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特開2023-182954機器制御装置、機器制御システム、機器制御方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182954
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】機器制御装置、機器制御システム、機器制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20231220BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096254
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】中野 聡
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】ユーザの経済的損失を低減させる契機をユーザに与える。
【解決手段】消費電力量推定部101は、需要地の過去の消費電力量に基づいて、需要地の消費電力量を対象期間に含まれる個別期間毎に推定する。発電電力量推定部102は、需要地の天気予報を示す天気予報情報に基づいて、太陽光発電装置200の発電電力量を個別期間毎に推定する。機器制御部105は、推定個別消費電力量と、推定個別発電電力量と、個別期間毎の売電及び買電の単価である個別単価とに基づいて、個別期間毎に売電料金から買電料金を差し引いた金額である個別売買差額の対象期間における合計値である合計売買差額が大きくなるように、設備機器400を制御する。表示部13は、対象期間に、推定個別消費電力量と個別消費電力量実績とを表示する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を消費する設備機器が設けられた需要地の過去の消費電力量に基づいて、前記需要地の消費電力量を対象期間に含まれる個別期間毎に推定する消費電力量推定手段と、
前記需要地の天気予報を示す天気予報情報に基づいて、前記需要地に設けられた太陽光発電装置の発電電力量を前記個別期間毎に推定する発電電力量推定手段と、
前記消費電力量推定手段が推定した前記個別期間毎の消費電力量である推定個別消費電力量と、前記発電電力量推定手段が推定した前記個別期間毎の発電電力量である推定個別発電電力量と、前記個別期間毎の売電及び買電の単価である個別単価とに基づいて、前記個別期間毎に売電料金から買電料金を差し引いた金額である個別売買差額の前記対象期間における合計値である合計売買差額が大きくなるように、前記設備機器を制御する機器制御手段と、
前記対象期間に、前記推定個別消費電力量と前記需要地の消費電力量の前記個別期間毎の実績値である個別消費電力量実績とを表示する表示手段と、を備える、
機器制御装置。
【請求項2】
前記表示手段は、少なくとも1つの前記個別期間において前記推定個別消費電力量と前記個別消費電力量実績との差が個別電力量閾値を超えた場合、又は、前記対象期間における現在時刻までの前記推定個別消費電力量の合計値と前記対象期間における現在時刻までの前記個別消費電力量実績の合計値との差が合計電力量閾値を超えた場合、警告を表示する、
請求項1に記載の機器制御装置。
【請求項3】
前記機器制御手段は、前記推定個別消費電力量と前記推定個別発電電力量と前記個別単価と前記設備機器に対する動作スケジュールとに基づいて、前記個別売買差額を推定し、
前記表示手段は、前記対象期間に、前記機器制御手段が推定した前記個別売買差額である推定個別売買差額と前記個別売買差額の実績値である個別売買差額実績とを表示する、
請求項1又は2に記載の機器制御装置。
【請求項4】
前記表示手段は、少なくとも1つの前記個別期間において前記推定個別売買差額と前記個別売買差額実績との差が個別差額閾値を超えた場合、又は、前記対象期間における現在時刻までの前記推定個別売買差額の合計値と前記対象期間における現在時刻までの前記個別売買差額実績の合計値との差が合計差額閾値を超えた場合、警告を表示する、
請求項3に記載の機器制御装置。
【請求項5】
前記設備機器は、湯を蓄えるために沸き上げ運転を実行し、蓄えた湯を供給する給湯器を含み、
前記需要地の過去の使用湯量に基づいて、前記需要地の使用湯量を前記個別期間毎に推定する使用湯量推定手段を更に備え、
前記機器制御手段は、前記推定個別消費電力量と前記推定個別発電電力量と前記使用湯量推定手段が推定した前記個別期間毎の使用湯量である推定個別使用湯量と前記個別単価とに基づいて、前記合計売買差額が大きくなるように、前記給湯器が前記沸き上げ運転を実行する期間である沸き上げ期間を決定する、
請求項1又は2に記載の機器制御装置。
【請求項6】
前記表示手段は、前記対象期間に、前記推定個別使用湯量と前記需要地の使用湯量の前記個別期間毎の実績値である個別使用湯量実績とを表示する、
請求項5に記載の機器制御装置。
【請求項7】
前記表示手段は、少なくとも1つの前記個別期間において前記推定個別使用湯量と前記個別使用湯量実績との差が個別湯量閾値を超えた場合、又は、前記対象期間における現在時刻までの前記推定個別使用湯量の合計値と前記対象期間における現在時刻までの前記個別使用湯量実績の合計値との差が合計湯量閾値を超えた場合、警告を表示する、
請求項6に記載の機器制御装置。
【請求項8】
前記機器制御手段は、買電単価又は余剰電力がある場合における売電単価が最も安い個別期間から順に前記沸き上げ期間に設定する、
請求項5に記載の機器制御装置。
【請求項9】
前記設備機器は、蓄電池を充電する充電運転と前記蓄電池に放電させる放電運転とを実行する蓄電装置を含み、
前記機器制御手段は、前記推定個別消費電力量と前記推定個別発電電力量と前記個別単価とに基づいて、前記合計売買差額が大きくなるように、前記蓄電装置が前記充電運転を実行する期間である充電期間と前記蓄電装置が前記放電運転を実行する期間である放電期間とを決定する、
請求項1又は2に記載の機器制御装置。
【請求項10】
前記機器制御手段は、買電単価又は余剰電力がある場合における売電単価が最も安い個別期間を前記充電期間に設定し、前記対象期間における前記充電期間よりも後の個別期間のうち、前記買電単価又は前記余剰電力がある場合における前記売電単価が最も高い個別期間を、前記放電期間に設定する、
請求項9に記載の機器制御装置。
【請求項11】
前記機器制御手段は、前記充電期間と前記放電期間とに設定されていない個別期間である未設定期間のうち、前記買電単価又は前記余剰電力がある場合における前記売電単価が最も安い個別期間を、前記充電期間に設定し、前記充電期間よりも後の未設定期間のうち、前記買電単価又は前記余剰電力がある場合における前記売電単価が最も高い個別期間を、前記放電期間に設定する処理を繰り返す、
請求項10に記載の機器制御装置。
【請求項12】
前記需要地に電力を供給する電力供給業者は、前記対象期間において電力市場から電力を調達するのに要する料金である電力調達料金を推定し、推定した前記電力調達料金に基づいて前記個別単価を設定し、
前記電力供給業者が推定した前記電力調達料金に基づいて、前記電力供給業者が設定する前記個別単価を推定する単価推定手段を更に備える、
請求項1又は2に記載の機器制御装置。
【請求項13】
機器制御装置と表示装置とを備える機器制御システムであって、
前記機器制御装置は、
電力を消費する設備機器が設けられた需要地の過去の消費電力量に基づいて、前記需要地の消費電力量を対象期間に含まれる個別期間毎に推定する消費電力量推定手段と、
前記需要地の天気予報を示す天気予報情報に基づいて、前記需要地に設けられた太陽光発電装置の発電電力量を前記個別期間毎に推定する発電電力量推定手段と、
前記消費電力量推定手段が推定した前記個別期間毎の消費電力量である推定個別消費電力量と、前記発電電力量推定手段が推定した前記個別期間毎の発電電力量である推定個別発電電力量と、前記個別期間毎の売電及び買電の単価である個別単価とに基づいて、前記対象期間における売電料金から前記対象期間における買電料金を差し引いた金額である売買差額が大きくなるように、前記設備機器を制御する機器制御手段と、を備え、
前記表示装置は、前記対象期間に、前記推定個別消費電力量と前記需要地の消費電力量の前記個別期間毎の実績値である個別消費電力量実績とを表示する、
機器制御システム。
【請求項14】
電力を消費する設備機器が設けられた需要地の過去の消費電力量に基づいて、前記需要地の消費電力量を対象期間に含まれる個別期間毎に推定し、
前記需要地の天気予報を示す天気予報情報に基づいて、前記需要地に設けられた太陽光発電装置の発電電力量を前記個別期間毎に推定し、
推定した前記個別期間毎の消費電力量である推定個別消費電力量と、推定した前記個別期間毎の発電電力量である推定個別発電電力量と、前記個別期間毎の売電及び買電の単価である個別単価とに基づいて、前記対象期間における売電料金から前記対象期間における買電料金を差し引いた金額である売買差額が大きくなるように、前記設備機器を制御し、
前記対象期間に、前記推定個別消費電力量と前記需要地の消費電力量の前記個別期間毎の実績値である個別消費電力量実績とを表示する、
機器制御方法。
【請求項15】
コンピュータを、
電力を消費する設備機器が設けられた需要地の過去の消費電力量に基づいて、前記需要地の消費電力量を対象期間に含まれる個別期間毎に推定する消費電力量推定手段、
前記需要地の天気予報を示す天気予報情報に基づいて、前記需要地に設けられた太陽光発電装置の発電電力量を前記個別期間毎に推定する発電電力量推定手段、
前記消費電力量推定手段が推定した前記個別期間毎の消費電力量である推定個別消費電力量と、前記発電電力量推定手段が推定した前記個別期間毎の発電電力量である推定個別発電電力量と、前記個別期間毎の売電及び買電の単価である個別単価とに基づいて、前記対象期間における売電料金から前記対象期間における買電料金を差し引いた金額である売買差額が大きくなるように、前記設備機器を制御する機器制御手段、
前記対象期間に、前記推定個別消費電力量と前記需要地の消費電力量の前記個別期間毎の実績値である個別消費電力量実績とを表示手段に表示させる表示制御手段、として機能させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機器制御装置、機器制御システム、機器制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、時間帯毎に設定された売電単価及び買電単価を考慮して、設備機器を稼働させる時間帯を決定する技術が知られている。このような設備機器としては、給湯器、蓄電装置等がある。例えば、特許文献1には、売電単価及び買電単価を考慮して、給湯器を動作させる時間帯と給湯器への電力の供給元とを選択する技術が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載された技術では、買電単価が安い深夜に商用電力を用いて貯湯するときにユーザが得る経済的利益と、買電単価が高い昼間に太陽光発電の電力を用いて貯湯するときにユーザが得る経済的利益とを比較し、ユーザが得る経済的利益が大きい方を選択する。特許文献1に記載された技術では、設備機器が設けられた需要地の消費電力量を推定し、推定結果に基づいて、設備機器を動作させる時間帯、設備機器への電力の供給元等を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-245839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、需要地の消費電力量の推定精度を高めることは容易ではなく、推定精度が低い場合、ユーザが経済的損失を被ることがある。例えば、日中の消費電力量が少ないとの推定結果に基づいて、深夜に蓄電池を充電しない場合がある。この場合において、日中の実際の消費電力量が推定結果に反して多い場合、買電単価が高い日中に多くの商用電力を利用することで買電料金が高額になる可能性がある。特許文献1には、消費電力量の推定精度が低いときの対処方法について記載されていない。このため、例えば、消費電力量の推定精度が低いときに、ユーザの経済的損失を低減させる契機をユーザに与える技術が望まれている。
【0006】
本開示は、上記問題に鑑みてなされたものであり、ユーザの経済的損失を低減させる契機をユーザに与える機器制御装置、機器制御システム、機器制御方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示に係る機器制御装置は、
電力を消費する設備機器が設けられた需要地の過去の消費電力量に基づいて、前記需要地の消費電力量を対象期間に含まれる個別期間毎に推定する消費電力量推定手段と、
前記需要地の天気予報を示す天気予報情報に基づいて、前記需要地に設けられた太陽光発電装置の発電電力量を前記個別期間毎に推定する発電電力量推定手段と、
前記消費電力量推定手段が推定した前記個別期間毎の消費電力量である推定個別消費電力量と、前記発電電力量推定手段が推定した前記個別期間毎の発電電力量である推定個別発電電力量と、前記個別期間毎の売電及び買電の単価である個別単価とに基づいて、前記個別期間毎に売電料金から買電料金を差し引いた金額である個別売買差額の前記対象期間における合計値である合計売買差額が大きくなるように、前記設備機器を制御する機器制御手段と、
前記対象期間に、前記推定個別消費電力量と前記需要地の消費電力量の前記個別期間毎の実績値である個別消費電力量実績とを表示する表示手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示では、対象期間に、推定個別消費電力量と個別消費電力量実績とが表示される。従って、本開示によれば、ユーザの経済的損失を低減させる契機をユーザに与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る機器制御システムの構成図
図2】実施の形態1に係る機器制御装置の構成図
図3】実施の形態1に係る機器制御装置の機能構成図
図4】実施の形態1に係る機器制御装置が実行する機器制御処理を示すフローチャート
図5図4に示す沸き上げ期間設定処理を示すフローチャート
図6】更新前の沸き上げ期間設定用テーブルを示す図
図7】更新後の沸き上げ期間設定用テーブルを示す図
図8図4に示す充放電期間設定処理を示すフローチャート
図9】充電期間設定用テーブルを示す図
図10】放電期間設定用テーブルを示す図
図11】蓄電池残量の変化を示す第1の図
図12】蓄電池残量の変化を示す第2の図
図13】蓄電池残量の変化を示す第3の図
図14】蓄電池残量の変化を示す第4の図
図15】消費電力量の推定値及び実績値を提示する画面を示す図
図16】売買差額の推定値及び実績値を提示する画面を示す図
図17】使用湯量の推定値及び実績値を提示する画面を示す図
図18】実施の形態2に係る機器制御システムの構成図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付す。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る機器制御システム1000の構成を示す図である。機器制御システム1000は、電力の需要地に設けられた設備機器400を制御するシステムである。この需要地は、電力が要求される場所であり、例えば、住宅である。本実施の形態では、需要地である住宅には、機器制御装置100と、太陽光発電装置200と、電力計測装置300と、給湯器410と、蓄電装置420と、空気調和装置430とが設けられている。機器制御システム1000は、住宅の居住者であるユーザの経済的利益が大きくなるように、設備機器400を制御する。具体的には、機器制御システム1000は、消費電力量の推定値と消費電力量の実績値との差が大きいときに、この差が大きいことをユーザに知らせることにより、ユーザの経済的損失を低減させる。機器制御システム1000は、機器制御装置100を備える。
【0012】
機器制御装置100は、需要地に設けられた設備機器400を制御する。設備機器400は、商用電源(図示せず)から供給される電力である商用電力、太陽光発電装置200が発電した電力である発電電力、又は、蓄電装置420に蓄積された電力である蓄積電力を消費して動作する機器である。本実施の形態では、設備機器400は、給湯器410と、蓄電装置420と、空気調和装置430とを含む。
【0013】
機器制御装置100は、買電及び売電によるユーザの経済的利益が大きくなるように、設備機器400による電力消費を制御する。買電は、需要地に商用電力を供給する電力供給業者から商用電力を買うことである。売電は、電力供給業者に発電電力のうち設備機器400により消費されない電力である余剰電力を売ることである。単位電力量当たりの買電電力の単価である買電単価と、単位電力量当たりの売電電力の単価である売電単価とは、電力供給業者により設定される。本実施の形態では、買電単価は、買電のタイミングにより変動し、売電単価は、売電のタイミングにより変動する。従って、機器制御装置100は、例えば、買電単価が安いタイミングで買電し、売電単価が高いタイミングで売電するように、設備機器400による電力消費を制御する。機器制御装置100は、機器制御装置の一例である。
【0014】
図2に示すように、機器制御装置100は、制御部11と、記憶部12と、表示部13と、操作受付部14と、第1通信部15と、第2通信部16とを備える。
【0015】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、RTC(Real Time Clock)等を備える。CPUは、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)等とも呼び、機器制御装置100の制御に係る処理及び演算を実行する中央演算処理部として機能する。制御部11において、CPUは、ROMに格納されているプログラム及びデータを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて、機器制御装置100を統括制御する。RTCは、例えば、計時機能を有する集積回路である。なお、CPUは、RTCから読み出される時刻情報から現在日時を特定可能である。
【0016】
記憶部12は、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性の半導体メモリを備えており、いわゆる補助記憶装置としての役割を担う。記憶部12は、制御部11が各種処理を実行するために使用するプログラム及びデータを記憶する。また、記憶部12は、制御部11が各種処理を実行することにより生成又は取得するデータを記憶する。
【0017】
表示部13は、制御部11による制御に従って、各種の画像を表示する。例えば、表示部13は、ユーザから各種の操作を受け付けるための画面を表示する。表示部13は、タッチスクリーン、液晶ディスプレイ等を備える。操作受付部14は、ユーザから各種の操作を受け付け、受け付けた操作の内容を示す情報を制御部11に供給する。操作受付部14は、タッチスクリーン、ボタン、レバー等を備える。
【0018】
第1通信部15は、制御部11による制御に従って、通信ネットワーク600に接続された装置と通信する。第1通信部15は、通信ネットワーク600に接続する機能を有し、通信ネットワーク600に接続された、太陽光発電装置200、電力計測装置300、給湯器410、蓄電装置420、及び、空気調和装置430と通信する。通信ネットワーク600は、例えば、宅内に設けられたLAN(Local Area Network)である。第1通信部15は、各種の通信規格に準拠した通信インターフェースを備える。
【0019】
第2通信部16は、制御部11による制御に従って、通信ネットワーク700に接続された装置と通信する。第2通信部16は、通信ネットワーク700に接続する機能を有し、通信ネットワーク700に接続された天気予報サーバ510及び電力調達料金推定サーバ520と通信する。通信ネットワーク700は、例えば、インターネットである。第2通信部16は、各種の通信規格に準拠した通信インターフェースを備える。
【0020】
太陽光発電装置200は、太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換する。太陽光発電装置200は、太陽光発電により得られた発電電力を、設備機器400に供給するか、蓄電装置420に供給するか、電力供給業者に売る。太陽光発電装置200は、太陽光パネル(図示せず)とパワーコンディショナー(図示せず)とを備える。太陽光発電装置200は、各種の通信規格に準拠した通信インターフェースを備え、通信ネットワーク600に接続する機能を有する。
【0021】
電力計測装置300は、各種の電力を計測する。電力計測装置300は、電力供給業者から需要地に供給された商用電力の電力量を計測する。電力計測装置300は、需要地から電力供給業者に供給された余剰電力の電力量を計測する。電力計測装置300は、各設備機器400が消費した電力量を計測する。電力計測装置300は、各種の通信規格に準拠した通信インターフェースを備え、通信ネットワーク600に接続する機能を有する。
【0022】
給湯器410は、機器制御装置100による制御に従って、沸き上げ、貯湯、給湯等を実行する。沸き上げは、電力を消費して低温水を加熱し、高温水を取得することである。貯湯は、沸き上げにより得られた高温水である湯を貯湯タンク411に蓄えることである。給湯は、貯湯タンク411に蓄えられた湯をユーザに供給することである。給湯器410は、沸き上げにより得られた湯を蓄える貯湯タンク411を備える。給湯器410は、各種の通信規格に準拠した通信インターフェースを備え、通信ネットワーク600に接続する機能を有する。
【0023】
蓄電装置420は、機器制御装置100による制御に従って、蓄電池421を充電し、又、蓄電池421に放電させる。蓄電装置420は、例えば、太陽光発電装置200から供給される発電電力を蓄電池421に充電する。また、蓄電装置420は、例えば、蓄電池421に蓄積された蓄積電力を設備機器400に供給する。蓄電装置420は、電力を蓄える蓄電池421を備える。蓄電装置420は、各種の通信規格に準拠した通信インターフェースを備え、通信ネットワーク600に接続する機能を有する。
【0024】
空気調和装置430は、機器制御装置100による制御に従って、空気調和の対象空間内の空気を調和する。空気を調和することは、空気の温度、湿度、空気清浄度等を調整することである。空気調和装置430は、商用電力、発電電力、又は、蓄積電力を消費して、空気を調和する。空気調和装置430は、室内に設置される室内機と室外に設置される室外機とを備える。空気調和装置430は、各種の通信規格に準拠した通信インターフェースを備え、通信ネットワーク600に接続する機能を有する。
【0025】
天気予報サーバ510は、需要地の天気予報を示す天気予報情報を提供するサーバである。天気予報サーバ510は、通信ネットワーク700を介して、天気予報情報を機器制御装置100に供給する。天気予報サーバ510は、各種の通信規格に準拠した通信インターフェースを備え、通信ネットワーク700に接続する機能を有する。
【0026】
電力調達料金推定サーバ520は、電力調達料金を推定するサーバである。電力調達料金推定サーバ520は、例えば、需要地に電力を供給する電力供給業者が保有するサーバである。電力調達料金推定サーバ520は、対象期間の電力調達料金を推定し、通信ネットワーク700を介して、推定結果を機器制御装置100に供給する。対象期間は、設備機器400の動作スケジュールの設定対象の期間である。本実施の形態では、対象期間は、機器制御装置100が動作スケジュールを設定する日の翌日である。
【0027】
電力調達料金は、電力供給業者が、電力市場から電力を調達するのに要する料金である。電力調達料金は、例えば、電力市場において電力供給業者が落札する料金であり、季節、曜日、時間帯、天気等により変動する。電力供給業者は、電力調達料金に基づいて、買電単価と売電単価とを決定する。例えば、電力供給業者は、電力調達料金が高いほど、買電単価と売電単価とを高く設定する。
【0028】
ここで、対象期間の前日の段階では、電力調達料金が決定していないことがある。このため、例えば、電力供給業者が保有する電力調達料金推定サーバ520が、対象期間の前日の段階で、季節、曜日、時間帯、天気等を考慮して、対象期間の電力調達料金を推定する。電力調達料金推定サーバ520は、推定した対象期間の電力調達料金に基づいて、対象期間の買電単価と売電単価とを決定する。
【0029】
但し、対象期間の前日の段階では、ユーザは、対象期間の買電単価と売電単価とを把握できない場合がある。このため、ユーザが保有する機器制御装置100は、例えば、対象期間の前日の段階で、電力調達料金推定サーバ520から対象期間の電力調達料金の推定結果を取得し、推定結果に基づいて、対象期間の買電単価と売電単価とを推定する。電力調達料金推定サーバ520は、各種の通信規格に準拠した通信インターフェースを備え、通信ネットワーク700に接続する機能を有する。
【0030】
次に、図3を参照して、機器制御装置100の機能について説明する。機器制御装置100は、機能的には、消費電力量推定部101と、発電電力量推定部102と、単価推定部103と、使用湯量推定部104と、機器制御部105と、表示制御部106とを備える。これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、ROM又は記憶部12に格納される。そして、CPUが、ROM又は記憶部12に記憶されたプログラムを実行することによって、これらの各機能を実現する。
【0031】
消費電力量推定部101は、需要地の対象期間の消費電力量を推定する。より詳細には、消費電力量推定部101は、需要地の過去の消費電力量から、需要地の消費電力量を対象期間に含まれる個別期間毎に推定する。本実施の形態では、電力計測装置300は、設備機器400の消費電力量を含む機器データを記憶部12に蓄積する。従って、消費電力量推定部101は、記憶部12を参照することにより、需要地の過去の消費電力量、つまり、設備機器400の過去の消費電力量を特定することができる。
【0032】
消費電力量推定部101は、例えば、対象期間の季節、曜日、時間帯、天気等を考慮して、需要地の消費電力量を対象期間に含まれる個別期間毎に推定する。例えば、翌日である対象期間が48個の個別期間に分割される場合、各個別期間の長さは30分である。この場合、消費電力量推定部101は、翌日の30分毎の設備機器400の消費電力量を推定する。消費電力量推定部101が推定した消費電力量は、推定データとして記憶部12に記憶される。消費電力量推定部101は、消費電力量推定手段の一例である。
【0033】
発電電力量推定部102は、天気予報サーバ510から取得した天気予報情報に基づいて、対象期間の発電電力量を推定する。より詳細には、発電電力量推定部102は、需要地の天気予報を示す天気予報情報に基づいて、需要地に設けられた太陽光発電装置200の発電電力量を個別期間毎に推定する。例えば、発電電力量推定部102は、記憶部12に記憶された、各天気における太陽光発電装置200の発電電力量を示す情報と天気予報情報とに基づいて、対象期間の発電電力量を推定する。発電電力量推定部102が推定した発電電力量は、推定データとして記憶部12に記憶される。発電電力量推定部102は、発電電力量推定手段の一例である。
【0034】
単価推定部103は、電力供給業者が推定した電力調達料金に基づいて、電力供給業者が設定する個別単価を推定する。個別単価は、個別期間毎の売電及び買電の単価である。なお、電力供給業者は、対象期間の電力調達料金を推定し、推定した電力調達料金に基づいて対象期間の個別単価を設定する。単価推定部103は、買電単価と売電単価とが電力調達料金によって動的に決定される場合に、電力調達料金推定サーバ520から取得した対象期間の電力調達料金の推定結果から、対象期間における買電単価と売電単価とを推定する。単価推定部103が推定した個別単価は、推定データとして記憶部12に記憶される。単価推定部103は、単価推定手段の一例である。
【0035】
使用湯量推定部104は、需要地の対象期間の使用湯量を推定する。より詳細には、使用湯量推定部104は、需要地の過去の使用湯量に基づいて、需要地の使用湯量を個別期間毎に推定する。本実施の形態では、機器制御装置100は、需要地の使用湯量、つまり、給湯器410が供給した湯量を含む機器データを記憶部12に蓄積する。従って、使用湯量推定部104は、記憶部12を参照することにより、需要地の過去の使用湯量を特定することができる。使用湯量推定部104が推定した使用湯量は、推定データとして記憶部12に記憶される。使用湯量推定部104は、使用湯量推定手段の一例である。
【0036】
機器制御部105は、設備機器400を制御する。より詳細には、機器制御部105は、推定個別消費電力量と推定個別発電電力量と個別単価とに基づいて、合計売買差額が大きくなるように、設備機器400を制御する。推定個別消費電力量は、消費電力量推定部101が推定した個別期間毎の消費電力量である。推定個別発電電力量は、発電電力量推定部102が推定した個別期間毎の発電電力量である。個別単価は、個別期間毎の売電及び買電の単価である。個別単価は、個別買電単価と個別売電単価とを含む。
【0037】
合計売買差額は、個別売買差額の対象期間における合計値である。個別売買差額は、個別期間毎に売電料金から買電料金を差し引いた金額である。つまり、合計売買差額は、対象期間の電力売買でユーザが得られる金額である。合計売買差額は、負の値になることもある。合計売買差額が大きい程、ユーザの経済的利益が大きい。例えば、機器制御部105は、個別買電単価が安い個別期間に設備機器400が商用電力を消費し、個別買電単価が高い個別期間に設備機器400が商用電力をなるべく消費しないように、設備機器400の動作スケジュールを決定する。機器制御部105は、機器制御手段の一例である。
【0038】
機器制御部105は、各種のデータを記憶部12に記憶させる。機器制御部105は、太陽光発電装置200の発電電力量、設備機器400の消費電力量、給湯器410の使用湯量、給湯器410の残湯量、蓄電装置420の蓄電池残量等を、機器データとして記憶部12に記憶させる。機器制御部105は、給湯器410の沸き上げ期間を含む制御データ、蓄電装置420の充電期間又は放電期間を含む制御データ等を、機器制御データとして記憶部12に記憶させる。
【0039】
表示制御部106は、対象期間に、推定個別消費電力量と個別消費電力量実績とを表示部13に表示させる。個別消費電力量実績は、需要地の消費電力量の個別期間毎の実績値である。つまり、個別消費電力量実績は、対象期間に含まれる個別期間において需要地で実際に消費された電力量である。以下、推定個別消費電力量のことを、適宜、個別消費電力量の推定値、又は、消費電力量の推定値という。また、個別消費電力量実績のことを、適宜、個別消費電力量の実績値、又は、消費電力量の実績値という。表示部13は、表示制御部106による制御に従って、各種の情報を表示する。例えば、表示部13は、表示制御部106による制御に従って、対象期間に、推定個別消費電力量と個別消費電力量実績とを表示する。表示制御部106は、表示制御手段の一例である。表示部13は、表示手段の一例である。
【0040】
表示部13は、少なくとも1つの個別期間において推定個別消費電力量と個別消費電力量実績との差が個別電力量閾値を超えた場合、警告を表示する。ある個別期間における設備機器400の消費電力量の実績値が推定値よりも大幅に大きい場合、何の対策も講じないとユーザに経済的損失が生じる可能性がある。例えば、不足分の電力を補うために、買電単価が高い個別期間に商用電力を買う必要性が生じる。そこで、表示部13は、例えば、ユーザが以後の電力消費を控えるように警告を表示する。個別電力量閾値は、固定値でもよいし、推定個別消費電力量から算出される値でもよい。
【0041】
また、表示部13は、対象期間における現在時刻までの推定個別消費電力量の合計値と対象期間における現在時刻までの個別消費電力量実績の合計値との差が合計電力量閾値を超えた場合、警告を表示する。対象期間の開始時刻から現在時刻までの間における設備機器400の消費電力量の実績値が推定値よりも大幅に大きい場合、何の対策も講じないとユーザに経済的損失が生じる可能性がある。そこで、表示部13は、例えば、ユーザが以後の電力消費を控えるように警告を表示する。合計電力量閾値は、固定値でもよいし、対象期間における現在時刻までの推定個別消費電力量の合計値から算出される値でもよい。
【0042】
機器制御部105は、推定個別消費電力量と推定個別発電電力量と個別単価と設備機器400に対する動作スケジュールとに基づいて、個別売買差額を推定する。例えば、機器制御部105は、推定個別消費電力量と推定個別発電電力量と個別単価とに基づいて、合計売買差額が大きくなるように、設備機器400に対する動作スケジュールを決定する。そして、機器制御部105は、決定した動作スケジュールで設備機器400を制御した場合における個別売買差額を推定する。
【0043】
表示部13は、対象期間に、推定個別売買差額と個別売買差額実績とを表示する。推定個別売買差額は、機器制御部105が推定した個別売買差額である。個別売買差額実績は、個別売買差額の実績値である。表示部13は、対象期間に含まれる個別期間のそれぞれについて、推定個別売買差額と個別売買差額実績とを表示する。以下、推定個別売買差額のことを、適宜、個別売買差額の推定値、又は、売買差額の推定値という。また、個別売買差額実績のことを、適宜、個別売買差額の実績値、又は、売買差額の実績値という。
【0044】
表示部13は、少なくとも1つの個別期間において推定個別売買差額と個別売買差額実績との差が個別差額閾値を超えた場合、警告を表示する。ある個別期間における個別売買差額の実績値が推定値と大きく異なる場合、何らかの原因で買電単価又は消費電力量の実績値が推定値から大きく外れており、合計売買差額の実績値が推定値から大きく外れる可能性がある。そこで、表示部13は、例えば、ユーザが売買差額を注視するように警告を表示する。個別差額閾値は、固定値でもよいし、推定個別売買差額から算出される値でもよい。
【0045】
表示部13は、対象期間における現在時刻までの推定個別売買差額の合計値と対象期間における現在時刻までの個別売買差額実績の合計値との差が合計差額閾値を超えた場合、警告を表示する。対象期間の開始時刻から現在時刻までの間における売買差額の実績値が推定値と大きく異なる場合、何らかの原因で買電単価又は消費電力量が推定値から大きく外れており、合計売買差額の実績値が推定値から大きく外れる可能性がある。そこで、表示部13は、例えば、ユーザが売買差額を注視するように警告を表示する。合計差額閾値は、固定値でもよいし、対象期間における現在時刻までの推定個別売買差額の合計値から算出される値でもよい。
【0046】
機器制御部105は、推定個別消費電力量と推定個別発電電力量と推定個別使用湯量と個別単価とに基づいて、合計売買差額が大きくなるように、沸き上げ期間を決定する。推定個別使用湯量は、使用湯量推定部104が推定した個別期間毎の使用湯量である。沸き上げ期間は、給湯器410が沸き上げ運転を実行する期間である。
【0047】
表示部13は、対象期間に、推定個別使用湯量と個別使用湯量実績とを表示する。個別使用湯量実績は、需要地の使用湯量の個別期間毎の実績値である。ユーザは、表示部13が表示する情報を参照して、実際の使用湯量が推定値から外れているか否かを確認することができる。以下、推定個別使用湯量のことを、適宜、個別使用湯量の推定値、又は、使用湯量の推定値という。また、個別使用湯量実績のことを、適宜、個別使用湯量の実績値、又は、使用湯量の実績値という。
【0048】
表示部13は、少なくとも1つの個別期間において推定個別使用湯量と個別使用湯量実績との差が個別湯量閾値を超えた場合、警告を表示する。ある個別期間における使用湯量の実績値が推定値と大きく異なる場合、何の対策も講じないとユーザに経済的損失が生じる可能性がある。例えば、使用湯量の実績値が推定値よりも大幅に多い場合、不足分の湯を沸き上げるために、買電単価が高い個別期間に商用電力を買う必要性が生じる。そこで、表示部13は、例えば、ユーザが以後の湯の使用を控えるように警告を表示する。個別湯量閾値は、固定値でもよいし、推定個別使用湯量から算出される値でもよい。
【0049】
また、表示部13は、対象期間における現在時刻までの推定個別使用湯量の合計値と対象期間における現在時刻までの個別使用湯量実績の合計値との差が合計湯量閾値を超えた場合、警告を表示する。対象期間の開始時刻から現在時刻までの間における使用湯量の実績値が推定値と大きく異なる場合、何の対策も講じないとユーザに経済的損失が生じる可能性がある。そこで、表示部13は、例えば、ユーザが以後の湯の使用を控えるように警告を表示する。合計湯量閾値は、固定値でもよいし、対象期間における現在時刻までの推定個別使用湯量の合計値から算出される値でもよい。
【0050】
機器制御部105は、買電単価又は余剰電力がある場合における売電単価が最も安い個別期間から順に沸き上げ期間に設定する。余剰電力があることは、消費電力量よりも発電電力量の方が大きいことを意味する。買電単価が安い個別期間は、商用電力を用いて沸き上げをしてもコストが安い。また、余剰電力がある個別期間のうち売電単価が安い個別期間は、売電予定の電力を用いて沸き上げをしても、売電料金の低下が少ない。従って、買電単価又は余剰電力がある場合における売電単価が最も安い個別期間である電力コスト最小期間が沸き上げ期間に設定されることが好適である。
【0051】
なお、電力コスト最小期間は、買電単価が最も安い個別期間の買電単価と、余剰電力がある個別期間のうち売電単価が最も安い個別期間の売電単価とのうち、安い方に対応する個別期間である。機器制御部105は、複数の沸き上げ期間を設定する場合、全ての個別期間から沸き上げ期間として設定された期間を除外した個別期間の中から電力コスト最小期間を特定し、特定した電力コスト最小期間を沸き上げ期間に設定する。
【0052】
ここで、設備機器400は、蓄電池421を充電する充電運転と蓄電池421に放電させる放電運転とを実行する蓄電装置420を含む。機器制御部105は、推定個別消費電力量と推定個別発電電力量と個別単価とに基づいて、合計売買差額が大きくなるように、充電期間と放電期間とを決定する。充電期間は、蓄電装置420が充電運転を実行する期間である。放電期間は、蓄電装置420が放電運転を実行する期間である。
【0053】
具体的には、機器制御部105は、買電単価又は余剰電力がある場合における売電単価が最も安い個別期間を充電期間に設定する。つまり、機器制御部105は、電力コスト最小期間を充電期間に設定する。また、機器制御部105は、対象期間における充電期間よりも後の個別期間のうち、買電単価又は余剰電力がある場合における売電単価が最も高い個別期間を、放電期間に設定する。買電単価が高い個別期間は、蓄電装置420の放電により、買電料金の大幅な低下が期待できる。また、余剰電力がある個別期間のうち売電単価が高い個別期間は、蓄電装置420の放電により、売電料金の大幅な増加が期待できる。
【0054】
従って、買電単価又は余剰電力がある場合における売電単価が最も高い個別期間である電力コスト最大期間が放電期間に設定されることが好適である。なお、本実施の形態では、対象期間内において、充電期間の後に放電期間が設定される。つまり、本実施の形態では、対象期間における充電期間よりも後の個別期間のうち電力コスト最大期間が放電期間に設定される。
【0055】
ここで、機器制御部105は、充電期間と放電期間とに設定されていない個別期間である未設定期間のうち、買電単価又は余剰電力がある場合における売電単価が最も安い個別期間に、充電期間を設定し、未設定期間における充電期間よりも後の個別期間のうち、買電単価又は余剰電力がある場合における売電単価が最も高い個別期間に、放電期間を設定する処理を繰り返す。つまり、機器制御部105は、未設定期間のうち電力コスト最小期間に充電期間を設定し、未設定期間における充電期間よりも後の個別期間のうち電力コスト最大期間に放電期間を設定する処理を繰り返す。
【0056】
次に、図4のフローチャートを参照して、機器制御装置100が実行する機器制御処理について説明する。機器制御処理は、例えば、10分毎に実行される。
【0057】
まず、機器制御装置100が備える制御部11は、機器データを取得する(ステップS101)。例えば、制御部11は、買電電力量、売電電力量、消費電力量等を示す電力量情報を、第1通信部15を介して電力計測装置300から取得する。また、制御部11は、需要地で使用された湯量である使用湯量を示す使用湯量情報を、第1通信部15を介して給湯器410から取得する。また、制御部11は、蓄電池421の蓄電池残量を示す蓄電池残量情報を、第1通信部15を介して蓄電装置420から取得する。制御部11は、電力量情報と使用湯量情報と蓄電池残量情報とを記憶部12に記憶させる。
【0058】
制御部11は、ステップS101の処理を完了すると、現在時刻がスケジュール決定時刻であるか否かを判別する(ステップS102)。スケジュール決定時刻は、設備機器400の動作スケジュールを決定する時刻である。スケジュール決定時刻は、対象期間の前日の何れかの時刻である。本実施の形態では、スケジュール決定時刻は、対象期間の前日の22時である。
【0059】
制御部11は、現在時刻がスケジュール決定時刻であると判別すると(ステップS102:YES)、翌日の消費電力量を推定する(ステップS103)。例えば、制御部11は、記憶部12に記憶された設備機器400の過去の消費電力量を示す電力量情報に基づいて、対象期間である翌日の需要地の消費電力量を推定する。制御部11は、需要地の30分毎の消費電力量を推定する。制御部11は、推定した消費電力量を示す情報を記憶部12に記憶する。
【0060】
制御部11は、ステップS103の処理を完了すると、翌日の使用湯量を推定する(ステップS104)。例えば、制御部11は、記憶部12に記憶された需要地の過去の使用湯量を示す使用湯量情報に基づいて、対象期間である翌日の需要地の使用湯量を推定する。制御部11は、需要地の30分毎の使用湯量を推定する。制御部11は、推定した使用湯量を示す情報を記憶部12に記憶する。
【0061】
制御部11は、ステップS104の処理を完了すると、翌日の発電電力量を推定する(ステップS105)。例えば、制御部11は、天気予報サーバ510から取得した天気予報情報と記憶部12に記憶された需要地の過去の発電電力量を示す発電電力量情報とに基づいて、対象期間である翌日の需要地の発電電力量を推定する。制御部11は、需要地の30分毎の発電電力量を推定する。制御部11は、推定した発電電力量を示す情報を記憶部12に記憶する。
【0062】
制御部11は、ステップS105の処理を完了すると、翌日の売電単価と買電単価とを推定する(ステップS106)。例えば、制御部11は、電力調達料金推定サーバ520から取得した翌日の電力調達料金の推定結果に基づいて、対象期間である翌日の市場連動型の売電単価及び買電単価を推定する。制御部11は、30分毎の売電単価及び買電単価を推定する。制御部11は、推定した売電単価及び買電単価を示す情報を記憶部12に記憶する。
【0063】
制御部11は、ステップS106の処理を完了すると、沸き上げ期間設定処理を実行する(ステップS107)。制御部11は、沸き上げ期間設定処理において、対象期間である翌日における、消費電力量、発電電力量、使用湯量、買電単価、及び、売電単価の推定結果に基づいて、合計売買差額が最も大きくなるように、給湯器410の沸き上げ期間を設定する。合計売買差額は、対象期間である翌日の売電料金から対象期間である翌日の買電料金を減じた料金である。制御部11は、沸き上げ期間を示す情報を記憶部12に記憶させる。沸き上げ期間設定処理については、後述する。
【0064】
制御部11は、ステップS107の処理を完了すると、充放電期間設定処理を実行する(ステップS108)。制御部11は、充放電期間設定処理において、対象期間である翌日における、消費電力量、発電電力量、使用湯量、買電単価、及び、売電単価の推定結果に基づいて、合計売買差額が最も大きくなるように、蓄電装置420の充電期間及び放電期間を設定する。制御部11は、充電期間を示す情報と放電期間を示す情報とを記憶部12に記憶させる。また、制御部11は、合計売買差額を示す情報を記憶部12に記憶させる。充放電期間設定処理については、後述する。
【0065】
制御部11は、現在時刻がスケジュール決定時刻でないと判別した場合(ステップS102:NO)、又は、ステップS108の処理を完了した場合、現在時刻が給湯器410の制御時刻であるか否かを判別する(ステップS109)。給湯器410の制御時刻は、例えば、沸き上げ期間の先頭時刻である。制御部11は、現在時刻が給湯器410の制御時刻であると判別すると(ステップS109:YES)、給湯器410に制御情報を送信する(ステップS110)。この制御情報は、給湯器410に沸き上げ運転を指示する情報であり、例えば、沸き上げ運転を実行する時間を含む情報である。
【0066】
制御部11は、ステップS110の処理を完了した場合、又は、現在時刻が給湯器410の制御時刻でないと判別した場合(ステップS109:NO)、現在時刻が蓄電装置420の制御時刻であるか否かを判別する(ステップS111)。蓄電装置420の制御時刻は、例えば、充電期間の先頭時刻、又は、放電期間の先頭時刻である。制御部11は、現在時刻が蓄電装置420の制御時刻であると判別すると(ステップS111:YES)、蓄電装置420に制御情報を送信する(ステップS112)。この制御情報は、給湯器410に充電運転又は放電運転を指示する情報であり、例えば、充電運転又は放電運転を実行する時間を含む情報である。
【0067】
制御部11は、ステップS112の処理を完了した場合、又は、現在時刻が蓄電装置420の制御時刻でないと判別した場合(ステップS111:NO)、各種の情報について推定値と実績値とを表示する(ステップS113)。例えば、制御部11は、需要地における個別時間毎の消費電力量の推定値と需要地における個別時間毎の消費電力量の実績値とを、表示部13に表示させる。また、制御部11は、需要地における個別時間毎の使用湯量の推定値と需要地における個別時間毎の使用湯量の実績値とを、表示部13に表示させる。また、制御部11は、需要地における個別時間毎の売買差額の推定値と需要地における個別時間毎の売買差額の実績値とを、表示部13に表示させる。制御部11は、ステップS113の処理を完了すると、機器制御処理を完了する。
【0068】
次に、図5のフローチャートを参照して、機器制御装置100が実行する沸き上げ期間設定処理について説明する。なお、沸き上げ期間設定処理の説明では、適宜、図6及び図7に示す沸き上げ期間設定用テーブルを参照する。沸き上げ期間設定用テーブルは、沸き上げ期間を設定するために用いるテーブルである。まず、沸き上げ期間設定用テーブルについて説明する。
【0069】
「沸き上げ対象カーソル」は、沸き上げ期間に設定しようとする個別期間を示すカーソルである。「個別期間の先頭時刻」は、個別期間に対応する時間帯の先頭時刻である。「買電単価(円/kWh)」は、各個別期間の買電単価である。「売電単価(円/kWh)」は、各個別期間の売電単価である。「推定個別消費電力量(kWh)(沸き上げ及び充放電を除く)」は、需要地における各個別期間の消費電力量のうち給湯器410及び蓄電装置420に関する消費電力量を除外した消費電力量の推定値である。「推定個別消費電力量(kWh)(沸き上げを含む、充放電を除く)」は、需要地における各個別期間の消費電力量のうち蓄電装置420に関する消費電力量を除外した消費電力量の推定値である。「推定個別消費電力量(kWh)(沸き上げを含む、充電を含む)」は、需要地における各個別期間の消費電力量のうち蓄電装置420の放電電力量に関する消費電力量を除外した消費電力量の推定値である。「推定個別消費電力量(kWh)(沸き上げ及び充放電を含む)」は、需要地における各個別期間の消費電力量の推定値である。
【0070】
「推定個別発電量(kWh)」は、需要地における各個別期間の発電電力量の推定値である。「推定個別使用湯量(L)」は、需要地における各個別期間の使用湯量の推定値である。なお、本実施の形態では、使用湯量に代表される湯量は、42度に換算したときの湯量で表現される。例えば、貯湯タンク411に70度の湯が蓄えられており、この70度の湯と14度の水とを1:1の割合で混ぜることにより得られた42度の湯を使用する場合を想定する。この場合、70度の湯を10L分使用する場合、42度に換算したときの使用湯量は20Lである。
【0071】
「タンク容量(L)」は、貯湯タンク411の容量である。この容量も、42度に換算したときの容量である。「残湯量(L)」は、貯湯タンク411に蓄積している湯の量である。この残湯量も、42度に換算したときの湯量である。「貯湯ロス係数」は、時間の経過とともに残湯量が減少する程度を示す係数である。例えば、貯湯ロス係数は、個別期間の長さ分だけ時間が経過したときに、残湯量が維持される割合を示す係数である。「必要沸き上げ電力量(kWh)(30分あたり)」は、30分間の沸き上げに要する電力量である。「沸き上げ可能量(L)(30分あたり)」は、30分間の沸き上げで沸き上げ可能な湯の量である。「沸き上げフラグ(1:沸き上げあり)」は、沸き上げ期間に設定されたことを示すフラグである。「沸き上げ電力量(kWh)(タンク容量を考慮)」は、タンク容量を考慮して沸き上げを実行したときに、沸き上げに要する電力量である。
【0072】
制御部11は、沸き上げ未設定期間のうち買電単価又は余剰電力がある場合における売電単価が最も安い個別期間を沸き上げ期間に設定する(ステップS201)。沸き上げ未設定期間は、対象期間に含まれる個別期間のうち、沸き上げ期間として設定されていない期間である。制御部11は、沸き上げ未設定期間のうち電力コスト最小期間を沸き上げ期間に設定する。
【0073】
図6に示す例では、最も安い買電単価は、4:30から開始する個別期間に設定された8.12円/kWhである。また、図6に示す例では、余剰電力がある個別期間が存在しないと考えられる。従って、この例では、4:30から開始する個別期間に沸き上げ対象カーソルが設定され、4:30から開始する個別期間が沸き上げ期間に設定される。
【0074】
制御部11は、ステップS201の処理を完了すると、沸き上げ期間に沸き上げを実行するものとして、沸き上げ期間以後の個別期間の残湯量を更新する(ステップS202)。残湯量の算出において、30分毎に残湯量に貯湯ロス係数が乗じられ、湯の使用が推定される場合には推定される使用湯量が減じられ、沸き上げが実行される場合には推定される沸き上げ量が加算される。なお、タンク容量に余裕がない場合、沸き上げ量が制限される。
【0075】
例えば、図7に示す例では、タンク容量の制限を受けず、4:30から開始する個別期間に30分間の沸き上げにより50Lの沸き上げが見込まれる。このため、5:00から開始する個別期間における「残湯量(L)」は、180.9から230.9に更新される。また、23:30から開始する個別期間における「残湯量(L)」は、36.1から70.6に更新される。
【0076】
制御部11は、ステップS202の処理を完了すると、沸き上げ期間の消費電力量を更新する(ステップS203)。例えば、タンク容量の制限がない場合、4:30から開始する個別期間において、沸き上げられる湯の量は50Lであり、沸き上げに要する電力量は0.7kWhである。従って、この場合、図7に示すように、4:30から開始する個別期間における「推定個別消費電力量(kWh)(沸き上げを含む、充放電を除く)」、「推定個別消費電力量(kWh)(沸き上げを含む、充電を含む)」及び「推定個別消費電力量(kWh)(沸き上げ及び充放電を含む)」は、0.12から0.82に更新される。また、4:30から開始する個別期間における「沸き上げフラグ(1:沸き上げあり)」は、0から1に更新される。また、4:30から開始する個別期間における「沸き上げ電力量(kWh)(タンク容量を考慮)」は、0から0.7に更新される。
【0077】
制御部11は、ステップS203の処理を完了すると、対象期間内に沸き上げ未設定期間があるか否かを判別する(ステップS204)。制御部11は、対象期間内に沸き上げ未設定期間があると判別すると(ステップS204:YES)、全ての個別期間において残湯量が使用湯量以上であるか否かを判別する(ステップS205)。
【0078】
制御部11は、全ての個別期間において残湯量が使用湯量以上でないと判別すると(ステップS205:NO)、ステップS201に処理を戻す。つまり、制御部11は、全ての個別期間において湯量不足が生じなくなるまで、沸き上げ期間を設定する処理を繰り返す。制御部11は、対象期間内に沸き上げ未設定期間がないと判別した場合(ステップS204:NO)、又は、全ての個別期間において残湯量が使用湯量以上であると判別した場合(ステップS205:YES)、沸き上げ期間設定処理を完了する。
【0079】
次に、図8のフローチャートを参照して、機器制御装置100が実行する充放電期間設定処理について説明する。なお、充放電期間設定処理の説明では、適宜、図9に示す充電期間設定用テーブルと図10に示す放電期間設定用テーブルとを参照する。充電期間設定用テーブルは充電期間を設定するために用いるテーブルである。放電期間設定用テーブルは放電期間を設定するために用いるテーブルである。充電期間設定用テーブルと放電期間設定用テーブルとは、設定に用いるカーソルが異なる点を除き、同様の構成である。以下、充電期間設定用テーブルと放電期間設定用テーブルとについて説明する。なお、沸き上げ期間設定用テーブルの説明において、既に説明した項目については、説明を省略する。
【0080】
「充電対象カーソル」は、充電期間に設定しようとする個別期間を示すカーソルである。「放電対象カーソル」は、放電期間に設定しようとする個別期間を示すカーソルである。「蓄電池容量(kWh」は、蓄電池421の容量である。「蓄電池残量(kWh」は、蓄電池421の残量、つまり、蓄電池421に蓄電されている電力である。「蓄電ロス係数」は、時間の経過とともに蓄電池421の残量が減少する程度を示す係数である。例えば、蓄電ロス係数は、個別期間の長さ分だけ時間が経過したときに、蓄電池421の残量が維持される割合を示す係数である。
【0081】
「必要充電電力量(kWh)(30分あたり)」は、30分間の充電に要する電力量である。「充電フラグ(1:充電あり)」は、充電期間に設定されたことを示すフラグである。「放電フラグ(1:放電あり)」は、放電期間に設定されたことを示すフラグである。「充電電力量(kWh)」は、蓄電池421の容量を考慮して充電したときに、充電される電力量である。「放電電力量(kWh)」は、蓄電池421の容量を考慮して放電したときに、放電される電力量である。
【0082】
制御部11は、充放電未設定期間のうち買電単価又は余剰電力がある場合における売電単価が最も安い個別期間を充電候補期間に設定する(ステップS301)。充放電未設定期間は、対象期間に含まれる個別期間のうち、充電候補期間と放電期間との何れとしても設定されていない期間である。充放電未設定期間は、充電対象カーソルと放電対象カーソルとの何れも設定されていない個別期間である。
【0083】
充電候補期間は、充電期間として設定される候補の個別期間である。充電期間は、充電動作が実行される個別期間である。放電期間は、放電動作が実行される個別期間である。充電候補期間として設定された個別期間は、充電期間に設定される可能性があるが、充電期間に設定されない可能性もある。例えば、ある個別期間が充電候補期間に設定された後、放電期間として設定される適切な個別期間が存在しない場合、充電候補期間に設定された個別期間は、充電期間に設定されない。制御部11は、充放電未設定期間のうち電力コスト最小期間を充電候補期間に設定する。
【0084】
図9に示す例では、最も安い買電単価は、4:30から開始する個別期間に設定された8.12円/kWhである。また、図9に示す例では、余剰電力がある個別期間が存在しないと考えられる。従って、この例では、4:30から開始する個別期間に充電対象カーソルが設定され、4:30から開始する個別期間が充電候補期間に設定される。
【0085】
制御部11は、ステップS301の処理を完了すると、充電候補期間よりも後の充放電未設定期間のうち、買電単価又は余剰電力がある場合における売電単価が、充電候補期間の単価よりも高い個別期間が存在するか否かを判別する(ステップS302)。本実施の形態では、充電期間の後の個別期間に放電期間が設定される。また、放電期間の単価が充電期間の単価よりも高くないと、ユーザが経済的利益を受けることができない。そこで、制御部11は、充電候補期間よりも高い単価の放電期間が設定可能か否かを判別する。
【0086】
制御部11は、充電候補期間よりも後の充放電未設定期間のうち、買電単価又は余剰電力がある場合における売電単価が、充電候補期間よりも高い個別期間が存在すると判別すると(ステップS302:YES)、充電候補期間よりも後の充放電未設定期間のうち、買電単価又は余剰電力がある場合における売電単価が最も高い個別期間を放電期間に設定する(ステップS303)。制御部11は、ステップS303の処理を完了すると、充電対象カーソルが設定されている充電候補期間を充電期間に設定する(ステップS304)。
【0087】
制御部11は、ステップS304の処理を完了すると、充電期間に充電するものとして、充電期間以後の個別期間の蓄電池残量を更新する(ステップS305)。蓄電池残量の算出において、30分毎に蓄電池残量に蓄電ロス係数が乗じられ、充電が実行される場合には充電電力量が加算される。また、充電電力量の上限は、充電対象カーソルが設定されている充電期間以後の個別期間において蓄電池残量が蓄電池容量を超えず、且つ、この充電期間以後の既に設定された充電期間における充電電力量が担保される充電電力量である。
【0088】
例えば、図9に示す例では、蓄電池容量の制限を受けず、充電期間が1つしか存在しないため、4:30から開始する個別期間に1kWhの充電が見込まれる。このため、5:00から開始する個別期間における「蓄電池残量(kWh)」は、4.9よりも1大きい5.9に更新される。また、23:00から開始する個別期間における「蓄電池残量(kWh)」は、5.5に更新される。
【0089】
制御部11は、ステップS305の処理を完了すると、充電期間の消費電力量を更新する(ステップS306)。例えば、蓄電池容量の制限を受けず、充電期間が1つしか存在しない場合、4:30から開始する個別期間において、充電電力量は1kWhであり、充電に要する電力量は1kWhである。従って、この場合、図9に示すように、4:30から開始する個別期間における「推定個別消費電力量(kWh)(沸き上げを含む、充電を含む)」及び「推定個別消費電力量(kWh)(沸き上げ及び充放電を含む)」は、0.82から1.82に更新される。また、4:30から開始する個別期間における「充電フラグ(1:充電あり)」は、0から1に更新される。また、4:30から開始する個別期間における「充電電力量(kWh)」は、0から1に更新される。
【0090】
制御部11は、ステップS306の処理を完了すると、放電期間に放電するものとして、放電期間以後の個別期間の蓄電池残量を更新する(ステップS307)。蓄電池残量の算出において、30分毎に蓄電池残量に蓄電ロス係数が乗じられ、放電が実行される場合には放電電力量が減じられる。また、放電電力量の上限は、放電対象カーソルが設定されている放電期間の消費電力量を超えず、この放電期間以後の個別期間において蓄電池残量が0以下にならず、且つ、この放電期間以後の既に設定された放電期間における放電電力量が担保される放電電力量である。
【0091】
例えば、図10に示す例では、蓄電池残量が0以下にならず、放電期間が1つしか存在しないため、17:30から開始する個別期間に消費電力量と同じ値である0.56kWhの放電が可能である。このため、18:00から開始する個別期間における「蓄電池残量(kWh)」は、5.6よりも0.56程度小さい5.0に更新される。また、23:00から開始する個別期間における「蓄電池残量(kWh)」は、4.9に更新される。
【0092】
制御部11は、ステップS307の処理を完了すると、放電期間の消費電力量を更新する(ステップS308)。例えば、蓄電池残量が0以下にならず、放電期間が1つしか存在しない場合、17:30から開始する個別期間において、放電電力量は消費電力量と同じ値である0.56kWhであり、放電により得られる電力量は0.56kWhである。従って、この場合、図10に示すように、17:30から開始する個別期間における「推定個別消費電力量(kWh)(沸き上げ及び充放電を含む)」は、0.56から0に更新される。また、17:30から開始する個別期間における「放電フラグ(1:放電あり)」は、0から1に更新される。また、17:30から開始する個別期間における「放電電力量(kWh)」は、0から0.56に更新される。
【0093】
制御部11は、充電候補期間よりも後の充放電未設定期間のうち、買電単価又は余剰電力がある場合における売電単価が、充電候補期間よりも高い個別期間が存在しないと判別した場合(ステップS302:NO)、又は、ステップS308の処理を完了した場合、対象期間内に充放電未設定期間があるか否かを判別する(ステップS309)。制御部11は、対象期間内に充放電未設定期間があると判別すると(ステップS309:YES)、ステップS301に処理を戻す。制御部11は、対象期間内に充放電未設定期間がないと判別すると(ステップS309:NO)、充放電期間設定処理を完了する。
【0094】
次に、図11図12図13図14とを参照して、充電電力量及び放電電力量の制限について説明する。図11図12図13図14とは、充電期間と放電期間とが2組設定されたときの蓄電池残量の変化を示すグラフである。なお、これらの図面を用いた説明では、蓄電池残量の推定値のことを単に蓄電池残量という。これらの図面において、最初に設定される充電期間を「充電1」、最初に設定される放電期間を「放電1」、2番目に設定される充電期間を「充電2」、2番目に設定される放電期間を「放電2」として示している。
【0095】
また、これらの図面において、充電1と放電1とが設定された時点における蓄電池残量の変化を破線で示し、充電1と放電1と充電2と放電2とが設定された時点における蓄電池残量の変化を実線で示している。なお、理解を容易にするため、対象期間の長さに対して個別期間の長さが十分に短く、充電速度と放電速度とが十分に速いものとする。また、理解を容易にするため、対象期間の開始時刻において蓄電池残量が0であり、蓄電ロス係数が1であるものとする。
【0096】
また、これらの図面において、T0は対象期間のうち一番早い個別期間であり、T10は対象期間のうち一番遅い個別期間であり、T1は最初に充電期間に設定される個別期間であり、T2は最初に放電期間に設定される個別期間であり、T3は2番目に充電期間に設定される個別期間であり、T4は2番目に放電期間に設定される個別期間である。また、これらの図面において、Q1はT1における充電電力量であり、Q2はT2における放電電力量であり、Q3はT3における充電電力量であり、Q4はT4における放電電力量であり、Q10は蓄電池容量である。
【0097】
図11に示す例では、T1よりもT3の方が早く、T2よりもT4の方が早く、T4よりもT1の方が早い。従って、図11に示す例では、T3においてQ3の充電電力量が充電され、T1においてQ1の充電電力量が充電され、T4においてQ4の放電電力量が放電され、T2においてQ2の充電電力量が充電される。Q1の設定時、Q1は、蓄電池残量が蓄電池容量を超えない範囲内の値に設定される。つまり、Q1は、Q10以下の値に設定される。Q2の設定時、Q2は、蓄電池残量が0以下にならない範囲内、且つ、T2における消費電力量以下の値に設定される。つまり、Q2は、Q1以下の値であって、T2における消費電力量以下の値に設定される。なお、Q1とQ2とは、同じ値でもよいし、異なる値でもよい。
【0098】
Q3の設定時、Q3は、蓄電池残量が蓄電池容量を超えない範囲内、且つ、T3よりも先に充電期間に設定されたT3以降の個別期間であるT1における充電電力量であるQ1が担保される範囲内の値に設定される。つまり、Q3は、Q10以下の値であって、(Q10-Q1)以下の値に設定される。Q4の設定時、Q4は、蓄電池残量が0以下にならない範囲内、T4における消費電力量以下、且つ、T4よりも先に放電期間に設定されたT4以降の個別期間であるT2における放電電力量であるQ2が担保される範囲内の値に設定される。つまり、Q4は、(Q1+Q3)以下の値であって、T4における消費電力量以下の値であって、(Q1+Q3-Q2)以下の値に設定される。なお、Q3とQ4とは、同じ値でもよいし、異なる値でもよい。
【0099】
図12に示す例では、T1よりもT3の方が早く、T4よりもT2の方が早い。従って、図12に示す例では、T3においてQ3の充電電力量が充電され、T1においてQ1の充電電力量が充電され、T2においてQ2の充電電力量が充電され、T4においてQ4の放電電力量が放電される。Q1の設定時におけるQ1の値の制限と、Q2の設定時におけるQ2の値の制限と、Q3の設定時におけるQ3の値の制限とは、図11に示す例と同様である。Q4の設定時、Q4は、蓄電池残量が0以下にならない範囲内、且つ、T4における消費電力量以下の値に設定される。つまり、Q4は、(Q1+Q3-Q2)以下の値であって、T4における消費電力量以下の値に設定される。
【0100】
図13に示す例では、T1とT2とT3とT4との順序は、図11に示す例と同様である。図13に示す例では、T1においてQ1として非常に大きな値が設定され、T2においてQ2として非常に大きな値が設定されている。このため、Q3の設定時、Q3は、蓄電池残量が蓄電池容量を超えない範囲の上限値であって、T3よりも先に充電期間に設定されたT3以降の個別期間であるT1における充電電力量であるQ1が担保される範囲の上限値である(Q10-Q1)に設定される。
【0101】
また、Q4の設定時、Q4は、蓄電池残量が0以下にならない範囲内、T4における消費電力量以下、且つ、T4よりも先に放電期間に設定されたT4以降の個別期間であるT2における放電電力量であるQ2が担保される範囲内の値に設定される。つまり、Q4は、Q10以下の値であって、T4における消費電力量以下の値であって、(Q10-Q2)以下の値に設定される。
【0102】
図14に示す例では、T1とT2とT3とT4との順序は、図12に示す例と同様である。図14に示す例では、T1においてQ1として非常に大きな値が設定され、T2においてQ2として非常に大きな値が設定されている。このため、Q3の設定時、図13に示す例と同様に、Q3は、(Q10-Q1)に設定される。また、Q4の設定時、Q4は、蓄電池残量が0以下にならない範囲内、且つ、T4における消費電力量以下の値に設定される。つまり、Q4は、(Q10-Q2)以下の値であって、T4における消費電力量以下の値に設定される。
【0103】
次に、表示制御部106が表示部13に表示させる画面について説明する。図15は、消費電力量の推定値及び実績値を提示する画面を示す図である。図16は、売買差額の推定値及び実績値を提示する画面を示す図である。図17は、使用湯量の推定値及び実績値を提示する画面を示す図である。
【0104】
図15に示す画面は、対象期間に含まれる全ての個別期間について、消費電力量の推定値を提示している。また、図15に示す画面は、対象期間に含まれる個別期間のうち、最初の個別期間から現在時刻の直前の個別期間までの個別期間について、消費電力量の実績値を提示している。また、図15に示す画面は、特定の個別期間において消費電力量の推定値と消費電力量の実績値との差が大きいため、経済的損失が発生する可能性があることを警告している。なお、例えば、普段は動作させない設備機器400を動作させた場合、又は、普段は動作させる設備機器400を動作させない場合、消費電力量の推定値と消費電力量の実績値との差が大きくなると考えられる。
【0105】
ユーザは、図15に示す画面を参照することにより、消費電力量の推定値と消費電力量の実績値との差を把握し、必要な対策を講じることができる。また、ユーザは、図15に示す画面に表示された警告に従って、必要な対策を講じることができる。例えば、ユーザは、図15に示す画面の表示内容から消費電力量の実績値が消費電力量の推定値よりも大幅に大きいことを把握した場合、節電により経済的損失を低減することができる。
【0106】
図16に示す画面は、対象期間に含まれる全ての個別期間について、売買差額の推定値を提示している。また、図16に示す画面は、対象期間に含まれる個別期間のうち、最初の個別期間から現在時刻の直前の個別期間までの個別期間について、売買差額の実績値を提示している。また、図16に示す画面は、対象期間の先頭時刻から現在時刻に至るまでの期間における売買差額の実績値がこの期間における売買差額の推定値よりも大幅に小さいため、経済的損失が発生する可能性があることを警告している。なお、例えば、天気予報が外れたことにより発電電力量の実績値が発電電力量の推定値よりも大幅に小さい場合、売買差額の実績値が売買差額の推定値よりも大幅に小さくなると考えられる。
【0107】
ユーザは、図16に示す画面を参照することにより、売買差額の推定値と売買差額の実績値との差を把握し、必要な対策を講じることができる。また、ユーザは、図16に示す画面に表示された警告に従って、必要な対策を講じることができる。例えば、ユーザは、図16に示す画面の表示内容から売買差額の実績値が売買差額の推定値よりも大幅に小さいことを把握した場合、節電により経済的損失を低減することができる。
【0108】
図17に示す画面は、対象期間に含まれる全ての個別期間について、使用湯量の推定値を提示している。また、図17に示す画面は、対象期間に含まれる個別期間のうち、最初の個別期間から現在時刻の直前の個別期間までの個別期間について、使用湯量の実績値を提示している。また、図17に示す画面は、特定の個別期間における使用湯量の実績値がこの期間における使用湯量の推定値よりも大幅に大きいため、経済的損失が発生する可能性があることを警告している。なお、例えば、ユーザが、普段、入浴しない時間帯に入浴した場合、使用湯量の実績値が使用湯量の推定値よりも大幅に大きくなると考えられる。
【0109】
ユーザは、図17に示す画面を参照することにより、使用湯量の推定値と使用湯量の実績値との差を把握し、必要な対策を講じることができる。また、ユーザは、図17に示す画面に表示された警告に従って、必要な対策を講じることができる。例えば、ユーザは、図17に示す画面の表示内容から使用湯量の実績値が使用湯量の推定値よりも大幅に大きいことを把握した場合、湯の使用を控えることにより経済的損失を低減することができる。
【0110】
本実施の形態では、推定個別消費電力量と個別消費電力量実績とが表示される。従って、ユーザが消費電力量における予測値と実績値との差を容易に把握することができる。このため、消費電力量における予測値と実績値とのずれによる経済的損失を減らすような行動をユーザに促すことができる。つまり、本実施の形態によれば、例えば、消費電力量の推定精度が低いときに、ユーザの経済的損失を低減させる契機をユーザに与えることができる。本実施の形態によれば、例えば、消費電力量の推定精度が低いときに、ユーザの経済的損失を低減させることができる。
【0111】
また、本実施の形態では、消費電力量の推定値と消費電力量の実績値との差が大きい場合、警告が表示される。従って、本実施の形態によれば、ユーザの経済的損失が発生する可能性が高いことをユーザに分かりやすく知らせることができる。
【0112】
また、本実施の形態では、推定個別売買差額と個別売買差額実績とが表示される。従って、ユーザが売買差額における予測値と実績値との差を容易に把握することができる。このため、売買差額における予測値と実績値とのずれによる経済的損失を減らすような行動をユーザに促すことができる。つまり、本実施の形態によれば、例えば、売買差額の推定精度が低いときに、ユーザの経済的損失を低減させる契機をユーザに与えることができる。
【0113】
また、本実施の形態では、売買差額の推定値と売買差額の実績値との差が大きい場合、警告が表示される。従って、本実施の形態によれば、ユーザの経済的損失が発生する可能性が高いことをユーザに分かりやすく知らせることができる。
【0114】
また、本実施の形態では、合計売買差額が大きくなるように、沸き上げ期間が設定される。従って、本実施の形態によれば、ユーザの経済的利益を増加させることができる。
【0115】
また、本実施の形態では、推定個別使用湯量と個別使用湯量実績とが表示される。従って、ユーザが使用湯量における予測値と実績値との差を容易に把握することができる。このため、使用湯量における予測値と実績値とのずれによる経済的損失を減らすような行動をユーザに促すことができる。従って、本実施の形態によれば、例えば、使用湯量の推定精度が低いときに、ユーザの経済的損失を低減させる契機をユーザに与えることができる。
【0116】
また、本実施の形態では、使用湯量の推定値と使用湯量の実績値との差が大きい場合、警告が表示される。従って、本実施の形態によれば、ユーザの経済的損失が発生する可能性が高いことをユーザに分かりやすく知らせることができる。
【0117】
また、本実施の形態では、買電単価又は余剰電力がある場合における売電単価が最も安い個別期間から順に沸き上げ期間に設定される。従って、本実施の形態によれば、ユーザの経済的利益を増加させることができる。
【0118】
また、本実施の形態では、合計売買差額が大きくなるように、充電期間と放電期間とが設定される。従って、本実施の形態によれば、ユーザの経済的利益を増加させることができる。
【0119】
また、本実施の形態では、電力コスト最小期間が充電期間に設定され、充電期間よりも後の個別期間のうち電力コスト最大期間が放電期間に設定される。従って、本実施の形態によれば、ユーザの経済的利益を更に増加させることができる。
【0120】
また、本実施の形態では、未設定期間のうち電力コスト最小期間が充電期間に設定され、充電期間よりも後の未設定期間のうち電力コスト最大期間が放電期間に設定される処理が繰り返される。従って、本実施の形態によれば、ユーザの経済的利益を更に増加させることができる。
【0121】
また、本実施の形態では、電力供給業者が推定した電力調達料金に基づいて、電力供給業者が設定する個別単価が推定される。従って、本実施の形態によれば、市場連動型の単価が採用される場合において、ユーザの経済的利益を更に増加させることができる。
【0122】
(実施の形態2)
実施の形態1では、機器制御システム1000が機器制御装置100を備える例について説明した。本実施の形態では、図18を参照して、機器制御システム1100が機器制御装置110と端末装置800とを備える例について説明する。なお、実施の形態1と同様の構成及び機能については、適宜、説明を省略又は簡略化する。
【0123】
機器制御装置110は、物理的には、機器制御装置100と同様の構成を備える。機器制御装置110は、機能的には、表示部13に各種の画面を表示する機能に代えて、各種の画面を表示するための情報を端末装置800に送信する機能を有する点を除いて、機器制御装置100と同様の機能を有する。
【0124】
端末装置800は、機器制御装置110から供給された情報に基づいて、各種の画面を表示する。例えば、端末装置800は、図15図16又は図17に示す画面を表示する。端末装置800は、通信ネットワーク600を介して、機器制御装置110と通信する。端末装置800は、例えば、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ、タッチスクリーン、通信インターフェース等を備える。端末装置800は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン等である。端末装置800は、表示装置の一例である。
【0125】
本実施の形態では、推定個別消費電力量と個別消費電力量実績とが端末装置800に表示される。従って、本実施の形態によれば、例えば、消費電力量の推定精度が低いときに、ユーザの経済的損失を低減させる契機をユーザに与えることができる。
【0126】
(変形例)
以上、実施の形態を説明したが、種々の形態による変形及び応用が可能である。上記実施の形態において説明した構成、機能、動作のどの部分を採用するのかは任意である。また、上述した構成、機能、動作のほか、更なる構成、機能、動作が採用されてもよい。また、上記実施の形態において説明した構成、機能、動作は、自由に組み合わせることができる。
【0127】
実施の形態1では、買電単価と売電単価とが市場連動型の単価である例について説明した。買電単価と売電単価とが市場連動型の単価ではなく、予め定められた単価でもよい。
【0128】
上記実施の形態では、制御部11において、CPUがROM又は記憶部12に記憶されたプログラムを実行することによって、図3に示した各部として機能した。しかしながら、本開示において、制御部11は、専用のハードウェアであってもよい。専用のハードウェアとは、例えば単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、これらの組み合わせ等である。制御部11が専用のハードウェアである場合、各部の機能それぞれを個別のハードウェアで実現してもよいし、各部の機能をまとめて単一のハードウェアで実現してもよい。また、各部の機能のうち、一部を専用のハードウェアによって実現し、他の一部をソフトウェア又はファームウェアによって実現してもよい。このように、制御部11は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は、これらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0129】
本開示に係る機器制御装置100、110の動作を規定する動作プログラムを既存のパーソナルコンピュータ又は情報端末装置等のコンピュータに適用することで、当該コンピュータを、本開示に係る機器制御装置100、110として機能させることも可能である。また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD-ROM(Compact Disk ROM)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)、又は、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して配布してもよい。
【0130】
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。すなわち、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして特許請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、本開示の範囲内とみなされる。
【0131】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0132】
(付記1)
電力を消費する設備機器が設けられた需要地の過去の消費電力量に基づいて、前記需要地の消費電力量を対象期間に含まれる個別期間毎に推定する消費電力量推定手段と、
前記需要地の天気予報を示す天気予報情報に基づいて、前記需要地に設けられた太陽光発電装置の発電電力量を前記個別期間毎に推定する発電電力量推定手段と、
前記消費電力量推定手段が推定した前記個別期間毎の消費電力量である推定個別消費電力量と、前記発電電力量推定手段が推定した前記個別期間毎の発電電力量である推定個別発電電力量と、前記個別期間毎の売電及び買電の単価である個別単価とに基づいて、前記個別期間毎に売電料金から買電料金を差し引いた金額である個別売買差額の前記対象期間における合計値である合計売買差額が大きくなるように、前記設備機器を制御する機器制御手段と、
前記対象期間に、前記推定個別消費電力量と前記需要地の消費電力量の前記個別期間毎の実績値である個別消費電力量実績とを表示する表示手段と、を備える、
機器制御装置。
(付記2)
前記表示手段は、少なくとも1つの前記個別期間において前記推定個別消費電力量と前記個別消費電力量実績との差が個別電力量閾値を超えた場合、又は、前記対象期間における現在時刻までの前記推定個別消費電力量の合計値と前記対象期間における現在時刻までの前記個別消費電力量実績の合計値との差が合計電力量閾値を超えた場合、警告を表示する、
付記1に記載の機器制御装置。
(付記3)
前記機器制御手段は、前記推定個別消費電力量と前記推定個別発電電力量と前記個別単価と前記設備機器に対する動作スケジュールとに基づいて、前記個別売買差額を推定し、
前記表示手段は、前記対象期間に、前記機器制御手段が推定した前記個別売買差額である推定個別売買差額と前記個別売買差額の実績値である個別売買差額実績とを表示する、
付記1又は2に記載の機器制御装置。
(付記4)
前記表示手段は、少なくとも1つの前記個別期間において前記推定個別売買差額と前記個別売買差額実績との差が個別差額閾値を超えた場合、又は、前記対象期間における現在時刻までの前記推定個別売買差額の合計値と前記対象期間における現在時刻までの前記個別売買差額実績の合計値との差が合計差額閾値を超えた場合、警告を表示する、
付記3に記載の機器制御装置。
(付記5)
前記設備機器は、湯を蓄えるために沸き上げ運転を実行し、蓄えた湯を供給する給湯器を含み、
前記需要地の過去の使用湯量に基づいて、前記需要地の使用湯量を前記個別期間毎に推定する使用湯量推定手段を更に備え、
前記機器制御手段は、前記推定個別消費電力量と前記推定個別発電電力量と前記使用湯量推定手段が推定した前記個別期間毎の使用湯量である推定個別使用湯量と前記個別単価とに基づいて、前記合計売買差額が大きくなるように、前記給湯器が前記沸き上げ運転を実行する期間である沸き上げ期間を決定する、
付記1から4の何れか1項に記載の機器制御装置。
(付記6)
前記表示手段は、前記対象期間に、前記推定個別使用湯量と前記需要地の使用湯量の前記個別期間毎の実績値である個別使用湯量実績とを表示する、
付記5に記載の機器制御装置。
(付記7)
前記表示手段は、少なくとも1つの前記個別期間において前記推定個別使用湯量と前記個別使用湯量実績との差が個別湯量閾値を超えた場合、又は、前記対象期間における現在時刻までの前記推定個別使用湯量の合計値と前記対象期間における現在時刻までの前記個別使用湯量実績の合計値との差が合計湯量閾値を超えた場合、警告を表示する、
付記6に記載の機器制御装置。
(付記8)
前記機器制御手段は、買電単価又は余剰電力がある場合における売電単価が最も安い個別期間から順に前記沸き上げ期間に設定する、
付記5から7の何れか1項に記載の機器制御装置。
(付記9)
前記設備機器は、蓄電池を充電する充電運転と前記蓄電池に放電させる放電運転とを実行する蓄電装置を含み、
前記機器制御手段は、前記推定個別消費電力量と前記推定個別発電電力量と前記個別単価とに基づいて、前記合計売買差額が大きくなるように、前記蓄電装置が前記充電運転を実行する期間である充電期間と前記蓄電装置が前記放電運転を実行する期間である放電期間とを決定する、
付記1から8の何れか1項に記載の機器制御装置。
(付記10)
前記機器制御手段は、買電単価又は余剰電力がある場合における売電単価が最も安い個別期間を前記充電期間に設定し、前記対象期間における前記充電期間よりも後の個別期間のうち、前記買電単価又は前記余剰電力がある場合における前記売電単価が最も高い個別期間を、前記放電期間に設定する、
付記9に記載の機器制御装置。
(付記11)
前記機器制御手段は、前記充電期間と前記放電期間とに設定されていない個別期間である未設定期間のうち、前記買電単価又は前記余剰電力がある場合における前記売電単価が最も安い個別期間を、前記充電期間に設定し、前記充電期間よりも後の未設定期間のうち、前記買電単価又は前記余剰電力がある場合における前記売電単価が最も高い個別期間を、前記放電期間に設定する処理を繰り返す、
付記10に記載の機器制御装置。
(付記12)
前記需要地に電力を供給する電力供給業者は、前記対象期間において電力市場から電力を調達するのに要する料金である電力調達料金を推定し、推定した前記電力調達料金に基づいて前記個別単価を設定し、
前記電力供給業者が推定した前記電力調達料金に基づいて、前記電力供給業者が設定する前記個別単価を推定する単価推定手段を更に備える、
付記1から11の何れか1項に記載の機器制御装置。
(付記13)
機器制御装置と表示装置とを備える機器制御システムであって、
前記機器制御装置は、
電力を消費する設備機器が設けられた需要地の過去の消費電力量に基づいて、前記需要地の消費電力量を対象期間に含まれる個別期間毎に推定する消費電力量推定手段と、
前記需要地の天気予報を示す天気予報情報に基づいて、前記需要地に設けられた太陽光発電装置の発電電力量を前記個別期間毎に推定する発電電力量推定手段と、
前記消費電力量推定手段が推定した前記個別期間毎の消費電力量である推定個別消費電力量と、前記発電電力量推定手段が推定した前記個別期間毎の発電電力量である推定個別発電電力量と、前記個別期間毎の売電及び買電の単価である個別単価とに基づいて、前記対象期間における売電料金から前記対象期間における買電料金を差し引いた金額である売買差額が大きくなるように、前記設備機器を制御する機器制御手段と、を備え、
前記表示装置は、前記対象期間に、前記推定個別消費電力量と前記需要地の消費電力量の前記個別期間毎の実績値である個別消費電力量実績とを表示する、
機器制御システム。
(付記14)
電力を消費する設備機器が設けられた需要地の過去の消費電力量に基づいて、前記需要地の消費電力量を対象期間に含まれる個別期間毎に推定し、
前記需要地の天気予報を示す天気予報情報に基づいて、前記需要地に設けられた太陽光発電装置の発電電力量を前記個別期間毎に推定し、
推定した前記個別期間毎の消費電力量である推定個別消費電力量と、推定した前記個別期間毎の発電電力量である推定個別発電電力量と、前記個別期間毎の売電及び買電の単価である個別単価とに基づいて、前記対象期間における売電料金から前記対象期間における買電料金を差し引いた金額である売買差額が大きくなるように、前記設備機器を制御し、
前記対象期間に、前記推定個別消費電力量と前記需要地の消費電力量の前記個別期間毎の実績値である個別消費電力量実績とを表示する、
機器制御方法。
(付記15)
コンピュータを、
電力を消費する設備機器が設けられた需要地の過去の消費電力量に基づいて、前記需要地の消費電力量を対象期間に含まれる個別期間毎に推定する消費電力量推定手段、
前記需要地の天気予報を示す天気予報情報に基づいて、前記需要地に設けられた太陽光発電装置の発電電力量を前記個別期間毎に推定する発電電力量推定手段、
前記消費電力量推定手段が推定した前記個別期間毎の消費電力量である推定個別消費電力量と、前記発電電力量推定手段が推定した前記個別期間毎の発電電力量である推定個別発電電力量と、前記個別期間毎の売電及び買電の単価である個別単価とに基づいて、前記対象期間における売電料金から前記対象期間における買電料金を差し引いた金額である売買差額が大きくなるように、前記設備機器を制御する機器制御手段、
前記対象期間に、前記推定個別消費電力量と前記需要地の消費電力量の前記個別期間毎の実績値である個別消費電力量実績とを表示手段に表示させる表示制御手段、として機能させる、
プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本開示は、機器制御システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0134】
11 制御部、12 記憶部、13 表示部、14 操作受付部,15 第1通信部、16 第2通信部、100,110 機器制御装置、101 消費電力量推定部、102 発電電力量推定部、103 単価推定部、104 使用湯量推定部、105 機器制御部、106 表示制御部、200 太陽光発電装置、300 電力計測装置、400 設備機器、410 給湯器、411 貯湯タンク、420 蓄電装置、421 蓄電池、430 空気調和装置、510 天気予報サーバ、520 電力調達料金推定サーバ、600,700 通信ネットワーク、800 端末装置、1000,1100 機器制御システム
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