IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ユピテルの特許一覧

<>
  • 特開-システムおよびプログラム等 図1
  • 特開-システムおよびプログラム等 図2
  • 特開-システムおよびプログラム等 図3
  • 特開-システムおよびプログラム等 図4
  • 特開-システムおよびプログラム等 図5
  • 特開-システムおよびプログラム等 図6
  • 特開-システムおよびプログラム等 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182752
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】システムおよびプログラム等
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/02 20060101AFI20231219BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20231219BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20231219BHJP
   B60N 2/26 20060101ALI20231219BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G08B21/02
G08B21/00 U
G08B25/04 K
B60N2/26
A47C7/62 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023174931
(22)【出願日】2023-10-10
(62)【分割の表示】P 2020165163の分割
【原出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(72)【発明者】
【氏名】今重 善宏
(72)【発明者】
【氏名】野口 康一
(72)【発明者】
【氏名】日比野 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】上 三千洋
(57)【要約】
【課題】 車両への子供の置き忘れや、車内の子供等の熱中症等の対策を行うこと
【解決手段】 ドライブレコーダー10は、車両1のフロントガラス2の上方所定位置に取り付けられる。車両の後部座席3にはチャイルドシート4が設置されており、ドライブレコーダーのカメラは、チャイルドシートを含むエリアを撮影する。ドライブレコーダーの制御部は、ACCがOFFで駐車モードになると、カメラで撮影した画像を画像解析し、チャイルドシートに子供が存在するか否かを判断する。子供が存在する場合、ドライブレコーダーから警報を出力したり、その解析結果を外部に通信し、運転者のスマートフォン等に通知する。これにより、運転者は、降車時に子供がいることを確認でき、また、仮に子供を車内に置いた場合も通知を受けるので、子供の置き忘れを抑制し、早期に車両に戻ることで熱中症等の発生を未然に防止できる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車中及びまたは停車中の車両の車室内の状態を検知する検知機能と、
その検知結果に基づき所定の情報を出力する出力機能を備えたシステム。
【請求項2】
前記検知機能が検知する前記車室内の状態は、前記車両の後部座席側に人が存在しているか否かである請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記検知機能が検知する前記車室内の状態は、前記車両に設置されたチャイルドシートに人が存在しているか否かである請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記車両の後部座席側或いは前記チャイルドシートを撮影する手段から取得した画像に対し、画像解析を行い前記画像中に人が存在しているか否か解析する機能を備えた請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記画像解析を行い前記画像中に人の存在を検知した場合、前記出力機能は、前記画像を送ることなく前記検知結果を送る請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記検知機能が検知する前記車室内の状態は、前記車室内で移動する物体の有無である請求項1から5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記検知機能は、前記車室内で聞こえる音を取得し、その取得した音から危険な状態を検知するものとし、
前記出力機能は、前記危険な状態が検知された場合に、外部に通信して知らせるものである請求項1から6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記検知機能は、前記車室内の温度に基づき危険な状態を検知するものとし、
前記出力機能は、前記危険な状態が検知された場合に、外部に通信して知らせるものである請求項1から7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記検知機能は、前記車室内の温度に基づき危険な状態を検知するものとし、
前記出力機能は、前記危険な状態が検知されない場合には、前記所定の情報を外部に通信しない請求項1から8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記所定の情報は、前記検知結果である請求項1から9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記検知機能は、前記車両に設置するチャイルドシートに設けた着座センサの出力に基づき前記車室内の状態を検知するものである請求項1から10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
運転者の動向を検知する手段を備え、前記チャイルドシートに人が存在している状態で前記運転者が降車する場合に、前記出力機能が警報を出力する請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記チャイルドシートに人が存在している状態の場合、前記車両のドアのロックがされないようにする機能を備える請求項11または12に記載のシステム。
【請求項14】
前記チャイルドシートに人が存在している状態の場合、前記車両のドアのロック操作がされた場合に、人が存在していることを通知するとともにロックがされないようにする機能と、
その通知が行われた後で前記ロック操作が行われた場合には、ロックされるようにした請求項11または12に記載のシステム。
【請求項15】
前記検知機能は、前記車室内の温度を検出するものであり、
前記出力機能は、前記車室内の温度が条件を満たした際に、所定の通信先に送信するものであり、
前記所定の通信先の端末から、前記車両に対して遠隔操作により前記車室内の状態を変える機能を備える請求項1から14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記検知機能は、前記車室内を撮影する機能を有し、
前記出力機能は、その撮影した画像を所定の通信先に送信するものである請求項1から15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記各機能はドライブレコーダーにより構成される請求項1から16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
子供の足や腕に装着しその子供の生態情報を検出するスマートバンドを備え、
前記検知機能が検出する車室内の状態は、その車室内にいる子供の前記生態情報であり、
前記出力機能は、前記スマートバンドが備える前記生態情報を送る通信機能により実現する請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
請求項1から18のいずれかに記載のシステムに用いられる機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシステムおよびプログラム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1等に示すように、車載バッテリ上がりを抑制し、駐車中のセキュリティ機能を充実させるドライブレコーダーがある。この特許文献1には、駐車中においても運転中の撮影フレームレートより小さいフレームレートで撮影を継続することで、運転中の事故のみならず、車を離れた場合に発生することが少なくない車上荒らし・車両へのいたずら・車両周辺の事件などへの対策をすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-149433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の車両の監視とは異なる技術を提供することを目的の一つとする。例えば、従来の駐車中の監視は、車両に対するいたずら、盗難等の抑制をはかることを目的の一つとしており、例えば、子供の車両への置き忘れを防止や、車両内に閉じ込められた子供等が熱中症等になる事故の発生の抑制をする等の課題を解決できない。
【0005】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はない。本願の発明の目的はこれに限定されず、本明細書及び図面等に開示される構成の部分から奏する効果を得ることを目的とする構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所を「~が課題である」と読み替えた課題が本明細書には開示されている。課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、この課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。課題が明細書の記載から黙示的に把握されるものであっても、本出願人は本明細書に記載の構成の一部を補正または分割出願にて特許請求の範囲とする意思を有する。またこれら独立の課題を組み合わせた課題も開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下は従来の車両の監視に関する課題を解決するための手段の一例である。
【0007】
(1)駐車中及びまたは停車中の車両の車室内の状態を検知する検知機能と、その検知結果に基づき所定の情報を出力する出力機能を備えたシステムとするとよい。このようにすると、車室内の状態に基づく所定の情報が出力されるので、車室内の状態を知ることができる。出力機能は、例えばシステムが直接報知したり、外部に通信して送ったりするものとするとよい。所定の情報は、例えば検知結果そのもの、検知する際に使用した情報、その他の情報等とするとよい。
【0008】
(2)前記検知機能が検知する前記車室内の状態は、前記車両の後部座席側に人が存在しているか否かとするとよい。このようにすると、例えば後部座席に人が存在している場合には所定の出力がなされるため、運転者は、後部座席に人がいることを知ることができ、例えば子供の置き忘れの発生を防止することができる。また、子供等を車内に残す場合でも、車内にいることが確認できるので、例えば早く車両に戻ってくるなど、事故の発生を未然に防止することができる。
【0009】
(3)前記検知機能が検知する前記車室内の状態は、前記車両に設置されたチャイルドシートに人が存在しているか否かとするとよい。このようにすると、例えばチャイルドシートに子供が存在している場合には所定の出力がなされるため、運転者は、チャイルドシートに子供がいることを知ることができ、例えば子供の置き忘れの発生を防止することができる。また、子供等を車内に残す場合でも、車内にいることが確認できるので、例えば早く車両に戻ってくるなど、事故の発生を未然に防止することができる。
【0010】
(4)前記車両の後部座席側或いは前記チャイルドシートを撮影する手段から取得した画像に対し、画像解析を行い前記画像中に人がいるか否か解析する機能を備えるとよい。このようにすると、画像解析により、人の存在を確実に知ることができるのでよい。画像解析を、車両に設置した画像処理回路(エッジ側)で行うようにすると、解析後に行う通信のデータ量を削減できるのでよい。
【0011】
(5)前記画像解析を行い前記画像中に人の存在を検知した場合、前記出力機能は、前記画像を送ることなく前記検知結果を送るとよい。このようにすると、人を検知した場合にその検知結果を送るが、画像データを送信しないので、迅速に通知でき、通信のデータ量を削減できる。
【0012】
(6)前記検知機能が検知する前記車室内の状態は、前記車室内で移動する物体の有無とするとよい。車室内で移動する物体は、例えば人や動物等のため、運転者等は、係る物体が存在していることを知ることができ、車内に置き忘れたりすることなどを防止することができる。
【0013】
(7)前記検知機能は、前記車室内で聞こえる音を取得し、その取得した音から危険な状態を検知するものとし、前記出力機能は、前記危険な状態が検知された場合に、外部に通信して知らせるものとするとよい。このようにすると、例えば、車両から離れた所にいる運転者等は、車両で危険なに状態になっていることを知ることができる。これにより、運転者等は、迅速に車両に戻ることができる。車室内で聞こえる音は、例えば、車内に残っている人が発する声のように車室内で発生する音、車両から発生する音、車両の周囲で発生する音が車室内で聞こえる音などがある。
【0014】
(8)前記検知機能は、前記車室内の温度に基づき危険な状態を検知するものとし、前記出力機能は、前記危険な状態が検知された場合に、外部に通信して知らせるものとするとよい。このようにすると、例えば、車両から離れた所にいる運転者等は、車両で危険なに状態になっていることを知ることができる。これにより、運転者等は、迅速に車両に戻ることができる。
【0015】
(9)前記検知機能は、前記車室内の温度に基づき危険な状態を検知するものとし、
前記出力機能は、前記危険な状態が検知されない場合には、前記所定の情報を外部に通信しないようにするとよい。このようにすると、例えば、運転者が意図して子供等を車両に置いていった場合に、車室内の温度が危険でない場合には通知がされないので、無用な通知がくる煩わしさを解消し、通知になれることなくなる。よって、例えば、必要な情報を必要なときに通知することができる。
【0016】
(10)前記所定の情報は、前記検知結果とするとよい。このようにすると、運転者等は、検知結果に基づいて車室内の状態を知ることができる。
【0017】
(11)前記検知機能は、前記車両に設置するチャイルドシートに設けた着座センサの出力に基づき前記車室内の状態を検知するものとするとよい。このようにすると、子供の存在の有無を確実に検知でき、それに基づき適正な出力を行うことができる。
【0018】
(12)運転者の動向を検知する手段を備え、前記チャイルドシートに人が存在している状態で前記運転者が降車する場合に、前記出力機能が警報を出力するとよい。このようにすると、運転者は、降車時にチャイルドシートに人(例えば子供等)が存在していることを確認でき、意図しない置き忘れの発生を未然に防ぎ、また、仮に車内に子供等が残っていることを知った状態で降車することで、短時間で戻ってくるなど事故の発生を未然に防止することができる。
【0019】
(13)前記チャイルドシートに人が存在している状態の場合、前記車両のドアのロックがされないようにする機能を備えるとよい。このようにすると、子供等が車内に閉じ込められた状態で残される事態の発生を抑制することができる。
【0020】
(14)前記チャイルドシートに人が存在している状態の場合、前記車両のドアのロック操作がされた場合に、人が存在していることを通知するとともにロックがされないようにする機能と、その通知が行われた後で前記ロック操作が行われた場合には、ロックされるようにするとよい。このようにすると、ロック操作に伴いチャイルドシート上の人の存在が通知されるので、意図しない子供等の車両への置き忘れの発生を未然に防止でき、さらに、意図的に車両内に子供等を残す場合には、車両のドアにロックをかけることができる。
【0021】
(15)前記検知機能は、前記車室内の温度を検出するものであり、前記出力機能は、前記車室内の温度が条件を満たした際に、所定の通信先に送信するものであり、前記所定の通信先の端末から、前記車両に対して遠隔操作により前記車室内の状態を変える機能を備えるとよい。
【0022】
このようにすると、条件を適宜に設定することで、例えば車室内が例えば熱中症等を生じる恐れのある高温になっているか否か、低体温症等を生じる恐れのある低温になっているか否か、それらの危険な状態になる一歩手前の状態などを知ることができる。そして、運転者は、例えば車両に戻り、それらの危険な状態からの回避対策等を迅速に行えるのでよい。さらに、通信先の端末から、車両に対して遠隔操作により車室内の状態を変えることができ、例えば車室内が危険な状態になることの回避を、より迅速に行えるのでよい。
【0023】
(16)前記検知機能は、前記車室内を撮影する機能を有し、前記出力機能は、その撮影した画像を所定の通信先に送信するものとするとよい。このようにすると、車両から離れた箇所にいる運転者等のユーザは、車室内の状態を知ることができ、車両に戻る必要の有無などを適切に判断し、行動することができる
【0024】
(17)前記各機能はドライブレコーダーにより構成されるとよい。
【0025】
(18)子供の足や腕に装着しその子供の生態情報を検出するスマートバンドを備え、前記検知機能が検出する車室内の状態は、その車室内にいる子供の前記生態情報であり、前記出力機能は、前記スマートバンドが備える前記生態情報を送る通信機能により実現するとよい。このようにすると、車両から離れた箇所にいる運転者等のユーザは、車内にいる子供の状態を知ることができ、車両に戻る必要の有無などを適切に判断し、行動することができる。
【0026】
(19)(1)から(18)のいずれか1のシステムの機能をコンピュータに実現させるためのプログラムが提供されるとよい。
【0027】
上述したシステムは、1つの装置から構成してもよいし、複数の装置から構成してもよい。
【0028】
上述した(1)から(18)の発明は、任意に組み合わせることができる。例えば(1)に示した発明の全部または一部の構成に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加える構成としてもよい。特に、(1)に示した発明に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加えた発明とするとよい。本願出願人は、これらの構成を含むものについても、補正・分割出願・意匠登録出願への変更出願等により特許権・意匠権等を取得する意思を有する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、運転者等は、車室内の状態を確認することができる。また、出力のタイミングにより、運転者は、降車時に確認したり、車両から離れた後で確認したりすることができる。そして、運転者は、危険な状態にならないような対策をすることができる。
【0030】
本願の発明の効果はこれに限定されず、本明細書及び図面等に開示される構成の部分から奏する効果についても開示されており、当該効果を奏する構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所などは奏する効果を明示する記載であり、また「~できる」と記載がなくとも効果を示す部分が存在する。またこのような記載がなくとも当該構成よって把握される効果が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明に係るシステムの好適な一実施形態を示す図である。
図2】本発明に係るシステムの好適な一実施形態を示すブロック図である。
図3】別の実施形態を示すブロック図である。
図4】別の実施形態を示すフローチャートである。
図5】別の実施形態を示すフローチャートである。
図6】別の実施形態を示す図である。
図7】別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成や形状等は単なる説明例であり、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。以下の説明における、第1、第2という数値を用いたラベリングは各要素を識別するためのもので、要素の数を定めるものではない。
【0033】
[本願の発明の着想に至った経緯]
6歳未満の幼児を車両に乗せて運転する場合にはチャイルドシートの使用が義務化されている。また、6歳以上の子供であっても、車両のシートベルトが着用できる身長である140cmに達するまでは、成長に応じたチャイルドシートの使用が推奨されている。このチャイルドシートは、車両の後部座席に設置されるタイプがある。例えば、チャイルドシートに座った子供を車内に置き去りにしてしまい、車両内に閉じ込められた子供の熱中症等の事故の発生が社会問題化している。その事故の発生の要因としては、例えば、運転者がチャイルドシートに座っている子供の存在を忘れ、そのまま降車してしまう場合、子供の存在は気がついていても降車時に子供の様子を見た際に寝ていると、起こすのがかわいそうと思い例えば「買い物する時間なら大丈夫だろう」とか「すぐに戻るから大丈夫だろう」との考えからそのまま降車してしまう場合等の他、各種のものが考えられる。また、車両内に残る子供のことを考え、エンジンをかけたままエアコンを作動させて降車した場合、例えば何らかの原因によりエンジンが切れるなどしてエアコンが停止することがあり、係る場合には車室内の温度が上昇し、車両内にいる子供が熱中症等の危険にさらされる恐れがある。チャイルドシートの有無にかかわらず、例えば、運転者はすぐに戻ってくる予定で、子供等を車内においたまま降車し、車両に戻ってくるまでに予定以上に時間がかかると同様の事態を生じることがある。また、駐車中の車内に子供を放置した際に発生する事故としては、上記の車室内の温度の上昇に伴う熱中症に限ることはなく、例えば、冬期等における車室内の温度の低下に伴う低体温症等もある。以下の実施の形態は、このような課題を解決するための実施の形態の一例である。
【0034】
[システムの一実施形態の基本構成]
図1,図2は、システムの好適な一実施形態を示している。本実施形態のシステムは、電子機器、車載機器の一態様であるドライブレコーダー10と、そのドライブレコーダー10に対して電源供給をする電源装置30等を備える。ドライブレコーダー10は、電源装置30からの電力供給を受けることで、例えばエンジン等がOFFの駐車中等であっても、所定の間、動作することができる。また、ドライブレコーダー10は、単体で本願のシステムの一実施形態を構成する。
【0035】
ドライブレコーダー10は、本実施形態では、車両1に対して後から設置される機器である。このドライブレコーダー10は、例えば車両1のフロントガラス2の上方所定位置や、ダッシュボード上などの適宜の位置に取り付けられる。図示の例では、車両1は、その後部座席3にチャイルドシート4が設置されている。チャイルドシート4は、例えば、幼児用補助装置であり、例えば、乳児用チャイルドシート(ベビーシートとも称される)、幼児用のチャイルドシート、学童用チャイルドシート(ジュニアシートとも称される)などがある。
【0036】
電源装置30は、車両とドライブレコーダー10との間に介在し、ドライブレコーダー10への給電を行う装置である。電源装置30は、ドライブレコーダー10とは別の筐体から構成される。電源装置30は、充電/放電制御部30a、DC-DCコンバータ30b、CPU30c、及び内部バッテリ30d等を備える。充電/放電制御部30aは、内部バッテリ30dへの充電及びドライブレコーダー10への給電を制御する。内部バッテリ30dは二次電池であり、例えばニッケル水素充電池で実現される。DC-DCコンバータ30bは、充電/放電制御部30aを介して、車両のバッテリから給電される12Vもしくは24Vの電圧を5Vの電圧に変換して出力する。CPU30cは、図示せぬメモリ(例えばRAM)をワークエリアとして使用し、充電/放電制御部30aなどの電源装置30の各部を制御する。また、CPU30cは、ケーブル5を介して接続されるドライブレコーダー10と通信を行う。ケーブル5は、電源ラインと通信ラインを備える。
【0037】
充電/放電制御部30aは内部バッテリ30dから給電を受ける。充電/放電制御部30aは車両のバッテリから給電されている間、車両のバッテリから内部バッテリ30d及びDC-DCコンバータ30bへ給電するように給電経路を制御する。これにより、内部バッテリ30dは充電され、DC-DCコンバータ30bは電圧変換した電力をドライブレコーダー10へ供給する。充電/放電制御部30aは、車両のACCのON/OFFを判定して内部バッテリ30dに充電するか放電するかを切り替える。充電/放電制御部30aは、ACCがONであると判定すると車両のバッテリから内部バッテリ30d及びDC-DCコンバータ30bへ給電するように制御する。充電/放電制御部30aは、ACCがOFFであると判定すると、内部バッテリ30dを放電させ、内部バッテリ30dからDC-DCコンバータ30bへ給電するように制御する。
【0038】
上述したように、電源装置30はACCがONの期間、車両のバッテリからの給電を受けて電力をドライブレコーダー10へ出力する。車両のバッテリからの給電が遮断されると、遮断されてからの規定時間、内部バッテリ30dを利用して電力をドライブレコーダー10へ出力する。規定時間が経過すると、電力の出力をOFFする。車両のバッテリからの電力の供給が再開されると、再び、車両のバッテリを使用して電力をドライブレコーダー10へ出力する。
【0039】
これにより、ドライブレコーダー10はACCがOFFして車両のバッテリからの電力供給が遮断された後の規定時間、動作を継続することができる。規定時間は、例えばドライブレコーダー10からのシリアル通信により設定されるとよい。ドライブレコーダー10は電源装置30からバッテリ切替信号を受信すると、規定時間を命令する信号を送信する。CPU30cは受信する規定時間を命令する信号に含まれる規定時間の設定値を規定時間とするとよい。
【0040】
また、電源装置30にディップスイッチその他の操作部を設け、規定時間を設定する機能を備えるとよい。このようにすると、例えば、通信機能を備えないドライブレコーダーに対しても車両のバッテリによる供給が遮断されてから、規定時間が経過するまで電源供給をすることができる。
【0041】
電源装置30は、車両のバッテリからの給電が遮断されると、給電元を内部バッテリ30dに切替えて、ドライブレコーダー10へ給電を行う。切替えの前後において、ドライブレコーダー10は給電され続けるため、給電元が車両のバッテリであるのか、内部バッテリ30dであるのかを、ドライブレコーダー10は判断することができない。このため、CPU30cは、給電元を内部バッテリ30dに切替えると、バッテリ切替信号をドライブレコーダー10へ送信する。規定時間が経過して電源装置30が出力をOFFした後、ACCがONされた場合には、ドライブレコーダー10は停止されていた給電が再開されるため、ACCがONしたと判断することができる。一方、規定時間内にACCがONされた場合には、ドライブレコーダー10は給電され続けるため、給電元が車両のバッテリであるのか、内部バッテリ30dであるのかを判断することができない。このため、規定時間内において、ACCがONされた場合には、CPU30cは給電元が車両のバッテリに切替わったことを報知する車両切替信号を送信する。これにより、ドライブレコーダー10は、ACCがONされて、給電元が車両のバッテリに切替わったことを認識することができる。ドライブレコーダー10は、バッテリ切替信号及び車両切替信号の入力に応じて、動作モードを切り替えるとよい。
【0042】
ドライブレコーダー10は、撮影機器であるカメラにより所定エリアを撮像する機能と、その撮影した画像その他のデータを生成する機能と、生成したデータを出力する機能等を備える。データの出力は、記憶領域に当該データを記録するための出力、通信による当該データの出力(つまり送信)、データ出力端子を介した外部の機器への出力等がある。さらに本形態のドライブレコーダー10が撮影する所定エリアは、例えば車両の前方領域と車室内のチャイルドシート4を含む室内領域とするとよい。このように前方領域と、室内領域を撮影するためのカメラは、例えば複数のカメラを備え、各カメラの視野をそれぞれの領域の方向を向くようにしたり、例えば360°カメラやそれ以上の画角を有するカメラを用いて、1つのカメラで前方と車室内を撮影したりするとよく、特に、複数のカメラを用いると、チャイルドシートを含むエリアを精度良く撮影できるのでよい。
【0043】
ドライブレコーダー10は、カメラ11、マイク12、異常検知センサ13、GPSモジュール14、操作部15、制御部16、一時記憶メモリ17、モニタ18、スピーカ19、メモリカードスロット20、マイクロ波センサ22、温湿度センサ23、通信部24等を備える。カメラ11は、1個或いは複数個備え、例えば車両の前方等の所定の領域と、車室内の所定領域を撮影する。マイク12は、例えば周囲の音を集音する。マイク12は、例えば車内に乗車している人の音声その他の車室内で発生している音等や、車両に物体が衝突した際の衝撃音などを集音する。異常検知センサ13は、例えば加速度センサ又は6軸センサ(3軸加速度、3軸角速度一体型)であり、車両に加わる衝撃、車両の加速度、傾きなどの車両の状態を検知する。
【0044】
制御部16は、異常検知センサ13の検出値が閾値を超えたり、例えば衝撃が生じたことを示す所定の時間的変化を示したりした場合に、事故(衝突)発生と推定する。また、制御部16は、事故発生以外にも、急ブレーキ・急ハンドル、急発進、急ブレーキなどの運転状況を検出し、その履歴を記録するのに利用するとよい。
【0045】
GPSモジュール14は、測位に基づきGPS信号を受信する。GPSは、衛星測位システムである全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation
Satellite System)の一例である。GNSSによる測位は、一般にはGPS測位として慣用されている。GPS信号は、GPS衛星から受信可能な信号である。GPSモジュール14は、その受信したGPS信号から独自のアルゴリズムにより現在位置の位置情報(経度,緯度)を求める。制御部16は、例えば、定期的(例えば1秒ごと)に、GPSモジュール14から出力される位置情報を取得するとよい。
【0046】
操作部15は、制御部16に対して各種の指示を与えるボタンであり、例えば録画開始指示を与える機能を備える。この操作部15が押下されたことを契機に、制御部16は、カメラ11で撮影した映像並びにマイク12で集音した音等を録画開始するイベント録画を行うとよい。また操作部15は、録画停止指示を与える機能を備えるとよい。録画開始指示と、録画停止指示は、例えばそれぞれの指示を与えるための異なるボタンとしてもよいが、同一のボタンに対する異なる操作により行うようにするとよい。このようにすると、ボタンの設置数を少なくし、ドライブレコーダー10の小型化が図れるのでよい。
【0047】
一時記憶メモリ17は、例えばカメラ11で撮像した映像データ等を一時的に記憶する、例えばRAMである。制御部16は、少なくとも現在から一定時間以上過去までに撮像した映像データ等を常時記憶する。記憶容量は有限であるため、制御部16は、一定の基準で古い映像データ等は削除する。一定の基準は、例えば、一定時間以上前に記憶した映像データ等や、記憶するメモリ容量が一定以上となった場合などとするとよい。本実施形態では、一時記憶メモリ17は、例えばリングバッファにより構成するとよい。
【0048】
モニタ18は、画像を表示する表示部である。制御部16は、例えば、カメラ11で撮像した映像データ等をリアルタイムでモニタ18に表示する。スピーカ19は音を出力する。制御部16は、所定の記録時、警報時及び操作時等に所定の音をスピーカ19から出力する。制御部16は、例えば、操作部15における操作音や、各種のメッセージ(ガイド・警報等)を、スピーカ19を用いて報知する。
【0049】
メモリカードスロット20は、例えばマイクロSDカード21を着脱可能である。制御部16は、マイクロSDカード21を装着した状態では、そのマイクロSDカード21に対してデータの読み書きを行う。マイクロSDカード21は、ドライブレコーダー10により映像や位置情報等のデータが記録される記憶媒体である。マイクロSDカード21は、メモリカードスロット20に着脱可能な外部記憶手段であるが、これに代えてまたは組み合わせて、ドライブレコーダー10の内部記憶手段(例えば、ハードディスクやEEPROM)やその他の記憶手段が用いられてもよい。ただし、ドライブレコーダー10が不特定多数の者がアクセス可能な環境(例えば、クラウドコンピューティングの環境)を利用しないで、データを記録可能なシステムにアクセスできるようにすると、記憶手段に記憶されたデータの保護を図る上で望ましい。
【0050】
マイクロ波センサ22は、例えば車内の物体の移動を検知するものであり、例えば、後部座席3やチャイルドシート4上の物体(例えば人)の移動を検知するようにするとよい。温湿度センサ23は、車室内の温度並びに湿度を検出する。通信部24は、例えばLTE(Long Term Evolution)通信可能なLTE-Mモジュール等を用いるとよい。
【0051】
制御部16は、CPU,ROM,RAM,不揮発性メモリ、I/O等を備えるマイコンであり、上記の各種の入力機器(カメラ11、マイク12、異常検知センサ13、GPSモジュール14、操作部15、一時記憶メモリ17、メモリカードスロット20、マイクロ波センサ22、温湿度センサ23等)から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器(一時記憶メモリ17、モニタ18、スピーカ19、メモリカードスロット20、通信部24等)を利用して所定の情報を出力する。ドライブレコーダー10の機能は、制御部16に有するコンピュータが実行するプログラムとして制御部16のEEPROM上に格納され、これを制御部16に有するコンピュータが実行することで実現される。制御部16の有するプログラムによってコンピュータが実現する機能としては、ドライブレコーダー10における各種制御を行う機能を有する。制御部16は、例えば映像や位置に関する情報等のデータを記録する機能、データを出力する機能、画像(映像)を表示する機能などがある。
【0052】
制御部16は、ドライブレコーダー10の基本機能を実現するための回路であり、カメラ11で撮影された映像データを映像ファイルとして一時記憶メモリ17に記憶したり、異常検知センサ13からの検出信号や操作部15の押下に基づき、上記の撮像した映像ファイルを不揮発性メモリに格納したりする。本実施形態では、不揮発性メモリとして、メモリカードスロット20に装着したマイクロSDカード21を用いる。このマイクロSDカード21を取り外し、パソコンに接続したメモリカードリーダ等に装着することで、当該パソコンにデータを取り込み、パソコンにインストールしたビューアを用いて当該映像ファイルの再生可能とする。また、記録した映像等は、上記のようにマイクロSDカード21を着脱して外部に取り出すことに限らず、有線通信或いは無線通信によるデータ伝送等により行うようにするとよい。また、有線通信を行うためには、ドライブレコーダー10の本体に、通信ケーブルを接続するためのコネクタやUSB等を備えるとよい。
【0053】
この映像データを記録する機能(録画機能)をさらに詳しく説明する。例えば、エンジン始動したACCがONの状態では、カメラ11は、例えば常時自車の周辺状況等を撮像する。そして、制御部16は、例えばカメラ11が撮影した映像データをリングバッファ等の一時記憶メモリ17に記憶する。この一時記憶メモリ17に記憶する映像は、逐次最新のものに更新され、設定された時間分だけ過去の映像データが保持される。
【0054】
そして、例えば事故や急ブレーキ・急ハンドル時に発生する衝撃を異常検知センサ13の出力値が閾値を超えた場合または所定の時間的変化を示した場合、制御部16は、その衝撃検出時点より前の一定期間の映像データを一時記憶メモリ17から読み出して不揮発性メモリ、例えば、マイクロSDカード21に格納するとともに、閾値を超えた時点以降はその後に撮像したカメラ11の映像をマイクロSDカード21に直接或いは一時記憶メモリ17を経由して記録する。これにより、衝撃前及び衝撃後の所定時間にわたる映像が、不揮発性メモリたるマイクロSDカード21に保存される。また、このとき、制御部16は、マイク12で集音した周囲の音も、映像データに関連付けて録音する。制御部16は、この録音も、一時記憶メモリ17に一時的に記憶し、映像データをマイクロSDカード21に格納する際に、その録音した音声データもマイクロSDカード21に格納する。
【0055】
ドライブレコーダー10におけるマイクロSDカード21へのデータの格納は、上記のように異常検知センサ13の検出信号を契機として行うものに限らない。制御部16は例えば、操作部15の押下を契機として行う機能を備えるとよい。このようにすると、ユーザが録画したい状況が発生した場合に、映像録画をすることができる。
【0056】
さらに、マイクロSDカード21への録画は、例えば異常検知センサ13の出力に基づく事故等の発生時や、操作部15の押下のように記録開始条件を満たした場合に行うイベント録画モードに限らず、例えば、ドライブレコーダー10が電源ONしてからOFFするまでマイクロSDカード21へ録画する常時録画モードを備えるとよい。常時録画モードは、イベント録画以外の録画の一例である常時録画を行うモードである。常時録画モードを備える場合、制御部16は、カメラ11から出力される映像データや、マイク12から出力される音データの記録先を、一時記憶メモリ17では無く直接マイクロSDカード21に記録するようにするとよい。そのようにマイクロSDカード21へ直接記録することで、一時記憶メモリ17に一度書き込む処理が不要となるのでよい。
【0057】
また、マイクロSDカード21へ直接映像データ等を書き込む場合であって、常時録画モードとイベント録画モードを備える場合には、制御部16はイベントの記録開始条件を満たした場合には、その満たしたときから過去の区間のデータは、常時録画として記録しているデータを用いるとよい。そして制御部16はイベント録画では、例えば、常時録画のファイルと別のファイルとして記録するとよい。イベント録画モードは、イベント録画を行うモードである。イベント録画は、所定のイベント(事象の一例)の発生を契機に行われる録画のことである。イベント録画は、ユーザにより明示的に録画開始の指示がなされない場合でも、所定のイベントの発生を契機に行われる。
【0058】
車両がエンジン停止(ACCをOFF)した駐車中は、駐車監視モードで動作し、設定された動作条件に従ってカメラ11で撮影した映像データ等をマイクロSDカード21に記録するとよい。駐車監視モードでの記録は、ACCがONの時と同様に、例えば、所定記録時間(例えば30分)に撮影した画像を常に記録する常時記録や、異常検知センサ13で異常を検知した際に、所定時間連続して映像データを記録するイベント録画等を備えるとよい。イベント録画は、例えば、「人や車両が近づいたことを検知」、「一定以上の衝撃を検知」、「一定以上の車両の傾斜(例えば、ジャッキアップ)を検知」、「車両のドア開を検知」等のイベント条件を満たしたときに行う。異常検知センサ13は、それらの検知を行うためのセンサを一又は複数備える。
【0059】
[車室内の危険状態の報知・回避機能]
ドライブレコーダー10は、車両が停車したり、駐車したりしている際に、車室内で危険な状態が生じた場合に、運転者等に報知したり、所定の危険回避処理を行う機能を備える。危険な状態は、例えば、子供等の車内への置き忘れや、車内に残った子供達が熱中症等の生命の危険を生じるおそれのある状態などがある。そしてドライブレコーダー10は、電源装置30からバッテリ切替信号を受信(ACCがOFF)すると、車室内の危険状態の有無を監視する監視モードに切り替わり、制御部16は、以下に示す処理を行う。
【0060】
*画像に基づく検知
制御部16は、処理対象の画像中に、人が写っているか否かを解析する画像解析機能を備える。監視モードに切り替わると、チャイルドシート4を含む領域を撮影するカメラ11が撮影した画像を取得し、画像解析を行い、人の有無を判断する。画像中に人を検知した場合、制御部16は、登録した送信先に通信部24を用いて所定の情報を送信する。所定の情報は、子供が存在していることの存在通知、取得した画像、温湿度センサ23から取得した車室内の温度情報や湿度情報、GPSモジュール14から取得した位置情報などとするとよいが、画像を送らずに認識結果のみとすると、通信量が削減でき、迅速に通知できるのでよい。また、画像解析は、ソフトウエアによる処理でもよいが、例えば、画像認識機能を持たせ、画像は送らずに認識結果のみサーバに送る機能を備えたチップとするとよい。
【0061】
登録した送信先は、例えばクラウドサーバ等のサーバ32としたり、運転者のスマートフォン33としたりするとよい。サーバ32は、ドライブレコーダー10とユーザの送信先の情報を関連付けて記憶し、ドライブレコーダー10から所定の情報が送られてくると、その受信した情報を記憶するとともに、その取得した情報の全部または一部を関連付けたユーザの送信先に送信する。これにより、例えば、駐停車を行うためにACCをOFFにした際に、チャイルドシート4に子供が座っている場合、運転者のスマートフォン33等に直接或いはサーバ32を介して通知される。これにより、運転者は、改めて子供の存在に気がつかされ、運転者がチャイルドシート4に座っている子供の存在を忘れ、そのまま降車してしまうおそれを可及的に抑制できる。また、何かしらの事情等により子供をそのまま車内に残す場合でも、子供の存在に気がつかされることで、例えば、エンジンを再始動してエアコンをかけたり、できるだけ早く車両に戻ってきたりするなどの対処ができ、車両に残った子供が熱中症等になることを可及的に回避できる。
【0062】
ドライブレコーダー10の送信先をサーバ32にする場合、例えばドライブレコーダー10の出荷時等に予めサーバ32へのアクセス情報を登録しておくことができ、ドライブレコーダー10を購入したユーザは、ドライブレコーダー10に対してユーザの電話番号やアドレスなどの送信先を登録する必要が無いのでよい。ドライブレコーダー10は、例えば小型であり、設置した状態では例えばフロントガラスの上方所定位置等でルームミラーの裏に隠れている場合があり、モード設定等の操作が行いにくいが、送信先の登録のためのドライブレコーダー10に対する処理が不要となるのでよい。そして、ユーザは、例えばサーバ32にアクセスし、通知を受けたいスマートフォン等の情報をサーバ32に登録することで、サーバ経由で通知を受けることができる。サーバ32に対するアクセス並びに登録処理は、比較的簡単に行えるのでよい。
【0063】
また制御部16は、上記の送信を行った後も、適宜のタイミングでカメラ11が撮影した画像を取得し、画像解析を行い、人の有無を判断する。そして、画像中に人を検知した場合、制御部16は、登録した送信先に通信部24を用いて所定の情報を送信する。所定のタイミングは、数分から十数分のように「分」のオーダーとするとよい。定期的に車両内に子供がいることの通知を受けることで、子供の存在を思い出し、車両に早く戻ることの契機づけになるのでよい。
【0064】
また、所定の情報として認識結果のみではなく、カメラが撮影した画像や、温湿度センサ23が検出した温度情報や湿度情報などとするとよい。このようにすると、車両に子供を残して降車した場合、定期的に車室内の状態が運転者のスマートフォン33等の携帯端末等に送られてくるため、何かあった際に車両に戻ることができ、事故発生を未然に防止できるのでよい。例えば、所定の情報として、カメラ11が撮影した画像を送ると、例えば、降車時には寝ていたために車両においていった場合に、子供が目を覚ましたことを知ることができ、すぐに車両に戻るための契機となるのでよい。また、所定の情報として、温度情報・湿度情報などとすると、車両から離れた位置にいる運転者等が、例えば温度上昇や温度低下といった温度変化や湿度変化を早期に知ることができ、熱中症や低体温症等を発生する危険な環境になる前に車両に戻り、対応することができる。
【0065】
一方、制御部16は、画像解析した結果、人が存在しない場合には、サーバ32やスマートフォン33等には送信しない。このように異常等があった場合に通信することで、通信回数を減らし、通信のデータ量が削減できる。すなわち、撮影した画像をサーバに送り、画像解析をサーバ側で行うようにしてもよいが、本実施形態のようにドライブレコーダー10といったエッジ側で判断し、異常があったときのみ通信するとよい。異常が無い場合には画像を送信しないので、通信のデータ量を削減できるのでよい。更にエッジ側で処理することで、異常時に送信する所定の情報として画像を含まないようにすれば、さらになるデータ量の削減が図れるのでよい。
【0066】
また、送信する所定の情報は、毎回同じでもよいし、異ならせてもよい。例えば、監視モードに切り替わり最初の通知の際には、人が存在することを通知し、画像等のその他の情報を送らず、所定回数或いは所定時間経過後は、画像等を送るようにするとよい。最初の通知は、運転者が車両内或いはその付近に存在している場合が多いため、通知することで運転者の目視により子供の存在を直接確認できる。また、所定回数或いは所定時間経過後であっても、画像のようにデータ量が大きい情報は、例えば何回かに1回送るようにするとよい。このようにすることで、通信負荷を抑えることができ、子供の存在を効率よく迅速に通知でき、時々実際の状況を画像で通知することでより現実感を発揮させ、早期に車両に戻ることを促すことができるのでよい。
【0067】
画像解析した結果、人が存在しない場合、以後の解析を行わないようにするとよい。人が存在しない場合には、子供の置き忘れがないか、子供を連れ出したため、以後は画像解析を行っても継続して「存在しない」という解析結果が出る。よって、解析処理自体を行わないことで、ドライブレコーダー10の負荷が削減されるのでよい。また、一度「存在しない」との解析結果がでても誤判定の恐れがあるため、例えば「存在しない」の解析結果が複数回あった場合に、以後の解析を行わないようにするとよい。
【0068】
また上述した実施形態では、画像解析により人の有無を判断し、人がいる場合には報知するようにしたが、第2の情報を取得し、それを加味して判断し、報知するようにするとよい。第2の情報は、例えば、温湿度センサ23の検出結果とするとよい。例えば、監視モードに切り替わった際には、画像解析のみに基づき、人を検知した場合には送信し、その後の所定回数や所定時間経過後は、人を検知した場合であって第2の情報である温度や湿度が設定した閾値を超えた場合や、温度・湿度の変化が大きい場合に送信し、人を検知しても温度等が所定の範囲の場合には、送信しないようにするとよい。意識的に子供を車内に置いていった場合に、警報を継続的に受けると煩わしくなり、また、警報になれてしまう恐れがある。これに対し、本形態では、車内の温度が熱中症等を生じる恐れのない状態の場合には送信せず、温度上昇等の危険な状態になりそうな場合に送信することで、運転者等に緊急事態を知らせ、すぐに車両に戻る契機づけになるのでよい。
【0069】
また、例えばこのように車内に人がいる時に車内の温度を監視し、車内の温度が一定以上に高温に成ったり、低温に成ったりした場合に、所定の情報を送信して運転者等に知らせる機能に変えて、或いは係る機能に加えて自動でエアコンを始動させるようにするとよい。このようにすると、運転者が車両に戻る前に車内の温度が適正な範囲になるため、車内に残った人の安全が保たれるのでよい。係る機能は、例えば、コネクテッドカーを活用した保険商品としても有益になる。
【0070】
また画像解析は、人の有無のみではなく、人の状態を認識できるようにするとよい。人の状態は、例えば寝ている/起きている/泣いているなどが認識できるとよい。そして、その認識結果を送信するとよい。
【0071】
また、上述した実施形態では、電源装置30からの信号に基づいてACCがOFFになったことを検出するようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、ACCのOFFになったことを例えば車両から直接取得してもよく、各種の手法により検出するとよい。
【0072】
一方、エンジンを切ることなく駐停車する場合には、ACCはOFFにならない。そこで、例えば、運転者の降車を検出する手段を備え、運転者の降車を検出した場合に上述した処理を行うとよい。運転者の降車を検出する手段は、例えば、運転席に設置した着座センサを用いるとよい。着座センサは、運転席に人が座った場合にONとなり、運転席から立ち上がった場合にOFFとなる。そして、運転席に設置した着座センサがONからOFFになると、運転者が降車すると判定するとよい。また、運転席側のドアの開閉を検知するセンサを設けるか、ドアの開閉の情報を車両から取得するようにし、例えば運転席のドアが閉状態から開くと、運転者が降車すると判定するとよい。また、カメラの撮像範囲を運転席が入るようにし、画像解析により運転席に人がいるか否かを判断するなど、各種の方式を利用するとよい。
【0073】
*音に基づく検知
制御部16は、例えば監視モードに切り替わるとマイク12で検出した音声を取得し、音声解析する。音声解析は、深層学習(ニューラルネットワーク)その他の機械学習を用いた方法で行うとよい。制御部16は、音声解析により異常音を検知した場合、登録した送信先に通信部24を用いて所定の情報を送信する。所定の情報は、解析結果とするとよく、解析結果に加えて、位置情報・室温・湿度等を送ってもよい。異常音は、例えば、ガラスが割れる音、衝突音、悲鳴、鳴き声等がある。悲鳴は、例えば「助けて」などの子供の叫び声等がある。鳴き声は、例えば乳児の泣き声などがある。送信する解析結果は、異常音の有無としてもよいが、解析した内容も送るとよい。
【0074】
運転者は、例えば降車時に就寝中の子供を車両に置いてきた場合、例えば悲鳴や泣き声により子供が起きたことを知ることができ、早期に車両に戻る契機づけとなる。また、ガラスの割れる音や衝突音などにより車両に発生した異常を知ることで、車両の様子を見に行くことができ、特に、車両に子供を置いてきた場合にはより迅速に戻る必要性を知ることができるのでよい。
【0075】
音声解析は、データベース等を利用した各種の解析により何の音かを判別するようにしてもよい。また、音声解析は、車内で発生した音に限ることはなく、車両の外の周囲の音に基づいて行うとよい。例えば、子供が車内に置き忘れられている状態を見つけた人が車両の外で騒いでいる場合、制御部16は、その認識した音声の内容から、子供の置き忘れや、中の子供の状態を認識し、送信するとよい。
【0076】
また、この音に基づく検知における動作タイミングや送信する情報等も、上述した画像に基づく検知における実施形態や変形例と同様にすることができる。例えば、解析結果と同様に送信する情報を温度や湿度を加えたり、カメラで撮影した室内の画像等を加えたりするとよい。また、運転者の降車を検出する手段を備え、降車を検知した後で動作開始するよいにするとよい等の他、各種の要素の適用が可能である。
【0077】
*マイクロ波センサに基づく検知
制御部16は、例えば監視モードに切り替わると、マイクロ波センサ22の出力を取得し、車内を移動する物体の有無を判断する。移動する物体がある場合、後部座席3やチャイルドシート4に子供等が存在しているおそれがあるので、登録した送信先に通信部24を用いて所定の情報を送信する。また、このマイクロ波センサ22に基づく検知は、一度送信した後も、上述した各例と同様に定期的に検出し、判定結果等を出力するとよい。
【0078】
また、マイクロ波センサ22に基づく移動する物体は、例えば人に限ることはなく、車内にいる動物なども検知できるようにするとよい。このようにすると、ペットの置き忘れも検知することが可能となる。
【0079】
上述した各実施形態並びに変形例では、ドライブレコーダー10を用い、異常を検知した場合に登録した送信先に所定の情報を送信するようにしたが、必ず外部に送信することはなく、監視モードに切り替わった直後等の運転者が車両内或いは付近に存在している状況では、例えばドライブレコーダー10のスピーカ19から警報を発するようにしてもよい。
【0080】
また、上述した各実施形態並びに変形例では、電源装置30から電力供給を受けるようにしたが、ACCがOFFになった後も電力供給可能なように車両のバッテリから直接電力を供給されるようにしたり、内部バッテリを備え、ACCがOFFになった後は内部バッテリからの電力供給を受けるようにしたりするようにしてもよい。係る場合、内部バッテリは充電可能な二次電池とするとよい。
【0081】
また、上述した各実施形態並びに変形例では、ドライブレコーダーの機能の一部として実装したが、ドライブレコーダーに限ることはなく、各種の車載機器、電子機器等の機能の一部として実装したり、独立した装置・機器として実現したりするとよい。
【0082】
例えば、画像解析を利用したシステムの場合、例えばLTE通信対応でエッジAI処理が可能なカメラを用いるとよい。このカメラは、通信モジュールやSIMカード、カメラ、電源を一体化し、エッジ処理が可能なAIカメラである。また、遠隔からセルラー回線を経由してAIアルゴリズムの入れ替えや、通信接続状況のモニタリングなどのデバイス管理も行える。画像解析による人の検出を、例えば、NNC(Neural Network Consol)で比較的簡単にディープラーニングし、実装するとよい。このAI処理可能なカメラにより、例えばチャイルドシートを含む後部座席側を撮影し、得られた画像をAI処理して人の存在の有無を解析する。そして、例えば画像中に人を検出した場合には、例えば通信モジュールを動作させて所定の送信先に検出結果等を送信するとよい。
【0083】
[チャイルドシートに設置した着座センサに基づく警報]
図3は、別の実施形態のシステムのブロック図を示している。本実施形態のシステムは、車内に乳幼児等の置忘れを防止するための別の実施形態であり、同図に示すように、本体装置40と、着座センサ41等を備える。本実施形態では、専用の装置として構成しているが、ドライブレコーダーその他の車載機器の機能として実装してもよいし、独立した装置・機器として実現してもよい。また、本体装置40は、同一の筐体或いは複数の筐体から構成するとよい。
【0084】
本実施形態では、例えば、着座センサ41をチャイルドシートに設置する。この着座センサ41は、複数個備え、チャイルドシートの座面や背もたれの部分の適宜位置に配置するとよい。着座センサ41は、チャイルドシートに乳幼児等が乗っている場合にはONとなり、乗っていない場合にはOFFとなる。本体装置40は、着座センサ41からの入力信号を受け取るインタフェース部43と、制御部42と、スピーカ45と、車両側に制御信号を出力するインタフェース部46等を備える。
【0085】
着座センサ41用のインタフェース部43は、例えば着座センサ41の出力端子部を挿入するピンジャックやコネクタなどを備え、着座センサ41の出力信号を制御部42に伝える。制御部42は、チャイルドシートに乳幼児等が乗っている場合、運転者が運転席から離れたり、立ち上がったりすると、スピーカ45から警報を出力する機能を有する。また、制御部42は、所定の条件を満たした場合、インタフェース部46を介して車両側に対してドアロックをさせないための信号を出力する機能を有する。
【0086】
係る機能を実現するため、制御部42は、例えば図4に示すように、着座センサがONか否かを判断する(S1)。着座センサがOFFの場合には、乳幼児等がいないため、S1をループする。
【0087】
乳幼児等がチャイルドシートに乗っている場合、制御部42は、運転者が離席等しているか否かを判断する。離席等は、例えば運転席から離れる場合や、その準備段階の運転席から立ち上がる場合等がある。離席等の判断は、例えば、運転席に着座センサを設けその着座センサの出力がOFFになったり、ACCがOFFになったりすることに基づくとよい。基づくとは、それらの状態になった場合にすぐに離席等(分岐判断がYes)があったとしてもよいが、所定の定時間経過後に分岐判断をYesとするようにしてもよい。すぐに離席等と判断するようにした方が、運転者が車両から離れる前に確実に警報が鳴るのでよい。なおまた、例えば車両に設置した親機と無線通信可能な子機を運転者が持ち、親機と子機の間の距離が一定以上離れた場合に離席等と判断してもよい。また、例えば運転席を撮影するカメラを備え、そのカメラで撮影した画像を画像解析し運転者の離席等の判断するようにしてもよい。
【0088】
運転者が離席等していない場合(S2でNo)には、S1に戻り着座センサのON/OFFの判断を行う。そして、運転席が離席等している場合(S2でYes)、制御部42は、スピーカから警報を発する(S3)。警報は、ブザー音や、音声による警報メッセージとするとよい。このようにすると、運転者は、警報により、チャイルドシートに乳幼児等の子供等が乗っていることに気がつくため、その存在を忘れて降車してしまい子供の車内への置き忘れの発生を可及的に抑制できる。
【0089】
さらに、本実施形態では、制御部42は、警報を発生後、車両のドアのロックができないようにする(S4)。例えば、制御部42は、インタフェース部46を介して車両側にドアアンロック信号を出力する。これにより、車両のドアは、施錠されずにアンロック状態が維持され、仮に車内に子供を残した場合であっても、第三者(発見者)が車両のドアを開けることができ救助することも可能となる。
【0090】
そして、着座センサがOFFになると(S5でYes)、制御部42はロック不可の状態を解除し、ロック可能とする(S6)。これにより、チャイルドシートから子供等を下ろすことで、ロックが可能となり、運転者は、例えばロック操作を行い施錠し、車両から安心して離れることができる。
【0091】
また、チャイルドシート自体に着座センサを取り付けることで、どの座席にチャイルドシートが設置されても検知できる。さらに、本システムをドライブレコーダーと接続し、上記のロック不可の状態を外部トリガーとし、ドライブレコーダーからスマートフォンやサーバに通知するようにするとよい。係る通知は、上述した実施形態等と同様に、映像も含め所定の情報を送るようにするとよい。
【0092】
上述したように離席等の判断をACCがOFFになることを条件とすることで、車内にチャイルドシートが有りそこに子供がいる状態でエンジンを切った時に注意喚起することができる。また、エンジンを切ることで警報を発するようにすることで、例えば運転者が自らチャイルドシートから子供を下ろす作業を行う場合、エンジンを掛けたまま行うことで無用な警報の発生を抑制できるのでよい。
【0093】
図5は、着座センサを用いた別の実施形態を示す。この実施形態では、例えば図3に示すシステムにおける制御部42における離席等の判定の機能を換え、運転席側のドアの開閉を利用して運転者の離席等の判断をするようにしている。上記と同様に、制御部42は、着座センサがONか否かを判断する(S11)。着座センサがOFFの場合には、乳幼児等がいないため、S1をループする。
【0094】
着座センサがONの場合、制御部42は、運転席側のドアが開状態か否かを判断する(S12)。ドアがしまっている場合には、S11に戻る。ドアが開いた場合、制御部42は、次にドアが閉まるのを待つ(S13)。そして、ドアが閉まる(S13でYes)と、制御部42は、スピーカから警報を発する(S14)。警報は、ブザー音や、音声による警報メッセージとするとよい。このようにすると、運転者は、警報により、チャイルドシートに乳幼児等の子供等が乗っていることに気がつくため、その存在を忘れて降車してしまい子供の車内への置き忘れの発生を可及的に抑制できる。
【0095】
さらに、本実施形態においても、警報を発生後、制御部42は、車両のドアのロックができないようにする(S15)。これにより、仮に車内に子供を残した場合であっても、第三者(発見者)が車両のドアを開けることができ救助することも可能となる。
【0096】
そして、着座センサがOFFになると(S16でYes)、制御部42はロック不可の状態を解除し、ロック可能とする(S17)。これにより、チャイルドシートから子供等を下ろすことで、ロックが可能となり、運転者は、車両から安心して離れることができる。
【0097】
上述した実施形態では、ドアが開いた後でドアが閉まるのをまって警報を発するようにしたが、処理ステップS13を設けずにドアが開いた際に警報を発するようにしてもよい。但し、運転者が自らチャイルドシートに乗った子供を下ろすためには、運転席のドアを開け、車両の外を移動して後部座席側に至る場合が多いため、子供を下ろすために運転席のドアを開けると警報が鳴ることになり、運転者に煩わしさを感じさせるおそれがある。そこで、本実施形態のように、ドアが閉じることを警報の条件とすることで、例えば、ドアを開けたまま子供をチャイルドシートから下ろし、その後に運転席側のドアを閉めるようにすると、警報が鳴らないのでよい。
【0098】
図4図5に示す各実施例において、S4やS15でロックを不可にしてロックを掛ける操作をしてもロックできないようにするのでは無く、掛けようとしたときに警報を発するようにしてもよい。この場合に、S3やS14の警報は行わなくてもよいが、行うと二重に警報ができるのでよい。
【0099】
また、S4やS15でロックを不可にするのでなく、警報後にロックしたり、警報後に再度ロック操作があった場合にはロックできるようにしたりするとよい。このようにすると、運転者の意思で車内に子供等を残すとともに、ロックすることで、不審者等が車内に侵入するのを防止できるのでよい。
【0100】
[通信型温度計測装置]
図6は、車内の温度に基づいて車内に残された子供等の熱中症等の防止を行うシステムの一例を示している。本実施形態のシステム50は、車内の温度を計測する機能(例えば温湿度センサ51)と、通信機能(例えば通信部52)と、それらの制御を司る制御部53等を備える。車内の温度が設定された温度を超えると、制御部53は通信機能を用いて登録した送信先に通知する。通信機能は、例えば、LTE通信可能なLTE-Mモジュール等を用いるとよく、例えばサーバ32や事前に登録した運転者のスマートフォン33などに通知する。サーバ32に送信する場合、サーバ経由で運転者のスマートフォン33などに通知されるようにするとよい。
【0101】
本システムを車両に取付け、エンジン停止後に車内が熱中症の恐れがある温度に近づくと、運転者のスマートフォン等に危険が近づいていることを知らせる通知を行う。このようにすることで、運転者はその通知を受け、車両に向かい適切な処置を取ることで、車内の高温を防止する。また、本形態では、上述した各実施形態のように、車内に子供が存在しているかの判断機能を備えてもよいが、備えないようにすることで、構成が簡易となるのでよい。
【0102】
また、ACCがOFFといったエンジン停止を検出し、その後に室温を監視し条件を満たした場合に通知するようにしてもよいが、エンジン停止の検出機能は必ずしも備えなくてもよい。一般に、運転者が乗車し、エンジンがかかって走行可能な状態の場合、例えばエアコンを使用したり、窓を開けたりすることで熱中症等になるおそれのある危険な室温に上昇する可能性は低い。よって、車内の温度が設定した温度を超える高温になるのは、エンジンを切った駐車中の場合が多い。そこで、エンジン停止の検出機能を設けないことで、車両から独立して設置が可能となり、簡易な構成で効果的に熱中症等の対策ができるのでよい。
【0103】
本形態では、高温時にスマートフォンへお知らせが行くことで、子供の置忘れはもちろん、短時間車両を離れた際にも対応できる。また、通知する温度を適宜に設定することで、注意段階から事前に知らせることができ、危険温度になる前に駆け付けることができる。この通知する温度は、熱中症のおそれが出てくる温度を加味して適宜の値を初期値として設定しておき、ユーザが設定で変更できるようにするとよい。
【0104】
また、熱中症は温度が重要な要素の1つではあるが、湿度も影響している。そこで、温度と湿度を計測する機能を設け、温度と湿度の関係が所定の条件を満たした場合に通知をするようにするとよい。湿度を加味した場合、比較的温度が低くても湿度の関係から熱中症等を生じるおそれのある環境になった場合も通知できるのでよい。
【0105】
[通信型温度計測装置+リモート対応操作]
上述した通信型温度計測装置の実施形態の機能に加え、例えばOBDに接続しリモートで窓を開けたり、エンジンスタートを可能にしたりする機能を備えるとよい。このようにすると、例えば、運転者のスマートフォンに高温を知らせる通知が届くと、「窓を全開にしますか?」or「エンジンを始動しますか?」等の案内をスマートフォンの画面に表示する。画面に表示した「YES」ボタン部がタッチされると、リモートで操作が可能になる。これにより、窓を開けて外気を取り込んだり、あらかじめエアコンをONにしておくことで、エンジンスタートで車内を冷やしたりすることでき、車両に駆け付ける前に子供の熱中症を防止することができる。
【0106】
本実施形態では、通知が来てもすぐに駆け付けられない状況の時に有効な機能となる。また、すぐに車両に戻ることができる状況であっても、即座に対応することで一刻も早く子供を危険な状態から解放することができる。
【0107】
また、係る遠隔操作は、危険な場合にかぎって行えるようにするとよい。このようにすると、不要に窓が開いて出入りが可能となったり、エンジンがかかることに伴い誤発進したりするなどの事態の発生を可及的に抑制できる。
【0108】
[車内用ドライブレコーダー(動体検知付き)]
例えば、図1図2等に示したドライブレコーダーのカメラの撮影領域を車内にする。また通信部24の送信先に例えば運転者のスマートフォン33を登録し、ドライブレコーダー10とスマートフォンを連携し、ドライブレコーダーで撮影中の画像をスマートフォンに送信する機能を備える。これにより、ユーザは、スマートフォンから後部座席の子供の様子をリアルタイムで確認できる。また例えばLTE通信で遠方でも子供の様子を見ることができる。さらに、車内記録に特化したドライブレコーダーとするとよい。さらにまた、ドライブレコーダーに温度センサを設け、車内温度も同時に表示するようにすると、熱中症の早期の発見につながるのでよい。さらに湿度センサを設け、温度とともに湿度も表示するとなおよい。例えば図2に示す例では、温湿度センサ23を備えているため、温度と湿度を両方表示可能となる。
【0109】
また、上述した映像の確認は、例えば、ユーザが自発的にドライブレコーダーに接続して見る方法と、動体検知で車内に動きがあった際にドライブレコーダーがスマートフォンに映像を送信する方法を備えるとよく、ユーザ設定で選択できるようにするとよい。動体検知機能を搭載することで、駐車中の防犯にも役立つのでよい。
【0110】
[スマートバンド]
図7は、更に別のシステムの実施形態を示している。本実施形態のシステムは、スマートバンド60を備える。このスマートバンド60は、例えば子供の足、脚や腕等に装着するためのバンド部60aを備える。スマートバンド60は、その本体内部に、装着したユーザの体温や心拍数、血圧等の生体情報を計測する生体情報取得センサ61と、その生体情報をスマートフォン33へ伝送する通信部62と、それらの制御を司る制御部63等を備える。そして、そのスマートバンド60を、例えば子供の足、脚や腕等に装着する。これにより、例えば車内で待つ子供の体温や心拍数等の生体情報を、車両から離れたユーザが持つスマートフォン33を用いて常時モニタリングできる。
【0111】
また、このスマートバンド60の装着部位は、例えば足、脚にすると良い。例えば腕に装着した場合、チャイルドシートに座っている子供等は、スマートバンド60をさわり、取り外してしまったり、電源をOFFにしたり、故障等を生じたりするおそれがある。一方、足、脚に装着した場合には、そのように諏訪他状態でスマートバンド60に手が届きにくく、上記の問題を生じることを可及的に抑制できるので良い。
【0112】
スマートバンド60を装着した子供が危険な状態になった場合に、スマートバンド60がスマートフォン33に通知を送る機能を備えるとよい。子供が危険な状態は、例えば、生体情報取得センサ61の検出値が、予め設定した閾値を超えた場合等がある。また、このスマートバンドは、画面を排除し、情報の伝送に特化するように構成するとよい。画面を設けないことで、コストの低下や構成の簡易化、小型・薄型化を招くのに加え、画面を設けると子供が興味を持って画面等を触ったりするおそれがあるがそのような事態を招くことを可及的に抑制できるので良い。
【0113】
また、スマートバンドの通知先は、上述した実施形態ではスマートフォンとしたが、これに限ることはなく、例えばユーザが携帯するスマートウォッチに転送してもよい。自宅ではスマートフォンは持ち歩かない可能性があるので、身に付けやすく通知が確認しやすいスマートウォッチを用いるとよい。
【0114】
また、本実施形態は、車両に残した子供に装着するものに限ることはなく、例えば、車以外にも自宅や外出先でも活用が可能となる。例えば、共働き世代はもちろん自宅内でも子供から離れるシーンはあるので、各場所での不意の事故の防止につながるのでよい。
【0115】
上述した実施形態では、衛星測位システムとしてGPSを用いる場合を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、GLONASS、ガリレオ、準天頂衛星システムなどが用いられてもよい。
【0116】
なお、本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求の範囲とする意思を有する。
【0117】
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素又は発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正又は分割出願等において権利取得する意思を有する。「~の場合」「~のとき」という記載があったとしてもその場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらの場合やときでない構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えた構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【0118】
また、意匠登録出願への変更により、全体意匠又は部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材としてもよいし、その部材の部分としてもよい。全体意匠はもちろんのこと、図面の実線部分のうち任意の部分を破線部分とした部分意匠を、権利化する意思を有する。
【符号の説明】
【0119】
1 :車両
2 :フロントガラス
3 :後部座席
4 :チャイルドシート
5 :ケーブル
10 :ドライブレコーダー
11 :カメラ
12 :マイク
13 :異常検知センサ
14 :GPSモジュール
15 :操作部
16 :制御部
17 :一時記憶メモリ
18 :モニタ
19 :スピーカ
20 :メモリカードスロット
21 :マイクロSDカード
22 :マイクロ波センサ
23 :温湿度センサ
24 :通信部
30 :電源装置
32 :サーバ
33 :スマートフォン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方領域と車室内を撮影する手段と、
駐車中及び/または停車中の前記車両の車室内の状態として、前記車両の室内領域で移動する物体を、マイクロ波センサに基づいて検知する機能と、
前記マイクロ波センサによる前記移動する物体の検知結果に基づいて通知を行う機能と、
前記マイクロ波センサによる前記移動する物体の検知結果に基づいて前記撮影する手段から取得した画像を送る機能と、
を有するドライブレコーダ。
【請求項2】
前記検知する機能は、マイクロ波センサに基づく検知を定期的に行い、
前記定期的な検知に基づいて、登録された送信先に、前記通知を行い、又は前記撮影する手段から取得した画像を送る
請求項1に記載のドライブレコーダ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のドライブレコーダの機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。