される。
【0359】
いくつかの構成では、患者特有モデルは、遅延時間を決定し、遅延時間は、ガス流の酸素濃度の変化時点と患者の酸素飽和度の反応との間の期間である。
【0360】
いくつかの構成では、患者特有モデルは、指数関数的減衰を含む。
【0361】
いくつかの構成では、コントローラは、制御フェーズ中に予測酸素飽和度を使用するようにさらに構成される。
【0362】
いくつかの構成では、予測は、スミス予測器に基づいている。
【0363】
いくつかの構成では、コントローラは、閉ループ制御を使用してガスの供給の制御を実行するように構成される。
【0364】
いくつかの構成では、モデルは、少なくとも一部には、学習フェーズ中に記録されるセンサーの信号品質データに基づいている。
【0365】
さらに、本明細書で開示する実施形態の少なくとも1つのいくつかの特性、態様及び利点によれば、患者にガスの流れを提供する呼吸器であって、閉ループ制御を使用して患者へのガスの供給を制御するように構成されたコントローラであって、ガス流の酸素濃度を示す機器パラメータデータを受信することと、患者の酸素飽和度読取値を示す患者パラメータデータを受信することであって、患者の酸素飽和度は、ガス流の酸素濃度によって影響される、受信することと、信号品質の表示度数を受信することと、少なくとも一部には信号品質に基づいて酸素濃度の制御に重み付けを適用することとを行うように構成されるコントローラを含む呼吸器である。
【0366】
いくつかの構成では、信号品質の表示度数は、特定の酸素飽和度読取値に対応する。
【0367】
いくつかの構成では、呼吸器は、フェイスマスク、鼻マスク、鼻枕マスク、気管切開インターフェース、鼻カニューレ又は気管内チューブの少なくとも1つから選択される患者インターフェースを含む。
【0368】
いくつかの構成では、センサーは、パルスオキシメータである。
【0369】
いくつかの構成では、コントローラは、患者の酸素飽和度を予測するための予測アルゴリズムを使用してガスの供給を制御するように構成される。いくつかの構成では、予測アルゴリズムの出力は、少なくとも一部にはモデルに基づいている。いくつかの構成では、モデルは、患者特有である。いくつかの構成では、モデルは、治療セッションの学習フェーズ中に生成される。いくつかの構成では、モデルは、遅延時間を含む。いくつかの構成では、モデルは、指数関数的減衰を含む。いくつかの構成では、予測アルゴリズムは、スミス予測器である。
【0370】
いくつかの構成では、コントローラは、患者の特性を識別する入力を受信するように構成される。
【0371】
さらに、本明細書で開示する実施形態の少なくとも1つのいくつかの特性、態様及び利点によれば、患者にガスの流れを提供する呼吸器であって、患者へのガスの供給を制御するように構成されるコントローラであって、学習フェーズを実行することであって、学習フェーズ中、コントローラは、患者に提供されるガス流の酸素濃度を示す機器パラメータデータを受信し、少なくとも1つのセンサーから、患者の酸素飽和度を示す患者パラメータデータを受信し、且つ機器パラメータデータ及び患者パラメータデータに基づいて、患者特有モデルに関する1つ以上のモデルパラメータを計算するように構成される、実行することと、1つ以上のパラメータの少なくとも1つが患者特有モデルの生成のための患者特徴付け基準を満たしていないことを決定することと、制御フェーズを実行することであって、治療セッション中の呼吸器の動作は、少なくとも一部にはデフォルトの患者モデルに基づいている、実行することとを行うように構成されるコントローラを含む呼吸器である。
【0372】
いくつかの構成では、呼吸器は、フェイスマスク、鼻マスク、鼻枕マスク、気管切開インターフェース、鼻カニューレ又は気管内チューブの少なくとも1つから選択される患者インターフェースを含む。
【0373】
いくつかの構成では、呼吸器は、ネーザルハイフロー(NHF)でガスの流れを供給する装置である。
【0374】
いくつかの構成では、センサーは、パルスオキシメータである。
【0375】
いくつかの構成では、コントローラは、実測酸素濃度及び実測酸素飽和度に対応するデータを記録するようにさらに構成される。
【0376】
いくつかの構成では、1つ以上のモードパラメータは、遅延時間、指数関数的減衰速度、酸素濃度の変化又は血中酸素飽和度の変化の少なくとも1つを含む。
【0377】
いくつかの構成では、デフォルトの患者モデルは、複数のデフォルトの患者モデルの1つから選択される。
【0378】
いくつかの構成では、コントローラは、1つ以上の患者の特性の入力を受信するように構成される。いくつかの構成では、患者の特性は、患者タイプ、年齢、体重、身長又は性別の少なくとも1つを含む。いくつかの構成では、患者タイプは、正常、高炭酸ガス血症又はユーザが定義したものの1つである。いくつかの構成では、デフォルトの患者モデルは、少なくとも一部には1つ以上の患者の特性に基づいて複数のデフォルトの患者モデルから選択される。いくつかの構成では、デフォルトの患者モデルは、少なくとも一部には患者のタイプに基づいて複数のデフォルトの患者モデルから選択される。
【0379】
いくつかの構成では、制御フェーズは、閉ループ制御を使用して実行されるように構成される。
【0380】
いくつかの構成では、制御フェーズは、少なくとも一部にはデフォルトの患者モデルに基づいてPID制御を使用して実行されるように構成される。
【0381】
いくつかの構成では、制御フェーズは、患者の酸素飽和度を予測するために予測アルゴリズムを使用して実行されるように構成される。
【0382】
いくつかの構成では、コントローラは、患者へのガスの供給を制御するために、制御フェーズ中に予測酸素飽和度を使用するようにさらに構成される。
【0383】
いくつかの構成では、予測アルゴリズムは、スミス予測器である。
【0384】
いくつかの構成では、予測アルゴリズムの出力は、少なくとも一部にはデフォルトの患者モデルに基づいている。
【0385】
さらに、本明細書で開示する実施形態の少なくとも1つのいくつかの特性、態様及び利点によれば、患者にガスの流れを提供する方法であって、呼吸療法装置のコントローラにより、治療セッション中に学習フェーズを実行することであって、学習フェーズは、患者に提供されるガス流の酸素濃度を示す機器パラメータデータを受信すること、少なくとも1つのセンサーから、患者の酸素飽和度を示す患者パラメータデータを受信すること、及び少なくとも一部には、ガス流の酸素濃度と患者の酸素飽和度との間の関係に基づいて、患者特有モデルを生成することを含む、実行することと、少なくとも一部には患者特有モデルに基づいて、治療セッションの制御フェーズ中に呼吸療法装置の動作を制御することとを含む方法である。
【0386】
方法は、実測酸素濃度及び実測酸素飽和度に対応するデータを記録することを含み得る。
【0387】
方法は、規定された期間後、データの記録を停止することを含み得る。
【0388】
方法は、少なくとも一部には、学習フェーズ中に記録される少なくとも1つのセンサーの信号品質データに基づいて患者特有モデルを生成することを含み得る。
【0389】
患者特有モデルのパラメータは、遅延時間、指数関数的減衰速度、酸素濃度の変化及び血中酸素飽和度の変化の少なくとも1つを含む。
【0390】
方法は、定義された特徴付け基準を患者特有モデルが満たした後、制御フェーズを実行することを含み得る。定義された特徴付け基準は、患者特有モデルのパラメータの1つ以上のそれぞれに関して、パラメータに関する許容可能な値の範囲を定義し得る。
【0391】
方法は、少なくとも一部には患者特有モデルに基づいてPID制御を使用して制御フェーズを実行することを含み得る。
【0392】
方法は、患者の酸素飽和度を予測するための予測アルゴリズムを使用して制御フェーズを実行することを含み得る。方法は、制御フェーズ中に予測酸素飽和度を使用することを含み得る。予測アルゴリズムは、スミス予測器であり得る。予測アルゴリズムの出力は、少なくとも一部には患者特有モデルに基づき得る。
【0393】
方法は、患者の特性を識別する入力を受信することを含み得る。患者の特性は、患者タイプ、年齢、体重、身長又は性別の少なくとも1つを含み得る。
【0394】
方法は、学習フェーズ中に酸素濃度を変化させることを含み得る。方法は、学習フェーズ中、患者パラメータの実測酸素飽和度が安定していることを検出した後、酸素濃度を変化させることを含み得る。変化は、酸素濃度を上げ得る。変化は、酸素濃度を下げ得る。
【0395】
方法は、治療セッション中に学習フェーズを複数回実行することを含み得る。
【0396】
1つ以上の実施形態又は構成からの特徴は、1つ以上の他の実施形態又は構成からの特徴と組み合わされ得る。さらに、患者の呼吸補助のプロセス中に2つ以上の実施形態が一緒に使用され得る。
【0397】
本明細書では用語「含んでいる」は、「少なくとも一部には~からなる」を意味する。用語「含む」を含む本明細書の各文を解釈するとき、用語の前に来る特徴以外の特徴も存在し得る。「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」などの関連語は、同じように解釈されるものとする。
【0398】
本明細書で開示する数値の範囲(例えば、1~10)への言及は、その範囲内の全ての有理数(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9及び10)及びまたその範囲内にある有理数の任意の範囲(例えば、2~8、1.5~5.5及び3.1~4.7)への言及も組み込み、従って本明細書で明白に開示される全範囲の全ての部分範囲が本明細書に明白に開示されているものとする。これらは、具体的に意図するものの例にすぎず、列挙される最小値と最大値との間の数値の取り得る全ての組み合わせが同様に本出願において明白に述べられているとみなされる。
【0399】
代替的な実施形態又は構成は、本明細書で図示、説明又は言及される部分、要素又は特徴の2つ以上の任意の又は全ての組み合わせを含み得ることを理解すべきである。
【0400】
本発明は、本出願の明細書で言及されるか又は示される部分、要素及び特徴に個別に又はまとめてあり、且つ任意の2つ以上の前記部分、要素又は特徴の任意の又は全ての組み合わせにあるとも広く言われ得る。
【0401】
本発明が関連する技術分野の当業者には、構成における多くの変更形態並びに本発明の大きく異なる実施形態及び出願が、それら自体、添付の特許請求の範囲に定義されるような本発明の範囲から逸脱しないことが示唆される。本明細書の開示及び説明は、純粋に説明であり、決して限定を意図するものではない。本発明が関連する分野において公知の均等物を有する特定の完全体が本明細書で述べられる場合、そのような公知の均等物は、あたかも個別に説明されたかのように本明細書に組み込まれるとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0402】
【
図1B】フロー療法装置において使用され得る流量センサーを含むセンシング回路基板を示す。
【
図1C-1D】直交流ビームを使用するセンサーシステムのための様々な超音波トランスデューサ構成の概略図を示す。
【
図1E-1F】流れに沿ったビームを使用するセンサーシステムのための様々な超音波トランスデューサ構成の概略図を示す。
【
図2】フロー療法装置の動作フェーズを示すグラフを示す。
【
図3】患者モデルの適合傾向線を示すグラフを示す。
【
図4】患者モデルに関する傾向線の反復を示すグラフを示す。
【
図5】予測SpO2値と実際のSpO2値との間の信号時間差を示すグラフを示す。
【
図6】PIDコントローラと一緒に使用されているスミス予測器を示す。
【
図7】遅延時間のある予測SpO2値のグラフを示す。
【
図8】PIDコントローラのための異なる計算モデルの出力を示すグラフを示す。
【
図9A】フロー療法セッション中のフロー療法装置の動作を制御する方法のためのプロセスのフローチャートを示す。
【
図9B】フロー療法セッションの学習フェーズに関するサブプロセスのフローチャートを示す。
【
図9C】フロー療法セッションの制御フェーズに関するサブプロセスのフローチャートを示す。
【
図11】患者に関する酸素効率を計算するプロセスを示す。
【
図12】フロー療法装置の動作フェーズを示すグラフを示す。
【
図13A】フロー療法セッション中のフロー療法装置の動作を制御する方法のプロセスのフローチャートを示す。
【
図13B】フロー療法セッションの設定フェーズに関するサブプロセスのフローチャートを示す。
【
図13C】フロー療法セッションの制御フェーズに関するサブプロセスのフローチャートを示す。
【
図14】モータ及び/又はセンサーモジュールサブアセンブリのための、ハウジングの内部の凹部を示す、フロー療法装置の主ハウジングの第1の下面の斜視図である。
【
図15】モータ及び/又はセンサーモジュールサブアセンブリのための凹部を示す、フロー療法装置の主ハウジングの第2の下面の斜視図である。
【
図16】主ハウジングの下面のモータ及び/又はセンサーサブアセンブリ並びにフロー療法装置の固定されたL字継手の斜視図である。
【
図17】サブアセンブリを通る矢印のガス流路によって概略的に示す、モータ及び/又はセンサーサブアセンブリの構成要素の分解斜視図である。
【
図18】センサーの位置を示す、モータ及び/又はセンサーサブアセンブリのカバー及び感知PCBの下面の図である。
【
図19】モータ及び/又はセンサーサブアセンブリを受け入れるための凹部を提供する主ハウジングの一部分の配置構成を示す、装置の後縁に隣接した断面で示したフロー療法装置の後方からの斜視図である。
【
図20】フロー療法装置の左前からの斜視図である。
【
図21】フロー療法装置の左前からの斜視図である。
【
図22】弁モジュール及びフィルターモジュールを示す、部分的に切り欠いた左前からの斜視図である。
【
図23】フィルターモジュール及び弁モジュールに関するガス流路の概略図であり、実線矢印は、酸素(又は他のガス)の流れを表し、及び破線矢印は、周囲空気流れを表す。
【
図24】フィルターモジュール及び弁モジュールを通るガス流路を示す断面図である。
【
図25】第1の構成の弁モジュールの後方の頭上からの斜視図である。
【
図26】第1の構成の弁モジュールを通るガス流路を示す後方の頭上からの斜視図であり、実線矢印は、酸素(又は他のガス)の流れを表し、及び破線矢印は、周囲空気流れを表す。
【
図27】第1の構成の弁モジュールを通る断面図である。
【
図28】第1の構成の弁モジュールの弁と弁マニホールドとの結合及びそれらを通るガス流路を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0403】
様々な健康状態及び疾患を患っている患者が酸素療法の恩恵を受け得る。例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎、喘息、気管支肺異形成症、心不全、嚢胞性線維症、睡眠時無呼吸、肺疾患、呼吸系への外傷、急性呼吸窮迫を患い、術前及び術後の酸素供給を受けている、及び他の状態又は疾患を患っている患者は、酸素療法の恩恵を受け得る。そのような問題を治療する一般的な方法は、患者に補足酸素の供給を行うことにより、患者の血中酸素飽和度(SpO2)が低下しすぎる(例えば、約90%を下回る)ことを防止することである。しかしながら、患者に酸素を供給しすぎると、血液を過度に酸素化しすぎることがあり、これも危険であるとみなされる。一般的に、患者のSpO2は、約80%~約99%及び好ましくは約92%~約96%の範囲に保たれるが、これらの範囲は、患者の状態によって異なり得る。呼吸数、肺の一回換気量、心拍数、活動レベル、身長、体重、年齢、性別などの様々な要因及び他の要因のため、各患者に対して目標範囲のSpO2反応を一貫して達成できるようにするための1つの規定補足酸素レベルはない。個々の患者は、目標SpO2を達成するために正確なFdO2を受けていることを保証するために、患者毎に供給される酸素の割合(FdO2)が定期的に監視されて調整される必要がある。正確且つ一貫性のあるSpO2を達成することは、様々な健康状態又は疾患の患者の治療における重要な要素である。さらに、これらの健康問題を患っている患者は、酸素飽和度を自動的に制御するシステムの恩恵を見出し得る。本開示は、迅速且つ正確な酸素飽和度の制御を必要とする様々な患者に適用できる。
【0404】
患者に供給される酸素の割合(FdO2)は、手動で制御され得る。臨床医は、酸素供給弁を手動で調整して、患者に供給されている酸素の流量又は割合を変えることができる。臨床医は、パルスオキシメータなどの患者モニターを使用して患者のSpO2レベルを決定できる。患者のSpO2レベルが、決定されたレベルに達するまで、臨床医は、患者に供給される酸素の量を手動で調整し続け得る。
【0405】
現在の方法での問題の1つは、臨床医が特定のSpO2レベルを達成しようとするとき、臨床医が、FdO2を変更し、SpO2読取値が落ち着くのを待ち、その後、SpO2が求められるレベルになるまでFdO2にさらに変化を加える必要があることである。FdO2の変更及びSpO2が落ち着くまでの待機の繰り返しプロセスは、特に複数の患者が同じ治療を必要としている場合、著しく時間のかかるプロセスとなり得る。
【0406】
別の問題は、達成され得るSpO2の精度である。SpO2制御の精度は、表示されるSpO2及び選択可能なFdO2に関して増分がどの程度細かいかに依存し得る。臨床医は、理想的なSpO2に近づくと、FdO2をこれ以上変更する必要はないと決定することがあるため、精度は、段々と正確になる値を得るために必要な時間が長くなることによって妨げられ得る。
【0407】
別の問題は、FdO2に全く変化がなくても、他の要因により、時間が経つにつれて患者のSpO2レベルを変化させ得ることにある。患者は、SpO2を正しい値に維持するために、定期的にチェックされ、且つFdO2が調整される必要がある。このプロセスは、臨床医にとってかなり時間のかかるものとなり得る。さらに、調整間の時間が長すぎる場合、患者は、目標レベルからSpO2が逸脱しすぎる危険性があり得る。
【0408】
同じようなことを試みようとするいくつかのシステムが存在するが、それらの多くは、患者の酸素飽和度の測定における困難に起因するさらなる問題に直面する。パルスオキシメータ及び同様の機器は、供給される酸素の割合の変化に大きく遅れて対応する信号を生成する。さらに、酸素飽和度読取値は、様々な要因によって不正確になり得る。
【0409】
本開示は、患者又は臨床医が目標FdO2の代わりに目標SpO2を設定できるようにするフロー療法装置の閉ループ制御を提供する。フロー療法装置は、目標SpO2、現在のSpO2及び現在のFdO2の各値に基づいて目標SpO2を達成するために、フロー療法装置のFdO2を自動的に変更できる。FdO2を自動的に制御することは、目標SpO2が達成されるまでFdO2を迅速且つ正確に調整することを支援し得る。いくつかの構成では、システムは、治療セッションを開始する各患者に対する患者特有モデルを生成し得る。フロー療法装置は、臨床医によって絶えず監視されることなく、目標SpO2範囲内に留まるように必要に応じてFdO2を調整することにより、より高い目標SpO2の達成精度を有し得る。
【0410】
本開示は、1つ以上の閉ループ制御システムを実行できるフロー療法装置を提供する。閉ループ制御システムの特徴は、本明細書で開示する1つ以上の構成の特徴と組み合わされ得る。
【0411】
フロー療法装置は、自動モードで動作するか又は手動モードで動作し得る。自動モードでは、コントローラは、目標SpO2及び/又は実測SpO2に基づいて決定された目標FdO2に基づいてFdO2を自動的に制御できる。酸素流入口にある弁は、目標FdO2に基づいてガス流中の酸素濃度を制御できるコントローラに接続され得る。コントローラは、フロー療法装置によって出力されたFdO2を測定できる制御アルゴリズムを実行できる。FdO2測定は、ガス濃度センサーの最大サンプルレートなどの規定された周波数若しくはそれよりも低い周波数で周期的に行われ得るか、又は測定は、非周期的に行われ得る。コントローラは、実測FdO2が目標FdO2に到達するまで、酸素流入口にある弁を調整し続けることができる。実測FdO2は、ガス組成センサーによって決定され得る。
【0412】
手動モードでは、コントローラは、臨床医又は患者から例えばユーザインターフェースを介して目標FdO2を受信し得る。コントローラは、受信した目標FdO2に基づいてFdO2を自動的に制御できる。コントローラは、目標FdO2に基づいて酸素流入口弁を制御することにより、ガス流中の酸素濃度を制御できる。コントローラは、コントローラへの入力として、フロー療法装置によって(例えば、フロー療法装置のガス組成センサーによって)出力された実測FdO2を使用できる制御アルゴリズムを実行できる。FdO2測定は、ガス濃度センサーの最大サンプルレートなどの規定された周波数若しくはそれよりも低い周波数で周期的に行われ得るか、又は測定は、非周期的に行われ得る。コントローラは、実測FdO2を目標FdO2に向かわせるように、酸素流入口にある弁を調整し続けることができる。実測FdO2は、ガス組成センサーによって決定され得る。
【0413】
フロー療法装置は、患者のSpO2が患者の許容範囲内にないとき、自動モードから手動モードに変わるように構成され得る。場合により、フロー療法装置は、患者のSpO2が患者の限界値外(上若しくは下)であるとき、又は患者のSpO2が、治療セッションの開始後の規定された期間内に限界値内で動かない場合、手動モードに戻る。フロー療法装置は、患者センサーの信号品質が、規定された期間にわたって閾値レベルを下回るとき、手動モードに戻り得る。いくつかの構成では、フロー療法装置は、自動モードから手動モードに切り替わるとき、アラームをトリガし得る。いくつかの構成では、フロー療法装置は、患者センサーの信号品質が、規定された期間にわたって閾値レベルを下回るとき、アラームをトリガし得る。アラームがトリガされた後、フロー療法装置は、自動モードで機能し続け得る。フロー療法装置は、グラフィカルユーザインターフェースにより、アラームを無効にするか又は自動モードから出るオプションをユーザに提供し得る。
【0414】
自動モードでは、コントローラは、2つの制御ループを利用し得る。第1の制御ループは、目標SpO2に基づいて目標FdO2を決定し得る。第2の制御ループは、第1の制御ループによって出力された目標FdO2及び実測FdO2を使用して酸素流入口弁制御信号を出力し得る。手動モードでは、コントローラは、第2の制御ループのみを使用し得、第2の制御ループは、ユーザ入力から出力された目標FdO2又はデフォルト値を受信し得る。
【0415】
ハイフロー療法セッション中、機器で測定された酸素濃度、供給された酸素の割合(FdO2)は、供給されるガスの流量が患者のピーク吸気需要を満たすか又はそれを上回るとき、ユーザが呼吸しているときの酸素濃度、吸入酸素の割合(FiO2)と実質的に同じであり得る。これは、吸気中に機器によって患者に供給されるガスの量が、吸気中に患者によって吸気されるガスの量を満たすか又はそれを上回ることを意味する。ハイフロー療法は、患者が息を吸うときの周囲空気の吸い込み及び呼気による患者の気道のフラッシングを防止することを支援する。供給されたガスの流量が患者のピーク吸気需要を満たすか又はそれを上回る限り、周囲空気の吸い込みは、防止され、且つ機器によって供給されるガス、FdO2は、患者が息を吸うガス、FiO2と実質的に同じである。
【0416】
フロー療法装置
図1Aにフロー療法装置10が示されている。装置10は、モータ/インペラ配置構成(例えば、送風器)の形態の流れ発生器11と、任意選択的な加湿器12と、コントローラ13と、ユーザインターフェース14(例えば、ディスプレイ及び1つ又は複数のボタン、タッチスクリーンなどの1つ又は複数の入力機器を含む)とを入れている主ハウジング100を含み得る。コントローラ13は、装置の動作を制御するように構成又はプログラムされ得る。例えば、コントローラは、限定するものではないが、患者に供給するためのガスの流れ(ガス流)を生じるために流れ発生器11を動作させること、発生したガス流を加湿及び/又は加熱するために加湿器12(存在する場合)を動作させること、流れ発生器の送風器への酸素の流れを制御すること、装置10の再構成及び/又はユーザが定義した動作のためにユーザインターフェース14からユーザ入力を受信すること及びユーザに対して情報を(例えば、ディスプレイ上に)出力することを含む装置の構成要素を制御できる。ユーザは、患者、ヘルスケア専門家又は装置の使用に関心がある他の人物であり得る。本明細書では、「ガス流」は、呼吸補助又は呼吸装置において使用され得るいずれかのガスの流れ、例えば周囲空気流れ、実質的に100%の酸素を含む流れ、周囲空気と酸素とのいくつかの組み合わせを含むガス流などを指し得る。
【0417】
患者呼吸導管16は、一方の端部において、フロー療法装置10のハウジング100のガス流出口21に結合される。患者呼吸導管16は、別の端部において、マニホールド19及び鼻プロング18を備える非シール鼻カニューレなどの患者インターフェース17に結合される。加えて又は代わりに、患者呼吸導管16は、フェイスマスク、鼻マスク、鼻枕マスク、気管内チューブ、気管切開インターフェースなどに結合され得る。フロー療法装置10によって発生されるガス流は、加湿され、且つ患者導管16を経由してカニューレ17を通って患者に供給され得る。患者導管16は、患者を通過するガス流を加熱するためのヒーター線16aを有し得る。ヒーター線16aは、コントローラ13の制御下にあり得る。患者導管16及び/又は患者インターフェース17は、フロー療法装置10の一部又は代わりにその周辺機器とみなされ得る。フロー療法装置10、呼吸導管16及び患者インターフェース17は、一緒にフロー療法システムを形成し得る。
【0418】
コントローラ13は、所望の流量のガス流を発生させるように流れ発生器11を制御できる。コントローラ13は、補足酸素の供給を可能にする補足酸素流入口も制御し得、加湿器12(存在する場合)は、適切なレベルにガス流を加湿し得、且つ/又はガス流を加熱し得るなどである。ガス流は、患者導管16及びカニューレ17を通って患者に向けられる。コントローラ13は、所望のレベルの治療及び/又は患者の快適度のための所望の温度にガスを加熱するために、加湿器12内の加熱素子及び/又は患者導管16内の加熱素子16aも制御し得る。コントローラ13は、ガス流の好適な目標温度によってプログラムされ得るか又はそれを決定し得る。
【0419】
酸素流入口ポート28は、弁を含み、そこを通って加圧ガスが流れ発生器又は送風器に入り得る。弁は、流れ発生器の送風器に流入する酸素の流れを制御できる。弁は、比例弁又はバイナリ弁などの任意のタイプの弁であり得る。酸素源は、酸素タンク又は病院の酸素供給源であり得る。医療グレードの酸素は、一般に、95%~100%の純度である。より低い純度の酸素源も使用され得る。弁モジュール及びフィルターの例は、2016年10月18日出願の「Valve Modules and Filter」という名称の米国仮特許出願第62/409,543号明細書及び2017年4月23日出願の「Valve Modules and Filter」という名称の米国仮特許出願第62/488,841号明細書に開示されており、これらの全体が参照により本明細書に援用される。弁モジュール及びフィルターについて、
図17~25を参照して下記でさらに詳細に説明する。
【0420】
フロー療法装置10は、患者に供給されているガスの酸素含有量、従って患者によって吸気されるガスの酸素含有量を測定及び制御できる。ハイフロー療法中、供給される高流量のガスは、患者のピーク吸気需要を満たすか又はそれを上回る。これは、吸気中に機器によって患者に供給されるガスの量が、吸気中に患者によって吸気されるガスの量を満たすか又はそれを上回ることを意味する。従って、ハイフロー療法は、患者が息を吸うときの周囲空気の吸い込み及び呼気による患者の気道のフラッシングを防止することを支援する。供給されたガスの流量が患者のピーク吸気需要を満たすか又はそれを上回る限り、周囲空気の吸い込みは、防止され、及び機器によって供給されるガスは、患者が息を吸うガスと実質的に同じである。そのようなものとして、機器で測定された酸素濃度、供給された酸素の割合(FdO2)は、ユーザが息を吸う酸素濃度、吸気酸素の割合(FiO2)と実質的に同じになり、及びそのようものとして、両方の用語は、均等とみなされ得る。
【0421】
動作センサー3a、3b、3c、例えば流れ、温度、湿度及び/又は圧力センサーがフロー療法装置10内の様々な箇所に配置され得る。追加的なセンサー(例えば、センサー20、25)は、患者導管16及び/又はカニューレ17の様々な箇所に配置され得る(例えば、吸気チューブの端部に又はその近くに温度センサー29があり得る)。センサーからの出力は、コントローラ13によって受信されて、好適な治療法をもたらすようにコントローラがフロー療法装置10を動作させることを支援し得る。いくつかの構成では、好適な治療法をもたらすことは、患者のピーク吸気需要になることを含む。装置10は、コントローラ13がセンサーからの信号8を受信すること、及び/又は限定するものではないが、流れ発生器11、加湿器12及びヒーター線16aを含む、フロー療法装置10の様々な構成要素又はフロー療法装置10に関連する付属品若しくは周辺機器を制御することができるようにする送信器及び/又は受信器15を有し得る。加えて又は代わりに、送信器及び/又は受信器15は、リモートサーバにデータを提供し得るか、又は装置10のリモートコントロールを可能にし得る。
【0422】
酸素は、酸素と周囲空気との混合終了後、1つ以上のガス組成センサー(例えば、超音波トランスデューサシステム、超音波センサーシステムとも呼ばれる)を配置することによって測定され得る。測定値は、機器、供給導管、患者インターフェース内又は任意の他の好適な箇所で取られ得る。
【0423】
酸素濃度は、周囲空気流入口導管、酸素流入口導管及び最終供給導管の少なくとも2つで流量センサーを使用することによっても測定され、少なくとも2種類のガスの流量を決定し得る。両方の流入口ガスの流量又は一方の流入口ガスの流量及び一方の総流量を、流入口ガスの仮定又は測定された酸素濃度(周囲空気では約20.9%、酸素では約100%)と併せて決定することにより、最終的なガス組成の酸素濃度が計算され得る。代わりに、流量センサーは、周囲空気流入口導管、酸素流入口導管及び最終供給導管の3つ全てに配置され得、冗長性と、読取値の一貫性をチェックすることによる、各センサーが正しく動作していることの試験とを可能にする。フロー療法装置10によって供給される酸素濃度を測定する他の方法も使用され得る。
【0424】
フロー療法装置10は、パルスオキシメータなどの患者センサー26又は患者監視システムを含み、患者の1つ以上の生理的パラメータ、例えば患者の血中酸素飽和度(SpO2)、心拍数、呼吸数、灌流指標を測定し、且つ信号品質の指標を提供し得る。センサー26は、有線接続又はセンサー26の無線送信器による通信によってコントローラ13と通信し得る。センサー26は、患者の指に接続されるように設計された使い捨ての粘着センサーであり得る。センサー26は、使い捨てではないセンサーであり得る。センサーは、異なる年齢層用に設計され且つ患者の異なる箇所に接続されて利用可能であり、フロー療法装置と一緒に使用され得る。パルスオキシメータは、ユーザ、一般にユーザの指に取り付けられるが、他の場所、例えば耳たぶも選択肢である。パルスオキシメータは、機器内のプロセッサーに接続され、且つ患者の血中酸素飽和度を示す信号を絶えず提供する。患者センサー26は、ホットスワップ可能な機器であり得、フロー療法装置10の動作中に取り付けられ得るか又は入れ替えられ得る。例えば、患者センサー26は、USBインターフェースを使用して又は無線通信プロトコル(例えば、近距離無線通信、WiFi又はBluetooth(登録商標)など)を使用してフロー療法装置10に接続され得る。患者センサー26が動作中に接続を切られると、フロー療法装置10は、規定された期間にわたり、その以前の動作状態で動作し続け得る。規定された期間後、フロー療法装置10は、アラームをトリガし、自動モードから手動モードに移行し、且つ/又は制御モード(例えば、自動モード又は手動モード)から完全に出得る。患者センサー26は、物理的又は無線インターフェースによってフロー療法装置10と通信するベッドサイド監視システム又は他の患者監視システムであり得る。
【0425】
フロー療法装置10は、ハイフロー療法装置を含み得る。本明細書では、「ハイフロー」療法は、患者のピーク吸気需要を満たすか又はそれを上回る比較的高流量での患者の気道へのガスの投与を指す。「ハイフロー」を達成するために使用される流量は、下記に挙げる流量のいずれかであり得る。例えば、いくつかの構成では、成人患者では、「ハイフロー療法」は、1分当たり約10リットル(10LPM)以上、例えば約10LPM~約100LPM、又は約15LPM~約95LPM、又は約20LPM~約90LPM、又は25LPM~75LPM、又は約25LPM~約85LPM、又は約30LPM~約80LPM、又は約35LPM~約75LPM、又は約40LPM~約70LPM、又は約45LPM~約65LPM、又は約50LPM~約60LPMの流量での患者へのガスの供給を指し得る。いくつかの構成では、新生児、幼児又は小児患者では、「ハイフロー療法」は、1LPMを上回る、例えば約1LPM~約25LPM、又は約2LPM~約25LPM、又は約2LPM~約5LPM、又は約5LPM~約25LPM、又は約5LPM~約10LPM、又は約10LPM~約25LPM、又は約10LPM~約20LPM、又は約10LPM~15LPM、又は約20LPM~25LPMの流量での患者へのガスの供給を指し得る。成人患者、新生児、幼児又は小児患者でのハイフロー療法装置は、約1LPM~約100LPMの流量又は上記で概要を述べた部分範囲のいずれかの流量で患者にガスを供給し得る。フロー療法装置10は、100%までの任意の濃度の酸素(例えば、FdO2)を約1LPM~約100LPMの任意の流量で供給し得る。いくつかの構成では、流量のいずれかは、約20%~30%、21%~30%、21%~40%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%及び90%~100%の酸素濃度(FdO2)と組み合わされ得る。いくつかの組み合わせでは、流量は、約20%~30%、21%~30%、21%~40%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%及び90%~100%の酸素濃度(FdO2)と組み合わされて、約25LPM~75LPMであり得る。いくつかの構成では、フロー療法装置10は、手動モードで動作するとき、ユーザが患者に酸素を供給しすぎることを防止する安全閾値を含み得る。
【0426】
ハイフロー療法は、ユーザの鼻孔に及び/若しくは経口的に、又は気管切開インターフェースを介して投与され得る。ハイフロー療法は、意図したユーザのピーク吸気流量条件以上の流量でユーザにガスを供給し得る。ハイフロー療法は、鼻咽頭内でフラッシング効果を生成し、上気道の解剖学的死腔が高流入ガス流によってフラッシングされるようにし得る。これにより、一回一回の呼吸に利用できる新鮮なガスの溜め部を形成し得る一方、窒素及び二酸化炭素の再呼吸を最小限にする。吸気需要になること及び気道のフラッシングは、患者のFdO2を制御しようとするときにさらに重要である。ハイフロー療法は、例えば、鼻カニューレなどの非シール患者インターフェースによって供給され得る。鼻カニューレは、意図したユーザのピーク吸気流量条件を上回る流量でユーザの鼻孔に呼吸ガスを供給するように構成され得る。
【0427】
本明細書では、用語「非シール患者インターフェース」は、患者の気道を完全には閉塞しない、患者の気道とガス流源(例えば、流れ発生器11からの)との間の空気式リンクを提供するインターフェースを指し得る。非シール空気式リンクは、患者の気道の約95%未満の閉塞を含み得る。非シール空気式リンクは、患者の気道の約90%未満の閉塞を含み得る。非シール空気式リンクは、患者の気道の約40%~約80%の閉塞を含み得る。気道は、患者の鼻孔又は口の1つ以上を含み得る。鼻カニューレでは、気道は、鼻孔を通る。
【0428】
流れ発生器又は送風器11は、周囲の室内の空気を送風器に吸い込む周囲空気流入口ポート27を含み得る。フロー療法装置10は、弁に至る酸素流入口ポート28も含み得、その弁を通って、加圧ガスが流れ発生器又は送風器11に流入し得る。弁は、流れ発生器送風器11への酸素の流れを制御できる。弁は、比例弁又はバイナリ弁を含め、任意のタイプの弁であり得る。
【0429】
送風器は、約1,000RPM超及び約30,000RPM未満、約2,000RPM超及び約21,000RPM未満又は上述の複数の値のいずれかの間のモータ速度で動作し得る。送風器の動作は、流入口ポートを通って送風器に流入するガスを混合できる。ミキサーとして送風器を使用することによって混合にエネルギーを要するため、例えばバッフルを含む静的ミキサーなどの別個のミキサーを備えるシステムで発生し得る圧力低下を減少させ得る。
【0430】
さらに、
図1Bを参照すると、フロー療法装置10に実装され得るセンシング回路基板2200が示されている。センシング回路基板2200は、センサー室内に位置決めされて、センシング回路基板2200が少なくとも部分的にガスの流れに浸されるようにし得る。ガスの流れは、送風器11から流出して導管を通ってセンサー室内の流路に流入し得る。センシング回路基板2200上のセンサーの少なくともいくつかは、ガスの流れ内に位置決めされて、その流れのガスの特性を測定し得る。センサー室内の流路を通過した後、ガスは、上述の加湿器12に流出し得る。
【0431】
センシング回路基板2200は、センシング印刷回路基板(PCB)であり得る。代わりに、基板2200上の回路は、回路基板上に印刷されているのではなく、電子部品を接続する電線を備えて組み立てられ得る。センシング回路基板2200の少なくとも一部分は、ガスの流れ外に取り付けられ得る。ガスの流れは、上述の流れ発生器11によって発生され得る。センシング回路基板2200は、超音波トランスデューサ2204を含み得る。センシング回路基板2200は、1つ以上のサーミスタ2205を含み得る。サーミスタ2205は、ガス流の温度を測定するように構成され得る。センシング回路基板2200は、サーミスタ流量センサー2206を含み得る。センシング回路基板2200は、他のタイプのセンサー、例えば別個の温度センサーと一緒に使用される湿度のみのセンサー並びに湿度及び温度複合センサーを含む湿度センサー、大気圧を測定するためのセンサー、差圧を測定するためのセンサー及び/又はセンサーゲージ圧を測定するためのセンサーを含み得る。サーミスタ流量センサー2206は、熱線風速計、例えば白金線及び/又はサーミスタ、例えば負温度係数(NTC)若しくは正温度係数(PTC)サーミスタを含み得る。加熱された温度感知素子の他の非限定的な例は、ガラス若しくはエポキシでカプセル化された又は非カプセル化サーミスタを含む。サーミスタ流量センサー2206は、定電力で供給されていることによってガスの流量を測定するか、又は一定のセンサー温度に若しくはセンサーとガスの流れとの間が一定の温度差に維持されるように構成され得る。
【0432】
センシング回路基板2200は、第1の部分2201及び第2の部分2202を含み得る。第1の部分2201は、ガスの流路内に位置決めされ得る一方、第2の部分2202は、ガスの流路外に位置決めされ得る。ガスの流れの方向は、
図1Bにおいて矢印2203によって示されている。ガスの流れの方向は、直線であり得るか、又は
図1Bに示すように湾曲し得る。
【0433】
サーミスタ2205及び/又はサーミスタ流量センサー2206の1つ以上を複合型送風器及びミキサーの下流に位置決めすることにより、送風器からのガス流に供給される熱を考慮し得る。また、温度ベースの流量センサーを流路に浸すことにより、流れに浸されているセンサーが、ガスが流れるときと同じ条件、例えば温度にさらされる傾向がより高くなり得るため、測定精度を高め、従ってガスの特性をより良好に示し得る。
【0434】
センシング回路基板2200は、超音波トランスデューサ、送受信機又はガス流のガス特性、例えばガスストリーム内の1種以上のガスのガス組成若しくは濃度を測定するためのセンシング回路基板のセンサーを含み得る。任意の好適なトランスデューサ、送受信機又はセンサーは、理解されるように、センシング回路基板2200に取り付けられ得る。この構成では、センシング回路基板は、ガス濃度を決定するために超音波又は音波を利用する超音波トランスデューサシステム(超音波センサーシステムとも呼ばれる)を含む。様々なセンサー構成が
図1C~1Fを参照して下記で説明される。
【0435】
超音波トランスデューサシステムは、ガス流中の2種以上のガスの相対的なガス濃度を決定し得る。超音波トランスデューサシステムは、実質的に窒素(N2)と酸素(O2)との二成分気体混合物である、補足酸素で補強された大気からなるバルクガスストリーム流中の酸素割合を測定するように構成され得る。超音波トランスデューサシステムは、窒素(N2)及び二酸化炭素(CO2)を含む、ガスストリーム中の大気とブレンドされた他の補強ガスのガス濃度を測定するように構成され得ることも理解される。超音波トランスデューサは、比較的高い周波数でガス流中のガスのガス濃度を決定できる。例えば、超音波トランスデューサは、センサーの最大サンプルレート又は最大サンプルレートよりも低い周波数、例えば約1Hz~200Hz、約1Hz~100Hz、約1Hz~50Hz及び約1Hz~25Hzで実測FdO2値を出力できる。
【0436】
いくつかの構成では、センシング回路基板2200は、センシング回路基板の対向する両側に設けられた超音波トランスデューサの対を含む。超音波トランスデューサの様々な代替的な構成は、超音波のビーム又はパルスの送信及び受信によってガスストリームの特性を感知するために使用され得る。
【0437】
センシング回路基板2200の両端部の超音波トランスデューサ2204間の距離は、測定分解能に影響を及ぼし得る。概して、実測長は、一定量の誤差を有し、及びその長さが長くなる場合、測定中に生成される誤差の割合は、より短い長さに対するものよりも少ないため、超音波トランスデューサ2204のそれぞれの間の距離の増大は、比例的又は部分的誤差を減少させ得る。従って、測定の全体的な不確実性が低下する。距離の増大は、超音波トランスデューサ2204間の音響信号をより長い期間にできるため、測定分解能及び精度も上げ得る。しかしながら、距離が増大すると、信号がより弱くなり得る。
【0438】
超音波トランスデューサ2204は、超音波トランスデューサ2204間の空間が少なくとも部分的に流路と一致するように位置決めされ得る。いくつかの構成では、超音波トランスデューサは、センシング回路基板の対向端部に位置決めされる。流路の面全体が音響経路にさらされるため、音波が流路中の全てのガスを通って伝播する。波の平均化は、流路の1セクションではなく、流路全体にわたって発生し得る。より長い距離の平均化は、誤差を減少させ、及び空気-酸素の混合の依存性を低下させる。超音波トランスデューサは、流路に対するいずれかの角度からガスの特性を測定するように構成され得る。
【0439】
流路又はモジュール外の代わりに、流路又はモジュール内のポジショニングセンサーは、トランスデューサ2204の両方とも互いに対してより小さい温度範囲内又は両方とも実質的に1つの温度(すなわちガス流の温度)において動作できるようにする。トランスデューサは、温度に敏感であるため、それらを実質的に均質な温度にすることによって精度を高める。さらに、流路に沿ったポジショニングセンサーは、ガスの速度の影響を説明する測定及び計算を可能にするため、ガスの速度の影響は、センサーの測定値から除去され得る。
【0440】
超音波トランスデューサシステムは、超音波二成分気体感知システムとして構成される。超音波を使用する二成分気体分析は、この場合、センサーハウジングの感知通路を流れるガスストリームのバルク又は一次流であるガス試料を通る音響パルスの速度を感知することに基づいている。音速は、ガスの平均分子量及び温度の関数である。システムは、超音波トランスデューサ間のビーム経路間を流れるガスの温度を示すセンサー信号を受信できる。感知した音速及び感知した温度を知った上で、ガスストリーム中のガス組成が決定又は計算され得る。特に、感知通路にわたる音速の測定値は、超音波による二成分気体分析の分野で公知のように、経験的関係、標準アルゴリズム又はルックアップテーブルの形態で記憶されたデータを参照することにより、2種の公知のガスの比率を推測するために使用され得る。代わりに、超音波トランスデューサのビーム経路内のガスストリームの温度の推定値は、温度センサーが利用されない場合、二成分気体分析の計算において使用され得ることが理解される。そのような代替的な実施形態では、ガスストリームの温度は、狭い温度帯内で調節又は制御され得、ビーム経路内のガスストリームの温度の推定値を使用できるようにする。
【0441】
いくつかの構成では、フロー療法装置は、湿度センサーも備え得、この湿度センサーは、流路内に配置され、且つセンサーアセンブリを流れるガスストリームの湿度を示す湿度信号を生成するように構成される。そのような実施形態では、ガス組成は、感知した音速及び感知した温度及び/又は感知した湿度によって決定され得る。湿度センサーは、相対湿度センサー又は絶対湿度センサーであり得る。いくつかの実施形態では、ガス組成は、温度センサーを必要とせずに、感知した音速及び感知した湿度に基づいて決定され得る。
【0442】
超音波トランスデューサシステムは、ガス組成中の任意の2種の公知のガスのそれぞれの比率を測定するために使用され得る。超音波トランスデューサシステムは、窒素/酸素混合物と実質的に均等である、補足酸素とブレンドされた空気の混合物中の相対的なガス濃度を決定できる。そのような二成分気体混合物では、音速を監視し、且つ温度を考慮することにより、ガスの平均分子量を決定でき、従って2種類のガスの相対濃度が決定され得る。この比率から、ガスストリームの酸素割合又は窒素割合が導き出され得る。
【0443】
図1C~1Fを参照して、超音波ビーム又はパルスを送信及び受信することにより、ガスストリームを通る音速を感知するためのガス組成感知システムに関して、超音波トランスデューサの様々な構成を説明する。同様の参照符号は、同様の構成要素を表す。
【0444】
図1Cを参照して説明すると、トランスデューサ構成2300は、互いに対向し且つ感知通路2306の対向する両側に位置決めされるトランスデューサ2302、2304の対がある配置構成を提供し、ガス流路の方向を全体的に2308で示している。この構成では、トランスデューサ2302、2304のそれぞれは、専用の送信器又は受信器のいずれかとして駆動されて、超音波パルス2310がガス流路にわたって送信器から受信器トランスデューサに一方向に送信されるようにする。図示の通り、トランスデューサ対は、空気流路方向2308に対して位置合わせされ(すなわち互いから上流又は下流に変位されない)、且つガス流路方向に対して実質的に垂直である直交流パルスを送信するように構成される。
【0445】
図1Dを参照すると、感知通路の対向する両側にトランスデューサ2322、2324の対が互いに対向して設けられているが、各トランスデューサが送信器及び受信器の両方として動作し得る(すなわち、トランスデューサは、超音波送信器-受信器、すなわち送受信機である)、代替的なトランスデューサ構成2320が示されている。この構成では、双方向性超音波パルス2326がトランスデューサ対2322、2324間で送られ得る。例えば、パルスは、トランスデューサ間で交互に行ったり来たりするか、又は任意の他のシーケンス若しくはパターンで送られ得る。ここでも、トランスデューサ対は、ガス流路方向に対して位置合わせされ、且つガス流路方向に対して実質的に垂直である直交流パルスを送信するように構成される。
【0446】
図1Eを参照すると、感知通路2306の対向する両端部に互いに対向するトランスデューサ2362、2364の対があり、ガス流路方向又は軸が全体的に2308によって示されている、代替的なトランスデューサ構成2360が示されている。この構成2360では、トランスデューサ2362、2364のそれぞれは、専用の送信器又は受信器のいずれかとして駆動されて、感知通路2306内のガス流路軸2308と実質的に位置合わせされるか又はそれに対して平行である、流れに沿った超音波パルス2366が送信器と受信器との間のビーム経路内を一方向に送信されるようにする。図示の実施形態では、送信器は、受信器の上流にあるが、反対の配置構成も利用できることが理解される。この構成では、流量センサーは、感知通路内に設けられて、感知通路内のガスストリームの流量を示す流量信号を提供する。感知通路内の音速は、前述したものと同様の方法で導き出され得るか又は決定され得ること、及び流量信号は、計算された音速信号のガス流量を除去又は補償するために信号処理において用いられることが理解される。
【0447】
図1Fを参照すると、
図1Eのように感知通路の対向する両端部に互いに対向してトランスデューサ2372、2374の対が設けられているが、各トランスデューサが送信器及び受信器の両方として動作し得る、すなわち超音波送信器-受信器、すなわち送受信機である、代替的なトランスデューサ構成2370が示されている。この構成では、流れに沿った超音波パルス2376がトランスデューサ対2372と2374との間で双方向に送られ得る。例えば、パルスは、トランスデューサ間で交互に行ったり来たりするか、又は任意の他のシーケンス若しくはパターンで送られ得る。ここでも、トランスデューサ対は、ガス流路軸2308と位置合わせされ、且つ感知通路2306内のガス流路軸2308と実質的に位置合わせされているか又はそれに対して平行な1つ又は複数のビーム経路内で流れに沿ったパルスを送信するように構成される。この構成では、音速信号の流量成分は、送信及び受信された音響パルスの処理から直接導き出され得るか又は決定され得るため、別個の流量センサーが必ずしも設けられる必要はない。
【0448】
フロー療法装置のいくつかの例は、2016年12月2日出願の「Flow Path Sensing for Flow Therapy Apparatus」という名称の国際出願PCT/ニュージーランド特許出願公開第2016/050193号明細書及び2016年6月24日出願の「Breathing Assistance Apparatus」という名称の国際出願PCT/IB2016/053761号明細書に開示されており、これらの全体が参照により本明細書に援用される。本開示の態様と使用され得るフロー療法装置の構成の例について、下記で
図11~16に関してさらに詳細に説明する。
【0449】
制御システム
再度、
図1Aを参照して説明すると、コントローラ13は、フロー療法装置の動作を制御するために閉ループ制御システムを実行するようにプログラム又は構成され得る。閉ループ制御システムは、患者のSpO2が目標レベルに達し、且つこのレベルに又はその近くに一貫して留まることを保証するように構成され得る。
【0450】
コントローラ13は、ユーザから1つ又は複数の入力を受信し得、これらの入力は、閉ループ制御システムを実行するためにコントローラ13によって使用され得る。目標SpO2値は、単一の値又は値の範囲であり得る。1つ又は複数の値は、臨床医によって事前設定されるか、選択されるか、又は患者のタイプに基づいて決定され得、ここで、患者のタイプは、現在の苦痛及び/又は患者に関する情報、例えば年齢、体重、身長、性別及び他の患者の特性を指し得る。同様に、目標SpO2は、2つの値であり得、それぞれ上述のいずれかの方法で選択される。2つの値は、患者のSpO2に関する許容可能な値の範囲を表す。コントローラは、前記範囲内の値を目標にし得る。目標値は、範囲の中央値又は範囲内の任意の他の値であり得、これは、ユーザによって事前設定又は選択され得る。代わりに、範囲は、SpO2の目標値に基づいて自動的に設定され得る。コントローラは、患者のSpO2値が範囲外に動くとき、1つ以上の設定された反応をするように構成され得る。反応は、アラームを発すること、FdO2の手動制御への変化、FdO2の特定の値への変化及び/又は他の反応を含み得る。コントローラは、1つ以上の範囲を有することができ、ここで、各範囲外に動くとき、1つ以上の異なる反応を生じる。
【0451】
フロー療法装置のグラフィカルユーザインターフェースは、ユーザに患者のタイプを入力するようにプロンプトするように構成され得、及びSpO2限界値は、ユーザが選択する内容に基づいて決定される。さらに、ユーザインターフェースは、ユーザが限界値を定義できるカスタムオプションを含み得る。
【0452】
一般的に、SpO2は、約80%~約100%、又は約80%~約90%、又は約88%~約92%、又は約90%~約99%、又は約92%~約96%で制御される。SpO2は、上述の範囲のいずれか2つからの任意の2つの好適な値間で制御され得る。目標SpO2は、約80%~約100%、又は約80%~約90%、又は約88%~約92%、又は約90%~約99%、又は約92%~約96%、又は約94%、又は94%又は約90%、又は90%、又は約85%、又は85%であり得る。SpO2目標は、上述の範囲のいずれか2つからの任意の2つの好適な値間の任意の値であり得る。SpO2目標は、定義された範囲に関するSpO2の中央に対応し得る。
【0453】
FdO2は、範囲内で制御されるように構成され得る。前述の通り、装置内で測定された酸素濃度(FdO2)は、流量が患者のピーク吸気需要を満たすか又はそれを上回る限り、患者が呼吸する酸素濃度(FiO2)と実質的に同じであり、そのようなものとして、両方の用語は、均等とみなされ得る。範囲の限界値のそれぞれは、ユーザによって事前設定されるか、選択されるか、又は患者のタイプに基づいて決定され得、ここで、患者のタイプは、現在の苦痛及び/又は患者に関する情報、例えば年齢、体重、身長、性別及び/又は他の患者の特性を指し得る。代わりに、FdO2に関する単一の値が選択され得、及び範囲は、この値に少なくとも部分的に基づいて決定され得る。例えば、範囲は、選択したFdO2の上及び下の設定された量であり得る。選択したFdO2は、コントローラのための出発点として使用され得る。システムは、コントローラがFdO2を範囲外に動かそうとする場合、1つ以上の反応をし得る。これらの反応は、アラームを発すること、FdO2を範囲外に動かそうとすることを防止すること、FdO2の手動制御に切り替えること及び/又は特定のFdO2に切り替えることを含み得る。機器は、1つ以上の範囲を有し得、ここで、各範囲の限界値に達すると、1つ以上の異なる反応を生じる。
【0454】
FdO2は、約21%~約100%、又は約21%~約90%、又は約21%~約80%、又は約21%~約70%、又は約21%~約60%、又は約21%~約50%、又は約25%~約45%で制御され得る。FdO2は、上述の任意の2つの範囲からの任意の2つの好適な値間で制御され得る。FdO2目標は、上述の任意の2つの範囲からの任意の2つの好適な値間であり得る。範囲が単一の値に基づく場合、上限及び下限は、選択した値に対して一定量を足す/引くことによって決定され得る。足された又は引かれた量は、約1%、又は約5%、又は10%、又は約15%、又は約20%、又は約30%、又は約50%、又は約100%であり得る。足された/引かれた量は、選択した値に対して変化することができる。例えば、上限は、選択した値よりも20%高いことができるため、50%の選択した値では、FdO2は、制御範囲に対して60%の上限を有する。範囲に使用される百分率は、約1%、又は約5%、又は10%、又は約15%、又は約20%、又は約30%、又は約50%、又は約100%であり得る。下限及び上限を計算するための方法は、必ずしも同じである必要はない。単一の値が使用される場合、値は、約21%~約100%、又は約25%~約90%、又は約25%~約80%、又は約25%~約70%、又は約25%~約60%、又は約25%~約50%、又は約25%~約45%であり得る。
【0455】
グラフィカルユーザインターフェース14(GUI)は、FdO2及び/又はSpO2が制御されている値の範囲を表示するように構成され得る。範囲は、範囲内に現れるインジケータが範囲の限界値に対して現在の値の位置をグラフ式に示す状態でGUI上において互いに離れている、互いに別々に設定された2つの限界値を有することによって表示され得る。
【0456】
GUIは、最近のFdO2及び/又はSpO2データのグラフを表示し得る。GUIは、同じ又は異なるグラフにおいて、1時間以上などの規定された期間にわたって各パラメータのレベルを表示し得る。データが表示される時間の長さは、データが現在利用可能である時間の長さに適合し得る。
【0457】
表示されるFdO2データは、目標FdO2又は実測FdO2の少なくとも1つであり得る。SpO2データは、目標SpO2を示すラインを含み得る。加えて又は代わりに、SpO2及び/又はFdO2データは、それらのそれぞれの制御限界値を示す1つ以上のライン又は斜線部分を含み得る。
【0458】
グラフは、デフォルトのディスプレイ上に表示され得る。代わりに、グラフは、現在のデータ値のみが示されている状態で隠され得る。グラフは、規定されたパラメータのためのグラフを見るために選択することによってなど、GUIとの相互作用によって利用可能になる。
【0459】
閉ループ制御
図10を参照すると、閉ループ制御システム1000の概略図が示されている。閉ループ制御システムは、2つの制御ループを利用し得る。第1の制御ループは、SpO2コントローラによって実行され得る。SpO2コントローラは、一部には目標SpO2及び/又は実測SpO2に基づいて目標FdO2を決定できる。上述の通り、目標SpO2値は、単一の値又は許容可能な値の範囲であり得る。1つ又は複数の値は、臨床医によって事前設定されるか、選択されるか、又はクライアント特性に基づいて自動的に決定され得る。一般的に、目標SpO2値は、治療セッション前又はその初めに受信又は決定され得るが、目標SpO2値は、治療セッション中にいつでも受信され得る。治療セッション中、SpO2コントローラは、入力として、ガス組成センサーから1つ又は複数の実測FdO2読取値、及び患者センサーから1つ又は複数の実測SpO2読取値、及び1つ又は複数の信号品質読取値も受信し得る。いくつかの構成では、SpO2コントローラは、目標FdO2を入力として受信し得、そのような場合、SpO2コントローラの出力は、入力としてSpO2コントローラに直接戻るように提供され得る。少なくとも一部には入力に基づいて、SpO2コントローラは、第2の制御ループに目標FdO2を出力し得る。
【0460】
第2の制御ループは、FdO2コントローラによって実行され得る。FdO2コントローラは、実測FdO2及び目標FdO2の入力を受信し得る。その後、FdO2コントローラは、酸素流入口弁制御信号を出力して、これらの実測FdO2及び目標FdO2値間の差に基づいて酸素弁の動作を制御し得る。FdO2コントローラは、フロー療法装置が自動モードで動作しているとき、第1の制御ループから出力される目標FdO2値を受信し得る。FdO2コントローラは、流量値、ガスの特性及び/又は実測FdO2などの追加的なパラメータも受信し得る。ガスの特性は、O2流入口におけるガスの温度及び/又は供給源の酸素含有量を含み得る。酸素流入口弁に接続されたガス供給源は、酸素富化ガス流であり得、ここで、供給源の酸素含有量は、純酸素(すなわち100%)未満であり得る。例えば、酸素供給源は、100%未満及び21%超の酸素含有量を有する酸素富化ガス流であり得る。
【0461】
入力の少なくともいくつかから、FdO2コントローラは、目標FdO2を達成するために必要とされる酸素流量を決定できる。FdO2コントローラは、弁制御信号を変更するために流量入力を使用できる。流量が変化する場合、FdO2コントローラは、ガス濃度センサーからのフィードバック、例えば実測FdO2値を待つ必要なく、新しい流量で目標FdO2を維持するために必要である、新しく必要とされる酸素流量を自動的に計算できる。そのため、FdO2コントローラは、変更された弁制御信号を出力して、新しい流量に基づいて弁を制御し得る。いくつかの構成では、FdO2コントローラの制御信号は、酸素弁の電流を設定して酸素弁の動作を制御し得る。加えて又は代わりに、FdO2コントローラは、実測FdO2の変化を検出し、それに応じて弁の位置を変更し得る。手動モード中、第2の制御ループは、第1の制御ループから目標FdO2を受信せずに、独立して動作し得る。むしろ、目標FdO2は、ユーザ入力又はデフォルト値から受信され得る。
【0462】
治療セッション中、SpO2及びFdO2コントローラは、治療セッションが終了するまで又はある事象が自動モードから手動モードへの変更をトリガするまで、フロー療法装置の動作を自動的に制御し続け得る。
【0463】
患者モデルを使用する閉ループ制御
図2は、治療セッション中のフロー療法装置の動作の複数のフェーズを示す、SpO2及びFdO2に関するグラフ200を提供する。FdO2(供給される酸素の割合)がグラフ内で使用されているが、前述したように、流量が患者のピーク吸気需要を満たすか又はそれを上回る限り、FdO2は、FiO2と実質的に同じである。動作フェーズは、学習フェーズ210及び制御フェーズ220を含む。学習フェーズ中、コントローラは、患者特有モデルを生成する。個々の患者間の違いに起因して、各患者のSpO2がFdO2の変化に反応する方法に違いがあり得る。その結果、患者特有モデルは、患者のSpO2をより良好に制御するように生成され得る。モデル構築フェーズとも呼ばれる学習フェーズ210は、待機ステージ212、フィードフォワードステージ214及びモデル生成又は患者特徴付けステージ216を含み得る。患者特徴付けステージは、フィードフォワードステージ214の少なくとも一部分と同時に発生する。患者特徴付けフェーズ中、患者特有モデルは、フィードフォワードステージ214中にデータが集められるため、反復的に発展され得る。学習フェーズは、患者特有モデルの生成後に完結する。学習フェーズ後、フロー療法装置は、治療セッションの終わりまで制御フェーズで動作する。下記で説明する通り、フロー療法装置は、治療セッション中に学習フェーズに戻るように構成され得る。いくつかの構成では、学習フェーズは、任意選択的であり、及び患者特有モデルは、規定された学習フェーズがなくても生成され得る。例えば、そのような構成では、デフォルトモデルが最初に使用され得る。そのため、デフォルトモデルは、治療セッション中に患者特有モデルに更新され得る。患者特有モデルは、治療セッション中、規定された間隔で、規定された事象で、周期的に、非周期的に且つ/又は連続的に更新され得る。
【0464】
学習フェーズ
フロー療法装置が最初に電源を入れられると、フロー療法装置は、手動モード又は自動モードで開始し得る。機器が手動モードである場合、自動モードに切り替えられ得る。自動モードで開始するとき又は自動モードに切り替えられるとき、フロー療法装置は、ユーザが1つ以上の動作設定(例えば、FdO2限界値、SpO2限界値、流量など)を提供した後、治療セッションで開始し得る。このセッションが開始すると、コントローラは、待機ステージ212を開始し得る。待機ステージ212中、酸素流入口弁の位置は、学習フェーズの開始前のFdO2設定に基づいており、これにより同じ位置に留まる弁又は弁の位置の変化(例えば、開放又は閉鎖)を生じ得る。患者のSpO2は、ハイフロー療法に応えて変化し得る。コントローラは、フィードフォワードステージ214に進む前に、SpO2が安定して、SpO2がかなり一定の値に落ち着くまで待機し得る。待機ステージ212は、規定された期間にわたって続き得る。コントローラは、待機ステージ212なしでフィードフォワードステージ214を開始するように構成され得る。
【0465】
フィードフォワードステージ214中、コントローラは、FdO2のレベルを変化させ得、例えばレベルを上げるか又は下げ得る。新しいFdO2値は、患者の現在のSpO2などの要因に基づいて事前設定又は決定され得る。新しいFdO2は、臨床医によって選択され得、臨床医は、臨床医自身の経験及び知識に基づいてFdO2を選択する。選択されたFdO2は、患者のSpO2を目標SpO2レベルに近づけ得る。FdO2は、コントローラ13によって自動的に決定され得る。
【0466】
フィードフォワードステージ214中、コントローラは、患者のSpO2を測定及び記録する。コントローラは、FdO2を測定及び記録できる。グラフは、FdO2の目標FdO2値へのステップ変化を示す。実際のFdO2は、目標FdO2まで、規定された期間にわたって上昇し得る。SpO2及びFdO2に関して、実測データは、SpO2とFdO2との間の関係の評価及びモデルの生成に組み込まれ得る。患者センサー26からの信号品質インジケータも記録され得る。
【0467】
フィードフォワードステージ214は、少なくとも規定された最小期間にわたって続くことができ、及び規定された最大期間後に自動的に終了し得る。いくつかの構成では、最小期間は、約30秒、約1分、約2分、3分又は上述の値内の別の値であり得る。最大期間は、約3分、約4分、約5分、約6分又は上述の値内の別の値であり得る。最小値及び最大値は、上述の任意の2つの好適な値の組み合わせであり得る。最小期間後、コントローラは、定義された患者特徴付け基準の分析に基づいて、患者が十分に特徴付けられたかを決定できる。患者が十分に特徴付けられずに最大期間に到達する場合、フィードフォワードステージは、終了し、デフォルトの患者モデルを使用して制御フェーズが開始される。デフォルトモデルは、患者タイプ(例えば、正常、高炭酸ガス血症、ユーザが定義したもの又は他のタイプ)に依存し得る。デフォルトの患者モデルは、少なくとも一部には、患者の1つの又は受信したそれよりも多い特性に基づき得る。患者の特徴付けに失敗する理由を下記でさらに詳細に説明する。
【0468】
フィードフォワードステージ214中、コントローラは、FdO2とSpO2との間の関係を分析し得る。コントローラは、指数関数的減衰関数を使用して関係をモデリングするように構成され得、ここで、指数関数的減衰定数は、モデルをデータに最良適合させるように変えられる。指数関数的減衰関数において使用される初期の及び最終的なFdO2値は、初期の及び最終的な目標FdO2値によって設定され得る。モデルをFdO2データに適合することは、SpO2モデルの分析的評価を可能にし、これは、より迅速であり、且つ計算的に負担が少ないことができる。両組の傾向の適合がどのように見えるかの例が
図3に示されている。任意選択的に、コントローラは、目標FdO2の変化からの実測FdO2と時間量との関係を決定し得る。
【0469】
さらに、
図3を参照して説明すると、グラフ301は、SpO2グラフ302及びFdO2グラフ305に関する適合傾向を示す。グラフは、患者モニターの信号品質304の指標も含む。SpO2データに傾向を適合させるために、SpO2データの挙動を表すモデルが生成され、及びモデルの少なくとも1つの定数パラメータが決定され得る。モデルは、FdO2の各変化を時間ベースのSpO2の変化と相関させ得る。
【0470】
FdO2の変化後、SpO2は、ある期間にわたり、前記FdO2の変化に起因するいかなる変化も示さず、これは、遅延時間と呼ばれ得る。遅延時間は、様々な要因の組み合わせに起因する。考えられる1つの要因は、機器がFdO2を変化させ、明らかに整合性があるようになるのにかかる時間である。別の考えられる要因は、ガスが機器からインターフェースに移動するのにかかる時間であり、これは、選択された流量に依存し得る。別の考えられる要因は、ガスがユーザインターフェースから患者の肺に移動するのにかかる時間である。これは、選択された流量に依存し得るだけでなく、患者の気道の制限及びインターフェースから患者の肺への通路の長さにも依存し得る。別の考えられる要因は、酸素化された血液が患者の肺から測定部位(すなわち患者センサーの箇所)に移動するのにかかる時間である。これは、患者の生理機能及び心拍数に基づいて変わる血液の移動速度に依存する。さらに、この時間の長さは、患者の肺と、使用される患者センサーのタイプとの間の距離に依存し得る。距離は、患者センサーの位置によって変更され得る。加えて又は代わりに、距離は、患者の大きさによって変更され得る。
【0471】
遅延時間後、SpO2は、指数関数的減衰曲線を示し得、ここで、SpO2は、新しい値に漸近的に近づき、ここで、全体的な変化は、FdO2の全体的な変化に比例する。いくつかの実施形態では、その形状に影響を及ぼし得るモデルの4つのパラメータがある(FdO2供給の変化の影響に加えて)。第1のパラメータは、FdO2の変化とSpO2の最初の変化との間の遅延時間である。第2のパラメータは、SpO2の初期値である。第3のパラメータは、FdO2の変化の大きさに対するSpO2の総変化の大きさである。第4のパラメータは、遅延時間後、どの程度迅速にSpO2がその最終値に到達するかを規定する指数関数的減衰速度である。
【0472】
単一の変化を示さない代わりに、時間が経つにつれて変化するFdO2に起因して、SpO2モデルは、時間が経つにつれた様々なFdO2の変化の影響の積分として評価され得る。使用され得るモデルは、下記で式(1)に示される。
【数1】
【0473】
式(1)は、モデルを生成するときに評価及び決定され得る、モデルに関する5つのパラメータを含む。初期FdO2であるFdO20、初期SpO2であるSpO20、遅延時間であるDT、指数関数的減衰定数であるτ及びSpO2とFdO2との変化の比であるaである。FdO20は、初期目標FdO2から決定され得る。残りの4つのパラメータは、データに最良適合するモデルを見出すように変えられ得る。
【0474】
適合は、最小二乗法として公知の方法によって定量化され得る。最小二乗法は、各データ点を見て、誤差を計算することを含み、ここで、誤差は、前記データ点とモデル上の関連点との間の差に基づく。各データ点の誤差は、モデルに関する誤差の総合値を与えるように加算され得る。
【0475】
モデルは、取り得る最小の全誤差を有するモデルを生じるパラメータの組を選択することによって決定され得る。パラメータの組に関する値は、定数パラメータの理想的な組に漸進的に一層近くなることを目指す好適な反復法を使用して計算され得る。1つのアルゴリズムは、Levenberg-Marquardtアルゴリズムである。
図4をさらに参照して説明すると、最良適合405に到達する前の傾向線の反復を示すグラフ401及び信号品質のグラフ404が示されている。
【0476】
さらに、誤差を計算するとき、各個のデータの誤差値は、前記各個のデータに関する対応する信号品質によって重み付けされ得る。患者センサーの信号品質がグラフ404に示されている。それぞれのデータ点の重み付けは、定数パラメータを決定し且つ傾向線に適合させるとき、より正確なデータ点に余分な重みを与え得る。重み付けせずに、モデルのデータ点の誤差は、不正確なデータ点による影響を非常に受ける可能性がある。
【0477】
学習フェーズの結果は、個々の患者に最適にするようにコントローラを同調するために使用され得る。個々の患者に特有にモデリングされていない非同調コントローラは、いくつかの欠点を示し得る。概して、遅い/過減衰されたコントローラは、目標SpO2に到達するまでにより時間がかかり、及びいかなる変動に対する反応も遅くなり得る。他方では、速い/減衰不足のコントローラは、目標値に向かって迅速に動こうとしすぎて、それをオーバーシュートするというリスクを冒す。これは、目標の周りでのコントローラの振動につながり、及び不安定になり得る。好ましくは、コントローラは、厳密に減衰され、すなわち、モデルは、目標SpO2値に迅速に到達し得るが、実質的に目標をオーバーシュートして不安定になるほどに速く行われない。患者特徴付けによって生成されるモデルを使用して、制御アルゴリズムを厳密に減衰する解析解が見出され得る。
【0478】
この学習フェーズ中に実施され得る解析のいくつかは、ネーザルハイフローを利用するシステムによって容易にされる。マスク又は気管切開インターフェースを介した換気などの他のシステムでは、FdO2とSpO2との間の関係は、患者の呼吸数によって大きく影響される。これに関する1つの理由は、再呼吸される呼気ガスである各呼吸の部分である。患者が短く速く呼吸するとき、呼吸の大部分は、再呼吸されるガスであるため、患者の肺に入るガスは、より少量の治療用ガスで構成される。同様に、患者がゆっくりと深い呼吸をするとき、呼吸のより少量の部分は、再呼吸されるガスであるため、患者の肺に入るガスは、より大量の治療用ガスで構成される。これは、患者の肺の酸素濃度に影響を及ぼし、これは、次にSpO2に影響を与える。
【0479】
前述したように、ネーザルハイフローは、患者の気道を治療用ガスでフラッシングして、再呼吸をかなり減少させる効果を有する。これは、患者の呼吸数に関わらず、再呼吸が最小限であり、及び患者の肺に入るガスが、組成において、機器によって供給される治療用ガスに遥かに類似していることを意味する。
【0480】
FdO2/SpO2関係に対する呼吸数の影響が減少されるため、機器は、起動時に学習フェーズを利用でき、ここで、計算的に負担のかかる定数学習の必要なく、データ分析により、コントローラの最適な同調及び/又は患者特有の予測制御の実施を可能にする。
【0481】
特徴付け基準が満たされたとき、患者は、十分に特徴付けされている。患者特徴付け216後、学習フェーズ210は、終了して、制御フェーズ220が始まる。特徴付け基準は、患者モデルの計算に使用されるパラメータの少なくともいくつかに関する許容範囲を定義し得る。例えば、特徴付け基準は、FdO2の変化とSpO2の最初の変化との間の決定された遅延時間に関する許容可能な値の範囲、SpO2の初期値に関する許容可能な値の範囲、遅延時間後にどの程度迅速にSpO2がその最終値に到達するかを規定する指数関数的減衰速度に関する許容可能な値の範囲、SpO2とFdO2との間の変化の比に関する許容可能な値の範囲及び/又はモデルの生成に関連付けられる他のパラメータを含み得る。特徴付け基準は、パラメータに関する最小又は最大値のみを定義し得る。
【0482】
場合により、患者特徴付けは、失敗し得る。そのような状況では、コントローラは、デフォルトPIDコントローラによって制御フェーズを開始し得るか、又はFdO2の規定レベルでの自動的な維持に戻るように切り替え得る。デフォルトPIDコントローラは、全てではないにしろほとんどの患者に対して、厳密に減衰されるか又は過減衰されるように設計され得る。一般的に、SpO2目標の方にゆっくりと動く、過減衰されるコントローラは、振動して不安定になる減衰不足のコントローラよりも望ましい。各タイプの患者は、異なるデフォルトPIDコントローラを有し得る。
【0483】
患者特徴付けの失敗の理由は、データセット、例えば低平均信号品質、FdO2増加が少量すぎること、及び/又はSpO2増加が少量すぎることなどの問題を含み得る。加えて又は代わりに、失敗は、いくつかのパラメータが特定の許容範囲外になるなど、データのモデリングに関連付けられる理由で発生し得る。これらのパラメータは、モデルとデータとの間の大量の誤差がモデルの妥当性を低下させるため、モデルの適合/誤差を含み得る。パラメータは、これらのいずれかに関する非現実的な値がモデルに誤差を示すため、前述したモデルの変化したパラメータを含み得る(初期SpO2、遅延時間、指数関数的減衰定数及びFdO2とSpO2との比の増加)。加えて又は代わりに、失敗は、同調されたPID値のいずれかが特定範囲外に入る場合、PIDの同調を行っている期間中に発生し得る。
【0484】
臨床医は、理想的には、これが発生したことをアラームによって警告され、及び別の学習フェーズを試みるためのオプションが利用可能であり得る。加えて又は代わりに、機器は、それ自体、患者を特徴付けようとして、別の学習フェーズを開始し得る。自動的な試みの数は、規定された数に制限され得る。加えて又は代わりに、患者特有モデルは、デフォルトモデルから生成され、その後、任意選択的に治療セッション中に更新され得る。
【0485】
学習フェーズは、治療セッション中に2回以上繰り返され得る。学習フェーズが成功する場合でも、治療セッション中、コントローラを学習フェーズに再度入らせる状況が生じることがある。コントローラは、患者モデルが有効である最大時間を有し得る。例えば、病院の状況では、患者の状態は、FdO2とSpO2との間の関係に影響するように、時間が経つにつれて変化し得る。そのようなものとして、制御フェーズを終了し且つ/又は新しい学習フェーズを自動的に開始して、1日以上などの一定の時間後、患者を再び特徴付けることが有用であり得る。加えて又は代わりに、患者特有モデルは、治療セッション中、更新されて再び特徴付けられ得る。例えば患者特有モデルは、治療セッション中、規定された間隔で、規定された事象で、周期的に、非周期的に且つ/又は連続的に更新され得る。
【0486】
コントローラは、対応する予測SpO2値と実測SpO2値との間の誤差を試験し得る。おそらく複数の誤差値又は規定された期間にわたる十分に大きい誤差は、間違った患者モデルを示し得、及びコントローラは、新しい学習フェーズを開始するように構成され得る。場合により、患者のSpO2が目標範囲外になる場合、コントローラは、制御フェーズを終了し、且つ新しい学習フェーズをトリガできる。
【0487】
制御フェーズ中の予測制御
図5は、予測SpO2値とSpO2データとの間の信号時間差のグラフ500を示す。SpO2信号に基づくFdO2の制御の難しさの1つは、遅延時間及び結果として生じる信号時間差である。FdO2が機器で変更されると、新しい酸素濃度のガスは、導管を通って患者インターフェースに、患者の気道を下方に患者の肺まで移動し、且つ患者の肺においてガス交換を実施する必要がある。その後、酸素化された血液が患者の血管を通ってパルスオキシメータ部位まで移動して、患者センサーによって測定される必要があり、その後、前記測定データがコントローラによって受信される。測定データがコントローラによって受信されるときまでに複数の追加的なサイクルが既に処理されており、目標SpO2のかなりのオーバーシュートを生じる可能性があり、これは、次に、患者のSpO2の大きい振動及び制御の不安定さを引き起こし得る。さらに、ネーザルハイフローの別の態様は、治療セッション中の加湿器の使用である。加湿器がなければ、患者の気道は、急速に乾燥する。加湿構成要素は、機能するために十分な滞留時間を必要とし得、それにより遅延時間を長くする。この追加的な遅延は、遅延時間の把握における予測因子をかなり重要にする。
【0488】
これを取り扱ういくつかの方法は、コントローラを過減衰すること、低感受性を有すること及び/又は制御信号の各反復間に遅延を有することにより、FdO2における以前の変化が十分に効力を生じることができるようにすることを含む。そのような遅延は、少なくとも部分的に、前述の学習フェーズにおいて測定されたデータに基づき得る。そのようなシステムは、信号遅延を適切に取り扱うため、遅すぎて患者の状態に反応しないことに起因する新しい問題を生じ得る。例えば、機器が最初に電源を入れられるとき、目標SpO2に到達するまでにかかる時間がかなり長くなるか、又はコントローラは、患者のSpO2の突然の変化に反応するには遅すぎることがあり得る。
【0489】
コントローラは、制御フェーズ中にPIDコントローラに予測制御を実行するように構成され得る。予測制御は、スミス予測器であり得る。予測制御は、少なくとも一部には、学習フェーズ210中に分析された1つ以上のパラメータに基づいて決定され得る。予測コントローラを設計又は修正するために、学習フェーズ210中に受信したデータを使用することは、遥かに効率的且つ患者特有の制御を可能にする。予測制御の目的は、信号時間差を把握してSpO2値を予測し、且つ実測SpO2の代わりに予測SpO2値に基づいてFdO2を制御することである。これは、かなり感度が高く且つ安定的であり得る制御アルゴリズムを生じる。
【0490】
SpO2の予測値は、遅延時間の経過後のSpO2を表し得る。遅延時間は、FdO2への変化をもたらした時点と、SpO2に反応が見られる、すなわち対応する反応が被測定SpO2中に検出される時点との間の期間である。いかなるFdO2変化も、遅延時間の経過後までSpO2に対して全く影響を有しないため、遅延時間の期間の最後まで、SpO2は、SpO2及びFdO2の現在利用可能なデータを使用してかなり正確に予測され得る。予測器は、
図5に示すように、遅延時間が除去された状態で実測SpO2データと実質的に同じデータを生成し得る。予測は、実データに示される外乱を予測しないが、曲線の全体的な形状が適合される。
【0491】
予測器は、1つ以上の実測FdO2値、1つ以上の目標FdO2値、1つ以上の予測SpO2値、1つ以上の実測SpO2値及び/又は1つ以上の目標SpO2値を含む入力を受信し得る。入力のそれぞれは、最新の値及び/又は少なくとも一時的にプロセッサーによって記憶される以前の値であり得る。入力のそれぞれは、信号品質測定値及び/又は測定が行われる時点に関する値などの入力データ点に関連付けられる任意の関連データと対にされ得る。
【0492】
ここから、PIDコントローラは、前述したように実質的に同じように機能するが、PIDコントローラは、実測SpO2の代わりに推定SpO2を使用し、及びそのようなものとして、この推定値と目標との差が代わりに計算される。この値は、SpO2の変化を表す。予測器を使用することに起因して、SpO2の変化は、依然として効力を生じていないFdO2の以前の変化を考慮する。SpO2の変化は、現在のFdO2と対にされて、新しい目標FdO2を決定する。
【0493】
図6は、PIDコントローラと一緒に利用されているスミス予測器の概略
図600を示す。初めに、PIDコントローラは、予測された患者のSpO2と目標SpO2との間の差の入力を受信し、及び目標FdO2をFdO2コントローラに出力して、患者のSpO2を目標SpO2に近づける。FdO2コントローラは、PIDコントローラによって出力された目標FdO2に基づいてフロー療法装置の弁を制御するために命令を出力する。
【0494】
この新しいFdO2は、患者に供給され、且つ他の外乱と組み合わされ、患者の反応を生じ得る。これらの外乱は、機械(酸素弁など)内の任意のセンサー又は制御機構からの誤差を含み得、変更されたFdO2を生じる。患者の反応の追加的な変化は、患者のSpO2に影響を有する患者の生理学的及び身体的パラメータ(身体運動、呼吸数の変化など)から生じ得る。そのため、SpO2が測定され、及びその値は、患者の現在のSpO2±センサーからのいずれかの誤差となる。信号品質表示もPIDコントローラに出力される。
【0495】
参考のために、スミス予測器のないコントローラでは、実測SpO2値が目標SpO2と比較され、及び2つの間の差がPIDにフィードバックされる。スミス予測器モデルでは、第1に、コントローラは、SpO2の予測を行う。これは、学習フェーズ中に生成される同じモデル又はデフォルトモデル(例えば、患者が特徴付されることができないか又は特徴付されていない)を使用して行われ得、ここで、SpO2は、時間が経つにつれたFdO2の全ての変化の影響を積分し、その後、それらを初期SpO2に加算することによって推定される。
【数2】
【0496】
ここで、DT、SpO20、a、τ、FdO20は、学習フェーズ中に生成され得るか又はデフォルト値として開始し得るモデルの定数パラメータである。パラメータは、治療セッションを通して不変であるか、又は連続的に、周期的に若しくは非周期的に更新され得る。重要なことに、DTは、FdO2の変化とSpO2の反応開始時との間の遅延時間である。第1のステップでは、この計算は、DTが0であると仮定されて実行される。これは、遅延時間の経過後の患者のSpO2の推定値を生じる。この値は、遅延時間のない予測SpO2と呼ばれ得る。
【0497】
これに続いて、学習フェーズからのDTに関する推定値を使用して同じ式が再び処理される。DTを使用するときのモデルの出力は、遅延時間のある予測SpO2と呼ばれ得、これは、パルスオキシメータからの現在の読取値を予測する。遅延時間のある予測SpO2は、遅延時間のない、SpO2の以前の推定値に戻って参照することによっても計算され得る。例えば、遅延時間が90秒であった場合、遅延時間のあるSpO2の推定値は、90秒前に行われた、遅延時間のないSpO2の推定値である。
【0498】
その後、遅延時間値のないSpO2と実測SpO2値との間の差が計算される。モデルが完璧である場合、差は、0になる。一般に、ある程度の差が存在し、及びこれは、モデルの誤差並びに前述のSpO2における外乱の誤差の両方を表す。
【0499】
図7は、遅延時間が含まれる予測値のグラフ700を示す。そのため、この誤差及び外乱の値は、遅延時間のないSpO2の第1の予測値に加算され、及び実際のSpO2と予測SpO2との間の測定誤差を使用して予測SpO2を訂正するために使用され得る。この最終値は、遅延時間プラス外乱のない予測SpO2を表す。
【0500】
その後、遅延時間プラス外乱のない予測SpO2と目標SpO2との差が計算され、及びその結果がPIDコントローラにフィードバックされ、プロセスが再度開始する。
【0501】
SpO2反応をモデリングする計算負荷を減少させるために仮定がなされ得る。第1に、FdO2は、制御サイクルの各反復によってステップ増分で変化されるため、式は、離散する時点を使用することによって評価され得る。このため、モデルは、反復プロセスにさらに再配置され得、ここで、モデルの以前の反復からの結果は、モデルの現在の反復の評価に含まれ得る。
【0502】
場合により、スミス予測器は、PIDコントローラがSpO2読取値に反応するのではなく、その予想に反応できるようにする。例えば、スミス予測器は、目標レベルまで上昇してそこで落ち着くSpO2を予測し得る。しかしながら、実際のSpO2測定値が入るとき、SpO2が予測よりも速く目標に近くなっており、以前起きたFdO2の変化に基づいて今や目標値をオーバーシュート寸前であることを示し得る。そのようなものとして、コントローラは、FdO2を迅速に低下させて、オーバーシュートの発生を最小限にし得るか又はさらに防止し得る。スミス予測器がない場合、制御システムは、オーバーシュートが既に発生するときまでオーバーシュートに応答しない。
【0503】
図8は、PIDコントローラのための異なる計算モデルを示す。スミス予測器が生じる違いを明示するために、計算モデルは、COPD患者を表すように設定された。モデルは、通常発生するSpO2の不規則変動と一緒に、健康なSpO2読取値からの急激な低下を含めていた。目的は、どの程度迅速に制御システムが患者を健康なSpO2読取値に戻し、且つこの点で落ち着かせるか、並びにどの程度良好に不規則変動に対処し得るかを見ることであった。同一の不規則変動のある同じモデルが、3つの異なるPIDコントローラ、1つはスミス予測器802を備え、1つが特定の患者804に同調され、及び1つがデフォルト患者806に同調された通常のPIDを備えるPIDコントローラでテストされた。PIDコントローラは、同調され得るか又は非同調であり得る。非同調PIDコントローラは、デフォルトPID又は非同調PIDと呼ばれる。非同調コントローラは、特定の患者に同調されていないPIDコントローラと呼ばれる。しかしながら、非同調コントローラは、安定性又は一般的な患者のタイプ又は特定の患者のタイプ(例えば、正常、高炭酸ガス血症など)に関して同調され、且つフロー療法装置の動作前にコントローラに搭載され得る。さらに、同調PIDコントローラ及びデフォルトPIDコントローラは、スミス予測器を組み込まないPIDコントローラと呼ばれ得る。スミス予測器は、同調PIDを変えるために使用され得る。
【0504】
上述の通り、スミスPID802は、デフォルトPID806よりも約4倍早く健康なSpO2読取値に戻ることができ、且つ目標SpO2の維持がより正確であった。同調PID804は、デフォルトPID806よりも良好であったが、スミスPID802ほど良好ではなかった。
【0505】
信号の重み付け
図3及び
図4を参照して説明すると、グラフ304及び404が患者センサーの信号品質インジケータを提供している。使用中、患者センサーからのSpO2信号の品質は、変化し得る。パルスオキシメータなどの患者センサーは、パルスオキシメータが動かされているときなど、いくつかの状況において不正確であり、質の悪いデータを生じ得る。パルスオキシメータなどの一部の患者センサーは、各SpO2読取値を備える信号品質インジケータを提供し得る。信号品質インジケータは、患者センサーの測定精度の指標と定義され得る。信号品質インジケータの値は、規定されたスケール、例えば0~1で計算され得、ここで、0は、信号がないことを表し、及び1は、最強の信号を表す。患者センサーからの信号品質を表すデータは、異なるスケール(0~5など)からシステムの規定されたスケール(0~1など)への適合を含む1つ以上の方法で処理され得る。
【0506】
PIDコントローラを同調するとき(デフォルト、患者特有又は予測に関わらず)、予期される周期的摂動が分析され得る。周期的摂動は、制御変量(FdO2)を越える要因によるSpO2の変動であり、且つSpO2測定値に誤差を含む。PIDコントローラを同調するとき、予期される周期的摂動が推定され得、次に信号品質に起因するSpO2読取値の標準偏差も推定され得る。SpO2読取値は、測定される値と真値との間に一定レベルの誤差を有する。この誤差は、標準偏差の指標によって表され得る。標準偏差は、信号品質に反比例する。
【0507】
信号品質の変化は、SpO2測定値の誤差に影響を及ぼし得、これは、システムの周期的摂動に影響を及ぼす。これは、以前に同調されたPIDが厳密な減衰から過減衰(ここで、コントローラは、不必要に低速である)又は減衰不足(ここで、コントローラは、不安定になる)に進むことを意味する。信号品質は、患者センサーからの信号品質読取値に基づいて制御アルゴリズムを重み付けることによって明らかにされ得る。制御出力に信号品質を乗じて、低信号品質のデータ点の影響を低下させ得る。目的は、信号品質が低下するときにPIDコントローラを減衰させ、予期される周期的摂動が変化するとき、PIDコントローラを効果的に再同調することである。
【0508】
重み付けは、PID制御によって出力されるFdO2の変化に適用され得る。FdO2の変化は、最新の信号品質読取値に対して拡大縮小される。例えば、FdO2が30%であり、及びパルスオキシメータからの信号が、患者のSpO2が低下したことを示す場合、PIDは、34%にするようにFdO2の4%の増加を命令し得る。しかしながら、前記測定値の信号品質が0.5にすぎず、及び線形の重み付けが使用されている場合、増加は、2%まで減衰され得るため、新しいFdO2は、32%となるにすぎない。重み付けは、コントローラが患者のSpO2を制御し続けることができるようにするが、質の悪い測定値を過補償しないようにするためにゆっくりとそれを行う。
【0509】
信号品質と制御アルゴリズム重み付けとの間の関係は、信号品質が低下するときのノイズの増加を表すように設計されるいずれかの関数によって定義され得、及び上述のような線形関数に限定されない。信号品質と制御重み付けとの間の関係は、信号品質と誤差の標準偏差との間の相関に基づき得る。
【0510】
信号品質に基づいてSpO2測定値を重み付けることにより、PIDコントローラは、モーションアーチファクト及び不十分な灌流などのSpO2測定値の外乱によって受ける影響が小さくなり得る。信号品質による制御アルゴリズムの重み付けは、信号品質が低下するときにノイズの多いデータを補償し得る、よりロバストで安定的なコントローラを生じ得る一方、信号品質が高く且つデータの信頼性が高いときに迅速且つ正確な制御をもたらす。
【0511】
フロー療法装置の制御プロセス
図9A~9Cは、ハイフロー療法セッション中にフロー療法装置の動作を制御する方法のフローチャートを示す。プロセス900及びサブプロセス910及び930は、フロー療法装置の動作を制御できるいずれかのシステムによって実行され得る。例えば、プロセス900は、全体又は一部においてコントローラ13によって実行され得る。複数の異なるコントローラは、プロセス900を実行するように構成され得る。例えば、プロセスの異なる態様は、コントローラによって実行され得る。遠隔設置されたシステムは、プロセスの一部分を実行するように構成され得る。例えば、遠隔設置されたシステムは、システムの学習フェーズ910を実行するように構成され得、及び制御フェーズ930は、コントローラ13によってローカルで実行され得る。任意の数のシステムが、全体又は一部においてプロセス900を実行できるが、説明を簡潔にするために、プロセス900は、コントローラ13及びフロー療法システム10の特定の構成要素に関して説明される。
【0512】
プロセス900では、ブロック902において、ユーザは、フロー療法装置10でハイフロー療法セッションを開始できる。治療セッションを開始するために、フロー療法装置は、患者に関する明確な情報を必要とし得る。例えば、入力は、1つ以上の患者の特性、例えば患者のタイプ(例えば、正常、高炭酸ガス血症又は他のタイプ)、年齢、体重、身長、性別及び/又は他の患者の特性を含み得る。フロー療法装置10は、ユーザに、患者の目標SpO2値又は値の範囲を設定するようにも要求し得る。フロー療法装置は、少なくとも一部には受信した患者の特性に基づいて目標SpO2値を自動的に決定し得る。情報を受信後、治療セッションは、ユーザによって開始され得、及びプロセスは、ブロック910に進み得る。
【0513】
ブロック910において、コントローラは、学習フェーズサブプロセスを実行できる。学習フェーズは、制御フェーズ中に使用するための患者特有モデルを生成し得る。場合により、学習フェーズは、制御フェーズ930中に使用されるデフォルトの患者モデルを生じさせることができないことがあり得る。本明細書で説明するように、患者特有モデルは、デフォルトモデルから生成され、その後、規定した学習フェーズのない治療セッション中に任意選択的に更新され得る。
【0514】
図9Bをさらに参照して、学習フェーズをさらに詳細に説明する。ブロック912において、コントローラは、患者のSpO2値が安定するまで待機ステージを実行する。待機ステージ202中、酸素流入口弁は、以前のFdO2設定に対するデフォルトであり、及び弁は、必要に応じて開閉し得る。患者のSpO2は、ハイフロー療法に応えて変化し得、及びそのようなものとして、コントローラは、ブロック914に進む前に、SpO2がかなり一定の値に落ち着くまで待機し得る。任意選択的に、待機ステージは、迂回され得、及びプロセスは、ブロック912における待機ステージを実行することなくブロック914に直接進み得る。
【0515】
ブロック914において、コントローラは、ガス流の酸素濃度を、目標SpO2レベルに基づく新しいレベルに上げ得る。新しいFdO2値は、患者の現在のSpO2などの要因に基づいて事前設定又は決定され得る。新しいFdO2は、臨床医によって選択され得、臨床医は、臨床医自身の経験及び知識に基づいてFdO2を選択する。選択されたFdO2は、患者のSpO2を目標SpO2レベルに近づけ得る。FdO2は、コントローラ13によって自動的に決定され得る。
【0516】
ブロック916において、コントローラは、患者パラメータ及び機器パラメータを測定及び記録する。患者パラメータは、SpO2であり得、及び機器パラメータは、FdO2であり得る。コントローラは、FdO2及びSpO2データを測定及び記録できる。実際のFdO2は、規定された期間にわたって目標FdO2まで上昇し得る。患者センサーからの信号品質インジケータも記録され得る。
【0517】
ブロック918において、コントローラは、患者と機器パラメータとの間の関係を分析し、且つ関係をモデリングし得る。例えば、関係は、FdO2とSpO2との間であり得、及びコントローラは、実測FdO2と目標FdO2の変化からの時間との間の関係を決定できる。関係は、指数関数的減衰関数を使用してモデリングされ得、ここで、指数関数的減衰定数は、モデルをデータに最良適合するように変えられる。指数関数的減衰関数において使用される初期の及び最終的なFdO2値は、初期の及び最終的な目標FdO2値によって設定され得る。関係のモデリングは、本明細書でさらに説明するように実施され得る。
【0518】
ブロック920において、コントローラは、患者特徴付け基準が満たされているかどうかを決定できる。特徴付け基準は、患者モデルの計算に使用されるパラメータの少なくともいくつかに関する許容範囲を規定し得る。例えば、特徴付け基準は、FdO2の変化とSpO2の最初の変化との間の決められた遅延時間に関する許容可能な値の範囲、SpO2の初期値に関する許容可能な値の範囲、遅延時間後、どの程度迅速にSpO2がその最終値に到達するかを規定する指数関数的減衰速度に関する許容可能な値の範囲、SpO2とFdO2との間の変化の比率に関する許容可能な値の範囲及び/又はモデルの生成に関連付けられる他のパラメータを含み得る。特徴付け基準は、パラメータに関する最小又は最大値のみを規定し得る。基準が満たされる場合、ブロック922において、コントローラは、制御フェーズ中に使用するための患者特有モデルを出力する。患者特徴付け基準が満たされていない場合、プロセスは、ブロック924に進み、ここで、コントローラは、学習フェーズの最大時間を超過したかどうかを決定する。時間を超過していない場合、コントローラは、モデルで反復し続ける。時間を超過した場合、コントローラは、ブロック926において、患者に対してデフォルトの患者モデルを使用する。コントローラは、患者特徴付け基準が満たされていない場合、学習フェーズサブプロセス910を1回以上再開し得る。
【0519】
学習フェーズの完了後、モデルは、サブプロセス930において、制御フェーズ中に使用するために出力される。制御フェーズサブプロセスは、
図9Cを参照してさらに説明される。
【0520】
ブロック932において、コントローラは、学習フェーズ中に出力された患者モデルに基づいてPIDコントローラを実行する。PIDコントローラは、目標SpO2に基づいてFdO2を制御するように構成され得る。ブロック934において、PIDは、スミス予測器などの予測アルゴリズムを使用してSpO2を予測できる。ブロック936において、PIDは、予測された患者のSpO2値に基づいてFdO2値を決定できる。ブロック938において、PIDコントローラは、患者センサーに関連付けられた信号品質インジケータに基づいてFdO2値の出力を調整できる。ブロック940において、モデルは、患者の反応に基づいて調整される。予測SpO2と目標SpO2との差が計算され、及びその結果がPIDコントローラにフィードバックされる。ブロック942において、コントローラは、治療セッションが完了したかどうかを決定する。治療セッションが完了していない場合、プロセスは、再び始まる。完了している場合、治療セッションは、終了する。
【0521】
酸素効率を使用する閉ループ制御
図10に示すフロー療法装置10のための閉ループ制御システムを実行する別の構成では、フロー療法装置10は、患者に関連付けられた酸素効率を決定する。フロー療法装置10は、治療セッション中に患者の酸素効率を使用する患者モデルを生成し得る。
【0522】
システムは、患者の酸素効率の推定値(ξO2)を他のパラメータと共に計算できる。一般的に、酸素効率は、患者の実測SpO2及び実測FdO2に基づいて計算され得る。1つの構成では、酸素効率は、実測FdO2で割られた患者の実測SpO2に基づいて決定される。1つの構成では、酸素効率は、患者の実測SpO2と実測FdO2との間の非線形関係に基づいて決定される。
【0523】
補足酸素を必要とする患者の酸素効率は、健康な人を下回り得る。例えば、健康な人では、FdO2の変化は、低酸素効率の患者のSpO2のように、SpO2の2倍の変化を引き起こし得る。患者の酸素効率の指標を有することにより、閉ループ酸素制御システムをより効率的に実行できるようにする。
【0524】
図11に示すように、コントローラ13は、患者の酸素効率を計算できる。コントローラは、実測SpO2値及び実測FdO2値を受信し得る。実測FdO2値は、ガス組成センサーから受信され得る。そのため、実測SpO2及び実測FdO2値に基づいて瞬間的な酸素効率が計算され得る。その後、患者の全体酸素効率は、運転中のフィルターを瞬間的な酸素効率データに適用することによって推定され得る。瞬間的な酸素効率データのフィルタリングは、患者の全体酸素効率の推定値の変動を減少させ得る。コントローラは、より最近のデータを優先することもできる。瞬間的な酸素効率データは、パルスオキシメータの信号品質によって重み付けでき、低信号品質のデータから行われた瞬間的な酸素効率の測定が患者の全体酸素効率の推定値への影響を減少させ得るようにする。瞬間的な酸素効率データは、FdO2への最近の変化のサイズに基づいても重み付けされ得、FdO2の大きい変化に続いてデータから行われた瞬間的な酸素効率の測定が患者の全体酸素効率の推定値への影響を減少させ得るようにする。これは、FdO2に変化がもたらされる時点と実測SpO2が変化する時点との間に遅延があるためである。コントローラは、患者の酸素効率を推定するとき、患者がカニューレを装着しているかどうかも考慮し得る。例えば、コントローラは、患者がカニューレを装着していない期間からの効率データを無視し得る。
【0525】
機器は、患者の全体酸素効率の推定値を絶えず監視及び更新し得る。患者の全体酸素効率は、閉ループ制御システムの複数の部分、例えば予測モデル、PID係数の同調及び/又はフィードフォワードステージ前のステップ変化によって使用され得る。患者の全体酸素効率は、患者の瞬間的な酸素効率の推定値が変化するため、絶えず更新され得る。コントローラは、補足酸素を必要とする患者の典型的な酸素効率に基づく患者の酸素効率の初期推定値で開始し得る。その後、全体酸素効率は、データが受信されると更新され得る。酸素効率のより高い推定値は、FdO2の変化を小さくし、これにより、患者が酸素を多く受け取りすぎるリスクを低下させ得る。より低い推定値は、FdO2の変化をより大きくし、これによりコントローラが目標SpO2をより迅速に達成できるようにするが、オーバーシュートを引き起こす可能性がある。
【0526】
いくつかの構成では、フロー療法装置10は、患者の酸素効率を決定するために初期酸素効率計算フェーズを有し得る。いくつかの構成では、酸素効率は、初期酸素効率計算後に更新されない。
【0527】
閉ループ制御治療セッションの開始
閉ループ制御治療セッションは、本明細書で説明するようなフロー療法装置10のグラフィカルユーザインターフェースとの相互作用を用いてユーザによって開始され得る。閉ループ制御は、パルスオキシメータなどの患者センサー26が患者及びフロー療法装置10に接続され、及び患者センサーの信号品質が許容可能なレベルであることを必要とする。閉ループ制御が始まる前、ユーザは、FdO2及びSpO2に対して動作パラメータを設定する必要がある。これらの動作パラメータを選択するための様々な方法を本明細書で説明する。
【0528】
FdO2は、上限及び下限の制御値を有する制御範囲を有し得る。ユーザは、FdO2の制御範囲の上限及び下限を選択できる。上限と下限との差は、固定され得る。制御範囲は、酸素濃度で規定した差、例えば5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%及び50%並びに/又は上述の複数の値間の任意の他の範囲の差に固定され得る。そのため、ユーザは、特定のFdO2範囲、例えば25%~45%、52%~72%、80%~100%又は任意の他の範囲などを選択できる。ユーザは、1%、2%、5%の増分又は他の増分でFdO2制御限界値の値を変更できる。
【0529】
フロー療法装置は、FdO2制御範囲に対して21%の下限及び100%の上限を有し得る。FdO2制御範囲は、機器が都合よく供給できる酸素濃度の限界値(例えば、95%、90%又はそれよりも低い値)によって切り捨てられ得る。例えば、酸素流入口弁に接続されたガス供給源は、酸素富化ガス流であり得、ここで、供給源の酸素含有量は、純酸素(すなわち100%)未満であり得る。
【0530】
フロー療法装置は、FdO2制御範囲の限界値を設定するための様々な構成オプションを含み得る。例えば、ユーザは、酸素源の酸素濃度を入力でき、フロー療法装置は、製造中、上限を事前にプログラムされ得、これは、変えることができず、上限は、技術者によって変えられ得るが、通常のユーザによって変えることができず、ユーザは、酸素源タイプ(例えば、コネクタ、酸素ボトルなど)を入力でき、及びフロー療法装置は適切な限界値を決定でき、及び/又はフロー療法装置は、酸素源から来るガスの酸素濃度を測定できる。
【0531】
さらに、フロー療法装置は、目標酸素濃度を達成できない場合、アラームを発し得る。アラームは、酸素源の濃度を上回る制御範囲が選択される状況でのフェイルセーフの機能を果たし得る。例えば、90%の酸素源に接続されるときに制御範囲が80%~100%である場合、フロー療法装置は、90%超になることができず、アラームをトリガする。
【0532】
ユーザが、それぞれ上限を上回って又は下限を下回ってFdO2の制御範囲を下げようと試みる場合、制御範囲は、切り捨てられ得る。例えば、ユーザが、21%~41%の制御限界値を下げようと試みた場合、上限は、下げられ続け得るが、下限は、21%に留まる。これは、20%よりも狭い制御範囲(例えば、21%~35%)を生じる。制御範囲は、そのサイズに対する下限も有し得る(例えば、5%、10%、15%など)。下限は、制御範囲のサイズに基づき得る。例えば、下限は、制御範囲のサイズの半分であり得る。具体的には、制御範囲の限界値の一方がその物理的限界(すなわち21%又は100%)にあるとき、他方の限界値は、他方の限界値の上又は下の少なくとも10%であり得る。そのような構成では、取り得る最低及び最高制御範囲は、それぞれ21%~31%及び90%~100%である。コントローラは、患者の目標範囲内にSpO2を維持するために、制御範囲の上限と下限との間でFdO2を変更できる。
【0533】
本明細書で説明するように、ユーザは、SpO2の目標範囲を手動で設定できる。いくつかの構成では、SpO2の目標範囲を手動で選択する代わりに、ユーザは、患者のタイプを選択し得、その後、コントローラは、前記患者のタイプに基づいて、予め決められたSpO2制御限界値を選択する。患者のタイプの例は、規定されたSpO2制御範囲が90%~98%、92%~98%、92%~96%若しくは別の定義された範囲内などの「正常」又は規定された制御範囲が88%~92%、86%~90%、88%~90%若しくは別の規定された制御範囲などの「高炭酸ガス血症」を含み得る。
【0534】
患者のSpO2を目標範囲内に維持するために、コントローラは、患者の目標範囲の中心を目標とし得る。目標範囲の限界値は、アラーム限界値としての機能をさらに果たし得る。例えば、SpO2目標範囲が92%~96%の「正常」な患者では、機器は、94%のSpO2値を目標とする。そのため、機器は、患者のSpO2値が92%~96%の範囲外になった場合、アラームを発する。フロー療法装置は、選択されたSpO2制御範囲とは無関係である、規定された限界値に設定された追加的なアラームを有し得る。例えば、フロー療法装置は、50%、60%、70%、75%及び/又は80%でアラームを発して、患者の酸素飽和度低下を示し得る。
【0535】
フロー療法装置10は、これらの値のいくつか又は全てを変えることができ得る構成メニューを含み得る。構成メニューは、PIN又は同様のパスワード機能によって保護され得、一定のユーザは、これらの設定にアクセスできないようにされる。例えば、構成メニューは、一般のユーザ(患者又は看護師など)にはアクセス不能であるように意図されるが、代わりに、機器の構成を設定するいずれの人物でも(技術者又は製造者など)アクセス可能であるように設計され得る。
【0536】
構成メニューでは、FdO2制御範囲に選択され得る限界値が修正され得る。例えば、機器は、FdO2の制御範囲の上限が90%を超えることができないように構成され得る。制御範囲の設定限界値は、機器が過度に高い及び/又は低い酸素濃度を供給することを防止することにより、安全性特徴の機能を果たし得る。さらに、限界値は、機器が供給可能とするものに基づいて設定され得る。例えば、機器が、90%の酸素濃度のガスを含む酸素富化源に接続される場合、機器は、100%FdO2を達成することが不可能である。この状況では、選択可能なFdO2制御範囲の上限は、90%以下に設定される必要がある。
【0537】
FdO2の制御範囲のサイズは、より高いレベルのメニューで変えられる可能性もある。例えば、制御範囲のサイズは、10%、15%、20%、27%、30%、36%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%又は任意の他の制御範囲に設定できる可能性がある。制御範囲は、上述の限界値の1つに到達するとき、例えば半分だけ減少させることができる。例えば、FdO2下限が21%であり、範囲が40%に設定される場合、最も低い選択可能な範囲は、21%~41%となる。
【0538】
SpO2目標範囲は、ユーザによって手動で設定され得る。各患者のタイプのSpO2目標範囲は、構成メニューにおいて変更できる可能性もある。さらに、機器は、構成メニューによって選択可能にできる追加的な患者のタイプを有し得る。例えば、追加的な患者のタイプは、「他」と分類され得、及びカスタマイズ可能なSpO2目標範囲を含み得る。各患者のタイプのSpO2目標範囲の上限及び下限は、1%の増分で80%~100%で変えられ得る。
【0539】
治療セッション中、SpO2コントローラ及びFdO2コントローラは、治療セッションが終了するか又はある事象によって自動モードから手動モードに変わるまで、フロー療法装置の動作を自動的に制御できる。
【0540】
治療セッション中、グラフィカルユーザインターフェースは、酸素効率のグラフィカルインジケータを表示し得る。グラフィカルユーザインターフェースに表示される酸素効率特性は、SpO2及びFdO2に基づく出力値であり得る。別の酸素効率特性は、決定された酸素効率及び患者の呼吸数に応じ得る。酸素効率特性が、決定された酸素効率及び患者の呼吸数に応じる場合、SpO2をFdO2によって割り、その後、この値を呼吸数によって割ることによって計算され得る。酸素効率特性値は、グラフ又は傾向線フォーマットに記録及び表示されて、時間の経過と共にどの程度値が変化するかを示し得る。グラフィカルユーザインターフェースは、酸素効率特性及び呼吸数酸素効率特性のそれぞれを個別に又は一緒に表示するように構成され得る。例えば、各特性と関連付けられた値は、同じスクリーン又は別のスクリーンに一緒に表示され得る(例えば、ユーザは、異なる特性を見るために、インターフェース内の異なるスクリーンに移行し得る)。グラフ又は傾向線は、同じスクリーンに各特性を個別に又は一緒に表示するように構成され得る。
【0541】
図12は、治療セッション中のフロー療法装置の動作の複数のフェーズを示す、SpO2及びFdO2のグラフ1200を示す。FdO2(供給される酸素の割合)をグラフ内で使用したが、前述したように、FdO2は、流量が患者のピーク吸気需要を満たすか又はそれを上回る限り、FiO2と実質的に同じである。
【0542】
動作フェーズは、待機ステージ1212、ステップ変化1214、フィードフォワードステージ1216及び制御フェーズ1220を含む。制御限界値を設定すると、フロー療法装置10は、待機ステージ1212に入り得る。待機ステージ1212は、SpO2センサーが落ち着くことができるようにし、且つSpO2、FdO2、信号品質及び他のパラメータなどのいくつかの初期データの収集を可能にする。特に、患者の酸素効率の初期推定値が決定され得る。患者が、SpO2センサーが取り付けられている状態で、既に手動酸素制御モードで機器を使用している場合、機器は、既に患者の酸素効率の推定値を有し得る。その場合、収集されたデータは、この推定値を更新し続けるために使用され得る。
【0543】
この構成では、待機ステージ1212は、予め決められた一定の時間だけ延ばされ得る。この時間は、1秒~60秒、若しくは2秒~30秒、若しくは3秒~15秒、若しくは4秒~10秒、5秒、又は上述の範囲内の任意の他の期間であり得る。
【0544】
待機ステージ1212中、機器は、データを評価して、後続のフィードフォワードステージ1216中に実行されるアクションが何であるかも決定し得る。フィードフォワードステージ1216前に、コントローラは、FdO2のステップ変化1214を実行し得る。フロー療法装置は、実際のSpO2を目標範囲内にするか又はそれに近づけようとして、FdO2にステップ変化を行い得る。FdO2にステップ変化を行った後、FdO2は、フィードフォワードステージ1216中、患者のSpO2が落ち着くことができるように、規定した持続期間にわたって一定に保たれ得る。
【0545】
待機ステージ1212の最後の近くでは、いくつかのパラメータに関するデータは、ステップ変化1214の大きさ及びフィードフォワードステージ1216が実行されるかどうかを決定するために評価され得る。第1に、患者のSpO2が目標SpO2範囲と比較され得る。患者のSpO2が目標範囲内であるか又はそれを上回るとき、ステップ変化1214及びフィードフォワードステージ1216は、迂回され得、及びコントローラは、待機ステージ1212から制御フェーズ1220に直接移る。患者のSpO2が目標範囲を下回る場合、コントローラは、ステップ変化1214が要求されるかどうかを決定できる。例えば、FdO2の最近の大きい変化は、FdO2のステップ変化1214が要求されていないことを意味し得る。ステップ変化1214が要求される場合、機器は、待機ステージ1212の終了に続いてステップ変化1214に進む。
【0546】
ステップ変化1214では、コントローラは、FdO2の変化を実行することを決定する。ステップ変化の大きさは、少なくとも一部には現在のSpO2、目標SpO2及び酸素効率に基づく。
【0547】
FdO2の変化と、SpO2に変化が現れるときとの遅延に起因して、酸素効率を計算するときに依然として影響を有していないFdO2の変化がある可能性がある。フロー療法装置10は、予測SpO2、酸素効率及びステップ変化の大きさを決定するとき、FdO2の任意の最近の変化を考慮し得る。
【0548】
フィードフォワードステージ1216中、コントローラは、決定されたFdO2にFdO2を維持し得る。ステップ変化1214が発生しない場合、FdO2は、現在のFdO2値に維持され得る。ステップ変化1214がある場合、決定されたFdO2は、以前の実測FdO2とステップ変化の大きさとの和である。フィードフォワードステージ1216は、フィードフォワードステージに規定された最大時間(例えば、60秒、120秒又は別の規定された最大持続時間)に達するまで、又は実測SpO2が目標SpO2値になり且つ/又は目標SpO2範囲内になるまで続き得る。フィードフォワードステージ1216の終了後、制御フェーズ1220が始まる。
【0549】
制御フェーズ中の予測制御
制御フェーズ1220中、コントローラは、FdO2を制御範囲内に変えて目標SpO2を達成する。速度形式では、制御フェーズ中に目標FdO2を決定するための式を以下に示す。
【数3】
【0550】
式中、ESpO2は、誤差関数であり、且つKP、KI及びKDは、PID係数である。誤差関数は、患者のSpO2が目標SpO2からどの程度離れているかを表し、及びスミス予測器が使用されるかどうかに依存して異なって計算される。いくつかの構成では、誤差関数は、一次ローパスButterworthフィルターを用いてフィルタリングされて、ランダム測定誤差を除去することもできる。
【0551】
本明細書で説明するように、PID係数は、患者の目標SpO2をより良好に達成するように同調され得る。さらに、PID係数は、患者の酸素効率の逆数によっても重み付けされ得、コントローラが低酸素効率で患者のFdO2により大きい変化をもたらすようにして、SpO2の一貫した変化を達成する。
【0552】
デフォルトPID又は同調されたPIDが使用される場合、誤差関数は、以下の通りである。
ESpO2(t)=SpO2Measured(t)-SpO2Target
【0553】
本明細書で説明するように、PID係数は、患者の特性に基づいて同調され得る。さらに、スミス予測器は、FdO2に変化がもたらされる時点と、SpO2に対応する変化が検出される時点との間の純粋な時間遅延を除去するために使用され得る。遅延時間は、フロー療法装置10の流量に基づいて推定され得る。
【0554】
スミス予測器は、FdO2の変化に基づいて患者のSpO2反応のモデルを使用できる。モデルを使用して、スミス予測器は、SpO2が遅延時間後にどうなるかの予測を行い得る。
【0555】
予測値は、モデリングされたSpO2と実測SpO2との間の誤差を表す外乱項を使用して絶えず訂正される。初期SpO2の予測が行われると、予測値は、外乱項を組み込むことによって調整される。これらのパラメータを組み合わせることにより、外乱調整された予測SpO2値を与える。その後、この値は、誤差関数の計算に使用される。モデル及び推定遅延時間が十分に正確である場合、スミス予測器PIDは、遅延時間なしで、患者で使用されるデフォルト又は同調PIDと同様に機能する。
【0556】
本明細書で説明するように、いくつかの構成では、スミス予測器モデルは、FdO2の変化とSpO2の変化との関係を表す係数によって乗じられたFdO2の変化の累積を使用して、SpO2に関して評価され得る。係数は、患者に特有であり、且つ初期推定値を使用して生成される。そのため、係数は、患者から受信したライブデータ(例えば、SpO2及びFdO2)に基づいて絶えず更新される。係数は、閉ループ制御モードの全フェーズ中に更新され得、及び特定の学習フェーズに限定されない。
【0557】
スミス予測器モデルにおいて使用される係数は、患者の酸素効率であり得る。患者の酸素効率は、モデルのアルゴリズムにおいて絶えず評価及び更新される。本明細書で説明するように、酸素効率推定値は、待機ステージ、フィードフォワードステージ及び制御フェーズを通して、且つパルスオキシメータが使用されている場合には手動モード中に更新される。
【0558】
PIDコントローラ重み付け
本明細書で説明するように、制御信号は、患者センサー26からの信号品質によって重み付けされ得る。加えて、制御信号は、実測SpO2が目標値を上回るか又は下回るかに依存しても重み付けされ得る。実測SpO2が目標を下回るとき、重み付けは、1以上、1~2、1.1~1.75、1.2~1.5、1.25又は上述の範囲内の任意の値若しくは範囲であり得る。実測SpO2が目標を上回るとき、重み付けは、1以下、0.25及び1、0.5~0.9、0.75~0.85、0.8又は上述の範囲内の任意の値若しくは範囲であり得る。これにより、コントローラは、SpO2が低すぎるとき、酸素濃度をより迅速に上げることができるだけでなく、SpO2が高すぎて酸素濃度が低下しているとき、SpO2目標をオーバーシュートする機会を減少させもする。この重み付けプロセスは、患者がより低い濃度の酸素を受け取る時間を減少させることを支援し得る。
【0559】
フロー療法装置の制御プロセス
図13A~13Cは、ハイフロー療法セッション中のフロー療法装置の動作を制御する方法のフローチャートを示す。プロセス1300及びサブプロセス1310及び1330は、フロー療法装置の動作を制御できるいずれのシステムによっても実行され得る。例えば、プロセス1300は、全体又は一部においてコントローラ13によって実行され得る。複数の異なるコントローラは、プロセス1300を実行するように構成され得る。例えば、プロセスの異なる態様は、コントローラによって実行され得る。遠隔設置されたシステムは、プロセスの一部分を実行するように構成され得る。例えば、遠隔設置されたシステムは、システムの設定フェーズ1310を実行するように構成され得、及び制御フェーズ1330は、コントローラ13によってローカルで実行され得る。任意の数のシステムが全体又は一部においてプロセス1300を実行し得るが、説明を簡潔にするために、プロセス1300は、コントローラ13及びフロー療法システム10の特定の構成要素に関して説明する。
【0560】
プロセス1300では、ブロック1302において、ユーザは、フロー療法装置10でのハイフロー療法セッションを開始できる。治療セッションを開始するために、フロー療法装置は、患者に関する明確な情報を必要とし得る。例えば、入力は、1つ以上の患者の特性、例えば患者のタイプ(例えば、正常、高炭酸ガス血症又は他のタイプ)、年齢、体重、身長、性別及び/又は他の患者の特性を含み得る。フロー療法装置10は、ユーザに患者の目標SpO2値又は値の範囲を設定するようにも求め得る。フロー療法装置は、少なくとも一部には、受信した患者の特性に基づいて患者の目標SpO2値又は値の範囲を自動的に決定し得る。何らかの情報が必要とされる場合、情報を受信した後、治療セッションは、ユーザによって開始され得、及びプロセスは、ブロック1310に進み得る。
【0561】
ブロック1310において、コントローラは、設定フェーズ実行できる。設定フェーズサブプロセス1310は、
図13Bをさらに参照して説明される。ブロック1312において、コントローラは、進む前に、規定された期間にわたって待機する。待機時間は、患者のSpO2値が落ち着くための期間を提供し得る。待機ステージ1212中、酸素流入口弁は、以前のFdO2設定に対するデフォルトであり得、及び弁は、必要に応じて開閉し得る。
【0562】
ブロック1314において、待機ステージ中、コントローラは、患者パラメータ及び機器パラメータを測定及び記録する。患者パラメータは、SpO2であり得、及び機器パラメータは、FdO2であり得る。コントローラは、FdO2及びSpO2データを測定及び記録できる。コントローラは、SpO2及びFdO2に基づいて酸素効率を決定できる。
【0563】
ブロック1316において、コントローラは、患者のSpO2が目標SpO2範囲内にあるか又はそれを上回るかを決定できる。目標が既に目標SpO2範囲にあるか又はそれを上回る場合、プロセスは、ステップ変化及びフィードフォワードステージを迂回して、ブロック1322における制御フェーズに直接進む。患者のSpO2値が目標範囲内にない場合、プロセスは、ブロック1317に進む。
【0564】
ブロック1317において、コントローラは、FdO2が許容可能なレベルであるかを決定できる。FdO2がFdO2の最近の変化に起因して既に許容可能なレベルにある場合、フィードフォワードステージ前にFdO2に対するさらなる調整は必要とされず、及びプロセスは、ステップ変化を迂回し、及びブロック1320に直接進む。FdO2が許容可能なレベルにない場合、プロセスは、ブロック1318に進む。
【0565】
ブロック1318において、コントローラは、酸素濃度のステップ変化を実行できる。コントローラは、目標SpO2レベル、FdO2及び酸素効率に基づいてガス流の酸素濃度を新しいレベルに上げるためにステップ変化を実行できる。新しいFdO2値は、患者の現在のSpO2などの要因に基づいて決定され得る。新しいFdO2は、臨床医によって選択され得、臨床医は、臨床医自身の経験及び知識に基づいてFdO2を選択する。選択されたFdO2は、患者のSpO2を目標SpO2レベルに近づけ得る。FdO2は、コントローラ13によって自動的に決定され得る。
【0566】
ブロック1320において、コントローラは、フィードフォワードステージを実行できる。フィードフォワードステージ1216中、コントローラは、FdO2を、決められた値に、決められた時間にわたって維持する。コントローラがステップ変化を迂回するとき、コントローラは、FdO2を変化させずにフィードフォワードステージを進め得る。フィードフォワードステージ1216は、フィードフォワードステージに対して規定された最大時間に達するまで(例えば、120秒)、又は実測SpO2が目標SpO2値になり且つ/又は目標SpO2範囲内になるまで続き得る。フィードフォワードステージの完了後、プロセスは、ブロック1322に進んで、制御フェーズサブプロセス1330を始める。制御フェーズサブプロセス1330について、
図13Cを参照してさらに説明する。
【0567】
ブロック1332において、コントローラは、フロー療法装置10の実行を制御するためにPIDコントローラを使用する制御フェーズを実行する。PIDコントローラは、目標SpO2及び実測SpO2に基づいてFdO2を制御するように構成され得る。ブロック1334において、コントローラは、スミス予測器などの予測アルゴリズムを使用してSpO2を予測できる。ブロック1336において、コントローラは、予測された患者のSpO2値に基づいて目標FdO2値を決定できる。ブロック1338において、コントローラは、実測SpO2値及び実測FdO2に基づいて酸素効率を決定できる。ブロック1340において、コントローラは、患者センサーに関連付けられた信号品質インジケータに基づいてFdO2値の出力を調整できる。ブロック1342において、酸素弁へのコントローラ制御信号が調整される。予測SpO2と目標SpO2との差が計算され、及びその結果がPIDコントローラにフィードバックされて、酸素弁を制御する。ブロック1344において、コントローラは、治療セッションが完了したかどうかを決定する。治療セッションが完了していない場合、プロセスは、治療セッションが終了するまで続く。
【0568】
モータ及び/又はセンサーモジュール構成
フロー療法装置10の構成が
図14~16に示されている。フロー療法装置は、主ハウジング100を含む。主ハウジング100は、主ハウジング上部外枠102及び主ハウジング下部外枠202を有する。
【0569】
図14及び
図15に示す通り、下部外枠202は、
図13~15に示し且つ下記でさらに詳細に説明する、取り外し可能又は取り外し不能なモータ及び/又はセンサーモジュール400を受け入れるためのモータ用凹部250を有する。
図13及び
図15に示され、且つ下記でさらに詳細に説明する取り外し可能又は取り外し不能なモータ/センサーモジュール400を受け入れるための凹部開口部251が底壁230にその後縁に隣接して設けられる。
【0570】
図16~19は、モータ及び/又はセンサーモジュール又はサブアセンブリ400をさらに詳細に示す。上述の通り、下部外枠202は、モータ及び/又はセンサーモジュール400を受け入れるための凹部250を含む。
【0571】
図16~19に示す形態では、モータ及び/又はセンサーモジュール400は、3つの主構成要素、サブアセンブリ400のベース403(そこにモータ402が位置決めされる)と、ベース403の上方に位置決めされた流出口ガス流路及び感知層420と、カバー層440との積層配置構成を含む。ベース403、感知層420及びカバー層440を組み立てて、凹部250の形状に相補的な形状を有するサブアセンブリハウジングを形成するため、サブアセンブリ400は、凹部250に受け入れられ得る。ベース403は、サブアセンブリ400が凹部250内に位置決めされると凹部開口部251を閉鎖するように構成される。サブアセンブリ400は、凹部内の適所に例えば締結具、クリップ又は簡易脱着配置構成などの任意の好適な方法で維持されるか、又は取り外し不能に固定され得る。
【0572】
感知層は、1つ以上のセンサーを備えるガス流路を含み、ガス流路は、ガスをハウジングの流出口ポートに供給するように配置されている。
【0573】
モータ402は、インペラを入れるインペラ室を画定する本体408を有する。モータ402は、任意の好適なガス送風器モータであり得、及び例えば国際公開第2013/009193号パンフレットで説明されているタイプのモータ及びインペラアセンブリであり得る。その明細書の内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0574】
ガス流出口406は、モータの上部に積み重ねられた流出口ガス流路及び感知層420のガス流入口と流体連通している。この層420は、本体422を含み、本体は、本体422をベース403に固定するために、ベース403の複数の取付けスロット(図示せず)に挿入され得る複数の取付け脚部425を含む。1つの構成では、本体422は、ガス流出口406をガス流路及び感知層420のガス流入口に結合するガス流路を画定する。
【0575】
本体422は、感知及びガス流路の下方部分426を画定する。カバー層440は、感知及びガス流路の上方部分446を画定する本体442を有し、上方及び下方部分426、446の形状は、実質的に互いに対応する。
【0576】
図17及び
図18に示す通り、ガス流路は、線形の長尺状ガス流部分428、448を含む。流入口は、ガス流路の線形の長尺状部分428、448の入口端部に又はそれに隣接して配置されるガス流路の接線入口部分430、450と流体連通している。凹部433、453及び434、454は、ガス流路の線形の長尺状部分の対向する両端部に設けられ得る。
【0577】
ガス流出口ポート452は、カバー層440の本体442を通って垂直に延在し、及びガス流路の線形の長尺状部分428、448の対向する出口端部に又はそれに隣接して配置される。ガス流出口ポート452は、モータ用凹部250の上方部分と流体連通しており、それは、次にガス流路と流体連通している。ここでも、凹部250の壁252及び天井262の構成に起因して、モータ/センサーモジュール400からのガスの漏れがある場合、ガスは、電子機器及び制御装置の大部分を入れている主ハウジング100の部分に入るのではなく、大気に放出される。凹部250は、
図15に示す通り、天井262から下方に突出するラグなどの1つ又は複数のスペーサを含み、ガス流出口ポート452及び凹部の天井262からガス流に好適な間隔を維持し得る。
【0578】
図17から、モータ及び/又は感知モジュール400を通ってそこから出るガス流路の少なくとも一部は、蛇行状又は波状構成を有していることが分かる。例えば、長尺状部分428、448を移動するガス流の方向は、一般的に、ガス流出口ポート452からガス流路の入口にL字継手324を通って移動するガス流の方向とは反対である。
【0579】
図18及び
図19に示す通り、カバー層440は、感知印刷回路基板(PCB)456を含む。カバー層440は、ガス流路の長尺状部分428、448に載置されるサーミスタなどの1つ以上の温度センサーも含み得る。一方のセンサーは、ガスの温度を測定し、及び他方のセンサーは、冗長温度センサーの機能を果たし得る。代わりに、サーミスタの1つは、基準流量センサーとして使用され得(例えば、定温サーミスタとしての使用によって)、及び実測温度は、ガス流路の部分428、448を通るガス流量を決定するために使用され得る。1つ以上の温度センサーは、ガス流に対面する感知PCB456の部分に配置され得る。感知PCB456は、限定するものではないが、圧力センサー、湿度センサー及び露点センサーを含む他のセンサーをさらに含み得る。
【0580】
電子基板272の一方又は両方は、センサーと電気通信しているか又はそれに結合されていて、センサーから受信した情報を処理し、且つセンサーから受信した情報に基づいて装置10を動作させる。
【0581】
代替的な構成では、モータ/インペラユニットは、装置10から離れた箇所に提供され得る。その構成では、凹部250に受け入れられたモジュールは、ガス流路及び様々なセンサーのみを含んで、固定されたL字継手324に、それにより液室300にガスを供給し得る。代替的な構成では、凹部250に受け入れられたモジュールは、モータ及びガス流路のみを含み、センサーを含まなくてもよい。
【0582】
別の代替的な構成では、モータ及び/又はセンサーモジュール400は、凹部250から取り外すことができなくてもよく、むしろそこに永久的に取り付けられ得る。電気/電子部品からガスを絶縁する利点は、依然としてその構成においてもたらされる。
【0583】
流路は、コンパクトであり、且つカーブ/急カーブが少なくされており、それにより流れの分離を減少させ、且つ流れに対する抵抗を低下させる。
【0584】
モータ及び流路の配置構成は、壁配置構成のために別の絶縁層を提供する。
【0585】
モジュール式モータ及び/又はセンサーモジュールを有することにより、洗浄及び/又は修理が必要である場合、モジュールの様々な部品を分解することができる。
【0586】
モータ及び/又はセンサーモジュールに漏れ経路がないことが好都合である。モータ及び/又はセンサーモジュールに潜在的な漏れ点があり得、その領域での漏れにより、酸素が大気又は液室内に放出されることになる。
【0587】
弁モジュール
図20~28は、弁モジュール4001の第1の構成を示す。弁モジュール4001は、装置10のガス流路に入る酸素及び/又は他のガスの流れを制御し、及び装置10が、空気の流れに吸い込まれる酸素の割合を調整できるようにする。弁モジュールは、例えば、不具合、定期保守又は将来のアップグレード/改良の場合、製造、組み立て、修理若しくは交換を簡単にするためにモジュール式ユニットとして形成される。
【0588】
弁モジュール4001は、主ハウジングの下部外枠202に弁モジュール受口306を垂直方向に上向きに挿入する。代替的な構成では、弁モジュールは、ハウジング内に異なる方向において、例えば前向き、下向き、後向き又は横向きで挿入可能であり得る。弁モジュール4001は、装置の主ハウジングと取り外し可能に係合可能であり、弁モジュール4001が実質的にハウジングに受け入れられ、且つハウジングの外部からアクセス可能であるようにする。いくつかの構成では、弁モジュール4001は、主ハウジング内に固定され、取り外し可能でないようにできる。弁モジュールがハウジングに取り外し可能に係合されるとき、弁モジュール4001の一部は、ハウジングの外壁と実質的に同一平面になるように配置される。
【0589】
弁モジュールは、モジュール式であり、且つハウジングの外部からアクセス可能であるため、弁モジュールは、装置10を著しく解体することなく、且つ装置のハウジングのシールを損なうことなく交換できる。弁モジュール4001は、ハウジング内に実質的に受け入れられるため、弁モジュールがハウジングと係合されると、弁モジュールは、ハウジングと一体化するため、ハウジングのサイズ又は嵩を大きくすることはない。さらに、弁モジュールの構成要素、例えば下記で説明する弁4003及び弁マニホールド4011は、使用中、弁支持体4051及び装置の主ハウジング内に位置決めされるため、使用中保護される。この構成は、装置10が不注意に叩かれたり又は落とされたりする場合、弁モジュール及び弁モジュールの構成要素が損傷される可能性を著しく低下させる。
【0590】
弁モジュールは、弁マニホールド4011を通るガスの流れを制御するように配置される流れ制御弁4003を含む。弁は、装置の部分へのガスの流れを制御するように配置される。例えば、弁は、フィルターモジュール1001へのガスの流れを制御するように配置され得る。代わりに、弁4003は、装置の別の部分へのガスの流れを制御するように配置され得る。弁モジュール4001及びフィルターモジュール1001は、送風器402及びモータ及び/又はセンサーモジュール400の上流に位置決めされる。いくつかの実施形態では、弁モジュール4001及びフィルターモジュール1001は、送風器402の下流に位置決めされる。
【0591】
弁4003は、シリンダー状本体4005と、本体内に弁部材とを含む。
【0592】
フロー制御弁は、例えば、ソレノイド弁であり得るか、モータ駆動され得るか、又はピエゾ操作され得る。
【0593】
ソレノイド弁では、弁部材は、開放位置と閉鎖位置との間で作動される。ソレノイド弁は、比例弁であり得る。弁を通るガス流の量(すなわち弁の開放サイズに起因する)は、弁に供給される電流に相関的である。
【0594】
代わりに、ソレノイド弁は、変調入力信号によって制御され得るため、弁は、開放位置と閉鎖位置との間で変調される。
【0595】
弁4003は、ニードル弁、プランジャー弁、ゲート弁、ボール弁、バタフライ弁、グローブ弁などであり得る。弁は、圧力補償タイプであり得る。
【0596】
いくつかの構成では、弁は、ノーマルクローズ弁である。すなわち、弁は、電源が切られているとき、閉鎖されている。それにより、装置の電源が切られているとき、接続されているガス供給ラインが絶えず酸素又は他のガスを放出することを防止する。いくつかの代替的な構成では、弁は、ノーマルオープン弁である。
【0597】
いくつかの構成では、弁4003は、電気的に作動した比例ソレノイド弁である。例えば、弁は、Staiger GmbH&Co.KG(Erligheim、Germany)から入手可能なμProp弁若しくはEmerson/Asco Valves(New Jersey)から入手可能なAsco 202シリーズのPreciflow弁又は任意の他の好適なタイプの弁であり得る。
【0598】
弁は、同軸の流入口-流出口構成を有し得る。
【0599】
弁モジュール4001は、弁マニホールドガス流入口4017と1つ以上の弁マニホールドガス流出口4019との間にガス流路4015を画定する本体4013を有する弁マニホールド4011を含む。弁マニホールドのガス流入口4017は、弁マニホールドの端部に又はその方に向けて軸方向に配置される。いくつかの構成では、弁マニホールド4011は、弁マニホールドに半径方向に配置される単一のガス流出口4019を有する。いくつかの構成では、弁マニホールド4011は、弁マニホールドの周りに半径方向に配置される複数の弁マニホールドガス流出口4019を含む。弁マニホールド流出口4019は、弁マニホールドガス流入口4017からフィルターモジュール1001のガス流入口にガスを供給するように配置される。1つ又は複数の流出口4019の半径方向の配置は、酸素(又は他のガス)をフィルターモジュールの方に向けること、酸素損失を最小限にすること及び吸い込み効率を高めることを支援する。弁4003は、弁マニホールドガス流入口4017から1つ又は複数の弁マニホールドガス流出口4019へのガスの流れを制御するように配置される。弁が「閉鎖されている」とき、ガス流入口4017から1つ又は複数のガス流出口4019へのガス流が防止される。弁が「開放されている」とき、ガス流入口4017から1つ又は複数のガス流出口4019へのガス流が可能にされる。
【0600】
ガス流入口に対向する弁マニホールド4011の端部4018は、弁4003を受け入れて、それと封止式に係合して、弁及び弁マニホールドが流体連通するようにする。端部4018は、弁に取り付けるためのフランジ4023を含む。フランジ4023は、マニホールドを弁4003に締結するための締結具4023Fを受け入れるアパーチャ4023Aを有する。1つ又は複数のOリングが弁4003と弁マニホールド4011との間のインターフェースの周辺に提供されて、弁を弁マニホールドと封止式に係合する。
【0601】
弁マニホールド4011は、酸素を、弁から、半径方向に配置されたガス流出口4019を経由するように方向付ける/分散させる。いくつかの実施形態では、単一のガス流出口4019が弁マニホールドに設けられている。酸素が1つ又は複数の流出口を通過するとき、ノイズが生成される。呼吸器は、医療及び/又は家庭環境において、患者のごく近くで使用され得るため、生成されるノイズを最小限にすることが望ましい。
【0602】
加えて又は代わりに、ノイズを減少させるために、1つ又は複数の弁マニホールド流出口4019の周りに、その近くに又はそれと流体連通して、フード、ダクト又はチャンネルが形成され得る。加えて及び/又は代わりに、ノイズを減少させるために、発泡体などが弁マニホールドの周りに、弁マニホールド流出口の近くに配置され得る。
【0603】
弁マニホールドガス流入口4017の流入口内に小型フィルターが提供されて、塵又は微粒子が弁に導入されることを防止する。
【0604】
ガス流入口4015に対応する弁マニホールドの端部は、コネクタ4031を受け入れてそれに接続されるように配置される。図示の形態では、コネクタ4031はスイベルコネクタである。代わりに、コネクタ4031は、コネクタのガス流入口4033が例えば並進運動又は旋回運動などの異なる方法で動くことができるように配置され得る。
【0605】
弁モジュール4001は、装置の流路の最初に配置される。弁4003が塞がれた場合(すなわち塵、微粒子などによって)、開放した状態に保たれるように、過度の加圧酸素又は他のガスは、弁支持体4051にある1つ又は複数の周囲空気入口開口部から「まとめて吐き出される」(例えば、
図26では、開口部は、スイベルコネクタの真下に示されている)。これにより、いかなる過剰圧力も患者に到達することを防止する。そのようなものとして、システムは、圧力逃し弁を使用することなく、本質的に圧力が制限されているとみなされ得る。
【0606】
1つ又は複数の開口部4051Oが弁支持体4051に設けられて、周囲空気を装置のガス流路に引き入れるようにする。周囲空気流路は、弁の近く又はそれに隣接して通過する。図示の形態では、開口部4051Oは、スイベルコネクタのガス流入口の周囲に配置される。加えて又は代わりに、開口部は、弁支持体のいずれか他の箇所に配置される。装置の送風器モータ402が動作されるとき、フィルターモジュール及び弁モジュールを通る吸引を生じ、装置に周囲空気を吸引する。周囲空気流路は、弁モジュールを通過し、且つ周囲空気がフロー制御弁からのガスの流れと一緒に吸い込まれることができるようにする。周囲空気流路は、周囲空気を供給するように適合されたガス流出口を有して、周囲空気が装置の1つ以上の温度センサーを通り過ぎて流れて、ガスの流れを供給するようにする。
【0607】
装置は、同時に、弁マニホールドのガス流入口からガス及び周囲空気を引き入れ得るか、又はガス流入口からのガスを加圧して、ガスを、強制的にフィルターを通るようにし得る。ガスは、弁モジュールから流出して、フィルター内のガス流入口に流入する。装置は、ガス流入口からのガス及び周囲空気が装置のガス流出口に供給される前に装置内に動的に吸い込まれる/そこで混合されるように構成され得る。
【0608】
弁モジュールは、スイベルコネクタのあたり及び/又はいずれか他の箇所に配置された周囲空気のための大きい開口部4051O、流路内の丸みをつけた/丸い/傾斜のある縁(すなわち例えば弁マニホールド内)の1つ以上を有することにより、弁モジュールの前後の圧力低下を最小限にして、乱流を最小限にし、且つ流れを滑らかにするように構成され得る。
【0609】
本明細書で説明するこの弁モジュール4001は、フィルター1001と直接結合して、弁モジュールからフィルターへのガス流路を提供するように配置される。弁モジュールとフィルターモジュールとの間にホース接続は必要とされない。これにより、構成要素のサイズを最小限にし、且つモジュール式弁モジュールとフィルターモジュールとの接続及び切り離しを簡単にする。
【0610】
本明細書で説明するフィルターモジュール及び弁モジュールは、装置に様々なガス流路を提供し得る。例えば、弁モジュールは、弁モジュール及びフィルターモジュールを経由して装置のガス流路に流入する酸素の流れを制御し得る。代わりに、弁モジュールは、第1のサブコンパートメントガス流入口(例えば、
図24の流入口1011)によるフィルターモジュールへの代替的な酸素源の直接的な接続によって迂回され得る。これは、ユーザが酸素供給源を手動で調整したい状況では現実的であり得る(すなわち壁面供給のロータメータによるなど)。
【0611】
本明細書で説明するフィルターモジュール及び弁モジュールは、ガスの流れを供給する装置内で別々に使用され得ることが理解される。代わりに、フィルター及び弁モジュールは、機能性を向上させるためにフィルター及び弁アセンブリとして一緒に使用され得る。
【0612】
図示の構成では、装置10は、以下の少なくとも1つによって酸素を受け取る:弁モジュールを経由して(装置による自動酸素調整)、又はフィルターの上部に設けられた代替的なガス流入口を経由して(手動で調整可能な酸素供給源の取り付けを可能にする - すなわち壁面供給のロータメータによるなど)。
【0613】
説明した様々な構成は、例示的な構成にすぎない。構成のいずれかからの任意の1つ以上の特徴が他の構成のいずれかからの任意の1つ以上の特徴と組み合わせて使用され得る。
【0614】
例えば、弁モジュールにおいて使用されるスイベルコネクタは、追加的な機能性を有し得る。いくつかの構成では、スイベルコネクタは、2つ以上の軸の周りでスイベル回転するように配置され得、及び例えば互いに直角の回転軸を備える2つの隣接するスイベル接続部分を有し得るため、スイベルコネクタのガス流入口は、2つの軸の周りで回転できる。いくつかの構成では、スイベルコネクタは、球継手配置構成又は同様のものを含み得、スイベルコネクタのガス流入口を実質的にいずれの方向にも回転できるようにする。いくつかの構成では、スイベルコネクタは、スイベル回転運動及び並進運動の両方を提供するように配置され得、スイベルコネクタガス流入口が例えば約1つ以上の軸の周りでスイベル回転し得、及びまた線形に移動し得るようにする。これは、例えば、装置の一方の側面から装置の他方の側面など、装置の1つの部分から別の部分にガス流入口を平行移動させるのに有用であり得る。いくつかの構成では、ガス流入口は、回転する代わりに平行移動するように配置され得る。
【0615】
別の例として、モータ及び/又はセンサーサブアセンブリ凹部は、主ハウジングの下面にあると説明されるが、代わりにハウジングの後部、側面、前面又は上部にあり得る。そのような変形形態では、空気及び/又は酸素流入口も必要に応じて異なって位置決めされ得る。
【0616】
別の例として、液室及び室用空間は、液室がハウジングの前面から室用空間に挿入され且つそこから取り出されるように構成されるのではなく、構成は、液室がハウジングの側面、後部又は上部から室用空間に挿入され且つそこから取り出されるように構成され得る。
【0617】
別の例として、フィルターモジュールは、上からハウジングに挿入され、及び弁モジュールは、下からハウジングに挿入されると説明されるが、それらの構成要素の一方又は両方は、ハウジングの任意の好適な部分、上方部、下方部、側面部、前方部又は後方部に挿入され得る。
【0618】
フィルターモジュール及び弁モジュールは、患者又はユーザに加熱及び加湿ガスを供給できるフロー療法装置を参照して説明される。装置は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療に好適であり得る。装置は、高流量(ハイフロー療法)、特にネーザルハイフロー療法で患者インターフェースにガスを供給ように構成され得る。
【0619】
代わりに、フィルターモジュール及び/又は弁モジュールは、異なる目的で装置において使用され得る。装置は、ハイフロー療法装置又はローフロー療法装置であり得る。特徴は、ガス(加湿又は他のもの)を陽圧で供給し得る持続気道陽圧(CPAP)をもたらすための装置にも提供され得る。
【0620】
代わりに、フィルターモジュール及び/又は弁モジュールは、加湿器を必要としない装置と一緒に使用され得るため、液室300又は室用空間108の特徴を必要としない。例えば、モータ及びガス流路を電気及び電子部品から絶縁する構成は、他のタイプのガス供給装置において広く適用されることが理解される。
【0621】
「フロー療法装置」という言葉は、そのような変形形態を全て網羅するものとする。
【0622】
本明細書におけるいずれの従来技術への言及も、従来技術が世界中のいずれかの国における努力分野における一般的知識の一部を形成することの承認又はいずれの形態の提案でもなく、そのように取られるべきではない。
【0623】
本明細書では、「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「水平」、「垂直」などの方向の用語に言及する場合、それらの用語は、装置が典型的な使用中の位置にあるときを指し、及び相対的な方向又は向きを示し且つ/又は説明するために使用される。
【0624】
文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、説明及び特許請求の範囲を通して、語「含む」、「含んでいる」などは、排他的又は徹底的であるのとは対照的に、包括的に、すなわち「限定するものではないが、~を含む」という意味で解釈される。
【0625】
本明細書では、用語「およそ」、「約」及び「実質的に」は、依然として所望の機能を果たすか又は所望の結果を達成する、述べた量に近い量を表す。例えば、いくつかの実施形態では、文脈が許せば、用語「およそ」、「約」及び「実質的に」は、述べた量の10%以下以内、5%以下以内及び1%以下以内の量を指し得る。
【0626】
本明細書では、いずれの従来技術への言及も、従来技術が世界中のいずれかの国における努力分野における一般的知識の一部を形成することの承認又はいずれの形態の提案でもなく、そのように取られるべきではない。
【0627】
開示の装置及びシステムは、本出願の明細書で言及されるか又は示される部分、要素及び特徴に個別に又はまとめてあり、且つ前記部分、要素及び/又は特徴の2つ以上の組み合わせのいずれか又は全てにあるとも広く言われ得る。
【0628】
上述の説明において、完全体又はその公知の均等物を有する構成要素に言及する場合、それらの完全体は、本明細書では個別に説明されたかのように援用される。
【0629】
実施形態に依存して、本明細書で説明したアルゴリズム、方法又はプロセスのいずれかのいくつかの行為、事象又は機能は、異なるシーケンスで実施され得、追加、併合又は完全に省略され得る(例えば、説明される全ての行為又は事象が必ずしもアルゴリズムの実施に必要なわけではない)。さらに、いくつかの実施形態では、行為又は事象は、逐次的にではなく、例えばマルチスレッド処理、割り込み処理又は複数のプロセッサー若しくはプロセッサーコアによって又は他の並列アーキテクチャ上で同時に実行され得る。
【0630】
本明細書で説明した現在好ましい実施形態に対する様々な変更形態及び修正形態は、当業者に明白であることに留意するべきである。そのような変更形態及び修正形態は、開示の装置及びシステムの趣旨及び範囲から逸脱することなく、且つそれに付随する利点を減少させることなくなされ得る。例えば、様々な構成要素が必要に応じて再配置され得る。従って、そのような変更形態及び修正形態は、開示の装置及びシステムの範囲内に含まれるものとする。さらに、特徴、態様及び利点の全てが、開示の装置及びシステムを実施するために必ずしも必要とされるわけではない。従って、開示の装置及びシステムの範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ定義されるものとする。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者にガスの流れを提供する呼吸器であって、
閉ループ制御を使用して前記患者へのガスの供給を制御するように構成されたコントローラであって、
少なくとも1つのセンサーから、前記患者の酸素飽和度(SpO2)を示す患者パラメータデータを受信すること、および、制御フェーズを実行することであって、治療セッション中の前記呼吸器の動作は、少なくとも一部には前記患者パラメータデータに基づいている、前記制御フェーズを実行することを行うように構成されているコントローラと、
前記呼吸器の動作中、少なくともガス流の酸素含有量(FdO2)を決定するように構成されたガス組成センサーであって、超音波センサーシステムを備えたガス組成センサーと、
を含む呼吸器。
【外国語明細書】