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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182969
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】弁装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 41/06 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
F16K41/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096280
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】河井 伸二
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 衛
【テーマコード(参考)】
3H066
【Fターム(参考)】
3H066AA01
3H066BA32
3H066DA03
(57)【要約】
【課題】シール部材からの流体の漏れを抑制できる弁装置を提供する。
【解決手段】本開示の一態様は、弁装置1において、ダブルリップシール51は、ハウジング11の収容室11a側に設けられる流路側シール部61と、軸受41側に設けられる軸受側シール部62と、を備え、軸受側シール部62は、シールリップ62aを備え、前記軸受側シール部62のシールリップ62aは、収容室11a側に向かって延び、シャフト14またはハウジング11と接している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流路を備えるハウジングと、
前記流路内に収容される弁部材と、
前記弁部材に接続し、前記弁部材を動作させるシャフトと、
前記シャフトを摺動可能に支持する軸受と、
前記流路と前記軸受との間の位置に設けられるシール部材と、を有し、
前記シャフトは、当該シャフトの中心軸方向であるスラスト方向に移動可能である弁装置において、
前記シール部材は、前記流路側に設けられる流路側シール部と、前記軸受側に設けられる軸受側シール部と、を備え、
前記軸受側シール部は、シールリップを備え、
前記軸受側シール部のシールリップは、前記流路側に向かって延び、前記シャフトまたは前記ハウジングと接していること、
を特徴とする弁装置。
【請求項2】
請求項1の弁装置において、
前記流路側シール部は、シールリップを備え、
前記流路側シール部のシールリップは、前記流路に向かって延び、前記シャフトまたは前記ハウジングと接していること、
を特徴とする弁装置。
【請求項3】
請求項2の弁装置において、
前記流路側シール部のシールリップは、前記軸受側シール部のシールリップよりも、前記シャフトまたは前記ハウジングに作用する圧力が高くなるように設定されていること、
を特徴とする弁装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つの弁装置において、
前記シールリップは、前記シャフトと接していること、
を特徴とする弁装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1つの弁装置において、
前記シール部材と前記軸受との間の空間の内部と外部とを連通させるシール部材軸受間連通孔を有すること、
を特徴とする弁装置。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか1つの弁装置において、
前記流路側シール部と前記軸受側シール部との間の空間の内部と外部とを連通させるシール部間連通孔を有すること、
を特徴とする弁装置。
【請求項7】
請求項2の弁装置において、
前記流路側シール部のシールリップと前記軸受側シール部のシールリップとの間の距離であるリップ間の距離は、前記シャフトの移動可能距離よりも大きいこと、
を特徴とする弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハウジングとシャフトとの間をシールするシール部材が設けられている弁装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-54122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される弁装置において、シール部材は2つのシールリップを備えているが、各シールリップが延びる向きが逆である。そのため、外部環境によって2つのシールリップの間の空間と外部との間に差圧が生じると、2つのシールリップの間の空間内に入り込んでいた流体が、シール部材から漏れて、外部に流出するおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は上記した課題を解決するためになされたものであり、シール部材からの流体の漏れを抑制できる弁装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本開示の一形態は、内部に流路を備えるハウジングと、前記流路内に収容される弁部材と、前記弁部材に接続し、前記弁部材を動作させるシャフトと、前記シャフトを摺動可能に支持する軸受と、前記流路と前記軸受との間の位置に設けられるシール部材と、を有し、前記シャフトは、当該シャフトの中心軸方向であるスラスト方向に移動可能である弁装置において、前記シール部材は、前記流路側に設けられる流路側シール部と、前記軸受側に設けられる軸受側シール部と、を備え、前記軸受側シール部は、シールリップを備え、前記軸受側シール部のシールリップは、前記流路側に向かって延び、前記シャフトまたは前記ハウジングと接していること、を特徴とする。
【0007】
この態様によれば、軸受側シール部のシールリップが、流路側に向かって延びている。
【0008】
これにより、シール部材よりも軸受側の位置の温度が高い一方で、流路の流体の温度が低い場合には、軸受側から軸受側シール部のシールリップとシャフトまたはハウジングとの間を通って、流路側シール部と軸受側シール部との間の空間に空気が導入される。そのため、流路側シール部と軸受側シール部との間の空間が負圧になることを抑制できるので、流路側から流路側シール部と軸受側シール部との間の空間へ流体が入り難くなる。したがって、シール部材から軸受側への流体の漏れを抑制できる。
【0009】
また、シール部材よりも軸受側の位置の温度が低い一方で、流路の流体の温度が高い場合には、流路側シール部と軸受側シール部との間の空間が正圧となる。しかしながら、軸受側シール部のシールリップが流路側に向かって延びているので、仮に流路側から流路側シール部と軸受側シール部との間の空間へ流体が入り込んだとしても、シール部材よりも軸受側に流体が漏れ難くなる。したがって、シール部材から軸受側への流体の漏れを抑制できる。
【0010】
上記の態様においては、前記流路側シール部は、シールリップを備え、前記流路側シール部のシールリップは、前記流路に向かって延び、前記シャフトまたは前記ハウジングと接していること、が好ましい。
【0011】
この態様によれば、流路側から流路側シール部と軸受側シール部との間の空間へ流体が入り難くなるので、より効果的に、シール部材から軸受側への流体の漏れを抑制できる。
【0012】
上記の態様においては、前記流路側シール部のシールリップは、前記軸受側シール部のシールリップよりも、前記シャフトまたは前記ハウジングに作用する圧力が高くなるように設定されていること、が好ましい。
【0013】
この態様によれば、流路側シール部のシールリップとシャフトまたはハウジングとの間のシール性を向上させるとともに、軸受側シール部のシールリップとシャフトまたはハウジングとの間の摺動抵抗を抑制できる。
【0014】
上記の態様においては、前記シールリップは、前記シャフトと接していること、が好ましい。
【0015】
この態様によれば、シールリップが外形精度が高く、周長の短いシャフトと接することで、シールリップにおけるシール性の確保および摺動摩耗を抑制できる。
【0016】
上記の態様においては、前記シール部材と前記軸受との間の空間の内部と外部とを連通させるシール部材軸受間連通孔を有すること、が好ましい。
【0017】
この態様によれば、仮にシール部材よりも軸受側に流体が漏れた場合でも、シール部材軸受間連通孔により流体を乾燥させることができる。また、シール部材軸受間連通孔により、シール部材と軸受との間の空間とシール部の間の空間との間に発生する差圧を抑制できる。
【0018】
上記の態様においては、前記流路側シール部と前記軸受側シール部との間の空間の内部と外部とを連通させるシール部間連通孔を有すること、が好ましい。
【0019】
この態様によれば、流路側から流路側シール部と軸受側シール部との間の空間へ入り込んだ流体を、シール部間連通孔により乾燥させることができる。
【0020】
上記の態様においては、前記流路側シール部のシールリップと前記軸受側シール部のシールリップとの間の距離であるリップ間の距離は、前記シャフトの移動可能距離よりも大きいこと、が好ましい。
【0021】
この態様によれば、シャフトがスラスト方向に移動しても、シール部材から軸受側への流体の漏れを抑制できる。
【発明の効果】
【0022】
本開示の弁装置によれば、シール部材からの流体の漏れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態の弁装置の図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3】ダブルリップシールとその周辺を示す図である。
図4】第1実施形態の変形例を示す図である。
図5】第2実施形態の弁装置の図(第1出口の全閉時)である。
図6】第2実施形態の弁装置の図(第1出口の全開時)である。
図7】第2実施形態の第1実施例において、メインリップシールとサブリップシールとその周辺を示す図である。
図8】第2実施形態の第2実施例において、メインリップシールとサブリップシールとその周辺を示す図である。
図9】第2実施形態の第2実施例において、メインリップシールとサブリップシールとその周辺を示す図であって、弁装置が傾斜して搭載された場合を示す図である。
図10】第2実施形態の第2実施例において、メインリップシールとサブリップシールとその周辺を示す図であって、弁装置が傾斜して搭載された場合を示す図である。
図11】第2実施形態の第3実施例において、メインリップシールとサブリップシールとその周辺を示す図である。
図12】第2実施形態の第6実施例において、メインリップシールとサブリップシールとその周辺を示す図である。
図13】第2実施形態の第6実施例の変形例において、メインリップシールとサブリップシールとその周辺を示す図である。
図14】第2実施形態の第7実施例において、メインリップシールとサブリップシールとその周辺を示す図である。
図15図14のB-B断面図である。
図16】第2実施形態の第7実施例の変形例を示す図である。
図17図16のC-C断面図である。
図18】第2実施形態の第8実施例において、ダイヤフラムとサブリップシールとその周辺を示す図である。
図19】比較例のシール部材とその周辺を示す図(第1出口の全開時)である。
図20】比較例のシール部材とその周辺を示す図(第1出口の全閉時)である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の弁装置の実施形態について説明する。
【0025】
〔第1実施形態〕
まず、第1実施形態について説明する。
【0026】
(弁装置の概要説明)
本実施形態の弁装置1は、大流量または高水圧の環境下で使用可能な制御弁であって、流体(以下の説明では、一例として、冷却水を挙げて説明する)の流れの制御を行う制御弁である。そして、弁装置1は、流路の入口を1つ、流路の出口を2つ備えており、流体を排出する流路として2つの流路の出口を切り替える機能を有する制御弁である。
【0027】
図1図2に示すように、弁装置1は、ハウジング11と、バルブ12と、第1弁座13Aと、第2弁座13Bと、シャフト14と、第1出口パイプ16Aと、第2出口パイプ16Bを有する。
【0028】
ハウジング11は、樹脂により形成され、バルブ12と弁座13とを収容し、弁座13の弁座本体31を保持している。ハウジング11は、その内部に、バルブ12と弁座13を収容する収容室11aを備えている。この収容室11aは弁装置1の流路の一部でもあり、収容室11aには冷却水が存在する。なお、収容室11aは、本開示の「流路」の一例である。
【0029】
バルブ12は、ハウジング11の収容室11a内に収容される弁部材である。そして、バルブ12は、樹脂により形成されるボール形状のボールバルブであって、バルブ本体21と、外壁面22と、第1バルブ開口部23Aと、第2バルブ開口部23Bと、バルブ軸端開口部24と、内部流路25とを備えている。
【0030】
バルブ本体21は、ボール形状に形成され、所定の回転軸線Lを中心に回転可能に設けられている。外壁面22は、バルブ本体21の径方向外側の外壁に形成されている。第1バルブ開口部23Aと第2バルブ開口部23Bは、バルブ本体21の内部に形成される内部流路25の出口であって、バルブ本体21の外部と内部とを連通するようにして、外壁面22に形成されている。なお、図2に示すように、第1バルブ開口部23Aと第2バルブ開口部23Bは、90度位相がずれた位置に形成されている。
【0031】
バルブ軸端開口部24は、バルブ本体21における回転軸線Lの延伸する方向の他端側の位置に形成され、バルブ本体21の内部の内部流路25と連通するものであって、内部流路25の入口である。なお、図1に示すように、第1バルブ開口部23Aとバルブ軸端開口部24は、90度位相がずれた位置に形成されている。なお、同様に、第2バルブ開口部23Bとバルブ軸端開口部24も、90度位相がずれた位置に形成されている。
【0032】
なお、バルブ12は、ボールバルブの代わりに、回転軸線Lを中心に回転可能に設けられている円筒形状の円筒バルブであってもよい。また、同様に板形状であるディスクバルブであってもよい。
【0033】
第1弁座13Aはハウジング11の上部の位置に設けられ、第2弁座13Bはハウジング11の下部の位置に設けられている。第1弁座13Aと第2弁座13Bは、それぞれ、弁座本体31と、弁孔32と、シート面33を備えている。
【0034】
弁座本体31は、環状または筒状に形成されている。弁孔32は、弁座本体31の内側に形成されており、第1バルブ開口部23Aや第2バルブ開口部23Bに連通可能である。シート面33は、バルブ12の外壁面22に接触するようにして、環状に形成されている。
【0035】
シャフト14は、金属または樹脂により形成され、バルブ12のバルブ本体21に接続し、バルブ12を動作させるものであり、ハウジング11に設けられた軸受41によって回転可能に支持されている。シャフト14は、当該シャフト14の中心軸方向であるスラスト方向に若干移動可能になっている。なお、図1に示すように、シャフト14は、図1の左側の位置で軸受41により支持されているが、図1の右側の位置においても不図示の軸受により支持されている。
【0036】
第1出口パイプ16Aは樹脂により形成されハウジング11の上部の位置にてハウジング11と一体に形成され、第2出口パイプ16Bは樹脂により形成されハウジング11の下部の位置にてハウジング11と一体に形成されている。また、第1出口パイプ16Aは第1弁座13Aの弁孔32の内側に形成され第1バルブ開口部23Aに連通可能であり、第2出口パイプ16Bは第2弁座13Bの弁孔32の内側に形成され第2バルブ開口部23Bに連通可能である。
【0037】
また、弁装置1は、バルブ12と軸受41との間の位置、すなわち、収容室11aと軸受41との間の位置において、ハウジング11とシャフト14との間を封止するゴム製のダブルリップシール51を有する。なお、ダブルリップシール51は、本開示の「シール部材」の一例であり、その詳細については後述する。
【0038】
以上のような構成の弁装置1は、バルブ12のバルブ本体21が回転軸線Lを中心にして回転することにより、第1バルブ開口部23Aが第1出口パイプ16Aに連通する状態と、第2バルブ開口部23Bが第2出口パイプ16Bに連通する状態に切り替えることができる。そして、これにより、弁装置1は、バルブ12におけるバルブ軸端開口部24と内部流路25と第1バルブ開口部23A(または、第2バルブ開口部23B)に流した冷却水を、第1出口パイプ16A(または第2出口パイプ16B)に流して排出することができる。
【0039】
(ダブルリップシールとその周辺について)
次に、ダブルリップシール51とその周辺について説明する。
【0040】
ダブルリップシール51は、図3に示すように、ハウジング11の収容室11a側(すなわち、バルブ12側)に設けられる流路側シール部61と、流路側シール部61よりも軸受41側に設けられる軸受側シール部62と、を備えている。
【0041】
流路側シール部61はシールリップ61aを備え、このシールリップ61aは、ハウジング11の収容室11a側に向かって延び、その先端がシャフト14と接している。
【0042】
この流路側シール部61のシールリップ61aは、冷却水の高い圧力が作用するため、厚さを大きくして長さを小さくすることにより、剛性を高くして変形することを防止しながら、シャフト14との接触面の大きさを小さくしている。これにより、流路側シール部61のシールリップ61aについて、シャフト14との摺動抵抗を小さくするとともに、シャフト14に作用させる圧力(すなわち、面圧)を大きくしてシール性を向上させている。
【0043】
軸受側シール部62はシールリップ62aを備え、このシールリップ62aは、ハウジング11の収容室11aに向かって延び、その先端がシャフト14と接している。これにより、流路側シール部61のシールリップ61aから冷却水(の水滴)が流路側シール部61のシールリップ61aと軸受側シール部62はシールリップ62aとの間の空間に入り込んでも、軸受側シール部62のシールリップ62aにより軸受41側に冷却水が漏れることを抑制できる。
【0044】
この軸受側シール部62のシールリップ62aは、冷却水の圧力が作用しないため、シャフト14との接触面を大きくし、シールする幅を大きくすることで、シール性を確保している。さらに、軸受側シール部62のシールリップ62aは、厚さを小さくして長さを大きくすることにより剛性を低くして、シャフト14との摺動抵抗を小さくしている。
【0045】
なお、シールリップ61aやシールリップ62aは、ハウジング11と接していてもよい。すなわち、シールリップ61aやシールリップ62aは、内周側に向いていても、外周側に向いていてもよい。
【0046】
また、シャフト14は、当該シャフト14の中心軸方向であるスラスト方向に若干移動可能であるが、リップ間の距離Laは、シャフト14の移動可能距離よりも大きくなっている。なお、リップ間の距離Laとは、流路側シール部61のシールリップ61aと軸受側シール部62のシールリップ62aとの間の距離である。
【0047】
変形例として、図4に示すように、弁装置1は、ハウジング11にて、ダブルリップシール51と軸受41との間の空間の内部と外部とを連通させる呼吸孔63を有していてもよい。なお、呼吸孔63は、本開示の「シール部材軸受間連通孔」の一例である。
【0048】
これにより、ダブルリップシール51から軸受41側に冷却水が漏れたとしても、呼吸孔63により冷却水を乾燥させることができる。そのため、ダブルリップシール51と軸受41との間の空間に冷却水が滞留して湿潤な状態になることにより軸受41が劣化(例えば、腐食)することを防止できる。また、呼吸孔63により、ダブルリップシール51と軸受41との間の空間が高温になり難くなるので、ハウジング11の収容室11a内の冷却水が低温である場合でも、ダブルリップシール51と軸受41との間の空間とリップ間の空間との間に発生する差圧を抑制できる。
【0049】
(本実施形態の作用効果)
本実施形態によれば、軸受側シール部62のシールリップ62aは、ハウジング11の収容室11a側に向かって延び、シャフト14と接している。
【0050】
このようにして、ダブルリップシール51における軸受側シール部62のシールリップ62aが、ハウジング11の収容室11a側に向かって延びている。
【0051】
これにより、ダブルリップシール51よりも軸受41側の位置の温度が高い一方で、ハウジング11の収容室11aの冷却水の温度が低い場合には、軸受41側から軸受側シール部62のシールリップ62aとシャフト14との間を通って、ダブルリップシール51におけるシールリップ61aとシールリップ62aとの間の空間(2つのシール部の間の空間)に空気が導入される。そのため、シールリップ61aとのシールリップ62aとの間の空間が負圧になることを抑制できるので、収容室11a側からシールリップ61aとシールリップ62aとの間の空間へ冷却水が入り難くなる。したがって、ダブルリップシール51から軸受41側への冷却水の漏れを抑制できる。
【0052】
また、ダブルリップシール51よりも軸受41側の位置の温度が低い一方で、ハウジング11の収容室11aの冷却水の温度が高い場合には、シールリップ61aとのシールリップ62aとの間の空間が正圧となる。しかしながら、軸受側シール部62のシールリップ62aが収容室11a側に向かって延びているので、仮に収容室11a側からリップ間の空間へ冷却水が入り込んだとしても、ダブルリップシール51よりも軸受41側に冷却水が漏れ難くなる。したがって、ダブルリップシール51から軸受41側への冷却水の漏れを抑制できる。
【0053】
また、流路側シール部61はシールリップ61aを備えている。そして、流路側シール部61のシールリップ61aは、ハウジング11の収容室11aに向かって延び、シャフト14と接している。
【0054】
これにより、ハウジング11の収容室11a側からシールリップ61aとのシールリップ62aとの間の空間へ冷却水が入り難くなるので、より効果的に、ダブルリップシール51から軸受41側への冷却水の漏れを抑制できる。
【0055】
また、リップ間の距離Laは、シャフト14の移動可能距離よりも大きい。
【0056】
これにより、シャフト14がスラスト方向に移動して、仮にハウジング11の収容室11a側から冷却水がダブルリップシール51のリップ間に入り込んだとしても、冷却水が軸受側シール部62のシールリップ62aから軸受41側に漏れることを抑制できる。このようにして、シャフト14がスラスト方向に移動しても、ダブルリップシール51から軸受41側への冷却水の漏れを抑制できる。
【0057】
また、弁装置1は、呼吸孔63を有していてもよい。
【0058】
これにより、仮にダブルリップシール51よりも軸受41側に冷却水が漏れた場合でも、呼吸孔63により冷却水を乾燥させることができる。また、呼吸孔63により、ダブルリップシール51と軸受41との間の空間とリップ間の空間との間に発生する差圧を抑制できる。
【0059】
また、変形例として、流路側シール部61のシールリップ61aは、軸受側シール部62のシールリップ62aよりも、シャフト14またはハウジング11に作用する圧力が高くなるように設定されていてもよい。
【0060】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態の弁装置101について説明する。
【0061】
(弁装置の概要説明)
図5図6に示すように、弁装置101は、流路102を備えるハウジング103と、弁座104と、弁体105と、シャフト106と、駆動部107と、軸受108と、シール部材109と、を有する。
【0062】
流路102の両端には、冷却水が導入される入口102aと、冷却水が導出される第1出口102bおよび第2出口102cとが設けられている。
【0063】
ハウジング103は、金属または樹脂により形成され、内部に流路102を備えている。
【0064】
弁座104は、流路102に設けられており、本実施形態では、弁座104として、第1弁座104Aと第2弁座104Bが設けられている。
【0065】
弁体105は、ハウジング103の内部にてシャフト106に固定され、弁座104に当接(着座)可能に設けられている。本実施形態では、弁体105として、第1弁体105Aと第2弁体105Bが設けられている。第1弁体105Aは、第1弁座104Aに対して当接および離間する。また、第2弁体105Bは、第2弁座104Bに対して当接および離間する。
【0066】
シャフト106は、金属または樹脂により形成され、第1弁体105Aと第2弁体105Bに接続し、第1弁体105Aと第2弁体105Bを動作させるものである。シャフト106は、駆動部107と第2弁体105Bとの間に設けられ、図5図6において、ハウジング103を垂直に貫通して形成された組付孔103aの内部を通るようにして配置されている。組付孔103aには、シャフト106を中心にして軸受108とシール部材109が配置されている。シャフト106は、当該シャフト106の中心軸方向であるスラスト方向に移動可能である。
【0067】
駆動部107は、樹脂製のケーシング111の内部に収容されており、固定コア107aと、可動コア107bと、スプリング107cと、ソレノイドコイル107dと、Oリング107eとを備えている。固定コア107aは、ケーシング111に固定されている。可動コア107bは、シャフト106の上端に固定されており、ソレノイドコイル107dで発生する磁力が調整されることによってスプリング107cの付勢力に対抗して上下に移動する。そして、このようにして可動コア107bが上下に移動することにより、可動コア107bに固定されるシャフト106が上下に移動する。なお、ケーシング111には、コネクタ112が形成されている。
【0068】
軸受108は、駆動部107とシール部材109との間の位置にて、ハウジング103とシャフト106との間に設けられており、シャフト106を往復運動(ストローク運動)可能、すなわち、摺動可能に支持している。
【0069】
シール部材109は、流路102(弁体105)と軸受108との間の位置にて、ハウジング103とシャフト106との間に設けられており、流路102と軸受108(駆動部107)との間を封止している。なお、シール部材109の詳細については後述する。
【0070】
このような構成の弁装置101は、駆動部107によってシャフト106を上下に移動させることにより、図5に示す第1出口102bの全閉状態と図6に示す第1出口102bの全開状態とに切り換えることができる。そして、図5に示す第1出口102bの全閉状態では、第1弁体105Aが第1弁座104Aに対して当接し、かつ、第2弁体105Bが第2弁座104Bに対して離間しており、入口102aから導入される冷却水は、第2出口102cから導出される。また、図6に示す第1出口102bの全開状態では、第1弁体105Aが第1弁座104Aに対して離間し、かつ、第2弁体105Bが第2弁座104Bに対して当接しており、入口102aから導入される冷却水は、第1出口102bから導出される。
【0071】
(シール部材とその周辺について)
次に、シール部材109とその周辺について説明する。
【0072】
比較例として、図19図20に示すように、シール部材109として1つのリップシール109Xのみ設けられている場合を考える。この場合、第1出口102bの全開時には、図19に示すように、シャフト106における位置106aまで冷却水に浸かっている。すると、第1出口102bの全閉時には、シャフト106に付着した冷却水はリップシール109Xのシールリップ109Xaにより水切りが行われるが、図20に示すように、シャフト106の表面に薄い膜のように付着した冷却水(薄膜水)が、リップシール109Xよりも軸受108側に漏れてしまうおそれがある。このとき、開閉弁動作の1回あたりの冷却水の漏れ量は少しであっても、開閉弁動作を繰り返すことにより冷却水の漏れ量が多くなって軸受108や駆動部107へ影響を及ぼすおそれがある。
【0073】
そこで、本実施形態では、このようなシール部材109から軸受108側への冷却水の漏れを抑制する。
【0074】
(第1実施例)
まず、第1実施例について説明する。
【0075】
図5図6に示すように、シール部材109は、流路102側に設けられるメインリップシール109Aと、メインリップシール109Aよりも軸受108側に設けられるサブリップシール109Bと、を備えている。メインリップシール109Aとサブリップシール109Bは、それぞれ、ハウジング103の組付孔103aの内面に圧入されて固定されている。なお、メインリップシール109Aは本開示の「流路側シール部」の一例であり、サブリップシール109Bは本開示の「軸受側シール部」の一例である。
【0076】
そして、図7に示すように、メインリップシール109Aはシールリップ109Aaを備え、このシールリップ109Aaは、流路102側(図7の下側)に向かって延び、シャフト106と接している。
【0077】
また、サブリップシール109Bはシールリップ109Baを備え、このシールリップ109Baは、流路102側(図7の下側)に向かって延び、シャフト106と接している。
【0078】
また、弁装置101は、メインリップシール109Aとサブリップシール109Bとの間の空間の内部と外部とを連通させる大気孔121を有する。なお、大気孔121は、本開示の「シール部間連通孔」の一例である。
【0079】
そして、弁装置101はこのような構成を有することにより、弁装置101が図6に示す第1出口102bの全開状態から図5に示す第1出口102bの全閉状態に移行したときに、図7に示すように、シャフト106の表面に付着した冷却水がメインリップシール109Aのシールリップ109Aaからメインリップシール109Aとサブリップシール109Bとの間の空間に入り込んだ場合でも、シャフト106に付着した冷却水を大気孔121により大気に排出させて蒸発させることができる。
【0080】
そして、距離L1≧0とする。ここで、距離L1は、図6に示す第1出口102bの全開時にてシャフト106における冷却水に浸かる上端の位置106a(すなわち、メインリップシール109Aのシールリップ109Aaと接する位置)と、サブリップシール109Bのシールリップ109Baの下端(すなわち、流路102側の端部)の位置との間の距離である。このようにして、サブリップシール109Bのシールリップ109Baの下端を、シャフト106にて冷却水が付着した領域に接触させないようにする。これにより、シャフト106に付着した冷却水が、サブリップシール109Bのシールリップ109Baから漏れない。そのため、シール部材109から軸受108側に冷却水が漏れることを抑制できる。
【0081】
また、サブリップシール109Bのシールリップ109Baが、流路102側に向かって延びているので、サブリップシール109Bから軸受108側への冷却水の漏れを抑制できる。
【0082】
すなわち、サブリップシール109Bよりも軸受108側の位置の温度が高い一方で、流路102の冷却水の温度が低い場合には、軸受108側からサブリップシール109Bのシールリップ109Baとシャフト106の間を通って、メインリップシール109Aとサブリップシール109Bとの間の空間へ空気が導入される。そのため、メインリップシール109Aとサブリップシール109Bとの間の空間が負圧になることを抑制できるので、流路102側からメインリップシール109Aとサブリップシール109Bとの間の空間へ冷却水が入り難くなる。したがって、サブリップシール109Bから軸受108側への冷却水の漏れを抑制できる。
【0083】
また、サブリップシール109Bよりも軸受108側の位置の温度が低い一方で、流路102の冷却水の温度が高い場合には、メインリップシール109Aとサブリップシール109Bとの間の空間が正圧となる。しかしながら、サブリップシール109Bのシールリップ109Baが流路102側に向かって延びているので、仮に流路102側からメインリップシール109Aとサブリップシール109Bとの間の空間へ冷却水が入り込んだとしても、サブリップシール109Bよりも軸受108側に冷却水が漏れ難くなる。したがって、サブリップシール109Bから軸受108側への冷却水の漏れを抑制できる。
【0084】
また、軸受108の摩耗により粉塵が発生した場合に、この粉塵をサブリップシール109Bのシールリップ109Baにて捉えることができる。そのため、軸受108の摩耗により発生した粉塵がメインリップシール109Aのシールリップ109Aaに噛み込むことを抑制できる。したがって、メインリップシール109Aにおける冷却水のシール性が低下することを抑制できる。
【0085】
また、メインリップシール109Aのシールリップ109Aaは流路102に向かって延びているので、流路102側からメインリップシール109Aとサブリップシール109Bとの間の空間に冷却水が入り込むことを抑制できる。そのため、より確実に、シール部材109から軸受108側への冷却水の漏れを抑制できる。
【0086】
また、弁装置101は、メインリップシール109Aとサブリップシール109Bとの間の空間の内部と外部とを連通させる大気孔121を有している。
【0087】
これにより、シャフト106に付着した冷却水がメインリップシール109Aとサブリップシール109Bとの間の空間に入り込んでも、冷却水を大気孔121により大気に排出させて蒸発させることができる。そのため、より確実に、シール部材109から軸受108側への冷却水の漏れを抑制できる。
【0088】
また、メインリップシール109Aのシールリップ109Aaとサブリップシール109Bのシールリップ109Baとの間の距離であるリップ間の距離Lbは、シャフト106の移動可能距離よりも大きい。
【0089】
これにより、シャフト106がスラスト方向に移動して、流路102側からシャフト106に付着した冷却水がメインリップシール109Aとサブリップシール109Bとの間の空間に入り込んでも、冷却水がサブリップシール109Bのシールリップ109Baから、軸受108側に漏れることを抑制できる。
【0090】
なお、メインリップシール109Aのシールリップ109Aaやサブリップシール109Bのシールリップ109Baは、ハウジング103と接していてもよい。すなわち、メインリップシール109Aのシールリップ109Aaやサブリップシール109Bのシールリップ109Baは、内周側に向いていても、外周側に向いていてもよい。
【0091】
以下、第2実施例~第8実施例を説明するが、第1実施例と異なる点のみ説明し、第1実施例と共通する点の説明は省略する。
【0092】
(第2実施例)
本実施例では、図8に示すように、メインリップシール109Aの上端とサブリップシール109Bの下端との間の中央の位置113よりも、サブリップシール109B側の位置に大気孔121を設ける。具体的には、距離L2≧0とする。ここで、距離L2は、中央の位置113と大気孔121の中心線の位置との間の距離である。これにより、メインリップシール109Aとサブリップシール109Bとの間に入り込んだ冷却水を、溜めておき、大気孔121からハウジング103の外部へ蒸発させるようにする。
【0093】
なお、図9図10に示すように、弁装置101が傾斜して搭載された状態においても、大気孔121を2箇所以上設けることで、メインリップシール109Aとサブリップシール109Bとの間に入り込んだ冷却水を、溜めておき、大気孔121を介してハウジング103の外部へ蒸発させることができる。
【0094】
(第3実施例)
弁装置101の第1出口102bの全開時に、メインリップシール109Aとサブリップシール109Bとの間に冷却水が入り込んだ場合には、大気孔121の下端の位置までシャフト106が冷却水に濡れるおそれがある。すると、その後の弁装置101の第1出口102bの全閉時には、図11に示すように、シャフト106において位置106bまで冷却水が付着するおそれがある。
【0095】
そこで、本実施例では、図11に示すように、弁装置101の第1出口102bの全閉時に、シャフト106おける冷却水が付着した領域がサブリップシール109Bのシールリップ109Baに接しないような位置に、サブリップシール109Bを配置する。
【0096】
具体的には、距離L3≧0とする。ここで、距離L3は、シャフト106の位置106bと、サブリップシール109Bのシールリップ109Baの下端(流路102側の端部)との間の距離である。
【0097】
(第4実施例)
本実施例では、メインリップシール109Aのシールリップ109Aaは、サブリップシール109Bのシールリップ109Baよりも、シャフト106に作用する圧力(面圧)が高くなるように設定されている。
【0098】
具体的には、(メインリップシール109Aのシールリップ109Aaの締め代)>(サブリップシール109Bのシールリップ109Baの締め代)としている。ここで、メインリップシール109Aのシールリップ109Aaの締め代とは、シャフト106の外径とメインリップシール109Aのシールリップ109Aaの内径との差であり、詳しくは、シャフト106の外径からメインリップシール109Aのシールリップ109Aaの内径を減算した値である。
【0099】
(第5実施例)
本実施例においても、メインリップシール109Aのシールリップ109Aaは、サブリップシール109Bのシールリップ109Baよりも、シャフト106に作用する圧力が高くなるように設定されている。
【0100】
具体的には、(メインリップシール109Aのシールリップ109Aaを形成するゴム材の硬度)>(サブリップシール109Bのシールリップ109Baを形成するゴム材の硬度)としている。
【0101】
ここで、サブリップシール109Bは、万が一、メインリップシール109Aに異物が噛み込み、メインリップシール109Aとサブリップシール109Bの間の空間に冷却水が入り込んだときに、冷却水が軸受108側へ漏れることを防止するものである。そのため、サブリップシール109Bのシールリップ109Baは、メインリップシール109Aのシールリップ109Aaほど、シャフト106に付着した冷却水を掻き落とす(拭き取る)必要はないので、シャフト106に作用する圧力を低くしておく。そして、これにより、サブリップシール109Bのシールリップ109Baとシャフト106との間の摺動トルクを低減できるので、駆動部107の小型化を図ることができる。
【0102】
また、メインリップシール109Aのシールリップ109Aaは、シャフト106に付着した冷却水により、シャフト106との間の摩擦抵抗が低くなる。しかしながら、サブリップシール109Bのシールリップ109Baは、そのシャフト106との接触面がドライのため、シャフト106との間の摩擦抵抗が高くなる。そのため、サブリップシール109Bのシールリップ109Baとシャフト106との間の摺動トルクを低減するためには、サブリップシール109Bのシールリップ109Baによりシャフト106に作用する圧力を低下させることが望まれる。
【0103】
(第6実施例)
本実施例では、ハウジング103が金属製である場合に、図12に示すように、メインリップシール109Aは、そのハウジング103側(外側)に金属により環状に形成される金環122を備えている。これにより、メインリップシール109Aがハウジング103に保持される力が増大するので、メインリップシール109Aに高圧の冷却水の圧力が作用しても、メインリップシール109Aがサブリップシール109B側に移動することが防止される。
【0104】
なお、高圧の冷却水の圧力が作用しないサブリップシール109Bは、そのハウジング103側(外側)に金環を備えていない。これにより、コストの低減を図ることができる。
【0105】
ここで、ハウジング103が樹脂製である場合には、メインリップシール109Aに金環122を設けてハウジング103に圧入すると、ハウジング103の樹脂が座屈などを起こすおそれがあるので、メインリップシール109Aに金環122を設けることができない。
【0106】
そこで、変形例として、図13に示すように、ハウジング103に段付き部123を設けておき、この段付き部123により、メインリップシール109Aに高圧の冷却水の圧力が作用しても、メインリップシール109Aがサブリップシール109B側に移動することを防止してもよい。
【0107】
(第7実施例)
本実施例では、図14図15に示すように、大気孔121に対向するハウジング103の外側の位置に、冷却水の受け皿となるトラップカバー124を設ける。これにより、大気孔121から放出される冷却水を、トラップカバー124に溜めておき、蒸発させることができる。また、変形例として、図16図17に示すように、トラップカバー124の内側に凹凸124aを設けて面積を増加させてもよい。これにより、トラップカバー124に溜まった冷却水の蒸発を促進できる。
【0108】
(第8実施例)
本実施例では、図18に示すように、メインリップシール109Aの代わりにダイヤフラム125が設けられている。この場合においても、ダイヤフラム125と軸受108との間にサブリップシール109Bを設ける。これにより、ダイヤフラム125とシャフト106との間からの冷却水の漏れや、ダイヤフラム125に発生した孔からの冷却水の漏れが発生しても、サブリップシール109Bから軸受108側への冷却水の侵入を防止できる。
【0109】
また、ダイヤフラム125とサブリップシール109Bとの間に大気孔121を設けることにより、ダイヤフラム125の作動に伴って発生するダイヤフラム125とサブリップシール109Bとの間の圧力を開放できるので、駆動部107の負荷を低減できる。すなわち、弁動作時にシャフト106を上側に移動する場合、大気孔121が無いと、ダイヤフラム125とサブリップシール109Bとの間の空間が加圧状態になり、駆動部107の駆動トルクを大きくする必要があるが、大気孔121を設けることにより、ダイヤフラム125とサブリップシール109Bとの間の空間が加圧状態になり難く、駆動部107の駆動トルクを大きくする必要がない。
【0110】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本開示を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0111】
1 弁装置
11 ハウジング
11a 収容室
12 バルブ
13A 第1弁座
13B 第2弁座
14 シャフト
16A 第1出口パイプ
16B 第2出口パイプ
41 軸受
51 ダブルリップシール
61 流路側シール部
61a シールリップ
62 軸受側シール部
62a シールリップ
63 呼吸孔
101 弁装置
102 流路
103 ハウジング
103a 組付孔
104 弁座
104A 第1弁座
104B 第2弁座
105 弁体
105A 第1弁体
105B 第2弁体
106 シャフト
107 駆動部
108 軸受
109 シール部材
109A メインリップシール
109Aa シールリップ
109B サブリップシール
109Ba シールリップ
113 中央の位置
121 大気孔
L 回転軸線
La リップ間の距離
L1 距離
L2 距離
L3 距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20