(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182961
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】運行評価システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20231220BHJP
F16D 25/12 20060101ALI20231220BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
G08G1/00 D
F16D25/12 D
G07C5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096268
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 瑠奈
(72)【発明者】
【氏名】大石 啓之
(72)【発明者】
【氏名】松宮 昌彦
【テーマコード(参考)】
3E138
3J057
5H181
【Fターム(参考)】
3E138AA07
3E138MA06
3E138MB02
3E138MB13
3E138MC12
3J057BB03
3J057GB02
3J057GB10
3J057GB36
3J057HH02
3J057JJ01
5H181AA07
5H181AA21
5H181BB04
5H181FF05
5H181FF10
5H181FF33
(57)【要約】
【課題】運転者にクラッチを適正に使用させることができる運行評価システムを提供する。
【解決手段】運行評価システム100は、回転数取得部18a及び車速取得部18bを含む車載機器1と、半クラッチ判定部22及びフィードバック部23を含むサーバ2とを備える。回転数取得部18aは、車両Vのエンジンの回転数を取得する。車速取得部18bは、車両Vの車速を取得する。半クラッチ判定部22は、回転数取得部18aにより取得したエンジンの回転数と、車速取得部18bにより取得した車速とに基づいて車両Vの半クラッチを判定する。フィードバック部23は、半クラッチ判定部22による半クラッチの判定結果を解析し当該解析結果を車両Vの運転者にフィードバックする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエンジンの回転数を取得する回転数取得部と、
前記車両の車速を取得する車速取得部と、
前記回転数取得部により取得した前記エンジンの回転数と前記車速取得部により取得した前記車速とに基づいて前記車両の半クラッチを判定する半クラッチ判定部と、
前記半クラッチ判定部による前記半クラッチの判定結果を解析し当該解析結果を前記車両の運転者にフィードバックするフィードバック部と、を備えることを特徴とする運行評価システム。
【請求項2】
前記フィードバック部は、前記解析結果として、前記半クラッチを継続した継続時間ごとの発生頻度を前記車両の運転者にフィードバックする請求項1に記載の運行評価システム。
【請求項3】
前記フィードバック部は、前記解析結果として、模範となる優良運転者の前記解析結果も合わせて前記車両の運転者にフィードバックする請求項1又は2に記載の運行評価システム。
【請求項4】
前記フィードバック部は、前記解析結果として、前記車両の変速機のギアチェンジごとに前記半クラッチを分類して前記車両の運転者にフィードバックする請求項1又は2に記載の運行評価システム。
【請求項5】
前記フィードバック部は、前記解析結果に基づいて前記車両の運転者を評価する際に、前記半クラッチを使用する蓋然性が相対的に高い特殊環境の場合、前記半クラッチを使用したことによる前記運転者の評価の低減を緩和する請求項1又は2に記載の運行評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運行評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、半クラッチ状態で異常な使用状態が所定時間以上持続したときに、エンジントルクを低下させることで、クラッチを保護するエンジン制御装置が記載されている。このエンジン制御装置は、車両運転状態を検出する運転状態検出手段と、運転状態検出手段により検出された車速及びエンジン回転速度に基づいて、半クラッチ状態にあるか否かを判定する半クラッチ状態判定手段と、運転状態検出手段により検出されたエンジン回転速度が所定速度より大、エンジントルクが所定トルクより大、かつ、変速機の変速状態が走行段にある所定条件が成立しているか否かを判定する条件成立判定手段と、半クラッチ状態判定手段により半クラッチ状態にあると判定され、かつ、条件成立判定手段により所定条件が成立していると判定された状態が所定時間持続したときに、エンジントルクを低下させるトルク制御手段と、を含んで構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載のエンジン制御装置は、半クラッチ状態で異常な使用状態が所定時間以上持続したときに、エンジントルクを低下させることで、クラッチを保護しているが、例えば、運転者のクラッチ操作を是正することでクラッチを保護することが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、運転者にクラッチを適正に使用させることができる運行評価システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る運行評価システムは、車両のエンジンの回転数を取得する回転数取得部と、前記車両の車速を取得する車速取得部と、前記回転数取得部により取得した前記エンジンの回転数と前記車速取得部により取得した前記車速とに基づいて前記車両の半クラッチを判定する半クラッチ判定部と、前記半クラッチ判定部による前記半クラッチの判定結果を解析し当該解析結果を前記車両の運転者にフィードバックするフィードバック部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る運行評価システムは、半クラッチの解析結果を運転者にフィードバックすることで、運転者にクラッチを適正に使用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る運行評価システムの構成例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る車載機器及びサーバの構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る各ギア比の正規分布を表す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るギア比の正規分布から半クラッチが占める部分を表す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るギア比の第1分布から半クラッチが占める部分を表す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るギア比の第2分布から半クラッチが占める部分を表す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るクラッチ接続状態と半クラッチ状態との関係を表す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る半クラッチの経過時間を表す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る半クラッチの経過時間ごとの発生頻度を表す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る半クラッチの経過時間ごとの発生頻度とその目標値とを表す図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る優良運転者と対象の運転者との比較例を表す図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る過去データと最新データとの比較例を表す図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る運行評価システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、実施形態の変形例に係る車載機器の構成例を示すブロック図である。
【
図15】
図15は、実施形態の変形例に係る車載機器の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。更に、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0010】
〔実施形態〕
図面を参照しながら運行評価システム100について説明する。運行評価システム100は、輸送業者等が所有する車両(例えば、トラック)Vの運行データに基づいて、運転者を評価するものであり、特に運行データから取得した半クラッチに関する情報に基づいて運転者を評価するものである。運行評価システム100は、例えば、
図1に示すように、複数の車載機器1と、サーバ2とを備える。複数の車載機器1及びサーバ2は、無線通信可能に接続されている。複数の車載機器1は、例えば、デジタルタコグラフやドライブレコーダー、これらの複合機である。複数の車載機器1は、外部の鉄塔に設けられた通信アンテナH、当該通信アンテナHに接続されるインターネット通信網Eを介してサーバ2に無線通信可能に接続される。
【0011】
車載機器1は、車両Vに搭載され、車両Vの運行時における情報を時系列で記録するものである。車載機器1は、例えば、
図2に示すように、アンテナ11と、広域通信部12と、不揮発性メモリ13と、LCD(Liquid Crystal Display)14と、スピーカ15と、カメラ16と、GPS17と、CPU18とを備える。アンテナ11、広域通信部12、不揮発性メモリ13、LCD14、スピーカ15、カメラ16、GPS17、及び、CPU18は、相互に通信可能に接続されている。
【0012】
アンテナ11は、電波を送受信するものである。アンテナ11は、車両Vの外面に設けられ、車載機器1の本体に通信線を介して接続されている。アンテナ11は、広域通信部12から出力される情報をサーバ2に向けて放射する。また、アンテナ11は、サーバ2から送信された電波を受信して広域通信部12に出力する。
【0013】
広域通信部12は、アンテナ11を介してサーバ2と通信を行うものである。広域通信部12は、例えば、CPU18等から出力される情報を、アンテナ11を介してサーバ2に送信する。また、広域通信部12は、アンテナ11を介してサーバ2から受信した情報をCPU18等に出力する。
【0014】
不揮発性メモリ13は、情報を記録する不揮発性の記録媒体であり、例えば、EPROMやフラッシュメモリ等である。不揮発性メモリ13は、車載機器1に予め内蔵されている。不揮発性メモリ13は、車載機器1での各種処理に必要な条件や情報、車載機器1で実行する各種プログラムやアプリケーション、制御データ等が格納されている。そして、不揮発性メモリ13は、地図情報が格納されている。不揮発性メモリ13は、CPU18等によってこれらの情報が必要に応じて読み出される。
【0015】
LCD14は、情報を表示する液晶ディスプレイである。LCD14は、CPU18の制御により、例えば、車室内に向けて運転者に警告する情報を表示する。
【0016】
スピーカ15は、音声を発出するものである。スピーカ15は、CPU18の制御により、例えば、車室内に向けて運転者に警告音を発出する。
【0017】
カメラ16は、車両Vの外部の画像を撮像するものである。カメラ16は、CPU18の制御により、画像を撮像し、撮像した画像を不揮発性メモリ13に記録する。なお、カメラ16は、撮像した画像を取り外し可能な記録媒体(例えば、SDカード等)に記録してもよい。
【0018】
GPS17は、位置を検出するものである。GPS17は、予め定められた間隔で衛星から測位信号を受信する。そして、GPS17は、衛星から受信した測位信号に基づいて現在位置を測定し、測定した現在位置を表す位置情報を生成する。ここで、位置情報は、例えば、緯度、経度により表される。GPS17は、生成した位置情報を時刻情報と共に広域通信部12に出力する。
【0019】
CPU18は、各種機器を制御するものである。CPU18は、回転数取得部18aと、車速取得部18bとを備える。
【0020】
回転数取得部18aは、車両Vのエンジンの回転数を取得するものである。ここで、車両Vには、当該車両Vのエンジンの回転数を出力する端子が設けられている。回転数取得部18aは、このエンジンの回転数を出力する端子に接続され、当該端子から出力される車両Vのエンジンの回転数を取得する。回転数取得部18aは、取得した車両Vのエンジンの回転数を時刻情報と共に、広域通信部12等を介してサーバ2に送信する。
【0021】
車速取得部18bは、車両Vの車速を取得するものである。ここで、車両Vには、当該車両Vの車速を出力する端子が設けられている。車速取得部18bは、この車速を出力する端子に接続され、当該端子から出力される車両Vの車速を取得する。車速取得部18bは、取得した車両Vの車速を時刻情報と共に、広域通信部12等を介してサーバ2に送信する。
【0022】
サーバ2は、車両Vの運行を管理するものである。サーバ2は、通信部21と、半クラッチ判定部22と、フィードバック部23とを備える。
【0023】
通信部21は、複数の車載機器1と通信を行うものである。通信部21は、例えば、複数の車載機器1から受信した情報をフィードバック部23に出力する。
【0024】
半クラッチ判定部22は、車両Vの半クラッチを判定するものである。半クラッチ判定部22は、時系列で、回転数取得部18aにより取得したエンジンの回転数と、車速取得部18bにより取得した車速とに基づいて車両Vの半クラッチを判定する。ここで、回転数取得部18aにより取得したエンジンの回転数と、車速取得部18bにより取得した車速とから算出される車両Vの変速機のギア比は、例えば、
図3に示すように、ギア比が固定であることから正規分布となる。
図3では、横軸が各ギア比(この例では初速~3速までのギア比[rpm/speed])を表し、縦軸が当該ギア比の発生回数を表している。そして、車両Vの変速機のギア比は、
図4に示すように、正規分布から求めた標準偏差σ以外のギア比P1は、半クラッチであると判定される。なお、車両Vの変速機のギア比は、エンジンの回転数と車速との分解能が異なることやクラッチの滑りによって正規分布にならないことも考えられる。この場合、車両Vの変速機のギア比は、例えば、
図5に示すように、非正規分布から求めた標準偏差σ以外のギア比P2は、半クラッチであると判定され、
図6に示すように、非正規分布から求めた標準偏差σ以外のギア比P3は、半クラッチであると判定される。このようにして、車両Vの変速機のギア比は、例えば、
図7に示すように、発進時からギア1速、ギア2速、ギア3速、ギア4速、ギア5速、ギア6速において、半クラッチの状態を表す半クラッチ状態と、クラッチが完全に接続された状態を表すクラッチ接続状態とが定められる。半クラッチ判定部22は、例えば、
図8に示すように、ギア5速からギア6速にギアチェンジする際に半クラッチの状態を検出し、当該半クラッチ状態の時間tを測定する。そして、半クラッチ判定部22は、半クラッチ状態の時間tが予め定められた基準時間以上である場合、半クラッチ状態であると判定する。一方で、半クラッチ判定部22は、半クラッチ状態の時間tが基準時間未満である場合、半クラッチ状態でないと判定する。なお、半クラッチ判定部22は、
図8に示す破線Lのように半クラッチ状態に含まれない場合、または、半クラッチ状態に含まれても基準時間未満である場合には半クラッチとして検出しない。半クラッチ判定部22は、半クラッチの判定結果をフィードバック部23に出力する。
【0025】
フィードバック部23は、車両Vの運転者に運転の解析結果をフィードバックするものである。フィードバック部23は、半クラッチ判定部22から出力された半クラッチの判定結果を解析する。フィードバック部23は、半クラッチ判定部22から出力された半クラッチの判定結果に基づいて、例えば、
図9に示すように、解析結果として、車両Vの変速機のギアチェンジごとに半クラッチを分類した上で、半クラッチを継続した継続時間ごとの発生頻度を車両Vの運転者にフィードバックする。例えば、
図9では、縦軸が半クラッチの発生頻度を表し、横軸が半クラッチの経過時間を表し、5速から6速へのギアチェンジにおける半クラッチを例示している。
図9では、半クラッチの経過時間、すなわち1回の半クラッチで経過した時間が、3秒程度を表すものが最も多くなっている。
【0026】
フィードバック部23は、例えば、
図10に示すように、解析結果として、半クラッチの経過時間の目標値も合わせて車両Vの運転者にフィードバックしてもよい。例えば、
図10では、縦軸が半クラッチの発生頻度を表し、横軸が半クラッチの経過時間を表し、5速から6速へのギアチェンジにおける半クラッチを例示し、さらに、半クラッチの経過時間の目標値(例えば、半クラッチの経過時間が2秒程度)も図示している。
【0027】
フィードバック部23は、例えば、
図11に示すように、解析結果として、模範となる優良運転者の解析結果も合わせて車両Vの運転者にフィードバックしてもよい。例えば、
図11では、縦軸が半クラッチの発生頻度を表し、横軸が半クラッチの経過時間を表し、5速から6速へのギアチェンジにおける半クラッチを例示し、さらに対象の運転者に対して優良運転者の解析結果も合わせて表示している。
【0028】
フィードバック部23は、例えば、
図12に示すように、解析結果として、同じ運転者の最新データに過去データも合わせて車両Vの運転者にフィードバックしてもよい。例えば、
図12では、縦軸が半クラッチの発生頻度を表し、横軸が半クラッチの経過時間を表し、5速から6速へのギアチェンジにおける半クラッチを例示し、さらに最新データに過去データも合わせて表示している。
【0029】
フィードバック部23は、解析結果に基づいて車両Vの運転者を評価する。フィードバック部23は、例えば、経過時間が長い半クラッチの頻度が相対的に多い場合、運転者の評価を低く評価し、経過時間が長い半クラッチの頻度が相対的に少ない場合、運転者の評価を高く評価する。すなわち、フィードバック部23は、半クラッチの使用時間が相対的に多い場合、運転者の評価を低く評価し、半クラッチの使用時間が相対的に少ない場合、運転者の評価を高く評価する。フィードバック部23は、解析結果に基づいて車両Vの運転者を評価する際に、半クラッチを使用する蓋然性が相対的に高い特殊環境の場合、半クラッチを使用したことによる運転者の評価の低減を緩和してもよい。フィードバック部23は、例えば、車両Vの位置情報に基づいて登りの坂道のような特殊環境で半クラッチを使用していた場合、半クラッチを使用したことによる運転者の評価の低減を緩和する。また、フィードバック部23は、車両Vの重量が相対的に重い場合や、数センチ単位での車両Vの移動が必要である状況、スタック状態からの脱出、雪道発進等のような特殊環境の場合、半クラッチを使用したことによる運転者の評価の低減を緩和する。
【0030】
次に、運行評価システム100の動作例について説明する。運行評価システム100において、サーバ2は、車両Vの車載機器1から運行データ(エンジンの回転数、車速、位置情報等)を取得する(ステップS1)。次に、サーバ2は、車両Vが加速しているか否かを判定する(ステップS2)。例えば、フィードバック部23は、エンジンの回転数及び車速に基づいてギア比を算出し、ギア比が段階的に上がっているか否かを判定する。サーバ2は、車両Vが加速している場合(ステップS2;Yes)、
図7に示す半クラッチ状態とクラッチ接続状態との関係を取得する(ステップS3)。ここで、半クラッチ状態とクラッチ接続状態との関係は、予め統計的に算出されている。サーバ2は、それぞれのギアチェンジにおいて、エンジンの回転数及び車速に基づいて半クラッチであるか否かを判定する(ステップS4)。サーバ2は、半クラッチである場合(ステップS4;Yes)、半クラッチ状態の時間が基準時間以上であるか否かを判定する(ステップS5)。サーバ2は、半クラッチ状態の時間が基準時間以上である場合(ステップS5;Yes)、半クラッチの経過時間を測定し(ステップS6)、
図10、
図11、
図12等のグラフを含む評価レポートを作成し(ステップS7)、処理を終了する。運転者は、この評価レポートを参照することで、自分の半クラッチの使用状態を把握することができ、次回、運転する際に参考にすることができる。なお、上記ステップS4で、サーバ2は、半クラッチでない場合(ステップS4;No)、運行データを集計し(ステップS8)、運転者ごとの各ギアにおける走行時間を算出し(ステップS9)、
図9等のグラフを含む評価レポートを作成し(ステップS10)、処理を終了する。上述のステップS5で、サーバ2は、半クラッチ状態の時間が基準時間未満である場合(ステップS5;No)、上述のステップS8に移行して運行データを集計する。
【0031】
以上のように、実施形態に係る運行評価システム100は、回転数取得部18a及び車速取得部18bを含む車載機器1と、半クラッチ判定部22及びフィードバック部23を含むサーバ2とを備える。回転数取得部18aは、車両Vのエンジンの回転数を取得する。車速取得部18bは、車両Vの車速を取得する。半クラッチ判定部22は、回転数取得部18aにより取得したエンジンの回転数と、車速取得部18bにより取得した車速とに基づいて車両Vの半クラッチを判定する。フィードバック部23は、半クラッチ判定部22による半クラッチの判定結果を解析し当該解析結果を車両Vの運転者にフィードバックする。この構成により、運行評価システム100は、半クラッチの使用時間が相対的に長い運転者に対して、運転の評価が悪いことをフィードバックすることができる。これにより、運行評価システム100は、評価の悪い運転者に対して半クラッチの使用を低減させることができ、クラッチが摩耗することを抑制でき、クラッチの交換頻度を少なくすることができるので、メンテナンス費用を抑制できる。このように、運行評価システム100は、運転者にクラッチを適正に使用させることができる。
【0032】
運行評価システム100において、フィードバック部23は、解析結果として、半クラッチを継続した継続時間ごとの発生頻度を車両Vの運転者にフィードバックする。この構成により、運行評価システム100は、半クラッチの継続時間ごとの発生頻度を運転者に認知させることができる。
【0033】
運行評価システム100において、フィードバック部23は、解析結果として、模範となる優良運転者の解析結果も合わせて車両Vの運転者にフィードバックする。この構成により、運行評価システム100は、優良運転者の半クラッチの使用を運転者に比較可能に認知させることができる。
【0034】
運行評価システム100において、フィードバック部23は、解析結果として、車両Vの変速機のギアチェンジごとに半クラッチを分類して車両Vの運転者にフィードバックする。この構成により、運行評価システム100は、半クラッチの継続時間ごとの発生頻度をギアチェンジごとに運転者に認知させることができる。
【0035】
運行評価システム100において、フィードバック部23は、解析結果に基づいて車両Vの運転者を評価する際に、半クラッチを使用する蓋然性が相対的に高い特殊環境の場合、半クラッチを使用したことによる運転者の評価の低減を緩和する。この構成により、運行評価システム100は、運転者の運転評価を適正に実施することができる。
【0036】
〔変形例〕
次に、実施形態の変形例について説明する。なお、変形例では、実施形態と同等の構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。変形例に係る車載機器1Aは、運行評価システム100側で実施していた半クラッチの判定処理及びフィードバック処理(変形例では警報によるフィードバック)を車載機器1A側で実施する点で実施形態に係る運行評価システム100とは相違する。
【0037】
変形例に係る車載機器1Aは、
図14に示すように、アンテナ11と、広域通信部12と、不揮発性メモリ13と、LCD14と、スピーカ15と、カメラ16と、GPS17と、CPU18とを備える。CPU18は、回転数取得部18aと、車速取得部18bと、半クラッチ判定部22と、フィードバック部23とを含んで構成される。
【0038】
半クラッチ判定部22は、時系列で、回転数取得部18aにより取得したエンジンの回転数と、車速取得部18bにより取得した車速とに基づいて車両Vの半クラッチを判定し、判定結果をフィードバック部23に出力する。
【0039】
フィードバック部23は、半クラッチ判定部22から出力された半クラッチの判定結果を解析し当該解析結果を車両Vの運転者にフィードバックする。フィードバック部23は、例えば、スピーカ15を制御し、車室内に向けて運転者に警告音を発出させる。
【0040】
次に、車載機器1Aの動作例について説明する。車載機器1Aは、例えば、
図15に示すように、運行データ(エンジンの回転数、車速、位置情報等)を読み込む(ステップT1)。次に、車載機器1Aは、半クラッチ判定部22により、車両Vが加速しているか否かを判定し(ステップT2)、車両Vが加速している場合(ステップT2;Yes)、エンジンの回転数及び車速に基づいて半クラッチであるか否かを判定する(ステップT3)。車載機器1Aは、半クラッチである場合(ステップT3;Yes)、半クラッチ判定部22により、半クラッチ状態の時間が基準時間以上であるか否かを判定する(ステップT4)。車載機器1Aは、半クラッチ状態の時間が基準時間以上である場合(ステップT4;Yes)、フィードバック部23によりスピーカ15を制御し、当該スピーカ15から警告音を出力して運転者に警告する(ステップT5)。車載機器1Aは、処理を終了する場合(例えば、イグニッションがOFFされた場合)、半クラッチに基づく警告処理を終了し(ステップT6;Yes)、処理を終了しない場合(ステップT6;No)、上述のステップS1に戻る。なお、車載機器1Aは、上述のステップS2で車両Vが加速していない場合(ステップT2;No)、上述のステップS3で半クラッチでない場合(ステップT3;No)、上述のステップS4で半クラッチ状態の時間が基準時間未満である場合(ステップT4;No)、ステップT6に移行する。これにより、車載機器1Aは、運転者の半クラッチの長時間の使用を検出した際に、リアルタイムで警告することができる。
【0041】
なお、実施形態に係る運行評価システム100は、半クラッチ判定部22が、サーバ2に設けられる例について説明したが、車載機器1に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0042】
100 運行評価システム
18a 回転数取得部
18b 車速取得部
22 半クラッチ判定部
23 フィードバック部
V 車両