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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182932
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】積層構造体
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/08 20060101AFI20231220BHJP
   F28D 9/00 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
F28F3/08 301A
F28D9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096197
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】本多 正人
(72)【発明者】
【氏名】水野 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真司
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA01
3L103AA05
3L103AA11
3L103AA13
3L103AA27
3L103BB42
3L103CC22
3L103DD12
3L103DD52
(57)【要約】
【課題】外周表面に外力が生じた場合に、伝熱板とフレームとの間での剥離を抑制することが可能な積層構造体を提供する。
【解決手段】積層構造体6は、矩形状のフレーム14と伝熱板13とを交互に上下方向に積層して構成される。フレーム14は、対向する第一辺20に沿ってフレーム14の端部に設けられた端部開口部21と、対向する第二辺22に沿ってフレーム14の端部に設けられた上側突起部23及び下側突起部24とを有する。フレーム14を、第二フレーム14bと、上側で隣り合う第三フレーム14cと、下側で隣り合う第一フレーム14aとに区別して呼ぶ場合、第二フレーム14bの端部開口部21bは、第三フレーム14cの下側突起部24cが第二フレーム14bの上側で隣接する第二伝熱板13bを介して嵌合されるとともに、第一フレーム14aの上側突起部23aが第二フレーム14bの下側で隣接する第一伝熱板13aを介して嵌合されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状のリブ構造体と仕切部材とを交互に上下方向に積層して、第一風路と、前記第一風路と交差する第二風路とを1層ずつ交互に構成する積層構造体であって、
前記リブ構造体は、矩形状の互いに対向する第一辺に沿って前記リブ構造体の端部に設けられた端部開口部と、前記第一辺とは異なる第二辺であって、矩形状の互いに対向する前記第二辺に沿って前記リブ構造体の端部に設けられた上側突起部及び下側突起部とを有し、
前記リブ構造体を、中央リブ構造体と、前記中央リブ構造体の上側において隣り合う上側リブ構造体と、前記中央リブ構造体の下側において隣り合う下側リブ構造体とに区別して呼ぶ場合、前記中央リブ構造体の前記端部開口部は、前記上側リブ構造体の前記下側突起部が、前記中央リブ構造体に隣接して上側に位置する前記仕切部材を介して嵌合されるとともに、前記下側リブ構造体の前記上側突起部が、前記中央リブ構造体に隣接して下側に位置する前記仕切部材を介して嵌合されている、積層構造体。
【請求項2】
前記リブ構造体は、矩形状の外周枠体と、前記外周枠体の内側に設けられた複数の間隔保持部材と、を有して構成され、
前記外周枠体には、前記端部開口部、前記上側突起部、及び前記下側突起部が設けられ、
前記複数の間隔保持部材は、上下方向に隣接する前記仕切部材との間が所定の間隔となるように、前記第一辺に沿って延在している、請求項1に記載の積層構造体。
【請求項3】
前記下側リブ構造体の前記上側突起部は、前記中央リブ構造体の前記端部開口部内において、前記上側リブ構造体の前記下側突起部によりも外側に位置している、請求項1に記載の積層構造体。
【請求項4】
前記リブ構造体の4つの角部のそれぞれは、前記リブ構造体の一方の面に設けられ、前記一方の面から上下方向に突出する凸接続部と、前記一方の面とは反対側に位置する他方の面に設けられ、前記リブ構造体と隣り合う前記リブ構造体の前記凸接続部を嵌合する凹接続部とを有している、請求項1に記載の積層構造体。
【請求項5】
前記第一風路は、排気流が流通する排気風路であり、
前記第二風路は、給気流が流通する給気風路であり、
前記仕切部材は、伝熱性を有する部材であり、
前記排気流と前記給気流とが前記仕切部材を介して熱交換する熱交換素子として用いられる、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層構造体。
【請求項6】
前記第一風路は、屋外の空気が流通する風路であり、
前記第二風路は、屋内の空気が流通する風路であり、
前記仕切部材は、二酸化炭素を選択的に透過する部材であり、
前記第二風路を流通する空気から前記仕切部材を介して前記第一風路を流通する空気に前記二酸化炭素を透過させる二酸化炭素分離素子として用いられる、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体を1層ずつ積層して互いに直交する風路が構成された積層構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
寒冷地等で使用され、室内の空気を室外へ排気する排気流と、室外の空気を室内へ給気する給気流との間で熱交換する熱交換素子として積層構造体(リブ構造体と仕切部材とを積層した構造体)を用いる場合には、例えば、熱交換素子のシール性(空気流路を流れる空気が外に漏れるのを防止するシール機能)の向上による信頼性を確保するため、例えば次のような構造が知られている。
【0003】
図12は、従来の熱交換素子の構造を示す分解斜視図である。
【0004】
図12に示すように、積層構造体である熱交換素子101は、伝熱性を備えた機能紙103とリブ104で構成された熱交換素子単体102を多数枚積層することによって構成されている。機能紙103の一方の面上には、紙紐105と紙紐105を機能紙103に接着するホットメルト樹脂106と構成されたリブ104が所定間隔で平行に複数備えられている。このリブ104によって、隣接して積層される一対の機能紙103間に間隙が生じ、空気流路107を形成している。熱交換素子101は、複数の間隙が積層されるように形成され、隣接する間隙におけるそれぞれの空気流路107の送風方向は、互いに直交するように構成されている。これにより、空気流路107を機能紙103毎に交互に給気流と排気流とが通風し、給気流と排気流との間で熱交換が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-248390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の熱交換素子101においては、略円形の紙紐105をホットメルト樹脂106で被包したリブ104を形成し、リブ104により機能紙103同士の間隔を維持する構成となっていた。しかしながら、近年では、熱交換形換気扇に設置する際のメンテナンス性向上が重大視され、本構成における熱交換素子の素子強度に対して、更なる素子強度の向上が求められている。具体的には、熱交換素子の素子強度を向上させることによって、メンテナンス時に熱交換素子の表面に誤って手で押す等の外力が生じても、熱交換素子が変形して紙紐と機能紙との間での剥離が生じないようにすることが求められている。
【0007】
そこで、本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、積層構造体の外周表面に外力が生じた場合に、外周部においてリブ構造体(紙紐)と仕切部材(機能紙)との間での剥離を抑制し、シール性を向上した積層構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成するために、本発明に係る積層構造体は、矩形状のリブ構造体と仕切部材とを交互に上下方向に積層して、第一風路と、第一風路と交差する第二風路とを1層ずつ交互に構成する。積層構造体では、リブ構造体は、矩形状の互いに対向する第一辺に沿ってリブ構造体の端部に設けられた端部開口部と、第一辺とは異なる第二辺であって、矩形状の互いに対向する第二辺に沿ってリブ構造体の端部に設けられた上側突起部及び下側突起部とを有する。リブ構造体を、中央リブ構造体と、中央リブ構造体の上側において隣り合う上側リブ構造体と、中央リブ構造体の下側において隣り合う下側リブ構造体とに区別して呼ぶ場合、中央リブ構造体の端部開口部は、上側リブ構造体の下側突起部が、中央リブ構造体に隣接して上側に位置する仕切部材を介して嵌合されるとともに、下側リブ構造体の上側突起部が、中央リブ構造体に隣接して下側に位置する仕切部材を介して嵌合されている。これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、積層構造体の外周表面に外力が生じた場合に、外周部においてリブ構造体と仕切部材との間での剥離を抑制し、シール性を向上した積層構造体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る積層構造体を搭載した熱交換形換気装置の住宅における設置状態を示す模式図である。
図2図2は、図1の熱交換形換気装置の構造を示す模式図である。
図3図3は、図2の熱交換形換気装置に搭載される積層構造体を示す斜視図である。
図4図4は、図3の積層構造体を構成するフレームの斜視図である。
図5図5は、図3の積層構造体を構成するフレームの平面図及び断面図である。
図6図6は、図3の積層構造体の端部構造を示す断面図である。
図7図7は、図3の積層構造体の組立方法を示す分解斜視図である。
図8図8は、図3の積層構造体の組立手順を示す工程図である。
図9図9は、図3の積層構造体の端部構造を示す断面図である。
図10図10は、図3の積層構造体の組立手順を示す工程図である。
図11図11は、二酸化炭素分離素子として用いられる積層構造体を示す斜視図である。
図12図12は、従来の熱交換素子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る積層構造体は、矩形状のリブ構造体と仕切部材とを交互に上下方向に積層して、第一風路と、第一風路と交差する第二風路とを1層ずつ交互に構成する。積層構造体では、リブ構造体は、矩形状の互いに対向する第一辺に沿ってリブ構造体の端部に設けられた端部開口部と、第一辺とは異なる第二辺であって、矩形状の互いに対向する第二辺に沿ってリブ構造体の端部に設けられた上側突起部及び下側突起部とを有する。リブ構造体を、中央リブ構造体と、中央リブ構造体の上側において隣り合う上側リブ構造体と、中央リブ構造体の下側において隣り合う下側リブ構造体とに区別して呼ぶ場合、中央リブ構造体の端部開口部は、上側リブ構造体の下側突起部が、中央リブ構造体に隣接して上側に位置する仕切部材を介して嵌合されるとともに、下側リブ構造体の上側突起部が、中央リブ構造体に隣接して下側に位置する仕切部材を介して嵌合されている。
【0012】
こうした構成によれば、中央リブ構造体の端部開口部に、下側リブ構造体の上側突起部と上側リブ構造体の下側突起部とが嵌合することにより、それぞれの仕切部材が上側突起部と下側突起部で巻き込まれるので、従来のように上下の仕切部材の間に間隔保持部材を固着して構成する場合と比較して、積層構造体の外周表面(特に外周に配置された間隔保持部材)に一方向から外力が生じた場合に、仕切部材とリブ構造体の位置ずれ生じにくく、かつ、リブ構造体によって仕切部材を防護できるため変形しにくくなる。つまり、積層構造体としての強度を高めることができる。よって、積層構造体の外周表面に外力が生じた場合に、外周部において仕切部材とリブ構造体との間での剥離を抑制し、シール性を向上することが可能な積層構造体とすることができる。
【0013】
また、本発明に係る積層構造体では、リブ構造体は、矩形状の外周枠体と、外周枠体の内側に設けられた複数の間隔保持部材と、を有して構成される。外周枠体には、端部開口部、上側突起部、及び下側突起部が設けられる。複数の間隔保持部材は、上下方向に隣接する仕切部材との間が所定の間隔となるように、第一辺に沿って延在している構成としてもよい。これにより、リブ構造体は、外周枠体の内側に設けられた複数の間隔保持部材によって、間隔保持部材を設けない構成と比較して、積層構造体の外周表面(特に外周に配置された間隔保持部材)に一方向から外力が生じた場合に、リブ構造体が変形しにくくなる。つまり、積層構造体としての強度を高めることができる。
【0014】
また、本発明に係る積層構造体では、下側リブ構造体の上側突起部は、中央リブ構造体の端部開口部内において、上側リブ構造体の下側突起部よりも外側に位置している構成としてもよい。このようにすることで、上側突起部と下側突起部とが端部開口部内で嵌合するとき、中央リブ構造体に隣接して上側に位置する仕切部材と中央リブ構造体に隣接して下側に位置する仕切部材とは、上側突起部と下側突起部が接する面で折れ曲がるので、上側突起部もしくは下側突起部の一方からのみ端部開口部と嵌合する場合と比較して、各仕切部材の折れ曲がり部が二重に重なる部分を形成することができる。よって、積層構造体のシール性を更に向上することができる。
また、本発明に係る積層構造体では、リブ構造体の4つの角部のそれぞれは、リブ構造体の一方の面に設けられ、一方の面から上下方向に突出する凸接続部と、一方の面とは反対側に位置する他方の面に設けられ、リブ構造体と隣り合うリブ構造体の凸接続部を嵌合する凹接続部とを有した構成としてもよい。このようにすることで、リブ構造体の凸接続部が、このリブ構造体に隣接するリブ構造体の凹接続部に嵌合されるとともに、リブ構造体の凹接続部が、このリブ構造体に隣接する別のリブ構造体の凸接続部に嵌合されるので、リブ構造体と、このリブ構造体に隣り合う上下のリブ構造体との間を確実に固定することができる。
【0015】
また、本発明に係る積層構造体では、第一風路は、排気流が流通する排気風路であり、第二風路は、給気流が流通する給気風路であり、仕切部材は、伝熱性を有する部材であり、排気流と給気流とが仕切部材を介して熱交換する熱交換素子として用いてもよい。これにより、外周表面での強度が向上することで、シール性の向上した熱交換素子とすることができる。
【0016】
また、本発明に係る積層構造体では、第一風路は、屋外の空気が流通する風路であり、第二風路は、屋内の空気が流通する風路であり、仕切部材は、二酸化炭素を選択的に透過する部材であり、第二風路を流通する空気から仕切部材を介して第一風路を流通する空気に二酸化炭素を透過させる二酸化炭素分離素子として用いてもよい。これにより、外周表面での強度が向上することで、シール性の向上した二酸化炭素分離素子とすることができる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0018】
(実施の形態1)
まず、図1及び図2を参照して、本発明の実施の形態1に係る積層構造体6を熱交換素子として適用した熱交換形換気装置2の概略について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る積層構造体6を搭載した熱交換形換気装置2の設置例を示す概要図である。図2は、図1の熱交換形換気装置2の構造を示す模式図である。
【0019】
図1において、家1の屋内に積層構造体6を搭載した熱交換形換気装置2が設置されている。熱交換形換気装置2は、屋内の空気と屋外の空気とを熱交換しながら換気する装置である。
【0020】
図1に示す通り、排気流3は、黒色矢印のごとく、熱交換形換気装置2を介して屋外に放出される。排気流3は、屋内から屋外に排出される空気の流れである。また、給気流4は、白色矢印のごとく、熱交換形換気装置2を介して室内にとり入れられる。給気流4は、屋外から屋内に取り込まれる空気の流れである。例えば日本の冬季を挙げると、排気流3は20℃~25℃であるのに対して、給気流4は氷点下に達することもある。熱交換形換気装置2は、換気を行うとともに、この換気時に、排気流3の熱を給気流4へと伝達し、不用な熱の放出を抑制している。
【0021】
熱交換形換気装置2は、図2に示す通り、本体ケース5、熱交換素子として機能する積層構造体6、排気ファン7、内気口8、排気口9、給気ファン10、外気口11、及び給気口12を備えている。本体ケース5は、熱交換形換気装置2の外枠である。本体ケース5の外周には、内気口8、排気口9、外気口11、及び給気口12が形成されている。内気口8は、排気流3を熱交換形換気装置2に吸い込む吸込口である。排気口9は、排気流3を熱交換形換気装置2から屋外に吐き出す吐出口である。外気口11は、給気流4を熱交換形換気装置2に吸い込む吸込口である。給気口12は、給気流4を熱交換形換気装置2から屋内に吐き出す吐出口である。
【0022】
本体ケース5の内部には、積層構造体6、排気ファン7、及び給気ファン10が取り付けられている。積層構造体6は、熱交換素子として用いられるので、排気流3と給気流4との間で熱交換を行うための部材として機能する。排気ファン7は、排気流3を内気口8から吸い込み、排気口9から吐出するための送風機である。給気ファン10は、給気流4を外気口11から吸い込み、給気口12から吐出するための送風機である。排気ファン7を駆動することにより内気口8から吸い込まれた排気流3は、積層構造体6及び排気ファン7を経由し、排気口9から屋外へと排出される。また、給気ファン10を駆動することにより外気口11から吸い込まれた給気流4は、積層構造体6及び給気ファン10を経由し、給気口12から屋内へと供給される。
【0023】
次に、図3を参照して、熱交換形換気装置2に搭載する熱交換素子として用いる積層構造体6について説明する。図3は、図2の熱交換形換気装置2に搭載される積層構造体6を示す斜視図である。なお、以下では、積層構造体6の積層方向を鉛直上下方向として説明するが、積層構造体6が熱交換形換気装置2に搭載された状態での方向を必ずしも示すものではない。
【0024】
図3に示すように、積層構造体6は、矩形状のフレーム14と矩形状の伝熱板13とを交互に上下方向に積層して、排気風路16と、排気風路16と交差する給気風路17とを1層ずつ交互に構成された構造体である。より詳細には、積層構造体6は、略正方形の伝熱板13を上下の両面から略正方形のフレーム14の端部において嵌合しながら、伝熱板13とフレーム14とを繰り返し積層することで構成されている。伝熱板13をフレーム14で上下の両面から嵌合するときは、一段ずつ互い違いになるようにフレーム14を直交させて積層している。このような構成にすることで、排気流3が通風する排気風路16と給気流4が通風する給気風路17とが交互に形成され、それぞれの風路に排気流3と給気流4とが交互に直交して流れるようになり、これらの間で熱交換を可能にしている。伝熱板13とフレーム14との詳細な嵌合方法及び手順については後述する。なお、伝熱板13は請求項の「仕切部材」、フレーム14は請求項の「リブ構造体」、排気風路16は請求項の「第一風路」、及び給気風路17は請求項の「第二風路」にそれぞれ相当する。
【0025】
伝熱板13は、伝熱板13を挟んで排気流3と給気流4とが流れたときに熱交換をするための板状の部材である。伝熱板13は、セルロース繊維をベースとした伝熱紙によって形成され、伝熱性と透湿性と吸湿性とを備えている。ただし、紙の材質はこれに限定されるものではない。伝熱板13は、例えば、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートをベースとした透湿樹脂膜、または、セルロース繊維、セラミック繊維、ガラス繊維をベースとした紙材料等を用いることができる。伝熱板13は伝熱性を備えた薄いシートであって、気体が透過しない性質のものを用いることができる。なお、本実施の形態では、伝熱板13は、フレーム14によって嵌合されて折れ曲がるので、それに耐えうる伸縮性及び強度を有している部材を用いることが好ましい。
【0026】
排気風路16は、排気流3が流通する風路である。より詳細には、排気風路16は、屋内から屋外に排出される空気が流れる風路のうち、積層構造体6内に形成される風路部分である。
【0027】
給気風路17は、給気流4が流通する風路である。より詳細には、給気風路17は、屋外から屋内に供給される空気が流れる風路のうち、積層構造体6内に形成される風路部分である。
【0028】
続けて図4及び図5を用いて、積層構造体6を構成するフレーム14について説明する。図4は、図3の積層構造体6を構成するフレーム14の斜視図である。図5は、図3の積層構造体6を構成するフレーム14の平面図及び断面図である。なお、図5の(a)は、フレーム14を上面視した平面図であり、図5の(b)は、図5の(a)のA-A断面でのフレーム14の側面図であり、図5の(c)は、図5の(a)のB-B断面でのフレーム14の側面図である。
【0029】
フレーム14は、図4及び図5の(a)に示すように、略正方形の板状の部材である。フレーム14は、略正方形の互いに対向する一対の第一辺20と、第一辺20とは異なる第二辺22であって、略正方形の互いに対向する一対の第二辺22とによって、略正方形の4辺の輪郭を形作っている。そして、フレーム14は、外周が第一辺20及び第二辺22を有して略正方形となっている外周枠体25と、外周枠体25の内側に設けられた複数のリブ26とによって構成される。
【0030】
フレーム14は、一定の強度を有する材質であることが望ましい。フレーム14の材質としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、あるいは、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)等の樹脂部材を用いたり、セルロース繊維、セラミック繊維、あるいは、ガラス繊維を用いたり、アルミニウムまたはステンレス等の金属材料を用いたりすることができる。さらに、フレーム14を形成する方法としては、成形、溶着、又は切削など、材質に応じた形成方法を用いることが好ましい。
【0031】
外周枠体25には、図4及び図5に示すように、端部開口部21、上側突起部23、下側突起部24、貫通孔28、凸接続部29、及び凹接続部30がそれぞれ設けられている。各部材の詳細は後述する。
【0032】
複数のリブ26は、積層構造体6において、上下方向に隣接する伝熱板13との間が所定の間隔となるように設けられる部材である。より詳細には、複数のリブ26のそれぞれは、図5の(a)及び(b)に示すように、伝熱板13の対向する一対の第二辺22の間において、一方の第二辺22から他方の第二辺22にまで直線状に形成されている。複数のリブ26は、外周枠体25内において隣接するリブ26との間に所定の間隔を有して並んで設けられている。つまり、複数のリブ26は、互いに所定の間隔を有しつつ、それぞれが第二辺22間で第一辺20に沿って延在して設けられているとも言える。そして、複数のリブ26は、伝熱板13を積み重ねるときに伝熱板13間に排気流3または給気流4を通風させるための間隙、即ち排気風路16または給気風路17を形成する。なお、リブ26は請求項の「間隔保持部材」に相当する。
【0033】
端部開口部21は、図5の(a)に示すように、矩形状の互いに対向する第一辺20に沿ってフレーム14の端部(外周枠体25)に設けられた矩形状の開口部である。端部開口部21は、外周枠体25の第一辺20のそれぞれに設けられる。端部開口部21のそれぞれは、一方の第二辺22と他方の第二辺22との間においてスリット状に形成されている。そして、詳細は後述するが、端部開口部21には、積層構造体6において、上側に設置されるフレーム14の下側突起部24と下側に設置されるフレーム14の上側突起部23とが嵌合される。具体的には、端部開口部21には、上側に位置するフレーム14の下側突起部24が、上側に位置する伝熱板13を介して嵌合されるとともに、下側に位置するフレーム14の上側突起部23が、下側に位置する伝熱板13を介して嵌合される。なお、端部開口部21は、矩形状と記載したが、四隅が曲面の形状でもよい。
【0034】
上側突起部23は、図5の(a)及び(b)に示すように、矩形状の互いに対向する第二辺22に沿ってフレーム14の端部(外周枠体25)に設けられた柱状の部材である。上側突起部23は、外周枠体25の第二辺22において複数のリブ26のそれぞれの端部を固定している。上側突起部23は、外周枠体25の第二辺22のそれぞれに設けられる。なお、上側突起部23は、複数のリブ26によって構成される平面(上面)から鉛直方向の上側に突出するように設置されているので、「上側突起部」と称している。
【0035】
下側突起部24、図5の(a)及び(b)に示すように、矩形状の互いに対向する第二辺22に沿ってフレーム14の端部(外周枠体25)に設けられた柱状の部材である。下側突起部24は、外周枠体25の第二辺22において複数のリブ26のそれぞれの端部を固定している。下側突起部24は、外周枠体25の第二辺22のそれぞれに設けられる。なお、下側突起部24は、複数のリブ26によって構成される平面(下面)から鉛直方向の下側に突出するように設置されているので、「下側突起部」と称している。
【0036】
ここで、図5の(a)に示すように、フレーム14を上面視した場合には、第二辺22のそれぞれにおいて上側突起部23と下側突起部24とが互いに重畳しないように、下側突起部24が上側突起部23よりも内側の位置に設置されている。なお、上側突起部23と下側突起部24との間のずれ量は、それぞれを端部開口部21に嵌合する際に介在する伝熱板13の厚さ等を加味して設定されている。また、上側突起部23及び下側突起部24は、柱状と記載したが、角部が面取りされた形状でもよい。
【0037】
貫通孔28は、矩形状のフレーム14と矩形状の伝熱板13とを交互に上下方向に積層して積層構造体6を組み立てる際に、後述する枠体固定棒27(図7参照)を挿通するための円形状の開口である。貫通孔28は、図4及び図5の(a)に示すように、矩形状のフレーム14の四隅(4つの角部)において同一形状のものがそれぞれ設けられる。また、貫通孔28の近傍周囲には、貫通孔28を囲むように、円筒状の凸接続部29及び環状に窪んだ凹接続部30(図9参照)が設けられている。
【0038】
凸接続部29は、図5に示すように、矩形状のフレーム14の四隅(4つの角部)に設けられた円筒状の部材である。凸接続部29は、貫通孔28を囲むように、複数のリブ26によって構成される平面(上面)から鉛直方向の上側に凸状に形成されている。詳細は上述するが、凸接続部29は、積層構造体6において、上側に設置されるフレーム14の凹接続部30に嵌合される。より詳細には、凸接続部29は、上側に位置する伝熱板13を介して上側に位置するフレーム14の凹接続部30に嵌合される。
【0039】
凹接続部30は、矩形状のフレーム14の四隅(4つの角部)に設けられた環状に窪んだ部材である。凹接続部30は、貫通孔28を囲むように、複数のリブ26によって構成される平面(下面)から鉛直方向の上側に凹状に形成されている。詳細は上述するが、凹接続部30には、積層構造体6において、下側に設置されるフレーム14の凸接続部29が嵌合される。より詳細には、凹接続部30には、下側に位置する伝熱板13を介して下側に位置するフレーム14の凸接続部29が嵌合される。なお、凹接続部30の寸法は、凸接続部29が嵌合される際に介在する伝熱板13の厚さ等を加味して設定されている。
【0040】
次に、図6を参照して、積層構造体6の端部における積層状態について説明する。図6は、図3の積層構造体6の端部構造を示す断面図である。図6の(a)は、図5の(a)のA-A断面での積層構造体6(フレーム14の3層分)の側面図であり、図6の(b)は、図5の(a)のB-B断面での積層構造体6(フレーム14の3層分)の側面図である。なお、以下では、3層分のフレーム14について、下側から、第一フレーム14a、第二フレーム14b、及び第三フレーム14cとして説明する。また、第一フレーム14aと第二フレーム14bとの間に位置する伝熱板13を第一伝熱板13aとし、第二フレーム14bと第三フレーム14cとの間に位置する伝熱板13を第二伝熱板13bとして説明する。また、第一フレーム14aを構成する部材には符号の末尾に「a」をつけ、第二フレーム14bを構成する部材には符号の末尾に「b」をつけ、第三フレーム14cを構成する部材には符号の末尾に「c」をつけることで、互いに区別して説明する。但し、各部材を区別するが、それぞれ同一の部材であり、何ら差異はない。
【0041】
積層構造体6では、図6の(a)に示すように、第二フレーム14bの端部開口部21bには、下側に位置する第一フレーム14aの上側突起部23aが第一伝熱板13aを介して嵌合されているとともに、上側に位置する第三フレーム14cの下側突起部24cが第二伝熱板13bを介して嵌合されている。なお、第一フレーム14aは請求項の「下側リブ構造体」、第二フレーム14bは請求項の「中央リブ構造体」、及び第三フレーム14cは請求項の「上側リブ構造体」にそれぞれ相当する。
【0042】
より詳細には、第一フレーム14aの上側突起部23aは、第二フレーム14bの端部開口部21b内に第一伝熱板13aを押し込みながら、第二フレーム14bの端部開口部21bに嵌合されている。一方、第三フレーム14cの下側突起部24cは、第二フレーム14bの端部開口部21b内に第二伝熱板13bを押し込みながら、第二フレーム14bの端部開口部21bに嵌合されている。これにより、第一伝熱板13aは、第一フレーム14aの上面と第二フレーム14bの下面との間に挟持されるとともに、第二フレーム14bの端部開口部21b内において、第一フレーム14aの上側突起部23aの形状に沿って折り曲げられて嵌合された状態となる。一方、第二伝熱板13bは、第二フレーム14bの上面と第三フレーム14cの下面との間に挟持されるとともに、第二フレーム14bの端部開口部21b内において、第三フレーム14cの下側突起部24cの形状に沿って折り曲げられて嵌合された状態となる。
【0043】
そして、上述のように、第二フレーム14bの端部開口部21b内に、上側突起部23a及び第一伝熱板13aが嵌合されるとともに、下側突起部24c及び第二伝熱板13bが嵌合されると、外周枠体25の内側領域には、リブ26bによって排気風路16b(あるいは給気風路17b)が形成される。
【0044】
また、積層構造体6では、図6の(b)に示すように、第一フレーム14aの端部開口部21aには、上側に位置する第二フレーム14bの下側突起部24bが第一伝熱板13aを介して嵌合されている。特に図示していないが、第一フレーム14aの端部開口部21aには、図6の(a)に示したように、下側に位置する別のフレーム14の上側突起部23が伝熱板13を介して嵌合される。一方、第三フレーム14cの端部開口部21cには、下側に位置する第二フレーム14bの上側突起部23bが第二伝熱板13bを介して嵌合されている。特に図示していないが、第三フレーム14cの端部開口部21cには、図6の(a)に示したように、上側に位置する別のフレーム14の下側突起部24が伝熱板13を介して嵌合される。
【0045】
そして、上述のように、第一フレーム14aの端部開口部21a内において、第二フレーム14bのような端部構造が形成されると、外周枠体25の内側領域には、リブ26aによって給気風路17a(あるいは排気風路16a)が形成される。また、第三フレーム14cの端部開口部21c内において、第二フレーム14bのような端部構造が形成されると、外周枠体25の内側領域には、リブ26cによって給気風路17c(あるいは排気風路16c)が形成される。
【0046】
以上のように、積層構造体6は、第二フレーム14bの端部開口部21bに代表されるような端部構造が1層ずつ交互に第一辺20及び第二辺22に形成されて構成される。言い換えれば、積層構造体6では、排気風路16及び給気風路17が1層ずつ交互に第一辺20及び第二辺22にそれぞれ形成されて構成される。
【0047】
引き続き、図7及び図8を参照して、積層構造体6の組立方法及び手順について説明する。図7は、図3の積層構造体6の組立方法を示す分解斜視図である。図8は、図3の積層構造体の組立手順を示す工程図である。なお、図7では、第一伝熱板13a及び第二伝熱板13bを輪郭部分のみで示している。図8は、図5の(a)のA-A断面及びB-B断面での積層構造体6の側面図であり、図6における第一フレーム14a~第三フレーム14cの3層分の組立手順を示している。
【0048】
積層構造体6の組み立てる際には、図7に示すように、フレーム14の4つの角部のそれぞれの位置において貫通孔28に挿通可能な枠体固定棒27が用意される。
【0049】
枠体固定棒27は、フレーム14の外周枠体25及び伝熱板13を固定する4本の円筒状の器具である。枠体固定棒27は、組み立て中に積層構造体6の角部などに外力が加わったときに、位置ずれあるいはフレーム14等の変形を抑制するためのものでもある。枠体固定棒27の断面形状は、円形が好ましい。また、枠体固定棒27は、溶融させることができる溶着棒あるいは全ネジの金属棒など、積層構造体6の固定方法に応じて、種々の材質及び形状を選択することができる。
【0050】
積層構造体6の組立方法では、図7に示すように、まず第一フレーム14aの四角の貫通孔28に枠体固定棒27をそれぞれ挿通する(図8の第一工程に相当)。続いて、第一フレーム14aの上面に第一伝熱板13aを載置する。この際、必要に応じて第一伝熱板13aの枠体固定棒27に対応する部分に、貫通孔28のように孔(開口部)を設けておくとよい。これにより、第一伝熱板13aの位置ズレを抑制することができ、好適である。
【0051】
そして、第一伝熱板13aの上面に第二フレーム14bを載置する。より詳細には、第一フレーム14aに対して90度回転させた状態(第一フレーム14aのリブ26aと第二フレーム14bのリブ26bとが直交する状態)で、第二フレーム14bの四角の貫通孔28に枠体固定棒27をそれぞれ挿通し、第一伝熱板13aを押さえつけるように第二フレーム14bを設置する(図8の第三工程に相当)。続いて、第二フレーム14bの上面に第二伝熱板13bを載置する。この際、必要に応じて第二伝熱板13bの枠体固定棒27に対応する部分に、貫通孔28のように孔(開口部)を設けておくとよい。これにより、第二伝熱板13bの位置ズレを抑制することができ、好適である。
【0052】
そして、第二伝熱板13bの上面に第三フレーム14cを載置する。より詳細には、第二フレーム14bに対して90度回転させた状態(第二フレーム14bのリブ26bと第三フレーム14cのリブ26cとが直交する状態)で、第三フレーム14cの四角の貫通孔28に枠体固定棒27を挿通し、第二伝熱板13bを押さえつけるように第三フレーム14cを設置する(図8の第五工程に相当)。
【0053】
以降、伝熱板13及びフレーム14の四角に枠体固定棒27を挿通しながら、伝熱板13及びフレーム14を交互に積層していくことにより、図3に示した積層構造体6が形成される。
【0054】
続いて、積層構造体6の組立手順を図8の第一工程~第五工程に分けて具体的に説明する。
【0055】
図8の第一工程は、第一フレーム14aの四角の貫通孔28に枠体固定棒27を挿通して嵌め込まれた状態を示す。
【0056】
図8の第二工程は、第一工程の状態から、第一伝熱板13aを第一フレーム14aの上面に載置しつつ、第二フレーム14bの四角の貫通孔28に枠体固定棒27を挿通して嵌め込む途中の様子を示す。この際、A-A断面での第一フレーム14aの上側突起部23aは、外周側において第二フレーム14bの端部開口部21aと重畳している。B-B断面での第一フレーム14aの端部開口部21aは、内周側において第二フレーム14bの下側突起部24bと重畳している。
【0057】
図8の第三工程のA-A断面は、第一フレーム14aの上側突起部23aが、第二フレーム14bの端部開口部21b内に第一伝熱板13aを折り曲げて押し込み、第二フレーム14bの端部開口部21bに嵌合された状態を示す。図8の第三工程のB-B断面は、第二フレーム14bの下側突起部24bが、第一フレーム14aの端部開口部21a内に第一伝熱板13aを折り曲げて押し込み、第一フレーム14aの端部開口部21aに嵌合された状態を示す。上述した通り、A-A断面での第一伝熱板13aは、第一フレーム14aの上面と第二フレーム14bの下面との間に挟持されるとともに、第二フレーム14bの端部開口部21b内において、第一フレーム14aの上側突起部23aの形状に沿って折り曲げられて嵌合されている。一方、第一フレーム14aの端部開口部21aでは、第二フレーム14bの下側突起部24bが第一伝熱板13aを折り曲げて押し込んで嵌合された状態となっている。つまり、B-B断面での第一伝熱板13aは、第一フレーム14aの上面と第二フレーム14bの下面で挟まれるとともに、下側突起部24bで押し出されて折り曲げられた状態となっている。
【0058】
図8の第四工程は、第三工程の状態から、第二伝熱板13bを第二フレーム14bの上面に載置しつつ、第三フレーム14cの四角の貫通孔28に枠体固定棒27を挿通して嵌め込む途中の様子を示す。この際、A-A断面での第二フレーム14bの端部開口部21bは、内周側において第三フレーム14cの下側突起部24cと重畳している。B-B断面での第二フレーム14bの上側突起部23bは、外周側において第三フレーム14cの端部開口部21cと重畳している。
【0059】
図8の第五工程のA-A断面は、第三フレーム14cの下側突起部24cが、第二フレーム14bの端部開口部21b内に第二伝熱板13bを折り曲げて押し込み、第二フレーム14bの端部開口部21bに嵌合された状態を示す。図8の第三工程のB-B断面は、第二フレーム14bの上側突起部23bが、第三フレーム14cの端部開口部21c内に第二伝熱板13bを折り曲げて押し込み、第三フレーム14cの端部開口部21cに嵌合された状態を示す。上述した通り、A-A断面での第二伝熱板13bは、第二フレーム14bの上面と第三フレーム14cの下面との間に挟持されるとともに、第二フレーム14bの端部開口部21b内において、第三フレーム14cの下側突起部24cの形状に沿って折り曲げられて嵌合される。一方、第三フレーム14cの端部開口部21cでは、第二フレーム14bの上側突起部23bが第二伝熱板13bを折り曲げて押し込んで嵌合された状態となっている。つまり、B-B断面での第二伝熱板13bは、第二フレーム14bの上面と第三フレーム14cの下面で挟まれるとともに、上側突起部23bで押し出されて折り曲げられた状態となっている。
【0060】
その後、第二工程~第五工程を繰り返して、必要な積層数を有する積層構造体6が組み立てられる。
【0061】
次に、図9を参照して、上下方向に積層されるフレーム14における凸接続部29及び凹接続部30の嵌合状態について説明する。図9は、図3の積層構造体6の端部構造を示す断面図である。なお、図9は、図5の(a)のC-C断面での積層構造体6(フレーム14の3層分)の端部の側面図であり、各部材の符号は、図6での符号のつけ方に対応させて付与している。
【0062】
図9に示すように、第一フレーム14aの凸接続部29aは、積層構造体6において、上側に設置する第二フレーム14bの凹接続部30bに嵌合される。より詳細には、第一フレーム14aの凸接続部29aは、上側において隣接する第一伝熱板13aを介して、上側において隣り合う第二フレーム14bの凹接続部30bに嵌合されている。この際、第一伝熱板13aは、凸接続部29a及び凹接続部30bの形状に沿って折り曲げられながら嵌合されている。
【0063】
第二フレーム14bの凸接続部29bは、積層構造体6において、上側に設置する第三フレーム14cの凹接続部30cに嵌合される。より詳細には、第二フレーム14bの凸接続部29bは、上側において隣接する第二伝熱板13bを介して、上側において隣り合う第三フレーム14cの凹接続部30cに嵌合されている。この際、第二伝熱板13bは、凸接続部29b及び凹接続部30cの形状に沿って折り曲げられながら嵌合されている。
【0064】
以上のように、積層構造体6では、貫通孔28を囲うように、フレーム14の凸接続部29と、これに隣り合うフレーム14の凹接続部30とが嵌合した構造体が円筒状に形成されている。
【0065】
続いて、図10を参照して、フレーム14における凸接続部29及び凹接続部30の嵌合手順について説明する。図10は、図3の積層構造体6の組立手順を示す工程図である。なお、図10は、図9における第一フレーム14a~第三フレーム14cの3層分の組立手順を示し、図中の第一工程~第五工程は、図8中の第一工程~第五工程にそれぞれ対応して示している。
【0066】
図10の第一工程は、第一フレーム14aの四角の貫通孔28に、枠体固定棒27が挿通されて嵌め込まれた状態を示す。
【0067】
図10の第二工程は、第一工程の状態から、第一伝熱板13aを第一フレーム14aの上面に載置しつつ、第二フレーム14bの四角の貫通孔28に枠体固定棒27を挿通して嵌め込む途中の様子を示す。この際、第一フレーム14aの凸接続部29aは、第二フレーム14bの凹接続部30bと重畳している。
【0068】
図10の第三工程は、第一フレーム14aの凸接続部29aが、第二フレーム14bの凹接続部30b内に第一伝熱板13aを押し込みながら、第二フレーム14bの凹接続部30bに嵌合された状態を示す。上述した通り、第一伝熱板13aは、第一フレーム14aの上面と第二フレーム14bの下面との間に挟持されるとともに、第二フレーム14bの凹接続部30b内において、第一フレーム14aの凸接続部29aの形状に沿って折り曲げられて嵌合される。
【0069】
図10の第四工程は、第三工程の状態から、第二伝熱板13bを第二フレーム14bの上面に載置しつつ、第三フレーム14cの四角の貫通孔28に枠体固定棒27を挿通して嵌め込む途中の様子を示す。この際、第二フレーム14bの凸接続部29bは、第三フレーム14cの凹接続部30cと重畳している。
【0070】
図10の第五工程は、第二フレーム14bの凸接続部29bが、第三フレーム14cの凹接続部30c内に第二伝熱板13bを押し込みながら、第三フレーム14cの凹接続部30cに嵌合された状態を示す。上述した通り、第二伝熱板13bは、第二フレーム14bの上面と第三フレーム14cの下面との間に挟持されるとともに、第三フレーム14cの凹接続部30b内において、第二フレーム14bの凸接続部29bの形状に沿って折り曲げられて嵌合される。
【0071】
その後、第二工程~第五工程を繰り返して、必要な積層数を有する積層構造体6が組み立てられる。
【0072】
このように、積層構造体6の四角における各伝熱板13は、折り曲げられながら段差を作るように、各フレーム14と面接触で嵌合されているので、段差により空気がトラップされ、伝熱板13とフレーム14の隙間から空気が入り込みにくい構造となっている。
【0073】
以上のようにして、第二フレーム14bの端部開口部21bに代表されるような端部構造が1層ずつ交互に第一辺20及び第二辺22に形成されて構成された積層構造体6が組み立てられる。また、フレーム14の四角においては、貫通孔28近傍における凸接続部29及び凹接続部30が1層ずつ嵌合されて構成された積層構造体6が組み立てられる。
【0074】
以上、本実施の形態1に係る積層構造体6、及び積層構造体6を熱交換素子として用いた熱交換形換気装置2によれば、以下の効果を享受することができる。
【0075】
(1)積層構造体6は、矩形状のフレーム14と伝熱板13とを交互に上下方向に積層して、排気風路16と、排気風路16と交差する給気風路17とを1層ずつ交互に構成する。積層構造体6では、フレーム14は、矩形状の互いに対向する第一辺20に沿ってフレーム14の端部に設けられた端部開口部21と、第一辺20とは異なる第二辺22であって、矩形状の互いに対向する第二辺22に沿ってフレーム14の端部に設けられた上側突起部23及び下側突起部24とを有する。フレーム14を、第二フレーム14bと、第二フレーム14bの上側において隣り合う第三フレーム14cと、第二フレーム14bの下側において隣り合う第一フレーム14aとに区別して呼ぶ場合、第二フレーム14bの端部開口部21bは、第三フレーム14cの下側突起部24cが、第二フレーム14bに隣接して上側に位置する第二伝熱板13bを介して嵌合されるとともに、第一フレーム14aの上側突起部23aが、第二フレーム14bに隣接して下側に位置する第一伝熱板13aを介して嵌合されている。
【0076】
こうした構成によれば、第二フレーム14bの端部開口部21bに、第一フレーム14aの上側突起部23aと第三フレーム14cの下側突起部24cとが嵌合することにより、それぞれの伝熱板13(第一伝熱板13a及び第二伝熱板13b)が上側突起部23と下側突起部24で巻き込まれるので、従来のように上下の伝熱板13の間にリブ26を固着して構成する場合と比較して、積層構造体6の外周表面(特に外周に配置されたリブ26)に一方向から外力が生じた場合に、伝熱板13とフレーム14の位置ずれ生じにくく、かつ、フレーム14によって伝熱板13を防護できるため変形しにくくなる。つまり、積層構造体6としての強度を高めることができる。よって、積層構造体6の外周表面に外力が生じた場合に、外周部において伝熱板13とフレーム14との間での剥離を抑制し、シール性を向上することが可能な積層構造体6とすることができる。
【0077】
(2)積層構造体6では、第二フレーム14bの端部開口部21bに、第一フレーム14aの上側突起部23aと第三フレーム14cの下側突起部24cとを嵌合し、それぞれの伝熱板13(第一伝熱板13a及び第二伝熱板13b)が上側突起部23と下側突起部24で巻き込まれる構成とした。これにより、伝熱板13がフレーム14の外周枠体25において3つのフレーム14によって強固に固定されるので、伝熱板13とリブ26との間を接着剤などによって固着する必要がなくなる。言い換えれば、伝熱板13とリブ26との間を、接着剤を用いて固着させること困難な部材の組み合わせであっても、積層構造体6として容易に形成することができる。
【0078】
(3)積層構造体6では、フレーム14は、矩形状の外周枠体25と、外周枠体25の内側に設けられた複数のリブ26と、を有して構成される。外周枠体25には、端部開口部21、上側突起部23、及び下側突起部24が設けられる。複数のリブ26は、上下方向に隣接する伝熱板13との間が所定の間隔となるように、第一辺20に沿って延在している構成とした。これにより、フレーム14は、外周枠体25の内側に設けられた複数のリブ26によって、リブ26を設けない構成と比較して、積層構造体6の外周表面(特に外周に配置されたリブ26)に一方向から外力が生じた場合に、フレーム14が変形しにくくなる。つまり、積層構造体6としての強度を高めることができる。
【0079】
(4)積層構造体6では、第一フレーム14aの上側突起部23aは、第二フレーム14bの端部開口部21b内において、第三フレーム14cの下側突起部24cよりも外側に位置している構成とした。これにより、上側突起部23と下側突起部24とが端部開口部21内で嵌合するとき、第二フレーム14bに隣接して上側に位置する第二伝熱板13bと第二フレーム14bに隣接して下側に位置する第一伝熱板13aとは、上側突起部23と下側突起部24が接する面で折れ曲がるので、上側突起部23もしくは下側突起部24の一方からのみ端部開口部21と嵌合する場合と比較して、各伝熱板13(第一伝熱板13a及び第二伝熱板13b)の折れ曲がり部が二重に重なる部分を形成することができる。よって、積層構造体6のシール性を更に向上することができる。
(5)積層構造体6では、第二フレーム14bの4つの角部のそれぞれは、第二フレーム14bの上面に設けられ、当該上面から上側の方向に突出する凸接続部29bと、当該上面とは反対側に位置する下面に設けられ、第二フレーム14bと隣り合う第一フレーム14aの凸接続部29aを嵌合する凹接続部30bとを有した構成とした。これにより、第二フレーム14bの凸接続部29bが、第二フレーム14bの上側において隣り合う第三フレーム14cの凹接続部30cに嵌合されるとともに、第二フレーム14bの凹接続部30bが、第二フレーム14bの下側において隣り合う第一フレーム14aの凸接続部29aに嵌合されるので、第二フレーム14bと、この第二フレーム14bと隣り合う上下のフレーム14(第一フレーム14a及び第三フレーム14c)との間を確実に固定することができる。
【0080】
(6)積層構造体6では、互いに交差する風路の一方を、排気流3が流通する排気風路16とし、互いに交差する風路の他方を、給気流4が流通する給気風路17とし、伝熱板13を、伝熱性を有する部材として、積層構造体6を、排気流3と給気流4とが伝熱板13を介して熱交換する熱交換素子として用いた。これにより、外周表面での強度が向上することで、シール性の向上した熱交換素子とすることができる。
【0081】
(7)積層構造体6を熱交換素子として熱交換形換気装置2に搭載する構成とした。これにより、熱交換効率を向上することが可能な熱交換形換気装置2を実現することができるとともに、熱交換素子の外周表面での強度が向上するので、熱交換形換気装置2におけるメンテナンス性を向上させることができる。
【0082】
(変形例)
次に、図11を参照して、積層構造体6aを、流通する空気から二酸化炭素を選択的に分離する二酸化炭素分離素子として用いる場合(変形例)について説明する。図11は、二酸化炭素分離素子として用いられる積層構造体6aを示す斜視図である。
【0083】
変形例に係る積層構造体6aでは、「排気流3が流通する排気風路16」が「外気流3aが流通する外気風路36」となり、「給気流4が流通する給気風路17」が「内気流4aが流通する内気風路37」となり、「伝熱板13」が「二酸化炭素分離膜33」となっている点で実施の形態1と異なる。これ以外の積層構造体6aの構成は、実施の形態1に係る積層構造体6と同様である。以下、実施の形態1で説明済みの内容は再度の説明を適宜省略し、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0084】
図11に示すように、積層構造体6aは、矩形状のフレーム14と矩形状の二酸化炭素分離膜33とを交互に上下方向に積層して、外気風路36と、外気風路36と交差する内気風路37とを1層ずつ交互に構成された構造体である。より詳細には、積層構造体6aは、略正方形の二酸化炭素分離膜33を上下の両面から略正方形のフレーム14の端部において嵌合しながら、二酸化炭素分離膜33とフレーム14とを繰り返し積層することで構成されている。二酸化炭素分離膜33をフレーム14で上下の両面から嵌合するときは、一段ずつ互い違いになるようにフレーム14を直交させて積層している。このような構成にすることで、外気流3aが通風する外気風路36と内気流4aが通風する内気風路37とが交互に形成され、それぞれの風路に外気流3aと内気流4aとが交互に直交して流れるようになり、内気流4aから外気流3aに向けて二酸化炭素を選択的に透過させて分離することを可能にしている。二酸化炭素分離膜33とフレーム14との嵌合状態及び嵌合方法は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。なお、二酸化炭素分離膜33は請求項の「仕切部材」、外気風路36は請求項の「第一風路」、及び内気風路37は請求項の「第二風路」にそれぞれ相当する。
【0085】
外気風路36は、屋外の空気が流通する風路である。より詳細には、外気風路36は、屋外から取り込まれ、二酸化炭素分離素子を流通して屋外に排出される空気(外気)が流れる風路のうち、積層構造体6a内に形成される風路部分である。
【0086】
内気風路37は、屋内の空気が流通する風路である。より詳細には、内気風路37は、屋内から取り込まれ、二酸化炭素分離素子を流通して屋内に放出される空気(内気)が流れる風路のうち、積層構造体6a内に形成される風路部分である。
【0087】
外気流3aは、屋外から取り込まれ、二酸化炭素分離素子を流通して屋外に排出される空気の流れである。
【0088】
内気流4aは、屋内から取り込まれ、二酸化炭素分離素子を流通して屋内に放出される空気の流れである。内気流4aは、循環気流とも言える。
【0089】
二酸化炭素分離膜33は、二酸化炭素分離膜33を挟んで外気流3aと内気流4aとが流れたときに、内気流4aから外気流3aに向けて二酸化炭素を選択的に透過させて分離する部材である。二酸化炭素分離膜33には、例えば、二酸化炭素と選択的に反応する二酸化炭素キャリアを含む膜が用いられる。こうした二酸化炭素分離膜33では、二酸化炭素と二酸化炭素キャリアの反応により、二酸化炭素を選択的に透過させる二酸化炭素促進輸送膜として機能する。なお、二酸化炭素分離膜33は、二酸化炭素促進輸送膜として一般的に用いられる膜材料であればよいので、詳細な説明は省略するが、フレーム14によって嵌合されて折れ曲がるので、それに耐えうる伸縮性及び強度を有している部材を用いることが好ましい。
【0090】
変形例に係る積層構造体6aでは、積層構造体6と同様、第二フレーム14bの端部開口部21bに代表されるような端部構造が1層ずつ交互に第一辺20及び第二辺22に形成されて構成されるとともに、フレーム14の四角においては、貫通孔28近傍における凸接続部29及び凹接続部30が1層ずつ嵌合されて構成される。
【0091】
そして、変形例に係る積層構造体6aを二酸化炭素分離素子として機能させると、素子内部を流通する内気流4aから外気流3aに二酸化炭素を選択的に透過させて分離し、内気流4aから二酸化炭素を除去するので、屋内空間を清浄化することができる。
【0092】
以上、変形例に係る積層構造体6aによれば、以下の効果を享受することができる。
【0093】
(1a)積層構造体6aは、矩形状のフレーム14と二酸化炭素分離膜33とを交互に上下方向に積層して、外気風路36と、外気風路36と交差する内気風路37とを1層ずつ交互に構成する。積層構造体6aでは、フレーム14は、矩形状の互いに対向する第一辺20に沿ってフレーム14の端部に設けられた端部開口部21と、第一辺20とは異なる第二辺22であって、矩形状の互いに対向する第二辺22に沿ってフレーム14の端部に設けられた上側突起部23及び下側突起部24とを有する。フレーム14を、第二フレーム14bと、第二フレーム14bの上側において隣り合う第三フレーム14cと、第二フレーム14bの下側において隣り合う第一フレーム14aとに区別して呼ぶ場合、第二フレーム14bの端部開口部21bは、第三フレーム14cの下側突起部24cが、第二フレーム14bに隣接して上側に位置する第二伝熱板13bを介して嵌合されるとともに、第一フレーム14aの上側突起部23aが、第二フレーム14bに隣接して下側に位置する第一伝熱板13aを介して嵌合されている。
【0094】
こうした構成によれば、第二フレーム14bの端部開口部21bに、第一フレーム14aの上側突起部23aと第三フレーム14cの下側突起部24cとが嵌合することにより、それぞれの二酸化炭素分離膜33が上側突起部23と下側突起部24で巻き込まれるので、従来のように上下の二酸化炭素分離膜33の間にリブ26を固着して構成する場合と比較して、積層構造体6aの外周表面(特に外周に配置されたリブ26)に一方向から外力が生じた場合に、二酸化炭素分離膜33とフレーム14の位置ずれ生じにくく、かつ、フレーム14によって二酸化炭素分離膜33を防護できるため変形しにくくなる。つまり、積層構造体6aとしての強度を高めることができる。よって、積層構造体6aの外周表面に外力が生じた場合に、外周部において二酸化炭素分離膜33とフレーム14との間での剥離を抑制し、シール性を向上することが可能な積層構造体6aとすることができる。
【0095】
(2a)積層構造体6aでは、第二フレーム14bの端部開口部21bに、第一フレーム14aの上側突起部23aと第三フレーム14cの下側突起部24cとを嵌合し、それぞれの二酸化炭素分離膜33が上側突起部23と下側突起部24で巻き込まれる構成とした。これにより、二酸化炭素分離膜33がフレーム14の外周枠体25において3つのフレーム14によって強固に固定されるので、二酸化炭素分離膜33とリブ26との間を接着剤などによって固着する必要がなくなる。言い換えれば、二酸化炭素分離膜33とリブ26との間を、接着剤を用いて固着させること困難な部材の組み合わせであっても、積層構造体6aとして容易に形成することができる。
【0096】
(3a)積層構造体6aでは、互いに交差する風路の一方を、外気流3aが流通する外気風路36とし、互いに交差する風路の他方を、内気流4aが流通する内気風路37とし、二酸化炭素分離膜33を、二酸化炭素を選択的に透過する部材とした。そして、積層構造体6aを、内気風路37を流通する空気(内気流4a)から二酸化炭素分離膜33を介して外気風路36を流通する空気(外気流3a)に二酸化炭素を透過させる二酸化炭素分離素子として用いた。これにより、外周表面での強度が向上することで、シール性の向上した二酸化炭素分離素子とすることができる。
【0097】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0098】
本実施の形態1に係る積層構造体6では、凸接続部29を、上側突起部23と同じ側に形成したが、これに限られず、例えば、逆側となる下側突起部24と同じ側に形成するようにしてもよい。具体的には、凸接続部29を、複数のリブ26によって構成される平面から鉛直方向の下側に凸状に形成し、隣接するフレーム14の凸接続部29が嵌合される凹接続部30を、複数のリブ26によって構成される平面から鉛直方向の下側に凹状に形成するようにしてもよい。このようにしても、上下に隣接するフレーム14同士を確実に固定することができる。つまり、フレーム14の4つの角部のそれぞれには、フレーム14の一方の面に設けられ、一方の面から上下方向に突出する凸接続部29と、一方の面とは反対側に位置する他方の面に設けられ、フレーム14に隣接するフレーム14の凸接続部29を嵌合する凹接続部30を有しているも言える。これにより、フレーム14の凸接続部29が、このフレーム14に隣接するフレーム14の凹接続部30に嵌合されるとともに、フレーム14の凹接続部30が、このフレーム14に隣接する別のフレーム14の凸接続部29に嵌合されるので、フレーム14と、このフレーム14に隣り合う上下のフレーム14との間を確実に固定することができる。
【0099】
また、本発明に係る積層構造体6では、第一フレーム14aの上側突起部23aを、第二フレーム14bの端部開口部21内において、第三フレーム14cの下側突起部24cによりも内側に位置するようにしたが、これに限られない。例えば、第一フレーム14aの上側突起部23aを、第二フレーム14bの端部開口部21内において、第三フレーム14cの下側突起部24cによりも外側に位置する構成としてもよい。
【0100】
また、本発明に係る積層構造体6では、フレーム14の第二辺22において、上側突起部23の位置を下側突起部24の位置によりも外側としたが、上側突起部23と下側突起部24の内外の位置関係は逆転させてもよく、その効果に差異は生じない。
【0101】
また、本発明に係る積層構造体6では、最下層に位置するフレーム14の端部開口部21の左側部分(上側突起部23が嵌合される部分)、及び、最上層に位置するフレーム14の端部開口部21の右側部分(下側突起部24が嵌合される部分)が空洞となるが、実使用においては、積層構造体6の空洞部を埋める凸部を設けた蓋がそれぞれ設けられることで、端部開口部21はすべて嵌合状態と同様の状態している。
【産業上の利用可能性】
【0102】
以上のように、本実施の形態に係る積層構造体は、積層構造体の外周表面に外力が生じた場合に、外周部においてリブ構造体と仕切部材との間での剥離を抑制、シール性を高めることができるものであって、熱交換形換気装置等に用いる熱交換素子あるいは空気浄化装置等に用いる二酸化炭素分離素子として有用である。
【符号の説明】
【0103】
1 家
2 熱交換形換気装置
3 排気流
3a 外気流
4 給気流
4a 内気流
5 本体ケース
6 積層構造体
6a 積層構造体
7 排気ファン
8 内気口
9 排気口
10 給気ファン
11 外気口
12 給気口
13 伝熱板
13a 第一伝熱板
13b 第二伝熱板
14 フレーム
14a 第一フレーム
14b 第二フレーム
14c 第三フレーム
16 排気風路
16a 排気風路
16b 排気風路
16c 排気風路
17 給気風路
17a 給気風路
17b 給気風路
17c 給気風路
20 第一辺
21 端部開口部
21a 端部開口部
21b 端部開口部
21c 端部開口部
22 第二辺
23 上側突起部
23a 上側突起部
23b 上側突起部
23c 上側突起部
24 下側突起部
24a 下側突起部
24b 下側突起部
24c 下側突起部
25 外周枠体
26 リブ
26a リブ
26b リブ
26c リブ
27 枠体固定棒
28 貫通孔
29 凸接続部
29a 凸接続部
29b 凸接続部
29c 凸接続部
30 凹接続部
30a 凹接続部
30b 凹接続部
30c 凹接続部
33 二酸化炭素分離膜
36 外気風路
37 内気風路
101 熱交換素子
102 熱交換素子単体
103 機能紙
104 リブ
105 紙紐
106 ホットメルト樹脂
107 空気流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12