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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182950
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/46 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
H02K3/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096249
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本石 直弘
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 文貴
(72)【発明者】
【氏名】杉野 陽介
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604AA08
5H604BB10
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC14
5H604CC15
5H604DB01
5H604PB03
(57)【要約】
【課題】固定子コイルの巻回時における絶縁ボビンのクラック等の破壊を防止し、信頼性の向上を実現する回転電機を提供する。
【解決手段】固定子コア(5)に装着される絶縁ボビン(9a、9b)は、ティース部(11)の軸方向の端面部に対向するティース端面対向部(141)と、ティース部(11)における周方向のティース側面部に対向するティース側面対向部(142a、142b)とを有し、ティース側面対向部(142a、142b)は、ティース側面部に当接する第1の当接領域(15a1、15b1)と、第1の当接領域(15a1、15b1)よりも径方向の外側でティース側面部に当接する第2の当接領域(16a1、16b1)と、第1の当接領域(15a1、15b1)と第2の当接領域16a1、16b1)との間にあって、ティース側面部に対して間隔を介して対向する中間内壁面部(142a1、142b1)とを有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在に支持されたロータシャフトに固定された回転子と、前記回転子を内包する固定子と、を備え、
前記固定子は、固定子コアと、前記固定子コアに絶縁ボビンを介して装着された固定子コイルと、を有し、
前記固定子コアは、円環状のバックヨーク部と、前記バックヨーク部から先端部が前記ロータシャフトの方向に突出するティース部を備えた回転電機であって、
前記絶縁ボビンは、前記固定子コアの両端面から前記回転電機の軸方向にそれぞれ挿入された第1の絶縁ボビンと第2の絶縁ボビンとにより構成され、
前記第1の絶縁ボビンと前記第2の絶縁ボビンとのうちの少なくとも一方は、前記固定子コイルを構成する導線が巻回される断面コ字形状のコイル巻回部を有し、
前記コイル巻回部は、前記ティース部の前記軸方向の端面部に対向するティース端面対向部と、前記ティース部における前記回転電機の周方向のティース側面部に対向するティース側面対向部と、を有し、
前記ティース側面対向部は、前記ティース側面部に当接する第1の当接領域と、前記第1の当接領域よりも前記回転電機の径方向の外側で前記ティース側面部に当接する第2の当接領域と、前記第1の当接領域と前記第2の当接領域との間にあって、前記ティース側面部に対して間隔を介して対向する中間内壁面部と、を有する、
ことを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記第1の当接領域は、前記中間内壁面部の前記径方向の内側に隣接して形成された第1の内壁面凸部により構成され、
前記第2の当接領域は、前記中間内壁面部の前記径方向の外側に隣接して形成された第2の内壁面凸部により構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記第1の当接領域は、前記ティース側面部に形成された第1のティース側面凸部に当接するように構成され、
前記第2の当接領域は、前記第1のティース側面凸部よりも前記径方向の外側で前記ティース側面部に形成された第2のティース側面凸部に当接するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項4】
前記固定子コアは、前記ティース部の前記先端部に、前記ティース側面部から前記回転電機の周方向に延びるシュー部を備え、
前記ティース側面対向部は、前記シュー部の前記周方向のシュー側面部に間隔を介して対向するシュー側面対向内壁面部を有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の回転電機。
【請求項5】
前記第1の絶縁ボビンと前記第2の絶縁ボビンとのうちの少なくとも一方は、前記ティース側面対向部の前記周方向の先端部に、前記ティース側面部から離反する方向に傾斜する傾斜面を有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の回転電機。
【請求項6】
前記第1の絶縁ボビンと前記第2の絶縁ボビンとのうちの少なくとも一方は、前記第1の当接領域と前記第2の当接領域とが、前記ティース側面部に対して隙間を有して装着されるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の回転電機。
【請求項7】
前記ティース部は、前記ティース側面部の前記径方向の外側に前記バックヨーク部の内周面部に接するティース切欠部を有し、
前記第2の内壁面凸部は、前記ティース切欠部に圧入されるように構成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の回転電機。
【請求項8】
前記第1の内壁面凸部と前記第2の内壁面凸部は、前記ティース側面対向部の根元側から先端側までの領域に形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の回転電機。
【請求項9】
前記第1の内壁面凸部と前記第2の内壁面凸部は、前記ティース側面対向部の根元側にのみ形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の回転電機。
【請求項10】
前記ティース側面対向部の根元側に、フィレット面を有する内壁面溝部を有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の回転電機。
【請求項11】
回転自在に支持されたロータシャフトに固定された回転子と、前記回転子を内包する固定子と、を備え、
前記固定子は、固定子コアと、前記固定子コアに絶縁ボビンを介して装着された固定子コイルと、を有し、
前記固定子コアは、円環状のバックヨーク部と、前記バックヨーク部から先端部が前記ロータシャフトの方向に突出するティース部を備えた回転電機であって、
前記固定子コアは、前記ティース部の前記先端部に、前記回転電機の周方向のティース側面部から前記回転電機の周方向に延びるシュー部を備え、
前記絶縁ボビンは、前記固定子コアの両端面から前記回転電機の軸方向にそれぞれ挿入された第1の絶縁ボビンと第2の絶縁ボビンとにより構成され、
前記第1の絶縁ボビンと前記第2の絶縁ボビンとのうちの少なくとも一方は、前記固定子コイルを構成する導線が巻回される断面コ字形状のコイル巻回部を有し、
前記コイル巻回部は、前記ティース部の前記軸方向の端面部に対向するティース端面対向部と、前記ティース側面部に対向するティース側面対向部と、前記シュー部の前記周方向のシュー側面部に対向するシュー側面対向内壁面部を有し、
前記シュー側面対向内壁面部は、前記シュー側面部に当接する第1の当接領域を有し、
前記ティース側面対向部は、前記ティース側面部に当接する第2の当接領域と、前記第1の当接領域と前記第2の当接領域との間にあって、前記ティース側面部に対して間隔を介して対向する中間内壁面部と、を有する、
ことを特徴とする回転電機。
【請求項12】
前記固定子コアのバックヨーク部は、バックヨーク外周面部に切欠部を有し、
前記第1の絶縁ボビンと前記第2の絶縁ボビンは、前記固定子コアの前記バックヨーク部の端面に対向するバックヨーク端面対向部を有し、
前記バックヨーク端面対向部は、前記バックヨーク部の端面の方向に突出する凸部を有し、
前記バックヨーク部の端面の方向に突出する凸部は、前記バックヨーク外周面部の切欠部に圧入されることで、前記第1の絶縁ボビンと前記第2の絶縁ボビンとが前記固定子コアに固定されるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1又は11に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、回転自在の回転子と、その回転子の外周部に空隙を介して配置された固定子と、を有し、固定子コイルが固定子コアに絶縁ボビンを介して装着された構成の回転電機が存在する。
【0003】
従来、前述の回転電機における絶縁ボビンとして、固定子コアの軸方向の両端面側からそれぞれ軸方向に沿って挿入された第1の絶縁ボビンと第2の絶縁ボビンと、により構成された構造のものが知られている (例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5178935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の従来の回転電機は、第1の絶縁ボビンと第2の絶縁ボビンとを固定子コアに装着して後、第1の絶縁ボビンと第2の絶縁ボビンを介して固定子コアに固定子コイルを巻回する工程を経て製造されるが、固定子コイルを固定子コアに巻回する工程において、第1の絶縁ボビンと第2の絶縁ボビンに固定子コイルにより過大な応力がかかり、第1の絶縁ボビンと第2の絶縁ボビンにクラックが発生する場合があるという課題があった。
【0006】
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、固定子コイルの巻回時における絶縁ボビンのクラック等の破壊を防止し、信頼性の向上を実現する回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に開示される回転電機は、
回転自在に支持されたロータシャフトに固定された回転子と、前記回転子を内包する固定子と、を備え、
前記固定子は、固定子コアと、前記固定子コアに絶縁ボビンを介して装着された固定子コイルと、を有し、
前記固定子コアは、円環状のバックヨーク部と、前記バックヨーク部から先端部が前記ロータシャフトの方向に突出するティース部を備えた回転電機であって、
前記絶縁ボビンは、前記固定子コアの両端面から前記回転電機の軸方向にそれぞれ挿入された第1の絶縁ボビンと第2の絶縁ボビンとにより構成され、
前記第1の絶縁ボビンと前記第2の絶縁ボビンとのうちの少なくとも一方は、前記固定子コイルを構成する導線が巻回される断面コ字形状のコイル巻回部を有し、
前記コイル巻回部は、前記ティース部の前記軸方向の端面部に対向するティース端面対向部と、前記ティース部における前記回転電機の周方向のティース側面部に対向するティース側面対向部と、を有し、
前記ティース側面対向部は、前記ティース側面部に当接する第1の当接領域と、前記第1の当接領域よりも前記回転電機の径方向の外側で前記ティース側面部に当接する第2の当接領域と、前記第1の当接領域と前記第2の当接領域との間にあって、前記ティース側面部に対して間隔を介して対向する中間内壁面部と、を有する、
ことを特徴とする。
【0008】
また、本願に開示される回転電機は、
回転自在に支持されたロータシャフトに固定された回転子と、前記回転子を内包する固定子と、を備え、
前記固定子は、固定子コアと、前記固定子コアに絶縁ボビンを介して装着された固定子コイルと、を有し、
前記固定子コアは、円環状のバックヨーク部と、前記バックヨーク部から先端部が前記ロータシャフトの方向に突出するティース部を備えた回転電機であって、
前記固定子コアは、前記ティース部の前記先端部に、前記回転電機の周方向のティース側面部から前記回転電機の周方向に延びるシュー部を備え、
前記絶縁ボビンは、前記固定子コアの両端面から前記回転電機の軸方向にそれぞれ挿入された第1の絶縁ボビンと第2の絶縁ボビンとにより構成され、
前記第1の絶縁ボビンと前記第2の絶縁ボビンとのうちの少なくとも一方は、前記固定子コイルを構成する導線が巻回される断面コ字形状のコイル巻回部を有し、
前記コイル巻回部は、前記ティース部の前記軸方向の端面部に対向するティース端面対向部と、前記ティース側面部に対向するティース側面対向部と、前記シュー部の前記周方向のシュー側面部に対向するシュー側面対向内壁面部を有し、
前記シュー側面対向内壁面部は、前記シュー側面部に当接する第1の当接領域を有し、
前記ティース側面対向部は、前記ティース側面部に当接する第2の当接領域と、前記第1の当接領域と前記第2の当接領域との間にあって、前記ティース側面部に対して間隔を介して対向する中間内壁面部と、を有する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願に開示される回転電機によれば、固定子コイルの巻回時における絶縁ボビンのクラック等の破壊を防止し、信頼性の向上を実現する回転電機が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1による回転電機を、軸心と直交する方向の断面で示す断面図である。
図2】実施の形態1による回転電機を、図1のX1―X1線に沿う矢印方向から視た断面図である。
図3】実施の形態1による回転電機における、固定子コアの要部を示す平面図である。
図4】実施の形態1による回転電機における、固定子コアと、その固定子コアに装着される第1の絶縁ボビンと、を示す斜視図である。
図5】実施の形態1による回転電機における、第1の絶縁ボビンを図4の矢印Aの方向から視た斜視図である。
図6】実施の形態1による回転電機における、第1の絶縁ボビンを図4の矢印Aの方向から視た正面図である。
図7】実施の形態1による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンおよび第2の絶縁ボビンを示す斜視図である。
図8】実施の形態1による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンおよび第2の絶縁ボビンを、図7の矢印Cの方向から視た側面図である。
図9】実施の形態1による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンを、図8のX2-X2線に沿う矢印方向から視た断面図である。
図10図9のY部分の拡大図である。
図11】比較例1による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンを示す断面図である。
図12】比較例2による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンを示す断面図である。
図13】比較例1による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンを、図11のX4-X4線に沿う矢印方向から視た断面図である。
図14A】比較例2による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンを、図12のX5-X5線に沿う矢印方向から視た断面図である。
図14B】比較例2による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンを、図12のX5-X5線に沿う矢印方向から視た断面図である。
図15A】実施の形態1による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンを、図9のX3-X3線に沿う矢印方向から視た断面図である。
図15B】実施の形態1による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンを、図9のX3-X3線に沿う矢印方向から視た断面図である。
図16】実施の形態2による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンを示す断面図である。
図17】実施の形態3による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンを示す断面図である。
図18】実施の形態4による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンを示す断面図である。
図19】実施の形態5による回転電機における、第1の絶縁ボビンの斜視図である。
図20】実施の形態6による回転電機における、固定子コアの上面図である。
図21】実施の形態6による回転電機における、第1の絶縁ボビンの斜視図である。
図22】実施の形態6による回転電機における、第1の絶縁ボビンの平面図である。
図23】実施の形態6による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンおよび第2の絶縁ボビンを示す側面図である。
図24】実施の形態6による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンを、図23のX6-X6線に沿う矢印方向から視た断面図である。
図25】実施の形態7による回転電機における、第1の絶縁ボビンの斜視図である。
図26】実施の形態7による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンを示す断面図である。
図27】実施の形態8による回転電機における、第1の絶縁ボビンの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本願の複数の実施の形態、および本願に対する複数の比較例について説明するが、同一符号は同一又は相当部分を示している。また、以下の説明において、「径方向」、「周方向、「軸方向」、「外径側」、「内径側」、もしくはこれらに類する用語は、説明対象の部材が回転電機に装着された場合の、回転電機を基準として定義したものである。
【0012】
実施の形態1.
実施の形態1による回転電機について、図に基づいて説明する。図1は、実施の形態1による回転電機を、軸心と直交する方向の断面で示す断面図、図2は、実施の形態1による回転電機を、図1のX1―X1線に沿う矢印方向から視た断面図である。図1および図2において、回転電機1は、固定子2と、固定子2の内部空間部に挿入された回転子3とを備えている。
【0013】
固定子2は、軸方向の両端部にそれぞれ端壁部401を有する円筒形状のフレーム4と、フレーム4の内壁面に固定された同一形状の複数個の固定子コア5と、それぞれの固定子コア5のティース部11に、後述の第1の絶縁ボビンと第2の絶縁ボビンを介して巻回された複数個の固定子コイル6と、を備えている。それぞれの固定子コア5は、複数の磁性鋼板を回転電機1の軸方向に積層して構成されている。
【0014】
同一形状の複数個の固定子コア5は、隣接する固定子コア5のバックヨーク部10のバックヨーク側面部10cに当接した状態で円環状に整列され、フレーム4の内周面部に固定されている。それぞれの固定子コア5のティース部11に巻回された複数個の固定子コイル6は、回転電機1の周方向に等間隔に配置されている。それぞれの固定子コイル6は、たとえば、固定子2の軸方向の一方の端部もしくは軸方向の両方の端部において相互に結線され、集中巻きの三相固定子コイルを構成している。
【0015】
回転子3は、たとえば、回転子コアに固定された永久磁石により構成された複数の界磁磁極(図示せず)を備え、ロータシャフト7に固定されている。ロータシャフト7は、フレーム4の一対の側壁部401に固定された一対の軸受(図示せず)により、回転自在に支持されている。
【0016】
回転電機1が電動機として動作する場合は、固定子コイル6に電流を流すことで発生する回転磁束と、界磁磁極が発生する磁束と、の相互作用に基づいて回転子3に回転力が発生し、回転子3がロータシャフト7とともに回転する。回転電機1が発電機として動作する場合は、回転子3が、たとえば内燃機関により駆動されて回転し、界磁磁極が発生する磁束が固定子コイル6と鎖交することで固定子コイル6に電圧が誘起され、その電圧に基づく電力が出力される。
【0017】
図3は、実施の形態1による回転電機における、固定子コアの要部を示す平面図である。図3において、固定子コア5は、バックヨーク部10と、ティース部11と、を有している。バックヨーク部10は、円弧形状に形成されたバックヨーク外周面部10aと、バックヨーク内周面部10bと、バックヨーク外周面部10aとバックヨーク内周面部10bとにつながる一対のバックヨーク側面部10cと、を備えている。バックヨーク外周面部10aには、バックヨーク切欠部12が設けられている。
【0018】
ティース部11は、バックヨーク部10のバックヨーク内周面部10bから回転電機1の中心軸線に向かって延びており、一対のティース側面部11a、11bと、回転子3の周面部に空隙を介して対峙するティース先端部11cと、を有している。ティース部11は、幅W1[mm]に形成されている。なお、ティース先端部11cに、シュー部を設けてもよい。
【0019】
固定子コイル6は、後述するように、固定子コア5を構成する複数の電磁鋼板の積層方向の一方のコア端面部に載置される第1の絶縁ボビンと、電磁鋼板の積層方向の他方のコア端面部に載置される第2の絶縁ボビンと、を介して固定子コア5のティース部11に巻回される。
【0020】
図4は、実施の形態1による回転電機における、固定子コアと、その固定子コアに装着される第1の絶縁ボビンと、を示す斜視図、図5は、実施の形態1による回転電機における、第1の絶縁ボビンを図4の矢印Aの方向から視た斜視図、図6は、実施の形態1による回転電機における、第1の絶縁ボビンを図4の矢印Aの方向から視た正面図である。
【0021】
図4において、第1の絶縁ボビン9aは、固定子コア5における銅線が巻回されるティース部11に装着される。より具体的には、固定子コア5の電磁鋼板5aの積層方向の一方のコア端面部51側から、第1の絶縁ボビン9aにおける絶縁ボビン開口部17を、矢印Bの方向にティース部11に挿入することで、第1の絶縁ボビン9aがティース部11に装着される。
【0022】
また、図4には図示していないが、第1の絶縁ボビン9aと同一構成の後述する第2の絶縁ボビン9bは、固定子コア5における銅線が巻回されるティース部11に装着される。より具体的には、固定子コア5の電磁鋼板5aの積層方向の他方のコア端面部52側から、第2の絶縁ボビン9bにおける絶縁ボビン開口部を、矢印Bに対して逆方向にティース部11に挿入することで、第2の絶縁ボビン9bがティース部11に装着される。このようにして、固定子コア5のティース部11には、第1の絶縁ボビン9aが一方のコア端面部51を覆うように装着され、第2の絶縁ボビン9bが他方のコア端面部52を覆うように装着される。
【0023】
図4図5、および図6において、第1の絶縁ボビン9aは、固定子コア5のバックヨーク部10の積層方向の一方の端面部に対向するバックヨーク端面対向部13と、バックヨーク端面対向部13に一体に結合され、ティース部11の積層方向の一方の端面に対向するティース端面対向部141と、ティース側面部11aに対向するティース側面対向部142aと、ティース側面部11bに対向するティース側面対向部142bと、を備えている。ティース端面対向部141とティース側面対向部142a、142bとは、固定子コイル6を構成する銅線が巻回される断面コ字形状のコイル巻回部14を構成している。
【0024】
また、第1の絶縁ボビン9aは、コイル巻回部14の外面部の一方の端部に形成され、固定子コイル6がコイル巻回部14からはみ出るのを防止する第1の鍔部15と、コイル巻回部14の外面部の他方の端部に形成され、固定子コイル6がコイル巻回部14からはみ出るのを防止する第2の鍔部16と、を備えている。
【0025】
図4に示されるように、第1の絶縁ボビン9aにおける反固定子コア5側には、第1の鍔部15と、コイル巻回部14の外面部と、第2の鍔部16と、バックヨーク端面対向部13の反バックヨークヨーク部10側の表面部と、が露出している。コイル巻回部14の外面部には、フィレット面14a、14bが形成されている。
【0026】
また、図6に示すように、第1の絶縁ボビン9aの固定子コア5側である内側には、固定子コア5のティース部11に対向する領域E1のティース端面対向表面部141aと、固定子コア5のバックヨーク部10に対向するバックヨーク端面対向表面部13aと、が露出している。バックヨーク端面対向部13は、固定子コア5のバックヨーク部10に対向するバックヨーク端面対向表面部13aから、バックヨーク部10側に突出する凸部131を備えている。
【0027】
バックヨーク端面対向部13と、コイル巻回部14と、第1の鍔部15と、第2の鍔部16と、は合成樹脂などの絶縁物を一体成形して構成されている。第1の絶縁ボビン9aがティース部11に装着されたとき、第1の鍔部15は回転電機1の径方向の内側に位置し、第2の鍔部16は、回転電機1の径方向の外側に位置する。
【0028】
第2の鍔部16には、固定子コア5におけるバックヨーク内周面部10bに対向するバックヨーク内周面対向部162a、162bが形成されている。バックヨーク内周面対向部162a、162bの厚さ寸法は、第2の鍔部16の厚さ寸法よりも小さく形成されている。バックヨーク内周面対向部162a、162bは、バックヨーク端面対向部13のバックヨーク端面対向表面部13aから垂直に突出するように形成されている。
【0029】
第1の絶縁ボビン9aが、固定子コア5の一方のコア端面部51側から固定子コア5のティース部11に装着されたとき、第1の絶縁ボビン9aの凸部131の側面部131aは、固定子コア5のバックヨーク切欠部12の側面部12aに圧接されるとともに、第1の絶縁ボビン9aのバックヨーク内周面対向部162a、162bは、固定子コア5のバックヨーク内周面部10bに圧接される。
【0030】
第1の絶縁ボビン9aの内側における、固定子コア5のティース部11に対向する前述の領域E1は、ティース部11の一方のコア端面部51に対向するティース端面対向表面部141aと、ティース側面部11aに対向する中間内壁面部142a1と、ティース側面部11bに対向する中間内壁面部142b1と、を含む。
【0031】
中間内壁面部142a1の端縁に隣接して、第1の当接領域としての内壁面凸部15a1と、第2の当接領域としての内壁面凸部16a1が形成されている。また、中間内壁面部142b1の端縁に隣接して、第1の当接領域としての内壁面凸部15b1と、第2の当接領域としての内壁面凸部16b1が形成されている。互いに対向する内壁面凸部15a1、15b1の間の間隔W2a[mm]と、互いに対向する内壁面凸部16a1,16b1の間の間隔W2b[mm]と、は同一の寸法に形成されている。
【0032】
内壁面凸部15a1と内壁面凸部16a1との間の領域E2aには、前述の中間内壁面部142a1が形成され、内壁面凸部15b1と内壁面凸部16b1との間の領域E2bには、前述の中間内壁面部142b1が形成されている。これらの中間内壁面部142a1、142b1は、間隔W2c[mm]を介して対向している。
【0033】
互いに対向する内壁面凸部15a1、15b1の間の間隔W2a[mm]と、互いに対向する内壁面凸部16a1、16b1の間の間隔W2b[mm]と、互いに対抗する中間内壁面部142a1、142b1の間の間隔W2c[mm]と、固定子コア5のティース部11の幅W1[mm]と、は下記の関係を有する。
W2a=W2b
W2c>(W2a、W2b)
W1≦(W2a、W2b)
【0034】
なお、第2の絶縁ボビン9bは、第1の絶縁ボビン9aと同一構成であり、その説明は省略する。
【0035】
図7は、実施の形態1による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンおよび第2の絶縁ボビンを示す斜視図、図8は、実施の形態1による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンおよび第2の絶縁ボビンを、図7の矢印Cの方向から視た側面図であって、それぞれ、第1の絶縁ボビン9aを図4の矢印Bの方向に沿って固定子コア5に装着し、第2の絶縁ボビン9bを矢印Bに対して逆方向から固定子コア5に装着した状態を示している。図9は、実施の形態1による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンを、図8のX2-X2線に沿う矢印方向から視た断面図、図10は、図9のY部分の拡大図である。
【0036】
図7図8図9、および図10において、第1の絶縁ボビン9aと第2の絶縁ボビン9bは、固定子コア5の両方のコア端面部51、52側から、固定子コア5にそれぞれ装着される。このとき、第1の絶縁ボビン9aと第2の絶縁ボビン9bとにおけるバックヨーク内周面対向部162a、162bが、バックヨーク内周面部10bに当接するとともに、バックヨーク端面対向部13に設けられた凸部131の側面部131aが、バックヨーク外周面部10aに設けられたバックヨーク切欠部12の側面部12aに当接する。
【0037】
凸部131の側面部131aは、傾斜面を備えており、第1の絶縁ボビン9aと第2の絶縁ボビン9bとを固定子コア5に装着したとき、凸部131の側面部131aが、バックヨーク部10におけるバックヨーク切欠部12の側面部12aに押圧された状態となり、固定子コア5に対して、第1の絶縁ボビン9aと第2の絶縁ボビン9bとは固定子コア5に確実に固定される。
【0038】
なお、図8に示すように、固定子コア5の積層方向の矢印Dに示す範囲で、ティース側面部11a、11bと、バックヨーク内周面部10bが露出しているが、固定子コア5と固定子コイル6との間の電気的絶縁を確保するために、第1の絶縁ボビン9aおよび第2の絶縁ボビン9bを、ティース部11の積層方向に図7に示す場合よりも長くして、ティース側面部11a、11bを完全に覆うようにしてもよい。あるいは、ティース側面部11a、11bと、バックヨーク内周面部10bと、の露出している部分に、絶縁シートを貼り付けても良い。
【0039】
前述のように、実施の形態1による回転電機は、第1の絶縁ボビン9aと第2の絶縁ボビン9bとの内側における領域E1には、中間内壁面部142a1の両側に隣接して内壁面凸部15a1、16a1がそれぞれ設けられ、中間内壁面部142b1の両側に隣接して内壁面凸部15b1、16b1がそれぞれ設けられているが、内壁面凸部15a1、16a1、15b1、16b1は、ティース部11の積層方向に延びる突条体に形成されている。
【0040】
内壁面凸部15a1、16a1に挟まれた中間内壁面部142a1は、内壁面凸部15a1、16a1の頂面部から陥没した平面部として形成されている。同様に、内壁面凸部15b1、16b1に挟まれた中間内壁面部142b1は、内壁面凸部15b1、16b1の頂面部から陥没した平面部として形成されている。
【0041】
そのため、第1の絶縁ボビン9aと第2の絶縁ボビン9bとを固定子コアに装着した状態においては、ティース側面部11aと内壁面凸部15a1、16a1とが当接し、また、ティース側面部11bと内壁面凸部15b1、16b1とが当接し、図6に示す領域E2aにおいて、中間内壁面部142a1とティース側面部11aとの間には空間部が形成され、領域E2bにおいて、中間内壁面部142b1とティース側面部11bとの間には空間部が形成される。
【0042】
つぎに、実施の形態1による回転電機の特徴をより明確にするため、比較例による回転電機について説明する。
【0043】
比較例1.
図11は、比較例1による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンを示す断面図であって、本願の実施の形態1による回転電機と同一又は相当する部分には、それと同一符号を付してある。図11において、比較例1による第1の絶縁ボビン9aは、本願の実施の形態1による回転電機における第1の絶縁ボビン9aが備える前述の内壁面凸部と、内壁面凸部の頂面から陥没した中間内壁面部は存在しない。
【0044】
その他の構成は、実施の形態1の回転電機と同様である。以下の比較例1の説明では、第1の絶縁ボビン9aを用いて説明するが、第2の絶縁ボビン(図示せず)についても同様である。
【0045】
一般に、製造される部材もしくは部品品は、必ず寸法公差を有しているため、固定子コア5のティース部11の幅W1と、ティース側面部11a、11bに対向する第1の絶縁ボビン9aのティース側面対向部142a、142bの間の間隔W2と、を完全に[W1=W2]とすることができず、したがって、ティース側面部11a、11bと、ティース側面対向部142a、142bとの間の隙間を「0」にすることはできない。
【0046】
[W1>W2]の場合には、第1の絶縁ボビン9aは、ティース部11に圧入により装着され、[W1<W2]の場合には、第1の絶縁ボビン9aは、ティース部11に隙間を有して装着されることになる。図11に示す比較例1の第1の絶縁ボビン9aでは、ティース側面対向部142a、142bの内壁面部に凹凸はなく、かつ、[W1>W2]である場合を示している。
【0047】
図13は、比較例1による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンを、図11のX4-X4線に沿う矢印方向から視た断面図である。図13において、矢印F1で示す方向を、ティース側面対向部142a、142bの先端側、矢印F2で示す方向を、ティース側面対向部142a、142bの根元側とすると、第1の絶縁ボビン9aをティース部11に圧入により装着した場合は、矢印F2で示すティース側面対向部142a、142bの根元側と、ティース端面対向部141と、が交差する角部Gにおいて、ティース側面対向部142a、142bの内壁面部142a1、142b1がティース部11の角部と接触する。
【0048】
このため、角部Gを起点として、ティース側面対向部142a、142bの矢印F1で示す先端側が、ティース側面部11a、11bから離間する方向に、第1の絶縁ボビン9aが曲げ変形することになり、角部Gにおいて、矢印F2で示すティース側面対向部142a、142bの根元側に大きな引張応力が加わることになる。
【0049】
さらに、コイルの巻回時に、コイル巻回部14のフィレット面14a、14b、およびティース側面対向部142a、142bの外側面に、周方向の荷重が加わり、第1の絶縁ボビン9aの曲げ変形量が増加し、第1の絶縁ボビン9aに対する引張応力が増加する。そのため、コイル巻回部14の特に中央付近は、第1の鍔部15、第2の鍔部16がなく、剛性が低いので、ティース側面対向部142a、142bの矢印F2で示す根元部分に、クラックが発生する可能性がある。
【0050】
比較例2.
図12は、比較例2による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンを示す断面図である。比較例2の第1の絶縁ボビン9aでは、ティース側面対向部142a、142bの内壁面部142a1、142b1に凹凸はなく、[W1<W2]となっている。その他の構成は、比較例1と同様である。
【0051】
図14A図14Bは、比較例2による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンを、図12のX5-X5線に沿う矢印方向から視た断面図である。比較例2の場合、第1の絶縁ボビン9aは、ティース側面部11a、11bと、ティース側面対向部142a、142bの内壁面部142a1、142b1と、の間に隙間を有した状態で、ティース部11に装着されている。したがって、図14Aに示すように、第1の絶縁ボビン9aをティース部11に装着したときは、ティース側面対向部142a、142bの矢印F2で示す根元側と、ティース側面部11a、11bと、が接触しないため、角部Gには引張応力はかからない。
【0052】
しかし、ティース側面部11a、11bと、ティース側面対向部142a、142bの中間内壁面部142a1、142b1と、の間に、周方向のクリアランスHを有しており、中間内壁面部142a1、142b1には前述の実施の形態1のような内壁面凸部15a1、15b1、16a1、16b1を備えていないため、コイルの巻回時に、第1の絶縁ボビン9aのフィレット面14a、14bと、ティース側面対向部142a、142bの外側面と、に周方向の荷重がかかる。
【0053】
このため、たとえば、図14Bに示すように、コイル巻回部14が全体的に矢印Jで示す周方向にずれ、ティース側面対向部142bの根元側と、ティース端面対向部141と、が交差する角部Gにおいて、コイル巻回部14の内壁面がティース側面部11bと接触し、ティース側面対向部142bの根元部分を起点として、ティース側面対向部142bの先端部が、ティース側面部11bから離間する方向に曲げ変形する。
【0054】
したがって、コイル巻回部14の角部Gに大きな引張応力がかかり、コイル巻回部14の特に中央付近は、第1の鍔部15と第2の鍔部16が存在しないので剛性が低いため、ティース側面対向部142bの根元側にクラックが発生する可能性がある。
【0055】
以上、比較例1の回転電機、および比較例2の回転電機について説明したが、実施の形態1による回転電機は、比較例1および比較例2の回転電機における上記のような課題を解決することができる。図15A図15Bは、実施の形態1による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンを、図9のX3-X3線に沿う矢印方向から視た断面図である。
【0056】
比較例1、比較例2の回転電機に対し、実施の形態1による回転電機では、図9図10図15A図15Bに示すように、第1の絶縁ボビン9aと第2の絶縁ボビン9bにおいて、中間内壁面部142a1、142b1とティース側面部11a、11bとの間に、クリアランスとしての空間部が形成されるため、第1の絶縁ボビン9aと第2の絶縁ボビン9bを介して固定子コイル6をティース部11に巻回しても、第1の絶縁ボビン9aと第2の絶縁ボビン9bに引張応力がかかることはない。
【0057】
また、固定子コイル6の巻線時に、第1の絶縁ボビン9aと第2の絶縁ボビン9bにおける、ティース側面対向部142a、142bに周方向の荷重がかかり、コイル巻回部14が全体的にティース部11に対して周方向にずれた場合においても、内壁面凸部15a1、16a1がティース側面部11aに当接しており、また、内壁面凸部15b1、16b1がティース側面部11bに当接しており、第1の絶縁ボビン9aと第2の絶縁ボビン9bの周方向の位置が規制されているため、中間内壁面部142a1、142b1とティース側面部11a、11bとの間の空間は、確実に維持される。
【0058】
一般的に、樹脂材料には、圧縮強度の方が引張強度よりも大きいという特性があり、引張応力よりも圧縮応力が発生するように構成した方が樹脂材料に割れなどの損傷が発生し難い。実施の形態1による回転電機では、たとえば樹脂材料により形成された第1の絶縁ボビン9aと第2の絶縁ボビン9bとを、前述のように固定子コア5に装着して固定子コイル6を巻回するとき、第1の鍔部15と第2の鍔部16との間の剛性が低いコイル巻回部14の中央付近に位置する中間内壁面部142a1、142b1においても、ティース側面との間に空間が確実に維持される。
【0059】
このため、固定子コイル6の巻回時に、ティース端面対向部141のフィレット面14a、14bとティース側面対向部142a、142bとに周方向に荷重がかかった場合においても、コイル巻回部14の周方向位置が、剛性の高い第1の鍔部15に対応する位置に配置された内壁面凸部15a1、15b1と、剛性の高い第2の鍔部16に対応する位置に配置された内壁面凸部16a1、16b1と、によりコイル巻回部14の変位が強固に規制される。
【0060】
したがって、角部Gを起点として、ティース側面対向部142a、142bの先端側がティース側面部11a、11bから離間する方向に曲げられることはなく、ティース側面対向部142a、142bの先端側がティース側面部11a、11bに近づく方向に曲げられ、角部Gには圧縮応力が発生することになり、コイル巻回部14の角部Gに割れが発生することを防止することができ、固定子コイル6と固定子コア5との間の絶縁の信頼性を向上させることができる。
【0061】
なお、この実施の形態1による回転電機では、第1の絶縁ボビン9aと第2の絶縁ボビン9bとの双方において、クラックの発生を防止できるよう同様の構成とした場合について説明を行ったが、たとえば、第1の絶縁ボビン9aと第2の絶縁ボビン9bとで剛性が相違し、あるいは固定子コイル6により加わる応力に違いがある場合、もしくは第1の絶縁ボビン9aと第2の絶縁ボビン9bとのうちの一方について、他方とは別の構成を用いることによりクラックの発生の可能性を低減させる場合など、第1の絶縁ボビン9aと、第2の絶縁ボビン9bとの間でクラックが発生する可能性に差がある場合においては、適宜、相対的にクラックが発生する可能性が高い絶縁ボビンにのみ、前述の構成を採るようにしてもよい。
【0062】
実施の形態2.
図16は、実施の形態2による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンを示す断面図であって、実施の形態1の回転電機と同一又は相当する部分には同一符号を付してある。実施の形態2による回転電機の説明では、実施の形態1による回転電機と異なる点のみを説明する。図16に示すように、ティース部11の径方向の先端に、周方向に延びるシュー部111が設けられている。
【0063】
第1の絶縁ボビン9aは、第1の鍔部15の内面部に、シュー部111におけるシュー側面部111a、111bと間隔を介して対向するシュー側面対向内壁面部151a、151bを備えている。また、中間内壁面部142a1に隣接して内壁面凸部15a1,16a1が設けられ、中間内壁面部142b1に隣接して内壁面凸部15b1,16b1が設けられている。
【0064】
ティース部11のシュー部111の側面部とシュー側面対向内壁面部151a、151bとは、周方向に隙間を介して離間している。第1の絶縁ボビン9aと第2の絶縁ボビン9bを固定子コア5へ装着するとき、および固定子コイル6を第1の絶縁ボビン9aと第2の絶縁ボビン9bを介してティース部11へ巻回するとき、内壁面凸部15a1,16a1、15b1,16b1が、ティース側面部11a、11bに当接しており、ティース部11のシュー部111の側面部とシュー側面対向内壁面部151a、151bとは、離間された状態が保たれる。第2の絶縁ボビン9b(図示せず)の構成は、第1の絶縁ボビン9aと同様である。その他の構成は、実施の形態1による回転電機と同様である。
【0065】
実施の形態2による回転電機によれば、ティース部11にシュー部111を備えているが、中間内壁面部142a1、142b1は、ティース側面部11a、11bに対して周方向の空間が確実に維持されるため、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0066】
実施の形態3.
図17は、実施の形態3による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンを示す断面図であって、実施の形態2の回転電機と同一又は相当する部分には同一符号を付してある。実施の形態3による回転電機の説明では、実施の形態2による回転電機と異なる点のみ説明する。図17に示すように、実施の形態3による回転電機では、実施の形態2による回転電機と同様に、ティース部11の径方向の先端に、周方向に延びるシュー部111が設けられている。
【0067】
第1の絶縁ボビン9aは、第1の鍔部15の内面部に、シュー部111におけるシュー側面部111a、111bと対向するシュー側面対向内壁面部151a、151bを備えている。また、バックヨーク内周面対向部162a、162bに対応する内面部に、中間内壁面部142a1、142b1にそれぞれ隣接して内壁面凸部16a1,16b1が設けられている。第2の絶縁ボビン9b(図示せず)の構成は、第1の絶縁ボビン9aと同様である。その他の構成は、実施の形態2による回転電機と同様である。
【0068】
実施の形態3による回転電機では、シュー側面対向内壁面部151a、151bとシュー側面部111a、111bとが当接し、内壁面凸部16a1,16b1とティース側面部11a、11bとが当接することで、領域E3での中間内壁面部142a1、142b1と、ティース側面部11a、11bとの間に空間が維持されるように構成されている。このように構成することで、ティース部11にシュー部111が設けられていても、中間内壁面部142a1、142b1と、ティース側面部11a、11bとの間の空間が確実に維持されるため、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0069】
実施の形態4.
図18は、実施の形態4による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンを示す断面図であって、実施の形態1の回転電機と同一又は相当する部分には同一符号を付してある。実施の形態4による回転電機の説明では、実施の形態1による回転電機と異なる点のみ説明する。実施の形態4による回転電機では、第1の絶縁ボビン9aのティース側面対向部142a、142bの内壁面には内壁面凸部が設けられておらず、ティース側面部11a、11bの内径側にティース側面凸部11a1、11b1が設けられ、ティース側面部11a、11bの外径側にティース側面凸部11a2、11b2が設けられている。第2の絶縁ボビン9b(図示せず)の構成は、第1の絶縁ボビン9aと同様である。その他の構成は、実施の形態1による回転電機と同様である。
【0070】
この実施の形態4による回転電機によれば、ティース部11の内径側のティース側面凸部11a1,11b1と、ティース部11の外径側のティース側面凸部11a2,11b2と、の間の領域E4において、ティース側面部11a、11bと、中間内壁面部142a1、142b1と、の間に間隙が形成される。
【0071】
第1の絶縁ボビン9aと第2の絶縁ボビン9bを固定子コア5へ装着するとき、および固定子コイル6を第1の絶縁ボビン9aと第2の絶縁ボビン9bを介してティース部11へ巻線するとき、ティース側面凸部11a1,11b1、11a2,11b2が、コイル巻回部14の内壁面に当接しており、ティース側面部11a、11bと、中間内壁面部142a1、142b1と、の間に空間が確実に維持されるので、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0072】
なお、図示していないが、ティース部11の先端にシュー部が設けられている場合は、実施の形態3の場合と同様に、第1の絶縁ボビンと第2の絶縁ボビンの内壁部にシュー側面対向内壁面部を設け、シュー側面対向内壁面部とシュー側面部とを当接させるようにしてもよい。また、シュー側面対向内壁面部とシュー側面部とを当接させず、ティース側面凸部とコイル巻回部の内壁面との当接により、シュー部の側面と第1の絶縁ボビンと第2の絶縁ボビンの内壁部との間に空間を維持させる構成としてもよい。
【0073】
実施の形態5.
図19は、実施の形態5による回転電機における、第1の絶縁ボビンの斜視図である。実施の形態1の回転電機と同一又は相当する部分には同一符号を付してある。実施の形態5による回転電機の説明では、実施の形態1による回転電機と異なる点のみ説明する。実施の形態5による回転電機では、第1の絶縁ボビン9aにおける、内壁面凸部15a1、15b1、16a1、16b1と、中間内壁面部142a1、142b1との、矢印F1で示す先端側に、傾斜面142as、142bsを設けている。第2の絶縁ボビン9b(図示せず)の構成は、第1の絶縁ボビン9aと同様である。その他の構成は、実施の形態1による回転電機と同様である。
【0074】
実施の形態5による回転電機によれば、実施の形態1の回転電機と同様の効果を得ることができるほか、固定子コア5のティース部11へ、第1の絶縁ボビン9a及び第2の絶縁ボビン9bを容易に挿入することができ、固定子コア5への第1の絶縁ボビン9a及び第2の絶縁ボビン9bの装着性を向上させることができる。
【0075】
なお、図19では、傾斜面142as、142bsを、コイル巻回部14の内側の矢印F1で示す先端側のみに設けているが、矢印F2で示す根元側から、なだらかに先端側までティース側面部11a、11bから離反する方向に変化する傾斜面としてもよい。
【0076】
実施の形態6.
図20は、実施の形態6による回転電機における、固定子コアの上面図、図21は、実施の形態6による回転電機における、第1の絶縁ボビンの斜視図、図22は、実施の形態6による回転電機における、第1の絶縁ボビンの平面図、図23は、実施の形態6による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンおよび第2の絶縁ボビンを示す側面図、図24は、実施の形態6による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンを、図23のX6-X6線に沿う矢印方向から視た断面図であって、実施の形態1の回転電機と同一又は相当する部分には同一符号を付してある。実施の形態6による回転電機の説明では、実施の形態1による回転電機と異なる点のみ説明する。
【0077】
図20に示すように、実施の形態6による回転電機の固定子コア5は、実施の形態1の場合とは異なり、バックヨーク外周面部10aにバックヨーク切欠部12を備えていない。実施の形態6による固定子コア5は、ティース側面部11aの外径側に、バックヨーク内周面部10bに接して形成されたティース切欠部115aが形成され、ティース側面部11bの外径側に、バックヨーク内周面部10bに接して形成されたティース切欠部115bが設けられている。ティース切欠部115aとティース切欠部115bとの間の幅K2[mm]と、ティース部11の周方向の幅K1[mm]とは、[K1>K2]の関係を有する。
【0078】
図21図22に示すように、実施の形態6による回転電機における第1の絶縁ボビン9aは、実施の形態1における第1の絶縁ボビン9aのバックヨーク端面対向部13に設けられていた凸部131を備えていない。実施の形態6における第1の絶縁ボビン9aは、第1の絶縁ボビン9aの内側に、中間内壁面部142a1に接して内壁面凸部15a1、16a1が設けられ、また、中間内壁面部142b1に接して内壁面凸部15b1、16b1が設けられている。第2の絶縁ボビン9b(図示せず)の構成は、第1の絶縁ボビン9aと同様である。
【0079】
内壁面凸部15a1、15b1の間の間隔K3[mm]と、中間内壁面部142a1、142b1の間の間隔K4[mm]と、内壁面凸部16a1、16b1の間の間隔K5[mm]とは、[K5<K3<K4]の関係を有する。また、固定子コア5のティース部11と第1の絶縁ボビン9aとの幅に関しては、[K1≦K3]、[K2≦K5]の関係を有している。
【0080】
図23に示すように、第1の絶縁ボビン9aと第2の絶縁ボビン9bとは、固定子コア5の積層方向の両側から固定子コア5に装着されるが、その装着時には、図24に示すように、内壁面凸部16a1がティース切欠部115aに圧入され、内壁面凸部16b1がティース切欠部115bに圧入されることで、第1の絶縁ボビン9aと第2の絶縁ボビン9bとは固定子コア5に固定される。
【0081】
実施の形態6による回転電機によれば、実施の形態1による回転電機と同様に、コイル巻回時に、第1の絶縁ボビン9aと第2の絶縁ボビン9bにおけるコイル巻回部14の全体が周方向にずれた場合でも、内壁面凸部15a1、15b1、16a1、16b1が、ティース側面部11a、11bに当接し、中間内壁面部142a1、142b1とティース側面部11a、11bとの間に周方向の空間が確実に維持されるため、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、内壁面凸部16a1がティース切欠部115aに圧入され、内壁面凸部16b1がティース切欠部115bに圧入されることで、第1の絶縁ボビン9aと第2の絶縁ボビン9bとをより確実に固定子コア5に固定することができる。
【0082】
実施の形態7.
図25は、実施の形態7による回転電機における、第1の絶縁ボビンの斜視図、図26は、実施の形態7による回転電機における、固定子コアに装着された第1の絶縁ボビンを示す断面図であって、実施の形態1の回転電機と同一又は相当する部分には同一符号を付してある。実施の形態5による回転電機の説明では、実施の形態1による回転電機と異なる点のみ説明する。
【0083】
図25において、第1の絶縁ボビン9aには、内壁面凸部15a1、16a1と中間内壁面部142a1における矢印F2で示される根元部分に、フィレット面18a1を有する内壁面溝部18aが設けられ、内壁面凸部15b1、16b1と中間内壁面部142b1とにおける矢印F2で示される根元部分に、フィレット面18b1を有する内壁面溝部18bが設けられている。
【0084】
より具体的に述べれば、図26に示すように、フィレット面18a1を有する内壁面溝部18aは、コイル巻回部14におけるティース側面部11aに対向する内壁壁面と、ティース端面対向部141の内壁面と、が交差する第1の絶縁ボビン9aの内側の部位に形成されている。また、フィレット面18b1を有する内壁面溝部18bは、コイル巻回部14におけるティース側面部11bに対向する内壁壁面と、ティース端面対向部141におけるティース端面部に対向する内壁面と、が交差する第1の絶縁ボビン9aの内側の部位に形成されている。第2の絶縁ボビン9b(図示せず)の構成は、第1の絶縁ボビン9aと同様である。
【0085】
第1の絶縁ボビン9aは、コイル巻線時において、中間内壁面部142a1、142b1の径方向の先端部がティース側面部11a、11bに近づく方向に変形し、コイル巻回部14の角部の応力を引張応力から圧縮応力に変化させることで割れを防止しているが、より信頼性を向上させるためには、圧縮応力がより小さいことが望ましい。コイル巻回部14の角部では応力集中係数が高いため、フィレット面14a、14bを設けることで、応力集中係数を低くして応力をさらに低減することが可能である。
【0086】
しかし、単に、コイル巻回部14の角部にフィレット面14a、14bを設けただけの場合には、フィレット面14a、14bの内側が固定子コア5のティース側面部11a、11bと接触する可能性があるため、その接触を回避するために、中間内壁面部142a1、142b1間の間隔を広くする必要があり、隣接する固定子コイル6間のスペースを減少させてしまうことになる。
【0087】
そこで、実施の形態7による回転電機によれば、内壁面凸部15a1、16a1と中間内壁面部142a1とにおける矢印F2で示される根元側に、フィレット面18a1を有する内壁面溝部18aを設け、内壁面凸部15b1、16b1と中間内壁面部142b1とにおける矢印F2で示される根元側に、フィレット面18b1を有する内壁面溝部18bを設けている。
【0088】
これにより、中間内壁面部142a1、142b1間の間隔を大きくすることなくフィレット面14a、14bの内壁面とティース側面部11a、11bとの接触を防止することができる。
【0089】
実施の形態8.
図27は、実施の形態8による回転電機における、第1の絶縁ボビンの斜視図であって、実施の形態1の回転電機と同一又は相当する部分には同一符号を付してある。実施の形態8による回転電機の説明では、実施の形態1による回転電機と異なる点のみ説明する。図27に示すように、実施の形態8による回転電機では、内壁面凸部15a1、15b1、16a1、16b1は、コイル巻回部14の内壁面部142a1、142b1の根元側にのみ設けられている。第2の絶縁ボビン9b(図示せず)の構成は、第1の絶縁ボビン9aと同様である。その他の構成は、実施の形態1による回転電機と同様である。
【0090】
以上述べた各実施の形態による回転電機によれば、固定子コイルの巻回時に、第1の絶縁ボビン及び第2の絶縁ボビンにおけるコイル巻回部の内側とティース側面部とを、内径側と外径側の当接領域で当接させることで、コイル巻回部のティース側面部と対向する内壁部の中間領域と、ティース側面部と、の間の空間を確実に維持し、コイル巻回部のティース側壁部に対向する内壁部の中間領域の根元部分に加わる引張応力を低減し、絶縁ボビンの割れを防止することができ、固定子コアと固定子コイルとの間の絶縁を確実に確保することができる。
【0091】
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。したがって、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【0092】
つぎに、本願に開示した回転電機の態様を、以下に付記として記載する。
(付記1)
回転自在に支持されたロータシャフトに固定された回転子と、前記回転子を内包する固定子と、を備え、
前記固定子は、固定子コアと、前記固定子コアに絶縁ボビンを介して装着された固定子コイルと、を有し、
前記固定子コアは、円環状のバックヨーク部と、前記バックヨーク部から先端部が前記ロータシャフトの方向に突出するティース部を備えた回転電機であって、
前記絶縁ボビンは、前記固定子コアの両端面から前記回転電機の軸方向にそれぞれ挿入された第1の絶縁ボビンと第2の絶縁ボビンとにより構成され、
前記第1の絶縁ボビンと前記第2の絶縁ボビンとのうちの少なくとも一方は、前記固定子コイルを構成する導線が巻回される断面コ字形状のコイル巻回部を有し、
前記コイル巻回部は、前記ティース部の前記軸方向の端面部に対向するティース端面対向部と、前記ティース部における前記回転電機の周方向のティース側面部に対向するティース側面対向部と、を有し、
前記ティース側面対向部は、前記ティース側面部に当接する第1の当接領域と、前記第1の当接領域よりも前記回転電機の径方向の外側で前記ティース側面部に当接する第2の当接領域と、前記第1の当接領域と前記第2の当接領域との間にあって、前記ティース側面部に対して間隔を介して対向する中間内壁面部と、を有する、
ことを特徴とする回転電機。
(付記2)
前記第1の当接領域は、前記中間内壁面部の前記径方向の内側に隣接して形成された第1の内壁面凸部により構成され、
前記第2の当接領域は、前記中間内壁面部の前記径方向の外側に隣接して形成された第2の内壁面凸部により構成されている、
ことを特徴とする付記1に記載の回転電機。
(付記3)
前記第1の当接領域は、前記ティース側面部に形成された第1のティース側面凸部に当接するように構成され、
前記第2の当接領域は、前記第1のティース側面凸部よりも前記径方向の外側で前記ティース側面部に形成された第2のティース側面凸部に当接するように構成されている、
ことを特徴とする付記1に記載の回転電機。
(付記4)
前記固定子コアは、前記ティース部の前記先端部に、前記ティース側面部から前記回転電機の周方向に延びるシュー部を備え、
ティース側面対向部は、前記シュー部の前記周方向のシュー側面部に間隔を介して対向するシュー側面対向内壁面部を有する、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の回転電機。
(付記5)
前記第1の絶縁ボビンと前記第2の絶縁ボビンとのうちの少なくとも一方は、前記ティース側面対向部の前記周方向の先端部に、前記ティース側面部から離反する方向に傾斜する傾斜面を有する、
ことを特徴とする付記1から4のうちの何れか一つに記載の回転電機。
(付記6)
前記第1の絶縁ボビンと前記第2の絶縁ボビンとのうちの少なくとも一方は、前記第1の当接領域と前記第2の当接領域とが、前記ティース側面部に対して隙間を有して装着されるように構成されている、
ことを特徴とする付記1から5のうちの何れか一つに記載の回転電機。
(付記7)
前記ティース部は、前記ティース側面部の前記径方向の外側に前記バックヨーク部の内周面部に接するティース切欠部を有し、
前記第2の内壁面凸部は、前記ティース切欠部に圧入されるように構成されている、
ことを特徴とする付記2に記載の回転電機。
(付記8)
前記第1の内壁面凸部と前記第2の内壁面凸部は、前記ティース側面対向部の根元側から先端側までの領域に形成されている、
ことを特徴とする付記2に記載の回転電機。
(付記9)
前記第1の内壁面凸部と前記第2の内壁面凸部は、前記ティース側面対向部の根元側にのみ形成されている、
ことを特徴とする付記2に記載の回転電機。
(付記10)
前記ティース側面対向部の根元側に、フィレット面を有する内壁面溝部を有する、
ことを特徴とする付記1から9のうちの何れか一つに記載の回転電機。
(付記11)
回転自在に支持されたロータシャフトに固定された回転子と、前記回転子を内包する固定子と、を備え、
前記固定子は、固定子コアと、前記固定子コアに絶縁ボビンを介して装着された固定子コイルと、を有し、
前記固定子コアは、円環状のバックヨーク部と、前記バックヨーク部から先端部が前記ロータシャフトの方向に突出するティース部を備えた回転電機であって、
前記固定子コアは、前記ティース部の前記先端部に、前記回転電機の周方向のティース側面部から前記回転電機の周方向に延びるシュー部を備え、
前記絶縁ボビンは、前記固定子コアの両端面から前記回転電機の軸方向にそれぞれ挿入された第1の絶縁ボビンと第2の絶縁ボビンとにより構成され、
前記第1の絶縁ボビンと前記第2の絶縁ボビンとのうちの少なくとも一方は、前記固定子コイルを構成する導線が巻回される断面コ字形状のコイル巻回部を有し、
前記コイル巻回部は、前記ティース部の前記軸方向の端面部に対向するティース端面対向部と、前記ティース側面部に対向するティース側面対向部と、前記シュー部の前記周方向のシュー側面部に対向するシュー側面対向内壁面部を有し、
前記シュー側面対向内壁面部は、前記シュー側面部に当接する第1の当接領域を有し、
前記ティース側面対向部は、前記ティース側面部に当接する第2の当接領域と、前記第1の当接領域と前記第2の当接領域との間にあって、前記ティース側面部に対して間隔を介して対向する中間内壁面部と、を有する、
ことを特徴とする回転電機。
(付記12)
前記固定子コアのバックヨーク部は、バックヨーク外周面部にバックヨーク切欠部を有し、
前記第1の絶縁ボビンと前記第2の絶縁ボビンは、前記固定子コアの前記バックヨーク部の端面に対向するバックヨーク端面対向部を有し、
前記バックヨーク端面対向部は、前記バックヨーク部の端面の方向に突出する凸部を有し、
前記バックヨーク部の端面の方向に突出する凸部は、前記バックヨーク外周面部のバックヨーク切欠部に圧入されることで、前記第1の絶縁ボビンと前記第2の絶縁ボビンとが前記固定子コアに固定されるように構成されている、
ことを特徴とする付記1から11のうちの何れか一つに記載の回転電機。
【符号の説明】
【0093】
1 回転電機、2 固定子、3 回転子、4 フレーム、5 固定子コア、
6 固定子コイル、7 ロータシャフト、5a 電磁鋼板、9a 第1の絶縁ボビン、
9b 第2の絶縁ボビン、10 バックヨーク部、10a バックヨーク外周面部、
10b バックヨーク内周面部、10c バックヨーク側面部、11 ティース部、
11a,11b ティース側面部、11c ティース先端部、
11a1、11a2、11b1,11b2 ティース側面凸部、
12 バックヨーク切欠部、12a 側面部、13 バックヨーク端面対向部、
13a バックヨーク端面対向表面部、14 コイル巻回部、
14a、14b、18a1、18b1 フィレット面、15 第1の鍔部、
15a1、15b1、16a1、16b1 内壁面凸部、16 第2の鍔部、
17 絶縁ボビン開口部、18a、18b 内壁面溝部、51、52 コア端面部、
111 シュー部、111a、111b シュー側面部、
115a、115b ティース切欠部、131 凸部、131a 側面部、
141 ティース端面対向部、141a ティース端面対向表面部、
142a、142b ティース側面対向部、142a1、142b1 中間内壁面部、
142a1,142b1 内壁面部、142as、142bs 傾斜面、
151a、151b シュー側面対向内壁面部、
162a、162b バックヨーク内周面対向部、
401 端壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図14A
図14B
図15A
図15B
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