IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-擬似同期化装置および放送システム 図1
  • 特開-擬似同期化装置および放送システム 図2
  • 特開-擬似同期化装置および放送システム 図3
  • 特開-擬似同期化装置および放送システム 図4
  • 特開-擬似同期化装置および放送システム 図5
  • 特開-擬似同期化装置および放送システム 図6
  • 特開-擬似同期化装置および放送システム 図7
  • 特開-擬似同期化装置および放送システム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182882
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】擬似同期化装置および放送システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/242 20110101AFI20231220BHJP
   H04N 21/236 20110101ALI20231220BHJP
【FI】
H04N21/242
H04N21/236
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094111
(22)【出願日】2022-06-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩壁 冬樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124501
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 誠人
(72)【発明者】
【氏名】田口 真大
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164FA04
5C164SA11S
5C164SB10P
5C164SB11P
5C164TA05S
(57)【要約】
【課題】系統切り替え時の映像ノイズおよび音声ノイズの発生を低減でき、かつ、送信設備におけるエラーの発生を防止できる擬似同期化装置および放送システムを提供する。
【解決手段】擬似同期化装置10は、スーパーフレーム構造のTSを装置内のクロック信号に周波数同期させる擬似同期化装置であって、TSの合成を行うTS合成装置が使用する位相信号に基づいて内部位相を生成する内部位相生成部11と、入力されたTSを、内部位相に同期したTSに再構築するTS再構築部12とを含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スーパーフレーム構造のTS(Transport Stream)を受託局内のクロック信号に周波数同期させる擬似同期化装置であって、
TSの合成を行うTS合成装置が使用する位相信号に基づいて内部位相を生成する内部位相生成部と、
入力されたTSを、前記内部位相に同期したTSに再構築するTS再構築部と
を備える擬似同期化装置。
【請求項2】
前記内部位相生成部は、前記位相信号の基になるクロック信号と前記位相信号とを入力し、起動時に入力される前記位相信号に基づいて、前記クロック信号を用いて前記内部位相を生成する
請求項1記載の擬似同期化装置。
【請求項3】
前記内部位相生成部は、前記位相信号を入力し、前記位相信号から内部クロック信号を生成し、起動時に入力される前記位相信号に基づいて、前記内部クロック信号を用いて前記内部位相を生成する
請求項1記載の擬似同期化装置。
【請求項4】
前記内部位相生成部は、起動時に入力された前記位相信号を起点として、前記内部位相を生成する
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の擬似同期化装置。
【請求項5】
クロック信号を生成するクロック信号発生部と、
スーパーフレーム構造のTS(Transport Stream)の合成を行うTS合成装置と、
前記TS合成装置が使用する位相信号を生成する位相信号生成部と、
TSを前記クロック信号に周波数同期させる擬似同期化装置とを備え、
前記擬似同期化装置は、
前記TS合成装置が使用する位相信号に基づいて内部位相を生成する内部位相生成部と、
入力されたTSを、前記内部位相に同期したTSに再構築するTS再構築部とを含む
放送システム。
【請求項6】
擬似同期化装置は、現用系のTS擬同期化装置と予備系のTS擬同期化装置とを含む
請求項5記載の放送システム。
【請求項7】
前記内部位相生成部は、前記クロック信号と前記位相信号とを入力し、起動時に入力される前記位相信号に基づいて、前記クロック信号を用いて前記内部位相を生成する
請求項5または請求項6記載の放送システム。
【請求項8】
前記内部位相生成部は、前記位相信号を入力し、前記位相信号から内部クロック信号を生成し、起動時に入力される前記位相信号に基づいて、前記内部クロック信号を用いて前記内部位相を生成する
請求項5または請求項6記載の放送システム。
【請求項9】
前記内部位相生成部は、起動時に入力された前記位相信号を起点として、前記内部位相を生成する
請求項5または請求項6記載の放送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TS信号の同期化を行う擬似同期化装置および放送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
衛星放送において、ISDB(Integrated Services Digital Broadcasting)-S方式が用いられる。放送事業者(以下、委託局という。)の信号処理装置(以下、送信側信号処理装置という。)から送信された衛星放送用のトランスポートストリーム(TS:Transport Stream)信号が、アップリンク局(以下、受託局という。)に伝送される。受託局では、TS合成装置が、複数の委託局からのTS信号を合成する。合成後のTS信号は、送信設備から放送用衛星に送信される。以下、TS信号をTSと表現する。
【0003】
委託局におけるクロック信号と受託局におけるクロック信号とは周波数同期している必要がある。委託局と受託局との同期が崩れると、TS合成装置の入力バッファにおいて、オーバフローまたはアンダーフローが生じる。オーバフローまたはアンダーフローが生じると、映像のフリーズや音声のミュートなどが生じる。以下、映像のフリーズなどを映像ノイズという。また、音声のミュートなどを音声ノイズという。
【0004】
そこで、受託局において、委託局からのTSをTS合成装置のクロック信号に周波数同期させる同期化処理が行われる。同期化処理の方式として、完全同期方式、擬似同期方式および非同期方式がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
送信側信号処理装置は、委託局におけるクロック信号に同期したスーパーフレーム(以下、SFという。)構造のTSを生成し、生成したTSを受託局に送信する。非特許文献1に、SFに関する規定がある。受託局において擬似同期方式が使用される場合、TS擬似同期化装置が設置される。TS擬似同期化装置は、送信側信号処理装置が送信するTSを受託局におけるクロック信号に同期したTSに再生成(再構築)してTS合成装置に出力する。受託局においてSF位相が生成される。SF位相は、装置の信号出力動作に使用される位相である。以下、それぞれのTS擬似同期化装置等で生成されるSF位相を内部SF位相という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-57636号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「衛星デジタル放送の伝送方式」、ARIB(Association of Radio Industries and Businesses)標準規格 STD-B20 3.0版、平成13年5月31日、電波産業会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
受託局では、安定稼働のために、現用系(N系)と予備系(E系)の2系統が設けられている。したがって、受託局には、N系のTS擬似同期化装置とE系のTS擬似同期化装置とがある。例えば、N系に障害が発生したときに、N系とE系とが切り替えられ、E系が現用系になる。
【0009】
受託局において、各装置が起動されると、N系のTS擬似同期化装置は、入力されたTS(入力TS)のSF位相を起点として、受託局におけるクロック信号に同期した内部SF位相を生成する。同様に、E系が起動されると、E系のTS擬似同期化装置は、入力TSのSF位相を起点として、受託局におけるクロック信号に同期した内部SF位相を生成する。
【0010】
擬似同期方式では、委託局におけるクロック信号と受託局におけるクロック信号とは同期していない。その結果、時間経過に伴って、N系に入力されたTSとN系における内部SF位相との間で、位相ずれが生じる。同様に、時間経過に伴って、E系入力されたTSとE系における内部SF位相との間で、位相ずれが生じる。
【0011】
また、一般に、N系の擬似同期化装置の装置起動タイミングとE系の擬似同期化装置の装置起動タイミングとが異なる場合、起点とするTSの入力タイミングも同様に異なるため、E系における内部SF位相とN系における内部SF位相との間で、位相差が生じる。N系とE系との切り替え後ではE系からTS合成装置にTSが入力されるが、位相差に起因して、切り替え直後において1SF分のパケットの重複や欠落が生じる。
【0012】
図8は、一般的なTS擬似同期化装置の信号入出力などの一例を示すタイミング図である。図8において、各矩形は、SF構造のTSを示す。矩形内の表記における数字は、各TSを区別するための番号である。「n」は、N系の入力TSであることを示す。「N」はN系の出力TSであることを示す。「e」は、E系の入力TSであることを示す。「E」はE系の出力TSであることを示す。
【0013】
なお、図8には、基本的に、入力TSから1SF分の時間遅れて出力TSが出力されるように示されているが、実際には、1SF分の時間を超える時間遅れてTSが出力されることもある。
【0014】
例えば、N系に障害が発生したときに、現用系がN系からE系に切り替えられる。具体的には、TS擬似同期化装置からTSを入力するTS合成装置は、N系のTS擬似同期化装置からのTSを使用する状態から、E系のTS擬似同期化装置からのTSを使用する状態に変わる。
【0015】
E系のTS擬似同期化装置は、入力TSのSF位相を起点として、受託局におけるクロック信号に同期した内部SF位相を生成する。したがって、図8に示すように、E系の内部SF位相とN系の内部SF位相との間で、位相ずれ(位相差)が生じる。
【0016】
すると、N系のTS擬似同期化装置からのTSとE系のTS擬似同期化装置からのTSとの連続性が損なわれる。その結果、切り替え直後において1SF分のパケットの重複や欠落が生じる。パケットの重複や欠落が生じると、映像ノイズや音声ノイズが生じる可能性がある。また、SF単位で変調方式などの変更が可能である。委託局における変調方式などの変更のタイミングがN系とE系との切り替えタイミングと重なると、送信設備においてエラーが発生し、送信設備の信号出力が停止する可能性がある。
【0017】
本発明は、系統切り替え時の映像ノイズおよび音声ノイズの発生を低減でき、かつ、送信設備におけるエラーの発生を防止できる擬似同期化装置および放送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明による擬似同期化装置は、SF構造のTSを受託局内のクロック信号に周波数同期させる擬似同期化装置であって、TSの合成を行うTS合成装置が使用する位相信号に基づいて内部位相を生成する内部位相生成部と、入力されたTSを、内部位相に同期したTSに再構築するTS再構築部とを含む。
【0019】
本発明による放送システムは、クロック信号を生成するクロック信号発生装置と、SF構造のTSの合成を行うTS合成装置と、TS合成装置が使用する位相信号を生成する位相信号生成部と、TSをクロック信号に周波数同期させる擬似同期化装置とを含み、擬似同期化装置は、TSの合成を行うTS合成装置が使用する位相信号に基づいて内部位相を生成する内部位相生成部と、入力されたTSを、内部位相に同期したTSに再構築するTS再構築部とを含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、系統切り替え時の映像ノイズおよび音声ノイズの発生を低減でき、かつ、送信設備におけるエラーの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1の実施形態のTS擬似同期化装置を有する受託局と委託局とを含むシステムを示すシステム構成図である。
図2】第1の実施形態のTS擬似同期化装置の構成例を示すブロック図である。
図3】TS擬似同期化装置の信号入出力などの一例を示すタイミング図である。
図4】第2の実施形態のTS擬似同期化装置を有する受託局と委託局とを含むシステムを示すシステム構成図である。
図5】第2の実施形態のTS擬似同期化装置の構成例を示すブロック図である。
図6】擬似同期化装置の主要部を示すブロック図である。
図7】放送システムの主要部を示すブロック図である。
図8】一般的なTS擬似同期化装置の信号入出力などの一例を示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0023】
実施形態1.
図1は、第1の実施形態の擬似同期化装置(TS擬似同期化装置)を有する受託局と委託局とを含むシステムを示すシステム構成図である。図1には、受託局100、委託局200,210、および送信設備300が示されている。送信設備300は、受託局100から受信したTSを放送用衛星に送信する。
【0024】
受託局100には、N系のTS擬似同期化装置101と、E系のTS擬似同期化装置102と、クロック信号発生装置110と、スーパーフレーム位相信号発生装置120と、TS合成装置130とが設けられている。
【0025】
クロック信号発生装置110は、クロック信号を発生し、クロック信号を、スーパーフレーム位相信号発生装置120、TS合成装置130およびTS擬似同期化装置101,102に供給する。
【0026】
TS擬似同期化装置101,102は、委託局200が送信するTSを受託局におけるクロック信号に同期したTSに再構築し、再構築したTSをTS合成装置に出力する。
【0027】
スーパーフレーム位相信号発生装置120は、クロック信号に基づいてSF位相信号を生成する。SF位相信号は、TS合成装置130およびTS擬似同期化装置101,102に供給される。TS合成装置130は、N系とE系とのいずれかのTSを選択する。そして、TS合成装置130は、複数の委託局からの入力TSを合成する。TS合成装置130は、合成したTSを送信設備300に送信する。
【0028】
委託局200には、クロック信号発生装置203と、N系の送信側信号処理装置201と、E系の送信側信号処理装置202とが設けられている。クロック信号発生装置203は、クロック信号を生成し、クロック信号をN系の送信側信号処理装置201およびE系の送信側信号処理装置202に供給する。N系の送信側信号処理装置201と、E系の送信側信号処理装置202とは、供給されたクロック信号に同期したTSを生成し、TSを受託局100に送信する。
【0029】
委託局210は、委託局200と同様に構成される。なお、図4には2つの委託局200,210が示されているが、3つ以上の委託局が存在することもある。2つ以上の委託局がある場合には、受託局100には、それぞれの委託局に対応するN系のTS擬似同期化装置およびE系のTS擬似同期化装置が存在する。
【0030】
図2は、TS擬似同期化装置101の構成例を示すブロック図である。TS擬似同期化装置101は、多重分離部(DEMUX部)111、内部SF位相生成部112および再多重部(REMUX部)113を備えている。多重分離部111は、委託局200から入力されたTSをTSパケットに分離する。
【0031】
TS擬似同期化装置102は、TS擬似同期化装置101と同様に構成される。すなわち、TS擬似同期化装置102も、多重分離部111、内部SF位相生成部112および再多重部113を備えている。
【0032】
再多重部113は、多重分離部111が出力するTSパケットを、内部SF位相生成部112から出力される内部SF位相に同期させる。なお、TS擬似同期化装置101には、バッファが設けられている。例えば、多重分離部111にバッファが設けられ、TS擬似同期化装置101に入力されたTSは、1SF分以上遅れて、TS擬似同期化装置101から出力される。
【0033】
内部SF位相生成部112には、スーパーフレーム位相信号発生装置120から、SF位相信号が入力される。また、内部SF位相生成部112には、クロック信号発生装置110からクロック信号が入力される。内部SF位相生成部112は、SF位相信号に基づいて、SF位相信号に同期したクロック信号を用いて内部SF位相を生成する。
【0034】
具体的には、例えば、内部SF位相生成部112は、受託局100において、各装置が起動されると、入力されたSF位相信号が示すSF位相を起点として、受託局におけるクロック信号(すなわち、クロック信号発生装置110からクロック信号)に同期した内部SF位相を生成する。一例として、内部SF位相生成部112は、カウンタ回路で実現される。
【0035】
図3は、TS擬似同期化装置101,102の信号入出力などの一例を示すタイミング図である。N系の入力TSは、TS擬似同期化装置101に入力される。E系の入力TSは、TS擬似同期化装置102に入力される。出力TSは、TS擬似同期化装置101,102からTS合成装置130に出力されるTSである。
【0036】
図3において、各矩形は、SF構造のTSを示す。矩形内の表記における数字は、各TSを区別するための番号である。「n」は、N系の入力TSであることを示す。「N」はN系の出力TSであることを示す。「e」は、E系の入力TSであることを示す。「E」はE系の出力TSであることを示す。
【0037】
なお、図3には、基本的に、言い換えれば起動時に、入力TSから1SF分の時間遅れて出力TSが出力されるように示されているが、実際には、TS擬似同期化装置101,102は、1SF分の時間を超える時間遅れてTSを出力するような構成であることもある。
【0038】
委託局200,210におけるクロック信号と受託局100におけるクロック信号とは同期していない。その結果、時間経過に伴って、N系に入力されたTSとN系におけるTS擬似同期化装置101の内部SF位相との間で、位相ずれが生じる。同様に、時間経過に伴って、E系入力されたTSとE系におけるTS擬似同期化装置102の内部SF位相との間で、位相ずれが生じる。
【0039】
そして、例えば、N系に障害が発生したときに、N系とE系とが切り替えられる。具体的には、TS合成装置130は、TS擬似同期化装置101からのTSを使用する状態から、TS擬似同期化装置102からのTSを使用する状態に変わる。
【0040】
上述したように、N系のTS擬似同期化装置101とE系のTS擬似同期化装置102との双方にスーパーフレーム位相信号発生装置120から入力されるSF位相信号に基づいて、内部SF位相が生成される。したがって、N系に入力されるTSの位相とE系に入力されるTSの位相とがずれている場合であっても、TS擬似同期化装置101における内部SF位相生成部112が生成する内部SF位相と、TS擬似同期化装置102における内部SF位相生成部112が生成する内部SF位相との間で、位相ずれは生じない。
【0041】
その結果、系統切り替え時のパケットの重複や欠落が防止される。よって、系統切り替え時の映像ノイズおよび音声ノイズの発生が低減され、かつ、送信設備におけるエラーの発生が防止される。
【0042】
実施形態2.
図4は、第2の実施形態の擬似同期化装置(TS擬似同期化装置)を有する受託局と委託局とを含む放送システムを示すシステム構成図である。図4には、受託局100、委託局200,210、および送信設備300が示されている。送信設備300は、受託局100から受信したTSを放送用衛星に送信する。
【0043】
図4に示す委託局200,210の構成および機能は、図1に示された委託局200,210の構成および機能と同じである。
【0044】
受託局100には、N系のTS擬似同期化装置121と、E系のTS擬似同期化装置122と、クロック信号発生装置110と、スーパーフレーム位相信号発生装置120と、TS合成装置130とが設けられている。
【0045】
図4に示すクロック信号発生装置110、スーパーフレーム位相信号発生装置120、およびTS合成装置130の構成および機能は、第1の実施形態におけるクロック信号発生装置110、スーパーフレーム位相信号発生装置120、およびTS合成装置130の構成および機能と同じである。
【0046】
第2の実施形態では、クロック信号発生装置110は、クロック信号を、スーパーフレーム位相信号発生装置120およびTS合成装置130に供給するが、TS擬似同期化装置121,122には供給しない。第1の実施形態と同様、スーパーフレーム位相信号発生装置120は、SF位相信号を、TS合成装置130およびTS擬似同期化装置121,122に供給する。
【0047】
図5は、TS擬似同期化装置121の構成例を示すブロック図である。TS擬似同期化装置121は、多重分離部111、再多重部113、内部SF位相生成部114、および内部クロック生成部115を備えている。図5に示す多重分離部111および再多重部113の構成および機能は、第1の実施形態における多重分離部111および再多重部113の構成および機能と同じである。
【0048】
なお、TS擬似同期化装置122も、TS擬似同期化装置121と同様に構成される。すなわち、TS擬似同期化装置122も、多重分離部111、再多重部113、内部SF位相生成部114、および内部クロック生成部115を備えている。
【0049】
第2の実施形態では、内部クロック生成部115は、スーパーフレーム位相信号発生装置120から入力されるSF位相信号に基づいて内部クロック信号を生成する。例えば、内部クロック生成部115は、周波数シンセサイザで実現される。
【0050】
内部SF位相生成部114には、スーパーフレーム位相信号発生装置120から、SF位相信号が入力される。また、内部SF位相生成部114には、内部クロック生成部115からクロック信号が入力される。内部SF位相生成部114は、SF位相信号に基づいて、SF位相信号に同期した内部クロック信号を用いて内部SF位相を生成する。
【0051】
N系とE系とが切り替えられるときに、TS合成装置130は、TS擬似同期化装置121からのTSを使用する状態から、TS擬似同期化装置122からのTSを使用する状態に変わる。
【0052】
第2の実施形態でも、いずれの系統の内部SF位相生成部114も、一つのスーパーフレーム位相信号発生装置120からのSF位相信号に基づいてSF位相を生成する。したがって、TS擬似同期化装置101における内部SF位相生成部112が生成する内部SF位相と、TS擬似同期化装置102における内部SF位相生成部112が生成する内部SF位相との間で、位相ずれは生じない。
【0053】
その結果、系統切り替え時のパケットの重複や欠落が防止される。よって、系統切り替え時の映像ノイズおよび音声ノイズの発生が低減され、かつ、送信設備におけるエラーの発生が防止される。
【0054】
第1の実施形態では、TS擬似同期化装置101,102に、クロック信号発生装置110からクロック信号が供給され、かつ、スーパーフレーム位相信号発生装置120からSF位相信号が供給される。したがって、TS擬似同期化装置101,102への信号配線数が増える。しかし、第2の実施形態では、クロック信号発生装置110からクロック信号が供給されないので、信号配線数の増加を抑制できる。
【0055】
図6は、擬似同期化装置の主要部を示すブロック図である。図6に示す擬似同期化装置10(実施形態では、TS擬似同期化装置101,102、または、TS擬似同期化装置121,122で実現される。)は、SF構造のTSを装置内のクロック信号に周波数同期させる擬似同期化装置であって、TSの合成を行うTS合成装置が使用する位相信号すなわち同期用の信号(例えば、SF位相信号)に基づいて内部位相(例えば、内部SF位相)を生成する内部位相生成部11(実施形態では、内部SF位相生成部112,114で実現される。)と、入力されたTSを、内部位相に同期したTSに再構築するTS再構築部12(実施形態では、再多重部113で実現される。)とを備えている。
【0056】
内部位相生成部11は、例えば、位相信号の基になるクロック信号と位相信号とを入力し、起動時に入力される位相信号に基づいて、クロック信号を用いて内部位相を生成する。
【0057】
内部位相生成部は、例えば、位相信号を入力し、位相信号から内部クロック信号を生成し、起動時に入力される位相信号に基づいて、内部クロック信号を用いて内部位相を生成する。
【0058】
内部位相生成部は、起動時に入力された位相信号を起点として、内部位相を生成するように構成される。
【0059】
図7は、放送システムの主要部を示すブロック図である。図7に示す放送システム20(受託局100に相当)は、クロック信号を生成するクロック信号発生装置21(実施形態では、クロック信号発生装置110で実現される。)と、SF構造のTSの合成を行うTS合成装置22(実施形態では、TS合成装置130で実現される。)と、TS合成装置22が使用する位相信号(例えば、SF位相信号)を生成する位相信号生成部23(実施形態では、スーパーフレーム位相信号発生装置120で実現される。)と、TSをクロック信号に周波数同期させる擬似同期化装置24(実施形態では、TS擬似同期化装置101,102、または、TS擬似同期化装置121,122で実現される。)とを備え、擬似同期化装置24は、TSの合成を行うTS合成装置22が使用する位相信号(例えば、SF位相信号)に基づいて内部位相(例えば、内部SF位相)を生成する内部位相生成部11(実施形態では、内部SF位相生成部112,114で実現される。)と、入力されたTSを、内部位相に同期したTSに再構築するTS再構築部12(実施形態では、再多重部113で実現される。)とを含む。
【0060】
擬似同期化装置24は、例えば、現用系(N系)のTS擬似同期化装置(実施形態では、101、121で実現される。)と予備系(E系)のTS擬似同期化装置(実施形態では、102、122で実現される。)とを含む。
【符号の説明】
【0061】
10 擬似同期化装置
11 内部位相生成部
12 TS再構築部
20 放送システム
21 クロック信号発生装置
22 TS合成装置
23 位相信号生成部
24 擬似同期化装置
100 受託局
101,102,121,122 TS擬似同期化装置
110 クロック信号発生装置
111 多重分離部
112,114 内部SF位相生成部
113 再多重部
115 内部クロック生成部
120 スーパーフレーム位相信号発生装置
130 TS合成装置
200、210 委託局
201,202 送信側信号処理装置
203 クロック信号発生装置
300 送信設備
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8