(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182935
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】プログラム、記録媒体、及び成形機
(51)【国際特許分類】
B22D 17/32 20060101AFI20231220BHJP
B29C 45/77 20060101ALI20231220BHJP
B29C 45/26 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
B22D17/32 F
B29C45/77
B29C45/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096207
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】芝浦機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】三田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 俊治
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AP07
4F202AP11
4F202AP13
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK06
4F206AP07
4F206AP11
4F206AP13
4F206JA07
4F206JF01
4F206JL02
4F206JM04
4F206JN11
4F206JP13
4F206JQ31
4F206JQ81
(57)【要約】
【課題】成形機の鋳造条件を精度良く算出することが可能なプログラムを提供する。
【解決手段】実施形態のプログラムは、第1の成形機の第1の機械特性、及び、第1の射出プランジャチップ断面積と第1のゲート断面積を含む金型特性に基づき、P-Q
2線図の第1のマシンラインを算出する手順と、射出プランジャチップ断面積をゲート断面積で除した値であるゲート比とゲート流出係数との相関関係式を記憶装置から呼び出す手順と、金型特性に基づき第1のゲート比を算出する手順と、第1のゲート比と相関関係式から第1のゲート流出係数を算出する手順と、第1のゲート流出係数と金型特性に基づき、P-Q
2線図の第1のダイラインを算出する手順と、第1のマシンラインと第1のダイラインの交点位置座標から第1の射出速度を算出する手順と、をコンピュータに実行させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の成形機の第1の機械特性、及び、第1の射出プランジャチップ断面積と第1のゲート断面積を含む金型特性に基づき、P-Q2線図の第1のマシンラインを算出する手順と、
射出プランジャチップ断面積をゲート断面積で除した値であるゲート比とゲート流出係数との相関関係式を記憶装置から呼び出す手順と、
前記金型特性に基づき第1のゲート比を算出する手順と、
前記第1のゲート比と前記相関関係式から第1のゲート流出係数を算出する手順と、
前記第1のゲート流出係数と前記金型特性に基づき、前記P-Q2線図の第1のダイラインを算出する手順と、
前記第1のマシンラインと前記第1のダイラインの交点位置座標から第1の射出速度を算出する手順と、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項2】
第2の成形機の第2の機械特性及び前記金型特性に基づき、P-Q2線図の第2のマシンラインを算出する手順と、
前記第2のマシンラインと前記第1のダイラインの交点位置座標から第2の射出速度を算出する手順と、
を更に備える請求項1記載のプログラム。
【請求項3】
前記記憶装置に記憶された目標射出速度を呼び出す手順と、
前記目標射出速度と前記第1の射出速度とを比較する手順と、
を更に備える請求項1記載のプログラム。
【請求項4】
前記記憶装置に記憶された目標射出速度を呼び出す手順と、
前記目標射出速度と前記第1の射出速度とを比較する手順と、
前記目標射出速度と前記第2の射出速度とを比較する手順と、
を更に備える請求項2記載のプログラム。
【請求項5】
前記P-Q2線図を表示装置に表示させる手順を、を更に備える請求項1又は請求項2記載のプログラム。
【請求項6】
前記第1の機械特性及び前記金型特性に基づき、第1の鋳造圧力を算出する手順を、更に備える請求項1記載のプログラム。
【請求項7】
前記第1の機械特性及び前記金型特性に基づき、第1の鋳造圧力を算出する手順と、
前記第2の機械特性及び前記金型特性に基づき、第2の鋳造圧力を算出する手順と、
を更に備える請求項2記載のプログラム。
【請求項8】
前記記憶装置に記憶された目標鋳造圧力を呼び出す手順と、
前記第1の機械特性及び前記目標鋳造圧力に基づき、前記第1の成形機において使用可能な第1の射出プランジャチップ径範囲を算出する手順と、
を更に備える請求項1記載のプログラム。
【請求項9】
前記記憶装置に記憶された目標鋳造圧力を呼び出す手順と、
前記第1の機械特性及び前記目標鋳造圧力に基づき、前記第1の成形機において使用可能な第1の射出プランジャチップ径範囲を算出する手順と、
前記第2の機械特性及び前記目標鋳造圧力に基づき、前記第2の成形機において使用可能な第2の射出プランジャチップ径範囲を算出する手順と、
を更に備える請求項2記載のプログラム。
【請求項10】
前記第1の機械特性及び前記金型特性に基づき、前記第1の成形機において設定可能な第1の鋳造圧力範囲を算出する手順と、
を更に備える請求項1記載のプログラム。
【請求項11】
前記第1の機械特性及び前記金型特性に基づき、前記第1の成形機において設定可能な第1の鋳造圧力範囲を算出する手順と、
前記第2の機械特性及び前記金型特性に基づき、前記第2の成形機において設定可能な第2の鋳造圧力範囲を算出する手順と、
を更に備える請求項2記載のプログラム。
【請求項12】
請求項1又は請求項2記載のプログラムが記録された記録媒体。
【請求項13】
請求項1又は請求項2記載のプログラムを備える成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形機の鋳造条件を算出するプログラム、記録媒体、及び成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
成形機の一例であるダイカストマシンは、型締装置を用いて型締めされた金型内のキャビティ(空洞部)に、射出装置を用いて溶湯を充填することで、製品(ダイカスト品)を製造する。
【0003】
特定の製品を製造する際に、当該製品の製造に適したダイカストマシンを、異なる性能や特性を有する複数の機種の中から選定する場合、選定者の知識や経験に頼る部分が多い。選定者の知識や経験に頼らずとも、適正な機種を選定できるようにするために、ダイカストマシンの機械特性や金型特性から、精度良く鋳造条件を算出できることが望まれる。
【0004】
特許文献1には、ゲート流出係数を用いて予測ゲート断面積を算出し、不良品の発生を予告する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、成形機の鋳造条件を精度良く算出することが可能なプログラム、記録媒体、及び成形機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様のプログラムは、第1の成形機の第1の機械特性、及び、第1の射出プランジャチップ断面積と第1のゲート断面積を含む金型特性に基づき、P-Q2線図の第1のマシンラインを算出する手順と、射出プランジャチップ断面積をゲート断面積で除した値であるゲート比とゲート流出係数との相関関係式を記憶装置から呼び出す手順と、前記金型特性に基づき第1のゲート比を算出する手順と、前記第1のゲート比と前記相関関係式から第1のゲート流出係数を算出する手順と、前記第1のゲート流出係数と前記金型特性に基づき、前記P-Q2線図の第1のダイラインを算出する手順と、前記第1のマシンラインと前記第1のダイラインの交点位置座標から第1の射出速度を算出する手順と、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0008】
上記態様のプログラムにおいて、第2の成形機の第2の機械特性及び前記金型特性に基づき、P-Q2線図の第2のマシンラインを算出する手順と、前記第2のマシンラインと前記第1のダイラインの交点位置座標から第2の射出速度を算出する手順と、を更に備えることが好ましい。
【0009】
上記態様のプログラムにおいて、前記記憶装置に記憶された目標射出速度を呼び出す手順と、前記目標射出速度と前記第1の射出速度とを比較する手順と、を更に備えることが好ましい。
【0010】
上記態様のプログラムにおいて、前記記憶装置に記憶された目標射出速度を呼び出す手順と、前記目標射出速度と前記第1の射出速度とを比較する手順と、前記目標射出速度と前記第2の射出速度とを比較する手順と、を更に備えることが好ましい。
【0011】
上記態様のプログラムにおいて、前記P-Q2線図を表示装置に表示させる手順を、を更に備えることが好ましい。
【0012】
上記態様のプログラムにおいて、前記第1の機械特性及び前記金型特性に基づき、第1の鋳造圧力を算出する手順を、更に備えることが好ましい。
【0013】
上記態様のプログラムにおいて、前記第1の機械特性及び前記金型特性に基づき、第1の鋳造圧力を算出する手順と、前記第2の機械特性及び前記金型特性に基づき、第2の鋳造圧力を算出する手順と、を更に備えることが好ましい。
【0014】
上記態様のプログラムにおいて、前記記憶装置に記憶された目標鋳造圧力を呼び出す手順と、前記第1の機械特性及び前記目標鋳造圧力に基づき、前記第1の成形機において使用可能な第1の射出プランジャチップ径範囲を算出する手順と、を更に備えることが好ましい。
【0015】
上記態様のプログラムにおいて、前記記憶装置に記憶された目標鋳造圧力を呼び出す手順と、前記第1の機械特性及び前記目標鋳造圧力に基づき、前記第1の成形機において使用可能な第1の射出プランジャチップ径範囲を算出する手順と、前記第2の機械特性及び前記目標鋳造圧力に基づき、前記第2の成形機において使用可能な第2の射出プランジャチップ径範囲を算出する手順と、を更に備えることが好ましい。
【0016】
上記態様のプログラムにおいて、前記第1の機械特性及び前記金型特性に基づき、前記第1の成形機において設定可能な第1の鋳造圧力範囲を算出する手順と、を更に備えることが好ましい。
【0017】
上記態様のプログラムにおいて、前記第1の機械特性及び前記金型特性に基づき、前記第1の成形機において設定可能な第1の鋳造圧力範囲を算出する手順と、前記第2の機械特性及び前記金型特性に基づき、前記第2の成形機において設定可能な第2の鋳造圧力範囲を算出する手順と、を更に備えることが好ましい。
【0018】
本発明の一態様の記録媒体は、上記態様のプログラムが記録された記録媒体。
【0019】
本発明の一態様の成形機は、上記態様のプログラムを備える成形機。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、成形機の鋳造条件を精度良く算出することが可能なプログラム、記録媒体、及び成形機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1の実施形態のプログラムを実行するコンピュータのブロック図。
【
図2】第1の実施形態のゲート比とゲート流出係数との相関関係式の一例を示す図。
【
図3】第1の実施形態の表示装置に表示される画面の一例を示す図。
【
図4】第1の実施形態の表示装置に表示される画面の一例を示す図。
【
図5】第1の実施形態の表示装置に表示される画面の一例を示す図。
【
図6】第1の実施形態の表示装置に表示される画面の一例を示す図。
【
図7】第1の実施形態の表示装置に表示される画面の一例を示す図。
【
図8】第2の実施形態のプログラムを実行するコンピュータのブロック図。
【
図9】第3の実施形態の成形機の全体構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
第1の実施形態のプログラムは、第1の成形機の第1の機械特性、及び、第1の射出プランジャチップ断面積と第1のゲート断面積を含む金型特性に基づき、P-Q2線図の第1のマシンラインを算出する手順と、射出プランジャチップ断面積をゲート断面積で除した値であるゲート比とゲート流出係数との相関関係式を記憶装置から呼び出す手順と、金型特性に基づき第1のゲート比を算出する手順と、第1のゲート比と相関関係式から第1のゲート流出係数を算出する手順と、第1のゲート流出係数と金型特性に基づき、P-Q2線図の第1のダイラインを算出する手順と、第1のマシンラインと第1のダイラインの交点位置座標から第1の射出速度を算出する手順と、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0024】
また、第1の実施形態の記録媒体は、上記プログラムが記録された記録媒体である。
【0025】
図1は、第1の実施形態のプログラムを実行するコンピュータのブロック図である。第1の実施形態のコンピュータは、パーソナルコンピュータ100である。第1の実施形態のプログラムは、ダイカストマシン(成形機)の機種選定サポートプログラムである。第1の実施形態のプログラムは、パーソナルコンピュータ100にダイカストマシンの機種選定サポートのための手順を実行させる。
【0026】
パーソナルコンピュータ100は、入力装置10、記憶装置12、演算装置14、及び表示装置16を備える。演算装置14は、鋳造圧力算出部14a、射出プランジャチップ径範囲算出部14b、鋳造圧力範囲算出部14c、P-Q2線図作成部14d、射出速度算出部14e、及び比較判定部14fを含む。
【0027】
入力装置10は、パーソナルコンピュータ100に各種の情報やデータを入力する機能を有する。入力装置10は、例えば、キーボード、タッチパネル、又はLANポートやUSBポート等のハードウェアインターフェースである。
【0028】
入力装置10から、例えば、ダイカストマシンの機械特性や、ダイカストマシンで使用される金型の金型特性が入力される。入力装置10から、入力されるダイカストマシンの機械特性は、例えば、ダイカストマシンの型締力、充填力、射出力、アキュムレータ圧力を含む。また、入力装置10から、入力される金型特性は、例えば、射出プランジャチップ径(以下、単にチップ径とも記述)、ゲート断面積、投影面積を含む。
【0029】
また、入力装置10から、例えば、ゲート比とゲート流出係数との相関関係式が入力される。また、入力装置10から、例えば、溶湯密度、ダイカストマシンの目標射出速度、目標鋳造圧力が入力される。
【0030】
記憶装置12は、入力装置10から入力された各種の情報やデータを記憶する機能を有する。また、記憶装置12は、演算装置14で実行された演算結果を記憶する機能を有する。
【0031】
記憶装置12は、例えば、入力装置10から入力されたダイカストマシンの機械特性や、金型の金型特性を記憶する。また、記憶装置12は、例えば、入力装置10から入力されたゲート比とゲート流出係数との相関関係式を記憶する。また、記憶装置12は、例えば、入力装置10から入力された溶湯密度、ダイカストマシンの目標射出速度、目標鋳造圧力を記憶する。
【0032】
また、記憶装置12は、第1の実施形態のダイカストマシンの機種選定サポートプログラムを記憶する機能を有する。記憶装置12は、第1の実施形態のプログラムが記録された記録媒体の一例である。
【0033】
記憶装置12は、例えば、半導体メモリ又はハードディスクである。なお、第1の実施形態のプログラムが記録された記録媒体は、例えば、データ処理プログラムが記憶されたコンパクトディスク(CD)やデジタル・ヴァーサタイル・ディスク(DVD)であっても構わない。
【0034】
演算装置14は、各種の演算を行う機能を有する。演算装置14は、例えば、電子回路である。演算装置14は、例えば、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで構成される。演算装置14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、半導体メモリ、及び半導体メモリに記憶された制御プログラムを含む。
【0035】
鋳造圧力算出部14aは、特定の金型においてダイカストマシンが実現可能な最大鋳造圧力を算出する機能を有する。最大鋳造圧力は、例えば、公知の計算式により、記憶装置12に記憶されたダイカストマシンの型締力と金型の投影面積から算出する。
【0036】
鋳造圧力算出部14aは、例えば、算出された最大鋳造圧力を表示装置16に表示させる機能を有する。
【0037】
射出プランジャチップ径範囲算出部14bは、ダイカストマシンが実現可能な射出プランジャチップ径の範囲を算出する機能を有する。射出プランジャチップ径の範囲は、例えば、公知の計算式により、記憶装置12に記憶されたダイカストマシンの射出力又は充填力、及び、目標鋳造圧力から算出する。
【0038】
射出プランジャチップ径範囲算出部14bは、例えば、算出された射出プランジャチップ径範囲を表示装置16に表示させる機能を有する。
【0039】
鋳造圧力範囲算出部14cは、ダイカストマシンが実現可能な鋳造圧力の範囲を算出する機能を有する。鋳造圧力の範囲は、例えば、公知の計算式により、記憶装置12に記憶されたダイカストマシンの射出力又は充填力、及び、射出プランジャチップ径から算出する。
【0040】
鋳造圧力範囲算出部14cは、例えば、算出された鋳造圧力範囲を表示装置16に表示させる機能を有する。
【0041】
P-Q2線図作成部14dは、ダイカストマシンのP-Q2線図を作成する機能を有する。なお、P-Q2線図におけるPは、流動時の溶湯圧力である。また、P-Q2線図におけるQは、溶湯を充填中の単位時間当たりの溶湯流量である。
【0042】
P-Q2線図は、例えば、公知の計算式を用いて、記憶装置12に記憶された機械特性及び金型特性から作成する。P-Q2線図作成部14dは、P-Q2線図のマシンライン及びダイラインを算出する。
【0043】
P-Q2線図において、P軸の切片をP0、Q2軸の切片をQ0
2とした場合に、マシンラインは下記(式1)、ダイラインは下記(式2)で表される。
P=P0(1-Q2/Q0
2) ・・・(式1)
P=ρ(Q/CdAg)2/2 ・・・(式2)
ρ:溶湯密度、Cd:ゲート流出係数、Ag:ゲート断面積
【0044】
なお、P軸の切片をP0は、射出プランジャ内が密閉された状態、すなわちゲートが全くなく溶湯がキャビティに流入しない状態でのダイカストマシンの最大圧力である。P0は、ダイカストマシンの充填力に比例し、チップ径の二乗に反比例する。
【0045】
また、Q0は、射出プランジャ前面に全く抵抗(圧力)がない状態で、射出プランジャが出せる最高速度での最大溶湯流量である。Q0は、射出速度及びチップ径の二乗に比例する。言い換えれば、Q0は、射出速度及びチップ断面積に比例する。
【0046】
(式2)を用いて、P-Q2線図作成部14dのダイラインを算出する。ダイラインの算出は、(式2)に示すように、ゲート流出係数Cdとゲート断面積Agに基づく。なお、ゲート流出係数はゲート流量係数とも称される。
【0047】
P-Q2線図作成部14dは、射出プランジャチップ断面積(チップ断面積)をゲート断面積Agで除した値であるゲート比とゲート流出係数Cdとの相関関係式から、ゲート流出係数Cdを算出する。P-Q2線図作成部14dは、ゲート流出係数Cdの算出に先立ち、射出プランジャチップ断面積をゲート断面積Agで除してゲート比を求める。
【0048】
P-Q2線図作成部14dは、例えば、作成したP-Q2線図を表示装置16に表示させる機能を有する。
【0049】
図2は、第1の実施形態のゲート比とゲート流出係数との相関関係式の一例を示す図である。横軸をゲート比、縦軸をゲート流出係数として、複数の実測値をプロットし、それらの実測値に基づく近似式を求め、ゲート比とゲート流出係数との相関関係式とする。
【0050】
射出速度算出部14eは、ダイカストマシンの射出速度を算出する機能を有する。射出速度算出部14eは、P-Q2線図のマシンラインとダイラインの交点位置座標から射出速度を算出する。交点位置座標のQ2座標は、射出速度及びチップ断面積に比例する。このため、記憶装置12に記憶されたチップ径から求められるチップ断面積を用いて、射出速度が算出される。
【0051】
比較判定部14fは、例えば、算出された最大鋳造圧力、射出プランジャチップ径範囲、鋳造圧力範囲、及び射出速度を、それぞれの目標値と比較し、OK又はNGを判定する機能を有する。比較判定部14fは、例えば、比較結果及び判定結果を、表示装置16に表示させる機能を有する。
【0052】
表示装置16は、演算装置14による演算結果や、演算装置14による比較結果又は判定結果を、表示する機能を有する。表示装置16は、例えば、液晶ディスプレイである。
【0053】
表示装置16は、例えば、入力装置10の機能を兼ね備えていても構わない。表示装置16は、例えば、グラフィカルユーザインターフェイス(GUI)である。
【0054】
次に、第1の実施形態の機種選定サポートプログラムで実行される処理手順の一例を説明する。
【0055】
パーソナルコンピュータ100の記憶装置12には、第1の実施形態の機種選定サポートプログラムがインストールされている。
【0056】
また、パーソナルコンピュータ100の記憶装置12には、複数の機種のダイカストマシンの機械特性を記憶装置12に記憶される。複数の機種のダイカストマシンの機械特性は、例えば、サーバマシンからダウンロードされる。以下、機種A(第1の成形機)、機種B(第2の成形機)、機種C(第3の成形機)、及び機種D(第4の成形機)の4つの機種の中から機種選定を行う場合を例に説明する。
【0057】
例えば、機種Aの機械特性が第1の機械特性、機種Bの機械特性が第2の機械特性、機種Cの機械特性が第3の機械特性、機種Dの機械特性が第4の機械特性である。
【0058】
パーソナルコンピュータ100の記憶装置12には、あらかじめ、ゲート比とゲート流出係数との相関関係式が記憶されている。
【0059】
最初に、ユーザは入力装置10から、特定の金型(以下、金型Xと称する)の金型情報を入力し、記憶装置12に記憶させる。入力される金型特性は、例えば、チップ径、ゲート断面積、投影面積を含む。また、ユーザは入力装置10から、溶湯密度、ダイカストマシンの目標射出速度、目標鋳造圧力を入力し、記憶装置12に記憶させる。
【0060】
次に、例えば第1の処理として、金型Xを使用した場合に、4つのダイカストマシンのそれぞれが実現可能な最大鋳造圧力を算出する。例えば、第1の機械特性及び金型特性に基づき、機種Aの第1の最大鋳造圧力が算出される。また、例えば、第2の機械特性及び金型特性に基づき、機種Bの第2の最大鋳造圧力が算出される。また、例えば、第3の機械特性及び金型特性に基づき、機種Cの第3の最大鋳造圧力が算出される。また、例えば、第4の機械特性及び金型特性に基づき、機種Dの第4の最大鋳造圧力が算出される。
【0061】
第1の処理は、鋳造圧力算出部14aによって実行される。
【0062】
図3は、第1の実施形態の表示装置に表示される画面の一例を示す図である。
図3に示すように、算出された第1ないし第4の最大鋳造圧力は、表示装置16の画面に表示される。
【0063】
表示装置16の画面には、例えば、目標鋳造圧力も表示される。
図3では、目標鋳造圧力が60MPaである場合を示す。
【0064】
次に、例えば第2の処理として、4つのダイカストマシンのそれぞれが実現可能な射出プランジャチップ径範囲を算出する。例えば、第1の機械特性及び目標鋳造圧力に基づき、機種Aの第1の射出プランジャチップ径範囲が算出される。また、例えば、第2の機械特性及び目標鋳造圧力に基づき、機種Bの第2の射出プランジャチップ径範囲が算出される。また、例えば、第3の機械特性及び目標鋳造圧力に基づき、機種Cの第3の射出プランジャチップ径範囲が算出される。また、例えば、第4の機械特性及び目標鋳造圧力に基づき、機種Dの第4の射出プランジャチップ径範囲が算出される。
【0065】
第2の処理は、射出プランジャチップ径範囲算出部14bによって実行される。第2の処理に先立ち、記憶装置12に記憶された機械特性及び目標鋳造圧力が呼び出される。
【0066】
図4は、第1の実施形態の表示装置に表示される画面の一例を示す図である。
図4に示すように、算出された第1ないし第4の射出プランジャチップ径範囲(チップ径範囲)は、表示装置16の画面に表示される。
【0067】
表示装置16の画面には、例えば、金型Xのチップ径も表示される。
図4では、金型Xのチップ径が80mmである場合を示す。
【0068】
次に、例えば第3の処理として、金型Xを使用した場合に、4つのダイカストマシンのそれぞれが実現可能な鋳造圧力範囲を算出する。例えば、第1の機械特性及び金型特性に基づき、機種Aの第1の鋳造圧力範囲が算出される。また、例えば、第2の機械特性及び金型特性に基づき、機種Bの第2の鋳造圧力範囲が算出される。また、例えば、第3の機械特性及び金型特性に基づき、機種Cの第3の鋳造圧力範囲が算出される。また、例えば、第4の機械特性及び金型特性に基づき、機種Dの第4の鋳造圧力範囲が算出される。
【0069】
第3の処理は、鋳造圧力範囲算出部14cによって実行される。第3の処理に先立ち、記憶装置12に記憶された機械特性及び金型特性が呼び出される。
【0070】
図5は、第1の実施形態の表示装置に表示される画面の一例を示す図である。
図5に示すように、算出された第1ないし第4の最大鋳造圧力は、表示装置16の画面に表示される。
【0071】
表示装置16の画面には、例えば、目標鋳造圧力も表示される。
図5では、目標鋳造圧力が60MPaである場合を示す。
【0072】
次に、例えば第4の処理として、金型Xを使用した場合の、4つのダイカストマシンのP-Q2線図を作成する。P-Q2線図の作成にあたって、4つのダイカストマシンそれぞれのマシンラインを算出する。
【0073】
例えば、第1の機械特性及び金型特性に基づき、機種Aの第1のマシンラインが算出される。また、例えば、第2の機械特性及び金型特性に基づき、機種Bの第2のマシンラインが算出される。また、例えば、第3の機械特性及び金型特性に基づき、機種Cの第3のマシンラインが算出される。また、例えば、第4の機械特性及び金型特性に基づき、機種Dの第4のマシンラインが算出される。
【0074】
また、金型特性に基づき、金型Xの第1のゲート比を算出する。そして、算出された金型Xの第1のゲート比と、記憶装置12に記憶されたゲート比とゲート流出係数との相関関係式から、第1のゲート流出係数を算出する。第1のゲート流出係数の算出前に、記憶装置12に記憶されたゲート比とゲート流出係数との相関関係式が呼び出される。
【0075】
得られた第1のゲート流出係数と金型特性に基づき、P-Q2線図の第1のダイラインを算出する。作成されたP-Q2線図の各マシンラインと第1のダイラインの交点位置座標から各機種の射出速度を算出する。
【0076】
第4の処理では、例えば、第1のマシンラインと第1のダイラインの交点位置座標から機種Aの第1の射出速度を算出する。また、例えば、第2のマシンラインと第1のダイラインの交点位置座標から機種Bの第2の射出速度を算出する。また、例えば、第3のマシンラインと第1のダイラインの交点位置座標から機種Cの第3の射出速度を算出する。また、例えば、第4のマシンラインと第1のダイラインの交点位置座標から機種Dの第4の射出速度を算出する。
【0077】
第4の処理は、P-Q2線図作成部14d及び射出速度算出部14eによって実行される。第4の処理に先立ち、記憶装置12に記憶された機械特性及び金型特性が呼び出される。
【0078】
図6は、第1の実施形態の表示装置に表示される画面の一例を示す図である。
図6に示すように、算出された第1ないし第4のマシンライン及び第1のダイラインは、表示装置16の画面に表示される。表示装置16の画面には、例えば、算出された機種Aないし機種Dの第1ないし第4の射出速度も表示される。
【0079】
次に、例えば第5の処理として、第1の処理ないし第4の処理の算出結果と目標値とを比較する処理を行う。例えば、第1の処理で算出された第1の最大鋳造圧力ないし第4の最大鋳造圧力と、目標鋳造圧力とを比較する。そして、例えば、第1の最大鋳造圧力ないし第4の最大鋳造圧力が、目標鋳造圧力より大きいか否かを判定する。
【0080】
また、例えば、第2の処理で算出された第1の射出プランジャチップ径範囲ないし第4の射出プランジャチップ径範囲と、目標鋳造圧力とを比較する。そして、例えば、金型情報に含まれるチップ径範囲が、第1の射出プランジャチップ径範囲ないし第4の射出プランジャチップ径範囲の中に納まるか否かを判定する。
【0081】
また、例えば、第3の処理で算出された第1の鋳造圧力範囲ないし第4の鋳造圧力範囲と、目標鋳造圧力とを比較する。そして、例えば、目標鋳造圧力が、第1の鋳造圧力範囲ないし第4の鋳造圧力範囲の中に納まるか否かを判定する。
【0082】
また、例えば、第4の処理で算出された第1の射出速度ないし第4の射出速度と、目標射出速度とを比較する。そして、例えば、第1の射出速度ないし第4の射出速度が、目標射出速度より大きいか否かを判定する。
【0083】
第5の処理は、比較判定部14fによって実行される。
【0084】
図7は、第1の実施形態の表示装置に表示される画面の一例を示す図である。
図7に示すように、第1の処理ないし第4の処理の算出結果と目標値とを比較し判定した結果が、一覧表として、表示装置16の画面に表示される。
【0085】
例えば、
図7に表示された比較判定結果に基づき、ユーザはダイカストマシンの機種選定を行う。例えば、総合評価でOKとなった機種Cが選定される。
【0086】
次に、第1の実施形態のプログラム及び記録媒体の作用及び効果について説明する。
【0087】
特定の製品を特定の金型(以下、金型Xと称する)を用いて製造しようとする場合、異なる性能や特性を有する複数の機種の中から適切なダイカストマシンを選定する必要がある。ダイカストマシンの選定は、選定者の知識や経験に頼る部分が多い。したがって、ダイカストマシンの選定が適切に行われなかったり、選定に時間を要したりするおそれがある。このため、選定者の知識や経験に頼らずとも、適正な機種を選定ができることが望まれる。
【0088】
第1の実施形態の機種選定サポートプログラムは、パーソナルコンピュータ100を用いて、ユーザがダイカストマシンの機種選定を行うことをサポートする。第1の実施形態の機種選定サポートプログラムは、特定の金型Xの金型情報及び複数の機種の機械特性から、特定の金型Xを用いた場合のそれぞれの機種の鋳造条件を精度良く算出することが可能となる。そして、算出された鋳造条件と目標値とを比較し判定することで、ユーザが知識や経験に頼らず、特定の金型Xに応じた適正な機種を、容易かつ迅速に選定することが可能となる。
【0089】
発明者の検討により、ゲート比とゲート流出係数との間には、
図2に示すような相関関係が存在することが見いだされた。第1の実施形態の機種選定サポートプログラムは、P-Q
2線図のダイラインを算出する際に、あらかじめ実測値から求められたゲート比とゲート流出係数との相関関係式を用いる。したがって、ゲート比に応じた適正なゲート流出係数を選択できる。よって、P-Q
2線図のダイラインの算出精度を向上させることが可能となる。
【0090】
P-Q2線図のダイラインの算出精度が向上することで、P-Q2線図を用いた鋳造条件の算出精度が向上する。例えば、P-Q2線図を用いた射出速度の算出精度が向上する。したがって、機種選定を適切に行うことが可能となる。
【0091】
以上、第1の実施形態のプログラム及び記録媒体によれば、ダイカストマシンの機種選定を容易かつ迅速に行うことが可能となる。また、第1の実施形態のプログラム及び記録媒体によれば、ダイカストマシンの鋳造条件を精度良く算出することが可能となる。よって、第1の実施形態のプログラム及び記録媒体によれば、ダイカストマシンの機種選定を適切に行うことが可能となる。
【0092】
(第2の実施形態)
第2の実施形態のプログラムは、ダイカストマシンの鋳造条件シミュレーションプログラムである点で、第1の実施形態のプログラムと異なる。また、第2の実施形態の記録媒体は、第2の実施形態のプログラムが記録された記録媒体である。以下、第1の実施形態と重複する内容については一部記述を省略する。
【0093】
図8は、第2の実施形態のプログラムを実行するコンピュータのブロック図である。第2の実施形態のコンピュータは、パーソナルコンピュータ200である。第2の実施形態のプログラムは、ダイカストマシン(成形機)の鋳造条件シミュレーションプログラムである。第2の実施形態のプログラムは、パーソナルコンピュータ200にダイカストマシンの鋳造条件シミュレーションのための手順を実行させる。
【0094】
パーソナルコンピュータ200は、入力装置10、記憶装置12、演算装置14、及び表示装置16を備える。演算装置14は、P-Q2線図作成部14d及び射出速度算出部14eを含む。
【0095】
パーソナルコンピュータ200は、例えば、記憶装置12に記憶された機械特性と、入力装置10から入力される金型情報等に基づき、ダイカストマシンの鋳造条件をシミュレーションする機能を備える。
【0096】
ダイカストマシンの鋳造条件のシミュレーションは、第2の実施形態の鋳造条件シミュレーションプログラムが演算装置14に実行させる。鋳造条件シミュレーションプログラムは、例えば、記憶装置12に記憶される。
【0097】
パーソナルコンピュータ200は、P-Q2線図作成部14dによって、特定のダイカストマシンのP-Q2線図を作成する。また、パーソナルコンピュータ200は、射出速度算出部14eによって、特定のダイカストマシンの射出速度を算出する。作成されたP-Q2線図や、射出速度は、例えば、表示装置16に表示される。
【0098】
第2の実施形態の鋳造条件シミュレーションプログラムは、第1の実施形態と同様、P-Q2線図のダイラインを算出する際に、あらかじめ実測値から求められたゲート比とゲート流出係数との相関関係式を用いる。したがって、ゲート比に応じた適正なゲート流出係数を選択できる。よって、P-Q2線図のダイラインの作成精度を向上させることが可能となる。
【0099】
P-Q2線図のダイラインの作成精度が向上することで、P-Q2線図を用いた鋳造条件の算出精度が向上する。例えば、P-Q2線図を用いた射出速度の算出精度が向上する。
【0100】
以上、第2の実施形態のプログラム及び記録媒体によれば、ダイカストマシンの鋳造条件を精度良くシミュレーションすることが可能となる。
【0101】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の成形機は、第2の実施形態のプログラムを備える成形機である。以下、第2の実施形態と重複する内容については、記述を省略する。
【0102】
図9は、第3の実施形態の成形機の全体構成を示す模式図である。
図9は、一部に断面図を含む側面図である。ダイカストマシン300は、コールドチャンバ式のダイカストマシンである。
【0103】
ダイカストマシン300は、
図9に示すように、制御装置11、ディスプレイ15、固定金型60、可動金型62、型締装置70、押出装置72、射出装置74、及び油圧回路78を備える。ダイカストマシン300は、ベース82、固定ダイプレート84、可動ダイプレート86、リンクハウジング88、及びタイバー90を備える。射出装置74は、プランジャチップ74aを含む。
【0104】
ダイカストマシン300は、固定金型60、及び、可動金型62で構成される金型の内部(
図9中のキャビティCa)に液状金属である溶湯(溶融材料)を射出して充填する。そして、溶湯を金型内で凝固させることにより、ダイカスト品を製造する。金属は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛合金、又は、マグネシウム合金である。
【0105】
金型は、固定金型60及び可動金型62を含む。金型は、型締装置70と射出装置74との間に設けられる。
【0106】
固定ダイプレート84はベース82の上に固定される。固定ダイプレート84は、固定金型60を保持することが可能である。
【0107】
可動ダイプレート86は、ベース82の上に型開閉方向に移動可能に設けられる。型開閉方向とは、
図9に示す型開方向及び型閉方向の両方向を意味する。可動ダイプレート86は、可動金型62を固定金型60に対向して保持することが可能である。
【0108】
リンクハウジング88は、ベース82の上に設けられる。リンクハウジング88には、型締装置70を構成するリンク機構の一端が固定される。
【0109】
固定ダイプレート84とリンクハウジング88は、タイバー90により固定される。タイバー90は、固定金型60と可動金型62に型締力が加えられている間は、型締力を支える。
【0110】
型締装置70は、金型の開閉及び型締めを行う機能を有する。射出装置74は、金型のキャビティCaに溶湯を射出し、溶湯を加圧する機能を有する。押出装置72は、製造されたダイカスト品を金型から押し出す機能を有する。
【0111】
油圧回路78は、例えば、型締装置70、押出装置72、及び、射出装置74を油圧により駆動する機能を有する。
【0112】
制御装置11は、例えば、型締装置70、押出装置72、及び射出装置74を制御する機能を有する。制御装置11は、ダイカストマシン300による成形動作を制御する。
【0113】
制御装置11は、各種の演算を行って、ダイカストマシン300の各部に制御指令を出力する機能を有する。制御装置11は、例えば、成形条件等を記憶する機能を有する。
【0114】
制御装置11は、図示しない第2の実施形態の記憶装置12及び演算装置14を含む。記憶装置12には、第2の実施形態の鋳造条件シミュレーションプログラムが記憶されている。演算装置14によって、鋳造条件シミュレーションプログラムが実行される。
【0115】
制御装置11は、例えば、電子回路である。制御装置11は、例えば、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで構成される。制御装置11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、半導体メモリ、及び半導体メモリに記憶された制御プログラムを含む。
【0116】
ディスプレイ15は、グラフィカルユーザインターフェイス(GUI)である。例えば、ディスプレイ15を介してオペレータは、ダイカストマシン300の成形条件の設定及び確認を行うことが可能である。ディスプレイ15は、例えば、第2の実施形態の入力装置10及び表示装置16として機能する。
【0117】
ダイカストマシン300の、オペレータは、例えば、ディスプレイ15から金型条件等を入力することで、ダイカストマシン300の鋳造条件のシミュレーションを行うことが可能となる。
【0118】
以上、第3の実施形態のダイカストマシンによれば、ダイカストマシンの鋳造条件を精度良くシミュレーションすることが可能となる。
【0119】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。実施形態においては、プログラム、記録媒体、及び成形機などで、本発明の説明に直接必要としない部分については記載を省略したが、必要とされる、プログラム、記録媒体、及び成形機などに関わる要素を適宜選択して用いることができる。
【0120】
第1の実施形態においては、機種選定の対象となるダイカストマシンが4種の場合を例に説明したが、機種選定の対象となるダイカストマシンは2種、3種、又は5種以上であっても構わない。
【0121】
第1ないし第3の実施形態においては、成形機がダイカストマシンである場合を例に説明したが、成形機は、例えば、プラスチック製品を製造する射出成形機であっても構わない。
【0122】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての中子駆動装置及び成形機は、本発明の範囲に包含される。本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物の範囲によって定義されるものである。
【符号の説明】
【0123】
10 入力装置
11 制御装置
12 記憶装置
14 演算装置
14a 鋳造圧力算出部
14b 射出プランジャチップ径範囲算出部
14c 鋳造圧力範囲算出部
14d P-Q2線図作成部
14e 射出速度算出部
14f 比較判定部
15 ディスプレイ
16 表示装置
60 固定金型
62 可動金型
70 型締装置
72 押出装置
74 射出装置
74a プランジャチップ
78 油圧回路
82 ベース
84 固定ダイプレート
86 可動ダイプレート
88 リンクハウジング
90 タイバー
100 パーソナルコンピュータ
200 パーソナルコンピュータ
300 ダイカストマシン(成形機)
Ca キャビティ