(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182988
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】ドライバー、電気光学装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20231220BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20231220BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20231220BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 623B
G09G3/20 623R
G09G3/20 642P
G09G3/20 611J
G09G3/20 611A
G09G3/20 623F
G09G3/20 641C
G09G3/20 621H
G09G3/20 621F
G09G3/20 621M
G09G3/20 680G
G09G3/20 641P
G09G3/20 612R
G09G3/20 621L
G09G3/20 621B
G02F1/133 550
H01L27/088 C
H01L27/06 102A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096322
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】森田 晶
(72)【発明者】
【氏名】番匠 遼太
【テーマコード(参考)】
2H193
5C006
5C080
5F048
【Fターム(参考)】
2H193ZA02
2H193ZC23
2H193ZD23
2H193ZF05
2H193ZF07
2H193ZF34
2H193ZR02
5C006AA16
5C006AC21
5C006AC26
5C006AF43
5C006AF46
5C006AF50
5C006AF51
5C006AF52
5C006AF53
5C006AF54
5C006AF64
5C006AF67
5C006AF83
5C006BB11
5C006BC03
5C006BC11
5C006BC23
5C006BF09
5C006BF14
5C006BF16
5C006BF24
5C006BF25
5C006BF31
5C006BF37
5C006BF46
5C006BF49
5C006BF50
5C006EB05
5C006EC02
5C006EC11
5C006FA14
5C006FA18
5C006FA37
5C006FA46
5C006FA47
5C006FA51
5C080AA06
5C080AA10
5C080BB05
5C080DD08
5C080DD09
5C080DD19
5C080DD21
5C080DD25
5C080DD26
5C080DD28
5C080EE29
5C080GG01
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ05
5C080KK02
5C080KK07
5C080KK23
5C080KK50
5F048AA05
5F048AB10
5F048AC01
5F048AC10
5F048BB03
5F048BB15
5F048BD10
(57)【要約】
【課題】階調数を変えることなく画素を駆動する電圧の範囲を変更できるドライバー等を提供すること。
【解決手段】ドライバー100は、第1駆動回路60と第2駆動回路70とを含む。第2駆動回路70は、演算増幅器71と出力キャパシターCQと第1フィードバックキャパシターCfaと第2フィードバックキャパシターCfbとを含む。出力キャパシターCQの一端は、演算増幅器71の出力ノードと接続され、他端は、信号供給線と接続される。第1フィードバックキャパシターCfaの一端は、演算増幅器71の反転入力ノードと接続され、他端は、信号供給線と接続される。第2フィードバックキャパシターCfbの一端は、演算増幅器71の反転入力ノードと接続され、他端は、所定電位ノードと接続される。第1フィードバックキャパシターCfa及び第2フィードバックキャパシターCfbの少なくとも一方は、容量値が可変のキャパシターである。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
階調データに基づいて、電気光学パネルの信号供給線にデータ信号を供給する第1駆動回路と、
演算増幅器と、一端が前記演算増幅器の出力ノードと電気的に接続され、他端が前記信号供給線と電気的に接続される出力キャパシターと、一端が前記演算増幅器の反転入力ノードと電気的に接続され、他端が前記信号供給線と電気的に接続される第1フィードバックキャパシターと、一端が前記演算増幅器の前記反転入力ノードと電気的に接続され、他端が所定電位ノードと電気的に接続される第2フィードバックキャパシターと、を含み、前記信号供給線に電気的に接続された第2駆動回路と、
を含み、
前記第1フィードバックキャパシター及び前記第2フィードバックキャパシターの少なくとも一方は、容量値が可変のキャパシターであることを特徴とするドライバー。
【請求項2】
請求項1に記載されたドライバーにおいて、
前記第2駆動回路は、
前記演算増幅器の前記反転入力ノードに対して、前記階調データに基づくD/A変換電圧を供給するD/A変換回路を含むことを特徴とするドライバー。
【請求項3】
請求項1に記載されたドライバーにおいて、
前記演算増幅器は、
前記第1駆動回路を構成するトランジスターの耐圧より低い耐圧のトランジスターにより構成されることを特徴とするドライバー。
【請求項4】
請求項3に記載されたドライバーにおいて、
前記第1駆動回路を構成するトランジスターのソースードレイン間距離の長さが、前記第2駆動回路を構成するトランジスターのソースードレイン間距離の長さよりも長い、または、前記第1駆動回路を構成するトランジスターのゲート絶縁膜の膜厚が、前記第2駆動回路を構成するトランジスターのゲート絶縁膜の膜厚よりも厚いことを特徴とするドライバー。
【請求項5】
請求項1に記載されたドライバーにおいて、
前記第2フィードバックキャパシターの容量値は、前記第1フィードバックキャパシターの容量値より大きいことを特徴とするドライバー。
【請求項6】
請求項1に記載されたドライバーにおいて、
前記可変の容量値に応じたゲインで前記階調データを乗算処理した第2階調データを出力する処理回路を含み、
前記第1駆動回路は、
前記第2階調データに基づいて前記信号供給線に前記データ信号を供給することを特徴とするドライバー。
【請求項7】
請求項1に記載されたドライバーにおいて、
前記第1フィードバックキャパシターは、
前記信号供給線と前記演算増幅器の前記反転入力ノードとの間に直列に配置されたスイッチとキャパシターの対が、複数並列に配置された第1スイッチ群及び第1キャパシター群を含み、
前記第2フィードバックキャパシターは、
前記演算増幅器の前記反転入力ノードと前記所定電位ノードとの間に直列に配置されたスイッチとキャパシターの対が、複数並列に配置された第2スイッチ群及び第2キャパシター群を含むことを特徴とするドライバー。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載されたドライバーにおいて、
初期化期間においてオンになり、基準電圧を前記演算増幅器の前記反転入力ノードに供給する初期化スイッチを含むことを特徴とするドライバー。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載されたドライバーにおいて、
前記第1駆動回路は、
前記階調データに対応する第1~第nキャパシター駆動電圧(nは2以上の整数)を第1~第nキャパシター駆動用ノードに出力するキャパシター駆動回路と、
前記信号供給線と、前記第1~第nキャパシター駆動用ノードとの間に配置される第1~第nキャパシターを有するキャパシター回路と、
を含むことを特徴とするドライバー。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載されたドライバーにおいて、
前記第1駆動回路を制御する制御回路を含み、
前記第1駆動回路は、
高電位側電源電圧が供給されるノードと前記信号供給線の間に配置される第1駆動トランジスター群と、
低電位側電源電圧が供給されるノードと前記信号供給線の間に配置される第2駆動トランジスター群と、
を含み、
前記制御回路は、
前記階調データに基づいて、前記第1駆動トランジスター群の各トランジスター又は前記第2駆動トランジスター群の各トランジスターを、オン又はオフに制御することを特徴とするドライバー。
【請求項11】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載されたドライバーにおいて、
前記演算増幅器の前記反転入力ノードに電気的に接続され、前記反転入力ノードの電圧をシフトする電圧シフト回路を含むことを特徴とするドライバー。
【請求項12】
請求項11に記載されたドライバーにおいて、
前記電圧シフト回路は、
極性反転信号に基づいて、正極性駆動期間の前記初期化期間と負極性駆動期間の前記初期化期間とで異なる初期化電圧を、前記演算増幅器の前記反転入力ノードに設定することを特徴とするドライバー。
【請求項13】
階調データに基づいて、電気光学パネルの信号供給線にデータ信号を供給する第1駆動回路と、
演算増幅器と、一端が前記演算増幅器の出力ノードと電気的に接続され、他端が前記信号供給線と電気的に接続される出力キャパシターと、一端が前記演算増幅器の反転入力ノードと電気的に接続され、他端が前記信号供給線と電気的に接続され、容量値が可変のキャパシターである第1フィードバックキャパシターと、一端が前記演算増幅器の前記反転入力ノードに電気的に接続される第1~第m電圧出力用キャパシター(mは2以上の整数)と、前記第1~第m電圧出力用キャパシターの他端に、前記階調データに基づく電圧を出力する第1~第m電圧出力回路と、を含み、前記信号供給線に電気的に接続された第2駆動回路と、
を含むことを特徴とするドライバー。
【請求項14】
請求項13に記載されたドライバーにおいて、
前記演算増幅器は、
前記第1駆動回路を構成するトランジスターの耐圧より低い耐圧のトランジスターにより構成されることを特徴とするドライバー。
【請求項15】
請求項14に記載されたドライバーにおいて、
前記第1駆動回路を構成するトランジスターのソースードレイン間距離の長さが前記第2駆動回路を構成するトランジスターのソースードレイン間距離の長さよりも長い、または、前記第1駆動回路を構成するトランジスターのゲート絶縁膜の膜厚が前記第2駆動回路を構成するトランジスターのゲート絶縁膜の膜厚よりも厚いことを特徴とするドライバー。
【請求項16】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載されたドライバーと、
前記電気光学パネルと、
を含むことを特徴とする電気光学装置。
【請求項17】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載されたドライバーを含むことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバー、電気光学装置及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、容量駆動回路とアンプ回路とを含み、電気光学パネルを駆動するドライバーが開示されている。アンプ回路は、容量駆動回路により電気光学パネルを駆動する容量駆動が開始された後に、階調データに対応するデータ電圧をデータ電圧出力端子に出力する電圧駆動を行う。これにより、電気光学パネルのソース線スイッチがオフからオンになった後のデータ線の電圧低下が、アンプ回路により補われるので、容量駆動におけるデータ電圧の精度低下が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液晶パネルの駆動において、液晶パネルに入射する光の色、又は液晶パネルに用いられる液晶材料に応じて、駆動電圧の範囲が異なる。上記特許文献1では、アンプ回路としてボルテージフォロア回路が用いられておりアンプ回路のゲインが固定であるため、駆動電圧の範囲を変えることが困難であるという課題がある。例えば、上記特許文献1では、階調範囲つまり階調数を変えることによって駆動電圧の範囲を変える、或いは、階調数を変えずに電源電圧又はゲイン等を変えることで駆動電圧の範囲を変えて駆動回路を作り直す必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、階調データに基づいて、電気光学パネルの信号供給線にデータ信号を供給する第1駆動回路と、演算増幅器と、一端が前記演算増幅器の出力ノードと電気的に接続され、他端が前記信号供給線と電気的に接続される出力キャパシターと、一端が前記演算増幅器の反転入力ノードと電気的に接続され、他端が前記信号供給線と電気的に接続される第1フィードバックキャパシターと、一端が前記演算増幅器の前記反転入力ノードと電気的に接続され、他端が所定電位ノードと電気的に接続される第2フィードバックキャパシターと、を含み、前記信号供給線に電気的に接続された第2駆動回路と、を含み、前記第1フィードバックキャパシター及び前記第2フィードバックキャパシターの少なくとも一方は、容量値が可変のキャパシターであるドライバーに関係する。
【0006】
また本開示の他の態様は、上記のドライバーと、前記電気光学パネルと、を含む電気光学装置に関係する。
【0007】
また本開示の更に他の態様は、上記のドライバーを含むことを特徴とする電子機器。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図6】液晶表示パネルに入射する光の色と画素の透過率特性との関係を示す図。
【
図7】第1駆動回路に入力される階調データと電圧の関係を示す図。
【
図8】第2駆動回路に入力される階調データと電圧の関係を示す図。
【
図9】第1駆動回路と第2駆動回路の動作を説明する第1波形例。
【
図10】第1駆動回路と第2駆動回路の動作を説明する第2波形例。
【
図11】第1駆動回路と第2駆動回路の動作を説明する第3波形例。
【
図13】階調データ、設定データ及びデータ電圧の関係を説明する図。
【
図15】第1駆動回路と第2駆動回路の動作を説明する第4波形例。
【
図18】第1駆動回路と第2駆動回路の動作を説明する第5波形例。
【
図19】第1駆動回路と第2駆動回路の動作を説明する第6波形例。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
【0010】
1.電気光学装置
図1に、電気光学装置の構成例を示す。電気光学装置400は、ドライバー100と電気光学パネル200とを含む。以下では、相展開駆動方式の電気光学装置400を例に説明するが、これに限定されず、例えば電気光学装置400はデマルチプレクス駆動方式であってもよい。
【0011】
ドライバー100は、電気光学パネル200の信号供給線にデータ信号を出力することで電気光学パネル200を駆動する。なお、1つの画素に1回に書き込まれる電圧をデータ電圧と呼ぶこととする。そして、複数の画素が時系列的に駆動されるときに、その各画素に対するデータ電圧が時系列的な信号として信号供給線に出力されるが、この信号供給線への信号をデータ信号と呼ぶこととする。
【0012】
電気光学パネル200の走査線を駆動する走査線駆動回路はドライバー100に含まれてもよいし、ドライバー100の外部に設けられてもよい。ドライバー100は、例えば、複数の回路素子が半導体基板に集積された集積回路装置である。ドライバー100は、制御回路40と、第1~第kデータ線駆動回路DD1~DDkとを含む。kは2以上の整数である。なお、以下ではk=8の場合を例に説明する。
【0013】
制御回路40は、データ線駆動回路DD1~DD8の各データ線駆動回路に対して、対応する階調データを出力する。また制御回路40は、データ線スイッチを制御する制御信号ENBXを、電気光学パネル200に出力する。
【0014】
データ線駆動回路DD1~DD8は、階調データをデータ電圧に変換し、そのデータ電圧を出力電圧VQ1~VQ8として電気光学パネル200の信号供給線SPL1~SPL8へ出力する。時系列の階調データに応じて出力電圧VQ1~VQ8が変化していくが、その変化する出力電圧VQ1~VQ8による信号が、上述したデータ信号に相当する。
【0015】
電気光学パネル200は、第1~第8信号供給線SPL1~SPL8と、第1~第1280データ線スイッチSWEP1~SWEP1280と、第1~第1280データ線DL1~DL1280と、を含む。データ線はk×t本であってよい。tは2以上の整数である。ここではWXGAを例にとり、t=160としている。
【0016】
データ線スイッチSWEP1~SWEP1280のうちデータ線スイッチSWEP((j-1)×k+1)~SWEP(j×k)の一端は、信号供給線SPL1~SPL8に接続される。jは160以下の整数である。例えばj=1の場合にはデータ線スイッチSWEP1~SWEP8である。
【0017】
データ線スイッチSWEP1~SWEP1280の各々は、例えばTFT等で構成され、制御信号ENBXに基づいて制御される。TFTはThin Film Transistorの略である。例えば、電気光学パネル200は不図示のスイッチ制御回路を含み、そのスイッチ制御回路が制御信号ENBXに基づいてデータ線スイッチSWEP1~SWEP1280をオン又はオフに制御する。
【0018】
データ線駆動回路DD1~DD8が水平走査期間において160回の駆動を行い、そのj番目の駆動においてデータ線スイッチSWEP((j-1)×k+1)~SWEP(j×k)がオンであり、それ以外のデータ線スイッチがオフである。これにより、j番目の駆動においてデータ線DL((j-1)×k+1)~DL(j×k)が駆動される。データ線駆動回路DD1に着目すると、水平走査期間においてデータ線スイッチSWEP1、SWEP2、・・・、SWEP1273が順次にオンになり、データ線駆動回路DD1がデータ線DL1、DL2、・・・、DL1273を順次に駆動する。
【0019】
2.第1実施形態
図2は、ドライバーの第1詳細構成例である。ドライバー100は、データ線駆動回路110と、制御回路40とを含む。データ線駆動回路110は、
図1のデータ線駆動回路DD1~DD8のうち任意の1つに対応する。
【0020】
データ線駆動回路110は、第1駆動回路60と、第2駆動回路70と、可変容量回路30と、検出回路50とを含む。制御回路40は、処理回路42と、インターフェース回路44と、レジスター回路48とを含む。
【0021】
インターフェース回路44は、ドライバー100を制御する表示コントローラー300とドライバー100との間のインターフェース処理を行う。インターフェース回路44は、表示コントローラー300から受信した階調データGD[9:0]を処理回路42に出力する。なお、受信される階調データのビット数は任意であってよい。インターフェース回路44は、例えば、LVDS方式、パラレルRGB方式又はディスプレイポート方式等の画像インターフェース回路である。LVDSは、Low Voltage Differential Signalingの略である。
【0022】
処理回路42は、ドライバー100に電源が投入されたときの初期化処理等において、可変容量回路30の容量値の設定データCSW[4:0]を決定し、その設定データCSW[4:0]をレジスター回路48に記憶させる。処理回路42は、電気光学パネル200を駆動する通常動作時において、レジスター回路48から読み出した設定データCSW[4:0]により可変容量回路30の容量値を設定する。また処理回路42は、階調データGD[9:0]に基づいて、階調データDTH[10:0]を第1駆動回路60に出力すると共に、階調データDTL[10:0]を第2駆動回路70に出力する。また処理回路42は、極性反転信号FRを第2駆動回路70に出力する。なお、第2駆動回路70の構成に応じて、第2駆動回路70への極性反転信号FRの入力が省略されてもよい。
【0023】
出力ノードNVQはデータ電圧出力端子TVQに接続されるノードであり、この出力ノードNVQの電圧を出力電圧VQとする。データ電圧出力端子TVQの負荷容量を電気光学パネル側容量CPとする。
【0024】
第1駆動回路60は、キャパシターを用いた電荷再分配により、階調データDTH[10:0]に対応する電荷を出力ノードNVQに供給する。その電荷が可変容量回路30と電気光学パネル側容量CPに分配されることで、出力電圧VQが、階調データDTH[10:0]に対応したデータ電圧となる。第1駆動回路60は、電気光学パネル200を駆動できる高耐圧プロセスの回路素子で構成されている。一例として、電気光学パネル200が高温ポリシリコン型の液晶パネルである場合、第1駆動回路60の電源電圧は15V~20V程度であり、第1駆動回路60は、その電源電圧より高い耐圧の回路素子で構成される。
【0025】
第1駆動回路60が出力した電荷に誤差がある、或いは出力ノードNVQの電荷保存がわずかに成り立たない場合、第1駆動回路60が出力した電荷による出力電圧VQと、階調データDTH[10:0]に対応した目標電圧との間に誤差が生じる。第2駆動回路70は、演算増幅器を用いたフィードバック制御により出力電圧VQを目標電圧に補正する。このとき、出力電圧VQと目標電圧の誤差が小さいため、第2駆動回路70が出力する電荷が少なくて済む。これを利用して、演算増幅器と出力ノードNVQの間をキャパシターでDCカットしつつ、演算増幅器を低耐圧プロセスの回路素子で構成する。一例として、低耐圧プロセスの耐圧は、高耐圧プロセスの耐圧の1/3~1/10程度である。第2駆動回路70は、低耐圧プロセスの耐圧より低い電源電圧で動作する。
【0026】
可変容量回路30の容量値決定手法と、可変容量回路30及び検出回路50の構成例について説明する。
【0027】
検出回路50は、所与の検出電圧と出力電圧VQとを比較し、その結果を検出信号DETとして出力する。検出回路50は、例えばコンパレーターである。
【0028】
処理回路42は、所与のデータ電圧に対応した階調データDTH[10:0]をキャパシター駆動回路20に出力する。このとき、上記所与の検出電圧は、出力電圧VQの期待値である所与のデータ電圧と同じ電圧に設定される。処理回路42は、設定データCSW[4:0]の値を順次に変化させることで、可変容量回路30の容量値を順次に変化させる。処理回路42は、各容量値における検出信号DETに基づいて可変容量回路30の容量値を決定する。即ち、処理回路42は、出力電圧VQが所与の検出電圧となる容量値を、検出信号DETに基づいて判断し、その容量値の設定データCSW[4:0]をレジスター回路48に記憶させる。
【0029】
可変容量回路30は、第1~第5調整用キャパシターと第1~第5調整用スイッチとを含む。第1調整用スイッチの一端は出力ノードNVQに接続され、他端は第1調整用キャパシターの一端に接続される。第1調整用キャパシターの他端はグランドノードに接続される。第2~第5調整用キャパシターと第2~第5調整用スイッチについても同様である。第1~第5調整用キャパシターの容量値はバイナリに重み付けされている。第1調整用スイッチはCSW[0]によりオン又はオフに制御される。同様に、第2~第5調整用スイッチはCSW[1]~CSW[4]によりオン又はオフに制御される。
【0030】
以下、第1駆動回路60、第2駆動回路70、可変容量回路30及び検出回路50の詳細を説明する。
【0031】
図3は、第1駆動回路の第1詳細構成例を示す。なお以下では、キャパシターの容量値を表す符号として、そのキャパシターの符号と同じ符号を用いる。例えばキャパシターC1の容量値をC1と記載する。
【0032】
キャパシター回路10は、第1~第nキャパシターC1~Cnを含む。キャパシター駆動回路20は、第1~第n駆動回路DR1~DRnを含む。以下ではn=11の例を説明するが、nは2以上の整数であればよい。nは、階調データDTH[10:0]のビット数と同数に設定されればよい。
【0033】
キャパシターCiの一端は、出力ノードNVQに接続され、他端は、キャパシター駆動ノードNDRiに接続される。iは1以上でn=11以下の整数である。キャパシターC1~C10は、バイナリに重み付けされた容量値を有している。具体的にはキャパシターCiの容量値は2(i-1)×C1である。
【0034】
処理回路42は、階調データDTH[10:0]の第iビットDTH[i-1]を駆動回路DRiの入力ノードに出力する。駆動回路DRiは、ビットDTH[i-1]が第1論理レベルのとき第1電圧レベルをキャパシター駆動ノードNDRiに出力し、ビットDTH[i-1]が第2論理レベルのとき第2電圧レベルをキャパシター駆動ノードNDRiに出力する。例えば、第1論理レベルは“0”であり、第2論理レベルは“1”であり、第1電圧レベルは低電位側電源電圧VSHであり、第2電圧レベルは高電位側電源電圧VDHである。駆動回路DRiは、高耐圧プロセスのトランジスターで構成され、電源電圧VDHとVSHで動作する。駆動回路DRiは、例えば、入力された論理レベルを駆動回路DRiの出力電圧レベルにレベルシフトするレベルシフターと、そのレベルシフターの出力をバッファリングするバッファー回路と、で構成される。
【0035】
駆動回路DR1~DR11がキャパシターC1~C11を駆動することで、キャパシターC1~C11と可変容量回路30と電気光学パネル側容量CPとの間で電荷再分配が生じる。そして、その結果として出力ノードNVQにデータ電圧が出力される。
【0036】
電気光学パネル側容量CPは、データ電圧出力端子TVQから見える容量の合計である。例えば、電気光学パネル側容量CPは、プリント基板の寄生容量である基板容量CP1と、電気光学パネル200内の寄生容量であるパネル容量CP2と、を加算したものである。プリント基板は、ドライバー100が実装されると共に電気光学パネル200に接続される基板である。
【0037】
キャパシターC1~C11の容量値の合計がCtot=C1+C2+・・・+C11であり、可変容量回路30の容量値がCFであるとする。一例としては、Ctot/(CF+CP)=2となるようにCFが設定される。このとき、DTH[10:0]の最大階調値2047において、VQ=15V×{Ctot/(Ctot+CF+CP)}+2.5V=10V+2.5V=12.5Vとなる。DTH[10:0]の最小階調値0において、VQ=0V×{Ctot/(Ctot+CF+CP)}+2.5V=0V+2.5V=2.5Vとなる。階調値と電圧の詳細な関係については、
図7で後述する。
【0038】
図4は、第2駆動回路の第1詳細構成例である。第2駆動回路70は、演算増幅器71とD/A変換回路72と出力キャパシターCQと第1フィードバックキャパシターCfaと第2フィードバックキャパシターCfbと初期化スイッチSWRとを含む。
【0039】
D/A変換回路72は、階調データDTL[10:0]をD/A変換電圧DAQにD/A変換し、そのD/A変換電圧DAQを演算増幅器71の非反転入力ノードNAPに出力する。階調データDTL[10:0]とD/A変換電圧DAQの対応は
図8で後述する。D/A変換回路72は、例えば、電源電圧VDLとVSLの間を複数の電圧に分圧するラダー抵抗と、その複数の電圧から階調データDTL[10:0]に対応した電圧を選択するスイッチ回路と、を含む。
【0040】
演算増幅器71は、低耐圧プロセスのトランジスターで構成されており、電源電圧VDLとVSLで動作する。
【0041】
出力キャパシターCQの一端は演算増幅器71の出力ノードNAMQに接続され、他端はデータ線駆動回路110の出力ノードNVQに接続される。第1フィードバックキャパシターCfaの一端は演算増幅器71の反転入力ノードNANに接続され、他端はデータ線駆動回路110の出力ノードNVQに接続される。第2フィードバックキャパシターCfbの一端は演算増幅器71の反転入力ノードNANに接続され、他端は低電位側電源電圧VSLのノードに接続される。なお、第2フィードバックキャパシターCfbの他端は、一定電位が供給される所定電位ノードに接続されていればよい。
【0042】
第1フィードバックキャパシターCfaは、その容量値が可変である可変容量キャパシターである。第2フィードバックキャパシターCfbは、その容量値が可変である可変容量キャパシターである。第1フィードバックキャパシターCfaの容量値は、処理回路42からの設定データSCfaにより設定され、第2フィードバックキャパシターCfbの容量値は、処理回路42からの設定データSCfbにより設定される。例えば、表示コントローラー300がインターフェース回路44を介して設定データSCfa、SCfbをレジスター回路48に書き込み、処理回路42は、レジスター回路48に記憶される設定データSCfa、SCfbを第2駆動回路70に出力する。なお、第1フィードバックキャパシターCfa及び第2フィードバックキャパシターCfbの一方が可変容量キャパシターであり、他方が固定容量のキャパシターであってもよい。
【0043】
初期化スイッチSWRの一端は演算増幅器71の反転入力ノードNANに接続され、他端は、基準電圧VREFが供給されるノードNVREFに接続される。基準電圧VREFは、VSLより高くVDLより低い電圧である。ここではVREF=VCL=0.9Vとする。基準電圧VREFは、例えば、ドライバー100に含まれる不図示の電圧生成回路からノードNVREFに供給される。初期化スイッチSWRはアナログスイッチであり、例えば、N型トランジスター、P型トランジスター又はそれらを組み合わせたトランスファーゲートである。
【0044】
出力電圧VQの範囲を10Vとし、D/A変換電圧DAQの電圧範囲を1Vとする。このとき、第1フィードバックキャパシターCfaと第2フィードバックキャパシターCfbにより電圧範囲が9:1に分圧されればよいので、Cfb/Cfa=9となるように1フィードバックキャパシターCfaと第2フィードバックキャパシターCfbの容量値が設定される。なお、CfbとCfaの比は9に限定されず、電圧範囲の比に応じて適宜に設定される。この点の詳細については、
図7と
図8で後述する。
【0045】
出力キャパシターCQの容量値は、演算増幅器71の出力電圧AMQがVSL~VDLの範囲内となるように設定されていれば、任意であってよい。例えば、出力キャパシターCQの容量値は、キャパシター回路10と可変容量回路30と電気光学パネル側容量CPの合計の1~10倍程度に設定される。一例として、出力キャパシターCQの容量値が上記合計の4倍である場合に、出力電圧VQの誤差0.1Vを補償するためには、演算増幅器71の出力電圧AMQは0.1V×(5/4)=0.125Vだけ変化すればよい。
【0046】
図5は、可変容量キャパシターの詳細構成例である。
図5には、第1フィードバックキャパシターCfaの詳細構成例を示すが、第2フィードバックキャパシターCfbも同様の構成である。但し、各フィードバックキャパシターに含まれるキャパシターの数は異なってもよい。
【0047】
第1フィードバックキャパシターCfaは、キャパシターCa1~Ca5とスイッチSWa1~SWa4とを含む。スイッチSWa1の一端は出力ノードNVQに接続され、他端はキャパシターCa1の一端に接続される。キャパシターCa1の他端は演算増幅器71の反転入力ノードNANに接続される。同様に、スイッチSWa2~SWa4の一端は出力ノードNVQに接続され、他端はキャパシターCa2~Ca4の一端に接続される。キャパシターCa2~Ca4の他端は演算増幅器71の反転入力ノードNANに接続される。なお、スイッチSWa1~SWa4はキャパシターCa1~Ca4より演算増幅器71の反転入力ノードNANの側に設けられてもよい。キャパシターCa5の一端は出力ノードNVQに接続され、他端は演算増幅器71の反転入力ノードNANに接続される。
【0048】
キャパシターCa1~Ca4の容量値は、バイナリに重み付けされている。即ち、Ca4=8×Ca1、Ca3=4×Ca1、Ca2=2×Ca1である。スイッチSWa1は、設定データSCfa[3:0]のビットSCfa[0]によりオン又はオフに制御される。同様に、スイッチSWa2~SWa4は、設定データSCfa[3:0]のビットSCfa[1]~SCfa[3]によりオン又はオフに制御される。
【0049】
図6は、液晶表示パネルに入射する光の色と画素の透過率特性との関係を示す図である。横軸は、画素に印加される電圧を示し、縦軸は、各印加電圧における画素の透過率を示す。
【0050】
図6に示すように、液晶表示パネルに入射する光の色に応じて、画素の透過率特性が異なっている。具体的には、光の波長が長波長になるほど透過率特性のピークが高電圧側にシフトしている。また、透過率特性のピークに達する前の特性の傾きが光の色に応じて異なっている。このため、同じ透過率が実現される印加電圧は、光の色に応じて異なっている。このため、光の色に応じて適切な印加電圧の範囲に設定しておく必要がある。本実施形態においては、出力電圧VQの電圧範囲を光の色に応じて設定することに相当する。例えば、プロジェクター等において、RGBの各々に光源とパネルが設けられる機種があるが、そのような機種においては、どの色の光源に対応したパネルなのかに応じて、印加電圧の範囲が設定されることになる。
【0051】
なお、光の色だけでなく、液晶材の種類、画像のガンマ補正、画像のホワイトバランス補正、又は画像の発色調整によっても各色の印加電圧の範囲が調整される場合がある。例えば、発色をユーザーが調整できる場合には、その調整に応じて各色の印加電圧の範囲が設定されることになる。
【0052】
以上のように、出力電圧VQの電圧範囲を任意に設定できることが望ましい。一方で、階調数、或いは1階調の電圧ステップを変更すると画質が低下するおそれがあるため、それらを変更しないことが望ましい。
【0053】
本実施形態では、
図4の構成例において、出力ノードNVQから演算増幅器71の反転入力ノードNANへのフィードバックゲインCfa/(Cfa+Cfb)を調整する。このとき、第1駆動回路60に入力される階調データDTH[10:0]の階調数は変化するが、D/A変換回路72に入力される階調データDTL[10:0]の階調数とD/A変換回路72の出力電圧範囲は変更しない。これにより、階調数と1階調の電圧ステップを維持しつつ、出力電圧VQの電圧範囲を任意に設定する。
【0054】
まず、
図7と
図8を用いて、フィードバックゲイン、階調データ及び電圧範囲の関係を説明する。
【0055】
図7は、第1駆動回路に入力される階調データと電圧の関係を示す図である。ここでは、フィードバックゲインが1/10、1/5の例を示し、フィードバックゲインが1/10のとき電圧範囲が最大になるものとする。
【0056】
図7において、VSH=0VとVDH=15Vは、第1駆動回路60の低電位側電源電圧と高電位側電源電圧である。電気光学パネル200の対向電極に供給されるコモン電圧はVC=7.5Vである。また、VSL=0VとVDL=1.8Vは、第2駆動回路70の低電位側電源電圧と高電位側電源電圧である。コモン電圧VC=7.5Vに対応する電圧を、VCL=0.9Vとする。
【0057】
処理回路42は、入力された階調データGD[9:0]を階調データDTH[10:0]に変換する。フィードバックゲインが1/10のとき、処理回路42は、負極性駆動において、階調値0~1023のGD[9:0]を階調値1023~0のDTH[10:0]に変換し、正極性駆動において、階調値0~1023のGD[9:0]を階調値1024~2047のDTH[10:0]に変換する。出力電圧VQの範囲は、コモン電圧VC=7.5Vを中心とした10V、即ち2.5V~12.5Vである。演算増幅器71の反転入力ノードNANのコモン電圧をVCL=VREF=0.9Vとする。出力電圧VQの範囲10Vがゲイン1/10でフィードバックされるので、反転入力ノードNANの電圧VFBの範囲は、0.9Vを中心とした1V、即ち0.4V~1.4Vである。
【0058】
フィードバックゲインが1/5のとき、処理回路42は、DTH[10:0]の階調数を(1/10)/(1/5)=1/2にする。即ち、処理回路42は、負極性駆動において、階調値0~1023のGD[9:0]を階調値1023~512のDTH[10:0]に変換し、正極性駆動において、階調値0~1023のGD[9:0]を階調値1024~1535のDTH[10:0]に変換する。出力電圧VQの範囲は、コモン電圧VC=7.5Vを中心とした5V、即ち5V~10Vである。出力電圧VQの範囲10Vがゲイン1/5でフィードバックされるので、反転入力ノードNANの電圧VFBの範囲は、0.9Vを中心とした1V、即ち0.4V~1.4Vである。
【0059】
図8は、第2駆動回路に入力される階調データと電圧の関係を示す図である。
【0060】
処理回路42は、入力された階調データGD[9:0]を階調データDTL[10:0]に変換する。具体的には、処理回路42は、負極性駆動のとき、DTL[10]=1、DTL[9:0]=GD[9:0]とし、正極性駆動のとき、DTL[10]=0、DTL[9:0]=XGD[9:0]とする。XGD[9:0]は、GD[9:0]の各ビットを論理反転したデータである。D/A変換回路72は、階調データDTL[10:0]=0~2047を0.4V~1.4Vの電圧範囲にD/A変換する。
【0061】
第2駆動回路70のゲインは、フィードバックゲインの逆数(Cfa+Cfb)/Cfaである。即ち、フィードバックゲインが1/10のとき、D/A変換回路72の出力電圧範囲0.4V~1.4Vがゲイン10倍で増幅されるので、出力電圧VQの電圧範囲は2.5V~12.5Vとなる。フィードバックゲインが1/5のとき、D/A変換回路72の出力電圧範囲0.4V~1.4Vがゲイン5倍で増幅されるので、出力電圧VQの電圧範囲は5V~10Vとなる。
【0062】
以上のように、DTH[10:0]の階調数が変わっても、反転入力ノードNANの電圧VFBの範囲は変わらない。演算増幅器71の非反転入力ノードNAPと反転入力ノードNANは演算増幅器71によりバーチャルショートされるので、フィードバックの電圧範囲が変わらないこととは、D/A変換回路72の出力電圧範囲が変わらないことと等価である。これにより、
図8で説明したように、D/A変換回路72の階調数と1階調の電圧ステップが維持される。DTH[10:0]の階調数が変わると第1駆動回路60による駆動の階調数が変わることになるが、
図9で後述するように、第1駆動回路60の出力電圧VQと目標電圧の差は、第2駆動回路70によって補正される。即ち、第2駆動回路70の階調数と1階調の電圧ステップが維持されていれば、第2駆動回路70も含めた最終的な出力としては、階調数と1階調の電圧ステップを維持できる。
【0063】
図9は、第1駆動回路と第2駆動回路の動作を説明する第1波形例である。
図9には、フィードバックゲインが1/5のときの波形例を示す。
【0064】
階調データDTH[10:0]の階調値が1024、1535、1024と変化し、DTL[10:0]の階調値が1024、2047、1024と変化したとする。DTH[10:0]=1535に対応する目標電圧は10.0Vである。
【0065】
仮に第2駆動回路70が無く第1駆動回路60のみで駆動した場合において、階調値が1024から1535になったとき、出力電圧VQが7.5Vから9.9Vになるとする。目標電圧10.0Vとの差は0.1Vである。以下、この場合における第2駆動回路70の動作を説明する。
【0066】
D/A変換回路72は、階調値が1024から2047になったとき、D/A変換電圧DAQを0.9Vから1.4Vにする。出力電圧VQは、第1駆動回路60により7.5Vから9.9Vになるため、演算増幅器71の反転入力ノードNANの電圧VFBは、0.9Vから0.9V+(9.9V-7.5V)/5=1.38Vとなる。演算増幅器71は、VFB=DAQ=1.4Vにするために出力電圧AMQを0.9Vから0.9V+(10.0V-9.9V)×(5/4)=1.025Vにする。これにより、出力電圧VQが目標電圧の10.0Vになり、電圧VFBが1.4Vになる。
【0067】
このように、第2駆動回路70が第1駆動回路60の出力電圧を補正することで、出力電圧VQが決まっている。上述のように第2駆動回路70の階調数と1階調の電圧ステップはフィードバックゲインによって変化しないので、データ線駆動回路110が出力するデータ電圧の階調数と1階調の電圧ステップを変更することなく、画素に印加される電圧の範囲を変更可能となっている。
【0068】
図10は、第1駆動回路と第2駆動回路の動作を説明する第2波形例である。
図10には、極性反転駆動の正極性駆動期間における水平走査期間においてフィードバックゲインを1/5としたときの波形例を示す。ここでは、9個の画素に対して順次に階調値0、127、・・・、1023を書き込む例を示しているが、水平走査期間に駆動する画素数、及び各画素に書き込まれる階調値は任意であってよい。
【0069】
水平同期信号HSYNCの立ち上がりエッジを水平走査期間の開始タイミングとする。水平走査期間が開始された後、処理回路42は、DTH[9:0]=DTL[9:0]=0を出力すると共に、DTH[10]=DTL[10]を0から1にする。ここでは、0をローレベルで示し、1をハイレベルで示している。これは、DTH[10:0]=DTL[10:0]=1024に相当するので、D/A変換電圧DAQ=0.9V、出力電圧VQ=7.5Vである。
【0070】
次に、初期化スイッチSWRがオフからオンになり、オンからオフになる。ここでは、オフをローレベルで示し、オンをハイレベルで示している。初期化スイッチSWRがオンのとき、演算増幅器71の反転入力ノードNANの電圧VFBが基準電圧VREF=0.9Vに初期化される。なお、電圧VFBの初期化が行われる期間を初期化期間と呼ぶ。
図10では、初期化スイッチSWRがオンである期間が初期化期間に相当する。
【0071】
次に、画素への書き込みが開始される。処理回路42は、階調値0、127、・・・、1023のDTL[9:0]と階調値0、63、・・・、511のDTH[9:0]と、を順次に出力する。これにより、D/A変換電圧DAQが0.9Vから1.4Vまで順次に変化し、出力電圧VQが7.5Vから10Vまで順次に変化する。なお、ここでは電圧範囲が分かりやすい階調値を例示しただけであり、上述したように各画素に書き込まれる階調値は任意であってよい。
【0072】
図11は、第1駆動回路と第2駆動回路の動作を説明する第3波形例である。
図11には、極性反転駆動の負極性駆動期間においてフィードバックゲインを1/5としたときの波形例を示す。
【0073】
水平走査期間が開始された後、処理回路42は、DTH[9:0]=DTL[9:0]=0を出力すると共に、DTH[10]=DTL[10]を0から1にする。これは、DTH[10:0]=DTL[10:0]=1024に相当するので、D/A変換電圧DAQ=0.9V、出力電圧VQ=7.5Vである。
【0074】
次に、初期化スイッチSWRがオフからオンになり、オンからオフになる。初期化スイッチSWRがオンのとき、演算増幅器71の反転入力ノードNANの電圧VFBが基準電圧VREF=VCL=0.9Vに初期化される。
【0075】
次に、処理回路42は、DTH[10]=DTL[10]を1から0にする。次に、画素への書き込みが開始される。処理回路42は、階調値0、127、・・・、1023のDTL[9:0]と階調値511、757、・・・、1023のDTH[9:0]を順次に出力する。これにより、D/A変換電圧DAQが0.4Vから0.9Vまで順次に変化し、出力電圧VQが5Vから7.5Vまで順次に変化する。なお、ここでは電圧範囲が分かりやすい階調値を例示しただけであり、各画素に書き込まれる階調値は任意であってよい。
【0076】
以上の実施形態において、ドライバー100は、第1駆動回路60と第2駆動回路70とを含む。第1駆動回路60は、階調データGD[9:0]に基づいて、電気光学パネル200の信号供給線にデータ信号を供給する。第2駆動回路70は、演算増幅器71と出力キャパシターCQと第1フィードバックキャパシターCfaと第2フィードバックキャパシターCfbとを含む。出力キャパシターCQの一端は、演算増幅器71の出力ノードNAMQと電気的に接続され、他端は、信号供給線と電気的に接続される。第1フィードバックキャパシターCfaの一端は、演算増幅器71の反転入力ノードNANと電気的に接続され、他端は、信号供給線と電気的に接続される。第2フィードバックキャパシターCfbの一端は、演算増幅器71の反転入力ノードNANと電気的に接続され、他端は、所定電位ノードと電気的に接続される。第2駆動回路70は、信号供給線と電気的に接続される。第1フィードバックキャパシターCfa及び第2フィードバックキャパシターCfbの少なくとも一方は、容量値が可変のキャパシターである。
【0077】
本実施形態によれば、第1フィードバックキャパシターCfa及び第2フィードバックキャパシターCfbの少なくとも一方の容量値が可変なので、信号供給線から演算増幅器71の反転入力ノードNANへのフィードバックゲイン、及び第2駆動回路70のゲインを可変にできる。これにより、第2駆動回路70の階調数と1階調の電圧ステップを変えずに、信号供給線に出力されるデータ電圧の電圧範囲を変えることができる。上述したように、電気光学パネル200に入射する光の色などによって画素に印加される電圧の範囲を変える必要があるが、本実施形態によれば、階調数と1階調の電圧ステップを維持したまま画素に印加される電圧の範囲を変更できる。
【0078】
なお、電気的な接続とは、電気信号が伝達可能に接続されていることであり、電気信号による情報の伝達が可能となる接続である。電気的な接続は能動素子等を介した接続であってもよい。
【0079】
また本実施形態では、第2駆動回路70はD/A変換回路72を含む。D/A変換回路72は、演算増幅器71の反転入力ノードNANに対して、階調データGD[9:0]に基づくD/A変換電圧DAQを供給する。
【0080】
本実施形態によれば、D/A変換電圧DAQと、信号供給線から演算増幅器71の反転入力ノードNANにフィードバックされた電圧VFBとの間に差が生じたとき、演算増幅器71が出力キャパシターCQを介して信号供給線に電荷を供給することで、信号供給線の電圧と、階調データGD[9:0]に対応した目標電圧との差を補正できる。これにより、第1駆動回路60により信号供給線に出力された電圧と目標電圧との間に誤差がある場合であっても、第2駆動回路70が、その誤差を補正できる。
【0081】
また、上記誤差は目標電圧に比べて十分小さいものと考えられることから、演算増幅器71が供給すべき電荷量は小さいとみなせる。これにより、演算増幅器71の出力ノードNAMQの電圧変化は小さいので、演算増幅器71を、第1駆動回路60を構成するトランジスターの耐圧より低い耐圧のトランジスターにより構成することが、可能になる。
【0082】
また本実施形態では、演算増幅器71は、第1駆動回路60を構成するトランジスターの耐圧より低い耐圧のトランジスターにより構成される。
【0083】
本実施形態によれば、演算増幅器71の出力ノードNAMQと信号供給線が出力キャパシターCQによりカップリングされ、演算増幅器71の反転入力ノードNANと信号供給線が第1フィードバックキャパシターCfaによりカップリングされる。これにより、演算増幅器71と信号供給線がDC的に非接続になるので、演算増幅器71を、第1駆動回路60を構成するトランジスターの耐圧より低い耐圧のトランジスターにより構成できる。
【0084】
また本実施形態では、第1駆動回路60を構成するトランジスターのソースードレイン間距離の長さが、第2駆動回路70を構成するトランジスターのソースードレイン間距離の長さよりも長い。または、第1駆動回路60を構成するトランジスターのゲート絶縁膜の膜厚が、第2駆動回路70を構成するトランジスターのゲート絶縁膜の膜厚よりも厚い。
【0085】
本実施形態によれば、演算増幅器71を含む第2駆動回路70を構成するトランジスターを、第1駆動回路60を構成するトランジスターの耐圧より低い耐圧のトランジスターで構成できる。
【0086】
また、第1フィードバックキャパシターCfaと第2フィードバックキャパシターCfbにより信号供給線の電圧が分圧されて演算増幅器71の反転入力ノードNANにフィードバックされる。これにより、信号供給線の電圧よりも低い電圧が演算増幅器71の反転入力ノードNANに印加されるので、演算増幅器71を、第1駆動回路60を構成するトランジスターの耐圧より低い耐圧のトランジスターにより構成できる。
【0087】
また、演算増幅器71を、第1駆動回路60を構成するトランジスターの耐圧より低い耐圧のトランジスターにより構成することで、演算増幅器71を高い移動度のトランジスターで構成できる。これにより、演算増幅器の増幅率と周波数応答特性を両立できる。例えば、高解像化等に伴って駆動速度を速くするためには演算増幅器の周波数応答特性を高くする必要があるが、演算増幅器の増幅率を保ったまま周波数応答特性を高くでき、演算増幅器の消費電力を抑えることが可能になる。
【0088】
また本実施形態では、第2フィードバックキャパシターCfbの容量値は、第1フィードバックキャパシターCfaの容量値より大きい。
【0089】
第2駆動回路70のゲインは(Cfa+Cfb)/Cfaである。本実施形態によれば、ゲインが2より大きくなるので、演算増幅器71に印加される電圧範囲は、信号供給線の電圧範囲の1/2より小さくなる。これにより、演算増幅器71を、第1駆動回路60を構成するトランジスターの耐圧より低い耐圧のトランジスターにより構成できる。
【0090】
また本実施形態では、ドライバー100は、可変の容量値に応じたゲインで階調データGD[9:0]を乗算処理した第2階調データDTH[10:0]を出力する処理回路42を含む。第1駆動回路60は、第2階調データDTH[10:0]に基づいて信号供給線にデータ信号を供給する。
【0091】
本実施形態によれば、第1駆動回路60が、可変の容量値に応じたゲインで階調データGD[9:0]を乗算処理した第2階調データDTH[10:0]に基づいてデータ電圧を出力することで、その電圧範囲がゲインに応じて変化する。そして、その電圧範囲を変えるゲインとフィードバックゲインがキャンセルすることで、演算増幅器71の反転入力ノードNANにフィードバックされる電圧の範囲を一定にできる。これにより、第2駆動回路70の階調数と1階調の電圧ステップを変えずに、信号供給線に出力されるデータ電圧の電圧範囲を変えることができる。
【0092】
なお、
図7の例において、可変の容量値に応じたゲインは、フィードバックゲインが1/10の場合には(1/10)/(1/10)=1であり、フィードバックゲインが1/5の場合には(1/10)/(1/5)=1/2である。乗算処理は単純にゲインを乗じる演算に限定されない。
図7の例において、乗算処理は、1024を基準として第2階調データDTH[10:0]の傾きを1倍又は1/2倍する処理である。
【0093】
また本実施形態では、第1フィードバックキャパシターCfaは、信号供給線と演算増幅器71の反転入力ノードNANとの間に直列に配置されたスイッチとキャパシターの対が、複数並列に配置された第1スイッチ群及び第1キャパシター群を含む。第2フィードバックキャパシターCfbは、演算増幅器71の反転入力ノードNANと所定電位ノードとの間に直列に配置されたスイッチとキャパシターの対が、複数並列に配置された第2スイッチ群及び第2キャパシター群を含む。
【0094】
本実施形態によれば、第1スイッチ群の各スイッチがオン又はオフされることで、第1キャパシター群のうち、オンになったスイッチに直列接続されたキャパシターが信号供給線と演算増幅器71の反転入力ノードNANとの間に接続される。これにより、第1フィードバックキャパシターCfaの容量値が可変に制御される。同様に、第2スイッチ群の各スイッチがオン又はオフされることで、第2フィードバックキャパシターCfbの容量値が可変に制御される。
【0095】
なお、
図5の例において、キャパシターCa1~Ca4が第1キャパシター群に対応し、スイッチSWa1~SWa4が第1スイッチ群に対応する。例えばスイッチSWa1とキャパシターCa1が直列に接続されており、対を成している。
図5の例では、このような対が4つ並列に接続されている。
【0096】
また本実施形態では、ドライバー100は初期化スイッチSWRを含む。初期化スイッチSWRは、初期化期間においてオンになり、基準電圧VREFを演算増幅器71の反転入力ノードNANに供給する。
【0097】
本実施形態によれば、演算増幅器71の反転入力ノードNANが基準電圧VREFを基準として変化する。D/A変換電圧DAQの範囲をVREF-ΔV1~VREF+ΔV2と表したとき、VREF-ΔV1が第2駆動回路70の低電位側電源電圧VSLより高く、VREF+ΔV2が第2駆動回路70の高電位側電源電圧VDLより低くなるように基準電圧VREFを設定しておけばよい。
【0098】
また本実施形態では、第1駆動回路60はキャパシター駆動回路20とキャパシター回路10とを含む。キャパシター駆動回路20は、階調データDTH[10:0]に対応する第1~第nキャパシター駆動電圧を第1~第nキャパシター駆動用ノードNDR1~NDRnに出力する。nは2以上の整数である。キャパシター回路10は、信号供給線と、第1~第nキャパシター駆動用ノードNDR1~NDRnとの間に配置される第1~第nキャパシターC1~Cnを有する。
【0099】
本実施形態によれば、キャパシター駆動回路20が、階調データDTH[10:0]に対応する第1~第nキャパシター駆動電圧を出力することで、第1~第nキャパシターC1~Cnが、階調データDTH[10:0]に対応する電荷量の電荷を信号供給線に出力する。これにより、階調データDTH[10:0]に対応する電圧が信号供給線に出力される。この駆動はフィードバック制御されていないので、その駆動により出力される電圧と目標電圧との間に誤差が生じることがある。第2駆動回路70は、その誤差をフィードバック制御によって補正できる。
【0100】
3.第2実施形態
図12は、ドライバーの第2詳細構成例である。本構成例では、データ線駆動回路110は、第1駆動回路60と第2駆動回路70とを含む。また、処理回路42は、階調データGD[9:0]に基づいて、第1駆動回路60の駆動能力を設定する設定データDP[9:0]、DN[9:0]を出力する。なお、第2駆動回路70の構成と動作は第1実施形態と同様なので、以下では主に第1駆動回路60の構成と動作について説明する。
【0101】
図13は、階調データ、設定データ及びデータ電圧の関係を説明する図である。階調データGD[9:0]、階調データDTH[10:0]及びデータ電圧の関係は
図7と同様である。
図13には、フィードバックゲインが1/5のときのDP、DNの演算例を示すが、フィードバックゲインによらず演算手法は同じである。
【0102】
ある画素が階調値DTH1で駆動され、次の画素が階調値DTH2で駆動され、DTH2-DTH1>0であるとする。このとき、処理回路42は、DP[9:0]=|DTH2-DTH1|、DN[9:0]=0を出力する。ある画素が階調値DTH3で駆動され、次の画素が階調値DTH4で駆動され、DTH4-DTH3<0であるとする。このとき、処理回路42は、DP[9:0]=0、DN[9:0]=|DTH4-DTH3|を出力する。
図13には正極性駆動の例を示したが、負極性駆動についても同様である。
【0103】
なお、差分をとるときにDTH[10]がキャンセルするので、階調データGD[9:0]からDTH[10:0]を経由せずに直接にDP[9:0]とDN[9:0]を演算することも可能である。
【0104】
図14は、第1駆動回路の第2詳細構成例である。本構成例において、第1駆動回路60は、第1駆動トランジスター群TRG1と第2駆動トランジスター群TRG2とを含む。
【0105】
第1駆動トランジスター群TRG1は、高電位側電源電圧VDHのノードと出力ノードNVQの間に並列接続されたP型トランジスターTP1~TP10を含む。P型トランジスターTP1のゲートにはビット信号XDP[0]が入力される。同様に、P型トランジスターTP2~TP10のゲートにはビット信号XDP[1]~XDP[9]が入力される。XDP[9:0]は、DP[9:0]の各ビットを論理反転したデータである。P型トランジスターTP1~TP10の駆動能力はバイナリに重み付けされている。即ち、P型トランジスターTPiの駆動能力は、P型トランジスターTP1の駆動能力の2(i-1)倍である。駆動能力は、例えばトランジスターのゲート幅、或いはユニットトランジスターの並列接続数によって調整される。
【0106】
第2駆動トランジスター群TRG2は、出力ノードNVQと低電位側電源電圧VSHの間に並列接続されたN型トランジスターTN1~TN10を含む。N型トランジスターTN1のゲートにはビット信号DN[0]が入力される。同様に、N型トランジスターTN2~TN10のゲートにはビット信号DN[1]~DN[9]が入力される。N型トランジスターTN1~TN10の駆動能力はバイナリに重み付けされている。即ち、N型トランジスターTNiの駆動能力は、N型トランジスターTN1の駆動能力の2(i-1)倍である。
【0107】
例えばP型トランジスターTP1がオンしているときに流す電流をItp1とし、1画素を駆動するオン期間をtonとする。P型トランジスターTP1が出力ノードNVQに供給する電荷はItp1×tonであり、その電荷による出力電圧VQの変化は(Itp1×ton)/CPである。この電圧変化が1LSB分になるようにItp1が設定される、つまりP型トランジスターTP1の駆動能力が設定される。
【0108】
図15は、第1駆動回路と第2駆動回路の動作を説明する第4波形例である。
図15には、正極性駆動期間においてフィードバックゲインを1/5としたときの波形例を示す。
【0109】
水平走査期間が開始された後、処理回路42は、DTL[9:0]=DP[9:0]=DN[9:0]=0を出力すると共に、DTL[10]を0から1にする。これは、DTL[10:0]=1024に相当するので、D/A変換電圧DAQ=0.9V、出力電圧VQ=7.5Vである。
【0110】
次に、初期化スイッチSWRがオフからオンになり、オンからオフになる。初期化スイッチSWRがオンのとき、演算増幅器71の反転入力ノードNANの電圧VFBが基準電圧VREF=VCL=0.9Vに初期化される。
【0111】
次に、画素への書き込みが開始される。処理回路42は、階調値0、127、・・・、1023のDTL[9:0]を順次に出力すると共に、DP[9:0]=0、64、64、・・・、64を順次に出力する。これにより、D/A変換電圧DAQが0.9Vから1.4Vまで順次に変化し、出力電圧VQが7.5Vから10Vまで順次に変化する。なお、
図15にはDP[9:0]>0、DN[9:0]=0の例を示したが、DTL[9:0]の階調値が下がる場合にはDP[9:0]=0、DN[9:0]>0となる。なお、ここでは電圧範囲が分かりやすい階調値を例示しただけであり、各画素に書き込まれる階調値は任意であってよい。
【0112】
負極性駆動期間については、波形の図示を省略する。負極性駆動期間において、SWR、DTL[9:0]、DP[9:0]、DN[9:0]の波形は
図15と同様である。DTL[10]、DAQ、VQの波形は
図11と同様である。
【0113】
以上の実施形態において、ドライバー100は、第1駆動回路60を制御する制御回路40を含む。第1駆動回路60は、高電位側電源電圧VDHが供給されるノードと信号供給線の間に配置される第1駆動トランジスター群TRG1と、低電位側電源電圧VSHが供給されるノードと信号供給線の間に配置される第2駆動トランジスター群TRG2と、を含む。制御回路40は、階調データGD[9:0]に基づいて、第1駆動トランジスター群TRG1の各トランジスター又は第2駆動トランジスター群TRG2の各トランジスターを、オン又はオフに制御する。
【0114】
本実施形態によれば、階調データGD[9:0]に基づいて第1駆動トランジスター群TRG1又は第2駆動トランジスター群TRG2のうちオンされたトランジスターが、階調データGD[9:0]に対応する電荷量の電荷を信号供給線に出力する。これにより、階調データGD[9:0]に対応する電圧が信号供給線に出力される。この駆動はフィードバック制御されていないので、その駆動により出力される電圧と目標電圧との間に誤差が生じることがある。第2駆動回路70は、その誤差をフィードバック制御によって補正できる。
【0115】
4.第3実施形態
第3実施形態において、第1駆動回路60の構成と動作は第1実施形態又は第2実施形態と同様である。以下、第2駆動回路70の構成と動作について、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0116】
図16は、第2駆動回路の第2詳細構成例である。第2駆動回路70は、演算増幅器71とD/A変換回路72と出力キャパシターCQと第1フィードバックキャパシターCfaと第2フィードバックキャパシターCfbと電圧シフト回路73とを含む。
【0117】
処理回路42は、階調データGD[9:0]に基づいて階調データDTM[9:0]を出力する。D/A変換回路72は、階調データDTM[9:0]をD/A変換電圧DAQにD/A変換する。
図17に、階調データとD/A変換電圧の関係を示す。処理回路42は、正極性駆動においてDTM[9:0]=GD[9:0]とし、負極性駆動においてDTM[9:0]=XGD[9:0]とする。D/A変換回路72は、DTM[9:0]=0~1023に対してDAQ=0.4V~1.4Vを出力する。
【0118】
電圧シフト回路73は、初期化スイッチSWRとシフト用キャパシターCFRと電圧出力回路DFRとを含む。
【0119】
シフト用キャパシターCFRの一端は、演算増幅器71の反転入力ノードNANに接続される。電圧出力回路DFRには、極性反転信号FRの論理反転信号である信号XFRが入力される。電圧出力回路DFRは、信号XFRがローレベルのときVSL=0Vの電圧レベルの信号をシフト用キャパシターCFRの他端に出力し、信号XFRがハイレベルのときVDL=1.8Vの電圧レベルの信号をシフト用キャパシターCFRの他端に出力する。
【0120】
出力電圧VQの範囲が10Vのとき、フィードバックゲインを第1実施形態では1/10に設定したが、第3実施形態では1/5に設定する。これにより、正極性駆動と負極正駆動の各々において、D/A変換電圧DAQの範囲1Vに対して出力電圧VQの範囲が5Vになる。このとき、CfaとCfb+CFRの分圧比は4:1なので、(Cfb+CFR)/Cfa=4である。出力電圧VQの範囲が5Vのときには、フィードバックゲインを第1実施形態では1/5に設定したが、第3実施形態では1/2.5に設定する。このとき、CfaとCfb+CFRの分圧比は1.5:1なので、(Cfb+CFR)/Cfa=1.5である。
【0121】
また、シフト用キャパシターCFRの他端の電圧が1.8V変化したとき、電圧VFBが0.5V変化するように、CFR、Cfbの容量値を設定する。このとき、CFRとCfbの分圧比は1.3:0.5なので、Cfb/CFR=1.3V/0.5V=2.6である。
【0122】
なお、電圧出力回路DFRの前段にレベルシフターを設けてもよい。レベルシフターは、信号XFRの電圧レベルを高耐圧用の電源電圧VSH、VDHのレベルにレベルシフトする。この場合、電圧出力回路DFRは高耐圧のトランジスターで構成され、電源電圧VSH、VDHで動作する。
【0123】
図18は、第1駆動回路と第2駆動回路の動作を説明する第5波形例である。
図18には、正極性駆動期間においてフィードバックゲインを1/5としたときの波形例を示す。
【0124】
水平走査期間が開始された後、処理回路42は、DTH[9:0]=0、DTM[9:0]=511を出力すると共に、DTH[10]を0から1にする。このとき、D/A変換電圧DAQ=0.9V、出力電圧VQ=7.5Vである。
【0125】
次に、処理回路42は、信号XFRをローレベルからハイレベルにした後、初期化スイッチSWRをオフからオンに、オンからオフにする。信号XFRがハイレベルであり且つ初期化スイッチSWRがオンのとき、演算増幅器71の反転入力ノードNANの電圧VFBが基準電圧VREF=VCL=0.9Vに初期化される。次に、処理回路42は、信号XFRをハイレベルからローレベルにする。これにより、演算増幅器71の反転入力ノードNANの電圧VFBが0.9Vから、正極性用の初期化電圧に対応した0.4Vにシフトされる。なお、
図18において、初期化スイッチSWRがオフからオンになった後、信号XFRがハイレベルからローレベルになるまでの期間が、初期化期間に相当する。
【0126】
次に、画素への書き込みが開始される。処理回路42は、階調値0、127、・・・、1023のDTM[9:0]と階調値0、63、・・・、511のDTH[9:0]を順次に出力する。これにより、D/A変換電圧DAQが0.4Vから1.4Vまで順次に変化し、出力電圧VQが7.5Vから10Vまで順次に変化する。なお、ここでは電圧範囲が分かりやすい階調値を例示しただけであり、各画素に書き込まれる階調値は任意であってよい。
【0127】
図19は、第1駆動回路と第2駆動回路の動作を説明する第6波形例である。
図18には、負極性駆動期間における水平走査期間においてフィードバックゲインを1/5としたときの波形例を示す。
【0128】
水平走査期間が開始された後、処理回路42は、DTH[9:0]=0、DTM[9:0]=511を出力すると共に、DTH[10]を0から1にする。このとき、D/A変換電圧DAQ=0.9V、出力電圧VQ=7.5Vである。
【0129】
次に、処理回路42は、信号XFRをハイレベルからローレベルにした後、初期化スイッチSWRをオフからオンに、オンからオフにする。信号XFRがローレベルであり且つ初期化スイッチSWRがオンのとき、演算増幅器71の反転入力ノードNANの電圧VFBが基準電圧VREF=VCL=0.9Vに初期化される。次に、処理回路42は、信号XFRをローレベルからハイレベルにする。これにより、演算増幅器71の反転入力ノードNANの電圧VFBが0.9Vから、負極性用の初期化電圧に対応した1.4Vにシフトされる。
【0130】
次に、画素への書き込みが開始される。処理回路42は、DTH[10]を1から0にした後、階調値1023、895、・・・、0のDTM[9:0]と階調値1023、959、・・・、511のDTH[9:0]を順次に出力する。これにより、D/A変換電圧DAQが1.4Vから0.4Vまで順次に変化し、出力電圧VQが7.5Vから5Vまで順次に変化する。なお、ここでは電圧範囲が分かりやすい階調値を例示しただけであり、各画素に書き込まれる階調値は任意であってよい。
【0131】
図20は、第2駆動回路の第3詳細構成例である。本構成例において、電圧シフト回路73は、第1初期化スイッチSWRPと第2初期化スイッチSWRNとを含む。
【0132】
第1初期化スイッチSWRPの一端は、演算増幅器71の反転入力ノードNANに接続され、他端は、正極性用の初期化電圧PVRが供給されるノードNPVRに接続される。第2初期化スイッチSWRNの一端は、演算増幅器71の反転入力ノードNANに接続され、他端は、負極性用の初期化電圧NVRが供給されるノードNNVRに接続される。初期化電圧PVR、NVRは、例えば、ドライバー100に含まれる不図示の電圧生成回路からノードNPVR、NNVRに供給される。
【0133】
処理回路42は、極性反転信号に基づいて第1初期化スイッチSWRPと第2初期化スイッチSWRNをオン又はオフに制御する。具体的には、正極性駆動期間の初期化期間において第1初期化スイッチSWRPがオンになり、演算増幅器71の反転入力ノードNANが初期化電圧PVR=0.4Vで初期化される。負極性駆動期間の初期化期間において第2初期化スイッチSWRNがオンになり、演算増幅器71の反転入力ノードNANが初期化電圧NVR=1.4Vで初期化される。
【0134】
以上の実施形態において、ドライバー100は電圧シフト回路73を含む。電圧シフト回路73は、演算増幅器71の反転入力ノードNANに電気的に接続され、反転入力ノードNANの電圧VFBをシフトする。
【0135】
本実施形態によれば、電圧シフト回路73が反転入力ノードNANの電圧VFBをシフトすることで、反転入力ノードNANの電圧VFBの基準がシフトされる。出力電圧VQの範囲を複数の範囲に分割して各範囲に対して電圧VFBの基準をシフトすることで、出力電圧VQの各範囲とD/A変換電圧DAQの範囲とを対応付けることが可能になる。これにより、第2駆動回路70のゲイン(Cfa+Cfb)/Cfaを下げると共に、D/A変換の階調数を下げることが可能になる。
【0136】
また本実施形態では、電圧シフト回路73は、極性反転信号FRに基づいて、正極性駆動期間の初期化期間と負極性駆動期間の初期化期間とで異なる初期化電圧を、演算増幅器71の反転入力ノードNANに設定する。
【0137】
例えば、
図16において、シフト用キャパシターCFRと電圧出力回路DFRが極性反転信号に基づいて初期化電圧を設定している。或いは、
図20において、第1初期化スイッチSWRPと第2初期化スイッチSWRNが極性反転信号に基づいて初期化電圧を設定している。
【0138】
本実施形態によれば、正極性駆動期間における出力電圧VQの範囲7.5V~12.5VとD/A変換電圧DAQの範囲0.4V~1.4Vとが対応付けられ、負極性駆動期間における出力電圧VQの範囲7.5V~2.5VとD/A変換電圧DAQの範囲1.4V~0.4Vとが対応付けられる。これにより、第2駆動回路70のゲイン(Cfa+Cfb)/Cfaを約1/2にすると共に、D/A変換の階調数を2048から1/2の1024に下げることが可能になる。
【0139】
5.第4実施形態
第3実施形態において、第1駆動回路60の構成と動作は第1実施形態又は第2実施形態と同様である。以下、第2駆動回路70の構成と動作について、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0140】
図21は、第2駆動回路の第4詳細構成例である。第2駆動回路70は、演算増幅器71と出力キャパシターCQと第1フィードバックキャパシターCfaと第2フィードバックキャパシターCfbと初期化スイッチSWRと第1~第m+1電圧出力用キャパシターCB1~CBm+1と第1~第m+1電圧出力回路DB1~DBm+1とを含む。なお、ここではm=10の例を説明するが、mは2以上の整数であればよい。第4実施形態においては、m+1が階調データDTL[10:0]のビット数と同数に設定されればよい。
【0141】
電圧出力用キャパシターCBpの一端は、演算増幅器71の反転入力ノードNANに接続され、他端は、電圧出力回路DBpの出力ノードに接続される。pは1以上でm+1=11以下の整数である。電圧出力用キャパシターCB1~CB11は、バイナリに重み付けされた容量値を有している。具体的には電圧出力用キャパシターCBpの容量値は2(p-1)×CB1である。
【0142】
電圧出力回路DBpは、ビット信号DTL[p-1]の論理反転信号であるビット信号XDTL[p-1]が第1論理レベルのとき第1電圧レベルを出力し、ビット信号XDTL[p-1]が第2論理レベルのとき第2電圧レベルを出力する。例えば、第1論理レベルは“0”であり、第2論理レベルは“1”であり、第1電圧レベルは低電位側電源電圧VSHであり、第2電圧レベルは高電位側電源電圧VDHである。電圧出力回路DBpは、低耐圧プロセスのトランジスターで構成され、電源電圧VDLとVSLで動作する。電圧出力回路DBpは、入力された信号をバッファリングして出力するバッファー回路である。
【0143】
初期化スイッチSWRの一端は演算増幅器71の反転入力ノードNANに接続され、他端は、基準電圧VREFが供給されるノードNVREFに接続される。演算増幅器71の非反転入力ノードは、基準電圧VREFが供給されるノードNVREFに接続される。
【0144】
初期化スイッチSWRは画素駆動時にはオフである。このとき、演算増幅器71の反転入力ノードNANの電圧VFBがバーチャルショートにより基準電圧VREF=0.9Vとなるように、演算増幅器71がフィードバック制御を行う。これにより、階調データDTL[10:0]に応じてビット信号XDTL[10]~XDTL[0]が0又は1になることで、階調データDTL[10:0]に応じたデータ電圧が出力ノードNVQに出力される。
【0145】
各キャパシターの容量値について説明する。以下では、CB1~CB11の合計容量をCB=CB1+CB2+・・・+CB11と表記する。
【0146】
例えばフィードバックゲインを1/10とし、第2駆動回路70のゲインを10とする。このとき、出力電圧VQの範囲は10Vである。XDTL[10]~XDTL[0]が全て1から0に変化したとき、即ち電圧出力回路DB1~DB11の出力電圧が全てVDL=1.8VからVSL=0Vに変化したとき、出力電圧VQが10V変化すればよいので、CB/Cfa=10V/1.8V=50/9である。
【0147】
逆に第1駆動回路60が出力ノードNVQの電圧を10V変化させたとき、第1フィードバックキャパシターCfaを介して演算増幅器71の反転入力ノードNANにフィードバックされる電圧変化を、Vfaとする。Vfa≦1.8Vであればよいが、ここではVfa=1Vとする。この場合、CfaとCfb+CBとにより10Vが9:1に分圧されればよいので、(Cfb+CB)/Cfa=9である。
【0148】
また例えば、フィードバックゲインを1/5とし、第2駆動回路70のゲインを5とする。このとき、出力電圧VQの範囲は5Vである。XDTL[10]~XDTL[0]が全て1から0に変化したとき、即ち電圧出力回路DB1~DB11の出力電圧が全てVDL=1.8VからVSL=0Vに変化したとき、出力電圧VQが5V変化すればよいので、CB/Cfa=5V/1.8V=25/9である。
【0149】
逆に第1駆動回路60が出力ノードNVQの電圧を5V変化させたとき、第1フィードバックキャパシターCfaを介して演算増幅器71の反転入力ノードNANにフィードバックされる電圧変化を、Vfa=1Vとする。この場合、CfaとCfb+CBとにより10Vが4:1に分圧されればよいので、(Cfb+CB)/Cfa=4である。
【0150】
なお、XDTL[10]~XDTL[0]の変化による反転入力ノードNANの電圧変化は、最大で1.8Vなので、Vfa≦1.8Vであればよい。Vfa≦1.8Vであれば、XDTL[10]~XDTL[0]の変化による反転入力ノードNANの電圧変化と、第1駆動回路60が出力ノードNVQの電圧を変化させたときの反転入力ノードNANの電圧変化とを釣り合わせることができる。即ち、理想的に電圧変化が釣り合っている限りは、演算増幅器71が電荷を出力しなくても反転入力ノードNANの電圧がVFB=0.9Vに保たれ、釣り合いに誤差が有る場合にのみ、その誤差を補正する分だけの電荷を演算増幅器71が出力すればよいことになる。
【0151】
出力キャパシターCQの容量値は、演算増幅器71の出力電圧AMQがVSL~VDLの範囲内となるように設定されていれば、任意であってよい。例えば、出力キャパシターCQの容量値は、キャパシター回路10と可変容量回路30と電気光学パネル側容量CPの合計の1~10倍程度に設定される。一例として、出力キャパシターCQの容量値が上記合計の4倍である場合に、出力電圧VQの誤差0.1Vを補償するためには、演算増幅器71の出力電圧AMQは0.1V×(5/4)=0.125Vだけ変化すればよい。
【0152】
以上の実施形態において、ドライバー100は、第1駆動回路60と第2駆動回路70とを含む。第1駆動回路60は、階調データに基づいて、電気光学パネル200の信号供給線にデータ信号を供給する。第2駆動回路70は、演算増幅器71と出力キャパシターCQと第1フィードバックキャパシターCfaと第1~第m電圧出力用キャパシターCB1~CBmと第1~第m電圧出力回路DB1~DBmとを含む。出力キャパシターCQの一端は、演算増幅器71の出力ノードNAMQと電気的に接続され、他端は、信号供給線と電気的に接続される。第1フィードバックキャパシターCfaの一端は、演算増幅器71の反転入力ノードNANと電気的に接続され、他端は、信号供給線と電気的に接続される。第1フィードバックキャパシターCfaは、容量値が可変のキャパシターである。第1~第m電圧出力用キャパシターCB1~CBmの一端は、演算増幅器71の反転入力ノードNANに電気的に接続される。第1~第m電圧出力回路DB1~DBmは、第1~第m電圧出力用キャパシターCB1~CBmの他端に、第1~第m電圧出力回路DB1~DBmは、第1~第m電圧出力用キャパシターCB1~CBmの他端に、階調データに基づく電圧を出力する。第2駆動回路70は、信号供給線に電気的に接続される。
【0153】
本実施形態によれば、第1フィードバックキャパシターCfaの容量値が可変なので、信号供給線から演算増幅器71の反転入力ノードNANへのフィードバックゲイン、及び第2駆動回路70のゲインを可変にできる。これにより、第2駆動回路70の階調数と1階調の電圧ステップを変えずに、信号供給線に出力されるデータ電圧の電圧範囲を変えることができる。上述したように、電気光学パネル200に入射する光の色などによって画素に印加される電圧の範囲を変える必要があるが、本実施形態によれば、階調数と1階調の電圧ステップを維持したまま画素に印加される電圧の範囲を変更できる。
【0154】
また本実施形態では、演算増幅器71は、第1駆動回路60を構成するトランジスターの耐圧より低い耐圧のトランジスターにより構成される。
【0155】
本実施形態によれば、演算増幅器71の出力ノードNAMQと信号供給線が出力キャパシターCQによりカップリングされ、演算増幅器71の反転入力ノードNANと信号供給線が第1フィードバックキャパシターCfaによりカップリングされる。これにより、演算増幅器71と信号供給線がDC的に非接続になるので、演算増幅器71を、第1駆動回路60を構成するトランジスターの耐圧より低い耐圧のトランジスターにより構成できる。
【0156】
6.電子器機
図22は、本実施形態のドライバーを含む電子機器の構成例である。本実施形態の電子機器として、表示装置を搭載する種々の電子機器を想定できる。例えば、電子器機は、プロジェクター、テレビション装置、情報処理装置、携帯型情報端末、カーナビゲーションシステム、又は携帯型ゲーム端末等である。
【0157】
電子機器500は、電気光学装置400、表示コントローラー300と、処理装置310と、記憶部320と、ユーザーインターフェース部330と、データインターフェース部340とを含む。電気光学装置400は、ドライバー100と電気光学パネル200とを含む。
【0158】
電気光学パネル200は例えばマトリックス型の液晶表示パネルである。或は、電気光学パネル200は自発光素子を用いたEL表示パネルであってもよい。ELはElectro-Luminescenceの略である。ユーザーインターフェース部330は、ユーザーからの種々の操作を受け付けるインターフェース部である。例えば、ボタン、マウス、キーボード、又は電気光学パネル200に装着されたタッチパネル等で構成される。データインターフェース部340は、画像データ又は制御データの入出力を行うインターフェース部である。例えばUSB等の有線通信インターフェース、或は無線LAN等の無線通信インターフェースである。記憶部320は、データインターフェース部340から入力された画像データを記憶する。或は、記憶部320は、処理装置310又は表示コントローラー300のワーキングメモリーとして機能する。処理装置310は、電子機器の各部の制御処理や種々のデータ処理を行う。処理装置310は、例えばCPU又はマイクロコンピューター等のプロセッサーである。表示コントローラー300はドライバー100の制御処理を行う。例えば、表示コントローラー300は、データインターフェース部340又は記憶部320から転送された画像データを、ドライバー100が受け付け可能な形式に変換し、その変換された画像データをドライバー100へ出力する。ドライバー100は、表示コントローラー300から転送された画像データに基づいて電気光学パネル200を駆動する。
【0159】
以上に説明した本実施形態のドライバーは、第1駆動回路と第2駆動回路とを含む。第1駆動回路は、階調データに基づいて、電気光学パネルの信号供給線にデータ信号を供給する。第2駆動回路は、演算増幅器を含む。第2駆動回路は、一端が演算増幅器の出力ノードと電気的に接続され、他端が信号供給線と電気的に接続される出力キャパシターを含む。第2駆動回路は、一端が演算増幅器の反転入力ノードと電気的に接続され、他端が信号供給線と電気的に接続される第1フィードバックキャパシターを含む。第2駆動回路は、一端が演算増幅器の反転入力ノードと電気的に接続され、他端が所定電位ノードと電気的に接続される第2フィードバックキャパシターを含む。第2駆動回路は、信号供給線に電気的に接続される。第1フィードバックキャパシター及び第2フィードバックキャパシターの少なくとも一方は、容量値が可変のキャパシターである。
【0160】
本実施形態によれば、第1フィードバックキャパシター及び第2フィードバックキャパシターの少なくとも一方の容量値が可変なので、信号供給線から演算増幅器の反転入力ノードへのフィードバックゲイン、及び第2駆動回路のゲインを可変にできる。これにより、第2駆動回路の階調数と1階調の電圧ステップを変えずに、信号供給線に出力されるデータ電圧の電圧範囲を変えることができる。電気光学パネルに入射する光の色などによって画素に印加される電圧の範囲を変える必要があるが、本実施形態によれば、階調数と1階調の電圧ステップを維持したまま画素に印加される電圧の範囲を変更できる。
【0161】
また本実施形態では、第2駆動回路は、演算増幅器の反転入力ノードに対して、階調データに基づくD/A変換電圧を供給するD/A変換回路を含んでもよい。
【0162】
本実施形態によれば、D/A変換電圧と、信号供給線から演算増幅器の反転入力ノードにフィードバックされた電圧との間に差が生じたとき、演算増幅器が出力キャパシターを介して信号供給線に電荷を供給することで、信号供給線の電圧と、階調データに対応した目標電圧との差を補正できる。これにより、第1駆動回路により信号供給線に出力された電圧と目標電圧との間に誤差がある場合であっても、第2駆動回路が、その誤差を補正できる。
【0163】
また本実施形態では、演算増幅器は、第1駆動回路を構成するトランジスターの耐圧より低い耐圧のトランジスターにより構成されてもよい。
【0164】
本実施形態によれば、演算増幅器の出力ノードと信号供給線が出力キャパシターによりカップリングされ、演算増幅器の反転入力ノードと信号供給線が第1フィードバックキャパシターによりカップリングされる。これにより、演算増幅器と信号供給線がDC的に非接続になるので、演算増幅器を、第1駆動回路を構成するトランジスターの耐圧より低い耐圧のトランジスターにより構成できる。
【0165】
また本実施形態では、第1駆動回路を構成するトランジスターのソースードレイン間距離の長さが、第2駆動回路を構成するトランジスターのソースードレイン間距離の長さよりも長くてもよい。または、第1駆動回路を構成するトランジスターのゲート絶縁膜の膜厚が、第2駆動回路を構成するトランジスターのゲート絶縁膜の膜厚よりも厚くてもよい。
【0166】
本実施形態によれば、演算増幅器を含む第2駆動回路構成するトランジスターを、第1駆動回路を構成するトランジスターの耐圧より低い耐圧のトランジスターで構成できる。
【0167】
また本実施形態では、第2フィードバックキャパシターの容量は、第1フィードバックキャパシターの容量より大きくてもよい。
【0168】
本実施形態によれば、第2駆動回路のゲインが2より大きくなるので、演算増幅器に印加される電圧範囲は、信号供給線の電圧範囲の1/2より小さくなる。これにより、演算増幅器を、第1駆動回路を構成するトランジスターの耐圧より低い耐圧のトランジスターにより構成できる。
【0169】
また本実施形態では、ドライバーは、可変の容量値に応じたゲインで階調データを乗算処理した第2階調データを出力する処理回路を含んでもよい。第1駆動回路は、第2階調データに基づいて信号供給線にデータ信号を供給してもよい。
【0170】
本実施形態によれば、第1駆動回路が、可変の容量値に応じたゲインで階調データを乗算処理した第2階調データに基づいてデータ電圧を出力することで、その電圧範囲がゲインに応じて変化する。そして、その電圧範囲を変えるゲインとフィードバックゲインがキャンセルすることで、演算増幅器の反転入力ノードにフィードバックされる電圧の範囲を一定にできる。これにより、第2駆動回路の階調数と1階調の電圧ステップを変えずに、信号供給線に出力されるデータ電圧の電圧範囲を変えることができる。
【0171】
また本実施形態では、第1フィードバックキャパシターは、信号供給線と演算増幅器の反転入力ノードとの間に直列に配置されたスイッチとキャパシターの対が、複数並列に配置された第1スイッチ群及び第1キャパシター群を含んでもよい。第2フィードバックキャパシターは、演算増幅器の反転入力ノードと所定電位ノードとの間に直列に配置されたスイッチとキャパシターの対が、複数並列に設けられた第2スイッチ群及び第2キャパシター群を含んでもよい。
【0172】
本実施形態によれば、第1スイッチ群の各スイッチがオン又はオフされることで、第1キャパシター群のうち、オンになったスイッチに直列接続されたキャパシターが信号供給線と演算増幅器の反転入力ノードとの間に接続される。これにより、第1フィードバックキャパシターの容量値が可変に制御される。同様に、第2スイッチ群の各スイッチがオン又はオフされることで、第2フィードバックキャパシターの容量値が可変に制御される。
【0173】
また本実施形態では、ドライバーは、初期化期間においてオンになり、基準電圧を演算増幅器の反転入力ノードに供給する初期化スイッチを含んでもよい。
【0174】
本実施形態によれば、演算増幅器の反転入力ノードが基準電圧を基準として変化する。D/A変換電圧の範囲を(基準電圧-ΔV1)~(基準電圧+ΔV2)と表したとき、(基準電圧-ΔV1)が第2駆動回路の低電位側電源電圧より高く、(基準電圧+ΔV2)が第2駆動回路の高電位側電源電圧より低くなるように基準電圧を設定しておけばよい。
【0175】
また本実施形態では、第1駆動回路は、階調データに対応する第1~第nキャパシター駆動電圧を第1~第nキャパシター駆動用ノードに出力するキャパシター駆動回路と、信号供給線と、第1~第nキャパシター駆動用ノードとの間に配置される第1~第nキャパシターを有するキャパシター回路と、を含んでもよい。nは2以上の整数である。
【0176】
本実施形態によれば、キャパシター駆動回路が、階調データに対応する第1~第nキャパシター駆動電圧を出力することで、第1~第nキャパシターが、階調データに対応する電荷量の電荷を信号供給線に出力する。これにより、階調データに対応する電圧が信号供給線に出力される。この駆動はフィードバック制御されていないので、その駆動により出力される電圧と目標電圧との間に誤差が生じることがある。第2駆動回路は、その誤差をフィードバック制御によって補正できる。
【0177】
また本実施形態では、ドライバーは、第1駆動回路を制御する制御回路を含んでもよい。第1駆動回路は、高電位側電源電圧が供給されるノードと信号供給線の間に配置される第1駆動トランジスター群と、低電位側電源電圧が供給されるノードと信号供給線の間に配置される第2駆動トランジスター群と、を含んでもよい。制御回路は、階調データに基づいて、第1駆動トランジスター群の各トランジスター又は第2駆動トランジスター群の各トランジスターを、オン又はオフに制御してもよい。
【0178】
本実施形態によれば、階調データに基づいて第1駆動トランジスター群又は第2駆動トランジスター群のうちオンされたトランジスターが、階調データに対応する電荷量の電荷を信号供給線に出力する。これにより、階調データに対応する電圧が信号供給線に出力される。この駆動はフィードバック制御されていないので、その駆動により出力される電圧と目標電圧との間に誤差が生じることがある。第2駆動回路は、その誤差をフィードバック制御によって補正できる。
【0179】
また本実施形態では、ドライバーは、演算増幅器の反転入力ノードに電気的に接続され、反転入力ノードの電圧をシフトする電圧シフト回路を含んでもよい。
【0180】
本実施形態によれば、電圧シフト回路が演算増幅器の反転入力ノードの電圧をシフトすることで、反転入力ノードの電圧の基準がシフトされる。信号供給線に出力される電圧の範囲を複数の範囲に分割して各範囲に対して反転入力ノードの電圧の基準をシフトすることで、信号供給線に出力される電圧の各範囲とD/A変換電圧の範囲とを対応付けることが可能になる。これにより、第2駆動回路のゲインを下げると共に、D/A変換の階調数を下げることが可能になる。
【0181】
また本実施形態では、電圧シフト回路は、極性反転信号に基づいて、正極性駆動期間の初期化期間と負極性駆動期間の初期化期間とで異なる初期化電圧を、演算増幅器の反転入力ノードに設定してもよい。
【0182】
本実施形態によれば、正極性駆動期間における信号供給線に出力される電圧の範囲とD/A変換電圧の範囲とが対応付けられ、負極性駆動期間における信号供給線に出力される電圧の範囲とD/A変換電圧の範囲とが対応付けられる。これにより、第2駆動回路70のゲインを約1/2にすると共に、D/A変換の階調数を1/2に下げることが可能になる。
【0183】
また本実施形態のドライバーは、第1駆動回路と第2駆動回路とを含む。第1駆動回路は、階調データに基づいて、電気光学パネルの信号供給線にデータ信号を供給する。第2駆動回路は、演算増幅器を含む。第2駆動回路は、一端が演算増幅器の出力ノードと電気的に接続され、他端が信号供給線と電気的に接続される出力キャパシターを含む。第2駆動回路は、一端が演算増幅器の反転入力ノードと電気的に接続され、他端が信号供給線と電気的に接続され、容量値が可変のキャパシターである第1フィードバックキャパシターを含む。第2駆動回路は、一端が演算増幅器の反転入力ノードに電気的に接続される第1~第m電圧出力用キャパシターを含む。mは2以上の整数である。第2駆動回路は、第1~第m電圧出力用キャパシターの他端に、階調データに基づく電圧を出力する第1~第m電圧出力回路を含む。第2駆動回路は、信号供給線に電気的に接続される。
【0184】
本実施形態によれば、第1フィードバックキャパシターの容量値が可変なので、信号供給線から演算増幅器の反転入力ノードへのフィードバックゲイン、及び第2駆動回路のゲインを可変にできる。これにより、第2駆動回路の階調数と1階調の電圧ステップを変えずに、信号供給線に出力されるデータ電圧の電圧範囲を変えることができる。上述したように、電気光学パネルに入射する光の色などによって画素に印加される電圧の範囲を変える必要があるが、本実施形態によれば、階調数と1階調の電圧ステップを維持したまま画素に印加される電圧の範囲を変更できる。
【0185】
また本実施形態では、演算増幅器は、第1駆動回路を構成するトランジスターの耐圧より低い耐圧のトランジスターにより構成されてもよい。
【0186】
本実施形態によれば、演算増幅器の出力ノードと信号供給線が出力キャパシターによりカップリングされ、演算増幅器の反転入力ノードと信号供給線が第1フィードバックキャパシターによりカップリングされる。これにより、演算増幅器と信号供給線がDC的に非接続になるので、演算増幅器を、第1駆動回路を構成するトランジスターの耐圧より低い耐圧のトランジスターにより構成できる。
【0187】
また本実施形態の電気光学装置は、上記のいずれかに記載されたドライバーと、電気光学パネルと、を含む。
【0188】
また本実施形態の電子機器は、上記のいずれかに記載されたドライバーを含む。
【0189】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また制御回路、データ線駆動回路、ドライバー、電気光学パネル、電気光学装置、及び電子器機等の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0190】
10…キャパシター回路、20…キャパシター駆動回路、30…可変容量回路、40…制御回路、42…処理回路、44…インターフェース回路、48…レジスター回路、50…検出回路、60…第1駆動回路、70…第2駆動回路、71…演算増幅器、72…D/A変換回路、73…電圧シフト回路、100…ドライバー、110…データ線駆動回路、200…電気光学パネル、300…表示コントローラー、310…処理装置、320…記憶部、330…ユーザーインターフェース部、340…データインターフェース部、400…電気光学装置、500…電子機器、C1~C10…キャパシター、CB1~CB10…電圧出力用キャパシター、Cfa…第1フィードバックキャパシター、Cfb…第2フィードバックキャパシター、DB1~DB10…電圧出力回路、DR1~DR10…駆動回路、DTH[10:0]…階調データ、DTL[10:0]…階調データ、FR…極性反転信号、GD[9:0]…階調データ、SPL1~SPL8…信号供給線、SWR…初期化スイッチ、TRG1…第1駆動トランジスター群、TRG2…第2駆動トランジスター群、VREF…基準電圧