(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182759
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】線状外科用ステープラ用のクランプアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
A61B17/072
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023175839
(22)【出願日】2023-10-11
(62)【分割の表示】P 2021507549の分割
【原出願日】2019-08-06
(31)【優先権主張番号】16/102,170
(32)【優先日】2018-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】デック・アンドリュー・シー
(72)【発明者】
【氏名】シングス・ブライアン・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ・ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】バコス・グレゴリー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ノーベル・デイビッド・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ショール・クリストファー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウス・ジョシュア
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ステープラ半体は、互いに対して枢動して、クランプレバーが閉鎖されたときに、2つの遠位顎部の間に組織を受容しクランプするように構成されている外科用ステープラ用のクランプアセンブリを提供する。
【解決手段】外科用ステープラ10は、アンビル表面を支持する遠位部を有する第1の細長部材と、ステープルカートリッジ80を受容するように構成された遠位部を有する第2の細長部材と、を含む。ステープラ10は、第1の細長部材と回転可能に連結されたピンと、第2の細長部材と移動可能に連結されたクランプ部材と、を更に含む。クランプ部材は、ピンを解放可能に捕捉し、それによって第1の細長部材を第2の細長部材に対してクランプするように動作可能である。ピンは、クランプ部材によって捕捉されたことに応じて、第1の細長部材に対して回転するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
(a)第1のステープル表面を構成する遠位部分を有する第1の細長部材と、
(b)前記第1の細長部材と解放可能に結合するように構成され、第2のステープル表面を構成する遠位部分を有する、第2の細長部材であって、前記第1および第2のステープル表面は、複数のステープルで組織をクランプしてステープル留めするように協働するように構成される、第2の細長部材と、
(c)前記第1の細長部材または前記第2の細長部材のうちの一方と可動に結合されたクランプ部材であって、前記クランプ部材が、組織をクランプするために前記第1および第2のステープル表面に近接させるように前記第1および第2の細長部材に対して第1の位置から第2の位置まで移動可能である、クランプ部材と、
(d)ラッチ部材であって、前記ラッチ部材が前記クランプ部材と共に第1の位置と第2の位置との間で移動可能であるように、前記ラッチ部材が前記クランプ部材と移動可能に結合されており、前記ラッチ部材が、前記クランプ部材を前記第2の位置に解放可能に保持するように動作可能である、ラッチ部材と、
を備える装置。
【請求項2】
前記ラッチ部材は、前記クランプ部材を前記第2の位置から解放し、前記クランプ部材が前記第1の位置に向かって移動することを可能にするように選択的に作動可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記クランプ部材が、前記第2の細長部材と枢動可能に結合されたクランプレバーを備え、前記クランプレバーが、前記第1の位置から前記第2の位置まで前記第2の細長部材に向かって枢動可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記クランプレバーの遠位部分が前記第2の細長部材と枢動可能に結合され、前記ラッチ部材が前記クランプレバーの近位端に枢動可能に結合される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ラッチ部材は、前記クランプレバーが前記第2の位置にあるとき、前記第2の細長部材の近位端特徴を解放可能に捕捉するように構成され、前記ラッチ部材は、前記近位端特徴を解放し、前記クランプレバーの前記第1の位置への移動を可能にするように選択的に作動可能である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
ステープルをクランプされた組織内に発射するために、ホーム位置から発射位置まで移動可能な発射アセンブリをさらに備え、前記ラッチ部材は、前記発射アセンブリが前記ホーム位置にある場合にのみ、前記クランプ部材を第2の位置から解放するように作動可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記発射アセンブリを前記ホーム位置に解放可能に保持するように動作可能な保持特徴をさらに含み、前記保持特徴は、前記クランプ部材が第2の位置にあり、前記発射アセンブリが前記ホーム位置から離れた位置にあるとき、前記クランプ部材に対する前記ラッチ部材の作動を阻害するように構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ホーム位置が近位位置を備え、前記発射位置が遠位位置を備える、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記保持特徴が、前記第1の細長部材または第2の細長部材の一方の近位端に配置される、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記ラッチ部材が、前記クランプ部材の近位端に配置され、前記保持特徴が、前記第2の細長部材の近位端に配置され、前記第2の細長部材の遠位部分が、第2のステープル表面を規定するデッキを有するステープル留めアセンブリを支持するように構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記保持特徴は、
(i)前記第1の細長部材の近位端と前記第2の細長部材の近位端とを解放可能に結合するように構成された第1の可動部材と、
(ii)前記発射アセンブリを近位位置に解放可能に保持するように構成された第2の可動部材であって、第1および第2の可動部材が互いに相対的に可動である、第2の可動部材と、を備える、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記クランプ部材が第1の位置にあるとき、前記第1および第2の細長部材の遠位部分を互いから離れるように付勢するように構成された弾力性部材をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記第1および第2の細長部材の近位端が、ピボット軸を中心として互いにピボット可能に結合するように構成され、前記弾力性部材が、前記ピボット軸から遠位で、前記クランプ部材とは別個に配置される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第1のステープル面または第2のステープル面の一方が、複数のステープルを収容する複数の開口部を含み、前記第1のステープル面または前記第2のステープル面の他方が、装置が焼成されるときにステープルを形成するように構成された複数のステープル形成ポケットを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
装置であって、
(a)第1のステープル表面を構成する遠位部分を有する第1の細長部材と、
(b)前記第1の細長部材と解放可能に結合するように構成され、第2のステープル表面を構成する遠位部分を有する、第2の細長部材であって、前記第1および第2のステープル表面は、複数のステープルを用いて組織をクランプしてステープル留めするように協働するように構成される、第2の細長部材と、
(c)前記第1の細長部材または前記第2の細長部材のうちの一方と可動に結合されたクランプ部材であって、前記クランプ部材が、組織をクランプするために前記第1および第2のステープル表面に近接させるように前記第1および第2の細長部材に対して第1の位置から第2の位置まで移動可能である、クランプ部材と、
(d)前記クランプ部材を第2の位置に解放可能に保持するように動作可能なラッチ部材と、
(e)発射アセンブリであって、前記発射アセンブリは、前記ステープルを前記クランプされた組織に発射するために、前記第1および第2の細長部材に対してホーム位置から発射位置まで移動可能である、発射アセンブリと、を備え、
前記ラッチ部材は、前記発射アセンブリが前記ホーム位置にあるときにのみ、前記クランプ部材を前記第2の位置から解放するように動作可能である、
装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置において、前記ラッチ部材は、前記クランプ部材と可動に結合され、前記ラッチ部材が前記クランプ部材と共に前記第1の位置と前記第2の位置との間で可動であることを特徴とする装置。
【請求項17】
前記ラッチ部材は、前記発射アセンブリが前記ホーム位置にあるときに前記クランプ部材を第2の位置から解放するように、前記クランプ部材に対して選択的に作動可能である、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記発射アセンブリを前記ホーム位置に解放可能に保持するように構成された保持特徴をさらに含み、前記保持特徴は、前記クランプ部材が第2の位置にあり、前記発射アセンブリが前記ホーム位置から離れた位置にあるとき、前記クランプ部材に対する前記ラッチ部材の作動を阻害するように構成されている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
装置であって、
(a)第1のステープル表面を呈するように構成された遠位部分を有する第1の半体と、
(b)前記第1の半体と解放可能に結合するように構成された第2の半体であって、前記第2の半体は、
(i)第2のステープル表面を提示するように構成された遠位部分を有する細長部材であって、前記第1および第2のステープル表面は、複数のステープルを用いて組織をクランプしてステープル留めするように協働するように構成されている、細長部材と、
(ii)前記細長部材と枢動可能に結合されたクランプレバーであって、前記クランプレバーは、前記組織をクランプするために前記第1および第2のステープル表面を近接させるように、前記クランプレバーに向かって開位置から閉位置まで枢動可能である、クランプレバーと
(iii)前記クランプレバーの近位端と移動可能に結合されたラッチ部材であって、前記ラッチ部材は、前記クランプレバーを閉位置に解放可能に保持するように動作可能である、ラッチ部材と、を備える、
装置。
【請求項20】
前記ラッチ部材は、前記クランプレバーが前記閉位置にあるとき、前記細長部材の近位端特徴を解放可能に捕捉するように構成され、前記ラッチ部材は、前記近位端特徴を解放し、前記クランプレバーの前記開位置への移動を可能にするように選択的に作動可能である、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
胃腸吻合術などの一部の手術では、1つ以上の組織層をクランプし、クランプされた組織層を切断し、それらの層を通じてステープルを同時に駆動することによって、切断された端部の近くで、切断された組織層同士を互いに実質的に封止することが望ましい場合がある。かかる手術で使用され得るこのような器具の1つは、「線状カッター」とも呼ばれる線状外科用ステープラである。線状外科用ステープラは、一般に、ステープルカートリッジ(又は「リロード」)を支持するように構成された遠位顎部を有する第1の半体(「カートリッジ半体」又は「リロード半体」と称される)と、ステープル形成特徴部を有するアンビル表面を支持する遠位顎部を有する第2の半体(「アンビル半体」と称される)と、を含む。ステープラは、ステープラ半体同士を共に解放可能にクランプするように構成された可動クランプレバーを更に含む。ステープラ半体は、互いに対して枢動して、クランプレバーが閉鎖されたときに、2つの遠位顎部の間に組織を受容しクランプするように構成されている。ステープラの発射アセンブリは、クランプされた層を切断するように作動され、切断線の両側の組織を通してステープルを同時に打ち込むように構成される。ステープラを発射した後、クランプレバーを開放し、ステープラ半体を分離して、切断されステープル留めされた組織を解放することができる。
【0002】
様々な種類の外科用ステープル留め器具及び関連構成要素が作製され使用されてきたが、本発明者ら以前には、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を誰も作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本明細書に組み込まれていると共にその一部分をなす添付の図面は、本発明の実施形態を示すものであり、上記の本発明の一般的説明、及び以下の実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
【
図1】共に連結されたステープラのカートリッジ半体とアンビル半体を示し、カートリッジ半体のクランプレバーが完全閉鎖位置にある、例示の線状外科用ステープラの遠位斜視図である。
【
図2】
図1の線状外科用ステープラの分解斜視図である。
【
図3】
図1の線状外科用ステープラのステープルカートリッジアセンブリの断面斜視図である。
【
図4A】近位端で共に連結されたステープラ半体を示し、クランプレバーが開放位置にある、
図1の線状外科用ステープラの断面側面図である。
【
図4B】共に連結されたステープラ半体を示し、クランプレバーが部分閉鎖位置にある、
図1の線状外科用ステープラの側断面図である。
【
図4C】共に連結されたステープラ半体を示し、クランプレバーが完全閉鎖位置にある、
図1の線状外科用ステープラの側断面図である。
【
図5A】近位発射前位置にあるステープラのアクチュエータを示す、
図1の線状外科用ステープラの遠位斜視図である。
【
図5B】遠位発射位置にあるアクチュエータを示す、
図1の線状外科用ステープラの遠位斜視図である。
【
図6】共に連結されたステープラのカートリッジ半体とアンビル半体とを示し、カートリッジ半体のクランプレバーが完全閉鎖位置にある、別の例示の線状外科用ステープラの遠位斜視図である。
【
図7】
図6の線状外科用ステープラの分解斜視図である。
【
図8】アンビルチャネル、アンビルシュラウド、並びに近位アンビルピン及び遠位アンビルピンを示し、内側フランジを明らかにするために部分的に切り取られたアンビルシュラウドを示す、
図6の線状外科用ステープラのアンビル半体の分解斜視図である。
【
図10A】アンビル半体の組み立てのために、アンビルチャネルの一対の遠位ピン開口部及びアンビルシュラウドの鍵穴スロットと整合される遠位アンビルピンを示す、組立中の
図6のアンビル半体の構成要素の斜視図である。
【
図10B】アンビルチャネル及びアンビルシュラウドフランジを通って横方向に延在する遠位アンビルピンを示す、組立中の
図6のアンビル半体の構成要素の側断面図である。
【
図10C】アンビルチャネルに対して遠位方向に併進するアンビルシュラウドと、アンビルシュラウドの近位端及びアンビルチャネルの近位端を通って挿入される近位アンビルピンを示す、組立中の
図6のアンビル半体の構成要素の側断面図である。
【
図11A】クランプレバーが開放位置にある間、カートリッジ半体と整合するアンビル半体の近位アンビルピン及び遠位アンビルピンを示す、
図6の線状外科用ステープラの側面図である。
【
図11B】クランプレバーの遠位端がアンビル半体をカートリッジ半体に対してクランプするように、閉鎖位置まで枢動されたクランプレバーを示す、
図6の線状外科用ステープラの側面図である。
【
図12】クランプレバーが開放位置にあり、アンビルシュラウドが視界から省略されている、
図6の線状外科用ステープラの近位端の斜視図である。
【
図13】クランプレバーが開放位置にあり、アンビルシュラウドが視界から省略されており、カートリッジ半体に対して枢動されるアンビルチャネルを示す、
図6の線状外科用ステープラの側面図である。
【
図14】開放位置にあるクランプレバーを示す、
図6の線状外科用ステープラの近位端の斜視図である。
【
図15】クランプレバーラッチ部材の細部を明らかにするために部分的に切り取られたクランプレバー及びクランプレバーシュラウドを示す、
図6の線状外科用ステープラのクランプレバーの近位端及びクランプレバーシュラウドの斜視図である。
【
図16A】クランプレバーラッチ部材とカートリッジチャネルの近位端とを係合するように閉鎖されているクランプレバーを示す、
図6の線状外科用ステープラの近位端の側断面図である。
【
図16B】完全閉鎖位置にあるクランプレバーを示す、
図6の線状外科用ステープラの近位端の側断面図である。
【
図16C】ロックアウト特徴部がクランプレバーラッチ部材と係合して係止するように遠位方向に並進する発射アセンブリを示す、
図6の線状外科用ステープラの近位端の側断面図である。
【
図16D】チャネル部材を係合解除し、クランプレバーの開放を可能にするように作動されるクランプレバーラッチ部材を示す、
図6の線状外科用ステープラの近位端の側断面図である。
【
図17】線状外科用ステープラの別の例示のカートリッジ半体の側面図である。
【
図18】クランプレバー、並進肩部ラッチ機構、及びクランプレバーシュラウドを示す、
図17のカートリッジ半体のいくつかの構成要素の分解図である。
【
図19A】機構の近位ラッチ部材がクランプレバーをカートリッジチャネルと連結する遠位ホーム位置において弾性的に付勢される肩部ラッチ機構を示す、
図17のカートリッジ半体の側面図及び側断面図の組み合わせである。
【
図19B】近位ラッチ部材をカートリッジチャネルから係合解除し、クランプレバーの開放を可能にするように近位位置へ作動される肩部ラッチ機構を示す、
図17のカートリッジ半体の側面図及び側断面図の組み合わせである。
【
図20】近位ホーム位置において弾性的に付勢されるアンビルラッチ部材を示す、例示のカートリッジチャネルの近位端とチャネルに連結されたアンビルラッチ部材の斜視図である。
【
図21A】アンビルラッチ部材の上部カム面と係合される線状外科用ステープラのアンビル半体の近位ピンを示す、
図20のカートリッジチャネル近位端及びアンビルラッチ部材の側面図である。
【
図21B】上部カム面を介してアンビルラッチ部材を遠位方向に駆動するように、カートリッジチャネルの近位ノッチ内に方向付けられる近位アンビルピンを示す、
図20のカートリッジチャネル近位端及びアンビルラッチ部材の側面図である。
【
図21C】アンビルラッチ部材によって捕捉された近位アンビルピンを示す、
図20のカートリッジチャネル近位端及びアンビルラッチ部材の側面図である。
【
図21D】近位アンビルピンをアンビルラッチ部材及びカートリッジチャネルノッチから排出するように、遠位方向に押し下げられるアンビルラッチ部材を示す、
図20のカートリッジチャネル近位端及びアンビルラッチ部材の側面図である。
【
図22A】組立前に互いに分離されているアンビルシュラウド、アンビルチャネル、及び遠位アンビルピンを示す、線状外科用ステープラの別の例示のアンビル半体の構成要素の側面図である。
【
図22B】アンビルチャネルに適用されたアンビルシュラウドと、内部を通って横方向に挿入される遠位アンビルピンと、を示す、組立中の
図22Aのアンビル半体の構成要素の側面図である。
【
図22C】アンビルチャネルに対して遠位位置まで並進するアンビルシュラウド及び遠位アンビルピンを示す、
図22Aのアンビル半体の構成要素の側面図である。
【
図22D】アンビルチャネル及びアンビルシュラウドに対して横方向に拘束された遠位アンビルピンを示し、アンビルシュラウド及び遠位アンビルピンが遠位位置にある、
図22Aのアンビル半体の構成要素の底面図である。
【
図23】アンビルチャネルに対して遠位位置にあるアンビルシュラウド及び遠位アンビルピンを示す、
図22Aのアンビル半体の構成要素の側断面図である。
【
図24A】組立中のアンビルチャネル及び近位アンビルピンに対して近位位置にあるアンビルシュラウドを示す、
図22Aのアンビル半体のアンビルチャネル、アンビルシュラウド、及び近位アンビルピンの近位端の底面図である。
【
図24B】組み立ての完了時のアンビルチャネル及び近位アンビルピンに対して遠位位置にあるアンビルシュラウドを示す、
図24Aのアンビル半体の構成要素の底面図である。
【
図25A】組立前に互いに分離されているアンビルシュラウド、アンビルチャネル、及び遠位アンビルピンを示す、線状外科用ステープラの別の例示のアンビル半体の構成要素の側面図である。
【
図25B】アンビル半体に適用されたアンビルシュラウドと、内部を通って横方向に挿入される遠位アンビルピンと、を示し、アンビルチャネルに対して第1の隆起横断位置にあるアンビルシュラウドを示す、組立中の
図25Aのアンビル半体の構成要素の側面図である。
【
図25C】アンビルシュラウドがアンビルチャネルに対して第2の下降横断位置にあるときの、アンビルシュラウドのスロット内の遠位アンビルピンの位置を示し、アンビルチャネルが視界から省略されている、
図25Aのアンビル半体のアンビルシュラウド及び遠位アンビルピンの概略側面図である。
【
図26A】組立前に互いに分離されているアンビルシュラウド、アンビルチャネル、及び遠位アンビルピンを示す、線状外科用ステープラの別の例示のアンビル半体の構成要素の側面図である。
【
図26B】アンビルチャネルに対して第1の横断位置にある遠位アンビルピンを示す、組立中の
図26Aのアンビルチャネル及び遠位アンビルピンの概略側面図である。
【
図26C】アンビルチャネルに対して第2の横断位置にある遠位アンビルピンを示し、アンビルチャネル及び遠位アンビルピンに対して初期遠位位置にあるアンビルシュラウドを示す、
図26Aのアンビルチャネル及び遠位アンビルピンの概略側面図である。
【
図26D】アンビルチャネル及び遠位アンビルピンに対する最終近位位置におけるアンビルシュラウドを示す、
図26Aのアンビルチャネル及び遠位アンビルピンの概略側面図である。
【
図26E】アンビルチャネルに対する最終近位位置まで並進するアンビルシュラウドを示す、
図26Aのアンビルチャネル及びアンビルシュラウドの近位端の側断面図である。
【
図26F】アンビルシュラウド及びアンビルチャネルへの近位アンビルピンの挿入を示す、
図26Eの構成におけるアンビルシュラウド及びアンビルチャネルの近位端の側面図である。
【
図27】クランプレバーロックアウト部材の細部を明らかにするためにステープラのシュラウドが省略され、開放位置で係止されたクランプレバーを示す、別の例示の線状外科用ステープラの側面図である。
【
図28】
図27のクランプレバーロックアウト部材のための支持構造の拡大斜視図である。
【
図29A】ロックアウト部材がクランプレバーの閉鎖を防止するロックアウト位置にあるロックアウト部材を示す、
図27の線29A-29Aに沿った
図27の外科用ステープラの端部断面図である。
【
図29B】アンビル半体の側フランジによって解放位置に作動された後のロックアウト部材を示す、
図27の線29A-29Aに沿った
図27の外科用ステープラの端部断面図である。
【
図29C】クランプレバーロックアウト部材の解放後に閉鎖位置まで枢動されたクランプレバーを示す、
図29Aの線状外科用ステープラの側面図である。
【
図30】内側弾性部材を明らかにするために切り取られた、アンビルシュラウドの一部分を示す、別の例示の線状外科用ステープラの斜視図である。
【
図31A】ステープラのクランプレバーが閉鎖されているときの圧縮状態における弾性部材を示す、線31A-31Aに沿った
図30の外科用ステープラの端部断面図である。
【
図31B】クランプレバーが開放されているときの拡張状態における弾性部材を示す、線31A-31Aに沿った
図30の外科用ステープラの端部断面図である。
【
図31C】弾性部材を拡張できるように、開放位置にあるクランプレバーを示す、
図30の外科用ステープラの側面図である。
【
図32】
図30の外科用ステープラのアンビル半体と共に使用するのに好適な例示の代替のカートリッジ半体の拡大斜視図である。
【
図33】内部に収容された弾性部材を明らかにするために部分的に切り取られた近位把持特徴部を示す、近位把持特徴部を備えたアンビルシュラウドを有する例示の代替のアンビル半体の側面図である。
【0004】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を図示したものであり、本説明文と共に本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかし、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より、当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0006】
本開示の明瞭さのために、「近位」及び「遠位」という用語は、遠位外科用エンドエフェクタを有する外科用器具を握持する外科医又は他の操作者に対して本明細書で定義される。「近位」という用語は、外科医のより近くに配置された要素の位置を指し、「遠位」という用語は、外科用器具の外科用エンドエフェクタのより近くにかつ外科医からより離れるように配置された要素の位置を指す。また、図面を参照して「上部」、「下部」、「垂直」、「水平」などの空間的用語が本明細書で使用される限り、このような用語は例示的な記述目的にのみ使用されて、限定も絶対も意図していないことが理解されるであろう。その点において、本明細書に開示されるものなどの外科用器具を、本明細書で図示及び記載するものに限定されない様々な向き及び配置で使用してもよいことが理解される。
【0007】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲の「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は集合が、本明細書で記載されているその本来の目的のために機能することを可能とするような好適な寸法の許容範囲を示すものである。
【0008】
I.例示の線状外科用ステープラ
A.例示の線状外科用ステープラの概要
図1及び
図2は、胃腸吻合術などの様々な切断及びステープル留め処置で使用するのに好適な例示の線状外科用ステープラ(10)(「線状カッター」とも称される)を示す。線状外科用ステープラ(10)は、カートリッジ半体(12)(「リロード半体」とも称される)と、アンビル半体(14)と、を含み、両半体は解放可能に連結されて両半体の間に組織をクランプするように構成されている。カートリッジ半体(12)は、発射アセンブリ(34)の一部分を摺動可能に保持する近位フレーム部(18)と、ステープルカートリッジ(80)(又は「リロード」)を支持する遠位顎部(20)と、それらの中間に配置された一対の直立側フランジ(22)と、を有する細長カートリッジチャネル(16)を含む。
【0009】
カートリッジ半体(12)は、側フランジ(22)と略整合してカートリッジチャネル(16)の下面に枢動可能に連結されたクランプレバー(24)を更に含む。クランプレバー(24)は、自由近位端と、枢動ピン(28)を用いてカートリッジチャネル(16)に枢動可能に連結された遠位端と、を有する細長レバーアーム(26)を含む。一対の対向顎部(30)は、カートリッジチャネル(16)のフランジ(22)に沿ってレバーアーム(26)の遠位端から遠位方向に延在する。各顎部(30)は、閉鎖近位端及び開放遠位端を有するそれぞれの細長スロット(32)を含み、細長スロットは、アンビル半体(14)の対応するラッチ突起部(56)と係合するように構成された上部カム面及び下部カム面を画定する。後述するように、クランプレバー(24)は、開放位置と閉鎖位置との間でカートリッジチャネル(16)に対して枢動して、アンビル半体(14)をカートリッジ半体(12)に対して解放可能にクランプし、それによって、半体間に組織層を捕捉するように動作可能である。
【0010】
図2に最も良く示されるように、カートリッジ半体(12)の発射アセンブリ(34)は、カートリッジチャネル(16)の近位フレーム部(18)内に摺動可能に保持されたスライダブロック(36)と、スライダブロック(36)と移動可能に連結されたアクチュエータ(38)(又は「発射ノブ」)と、スライダブロック(36)から遠位方向に延在し、ステープルカートリッジ(80)内に収容されたスレッド(100)(
図3を参照)と連結するように構成された細長作動ビーム(図示せず)と、を備える。本実施例のアクチュエータ(38)は、カートリッジ半体(12)の近位端を中心に枢動して、ステープラ(10)の「両面発射」を提供するように構成されている。具体的には、アクチュエータ(38)は、カートリッジ半体(12)のいずれかの側面に沿って位置付けられて、遠位方向発射ストロークを実行することができ、それにより、ステープラ(10)は、外科手術中に様々な配向で好都合に発射され得る。
【0011】
スライダブロック(36)は、
図2及び
図5Aに示される近位ホーム位置と
図5Bに示される遠位発射位置との間で、アクチュエータ(38)によって近位フレーム部(18)内を並進可能に駆動されるように構成されている。近位ホーム位置では、スライダブロック(36)は、カートリッジチャネル(16)の近位端に固定されたポスト(40)に当接する。ポスト(40)の自由端は、横方向に延在する枢動ピン(42)を支持する。以下に記載するように、アクチュエータ(38)は、ステープラ半体(12、14)が完全に共に連結され、クランプレバー(24)が閉鎖されるときに、遠位方向に駆動されてもよい。アクチュエータ(38)がステープラ(10)の両側面に沿って遠位方向に前進すると、スライダブロック(36)及び細長作動ビームが遠位方向に駆動され、これによってスレッド(100)がステープルカートリッジ(80)を通って遠位方向に駆動される。以下に記載するように、ステープルカートリッジ(80)を通るスレッド(100)の遠位方向並進は、ステープラ半体(12、14)間にクランプされた組織の同時ステープル留め及び切断を提供する。
【0012】
図1及び
図2に最も良く示されるように、線状外科用ステープラ(10)のアンビル半体(14)は、近位フレーム部(52)と遠位顎部(54)とを有する細長アンビルチャネル(50)を含む。アンビルチャネル(50)は、アンビルチャネル(50)の中間部からカートリッジ半体(12)に向かって横断方向に延在する一対の突起部(56)の形態のラッチ特徴部を更に含む。各ラッチ突起部(56)は、以下に記載するように、アンビル半体(14)がカートリッジ半体(12)と連結され、クランプレバー(24)が開放位置から閉鎖位置へと枢動されるときに、対応するクランプレバー顎部(30)のスロット(32)内に捕捉されるように構成された円形回転キャップを含んでもよい。一対のフック(58)は、フレーム部(52)の近位端から近位方向に延在し、カートリッジ半体(12)の近位枢動ピン(42)の対向する側端部を解放可能に捕捉するように構成されている。遠位顎部(54)は、複数のステープル形成ポケット(図示せず)を有するアンビルプレート(60)の形態のアンビル表面を支持し、更に、遠位先端部材(62)も支持する。ステープラ(10)の他の変形形態では、アンビル表面は、アンビルチャネル(50)の遠位顎部(54)と一体的に形成されてもよく、又は別の方法で堅固に接続されてもよい。
【0013】
本実施例のアンビル半体(14)は、アンビルチャネル(50)の中間部に装着されたステープル高さ調整機構(64)を更に含む。調整機構(64)は、例えば1つ以上のカム特徴部(図示せず)を介してアンビルプレート(60)と動作可能に連結され、ユーザーにより係合可能な一対の突起部(66)を含む。突起部(66)を複数の所定位置間で長手方向に調節すると、アンビルプレート(60)が、アンビルチャネル(50)の遠位顎部(54)に対して横断方向に移動する。これにより、アンビルプレート(60)とステープルカートリッジ(80)のデッキ(94)との間の横断方向間隙距離を調節して、形成されるステープルの高さを画定することができる。より大きな間隙距離、ひいては、より長いステープル高さを、より厚い組織をステープル留めする際に設定することができる。同様に、より小さい間隙距離、ひいては、より短いステープル高さを、より薄い組織をステープル留めする際に設定することができる。ステープル高さ調整機構(64)は、いくつかの変形形態では省略されてもよく、その場合、アンビル表面はアンビルチャネル(50)に対して固定されてもよいことが理解されるであろう。例えば、アンビル表面は、遠位顎部(54)と一体的に形成されてもよく、又は別の方法で堅固に固定されてもよい。
【0014】
図1及び
図2に最も良く示されるように、線状外科用ステープラ(10)は、ステープラ(10)の選択部分を覆い、使用中に操作者によるステープラ(10)の効果的な把持及び操作を促進する複数のシュラウド(70、72、74)を更に含む。本実施例では、カートリッジ半体(12)は、カートリッジチャネル(16)の近位フレーム部(18)の外向きの側面を覆う第1のシュラウド(70)を含む。カートリッジ半体(12)は、クランプレバー(24)の外向きの側面を覆い、カートリッジチャネル(16)及び第1のシュラウド(70)に対してクランプレバー(24)と共に枢動するように構成された第2のシュラウド(72)を更に含む。アンビル半体(14)は、近位フック(58)を含む、アンビルチャネル(50)の近位フレーム部(52)の外向きの側面を覆う第3のシュラウド(74)を含む。各シュラウド(70、72、74)は、当業者にとって明らかな任意の好適な手段によって、ステープラ(10)のそれぞれの構成要素と連結されてもよい。加えて、各シュラウド(70、72、74)は、1つ以上の材料で形成されてもよく、外科手術中にステープラ(10)の安全かつ効率的な使用を可能にするために、操作者によるシュラウド(70、72、74)の効果的な把持を促進するのに好適なテクスチャリングを備えてもよい。
【0015】
図2及び
図3に示されるように、本実施例のステープルカートリッジ(80)は、カートリッジ本体(82)と、カートリッジ本体(82)の開放下側を覆うパン(84)と、カートリッジ本体(82)内に収容され、それぞれのステープル(88)を駆動するように構成された複数のステープルドライバ(86)と、を含むアセンブリである。カートリッジ本体(82)は、カートリッジチャネル(16)の遠位顎部(20)の対応する連結特徴部(図示せず)と解放可能に係合するように構成された連結特徴部(90)を有する近位端と、先細先端部(92)を画定する遠位端と、を含む。カートリッジ本体(82)の上側は、長手方向スロット(96)及び複数のステープル空洞(98)が開いている、略平面のデッキ(94)を画定する。各ステープル空洞(98)は、対応するステープルドライバ(86)及びステープル(88)を収容する。
図3に示されるように、カートリッジ本体(82)の内部は、スレッド本体(102)とナイフ部材(104)とを含むスレッド(100)を摺動可能に収容する。スレッド本体(102)の側面は、遠位方向に先細になる複数のカム傾斜部(106)を支持する。スレッド本体(102)の近位端は、ステープルカートリッジ(80)がステープラ(10)のカートリッジ半体(12)に装着されたときに、発射アセンブリ(34)の細長作動ビーム(図示せず)の遠位端と係止係合するように構成された下向きに延在するタブ(108)を含む。ナイフ部材(104)は、スレッド本体(102)の上側から上方に延在し、組織を切断するように構成された遠位に面する切断縁部(110)を有する。
【0016】
スレッド(100)は、発射アセンブリ(34)の遠位作動に応答してカートリッジ本体(82)を通って遠位方向に並進するように構成されており、これにより、ナイフ部材(104)は、長手方向スロット(96)を通って遠位方向に並進して、ステープラ半体(12、14)間にクランプされた組織を切断する。同時に、カム傾斜部(106)は、カートリッジ本体(82)のそれぞれの内部スロット(図示せず)を通って遠位方向に並進して、ステープルドライバ(86)及びステープル(88)をステープル空洞(98)を通って上方に作動させ、その結果、ステープル(88)の自由端がクランプされた組織を貫通し、アンビルプレート(60)のステープル形成ポケットに当たって変形する。このように、発射アセンブリ(34)の遠位方向作動は、ステープラ半体(12、14)の遠位エンドエフェクタ部の間にクランプされた組織の同時切断及びステープル留めを提供する。
【0017】
線状外科用ステープラ(10)及びステープルカートリッジ(80)は、2011年3月15日発行の「Surgical Stapling Instrument with Cutting Member Arrangement」と題された米国特許第7,905,381号、2011年6月7日発行の「Surgical Stapler with Apparatus for Adjusting Staple Height」と題された米国特許第7,954,686号、2013年1月8日発行の「Surgical Stapler Having A Closure Mechanism」と題された米国特許第8,348,129号、及び/又は2014年7月29日発行の「Linear Cutting and Stapling Device with Selectively Disengageable Cutting Member」と題された米国特許第8,789,740号の1つ以上の教示に従って更に構成され、動作可能であってもよい。これらの参考文献のそれぞれの開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0018】
B.線状外科用ステープラの例示の使用
図4A~
図4Cは、外科手術中のステープラ半体(12、14)の例示の連結を示す。
図4Aに示されるように、アンビル半体(14)の近位端は、カートリッジ半体(12)の近位端と整合されて、それにより、カートリッジ半体(12)の近位枢動ピン(42)が、アンビル半体(14)の近位フック(58)によって受容される。クランプレバー(24)が開放位置にある状態で、次に、アンビル半体(14)は、近位枢動ピン(42)を中心にカートリッジ半体(12)に向かって枢動して、アンビル半体(14)のラッチ突起部をクランプレバー顎部(30)のスロット(32)内に導く。一旦ラッチ突起部(56)がクランプレバー顎部(30)によって受容されると、クランプレバー(24)は、
図4Bに示される部分閉鎖位置に向けて枢動される。このクランプレバー(24)の部分閉鎖位置では、アンビル半体(14)は、カートリッジ半体(12)と共に部分的にクランプされるため、半体(12、14)が互いに不所望に分離することなく、ステープラ(10)を片手で保持することができる。加えて、この状態では、ステープラ半体(12、14)の遠位部は、互いに離間したままであり、遠位部間の組織の位置決めを可能にする。組織は、この部分クランプ状態の達成前又は達成時に、ステープラ半体(12、14)の遠位部の間に位置付けられてもよいことが理解されるであろう。
【0019】
図4Cに示されるように、次に、クランプレバー(24)が完全閉鎖位置に向かって更に枢動すると、クランプレバー顎部(30)のカム面が、クランプレバー顎部(30)のスロット(32)の閉鎖近位端に対してアンビル半体(14)のラッチ突起部を近位方向に引くことにより、ステープラ半体(12、14)を、両半体間に固定して位置付けられた組織と共に完全にクランプする。一旦ステープラ(10)の半体(12、14)が完全クランプ状態になると、アクチュエータ(38)を操作してステープルカートリッジ(80)を発射することができる。具体的には、
図5A及び
図5Bに示されるように、アクチュエータ(38)は、ステープラ(10)の近位端を中心に枢動して、ステープラ(10)の側面のうちの1つを覆うように枢動される。次に、アクチュエータ(38)は、遠位方向に駆動されて、上述の方法で発射アセンブリ(34)を作動させ、それによってクランプされた組織を同時に切断及びステープル留めする。遠位方向発射ストロークの完了後、アクチュエータ(38)は、
図2に示される近位ホーム位置に戻されてもよく、次いで、クランプレバー(24)を開放して、ステープラ半体(12、14)を互いに分離し、ステープル留め及び切断された組織を解放してもよい。
【0020】
II.回転する遠位アンビルピンを有する例示の線状外科用ステープラ
図4A~
図4Cに関連して上述したように、線状外科用ステープラ(10)のアンビル半体(14)は、クランプレバー顎部(30)がラッチ突起部(56)を捕捉して顎部スロット(32)内で近位方向に引き込むように、クランプレバー(24)を閉鎖することによって、カートリッジ半体(12)に対してクランプされる。顎部(30)とラッチ突起部(56)との間の摩擦係合は、操作者がクランプレバー(24)に加えなければならない閉鎖力の量において有意な寄与因子である。以下に記載する例示の線状外科用ステープラ(200)は、この摩擦係合を最小化し、それによって必要な閉鎖力を最小化するように好適に構成されている。特に、ステープラ(200)は、以下により詳細に記載するように、クランプレバー(240)によって係合されたときに回転するように構成された段付き遠位アンビルピン(278)を含む。
【0021】
A.線状外科用ステープラの概要
図6及び
図7は、以下に別途記載する点を除き、上述の線状外科用ステープラ(10)と略同様の、例示の線状外科用ステープラ(200)(又は「線状カッター」)を示す。線状外科用ステープラ(200)は、クランプされた組織の同時切断及びステープル留めのために、互いに解放可能に連結して間に組織をクランプするように構成された、カートリッジ半体(202)(又は「リロード半体」)とアンビル半体(204)とを含む。
【0022】
カートリッジ半体(202)は、近位フレーム部(208)と遠位顎部(210)とを有する細長カートリッジチャネル(206)を含む。近位フレーム部(208)は、横方向に対向する一対の直立側フランジ(212)を含み、各フランジは、その遠位端に配置された垂直スロット(214)と、その近位端に配置された先細ノッチ(216)と、を有する。外向きに突出する補強リブ(218)は、各側フランジ(212)の遠位スロット(214)と近位ノッチ(216)との間に長手方向に延在し、剛性の向上した側フランジ(212)を提供するように構成されている。外向きにフレア状の上部セグメント(220)は、以下により詳細に記載するように、各側フランジ(212)の近位部の上縁部を画定し、カートリッジ半体(202)によるアンビル半体(204)の受容を容易にするように構成されている。
【0023】
カートリッジ半体(202)の各側フランジ(212)は、側フランジ(212)の下側に沿って、近位ノッチ(216)と遠位スロット(214)との間で長手方向に延在する細長発射スロット(222)を更に含む。細長発射スロット(222)は、近位位置と遠位位置との間で近位フレーム部(208)内に摺動可能に保持された発射アセンブリ(224)をガイドするように構成されている。発射アセンブリ(224)は、特徴部の中でも特に、スライダブロック(226)と、スライダブロック(226)と枢動可能に連結されて、ステープラ(10)の両面発射を提供する一対のアクチュエータ(228)(又は「発射ノブ」)と、を含む。発射アセンブリ(224)は、本願と同日出願であり、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、「Firing System for Linear Surgical Stapler」と題される米国特許出願[代理人整理番号END8623USNP]の教示に従って更に構成されてもよい。
【0024】
カートリッジチャネル(206)の遠位顎部(210)は、ステープルカートリッジ(230)(又は「リロード」)を受容するように構成されており、このステープルカートリッジは、以下に別途記載する場合を除き、上述のステープルカートリッジ(80)と同様であり得る。ステープルカートリッジ(230)は、ステープルドライバ(86)及びステープル(88)と同様の複数のステープルドライバ及びステープル(図示せず)を収容するカートリッジ本体(232)を含む。カートリッジ本体(232)は、発射アセンブリ(224)のナイフ部材(図示せず)を摺動可能に受容するように構成された長手方向スロット(234)と、発射アセンブリ(224)の一対のカム傾斜部(図示せず)を摺動可能に受容するように構成された一対の内部スロット(図示せず)と、を更に含む。他の変形形態では、ステープルカートリッジ(230)及び発射アセンブリ(224)は、代替的に、ステープルカートリッジ(80)と同様に、ナイフ部材及びカム傾斜部がカートリッジ本体(232)内に収容されるように構成されてもよい。本変形形態のステープルカートリッジ(230)は、カートリッジチャネル(206)の底壁の開口部(図示せず)を通って方向付けられ、スナップ嵌め係合でクランプレバー枢動ピン(242)に解放可能に連結されるように構成された一対の近位連結脚部(236)を更に含む。
【0025】
カートリッジ半体(202)は、カートリッジチャネル側フランジ(212)の遠位スロット(214)と略整合して配置された、クランプレバー枢動ピン(242)を用いてカートリッジチャネル(206)に枢動可能に連結されたクランプレバー(240)を更に含む。クランプレバー(240)は、自由近位端(245)と、枢動ピン(242)を用いてカートリッジチャネル(206)の下部に枢動可能に連結された遠位端と、を有する細長レバーアーム(244)を含む。一対の対向顎部(246)は、カートリッジチャネル側フランジ(212)に沿ってレバーアーム(244)の遠位端から遠位方向に延在する。各顎部(246)は、以下に記載するように、閉鎖近位端と、アンビル半体(204)の遠位連結部材(278)を受容するように構成された開放遠位端と、を有する湾曲スロット(248)を含む。
【0026】
クランプレバー(240)は、レバーアーム(244)の近位端(245)がカートリッジチャネルフレーム部(208)から離間している開放位置(
図11Aを参照)と、近位端(245)がカートリッジチャネルフレーム部(208)と対面する閉鎖位置(
図11B参照)との間でカートリッジチャネル(206)に対して枢動するように動作可能である。開放位置から閉鎖位置へのクランプレバー(240)の作動は、アンビル半体(204)をカートリッジ半体(202)に対してクランプするように動作する。具体的には、各顎部スロット(248)の曲率は、それぞれ上部カム表面及び下部カム表面を画定し、以下により詳細に記載するように、クランプレバー(240)が枢動可能に閉鎖されるとき、アンビル半体(204)の遠位連結部材(278)をカートリッジチャネル(206)に向けて引き寄せ係合させるように構成されている。
【0027】
図7に示されるように、カートリッジ半体(202)は、レバーアーム(244)の近位端(245)に配置されたクランプレバーラッチ部材(250)を更に含む。以下により詳細に記載するように、クランプレバーラッチ部材(250)は、弾性的に付勢されてカートリッジチャネル(206)の近位端と係合し、それによって、例えばステープラ(200)が発射されている間に、クランプレバー(240)を閉鎖位置で解放可能に保持する。平坦ばね(252)の形態で示される弾性部材は、クランプレバー(240)を開放位置に向かって付勢する。したがって、平坦ばね(252)は、以下に記載するように、カートリッジチャネル(206)の近位端からのクランプレバーラッチ部材(250)の係合解除時に、アンビル半体(204)からのレバー顎部(246)の係合解除を促進する。
【0028】
カートリッジ半体(202)は、その近位端に配置された保持アセンブリ(260)を更に含む。
図12及び16A~
図16Dに最も良く示されるように、保持アセンブリ(260)は、アンビルラッチ部材(262)と、カートリッジチャネル(206)の近位端に回転可能に連結された戻り止め部材(264)と、を含む。アンビルラッチ部材(262)及び戻り止め部材(264)は、共有回転軸を中心に互いに独立して回転するように構成されている。アンビルラッチ部材(262)は、アンビル半体(204)の近位ピン(280)を解放可能に捕捉し、それによって、カートリッジ半体(202)の近位端をアンビル半体(204)の近位端と枢動可能に連結するように構成されている。
図14に示されるように、アンビルラッチ部材(262)は、クランプレバー(240)が開放されるときにカートリッジチャネル(206)の下面を通って露出し、クランプレバー(240)が閉鎖されるときに隠される下部解放ボタン(266)を含む。解放ボタン(266)は、操作者によって押し下げられて、アンビルラッチ部材(262)を近位アンビルピン(280)から選択的に係合解除するように構成され、それによって、ステープラ半体(202、204)の近位端の分離を可能にする。保持アセンブリ(260)の戻り止め部材(264)は、発射アセンブリ(224)を近位ホーム位置に解放可能に保持するように構成されている。
図12及び
図16A~
図16Dに示されるように、戻り止め部材(264)は、後述するように、発射アセンブリ(224)が近位ホーム位置から遠位方向に並進している間、クランプレバー(240)を閉鎖位置に維持するように構成された近位フック(268)を含む。保持アセンブリは(260)は、上記の参照により組み込まれる、米国特許出願[代理人整理番号END8623USNP]の教示に従って更に構成され、動作可能であってもよい。
【0029】
図6及び
図7に示されるように、線状外科用ステープラ(200)のアンビル半体(204)は、近位フレーム部(272)と遠位顎部(274)とを有する細長アンビルチャネル(270)を含む。近位フレーム部(272)は、アンビル半体(204)がカートリッジ半体(202)と連結されたときにカートリッジチャネル側フランジ(212)間に受容されるように構成された、横方向に対向する一対の側フランジ(276)を含む。遠位アンビルピン(278)の形態の遠位連結部材は、アンビルチャネル側フランジ(276)の遠位端を通って横方向に延在し、近位アンビルピン(280)の形態の近位連結部材は、アンビルチャネル側フランジ(276)の近位端を通って横方向に延在する。アンビルピン(278、280)は、以下に記載するように、アンビル半体(204)とカートリッジ半体(202)との連結を容易にするように構成されている。
【0030】
アンビル半体(204)の遠位顎部(274)は、ステープラ(200)が発射されるときにステープルカートリッジ(230)によって排出されるステープルの脚部を変形させるように構成された複数のステープル形成ポケット(図示せず)を有するアンビル表面(282)を支持する。いくつかの変形形態では、アンビル表面(282)は、遠位顎部(274)と一体的に形成されてもよく、又は別の方法で堅固に接続されてもよい。他の変形形態では、アンビル表面(282)は、上述のステープラ(10)のアンビルプレート(60)と同様の方法で、遠位顎部(274)に対して調節可能であってもよい。アンビル半体(204)の遠位顎部(274)は更に、先細遠位先端部材(284)を支持する。
【0031】
線状外科用ステープラ(10)と同様に、線状外科用ステープラ(200)は、ステープラ(200)の選択部分を覆い、使用中に操作者によるステープラ(200)の効果的な把持及び操作を促進する複数のシュラウド(254、300)を含む。具体的には、クランプレバーシュラウド(254)は、クランプレバー(240)の外向きの側面に固定されて側面を覆い、それにより、クランプレバーシュラウド(254)が、カートリッジチャネル(206)に対してクランプレバー(240)と共に枢動するように構成されている。加えて、アンビルシュラウド(300)は、アンビルチャネル(270)の外向きの側面に固定され、側面を覆う。アンビルシュラウド(300)をアンビルチャネル(270)に固定する例示の方法を以下に説明する。
【0032】
ステープラ半体(202、204)の組立中、アンビル半体(204)の近位アンビルピン(280)は、カートリッジチャネル(206)の近位先細ノッチ(216)内に方向付けられる。一方、クランプレバー(240)は、湾曲した顎部スロット(248)の開放遠位端が、カートリッジチャネル遠位スロット(214)の開放上端と整合するように、弾性部材(252)によって開放位置に保持される。次に、アンビル半体(204)は、近位アンビルピン(280)を中心に枢動して、遠位アンビルピン(278)を、カートリッジチャネル(206)の垂直遠位スロット(214)及びクランプレバー(240)の湾曲顎部スロット(248)内へ方向付ける。次いで、クランプレバー(240)は、開放位置から閉鎖位置へと枢動され、これにより、湾曲顎部スロット(248)の上部カム面及び下部カム面が、遠位アンビルピン(278)と係合し、遠位アンビルピンを湾曲顎部スロット(248)の閉鎖近位端に向けて引き寄せる。この動作は、アンビルチャネル(270)の遠位顎部(274)をカートリッジチャネル(206)の遠位顎部(210)に近づくように引き寄せることによって、アンビル表面(282)とステープルカートリッジ(230)との間に位置付けられた任意の組織をクランプする。クランプレバー(240)が完全閉鎖位置に達すると、クランプレバーラッチ部材(250)は、カートリッジチャネル(206)の近位端と係合して、クランプレバー(240)を閉鎖位置に維持する。次いで、ステープラ(200)は、発射アセンブリ(34)と同様に、発射アセンブリ(224)を遠位側に作動させることによって発射され得る。ステープラ(200)が発射された後、発射アセンブリ(224)は近位ホーム位置に戻され、クランプレバーラッチ部材(250)は、カートリッジチャネル(206)から係合解除されて、クランプレバー(240)の開放及びその後のステープラ半体(202、204)の分離を可能にする。
【0033】
B.アンビル半体の構成要素の例示の組み立て
図8~
図10Cは、アンビル半体(204)の構成要素、及び当該構成要素を組み立てる対応工程の更なる詳細を示す。
図8に示されるように、アンビルチャネル側フランジ(276)は、内部を通って遠位アンビルピン(278)を横方向に受容するように構成された一対の遠位開口部(286)と、内部を通って近位アンビルピン(280)を横方向に受容するように構成された一対の近位開口部(288)と、を含む。近位フレーム部(272)の底壁は、遠位開口部(286)と略整合して配置された細長遠位スロット(290)と、遠位開口部(286)と近位開口部(288)との間に長手方向に配置された近位スロット(292)と、を含む。近位スロット及び遠位スロット(290、292)は、アンビルチャネル(270)の長手方向中心線に沿って位置付けられる。
【0034】
図8に部分的断面で示されるアンビルシュラウド(300)は、アンビルチャネル(270)の長手方向中心線に平行に、アンビルシュラウド(300)の内部で長手方向に延在し、アンビルチャネル(270)に向かう方向に横断方向に突出する内側フランジ(302)を含む。内側フランジ(302)は、アンビルチャネル(270)に向かって横断方向に延在し、内側フランジ(302)の基部の遠位端(308)を越えて遠位方向に延在する遠位先端部(306)を有する、脚状の遠位タブ(304)を含む。遠位タブ(304)は、円形入口部(312)と、円形入口部(312)から近位方向に延在する細長保持部(314)と、を有する鍵穴スロット(310)を含む。本実施例では、鍵穴スロット(310)は、アンビルチャネル(270)の長手方向軸に平行に配向される。内側フランジ(302)は、アンビルチャネル(270)に向かって横断方向に延在する矩形近位タブ(316)を更に含む。アンビルチャネル(270)の遠位スロット(290)は、アンビルシュラウド(300)の遠位タブ(304)を受容するように構成され、近位スロット(292)は近位タブ(316)を受容するように構成されている。以下に記載するように、アンビルチャネルスロット(290、292)は、対応するタブ(304、316)がスロット内で長手方向に摺動可能であるように好適に寸法決めされている。アンビルシュラウド(300)は、アンビルシュラウド(300)の近位端を通って横方向に延在する一対の近位開口部(318)を更に含み、以下に記載するように、近位アンビルピン(280)を受容するように構成されている。
【0035】
図9に示されるように、本変形形態の遠位アンビルピン(278)は、一対の円筒形肩部(320)と、肩部間の中間に配置された円筒形首部(322)と、を有する段付きピンの形態である。ピン首部(322)は、ピン肩部(320)よりも小さい外径で形成され、これにより、ピン肩部(320)は遠位アンビルピン(278)の最大外径を画定し、ピン首部(322)は遠位アンビルピン(278)の最小外径を画定する。
図8に示されるように、本実施例の近位ピン(280)は、非段状構成の円筒形である。
【0036】
図10Aは、組み立ての最初の段階中のアンビル半体(204)の構成要素を示し、アンビルシュラウド(300)がアンビルチャネル(270)上まで下げられており、アンビルシュラウド(300)の遠位タブ(304)がアンビルチャネル(270)の遠位スロット(290)を通って受容され、近位タブ(316)が近位スロット(292)を通って受容されている。
図10Bに示されるように、アンビルシュラウドタブ(304、316)は、鍵穴スロット(310)の円形入口部(312)がアンビルチャネル(270)の遠位開口部(286)と長手方向に整合するように、スロット(290、292)内で近位に位置付けられる。次いで、段付き遠位アンビルピン(278)が、遠位開口部(286)及び円形入口部(312)に横方向に挿入され、遠位アンビルピン(278)の狭小首部(322)は、鍵穴スロット(310)内にある。
図10Cに示されるように、次に、アンビルシュラウド(300)は、アンビルチャネル(270)に対して遠位方向に並進し、これにより、アンビルシュラウドタブ(304、316)は、対応するアンビルチャネルスロット(290、292)内で遠位方向に摺動し、近位シュラウド開口部(318)は、近位アンビルチャネル開口部(288)と整合する。次に、近位アンビルピン(280)が、整合した近位開口部(288、318)に横方向に挿入されることによって、アンビルシュラウド(300)がアンビルチャネル(270)に対して長手方向に固定され、アンビルシュラウド(300)の近位端がアンビルチャネル(270)に対して横断方向に固定される。近位シュラウド開口部(318)は、締まり嵌めで近位アンビルピン(280)を受容するように寸法決めされてもよく、これにより、一旦挿入されると、近位ピン(280)をアンビルシュラウド(300)及びアンビルチャネル(270)に対して横方向に固定する。
【0037】
図10Cに示されるアンビルチャネル(270)に対するアンビルシュラウド(300)の遠位方向の並進はまた、遠位アンビルチャネルスロット(290)の遠位端の遠位に遠位シュラウドタブ(304)の遠位先端部(306)を位置決めすることによって、アンビルシュラウド(300)の遠位端をアンビルチャネル(270)に対して横断方向に固定するように動作する。加えて、遠位アンビルピン(278)の狭小首部(322)は、アンビルシュラウド(300)の鍵穴スロット(310)の細長保持部(314)内に受容される。各ピン肩部(320)は、遠位アンビルピン(278)がアンビルシュラウド(300)及びアンビルチャネル(270)に対して横方向に拘束されるように、細長保持部(314)の直径よりわずかに大きい外径で形成される。更に、アンビルチャネル(270)の遠位開口部(286)は、ピン肩部(320)よりもわずかに大きく寸法決めされ、鍵穴スロット(310)の細長保持部(314)は、ピン首部(322)よりわずかに大きく寸法決めされ、これにより、遠位アンビルピン(278)は、横方向に拘束されていても、アンビルチャネル(270)及びアンビルシュラウド(300)に対して滑り嵌め係合で回転するように構成されている。
【0038】
図11A及び
図11Bに示されるように、アンビル半体(204)は、近位アンビルピン(280)がカートリッジチャネル(206)の近位先細ノッチ(216)(
図7を参照)内に受容されるように、一般的に上述の方法でカートリッジ半体(202)に装着される。近位アンビルピン(280)の中間部は、カートリッジ半体(202)の近位保持アセンブリ(260)のアンビルラッチ部材(262)(
図12を参照)によって捕捉されることによって、アンビル半体(204)の近位端をカートリッジ半体(202)の近位端と枢動可能に連結する。次に、アンビル半体(204)を近位アンビルピン(280)を中心に枢動させて、遠位アンビルピン(278)のピン肩部(320)を、カートリッジチャネル(206)の遠位垂直スロット(214)(
図7参照)及びクランプレバー顎部(246)の湾曲スロット(248)内へ方向付ける。次いで、クランプレバー(240)は、開放位置から閉鎖位置へと枢動され、これにより、顎部スロット(248)の上部カム面及び下部カム面は、遠位ピン肩部(320)と係合する。顎部スロット(248)のカム面に係合されることに応答して、遠位アンビルピン(278)は、アンビルチャネル(270)及びアンビルシュラウド(300)に対して回転することによって、顎部スロット(248)のカム面に沿って転動する。具体的には、
図11Bに示す左側面図において、遠位アンビルピン(278)は、クランプレバー(240)が閉鎖されると反時計回り方向に回転し、クランプレバー(240)が開放されると時計回り方向に回転する。有利なことに、この遠位アンビルピン(278)の回転は、クランプレバー(240)が開閉されるときに、クランプレバー顎部(246)と遠位アンビルピン(278)との間の摩擦を最小限に抑えるのに役立ち、その結果、操作者が非クランプ状態とクランプ状態間でステープラ(200)を併進させるためにクランプレバー(240)に加えなければならない力を最小限に抑える。
【0039】
C.線状外科用ステープラの近位ヒンジストップ
図12及び
図13は、カートリッジチャネル(206)の近位端と堅固に連結された例示の一対のヒンジストップ(330)の詳細を示す。本変形形態では、ヒンジストップ(330)は、カートリッジチャネル側フランジ(212)の上部近位端と一体的に形成されたタブの形態であり、カートリッジチャネル(206)の最近位端を画定するために内側に巻き付く自由端を有する。使用時には、ヒンジストップ(330)は、アンビルチャネル(270)の近位フレーム部(272)の近位面(273)に当接して、アンビル半体(204)がカートリッジ半体(202)に対して枢動可能に開放され得る程度を制限するように構成されている。ヒンジストップ(330)は、アンビル半体(204)の遠位端とカートリッジ半体(202)の遠位端との間の対応する最大開口距離を可能にするように、カートリッジ半体(202)に対するアンビル半体(204)の任意の所望の枢動を許容するように好適に構成されてもよい。
【0040】
D.線状外科用ステープラのクランプレバーラッチ部材
図14~
図16Dは、線状外科用ステープラ(200)のクランプレバーラッチ部材(250)の更なる詳細及び機能を示す。上述したように、クランプレバーラッチ部材(250)は、クランプレバー(240)の自由近位端(245)をカートリッジチャネル(206)の近位フレーム部(208)に解放可能に連結することによって、クランプレバー(240)を閉鎖位置に解放可能に維持するように構成されている。
図14及び
図15に示されるように、クランプレバーラッチ部材(250)は、遠位に面するカム面(342)を有する上向きに延在するフィンガ(340)と、下向きに延在する解放ボタン(344)と、一対の遠位方向に延在する停止アーム(346)と、を含む。クランプレバーラッチ部材(250)は、クランプレバー(240)の近位端(245)を、横方向に延在するピン(348)に枢動可能に連結し、これにより、上部フィンガ(340)はカートリッジチャネル(206)に向かって横断方向に延在し、下部解放ボタン(344)は、カートリッジチャネル(206)から離れるように横断方向に延在する。クランプレバーシュラウド(254)の近位端は、クランプレバーラッチ部材(250)の周囲に巻き付き、操作者によるアクセスのために下部解放ボタン(344)を露出させる開口部(256)を含む。
【0041】
クランプレバーラッチ部材(250)は、ピボットピン(348)を中心にレバーアーム(244)に対して回転するように構成されている。ねじりばね(350)の形態で示される弾性部材は、遠位停止アーム(346)がレバーアーム(244)の内側底面にもたれかかるように、ラッチ部材(250)を回転方向に付勢する。
図16Aに示されるように、ラッチ部材(250)は、遠位カム面(342)が、クランプレバー(240)の閉鎖中にカートリッジチャネル(206)の近位レッジ(207)に接触するとき、ねじりばね(350)の付勢に対抗して回転するように構成されている。
図16Bに示されるように、クランプレバー(240)が完全閉鎖位置に達すると、クランプレバーラッチ部材(250)の上部フィンガ(340)は、近位レッジ(207)に引っ掛かり、それによってクランプレバー(240)を閉鎖位置に維持する。
【0042】
図16Cに示されるように、ステープラ(200)の発射アセンブリ(224)が発射ストローク中に遠位方向に並進すると、スライダブロック(226)は、近位保持アセンブリ(260)の戻り止め部材(264)を係合解除する。この係合解除により、戻り止め部材(264)は、戻り止め部材(264)の近位フック(268)がクランプレバーラッチ部材(250)の上部フィンガ(340)の先端上に引っ掛かるように、回転付勢下で(
図16Cに示される左側面図において)時計回りに回転することができる。このクランプレバーラッチ部材(250)と戻り止め部材(264)の係合は、ラッチ部材(250)が解放ボタン(344)を介して回転して、ラッチ部材(250)がカートリッジチャネル(206)から係合解除されることを防止する。その結果、発射ストローク中に発射アセンブリ(224)が近位ホーム位置から遠位方向に並進する間、クランプレバー(240)は閉鎖位置に係止される。
図16Dに示されるように、発射アセンブリ(224)のスライダブロック(226)が近位ホーム位置に復帰すると、戻り止め部材(264)及びそのフック(268)は、クランプレバーラッチ部材(250)から離れるように回転する。その結果、下部解放ボタン(344)は、操作者によって押し下げられて、クランプレバーラッチ部材(250)をカートリッジチャネル(206)から係合解除し、次いでクランプレバー(240)を開放することができる。
【0043】
III.遠位解放特徴部を有する例示のクランプレバーラッチ機構
線状外科用ステープラ(200)に関連して上述したように、クランプレバーラッチ部材(250)は、そのラッチ特徴部(340)及び解放特徴部(344)が両方とも、クランプレバー(240)の近位端に配置されるように構成されている。しかしながら、場合によっては、クランプレバー(240)の近位端にラッチ特徴部を維持しながら、クランプレバー(240)の遠位端に解放特徴部を設けるクランプレバーラッチ機構を用いることが望ましい場合がある。そのような構成により、操作者は、片手でラッチ機構及び開放クランプレバー(240)をより容易に解放することができる。
【0044】
図17及び
図18は、上述のタイプの構成を有するクランプレバーラッチ機構(380)を含む、線状外科用ステープラの例示のカートリッジ半体(360)を示す。カートリッジ半体(360)及び/又はその構成要素のうちの1つ以上は、上述の線状外科用ステープラ(200)の相補部分と共に使用するのに好適である。カートリッジ半体(360)は、以下に別途記載する部分を除いて、ステープラ(200)のカートリッジ半体(202)と同様である。カートリッジ半体(202)と同様に、カートリッジ半体(360)は、細長カートリッジチャネル(362)と、カートリッジチャネル(362)と枢動可能に連結され、レバーアーム(366)及び一対のレバー顎部(368)を有するクランプレバー(364)と、レバーアーム(366)に連結され、遠位肩部(372)を有するクランプレバーシュラウド(370)と、を含む。
【0045】
図18に最も良く示されるように、カートリッジ半体(360)は、クランプレバーシュラウド(370)内に、かつクランプレバー(364)の外部の周りに受容されるクランプレバーラッチ機構(380)を更に含む。本実施例のラッチ機構(380)は、中央本体(384)と、中央本体(384)に堅固に連結され、中央本体(384)から近位方向に延在するラッチフィンガ(386)と、中央本体(384)に堅固に連結され、中央本体(384)から遠位方向に延在する一対のアクチュエータアーム(388)と、を有する並進構造(382)を含む。各アクチュエータアーム(388)は、遠位アクチュエータノブ(390)を含む。クランプレバーラッチ機構(380)は、圧縮ばね(392)の形態で示される弾性部材を更に含む。ばね(392)は、近位端では、クランプレバーシュラウド(370)の底面と堅固に連結された固定要素(374)によって、遠位端では、中央本体(384)のばねバスケット(394)によって拘束されている。以下に記載するように、並進構造(382)は、近位位置と遠位位置との間でクランプレバー(364)及びクランプレバーシュラウド(370)に対して並進するように構成され、圧縮ばね(392)は、並進構造(382)を遠位方向に付勢するように構成されている。
【0046】
クランプレバー(364)、クランプレバーシュラウド(370)、及びクランプレバーラッチ機構(380)は、ラッチ機構(380)がシュラウド(370)の内部に摺動可能に受容されるように組み立てられるように構成されている。アクチュエータアーム(388)は、組み立てを容易にするために、中央本体(384)に対して横方向に屈曲するように構成されている。各アクチュエータノブ(390)は、シュラウド肩部(372)の対応する側面に形成された遠位開口部(376)から露出し、近位ラッチフィンガ(386)は、シュラウド(370)の近位端に形成された近位開口部(378)から露出する。次いで、シュラウド(370)がレバーアーム(366)に対して固定される一方で、ラッチ機構(380)の並進構造(382)が、クランプレバー(364)及びシュラウド(370)に対して長手方向に並進可能な状態を保つように、ラッチ機構(380)及びシュラウド(370)が、クランプレバーアーム(366)に装着される。
【0047】
図19A及び
図19Bに示されるように、クランプレバーラッチ機構(380)の並進構造(382)は、遠位ホーム位置(
図19A)と近位拡張位置(
図19B)との間で並進するように構成されている。圧縮ばね(392)は、並進構造(382)を遠位ホーム位置に向かって付勢する。クランプレバー(364)の閉鎖中、ラッチフィンガ(386)の近位カム面(387)は、カートリッジチャネル(362)の底壁(363)の近位端と係合し、並進構造(382)をシュラウド(370)の近位開口部(378)を通って近位方向に駆動する。クランプレバー(364)が完全閉鎖位置に到達すると、並進構造(382)は、圧縮ばね(392)を介して自動的に遠位ホーム位置に戻ることにより、近位ラッチフィンガ(386)がカートリッジチャネル底壁(363)の近位端に引っ掛かって近位端を捕捉し、それにより、クランプレバー(364)を閉鎖位置に解放可能に固定する。ラッチフィンガ(386)をカートリッジチャネル(362)から解放し、クランプレバー(364)の開放を可能にするために、操作者はノブ(390)を近位方向に作動させ、次いで、アクチュエータアーム(388)及び中央本体(384)を介してラッチフィンガ(386)を近位方向に駆動する。
【0048】
IV.アンビルピン射出特徴部を有する例示のアンビルラッチ部材
線状外科用ステープラ(200)に関連して上述したように、カートリッジ半体(202)の近位保持アセンブリ(260)のアンビルラッチ部材(262)は、クランプレバー(240)が完全開放位置に留まる間でも、アンビル半体(204)の近位アンビルピン(280)を解放可能に捕捉して、ステープラ半体(202、204)の近位端を共に連結するように構成されている。次いで、保持アセンブリ(260)の解放ボタン(266)を操作者によって作動させて、アンビルラッチ部材(262)を近位アンビルピン(280)から係合解除し、操作者によってステープラ半体(202、204)を手動で分離することができる。場合によっては、解放特徴部がステープラ半体の近位端の分離を可能にするだけでなく、近位端の自動分離を更に推進するように、線状外科用ステープラのアンビルラッチ部材を構成することが望ましい場合がある。以下に記載する例示の代替のアンビルラッチ部材(408)は、そのような機能を提供する特徴部を組み込む。
【0049】
図20は、以下に別途記載する点を除き、上述のカートリッジ半体(202)と類似する例示のカートリッジ半体(400)の近位端を示す。カートリッジ半体(400)は、図示されていない構成要素の中でも特に、一対の直立側フランジ(404)を含む近位フレーム部を有する細長カートリッジチャネル(402)を含む。一対の先細ノッチ(406)は、直立側フランジ(404)の近位端に形成され、上述のアンビル半体(204)と同様であってもよいアンビル半体(図示せず)の近位ピン(422)(
図21A~
図21Dを参照)を受容するように構成されている。カートリッジ半体(400)は、カートリッジチャネル(402)の近位端に移動可能に連結されたアンビルラッチ部材(408)を更に含む。ステープラ(200)のアンビルラッチ部材(262)と同様に、アンビルラッチ部材(408)は、カートリッジ半体(400)の近位端をアンビル半体(図示せず)の近位端と解放可能に連結するように構成されている。
【0050】
本実施例のアンビルラッチ部材(408)は、タブ様ラッチ本体(410)と、ラッチ本体(410)の近位端に配置され、横断方向に配向された解放ボタン(412)と、ラッチ本体(410)の遠位端に配置され、近位に面するラッチフィンガ(414)と、を含む。遠位ラッチフィンガ(414)の上面は、近位に傾斜する装填カム面(416)を画定し、ラッチ本体(410)の遠位面は、遠位に傾斜する取出カム面(418)を画定し、カム面(416、418)は互いに向かって傾斜している。ラッチ本体(410)は、カートリッジチャネル(402)の近位端に形成されたスロット(420)を通って長手方向に並進するように構成され、弾性部材(図示せず)は、アンビルラッチ部材(408)を近位方向に付勢するように構成されている。
図21A~
図21Cに示されるように、スロット(420)は、ラッチ本体(410)よりも垂直方向にわずかに大きく寸法決めされて、アンビルラッチ部材(408)がカートリッジチャネル(402)に対して並進すること及び枢動することの両方を可能にしてもよい。
【0051】
図21A~
図21Cは、近位ピン(422)を有するアンビル半体(図示せず)の近位端とカートリッジ半体(400)の近位端との連結及び分離を示す。
図21Aに示されるように、アンビル半体の近位端は、近位アンビルピン(422)をチャネルノッチ(406)に方向付け、ラッチフィンガ(414)の装填カム面(416)と係合させるように、カートリッジ半体(400)の近位端と整合される。
図21Bに示されるように、この係合は、
図21Cに示されるようにアンビルピン(422)がラッチフィンガ(414)によって捕捉されるまで、アンビルラッチ部材(408)を弾性部材(図示せず)の付勢に対向して遠位方向に駆動する。カートリッジ半体(400)の近位端及びアンビル半体の近位端は、ここでは、アンビル半体が近位アンビルピン(422)を中心にカートリッジ半体(400)に対して枢動することができるように共に連結されている。ステープラ半体の近位端を互いに分離するために、アンビルラッチ部材(408)の解放ボタン(412)は、
図21Dに示されるように操作者によって遠位方向に押し込まれる。この作動により、アンビルラッチ部材(408)が同時に並進し、遠位方向に枢動する結果、取出カム面(418)は、アンビルピン(422)を上方に駆動し、カートリッジチャネル(402)の近位ノッチ(406)からピン(422)を排出する。このようにして、操作者が手動でステープラ半体を引き離してアンビルピン(422)をカートリッジチャネル(402)から解放する必要なく、解放ボタン(412)の作動時に、アンビル半体の近位端は、カートリッジ半体(400)の近位端から自動的に分離される。
【0052】
V.回転する遠位アンビルピンを有する例示の代替アンビル半体
線状外科用ステープラ(200)に関連して上述したように、アンビルシュラウド(300)は、アンビル半体(204)の構成要素の組み立てを容易にし、ステープラ半体(202、204)のクランプ中に遠位アンビルピン(278)を自由に回転させる特徴部を含む。以下に説明するように、
図22A~
図26Fは、カートリッジ半体(202)と共に使用するのに好適な追加の例示のアンビル半体(430、500、530)を示し、ステープラ半体のクランプ中に遠位アンビルピンの回転を可能にするように構成された例示の代替特徴部を有する。
【0053】
A.長手方向鍵穴スロットを有するアンビルチャネルを備えた例示のアンビル半体
図22A~
図24Bは、以下に別途記載する点を除き、上述のアンビル半体(204)と同様である、例示のアンビル半体(430)を示す。アンビル半体(430)は、構成要素の中でも特に、近位フレーム部(434)と遠位顎部(436)とを有する細長アンビルチャネル(432)を含む。近位フレーム部(434)は、アンビル半体(430)がカートリッジ半体と連結されたときに上述のカートリッジ半体(202)などのカートリッジ半体の側フランジ間に受容されるように構成された、横方向に対向する一対の直立側フランジ(438)を含む。アンビル半体(430)は、横方向に延在する遠位ピン(440)の形態の遠位連結部材と、横方向に延在する近位ピン(442)の形態の近位連結部材(
図24Aを参照)と、を更に含む。後述するように、アンビルピン(440、442)は、ステープラ(200)に関連して上述した方法でアンビル半体(430)とカートリッジ半体との連結を容易にするように構成されることに加えて、アンビルシュラウド(456)をアンビルチャネル(432)に固定するように構成されている。
【0054】
図22Aに示されるように、アンビルチャネル(432)は、側フランジ(438)の遠位端上で長手方向に配向され、スリップ嵌めで遠位アンビルピン(440)を内部を通って横方向に受容するように構成された、一対の鍵穴スロット(444)を更に含む。各鍵穴スロット(444)は、近位に配向された円形入口部(446)と、遠位に配向された細長保持部(448)と、を含み、鍵穴スロット(444)は、アンビルチャネル(432)の長手方向軸に平行に延在する。アンビルチャネル(432)は、側フランジ(438)の近位端に配置され、近位アンビルピン(442)を内部を通って横方向に受容するように構成された一対の近位開口部(450)(
図24Aを参照)を更に含む。
【0055】
図22A及び
図23に示されるように、アンビルシュラウド(456)は、アンビルシュラウド(456)の長手方向中心線に沿ってアンビルチャネル(432)に向かって横断方向に延在する、遠位内側タブ(458)と近位内側タブ(460)(
図23を参照)とを含む。遠位内側タブ(458)は、スリップ嵌めで遠位アンビルピン(440)を内部を通って横方向に受容するように構成された円形開口部(462)を含む。近位内側タブ(460)は、略脚状であり、遠位に延在する先端(464)を有する。アンビルシュラウド(456)のタブ(458、460)は、アンビルチャネル(432)の底壁に形成された対応する細長スロット(452、454)を通って受容され、スロット内部で長手方向に並進するように構成されている(
図23を参照)。
図24Aに示されるように、アンビルシュラウド(456)は、アンビルシュラウド(456)の対向内壁の近位端から内側に延在する一対の近位突出部(466)を更に含む。
【0056】
図22Aに示されるように、遠位アンビルピン(440)は、中間肩部(470)と、肩部(470)のいずれかの端部から外向きに延在する一対の円筒形シャフト(472)と、を有する段付きピンの形態である。ピン肩部(470)は、ピンシャフト(472)よりも大きな外径で形成され、これにより、ピン肩部(470)は遠位アンビルピン(440)の最大外径を画定し、各ピンシャフト(472)は、遠位アンビルピン(440)の最小外径を画定する。
図24Aに示されるように、本実施例の近位アンビルピン(442)は、非段状構成の円筒形である。
【0057】
図22A及び
図22Bは、アンビルシュラウド(456)がアンビルチャネル(432)上まで下げられるアセンブリの初期段階中のアンビル半体(430)の構成要素を示しており、アンビルシュラウド(456)の遠位内側タブ(458)が遠位アンビルチャネルスロット(452)を通って受容され、近位内側タブ(460)が近位アンビルチャネルスロット(454)を通って受容される。アンビルシュラウド(456)は、アンビルチャネル(432)上の鍵穴スロット(444)の円形入口部(446)が、アンビルシュラウド(456)の遠位内側タブ(458)上の円形開口部(462)と整合するように、アンビルチャネル(432)に対して近位に位置付けられる。次に、遠位アンビルピン(440)は、ピン肩部(470)が円形開口部(462)内に位置するように、円形入口部(446)及び円形開口部(462)を通って横方向に挿入される。遠位アンビルピン(440)の挿入は、アンビルシュラウド(456)の遠位端をアンビルチャネル(432)に対して横断方向に固定するように動作する。図示されていないが、近位アンビルピン(442)は、アンビルシュラウド(456)をアンビルチャネル(432)に装着する前に、アンビルチャネル(432)の近位開口部(450)を通って横方向に挿入される。
【0058】
図22Cに示されるように、次に、アンビルシュラウド(456)及び遠位アンビルピン(440)は、アンビルチャネル(432)上の鍵穴スロット(444)の細長保持部(448)内にピンシャフト(472)が受容されるように、アンビルチャネル(432)に対して遠位方向に並進する。
図22Dに示されるように、ピン肩部(470)は細長保持部(448)よりも大きく寸法決めされており、アンビルシュラウド(456)及び遠位アンビルピン(440)の遠位方向並進の結果として、遠位アンビルピン(440)は、アンビルチャネル(432)及びアンビルシュラウド(456)に対して横方向に拘束されるようになる。
図23及び
図24A~
図24Bに示されるように、アンビルシュラウド(456)の遠位並進は、アンビルシュラウド(456)の追加特徴部を、アンビルチャネル(432)に対して前進させるように動作する。具体的には、
図23に示されるように、近位内側タブ(460)の遠位先端(464)は、近位アンビルチャネルスロット(454)の遠位端を越えて遠位方向に前進し、アンビルシュラウド(456)の近位端をアンビルチャネル(432)に対して横断方向に固定する。加えて、
図24A及び
図24Bに示されるように、アンビルシュラウド(456)の近位内側突起部(466)は、近位アンビルピン(442)の側端全体及び側端を越えて遠位方向に前進し、戻り止め係合により、アンビルシュラウド(456)をアンビルチャネル(432)に対して長手方向に固定する。
【0059】
したがって、
図22A~
図24Bに示される工程に従い、アンビル半体(430)の構成要素は、遠位アンビルピン(440)が、アンビルチャネル(432)及びアンビルシュラウド(456)に対する回転を許容されつつ、横方向に拘束されるように完全に組み立てられる。アンビル半体(204)に関連して上述したように、このように遠位アンビルピン(440)が回転できることで、アンビル半体(430)を線状外科用ステープラの対応するカートリッジ半体に対してクランプする際に摩擦を低減する利点が得られる。
【0060】
B.横断鍵穴スロットを有するアンビルチャネルと、横断戻り止めスロットを有するアンビルシュラウドとを有する例示のアンビル半体
図25A~
図25Cは、以下に別途説明するもの以外は上述のアンビル半体(204、430)と同様の、別の例示のアンビル半体(500)を示す。アンビル半体(500)は、他の構成要素の中でも特に、近位フレーム部(504)と遠位顎部(506)とを有する細長アンビルチャネル(502)を含む。近位フレーム部(504)は、アンビル半体(500)がカートリッジ半体と連結されるときに、上述のカートリッジ半体(202)などのカートリッジ半体の側フランジの間に受容されるように構成された、横方向に対向する一対の直立側フランジ(508)を含む。アンビル半体(500)は、上述の段付き遠位アンビルピン(440)の形態の遠位連結部材を更に含む。図示されていないが、アンビル半体(500)は、上述の近位アンビルピン(280、442)と同様であり得る、横方向に延在する近位ピンの形態の近位連結部材を更に含む。遠位アンビルピン(440)及び近位アンビルピンは、ステープラ(200)に関連して上述した方法でアンビル半体(500)とカートリッジ半体との連結を容易にするように構成されることに加えて、アンビルシュラウド(516)をアンビルチャネル(502)に固定するように構成されている。
【0061】
図25Aに示されるように、アンビルチャネル(502)は、側フランジ(508)の遠位端上で横断方向に配向され、スリップ嵌めで遠位アンビルピン(440)を内部を通って横方向に受容するように構成された、一対の鍵穴スロット(510)を更に含む。各鍵穴スロット(510)は、アンビルチャネル(502)の底壁に向かって配向された円形の入口部(512)と、対応する側フランジ(508)の自由縁部に向かって配向された細長保持部(514)と、を含む。アンビルチャネル(502)は、側フランジ(508)の近位端に配置され、近位アンビルピン(図示せず)を内部を通って横方向に受容するように構成された、近位開口部(288、450)と同様の一対の近位開口部(図示せず)を更に含む。
【0062】
図25Aに示されるように、アンビルシュラウド(516)は、アンビルチャネル(502)に向かって横断方向に延在し、戻り止めスロット(520)を有する遠位内側タブ(518)を含む。戻り止めスロット(520)は、略円形入口部(522)と、一対の戻り止め隆起部(526)によって互いに分離された略円形保持部(524)と、を含む。入口部(522)及び保持部(524)はそれぞれ、寸法が同様であり、内部を通ってスリップ嵌めで遠位アンビルピン(440)を受容するように構成されている。入口部及び保持部(522、524)は協働して、アンビル半体(500)の長手方向軸に対して横断方向に配向された戻り止めスロット(520)の中心線を画定する。したがって、本実施例の戻り止めスロット(520)及び鍵穴スロット(510)は、互いに平行に、かつアンビル半体(500)の長手方向軸に対して横断方向に、配向される。
【0063】
図25Aは、アンビルシュラウド(516)がアンビルチャネル(502)上まで下げられる組み立ての初期段階におけるアンビル半体(500)の構成要素を示し、戻り止めスロット(520)の入口部(522)が、鍵穴スロット(510)の入口部(512)と整合している。次に、
図25Aに示されるように、遠位アンビルピン(440)が、入口部(512、522)を通って横方向に挿入され、次いで、アンビルシュラウド(516)が、アンビルチャネル(502)に対して更に下げられて、ピンシャフト(472)を鍵穴スロット(510)の保持部(514)内に着座させる。したがって、遠位アンビルピン(440)は、ここでは、アンビルチャネル(502)及びアンビルシュラウド(516)に対して横方向に拘束され、アンビルシュラウド(516)は、アンビルチャネル(502)に対して長手方向に固定される。
【0064】
アンビルシュラウド(516)の遠位端をアンビルチャネル(502)に対して横断方向に固定するために、アンビルシュラウド(516)は、アンビルチャネル(502)に向かって更に横断方向に押される。遠位アンビルピン(440)は、鍵穴スロット(510)の保持部(514)内に着座した結果、この方向への更なる移動に抵抗する。したがって、アンビルシュラウド(516)は、遠位アンビルピン(440)に対して横断方向に前進し、これにより、
図25Cに示されるように、ピン肩部(470)は、戻り止めスロット(520)の入口部(522)から戻り止め隆起部(526)を超えて戻り止めスロット(520)の保持部(524)へと通過する。よって、戻り止め隆起部(526)は、遠位アンビルピン(440)をアンビルシュラウド(516)及びアンビルチャネル(502)に対して自由に回転させつつ、アンビルシュラウド(516)の近位端をアンビルチャネル(502)に対して横断方向に固定する。アンビルシュラウド(516)の近位端は、アンビル半体(204)に関連して上述したものと同様の方法で、近位アンビルピン(図示せず)によってアンビルチャネル(502)に固定されてもよい。
【0065】
したがって、
図25A~
図25Cに示される工程に従い、アンビル半体(500)の構成要素は、遠位アンビルピン(440)が、アンビルチャネル(502)及びアンビルシュラウド(516)に対して回転することが可能でありつつ、横方向に拘束されるように完全に組み立てられる。アンビル半体(204)に関連して上述したように、このように遠位アンビルピン(440)が回転できることで、アンビル半体(500)を線状外科用ステープラの対応するカートリッジ半体に対してクランプする際に摩擦を低減する利点が得られる。
【0066】
C.横断鍵穴スロットを有するアンビルチャネルと、長手方向スロットを有するアンビルシュラウドとを有する例示のアンビル半体
図26A~
図26Fは、以下に別途説明する点を除き、上述のアンビル半体(204、430、500)と同様の、別の例示のアンビル半体(530)を示す。アンビル半体(530)は、構成要素の中でも特に、近位フレーム部(534)と遠位顎部(536)とを有する細長アンビルチャネル(532)を含む。近位フレーム部(534)は、アンビル半体(530)がカートリッジ半体に連結されたときに、上述のカートリッジ半体(202)などのカートリッジ半体の側フランジ間に受容されるように構成された、横方向に対向する一対の直立側フランジ(538)を含む。アンビル半体(530)は、上述の段付き遠位アンビルピン(440)の形態の遠位連結部材と、上述の円筒形近位アンビルピン(442)の形態の近位連結部材と、を更に含む。アンビルピン(440、442)は、ステープラ(200)に関連して上述した方法でアンビル半体(530)とカートリッジ半体との連結を容易にするように構成されることに加えて、アンビルシュラウド(550)をアンビルチャネル(432)に固定するように構成されている。
【0067】
図26Aに示されるように、アンビルチャネル(532)は、側フランジ(538)の遠位端上で横断方向に配向され、スリップ嵌めで遠位アンビルピン(440)を内部を通って横方向に受容するように構成された、一対の鍵穴スロット(540)を更に含む。各鍵穴スロット(540)は、アンビルチャネル(532)の底壁に向かって配向された円形入口部(542)と、対応する側フランジ(538)の自由縁部に向かって配向された細長保持部(544)と、を含む。アンビルチャネル(532)は、側フランジ(538)の近位端に配置され、近位アンビルピン(442)を内部を通って横方向に受容するように構成された、近位開口部(288、450)と同様の一対の近位開口部(図示せず)を更に含む。アンビルチャネル(532)の底壁は、アンビルシュラウド(550)の遠位内側タブ(552)を摺動可能に受容するように構成された、遠位スロット(290)と同様の遠位スロット(図示せず)と、アンビルシュラウド(550)の近位内側タブ(556)を内部を通って摺動可能に受容するように構成された近位スロット(546)(
図26Eを参照)と、を含む。
【0068】
図26Aに示されるように、アンビルシュラウド(550)の遠位内側タブ(552)は、アンビルチャネル(532)に向かって横断方向に延在し、滑り嵌めで遠位アンビルピン(440)を内部を通って横方向に受容するように構成された長手方向スロット(554)を有する。
図26Eに示されるように、アンビルシュラウド(550)の近位内側タブ(556)は、アンビルチャネル(532)に向かって横断方向に延在し、円形開口部(558)を有する。
図26Fに示されるように、アンビルシュラウド(550)は、アンビルシュラウド(550)の対向側壁を通って横方向に延在する一対の近位開口部(560)を更に含む。本実施例では、近位開口部(560)は六角形の形状で形成される。近位内側タブ(556)の円形開口部(558)及びシュラウド側壁の近位開口部(560)は、互いに整合され、締まりばめで近位アンビルピン(442)を内部を通って横方向に受容するように構成されている。
【0069】
図26A及び
図26Bは、アンビルシュラウド(550)がアンビルチャネル(532)上まで下げられるアセンブリの初期段階におけるアンビル半体(530)の構成要素を示し、遠位内側タブ(552)は、アンビルチャネル(532)の遠位スロット(図示せず)を通って受容される。アンビルシュラウド(550)はまず、遠位内側タブ(552)の長手方向スロット(554)が、アンビルチャネル(532)の鍵穴スロット(540)の円形入口部(542)と整合するように位置付けられる。次に、遠位アンビルピン(440)は、
図26Bに示されるように、円形入口部(542)及び長手方向スロット(554)を通って横方向に挿入される。
図26Cに示されるように、アンビルシュラウド(550)が更に下げられて、ピンシャフト(472)を鍵穴スロット(540)の下部保持部(544)内に着座させることによって、遠位アンビルピン(440)がアンビルチャネル(532)及びアンビルシュラウド(550)に対して横方向に拘束される。
図26D~
図26Fに示されるように、次に、アンビルシュラウド(550)をアンビルチャネル(532)に対して近位方向に並進させて、近位内側タブ(556)の開口部(558)及びシュラウド(550)の側壁の近位開口部(560)を、アンビルチャネル(532)の近位開口部(図示せず)と整合させる。
図26Fに示されるように、次いで、近位アンビルピン(442)が、アンビル開口部及びシュラウド開口部(558、560)を通って横方向に挿入されることによって、アンビルシュラウド(550)をアンビルチャネル(532)に対して長手方向及び横断方向に固定する。
【0070】
したがって、
図26A~
図26Fに示される工程に従い、アンビル半体(530)の構成要素は、遠位アンビルピン(440)が、アンビルチャネル(532)及びアンビルシュラウド(550)に対して回転することが許容されつつ、横方向に拘束されるように完全に組み立てられる。アンビル半体(204)に関連して上述されるように、このように遠位アンビルピン(440)が回転できることで、アンビル半体(530)を線状外科用ステープラの対応するカートリッジ半体に対してクランプする際に摩擦を低減する利点が得られる。
【0071】
VI.カートリッジチャネルに連結されたクランプレバーロックアウト部材を備える例示の線状外科用ステープラ
線状外科用ステープラ(200)に関連して上述されるように、保持アセンブリ(260)のクランプレバーラッチ部材(250)及び近位フック(268)は、クランプレバー(240)を閉鎖位置に解放可能に係止するように構成されている。場合によっては、ステープラ(200)に、ステープラ半体(202、204)が互いに適切に位置合わせされるまで、クランプレバー(240)を完全開放位置に解放可能に係止するように動作可能な代替的特徴部を設けることが望ましい場合がある。
図27~
図29Cに関連して以下に説明する例示の線状外科用ステープラ(600)は、そのようなクランプレバーロックアウト部材(640)を含み、このクランプレバーロックアウト部材は、遠位アンビルピン(636)がクランプレバー顎部(622)によって効果的に捕捉されることを確実にするために、ステープラ半体(602、604)が適切に位置合わせされるまでクランプレバー(618)の閉鎖を防止するように動作可能である。
【0072】
線状外科用ステープラ(600)は、以下に別途記載する点を除き、上述の線状外科用ステープラ(200)と略同様である。更に、ロックアウト部材(640)などのステープラ(600)の任意の1つ以上の特徴部が、ステープラ(200)又は本明細書に開示される他の例示のステープラ半体のいずれかと共に実装されてもよい。ステープラ(200)と同様に、ステープラ(600)は、共に解放可能に連結してその間の組織をクランプするように構成された、カートリッジ半体(602)とアンビル半体(604)とを含む。カートリッジ半体(602)は、発射アセンブリ(224)と同様であり得る発射アセンブリ(図示せず)を摺動可能に収容するように構成された近位フレーム部(608)と、ステープルカートリッジ(230)と同様であり得るステープルカートリッジ(図示せず)を受容するように構成された遠位顎部(610)と、を有する細長カートリッジチャネル(606)を含む。近位フレーム部(608)は、横方向に対向する一対の直立側フランジ(612)と、側フランジ(612)の遠位端に配置された一対の垂直スロット(614)と、側フランジ(612)の近位端に配置された一対の先細ノッチ(616)と、を含む。カートリッジ半体(602)は、近位フレーム部(608)に枢動可能に連結されたクランプレバー(618)を更に含む。クランプレバー(618)は、細長レバーアーム(620)と、細長レバーアーム(620)の遠位端から遠位に延在する一対の横方向の対向顎部(622)と、を含む。各顎部(622)は、上部カム面及び下部カム面を画定する湾曲した顎部スロット(624)を含む。
【0073】
線状外科用ステープラ(600)のアンビル半体(604)は、近位フレーム部(632)と、ステープルカートリッジ(図示せず)によって排出されたステープルを変形させるように構成されたアンビル表面(図示せず)を支持する遠位顎部(634)と、を有する細長アンビルチャネル(630)を含む。アンビル半体(604)は、横方向に延在する遠位ピン(636)の形態の遠位連結部材と、横方向に延在する近位ピン(638)の形態の近位連結部材と、を更に含む。図示されていないが、ステープラ(600)は、例えば、上述したクランプレバーシュラウド(254)及びアンビルシュラウド(300)と同様の、クランプレバーシュラウド及びアンビルシュラウドなどの複数のシュラウドを更に含んでもよい。
【0074】
ステープラ(600)のカートリッジ半体(602)は、垂直スロット(614)の近位に配置された外向きに突出する支持タブ(642)を介してカートリッジチャネル側フランジ(612)の遠位端に枢動可能に連結されたクランプレバーロックアウト部材(640)を更に含む。クランプレバーロックアウト部材(640)は、カートリッジチャネル(606)の長手方向軸に平行に延在する水平軸を中心に枢動して、以下により詳細に記載するように、ステープラ半体(602、604)が互いに適切に整合するまで、クランプレバー(618)の閉鎖を防止するように構成される。
【0075】
図29A及び
図29Bに最も良く示されるように、クランプレバーロックアウト部材(640)は、カートリッジチャネル側フランジ(612)の外部に沿って延在する外側アーム(644)と、外側アーム(644)に対して傾斜し、カートリッジチャネル(606)の内部に延在する内側アーム(646)と、を含む。
図27及び
図29Aに示されるように、外側アーム(644)は、クランプレバー(618)の顎部肩部(626)に係合し、顎部スロット(624)の開放遠位端がカートリッジチャネル(606)の垂直スロット(614)と整合した状態を保つように、完全開放位置においてクランプレバー(618)を保持するように構成される。ロックアウト部材(640)の内側アーム(646)は、アンビル半体(604)がカートリッジ半体(602)によって最初に受容されるときに、アンビルチャネル(630)の近位フレーム部(632)に係合されるように構成されている。具体的には、
図29A及び
図29Bに示されるように、アンビル近位フレーム部(632)が内側アーム(646)と係合すると、
図29Cに示されるように、外側アーム(644)が顎部肩部(626)を係合解除し、クランプレバー(618)の閉鎖を可能にするように、ロックアウト部材(640)が外側に枢動する。このようにして、クランプレバーロックアウト部材(640)は、アンビル半体(604)の遠位アンビルピン(636)がカートリッジチャネル(606)の垂直スロット(614)及びクランプレバー(618)の顎部スロット(624)によって受容されたときのみ、クランプレバー(618)が閉鎖され得ることを確実にすることによって、クランプレバー(618)の早期閉鎖を防止する。クランプレバー(618)が完全開放位置に戻ると、ロックアウト部材(640)は自動的にロックアウト位置に戻り、上述の方法で顎部肩部(626)を再係合する。
【0076】
VII.ばね式分離特徴部を有する線状外科用ステープラ
A.遠位アンビル肩部内に収容された弾性部材を有する例示の構成
図30~
図32は、以下に別途記載のない限り
図30~
図32における同様の参照番号の使用によって示されるように、上述のステープラ半体(202、204)と実質的に同様である、カートリッジ半体(702)及びアンビル半体(704)を有する別の例示の線状外科用ステープラ(700)を示す。具体的には、ステープラ半体(702、704)は、以下により詳細に記載するように、互いに離れるように弾性的に付勢されて、半体(702、704)の分離を補助し、ステープラ(700)の片手での使い易さを向上させる。
【0077】
線状外科用ステープラ(700)のアンビル半体(704)は、アンビルシュラウド(300)の遠位肩部(324)の内部内に収容された圧縮ばね(706)の形態で示される弾性部材を含む。本変形形態では、肩部(324)の内部は、アンビルチャネル(270)の近位フレーム部(272)に向かって内側に突出するポスト(708)を含む。ばね(706)の外側端(710)はポスト(708)を取り囲み、それによってアンビルシュラウド(300)に対して拘束され、ばね(706)の自由内側端(712)は、アンビルチャネル(270)の近位フレーム部(272)に向かって横断方向に延在する。
図31Bに示されるように、ばねの内側端(712)は、ばね(706)が弛緩状態にあるときに、アンビルチャネル(270)の底壁の外面に向かい合うように構成されている。ポスト(708)は、アンビルシュラウド(300)と一体に形成されてもよく、又は別の方法でシュラウド(300)に堅固に接続されてもよい。いくつかの変形形態では、ポスト(708)は省略されてもよく、ばね外側端(710)は、アンビルシュラウド(300)に直接固定されてもよい。他の変形形態では、圧縮ばね(706)は、例えば、板ばね又は波形ばねなど、本明細書の教示を考慮する当業者にとって容易に明らかになる様々な代替的な種類の弾性部材で置換されてもよい。
【0078】
図31A及び
図31Bに示されるように、圧縮ばね(706)の内側端(712)は、アンビルチャネル(270)の近位フレーム部(272)の幅よりも大きく、かつカートリッジチャネル(206)の近位フレーム部(208)の幅以上であるばね幅を画定する。本変形形態では、ばねの内側端(712)は、ばねの外側端(710)に対して外向きにフレア状になっているが、他の変形形態では、ばね(706)は、一定の外径で形成されてもよい。したがって、ばねの内側端(712)は、アンビル半体(704)が、ステープラ(200)に関連して上述した方法でクランプレバー(240)を閉鎖することによって、カートリッジ半体(702)にクランプされたときに、カートリッジチャネル側フランジ(212)の上面に直接接触するように構成される。したがって、
図31Aに示されるように、カートリッジチャネル側フランジ(212)は、ステープラ半体(702、704)がクランプレバー(240)によって完全にクランプされたときに、ばね内側端(712)をばね外側端(710)に向けて圧縮する。
【0079】
図31B及び
図31Cに示されるように、クランプレバー(240)が開放位置に向かって移動すると、クランプレバー顎部(246)が遠位アンビルピン(278)を解放し始め、圧縮ばね(706)が伸張して、カートリッジチャネル側フランジ(212)を押し込み、アンビルチャネル(270)から離れるようにカートリッジチャネル(206)を押す。このようにして、ばね(706)は、遠位開口(714)がステープラ半体(702、704)の遠位部間に形成されるように、ステープラ半体(702、704)を近位アンビルピン(280)を中心に枢動させて開放する。ステープラ半体(702、704)は、アンビルラッチ部材(262)を介して、近位端で連結されたままであるため(
図16A~16Dを参照)、操作者は、ステープラ(700)を片手で保持しながら、ステープル半体(702、704)から容易に組織を除去することが可能になる。
【0080】
図32は、線状外科用ステープラ(700)のアンビル半体(704)と共に使用するのに好適な例示の代替のカートリッジ半体(720)を示す。カートリッジ半体(720)は、以下に別途記載する点を除き、上述のカートリッジ半体(202、702)に類似している。カートリッジ半体(202、702)と同様に、カートリッジ半体(720)は、直立側フランジ(724)を有する近位フレーム部と、カートリッジチャネル(722)と枢動可能に連結されたクランプレバー(730)と、を有する細長カートリッジチャネル(722)を含む。カートリッジ半体(720)は、カートリッジチャネル側フランジ(724)の遠位部から上方に延在する隆起タブ(726)の形態で示される一対の突出部を更に含む。タブ(726)は、側フランジ(724)と一体に形成されてもよく、又は別の方法で側フランジ(724)に堅固に連結されてもよい。各タブ(726)の上端は、カートリッジチャネル(206)の側フランジ(212)と同様の方法で、アンビル半体(704)の圧縮ばね(706)の内側端(712)の対応する側面に係合するように構成されている。各タブ(726)は、それぞれのカートリッジチャネル側フランジ(724)の上縁部の上方に横断方向高さ(H)を有して形成される。タブ高さ(H)は、アンビル半体(704)がカートリッジ半体(720)に対してクランプされるときに、ばね(706)を所定量だけ圧縮することによって、圧縮ばね(706)によりカートリッジチャネル(722)に加えられる結果として得られるばね力を調整するように選択することができる。選択されたタブ高さ(H)はまた、例えば
図31Cに示されるように、クランプレバー(730)が開放されたときに、ステープラ半体(704、720)の遠位端の間に画定される結果として得られる開口の寸法も決定することが理解されるであろう。
【0081】
ステープラ(200)に関連して上述したように、クランプレバー(240)の各顎部(246)は、湾曲スロット(248)を含み、湾曲スロット(248)は、その両側に配置された第1のカム構造及び第2のカム構造を画定する。第1の(又は近位)カム構造は、クランプレバー(240)が閉鎖されると、遠位アンビルピン(278)を顎部スロット(248)及び対応するカートリッジチャネル遠位スロット(214)に引き込むように構成された第1のカム面を画定する。第2の(又は遠位)カム構造は、クランプレバー(240)が開放されると、遠位アンビルピン(278)を顎部スロット(248)及び対応するカートリッジチャネル遠位スロット(214)から排出するように構成された第2のカム面を画定する。
【0082】
カートリッジ半体(720)のクランプレバー(730)は、クランプレバー(720)が、それぞれ単一のカム構造を有する一対の顎部(732)を含む点で、クランプレバー(240)とは異なる。単一カム構造は、カートリッジ半体(720)に対してアンビル半体(204、704)をクランプするために、遠位アンビルピン(278)を引き込むように構成された湾曲遠位カム面(734)を画定する。第2のカム構造が省略される顎部(732)のこの構成は、特に、厚い組織をクランプするときに、クランプレバー(730)が閉鎖位置で動けなくなる「摩擦係止」シナリオのリスクを低減する。更に、顎部(732)上の第2のカム構造を省略することにより、クランプレバー(730)は、クランプレバー(730)の近位端が、例えば上述のラッチ部材(250)と同様のクランプレバーラッチ部材を介してカートリッジチャネル(722)から分離するときに、圧縮ばね(706)の弾性付勢を介して、より容易に開放位置に向かって移動することができる。したがって、顎部(732)は、圧縮ばね(706)によって提供されるステープラ半体(704、720)のばね支援式分離を強化するように構成されている。
【0083】
B.近位アンビル肩部内に収容された弾性部材を有する例示の構成
場合によっては、使用中に操作者がステープラを把持し易いように構成された近位特徴部を、線状外科用ステープラのアンビルシュラウドに設けることが望ましい場合がある。
図33は、以下に記載するような方法で構成され、上述の例示のカートリッジ半体(202、702、720)のいずれかと共に使用するのに好適な例示の代替のアンビル半体(740)を示す。アンビル半体(740)は、アンビル半体(740)が、細長アンビルチャネル(742)と、遠位アンビルピン(746)及び近位アンビルピン(748)を有するアンビルチャネル(742)の近位フレーム部に固定されたアンビルシュラウド(744)と、を含むという点で、アンビル半体(204、704)に類似している。
【0084】
アンビルシュラウド(744)は、以下に別途記載する点を除き、上述のアンビルシュラウド(300)に類似している。アンビルシュラウド(300)と同様に、アンビルシュラウド(744)は、シュラウド(744)の遠位端に配置された遠位肩部(750)を含む。しかしながら、アンビルシュラウド(744)は、シュラウド(744)の近位端に配置された第2の肩部(752)の形態で示される近位グリップ機構を更に含む。本実施例の近位肩部(752)は、アンビルシュラウド(744)の中間部(754)に対して外側に突出し、遠位肩部(750)と同様に中空内部を有する。使用中、シュラウド中間部(754)は、例えば発射アセンブリ(224)の遠位方向発射中に近位肩部(752)が操作者の手を近位に拘束し、例えば発射アセンブリ(224)の近位方向後退中に遠位肩部(750)が操作者の手を遠位に拘束するように、操作者によって把持されるように構成される。
【0085】
アンビル半体(740)は、上述のアンビル半体(704)の圧縮ばね(706)と構造及び機能が類似している圧縮ばね(760)の形態で概略的に示される弾性部材を更に含む。本変形形態では、圧縮ばね(760)は、近位アンビルピン(748)のすぐ遠位の位置において、アンビルシュラウド(744)の近位肩部(752)の開放内部内に収容される。圧縮ばね(760)は、アンビルシュラウド(744)に対して固定された外側端(762)と、アンビルチャネル(742)の近位端に向かって延在し、近位端と向かい合う自由内側端(764)と、を含む。ばねの内側端(764)は、アンビル半体(740)がカートリッジ半体(202、702、720)に対してクランプされたときに、カートリッジチャネル側フランジ(212、724)の近位端の上面に対してばね(760)の弾性圧縮を加えるように構成されている。したがって、上述の圧縮ばね(706)と同様に、圧縮ばね(760)は、クランプレバー(240、730)が開放されたときに、カートリッジ半体(202、702、720)に対するアンビル半体(740)の開放をばねで支援するように構成されている。
【0086】
図示されていないが、いくつかの変形形態では、カートリッジ半体(720)の隆起タブ(726)は、アンビル半体(740)の圧縮ばね(760)と相互作用するように近位に配置されてもよいことが理解されるであろう。加えて、いくつかの変形形態では、圧縮ばね(760)は、圧縮ばね(760)と同様に、アンビルシュラウド(744)の遠位肩部(750)内に収容されてもよい。他の変形形態では、圧縮ばね(706、760)などの弾性部材は、遠位肩部(750)及び近位肩部(752)の両方の内部に収容されてもよい。
【0087】
VIII.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の出願におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではないと理解されよう。一切の棄権を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものにすぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の継承者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとして見なされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、それらの更なる特徴は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例0088】
外科用ステープラであって、(a)アンビル表面を支持する遠位部を有する第1の細長部材であって、アンビル表面が複数のステープル形成ポケットを含む、第1の細長部材と、(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部を有する第2の細長部材と、(c)第1の細長部材と回転可能に連結されたピンと、(d)第2の細長部材と移動可能に連結されたクランプ部材であって、ピンを解放可能に捕捉し、それによって第1の細長部材を第2の細長部材に対してクランプするように動作可能である、クランプ部材と、を含み、ピンが、クランプ部材によって捕捉されたことに応じて、第1の細長部材に対して回転するように構成されている、外科用ステープラ。