特開 2023-182867 データ処理装置、プログラム、及びデータ処理方法

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023182867

(43)【公開日】2023-12-27

(54)【発明の名称】データ処理装置、プログラム、及びデータ処理方法

(51)【国際特許分類】

   G06T 13/40 20110101AFI20231220BHJP

【ＦＩ】

G06T13/40

【審査請求】有

【請求項の数】13

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2020184621

(22)【出願日】2020-11-04

(71)【出願人】

【識別番号】501440684

【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110000877

【氏名又は名称】弁理士法人ＲＹＵＫＡ国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】石若 裕子

(72)【発明者】

【氏名】須田 和人

(72)【発明者】

【氏名】嘉数 翔

【テーマコード（参考）】

5B050

【Ｆターム（参考）】

5B050AA03

5B050BA08

5B050BA09

5B050BA12

5B050CA08

5B050DA01

5B050EA04

5B050EA09

5B050EA26

5B050FA02

5B050FA05

(57)【要約】      （修正有）

【課題】アニメーションデータを生成・更新するデータ処理装置、プログラム及びデータ処理方法を提供する
【解決手段】データ処理装置１００として機能するコンピュータにおいて、衣服を装着した装着体の動きに合わせて前記衣服が動くアニメーションデータを取得するデータ取得部と、指定された感情の種類に応じた割合の要素に基づいて、アニメーションデータを更新するアニメーションデータデータ更新部と、を備えるコンピュータによって実行されるデータ処理方法は、衣服を装着した装着体の動きに合わせて前記衣服が動くアニメーションデータを取得するデータ取得段階と、指定された動きの個性に応じた割合の要素に基づいて、アニメーションデータを更新するデータ更新段階と、を備える。
【選択図】図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

衣服を装着した装着体の動きに合わせて前記衣服が動くアニメーションデータを取得するデータ取得部と、
指定された動きの個性に応じた割合の３種類の要素に基づいて、前記アニメーションデータを更新するデータ更新部と
を備える、データ処理装置。

【請求項2】

前記動きの個性は、クール、キュート、及びコミカルの少なくともいずれかを含む、請求項１に記載のデータ処理装置。

【請求項3】

前記データ取得部は、物理法則に従って前記アニメーションデータを生成する、請求項１又は２に記載のデータ処理装置。

【請求項4】

前記３種類の要素は、前記衣服の動きの時間的要素と、前記衣服のエラスティシティの要素と、前記衣服のカーブの要素とを含む、請求項１から３のいずれか一項に記載のデータ処理装置。

【請求項5】

前記データ更新部は、前記動きの個性としてクールが指定され、クールを表現する場合に、前記３種類の要素のうち、前記時間的要素の割合を多くして前記アニメーションデータを更新する、請求項４に記載のデータ処理装置。

【請求項6】

前記時間的要素は、遅延の度合を示し、
前記データ更新部は、前記動きの個性としてクールが指定され、クールを表現する場合に、前記衣服の遅延の度合が大きくなるように前記アニメーションデータを更新する、請求項５に記載のデータ処理装置。

【請求項7】

前記データ更新部は、前記動きの個性としてキュートが指定され、キュートを表現する場合に、前記３種類の要素のうち、前記カーブの要素の割合を多くして前記アニメーションデータを更新する、請求項４から６のいずれか一項に記載のデータ処理装置。

【請求項8】

前記データ更新部は、前記動きの個性としてコミカルが指定され、コミカルを表現する場合に、前記時間的要素及び前記エラスティシティの要素の割合を多くして前記アニメーションデータを更新する、請求項４から７のいずれか一項に記載のデータ処理装置。

【請求項9】

前記データ更新部は、前記装着体が位置する空間の環境の要素、前記衣服のマテリアルの要素、及び前記衣服に対するエフェクトの要素の少なくともいずれかにさらに基づいて、前記アニメーションデータを更新する、請求項４から８のいずれか一項に記載のデータ処理装置。

【請求項10】

前記３種類の要素は、前記衣服の動きの時間的要素、前記衣服のエラスティシティの要素、前記衣服のカーブの要素、前記装着体が位置する空間の環境の要素、前記衣服のマテリアルの要素、及び前記衣服に対するエフェクトの要素のうちの３つである、請求項１から３のいずれか一項に記載のデータ処理装置。

【請求項11】

前記３種類の要素は、前記衣服の動きの時間的要素、前記衣服のエラスティシティの要素、及び前記衣服のカーブの要素のうちの少なくとも２つを含む、請求項１０に記載のデータ処理装置。

【請求項12】

コンピュータを、請求項１から１１のいずれか一項に記載のデータ処理装置として機能させるためのプログラム。

【請求項13】

コンピュータによって実行されるデータ処理方法であって、
衣服を装着した装着体の動きに合わせて前記衣服が動くアニメーションデータを取得するデータ取得段階と、
指定された動きの個性に応じた割合の３種類の要素に基づいて、前記アニメーションデータを更新するデータ更新段階と
を備える、データ処理方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、データ処理装置、プログラム、及びデータ処理方法に関する。

【背景技術】

【0002】

特許文献１には、試着者の姿勢をリアルタイムに推定し、推定した時系列の姿勢に合わせて衣服の動きをシミュレートする技術が記載されている。非特許文献１及び非特許文献２には、衣服モデルを生成するためのツール等が記載されている。
［先行技術文献］
［特許文献］
［特許文献１］特開２００６－２４９６１８号公報
［非特許文献］
［非特許文献１］UMETANI N., KAUFMAN D. M., IGARASHI T., GRINSPUN E.: Sensitive couture for interactive garment editing and modeling. ACM Transactions on Graphics (SIGGRAPH 2011) 30, 4 (2011).
［非特許文献２］BERTHOUZOZ F., GARG A., KAUFMAN D. M., GRINSPUN E., AGRAWALA M.: Parsing sewing patterns into 3d garments. ACM Trans. Graph. 32, 4 (July 2013), 85:1-85:12.

【発明の概要】

【0003】

本発明の第１の態様によれば、データ処理装置が提供される。データ処理装置は、衣服を装着した装着体の動きに合わせて前記衣服が動くアニメーションデータを取得するデータ取得部を備えてよい。データ処理装置は、指定された動きの個性に応じた割合の３種類の要素に基づいて、アニメーションデータを更新するデータ更新部を備えてよい。

【0004】

上記データ取得部は、物理法則に従って上記アニメーションデータを生成してよい。上記３種類の要素は、上記衣服の動きの時間的要素と、上記衣服のエラスティシティの要素と、上記衣服のカーブの要素とを含んでよい。上記データ更新部は、上記動きの個性としてクールが指定され、クールを表現する場合に、上記３種類の要素のうち、上記時間的要素の割合を多くして上記アニメーションデータを更新してよい。上記時間的要素は、遅延の度合を示してよく、上記データ更新部は、上記動きの個性としてクールが指定され、クールを表現する場合に、上記衣服の遅延の度合が大きくなるように上記アニメ－ションデータを更新してよい。上記データ更新部は、上記動きの個性としてキュートが指定され、キュートを表現する場合に、上記３種類の要素のうち、上記カーブの要素の割合を多くして上記アニメーションデータを更新してよい。上記データ更新部は、上記動きの個性としてコミカルが指定され、コミカルを表現する場合に、上記時間的要素及び上記エラスティシティの要素の割合を多くして上記アニメーションデータを更新してよい。上記データ更新部は、上記装着体が位置する空間の環境の要素、上記衣服のマテリアルの要素、及び上記衣服に対するエフェクトの要素の少なくともいずれかにさらに基づいて、上記アニメーションデータを更新してよい。上記３種類の要素は、上記衣服の動きの時間的要素、上記衣服のエラスティシティの要素、上記衣服のカーブの要素、上記装着体が位置する空間の環境の要素、上記衣服のマテリアルの要素、及び上記衣服に対するエフェクトの要素のうちの３つであってよい。上記３種類の要素は、上記衣服の動きの時間的要素、上記衣服のエラスティシティの要素、及び上記衣服のカーブの要素のうちの少なくとも２つを含んでよい。

【0005】

本発明の第２の態様によれば、コンピュータを、上記データ処理装置として機能させるためのプログラムが提供される。

【0006】

本発明の第３の態様によれば、コンピュータによって実行されるデータ処理方法が提供される。データ処理方法は、衣服を装着した装着体の動きに合わせて衣服が動くアニメーションデータを取得するデータ取得段階を備えてよい。データ処理方法は、指定された感情の種類に応じた割合の３種類の要素に基づいて、アニメーションデータを更新するデータ更新段階を備えてよい。

【0007】

なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】データ処理装置１００の一例を概略的に示す。

【図2】データ処理装置１００の機能構成の一例を概略的に示す。

【図3】パラメータ３００について説明するための説明図である。

【図4】クールを表現した場合の更新データ５００の一例を概略的に示す。

【図5】キュートを表現した場合の更新データ５１０の一例を概略的に示す。

【図6】コミカルを表現した場合の更新データ５２０の一例を概略的に示す。

【図7】データ処理装置１００として機能するコンピュータ１２００のハードウェア構成の一例を概略的に示す。

【発明を実施するための形態】

【0009】

以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。

【0010】

図１は、データ処理装置１００の一例を概略的に示す。データ処理装置１００は、衣服を装着した装着体の動きに合わせて衣服が動くアニメーションデータを生成する。装着体の例として、人及び動物等が挙げられるが、衣服を装着して動く対象であれば、どのような対象であってもよい。本実施形態に係るデータ処理装置１００は、特に、指定された動きの個性に応じた動きを衣服がするアニメーションデータを生成する。

【0011】

現実世界において、衣服は、物理法則に従って、装着者の動きや環境に合わせて動くが、アニメーションデータにおいて、衣服に、動きの個性を与えることによって、様々なことを表現することができると考えられる。例えば、装着者が歩行しているアニメーションの衣服の動きにクールさを加えることによって、全体的にクールな印象を与えることができるようになり得る。

【0012】

従来、例えば、感情を３種類のパラメータで表すＬｏｖｈｅｉｍの立方体感情モデルのように、表現したいことを複数のパラメータで表現するモデルが知られていた。しかしながら、従来のモデルは、衣服の動きの個性に対して直接適用することはできなかった。

【0013】

発明者は、衣服の動きの個性の表現を実現するための３種類の要素について検討を重ね、複数種類の組み合わせを導出した。そのうちの代表的な組み合わせが、衣服の動きの時間的要素、衣服のエラスティシティの要素、及び衣服のカーブの要素である。データ処理装置１００は、例えば、物理法則に従って装着体の動きに合わせて衣服が動くアニメーションデータ（基準データと記載する場合がある。）を生成し、指定された動きの個性に応じた割合の３種類の要素に基づいて、アニメーションデータを更新することによって、衣服の動きの個性を反映したアニメーションデータ（更新データと記載する場合がある。）を生成する。

【0014】

より具体的に、データ処理装置１００は、装着体データと、衣服データとを含む基準データを生成する。装着体データは、装着体が動くアニメーションのデータであってよい。衣服データは、物理法則に従って装着体の動きに合わせて動く衣服のアニメーションのデータであってよい。データ処理装置１００は、指定された動きの個性に応じた割合の３種類の要素に基づいて、衣服の動きを変更した衣服データを生成することにより、更新データを生成する。

【0015】

時間的要素の例として、ディレイが挙げられる。データ処理装置１００は、ディレイの要素の割合が高いほど、基準データにおける衣服データのフレームを遅延させる。これにより、基準データにおける装着体に対する衣服の動きに対して、更新データにおける装着体に対する衣服の動きを遅くすることができ、更新データの閲覧者に与える余韻の印象を強くすることができる。時間的要素の他の例として、ディレイとは反対に時間を早める要素や、リズムの要素等が挙げられる。

【0016】

カーブの要素は、衣服の曲線の特徴の度合を示す。データ処理装置１００は、カーブの要素の割合が高いほど、衣服の曲線の特徴を強める。これにより、例えば、基準データにおいて、装着体の動きに合わせて衣服が少しなびいている場合に、更新データにおける衣服のなびきの度合を強くすることができ、更新データの閲覧者に与える柔らかい印象を強くすることができる。

【0017】

エラスティシティの要素は、衣服の伸縮性の度合を示す。データ処理装置１００は、エラスティシティの要素の割合が高いほど、衣服の伸縮性の度合を強める。これにより、例えば、基準データにおいて、装着体の動きに合わせて衣服がはためいている場合に、更新データにおける衣服のはためきの度合を強くすることができ、更新データの閲覧者に与えるダイナミックな印象を強くすることができる。

【0018】

データ処理装置１００は、実際の人物等の動きに合わせて基準データを生成してよい。例えば、データ処理装置１００は、カメラ１５０によって撮像した人物の３次元形状をポリゴンメッシュによって表す装着体データと、当該人物が装着する衣服の３次元形状をポリゴンメッシュによって表す衣服データとを生成する。また、データ処理装置１００は、実際の人物の動きとは無関係に、ＣＧキャラクタのような基準データを生成してもよい。

【0019】

データ処理装置１００は、例えば、生成した更新データを、データ処理装置１００が備えるディスプレイに表示させる。また、データ処理装置１００は、例えば、生成した更新データを、ネットワーク２０を介して通信端末２００に送信することによって、通信端末２００に表示させてもよい。

【0020】

通信端末２００は、ＰＣ（Ｐｅｒｓｏｎａｌ Ｃｏｍｐｕｔｅｒ）、タブレット端末、及びスマートフォン等であってよい。データ処理装置１００と通信端末２００とは、ネットワーク２０を介して通信してよい。ネットワーク２０は、インターネットを含んでよい。ネットワーク２０は、ＬＡＮ（Ｌｏｃａｌ Ａｒｅａ Ｎｅｔｗｏｒｋ）を含んでよい。ネットワーク２０は、移動体通信ネットワークを含んでよい。移動体通信ネットワークは、３Ｇ（３ｒｄ Ｇｅｎｅｒａｔｉｏｎ）通信方式、ＬＴＥ（Ｌｏｎｇ Ｔｅｒｍ Ｅｖｏｌｕｔｉｏｎ）通信方式、５Ｇ（５ｔｈ Ｇｅｎｅｒａｔｉｏｎ）通信方式、及び６Ｇ（６ｔｈ Ｇｅｎｅｒａｔｉｏｎ）通信方式以降の通信方式のいずれに準拠していてもよい。

【0021】

データ処理装置１００は、通信端末２００から基準データを受信してもよい。通信端末２００は、例えば、カメラ２５０によって撮像した人物の装着体データと、当該人物が装着する衣服の衣服データと含む基準データを生成して、データ処理装置１００に送信する。カメラ２５０は、通信端末２００に内蔵されていてよく、また、通信端末２００に対して外付けであってもよい。

【0022】

図２は、データ処理装置１００の機能構成の一例を概略的に示す。データ処理装置１００は、データ受信部１０２、データ取得部１１０、設定部１２２、アニメーションデータ更新部１２４、及び表示制御部１２６を備える。

【0023】

データ受信部１０２は、各種データを受信する。データ受信部１０２は、ネットワーク２０を介して各種データを受信してよい。データ受信部１０２は、例えば、通信端末２００から各種データを受信する。

【0024】

データ受信部１０２は、例えば、人物等を撮像した撮像データを受信する。データ受信部１０２は、基準データを受信してもよい。データ受信部１０２は、装着体データを受信してもよい。

【0025】

データ取得部１１０は、衣服を装着した装着体の動きに合わせて衣服が動くアニメーションデータを取得する。データ取得部１１０は、基準データを取得してよい。データ取得部１１０は、例えば、データ受信部１０２が受信した基準データを取得する。データ取得部１１０は、データ処理装置１００を用いてデータ処理装置１００の使用者によって生成された基準データを取得してもよい。データ取得部１１０は、可搬型のコンピュータ可読記憶媒体から基準データを取得してもよい。

【0026】

データ取得部１１０は、基準データを生成することによって、基準データを取得してもよい。データ取得部１１０は、アニメーションデータ生成部１１２を有する。

【0027】

アニメーションデータ生成部１１２は、例えば、データ受信部１０２が受信した撮像データを解析することによって、物理法則に従って衣服を装着した装着体の動きに合わせて衣服が動くアニメーションデータを生成する。また、アニメーションデータ生成部１１２は、データ受信部１０２が受信した装着体データを解析することによって、当該装着体データに含まれる装着体に装着され、物理法則に従って装着体の動きに合わせて動く衣服データを生成することによって、基準データを生成してもよい。アニメーションデータ生成部１１２は、公知の任意の技術を用いることによって、基準データを生成してよい。

【0028】

設定部１２２は、各種設定を行う。例えば、設定部１２２は、動きの個性を設定する。設定部１２２は、例えば、予め登録された複数の動きの個性の中から、データ処理装置１００の使用者や通信端末２００の使用者等によって指定された動きの個性を設定する。動きの個性の例として、クール、キュート、コミカル等が挙げられるが、これらに限らず、様々な種類の動きの個性が設定可能であってよい。

【0029】

アニメーションデータ更新部１２４は、設定部１２２によって設定された動きの個性に基づいて、データ取得部１１０によって取得された基準データを更新する。アニメーションデータ更新部１２４は、動きの個性に応じた割合の３種類の要素に基づいて、基準データを更新してよい。

【0030】

アニメーションデータ更新部１２４は、動きの個性と、３種類の要素の割合とを対応付けた対応付けデータを予め格納しておき、当該対応付けデータを参照することによって、指定された動きの個性に対応する３種類の要素の割合を特定してよい。

【0031】

表示制御部１２６は、アニメーションデータ更新部１２４によって更新されたアニメーションデータ（すなわち、更新データ）を表示させるように制御する。表示制御部１２６は、例えば、データ処理装置１００が備えるディスプレイに更新データを表示させる。表示制御部１２６は、更新データを通信端末２００に送信することによって、通信端末２００が備えるディスプレイに表示データを表示させるよう制御してもよい。

【0032】

図３は、パラメータ３００について説明するための説明図である。パラメータ３００は、３種類の要素によって構成される空間によって表現され得る。ここでは、ディレイ３１０、カーブ３２０、及びエラスティシティ３３０によって構成されたパラメータ３００を例示している。

【0033】

アニメーションデータ更新部１２４は、複数の動きの個性のそれぞれについて、パラメータ３００の空間上の位置を対応付けて格納してよい。アニメーションデータ更新部１２４は、例えば、クールに対して、ディレイ３１０の割合を多くした位置を対応付ける。また、アニメーションデータ更新部１２４は、例えば、キュートに対して、カーブ３２０の割合を多くした位置を対応付ける。アニメーションデータ更新部１２４は、例えば、コミカルに対して、ディレイ３１０及びエラスティシティ３３０の割合を多くした位置を対応付ける。

【0034】

図４は、クールを表現した場合の更新データ５００の一例を概略的に示す。アニメーションデータ更新部１２４は、クールを表現する場合に、３種類の要素のうち、時間的要素の割合を高めてアニメーションデータを更新してよい。アニメーションデータ更新部１２４は、クールを表現する場合に、衣服の遅延の度合が大きくなるようにアニメーションデータを更新してよい。

【0035】

基準データ４００における装着体データ４０２と、更新データ５００における装着体データ５０２とは同じ動きをする。更新データ５００における衣服データ５０４は、基準データ４００における衣服データ４０４と比較して、装着体データ５０２に対する遅延が大きくなっている。すなわち、更新データ５００においては、通常よりも、装着体の動きに対して衣服が遅れて動くような、印象的な表現をすることができ、クールさを表現することができる。

【0036】

図５は、キュートを表現した場合の更新データ５１０の一例を概略的に示す。アニメーションデータ更新部１２４は、キュートを表現する場合に、３種類の要素のうち、カーブの要素の割合を多くしてアニメーションデータを更新してよい。

【0037】

基準データ４１０における装着体データ４１２と、更新データ５１０における装着体データ５１２とは同じ動きをする。更新データ５１０における衣服データ５１４は、基準データ４１０における衣服データ４１４と比較して、曲線の特徴の度合が大きくなっている。すなわち、更新データ５１０においては、衣服が通常よりも丸みを帯びて、柔らかく孤を描くような動きをすることにより、キュートさを表現することができる。

【0038】

図６は、コミカルを表現した場合の更新データ５２０の一例を概略的に示す。アニメーションデータ更新部１２４は、コミカルを表現する場合に、３種類の要素のうち、時間的要素及びエラスティシティの要素の割合を多くしてアニメーションデータを更新してよい。アニメーションデータ更新部１２４は、例えば、３種類の要素のうち、ディレイの要素及びエラスティシティの要素の割合を多くする。

【0039】

基準データ４２０における装着体データ４２２と、更新データ５２０における装着体データ５２２とは同じ動きをする。更新データ５２０における衣服データ５２４は、基準データ４２０における衣服データ４２４と比較して、伸縮性が大きく、かつ、装着体データ５２２に対する遅延が大きくなっている。すなわち、更新データ５１０においては、通常よりも、装着体の動きに対して衣服が遅れ、伸びが大きくなるように動きをすることにより、コミカルさを表現することができる。

【0040】

上記実施形態では、アニメーションデータ更新部１２４は、時間的要素、カーブの要素、及びエラスティシティの要素に基づいて、基準データを更新する場合を例に挙げて説明したが、これに限らない。アニメーションデータ更新部１２４は、装着体が位置する空間の環境の要素、衣服のマテリアルの要素、及び衣服に対するエフェクトの要素の少なくともいずれかにさらに基づいて、基準データを更新してもよい。

【0041】

装着体が位置する空間の環境の要素の例として、ライティングの要素が挙げられる。アニメーションデータ更新部１２４は、表現する動きの個性に応じて、ライティングの表現を変化させてよい。ライティングの表現は、例えば、ライティングの度合、ライティングの角度、及びライティングの色等を変化させることによって、変化し得る。なお、度合、角度、色は例示であり、ライティングの表現は、他の要素を変化させることによっても変化し得る。例えば、アニメーションデータ更新部１２４は、より明るい個性に対して、ライティングの度合をより弱め、より暗い個性に対して、ライティングの度合をより強める。これにより、より暗い個性を表現する場合に、ライティングの度合を強めて、影の要素を強めることによって、暗さの表現を加えることができ得る。

【0042】

衣服のマテリアルの要素の例として、衣服の材質の要素が挙げられる。アニメーションデータ更新部１２４は、表現する動きの個性に応じて、衣服の材質を変化させてよい。例えば、アニメーションデータ更新部１２４は、より明るい個性を表現する場合、衣服の材質をより軽い材質に変化させ、より暗い個性を表現する場合、衣服の材質をより重い材質に変化させる。これにより、明るい個性の時は衣服が軽やかに動き、暗い個性の時は衣服が重く動くようなアニメーションとすることができる。また、例えば、アニメーションデータ更新部１２４は、より明るい個性を表現する場合、衣服の素材をより反射性の高い素材に変化させ、より暗い個性を表現する場合、衣服の素材をより反射性の低い素材に変化させる。これにより、より明るい個性を表現する場合に、反射性の高い素材に変化させることによって、衣服の明るさを向上させ、個性の明るさの表現を加えることができ得る。

【0043】

衣服に対するエフェクトの要素の例として、衣服に重畳するオブジェクトの度合が挙げられる。アニメーションデータ更新部１２４は、表現する動きの個性に応じて、衣服に重畳するオブジェクトの度合を変化させてよい。例えば、アニメーションデータ更新部１２４は、より暗い個性を表現する場合に、雨だれのような暗いイメージのオブジェクトの度合を強める。これにより、より暗い個性を表現する場合に、衣服に対して、暗いイメージのオブジェクトをより強い度合で加えることによって、暗い個性の表現を加えることができる。

【0044】

アニメーションデータ更新部１２４は、衣服の動きの時間的要素、衣服のエラスティシティの要素、衣服のカーブの要素、装着体が位置する空間の環境の要素、衣服のマテリアルの要素、及び衣服に対するエフェクトの要素のうちの３つの要素に基づいて、基準データを更新してもよい。例えば、アニメーションデータ更新部１２４は、衣服の動きの時間的要素、衣服のエラスティシティの要素、及び衣服のカーブの要素のうちの少なくとも２つと、装着体が位置する空間の環境の要素、衣服のマテリアルの要素、及び衣服に対するエフェクトの要素とから選択した３つの要素に基づいて、基準データを更新する。

【0045】

図７は、データ処理装置１００として機能するコンピュータ１２００のハードウェア構成の一例を概略的に示す。コンピュータ１２００にインストールされたプログラムは、コンピュータ１２００を、本実施形態に係る装置の１又は複数の「部」として機能させ、又はコンピュータ１２００に、本実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該１又は複数の「部」を実行させることができ、及び／又はコンピュータ１２００に、本実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ１２００に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、ＣＰＵ１２１２によって実行されてよい。

【0046】

本実施形態によるコンピュータ１２００は、ＣＰＵ１２１２、ＲＡＭ１２１４、及びグラフィックコントローラ１２１６を含み、それらはホストコントローラ１２１０によって相互に接続されている。コンピュータ１２００はまた、ＧＰＵ１２５０を含む。コンピュータ１２００はまた、通信インタフェース１２２２、記憶装置１２２４、ＤＶＤドライブ、及びＩＣカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ１２２０を介してホストコントローラ１２１０に接続されている。ＤＶＤドライブは、ＤＶＤ－ＲＯＭドライブ及びＤＶＤ－ＲＡＭドライブ等であってよい。記憶装置１２２４は、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブ等であってよい。コンピュータ１２００はまた、ＲＯＭ１２３０及びキーボードのようなレガシの入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ１２４０を介して入出力コントローラ１２２０に接続されている。

【0047】

ＣＰＵ１２１２は、ＲＯＭ１２３０及びＲＡＭ１２１４内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ１２１６は、ＲＡＭ１２１４内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、ＣＰＵ１２１２によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス１２１８上に表示されるようにする。

【0048】

通信インタフェース１２２２は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。記憶装置１２２４は、コンピュータ１２００内のＣＰＵ１２１２によって使用されるプログラム及びデータを格納する。ＤＶＤドライブは、プログラム又はデータをＤＶＤ－ＲＯＭ等から読み取り、記憶装置１２２４に提供する。ＩＣカードドライブは、プログラム及びデータをＩＣカードから読み取り、及び／又はプログラム及びデータをＩＣカードに書き込む。

【0049】

ＲＯＭ１２３０はその中に、アクティブ化時にコンピュータ１２００によって実行されるブートプログラム等、及び／又はコンピュータ１２００のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ１２４０はまた、様々な入出力ユニットをＵＳＢポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ１２２０に接続してよい。

【0050】

プログラムは、ＤＶＤ－ＲＯＭ又はＩＣカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置１２２４、ＲＡＭ１２１４、又はＲＯＭ１２３０にインストールされ、ＣＰＵ１２１２によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ１２００に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ１２００の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。

【0051】

例えば、通信がコンピュータ１２００及び外部デバイス間で実行される場合、ＣＰＵ１２１２は、ＲＡＭ１２１４にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース１２２２に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース１２２２は、ＣＰＵ１２１２の制御の下、ＲＡＭ１２１４、記憶装置１２２４、ＤＶＤ－ＲＯＭ、又はＩＣカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。

【0052】

また、ＣＰＵ１２１２は、記憶装置１２２４、ＤＶＤドライブ（ＤＶＤ－ＲＯＭ）、ＩＣカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がＲＡＭ１２１４に読み取られるようにし、ＲＡＭ１２１４上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。ＣＰＵ１２１２は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。

【0053】

様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。ＣＰＵ１２１２は、ＲＡＭ１２１４から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索／置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をＲＡＭ１２１４に対しライトバックする。また、ＣＰＵ１２１２は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第２の属性の属性値に関連付けられた第１の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、ＣＰＵ１２１２は、当該複数のエントリの中から、第１の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第２の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第１の属性に関連付けられた第２の属性の属性値を取得してよい。

【0054】

上で説明したプログラム又はソフトウエアモジュールは、コンピュータ１２００上又はコンピュータ１２００近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はＲＡＭのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ１２００に提供する。

【0055】

本実施形態におけるフローチャート及びブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表わしてよい。特定の段階及び「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び／又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び／又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路（ＩＣ）及び／又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ（ＦＰＧＡ）、及びプログラマブルロジックアレイ（ＰＬＡ）等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、及び他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。

【0056】

コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー（登録商標）ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ（ＲＡＭ）、リードオンリメモリ（ＲＯＭ）、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ（ＥＰＲＯＭ又はフラッシュメモリ）、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ（ＥＥＰＲＯＭ）、静的ランダムアクセスメモリ（ＳＲＡＭ）、コンパクトディスクリードオンリメモリ（ＣＤ－ＲＯＭ）、デジタル多用途ディスク（ＤＶＤ）、ブルーレイ（登録商標）ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。

【0057】

コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ（ＩＳＡ）命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はＳｍａｌｌｔａｌｋ（登録商標）、ＪＡＶＡ（登録商標）、Ｃ＋＋等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「Ｃ」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、１又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。

【0058】

コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク（ＬＡＮ）、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク（ＷＡＮ）を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。

【0059】

以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。

【0060】

特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。

【符号の説明】

【0061】

２０ ネットワーク、１００ データ処理装置、１０２ データ受信部、１１０ データ取得部、１１２ アニメーションデータ生成部、１２２ 設定部、１２４ アニメーションデータ更新部、１２６ 表示制御部、１５０ カメラ、２００ 通信端末、２５０ カメラ、３００ パラメータ、３１０ ディレイ、３２０ カーブ、３３０ エラスティシティ、４００ 基準データ、４０２ 装着体データ、４０４ 衣服データ、４１０ 基準データ、４１２ 装着体データ、４１４ 衣服データ、４２０ 基準データ、４２２ 装着体データ、４２４ 衣服データ、５００ 更新データ、５０２ 装着体データ、５０４ 衣服データ、５１０ 更新データ、５１２ 装着体データ、５１４ 衣服データ、５２０ 更新データ、５２２ 装着体データ、５２４ 衣服データ、１２００ コンピュータ、１２１０ ホストコントローラ、１２１２ ＣＰＵ、１２１４ ＲＡＭ、１２１６ グラフィックコントローラ、１２１８ ディスプレイデバイス、１２２０ 入出力コントローラ、１２２２ 通信インタフェース、１２２４ 記憶装置、１２３０ ＲＯＭ、１２４０ 入出力チップ、１２５０ ＧＰＵ

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】