(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182910
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】加速度センサ
(51)【国際特許分類】
G01P 15/125 20060101AFI20231220BHJP
G01P 15/08 20060101ALI20231220BHJP
G01P 15/18 20130101ALI20231220BHJP
【FI】
G01P15/125 Z
G01P15/08 101B
G01P15/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096142
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沈 東演
(57)【要約】
【課題】従来よりも感度を向上させることができる加速度センサを提供する。
【解決手段】加速度センサ100,200,300、400は、加速度が生じることで移動方向Zに移動する移動部133,433と、移動部と移動方向に間隙を存して対向配置された対向部113,213,313,122,222,322と、を備え、移動部は、対向部に対向する側に開口する穴部D1,D2,D3を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速度が生じることで移動方向に移動する移動部と、
前記移動部と前記移動方向に間隙を存して対向配置された対向部と、を備え、
前記移動部は、前記対向部に対向する側に開口する穴部を有する
ことを特徴とする加速度センサ。
【請求項2】
前記対向部は、基板上に形成された電極である
ことを特徴とする請求項1記載の加速度センサ。
【請求項3】
前記電極は、前記基板の面と直交する方向から視て、少なくとも一部が前記穴部と重ならない位置に形成されている
ことを特徴とする請求項2記載の加速度センサ。
【請求項4】
前記基板と前記移動部とを接続し、前記電極との距離が変化する方向に前記移動部が移動する際に弾性変形する接続部を備えた
ことを特徴とする請求項2記載の加速度センサ。
【請求項5】
前記接続部は、前記基板の面と直交する方向から視て、少なくとも一部が前記穴部の内部に配置されている
ことを特徴とする請求項4記載の加速度センサ。
【請求項6】
前記移動部及び前記接続部と一体的に形成されて、前記基板に固定された固定部を備え、
前記固定部は、少なくとも一部が前記穴部の内部に配置されている
ことを特徴とする請求項4記載の加速度センサ。
【請求項7】
前記接続部は、前記移動部の重心に対し、前記基板の面と直交する方向にずれた位置で前記移動部と接続している
ことを特徴とする請求項4記載の加速度センサ。
【請求項8】
前記接続部は、一端が前記基板に接続され、他端が前記移動部に接続されており、前記一端から前記他端までの寸法が、前記一端から前記他端へ向かう方向と直交する方向の寸法よりも大きく形成されている
ことを特徴とする請求項4記載の加速度センサ。
【請求項9】
前記接続部は、前記基板の面と直交する方向から視て、前記一端から前記他端へ向かって第1方向に延在する第1接続部と、前記第1接続部の前記他端の側の端部に接続され、前記第1方向とは異なる第2方向に延在する第2接続部と、前記第2接続部の前記他端の
側の端部に接続され、前記第2方向とは異なる第3方向に延在する第3接続部と、を有する
ことを特徴とする請求項8記載の加速度センサ。
【請求項10】
前記電極は、第1電極であり、
前記基板は、第1基板であり、
第2電極が形成され、前記移動部に対して前記第1基板とは反対側に配置された第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、前記第2基板を前記第1基板に保持させる保持部と、を備え、
前記移動部は、前記第2電極と間隙を存して対向配置されている
ことを特徴とする請求項2乃至9のいずれか1項記載の加速度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加速度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可動電極部と固定電極板との間の電気容量変化を検出することで、可動電極部の固定電極板側への位置変位を加速度として検出する半導体容量型の加速度センサが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、特許文献1に記載されたような半導体容量型(静電容量型)の加速度センサは、固定された電極と当該電極に対して移動する移動部(可動電極)との間に存在する流体が、電極に対して移動部が移動する際の抵抗になるため、加速度を検出する際の感度の向上が難しい。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するものであって、従来よりも感度を向上させることができる加速度センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る加速度センサは、加速度が生じることで移動方向に移動する移動部と、移動部と移動方向に間隙を存して対向配置された対向部と、を備え、移動部は、対向部に対向する側に開口する穴部を有する。
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、加速度が生じることで移動する移動部が、対向部に対向する側に開口する穴部を有するので、対向部と移動部との間に流体が存在する場合であっても当該流体が移動しやすくなり、当該流体の影響を抑制して感度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る加速度センサの概略構成を示す平面図。
【
図2】実施の形態1に係る加速度センサの概略構成を示す斜視図。
【
図3】実施の形態1に係る加速度センサを示す分解図。
【
図4】実施の形態1に係る加速度センサを示す断面図。
【
図5】
図5Aは、実施の形態1においてZ方向の加速度が生じている状態の可動電極基板を示す動作図、
図5Bは、実施の形態1においてX方向の加速度が生じている状態の可動電極基板を示す動作図、
図5Cは、実施の形態1においてY方向の加速度が生じている状態の可動電極基板を示す動作図。
【
図6】実施の形態1に係る加速度センサと接続される処理回路を示すブロック図。
【
図7】実施の形態2に係る加速度センサの概略構成を示す斜視図。
【
図8】実施の形態2に係る加速度センサの構成を示す分解図。
【
図9】実施の形態3に係る加速度センサの概略構成を示す斜視図。
【
図10】実施の形態3に係る加速度センサの構成を示す分解図。
【
図11】実施の形態4に係る加速度センサの構成を示す分解図。
【
図12】実施の形態5に係る可動電極基板を示す平面図。
【
図13】実施の形態6に係る加速度センサと接続される処理回路を示すブロック図。
【
図14】実施の形態7に係る加速度センサと接続される処理回路を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
まず、
図1及び
図2を参照して、実施の形態1に係る加速度センサ100の概略構成について説明する。
図1は、実施の形態1に係る加速度センサ100の概略構成を示す平面図であり、
図2は、実施の形態1に係る加速度センサ100の概略構成を示す斜視図である。実施の形態1に係る加速度センサ100は、印加された加速度に応じた電極間の静電容量の変化に基づいて、多方向の加速度を検出する静電容量型の多軸加速度センサである。
【0010】
例えば、加速度センサ100は、地震の振動を計測する感震器、並びに、自動車、ロボット、無人飛行体及び携帯用デバイスの加速度検出に用いられる。
図1及び
図2に示すように、加速度センサ100は、第1固定電極基板110と、第2固定電極基板120と、印加される外力により振動する錘である可動電極133と前記可動電極133に繋がっているバネ部及び前記バネ部を通して前記可動電極133とメカ的及び電気的にも繋がっている固定電極132を含む可動電極基板130と、を備えている。例えば、第1固定電極基板110、第2固定電極基板120及び前記可動電極基板130は、それぞれ平衡平板状に形成されて、互いに略平衡平板になるように配置されている。なお、実施の形態1において、第1固定電極基板110は、第1基板を構成する。
【0011】
第2固定電極基板120は、第1固定電極基板110の面と直交する方向(
図1に示すZ方向)に、第1固定電極基板110と間隙を存して配置されている。可動電極基板130は、第1固定電極基板110と第2固定電極基板120との間に配置されている。言い換えると、第2固定電極基板120は、可動電極基板130に対して第1固定電極基板110とは反対側に配置されている。このように、加速度センサ100は、第1固定電極基板110、可動電極基板130及び第2固定電極基板120からなる3層構造になっている。
【0012】
次に、
図3及び
図4を参照して、実施の形態1に係る加速度センサ100の構成の詳細について説明する。
図3は、実施の形態1に係る加速度センサ100を示す分解図である。
図3に示すように、第1固定電極基板110は、基板本体111と、複数の固定電極113と、複数の端子112と、を有している。例えば、基板本体111は、可動電極基板130と熱膨張係数が近い材質によって形成されている。具体的には、基板本体111は、ホウケイ酸ガラス系の基材、またはLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics:低温同時焼成セラミックス)等のセラミックス基材によって形成されている。また、例えば、基板本体111は、Z方向から視て矩形となる平板状に形成されている。なお、実施の形態1において、Z方向から視て矩形である基板本体111のいずれか1つの辺に沿う方向をX方向、X方向と直交する他の辺に沿う方向をY方向ともいう。また、実施の形態1において、固定電極113は、第1電極及び対向部を構成する。
【0013】
複数の固定電極113は、例えば、内部応力を持たないある厚さの金属膜、或いは導電性を有する膜、若しくは高濃度不純物を拡散したシリコン材のある厚さを有する膜材でも良い。前記固定電極113は、静電容量の変化を検出するための電極であり、基板本体111の可動電極基板130の側の面に形成されている。なお、実施の形態1において、「基板本体111の可動電極基板130の側の面」を「基板本体111の下面」又は「第1固定電極基板110の下面」、「基板本体111の可動電極基板130とは反対側の面」を「基板本体111の上面」又は「第1固定電極基板110の上面」、「基板本体111の下面」及び「基板本体111の上面」のいずれか一方を指して「基板本体111の面」又は「第1固定電極基板110の面」ともいう。複数の固定電極113は、基板本体111の面が延在する方向(例えば、
図1に示すX方向及びY方向)に互いに間隙を存して配置されている。例えば、第1固定電極基板110には、複数の固定電極113が、Z方向から視て、基板本体111の中心に対して回転対称となるように配置されている。具体的には、第1固定電極基板110には、4つの固定電極113が、Z方向から視て、基板本体111の中心に対して4回対称となるように形成されている。
【0014】
複数の端子112は、基板本体111の面が延在する方向に互いに間隙を存して配置されており、複数の固定電極113と処理回路150(
図6参照)とを電気的に接続する。例えば、複数の端子112は、基板本体111の上面に形成されており、複数の固定電極113と複数のスルーホール114によって電気的に接続されている。また、例えば、複数の端子112は、耐熱性及び耐環境性を有し、低抵抗率の貴金属膜によって形成されている。なお、複数の端子112は、処理回路150と直接連結される場合、ワイヤボンディングが可能な貴金属材、又はアルミ金属材の膜によって形成されていてもよい。
【0015】
例えば、複数のスルーホール114は、電解溶液中の放電加工法、液中の超音波加工、微細砂分を用いるブラスト加工法、または、基板本体111の特定光吸収特性を用いたレーザ加工法等の加工法を用いた穴加工によって形成される。また、例えば、スルーホール114は、貴金属でスルーホール114を埋めるメッキ法、導電性を有する樹脂でスルーホール114を埋める方法、金属蒸着法、又はスパッタ法等によって導電性が付与されることで、複数の固定電極113と複数の端子112とを電気的に接続する。例えば、第1固定電極基板110には、複数のスルーホール114が、Z方向から視て、基板本体111の中心に対して回転対称となるように配置されている。
【0016】
なお、第1固定電極基板110は、スルーホール114を形成する代わりに、基板本体111に予め導電性の電柱を埋め込むことによって、複数の固定電極113と複数の端子112とを電気的に接続するように構成されていてもよい。また、第1固定電極基板110は、基板本体111としてLTCC等のセラミックス基材を用いる場合、スルーホール114を形成する代わりに、基板本体111を低温で焼成を行う際に予め低抵抗導体とセラミックス基材とを一体形成して構成されていてもよい。
【0017】
図3に示すように、第2固定電極基板120は、基板本体121と、複数の固定電極122と、複数の端子123と、を有している。例えば、基板本体121は、第1固定電極基板110の基板本体111と同様の材質によって形成されている。また、例えば、基板本体121は、外形が、Z方向から視て、第1固定電極基板110の基板本体111の外形と重なるように形成されている。
【0018】
複数の固定電極122は、前記固定電極113と同様な材質の電極で静電容量の変化を検出するための電極であり、基板本体121の可動電極基板130の側の面に形成されており、第1固定電極基板110の複数の固定電極113及び複数の端子112に対して電気的に絶縁されている。なお、実施の形態1において、「基板本体121の可動電極基板130の側の面」を「基板本体121の上面」又は「第2固定電極基板120の上面」、「基板本体121の可動電極基板130とは反対側の面」を「基板本体121の下面」又は「第2固定電極基板120の下面」、「基板本体121の上面」及び「基板本体121の下面」のいずれか一方を指して「基板本体121の面」又は「第2固定電極基板120の面」ともいう。複数の固定電極122は、基板本体111の面が延在する方向に互いに間隙を存して配置されている。例えば、第2固定電極基板120には、複数の固定電極122が、Z方向から視て、基板本体121の中心に対して回転対称となるように形成されている。具体的には、第2固定電極基板120には、Z方向から視て、外形が第1固定電極基板110の複数の固定電極113の外形と重なるように、複数の固定電極113が形成されている。なお、実施の形態1において、固定電極122は、第2電極及び対向部を構成する。
【0019】
複数の端子123は、基板本体121の面が延在する方向に互いに間隙を存して配置されており、複数の固定電極122と処理回路150とを電気的に接続すると共に、第1固定電極基板110の複数の固定電極113及び複数の端子112に対して電気的に絶縁されている。例えば、複数の端子123は、複数の端子112と同様に、貴金属膜によって形成されている。また、例えば、複数の端子123は、基板本体121の下面に形成されており、複数の固定電極122と複数のスルーホール124によって電気的に接続されている。また、例えば、複数の端子123は、一部が第2固定電極基板120の下面に沿って配置されると共に、一部がZ方向に延在する第2固定電極基板120の側面に沿って配置されている。このように、複数の端子123は、一部がZ方向に沿って配置されていることにより、例えば、処理回路150と接続された状態において加速度センサ100のZ方向の位置が変化した場合であっても、安定して処理回路との接続を維持することが可能になる。
【0020】
複数のスルーホール124の特徴は、複数のスルーホール114の特徴と同様であるため、説明を省略する。加速度センサ100は、複数の固定電極113、複数の固定電極122、複数のスルーホール114及び複数のスルーホール124が、Z方向から視て、基板本体111の中心に対して回転対称となるように配置されていることにより、加速度センサ100に生じる内部応力を抑制している。
【0021】
図3に示すように、可動電極基板130は、第1固定部131と、第2固定部132と、可動電極133と、バネ部としての複数の接続部134と、を有している。例えば、可動電極基板130は、シリコン等の基板材に高濃度不純物を拡散した基板材、或いはシリコン等の低抵抗の半導体によって形成されている。また、例えば、可動電極基板130は、絶縁層を持つSOI(Silicon on Insulator)基板を用いて形成されていても良い。また、例えば、可動電極基板130は、化学溶液を用いる異方性エッチング法や化学溶液中の陽極酸化法、或いは特定の不純物濃度で選択的にエッチングする方法、または、気相中の化学反応と加速イオンを用いる反応性イオンエッチング(Reactive IonEtching; RIE)や前記化学溶液を用いるエッチング法と前記気相中の反応性エッチング法を組み合わせた複合エッチング法等によって形成される。
【0022】
第1固定部131及び第2固定部132は、第1固定電極基板110の下面と接合されて第1固定電極基板110に固定され、かつ第2固定電極基板120の上面と接合されて第2固定電極基板120に固定されている。言い換えると、第1固定部131及び第2固定部132は、第2固定電極基板120を第1固定電極基板110に保持させている。また、言い換えると、第2固定電極基板120は、第1固定部131及び第2固定部132を介して第1固定電極基板110に保持されている。例えば、第1固定電極基板110、第2固定電極基板120及び可動電極基板130は、陽極接合法または表面活性化技術を用いて接合される。なお、第1固定電極基板110、第2固定電極基板120及び可動電極基板130は、これらがいずれもシリコンによって形成されている場合、シリコン-シリコンの直接接合方法によって接合されていてもよい。
【0023】
第1固定部131は、Z方向から視て、可動電極基板130の外縁部に配置されている。例えば、第1固定部131は、Z方向から視て、第1固定電極基板110及び第2固定電極基板120の外形に沿うように形成されて、第2固定部132及び可動電極133を囲うように配置されている。具体的には、第1固定部131は、Z方向から視て、外形が第1固定電極基板110及び第2固定電極基板120の外形と重なる矩形状に形成されると共に、中央部にZ方向に貫通する矩形状の貫通孔D1を有しており、当該貫通孔D1の内部に、第2固定部132及び可動電極133を収容している。このように構成されて、加速度センサ100は、第1固定電極基板110、第2固定電極基板120及び第1固定部131によって形成される空間S(
図4参照)と、加速度センサ100の外部の空間と、が連通しないように区画している。これにより、加速度センサ100は、可動電極133を収容する空間Sに埃、塵等の異物が侵入することを抑制している。なお、第1固定部131は、実施の形態1において、保持部を構成する。また、実施の形態1において、貫通孔D1は、第1穴部(穴部)を構成する。
【0024】
加速度センサ100は、空間Sが真空であることが望ましい。しかしながら、現実的には、空間Sが完全な真空になるように加速度センサ100を生産することは難しく、加速度センサ100は、外部の空間よりも負圧、かつ加速度センサ100に要求される周波数特性に基づいた真空度となるように、空間S内の流体(例えば、乾燥空気、或いは不活性気体)の圧力が設定されている。このように空間Sの真空度を設定することにより、加速度センサ100の用途に応じた特定の周波数帯の振動に対する感度を向上させることが可能になる。
【0025】
第2固定部132、可動電極133及び複数の接続部134は、一体的に形成されている。第2固定部132は、Z方向から視て、可動電極基板130の中央部に配置されている。例えば、第2固定部132は、Z方向から視て、各辺が第1固定電極基板110及び第2固定電極基板120の外形に沿う方向に配置されている矩形状に形成されている。また、例えば、第2固定部132は、第1固定電極基板110の複数の端子112のうちのいずれかの端子112、及び第2固定電極基板120の複数の端子123のうちのいずれかの端子123と電気的に接続されている。なお、実施の形態1において、第2固定部132は、固定部を構成する。
【0026】
可動電極133は、Z方向から視て、第1固定部131と第2固定部132との間に配置されており、複数の接続部134によって第2固定部132と接続されている。言い換えると、可動電極133は、複数の接続部134によって、第2固定部132を介して第1固定電極基板110及び第2固定電極基板120と接続されている。また、言い換えると、可動電極133は、中央部に第1固定電極基板110及び第2固定電極基板120に対向するように開口する貫通孔D1を有しており、第2固定部132及び複数の接続部134は、貫通孔D1の内部に配置されている。また、言い換えると、可動電極133は、中央部に固定電極113及び固定電極122に対向する側に開口する貫通孔D1を有している。例えば、可動電極133は、Z方向から視て、第1固定部131との距離が略一定、かつ第2固定部132との距離が略一定となるように形成されている。具体的には、可動電極133は、Z方向から視て、外形の各辺が第1固定部131の矩形状の貫通孔の各辺の方向に沿うように配置されると共に、各辺が第2固定部132の外形の各辺の方向に沿うように配置された貫通孔D1を有している。
【0027】
可動電極133は、Z方向における一方側の面が固定電極113と近接して対向配置され、Z方向における他方側の面が固定電極122と近接して対向配置されている。例えば、可動電極133は、Z方向から視て、固定電極113及び固定電極122と重なるように配置されている。また、例えば、可動電極133は、Z方向から視て、貫通孔D1が固定電極113及び固定電極122と重ならないように配置されている。
【0028】
複数の接続部134は、それぞれ梁状に形成されており、第1固定部131と可動電極133とを複数個所で接続している。例えば、複数の接続部134は、Z方向から視て、基板本体111の中心に対して回転対称となるように形成されている。具体的には、複数の接続部134は、Z方向から視て、基板本体111の中心に対して4回対称となるように4本の接続部134によって構成されている。より具体的には、複数の接続部134は、Z方向から視て、矩形状の第2固定部132の外形及び矩形状の貫通孔D1の各辺の方向に沿って鉤十字状に形成された4本の接続部134によって構成されている。
【0029】
例えば、複数の接続部134のうち1つの接続部134aは、一端が第2固定部132に接続され、他端が可動電極133に接続されており、接続部134aの一端から接続部134aの他端までの経路の長さ寸法が、接続部134aの一端から接続部134aの他端へ向かう方向と直交する方向の幅寸法よりも大きく形成されている。また、接続部134aは、Z方向から視て、接続部134aの一端から接続部134aの他端へ向かって第1方向に延在する第1接続部134a1と、第1接続部134a1の他端側の端部に接続され、第1方向とは異なる第2方向に延在する第2接続部134a2と、第2接続部134a2の他端側の端部に接続され、第2方向とは異なる第3方向に延在する第3接続部134a3と、を有している。
【0030】
具体的には、接続部134aは、Z方向から視て、接続部134aの一端から接続部134aの他端へ向かってX方向に延在する第1接続部134a1と、第1接続部134a1の他端側の端部に接続され、Y方向に延在する第2接続部134a2と、第2接続部134a2の他端側の端部に接続され、X方向に延在する第3接続部134a3と、を有している。言い換えると、接続部134aは、Z方向から視て、第2固定部132の外形に沿って複数回屈曲するように形成されている。このように形成されることで、接続部134aは、Z方向から視た際の大きさを抑制しつつ、一端から他端までの長さを大きくすることを可能にしている。なお、複数の接続部134のうち他の接続部134は、Z方向から視て、基板本体111の中心に対して回転対称となるように、上記接続部134aと同様の形状に形成されていることが望ましい。
【0031】
図4は、実施の形態1に係る加速度センサ100を示す、
図1のA-A断面図である。
図4に示すように、複数の接続部134は、可動電極133の重心に対し、Z方向にずれた位置で可動電極133と接続している。また、複数の接続部134は、Z方向の寸法が、可動電極133よりも小さい寸法となるように形成されている。可動電極133は、Z方向において、固定電極113と固定電極122との間に配置されており、固定電極113及び固定電極113のそれぞれと間隙を存して配置されている。このように構成されて、可動電極133は、加速度が生じることで、固定電極113と固定電極122との間で移動し、固定電極113及び固定電極122との距離が変化する方向に移動する際に、複数の接続部134を弾性変形させる。
【0032】
次に、
図5を参照して、印加される外力により加速度が生じた際の加速度センサ100の動作について説明する。
図5Aは、実施の形態1においてZ方向の加速度が生じている状態の可動電極基板130を示す動作図であり、
図5Bは、実施の形態1においてX方向の加速度が生じている状態の可動電極基板130を示す動作図であり、
図5Cは、実施の形態1においてY方向の加速度が生じている状態の可動電極基板130を示す動作図である。なお、
図5A乃至
図5Cは、見やすさのため、可動電極133の移動量を誇張して実際の移動量よりも大きく表現しているが、実際には、可動電極133は、複数の固定電極113(
図3参照)と複数の固定電極122との間で移動可能となっている。加速度センサ100に加速度が生じた結果、第2固定部132に対して可動電極133に力が作用すると、可動電極133と各固定電極113及び固定電極122との距離が、作用した力の向き及び大きさに応じて変化する。このとき、可動電極133と固定電極との距離が小さくなると、可動電極133と固定電極との間の静電容量が増大し、可動電極133と固定電極との距離が大きくなると、可動電極133と固定電極との間の静電容量が減少する。
【0033】
例えば、
図5Aに示すように、加速度センサ100に加速度が生じた結果、第2固定部132に対するZ方向の力が可動電極133に作用すると、可動電極133は、複数の接続部134を弾性変形させながら第2固定部132に対してZ方向へ移動する。このとき、可動電極133は、各固定電極113との距離が均等に小さくなり、各固定電極122との距離が均等に大きくなる。
【0034】
また、上述したように、複数の接続部134は、可動電極133の重心に対し、Z方向にずれた位置で可動電極133と接続している。このため、例えば、
図5Bに示すように、加速度センサ100に加速度が生じた結果、第2固定部132に対するX方向の力が可動電極133に作用すると、可動電極133は、複数の接続部134を弾性変形させながらZ方向及びX方向に対して傾動する。言い換えると、可動電極133は、複数の接続部134を弾性変形させながら第2固定部132に対してY方向に沿う仮想軸線を中心に回動する。このとき、可動電極133は、複数の固定電極113のうちX方向の側に配置されている固定電極113との距離が小さくなり、複数の固定電極122のうちX方向の側に配置されている固定電極122との距離が大きくなる。また、このとき、可動電極133は、複数の固定電極113のうちX方向とは反対側に配置されている固定電極113との距離が大きくなり、複数の固定電極122のうちX方向とは反対側に配置されている固定電極122との距離が小さくなる。
【0035】
また、例えば、
図5Cに示すように、加速度センサ100に加速度が生じた結果、第2固定部132に対するY方向の力が可動電極133に作用すると、可動電極133は、複数の接続部134を弾性変形させながら第2固定部132に対してX方向に沿う仮想軸線を中心に傾動する。言い換えると、可動電極133は、複数の接続部134を弾性変形させながら第2固定部132に対してX方向に沿う仮想軸線を中心に回動する。このとき、可動電極133は、複数の固定電極113のうちY方向の側に配置されている固定電極113との距離が小さくなり、複数の固定電極122のうちY方向の側に配置されている固定電極122との距離が大きくなる。また、このとき、可動電極133は、複数の固定電極113のうちY方向とは反対側に配置されている固定電極113との距離が大きくなり、複数の固定電極122のうちY方向とは反対側に配置されている固定電極122との距離が小さくなる。このように、加速度センサ100は、複数の固定電極113及び複数の固定電極122のうち、Z方向から視て、互いに重なる位置に配置されている対になる固定電極において、一方の固定電極と可動電極133との距離が大きくなると、他方の固定電極と可動電極133との距離が小さくなるように構成されている。
【0036】
次に、
図6を参照して、実施の形態1に係る加速度センサ100を用いて加速度を検出する処理回路150の具体例について説明する。
図6は、実施の形態1に係る加速度センサと接続される処理回路150を示すブロック図である。例えば、処理回路150は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/O(Input/Output)ポート等を有して構成されており、Z,X,Yの各軸方向の加速度をそれぞれ独立して検出する。例えば、処理回路150は、C-V変換器11Z、C-V変換器11X、C-V変換器11Y、Z軸信号処理部12Z、X軸信号処理部12X、Y軸信号処理部12Y、Z軸電圧信号変換部13Z、X軸電圧信号変換部13X、Y軸電圧信号変換部13Y、ノイズ除去信号処理フィルタ14Z、ノイズ除去信号処理フィルタ14X及びノイズ除去信号処理フィルタ14Yを備えている。なお、処理回路150は、CPU、ROM及びRAM等の代わりに、専用の回路によって構成されていてもよい。
【0037】
処理回路150は、C-V変換器11Z、Z軸信号処理部12Z、Z軸電圧信号変換部13Z、ノイズ除去信号処理フィルタ14Zによって、可動電極133と複数の固定電極との間の各静電容量C1~C4の変化を、Z軸方位(方向)の加速度に対する電圧信号に変換し、アナログ信号として出力する。同様に、処理回路150は、C-V変換器11X、X軸信号処理部12X、X軸電圧信号変換部13X、ノイズ除去信号処理フィルタ14Xによって、可動電極133と複数の固定電極との間の各静電容量C5~C8の変化を、X軸方位(方向)の加速度に対する電圧信号に変換し、アナログ信号として出力する。同様に、処理回路150は、C-V変換器11Y、Y軸信号処理部12Y、Y軸電圧信号変換部13Y、ノイズ除去信号処理フィルタ14Yによって、可動電極133と複数の固定電極との間の各静電容量C9~C12の変化を、Y軸方位(方向)の加速度に対する電圧信号に変換し、アナログ信号として出力する。
【0038】
以上、実施の形態1に係る加速度センサ100は、固定電極113が形成された第1固定電極基板110と、固定電極113と間隙を存して対向配置され、加速度が生じることで固定電極113との距離が変化する方向に移動する可動電極133と、を備え、可動電極133は、固定電極113及び固定電極122に対向する側に開口する貫通孔D1を有している。上述したように、貫通孔D1の内部空間である空間Sは、真空であることが望ましいが、完全な真空、即ち理想真空は現実的には難しくまたメカ的な共振特性が現しやすくなるので、空間Sにはわずかに乾燥空気、若しくは不活性気体等の流体が存在させ、メカ共振を抑えながら、帯域幅が広く平坦な特性が得られるように空間Sを調整している。このように、空間Sに流体が存在している状態で可動電極133が加速度等によって移動する際、可動電極133は、空間Sの流体によって抵抗を受ける。例えば、可動電極133は、比較的に周波数帯域幅が広く振動する際、当該流体が粘性による流体抵抗、若しくはばねのような役割を果たして反発するエア(或いは流体)ダンピング現象によって移動が抑制される。また、可動電極133は、エア(或いは流体)ダンピング現象が起きない程度の低周波数帯域で振動する場合であっても、流体の粘性によって移動(振動)が抑制される。
【0039】
このような流体による影響は、低周波数帯域側で現れ易い流体の粘性、若しくは高周波帯域で影響が生じやすいエア(或いは流体)ダンピング現象など、スクイーズフィルム現象とも呼ばれ、幅広の面同士が小さい距離で対向している場合に発生しやすい。スクイーズフィルム現象が起きると、固定電極113及び固定電極122に対する可動電極133の移動が抑制されるため、加速度センサの感度向上、及び広帯域で平坦な特性を得ることが難しい。
【0040】
実施の形態1に係る加速度センサ100は、可動電極133が、固定電極113及び固定電極122に対向する側に開口する貫通孔D1を有しているため、可動電極133が固定電極113及び固定電極122に対して移動する際、可動電極133と固定電極113及び固定電極122との間の流体が移動しやすくなり、スクイーズフィルム現象を抑制して、従来よりも加速度を検出する際の感度を向上させることができる。また、静電容量型の加速度センサにおいて、加速度を検出する際の感度を向上させるためには、可動電極を大きくすることが求められるが、実施の形態1に係る加速度センサ100は、可動電極133を大きくしても固定電極に近接する部分の幅を比較的に小さくすることが可能になるので、スクイーズフィルム現象を抑制して、従来よりも加速度を検出する際の感度を向上させることができる。なお、加速度センサは、空間Sの内部が真空又は真空に近い状態であるものに限らず、空間Sに窒素ガス等、所定の不活性気体が充填されているものであってもよい。
【0041】
また、実施の形態1に係る加速度センサ100は、加速度を検出する際の感度を向上させることができるので、消費電力を抑制することが可能になる。また、実施の形態1に係る加速度センサ100は、加速度を検出する際の感度を向上させることができるので、可動電極133の大きさを従来よりも小さくすることで加速度センサ100の小型化が可能になり、加速度センサ100の各電極及び端子等に起因する寄生容量を低減し、更に感度を向上させることが可能になる。
【0042】
また、実施の形態1に係る加速度センサ100は、加速度を検出する際の感度を向上させることができるので、可動電極133、接続部134等の寸法の自由度が向上し、各部の寸法を調整して特性を変化させることにより、多様な目的に使用することが可能になる。特に、実施の形態1に係る加速度センサ100は、スクイーズフィルム現象を抑制しつつ可動電極133を大きくすることが可能になるので、地震動等、低周波数の振動を検出する際の感度を向上させることが容易になる。
【0043】
また、実施の形態1に係る加速度センサ100は、スクイーズフィルム現象を抑制しつつ可動電極133を大きくすることが可能になるので、例えば、可動電極の厚さ方向に別の部品を接合して可動電極の質量を増大させる必要がないので、可動電極に別の部品を接合することによる製造コストの上昇、並びに内部応力に起因する歪み及び反りの発生による精度の低下を抑制することが可能になる。
【0044】
また、実施の形態1に係る加速度センサ100は、Z方向から視て、複数の接続部134が第2固定部132の外形に沿って複数回屈曲するように形成されているので、加速度センサ100の大型化を抑制しつつ、可動電極133が小さな加速度で移動可能になるように接続部134を細長く形成することができるので、従来よりも加速度を検出する際の感度を向上させることができる。
【0045】
また、実施の形態1に係る加速度センサ100は、可動電極133が、固定電極113が形成された第1固定電極基板110と、固定電極122が形成された第2固定電極基板120と、の間に間隙を存して対向配置されている。例えば、いずれかの固定電極113に交流電圧信号または直流電圧信号等の電圧信号を印加すると、可動電極133と当該固定電極113との間に静電引力を発生させて、可動電極133を移動させることができる。実施の形態1に係る加速度センサ100は、このように電圧信号を固定電極に印加して可動電極133を移動させた際の、当該固定電極と対になる固定電極と可動電極133との間の静電容量の変化を検出することによって、加速度センサ100が正常に作動するか否かを診断する自己診断機能を持たせることができる。また、実施の形態1に係る加速度センサ100は、このような診断を行った結果に基づいて、ソフトウェア的な校正を行うことが可能になり、加速度を検出する際の感度を向上が可能になると共に、歩留まりの向上による製造コストの抑制が可能になる。
【0046】
また、実施の形態1に係る加速度センサ100は、電圧信号を固定電極に印加して可動電極133を移動させると共に、当該固定電極と対になる固定電極と可動電極133との間の静電容量の変化を検出することができるので、特定方向の加速度を検出する際の他の方向の加速度の干渉を抑制することが可能になる。例えば、加速度センサ100に多方向の加速度が印加された状態で特定方向の加速度を検出する際、電圧信号を固定電極に印加して、検出する方向以外の加速度による可動電極133の移動を抑制することによって、他の方向の加速度の干渉を抑制し、加速度を検出する際の感度を向上させることができる。また、実施の形態1に係る加速度センサ100は、加速度が生じた際に可動電極133が移動しないように電圧信号を固定電極に印加し、当該電圧信号に基づいて加速度を検出するサーボ型加速度センサとして用いることができる。
【0047】
なお、実施の形態1において、加速度センサ100は、第1固定電極基板110、可動電極基板130及び第2固定電極基板120からなる3層構造を有しているが、これに限定されない。加速度センサは、可動電極と固定電極との距離の変化に応じて、可動電極に生じている加速度を検出可能であればよい。例えば、加速度センサは、第1固定電極基板及び可動電極基板からなる2層構造であってもよいし、第1固定電極基板は、1つの固定電極のみが形成されているものであってもよいし、第1固定電極基板の固定電極の数と、第2固定電極基板の固定電極の数と、が異なっていてもよい。
【0048】
また、実施の形態1において、可動電極133は、貫通孔D1を有していることによって、可動電極133が移動する際の周囲の流体が移動しやすくしているが、これに限定されない。可動電極は、固定電極に対向する側に開口する穴部を有するものであればよい。例えば、可動電極は、貫通孔の代わりに貫通しない穴、周囲の面よりも凹むように形成されている凹部、周囲の面よりも凹むように形成されている溝部等、加速度が生じていない状態で、可動電極が形成されている基板の面との距離が周囲と異なる部分が形成されていればよく、貫通孔以外にも多様な形状が考えられる。
【0049】
また、実施の形態1において、加速度センサ100は、Z方向から視て、第2固定部132の外形に沿って複数回屈曲するように形成された4本の梁状の接続部134を備えているが、これに限定されない。加速度センサは、固定電極が形成された基板と可動電極とを接続する接続部を有しているものであればよく、例えば、加速度センサは、屈曲することなく直線状に形成された接続部を備えていてもよいし、固定部と可動電極との間に膜状に形成された接続部を備えていてもよいし、矩形の平板状に形成された接続部を備えていてもよいし、4以外の他の数の接続部を備えていてもよく、接続部の態様としては多様な構成が考えられる。
【0050】
また、実施の形態1において、加速度センサ100は、第2固定部132及び複数の接続部134が貫通孔D1の内部に配置されているが、これに限定されない。加速度センサは、Z方向から視て、複数の接続部の少なくとも一部が可動電極の穴部の内部に配置されていればよく、第2固定部の一部または全部が貫通孔の外部に配置されていてもよいし、複数の接続部のうちいずれかの接続部が貫通孔の外部に配置されていてもよいし、いずれかの接続部の一部が貫通孔の外部に配置されていてもよい。
【0051】
また、実施の形態1において、加速度センサ100は、第1固定部131、第2固定部132及び可動電極133が同一の材質によって形成されているが、これに限定されない。第1固定部、第2固定部及び可動電極は、互いに異なる材質によって形成されていてもよい。ただし、基板本体、基板本体、第1固定部及び第2固定部は、互いに熱膨張係数が近い材質によって形成されていることが望ましい。
【0052】
実施の形態2.
次に、
図7及び
図8を参照して、実施の形態2に係る加速度センサ200について説明する。実施の形態2に係る加速度センサ200は、実施の形態1に係る加速度センサ100と比較して、固定電極の形状及び配置が異なるが、他の構成については同様であり、実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0053】
図7は、実施の形態2に係る加速度センサ200の概略構成を示す斜視図であり、
図8は、実施の形態2に係る加速度センサ200の構成を示す分解図である。実施の形態2に係る加速度センサ200は、第1固定電極基板210に形成された複数の固定電極213と、第2固定電極基板220に形成された複数の固定電極222と、を有している。複数の固定電極213及び複数の固定電極222は、Z方向から視て、互いに隣接する固定電極の間の間隙が、矩形の可動電極133の対角線に沿って形成されている。このように、複数の固定電極の形状及び位置は、多様な構成が考えられる。なお、実施の形態2において、第1固定電極基板210及び第2固定電極基板220は、それぞれ、第1基板及び第2基板を構成する。なお、実施の形態2において、固定電極213は、第1電極及び対向部を構成する。また、実施の形態2において、固定電極222は、第2電極及び対向部を構成する。
【0054】
実施の形態3.
次に、
図9及び
図10を参照して、実施の形態3に係る加速度センサ300について説明する。実施の形態3に係る加速度センサ300は、実施の形態1に係る加速度センサ100と比較して、固定電極の形状及び配置が異なるが、他の構成については同様であり、実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
図9は、実施の形態3に係る加速度センサ300の概略構成を示す斜視図であり、
図10は、実施の形態3に係る加速度センサ300の構成を示す分解図である。実施の形態3に係る加速度センサ300は、第1固定電極基板310に形成された8つの固定電極313と、第2固定電極基板320に形成された8つの固定電極322と、を有している。実施の形態3に係る加速度センサ300は、実施の形態1に係る加速度センサ100と比べて固定電極の数が多いため、実施の形態1に係る加速度センサ100よりも加速度の方向を詳細に検出することが可能になる。なお、実施の形態3において、固定電極313は、第1電極及び対向部を構成する。また、実施の形態3において、固定電極322は、第2電極及び対向部を構成する。
【0056】
実施の形態4.
次に、
図11を参照して、実施の形態4に係る加速度センサ400について説明する。実施の形態4に係る加速度センサ400は、実施の形態1に係る加速度センサ100と比較して、可動電極の形状が異なるが、他の構成については同様であり、実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
図11は、実施の形態4に係る加速度センサ400の構成を示す分解図である。実施の形態4に係る加速度センサ400は、可動電極433を有する可動電極基板430を備えている。可動電極433は、Z方向から視て、貫通孔D1と、可動電極433の周囲の空間と貫通孔D1とを接続する溝状の凹部D2を有している。凹部D2は、Z方向から視て、複数の固定電極113のうち互いに隣接する固定電極の間の間隙と重なる位置に形成されている。これにより、可動電極433が移動する際、凹部D2を介して空間S(
図4参照)の内部の流体がより移動しやすくなり、スクイーズフィルム現象を抑制することが可能になる。なお、可動電極は、第2固定電極基板120に対向する側の面にも同様の凹部が形成されていてもよいし、4以外の他の数の溝状の凹部及び複数の貫通孔が形成されていてもよい。また、凹部D2は、実施の形態4に係る第2穴部を構成する。
【0058】
なお、上述したいずれの実施の形態においても、加速度センサは、Z方向から視て、第2固定部132と接続部134とが貫通孔D1の内部に配置されているが、これに限定されない。接続部は、Z方向から視て、可動電極を囲うように配置された固定部と可動電極とを接続するように、可動電極の周囲に配置されていてもよい。
【0059】
実施の形態5.
次に、
図12を参照して、実施の形態5に係る加速度センサについて説明する。実施の形態5に係る加速度センサは、実施の形態1に係る加速度センサ100と比較して、可動電極基板の形状が異なるが、他の構成については同様であり、実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0060】
図12は、実施の形態5に係る加速度センサの可動電極基板530を示す平面図である。可動電極基板530は、Z方向から視て、可動電極533の中央部に貫通孔D3が形成されている。また、可動電極基板530は、可動電極533を囲うように配置された固定部532と可動電極533とを接続する複数の接続部534を有している。複数の接続部534は、Z方向から視て、可動電極533の周囲に配置されている。実施の形態5に係る加速度センサは、可動電極533が貫通孔D3を有しているので、可動電極533が移動する際に周囲の流体が移動しやすくなり、スクイーズフィルム現象を抑制することが可能になる。なお、実施の形態5において、貫通孔D3は、第1穴部(穴部)を構成する。
【0061】
また、上述したいずれの実施の形態においても、加速度センサは、Z方向から視て、固定電極の外形が可動電極の外形と重なるように形成されているものに限定されない。固定電極は、Z方向から視て、少なくとも一部が貫通孔(穴部)と重ならない位置に形成されていればよい。
図12は、Z方向から視て、固定電極513の外形が可動電極533の外形と重ならないように形成されている例を示す図である。なお、実施の形態5において、固定電極513は、第1電極及び対向部を構成する。
【0062】
実施の形態6.
次に、
図13を参照して、実施の形態6に係る加速度センサについて説明する。実施の形態6に係る加速度センサは、実施の形態1に係る加速度センサ100と比較して、処理回路の構成が異なるが、他の構成については同様であり、実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】
図13は、実施の形態6に係る加速度センサと接続される処理回路650を示すブロック図である。処理回路650は、各X軸、Y軸やZ軸の独立的な方位に基づいて、例えば、X軸とY軸とのベクトル的な方位から受ける加速度に対して、加速度の詳細な方位を推定するための信号強度演算部を備えている。
【0064】
実施の形態7.
次に、
図14を参照して、実施の形態7に係る加速度センサについて説明する。実施の形態7に係る加速度センサは、実施の形態1に係る加速度センサ100と比較して、処理回路の構成が異なるが、他の構成については同様であり、実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
図14は、実施の形態7に係る加速度センサと接続される処理回路750を示すブロック図である。処理回路750は、高集積化デジタル処理回路によって構成されている。近年、高速信号処理技術の発達と半導体回路の高集積化技術とに基づき、高集積化デジタル処理回路によって加速度センサの出力信号を抽出することが可能になっている。実施の形態7に係る処理回路750は、上述した加速度センサによって加速度を検出することに特化した高集積化マイクロプロセッサ、又はマイコンを用いる構成であり、消費電力を抑制する回路構成及び機能を含むデジタル信号処理回路である。
【0066】
なお、上述したいずれの実施の形態においても、加速度センサは、可動電極133と固定電極との間の静電容量の変化に基づいて加速度を検出する静電容量型の加速度センサに限定されない。加速度センサは、加速度が生じることで移動方向に移動する移動部(錘)と、移動部と移動方向に間隙を存して対向配置された対向部と、を備え、移動部は、対向部に対向する側に開口する穴部を有するものであればよく、例えば、加速度センサは、圧電効果を有する材料や同性質を持つ膜材を用いた圧電型加速度センサ、または半導体ひずみ抵抗を用いるピエゾ型加速度センサであってもよい。
【0067】
なお、本開示は、各実施の形態の自由な組合せ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0068】
100,200,300,400:加速度センサ
110,210,310:第1固定電極基板(第1基板、基板)
111 :基板本体
112 :端子
113,213,313,513:固定電極(第1電極、対向部)
114,124:スルーホール
120,220,320:第2固定電極基板(第2基板、基板)
121 :基板本体
122,222,322:固定電極(第2電極、対向部)
123 :端子
130,430,530:可動電極基板
131 :第1固定部(固定部)
132 :第2固定部(保持部)
133,433,533:可動電極(移動部)
134,134a,534:接続部
134a1 :第1接続部
134a2 :第2接続部
134a3 :第3接続部
150,650,750:処理回路
532 :固定部
D1,D3 :貫通孔(第1穴部、穴部)
D2 :凹部(第2穴部、穴部)
S :空間