(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182947
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 7/16 20060101AFI20231220BHJP
E06B 3/96 20060101ALI20231220BHJP
E06B 1/32 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
E06B7/16 B
E06B3/96 B
E06B1/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096246
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桐野 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】北嶋 知可
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 岳宏
(72)【発明者】
【氏名】小俣 貴寛
(72)【発明者】
【氏名】山本 理絵
【テーマコード(参考)】
2E011
2E035
2E036
【Fターム(参考)】
2E011CA06
2E011CB01
2E011CC01
2E011CC02
2E035AA02
2E035BA01
2E035CA02
2E035CB02
2E035CB03
2E036AA01
2E036AA03
2E036BA01
2E036CA01
2E036CA06
2E036DA04
2E036EB02
2E036EB09
2E036EC03
2E036EC06
2E036FA10
2E036FB01
2E036GA02
2E036HA01
2E036HB05
(57)【要約】
【課題】防水性能を高めることができる建具を提供する。
【解決手段】建具は、縦枠と横枠とを枠組みした開口枠と、前記開口枠にスライド可能に支持される障子とを備える。縦枠は、金属縦枠と、前記金属縦枠の枠内側見込み面を覆うように該金属縦枠と連結される樹脂縦枠と、全閉位置にある前記障子の戸先框を支持する縦レールと、を有し、前記横枠は、金属横枠と、前記金属横枠の枠内側見込み面を覆うように該金属横枠と連結される樹脂横枠と、前記障子の横框をスライド可能に支持する横レールと、を有し、前記縦レール及び前記横レールは、一方の端面が他方の頂面に対向するように配置されると共に、相互間に止水材が挟み込まれている。
【選択図】
図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦枠と横枠とを枠組みした開口枠と、前記開口枠にスライド可能に支持される障子と、を備える建具であって、
前記縦枠は、
金属縦枠と、
前記金属縦枠の枠内側見込み面を覆うように該金属縦枠と連結される樹脂縦枠と、
全閉位置にある前記障子の戸先框を支持する縦レールと、
を有し、
前記横枠は、
金属横枠と、
前記金属横枠の枠内側見込み面を覆うように該金属横枠と連結される樹脂横枠と、
前記障子の横框をスライド可能に支持する横レールと、
を有し、
前記縦レール及び前記横レールは、一方の端面が他方の頂面に対向するように配置されると共に、相互間に止水材が挟み込まれている
ことを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項1に記載の建具であって、
前記一方の端面には、見込み方向に沿う見込み板部と、見付け方向に沿う見付け板部と、が設けられ、
前記見込み板部及び前記見付け板部が前記止水材に当接している
ことを特徴とする建具。
【請求項3】
請求項2に記載の建具であって、
前記横枠は、前記障子の下に配置される下枠を含み、
前記一方の端面は、前記縦レールの端面であり、
前記他方の頂面は、前記下枠に設けられた横レールの頂面である
ことを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項3に記載の建具であって、
前記縦枠の金属縦枠は、その枠内側見込み面から突出する第1レール片を有し、
前記縦枠の樹脂縦枠は、その枠内側見込み面から突出する第2レール片を有し、
前記縦レールは、その頂面で前記第1レール片と前記第2レール片とが連結されることで中空形状に構成されており、
前記見込み板部及び前記見付け板部は、少なくとも金属製の前記第1レール片に形成されている
ことを特徴とする建具。
【請求項5】
請求項4に記載の建具であって、
前記下枠の金属横枠は、その枠内側見込み面から突出する第3レール片を有し、
前記下枠の樹脂横枠は、その枠内側見込み面から突出する第4レール片を有し、
前記横レールは、その頂面で前記第3レール片と前記第4レール片とが連結されることで中空形状に構成されており、
前記止水材は、少なくとも金属製の前記第1レール片と前記第3レール片との間に挟み込まれている
ことを特徴とする建具。
【請求項6】
請求項5に記載の建具であって、
前記横レールの頂面には、前記第3レール片に形成され、前記障子の戸車が転動する突起が設けられ、
前記横レールは、さらに、前記突起の長手方向での端部を切り欠いた切欠部を有し、
前記止水材は、前記切欠部に配置されている
ことを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口枠を備える建具に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅や店舗等の窓として、開口枠で左右の障子を互いにスライド可能に支持した引違い窓や、一方のみをスライド可能に支持した片引き窓等の建具がある。特許文献1には、引違い窓の建具において、開口枠をアルミニウムと樹脂との複合構造として断熱性を高めた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成では、縦枠に設けられたレール(縦レール)を、横枠に設けられたレール(横レール)に突き当てた構成を有する。このような構成では、組立誤差や熱影響によって樹脂材が縮んだ場合、縦レールと横レールの相互間に隙間を生じ、水密性能が低下する懸念がある。例えば、縦レールの端面と横レールの頂面との間に隙間を生じると、この隙間が室内外方向の浸水経路となってしまう。
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、防水性能を高めることができる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る建具は、縦枠と横枠とを枠組みした開口枠と、前記開口枠にスライド可能に支持される障子と、を備える建具であって、前記縦枠は、金属縦枠と、前記金属縦枠の枠内側見込み面を覆うように該金属縦枠と連結される樹脂縦枠と、全閉位置にある前記障子の戸先框を支持する縦レールと、を有し、前記横枠は、金属横枠と、前記金属横枠の枠内側見込み面を覆うように該金属横枠と連結される樹脂横枠と、前記障子の横框をスライド可能に支持する横レールと、を有し、前記縦レール及び前記横レールは、一方の端面が他方の頂面に対向するように配置されると共に、相互間に止水材が挟み込まれている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記態様によれば、防水性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る建具を室内側から見た姿図である。
【
図4】下枠及びその周辺部を拡大した縦断面図である。
【
図5】外障子の戸先側に位置する縦枠及びその周辺部を拡大した横断面図である。
【
図6A】下枠と左右の縦枠との連結部及びその周辺部を拡大した斜視図である。
【
図7】縦枠のレール及び周辺部を拡大した底面図である。
【
図8】上枠と左右の縦枠との連結部及びその周辺部を拡大した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る建具について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1~
図3に示すように、本実施形態に係る建具10は、建物躯体の開口部に固定される開口枠12と、開口枠12の内側にスライド可能に配設された外障子14及び内障子15とを備える。本実施形態では、障子14,15を左右にスライドさせることにより開口枠12の内側に形成した開口16を開閉可能な引違い窓の建具10を例示する。障子14,15は、一方が開口枠12にはめ殺され、他方のみがスライドする片引き窓であってもよい。障子の設置枚数は3枚以上であってもよい。
【0011】
開口枠12は、上枠12aと、下枠12bと、左右の縦枠12c,12dとを四周枠組みすることで矩形の開口16を形成したものである。
【0012】
本出願において、見込み方向とは建具10の室内外方向、つまり室内側から室外側に向かう方向又はその逆方向(図中に矢印Zで示す方向)をいい、見込み面とは見込み方向に沿って延在する面をいう。見付け方向とは見込み方向に直交する方向であり、上下方向に長尺な縦枠12c等の場合はその長手方向に直交する左右方向(図中に矢印Xで示す方向)をいい、左右方向に長尺な上枠12a等の場合はその長手方向に直交する上下方向(図中に矢印Yで示す方向)をいう。見付け面とは見付け方向に沿った面をいう。枠内側とは、枠状部材である開口枠12等の内側部分をいう。枠外側とは、枠状部材である開口枠12等の外側部分をいう。枠内方向とは、枠状部材の枠外側から枠内側に向かう方向をいう。枠外方向とは、枠状部材の枠内側から枠外側に向かう方向をいう。
【0013】
先ず、建具10の全体構成を説明する。
【0014】
開口枠12は、室外側に配設される金属枠材18と、室内側に配設される樹脂枠材20とを組み合わせた複合構造の窓枠である。金属枠材18は、アルミニウム等の金属材料の押出形材である。樹脂枠材20は、塩化ビニル樹脂(PVC)等の樹脂材料の押出形材である。金属枠材18は、金属上枠18aと、金属下枠18bと、左右の金属縦枠18c,18dとを含む。樹脂枠材20は、樹脂上枠20aと、樹脂下枠20bと、左右の樹脂縦枠20c,20dとを含む。
【0015】
図2に示すように、上枠12aは、建物躯体にねじ22で固定される金属上枠18aに対し、樹脂上枠20aを連結した構成である。
【0016】
金属上枠18aは、室外側部材18a1と室内側部材18a2とを断熱材18a3で連結し、断熱性能を高めた構成である。室外側部材18a1は、開口枠12の水切り面を形成する。室外側部材18a1の枠内側見込み面には、レール片24aが突出形成されている。室内側部材18a2の枠内側見込み面には、レール片25aが突出形成されている。金属上枠18aは、断熱材18a3を用いず、1部材で構成してもよい。
【0017】
樹脂上枠20aは、ベース部材20a1と、アングル部材20a2とを有する。ベース部材20a1は、見込み方向に並んだレール片24b,25bを枠内側見込み面に有し、全体として略クランク形状を有する。アングル部材20a2は、レール片25bから室内側へと連続するように設けられる。アングル部材20a2の室内側端部は、ねじ22で建物躯体やこれに固定された額縁等に固定される。
【0018】
上枠12aの枠内側見込み面には、枠内側に突出するレール24,25が見込み方向に並んで設けられている。レール24は、外障子14をスライド可能に案内するガイドレールである。レール24は、金属上枠18aのレール片24aと、樹脂上枠20aのレール片24bとで形成され、矩形の中空形状を有する。レール片24a,24bは、レール24の頂面(下面)24cで互いに係合している。レール25は、内障子15をスライド可能に案内するガイドレールである。レール25は、金属上枠18aのレール片25aと、樹脂上枠20aのレール片25bとで形成され、矩形の中空形状を有する。レール片25aの突出端及びその付近には、屈曲部や突出片が形成されている。レール片25bは、レール片25aの屈曲部や突出片を包含するように屈曲したフック形状部を有する。レール片25a,25bは、レール25の室内側見付け面で互いに係合している。
【0019】
図2に示すように、下枠12bは、建物躯体にねじ22で固定される金属下枠18bに対し、樹脂下枠20bを連結した構成である。
【0020】
金属下枠18bは、室外側部材18b1と室内側部材18b2とを断熱材18b3で連結し、断熱性能を高めた構成である。室外側部材18b1の枠内側見込み面18b4には、レール片26aが突出形成されている。室内側部材18b2の枠内側見込み面18b5には、レール片27aが突出形成されている。レール片26a,26bは、下枠12bの見込み方向に並んでいる。金属下枠18bは、断熱材18b3を用いず、1部材で構成してもよい。
【0021】
樹脂下枠20bは、室外側部材20b1と、室内側部材20b2とを有する。室外側部材20b1は、室外側端部に上方に突出したレール片26bを形成した横板に見込み方向で一対の脚部を設け、これら脚部を金属下枠18bの室外側部材18b1に係合させた構成である。室内側部材20b2は、室外側端部に上方に突出したレール片27bを形成した横板を有し、この横板の室内側端部に略L字に屈曲したアングル部28を形成した構成である。室内側部材20b2は、室外側部材20b1と同様に見込み方向で一対設けられた脚部により、金属縦枠18cの室内側部材18b2に係合している。アングル部28は、ねじ22で建物躯体やこれに固定された額縁等に固定される。
【0022】
下枠12bの枠内側見込み面には、枠内側に突出するレール26,27が見込み方向に並んで設けられている。レール26は、外障子14をスライド可能に案内するガイドレールである。レール26は、金属下枠18bのレール片26aと、樹脂下枠20bのレール片26bとで形成され、矩形の中空形状を有する。レール片26a,26bは、レール26の頂面(上面)26cで互いに係合している。レール27は、内障子15をスライド可能に案内するガイドレールである。レール27は、金属下枠18bのレール片27aと、樹脂下枠20bのレール片27bとで形成され、矩形の中空形状を有する。レール片27a,27bは、レール27の頂面(上面)27cで互いに係合している。
【0023】
図3に示すように、縦枠12cは、全閉位置にある外障子14の戸先側に配置される。縦枠12cは、建物躯体にねじ22で固定される金属縦枠18cに対し、樹脂縦枠20cを連結した構成である。
【0024】
金属縦枠18cは、プレート部30と、レール片32aとを有する。プレート部30は、室内外方向に沿って延在し、ねじ22で建物躯体に固定される。レール片32aは、プレート部30の枠内側見込み面30aから枠内側に突出している。レール片32aは、枠内側見込み面30aの見込み方向で中央よりも室外側に寄った位置に設けられている。
【0025】
樹脂縦枠20cは、ベース部34と、アングル部35とを有する。ベース部34は、室内外方向に沿って延在し、ねじ22で金属縦枠18cの枠内側見込み面30aに固定される。ベース部34の枠内側見込み面34aには、その室外側端部から枠内側に突出したレール片32bが形成されている。アングル部35は、ベース部34の室内側端部に一体的に形成され、ねじ22で建物躯体やこれに固定された額縁等に固定される。ベース部34の枠内側見込み面34aには、カバー部材36が装着されている。
【0026】
縦枠12cの枠内側見込み面には、枠内側に突出するレール32が設けられている。レール32は、全閉位置にある外障子14を支持する部分である。レール32は、金属縦枠18cのレール片32aと、樹脂縦枠20cのレール片32bとで形成され、矩形の中空形状を有する。レール片32a,32bは、レール32の頂面32cで互いに係合している。
【0027】
図3に示すように、縦枠12dは、全閉位置にある内障子15の戸先側に配置される。縦枠12dは、建物躯体にねじ22で固定される金属縦枠18dに対し、樹脂縦枠20dを連結した構成である。
【0028】
金属縦枠18dは、プレート部38と、ヒレ部39と、レール片40aとを有する。プレート部38は、室内外方向に沿って延在し、ねじ22で建物躯体に固定される。ヒレ部39は、プレート部38の枠内側見込み面38aから枠内側に突出している。レール片40aは、枠内側見込み面38aの見込み方向でヒレ部39よりも室内側の位置で枠内側に突出している。
【0029】
ヒレ部39は、全閉位置にある内障子15の室外側表面15aに対向する。ヒレ部39には、室外側表面15aを臨んで開口するポケット部39aが形成されている。ポケット部39aは、熱膨張性部材41を設置することができる。熱膨張性部材41は、加熱されると膨張する部材であり、例えば加熱によって発泡する黒鉛等の加熱発泡材である。建具10は、ポケット部39aに熱膨張性部材41を設けることで、火災時にヒレ部39と内障子15との間の隙間を膨張した熱膨張性部材41で埋めることができる。
【0030】
樹脂縦枠20dは、レール片40bと、アングル部42とを有し、全体として略クランク形状を有する。レール片40bは、樹脂縦枠20dの室外側端部から枠内側に突出している。アングル部42は、樹脂縦枠20dの室内側端部に形成された略L字状の部分であり、ねじ22で建物躯体やこれに固定された額縁等に固定される。
【0031】
縦枠12cの枠内側見込み面には、枠内側に突出するレール40が設けられている。レール40は、全閉位置にある内障子15を支持する部分である。レール40は、金属縦枠18dのレール片40aと、樹脂縦枠20dのレール片40bとで形成され、矩形の中空形状を有する。レール片40a,40bは、レール40の頂面40cで互いに係合している。
【0032】
図1~
図3に示すように、外障子14は、面材44と、面材44の四周を囲む上框(横框)45a、下框(横框)45b、戸先框45c及び召合せ框45dとを備える。
【0033】
面材44は、例えば相互間にスペーサを挟んで一対の板ガラス44a,44bを対面させた2層の複層ガラスである。面材44は、1層でもよいし、3層以上の構造でもよい。
【0034】
各框45a~45dは、それぞれPVC等の樹脂材料の押出形材である。各框45a~45dは、枠内側を向いて開口した開口溝46を有する。開口溝46は、面材44の外周縁部を保持するものである。召合せ框45d以外の各框45a~45cは、枠外側を向いて開口したガイド溝47を有する。上框45aのガイド溝47は、上枠12aのレール24がスライド可能に挿入される。下框45bのガイド溝47は、下枠12bのレール26がスライド可能に挿入される。戸先框45cのガイド溝47は、外障子14を全閉位置とした際に縦枠12cのレール32が挿入される。
【0035】
図2及び
図4に示すように、下框45bには、戸車48が配設されている。戸車48は、下框45bのガイド溝47内に配置されたローラであり、レール26の頂面26cから突出する突起26d上を転動する。これにより外障子14は、上下の框45a,45bのガイド溝47がレール24,26によってガイドされつつ、開口16内を円滑にスライドする。この際、各レール24,26の室内外両側の見付け面には、各框45a,45bのガイド溝47内に設置された気密水密材49がそれぞれ摺接する。気密水密材49は、例えばモヘアやタイト材である。
【0036】
全閉位置において、外障子14は、戸先框45cのガイド溝47が、対向する縦枠12cのレール32を呑み込むことで安定して保持される(
図3及び
図5参照)。この際、レール32の室内外両側の見付け面には、戸先框45cのガイド溝47内に設置された気密水密材49がそれぞれ接触する。
【0037】
図1~
図4に示すように、内障子15は、上枠12aのレール25と下枠12bのレール27との間でスライド可能にガイドされ、室外側の障子14に対して引違いに移動できる。内障子15は、召合せ框45dの構成が多少異なる以外は外障子14と略左右対称構造でよい。そこで、内障子15の各構成要素については外障子14の各構成要素と同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。なお、全閉位置において、内障子15は、戸先框45cのガイド溝47が、対向する縦枠12dのレール40を呑み込むことで安定して保持される(
図3参照)。レール27の頂面27cにも、レール26の突起26dと同様な突起27dが設けられ、内障子15の戸車48が転動する。
【0038】
なお、障子14,15は、いずれも全閉位置とされた場合に、互いの召合せ框45d,45d同士が召し合う(
図3参照)。この際、互いの召合せ框45d,45dに設けられた煙返し片50同士が噛合し、一方の召合せ框45dの見付け面に設けられた気密水密材49が他方の召合せ框45dの対向する見付け面に接触する。また、この際、内障子15の召合せ框45dに設けたクレセント52aを外障子14の召合せ框45dに設けたクレセント受け52bに係合させ、障子14,15を施錠することもできる。
【0039】
次に、下枠12bの具体的な構成を説明する。
【0040】
図2及び
図4に示すように、下枠12bは、金属下枠18bの枠内側見込み面18b4,18b5のうち、レール片26a,27a間の領域及びレール片27aよりも室内側の領域を樹脂下枠20bによって覆い隠した構成である。
【0041】
室外側のレール26は、金属下枠18bのレール片26aと、樹脂下枠20bのレール片26bとを係合部54で係合した構成である。突起26dは、金属下枠18bのレール片26aにおける頂面26cを形成する部分に設けられている。突起26dは、レール片26aの室内側端部から上方に突出しており、断面略キノコ形状を有する。係合部54は、レール26の頂面26cに配置され、突起26dの室内側に隣接する。係合部54は、例えばレール片26aの突起26dの根本部分に形成され、枠内側を向いて開口したフック状爪部54aに対し、レール片26bの頂部に形成され、枠外側を向いて開口したフック状爪部54bを引っ掛ける構成である。
【0042】
室内側のレール27は、金属下枠18bのレール片27aと、樹脂下枠20bのレール片27bとを係合部55で係合した構成である。突起27d及び係合部55は、室外側のレール26における突起26d及び係合部54と実質的に同一構造でよい。つまり突起27dは、レール片27aの頂面27cを形成する部分の室内側端部に設けられている。係合部55は、頂面27cに配置され、例えばレール片27aのフック状爪部55aに対し、レール片27bのフック状爪部55bを引っ掛ける構成である。
【0043】
ところで、建具10は、
図3に示すように、外障子14の室内側で下枠12bが室内に大きく露出する。しかしながら、この露出部分は、大部分が樹脂製の樹脂下枠20bで覆われ、さらにレール26,27の室内側表面も樹脂製のレール片26b,27bで形成される。その結果、建具10は、外障子14の室内側で室内に大きく露出する下枠12bの外観品質が向上すると共に、断熱性能も向上し、結露の発生も抑制される。
【0044】
図4に示すように、下枠12bでは、金属下枠18bと樹脂下枠20bの室外側部材18b1,20b1間に中空部56が形成されている。同様に、下枠12bは、金属下枠18bと樹脂下枠20bの室内側部材18b2,20b2間にも中空部57が形成されている。その結果、建具10は、外障子14の室内側で室内に大きく露出する下枠12bの断熱性能が一層向上し、結露の発生も一層抑制される。
【0045】
次に、外障子14の戸先側に配置される縦枠12cの具体的な構成を説明する。
【0046】
図5に示すように、縦枠12cは、金属縦枠18cの枠内側見込み面30aのうち、レール片32aよりも室内側の略全域を樹脂縦枠20cによって覆い隠した構成である。樹脂縦枠20cは、ベース部34とアングル部35とが1つの押出形材として一体成形されている。つまり樹脂縦枠20cは、1部材であり、高い生産性や施工性が得られる。樹脂縦枠20cは、ベース部34からアングル部35まで見込み方向に延在し、これにより金属縦枠18cの枠内側見込み面30aを覆っている。具体的には、樹脂縦枠20cは、枠内側見込み面30aのレール片32aよりも室内側の領域の全てを覆い隠している。
【0047】
ベース部34は、室外側から室内側に向かって順に、レール片32bと、傾斜部34bと、中空部34cと、連結部34dとを有する。
【0048】
傾斜部34bは、室内側に向かって次第に枠内側に傾斜しており、全閉位置にある外障子14の戸先框45cの角部を回り込むように設置される。これにより樹脂縦枠20cと戸先框45cとの間に形成される隙間Cが傾斜部34bによって狭小化され、建具10の外観品質が向上している。中空部34cは、略矩形状であり、見込み方向に沿って延びている。連結部34dは、見込み方向に沿う板部であり、中空部34cとアングル部35との間で金属縦枠18cの枠内側見込み面30aに当接する板部である。
【0049】
このような樹脂縦枠20cは、ベース部34が各所の係合部及びねじ22を用いて金属縦枠18cに連結され、アングル部35がねじ22で建物躯体に固定される。
【0050】
ここで、室外側のレール32は、金属縦枠18cのレール片32aと、樹脂縦枠20cのレール片32bとを係合部58で係合した構成である。係合部58は、レール32の頂面32cに配置される。係合部58は、例えばレール片32aの室内側端部に形成され、枠内側を向いて開口したフック状爪部58aに対し、レール片32bの頂部に形成され、枠外側を向いて開口したフック状爪部58bを引っ掛ける構成である。なお、
図3に示すように、室内側のレール40は、係合部58と実質的に同一構造の係合部59でレール片40a,40bを連結した構成である。
【0051】
図4及び
図5に示すように、樹脂縦枠20cには、樹脂製のカバー部材36が装着される。カバー部材36は、例えばPVC等の樹脂材料の押出形材である。
【0052】
カバー部材36は、ベース部34の枠内側見込み面34aを覆うように樹脂縦枠20cに対して装着され、樹脂縦枠20cを金属縦枠18cに連結するねじ22の頭部を隠している。カバー部材36は、アングル部35の見込み面35aから連続するように配置され、見込み方向に沿って延在する見込み面36aを有する。見込み面36aは、アングル部35と隣接する位置から外障子14の室内側表面14aに近接する位置まで延びた略フラットな面である。
【0053】
これにより樹脂縦枠20cは、アングル部35からカバー部材36までの見込み面35a,36aが略フラットに形成され、同時にカバー部材36と外障子14との間の隙間Cが狭小化され、建具10の外観品質を向上させる。さらに、カバー部材36は、ねじ22の頭部を隠すことで、建具10の外観品質を一層向上させる。特に、建具10は、外障子14の室内側で縦枠12cが室内に大きく露出する構造である。このため、建具10は、この部分にカバー部材36を設けて外観品質を向上させたことで、建具10の全体の美観を大幅に高めることができる。カバー部材36の見込み面36aは、フラットな形状ではなく、多少の凹凸程度が形成されてもよいし、見込み方向に対して多少傾斜していてもよい。また、見込み面36aは、アングル部35の見込み面35aとの間に多少の段差や隙間があってもよい。
【0054】
なお、「見込み面36aが室内側表面14aに近接する位置まで延びている」とは、カバー部材36が外障子14の開閉動作に干渉することを回避しつつ、その見込み面36aが可能な限り外障子14の室内側表面14aに近い位置、つまり隙間Cを最小限に抑えることができる位置まで延在している、と言い換えることもできる。
【0055】
カバー部材36は、樹脂縦枠20cとの間に2つの中空部60,61を形成する。中空部60は、樹脂縦枠20cの中空部34cの枠内側に積層されるように配置され、見込み方向に沿って延在する。中空部61は、樹脂縦枠20cの連結部34dを塞ぐように配置され、見付け方向に沿って延在する。中空部61は、中空部34c,60の積層高さと略同一の枠内外方向高さを有する。また、中空部34c,60は、その見込み方向の長さが中空部61よりも相当に大きい。
【0056】
このように3つの中空部34c,60,61は、中空部60,61及び中空部34c,61がそれぞれ見込み方向に並んで配置され、中空部34c,60が見付け方向に並んで配置される。つまり縦枠12cは、金属縦枠18cと室内との間に、見込み方向及び見付け方向に並ぶ複数の中空部34c,60,61を有する。その結果、建具10は、外障子14の室内側で室内に大きく露出する縦枠12cの断熱性能が向上し、結露の発生も抑制される。
【0057】
カバー部材36は、例えば係合部64,65を用いて樹脂縦枠20cに連結される。係合部64,65は、樹脂縦枠20cの中空部34cの枠内側を向いた角部にそれぞれ形成され、見込み方向に並んでいる。
【0058】
縦枠12cは、上記のように3つの中空部34c,60,61を備える構成以外でもよい。すなわち、樹脂縦枠20cやカバー部材36に形成する板片の設置数を適宜変更し、中空部の設置数を1、2又は4以上としてもよい。
【0059】
次に、横枠である上枠12a及び下枠12bのレール24~27と、縦枠12c,12dのレール32,40との配置関係及び相互間の防水構造を説明する。
【0060】
図6Aに示すように、本実施形態の下枠12bと縦枠12c,12dとは、縦枠12c,12dの見込み面に下枠12bの小口端面を突き当てて互いに連結した構造、いわゆる縦勝ち構造とされている。
【0061】
一方、下枠12bの室外側のレール26(以下、「横レール26」と呼ぶこともある。)と、縦枠12cのレール32(以下、「室外側縦レール32」と呼ぶこともある。)とは、いわゆる横勝ち構造としている。つまりレール26,32は、横レール26の頂面26cに室外側縦レール32の端面32dを突き当てた構造である。同様に、下枠12bの室内側のレール27(以下、「横レール27」と呼ぶこともある。)と、縦枠12dのレール40(以下、「室内側縦レール40」と呼ぶこともある。)との間も、横レール27の頂面27cに室内側縦レール40の端面40dを突き当てた横勝ち構造としている。
【0062】
ここで、下枠12b及び縦枠12c,12dは、金属下枠18bと金属縦枠18c,18dがねじを用いて互いに強固に固定され、相互間の防水構造が構築されている。一方、横レール26,27と縦レール32,40との間は、頂面26cに端面32d,40dを突き当てただけの構造である。横レール26,27と縦レール32,40との間は、相互間の熱伸縮を吸収する必要があり、また材質及び構造の都合上、ねじによる固定を行うことも難しいためである。このため、このような構成では、加工公差や組立誤差、熱影響によって、縦レール32,40と横レール26,27の相互間に隙間を生じ、この隙間が室内外方向の浸水経路となってしまい、水密性能が低下する懸念がある。
【0063】
そこで、
図6A~
図6Cに示すように、本実施形態の建具10は、横レール26,27と縦レール32,40との間に止水材70による防水構造を設けている。
【0064】
止水材70は、ブチルゴムやスポンジ等で形成された防水シートであり、例えば1mm程度の厚みでよい。
図6Aに示すように、縦枠12c側において、止水材70は、室外側縦レール32の端面32dと横レール26の頂面26cとの間に挟み込まれている。縦枠12d側において、止水材70は、室内側縦レール40の端面40dと横レール27の頂面27cとの間に挟み込まれている。
図6Aでは、縦枠12c側の止水材70及びその周辺部を代表的に1点鎖線の丸印で囲んで拡大しているが、縦枠12d側の止水材70及びその周辺部も同様な構成である。
【0065】
図6A~
図6Cに示すように、下枠12bの横レール26,27は、戸車48が転動する突起26d,27dの長手方向の端部を切り欠いた切欠部26e,27eを有する。
【0066】
切欠部26eは、横レール26の縦枠12c側の端部を切り欠いたものである。切欠部26eの切欠長さは、室外側縦レール32の突出高さと同一以上としている。これにより切欠部26eは、端面32dを載置可能な平面71を頂面26cに形成する(
図6C参照)。止水材70は、この平面71に設置される。このため、止水材70は、頂面26cを形成する金属下枠18bのレール片32aと樹脂下枠20bのレール片32bとに跨った状態で配置される(
図6B及び
図6C)。このように、止水材70、切欠部26eによって形成された平面71に配置されることで、一層安定して保持される。
【0067】
図6A~
図6Cに示すように、切欠部27eは、横レール27の縦枠12d側の端部を切り欠いたものである以外、基本的な構成は切欠部26eと略左右対称構造であるため、詳細な説明は省略する。すなわち、切欠部27eも、端面40d及び止水材70を載置可能な平面71を横レール27の頂面27cに形成する。
【0068】
切欠部26e,27eは必須の構成ではない。すなわち、例えば障子14,15は、上吊り式のスライド構造等としてもよく、この場合、下枠12bのレール26,27の突起26d,27dは不要となり、切欠部26e,27eも当然不要となる。
【0069】
図7に示すように、止水材70を上から押圧する縦枠12cの端面32dには、見込み方向に沿う一対の見込み板部72a,72bと、見付け方向に沿う一対の見付け板部73a,73bとがそれぞれ設けられる。見込み板部72aは、金属縦枠18cのレール片32aと、樹脂縦枠20cのレール片32bとで構成されている。見込み板部72bは、樹脂縦枠20cの最も室外側に位置する板片(室外側端部74)で構成されている。見付け板部73aは、金属縦枠18cのレール片32aで構成されている。見付け板部73bは、樹脂縦枠20cのレール片32bで構成されている。
【0070】
このように、縦枠12c側の止水材70は、横レール26の頂面26cに設けた平面71に載置され、上から室外側縦レール32の端面32dの各板部72a,72b,73a,73bで押さえ付けられる。これにより止水材70は、見込み方向及び見付け方向の方向の押圧力を受け、安定した保持状態となる。
【0071】
特に、止水材70は、少なくとも金属縦枠18cのレール片32aに形成した金属製の見込み板部72a及び見付け板部73aで外障子14の面外方向及び面内方向に保持される。このため、仮に熱影響によって樹脂縦枠20cや樹脂下枠20bが伸縮したとしても、止水材70は金属部材で2方向に押圧されているため、安定して保持され、剥がれ落ちや位置ずれを生じることを抑制できる。しかも当該建具10は、縦レール32の金属縦枠18cに設けられたレール片32aは、横レール26の金属下枠18bに設けられたレール片26aと対向する。このため、止水材70は、これら縦横の金属部材間に挟まれ、その保持が一層安定する。
【0072】
なお、縦枠12d側の止水材70を上から押圧する室内側縦レール40の端面40dは、縦枠12cの室外側縦レール32の端面32dと略同一構造である(
図3参照)。従って、この止水材70も、
図7に示す縦枠12c側の止水材70と同様に、室内側縦レール40の端面40dに設けられた金属製の見込み板部及び見付け板部によって見込み方向及び見付け方向の方向の押圧力を受け、安定した保持状態となる。
【0073】
このように、本実施形態の建具10は、横レール26,27と左右の縦レール32,40との突き当て部からの浸水を止水材70によって抑制することができ、高い防水性能が得られる。また止水材70は、下枠12bと縦枠12c,12dとの間の組付誤差による横レール26,27と縦レール32,40との間の隙間を埋める効果もある。
【0074】
図8に示すように、止水材70は、上枠12aのレール24,25(以下、それぞれ「横レール24,25」と呼ぶこともある。)と、縦レール32,40との間に設けてもよい。
【0075】
本実施形態の場合、上枠12aの横レール24,25は、下枠12bのような突起26d,27dを持たない構成であるため、切欠部26e,27eのような端部加工は不要である。室外側縦レール32は、その上側の端面32eが横レール24の頂面24cに突き当てて配置される。同様に、室内側縦レール40は、その上側の端面40eが横レール25の頂面25cに突き当てて配置される。
【0076】
上枠12a側の横レール24,25と縦レール32,40との突き当て部は、建具10の上部にあるため、通常の建具10では、ここに止水材70を配置する必要はない。但し、建具10がより高い防水性能を必要とするような場合は、
図8中に2点鎖線で示すように、横レール24の頂面25cと、左右の縦レール32,40の端面32e,40eとの間に止水材70を挟み込んでもよい。
【0077】
なお、
図6A~
図6C中の参照符号76は、レール26の縦枠12d側の端部に被せられる外障子14の下部全開ストッパである。同様に、参照符号77は、横レール27の縦枠12c側の端部に被せられる内障子15の下部全開ストッパである。また、
図8中の参照符号78は、レール24の縦枠12d側の端部に被せられる外障子14の上部全開ストッパである。同様に、参照符号79は、レール25の縦枠12c側の端部に被せられる内障子15の上部全開ストッパである。
【0078】
上記では、下枠12bのレール26,27と左右の縦枠12c,12dのレール32,40とを、それぞれ横勝ち構造とした構成を例示した。レール26,27とレール32,40が横勝ち構造とすると、下枠12bの室外側に溜まった雨水等が室内側に浸水することを横レール26,27によって効果的に防水できるためである。しかも当該建具10は、この横レール26,27を乗り越える雨水等は止水材70によって止水でき、防水性能が一層向上する。
【0079】
しかしながら、建具10の仕様等によっては、下枠12bのレール26,27と左右の縦枠12c,12dのレール32,40とを、それぞれ縦勝ち構造とする場合も想定される。そこで、この場合は、
図6B中に2点鎖線で示すように、横レール26,27の端面26f,27fと、縦レール32,40の頂面32c,40cとの間に、止水材70を挟み込むとよい。なお、この場合も、横レール26,27の端面26f,27fは、
図4から明らかなように金属製の見込み板部及び見付け板部を有するため、安定して止水材70を保持することができる。
【0080】
以上のように、本発明の第1態様に係る建具は、縦枠と横枠とを枠組みした開口枠と、前記開口枠にスライド可能に支持される障子と、を備える建具であって、前記縦枠は、金属縦枠と、前記金属縦枠の枠内側見込み面を覆うように該金属縦枠と連結される樹脂縦枠と、全閉位置にある前記障子の戸先框を支持する縦レールと、を有し、前記横枠は、金属横枠と、前記金属横枠の枠内側見込み面を覆うように該金属横枠と連結される樹脂横枠と、前記障子の横框をスライド可能に支持する横レールと、を有し、前記縦レール及び前記横レールは、一方の端面が他方の頂面に対向するように配置されると共に、相互間に止水材が挟み込まれている。このような構成によれば、縦枠と横枠にそれぞれ形成された縦レール及び横レールは、一方の端面と他方の頂面との間に止水材を挟み込んだ状態で突き当て配置される。その結果、当該建具は、縦横のレール間の突き当て部からの浸水を抑えることができ、高い防水性能が得られる。
【0081】
前記一方の端面には、見込み方向に沿う見込み板部と、見付け方向に沿う見付け板部と、が設けられ、前記見込み板部及び前記見付け板部が前記止水材に当接している構成としてもよい。そうすると、止水材は、見込み方向及び見付け方向の2方向の板部で支持され、剥がれ落ちや位置ずれを生じることを抑制できる。
【0082】
前記横枠は、前記障子の下に配置される下枠を含み、前記一方の端面は、前記縦レールの端面であり、前記他方の頂面は、前記下枠に設けられた横レールの頂面であってもよい。そうすると、下枠の室外側に溜まった雨水等が室内側に浸水することを縦レールの下を通過する下枠の横レールによって止水できると共に、この横レールを乗り越える雨水等は止水材によって止水できる。
【0083】
前記縦枠の金属縦枠は、その枠内側見込み面から突出する第1レール片を有し、前記縦枠の樹脂縦枠は、その枠内側見込み面から突出する第2レール片を有し、前記縦レールは、その頂面で前記第1レール片と前記第2レール片とが連結されることで中空形状に構成されており、前記見込み板部及び前記見付け板部は、少なくとも金属製の前記第1レール片に形成された構成としてもよい。そうすると、止水材は、金属製の見込み板部及び見付け板部で2方向に押さえ付けられるため、一層安定して保持される。
【0084】
前記下枠の金属横枠は、その枠内側見込み面から突出する第3レール片を有し、前記下枠の樹脂横枠は、その枠内側見込み面から突出する第4レール片を有し、前記横レールは、その頂面で前記第3レール片と前記第4レール片とが連結されることで中空形状に構成されており、前記止水材は、少なくとも金属製の前記第1レール片と前記第3レール片との間に挟み込まれた構成としてもよい。そうすると、縦レールと横レールの金属部材間で止水材を保持することができ、止水材の保持が一層安定する。
【0085】
前記横レールの頂面には、前記第3レール片に形成され、前記障子の戸車が転動する突起が設けられ、前記横レールは、さらに、前記突起の長手方向での端部を切り欠いた切欠部を有し、前記止水材は、前記切欠部に配置された構成としてもよい。そうすると、止水材を横レールの頂面に切欠部によって形成した平面に配置でき、止水材の保持が一層安定する。
【0086】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0087】
10 建具、12 開口枠、12a 上枠、12b 下枠、12c,12d 縦枠、14 外障子、15 内障子、18a 金属上枠、18b 金属下枠、18c,18d 金属縦枠、24,25,26,27,32,40 レール、24c,25c、26c,27c 頂面、26d,27d 突起、26e,27e 切欠部、26f,27f,32d,32e,40d,40e 端面、70 止水材