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特開2023-182920単位セルの積層方法、及び、積層装置の制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182920
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】単位セルの積層方法、及び、積層装置の制御装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/2404 20160101AFI20231220BHJP
【FI】
H01M8/2404
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096174
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 健
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA22
5H126FF10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】燃料電池を製作する工数を低減できる、燃料電池を構成する単位セルの積層方法を提供する。
【解決手段】積層装置により単位セル14を積層する単位セル14の積層方法は、昇降フォークリフト42に支持された端部部材16に、ロボット40により、第1の所定枚数の単位セル14を積層する第1積層工程と、第1の所定枚数の単位セル14が積層された端部部材16を、スタックケース12の内部において、昇降フォークリフト42が昇降シャフト44に受け渡す受け渡し工程と、昇降シャフト44に支持された端部部材16に、ロボット40により、第2の所定枚数の単位セル14を積層する第2積層工程とを有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層装置により単位セルを積層する単位セルの積層方法であって、
前記単位セルは、燃料電池を構成する部材であり、
積層された前記単位セルの端部に、端部部材が設けられ、
前記積層装置は、
スタックケースの内部において、前記端部部材を支持する第1支持部及び第2支持部と、
前記第1支持部又は前記第2支持部に支持された前記端部部材に前記単位セルを1枚ずつ積層する積層部と、
を有し、
前記第1支持部に支持された前記端部部材に、前記積層部により、第1の所定枚数の前記単位セルを積層する第1積層工程と、
前記第1の所定枚数の前記単位セルが積層された前記端部部材を、前記スタックケースの内部において、前記第1支持部が前記第2支持部に受け渡す受け渡し工程と、
前記第2支持部に支持された前記端部部材に、前記積層部により、第2の所定枚数の前記単位セルを積層する第2積層工程と、
を有する、単位セルの積層方法。
【請求項2】
請求項1に記載の単位セルの積層方法において、
前記第1積層工程において前記端部部材に前記単位セルが積層される度に、前記第1支持部が、前記端部部材を下方に所定距離移動させる第1移動工程と、
前記第2積層工程において前記端部部材に前記単位セルが積層される度に、前記第2支持部が、前記端部部材を下方に前記所定距離移動させる第2移動工程と、
を有する、単位セルの積層方法。
【請求項3】
請求項2に記載の単位セルの積層方法において、
前記スタックケースは、側面に上下方向に延びて形成された開口部を有し、
前記第1積層工程において、前記開口部から前記スタックケースの内部に前記第1支持部を挿入し、前記第1支持部により前記端部部材を支持する、単位セルの積層方法。
【請求項4】
請求項2に記載の単位セルの積層方法において、
前記スタックケースは、下面に複数の連通孔を有し、
前記第2支持部は、複数本の棒状部材を有し、
前記第2積層工程において、各々の前記連通孔から前記スタックケースの内部に挿入された各々の前記棒状部材により前記端部部材を支持する、単位セルの積層方法。
【請求項5】
単位セルを積層する積層装置を制御する積層装置の制御装置であって、
前記単位セルは、燃料電池を構成する部材であり、
積層された前記単位セルの端部に、端部部材が設けられ、
前記積層装置は、
スタックケースの内部において、前記端部部材を支持する第1支持部及び第2支持部と、
前記第1支持部又は前記第2支持部に支持された前記端部部材に前記単位セルを1枚ずつ積層する積層部と、
を有し、
前記積層装置を制御して、
前記第1支持部に支持された前記端部部材に、前記積層部により、第1の所定枚数の前記単位セルを積層し、
前記第1の所定枚数の前記単位セルが積層された前記端部部材を、前記スタックケースの内部において、前記第1支持部が、前記第2支持部に受け渡し、
前記第2支持部に支持された前記端部部材に、前記積層部により、第2の所定枚数の前記単位セルを積層する、積層装置の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池を構成する単位セルの積層方法、及び、単位セルを積層する積層装置の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する燃料電池に関する研究開発が行われている。
【0003】
下記特許文献1には、燃料電池に関する技術として、燃料電池セル(単位セル)の積層方法が開示されている。当該積層方法では、粗整列用ガイド治具と高精度整列用ガイド治具とを用いて、燃料電池セルを整列させる。整列した燃料電池セルを互いに固着させて、燃料電池スタックが製作される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-113997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、燃料電池に関する技術においては、燃料電池を製作する工数を削減することが課題である。
【0006】
上記特許文献1に開示された技術では、燃料電池スタックが製作された後に、燃料電池スタックがスタックケースに収容されて、燃料電池として使用可能となる。そのため、燃料電池スタックがスタックケースに収容される工程が必要となり、燃料電池を製作する工数が多くなる。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、積層装置により単位セルを積層する単位セルの積層方法であって、前記単位セルは、燃料電池を構成する部材であり、積層された前記単位セルの端部に、端部部材が設けられ、前記積層装置は、前記スタックケースの内部において、前記端部部材を支持する第1支持部及び第2支持部と、前記第1支持部又は前記第2支持部に支持された前記端部部材に前記単位セルを1枚ずつ積層する積層部と、を有し、当該積層方法は、前記第1支持部に支持された前記端部部材に、前記積層部により、第1の所定枚数の前記単位セルを積層する第1積層工程と、前記第1の所定枚数の前記単位セルが積層された前記端部部材を、前記スタックケースの内部において、前記第1支持部が前記第2支持部に受け渡す受け渡し工程と、前記第2支持部に支持された前記端部部材に、前記積層部により、第2の所定枚数の前記単位セルを積層する第2積層工程と、を有する。
【0009】
本発明の第2の態様は、単位セルを積層する積層装置を制御する積層装置の制御装置であって、前記単位セルは、燃料電池を構成する部材であり、積層された前記単位セルの端部に、端部部材が設けられ、前記積層装置は、前記スタックケースの内部において、前記端部部材を支持する第1支持部及び第2支持部と、前記第1支持部又は前記第2支持部に支持された前記端部部材に前記単位セルを1枚ずつ積層する積層部と、を有し、当該制御装置は、前記積層装置を制御して、前記第1支持部に支持された前記端部部材に、前記積層部により、第1の所定枚数の前記単位セルを積層し、前記第1の所定枚数の前記単位セルが積層された前記端部部材を、前記スタックケースの内部において、前記第1支持部が、前記第2支持部に受け渡し、前記第2支持部に支持された前記端部部材に、前記積層部により、第2の所定枚数の前記単位セルを積層する。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、燃料電池を製作する工数を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、燃料電池スタックを示す模式図である。
図2図2は、単位セルの模式図である。
図3図3は、スタックケースの本体部の模式斜視図である。
図4図4は、積層装置及び制御装置の構成を示すブロック図である。
図5図5Aは、単位セルの積層方法について説明する図である。図5Bは、単位セルの積層方法について説明する図である。図5Cは、単位セルの積層方法について説明する図である。
図6図6Aは、単位セルの積層方法について説明する図である。図6Bは、単位セルの積層方法について説明する図である。図6Cは、単位セルの積層方法について説明する図である。
図7図7Aは、単位セルの積層方法について説明する図である。図7Bは、単位セルの積層方法について説明する図である。図7Cは、単位セルの積層方法について説明する図である。
図8図8Aは、単位セルの積層方法について説明する図である。図8Bは、単位セルの積層方法について説明する図である。図8Cは、単位セルの積層方法について説明する図である。
図9図9は、端部部材の模式斜視図である。
図10図10は、昇降フォークリフトにより端部部材が支持された状態を示す図である。
図11図11は、昇降シャフトにより端部部材が支持された状態を示す図である。
図12図12Aは、比較例1について説明する図である。図12Bは、比較例1について説明する図である。図12Cは、比較例1について説明する図である。
図13図13Aは、比較例1について説明する図である。図13Bは、比較例1について説明する図である。
図14図14Aは、比較例2について説明する図である。図14Bは、比較例2について説明する図である。図14Cは、比較例2について説明する図である。
図15図15Aは、比較例2について説明する図である。図15Bは、比較例2について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔第1実施形態〕
[燃料電池スタックの構成]
図1は、燃料電池スタック10を示す模式図である。図1は、燃料電池スタック10が、スタックケース12の内部に収容された状態を示す。燃料電池スタック10は、一方向(図1では、Z軸方向)に複数枚の単位セル14が積層されて形成される。燃料電池スタック10は、その両端部に端部部材16を有する。
【0013】
[単位セルの構成]
図2は、単位セル14の模式図である。単位セル14は、1枚のMEA(Membrane Electrode Assembly)18と、2枚のセパレータ20とを有する。単位セル14が積層される場合、図2に示すように、MEA18の上に、2枚のセパレータ20が載せられた状態を単位セル14とする。2枚のセパレータ20は、互いに溶接される。MEA18は、MEA18の外枠の樹脂部分において、セパレータ20に溶着される。
【0014】
[スタックケースの構成]
図3は、スタックケース12の本体部22の模式斜視図である。本体部22は、4つの側面24と底部26とを有する。
【0015】
側面24のうち、Y軸方向正側の側面24には、開口部28が形成される。開口部28は、本体部22の内部と外部とを連通する。開口部28は、Z軸方向に延びて形成される。図1に示すように、燃料電池スタック10が本体部22の内部に収容された状態で、開口部28は蓋部材30により閉塞される。また、図1に示すように、燃料電池スタック10が本体部22の内部に収容された状態で、Z軸方向正側の開口は蓋部材32により閉塞される。
【0016】
底部26は、複数の連通孔34を有する。本実施形態では、底部26に4つの連通孔34が設けられる。各連通孔34は、本体部22の内部と外部とを連通する。各連通孔34には、燃料電池スタック10を冷却する冷却水が流通する配管等が挿入される。
【0017】
[積層装置及び制御装置の構成]
図4は、積層装置36及び制御装置38構成を示すブロック図である。積層装置36は、スタックケース12の本体部22の内部において、単位セル14を積層する装置である。制御装置38は、積層装置36を制御する装置である。
【0018】
積層装置36は、ロボット40、昇降フォークリフト42及び昇降シャフト44を有する。ロボット40は、そのエンドエフェクタに吸着パッド46が装着される。吸着パッド46は、単位セル14を吸着する。吸着パッド46が単位セル14を吸着した状態で、ロボット40が単位セル14を移動して、単位セル14が積層される。昇降フォークリフト42は、単位セル14が積層される場合に、本体部22の内部において端部部材16を支持する。昇降シャフト44は、単位セル14が積層される場合に、本体部22の内部において端部部材16を支持する。
【0019】
ロボット40は、本発明の積層部に相当する。昇降フォークリフト42は、本発明の第1支持部に相当する。昇降シャフト44は、本発明の第2支持部に相当する。
【0020】
制御装置38は、演算部48及び記憶部50を有する。演算部48は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサである。演算部48は、ロボット制御部52、昇降フォークリフト制御部54及び昇降シャフト制御部56を有する。ロボット制御部52、昇降フォークリフト制御部54及び昇降シャフト制御部56は、記憶部50に記憶されているプログラムが演算部48によって実行されることによって実現される。ロボット制御部52、昇降フォークリフト制御部54及び昇降シャフト制御部56の少なくとも一部が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路によって実現されてもよい。ロボット制御部52、昇降フォークリフト制御部54及び昇降シャフト制御部56の少なくとも一部が、ディスクリートデバイスを含む電子回路によって実現されてもよい。
【0021】
記憶部50は、コンピュータ可読記憶媒体である、不図示の揮発性メモリ及び不図示の不揮発性メモリにより構成される。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)等である。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等である。データ等が、例えば、揮発性メモリに記憶される。プログラム、テーブル、マップ等が、例えば、不揮発性メモリに記憶される。記憶部50の少なくとも一部が、上述したプロセッサ、集積回路等に備えられていてもよい。記憶部50の少なくとも一部が、制御装置38とネットワークによって接続された機器に搭載されていてもよい。
【0022】
[単位セルの積層方法]
図5A図5C図6A図6C図7A図7C及び図8A図8Cは、単位セル14の積層方法について説明する図である。単位セル14は、端部部材16の上に積層される。単位セル14が積層される場合、端部部材16は、昇降フォークリフト42又は昇降シャフト44により支持される。単位セル14が積層される場合、スタックケース12は、その底部26を重力方向下側に位置させた状態で、作業台等に設置される。
【0023】
単位セル14が積層される場合、昇降フォークリフト制御部54が昇降フォークリフト42を制御して、図5Aに示すように、スタックケース12における本体部22の側面24に形成された開口部28から本体部22の内部に昇降フォークリフト42を挿入させる。
【0024】
昇降フォークリフト42は、端部部材16を支持する。昇降フォークリフト42は、端部部材16を支持する複数の支持部58を有する。各支持部58は、棒状部材である。端部部材16が昇降フォークリフト42に支持された状態において、端部部材16の位置決め孔64(図9)に位置決めシャフト60が挿入される。位置決めシャフト60は、スタックケース12の底部26に固定される。位置決めシャフト60は、底部26から上方に向かって延びる。端部部材16が昇降フォークリフト42に支持された状態で、端部部材16の上面は高さAの位置に位置する。昇降シャフト制御部56が昇降シャフト44を制御して、図5Aに示すように、本体部22における底部26の連通孔34から本体部22の内部に昇降シャフト44を挿入させる。昇降シャフト44のZ軸方向正側の先端は、端部部材16よりも下方に位置する。
【0025】
ロボット制御部52はロボット40を制御して、図5Bに示すように、吸着パッド46に吸着された1枚の単位セル14を端部部材16の上に載せる。単位セル14の位置決め孔(不図示)には、位置決めシャフト60が挿入される。その後、昇降フォークリフト制御部54が昇降フォークリフト42を制御して、図5Cに示すように、端部部材16を下方に所定距離移動させる。この所定距離は、単位セル14の厚さ分の距離である。これにより、図6Aに示すように、単位セル14の上面は高さAの位置に位置する。
【0026】
ロボット制御部52がロボット40を制御して、図6Bに示すように、吸着パッド46に吸着された1枚の単位セル14を、既に端部部材16の一番上に載せられた単位セル14の上に載せる。その後、昇降フォークリフト制御部54が昇降フォークリフト42を制御して、図6Cに示すように、端部部材16を下方に所定距離移動させる。
【0027】
ロボット40は、昇降フォークリフト42に支持された端部部材16に、単位セル14を1枚ずつ積層する。昇降フォークリフト42は、端部部材16に単位セル14が積層される度に、端部部材16を下方に所定距離移動させる。これにより、端部部材16に積層された単位セル14のうち、一番上の単位セル14の上面は高さAの位置に位置する。そのため、ロボット40は、常に高さAの位置において、単位セル14を端部部材16に積層できる。昇降フォークリフト42に支持された端部部材16に、第1の所定枚数の単位セル14が積層される。この工程を、以下では第1積層工程と記載することがある。また、昇降フォークリフト42が、端部部材16を下方に所定距離移動させる工程は、本発明の第1移動工程に相当する。
【0028】
端部部材16に第1の所定枚数の単位セル14が積層された状態で、一番上の単位セル14の上面が高さAの位置に位置する場合、図7Aに示すように、端部部材16は昇降シャフト44に支持される。
【0029】
昇降フォークリフト制御部54が昇降フォークリフト42を制御して、図7Aに示すように、本体部22における側面24の開口部28から本体部22の外部に昇降フォークリフト42を移動させる。これにより、スタックケース12の本体部22の内部において、第1の所定枚数の単位セル14が積層された端部部材16を、昇降フォークリフト42が昇降シャフト44に受け渡す。この工程を、以下では受け渡し工程と記載することがある。
【0030】
昇降シャフト44は、端部部材16を支持する。昇降シャフト44は、端部部材16を支持する複数の支持部45を有する。各支持部45は、棒状部材である。昇降シャフト44の支持部45の径は、昇降フォークリフト42の支持部58の径よりも小さい。
【0031】
ロボット制御部52がロボット40を制御して、図7Bに示すように、吸着パッド46に吸着された1枚の単位セル14を端部部材16の上に載せる。単位セル14の位置決め孔(不図示)には、位置決めシャフト60が挿入される。その後、昇降シャフト制御部56が昇降シャフト44を制御して、図7Cに示すように、端部部材16を下方に所定距離移動させる。この所定距離は、単位セル14の厚さ分の距離である。これにより、図8Aに示すように、単位セル14の上面は高さAの位置に位置する。
【0032】
ロボット40は、昇降シャフト44に支持された端部部材16に、単位セル14を1枚ずつ積層する。昇降シャフト44は、端部部材16に単位セル14が積層される度に、端部部材16を下方に所定距離移動させる。これにより、端部部材16に積層された単位セル14のうち、一番上の単位セル14の上面は高さAの位置に位置する。そのため、ロボット40は、常に高さAの位置において、単位セル14を端部部材16に積層できる。昇降シャフト44に支持された端部部材16に、第2の所定枚数の単位セル14が積層される。この工程を、以下では第2積層工程と記載することがある。また、昇降シャフト44が、端部部材16を下方に所定距離移動させる工程は、本発明の第2移動工程に相当する。
【0033】
第2積層工程の後に、昇降シャフト制御部56が昇降シャフト44を制御して、図8Bに示すように、本体部22の底部26の連通孔34から本体部22の外部に昇降シャフト44を移動させる。これにより、図8Cに示すように、単位セル14の積層が完了する。
【0034】
[エンドプレートの構成]
図9は、端部部材16の模式斜視図である。図10は、昇降フォークリフト42により端部部材16が支持された状態を示す図である。図11は、昇降シャフト44により端部部材16が支持された状態を示す図である。
【0035】
端部部材16は、板状の部材である。端部部材16は、複数の貫通孔62を有する。各貫通孔62には、燃料電池スタック10を冷却する冷却水が流通する配管等が接続される。端部部材16は、2つの位置決め孔64を有する。端部部材16がスタックケース12内に収容される場合、位置決め孔64に、前述の位置決めシャフト60が挿入される。
【0036】
端部部材16の一方の面に、リブ66が格子状に設けられる。端部部材16が昇降フォークリフト42により支持される場合、図10に示すように、昇降フォークリフト42の支持部58は、端部部材16のリブ66の端面に当接する。
【0037】
端部部材16が昇降シャフト44により支持される場合、図11に示すように、昇降シャフト44の支持部45は、端部部材16のリブ66とリブ66との間の母材面68に当接する。昇降シャフト44の支持部45が母材面68と当接することにより、支持部45を、端部部材16に積層される単位セル14に対して近づけることができる。そのため、昇降シャフト44により、端部部材16を安定して支持できる。
【0038】
[作用効果]
本実施形態における単位セル14の積層方法についての作用効果を説明する前に、本実施形態における単位セル14の積層方法に対する比較例として、以下の比較例1及び比較例2を説明する。
【0039】
図12A図12C及び図13A図13Bは、本実施形態における単位セル14の積層方法に対する比較例1について説明する図である。単位セル14が積層される場合、比較例1では、端部部材16は、スタックケース12における本体部22の底部26に支持される。
【0040】
ロボット制御部52はロボット40を制御して、図12Aに示すように、1枚の単位セル14を吸着した吸着パッド46をスタックケース12の内部に挿入する。その後、ロボット制御部52はロボット40を制御して、図12Bに示すように、吸着パッド46に吸着された1枚の単位セル14を端部部材16の上に載せる。ロボット制御部52はロボット40を制御して、図12Cに示すように、吸着パッド46をスタックケース12の外部に移動させる。
【0041】
ロボット制御部52はロボット40を制御して、図13Aに示すように、1枚の単位セル14を吸着した吸着パッド46を本体部22の内部に挿入する。その後、ロボット制御部52はロボット40を制御して、図13Bに示すように、吸着パッド46に吸着された1枚の単位セル14を、既に端部部材16の一番上に載せられた単位セル14の上に載せる。
【0042】
ロボット40は、本体部22の底部26に支持された端部部材16に、単位セル14を1枚ずつ積層する。単位セル14を端部部材16に積層する度に、ロボット40は、吸着パッド46を本体部22の内部に挿入する。そのため、吸着パッド46の移動距離が長くなり、単位セル14の積層に要する時間が長くなる。
【0043】
図14A図14C及び図15A図15Bは、本実施形態における単位セル14の積層方法に対する比較例2について説明する図である。
【0044】
単位セル14が積層される場合、昇降シャフト制御部56が昇降シャフト44を制御して、図14Aに示すように、スタックケース12における本体部22の底部26に形成された連通孔34から本体部22の内部に昇降シャフト44を挿入させる。昇降シャフト44は、端部部材16を支持する。端部部材16が昇降シャフト44に支持された状態で、端部部材16の上面は高さAの位置に位置する。
【0045】
ロボット制御部52はロボット40を制御して、図14Bに示すように、吸着パッド46に吸着された1枚の単位セル14を端部部材16の上に載せる。その後、昇降シャフト制御部56が昇降シャフト44を制御して、図14Cに示すように、端部部材16を下方に所定距離移動させる。この所定距離は、単位セル14の厚さ分の距離である。これにより、図15Aに示すように、単位セル14の上面は高さAの位置に位置する。
【0046】
ロボット40は、昇降シャフト44に支持された端部部材16に、単位セル14を1枚ずつ積層する。昇降シャフト44は、端部部材16に単位セル14が積層される度に、端部部材16を下方に所定距離移動させる。これにより、端部部材16に積層された単位セル14のうち、一番上の単位セル14の上面は高さAの位置に位置する。そのため、ロボット40は、常に高さAの位置において、単位セル14を端部部材16に積層できる。これにより、吸着パッド46の移動距離を短縮できるため、比較例1に比べて、単位セル14の積層に要する時間を短くできる。
【0047】
しかし、比較例2では、昇降シャフト44の支持部45を長く形成する必要がある。そのため、積層された単位セル14の重さにより、図15Bに示すように、支持部45が撓んでしまい、積層された単位セル14が本体部22に接触する。支持部45の撓みを抑制するために、支持部45の径を大きくすることも考えられる。しかし、支持部45は、スタックケース12における底部26の連通孔34に挿入されるため、支持部45の径を連通孔34の径以上に大きくすることができない。
【0048】
本実施形態の単位セル14の積層方法は、昇降フォークリフト42に支持された端部部材16に、ロボット40により単位セル14を積層する第1積層工程を有する。第1積層工程では、第1の所定枚数の単位セル14が端部部材16に積層される。さらに、第1の所定枚数の単位セル14が積層された端部部材16を、スタックケース12の内部において、昇降フォークリフト42が昇降シャフト44に受け渡す受け渡し工程を有する。また、さらに、昇降シャフト44に支持された端部部材16に、ロボット40により単位セル14を積層する第2積層工程を有する。第2積層工程では、第2の所定枚数の単位セル14が端部部材16に積層される。
【0049】
これにより、昇降フォークリフト42又は昇降シャフト44によって、本体部22の底部26よりも上方において、端部部材16が支持される。その結果、本実施形態の単位セル14の積層方法では、吸着パッド46の移動距離を短縮できるため、比較例1に比べて、単位セル14の積層に要する時間を短くできる。そして、延いてはエネルギーの効率化にも寄与するものである。
【0050】
また、本実施形態の単位セル14の積層方法では、比較例2に比べて、昇降シャフト44の支持部45の長さを短縮できる。その結果、支持部45の撓みを抑制できるため、積層された単位セル14が本体部22に接触することを抑制できる。
【0051】
本実施形態の単位セル14の積層方法は、第1積層工程において、端部部材16に単位セル14が積層される度に、昇降フォークリフト42が端部部材16を下方に所定距離移動させる。さらに、第2積層工程において、端部部材16に単位セル14が積層される度に、昇降シャフト44が端部部材16を下方に所定距離移動させる。これにより、ロボット40は、常に同じ位置において、単位セル14を端部部材16に積層できる。
【0052】
本実施形態の単位セル14の積層方法は、第1積層工程において、スタックケース12における本体部22の開口部28から本体部22の内部に昇降フォークリフト42を挿入する。この昇降フォークリフト42により端部部材16を支持する。これにより、本体部22の内部において、昇降フォークリフト42により端部部材16を支持できる。
【0053】
本実施形態の単位セル14の積層方法は、第2積層工程において、スタックケース12における底部26の連通孔34から本体部22の内部に昇降シャフト44を挿入する。この昇降シャフト44により端部部材16を支持する。これにより、本体部22の内部において、昇降シャフト44により端部部材16を支持できる。
【0054】
本実施形態の制御装置38は積層装置36を制御して、昇降フォークリフト42に支持された端部部材16に、ロボット40により、第1の所定枚数の単位セル14を積層する。その後、第1の所定枚数の単位セル14が積層された端部部材16を、スタックケース12における本体部22の内部において、昇降フォークリフト42が、昇降シャフト44に受け渡す。その後、昇降シャフト44に支持された端部部材16に、ロボット40により、第2の所定枚数の単位セル14を積層する。
【0055】
これにより、昇降フォークリフト42又は昇降シャフト44によって、本体部22の底部26よりも上方において、端部部材16が支持される。その結果、本実施形態の制御装置38は吸着パッド46の移動距離を短縮できるため、比較例1に比べて、単位セル14の積層に要する時間を短くできる。
【0056】
また、本実施形態の制御装置38では、比較例2に比べて、昇降シャフト44の支持部45の長さを短縮できる。その結果、支持部45の撓みを抑制できるため、積層された単位セル14が本体部22に接触することを抑制できる。
【0057】
〔実施形態から得られる発明〕
上記実施形態から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0058】
積層装置(36)により単位セル(14)を積層する単位セルの積層方法であって、前記単位セルは、燃料電池を構成する部材であり、積層された前記単位セルの端部に、端部部材(16)が設けられ、前記積層装置は、スタックケース(12)の内部において、前記端部部材を支持する第1支持部(42)及び第2支持部(44)と、前記第1支持部又は前記第2支持部に支持された前記端部部材に前記単位セルを1枚ずつ積層する積層部(40)と、を有し、当該積層方法は、前記第1支持部に支持された前記端部部材に、前記積層部により、第1の所定枚数の前記単位セルを積層する第1積層工程と、前記第1の所定枚数の前記単位セルが積層された前記端部部材を、前記スタックケースの内部において、前記第1支持部が前記第2支持部に受け渡す受け渡し工程と、前記第2支持部に支持された前記端部部材に、前記積層部により、第2の所定枚数の前記単位セルを積層する第2積層工程と、を有する。これにより、第2支持部の撓みを抑制できるため、積層された単位セルがスタックケースに接触することを抑制できる。
【0059】
上記の単位セルの積層方法は、前記第1積層工程において前記端部部材に前記単位セルが積層される度に、前記第1支持部が、前記端部部材を下方に所定距離移動させる第1移動工程と、前記第2積層工程において前記端部部材に前記単位セルが積層される度に、前記第2支持部が、前記端部部材を下方に前記所定距離移動させる第2移動工程と、を有してもよい。これにより、積層部は、常に同じ位置において、単位セルを端部部材に積層できる。
【0060】
上記の単位セルの積層方法において、前記スタックケースは、側面(24)に上下方向に延びて形成された開口部(28)を有し、当該積層方法では、前記第1積層工程において、前記開口部から前記スタックケースの内部に前記第1支持部を挿入し、前記第1支持部により前記端部部材を支持してもよい。これにより、スタックケースの内部において、第1支持部により端部部材を支持できる。
【0061】
上記の単位セルの積層方法において、前記スタックケースは、下面に複数の連通孔(34)を有し、前記第2支持部は、複数本の棒状部材(45)を有し、前記第2積層工程において、各々の前記連通孔から前記スタックケースの内部に挿入された各々の前記棒状部材により前記端部部材を支持してもよい。
【0062】
単位セルを積層する積層装置を制御する積層装置の制御装置(38)であって、前記単位セルは、燃料電池を構成する部材であり、積層された前記単位セルの端部に、端部部材が設けられ、前記積層装置は、スタックケースの内部において、前記端部部材を支持する第1支持部及び第2支持部と、前記第1支持部又は前記第2支持部に支持された前記端部部材に前記単位セルを1枚ずつ積層する積層部と、を有し、当該制御装置は、前記積層装置を制御して、前記第1支持部に支持された前記端部部材に、前記積層部により、第1の所定枚数の前記単位セルを積層し、前記第1の所定枚数の前記単位セルが積層された前記端部部材を、前記スタックケースの内部において、前記第1支持部が、前記第2支持部に受け渡し、前記第2支持部に支持された前記端部部材に、前記積層部により、第2の所定枚数の前記単位セルを積層する。これにより、第2支持部の撓みを抑制できるため、積層された単位セルがスタックケースに接触することを抑制できる。
【0063】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0064】
12…スタックケース 14…単位セル
16…端部部材 24…側面
28…開口部 34…連通孔
36…積層装置 38…制御装置
40…ロボット(積層部) 42…昇降フォークリフト(第1支持部)
44…昇降シャフト(第2支持部)
図1
図2
図3
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