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  • 特開-処理装置及び処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183006
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】処理装置及び処理方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/72 20060101AFI20231220BHJP
   A61L 2/20 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
B01D53/72 ZAB
A61L2/20 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096352
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】藤井 慎二
【テーマコード(参考)】
4C058
4D002
【Fターム(参考)】
4C058AA12
4C058BB07
4C058DD04
4C058DD06
4C058EE26
4C058JJ15
4C058JJ29
4D002AA40
4D002AC10
4D002BA12
4D002CA11
4D002DA35
4D002EA05
4D002GA03
4D002GB03
(57)【要約】
【課題】酸化エチレンガス滅菌器から排出された排ガスを簡便に処理すること。
【解決手段】処理装置2は、酸化エチレンガス滅菌器1の処理槽4から排出された酸化エチレンガスを含む排ガスが流入する第1流入口12と、過熱水蒸気が流入する第2流入口13と、を有し、第1流入口12から流入した排ガスと第2流入口13から流入した過熱水蒸気とが合流する反応槽9を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化エチレンガス滅菌器の処理槽から排出された酸化エチレンガスを含む排ガスが流入する第1流入口と、過熱水蒸気が流入する第2流入口と、を有し、前記第1流入口から流入した前記排ガスと前記第2流入口から流入した前記過熱水蒸気とが合流する反応槽を備える、
処理装置。
【請求項2】
前記過熱水蒸気により前記酸化エチレンガスが加水分解され、
前記加水分解を促進する触媒が前記反応槽に配置される、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記反応槽の内部の温度は、エチレングリコールの沸点以上である、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
過熱水蒸気発生装置から送出された前記過熱水蒸気が前記第2流入口に流入し、
前記第2流入口に流入する前記過熱水蒸気の温度は、エチレングリコールの沸点以上である、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項5】
前記反応槽の内部の圧力は、大気圧である、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項6】
前記反応槽の内部は、大気開放される、
請求項5に記載の処理装置。
【請求項7】
通路を介して前記反応槽と接続され、前記反応槽から排出された排出物を冷却する冷却槽を備える、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項8】
前記冷却槽は、前記排出物に冷却水を供給するスプレーを有する、
請求項7に記載の処理装置。
【請求項9】
酸化エチレンガス滅菌器の処理槽から排出された酸化エチレンガスを含む排ガスと過熱水蒸気とを混合して、前記酸化エチレンガスを分解することを含む、
処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理装置及び処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
滅菌器に係る技術分野において、酸化エチレンガス滅菌器が知られている。特許文献1に開示されているように、酸化エチレンガス滅菌器から排出された酸化エチレンガスを含む排ガスは、無害化処理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-135931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
酸化エチレンガス滅菌器から排出された排ガスを簡便に処理できる技術が要望される。
【0005】
本開示は、酸化エチレンガス滅菌器から排出された排ガスを簡便に処理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、酸化エチレンガス滅菌器の処理槽から排出された酸化エチレンガスを含む排ガスが流入する第1流入口と、過熱水蒸気が流入する第2流入口と、を有し、第1流入口から流入した排ガスと第2流入口から流入した過熱水蒸気とが合流する反応槽を備える、処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、酸化エチレンガス滅菌器から排出された排ガスが簡便に処理される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る酸化エチレンガス滅菌器及び処理装置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
図1は、実施形態に係る酸化エチレンガス滅菌器1及び処理装置2を模式的に示す図である。酸化エチレンガス滅菌器1及び処理装置2のそれぞれは、制御装置3に制御される。制御装置3は、コンピュータシステムを含む。なお、酸化エチレンガス滅菌器1を制御する制御装置と処理装置2を制御する制御装置とが別々のコンピュータシステムにより構成されてもよい。
【0011】
酸化エチレンガス滅菌器1は、酸化エチレンガス(EOG:Ethylene Oxide Gas)を用いて滅菌対象を滅菌する。滅菌対象として、衛生関連材料及び医療器具が例示される。衛生関連材料として、紙おむつ、ガーゼ、及び絆創膏が例示される。医療器具として、メス、鉗子、及びチューブが例示される。
【0012】
以下の説明において、酸化エチレンガス滅菌器1を適宜、EOG滅菌器1、と称し、酸化エチレンガスを適宜、EOG、と称する。
【0013】
EOG滅菌器1は、処理槽4と、EOG供給装置5とを備える。
【0014】
処理槽4は、滅菌対象を収容する。滅菌対象は、処理槽4の内部に配置される。
【0015】
EOG供給装置5は、EOGを処理槽4に供給する。EOG供給装置5は、処理槽4に接続されるEOGライン6と、EOGライン6に配置されるEOG弁7とを有する。EOG供給源8からEOGライン6にEOGが供給される。制御装置3は、EOG弁7を制御する。EOG弁7が開くことにより、EOG供給源8から送出されたEOGがEOGライン6を介して処理槽4に供給される。EOG弁7が閉じることにより、処理槽4に対するEOGの供給が停止される。
【0016】
処理装置2は、EOG滅菌器1に接続される。処理装置2は、EOG滅菌器1から排出された排ガスGaを無害化処理する。排ガスGaは、EOGを含む。排ガスGaは、二酸化炭素及び空気を含む。処理装置2は、過熱水蒸気Gbを用いて排ガスGaを無害化処理する。
【0017】
処理装置2は、反応槽9と、冷却槽10とを有する。
【0018】
反応槽9は、排ガスライン11を介して処理槽4に接続される。処理槽4から排出された排ガスGaは、排ガスライン11を介して反応槽9に供給される。反応槽9は、第1流入口12と、第2流入口13とを有する。
【0019】
第1流入口12は、排ガスライン11を介して処理槽4に接続される。EOG滅菌器1の処理槽4から排出されたEOGを含む排ガスGaは、第1流入口12に流入する。排ガスGaは、第1流入口12を介して反応槽9に流入する。
【0020】
第2流入口13は、給蒸ライン14を介して過熱水蒸気発生装置15に接続される。ボイラ16で発生した水蒸気が過熱水蒸気発生装置15に供給される。過熱水蒸気発生装置15は、ボイラ16から供給された水蒸気に基づいて過熱水蒸気Gbを発生する。過熱水蒸気発生装置15から送出された過熱水蒸気Gbは、第2流入口13に流入する。過熱水蒸気Gbは、第2流入口13を介して反応槽9に流入する。
【0021】
反応槽9において、第1流入口12から流入した排ガスGaと第2流入口13から流入した過熱水蒸気Gbとが合流する。排ガスGaと過熱水蒸気Gbとは、反応槽9において混合される。排ガスGaと過熱水蒸気Gbとが混合されることにより、排ガスGaに含まれるEOGが分解される。過熱水蒸気Gbにより、EOGが加水分解される。EOGが加水分解されることにより、エチレングリコールが生成される。過熱水蒸気GbによりEOGが加水分解されることにより、排ガスGaが無害化される。
【0022】
過熱水蒸気発生装置15は、反応槽9に供給される過熱水蒸気Gbの温度を調整することができる。過熱水蒸気発生装置15から第2流入口13に流入する過熱水蒸気Gbの温度は、エチレングリコールの沸点以上である。すなわち、過熱水蒸気発生装置15から反応槽9に供給される過熱水蒸気Gbの温度の下限値は、エチレングリコールの沸点に定められる。エチレングリコールの沸点が197.3℃である場合、過熱水蒸気発生装置15から反応槽9の内部に供給される過熱水蒸気Gbの温度は、197.3℃以上である。過熱水蒸気発生装置15から反応槽9に供給される過熱水蒸気Gbの温度の上限値は、任意である。過熱水蒸気発生装置15から反応槽9に供給される過熱水蒸気Gbの温度の上限値は、例えばEOGの発火点でもよい。EOGの発火点が429℃の場合、反応槽9に供給される過熱水蒸気Gbの上限値は、429℃又は429℃よりも規定温度だけ低い温度に定められてもよい。
【0023】
反応槽9の内部の温度は、エチレングリコールの沸点以上である。反応槽9を加熱可能なヒータが反応槽9に設置される場合、制御装置3は、反応槽9の内部の温度がエチレングリコールの沸点以上になるようにヒータを制御する。エチレングリコールの沸点が197.3℃である場合、反応槽9の内部の温度は、197.3℃以上である。
【0024】
EOGの加水分解を促進する触媒26が反応槽9に配置される。実施形態において、触媒26は、固体触媒である。触媒26として、白金触媒が例示される。排ガスGa及び過熱水蒸気Gbのそれぞれは、触媒26に接触する。反応槽9の内部に触媒26が配置された状態で、第1流入口12から流入した排ガスGaと第2流入口13から流入した過熱水蒸気Gbとが反応槽9において合流することにより、EOGの加水分解を促進される。
【0025】
反応槽9の内部の温度がエチレングリコールの沸点以上の状態で、第1流入口12から流入した排ガスGaと第2流入口13から流入したエチレングリコールの沸点以上の温度の過熱水蒸気Gbとが反応槽9において合流することにより、エチレングリコールの液化が抑制される。反応槽9において、気体状のエチレングリコールが生成される。また、触媒26が固体触媒であることにより、エチレングリコールの液化が抑制される。
【0026】
反応槽9の内部においてエチレングリコールが液化すると、液体状のエチレングリコールが反応槽9に付着し、その結果、反応槽9の性能の低下又は反応槽9の故障がもたらされる可能性がある。エチレングリコールの液化が抑制されることにより、反応槽9の性能の低下又は反応槽9の故障が抑制される。
【0027】
反応槽9の内部の圧力は、大気圧である。実施形態において、反応槽9の内部は、大気開放される。反応槽9を圧力容器にしなくても済むので、反応槽9のコスト上昇が抑制される。反応槽9の内部の圧力が大気圧でも、過熱水蒸気によりEOGが加水分解され、触媒26によりEOGの加水分解が促進される。
【0028】
反応槽9の下部に排出ライン17が接続される。反応槽9において生成された生成物Paは、排出ライン17を介して反応槽9から排出される。排出ライン17を介して排出される生成物Paは、例えば凝縮水を含む。
【0029】
冷却槽10は、通路18を介して反応槽9と接続される。反応槽9から通路18を介して冷却槽10に排出物Pbが排出される。冷却槽10は、反応槽9から排出された排出物Pbを冷却する。排出物Pbは、気体状のエチレングリコール及び過熱水蒸気Gbを含む。なお、排出物Pbは、反応槽9において生成された生成物Paを含む可能性がある。排出物Pbは、排ガスGaを含む可能性がある。
【0030】
冷却槽10に給水ライン19が接続される。給水ライン19は、給水源20と接続される。排出物Pbを冷却するための冷却水Waが給水ライン19を介して冷却槽10に供給される。冷却槽10は、排出物Pbに冷却水Waを供給するスプレー21を有する。スプレー21は、給水ライン19に接続される。冷却水Waは、給水源20から給水ライン19を介してスプレー21に供給される。スプレー21は、給水源20から給水ライン19を介して供給された冷却水Waを冷却槽10の内部に噴射する。スプレー21から冷却槽10の内部に冷却水Waが供給されることにより、気体状のエチレングリコール及び過熱水蒸気Gbを含む排出物Pbが冷却槽10において冷却される。排出物Pbが冷却されることにより、冷却槽10において液体成分Pcが生成される。液体成分Pcは、液体状のエチレングリコール及び凝縮水を含む。
【0031】
冷却槽10の上部に排気ライン22が接続される。冷却槽10の下部に排出ライン23が接続される。冷却槽10の内部に存在する気体成分Gcは、排気ライン22を介して冷却槽10から排出される。液体状のエチレングリコール及び凝縮水を含む冷却槽10の内部に存在する液体成分Pcは、排出ライン23を介して冷却槽10から排出される。
【0032】
処理槽4と反応槽9とは、排ガスライン11を介して接続される。排ガスライン11に逆止弁24及び排ガス弁25が配置される。制御装置3は、排ガス弁25を制御する。排ガス弁25が開くことにより、処理槽4から流出した排ガスGaが排ガスライン11を介して反応槽9に供給される。排ガス弁25が閉じることにより、反応槽9に対する排ガスGaの供給が停止される。逆止弁24は、反応槽9から処理槽4に排ガスGaが逆流することを抑制する。
【0033】
次に、EOG滅菌器1及び処理装置2の動作について説明する。
【0034】
EOG滅菌器1において滅菌処理が開始される。処理槽4に収容された滅菌対象の滅菌処理を実施する場合、制御装置3は、排ガス弁25を閉じた状態で、EOG弁7を開ける。これにより、EOGが処理槽4に供給される。EOGが処理槽4に供給されることにより、処理槽4の圧力は、反応槽9の圧力よりも高くなる。処理槽4の圧力は、少なくとも大気圧よりも高くなる。規定量のEOGが処理槽4に供給された後、制御装置3は、EOG弁7を閉じる。
【0035】
過熱水蒸気発生装置15は、過熱水蒸気Gbを発生する。過熱水蒸気発生装置15から反応槽9に過熱水蒸気Gbが供給される。過熱水蒸気発生装置15は、エチレングリコールの沸点以上の温度の過熱水蒸気Gbを反応槽9に供給する。実施形態においては、排ガスGaが反応槽9に供給されていない状態においても、過熱水蒸気発生装置15から反応槽9に過熱水蒸気Gbが供給される。反応槽9に供給された過熱水蒸気Gbは、通路18を介して冷却槽10に供給される。過熱水蒸気Gbは、冷却槽10により冷却される。過熱水蒸気Gbを含む排出物Pbが冷却されることにより生成された液体成分Pcは、排出ライン23を介して冷却槽10から排出される。気体成分Gcは、排気ライン22を介して冷却槽10から排出される。
【0036】
制御装置3は、反応槽9の内部の温度をエチレングリコールの沸点以上にする。EOG滅菌器1において滅菌処理が終了した後、制御装置3は、過熱水蒸気発生装置15から反応槽9に過熱水蒸気Gbが供給されている状態で、排ガス弁25を開ける。
【0037】
処理槽4の圧力が反応槽9の圧力よりも高い場合、排ガス弁25が開けられると、処理槽4と反応槽9との差圧により、処理槽4から排ガスライン11を介して反応槽9に排ガスGaが供給される。処理槽4の圧力が反応槽9の圧力近傍又は反応槽9の圧力よりも低い場合、処理槽4と反応槽9との間に配置されている真空ポンプ(不図示)が駆動され、処理槽4から真空ポンプを介して反応槽9に排ガスGaが供給される。例えば反応槽9の圧力が大気圧である場合において、処理槽4の圧力が大気圧よりも高い場合、処理槽4と反応槽9との差圧により、反応槽9に排ガスGaが供給される。処理槽4の圧力が大気圧近傍又は大気圧よりも低い場合、真空ポンプの駆動により、反応槽9に排ガスGaが供給される。
【0038】
排ガスGaは、第1流入口12から反応槽9に流入する。エチレングリコールの沸点以上の温度の過熱水蒸気Gbは、第2流入口13から反応槽9に流入する。第1流入口12から反応槽9に流入した排ガスGaと第2流入口13から反応槽9に流入した過熱水蒸気Gbとは、反応槽9において合流する。排ガスGaと過熱水蒸気Gbとは、反応槽9において混合される。排ガスGaと過熱水蒸気Gbとが混合されることにより、排ガスGaに含まれるEOGが加水分解される。触媒26により、EOGの加水分解が促進される。EOGが加水分解されることにより、排ガスGaが無害化される。
【0039】
冷却槽10は、反応槽9から排出された排出物Pbを冷却する。排出物Pbが冷却されることにより生成された液体成分Pcは、排出ライン23を介して冷却槽10から排出される。気体成分Gcは、排気ライン22を介して冷却槽10から排出される。
【0040】
以上説明したように、実施形態によれば、EOGを含む排ガスGaと過熱水蒸気Gbとが処理装置2の反応槽9において混合される。EOGは、過熱水蒸気Gbにより分解される。EOG滅菌器1から排出された排ガスGaは、過熱水蒸気Gbと混合されるだけで、簡便に無害化処理される。また、処理装置2の大型化及び複雑化が抑制される。
【0041】
過熱水蒸気Gbにより反応槽9においてEOGが加水分解される。EOGの加水分解を促進する触媒26が反応槽9に配置される。触媒26により、EOGの加水分解が促進され、排ガスGaの無害化処理が効率良く実施される。
【0042】
反応槽9の内部の温度がエチレングリコールの沸点以上なので、反応槽9においてエチレングリコールの液化が抑制される。反応槽9において気体状のエチレングリコールが生成される。過熱水蒸気発生装置15から第2流入口13を介して反応槽9に流入する過熱水蒸気Gbの温度がエチレングリコールの沸点以上なので、反応槽9においてエチレングリコールの液化が抑制される。反応槽9において気体状のエチレングリコールが生成される。また、触媒26が固体触媒であることにより、エチレングリコールの液化が抑制される。反応槽9の内部においてエチレングリコールが液化すると、液体状のエチレングリコールが反応槽9に付着し、その結果、反応槽9の性能の低下又は反応槽9の故障がもたらされる可能性がある。エチレングリコールの液化が抑制されることにより、反応槽9の性能の低下又は反応槽9の故障が抑制される。
【0043】
反応槽9の内部の圧力は、大気圧である。実施形態において、反応槽9の内部は、大気開放される。反応槽9を圧力容器にしなくても済むので、反応槽9のコスト上昇が抑制される。反応槽9の内部の圧力が大気圧でも、過熱水蒸気によりEOGが加水分解され、触媒26によりEOGの加水分解が促進される。
【0044】
EOGが処理槽4に供給されることにより、処理槽4の圧力は、反応槽9の圧力よりも高くなる。そのため、反応槽9において排ガスGa及び過熱水蒸気Gbのそれぞれが加圧されなくても、処理槽4と反応槽9との差圧により、処理槽4から排ガスライン11を介して反応槽9に排ガスGaが供給される。処理槽4から第1流入口12を介して反応槽9に流入した排ガスGaと過熱水蒸気発生装置15から第2流入口13を介して反応槽9に流入した過熱水蒸気Gbとが混合されるだけで、排ガスGaが簡便に無害化処理される。
【0045】
反応槽9から排出された排出物Pbは、冷却槽10により冷却される。排出物Pbは、気体状のエチレングリコール及び過熱水蒸気Gbを含む。気体状のエチレングリコール及び過熱水蒸気Gbが冷却槽10により冷却されるので、高温度のエチレングリコール及び過熱水蒸気Gbが大気空間に排出されることが抑制される。また、反応槽9と冷却槽10とは通路18を介して接続されるので、排出物Pbは、反応槽9から冷却槽10に連続的に供給される。
【0046】
冷却槽10は、排出物Pbに冷却水Waを供給するスプレー21を有する。スプレー21は、冷却槽10の内部に配置される。スプレー21から冷却槽10の内部に供給される冷却水Waにより、排出物Pbが冷却される。
【符号の説明】
【0047】
1…EOG滅菌器、2…処理装置、3…制御装置、4…処理槽、5…EOG供給装置、6…EOGライン、7…EOG弁、8…EOG供給源、9…反応槽、10…冷却槽、11…排ガスライン、12…第1流入口、13…第2流入口、14…給蒸ライン、15…過熱水蒸気発生装置、16…ボイラ、17…排出ライン、18…通路、19…給水ライン、20…給水源、21…スプレー、22…排気ライン、23…排出ライン、24…逆止弁、25…排ガス弁、26…触媒、Ga…排ガス、Gb…過熱水蒸気、Gc…気体成分、Pa…生成物、Pb…排出物、Pc…液体成分、Wa…冷却水。
図1