(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182928
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】車輪付き筐体
(51)【国際特許分類】
E02D 29/12 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
E02D29/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096188
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】507060516
【氏名又は名称】ジャパン スチールス グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】與那原 一郎
【テーマコード(参考)】
2D147
【Fターム(参考)】
2D147BA07
(57)【要約】
【課題】作業性に優れた車輪付き筐体を提供する。
【解決手段】側部枠片11と閉塞側支柱21とドア側支柱24とにより形成される第1の側面と、側部枠片12と閉塞側支柱22とドア側支柱23とにより形成される第2の側面と、両方の閉塞側支柱21、22と閉塞枠片13とにより形成される後端面と、ドア面とを備える筐体本体48を有しており、筐体本体48に揺動自在に揺動アーム58、59を設け、揺動アームにより筐体本体よりも下方に向けて突出する走行位置と、筐体本体よりも下方に突出しない退避位置との間に移動する揺動側車輪62を揺動アーム58に設け、揺動側車輪62が走行位置となったときに揺動側車輪とともに筐体本体を走行自在に支持する支点側車輪55を筐体本体に設けた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に平行な第1の側部枠片および第2の側部枠片と、それぞれの前記側部枠片の一端部に連結される閉塞枠片とを備える基部枠体と、
第1の前記側部枠片と、第1の前記側部枠片の一端部に立設される第1の閉塞側支柱と、他端部に立設される第1のドア側支柱とにより形成される第1の側面と、
第2の前記側部枠片と、第2の前記側部枠片の一端部に立設される第2の閉塞側支柱と、他端部に立設される第2のドア側支柱とにより形成される第2の側面と、
第1の前記閉塞側支柱と第2の前記閉塞側支柱と前記閉塞枠片とにより形成される後端面と、
第1と第2の前記ドア側支柱の一方に開閉自在に装着されるドア面と、を備える筐体本体を有し、
前記筐体本体に揺動自在に揺動アームを設け、
前記揺動アームにより前記筐体本体よりも下方に向けて突出する走行位置と、前記筐体本体よりも下方に突出しない退避位置との間を移動する揺動側車輪を前記揺動アームに設け、
前記揺動側車輪が走行位置となったときに前記揺動側車輪とともに前記筐体本体を走行自在に支持する支点側車輪を前記筐体本体に設け、
前記揺動側車輪と前記支点側車輪とにより前記筐体本体は走行移動自在である、車輪付き筐体。
【請求項2】
請求項1記載の車輪付き筐体において、第1の前記側面と第2の前記側面と前記後端面と前記ドア面の少なくとも何れか1つの面に、外部から内部が目視観察される透視性のパネルを設けた、車輪付き筐体。
【請求項3】
請求項1に記載の車輪付き筐体において、それぞれの前記揺動アームを操作棒により連結し、作業者が前記操作棒により前記揺動アームを操作する、車輪付き筐体。
【請求項4】
請求項1に記載の車輪付き筐体において、工事現場のピットに配置されるタラップが取り付けられる取付枠体を前記基部枠体に設け、前記筐体本体により前記ピットの開口部の周囲を覆う、車輪付き筐体。
【請求項5】
請求項4に記載の車輪付き筐体において、前記取付枠体は前記側部枠片を相互に連結する横取付棒材と、前記横取付棒材の両端部と前記閉塞枠片と相互に連結する2本の縦取付棒材とを有し、前記タラップは前記縦取付棒材と前記横取付棒材と前記閉塞枠片とのいずれかに取り付けられる、車輪付き筐体。
【請求項6】
請求項4に記載の車輪付き筐体において、前記取付枠体の上に着脱自在の底壁部材を配置し、前記底壁部材と前記筐体本体とにより運搬物を収容する空間を形成する一方、前記底壁部材を取り外して前記筐体本体により前記ピットの開口部を覆う、車輪付き筐体。
【請求項7】
請求項1記載の車輪付き筐体において、前記基部枠体に底壁部材を設け、運搬物を収容する空間を前記筐体本体と前記底壁部材とにより形成する、車輪付き筐体。
【請求項8】
請求項1記載の車輪付き筐体において、筐体本体は、後端面が設けられた第1の筐体本体と、前記ドア面が設けられ前記第1の筐体本体に対して摺動自在に装着される第2の筐体本体とを備える、車輪付き筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は設置状態と移動状態との何れかに切り換え可能な車輪付き筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
工事現場等において荷物を手動により搬送する場合には、特許文献1に記載のように、車輪が設けられた手押し運搬台車が使用される。このような運搬台車は荷台を有し、荷物は荷台の上に直接搭載されて手動により搬送される。荷物が荷台から落下しないようにするための側壁が荷台には設けられていないので、荷台に搭載できる荷物の量には限度がある。
【0003】
直方体形状の筐体に荷物を収容すれば、筐体の側壁により荷物が支えられるので、筐体の内部に多量の荷物を収容することができるが、そのような筐体を手押し運搬台車に搭載するには、搭載に時間がかかり、効率的に運搬物を搬送することができない。
【0004】
一方、工事現場等においては、開口部を覆って作業者の安全を図るために、特許文献2に記載のように、開口部の周囲に筐体からなる開口部養生枠が設けられている。この開口部養生枠は、開口部の周囲に立設される複数本の支柱と、支柱どうしを連結する伸縮可能な複数本の手摺棒とを有しており、開口部を囲むようにして組み立てられる。
【0005】
土木建築工事現場においては、特許文献2に記載のように、支柱と手摺棒とからなる筐体である開口部養生枠が開口部を覆うように地盤面に配置されている。筐体の上面は開放されており、複数本の手摺からなる側壁は外部から開口部を目視観察することができる。一方、荷物つまり運搬物を回収するための筐体としては、上面が開放されていると、上面から運搬物を投入することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-205656号公報
【特許文献2】実開平7-42799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2のように、4本の支柱と手摺棒とにより形成される養生枠により開口部を囲むようにガードすると、作業者が開口部からピット内に転落することを防止できる。しかしながら、組立式の養生枠は、構成部材を現場に搬送して開口部の周囲において組立作業を行う必要があり、養生枠を設置するための作業性が悪いという課題がある。
【0008】
一方、固定式の筐体に荷物を収容するようにし、それを手押し車により搬送するには、上述のように効率的に荷物を搬送作業することができない。
【0009】
本発明の目的は作業性に優れた車輪付き筐体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の車輪付き筐体は、相互に平行な第1の側部枠片および第2の側部枠片と、それぞれの前記側部枠片の一端部に連結される閉塞枠片とを備える基部枠体と、第1の前記側部枠片と、第1の前記側部枠片の一端部に立設される第1の閉塞側支柱と、他端部に立設される第1のドア側支柱とにより形成される第1の側面と、第2の前記側部枠片と、第2の前記側部枠片の一端部に立設される第2の閉塞側支柱と、他端部に立設される第2のドア側支柱とにより形成される第2の側面と、第1の前記閉塞側支柱と第2の前記閉塞側支柱と前記閉塞枠片とにより形成される後端面と、第1と第2の前記ドア側支柱の一方に開閉自在に装着されるドア面と、を備える筐体本体を有し、前記筐体本体に揺動自在に揺動アームを設け、前記揺動アームにより前記筐体本体よりも下方に向けて突出する走行位置と、前記筐体本体よりも下方に突出しない退避位置との間を移動する揺動側車輪を前記揺動アームに設け、前記揺動側車輪が走行位置となったときに前記揺動側車輪とともに前記筐体本体を走行自在に支持する支点側車輪を前記筐体本体に設け、前記揺動側車輪と前記支点側車輪とにより前記筐体本体は走行移動自在である。
【発明の効果】
【0011】
基盤面に配置される筐体本体を有し、揺動アームを操作することにより筐体本体を車輪により走行自在に支持して揺動アームにより筐体本体を移動させることができる。ピット開口部を覆う養生枠つまりピットガードとして筐体本体を使用すると、ピットの位置まで容易に筐体本体を搬送することができるとともに、作業終了後には容易に筐体本体を搬送して撤去することができる。一方、筐体本体を荷物を収容して搬送する運搬台車としても使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の車輪付き筐体の一例としてのピットガードを示し、筐体本体が基盤面に据え付けられた状態の斜視図である。
【
図4】筐体本体が走行自在となった状態を示す側面図である。
【
図6】(A)~(D)は、基部枠体に設けられた取付枠体に対するタラップの装着位置を示す斜視図である。
【
図7】車輪付き筐体の変形例における基部枠体を示す平面図である。
【
図8】取付枠体が設けられた基部枠体の上に着脱自在に底壁部材が設けられた形態の車輪付き筐体における
図5と同様の部分を示す断面図である。
【
図9】基部枠体に底壁部材が取り付けられた形態の車輪付き筐体における
図3と同様の部分を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1~
図5は、本発明の車輪付き筐体の一例としてのピットガード10aを示し、
図1~
図3はピットガード10aが工事現場のマンホール等のピットPの開口部の周囲を覆うように基盤面Bに配置された状態を示す。
【0014】
ピットガード10aは、
図5に示されるように、相互に平行な第1と第2の2本の側部枠片11、12と、第1の側部枠片11の一端部および第2の側部枠片12の一端部の間に連結される閉塞枠片13とにより形成される基部枠体14を有している。それぞれの側部枠片11、12の両端部には取付金具15~18が固定されている。側部枠片11の一端部には第1の閉塞側支柱21が立設され、閉塞側支柱21は取付金具15に固定されている。第2の側部枠片12の一端部には第2の閉塞側支柱22が立設され、閉塞側支柱22は取付金具16に固定されている。第1の側部枠片11の他端部には第1のドア側支柱24が立設され、ドア側支柱24は取付金具18に固定されている。第2の側部枠片12の他端部には第2のドア側支柱23が立設され、ドア側支柱23は取付金具17に固定されている。
【0015】
図1に示されるように、閉塞側支柱21とドア側支柱24は前後方向のパネル枠片25により連結され、閉塞側支柱22とドア側支柱23は前後方向のパネル枠片26により連結されている。閉塞側支柱21とドア側支柱24と側部枠片11とにより形成される領域は第1の側面を形成しており、第1の側面には、格子状つまりメッシュ状の金網からなるサイドパネル27が配置される。サイドパネル27は第1の側面と同一面であって、パネル枠片25より下側の領域に配置されている。
【0016】
閉塞側支柱22とドア側支柱23と側部枠片12とにより形成される領域は第2の側面を形成しており、第1の側面には、サイドパネル27と同様の格子状つまりメッシュ状の金網からなるサイドパネル28が配置される。サイドパネル28は第2の側面と同一面であって、パネル枠片26よりも下側の領域に配置されている。
【0017】
第1と第2の2本の閉塞側支柱21、22と閉塞枠片13とにより形成される領域は後端面を形成している。2本の閉塞側支柱21、22の間には、
図2に示されるように、上下に2本のパネル枠片31、32が取り付けられており、パネル枠片31、32の両端部には連結支柱33、34が取り付けられている。パネル枠片31、32と連結支柱33、34により形成される領域は、後端面と一致しており、後端面には、上述したサイドパネル27、28と同様のメッシュ状の金網からなるリアパネル35が配置されている。
【0018】
一方のドア側支柱24には、サイドパネル27、28およびリアパネル35と同様にメッシュ状の金網からなるドアパネル36つまりドア面がヒンジ37により開閉自在に装着される。ドアパネル36は、水平方向に延びる上下2本のドア枠片41、42と、上下のドア枠片41、42の間に上下方向に延びてこれらに連結される2本のドア枠片43、44とにより形成される四辺形の枠体に取り付けられている。
図2~
図4に示されるように、上側のドア枠片41には、ドアパネル36を開閉操作するための取手38が取り付けられている。ドア側支柱24に沿って設けられるドア枠片43とドア側支柱24との間に取り付けられるヒンジ37を中心に、
図5において矢印Cで示すように、ドアパネル36は開閉移動する。
図5においては、基部枠体14の上方に配置されるサイドパネル27、28、リアパネル35およびドアパネル36が示されている。
【0019】
サイドパネル27、28、リアパネル35およびドアパネル36は、それぞれ金網により形成されており、外部から目視されるような透視性を有している。パネルは、金網に限られず、多数の貫通孔が形成された板材によっても透視性が得られる。4枚のパネルのうち、少なくとも1つのパネルを透視性の部材により形成するようにしてもよい。
【0020】
図1に示すように、閉塞側支柱21の上端部とドア側支柱24の上端部との間には梁材45が連結され、閉塞側支柱22の上端部とドア側支柱23の上端部との間には梁材46が連結されている。2本の梁材45、46の間には4本の補強棒材47が連結されており、それぞれの補強棒材47は梁材45、46に沿って移動することができる。このように、基部枠体14と閉塞側支柱21、22とドア側支柱23、4とにより筐体本体48が形成されている。筐体本体48は、それぞれの側面を形成するサイドパネル27、28と、後端面を形成するリアパネル35と、ドア面を形成するドアパネル36を有している。筐体本体48は、ドアパネル36が設けられた面を正面側とし、リアパネル35が設けられた面を背面側とする。
【0021】
図1に示すように、筐体本体48の背面側には支持梁51が設けられており、支持梁51の一端部は取付金具52により閉塞側支柱21に固定され、支持梁51の他端部は取付金具53により閉塞側支柱22に固定されている。支持梁51の長手方向中央部に取り付けられたブラケット54には支点側車輪としての車輪55が設けられている。
【0022】
図2に示されるように側部枠片11には支持板56が固定され、
図3に示されるように側部枠片12には支持板57が固定されている。支持板56には揺動アーム58が支持軸60aを中心に揺動自在に取り付けられ、支持板57には揺動アーム59が支持軸60bを中心に揺動自在に取り付けられている。それぞれの揺動アーム59は筐体本体48の外側に配置されており、両方の支持軸60a、60bは同軸となっている。
図2に示されるように、揺動アーム58の下端部に取り付けられたブラケット61には揺動側車輪としての車輪62が設けられ、
図3に示されるように、揺動アーム59の下端部に取り付けられたブラケット63には揺動側車輪としての車輪64が設けられている。
【0023】
両方の揺動アーム58、59の上端部は、
図1に示されるように、操作棒65により連結されており、作業者が操作棒65を手に持って揺動アーム58、59を揺動させることができる。
図1~
図3は、作業者が操作棒65から手を離してこれを操作していない状態であり、このときには、筐体本体48はその自重により基盤面Bに固定され、揺動側車輪64は、筐体本体48の下方には突出しない退避位置となり、操作棒65は補強棒材47よりも上方の位置となる。一方、
図4に示すように、操作棒65を手に持って作業者が揺動側車輪64を筐体本体48の下方に突出させる走行位置に揺動アーム58、59を揺動させると、支点側車輪55も基盤面Bに接触する。これにより、筐体本体48は傾斜した状態となって3つの車輪55、62、64により支持されて、基盤面Bよりも上方に持ち上げられ、筐体本体48は走行移動自在になる。このように、筐体本体48は、基盤面Bに固定される据え付け状態と基盤面Bの上を走行させる走行自在状態とのいずれかに、作業者が操作棒65により揺動アーム58、59を操作することにより設定することができる。
【0024】
図4に示されるように、揺動側車輪64を走行位置にしたときには、操作棒65は筐体本体48の前面前方の位置となり、作業者は操作棒65を持って容易に筐体本体48を移動させることができる。
【0025】
図5に示すように、筐体本体48の基部枠体14に取付枠体66を取り付けると、車輪付き筐体はピットガード10aとして使用することができる。取付枠体66は、閉塞枠片13に平行に延びて側部枠片11、12を相互に連結する横取付棒材67と、横取付棒材67の両端部と閉塞枠片13とを相互に連結する2本の縦取付棒材68、69とを有している。
【0026】
ピットガード10aを工事現場等のピットPの開口部の周囲を覆うように基盤面Bに配置すると、ピットPに配置されるタラップ70を取付枠体66に取り付けることができる。これにより、作業者は筐体本体48によりピットPの開口部が覆われて、安全が確保された状態のもとで、タラップ70を使用してピットP内に出入りすることができる。ピットPの開口部は、筐体本体48により周囲が覆われているので、不用意に人がピットP内に落下したり、接近したりすることが防止される。しかも、サイドパネル27、28、リアパネル35およびドアパネル36は、格子状の金網により形成されており、外部から内部を観察することができる透視性となっているので、筐体本体48の外部からピットPを目視観察することができる。それぞれのパネルは透視性を有していれば、金属製でも樹脂製でもよく、多数の孔が形成された板材でもよい。
【0027】
タラップ70は、
図6(A)に示すように横取付棒材67に取り付けることができ、
図6(B)に示すように閉塞枠片13に取り付けることができる。さらに、
図6(C)、
図6(D)に示すように2本の縦取付棒材68、69のいずれか一方に取り付けることができる。いずれにタラップ70を取り付けるかは、ピットP内の作業個所やピットPの開口部の周囲の状況により選択することができる。
【0028】
ピットP内での作業が終了したら、
図4に示すように、3つの車輪により筐体本体48を走行させて開口部から撤去するとともに、他の作業場所に容易に搬送することができる。このように、車輪付き筐体であるピットガード10aは、容易に搬送することができるので、ピット開口部への設置作業を容易に行うことができ、その作業性を向上させることができる。
【0029】
図7はピットガード10aとして適用された車輪付き筐体の変形例における基部枠体14を示す平面図である。この基部枠体14の側部枠片11は、閉塞端側の側部枠片11aと、ドア側の摺動式の側部枠片11bとからなり、側部枠片11bは側部枠片11aに沿って前後方向に移動自在となっている。同様に、側部枠片12は、閉塞端側の側部枠片12aと、ドア側の摺動式の側部枠片12bとからなり、側部枠片12bは側部枠片12aに沿って前後方向に移動自在となっている。側部枠片11bの先端にはドア枠片43が取り付けられ、側部枠片12bの先端にはドア枠片44が取り付けられており、両方のドア枠片43、44は上下のドア枠片41、42により連結されている。
【0030】
ドア枠片41~44により形成される四辺形の枠体には、格子状の金網からなるドアパネル36が取り付けられている。さらに、サイドパネル27は、閉塞側支柱21とドア側支柱24との間に取り付けられる第1のサイドパネル27aと、ドア枠片43から側部枠片11bに沿って配置される第2のサイドパネル27bとを備えている。同様に、サイドパネル28は、閉塞側支柱22とドア側支柱23との間に取り付けられる第1のサイドパネル28aと、ドア枠片44から側部枠片12bに沿って配置される第2のサイドパネル28bとを備えている。さらに、リアパネル35は、上述した場合と同様に、閉塞側支柱21、22に取り付けられている。
【0031】
このように、
図7に示すピットガード10aは、リアパネル35を備えた第1の筐体本体48aと、ドアパネル36を備えた第2の筐体本体48bとにより筐体本体48が形成され、第2の筐体本体48bは第1の筐体本体48aに対して摺動自在となっている。
【0032】
図7に示すピットガード10aは、摺動式つまりスライド式のドア側の側部枠片11b、12bを閉塞端側の側部枠片11a、12aに対して摺動させることにより、筐体本体48の内部空間の大きさを変化させることができる。
図7は内部空間を最大とした状態を示しており、ドアパネル36をリアパネル35に向けて接近させると、内部空間を小さくすることができる。内部空間の大きさは、ピットPの開口部に配置する道具類の量に応じて変化させることができる。
【0033】
図8は取付枠体66が設けられた基部枠体14の上に着脱自在に底壁部材71が設けられた形態の車輪付き筐体を示す断面図であり、
図5と同様の部分の基部枠体14を示す。この車輪付き筐体は、ピットガードと荷物運搬車輌とを兼用することができる兼用型ピットガード10bである。
【0034】
図8に示されるように、基部枠体14には取付枠体66が設けられており、
図6に示した場合と同様に、取付枠体66にタラップ70を取り付けて、作業者はピットP内への出入りを行うことができる。ただし、
図8においては、タラップ70は取り外された状態を示す。基部枠体14の上には、格子状の金網からなる底壁部材71が着脱自在に配置されている。したがって、取付枠体66の上に底壁部材71を配置すると、この兼用型ピットガード10bは、筐体本体48と底壁部材71とにより囲まれる内部空間に荷物つまり運搬物を収容することができる。このように、荷物を収容するときには、タラップ70は取り外される。
【0035】
筐体本体48の内部空間に運搬物を投入するときには、筐体本体48は基盤面Bの上に据え付けられる。一方、所定量の運搬物が筐体本体48の空間内に収容された状態のもとで、運搬物を移動させるときには、
図4に示した場合と同様に、作業者は操作棒65を操作して揺動アーム58、59を揺動させる。これにより、揺動側車輪62、64は走行位置に位置決めされ、3つの車輪55、62、64により筐体本体48を移動させることができる。
【0036】
一方、ピットガードとして使用するときに、底壁部材71を取り外す。これにより、
図1~
図4に示した場合と同様に、ピットPの開口部に兼用型ピットガード10bは配置される。このように、兼用型ピットガード10bは、工事現場の状況により、ピットバードとして使用することができるとともに、荷物運搬車輌としても使用することができる。
【0037】
図9は本発明の他の実施の形態である車輪付筐体を示す断面図であり、
図3と同様の部分の断面を示す。
【0038】
この車輪付き筐体は、荷物運搬車輌10cとして具体化されており、基部枠体14には取付枠体66は設けられておらず、取付枠体66に代えて格子状の金網からなる底壁部材71が基部枠体14に取り付けられている。底壁部材71の平面形状は、
図8に示したものと同一構造である。この荷物運搬車輌10cは、ピットガードとしては使用することができず、筐体本体48と底壁部材71とにより囲まれる内部空間は運搬物を収容するための空間として使用される。
【0039】
兼用型ピットガード10bと同様に、空間内に運搬物を投入するときには、筐体本体48は基盤面Bの上に固定される。一方、所定量の運搬物が筐体本体48の空間内に収容された状態のもとで、運搬物を移動させるときには、
図8に示した場合と同様に、3つの車輪55、62、64により筐体本体48を移動させることができる。荷物を収容する筐体本体48に車輪が設けられているので、荷物を筐体本体のパネルに接触させるようにして筐体に収容させてそのまま搬送することができ、荷物の収容作業および運搬作業を効率的に行うことができる。
【0040】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。サイドパネル27、28、リアパネル35、ドアパネル36はそれぞれ金網により形成されており、内部を外側から目視することができるが、金網に代えて板部材を用いてそれぞれのパネルとしてもよく、棒材を格子状に配置した構造としてもよい。
【符号の説明】
【0041】
11 側部枠片
12 側部枠片
13 閉塞枠片
14 基部枠体
21、22 閉塞側支柱
23、24 ドア側支柱
25、26 パネル枠片
27、28 サイドパネル
35 リアパネル
36 ドアパネル
41~44 ドア枠片
48 筐体本体
55 車輪(支点側車輪)
58、59 揺動アーム
62、64 車輪(揺動側車輪)
65 操作棒
66 取付枠体
70 タラップ
71 底壁部材