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特開2023-182945帯電散布ヘッド及びそのノズル組立方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182945
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】帯電散布ヘッド及びそのノズル組立方法
(51)【国際特許分類】
   B05B 5/025 20060101AFI20231220BHJP
   A62C 31/02 20060101ALI20231220BHJP
   B05B 1/12 20060101ALI20231220BHJP
   B01D 47/06 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
B05B5/025 A
A62C31/02
B05B1/12
B01D47/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096239
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】辻 利秀
(72)【発明者】
【氏名】吉田 哲雄
【テーマコード(参考)】
2E189
4D032
4F033
4F034
【Fターム(参考)】
2E189KB00
4D032AC01
4D032BB20
4D032DA10
4F033AA12
4F033BA04
4F033DA01
4F033EA01
4F033LA12
4F033NA01
4F034AA08
4F034BA01
4F034BB12
4F034BB15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】部品点数の増加を抑え、放液量の異なるノズルの選択的な取付を簡単且つ容易に行えるようにする。
【解決手段】帯電散布ヘッドは、帯電液体粒子を散布するために液体粒子を放出し、第1液量ノズルである多水量ノズル50と第2液量ノズルである少水量ノズルの何れかが選択され取り付けられるノズル部と、液体をノズル部に供給する内部流路1410が貫通して形成された水側電極部14と、水側電極部14の流出側に設けられ、ノズル部として放出液量及び形状の異なる多水量ノズル50と少水量ノズルを選択的に取付可能とするノズル取付構造としてのノズル保持部32、多水量ノズル収納部3210及び少水量ノズル収納部1460を備える。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル部から放出された液体粒子を帯電させた帯電液体粒子を散布対象領域へ散布する帯電散布ヘッドであって、
前記ノズル部として放出液量及び形状の異なる第1液量ノズルと第2液量ノズルを選択的に取付可能とするノズル取付構造が設けられたことを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項2】
液体粒子を帯電させた帯電液体粒子を散布対象領域へ散布する帯電散布ヘッドであって、
本体部と、
帯電液体粒子を散布するために液体粒子を放出するノズル部と、
所定の電圧を印加して前記ノズル部から放出された液体粒子を帯電させる場合に一方の電極となり、外部から供給された液体を前記ノズル部に供給する内部流路が貫通して形成された水側電極部と、
前記水側電極部の流出側に設けられ、前記ノズル部として放出液量及び形状の異なる第1液量ノズルと第2液量ノズルを選択的に取付可能とするノズル取付構造と、
を備えたことを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項3】
請求項2記載の帯電散布ヘッドにおいて、
前記ノズル取付構造は、
通し穴が貫通して形成され、前記水側電極部の流出側の端部に取付固定可能なノズル保持部と、
前記ノズル保持部の前記通し穴に形成され、前記第1液量ノズルを収納する第1ノズル収納部と、
前記水側電極部の前記内部流路の流出側に形成され、前記第2液量ノズルを取付固定した状態で収納する第2ノズル収納部と、
を備えたことを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項4】
請求項3記載の帯電散布ヘッドにおいて、
前記ノズル保持部の通し穴は、前記第2液量ノズルが挿通可能なサイズであることを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項5】
請求項3記載の帯電散布ヘッドにおいて、
前記ノズル取付構造は、更に、
前記第1液量ノズルが選択された場合に前記水側電極部の内部流路、前記ノズル保持部の第1ノズル収納部及び前記第1液量ノズルの間、及び前記第2液量ノズルが選択された場合に前記水側電極部の内部流路と前記第2液量ノズルとの間を密閉するシール部材を備えたことを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項6】
請求項3記載の帯電散布ヘッドにおいて、
前記水側電極部は、流出側の端部外周に第1篏合受部と、流出側の内部流路に形成された第2ノズル収納部に第2篏合受部と、を備え、
前記ノズル保持部は、前記通し穴の流入側に前記第1篏合受部に篏合する第1篏合部を備え、流出側に向けて縮径された段付穴として前記第1ノズル収納部を形成し、
前記第1液量ノズルは、前記第1ノズル収納部の前記段付穴に対応して流出側に向けて縮径された段付形状であり、
前記第2液量ノズルは、流入側の端部外周に前記第2篏合受部に篏合する第2篏合部を備えることを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載の帯電散布ヘッドにおいて、
前記第1液量ノズルは、前記第2液量ノズルより放出液量が多いノズルであることを特徴とする帯電散布ヘッド。
【請求項8】
帯電液体粒子を散布対象領域へ散布するために液体粒子を放出するノズル部に、放出液量及び形状の異なる第1液量ノズル又は第2液量ノズルを選択的に取付可能とするノズル取付構造を備えた帯電散布ヘッドのノズル組立方法であって、
前記ノズル取付構造は、
所定の電圧を印加して前記ノズル部から放出された液体粒子を帯電させる場合に一方の電極となり、外部から供給された液体を前記ノズル部に供給する内部流路が貫通して形成された水側電極部の流出側の端部に取付固定可能であり、通し穴が貫通して形成されたノズル保持部と、
前記ノズル保持部の前記通し穴に形成され、前記第1液量ノズルを収納する第1ノズル収納部と、
前記水側電極部の前記内部流路の流出側に形成され、前記第2液量ノズルを取付固定した状態で収納する第2ノズル収納部と、
を備え、
前記第1液量ノズルを選択した場合には、
前記ノズル保持部の前記第1ノズル収納部に前記第1液量ノズルを収納する第1工程と、
前記第1液量ノズルを収納した前記ノズル保持部を、前記水側電極部の流出側の端部に取付固定する第2工程と、
を含み、
前記第2液量ノズルを選択した場合には、
前記水側電極部の前記内部流路の前記第2ノズル収納部に、前記第2液量ノズルを取付固定して収納する第3工程を含むことを特徴とする帯電散布ヘッドのノズル組立方法。
【請求項9】
請求項8記載の帯電散布ヘッドのノズル組立方法において、
前記水側電極部は、流出側の端部外周に第1篏合受部と、流出側の内部流路に形成された第2ノズル収納部に第2篏合受部と、を備え、
前記ノズル保持部は、前記通し穴の流入側に前記第1篏合受部に篏合する第1篏合部を備え、
前記第2液量ノズルは、流入側の端部外周に前記第2篏合受部に篏合する第2篏合部を備え、
前記第2工程は、前記ノズル保持部の第1篏合部を前記水側電極部の第1篏合受部に篏合させることで、前記ノズル保持部を前記水側電極部に取付固定し、
前記第3工程は、前記第2液量ノズルの第2篏合部を前記水側電極部の第2篏合受部に篏合させることで、前記第2液量ノズルを前記第2ノズル収納部に取付固定した状態で収納することを特徴とする帯電散布ヘッドのノズル組立方法。
【請求項10】
請求項8記載の帯電散布ヘッドのノズル組立方法において、
前記第1液量ノズルを選択した場合には、前記第2工程の完了後に前記水側電極部の内部流路、前記ノズル保持部の第1ノズル収納部及び前記第1液量ノズルの間が密閉されるように、前記第1工程で前記第1ノズル収納部にシール部材を介して前記第1液量ノズルを収納し、
前記第2液量ノズルを選択した場合には、前記第3工程の完了後に前記水側電極部の内部流路と第2液量ノズルとの間が密閉されるように、前記第3工程で前記第2ノズル収納部にシール部材を介して前記第2液量ノズルを収納することを特徴とする帯電散布ヘッドのノズル組立方法。
【請求項11】
請求項8記載の帯電散布ヘッドのノズル組立方法において、
前記ノズル保持部の通し穴は、前記第2液量ノズルが挿通可能なサイズであり、
前記第2液量ノズルを選択した場合には、
前記第3工程に続き、前記ノズル保持部の通し穴に前記第2液量ノズルを挿通し、前記ノズル保持部を前記水側電極部に取付固定する第4工程を含むことを特徴とする帯電散布ヘッドのノズル組立方法。
【請求項12】
請求項11記載の帯電散布ヘッドのノズル組立方法であって、
前記第4工程の完了後に前記水側電極部の内部流路、前記ノズル保持部の前記第1ノズル収納部及び前記第2液量ノズルの間が密閉されるように、前記第4工程で前記第1ノズル収納部にシール部材を配置することを特徴とする帯電散布ヘッドのノズル組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体粒子を帯電させて散布する帯電散布ヘッド及びそのノズル組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水等の液体の微粒子を帯電させて散布する帯電散布ヘッドにあっては、平均粒子径が10~300μmの帯電液体粒子を散布させることができ、散布対象区画となる例えば建物等の消火設備に設けられ、火災で発生した煙を散布した帯電液体粒子に電気的に吸着させることで消煙し、また帯電液体粒子が消火対象物に電気的に付着することで消火効率を高めることを可能とする。また、建物の解体現場等において空気中に浮遊した粉塵を帯電液体粒子に電気的に吸着させることで、粉塵を空気中から除去することを可能とする。
【0003】
図16は従来の帯電散布ヘッドの構造を断面図で示している。図16に示すように、帯電散布ヘッド100は、本体部120、水側電極部140、電極連結部160、液体導管部180、本体カバー部200、ノズル部220、誘導電極部240、アーム部260を備える。
【0004】
ここで、図16の説明では、X-Y-Z方向が互いに直交する方向であり、具体的には、Y軸方向を帯電散布ヘッド100を通過する水の流通方向及び上下方向とし、X方向を左右方向とし、Z方向を前後方向とする。また、X方向における+X側を右側、-X側を左側とし、Y方向における+Y側を上側、-Y側を下側とし、Z方向における+Z側を前側、-Z側を後側とする。
【0005】
また、上下方向となるY軸方向は、ヘッド内を通過する水の流通方向となることから、上側となる+Y側を流入側といい、下側となる-Y側を流出側という場合がある。この点は本発明の実施形態となる図1図15におけるX-Y-Z方向においても同様となる。尚、X-Y-Z方向は散布対象領域での帯電散布ヘッド100の取付状態に応じ変わる相対的な方向である。
【0006】
本体部120、液体導管部180、本体カバー部200、ノズル部220及びアーム部260は、例えばポリ塩化ビニル樹脂等の絶縁材質により製造された絶縁体である。水側電極部140及び電極連結部160は金属等の導電材質により製造された導電体である。
【0007】
本体部120の内部にはヘッド軸350方向(上下方向)に電極取付穴121が貫通して形成され、電極取付穴121に流出側から水側電極部140が嵌め込まれ、本体部120の流入側に形成された端子室124を介して本体部120に対して流入側から液体導管部180が嵌め込まれ、液体導管部180に電極連結部160を通して水側電極部140に電極連結部160がねじ込まれることで、水側電極部140を電極取付穴121に取付固定すると共に水側電極部140に液体導管部180を連結固定している。
【0008】
電極連結部160には複数のねじ穴164が設けられ、端子室124の横方向(上下方向に対して直交する方向であり、図16では右方向)に形成された電極コネクタ取付穴127から防水コネクタを介して挿入されたアースケーブルの端子を接続可能としている。また、液体導管部180の上部は本体カバー部200を介して外部に取り出され、外部の給水ポンプ等から水が供給される。
【0009】
本体部102のヘッド軸350方向(上下方向)に沿って配置された水側電極部140の流出側の端部にはノズル保持部230によってノズル部220が設けられ、ノズル部220から平均粒子径が10~300μmの水粒子を放出させる。ノズル部220の流出側の開放空間には、3本のアーム部260により誘導電極部240のリング部243が保持され、ノズル部220から放出された水粒子を帯電させる。誘導電極部240のリング部243は、導電性のある電極芯材を絶縁被覆して形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009-106405号公報
【特許文献2】特開2018-183712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、従来の帯電散布ヘッド100により帯電水粒子を散布するためにノズル部220からの放水量(リットル/分)は、消火設備を備えた建物や解体現場などの散布対象区画によって様々であり、例えば毎分1リットルといった多水量や毎分0.1リットルといった少水量等に必要に応じて放水量が設定される。このため、帯電散布ヘッド100の製造にあっては、放水量が異なる複数のノズル部220を準備し、帯電散布ヘッド100が設けられることになる散布対象区画に対応した放水量のノズル部220が帯電散布ヘッド100に取り付けられることになる。
【0012】
しかしながら、例えば毎分1リットルの放水量となる多水量を放出するためのノズルと、その1/10となる毎分0.1リットルの放水量となる少水量を放出するためのノズルとでは、放水量の違いから同じノズル構造を採用することは困難であり、多水量ノズルと少水量ノズルの構造・形状は異なることとなる。
【0013】
そのため、帯電散布ヘッド100の製造にあっては、構造・形状が異なる多水量ノズルと少水量ノズルに対応したノズル取付構造、具体的にはノズル部220を取り付けるためのノズル保持部230及び水側電極部140の流出側の取付構造は、ノズル部220の放水量に対応して別々に準備され、取り付けるノズル部220に対応して選択されており、ノズル取付構造が共通化できないことからノズル部220に採用するノズルの種類に応じて帯電散布ヘッドの部品点数も増加し、生産管理や組立作業が煩雑となると共に、コストが嵩む要因となっている。
【0014】
本発明は、部品点数の増加を抑え、放液量の異なるノズルの選択的な取付を簡単且つ容易に行える帯電散布ヘッド及びそのノズル組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(帯電散布ヘッド1)
本発明は、ノズル部から放出された液体粒子を帯電させた帯電液体粒子を散布対象領域へ散布する帯電散布ヘッドであって、
ノズル部として放出液量及び形状の異なる第1液量ノズルと第2液量ノズルを選択的に取付可能とするノズル取付構造が設けられたことを特徴とする。
【0016】
(帯電散布ヘッド2)
本発明は、液体粒子を帯電させた帯電液体粒子を散布対象領域へ散布する帯電散布ヘッドであって、
本体部と、
帯電液体粒子を散布するために液体粒子を放出するノズル部と、
所定の電圧を印加してノズル部から放出された液体粒子を帯電させる場合に一方の電極となり、外部から供給された液体をノズル部に供給する内部流路が貫通して形成された水側電極部と、
水側電極部の流出側に設けられ、ノズル部として放出液量及び形状の異なる第1液量ノズルと第2液量ノズルを選択的に取付可能とするノズル取付構造と、
を備えたことを特徴とする。
【0017】
(ノズル取付構造)
ノズル取付構造は、
通し穴が貫通して形成され、水側電極部の流出側の端部に取付固定可能なノズル保持部と、
ノズル保持部の通し穴に形成され、第1液量ノズルを収納する第1ノズル収納部と、
水側電極部の内部流路の流出側に形成され、第2液量ノズルを取付固定した状態で収納する第2ノズル収納部と、
を備える。
【0018】
(ノズル保持部の通し穴)
ノズル保持部の通し穴は、第2液量ノズルが挿通可能なサイズである。
【0019】
(シール部材)
ノズル取付構造は、更に、
第1液量ノズルが選択された場合の水側電極部の内部流路、ノズル保持部の第1ノズル収納部及び第1液量ノズルの間、及び第2液量ノズルが選択された場合の水側電極部の内部流路と第2液量ノズルとの間を密閉するシール部材を備える。
【0020】
(ノズル収納部とノズルの構造)
水側電極部は、流出側の端部外周に第1篏合受部と、流出側の内部流路に形成された第2ノズル収納部に第2篏合受部と、を備え、
ノズル保持部は、通し穴の流入側に第1篏合受部に篏合する第1篏合部を備え、流出側に向けて縮径された段付穴として第1ノズル収納部を形成し、
第1液量ノズルは、第1ノズル収納部の段付穴に対応して流出側に向けて縮径された段付形状であり、
第2液量ノズルは、流入側の端部外周に第2篏合受部に篏合する第2篏合部を備える。
【0021】
(帯電散布ヘッドのノズル組立方法)
本発明は、帯電液体粒子を散布対象領域へ散布するために液体粒子を放出するノズル部に、放出液量及び形状の異なる第1液量ノズル又は第2液量ノズルを選択的に取付可能とするノズル取付構造を備えた帯電散布ヘッドのノズル組立方法であって、
ノズル取付構造は、
所定の電圧を印加してノズル部から放出された液体粒子を帯電させる場合に一方の電極となり、外部から供給された液体をノズル部に供給する内部流路が貫通して形成された水側電極部の流出側の端部に取付固定可能であり、通し穴が貫通して形成されたノズル保持部と、
ノズル保持部の通し穴に形成され、第1液量ノズルを収納する第1ノズル収納部と、
水側電極部の内部流路の流出側に形成され、第2液量ノズルを取付固定した状態で収納する第2ノズル収納部と、
を備え、
第1液量ノズルを選択した場合には、
ノズル保持部の第1ノズル収納部に第1液量ノズルを収納する第1工程と、
第1液量ノズルを収納したノズル保持部を、水側電極部の流出側の端部に取付固定する第2工程と、
を含み、
第2液量ノズルを選択した場合には、
水側電極部の内部流路の第2ノズル収納部に、第2液量ノズルを取付固定して収納する第3工程を含むことを特徴とする。
【0022】
(第2工程及び第3工程の詳細)
水側電極部は、流出側の端部外周に第1篏合受部と、流出側の内部流路に形成された第2ノズル収納部に第2篏合受部と、を備え、
ノズル保持部は、通し穴の流入側に第1篏合受部に篏合する第1篏合部を備え、
第2液量ノズルは、流入側の端部外周に第2篏合受部に篏合する第2篏合部を備え、
第2工程は、ノズル保持部の第1篏合部を水側電極部の第1篏合受部に篏合させることで、ノズル保持部を水側電極部に取付固定し、
第3工程は、第2液量ノズルの第2篏合部を水側電極部の第2篏合受部に篏合させることで、第2液量ノズルを第2ノズル収納部に取付固定した状態で収納する。
【0023】
(シール部材の配置1)
第1液量ノズルを選択した場合には、第2工程の完了後に水側電極部の内部流路、ノズル保持部の第1ノズル収納部及び第1液量ノズルの間が密閉されるように、第1工程で第1ノズル収納部にシール部材を介して第1液量ノズルを収納し、
第2液量ノズルを選択した場合には、第3工程の完了後に水側電極部の内部流路と第2液量ノズルとの間が密閉されるように、第3工程で第2ノズル収納部にシール部材を介して第2液量ノズルを収納する。
【0024】
(第4工程)
ノズル保持部の通し穴は、第2液量ノズルが挿通可能なサイズであり、
第2液量ノズルを選択した場合には、
第3工程に続き、ノズル保持部の通し穴に第2液量ノズルを挿通し、ノズル保持部を水側電極部に取付固定する第4工程を含む。
【0025】
(シール部材の配置2)
第4工程の完了後に水側電極部の内部流路、ノズル保持部の第1ノズル収納部及び第2液量ノズルの間が密閉されるように、第4工程で第1ノズル収納部にシール部材を配置する。
【0026】
(ノズルの放出液量)
第1液量ノズルは、第2液量ノズルより放出液量が多いノズルである。
【発明の効果】
【0027】
(帯電散布ヘッド1による効果)
本発明は、ノズル部から放出された液体粒子を帯電させた帯電液体粒子を散布対象領域へ散布する帯電散布ヘッドであって、ノズル部として放出液量及び形状の異なる第1液量ノズルと第2液量ノズルを選択的に取付可能とするノズル取付構造が設けられたため、放出液量及び形状の異なる第1液量ノズルと第2液量ノズルに合わせて異なるノズル取付構造を準備する必要がなく帯電散布ヘッドの部品の共通化が図れ、生産管理や組立作業を簡単且つ容易にすると共にコストを低減させることを可能とする。
【0028】
また、帯電散布ヘッド2についても、帯電散布ヘッド1の場合と同様に、部品の共通化が図れ、生産管理や組立作業を簡単且つ容易にすると共にコストを低減させることを可能とする。
【0029】
(ノズル取付構造の効果)
また、ノズル取付構造は、通し穴が貫通して形成され、水側電極部の流出側の端部に取付固定可能なノズル保持部と、ノズル保持部の通し穴に形成され、第1液量ノズルを収納する第1ノズル収納部と、水側電極部の内部流路の流出側に形成され、第2液量ノズルを取付固定した状態で収納する第2ノズル収納部と、を備えたため、第1液量ノズルと第2液量ノズルでノズル収納部の位置が異なり、共通化させたノズル取付構造であっても、ノズルの収納位置から取り付けられたノズルの種類を簡単かつ容易に認識できる。また、選択したノズルを取り付ける際に、対応した収納部に収納する必要があるため、収納しようとする収納部に収納出来ない場合や違和感がある場合には、選択したノズルに誤りがあることに気づくことを可能とし、誤りを低減させた第1液量ノズルと第2液量ノズルの選択的な組込みを可能とする。
【0030】
(ノズル保持部の通し穴による効果)
また、ノズル保持部の通し穴は、第2液量ノズルが挿通可能なサイズであるため、第2液量ノズルを選択した際にもノズル保持部の取り付けを可能として、より強固に第2液量ノズルを保持することを可能とする。
【0031】
(シール部材の効果)
また、ノズル取付構造は、更に、第1液量ノズルが選択された場合の水側電極部の内部流路、ノズル保持部の第1ノズル収納部及び第1液量ノズルの間、及び第2液量ノズルが選択された場合の水側電極部の内部流路と第2液量ノズルとの間を密閉するシール部材を備えるため、散布するためにノズル部から放出される液体がノズル部以外から外部に漏れることをより確実防止することができる。
【0032】
(ノズル収納部とノズルの構造の効果)
また、水側電極部は、流出側の端部外周に第1篏合受部と、流出側の内部流路に形成された第2ノズル収納部に第2篏合受部と、を備え、ノズル保持部は、通し穴の流入側に第1篏合受部に篏合する第1篏合部を備え、流出側に向けて縮径された段付穴として第1ノズル収納部を形成し、第1液量ノズルは、第1ノズル収納部の段付穴に対応して流出側に向けて縮径された段付形状であり、第2液量ノズルは、流入側の端部外周に第2篏合受部に篏合する第2篏合部を備えたようにしたため、第1液量ノズル及びその取付構造と、第2液量ノズル及びその取付構造との間には差があり、収納しようとする収納部に収納出来ない場合や違和感がある場合には、より確実に選択したノズルに誤りがあることに気づくことを可能とし、更に誤りを低減させた第1液量ノズルと第2液量ノズルの選択的な組込みを可能とする。
【0033】
また、帯電散布ヘッドのノズル組立方法の発明においても、帯電散布ヘッドの発明と同様の効果を生じることから、その説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】帯電散布ヘッドの正面を示した説明図である。
図2】帯電散布ヘッドの平面及び底面を示した説明図である。
図3】帯電散布ヘッドを流出側から見て示した斜視図である。
図4】多水量ノズルが取り付けられた帯電散布ヘッドの内部構造を断面で示した説明図である。
図5】少水量ノズルが取り付けられた帯電散布ヘッドの内部構造を断面で示した説明図である。
図6】水側電極部を取り出して説明図である。
図7】ノズル保持部を取り出して示した説明図である。
図8】多水量ノズルを取り出して示した説明図である。
図9】少水量ノズルを取り出して示した説明図である。
図10】多水量ノズルの組立方法の第1工程を示した説明図である。
図11】多水量ノズルの組立方法の第2工程を示した説明図である。
図12】多水量ノズルの組立が完了した状態を示した説明図である。
図13】少水量ノズルの組立方法の第3工程を示した説明図である。
図14】少水量ノズルの組立方法の第4工程を示した説明図である。
図15】少水量ノズルの組立が完了した状態を示した説明図である。
図16】従来の帯電散布ヘッドの内部構造を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、本発明に係る帯電散布ヘッド及びそのノズル組立方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により、この発明が限定されるものではない。
【0036】
[実施形態の基本的な概念]
まず、実施形態の基本的概念について説明する。実施形態は、概略的に帯電液体粒子を散布対象領域へ散布する帯電散布ヘッド及びそのノズル組立方法に関するものである。
【0037】
ここで、「帯電散布ヘッド」とは、帯電液体粒子を散布対象領域へ散布するものであり、本発明ではノズル部として放出液量及び形状の異なる第1液量ノズルと第2液量ノズルを選択的に取付可能とするノズル取付構造が設けられたことを特徴とする。また、本発明に関する帯電散布ヘッドは、構成として、少なくとも本体部と、帯電液体粒子を散布するために液体粒子を放出するノズル部と、所定の電圧を印加してノズル部から放出された液体粒子を帯電させる場合に一方の電極となり、外部から供給された液体をノズル部に供給する内部流路が貫通して形成された水側電極部と、水側電極部の流出側にノズル取付構造と、を備えたものである。
【0038】
また、「帯電液体粒子」とは、帯電散布ヘッドのノズル部から放出される液体粒子を帯電させたものであり、例えば電源としての高圧電源装置から帯電散布ヘッドの水側電極部ともう一方の電極となる誘導電極部との間に所定の高電圧を印加し、水側電極部に対する誘導電極部の電位を調整して誘導電極部に発生した高電界中にノズル部から放出される液体粒子を通過させる誘導帯電方式で帯電させた液体粒子である。また、散布される液体は、消煙効果、消火効果、粉塵除去効果等を有する任意の液体であり、例えば外部の給水ポンプ等で加圧され帯電散布ヘッドに供給される水等が含まれる。
【0039】
また、「第1液量ノズル」と「第2液量ノズル」は、帯電散布ヘッドとして組み立てられる際に、帯電散布ヘッドのノズル部として選択して取り付けられるものであり、第1液量ノズルと第2液量ノズルで互いに異なるのであれば放出液量と形状は任意であるが、例えば第1液量ノズルを第2液量ノズルより放出液量が多いノズルとする。この場合に、放出液量の多い第1液量ノズルを「多液量ノズル」、放出液量の少ない第2液量ノズルを「少液量ノズル」と呼ぶ場合がある。
【0040】
また、「多液量ノズル」及び「少液量ノズル」とした場合の放出液量は任意であるが、例えば「多液量ノズル」は毎分1.0リットルの放出液量とし、「少液量ノズル」は毎分0.1リットルの放出液量とする。
【0041】
また、水側電極部の流出側に設けられた「ノズル取付構造」とは、水側電極部が備える構造のみではなく、例えばノズル部を保持するノズル保持部のように水側電極部の流出側に取り付けられる部材や当該部材が備える構造等を含むものである。
【0042】
そして、ノズル取付構造の具体的な態様として、通し穴が貫通して形成され、水側電極部の流出側の端部に取付固定可能なノズル保持部と、ノズル保持部の通し穴に形成され、第1液量ノズルを収納する第1ノズル収納部と、水側電極部の内部流路の流出側に形成され、第2液量ノズルを取付固定した状態で収納する第2ノズル収納部と、を備えるものがあり、更に具体的な構造として、水側電極部は、流出側の端部外周に第1篏合受部と、流出側の内部流路に形成された第2ノズル収納部に第2篏合受部と、を備え、ノズル保持部は、通し穴の流入側に第1篏合受部に篏合する第1篏合部を備え、流出側に向けて縮径された段付穴として第1ノズル収納部を形成し、第1液量ノズルは、第1ノズル収納部の段付穴に対応して流出側に向けて縮径された段付形状であり、第2液量ノズルは、流入側の端部外周に第2篏合受部に篏合する第2篏合部を備えるものがある。
【0043】
また、「ノズル保持部」とは、第1液量ノズルを収納して水側電極部に取付固定されることで第1液量ノズルを保持するものであるが、ノズル保持部の通し穴を第2液量ノズルが挿通可能なサイズとすることで、第2液量ノズルを選択した場合にも水側電極部にノズル保持部を取付固定することを可能とし、より強固に第2液量ノズルを保持することができる。
【0044】
また、「ノズル取付構造」は、更に、第1液量ノズルが選択された場合の水側電極部の内部流路、ノズル保持部の第1ノズル収納部及び第1液量ノズルの間、及び第2液量ノズルが選択された場合の水側電極部の内部流路と第2液量ノズルとの間を密閉するシール部材を備えるようにしても良い。
【0045】
また、本発明は「帯電散布ヘッドのノズル組立方法」を含むものであり、「帯電散布ヘッドのノズル組立方法」とは、帯電液粒子を散布対象領域へ散布するために液体粒子を放出するノズル部に、放出液量及び形状の異なる第1液量ノズル又は第2液量ノズルを選択的に取付可能とするノズル取付構造を備えた帯電散布ヘッドのノズル組立方法であり、第1液量ノズルを選択した場合の「第1液量ノズルの組立方法」と第2液量ノズルを選択した場合の「第2液量ノズルの組立方法」に分けられる。
【0046】
「第1液量ノズルの組立方法」は、ノズル保持部の第1ノズル収納部に第1液量ノズルを収納する第1工程と、第1液量ノズルを収納したノズル保持部を、水側電極部の流出側の端部に取付固定する第2工程と、を含むものである。
【0047】
また、「第2液量ノズルの組立方法」は、水側電極部の内部流路の第2ノズル収納部に、第2液量ノズルを取付固定して収納する第3工程を含むものである。また、ノズル保持部の通し穴は、第2液量ノズルが挿通可能なサイズである場合には、第3工程に加えて、第3工程に続き、ノズル保持部の通し穴に第2液量ノズルを挿通した状態で、ノズル保持部を水側電極部に取付固定する第4工程を含むものである。
【0048】
また、ノズル組立において、シール部材を配置するようにしても良く、第1液量ノズルを選択した場合には、第2工程の完了後に水側電極部の内部流路、ノズル保持部の第1ノズル収納部及び第1液量ノズルの間が密閉されるように、第1工程で第1ノズル収納部にシール部材を介して第1液量ノズルを収納しても良く、第2液量ノズルを選択した場合には、第3工程の完了後に水側電極部の内部流路と第2液量ノズルとの間が密閉されるように、第3工程で第2ノズル収納部にシール部材を介して第2液量ノズルを収納したり、第4工程の完了後に水側電極部の内部流路、ノズル保持部の第1ノズル収納部及び第2液量ノズルの間が密閉されるように、第4工程で第1ノズル収納部にシール部材を配置したりしても良い。
【0049】
以下、具体的な実施形態を説明する。以下に示す具体的な実施形態では、「帯電散布ヘッド」が「本体部、水側電極部、液体導管部、電極連結部、本体カバー部、ノズル部、誘導電極部及び電極保持構造を備えるもの」であり、「散布する帯電液体粒子」が「帯電水粒子」であり、「第1液量ノズル」が「多水量ノズル」であり、「第2液量ノズル」が「少水量ノズル」であり、「第1ノズル収納部」が「多水量ノズル収納部」であり、「第2ノズル収納部」が「少水量ノズル収納部」である場合について、具体的内容を説明する。
【0050】
[実施形態の具体的内容]
実施形態の具体的内容について、以下のように分けて説明する。
a.帯電散布ヘッドの構造
b.ノズル取付構造の構成部材
b1.水側電極部
b2.ノズル保持部
b3.多水量ノズル
b4.少水量ノズル
c.帯電散布ヘッドのノズル組立方法
c1.多水量ノズルの組立方法
c2.少水量ノズルの組立方法
d.本発明の変形例
【0051】
[a.帯電散布ヘッドの構造」
まず、帯電散布ヘッドの構造について説明する。当該説明にあっては、帯電散布ヘッドの正面(前面)を示した図1、帯電ヘッドの平面(上面)及び底面(下面)を示した図2、帯電散布ヘッドを流出側から見て示した斜視図である図3、多水量ノズルが取り付けられた帯電散布ヘッドの内部構造を断面で示した図4及び少水量ノズルが取り付けられた帯電散布ヘッドの内部構造を断面で示した図5参照する。尚、図2(A)は平面を示し、図2(B)は底面を示し、また、図4及び図5図2(A)の切断線a-aの断面を示す。また、図1乃至図3はノズル部として多水量ノズルが取り付けられた場合を示し、図1図4及び図5はアースケーブルが接続された状態で示している。
【0052】
図1乃至図5に示すように、実施形態の帯電散布ヘッド10は、本体部12、水側電極部14、電極連結部16、液体導管部18、本体カバー部20、ノズル部22、誘導電極部24、アーム部26で構成される。
【0053】
本体部12、液体導管部18、本体カバー部20、ノズル部22及びアーム部26は絶縁材質の材料により製造された絶縁体であり、絶縁材質の材料として、例えばポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ウレタン樹脂、ポリテトラフロオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、セラミックス(アルミナセラミックス)、ガラス琺瑯等を用いている。
【0054】
水側電極部14及び電極連結部16は導電材質の材料により製造された導電体であり、導電材質の材料として、金属が用いられ、金属以外に導電性を有する樹脂、繊維束、ゴム等を用いても良く、これらの材料を組み合わせた複合体を用いても良い。
【0055】
図4及び図5の断面に示すように、本体部12の内部には流水方向となるヘッド軸35の方向(上下方向)に電極取付穴1210が貫通して形成され、電極取付穴1210に流出側(下側)から水側電極部14が挿入され、電極取付穴1210の流入側(上側)に形成された端子室1240に液体導管部18が配置され、電極取付穴1210から端子室1240に露出した水側電極部14の上端部には、液体導管部18を通して挿入された電極連結部16が螺合され、電極取付穴1210に水側電極部14を取付固定すると共に水側電極部14の流入側に液体導管部18の流出側を連結固定している。
【0056】
電極連結部16には複数のねじ穴1640が形成され、本体部12の端子室1240に対し横方向(上下方向に対して直交する方向であり、図4及び図5では右方向)に形成されたコネクタ取付穴1270に取り付けられる防水型のケーブルコネクタ36を介して挿入されたアースケーブルの端子38が、何れかのねじ穴1640にねじ40により固定され接続される。
【0057】
液体導管部18は、端子室1240の流入側の開口に設けられた本体カバー部20を介して外部に露出し、外部の給水ポンプ等で加圧された水が供給される。液体導管部18に供給される水の圧力は、例えば0.1~1.0MPaの範囲で調整される。
【0058】
本体部12のヘッド軸35方向に沿って取り付けられた水側電極部14の流出側(下端側)にはノズル部22が取り付けられる。ノズル部22は、図3に示すように、ノズル孔2210が形成され、所定の平均粒子径として、例えば平均粒子径が10~300μmの水粒子を放出する。尚、実施形態ではノズル部22として、多水量ノズル50と少水量ノズル60が取り付けられることになるが、多水量ノズル50と少水量ノズル60として区別しない場合にはノズル部22と表現する場合がある。
【0059】
ノズル部22の流出側の開放空間には、例えば図3に示すように3本のアーム部26を用いて誘導電極部24が配置される。誘導電極部24は、例えばリング形状であり、図4及び図5の断面に示すように、導電性のある電極芯材2410を絶縁被覆2420にて被覆して形成され、支持部2440がリング部2430の所定位置から横方向(上下方向に対して直交する方向であり、図1では左方向)に取り出された後に上向きに延在するように形成され、支持部2440の先端には、リング内の電極芯材2410に接続されるケーブル接続部2450が露出し、ケーブル接続部2450には電圧印加ケーブルが接続される。
【0060】
誘導電極部24の電極芯材2410は導電材質の材料により製造された導電体であり、導電材質の材料として、金属が用いられ、金属以外に導電性を有する樹脂、繊維束、ゴム等を用いても良く、これらの材料を組み合わせた複合体を用いても良い。
【0061】
また、誘導電極部24における絶縁被覆2420の絶縁材質の材料として、例えばポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ウレタン樹脂、ポリテトラフロオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、セラミックス(アルミナセラミックス)、ガラス琺瑯等を用いている。
【0062】
誘導電極部24のリング部2430は、図4及び図5の断面に示すように、電極保持構造25を構成する3本のアーム部26、固定部28及び固定プレート部30によりノズル部22の流出側の開放空間の所定位置に保持される。アーム部26の上端外側の支点部2610が本体部12の溝部1280の外側コーナー部に当接しており、アーム部26の上端内側の押圧部2620は溝部1280から浮いた状態となっている。
【0063】
固定部28を回して溝部1280側(上側)にねじ込むと、固定プレート部30が上側に押圧され、アーム部26の押圧部2620が溝部1280に向かって押圧される。このため、アーム部26は支点部2610を中心に回転し、保持部2630が内側に向かうように傾倒する。そして、3本設けられたアーム部26の傾倒により、誘導電極部24のリング部2430がアーム部26の保持部2630の3点で押され、誘導電極部24はリング部2430の中心軸がヘッド軸35にセンタリングされた状態に保持される。
【0064】
アースケーブルの端子が電極連結部16の何れかのねじ穴1640に接続され、電圧印加ケーブルが誘導電極部24のケーブル接続部2450に接続されることで、水粒子を帯電させることが可能な電圧範囲中の所定調整範囲として、例えば水側電極部14と誘導電極部24の間に+0.5kV~+20kV又は-0.5Kv~-20kVの範囲の所定電圧を直流電圧、交流電圧、パルス電圧等として印加し、誘導電極部24のリング部2430の周囲に所定の外部電界が形成され、ノズル部22から放出され誘導電極部24のリング部2430を通過した水粒子を帯電させて散布させる。
【0065】
例えば、水側電極部14と誘導電極部24の間に直流電圧を印加した場合には、水側電極部14を基準電位(アース電位、0V)とした場合の誘導電極部24の極性が正(プラス)極性であれば負(マイナス)に帯電した水粒子が生成され、水側電極部14を基準電位(アース電位、0V)とした場合の誘導電極部24の極性が負(マイナス)極性であれば正(プラス)に帯電した水粒子が生成される。また、水側電極部14と誘導電極部24の間に印加する電圧を、+0.5kV~+20kV又は-0.5Kv~-20kVの範囲にすると、火花放電の発生が防止され、安全を確保しながら帯電した水粒子が生成される。
【0066】
粉塵を空気中から除去するために、例えば建物の解体現場等で帯電散布ヘッド10を使用する場合には、帯電散布ヘッド10から散布した帯電水粒子に、空気中に浮遊した粉塵を電気的に吸着させて捕捉して粉塵を落下させて空気中から除去することが可能になる。また、帯電散布ヘッド10を消火設備に設けた場合には、帯電散布ヘッド10から散布した帯電水粒子に、空気中に浮遊している煙粒子を電気的に吸着させて捕捉して煙粒子を落下させることで消煙効果が得られると共に、消火対象物に帯電水粒子が電気的に吸着することで消火性能を高めることが可能になる。
【0067】
図1乃至図4に示す帯電散布ヘッド10には、多水量ノズル50としたノズル部22がノズル保持部32を用いて取付固定されている。一方、図5に示す帯電散布ヘッド10には、少水量ノズル60としたノズル部22が取付固定している。また、誘導電極部24のリング部2430の径は、多水量ノズル50と少水量ノズル60に対応して、多水量ノズル50とした図4に示したリング部2430より少水量ノズル60とした図5に示したリング部2430の径を小さい径としている。その以外の構造は、図4の帯電散布ヘッドと図5の帯電散布ヘッドは基本的に同様である。
【0068】
[b.ノズル取付構造の構成部材]
次に、帯電散布ヘッドのノズル取付構造を構成する部材について説明する。帯電散布ヘッド10は、ノズル部22として図4に示したように多水量ノズル50の取付又は図5に示したように少水量ノズル60の取付を選択的に行うことを可能としたノズル取付構造を備える。ノズル取付構造は、形状の異なる多水量ノズル50又は少水量ノズル60を選択的に取り付けできる任意の構造であるが、例えば水側電極部14の流出側の構造とノズル保持部32を用いて実現されるものである。そこで、ノズル取付構造を実現するための水側電極部14、ノズル保持部32、多水量ノズル50と少水量ノズル60について説明する。
【0069】
(b1.水側電極部)
まず、帯電散布ヘッドの水側電極部について説明する。当該説明にあっては、水側電極部を取り出して示した図6を参照する。尚、図6(A)は平面(上面)を示し、図6(B)は正面(前面)を示し、図6(C)は底面(下面)を示し、図6(D)は図6(B)の切断線b-bの断面を示す。
【0070】
図6に示すように、水側電極部14は導電材質として、例えば導電性の金属により製造され、その内部に、ヘッド軸方向(上下方向)に内部流路1410が貫通して形成され、流入側となる上端側の外周に外ねじ部1430が形成され、外周の中間となる所定位置に六角ボルト面1420が形成されている。六角ボルト面1420は、水側電極部14を図4及び図5に示した本体部12の電極取付穴1210に流出側(下側)から挿入した場合に、本体部12の電極取付穴1210の流出側に形成された六角開口部に嵌合して、電極取付穴1210に対して水側電極部14が抜けること及び回動することを防止するための構造を実現する。
【0071】
また、水側電極部14の外ねじ部1430は、水側電極部14を図4及び図5に示した本体部12の電極取付穴1210に流出側(下側)から挿入した場合に、本体部12の電極取付穴1210の流入側に露出し、電極連結部16のねじ込みを受けるものである。
【0072】
水側電極部14の内部流路1410の流出側の開口部には内ねじ部1450を有する少水量ノズル収納部1460が形成され、水側電極部14の流出側の外周には外ねじ部1440が形成されている。
【0073】
(b2.ノズル保持部)
続いて、帯電散布ヘッドのノズル保持部について説明する。当該説明にあっては、ノズル保持部を取り出して示した図7を参照する。尚、図7(A)は平面(上面)を示し、図7(B)は正面(前面)を示し、図7(C)は図7(B)の切断線c-cの断面を示す。
【0074】
図7に示すように、ノズル保持部32は絶縁材質として、例えばポリ塩化ビニル樹脂の射出成型により製造され、多水量ノズル50を収納するための段付穴である多水量ノズル収納部3210を有する通し穴3230が貫通して形成され、多水量ノズル収納部3210は流入側を大径として内周に内ねじ部3220が形成され、流出側を小径とし、段部に円形断面を持つシール3250が配置される。
【0075】
また、ノズル保持部32の外周は六角ナット面3240とし、スパナ等の工具を使用して図6に示した水側電極部14の外ねじ部1440に対する内ねじ部3220の螺合が簡単且つ容易に行えるようにしている。また、通し穴3230は少水量ノズル60が挿通可能なサイズとする。
【0076】
(b3.多水量ノズル)
続いて、帯電散布ヘッドの多水量ノズルについて説明する。当該説明にあっては、多水量ノズルを取り出して示した図8を参照する。尚、図8(A)は正面(前面)を示し、図8(B)は底面(下面)を示す。
【0077】
図8に示すように、多水量ノズル50は、図7に示したノズル保持部32に形成された多水量ノズル収納部3210の段付穴の形状に対応して流出側に向けて縮径された、例えば金属製の段付き円筒体の内部にセラミック製のノズルが配置されたものであり、流入側を大径の鍔部5020とし、流出側を小径のノズル本体部5030としている。
【0078】
多水量ノズル50には、上下方向に貫通して所定の孔径をもつ内部流路が形成され、内部流路の流出側には図8(B)に示すように、多水量ノズル孔5010が開口している。また、多水量ノズル孔5010から水が放出されることになり、例えば多水量ノズル孔5010から放出される水はノズル開口形状に基づき所定の拡散角度で円錐状に広がりながら分裂することで水粒子となって放出される。また、多水量ノズル50の放水量は任意であり、例えば毎分0.5~1.0リットルとしている。
【0079】
(b4.少水量ノズル)
最後に、帯電散布ヘッドの少水量ノズルについて説明する。当該説明にあっては、少水量ノズルを取り出して示した図9を参照する。尚、図9(A)は正面(前面)を示し、図9(B)は底面(下面)を示す。
【0080】
図9に示すように、少水量ノズル60は、流入側から流出側に向けて流入部6020、外ねじ部6030及び六角ボルト面6040が形成された、例えば金属製の部材の内部に、セラミック製の上下方向に貫通して所定の孔径をもつ内部流路が形成されたノズルが配置されたものであり、内部流路の流出側には図9(B)に示すように、少水量ノズル孔6010が開口している。
【0081】
少水量ノズル60の流入部6020は、図6に示した水側電極部14の流出側に形成された少水量ノズル収納部1460に対応した形状である。また、少水量ノズル60の外ねじ部6030は、図6に示した水側電極部14の流出側に形成された少水量ノズル収納部1460の内ねじ部1450に螺合する。
【0082】
少水量ノズル孔6010の開口からは水が放出されることになり、例えば少水量ノズル孔6010から放出される水はノズル開口形状に基づき所定の拡散角度で円錐状に広がりながら分裂することで水粒子となって放出される。また、少水量ノズル60の放水量は、多水量ノズル50により少ない放水量であれば任意であるが、例えば毎分0.1リットルとしている。
【0083】
[c.帯電散布ヘッドのノズル組立方法]
続いて、帯電散布ヘッドのノズル組立方法について、多水量ノズルを選択した場合の組立方法と少水量ノズルを選択した場合の組立方法に分けて説明する。
【0084】
(c1.多水量ノズルのノズル組立方法)
まず、多水量ノズルのノズル組立方法について説明する。当該説明にあっては、多水量ノズルの組立方法の第1工程を示した図10、多水量ノズルの組立方法の第2工程を示した図11及び多水量ノズルの組立が完了した状態を示した図12を参照する。
【0085】
多水量ノズル50のノズル組立方法の第1工程は、図10に示すように、ノズル保持部32の多水量ノズル収納部3210に、シール3250を多水量ノズル収納部3210の側面と多水量ノズル50の鍔部5020とで挟み込むように多水量ノズル50を流入側から収納する。この際、多水量ノズル収納部3210は段付穴であり、多水量ノズル50が鍔部5020を有するため、多水量ノズル収納部3210に対して多水量ノズル50が抜け止めした状態で収納される。尚、シール3250は、予め多水量ノズル収納部3210に配置されていても良く、多水量ノズル50を収納する際に配置しても良い。
【0086】
多水量ノズル50のノズル組立方法の第2工程は、図11に示すように、多水量ノズル50を収納したノズル保持部32の内ねじ部3220を、水側電極部14の流出側の外ねじ部1440に螺合し、ノズル保持部32の六角ナット面3240にスパナ等の工具を入れて回すことで、図12に示すように、本体部12の流出側の端面に配置されたシール72にノズル保持部32が当接した状態でノズル保持部32が水側電極部14に取付固定されることで、多水量ノズル50としたノズル部が取り付けられる。尚、シール72は、予め本体部12に配置されていても良く、ノズル保持部32を取付固定する際に配置しても良い。
【0087】
この取付固定により、シール72が本体部12とノズル保持部32の当接する端面の隙間を密閉し、シール3250が水側電極部14、ノズル保持部32及び多水量ノズル50が相対する部分の隙間を密閉することから、水側電極部14の内部流路1410を通り多水量ノズル50から放出される水が各構成部材の隙間から外部に漏れ出すことを防止している。
【0088】
このような第1工程と第2工程からなる組立作業により、多水量ノズル50のノズル組立を簡単且つ容易に行うことを可能とする。
【0089】
(c2.少水量ノズルのノズル組立方法)
続いて、少水量ノズルのノズル組立方法について説明する。当該説明にあっては、少水量ノズルの組立方法の第3工程を示した図13、少水量ノズルの組立方法の第4工程を示した図14及び少水量ノズルの組立が完了した状態を示した図15を参照する。尚、「第3工程」及び「第4工程」は、特許請求の範囲の請求項の記載を合わせるための表現であり、少水量ノズルの組立方法における「第1工程」及び「第2工程」に相当するものである。
【0090】
少水量ノズル60のノズル組立方法の第3工程は、図13に示すように、水側電極部14の少水量ノズル収納部1460の内ねじ部1450に、少水量ノズル60の外ねじ部6030を螺合し、少水量ノズル60の六角ボルト面6040にスパナ等の工具を入れて回すことで、図14に示すように、少水量ノズル60を水側電極部14に取付固定した状態で少水量ノズル収納部1460に収納する。
【0091】
少水量ノズル60のノズル組立方法の第4工程は、図14に示すように、多水量ノズル収納部3210にシール3250が配置されたノズル保持部32の通し穴3230に少水量ノズル60を挿通して、ノズル保持部32の内ねじ部3220を、水側電極部14の流出側の外ねじ部1440に螺合し、ノズル保持部32の六角ナット面3240にスパナ等の工具を入れて回すことで、図15に示すように、本体部12の流出側の端面に配置されたシール72にノズル保持部32が当接した状態でノズル保持部32が水側電極部14に取付固定されることで、より強固に少水量ノズル60が取り付けられる。尚、シール3250、70は、予め多水量ノズル収納部3210又は本体部12に配置されていても良く、ノズル保持部32を取付固定する際に配置しても良い。
【0092】
この取付固定により、シール72は本体部12とノズル保持部32の当接する端面との間の隙間を密閉し、また、シール3250は、水側電極部14、ノズル保持部32及び少水量ノズル60が相対する部分の隙間を密閉することから、水側電極部14の内部流路1410を通り少水量ノズル60から放出される水が各構成部材の隙間から外部に漏れ出すことを防止している。
【0093】
このように第3工程と第4工程からなる組立作業により、少水流ノズル60のノズル組立を簡単且つ容易に行うことを可能とする。
【0094】
また、第3工程により少水量ノズル60が水側電極部14に取付固定されるため、第4工程については省略しても良い。また、第4工程を省略する際に、水側電極部14と少水量ノズル60の隙間を密閉するようにシールを配置しても良い。
【0095】
[e.本発明の変形例]
本発明による帯電散布ヘッド及びそのノズル組立方法の変形例について説明する。本発明による帯電散布ヘッド及びそのノズル組立方法は、上記の実施形態以外に、以下の変形を含むものである。
【0096】
(ノズル組立方法)
上記の実施形態は、多水量ノズルを選択した場合には、ノズル保持部に形成したノズル収納部に多水量ノズルを収納して、ノズル保持部を水側電極部の流出側の端部に螺合することで帯電散布ヘッドに多水量ノズルを取付固定し、少水量ノズルを選択した場合には、水側電極部の内部流路の流出側に形成したノズル収納部に少水量ノズルを螺合することで帯電散布ヘッドに少水量ノズルを取付固定しているが、ノズル組立方法はこれに限定されない。
【0097】
例えば、逆に、多水量ノズルを選択した場合には、水側電極部の内部流路の流出側に形成したノズル収納部に多水量ノズルを螺合することで帯電散布ヘッドに多水量ノズルを取付固定し、少水量ノズルを選択した場合には、ノズル保持部に形成したノズル収納部に少水量ノズルを収納して、ノズル保持部を水側電極部の流出側の端部に螺合することで帯電散布ヘッドに少水量ノズルを取付固定するようにしても良い。
【0098】
(ノズル交換方法)
また、帯電散布ヘッドに選択して取付固定された多水量ノズル又は少水量ノズルに、例えばノズル孔詰まり等により放水障害などが発生した場合には、未使用のノズルに交換又は障害の原因を取り除いたノズルを再取付するノズル交換ができるものである。このノズル交換方法にあっては、前述した組立方法とは逆の工程(手順)でノズル部周辺を分解してノズルを取り外して未使用のノズルと交換するか、又は障害の原因を取り除き、前述したノズル組立方法に従って再組立を行う。
【0099】
また、帯電散布ヘッドに選択して取付固定された多水量ノズル又は少水量ノズルの何れかを種類の異なるもう一方のノズルに交換することもできる。この場合の工程(手順)は、前述したノズルに障害が発生した時のノズル交換方法と同様である。
【0100】
(その他)
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0101】
10:帯電散布ヘッド
12:本体部
1210:電極取付穴
1240:端子室
1270:電極コネクタ取付穴
1280:溝部
14:水側電極部
1410:内部流路
1420:六角ボルト面
1430,1440:外ねじ部
1450:内ねじ部
1460:少水量ノズル収納部
16:電極連結部
18:液体導管部
20:本体カバー部
22:ノズル部
2210:ノズル孔
24:誘導電極部
2410:電極芯材
2420:絶縁被覆
2430:リング部
2440:支持部
2450:ケーブル接続部
25:電極保持構造
26:アーム部
2610:支点部
2620:押圧部
2630:保持部
28:固定部
30:固定プレート部
32:ノズル保持部
3210:多水量ノズル収納部
3220:内ねじ部
3230:通し穴
3240:六角ナット面
3250:シール
34:アースケーブル
35:ヘッド軸
36:ケーブルコネクタ
38:端子
40:ねじ
50:多水量ノズル
5010:多水量ノズル孔
5020:鍔部
5030:ノズル本体部
60:少水量ノズル
6010:少水量ノズル孔
6020:流入部
6030:外ねじ部
6040:六角ボルト面
72:シール
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11
図12
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図15
図16