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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182955
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】ICカードリーダ
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/00 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
G06K7/00 073
G06K7/00 069
G06K7/00 021
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096255
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】森田 輝
(57)【要約】
【課題】1つのリーダ側端子部のみで複数の差込口に対応可能な構成を提供する。
【解決手段】ICカード50のカード側端子部51と、ICカード50の情報を読み取る際にカード側端子部51に接触するリーダ側端子部30とは、同じ所定の配列パターンにて同じ所定数の端子が配列されてなる。筐体11に複数の差込口として設けられる第1の差込口21及び第2の差込口22は、それぞれ、差し込まれたICカード50のカード側端子部51がリーダ側端子部30に接触するように形成される。そして、差込口検知部44によりICカード50の差し込みが検知された差込口に応じて、リーダ側端子部30のポート設定が行われる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカードの情報を読み取るICカードリーダであって、
前記ICカードを差し込む差込口が複数設けられる筐体と、
前記ICカードが差し込まれた前記差込口を検知する検知部と、
前記ICカードの情報を読み取る際に当該ICカードのカード側端子部に接触するリーダ側端子部と、
前記リーダ側端子部を構成する複数の端子のポート設定に関する処理を行う設定部と、
を備え、
前記カード側端子部と前記リーダ側端子部とは、同じ所定の配列パターンにて同じ所定数の端子が配列されてなり、
前記差込口は、それぞれ、差し込まれた前記ICカードの前記カード側端子部が前記リーダ側端子部に接触するように形成され、
前記定部は、前記検知部により前記ICカードの差し込みが検知された前記差込口に応じて、前記リーダ側端子部のポート設定を行うことを特徴とするICカードリーダ。
【請求項2】
前記カード側端子部が前記リーダ側端子部に接触した位置で前記ICカードに当接するストッパを前記差込口ごとに設けることを特徴とする請求項1に記載のICカードリーダ。
【請求項3】
前記筐体には、複数の前記差込口として第1の差込口と第2の差込口とが設けられ、
前記第1の差込口及び前記第2の差込口は、互いの差込方向が平行となるように形成されることを特徴とする請求項1に記載のICカードリーダ。
【請求項4】
前記検知部は、
前記第1の差込口から差し込まれた前記ICカードによって押し込まれることで第1の方向に移動して前記第2の差込口から差し込まれた前記ICカードによって押し込まれることで前記第1の方向に対して逆方向となる第2の方向に移動する移動体を備えて、
前記移動体の位置に応じて、前記ICカードが差し込まれた差込口が前記第1の差込口及び前記第2の差込口のいずれであるか検知することを特徴とする請求項3に記載のICカードリーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードの情報を読み取るICカードリーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ICカードの情報を読み取るICカードリーダとして、例えば、下記特許文献1に開示されるICカードリーダが知られている。このICカードリーダでは、2つのカード挿入部が設けられるとともに、カード挿入部ごとにICカードのモジュール端子部と接触して情報を読み取るための接触端子部が4つ配置されている。これにより、ICカードがカード挿入部に対してどの向きで挿入された場合でもそのICカードのモジュール端子部が4つの接触端子部のうちのいずれかと接触するため、ICカードの挿入方向を気にする必要が無くICカードリーダの使い勝手を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-040345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ICカードリーダは、ICカードを差し込む差込口がICカードの利用者側に向くように配置されることで、利用者がICカードリーダに対してICカードを差し込み易くなる。しかしながら、ICカードリーダを載置する場所のレイアウト等によっては、通常時に差込口が利用者側に向かず、利用時に差込口が利用者側に向くようにICカードリーダを移動させるような運用がなされる場合がある。このような問題を解決するため、2以上の差込口が設けられるICカードリーダを採用することもできるが、ICカードの外部接続用の端子部(カード側端子部)に接触するリーダ側端子部を差込口ごとに設ける必要があるため、製造コストが増大するだけでなく、リーダの小型化を阻害してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、1つのリーダ側端子部のみで複数の差込口に対応可能な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
ICカード(50)の情報を読み取るICカードリーダ(10)であって、
前記ICカードを差し込む差込口(21,22)が複数設けられる筐体(11)と、
前記ICカードが差し込まれた前記差込口を検知する検知部(44)と、
前記ICカードの情報を読み取る際に当該ICカードのカード側端子部(51)に接触するリーダ側端子部(30)と、
前記リーダ側端子部を構成する複数の端子のポート設定に関する処理を行う設定部(41)と、
を備え、
前記カード側端子部と前記リーダ側端子部とは、同じ所定の配列パターンにて同じ所定数の端子が配列されてなり、
前記差込口は、それぞれ、差し込まれた前記ICカードの前記カード側端子部が前記リーダ側端子部に接触するように形成され、
前記定部は、前記検知部により前記ICカードの差し込みが検知された前記差込口に応じて、前記リーダ側端子部のポート設定を行うことを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明では、ICカードのカード側端子部と、ICカードの情報を読み取る際にカード側端子部に接触するリーダ側端子部とは、同じ所定の配列パターンにて同じ所定数の端子が配列されてなる。筐体に設けられる複数の差込口は、それぞれ、差し込まれたICカードのカード側端子部がリーダ側端子部に接触するように形成される。そして、検知部によりICカードの差し込みが検知された差込口に応じて、リーダ側端子部のポート設定が設定部により行われる。
【0008】
いずれの差込口にICカードが差し込まれた場合でもそのICカードのカード側端子部に接触する位置にリーダ側端子部を配置することで、複数の差込口に対して1つのリーダ側端子部を共用させることはできる。しかしながら、カード側端子部とリーダ側端子部とは同じ所定の配列パターンにて同じ所定数の端子が配列されているため、ある向きで差し込んだICカードのカード側端子部とリーダ側端子部とが接触する際に接続すべき同じポートの端子同士が接続する場合、他の向きで差し込んだICカードのカード側端子部とリーダ側端子部とが接触する際には、設定が異なるポートの端子同士が接続されてしまう。例えば、ICカードを右側から差し込んだ際にカード側端子部とリーダ側端子部とで設定が同じポートとなる左上の端子同士が接続する場合、ICカードを左側から差し込むと、ICカードがリーダ側端子部に対して180度回転した状態になるため、カード側端子部の左上の端子とリーダ側端子部の右下の端子、すなわち、設定が異なるポートの端子同士が接続してしまう。
【0009】
このため、検知部によりICカードの差し込みが検知された差込口に応じて、リーダ側端子部のポート設定が設定部により行われる。これにより、例えば、上述の例では、左側からのICカードの差し込みが検出されると、リーダ側端子部のポート設定を180度回転させるように変更することで、リーダ側端子部の右下の端子を接続されるカード側端子部の左上の端子と同じポート設定にすることができる。したがって、1つのリーダ側端子部のみで複数の差込口に対応可能なICカードリーダを実現することができる。
【0010】
請求項2の発明では、カード側端子部がリーダ側端子部に接触した位置でICカードに当接するストッパが、差込口ごとに設けられる。これにより、ICカードをストッパに当接するまで差し込むことで、そのICカードのカード側端子部がリーダ側端子部に接触するので、両端子部の接触を正確に実施することができる。
【0011】
請求項3の発明では、複数の差込口として筐体に設けられる第1の差込口及び第2の差込口は、互いの差込方向が平行となるように形成される。これにより、左右のどちらからでもICカードを差込可能なICカードリーダを実現することができる。
【0012】
請求項4の発明では、前記検知部は、第1の差込口から差し込まれたICカードによって押し込まれることで第1の方向に移動して第2の差込口から差し込まれたICカードによって押し込まれることで第1の方向に対して逆方向となる第2の方向に移動する移動体を備えて、この移動体の位置に応じて、ICカードが差し込まれた差込口が第1の差込口及び第2の差込口のいずれであるか検知する。これにより、1つの移動体の位置を感知するだけで、ICカードが差し込まれた差込口を検知できるので、差込口を検知するための検知機構の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係るICカードリーダの概略構成を説明する説明図である。
図2図2(A)は、図1のICカードを説明する説明図であり、図2(B)は、図2(A)のカード側端子部の各端子を拡大して示す説明図である。
図3図3(A)は、第1の差込口から差し込まれてカード側端子部がリーダ側端子部に接触したICカードがストッパに当接している状態を説明する説明図であり、図3(B)は、第2の差込口から差し込まれてカード側端子部がリーダ側端子部に接触したICカードがストッパに当接している状態を説明する説明図である。
図4】ICカードリーダの電気的構成を例示するブロック図である。
図5】光電センサを利用したICカードの差込口の検知を説明する説明図である。
図6】制御部によりなされるICカード読取処理の流れを例示するフローチャートである。
図7】第1の差込口にICカードが差し込まれた場合に設定されるポート設定を説明する説明図である。
図8】第2の差込口にICカードが差し込まれた場合に設定されるポート設定を説明する説明図である。
図9】第2実施形態に係るICカードリーダの概略構成を説明する説明図である。
図10図10(A)は、第1の差込口から差し込まれたICカードが移動体を第1のストッパに押し付けた状態を説明する説明図であり、図10(B)は、第2の差込口から差し込まれたICカードが移動体を第2のストッパに押し付けた状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、本発明のICカードリーダを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示す本実施形態に係るICカードリーダ10は、その外郭を構成する筐体11にICカード50が差し込まれる差込口が複数設けられるようにして構成されている。ICカードリーダ10の読取対象となるICカード50は、そのカードサイズが国際規格ISO/IEC 7810のID-1に従ったサイズ(85.60 mm×53.98mm)であり、図2(A)に示すように、所定の位置にICチップを構成するカード側端子部51が配置されている。カード側端子部51は、図2(B)に示すように、国際規格ISO/IEC 7816-2で定義されるC1~C8の8個の端子が所定の配列パターンにて配列されるように構成されている。端子C1は電源端子(VCC)であり、端子C2は、リセット端子(RST)であり、端子C3は、クロック端子(CLK)であり、端子C5は、グランド端子(GND)であり、端子C6は、プログラム供給電圧用の端子であり、端子C7は、通信用の端子(I/O)である。また、端子C4及び端子C8は、予備の端子である。
【0015】
図1に示すように、筐体11には、ICカード50が差し込まれる複数の差込口として、互いの差込方向が平行となる第1の差込口21及び第2の差込口22の2つの差込口が形成されている。筐体11の内部には、ICカード50の情報を読み取る際に当該ICカード50のカード側端子部51に接触するリーダ側端子部30やこのリーダ側端子部30を介してICカード50に記録されるカード情報を読み取るICカード読取処理を行うための回路等が実装された基板(図示略)等が収容されている。なお、便宜上、図1では、第1の差込口21及び第2の差込口22に沿う平面で切断したICカードリーダ10を上方から見た状態を概略的に図示しており、上記平面に垂直投影したリーダ側端子部30及び各端子31~38の位置を二点鎖線にて図示している。
【0016】
リーダ側端子部30は、カード側端子部51の各端子と同じ配列パターンにて同じ所定数となる8個の端子31~38が配列されて構成されている。また、リーダ側端子部30は、カード側端子部51が差込方向側であって上方を向くようにしてICカード50が差込口に差し込むことを前提に配置されている。具体的には、リーダ側端子部30は、ICカード50が第1の差込口21から差し込まれた場合のカード側端子部51と、ICカード50が第2の差込口22から差し込まれた場合のカード側端子部51とに、それぞれ接触するように配置されている。
【0017】
このため、筐体11には、第1の差込口21から差し込まれたICカード50をそのカード側端子部51がリーダ側端子部30に接触するように案内する第1のガイド12と、第2の差込口22から差し込まれたICカード50をそのカード側端子部51がリーダ側端子部30に接触するように案内する第2のガイド13とが設けられている。
【0018】
さらに、図3(A)に示すように、筐体11には、第1の差込口21から差し込まれたICカード50のカード側端子部51がリーダ側端子部30に接触した位置でICカード50に当接する第1のストッパ14が設けられている。また、図3(B)に示すように、筐体11には、第2の差込口22から差し込まれたICカード50のカード側端子部51がリーダ側端子部30に接触した位置でICカード50に当接する第2のストッパ15が設けられている。
【0019】
図4に示すように、ICカードリーダ10は、当該ICカードリーダ10全体を制御可能なCPUやメモリ等からなる制御部41、操作部42、報知部43、差込口検知部44、通信部45等を備えている。操作部42は、操作ボタン等を有し、制御部41に対して操作ボタン等の操作に応じた操作信号を与える構成をなしており、制御部41は、この操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行う。報知部43は、LEDなどの発光部やブザー等を備えており、制御部41による制御によって発光部の発光状態やブザーの鳴動状態等が制御されることで、ユーザに対してICカード50の読取結果等に応じた所定の報知を行うように構成されている。通信部45は、上位機器等との間での無線又は有線にてデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部41と協働して通信処理を行う構成をなしている。
【0020】
差込口検知部44は、ICカード50が差し込まれた差込口を検知する検知部として機能するもので、その検知結果を制御部41に出力するように構成されている。本実施形態では、差込口検知部44は、第1の差込口21から差し込まれたICカード50を検知するための光電センサと第2の差込口22から差し込まれたICカード50を検知するための光電センサとをそれぞれ備えている。光電センサは、図5に示すように、一対の投光部44aと受光部44bとを備え、投光部44aから投光された光が受光部44bにて受光されない場合に、ICカード50の差し込みが検知される。
【0021】
ここで、リーダ側端子部30の端子構成及び各端子に関するポート設定について、以下に説明する。
いずれの差込口にICカードが差し込まれた場合でもそのICカード50のカード側端子部51に接触する位置にリーダ側端子部30を配置することで、複数の差込口に対して1つのリーダ側端子部30を共用させることはできる。しかしながら、カード側端子部51とリーダ側端子部30とは同じ所定の配列パターンにて同じ所定数の端子が配列されている。このため、ICカード50を第1の差込口21から差し込んだ際にカード側端子部51とリーダ側端子部30とで設定が同じポートとなる左上の端子C1と左上の端子31とが接続する場合、ICカード50を第2の差込口22から差し込むと、ICカード50がリーダ側端子部30に対して180度回転した状態になるため、カード側端子部51の左上の端子C1とリーダ側端子部30の右下の端子38、すなわち、設定が異なるポートの端子同士が接続してしまう。
【0022】
そこで、本実施形態では、制御部41によりなされるICカード読取処理において、差込口検知部44によりICカード50の差し込みが検知された差込口に応じて、リーダ側端子部30のポート設定を行う。
【0023】
以下、本実施形態において制御部41によりなされるICカード読取処理について、図6に示すフローチャートを参照して詳述する。
操作部42に対する所定の操作等に応じて制御部41によりICカード読取処理が開始されると、図6のステップS101に示す判定処理にて、ICカード50が差込口に差し込まれたか否かについて判定される。ここで、差込口検知部44によりICカード50の差し込みが検知されない場合には、ステップS101にてNoと判定され、差込口検知部44によりICカード50の差し込みが検知されるまでNoとの判定が繰り返される。
【0024】
そして、第1の差込口21及び第2の差込口22のいずれかにICカード50が差し込まれたことにより、差込口検知部44によりICカード50の差し込みが検知されると(S101でYes)、ステップS103に示すポート設定処理がなされる。この処理では、差込口検知部44によりICカード50の差し込みが検知された差込口に応じて、リーダ側端子部30のポート設定が行われる。なお、上記ポート設定処理を行う制御部41は、「設定部」の一例に相当し得る。
【0025】
具体的には、第1の差込口21へのICカード50の差し込みが差込口検知部44により検知されると、図7に示すように、端子31が端子C1と同じ電源端子(VCC)として機能するように設定され、端子32が端子C2と同じリセット端子(RST)として機能するように設定され、端子33が端子C3と同じクロック端子(CLK)として機能するように設定され、端子35が端子C5と同じグランド端子(GND)として機能するように設定され、端子36が端子C6と同じプログラム供給電圧用の端子として機能するように設定され、端子37が端子C7と同じ通信用の端子(I/O)として機能するように設定される。
【0026】
上述のように第1の差込口21から差し込まれたICカード50が第1のガイド12に案内されて第1のストッパ14に当接すると、そのICカード50のカード側端子部51とリーダ側端子部30とが接触した状態になる。この両端子部の接触状態では、端子31と端子C1とが接続され、端子32と端子C2とが接続され、端子33と端子C3とが接続され、端子35と端子C5とが接続され、端子36と端子C6とが接続され、端子37と端子C7とが接続される。すなわち、接続すべき同じ機能の端子同士が接続される。
【0027】
そして、上述のように同じ機能の端子同士が接続された状態で、ステップS105に示す読取処理がなされ、ICカード50に記録されるカード情報がカード側端子部51に接触しているリーダ側端子部30を介して読み取られる。これにより、読み取ったカード情報を利用した決済処理等を実施することができる。
【0028】
一方、第2の差込口22へのICカード50の差し込みが差込口検知部44により検知されると、図8に示すように、端子38が端子C1と同じ電源端子(VCC)として機能するように設定され、端子37が端子C2と同じリセット端子(RST)として機能するように設定され、端子36が端子C3と同じクロック端子(CLK)として機能するように設定され、端子34が端子C5と同じグランド端子(GND)として機能するように設定され、端子33が端子C6と同じプログラム供給電圧用の端子として機能するように設定され、端子32が端子C7と同じ通信用の端子(I/O)として機能するように設定される。
【0029】
上述のように第2の差込口22から差し込まれたICカード50が第2のガイド13に案内されて第2のストッパ15に当接すると、そのICカード50のカード側端子部51とリーダ側端子部30とが接触した状態になる。この両端子部の接触状態では、端子38と端子C1とが接続され、端子37と端子C2とが接続され、端子36と端子C3とが接続され、端子34と端子C5とが接続され、端子33と端子C6とが接続され、端子32と端子C7とが接続される。すなわち、リーダ側端子部30のポート設定が、第1の差込口21からの差し込みが検知された場合に対して180度回転するように変更されて、接続すべき同じ機能の端子同士が接続される。
【0030】
このような場合でも、上述のように同じ機能の端子同士が接続された状態で、ステップS105に示す読取処理がなされ、ICカード50に記録されるカード情報がカード側端子部51に接触しているリーダ側端子部30を介して読み取られる。これにより、読み取ったカード情報を利用した決済処理等を実施することができる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態に係るICカードリーダ10では、ICカード50のカード側端子部51と、ICカード50の情報を読み取る際にカード側端子部51に接触するリーダ側端子部30とは、同じ所定の配列パターンにて同じ所定数の端子が配列されてなる。筐体11に複数の差込口として設けられる第1の差込口21及び第2の差込口22は、それぞれ、差し込まれたICカード50のカード側端子部51がリーダ側端子部30に接触するように形成される。そして、差込口検知部44によりICカード50の差し込みが検知された差込口に応じて、リーダ側端子部30のポート設定が行われる(S103)。
【0032】
そして、複数の差込口として筐体11に設けられる第1の差込口21及び第2の差込口22は、互いの差込方向が平行となるように形成される。これにより、1つのリーダ側端子部30のみで複数の差込口に対応可能なICカードリーダ10、より具体的には、1つのリーダ側端子部30のみで左右のどちらからでもICカード50を差込可能なICカードリーダ10を実現することができる。
【0033】
特に、カード側端子部51がリーダ側端子部30に接触した位置でICカード50に当接する第1のストッパ14及び第2のストッパ15が、第1の差込口21及び第2の差込口22ごとに設けられる。これにより、ICカード50を第1のストッパ14又は第2のストッパ15に当接するまで差し込むことで、そのICカード50のカード側端子部51がリーダ側端子部30に接触するので、両端子部の接触を正確に実施することができる。
【0034】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るICカードリーダについて、図面を参照して説明する。
本第2実施形態では、差し込まれたICカード50によって押し込まれる移動体の位置に応じてICカード50が差し込まれた差込口を検知する点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0035】
図9に示すように、本実施形態に係るICカードリーダ10aは、上述したICカードリーダ10に対して、差込口検知部44が上述した光電センサに代えて移動体46等を備えるように構成されている。移動体46は、ICカード50よりも厚みを大きくした棒状物体等であって、第1の差込口21又は第2の差込口22から差し込まれたICカード50によって押し込まれることで、第1のガイド12及び第2のガイド13等を利用してICカード50の抜き差し方向にスライドするように保持されている。すなわち、移動体46は、第1の差込口21から差し込まれたICカード50によって押し込まれることで第1の方向(図9の左側)に移動して、第2の差込口22から差し込まれたICカード50によって押し込まれることで第1の方向に対して逆方向となる第2の方向(図9の右側)に移動する。
【0036】
本実施形態に係る差込口検知部44は、移動体46の位置に応じて、ICカード50が差し込まれた差込口が第1の差込口21及び第2の差込口22のいずれであるか検知するように機能する。具体的には、図10(A)に示すように、第1の差込口21から差し込まれたICカード50によって押し込まれた移動体46が第1のストッパ14に接触した状態が検知されると、第1の差込口21へICカード50が差し込まれたことを検知して、その検知結果を制御部41に出力する。なお、本実施形態では、第1のストッパ14は、カード側端子部51とリーダ側端子部30とを正確に接触させるため、上記第1実施形態に対して移動体46の幅(スライド方向の長さ)分だけずれるように形成されている。
【0037】
また、差込口検知部44は、図10(B)に示すように、第2の差込口22から差し込まれたICカード50によって押し込まれた移動体46が第2のストッパ15に接触した状態が検知されると、第2の差込口22へICカード50が差し込まれたことを検知して、その検知結果を制御部41に出力する。なお、第1のストッパ14と同様に、第2のストッパ15も、上記第1実施形態に対して移動体46の幅(スライド方向の長さ)分だけずれるように形成されている。
【0038】
このように構成されるICカードリーダ10aでは、差込口検知部44は、いずれかの差込口から差し込まれたICカード50によって押し込まれる移動体46の位置に応じて、ICカード50が差し込まれた差込口が第1の差込口21及び第2の差込口22のいずれであるか検知する。これにより、1つの移動体46の位置を感知するだけで、ICカード50が差し込まれた差込口を検知できるので、差込口を検知するための検知機構の簡素化を図ることができる。
【0039】
なお、本発明は上記各実施形態等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)差込口検知部44は、一対の投光部44a及び受光部44bを備える光電センサや移動体46を利用してICカード50が差し込まれた差込口を検知するように構成されることに限らず、例えば、接触センサ等を利用してICカード50が差し込まれた差込口を検知するように構成されてもよい。また、差込口検知部44は、例えば、移動体46に代えて傾動自在に保持される移動体を採用して、この移動体が第1の差込口21から差し込まれたICカード50によって第1の方向に押し倒されて第2の差込口22から差し込まれたICカード50によって第1の方向とは逆の第2の方向に押し倒されることを前提に、当該移動体の傾動状態に応じてICカード50が差し込まれた差込口を検知するように構成されてもよい。
【0040】
(2)本発明は、8個の端子が図2に示す配列パターンにて配列されるカード側端子部51を有するICカード50を読取対象とするICカードリーダ10に適用されることに限らず、所定数の端子が所定の配列パターンにて配列されるカード側端子部を有するICカードを読取対象とするICカードリーダに適用されてもよい。この場合には、カード側端子部とリーダ側端子部とは、同じ所定の配列パターンにて同じ所定数の端子が配列されてなる。
【0041】
10…ICカードリーダ
11…筐体
12,13…ガイド
14,15…ストッパ
21…第1の差込口
22…第2の差込口
30…リーダ側端子部
31~38…端子
41…制御部(設定部)
44…差込口検知部(検知部)
46…移動体
50…ICカード
51…カード側端子部
C1~C8…端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10