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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182979
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】変成炉
(51)【国際特許分類】
   F27D 1/14 20060101AFI20231220BHJP
   F27B 5/14 20060101ALI20231220BHJP
   F27D 11/02 20060101ALI20231220BHJP
   C01B 3/26 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
F27D1/14 F
F27B5/14
F27D11/02 B
C01B3/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096307
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000167200
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクトサーモシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100128912
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 徹
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 宏一郎
(72)【発明者】
【氏名】松本 公明
【テーマコード(参考)】
4G140
4K051
4K061
4K063
【Fターム(参考)】
4G140DA03
4G140DA05
4G140DB05
4G140DC02
4K051AA04
4K051AB03
4K051BA02
4K051BA04
4K051BB04
4K051BC04
4K051KA01
4K051KA10
4K061DA05
4K063AA05
4K063AA19
4K063DA12
4K063FA02
4K063FA18
(57)【要約】
【課題】ヒータの交換の際の筒状断熱材の交換作業の作業性の向上を図ることができる、変成炉を提供する。
【解決手段】ガス管11は、1次ガスを2次ガスへ改質する触媒20を備える。ヒータ12は、触媒20を加熱する。ガス管11を囲む筒状断熱材21は、外部への放熱を遮る。底面断熱材23は、筒状断熱材21の下端を塞ぐ。天井断熱材22は、筒状断熱材21の上端を塞ぐ。筐体フレーム14は、筒状断熱材21の周囲に配置される。支持部材15は、筒状断熱材21を支持する。上下変位機構(16a~16c)は、支持部材15を上下に変位させることで、筒状断熱材21を底面断熱材23に対して上下に変位させる。スライド支持機構(17a~17c)は、上下変位機構(16a~16c)によって上方に変位した筒状断熱材21を水平方向に沿ってスライド移動する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次ガスを2次ガスへ改質する触媒を備えたガス管と、
前記ガス管の周囲に配置されて前記触媒を加熱するヒータと、
前記ガス管の外周側の周囲を囲む筒状であり、前記ヒータが内蔵され又は内側に配置されて外部への放熱を遮る筒状断熱材と、
前記筒状断熱材の下端を塞ぐ底面断熱材と、
前記筒状断熱材の上端を塞ぐ天井断熱材と、
前記筒状断熱材の周囲に配置される筐体フレームと、
前記筒状断熱材を支持する支持部材と、
前記支持部材を前記筐体フレームに対して上下に変位させることで、前記筒状断熱材を前記底面断熱材に対して上下に変位させる上下変位機構と、
前記上下変位機構によって上方に変位した前記筒状断熱材を水平方向に沿ってスライド移動するスライド支持機構と、を備えている、変成炉。
【請求項2】
請求項1に記載の変成炉であって、
前記スライド支持機構は、前記上下変位機構に対して前記支持部材を水平方向に沿ってスライド移動自在に支持するレール部材を有し、
前記上下変位機構は、前記筐体フレームに固定された固定部と、前記固定部に対して回転自在に取り付けられるとともに前記レール部材を下方から支持する可動部と、を有し、前記可動部を回転操作することで前記レール部材が上方に押し上げられ、前記支持部材とともに前記筒状断熱材を上方に変位させるように構成されている、変成炉。
【請求項3】
請求項2に記載の変成炉であって、
前記固定部は、前記筐体フレームに固定されるとともに雌ネジ部材として構成され、
前記可動部は、前記雌ネジ部材に螺合する雄ネジ部材として構成されている、変成炉。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の変成炉であって、
前記上下変位機構が前記筒状断熱材を前記支持部材とともに下降させて前記筒状断熱材と前記底面断熱材とが密着した状態において、前記支持部材の水平方向に沿った移動を規制する規制部を更に備えている、変成炉。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の変成炉であって、
前記支持部材は、移動操作するための操作部が設けられている、変成炉。
【請求項6】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の変成炉であって、
前記筒状断熱材は、径方向に半割されるように構成されている、変成炉。
【請求項7】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の変成炉であって、
前記筒状断熱材は、上下方向に亘って複数段に積層される分割筒状断熱材を有し、
前記支持部材及び前記上下変位機構は、複数の前記分割筒状断熱材の全てに対応して複数設けられ、複数の前記分割筒状断熱材をそれぞれ上方に変位させるように構成され、
前記スライド支持機構は、複数の前記分割筒状断熱材の全てに対応して複数設けられ、複数の前記分割筒状断熱材をそれぞれ水平方向に沿ってスライド移動するように構成されている、変成炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒を備えたガス管を有し、1次ガスを2次ガスへ改質する変成炉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、触媒を備えたガス管内を通過させることで、原料ガスとしての1次ガスを変成ガスとしての2次ガスへと改質する変成炉が知られている。このような変成炉として、例えば、特許文献1に開示された変成炉が知られている。
【0003】
特許文献1に開示された変成炉は、1次ガスを2次ガスへ改質する触媒を備えたガス管と、ガス管の周囲に配置されて触媒を加熱するヒータと、ガス管の外周側の周囲を囲む筒状に設けられてヒータが設けられた筒状断熱材と、を備えて構成されている。筒状断熱材の上端は、天井断熱材で塞がれ、筒状断熱材の下端は、底面断熱材で塞がれている。
【0004】
また、ヒータが設けられた筒状断熱材と、筒状断熱材の上端及び下端を塞ぐ天井断熱材及び底面断熱材とを備えた炉体構造として、特許文献2に開示された炉体構造が知られている。特許文献2に開示された炉体構造においては、筒状断熱材は、複数に分割されており、軸方向に積層された状態で底面断熱材の上に載置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4613332号明細書
【特許文献2】特開2015-35481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された変成炉においては、筒状断熱材にヒータが設けられている。このような変成炉において、ヒータの故障が発生し、ヒータの交換作業が行われる際に、ヒータが設けられた筒状断熱材の重量が重いと、そのまま交換する作業は、作業者の負担が大きい。
【0007】
また、特許文献2に開示された炉体構造においては、ヒータが設けられた筒状断熱材は、複数に分割されており、軸方向に積層された状態で底面断熱材の上に載置されている。このため、複数積層された断熱材のうちの下段側の断熱材においてヒータの故障が発生し、ヒータの交換作業が行われる際には、故障が発生したヒータが設けられた下段側の断熱材を交換する作業が必要となる。しかし、断熱材は積層されているため、故障が発生したヒータが設けられた断熱材だけではなく、その上段側に積層された全ての断熱材を一旦取り除く作業も必要となる。また、高所に設けられた上段側の断熱材を取り除く作業は、作業者の負担が大きい。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みることにより、ヒータの交換の際の筒状断熱材の交換作業の作業性の向上を図ることができる、変成炉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するために、本発明のある局面に係わる変成炉は、1次ガスを2次ガスへ改質する触媒を備えたガス管と、前記ガス管の周囲に配置されて前記触媒を加熱するヒータと、前記ガス管の外周側の周囲を囲む筒状であり、前記ヒータが内蔵され又は内側に配置されて外部への放熱を遮る筒状断熱材と、前記筒状断熱材の下端を塞ぐ底面断熱材と、前記筒状断熱材の上端を塞ぐ天井断熱材と、前記筒状断熱材の周囲に配置される筐体フレームと、前記筒状断熱材を支持する支持部材と、前記支持部材を前記筐体フレームに対して上下に変位させることで、前記筒状断熱材を前記底面断熱材に対して上下に変位させる上下変位機構と、前記上下変位機構によって上方に変位した前記筒状断熱材を水平方向に沿ってスライド移動するスライド支持機構と、を備えている。
【0010】
(2)前記スライド支持機構は、前記上下変位機構に対して前記支持部材を水平方向に沿ってスライド移動自在に支持するレール部材を有し、前記上下変位機構は、前記筐体フレームに固定された固定部と、前記固定部に対して回転自在に取り付けられるとともに前記レール部材を下方から支持する可動部と、を有し、前記可動部を回転操作することで前記レール部材が上方に押し上げられ、前記支持部材とともに前記筒状断熱材を上方に変位させるように構成されている。
【0011】
(3)前記固定部は、前記筐体フレームに固定されるとともに雌ネジ部材として構成され、前記可動部は、前記雌ネジ部材に螺合する雄ネジ部材として構成されている。
【0012】
(4)前記変成炉は、前記上下変位機構が前記筒状断熱材を前記支持部材とともに下降させて前記筒状断熱材と前記底面断熱材とが密着した状態において、前記支持部材の水平方向に沿った移動を規制する規制部を更に備えている。
【0013】
(5)前記支持部材は、移動操作するための操作部が設けられている。
【0014】
(6)前記筒状断熱材は、径方向に半割されるように構成されている。
【0015】
(7)前記筒状断熱材は、上下方向に亘って複数段に積層される分割筒状断熱材を有し、前記支持部材及び前記上下変位機構は、複数の前記分割筒状断熱材の全てに対応して複数設けられ、複数の前記分割筒状断熱材をそれぞれ上方に変位させるように構成され、前記スライド支持機構は、複数の前記分割筒状断熱材の全てに対応して複数設けられ、複数の前記分割筒状断熱材をそれぞれ水平方向に沿ってスライド移動するように構成されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、ヒータの交換の際の筒状断熱材の交換作業の作業性の向上を図ることができる、変成炉を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施の形態に係る変成炉を含む変成ガス生成装置を模式的に示す図である。
図2】変成炉を示す斜視図である。
図3】変成炉における断熱材及び支持部材を示す斜視図である。
図4】変成炉の断熱材の断面図である。
図5】変成炉の一部の分解斜視図であって、変成炉における断熱材及びガス管を示す図である。
図6】変成炉の筒状断熱材の一部の分解斜視図である。
図7図2の一部を拡大して示す図であって、変成炉における上下変位機構及びスライド支持機構を示す図である。
図8】変成炉における上下変位機構及びスライド支持機構の一部を拡大して示す斜視図である。
図9】変成炉における上下変位機構及びスライド支持機構の一部を拡大して示す斜視図である。
図10】変成炉の規制部の形状に関する変形例を模式的に示す図である。
図11】変成炉において最下段の分割筒状断熱材を水平方向にスライド移動した状態を示す斜視図である。
図12】第1の変形例を示す図であって、上下変位機構に関する変形例を示す斜視図である。
図13】第2の変形例を示す図であって、支持部材、上下変位機構、及びスライド支持機構に関する変形例を示す斜視図である。
図14図13の一部を拡大して示す図である。
図15】第3の変形例を示す図であって、支持部材、上下変位機構、及びスライド支持機構に関する変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、触媒を備えたガス管を有し、1次ガスを2次ガスへ改質する変成炉として、種々の用途に広く適用することができるものである。以下の説明においては、まず、変成炉を含む変成ガス生成装置について説明し、次いで、本発明の一実施の形態に係る変成炉について説明する。
【0019】
[変成ガス生成装置]
図1は、本発明の一実施の形態に係る変成炉1を含む変成ガス生成装置100を模式的に示す図である。図1を参照して、変成ガス生成装置100は、本発明の一実施の形態に係る変成炉1を備え、原料ガスとしての1次ガスを改質して変成ガスとしての2次ガスを生成するための装置として構成されている。変成ガス生成装置100に供給される原料ガスとしての1次ガスは、炭化水素ガスと空気との混合ガスであり、1次ガスの炭化水素ガスは、例えば、都市ガスとして供給されるメタンガスを主成分とする天然ガス、或いは、液化石油ガスとして供給されるプロパンガスである。変成ガス生成装置100では、1次ガスが変成炉1において改質され、一酸化炭素(CO)と水素(H)とを含む変成ガスとしての2次ガスが生成される。変成ガス生成装置100にて生成された2次ガスは、熱処理炉101へと供給される。熱処理炉101は、例えば、被処理物に対して浸炭処理を施す浸炭炉として構成され、変成ガス生成装置100にて生成された2次ガスが浸炭ガスとして熱処理炉101へ供給される。
【0020】
変成ガス生成装置100は、変成炉1、1次ガス配管102、2次ガス配管103、コントローラ104、等を備えて構成されている。
【0021】
変成炉1は、触媒を備えたガス管11、触媒を加熱するヒータ12、等を備えて構成されている。変成炉1は、原料ガスとしての1次ガスを、ガス管11内を通過させ、加熱された触媒と反応させることで、変成ガスとしての2次ガスへと改質する。変成炉1については、後で詳述する。
【0022】
1次ガス配管102は、変成炉1のガス管11の入口側に接続され、変成炉1に対して1次ガスを供給する配管として構成されている。1次ガス配管102には、流量センサ102aが設けられており、1次ガス配管102を流動して変成炉1へ供給される1次ガスの流量が計測される。流量センサ102aは、コントローラ104に接続されており、流量センサ102aでの1次ガスの流量の計測値がコントローラ104へと送信される。
【0023】
2次ガス配管103は、変成炉1のガス管11の出口側に接続され、変成炉1にて1次ガスを改質して生成された2次ガスを変成炉1から誘導して熱処理炉101へと供給する配管として構成されている。2次ガス配管103には、COセンサ103aが設けられており、変成炉1で生成されて2次ガス配管103を流動して熱処理炉101へと供給される2次ガスにおける一酸化炭素濃度が計測される。COセンサ103aは、コントローラ104に接続されており、2次ガスにおける一酸化炭素濃度のCOセンサ103aでの計測値がコントローラ104へと送信される。
【0024】
コントローラ104は、変成ガス生成装置100による2次ガスの生成動作を制御する制御装置として設けられている。コントローラ104は、変成炉1のガス管11内の触媒が適温となるようにヒータ12を制御するように構成されている。また、コントローラ104は、流量センサ102a及びCOセンサ103aから受信した計測値の信号に基づいて、1次ガスにおける炭化水素ガスの濃度をフィードバック制御するように構成されている。具体的には、コントローラ104は、流量センサ102aにて計測された1次ガスの流量と、COセンサ103aで計測された2次ガスの一酸化炭素濃度とに基づいて、ガス管11内の触媒の状態を推定する。そして、コントローラ104は、推定した触媒の状態に基づいて、熱処理炉101へ供給する2次ガスの一酸化炭素濃度が所望の濃度となるように、1次ガスにおける炭化水素ガスの濃度を調整するように制御する。例えば、1次ガス配管102には、炭化水素ガスを供給する炭化水素ガス供給管(図示省略)が接続しており、炭化水素ガス供給管には、炭化水素ガスの流量を調整する流量調整弁が設けられている。この流量調整弁は、コントローラ104によって作動が制御されるように構成されている。そして、コントローラ104からの指令に基づいて炭化水素ガス供給管の流量調整弁の作動が制御されることで、1次ガスにおける炭化水素ガスの濃度が調整される。
【0025】
[変成炉の全体構成]
次に、本発明の一実施の形態に係る変成炉1について詳細に説明する。図2は、変成炉1を示す斜視図である。図3は、変成炉1における断熱材13及び支持部材15を示す斜視図である。図4は、変成炉1の断熱材13の断面図である。図1乃至図4を参照して、変成炉1は、触媒20を備えたガス管11を有し、原料ガスとしての1次ガスを、ガス管11内を通過させて触媒と反応させることで、変成ガスとしての2次ガスへと改質する炉として構成されている。変成炉1は、下端側で1次ガス配管102と接続され、1次ガス配管102から1次ガスが供給される。また、変成炉1は、上端側で2次ガス配管103と接続され、変成炉1にて生成した2次ガスを2次ガス配管103へと送り出す。
【0026】
図1乃至図4を参照して、変成炉1は、ガス管11と、ヒータ12と、断熱材13と、筐体フレーム14と、支持部材15と、上下変位機構(16a、16b、16c)と、スライド支持機構(17a、17b、17c)と、規制部18と、を備えて構成されている。ガス管11は、1次ガスを2次ガスへ改質する触媒20を備え、上下方向に延びるように配置されている。断熱材13は、上下方向に亘ってガス管11の周囲を囲むように設けられ、ガス管11の外周側の周囲を囲む筒状に設けられた筒状断熱材21を備えている。ヒータ12は、ガス管11の周囲に配置され、ガス管11内の触媒20を加熱するために設けられている。本実施形態では、ヒータ12は、断熱材13の筒状断熱材21に内蔵されている。支持部材15は、断熱材13の筒状断熱材21を支持するための部材として設けられ、筒状断熱材21に取り付けられている。筐体フレーム14は、断熱材13の筒状断熱材21の周囲に配置され、筒状断熱材21を支持する支持部材15を上下方向に移動可能に支持するように設けられている。上下変位機構(16a、16b、16c)は、筒状断熱材13を支持する支持部材15を筐体フレーム14に対して上下に変位させることで、筒状断熱材21を上下に変位させる機構として設けられている。スライド支持機構(17a、17b、17c)は、上下変位機構(16a、16b、16c)によって上方に変位した筒状断熱材21を水平方向に沿ってスライド移動する機構として設けられている。規制部18は、上下変位機構(16a、16b、16c)が筒状断熱材21を支持部材15とともに下降させた状態で支持部材15の水平方向に沿った移動を規制する機構として設けられている。
【0027】
以下、変成炉1のさらに詳細な構成について説明する。尚、以下の説明では、図2乃至図4及び後述の図面において両端矢印X1、両端矢印X2、及び両端矢印X3で示すように、変成炉1における上下方向X1、前後方向X2、及び幅方向X3を定義する。変成炉1における上下方向X1は、変成炉1が変成ガス生成装置100において設置された状態での上下方向を基準として定義される。前後方向X2は、上下方向X1に垂直な方向である水平方向に延びる方向であり、変成炉1の筒状断熱材21の交換作業が行われる際に筒状断熱材21がスライド移動させられて変位する方向として定義される。幅方向X3は、上下方向X1及び前後方向X2の両方に垂直な方向として定義される。
【0028】
[ガス管]
図5は、変成炉1の一部の分解斜視図であって、断熱材13及びガス管11を示す図である。図1乃至図5を参照して、ガス管11は、1次ガスが通過して2次ガスへと改質される管として設けられ、管本体19と、1次ガスを2次ガスへと改質するための触媒20とを備えて構成されている。
【0029】
管本体19は、金属製の筒状の管として構成されている。本実施形態では、管本体19は、鉄鋼材料で構成されており、例えば、ステンレス鋼で構成されている。尚、管本体19は、ステンレス鋼以外の鉄鋼材料で構成されていてもよく、また、鉄鋼材料以外の金属材料で構成されていてもよい。また、管本体19は、金属材料以外の材料で構成されていてもよく、金属材料と同程度以上の耐熱性を有する材料で構成されていればよい。例えば、管本体19は、セラミック材料で構成されていてもよい。
【0030】
管本体19は、上下方向X1に沿って筒状に延びるように設けられており、本実施形態では、円筒状に形成されている。管本体19の上端部及び下端部はそれぞれ開口しており、管本体19の上端部は2次ガス配管103と接続され、管本体19の下端部は1次ガス配管102と接続される。1次ガス配管102から供給された1次ガスは、管本体19の内側を下方から上方に向かって流動しながら2次ガスへと改質され、2次ガス配管103へと送り出される。尚、管本体19は、円筒状以外の形状の筒状に形成されていてもよく、例えば、角筒状に形成されていてもよい。
【0031】
図4及び図5を参照して、触媒20は、1次ガスを2次ガスへと改質するための触媒として設けられている。即ち、触媒20は、炭化水素ガスと空気との混合ガスである1次ガスを改質して一酸化炭素と水素とを含む変成ガスである2次ガスを生成するための反応をさせるよう設けられている。触媒20は、例えば、高アルミナ質の多孔質耐火物にニッケル(Ni)を付着させることで形成された材料として構成されている。
【0032】
触媒20は、管本体19の内側に配置された状態で、ガス管11に備えられている。管本体19の内側における下端側には、触媒20を管本体19に対して支持する触媒支持材19aが設けられており、触媒20は、管本体19の内側において、触媒支持材19aの上方に亘って充填されている。尚、触媒支持材19aは、管本体19内の1次ガスの通過を許容するように設けられており、例えば、メッシュ状の金属材料で形成されている。ガス管11内を通過する1次ガスは、ヒータ12によって加熱された触媒20を通過しながら管本体19の内側を流動し、触媒20によって改質され、2次ガスとなる。
【0033】
[断熱材]
図1乃至図5を参照して、断熱材13は、ガス管11の周囲に配置されて外部への放熱を遮る部材として設けられている。断熱材13として、筒状断熱材21、天井断熱材22、及び底面断熱材23が設けられている。
【0034】
図1乃至図5を参照して、筒状断熱材21は、ガス管11の外周側の周囲を囲む筒状に設けられ、ヒータ12が内蔵されて外部への放熱を遮る断熱材として設けられている。本実施形態では、筒状断熱材21は、円筒状の断熱材として構成されている。円筒状の筒状断熱材21の内側の空間においてガス管11が上下方向X1に沿って延びるように配置される。本実施形態では、筒状断熱材21は、円筒状に設けられるため、筒状断熱材21の外周面及び内周面における上下方向X1に垂直な断面の形状が円形に形成されている。尚、筒状断熱材21は、円筒状以外の筒状の形状に形成されてもよく、内側にガス管11が配置される筒状の形態であればよい。例えば、筒状断熱材21は、角筒状に設けられてもよい。また、筒状断熱材21は、内周面において周方向に沿って凹凸が形成された星型のような断面の形状に形成されてもよい。
【0035】
図2乃至図5を参照して、筒状断熱材21は、上下方向X1に亘って複数段に積層される分割筒状断熱材(21a、21b、21c)を有して構成されている。即ち、筒状断熱材21は、上下方向X1に積層される複数の分割筒状断熱材(21a、21b、21c)を有している。尚、本実施形態では、上下方向X1に亘って3段に積層される分割筒状断熱材(21a、21b、21c)を有する筒状断熱材21の形態を例示している。上下方向X1に積層される3つの分割筒状断熱材(21a、21b、21c)のうち、最上段に分割筒状断熱材21aが配置され、中段に分割筒状断熱材21bが配置され、最下段に分割筒状断熱材21cが配置される。
【0036】
最上段の分割筒状断熱材21aと中段の分割筒状断熱材21bと最下段の分割筒状断熱材21cとは、いずれも、同一の構造を有し、同一の形状に形成されている。そして、各分割筒状断熱材(21a~21c)は、円筒形状に形成されている。また、図5を参照して、各分割筒状断熱材(21a~21c)は、円筒形状の径方向に半割されるように構成されている。即ち、各分割筒状断熱材(21a~21c)は、円筒形状の径方向及び上下方向X1の両方の方向に沿った面として構成される分割面にて2つに分割されるように構成されている。各分割筒状断熱材(21a~21c)は、径方向に半割されることで、それぞれ、半円筒形状の半割体24a及び半割体24bに分割されるように構成されている。即ち、分割筒状断熱材21aは、半円筒形状の半割体24a及び半割体24bに半割されるように構成されている。分割筒状断熱材21bも、半円筒形状の半割体24a及び半割体24bに半割されるように構成されている。分割筒状断熱材21cも、半円筒形状の半割体24a及び半割体24bに半割されるように構成されている。各分割筒状断熱材(21a~21c)が径方向に半割されるため、分割筒状断熱材(21a~21c)を有する筒状断熱材21も径方向に半割されるように構成されている。
【0037】
図6は、変成炉1の筒状断熱材21の一部の分解斜視図であり、各分割筒状断熱材(21a~21c)の半割体24aの分解斜視図である。図5及び図6を参照して、各分割筒状断熱材(21a~21c)における半割体24aと半割体24bとは、同一の構造を有し、同一の形状に形成されている。半割体24aは、径方向に積層されるように組み合わされる第1断熱層25と第2断熱層26とカバー27とを有して構成されている。半割体24bも、径方向に積層されるように組み合わされる第1断熱層25と第2断熱層26とカバー27とを有して構成されている。
【0038】
各半割体(24a、24b)の第1断熱層25は、半割体(24a、24b)の径方向における最も内側の層として設けられ、セラミック材料で形成されている。より具体的には、第1断熱層25は、セラミックファイバーが半円筒形に成形されることで構成されている。また、第1断熱層25には、後述するヒータ12が内蔵されている。ヒータ12は、第1断熱層25の内周側に埋め込まれるようにして第1断熱層25に内蔵されている。例えば、モルダサーム(登録商標)のヒータ半円筒型(ハーフシリンダータイプ)が第1断熱層25に該当する。各半割体(24a、24b)の第2断熱層26は、半割体(24a、24b)の径方向における内側から2番目の層として設けられ、セラミック材料で形成されている。より具体的には、第2断熱層26は、セラミックファイバーが半円筒形に成形されることで構成されている。
【0039】
各半割体(24a、24b)のカバー27は、半割体(24a、24b)の径方向における最も外側の層として設けられ、金属材料で形成されている。即ち、カバー27は、半割体(24a、24b)の外周側を覆う金属製のシェルとして設けられている。カバー27は、上下方向X1に垂直な断面の形状が円形形状の板状の金属部材として設けられ、例えば、鉄鋼材料で構成されており、更に具体的には、例えば、ステンレス鋼で構成されている。また、カバー27は、多数の貫通穴が開けられたパンチングメタルとして構成されている。カバー27には、後述する支持部材15が溶接により取り付けられている。
【0040】
尚、カバー27は、鉄鋼材料以外の金属材料で形成されていてもよい。また、カバー27は、第1断熱層25及び第2断熱層26の劣化時も考慮して、第1断熱層25及び第2断熱層26が崩れないようにして持ち運びできるように第1断熱層25及び第2断熱層26を覆う構造であればよい。また、カバー27は、パンチングメタルのように、穴が開けられていても開けられていなくてもどちらでもよい。また、カバー27は、板材で構成されていなくてもよい。例えば、カバー27は、太い針金を用いて半円筒形状の籠形状に形成され、第1断熱層25及び第2断熱層26を覆うように構成されていてもよい。
【0041】
図2乃至図5を参照して、断熱材13の天井断熱材22は、筒状断熱材21の上端を塞ぐ断熱材として設けられている。天井断熱材22は、筒状断熱材21における最上段の分割筒状断熱材21aの上端に密着した状態で載置され、筒状断熱材21の上端を塞ぐように配置される。
【0042】
天井断熱材22は、円筒状の断熱材として構成されている。円筒状の天井断熱材22の内側の空間には、筒状断熱材21から上方に延びるガス管11が上下方向X1に沿って延びるように配置される。天井断熱材22は、円筒状に設けられるため、天井断熱材22の外周面及び内周面における上下方向X1に垂直な断面の形状が円形に形成されている。また、天井断熱材22の内周面は、ガス管11の外周面と略同じ径寸法に形成されており、天井断熱材22は、その内周面においてガス管11の外周面に密着した状態で、配置される。
【0043】
また、円筒形状の天井断熱材22は、円筒形状の径方向に半割されるように構成されている。即ち、天井断熱材22は、円筒形状の径方向及び上下方向X1の両方の方向に沿った面として構成される分割面にて2つに分割されるように構成されている。天井断熱材22は、径方向に半割されることで、半円筒形状の半割体22a及び半割体22bに分割されるように構成されている。半割体22a及び半割体22bは、同一の構造を有し、同一の形状に形成されている。そして、半割体22a及び半割体22bは、いずれも、セラミック材料で形成されており、より具体的には、セラミックファイバーが半円筒形に成形されることで構成されている。
【0044】
尚、天井断熱材22は、円筒状以外の形状に形成されてもよく、筒状断熱材21の上端を塞ぐとともに内側にガス管11が配置される形態であればよい。例えば、薄い円盤状に形成されたリング状の形状に設けられていてもよい。また、天井断熱材22は、円筒状以外の筒状の形状に形成されてもよく、例えば、角筒状に設けられていてもよい。また、天井断熱材22は、径方向のいずれの位置でも上下方向X1における寸法が同一の筒状に形成された形態に限らず、径方向の位置によって、上下方向X1における寸法が異なる筒状に形成されてもよい。例えば、径方向の内側において上下方向X11の寸法が大きく構成され、径方向の外側において上下方向X1の寸法が小さく構成された形状に設けられていてもよい。即ち、径方向の中心側が盛り上がっている形状に形成されていてもよい。
【0045】
図2乃至図5を参照して、断熱材13の底面断熱材23は、筒状断熱材21の下端を塞ぐ断熱材として設けられている。底面断熱材23の上端には、筒状断熱材21における最下段の分割筒状断熱材21cの下端が密着した状態で載置される。これにより、底面断熱材23は、筒状断熱材21の下端を塞ぐように設けられる。また、底面断熱材23は、後述する筐体フレーム14に載置される。
【0046】
底面断熱材23は、円筒状の断熱材として構成されている。円筒状の底面断熱材23の内側の空間には、筒状断熱材21から下方に延びるガス管11が上下方向X1に沿って延びるように配置される。底面断熱材23は、円筒状に設けられるため、底面断熱材23の外周面及び内周面における上下方向X1に垂直な断面の形状が円形に形成されている。また、底面断熱材23の内周面は、ガス管11の外周面と略同じ径寸法に形成されており、底面断熱材23は、その内周面においてガス管11の外周面に密着した状態で、配置される。
【0047】
また、円筒形状の底面断熱材23は、円筒形状の径方向に半割されるように構成されている。即ち、底面断熱材23は、円筒形状の径方向及び上下方向X1の両方の方向に沿った面として構成される分割面にて2つに分割されるように構成されている。底面断熱材23は、径方向に半割されることで、半円筒形状の半割体23a及び半割体23bに分割されるように構成されている。半割体23a及び半割体23bは、同一の構造を有し、同一の形状に形成されている。そして、半割体23a及び半割体23bは、いずれも、セラミック材料で形成されており、より具体的には、セラミックファイバーが半円筒形に成形されることで構成されている。
【0048】
尚、底面断熱材23は、円筒状以外の形状に形成されてもよく、筒状断熱材21の下端を塞ぐとともに内側にガス管11が配置される形態であればよい。例えば、薄い円盤状に形成されたリング状の形状に設けられていてもよい。また、底面断熱材23は、円筒状以外の筒状の形状に形成されてもよく、例えば、角筒状に設けられていてもよい。
【0049】
[ヒータ]
図1図4乃至図6を参照して、ヒータ12は、ガス管11の周囲に配置されてガス管11内の触媒20を加熱するために設けられている。ヒータ12は、ガス管11の周囲を囲む筒状断熱材21に内蔵されていることで、ガス管11の周囲に配置されている。更に、ヒータ12は、筒状断熱材21における各分割筒状断熱材(21a~21c)に内蔵されている。より具体的には、ヒータ12は、各分割筒状断熱材(21a~21c)の内周に沿って埋め込まれるとともに各分割筒状断熱材(21a~21c)の内側に露出した状態で各分割筒状断熱材(21a~21c)に内蔵されている。また、ヒータ12は、各分割筒状断熱材(21a~21c)において、半割体24a及び半割体24bのいずれにも内蔵されている。即ち、ヒータ12は、半割体24aの内周に沿って埋め込まれるとともに内側に露出した状態で半割体24aに内蔵されている。更に、ヒータ12は、半割体24bの内周に沿って埋め込まれるとともに内側に露出した状態で半割体24bにも内蔵されている。
【0050】
また、各分割筒状断熱材(21a~21c)の半割体24a及び半割体24bのそれぞれに設けられたヒータ12は、図示が省略された電源から供給される電気エネルギーを熱エネルギーに変換する複数の電熱体12aを有している。ヒータ12の複数の電熱体12aは、各分割筒状断熱材(21a~21c)の半割体24a及び半割体24bのそれぞれにおいて内周に沿って延びるように配置されている。各分割筒状断熱材(21a~21c)に設けられたヒータ12の複数の電熱体12aは、通電されることで発熱する。そして、各分割筒状断熱材(21a~21c)のヒータ12の複数の電熱体12aが発熱することで、その輻射熱により、各分割筒状断熱材(21a~21c)の内側のガス管11が加熱される。ガス管11が加熱されることで、ガス管11内の触媒20が加熱される。尚、ヒータ12の複数の電熱体12aへの通電がコントローラ104によって制御されることで、ヒータ12の作動がコントローラ104によって制御される。
【0051】
尚、ヒータ12は、筒状断熱材21に内蔵されていなくてもよく、筒状断熱材21の内側に別体として配置されてもよい。例えば、ヒータ12は、筒状断熱材21の内周とガス管11の外周との間に配置されるように筒状断熱材21に対して取り付けられる形態であってもよい。或いは、ヒータ12は、筒状断熱材21の内側でガス管11の周囲を囲むように配置される自立式の形態であってもよい。
【0052】
[支持部材]
図2図3図5図6を参照して、支持部材15は、筒状断熱材21を支持する部材として設けられている。本実施形態では、支持部材15は、筒状断熱材21に固定されて取り付けられるとともに、筒状断熱材21を後述する筐体フレーム14に対して支持するための部材として設けられている。また、支持部材15は、筒状断熱材21における複数の分割筒状断熱材(21a~21c)の全てに対応して複数設けられている。即ち、支持部材15は、最上段の分割筒状断熱材21a、中段の分割筒状断熱材21b、及び最下段の分割筒状断熱材21cのそれぞれに対応して設けられている。更に、支持部材15は、各分割筒状断熱材(21a~21c)に対応して設けられるとともに、各分割筒状断熱材(21a~21c)の各半割体(24a、24b)にも対応して設けられている。そして、支持部材15は、各分割筒状断熱材(21a~21c)の各半割体(24a、24b)のそれぞれに対して固定されて取り付けられている。
【0053】
各分割筒状断熱材(21a~21c)の各半割体(24a、24b)に取り付けられる支持部材15は、複数回に亘って屈曲して延びる丸棒状の部材として設けられ、両端部において各半割体(24a、24b)のカバー27に対して固定されている。支持部材15は、例えば、鉄鋼材料で構成されており、各半割体(24a、24b)のカバー27に対して溶接によって固定されて取り付けられている。
【0054】
また、各分割筒状断熱材(21a~21c)の各半割体(24a、24b)に取り付けられる支持部材15は、一体に設けられた操作部15aと一対のスライド部(15b、15b)とを有して構成されている。操作部15aは、作業者(図示省略)によって把持されて水平方向に移動操作される取っ手部分として設けられている。操作部15aは、幅方向X3に沿って直線状に延びるように設けられており、幅方向X3の両端部においてスライド部(15b、15b)に一体に連結されている。支持部材15は、操作部15aが設けられていることで、各分割筒状断熱材(21a~21c)の各半割体(24a、24b)を支持する部材であるとともに、各分割筒状断熱材(21a~21c)の各半割体(24a、24b)を水平方向に移動操作するためのハンドル部材としても構成されている。
【0055】
一対のスライド部(15b、15b)は、支持部材15において、幅方向X3の両側に配置され、前後方向X2に沿って直線状に延びるように設けられている。一対のスライド部(15b、15b)のそれぞれは、前後方向X2における一方の端部において、操作部15aの幅方向X3における両端部のそれぞれに対して一体に連結されている。更に、一対のスライド部(15b、15b)のそれぞれは、前後方向X2における他方の端部において、各分割筒状断熱材(21a~21c)の各半割体(24a、24b)のカバー27に対して溶接によって固定されて取り付けられている。また、一対のスライド部(15b、15b)のそれぞれは、支持部材15において、後述するスライド支持機構(17a、17b、17c)のレール部材34に対してスライド移動自在に支持される部分として設けられている。
【0056】
[筐体フレーム]
図2を参照して、筐体フレーム14は、直方体状の外形を有し、自立式の枠体構造として、或いは、床面に固定されて設置される枠体構造として構成されている。筐体フレーム14は、筒状断熱材21の周囲に配置され、底面断熱材23の上に載置される筒状断熱材21を支持する支持部材15を上下方向X1に移動可能に支持する構造体として設けられている。本実施形態では、筐体フレーム14は、下端側の下枠部28と、下枠部28から上下方向X1に沿って上方に延びる複数の支柱29と、上端側で複数の支柱29を連結する上枠部30とを有して構成されている。
【0057】
筐体フレーム14の下枠部28は、矩形の枠体として設けられ、床面に対して載置され或いは固定される。下枠部28には、前後方向X2及び幅方向X3に沿って広がる平坦な底板28aが設けられており、底板28a上には底面断熱材23が載置されて配置される。尚、底板28aには、ガス管11が貫通する貫通孔(図示省略)が設けられている。
【0058】
筐体フレーム14の支柱29は、下端部が下枠部28に固定され、上下方向X1に沿って上方に延びる柱部材として設けられている。本実施形態の筐体フレーム14では、支柱29は、4つ設けられており、前後方向X2の両端側と幅方向X3の両端側とに配置されている。そして、4つの支柱29は、矩形の下枠部28の4つのコーナー部分からそれぞれ上方に延びるように設けられている。筐体フレーム14は、4つの支柱29が前後方向X2の両端側と幅方向X3の両端側とに配置される構造のため、前後方向X2の両側と幅方向X3の両側とが外部に対して開放されるように構成されている。筐体フレーム14の支柱29に対しては、後述するスライド支持機構(17a、17b、17c)のレール部材34が上下方向X1に沿ってスライド移動可能になっている。また、レール部材34に支持部材15を載せて支持している。
【0059】
筐体フレーム14の上枠部30は、4つの支柱29の上端部を連結する矩形の枠体として設けられている。即ち、4つの支柱29の上端部は、いずれも上枠部30に固定されている。尚、4つの支柱29の上端部は、矩形の上枠部30の4つのコーナー部分のそれぞれに固定されている。筐体フレーム14は、上枠部30が矩形の枠体として設けられる構造のため、上端側が上下方向X1において外部に開放されるように構成されている。
【0060】
[上下変位機構]
図7は、図2の一部を拡大して示す図であって、変成炉1における上下変位機構(16a、16b、16c)及びスライド支持機構(17a、17b、17c)を示す図である。図8及び図9は、変成炉1における上下変位機構(16a、16b、16c)及びスライド支持機構(17a、17b、17c)の一部を拡大して示す斜視図である。図2図7乃至図9を参照して、上下変位機構(16a、16b、16c)は、支持部材15を筐体フレーム14に対して上下に変位させることで、筒状断熱材21を上下に変位させる機構として設けられている。
【0061】
上下変位機構(16a、16b、16c)は、筒状断熱材21における複数の分割筒状断熱材(21a~21c)の全てに対応して複数設けられ、複数の分割筒状断熱材(21a~21c)をそれぞれ上方に変位させるように構成されている。より具体的には、上下変位機構16aは、最上段の分割筒状断熱材21aに対応して設けられ、分割筒状断熱材21aを上方に変位させるように構成されている。上下変位機構16bは、中段の分割筒状断熱材21bに対応して設けられ、分割筒状断熱材21bを上方に変位させるように構成されている。上下変位機構16cは、下段の分割筒状断熱材21cに対応して設けられ、分割筒状断熱材21cを上方に変位させるように構成されている。
【0062】
分割筒状断熱材21aに対応する上下変位機構16aと、分割筒状断熱材21bに対応する上下変位機構16bと、分割筒状断熱材21cに対応する上下変位機構16cとは、同一の構造を有し、同様に構成されている。各上下変位機構(16a~16c)は、支持部材15を上下方向X1に沿って駆動するための複数の上下駆動部31を有している。本実施形態では、各上下変位機構(16a~16c)は、4つの上下駆動部31を有して構成されている。即ち、上下変位機構16aは、分割筒状断熱材21aを支持する支持部材15を上下方向X1に駆動するための4つの上下駆動部31を有している。上下変位機構16bは、分割筒状断熱材21bを支持する支持部材15を上下方向X1に駆動するための4つの上下駆動部31を有している。上下変位機構16cは、分割筒状断熱材21cを支持する支持部材15を上下方向X1に駆動するための4つの上下駆動部31を有している。
【0063】
各上下変位機構(16a~16c)の4つの上下駆動部31は、同様に構成されている。各上下変位機構(16a~16c)において、4つの上下駆動部31は、筐体フレーム14の前後方向X2における両端側と幅方向X3における両端側とに配置されている。各上下変位機構(16a~16c)の4つの上下駆動部31は、上下方向X1において同じ高さ位置に設けられている。尚、4つの上下駆動部31のうち、前後方向X2において対向して配置される上下駆動部31は、前後方向X2における中間位置を中心として互いに鏡像関係となる対称な形状に形成されている。また、4つの上下駆動部31のうち、幅方向X3において対向して配置される上下駆動部31は、幅方向X3における中間位置を中心として互いに鏡像関係となる対称な形状に形成されている。各上下変位機構(16a~16c)における各上下駆動部31は、同様に構成されるため、図7乃至図9を参照して上下駆動部31を説明することで、他の上下駆動部31の説明を省略する。尚、図8は、上下変位機構16cにおける上下駆動部31を前後方向X2の一方側から見た状態を示す斜視図である。図9は、上下変位機構16cにおける上下駆動部31を図8とは異なる角度から見た斜視図であって、幅方向X3の一方側から見た状態を示す斜視図である。
【0064】
図7乃至図9を参照して、上下駆動部31は、固定部32と可動部33とを有し、筐体フレーム14に対して支持部材15を上下方向X1に沿って駆動するように構成されている。尚、本実施形態では、上下駆動部31は、筐体フレーム14に対して支持部材15を後述のスライド支持機構(17a、17b、17c)のレール部材34を介して上下方向X1に沿って駆動するように構成されている。
【0065】
固定部32は、筐体フレーム14に固定されており、筐体フレーム14の支柱29に対して固定されている。固定部32は、例えば、鉄鋼材料で形成されており、支柱29に対して溶接により固定されている。固定部32は、一体に形成された3つの板状の部分として設けられる取付け板部32aとネジ板部32bと支持板部32cとを有して構成されている。
【0066】
取付け板部32aは、支柱29に対して、前後方向X2における筐体フレーム14の内側の側面において、溶接によって取り付けられている。また、取付け板部32aは、幅方向X3における筐体フレーム14の内側に向かって支柱29から突出して延びた状態で、支柱29に取り付けられている。
【0067】
ネジ板部32bは、固定部32において、上下方向X1に対して垂直な方向に沿って延びる板状の部分として形成され、幅方向X3における一方の端部において取付け板部32aと一体に設けられている。このため、ネジ板部32bと取付け板部32aとは、互いに直交した状態で一体に設けられている。また、ネジ板部32bは、幅方向X3における筐体フレーム14の内側に向かって支柱29から突出して延びた状態で設けられている。尚、ネジ板部32bにおける支柱29から筐体フレーム14の内側に向かって突出した部分の上側には、後述のスライド支持機構(17a~17c)のレール部材34が配置される。また、ネジ板部32bには、雄ネジ部材として構成される後述の可動部33が螺合する雌ネジ部32dが設けられている。雌ネジ部32dは、ネジ板部32bを上下方向X1に貫通するネジ穴の内周のネジ溝として設けられている。
【0068】
支持板部32cは、固定部32において、幅方向X3に対して垂直な方向に沿って延びる板状の部分として形成され、後述のスライド支持機構(17a~17c)のレール部材34を幅方向X3においてガイドするように設けられている。支持板部32cの下端側の端部は、ネジ板部32bにおける支柱29から筐体フレーム14の内側に向かって突出する端部と一体に設けられている。このため、上下方向X1に沿って延びる支持板部32cは、支柱29の側面であって幅方向X3における筐体フレーム14の内側の側面に対して、離間した状態で平行に延びるように設けられている。そして、支持板部32cは、ネジ板部32bにおける支柱29から筐体フレーム14の内側に向かって突出した部分に配置されたスライド支持機構(17a~17c)のレール部材34を支柱29との間で幅方向X3において挟むように構成されている。
【0069】
固定部32は、筐体フレーム14の支柱29に対して固定される取付け板部32aと、取付け板部32aに一体に設けられて後述の可動部33が螺合する雌ネジ部32dが設けられたネジ板部32bとを備えて構成されている。このため、固定部32は、筐体フレーム14に固定されるとともに雌ネジ部32dが設けられた雌ネジ部材として構成されている。
【0070】
可動部33は、固定部32に対して回転自在に取り付けられるとともに後述のスライド支持機構(17a~17c)のレール部材34を下方から支持する部材として設けられている。可動部33には、固定部32のネジ板部32bの雌ネジ部32dに螺合する雄ネジ部33aが設けられている。雄ネジ部33aは、軸状に延びる可動部33の外周に形成されたネジ山として設けられている。このため、可動部33は、固定部32のネジ板部32bの雌ネジ部32dに螺合する雄ネジ部33aが設けられた雄ネジ部材として構成されており、本実施形態では、ボルト部材である。
【0071】
雄ネジ部材としての可動部33は、そのネジ頭部33bが下方を向き、雄ネジ部33aが設けられたネジ軸部分の先端側端部33cが上方を向いた状態で、ネジ板部32bのネジ穴に対して下方から挿入されて螺合することで、ネジ板部32bに取り付けられている。
【0072】
可動部33がネジ板部32bの雌ネジ部32dに螺合してネジ板部32bに取り付けられた状態では、可動部33の先端側端部33cは、ネジ板部32bから上方に突出している。そして、ネジ板部32bから上方に突出した可動部33の先端側端部33cには、ネジ板部32bの上側に配置された後述のスライド支持機構(17a~17c)のレール部材34が載置されている。即ち、ネジ板部32bに螺合して取り付けられた可動部33は、上端側の先端側端部33cにおいて、レール部材34を下方から支持している。
【0073】
可動部33は、回転操作されると雌ネジ部32dに対する螺合位置が変わって上方に変位することで、先端側端部33cで支持したレール部材34を上方に押し上げるように構成されている。レール部材34が上方に押し上げられると、そこに載っている支持部材15も一緒に上方移動し、筒状断熱部材21の各分割筒状断熱材(21a~21c)が上方に変位することになる。また、可動部33は、取付け板部32aに対して回転して雌ネジ部32dに対する螺合位置を変更しながら下方に変位することで、先端側端部33cで支持したレール部材34を下方に変位させるようにも構成されている。レール部材34と一緒に支持部材15が下方に変位することで、筒状断熱部材21の各分割筒状断熱材(21a~21c)が下降することになる。
【0074】
各上下変位機構(16a~16c)は、それぞれ、上述した4つの上下駆動部31を有して構成されている。そして、各上下変位機構(16a~16c)において、4つの上下駆動部31を作動させることで、即ち、4つの上下駆動部31において固定部32に対して可動部33を回転させることで、レール部材34を介して支持する支持部材15が上下に変位することになる。支持部材15が上下に変位することで、支持部材15に支持された各分割筒状断熱材(21a~21c)が上下に変位する。各分割筒状断熱材(21a~21c)が上下に変位することで、筒状断熱材21が底面断熱材13に対して上下に変位することになる。
【0075】
[スライド支持機構]
図2図7乃至図9を参照して、スライド支持機構(17a、17b、17c)は、上下変位機構(16a、16b、16c)によって上方に変位した筒状断熱材21を水平方向に沿ってスライド移動する機構として設けられている。スライド支持機構(17a、17b、17c)は、筒状断熱材21における複数の分割筒状断熱材(21a~21c)の全てに対応して複数設けられている。そして、スライド支持機構(17a、17b、17c)は、複数の分割筒状断熱材(21~21c)をそれぞれ水平方向に沿ってスライド移動するように構成されており、本実施形態では、複数の分割筒状断熱材(21a~21c)をそれぞれ前後方向X2に沿ってスライド移動するように構成されている。より具体的には、スライド支持機構17aは、最上段の分割筒状断熱材21aに対応して設けられ、分割筒状断熱材21aを水平方向に沿って前後方向X2にスライド移動するように構成されている。スライド支持機構17bは、中段の分割筒状断熱材21bに対応して設けられ、分割筒状断熱材21bを水平方向に沿って前後方向X2にスライド移動するように構成されている。スライド支持機構17cは、最下段の分割筒状断熱材21cに対応して設けられ、分割筒状断熱材21cを水平方向に沿って前後方向X2にスライド移動するように構成されている。
【0076】
分割筒状断熱材21aに対応するスライド支持機構17aと、分割筒状断熱材21bに対応するスライド支持機構17bと、分割筒状断熱材21cに対応するスライド支持機構17cとは、同一の構造を有し、同様に構成されている。各スライド支持機構(17a~17c)は、各上下変位機構(16~16c)に対して支持部材15を水平方向に沿ってスライド移動自在に支持するレール部材34を有している。本実施形態では、各スライド支持機構(17a~17c)は、2つのレール部材34を有して構成されている。
【0077】
各スライド支持機構(17a~17c)の2つのレール部材34は、同様に構成されている。各スライド支持機構(17a~17c)において、2つのレール部材34は、幅方向X3における両側に配置されている。各スライド支持機構(17a~17c)の2つのレール部材34は、上下方向X1において同じ高さ位置に設けられている。尚、各スライド支持機構(17a~17c)において、幅方向X3の両側に配置される2つのレール部材34は、幅方向X3における中間位置を中心として互いに鏡像関係となる対象な形状に形成されている。各スライド支持機構(17a~17c)における各レール部材34は、同様に構成されるため、図7乃至図9を参照してレール部材34を説明することで、他のレール部材34の説明を省略する。
【0078】
また、レール部材34は、一体に形成されたレール本体部34aとレールフランジ部34bとを有して構成されている。レール本体部34a及びレールフランジ部34bは、一体の状態で水平方向に沿って前後方向X2に直線状に延びるように設けられており、レール本体部34aは、角柱状の部分として設けられ、レールフランジ部34bは、長尺の板状の部分として設けられている。
【0079】
レールフランジ部34bは、筐体フレーム14の支柱29に対して、幅方向X3における筐体フレーム14の内側の側面において、上下方向X1に沿って移動可能に支持されている。なお、レールフランジ部34bは、筐体フレーム14の支柱29に対して上下方向X1に沿って摺接する状態で上下移動するようにしてもよいし、摺接しないで隙間がある状態で上下移動するようにしてもよい。また、レールフランジ部34bは、支柱29に固定された固定部32の取付け板部32aの上方に配置されており、レールフランジ部34bの下端側の端部は、ネジ板部32bに当接可能に配置されている。尚、レールフランジ部34bの下端側の端部は、可動部33が固定部32に対して下方に変位してレール部材34を十分に下降させた状態で、ネジ板部32bに対して当接する。
【0080】
レール本体部34aは、レールフランジ部34bに対して、幅方向X3における筐体フレーム14の内側において、レールフランジ部34bに一体に設けられている。レール本体部34aにおけるレールフランジ部34bと一体に設けられる側の側面と反対側の側面は、幅方向X3における筐体フレーム14の内側を向いている。そして、レール本体部34aは、レールフランジ部34bと一体に設けられる側の側面と反対側の側面において、支柱29に固定された固定部32の支持板部32cによって上下方向X1に沿ってスライド移動可能に摺接する状態で支持されている。なお、レール本体部34aは、支持板部32cに対して上下方向X1に沿って摺接しないで隙間がある状態で上下移動するようにしてもよい。
【0081】
上記のように、レール部材34は、支柱29に固定された固定部32のネジ板部32bの上で、支柱29と固定部32の支持板部32cとの間で挟まれた状態で、上下方向X1に移動可能に支持されている。尚、レール部材34のレールフランジ部34bが支柱29に対して前後方向X2に変位することを防止するために、レールフランジ部34bの前後方向X2の移動を規制するガイド部材(図示省略)が支柱29に対して固定されていてもよい。
【0082】
また、レール本体部34aの上面34cの上に支持部材15のスライド部15bが載置されており、支持部材15のスライド部15bは、レール本体部34aに対してその上面34c上でスライド移動自在に支持されている。尚、レール部材34のレール本体部34aは、前後方向X2に沿って直線状に延びる全長に亘って水平方向に延びるように設けられていなくてもよく、前後方向X2における端部側で部分的に水平方向に対して下側に傾斜して延びるように設けられていてもよい。この場合、レール部材34上でスライド移動自在に支持される支持部材15をレール部材34の前後方向X2における端部側で移動させ易くすることができる。
【0083】
また、レール本体部34aの下面34dは、前後方向X2に沿って平坦に延びるように設けられている。そして、レール本体部34aの下面34dは、固定部32のネジ板部32bから上方に突出した可動部33の先端側端部33cと当接している。即ち、レール本体部34aの下面34dは、ネジ板部32bの雌ネジ部32dと螺合した可動部33におけるネジ板部32bから上方に突出した先端側端部33cと当接している。レール本体部34aは、その下面34dにおいて可動部33の先端側端部33cと当接していることで、可動部33によって下方から支持されている。
【0084】
上述したスライド支持機構(17a~17c)によって筒状断熱材21の水平方向のスライド移動が行われる際には、まず、上下変位機構(16a~16c)によって分割筒状断熱材(21a~21c)を上方に変位させる操作が作業者によって行われる。このとき、上下変位機構(16a~16c)の4つの上下駆動部31の可動部33が作業者によって回転操作される。上下変位機構(16a~16c)の4つの上下駆動部31のそれぞれにおいて、可動部33が回転操作されて可動部33が固定部32のネジ板部32bから上方に更に突出するように変位することで、可動部33の先端側端部33cで支持されたレール部材34が、上方に押し上げられるようにして変位することになる。そして、レール部材34が上方に変位することで、レール部材34に支持された支持部材15も上方に変位し、支持部材15で支持された分割筒状断熱材(21a~21c)が上方に変位してリフトアップされた状態となる。
【0085】
尚、上下変位機構(16a~16c)の4つの上下駆動部31のうち幅方向X3における一方に配置された2つの上下駆動部31によって、スライド支持機構(17a~17c)の2つのレール部材34のうちの幅方向X3における一方に配置されたレール部材34が上方に押し上げられる。更に、上下変位機構(16a~16c)の4つの上下駆動部31のうち幅方向X3における他方に配置された2つの上下駆動部31によって、スライド支持機構(17a~17c)の2つのレール部材34のうちの幅方向X3における他方に配置されたレール部材34が上方に押し上げられる。そして、スライド支持機構(17a~17c)の2つのレール部材34が上方に押し上げられることで、2つのレール部材34に支持された支持部材15が上方に変位し、支持部材15で支持された分割筒状断熱材(21a~21c)が上方に変位してリフトアップされた状態となる。
【0086】
分割筒状断熱材(21a~21c)がリフトアップされて上方に変位すると、分割筒状断熱材(21a~21c)の下方に隙間が形成された状態となる。このため、分割筒状断熱材21aが上方に変位すると、その下段の分割筒状断熱材21bとの間に隙間が形成され、分割筒状断熱材21aが分割筒状断熱材21bから上方に少し浮いた状態となる。また、分割筒状断熱材21bがリフトアップされて上方に変位すると、その下段の分割筒状断熱材21cとの間に隙間が形成され、分割筒状断熱材21bが分割筒状断熱材21cから上方に少し浮いた状態となる。また、最下段の分割筒状断熱材21cがリフトアップされて上方に変位すると、その下方の底面断熱材23との間に隙間が形成され、分割筒状断熱材21cが底面断熱材23から上方に少し浮いた状態となる。
【0087】
分割筒状断熱材(21a~21c)が上方に変位してその下方に隙間が形成されて下方から少し浮いた状態にしておき、スライド支持機構(17a~17c)による筒状分割断熱材(21a~21c)の水平方向のスライド移動作業が行われる。このとき、作業者によって、支持部材15の操作部15aが前後方向X2に沿って筐体フレーム14の外側に引き出される操作が行われる。尚、この操作は、分割筒状断熱材(21a~21c)の各半割体(24a、24b)を支持する支持部材15ごとに行われる。即ち、半割体24aを支持する支持部材15の操作部15aを引き出す操作と、半割体24bを支持する支持部材15の操作部15aを引き出す操作とが、それぞれ行われる。
【0088】
分割筒状断熱材(21a~21c)の各半割体(24a、24b)を支持する支持部材15をそれぞれ引き出す操作中、支持部材15の一対のスライド部(15b、15b)がスライド支持機構(17a~17c)の2つのレール部材34上を前後方向X2に沿ってスライド移動している。そして、前後方向X2に沿って筐体フレーム14の外側に引き出されながらレール部材34上をスライド移動する支持部材15とともに、支持部材15に支持された分割筒状断熱材(21a~21c)の各半割体(24a、24b)が前後方向X2に沿って水平方向にスライド移動し、筐体フレーム14の外側に取り出すこととなる。
【0089】
[規制部]
図2図7乃至図9を参照して、規制部18は、上下変位機構(16a、16b、16c)が筒状断熱材21を支持部材15とともに下降させて筒状断熱材21と底面断熱材23とが密着した状態において、支持部材15の水平方向に沿った移動を規制する機構として設けられている。規制部18は、筒状断熱材21の各分割筒状断熱材(21a~21c)の各半割体(24a、24b)に取り付けられた支持部材15にそれぞれ対応して設けられている。
【0090】
また、本実施形態では、規制部18は、各上下変位機構(16a~16c)の各上下駆動部31の固定部32にそれぞれ設けられている。各上下駆動部31の固定部32にそれぞれ設けられた各規制部18は、固定部32の支持板部32cと一体に設けられ、支持板部32cから上方に突出して形成された突起状の凸部として設けられている。本実施形態では、規制部18は、矩形状の部分と台形状の部分とが一体となった形状の外形を有して支持板部32cから上方に突出するように形成された凸部として設けられている。なお、規制部18は支持板部32cと一体に限らず、別体としてもよい。
【0091】
規制部18は、上下変位機構(16a~16c)がレール部材34とともに分割筒状断熱材(21a~21c)の支持部材15を下降させた状態で、支持部材15と水平方向において当接して支持部材15の水平方向の移動を規制可能に設けられている。
【0092】
また、規制部18は、支持部材15が下降した状態で、支持部材15がレール部材34に対してスライド移動して前後方向X2における一方に移動した際に支持部材15と当接して支持部材15の水平方向の移動を規制可能に設けられている。より具体的には、規制部18は、支持部材15が下降した状態で、支持部材15がレール部材34上で前後方向X2における一方に向かって水平方向に移動しようとした際に、支持部材15の操作部15aと当接し、支持部材15の水平方向の移動を規制するように設けられている。
【0093】
本実施形態では、支持部材15が前後方向X2に沿って筐体フレーム14の内側に向かって移動した際に、規制部18が支持部材15の操作部15aと当接して支持部材15の移動を規制する形態を例示している。尚、規制部18は、支持部材15が前後方向X2に沿って筐体フレーム14の外側に向かって移動した際に、支持部材15の操作部15aと当接して支持部材15の移動を規制するように設けられていてもよい。また、規制部18は、支持部材15が前後方向X2に沿って筐体フレーム14の内側及び外側のいずれに向かって移動した場合でも、支持部材15の操作部15aと当接して支持部材15の移動を規制するように設けられていてもよい。
【0094】
図10は、規制部18の形状に関する変形例を模式的に示す図である。本実施形態では、規制部18は、矩形状の部分と台形状の部分とが一体となった形状の外形を有して支持板部32cから上方に突出するように形成されているが、この通りでなくてもよい。例えば、図10(a)~(e)に示すような変形例に係る形状の規制部(18a~18e)が実施されてもよい。
【0095】
図10(a)に示す変形例に係る規制部18aは、矩形状の外形を有して支持板部32cから上方に突出するように形成された凸部として設けられている。図10(b)に示す変形例に係る規制部18bは、上方に向かって開放された矩形の溝状の凹み領域を形成するように支持板部32cから上方に突出する一対の凸部を有して構成されている。支持部材15が下降した状態では、規制部18bにおける一対の凸部の間に形成された矩形の溝状の凹み領域に支持部材15が嵌りこむようにして配置される。これにより、支持部材15の水平方向の移動が規制される。
【0096】
図10(c)に示す変形例に係る規制部18cは、上方に向かって開放された半円状の凹み領域を形成するように支持板部32cから上方に突出する一対の凸部を有して構成されている。支持部材15が下降した状態では、規制部18bにおける一対の凸部の間に形成された半円状の凹み領域に支持部材15が嵌りこむようにして配置される。これにより、支持部材15の水平方向の移動が規制される。
【0097】
図10(d)に示す変形例に係る規制部18dは、矩形状の部分と半円状の部分とが一体となった形状の外形を有して支持板部32cから上方に突出するように形成された凸部として設けられている。図10(e)に示す変形例に係る規制部18eは、三角形状の外形を有して支持板部32cから上方に突出するように形成された凸部として設けられている。
【0098】
また、本実施形態では、規制部18は、各上下変位機構(16a~16c)の各上下駆動部31の固定部32にそれぞれ設けられているが、この通りでなくてもよい。規制部18は、筐体フレーム14の支柱29に対して固定された部材として設けられていてもよい。この場合、規制部18は、上下変位機構(16a~16c)がレール部材34とともに分割筒状断熱材(21a~21c)の支持部材15を下降させた状態で、支持部材15と水平方向において当接して支持部材15の水平方向の移動を規制するように、支柱29に固定されて設けられる。規制部18は板状の部材でも、ブロック状の部材でもよく、同じ機能が果たすことができればどのような形態でも構わない。
【0099】
[筒状断熱材の交換作業]
次に、ヒータ12の交換のために筒状断熱材21の交換が行われる際の作業の形態について説明する。筒状断熱材21の交換作業では、筒状断熱材21における複数の分割筒状断熱材(21a~21c)のうち交換対象となる分割筒状断熱材(21a~21c)の交換作業のみが行われる。ここでは、最下段の分割筒状断熱材21cの交換作業が行われる場合を例にとって説明する。
【0100】
最下段の分割筒状断熱材21cの交換が行われる場合、最初に、天井断熱材22の取り外しが行われる。図2を参照して、天井断熱材22は、最上段の分割筒状断熱材21aの上端に載置されており、分割筒状断熱材21aから上に持ち上げられて筐体フレーム14から外へ取り外される。尚、天井断熱材22は、半割体22a及び半割体22bに分割されるように構成されている。このため、半割体22a及び半割体22bのそれぞれが分割筒状断熱材21aから上に持ち上げられ、筐体フレーム14の外へと取り外される。
【0101】
天井断熱材22が取り外されると、最上段の分割筒状断熱材21aがリフトアップされる。このとき、上下変位機構16aの4つの上下駆動部31の可動部33が作業者によって回転操作されることによって、分割筒状断熱材21aがリフトアップされる。即ち、上下変位機構16aの各可動部33がそれぞれ回転操作され、各可動部33が固定部32のネジ板部32bから上方に更に突出するように変位し、可動部33の先端側端部33cで支持されたレール部材34が上方に押し上げられる。4つの可動部33がスライド支持機構17aの2つのレール部材34を押し上げることで、レール部材34に支持された支持部材15がレール部材34とともに上方に変位する。そして、支持部材15に支持された分割筒状断熱材21aが、支持部材15とともに上方に変位し、リフトアップされた状態となる。
【0102】
最上段の分割筒状断熱材21aがリフトアップされると、次いで、中段の分割筒状断熱材21bがリフトアップされる。中段の分割筒状断熱材21bのリフトアップの作業も、最上段の分割筒状断熱材21aのリフトアップの作業と同様に行われる。即ち、上下変位機構16bの4つの上下駆動部31の可動部33の回転操作が行われ、スライド支持機構17bの2つのレール部材34が押し上げられ、レール部材34とともに支持部材15が上方に変位する。そして、支持部材15に支持された分割筒状断熱材21bが、上方に変位してリフトアップされた状態となる。最上段及び中段の分割筒状断熱材(21a、21b)がリフトアップされた状態では、中段の分割筒状断熱材21bの下端と最下段の分割筒状断熱材21cの上端との間に隙間が形成される。
【0103】
最上段及び中段の分割筒状断熱材(21a、21b)がリフトアップされると、次いで、最下段の分割筒状断熱材21cがリフトアップされる。最下段の分割筒状断熱材21cのリフトアップの作業も、最上段及び中段の分割筒状断熱材(21a、21b)のリフトアップの作業と同様に行われる。即ち、上下変位機構16cの4つの上下駆動部31の可動部33の回転操作が行われ、スライド支持機構17cの2つのレール部材34が押し上げられ、レール部材34とともに支持部材15が上方に変位する。そして、支持部材15に支持された分割筒状断熱材21cが、上方に変位してリフトアップされた状態となる。最下段の分割筒状断熱材21cがリフトアップされた状態では、中段の分割筒状断熱材21bの下端と最下段の分割筒状断熱材21cの上端との間の隙間が小さくなっている。そして、最下段の分割筒状断熱材21cがリフトアップされた状態では、最下段の分割筒状断熱材21cの下端と底面断熱材23の上端との間に隙間が形成される。このため、最下段の分割筒状断熱材21cと底面断熱材23との密着状態が解除され、最下段の分割筒状断熱材21cが底面断熱材23から上方に少し浮いた状態となる。
【0104】
最下段の分割筒状断熱材21cがリフトアップされると、分割筒状断熱材21cを水平方向に沿ってスライド移動させて筐体フレーム14の外側へ引き出す操作が行われる。図11は、変成炉1において最下段の分割筒状断熱材21cを水平方向にスライド移動した状態を示す斜視図である。図11を参照して、分割筒状断熱材21cをスライド移動する操作では、分割筒状断熱材21cを支持する支持部材15の操作部15aが水平方向に沿って前後方向X2に筐体フレーム14の外側に引き出される操作が行われる。この操作は、分割筒状断熱材21cの各半割体(24a、24b)を支持する支持部材15ごとに行われる。即ち、分割筒状断熱材21cの半割体24aを支持する支持部材15の操作部15aを引き出す操作と、分割筒状断熱材21cの半割体24bを支持する支持部材15の操作部15aを引き出す操作とが、それぞれ行われる。図11では、分割筒状断熱材21cの半割体24aを支持する支持部材15の操作部15aを引き出す操作が行われている状態を図示している。
【0105】
分割筒状断熱材21cの各半割体(24a、24b)を支持する支持部材15をそれぞれ引き出す操作が行われると、支持部材15の一対のスライド部(15b、15b)がスライド支持機構17cの2つのレール部材34上を前後方向X2に沿ってスライド移動する。そして、前後方向X2に沿って筐体フレーム14の外側に引き出されながらレール部材34上をスライド移動する支持部材15とともに、支持部材15に支持された分割筒状断熱材21cの各半割体(24a、24b)が前後方向X2に沿って水平方向にスライド移動する。分割筒状断熱材21cの各半割体(24a、24b)を水平方向にスライド移動することで、各半割体(24a、24b)を筐体フレーム14の外側に取り出すことができる。
【0106】
分割筒状断熱材21cが筐体フレーム14の外側へ取り出されると、交換後の新たな分割筒状断熱材21cが、交換前の分割筒状断熱材21cが配置されていた位置と同じ位置へ配置される。新たな分割筒状断熱材21cは、交換前の分割筒状断熱材21cが取り外される手順と逆の手順を経て、交換前の分割筒状断熱材21cと同様の状態で変成炉1に設置される。
【0107】
新たな分割筒状断熱材21cの変成炉1への設置の際には、まず、分割筒状断熱材21cを支持する支持部材15がスライド支持機構17cのレール部材34上に配置されて支持される。このとき、分割筒状断熱材21cの半割体24aに取り付けられた支持部材15の一対のスライド部(15b、15b)が、スライド支持機構17cの2つのレール部材34上に配置される。そして、分割筒状断熱材21cの半割体24bに取り付けられた支持部材15の一対のスライド部(15b、15b)も、スライド支持機構17cの2つのレール部材34上に配置される。また、半割体24a及び半割体24bは、前後方向X2における互いに反対側から筐体フレーム14の内側に挿入され、支持部材15を介してレール部材34に配置されて支持される。即ち、半割体24aは、前後方向X2における一方側から筐体フレーム14の内側に挿入され、支持部材15を介してレール部材34に支持される。そして、半割体24bは、前後方向X2における他方側から筐体フレーム14の内側に挿入され、支持部材15を介してレール部材34に支持される。
【0108】
新たな分割筒状断熱材21cが、スライド支持機構17cのレール部材34上で支持されると、新たな分割筒状断熱材21cが水平方向に沿ってスライド移動させられて筐体フレーム14の内側に押し込まれる操作が行われる。この操作では、分割筒状断熱材21cを支持する支持部材15の操作部15aが水平方向に沿って前後方向X2に筐体フレーム14の内側に押し込まれる操作が行われる。また、この操作は、分割筒状断熱材21cの各半割体(24a、24b)を支持する支持部材15ごとに行われる。即ち、分割筒状断熱材21cの半割体24aを支持する支持部材15の操作部15aを筐体フレーム14の内側に押し込む操作と、分割筒状断熱材21cの半割体24bを支持する支持部材15の操作部15aを筐体フレーム14の内側に押し込む操作とが、それぞれ行われる。
【0109】
分割筒状断熱材21cの各半割体(24a、24b)を支持する支持部材15をそれぞれ筐体フレーム14の内側に押し込む操作が行われると、支持部材15の一対のスライド部(15b、15b)がスライド支持機構17cの2つのレール部材34上を前後方向X2に沿ってスライド移動する。そして、前後方向X2に沿って筐体フレーム14の内側に押し込まれながらレール部材34上をスライド移動する支持部材15とともに、支持部材15に支持された分割筒状断熱材21cの各半割体(24a、24b)が前後方向X2に沿って水平方向にスライド移動する。分割筒状断熱材21cの各半割体(24a、24b)を水平方向にスライド移動することで、各半割体(24a、24b)を筐体フレーム14の内側で底面断熱材23の上方の領域に配置することができる。
【0110】
分割筒状断熱材21cが筐体フレーム14の内側で底面断熱材23の上方の領域に配置されると、分割筒状断熱材21cを下降させる操作が行われる。このとき、上下変位機構16cの4つの上下駆動部31の可動部33が作業者によって回転操作されることによって、分割筒状断熱材21cが下降する。即ち、上下変位機構16cの各可動部33がそれぞれ回転操作され、各可動部33が固定部32のネジ板部32bからの上方への突出量を小さくするようにネジ板部32bに対する螺合位置を変更しながら下方に変位し、可動部33の先端側端部33cで支持されたレール部材34が下方に変位する。そして、4つの可動部33がスライド支持機構17cの2つのレール部材34を下方に変位させることで、レール部材34に支持された支持部材15がレール部材34とともに下方に変位する。これにより、支持部材15に支持された分割筒状断熱材21cが、支持部材15とともに下方に変位し、分割筒状断熱材21cが底面断熱材23の上に載置される。分割筒状断熱材21cが底面断熱材23の上に載置されることで、分割筒状断熱材21cの下端と底面断熱材23の上端とが密着する。即ち、分割筒状断熱材21cと底面断熱材23とが密着した状態となる。
【0111】
最下段の分割筒状断熱材21cが底面断熱材23の上に載置されて底面断熱材23と密着した状態となると、次いで、中段の分割筒状断熱材21bを下降させる操作が行われる。中段の分割筒状断熱材21bを下降させる操作は、最下段の分割筒状断熱材21cを下降させる操作と同様に行われる。即ち、上下変位機構16bの4つの上下駆動部31の可動部33が作業者によって回転操作されることで、スライド支持機構17bの2つのレール部材34を下方に変位させる操作が行われる。これにより、レール部材34に支持された支持部材15がレール部材34とともに下方に変位し、支持部材15に支持された分割筒状断熱材21bが、支持部材15とともに下方に変位し、分割筒状断熱材21bが分割筒状断熱材21cの上に載置される。分割筒状断熱材21bが分割筒状断熱材21cの上に載置されることで、分割筒状断熱材21bと分割筒状断熱材21cとが密着した状態となる。
【0112】
中段の分割筒状断熱材21bが分割筒状断熱材21bの上に載置されて分割筒状断熱材21bと密着した状態となると、次いで、最上段の分割筒状断熱材21aを下降させる操作が行われる。最上段の分割筒状断熱材21aを下降させる操作も、分割筒状断熱材(21b、21c)を下降させる操作と同様に行われる。即ち、上下変位機構16aの4つの上下駆動部31の可動部33が作業者によって回転操作されることで、スライド支持機構17aの2つのレール部材34を下方に変位させる操作が行われる。これにより、レール部材34に支持された支持部材15がレール部材34とともに下方に変位し、支持部材15に支持された分割筒状断熱材21aが、支持部材15とともに下方に変位し、分割筒状断熱材21aが分割筒状断熱材21bの上に載置される。分割筒状断熱材21aが分割筒状断熱材21bの上に載置されることで、分割筒状断熱材21aと分割筒状断熱材21bとが密着した状態となる。
【0113】
上記のように、全ての分割筒状断熱材(21a~21c)が下降することで筒状断熱材21が下降して底面断熱材23の上に載置されると、筒状断熱材21が底面断熱材23に密着した状態となる。この状態で、分割筒状断熱材21cの交換作業に際して最初に取り外された天井断熱材22が取り付けられる作業が行われる。この作業では、天井断熱材22の半割体(22a、22b)のそれぞれが、筐体フレーム14の内側で分割筒状断熱材21aの上方の領域に搬入される。そして、筐体フレーム14の内側に搬入された半割体(22a、22b)は、ガス管11の周囲を挟み込んだ状態で分割筒状断熱材21aの上に載置される。これにより、天井断熱材22の取付けが完了する。筒状断熱材21が底面断熱材23に密着した状態となり、天井断熱材22の取付けが完了することで、分割筒状断熱材21cの交換作業が終了することになる。
【0114】
尚、上記の例では、分割筒状断熱材21cの交換作業を例にとって説明したが、分割筒状断熱材21a及び分割筒状断熱材21bの交換作業の場合も同様も同様に行われる。また、筒状断熱材21の全体の交換作業が行われる場合は、全ての分割筒状断熱材(21a~21c)について交換作業が行われることになる。
【0115】
[本実施形態の作用効果]
以上説明したように、本実施形態によると、ヒータ12の交換の際の筒状断熱材21の交換が行われる際には、まず、上下変位機構(16a~16c)を作動させ、筒状断熱材21を支持する支持部材15を上方に変位させ、支持部材15とともに筒状断熱材21を底面断熱材23に対して上方に変位させる操作が行われる。この操作により、上下変位機構(16a~16c)によって上方に変位させられる前の状態では密着していた筒状断熱材21と底面断熱材23との間において、隙間が開き、筒状断熱材21と底面断熱材23との密着状態が解除される。次いで、底面断熱材23に対して上方に変位した筒状断熱材21をスライド支持機構(17a~17c)によって水平方向にスライド移動する操作が行われる。この操作により、底面断熱材23との密着状態が解除された筒状断熱材21を水平方向に沿って筐体フレーム14から外側へと突出させるようにして引き出すことができる。そして、引き出された筒状断熱材21が取り出され、筒状断熱材21を交換する作業が行われる。このように、本実施形態によると、筒状断熱材21を底面断熱材23に対して隙間を開けるようにして上方にリフトアップさせ、リフトアップさせた筒状断熱材21を水平方向にスライドさせて引き出し、そのまま交換できる。このため、重量の重い筒状断熱材21であっても、少ない作業負担で且つ短時間で交換することができる。したがって、本実施形態によると、ヒータ12の交換の際の筒状断熱材21の交換作業の作業性の向上を図ることができる。
【0116】
また、ヒータ12の交換のために筒状断熱材21の交換が行われる際には、交換後の筒状断熱材21は、交換前の筒状断熱材21が配置されていた位置と同じ位置に配置される。このとき、まず、交換後の筒状断熱材21を支持する支持部材15がスライド支持機構(17a~17c)に支持される状態で、交換後の筒状断熱材21が筐体フレーム14に対して配置される。そして、筒状断熱材21をスライド支持機構(17a~17c)によって水平方向にスライド移動する操作が行われる。この操作により、交換後の筒状断熱材21が、底面断熱材23の上方の領域へと押し込まれるようにして移動し、底面断熱材23の上方に配置された状態となる。次いで、上下変位機構(16a~16c)を作動させ、筒状断熱材21を支持する支持部材15を下方に変位させ、筒状断熱材21を底面断熱材23に向かって下降させて、筒状断熱材21を底面断熱材23に載置して密着させる操作が行われる。この操作により、交換後の筒状断熱材21と底面断熱材23とが密着した状態となる。これにより、変成炉1の作動時における筒状断熱材21と底面断熱材23との密着性が確保される。
【0117】
以上の通り、本実施形態によると、ヒータ12の交換の際の筒状断熱材21の交換作業の作業性の向上を図ることができる、変成炉1を提供することができる。また、変成炉1の作動時における筒状断熱材21と底面断熱材23との密着性も確保することができる。よって、作業性の向上と密着性の確保との両立ができる変成炉1を提供することができる。
【0118】
また、本実施形態によると、上下変位機構(16a~16c)に対して支持部材15をスライド移動自在に支持するスライド支持機構(17a~17c)がレール部材34を用いて構成されるため、支持部材15を点接触ではなく面接触の状態でスライド移動自在に支持することができる。このため、支持部材15を円滑にスライド移動することができる。また、本実施形態によると、上下変位機構(16a~16c)は、筐体フレーム14側の固定部32に対して可動部33を回転させることでレール部材34を押し上げて筒状断熱材21を上方に変位させるように構成される。このため、回転力を上下方向の駆動力に変換して筒状断熱材21を押し上げてリフトアップさせることができる。
【0119】
また、本実施形態によると、固定部32が雌ネジ部材として設けられ、可動部33が雄ネジ部材として設けられる。このため、回転力を上下方向の駆動力に変換して筒状断熱材21を押し上げる上下変位機構(16a~16c)を、雄ネジ部材と雌ネジ部材とを用いた小型で簡素な構造で構成することができる。
【0120】
また、本実施形態によると、筒状断熱材21が下降して筒状断熱材21と底面断熱材23とが密着した状態では、規制部18によって、支持部材15の水平方向に沿った移動が規制される。このため、何等かの衝撃など変成炉1へ外力がかかった場合に、筒状断熱材21と底面断熱材23との密着による踏ん張りだけでなく、更にメカ的規制も加えて筒状断熱材21が移動することを抑制することができる。特に、筒状断熱材21が複数の分割筒状断熱材(21a~21c)として上下方向に亘って複数段に積層される本実施形態では、下位段の分割筒状断熱材(21b、21c)はその上に積層されている分割筒状断熱材(21a、21b)の重さが掛かる為、外力に対し移動しにくいが、上位段ほどその効果は少なくなるので、更にメカ的な規制をする効果が期待できる。
【0121】
また、本実施形態によると、支持部材15に水平方向の移動操作用の操作部15aが設けられる。このため、操作部15aを水平方向に引っ張るように操作するだけで、操作部15aが設けられた支持部材15に支持された筒状断熱材21を筐体フレーム14から外側へ引き出すようにしてスライド移動することができる。また、支持部材15に対し別部材として操作部を設けることなく、支持部材15へ移動操作用の操作部15aが一体となっている為、生産性が良い。
【0122】
また、本実施形態によると、筒状断熱材21は、径方向に半割されるように構成される。このため、筒状断熱材21の交換の際には、径方向に半割された半割体(24a、24b)を径方向にそれぞれ引き出して交換することができる。これにより、筒状断熱材21の交換の際に、筒状断熱材21の内側に配置されたガス管11を先に上下方向X1に沿って筒状断熱材21から抜き出しておく必要もなく、筒状断熱材21の交換作業を行うことができる。
【0123】
また、本実施形態によると、筒状断熱材21が、複数段に積層される分割筒状断熱材(21a~21c)を有して構成される場合において、複数の分割筒状断熱材(21a~21c)のそれぞれに対応して、上下変位機構(16a~16c)とスライド支持機構(17a~17c)とが設けられる。このため、複数の分割筒状断熱材(21a~21c)のうち、故障したヒータ12が設けられた分割筒状断熱材(21a~21c)を交換する際には、故障したヒータ12が設けられた分割筒状断熱材(21a~21c)を底面断熱材23に対して又は下段側の分割筒状断熱材に対して隙間を開けるようにして上方にリフトアップさせることができる。そして、リフトアップさせた分割筒状断熱材を水平方向にスライドさせて引き出し、そのまま交換することができる。
【0124】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。例えば、次のような変形例が実施されてもよい。
【0125】
前述の実施形態では、筒状断熱材21が、上下方向X1に亘って複数段に積層される複数の分割筒状断熱材(21a~21c)を有して構成される形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。筒状断熱材21が、複数の分割筒状断熱材を有しておらず、1段で構成される形態が実施されてもよい。また、前述の実施形態では、筒状断熱材21が複数の分割筒状断熱材を有する形態として、3つの分割筒状断熱材(21a~21c)を有する形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。筒状断熱材21が、上下方向X1に亘って積層される2つの分割筒状断熱材を有して構成される形態、或いは、上下方向X1に亘って積層される4つ以上の分割筒状断熱材を有して構成される形態が実施されてもよい。
【0126】
また、前述の実施形態では、筒状断熱材21が、径方向に半割されるように構成されている形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。筒状断熱材21が、円筒形状の径方向及び上下方向X1の両方の方向に沿った面として構成される分割面にて3つ以上に分割されるように構成された形態が実施されてもよい。例えば、円筒形状の径方向及び上下方向X1の両方の方向に沿った面として構成される分割面にて4つに分割される筒状断熱材21の形態であれば、円筒形状の周方向に沿って等角度間隔で4分割される筒状断熱材21の形態が実施されてもよい。
【0127】
また、前述の実施形態では、筒状断熱材21の各分割筒状断熱材(21a~21c)が径方向に半割されるように分割されて構成されている形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよく、径方向に分割されない形態に構成されていてもよい。即ち、筒状断熱材21の各分割筒状断熱材(21a~21c)において、円筒形状の径方向及び上下方向X1の両方の方向に沿った面として構成される分割面が設けられていない形態が実施されてもよい。この場合、各分割筒状断熱材(21a~21c)は、分割されず、一体の円筒状の形状に形成される。このような形態の各分割筒状断熱材(21a~21c)を有する筒状断熱材21の形態が実施されてもよい。尚、この形態の場合、各分割筒状断熱材(21a~21c)の交換作業は、筒状断熱材21の内側に配置されたガス管11が先に上下方向X1に沿って筒状断熱材21から抜き出された状態で、行われる。
【0128】
また、前述の実施形態では、支持部材15が、一体に設けられた操作部15aと一対のスライド部(15b、15b)とを有して構成された形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。支持部材15に操作部15aが設けられておらず、支持部材15が、各分割筒状断熱材(21a~21c)を支持するとともに各スライド支持機構(17a~17c)のレール部材34に対してスライド移動自在に支持される一対のスライド部(15b、15b)のみを有して構成されていてもよい。そして、操作部15aが、支持部材15とは別体で支持部材15から独立して設けられてもよい。この場合、支持部材15とは別体に設けられる操作部15aは、作業者によって把持されて操作される取っ手部分を有し、各分割筒状断熱材(21a~21c)の各半割体(24a、24b)に対して固定されて取り付けられる。支持部材15とは独立して設けられて各半割体(24a、24b)に固定される操作部15aは、各半割体(24a、24b)のカバー27の外周に固定されてもよく、或いは、各半割体(24a、24b)の内部から外側へと突出して延びるように設けられてもよい。また、支持部材15とは独立して設けられる操作部15aは、各半割体(24a、24b)に内蔵された部材と一体に設けられて各半割体(24a、24b)の外側へと突出して延びるように設けられてもよい。
【0129】
また、上述した変形例に限らず、更に、以下に述べる第1乃至第3の変形例が実施されてもよい。尚、以下の第1乃至第3の変形例の説明においては、前述の実施形態と異なる点について説明し、前述の実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、重複する説明を省略する。
【0130】
(1)前述の実施形態では、上下変位機構(16a~16c)の各上下駆動部31において、固定部32が、筐体フレーム14に固定されるとともに雌ネジ部32dが設けられた雌ネジ部材として構成され、可動部33が、雌ネジ部32dに螺合する雄ネジ部材として構成された形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。図12は、第1の変形例を示す図であって、上下変位機構(16a~16c)の上下駆動部31の変形例を示す斜視図である。尚、図12は、変形例に係る上下変位機構(16a~16c)の上下駆動部31のうちの上下変位機構16cの上下駆動部31を例示している。
【0131】
図12を参照して、第1の変形例に係る上下変位機構(16a~16c)の上下駆動部31は、固定部35と可動部36とを有し、筐体フレーム14に対して支持部材15をスライド支持機構(17a~17c)のレール部材34を介して上下方向X1に沿って駆動するように構成されている。
【0132】
固定部35は、筐体フレーム14に固定されており、筐体フレーム14の支柱29に対して固定されている。固定部35は、例えば、鉄鋼材料で形成されており、支柱29に対して溶接により固定されている。固定部35は、一体に形成された基部35aと支持板部35bとを有して構成されている。
【0133】
基部35aは、固定部35において、支柱29に対して溶接によって取り付けられて固定される部分として設けられるとともに、可動部36を回転自在に支持する部分として設けられている。基部35aは、支柱29に対して、前後方向X2における筐体フレーム14の内側の側面において、溶接によって取り付けられている。また、基部35aには、支柱29に溶接される端部と前後方向X2における反対側において、幅方向X3における筐体フレーム14の内側に向かって突出した突出部35cが設けられている。突出部35cの上側にはスライド支持機構(17a~17c)のレール部材34が配置される。また、基部35aは、突出部35cにおいて、支持板部35bと一体に設けられている。
【0134】
支持板部35bは、固定部35において、幅方向X3に対して垂直な方向に沿って延びる板状の部分として形成され、スライド支持機構(17a~17c)のレール部材34を幅方向X3において支持するように設けられている。支持板部35bは、下端側の端部において基部35aの突出部35cと一体に設けられている。そして、支持板部35bは、幅方向X3において筐体フレーム14の内側に向かって突出する突出部35cと一体に設けられて上下方向X1に沿って延びるように設けられている。このため、上下方向X1に沿って延びる支持板部35bは、支柱29の側面であって幅方向X3における筐体フレーム14の内側の側面に対して幅方向X3において離間した平行な面に沿って延びるように設けられている。そして、支持板部35bは、筐体フレーム14の内側に向かって突出した突出部35cに配置されたスライド支持機構(17a~17c)のレール部材34を支柱29との間で幅方向X3において挟んで支持するように構成されている。
【0135】
また、支持板部35bには、上下変位機構(16a~16c)が筒状断熱材21を支持部材15とともに下降させて筒状断熱材21と底面断熱材23とが密着した状態において支持部材15の水平方向に沿った移動を規制する規制部18が設けられている。支持板部35bに設けられた規制部18は、上方に向かって開放された矩形の溝状の凹み領域を形成するように支持板部35bから上方に突出する一対の凸部を有して構成されている。支持部材15が下降した状態では、規制部18における一対の凸部の間に形成された矩形の溝状の凹み領域に支持部材15が嵌りこむようにして配置される。これにより、支持部材15の水平方向の移動が規制される。
【0136】
可動部36は、固定部35に対して回転自在に取り付けられるとともにスライド支持機構(17a~17c)のレール部材34を下方から支持するカム機構として設けられている。可動部36は、回転軸36aと、カム部材36bと、レバー36cとを有して構成されている。回転軸36aは、固定部35の基部35aに対して回転自在に支持される軸部材として設けられている。尚、回転軸36aは、基部35aにおいて、前後方向X2における筐体フレーム14の内側で幅方向X3に沿って延びるように配置された状態で、軸心周りで回転自在に支持されている。
【0137】
カム部材36bは、平面カムとして構成され、回転軸35aの一端側に固定された回転板カムとして設けられている。カム部材36bは、例えば、卵型の外形を有する回転板カムとして、或いは、回転中心が円中心に対して偏心して設けられた偏心円板カムとして構成されている。カム部材36bの上方には、固定部35の基部35aの突出部35cの上側に配置されたスライド支持機構(17a~17c)のレール部材34が配置されている。これにより、可動部36は、固定部35の基部35aに回転自在に支持された回転軸36aに固定されたカム部材36bにおいて、レール部材34を下方から支持可能に構成されている。
【0138】
レバー36cは、作業者によって操作される棒状の部材として設けられ、長手方向における一方の端部において、回転軸36aの他端側に固定されている。即ち、回転軸36aには、一端側の端部でカム部材36bが固定され、他端側の端部でレバー36cが固定されている。回転軸36aに固定されたレバー36cは、固定部35に回転自在に支持された回転軸36aを中心として回転軸36aの軸心回りで回転するように、作業者によって操作される。レバー36cが回転軸36a周りで回転するように操作されると、レバー36c及び回転軸36aととともに、カム部材36bが回転軸36a回りで回転する。
【0139】
可動部36は、レバー36cを回転軸36a周りで一方に回転させる操作が行われることで、回転軸36aとともにカム部材36bが回転し、カム部材36bがレール部材34を上方に押し上げるように構成されている。可動部36のカム部材36bが回転してレール部材34を上方に押し上げることで、レール部材34に支持された支持部材15が上方に押し上げられる。支持部材15が上方に押し上げられることで、支持部材15に支持された筒状断熱部材21の各分割筒状断熱材(21a~21c)が支持部材15とともに上方に変位することになる。また、可動部36は、レバー36cを回転軸36a周りで上記とは逆向きに回転させる操作が行われることで、回転軸36aとともにカム部材36bが逆向きに回転し、カム部材36bが支持しているレール部材34を下方に変位させるようにも構成されている。可動部36のカム部材36bが回転してレール部材34を下方に変位させることで、レール部材34に支持された支持部材15が下方に変位する。支持部材15が下方に変位することで、支持部材15に支持された筒状断熱部材21の各分割筒状断熱材(21a~21c)が支持部材15とともに下降することになる。
【0140】
上述した第1の変形例に係る上下変位機構(16a~16c)のように、各上下駆動部31において、筐体フレーム14に固定された固定部35に対して回転自在に支持されるとともにレール部材34を下方から支持して上方に押し上げる可動部36が、カム機構として構成された形態が実施されてもよい。
【0141】
(2)前述の実施形態では、スライド支持機構(17a~17c)のレール部材34が、筒状断熱材21を支持する支持部材15を上下変位機構(16a~16c)に対して水平方向に沿ってスライド移動自在に支持する形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。図13は、第2の変形例を示す図であって、支持部材15、上下変位機構(16a~16c)、及びスライド支持機構(17a~17c)に関する変形例を示す斜視図である。図14は、図13の一部を拡大して示す図である。
【0142】
尚、図13及び図14は、第2の変形例に係る支持部材15、上下変位機構(16a~16c)、及びスライド支持機構(17a~17c)のうち、分割筒状断熱材21bに対応して設けられた支持部材15、上下変位機構16b、及びスライド支持機構17bを例示している。また、図13及び図14では、筒状断熱材21における分割筒状断熱材21bのみを模式的に示しており、分割筒状断熱材21bの上段及び下段にそれぞれ配置される分割筒状断熱材(21a、21c)の図示を省略している。また、図13及び図14では、筐体フレーム14の支柱29を二点鎖線で省略して模式的に示している。尚、第2の変形例では、筐体フレーム14は、前後方向X2の両端側と幅方向X3の両端側とに配置された4つの支柱29ではなく、幅方向X3の両側に配置された剛性の高い一対の支柱29を有して構成されている。
【0143】
図13及び図14を参照して、第2の変形例に係る支持部材15は、筒状断熱材21を支持する部材として設けられ、筒状断熱材21の各分割筒状断熱材(21a~21c)の各半割体(24a、24b)に対応して設けられている。第2の変形例の支持部材15は、各分割筒状断熱材(21a~21c)の各半割体(24a、24b)のそれぞれに対して固定されて取り付けられている。そして、各半割体(24a、24b)に固定される支持部材15は、半割体24aに固定されるレール状支持部材37a及び半割体24bに固定されるレール状支持部材37bとして設けられている。
【0144】
半割体(24a、24b)に固定される支持部材15としてのレール状支持部材(37a、37b)は、直線状に延びるレール状の部材として設けられ、例えば、L字型断面で直線状に延びる山形鋼部材として設けられている。そして、半割体24aに固定されるレール状支持部材37aは、一対で設けられ、半割体24aのカバー27に対して溶接によってそれぞれ固定されて取り付けられている。一対のレール状支持部材(37a、37a)は、半割体24aの幅方向X3における両側で半割体24aにそれぞれ取り付けられ、前後方向X2に沿って直線状に延びるように設けられている。また、半割体24bに固定されるレール状支持部材37bは、一対で設けられ、半割体24bのカバー27に対して溶接によって固定されて取付けられている。一対のレール状支持部材(37b、37b)は、半割体24bの幅方向X3における両側で半割体24bにそれぞれ取り付けられ、前後方向X2に沿って直線状に延びるように設けられている。尚、半割体24aに固定される一対のレール状支持部材(37a、37a)と、半割体24bに固定される一対のレール状支持部材(37b、37b)とは、上下方向X1において離れて配置されている。
【0145】
尚、第2の変形例の支持部材15には、作業者によって把持されて操作される操作部15aが設けられていない。第2の変形例では、分割筒状断熱材(21a~21c)を水平方向に沿ってスライド移動する作業が行われる際に作業者によって操作される操作ハンドル38が支持部材15とは独立して設けられている。操作ハンドル38は、作業者によって把持される取っ手部分38aを有し、各分割筒状断熱材(21a~21c)の各半割体(24a、24b)に対して固定されて取り付けられている。操作ハンドル38は、各半割体(24a、24b)の外周に対して固定されており、例えば、各半割体(24a、24b)のカバー27に対して溶接によって固定されて取り付けられている。また、操作ハンドル38は、各半割体(24a、24b)の外周に対して、前後方向X2に突出した状態で、固定されている。分割筒状断熱材(21a~21c)を水平方向に沿ってスライド移動する作業の際には、操作ハンドル38の取っ手部分38aが作業者によって把持されて操作ハンドル38が水平方向に沿って引き出される操作が行われる。
【0146】
図13及び図14を参照して、第2の変形例に係る上下変位機構(16a~16c)は、筒状断熱材21の各分割筒状断熱材(21a~21c)に対応して設けられている。そして、第2の変形例の各上下変位機構(16a~16c)は、レール状支持部材37aを上下方向X1に沿って駆動するための上下駆動部39aと、レール状支持部材37bを上下方向X1に沿って駆動するための上下駆動部39bと、を有している。レール状支持部材37aを駆動する上下駆動部39aは、一対のレール状支持部材(37a、37a)に対応して一対で設けられ、各分割筒状断熱材(21a~21c)の幅方向X3における両側に配置されている。そして、一対の上下駆動部(39a、39a)は、上下方向X1において同じ高さ位置に配置されている。また、レール状支持部材37bを駆動する上下駆動部39bは、一対のレール状支持部材(37b、37b)に対応して一対で設けられ、各分割筒状断熱材(21a~21c)の幅方向X3における両側に配置されている。そして、一対の上下駆動部(39b、39b)は、上下方向X1において同じ高さ位置に配置されている。尚、一対の上下駆動部(39a、39a)と一対の上下駆動部(39b、39b)とは、レール状支持部材37a及びレール状支持部材37bに対応して、上下方向X1において離れて配置されている。
【0147】
上下駆動部39aと上下駆動部39bとは、同様に構成されている。各上下駆動部(39a、39b)は、雌ネジ部材40と複数の雄ネジ部材41とを有し、筐体フレーム14に対して各レール状支持部材(37a、37b)を上下方向X1に沿って駆動するように構成されている。尚、本変形例では、各上下駆動部(39a、39b)は、雌ネジ部材40と一対の雄ネジ部材(41、41)とを有している。
【0148】
雌ネジ部材40は、ブロック状の部材として設けられ、筐体フレーム14に固定されており、筐体フレーム14の支柱29に対して固定されている。雌ネジ部材40は、例えば、鉄鋼材料で形成されており、支柱29に対して溶接により固定されている。より具体的には、ブロック状の雌ネジ部材40は、支柱29に対して、幅方向X3における筐体フレーム14の内側の側面において、溶接によって取り付けられている。また、図14を参照して、雌ネジ部材40には、一対の雄ネジ部材(41、41)がそれぞれ螺合する一対の雌ネジ部(40a、40a)が設けられている。一対の雌ネジ部(40a、40a)は、雌ネジ部材40を上下方向X1に貫通するネジ穴の内周のネジ溝として設けられている。
【0149】
一対の雄ネジ部材(41、41)のそれぞれは、雌ネジ部材40に螺合することで雌ネジ部材40に対して回転自在に取り付けられるボルト状の部材として設けられている。また、一対の雄ネジ部材(41、41)は、後述のスライド支持機構(17a~17c)のボール部材42を介して各レール状支持部材(37a、37b)を下方から支持するように構成されている。また、図14を参照して、各雄ネジ部材41には、雌ネジ部材40の各雌ネジ部40aに螺合する雄ネジ部41aが設けられている。雄ネジ部41aは、軸状に延びる雄ネジ部材41の外周に形成されたネジ山として設けられている。
【0150】
また、雄ネジ部材41は、雌ネジ部材40における雌ネジ部40aが設けられたネジ穴に対して下方から挿入されて螺合した状態で雌ネジ部材40に取り付けられている。即ち、雄ネジ部材41は、そのネジ頭部41bが下方を向き、雄ネジ部41aが設けられたネジ軸部分の先端側が上方を向いた状態で、雌ネジ部材40のネジ穴に対して下方から挿入されて螺合することで、雌ネジ部材40に取り付けられている。
【0151】
雄ネジ部材41が雌ネジ部材40の雌ネジ部40aに螺合して雌ネジ部材40に取り付けられた状態では、雄ネジ部材41の先端側の端部は、雌ネジ部材40から上方に突出している。そして、雌ネジ部材40から上方に突出した雄ネジ部材41の先端側の端部には、後述のスライド支持機構(17a~17c)のボール部材42を転動自在な状態で保持する凹部が設けられている。雄ネジ部材41の先端側の端部の凹部は、例えば、ボール部材42が転動自在な状態で嵌め込まれてボール部材42を保持する半球状の凹みとして形成されている。そして、雌ネジ部材40に螺合して取り付けられた雄ネジ部材41は、上端側に配置された先端側の端部の凹部で転動自在に保持したボール部材42を介して、各レール状支持部材(37a、37b)を下方から支持している。
【0152】
雄ネジ部材41は、雌ネジ部材40に対して回転して雌ネジ部40aに対する螺合位置を変更して上方に変位することで、先端側で転動自在に保持したボール部材42を介して支持した各レール状支持部材(37a、37b)を上方に押し上げるように構成されている。雄ネジ部材41が雌ネジ部材40に対して回転して各レール状支持部材(37a、37b)を上方に押し上げることで、各レール状支持部材(37a、37b)に支持された筒状断熱部材21の各分割筒状断熱材(21a~21c)の各半割体(24a、24b)が各レール状支持部材(37a、37b)とともに上方に変位することになる。また、雄ネジ部材41は、雌ネジ部材40に対して回転して雌ネジ部40aに対する螺合位置を変更しながら下方に変位することで、先端側で転動自在に保持したボール部材42を介して支持した各レール状支持部材(37a、37b)を下方に変位させるようにも構成されている。雄ネジ部材41が雌ネジ部材40に対して回転して各レール状支持部材(37a、37b)を下方に変位させることで、各レール状支持部材(37a、37b)に支持された筒状断熱部材21の各分割筒状断熱材(21a~21c)の各半割体(24a、24b)が各レール状支持部材(37a、37b)とともに下降することになる。
【0153】
各上下変位機構(16a~16c)は、それぞれ、上述した一対の上下駆動部(39a、39a)及び一対の上下駆動部(39b、39b)を有して構成されている。そして、各上下変位機構(16a~16c)において、一対の上下駆動部(39a、39a)及び一対の上下駆動部(39b、39b)を作動させることで、即ち、各上下駆動部(39a、39b)において雌ネジ部材40に対して雄ネジ部材41を回転させることで、後述のスライド支持機構(17a~17c)のボール部材42を介して支持するレール状支持部材(37a、37b)が上下に変位することになる。レール状支持部材(37a、37b)が上下に変位することで、レール状支持部材(37a、37b)に支持された各分割筒状断熱材(21a~21c)が上下に変位する。各分割筒状断熱材(21a~21c)が上下に変位することで、筒状断熱材21が底面断熱材13に対して上下に変位することになる。
【0154】
図13及び図14を参照して、第2の変形例に係るスライド支持機構(17a~17c)は、上下変位機構(16a~16c)によって上方に変位した筒状断熱材21を水平方向に沿ってスライド移動する機構として設けられている。第2の変形例のスライド支持機構(17a~17c)は、筒状断熱材21の各分割筒状断熱材(21a~21c)に対応して設けられ、各分割筒状断熱材(21a~21c)を水平方向に沿ってスライド移動するように構成されている。第2の変形例の各スライド支持機構(17a~17c)は、各上下変位機構(16a~16c)に対してレール状支持部材(37a、37b)を水平方向に沿ってスライド移動自在に支持する複数のボール部材42を有している。本変形例では、各スライド支持機構(17a~17c)は、一対のレール状支持部材(37a、37b)をスライド移動自在に支持する4つのボール部材42と、一対のレール状支持部材(37b、37b)をスライド移動自在に支持する4つのボール部材42とを有しており、合計で8つのボール部材42を有している。
【0155】
各スライド支持機構(17a~17c)におけるボール部材42は、鉄鋼材料で形成された球形状の部材として設けられている。そして、各スライド支持機構(17a~17c)のボール部材42は、各上下変位機構(16a~16c)の各上下駆動部(39a、39b)の各雄ネジ部材41に対してその先端側の端部で転動自在な状態で保持されている。より具体的には、各ボール部材42は、各雄ネジ部材41の先端側の端部に設けられた凹部に対して転動自在な状態で嵌め込まれて保持されている。そして、各雄ネジ部材41の先端側の端部に転動自在な状態で保持された各ボール部材42の上には、各レール状支持部材(37a、37b)が載置されている。即ち、レール状支持部材(37a、37b)は、ボール部材42に載置された状態で支持されている。ボール部材42に支持されたレール状支持部材(37a、37b)が水平方向に移動しようとすると、ボール部材42が雄ネジ部材41の先端側の端部で転動し、レール状支持部材(37a、37b)は、水平方向に沿ってスライド移動することになる。このように、各スライド支持機構(17a~17c)のボール部材42は、各分割筒状断熱材(21a~21c)を支持するレール状支持部材(37a、37b)を水平方向に沿ってスライド移動自在に支持している。
【0156】
上述した第2の変形例のスライド支持機構(17a~17c)によって筒状断熱材21の水平方向のスライド移動が行われる際には、まず、上下変位機構(16a~16c)によって分割筒状断熱材(21a~21c)を上方に変位させる操作が作業者によって行われる。即ち、上下変位機構(16a~16c)の上下駆動部(39a、39b)の雄ネジ部材41が作業者によって回転操作される。雄ネジ部材41が回転操作されることで、レール状支持部材(37a、37b)が上方に変位し、レール状支持部材(37a、37b)に支持された分割筒状断熱材(21a~21c)が上方に変位してリフトアップされた状態となる。
【0157】
分割筒状断熱材(21a~21c)がリフトアップされて上方に変位すると、作業者によって、各半割体(24a、24b)に取り付けられた操作ハンドル38が水平方向に沿って筐体フレーム14の外側に引き出される操作が行われる。操作ハンドル38が筐体フレーム14の外側に引き出される操作が行われると、操作ハンドル38とともに各半割体(24a、24b)と各半割体(24a、24b)を支持するレール状支持部材(37a、37b)とが筐体フレーム14の外側に引き出される。このとき、スライド支持機構(17a~17c)のボール部材42が雄ネジ部材41の先端側の端部で転動し、レール状支持部材(37a、37b)が水平方向に沿ってスライド移動する。これにより、レール状支持部材(37a、37b)とともに各半割体(24a、24b)が水平方向にスライド移動し、筐体フレーム14の外側に取り出される。
【0158】
上述した第2の変形例のように、上下変位機構(16a~16c)において転動自在に保持されたスライド支持機構(17a~17c)のボール部材42によって、分割筒状断熱材(21a~21c)を支持するレール状支持部材(37a、37b)がスライド移動自在に支持される形態が実施されてもよい。
【0159】
(3)前述の実施形態及び前述の変形例では、スライド支持機構(17a~17c)が、上下変位機構(16a~16c)に対して支持部材15を水平方向に沿ってスライド移動自在に支持する形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。スライド支持機構(17a~17c)が、上下変位機構(16a~16c)及び支持部材15を筐体フレーム14に対してスライド移動自在に支持する形態が実施されてもよい。
【0160】
図15は、第3の変形例を示す図であって、支持部材15、上下変位機構(16a~16c)、及びスライド支持機構(17a~17c)に関する変形例を示す斜視図である。尚、図15は、第3の変形例に係る支持部材15、上下変位機構(16a~16c)、及びスライド支持機構(17a~17c)のうち、分割筒状断熱材21bに対応して設けられた支持部材15、上下変位機構16b、及びスライド支持機構17bを例示している。また、図15では、筒状断熱材21における分割筒状断熱材21bのみを模式的に示しており、分割筒状断熱材21bの上段及び下段にそれぞれ配置される分割筒状断熱材(21a、21c)の図示を省略している。また、図15では、筐体フレーム14の支柱29を二点鎖線で省略して模式的に示している。尚、第3の変形例では、筐体フレーム14は、第2の変形例と同様に、幅方向X3の両側に配置された一対の支柱29を有して構成されている。
【0161】
図15を参照して、第3の変形例に係る支持部材15は、筒状断熱材21を支持する部材として設けられ、筒状断熱材21の各分割筒状断熱材(21a~21c)の各半割体(24a、24b)に対応して設けられている。第3の変形例の支持部材15は、各分割筒状断熱材(21a~21c)の各半割体(24a、24b)のそれぞれに対して固定されて取り付けられている。そして、各半割体(24a、24b)に固定される支持部材15は、半割体24aに固定されるブロック状支持部材43a及び半割体24bに固定されるブロック状支持部材43bとして設けられている。
【0162】
半割体(24a、24b)に固定される支持部材15としてのブロック状支持部材(43a、43b)は、ブロック状の部材として設けられ、例えば、直方体状に形成されている。そして、半割体24aに固定されるブロック状支持部材43aは、一対で設けられ、半割体24aのカバー27に対して溶接によってそれぞれ固定されて取り付けられている。一対のブロック状支持部材(43a、43a)は、半割体24aの幅方向X3における両側で半割体24aにそれぞれ取り付けられている。また、半割体24bに固定されるブロック状支持部材43bは、一対で設けられ、半割体24bのカバー27に対して溶接によって固定されて取付けられている。一対のレブロック状支持部材(43b、43b)は、半割体24bの幅方向X3における両側で半割体24bにそれぞれ取り付けられている。尚、第3の変形例の支持部材15には、作業者によって把持されて操作される操作部15aが設けられていない。第3の変形例では、第2の変形例と同様に、分割筒状断熱材(21a~21c)を水平方向に沿ってスライド移動する作業が行われる際に作業者によって操作される操作ハンドル38が設けられている。
【0163】
図15を参照して、第3の変形例に係る上下変位機構(16a~16c)は、筒状断熱材21の各分割筒状断熱材(21a~21c)に対応して設けられている。そして、第3の変形例の各上下変位機構(16a~16c)は、ブロック状支持部材43aを上下方向X1に沿って駆動するための上下駆動部44aと、レール状支持部材43bを上下方向X1に沿って駆動するための上下駆動部44bと、を有している。ブロック状支持部材43aを駆動する上下駆動部44aは、一対のブロック状支持部材(43a、43a)に対応して一対で設けられ、各分割筒状断熱材(21a~21c)の幅方向X3における両側に配置されている。そして、一対の上下駆動部(44a、44a)は、上下方向X1において同じ高さ位置に配置されている。また、ブロック状支持部材43bを駆動する上下駆動部44bは、一対のブロック状支持部材(43b、43b)に対応して一対で設けられ、各分割筒状断熱材(21a~21c)の幅方向X3における両側に配置されている。そして、一対の上下駆動部(44b、44b)は、上下方向X1において同じ高さ位置に配置されている。
【0164】
上下駆動部44aは、ブロック状支持部材43aに形成された雌ネジ部と、ブロック状支持部材43aの雌ネジ部に螺合する雄ネジ部材41とを有している。そして、上下駆動部44aは、筐体フレーム14に取り付けられた後述のスライド支持機構(17a~17c)の固定レール45に対してブロック状支持部材43aを上下方向X1に沿って駆動するように構成されている。また、上下駆動部44bは、ブロック状支持部材43bに形成された雌ネジ部と、ブロック状支持部材43bの雌ネジ部に螺合する雄ネジ部材41とを有している。そして、上下駆動部44bは、筐体フレーム14に取り付けられた後述のスライド支持機構(17a~17c)の固定レール45に対してブロック状支持部材43bを上下方向X1に沿って駆動するように構成されている。
【0165】
各上下駆動部(44a、44b)における雌ネジ部は、各ブロック状支持部材(43a、43b)を上下方向X1に貫通するネジ穴の内周のネジ溝として設けられている。各上下駆動部(44a、44b)の雄ネジ部材41は、第2の変形例の雄ネジ部材41と同様に形成され、各ブロック状支持部材(43a、43b)に設けられた雌ネジ部に螺合する雄ネジ部が設けられている。雄ネジ部材41の雄ネジ部は、軸状に延びる雄ネジ部材41の外周に形成されたネジ山として設けられている。また、各上下駆動部(44a、44b)の雄ネジ部材41は、各ブロック状支持部材(43a、43b)における雌ネジ部が設けられたネジ穴に対して上方から挿入されて螺合した状態で取り付けられている。即ち、各上下駆動部(44a、44b)の雄ネジ部材41は、そのネジ頭部が下方を向き、雄ネジ部が設けられたネジ軸部分の先端側が上方を向いた状態で、各ブロック状支持部材(43a、43b)に設けられた雌ネジ部に螺合して取り付けられている。
【0166】
各上下駆動部(44a、44b)の雄ネジ部材41が各ブロック状支持部材(43a、43b)に設けられた雌ネジ部に取り付けられた状態では、雄ネジ部材41の先端側の端部は、各ブロック状支持部材(43a、43b)から下方に突出している。そして、各ブロック状支持部材(43a、43b)から下方に突出した雄ネジ部材41の先端側の端部には、後述のスライド支持機構(17a~17c)のボール部材42を転動自在な状態で保持する半球状に凹む凹部が設けられている。そして、各ブロック状支持部材(43a、43b)に設けられた雌ネジ部に螺合して取り付けられた雄ネジ部材41は、下端側に配置された先端側の端部の凹部で転動自在に保持したボール部材42を介して、後述のスライド支持機構(17a~17c)の固定レール45に対して支持されている。
【0167】
各ブロック状支持部材(43a、43b)に設けられた雌ネジ部に螺合する各上下駆動部(44a、44b)の雄ネジ部材41は、後述のスライド支持機構(17a~17c)の固定レール45に支持されている。このため、各上下駆動部(44a、44b)の雄ネジ部材41が各ブロック状支持部材(43a、43b)に設けられた雌ネジ部に対して所定の方向に回転すると、各ブロック状支持部材(43a、43b)に設けられた雌ネジ部は、雄ネジ部材41に対する螺合位置を変更して上方に変位する。これにより、各ブロック状支持部材(43a、43b)が上方に変位する。雄ネジ部材41が各ブロック状支持部材(43a、43b)に対して回転して各ブロック状支持部材(43a、43b)が上方に変位することで、各ブロック状支持部材(43a、43b)に支持された筒状断熱部材21の各分割筒状断熱材(21a~21c)の各半割体(24a、24b)が各ブロック状支持部材(43a、43b)とともに上方に変位することになる。また、雄ネジ部材41が各ブロック状支持部材(43a、43b)に設けられた雌ネジ部に対して上記とは逆方向に回転すると、各ブロック状支持部材(43a、43b)に設けられた雌ネジ部は、雄ネジ部材41に対する螺合位置を変更して下方に変位する。これにより、各ブロック状支持部材(43a、43b)が下方に変位する。雄ネジ部材41が各ブロック状支持部材(43a、43b)に対して回転して各ブロック状支持部材(43a、43b)が下方に変位することで、各ブロック状支持部材(43a、43b)に支持された筒状断熱部材21の各分割筒状断熱材(21a~21c)の各半割体(24a、24b)が各ブロック状支持部材(43a、43b)とともに下降することになる。
【0168】
図15を参照して、第3の変形例に係るスライド支持機構(17a~17c)は、上下変位機構(16a~16c)によって上方に変位した筒状断熱材21を水平方向に沿ってスライド移動する機構として設けられている。第3の変形例のスライド支持機構(17a~17c)は、筒状断熱材21の各分割筒状断熱材(21a~21c)に対応して設けられ、各分割筒状断熱材(21a~21c)を水平方向に沿ってスライド移動するように構成されている。第3の変形例の各スライド支持機構(17a~17c)は、各上下変位機構(16a~16c)及びブロック状支持部材(43a、43b)を筐体フレーム14に対して水平方向に沿ってスライド移動自在に支持するように構成されている。具体的には、第3の変形例の各スライド支持機構(17a~17c)は、2つの固定レール45と複数のボール部材42とを有して構成されている。
【0169】
各スライド支持機構(17a~17c)において、2つの固定レール45は、幅方向X3における両側に配置されている。各スライド支持機構(17a~17c)の2つの固定レール45は、上下方向X1において同じ高さ位置に設けられている。各固定レール45は、例えば、L字型断面で直線状に延びる山形鋼部材として設けられ、筐体フレーム14の支柱29に対して溶接により固定されている。各固定レール45は、前後方向X2に沿って延びた状態で、筐体フレーム14の支柱29に対して固定されている。また、各固定レール45は、筐体フレーム14の支柱29に対して、幅方向X3における筐体フレーム14の内側の側面において、固定されている。
【0170】
各スライド支持機構(17a~17c)におけるボール部材42は、鉄鋼材料で形成された球形状の部材として設けられている。そして、各スライド支持機構(17a~17c)のボール部材42は、各上下変位機構(16a~16c)の各上下駆動部(44a、44b)の各雄ネジ部材41に対してその先端側の端部で転動自在な状態で保持されている。より具体的には、各ボール部材42は、各雄ネジ部材41の先端側の端部に設けられた凹部に対して転動自在な状態で嵌め込まれて保持されている。そして、各雄ネジ部材41の先端側の端部に転動自在な状態で保持された各ボール部材42は、固定レール45に載置されて支持されている。このため、各上下変位機構(16a~16c)は、ボール部材42を介して、固定レール45上で支持されている。ボール部材42を介して固定レール45に支持された各上下変位機構(16a~16c)が水平方向に移動しようとすると、ボール部材42が固定レール45上で転動し、各上下変位機構(16a~16c)は、固定レール45に沿って移動して筐体フレーム14に対して水平方向にスライド移動することになる。各上下変位機構(16a~16c)が固定レール45上を移動することで、各上下変位機構(16a~16c)とともにブロック状支持部材(43a、43b)が筐体フレーム14に対して水平方向にスライド移動する。そして、ブロック状支持部材(43a、43b)が水平方向にスライド移動することで、ブロック状支持部材(43a、43b)に支持された各分割筒状断熱材(21a~21c)が水平方向に沿ってスライド移動する。このように、各スライド支持機構(17a~17c)は、各上下変位機構(16a~16c)及びブロック状支持部材(43a、43b)を筐体フレーム14に対して水平方向に沿ってスライド移動自在に支持するように構成されている。
【0171】
上述した第3の変形例のスライド支持機構(17a~17c)によって筒状断熱材21の水平方向のスライド移動が行われる際には、まず、上下変位機構(16a~16c)によって分割筒状断熱材(21a~21c)を上方に変位させる操作が作業者によって行われる。即ち、上下変位機構(16a~16c)の上下駆動部(44a、44b)の雄ネジ部材41が作業者によって回転操作される。雄ネジ部材41が回転操作されることで、ブロック状支持部材(43a、43b)が上方に変位し、ブロック状支持部材(43a、43b)に支持された分割筒状断熱材(21a~21c)が上方に変位してリフトアップされた状態となる。
【0172】
分割筒状断熱材(21a~21c)がリフトアップされて上方に変位すると、作業者によって、各半割体(24a、24b)に取り付けられた操作ハンドル38が水平方向に沿って筐体フレーム14の外側に引き出される操作が行われる。操作ハンドル38が筐体フレーム14の外側に引き出される操作が行われると、操作ハンドル38とともに各半割体(24a、24b)と各半割体(24a、24b)を支持するブロック状支持部材(43a、43b)とが筐体フレーム14の外側に引き出される。このとき、雄ネジ部材41の先端側の端部で転動自在に保持されたボール部材42が固定レール45上を転動し、上下変位機構(16a~16c)及びブロック状支持部材(43a、43b)が水平方向に沿ってスライド移動する。これにより、ブロック状支持部材(43a、43b)とともに各半割体(24a、24b)が水平方向にスライド移動し、筐体フレーム14の外側に取り出される。
【0173】
上述した第3の変形例のように、スライド支持機構(17a~17c)が、上下変位機構(16a~16c)と分割筒状断熱材(21a~21c)を支持するブロック状支持部材(43a、43b)とを筐体フレーム14に対してスライド移動自在に支持する形態が実施されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0174】
本発明は、触媒を備えたガス管を有し、1次ガスを2次ガスへ改質する変成炉として、広く適用することができる。
【符号の説明】
【0175】
1 変成炉
11 ガス管
12 ヒータ
14 筐体フレーム
15 支持部材
16a、16b、16c 上下変位機構
17a、17b、17c スライド支持機構
20 触媒
21 筒状断熱材
22 天井断熱材
23 底面断熱材
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