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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183007
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 1/12 20060101AFI20231220BHJP
   B62J 9/14 20200101ALI20231220BHJP
【FI】
B62J1/12 B
B62J9/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096355
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】加藤 聖也
(72)【発明者】
【氏名】島田 卓
(57)【要約】
【課題】シートがヒンジにより収納ボックスに回転可能に支持され、シートの裏側に取り付けられるシール部材によって収納ボックス内への雨水等の浸入を防止できる新たな鞍乗型車両を提供する。
【解決手段】自動二輪車1は、シート4の裏側に取り付けられた可動ブラケット11と、収納ボックス60に固定された固定ブラケット12と、を有するヒンジ10を備える。自動二輪車1は、可動ブラケット11に取り付けられた第1シール部材20と、シート4の裏側に取り付けられた第2シール部材30とを備える。自動二輪車1は、第1シール部材20と第2シール部材30との境界である第1境界21gおよび第2境界22gを覆う第1カバー41および第2カバー42を備える。
【選択図】図6

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納ボックスと、
前記収納ボックスの上に配置されたシートと、
前記シートの裏側に取り付けられた可動ブラケットと、前記収納ボックスに固定された固定ブラケットと、前記可動ブラケットを前記固定ブラケットに回転可能に連結するヒンジ軸と、を有するヒンジと、
第1端部および第2端部を有し、前記可動ブラケットに取り付けられた第1シール部材と、
前記第1シール部材の前記第1端部に対向する第1端部と、前記第1シール部材の前記第2端部に対向する第2端部とを有し、前記シートの裏側に取り付けられ、前記収納ボックスの上縁に沿って延びる第2シール部材と、
前記第1シール部材の前記第1端部と前記第2シール部材の前記第1端部との境界である第1境界に対して前記収納ボックスの外側に配置され、前記第1境界を覆う第1カバーと、
前記第1シール部材の前記第2端部と前記第2シール部材の前記第2端部との境界である第2境界に対して前記収納ボックスの外側に配置され、前記第2境界を覆う第2カバーと、
を備えた、鞍乗型車両。
【請求項2】
前記第1シール部材と前記第1カバーと前記第2カバーとが一体化されてなる取付部品を備えている、請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記取付部品は、前記可動ブラケットに嵌め込まれた嵌合部を有している、請求項2に記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記取付部品はゴムからなっている、請求項2または3に記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記可動ブラケットは、前記シートの前端部に取り付けられ、
前記第1カバーは、前記第1シール部材および前記第2シール部材の前方に配置され、前方から見て前記第1境界と重なっており、
前記第2カバーは、前記第1シール部材および前記第2シール部材の前方に配置され、前方から見て前記第2境界と重なっている、請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項6】
前記第1カバーの下端および前記第2カバーの下端は、前記第1シール部材の下端よりも下方に位置している、請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項7】
前記第1シール部材および前記第2シール部材の全体は、前記シートの裏側において一周している、請求項1に記載の鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの下方に配置された収納ボックスを備える鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、乗員が座るシートと、シートの下方に配置され、ヘルメット等を収納可能な収納ボックスと、シートを収納ボックスに対して回転可能に連結するヒンジと、を備えた鞍乗型車両が知られている(例えば、特開2018-75971号公報参照)。ヒンジは、シートに取り付けられた可動ブラケットと、車体フレームを介して収納ボックスに固定された固定ブラケットと、可動ブラケットと固定ブラケットとを連結するヒンジ軸とを有している。
【0003】
このような鞍乗型車両では、シートは収納ボックスを開閉する蓋として機能する。シートと収納ボックスの上縁との間には隙間が生じるため、その隙間から収納ボックスの内部に雨水等が浸入することを防ぐ必要がある。そこで、シートと収納ボックスの上縁との間にシール部材が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-75971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シートと収納ボックスの上縁との隙間を良好に塞ぐために、シール部材は収納ボックスの上縁の出来るだけ広い範囲に設けられていることが好ましく、収納ボックスの上縁の全体にわたって設けられていることが特に好ましい。シール部材をシートの裏側に取り付ける場合、シートの裏側における収納ボックスの上縁に対向する部分に沿って、シール部材を一周させることが好ましい。ところが、シートの裏側には、ヒンジの可動ブラケットが設けられている。シール部材をシートの裏面と可動ブラケットとに跨がるように取り付けることは難しい。シール部材をシートの裏面と可動ブラケットとに跨がるように配置しようとすると、可動ブラケットの上に別部品を追加し、その別部品の上にシール部材を取り付ける必要がある。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、シートがヒンジにより収納ボックスに回転可能に支持され、シートの裏側に取り付けられるシール部材によって収納ボックス内への雨水等の浸入を防止できる新たな鞍乗型車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示される鞍乗型車両は、収納ボックスと、前記収納ボックスの上に配置されたシートと、ヒンジと、を備える、前記ヒンジは、前記シートの裏側に取り付けられた可動ブラケットと、前記収納ボックスに固定された固定ブラケットと、前記可動ブラケットを前記固定ブラケットに回転可能に連結するヒンジ軸と、を有する。前記鞍乗型車両は、第1シール部材と第2シール部材とを備える。前記第1シール部材は、第1端部および第2端部を有し、前記可動ブラケットに取り付けられている。前記第2シール部材は、前記第1シール部材の前記第1端部に対向する第1端部と、前記第1シール部材の前記第2端部に対向する第2端部とを有し、前記シートの裏側に取り付けられ、前記収納ボックスの上縁に沿って延びている。前記鞍乗型車両は、第1カバーと第2カバーとを備える。前記第1カバーは、前記第1シール部材の前記第1端部と前記第2シール部材の前記第1端部との境界である第1境界に対して前記収納ボックスの外側に配置され、前記第1境界を覆っている。前記第2カバーは、前記第1シール部材の前記第2端部と前記第2シール部材の前記第2端部との境界である第2境界に対して前記収納ボックスの外側に配置され、前記第2境界を覆っている。
【0008】
上記鞍乗型車両によれば、第1シール部材と第2シール部材とは別体であるので、単一のシール部材をシートの裏面と可動ブラケットとに跨がって配置する必要は無い。よって、シール部材をシートの裏面および可動ブラケットに跨がって配置するための別部品を可動ブラケットの上に追加する必要は無い。一方、第1シール部材と第2シール部材とは別体であるので、第1シール部材と第2シール部材との間に境界(第1境界、第2境界)が発生する。その境界から雨水等が浸入することが懸念される。しかし、上記鞍乗型車両によれば、第1境界を覆う第1カバーおよび第2境界を覆う第2カバーを備えているので、収納ボックス内に雨水等が浸入することを防止することができる。
【0009】
前記鞍乗型車両は、前記第1シール部材と前記第1カバーと前記第2カバーとが一体化されてなる取付部品を備えていてもよい。
【0010】
このことにより、部品点数を削減することができる。
【0011】
前記取付部品は、前記可動ブラケットに嵌め込まれた嵌合部を有していてもよい。
【0012】
このことにより、嵌合部を可動ブラケットに嵌め込むことによって、取付部品を可動ブラケットに取り付けることができ、第1シール部材を位置決めすることができる。第1シール部材をシートの裏側の適正位置に容易に取り付けることができる。
【0013】
前記取付部品はゴムからなっていてもよい。
【0014】
このことにより、第1シール部材のシール性を向上させることができる。また、取付部品を軽量化することができる。
【0015】
前記可動ブラケットは、前記シートの前端部に取り付けられていてもよい。前記第1カバーは、前記第1シール部材および前記第2シール部材の前方に配置され、前方から見て前記第1境界と重なっていてもよい。前記第2カバーは、前記第1シール部材および前記第2シール部材の前方に配置され、前方から見て前記第2境界と重なっていてもよい。
【0016】
このことにより、鞍乗型車両の走行中に、雨水や路面から飛散した泥等が第1境界および第2境界に前方から浸入することを良好に防止することができる。
【0017】
前記第1カバーの下端および前記第2カバーの下端は、前記第1シール部材の下端よりも下方に位置していてもよい。
【0018】
このことにより、第1境界および第2境界に下方から雨水や泥等が浸入することを良好に防止することができる。
【0019】
前記第1シール部材および前記第2シール部材の全体は、前記シートの裏側において一周していてもよい。
【0020】
このことにより、第1シール部材および第2シール部材の全体によって、シートと収納ボックスとの隙間を満遍なく塞ぐことができる。収納ボックス内に雨水等が浸入することを良好に防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、シートがヒンジにより収納ボックスに回転可能に支持され、シートの裏側に取り付けられるシール部材によって収納ボックス内への雨水等の浸入を防止できる新たな鞍乗型車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施形態に係る自動二輪車の左側面図である。
図2図2は、車体フレーム、シート、および収納ボックスの左側面図である。
図3A図3Aは、シートの底面図である。
図3B図3Bは、図3AのIIIB部分の拡大図である。
図4A図4Aは、可動ブラケットが取り付けられたシートの底面図である。
図4B図4Bは、図4AのIVB部分の拡大図である。
図5A図5Aは、可動ブラケットおよび取付部品が取り付けられたシートの底面図である。
図5B図5Bは、図5AのVB部分の拡大図である。
図6図6は、可動ブラケットおよび取付部品が取り付けられたシートの部分斜視図である。
図7図7は、図5BのVII-VII線断面図である。
図8図8は、取付部品を車両前後方向の後方かつ車両左右方向の左方から見た斜視図である。
図9図9は、取付部品の正面図である。
図10図10は、取付部品の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、一実施形態について説明する。図1は、鞍乗型車両の一例である自動二輪車1の左側面図である。
【0024】
以下の説明では特に断らない限り、前、後、左、右、上、下とは、乗員が乗車せずかつ荷物が載せられていない自動二輪車1が水平面上に直立した状態で停止している場合に、シート4に着座した仮想的な乗員から見た前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。図中のF、Re、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。
【0025】
自動二輪車1は、ヘッドパイプ3を有する車体フレーム2(図2参照)と、乗員が座るシート4と、シート4の下方に配置された収納ボックス60(図2参照)と、内燃機関または電動モータからなる走行用の駆動源7と、前輪6と、後輪8と、フロントカバー52と、左右のサイドカバー53とを備えている。ヘッドパイプ3には、ステアリング軸5が左右に回転可能に支持されている。ステアリング軸5には、ハンドルバー9が固定されている。また、ステアリング軸5には、フロントフォーク51が固定されている。前輪6はフロントフォーク51に回転可能に支持されている。
【0026】
図2に示すように、車体フレーム2は、ヘッドパイプ3から後方に延びるメインフレーム55と、メインフレーム55から後方に延びるシートフレーム56とを有している。シート4および収納ボックス60はシートフレーム56に支持されている。
【0027】
収納ボックス60は、上方に開いた箱状に形成されている。収納ボックス60は、底壁61と、底壁61の外周部から上方に延びる周壁62とを有している。周壁62の上端部は、収納ボックス60の上縁となっている。
【0028】
シート4は収納ボックス60の上に配置されている。シート4は、収納ボックス60にヒンジ10により連結されている。ヒンジ10は、シート4の前端部および収納ボックス60の前端部に接続されている。シート4は、収納ボックス60に対して回転可能である。シート4は、乗員を支持する機能と、収納ボックス60の蓋としての機能とを有している。
【0029】
ヒンジ10は、シート4の裏側に取り付けられた可動ブラケット11と、車体フレーム2に設けられた固定ブラケット12と、可動ブラケット11と固定ブラケット12とを回転可能に連結するヒンジ軸13とを有している。シート4はヒンジ軸13周り回転可能である。図2に示すようにシート4を倒すと、収納ボックス60はシート4によって閉じられ、乗員はシート4に着座することができる。図2に示す状態からシート4をヒンジ軸13周りに反時計回りに回転させると、収納ボックス60の上方が開放され、収納ボックス60に対して物品の出し入れが可能となる。なお、収納ボックス60は車体フレーム2に固定されている。そのため、固定ブラケット12は、車体フレーム2を介して収納ボックス60に固定されている。固定ブラケット12は収納ボックス60に直接的に固定されていてもよいが、本実施形態のように間接的に固定されていてもよい。
【0030】
図3Aはシート4の底面図である。図3Bは、図3AのIIIB部分の拡大図である。図3Aに示すように、シート4の裏側にはシール部材30が取り付けられている。シール部材30は線状に形成されている。シール部材30は、シート4の裏面のうち、収納ボックス60の上縁に対向する部分に配置されている。シール部材30は一周しておらず、シート4の前端部において途切れている。シール部材30は、第1端部31と第2端部32とを有している。第1端部31および第2端部32は、シート4の前端部に位置している。第1端部31は車両中心線CLの左方に配置され、第2端部32は車両中心線CLの右方に配置されている。シール部材30の材料は特に限定されないが、本実施形態ではゴムである。
【0031】
図4Aは、可動ブラケット11が取り付けられたシート4の底面図である。図4Bは、図4AのIVB部分の拡大図である。図4Bに示すように、可動ブラケット11は、シート4の前端部に取り付けられている。可動ブラケット11の一部は、シール部材30の第1端部31と第2端部32との間に配置されている。シール部材30は可動ブラケット11の上に配置されていない。シール部材30は、可動ブラケット11を跨いでいない。
【0032】
図5Aおよび図5Bに示すように、可動ブラケット11の上には取付部品40が取り付けられる。図5Aは、可動ブラケット11および取付部品40が取り付けられたシート4の底面図である。図5Bは、図5AのVB部分の拡大図である。図5Bに示すように、取付部品40の一部は、シール部材30の第1端部31と第2端部32との間に配置されている。
【0033】
図6は、可動ブラケット11および取付部品40が取り付けられたシート4の部分斜視図である。図7は、図5BのVII-VII線断面図である。図8は、取付部品40を車両前後方向の後方かつ車両左右方向の左方から見た斜視図である。図9は取付部品40の正面図であり、取付部品40を車両前後方向の後方から見た図である。図10は取付部品40の側面図であり、取付部品40を車両左右方向の左方から見た図である。図8に示すように、取付部品40は、シール部材20と、第1カバー41と、第2カバー42と、嵌合部45とを有している。本実施形態では、取付部品40は、シール部材20、第1カバー41、第2カバー42、および嵌合部45が一体化されてなっている。取付部品40は単一の部品である。取付部品40の材料は特に限定されないが、ここでは取付部品40はゴムからなっている。
【0034】
嵌合部45の構成は特に限定されないが、本実施形態では、嵌合部45は左右に一対設けられている。図4Bに示すように、可動ブラケット11には、左右一対の突起11aが設けられている。図9に示すように、嵌合部45には、突起11aに嵌合する嵌合孔45aが形成されている。突起11aが嵌合孔45aに嵌合することにより、可動ブラケット11に取付部品40が取り付けられると共に、可動ブラケット11に対する取付部品40の位置が定められる。嵌合孔45aを突起11aに嵌合させることにより、取付部品40を可動ブラケット11上の適正な位置に取り付けることができる。
【0035】
図6に示すように、シール部材20は第1端部21および第2端部22を有している。シール部材30の第1端部31は、シール部材20の第1端部21に対向している。シール部材30の第2端部32は、シール部材20の第2端部22に対向している。シール部材20の第1端部21は車両中心線CLの左方に配置され、シール部材20の第2端部22は車両中心線CLの右方に配置されている(図5A参照)。図示は省略するが、シール部材20は、収納ボックス60の前端部の上縁に沿って延びている。図5Aに示すように、シール部材20およびシール部材30の全体は、シート4の裏側において一周している。シール部材20およびシール部材30の全体は、収納ボックス60の上縁に沿って満遍なく配置されている。図10に示すように、シール部材20は、側方から見て環状に形成されている。ただし、シール部材20の形状は特に限定されない。
【0036】
図9に示すように、第2カバー42は第1カバー41の右方に設けられている。第1カバー41は車両中心線CLの左方に配置され、第2カバー42は車両中心線CLの右方に配置される(図5B参照)。第1カバー41および第2カバー42の形状は特に限定されないが、ここでは左右方向および上下方向に延びる平板状に形成されている。
【0037】
図6に示すように、シール部材20とシール部材30とは別部材であるため、シール部材20の第1端部21とシール部材30の第1端部31との間には境界(以下、第1境界という)21gが生じ、シール部材20の第2端部22とシール部材30の第2端部32との間には境界(以下、第2境界という)22gが生じる。第1カバー41は、第1境界21gに対して収納ボックス60の外側に配置されており、第1境界21gを覆っている。ここでは、第1カバー41は第1境界21gの前方に配置されており、第1境界21gの前方を覆っている。第1カバー41は、第1シール部材20および第2シール部材30の前方に配置されており、前方から見て第1境界21gと重なっている。第2カバー42は、第2境界22gに対して収納ボックス60の外側に配置されており、第2境界22gを覆っている。第2カバー42は第2境界22gの前方に配置されており、第2境界22gの前方を覆っている。図7に示すように、第2カバー42は、第1シール部材20および第2シール部材30の前方に配置されており、前方から見て第2境界22gと重なっている。
【0038】
図7に示すように、第2カバー42の下端48は、シール部材20の下端20bよりも下方に位置している。同様に、第1カバー41の下端48は、シール部材20の下端20bよりも下方に位置している。言い換えると、第1カバー41および第2カバー42は、シール部材20の下端20bよりも下方に延びている。第1カバー41は第1境界21gの下端よりも下方に延び、第2カバー42は第2境界22gの下端よりも下方に延びている。
【0039】
以上が本実施形態に係る自動二輪車1の構成である。次に、本実施形態によってもたらされる様々な効果について説明する。
【0040】
本実施形態によれば、図2に示すように、シート4はヒンジ10により収納ボックス60に回転可能に連結されている。図5Aに示すように、シート4の裏側には、シール部材20およびシール部材30が取り付けられている。シール部材20およびシール部材30は、シート4と収納ボックス60の上縁との隙間を塞ぐ。シール部材20およびシール部材30によって、収納ボックス60内への雨水等の浸入を防止することができる。
【0041】
本実施形態によれば、シール部材20とシール部材30とは別体であるので、単一のシール部材をシート4の裏面と可動ブラケット11とに跨がって配置する必要は無い。よって、シール部材をシート4の裏面および可動ブラケット11に跨がって配置するための別部品を可動ブラケット11の上に追加する必要は無い。一方、シール部材20とシール部材30とは別体であるので、シール部材20とシール部材30との間に第1境界21gおよび第2境界22gが生じる(図5B参照)。それら境界21g,22gから雨水等が浸入することが懸念される。しかし、本実施形態に係る自動二輪車1は、第1境界21gを覆う第1カバー41および第2境界22gを覆う第2カバー42を備えている。そのため、収納ボックス60内に雨水等が浸入することを防止することができる。
【0042】
シール部材20、第1カバー41、および第2カバー42は互いに別体であってもよいが、本実施形態では一体化されている。取付部品40は、シール部材20と第1カバー41と第2カバー42とが一体化されてなっている。シール部材20と第1カバー41と第2カバー42とは単一の物品により形成されている。そのため、部品点数を削減することができる。
【0043】
本実施形態によれば、取付部品40は、可動ブラケット11に嵌め込まれる嵌合部45を有している(図8参照)。嵌合部45を可動ブラケット11に嵌め込むことによって、取付部品40を可動ブラケット11に取り付けることができ、シール部材20を位置決めすることができる。したがって、シール部材20をシート4の裏側の適正位置に容易に取り付けることができる。
【0044】
シール部材20の材料は特に限定されないが、本実施形態ではゴムである。このことにより、シール部材20のシール性を向上させることができる。また、取付部品40を軽量化することができる。
【0045】
本実施形態では、ヒンジ10はシート4の前端部に設けられており、シート4は左右方向に延びるヒンジ軸13周りに回転可能である(図2参照)。可動ブラケット11はシート4の前端部に取り付けられている。第1カバー41および第2カバー42は、シール部材20およびシール部材30の前方に配置されている。第1カバー41は、前方から見て、シール部材20の第1端部21とシール部材30の第1端部31との境界(第1境界)21gと重なっている。第2カバー42は、前方から見て、シール部材20の第2端部22とシール部材30の第2端部32との境界(第2境界)22gと重なっている。そのため、第1境界21gおよび第2境界22gに前方から雨水等が浸入することを良好に防止することができる。また、自動二輪車1の走行中に、路面から泥等が巻き上げられて後方に飛散する場合があるが、そのような泥等が第1境界21gおよび第2境界22gに浸入することを良好に防止することができる。したがって、第1境界21gまたは第2境界22gを通じて収納ボックス60の内部に雨水や泥等が浸入することを良好に防止することができる。
【0046】
第1カバー41および第2カバー42の寸法は特に限定されないが、本実施形態では、第1カバー41の下端48および第2カバー42の下端48は、シール部材20の下端20bよりも下方に位置している(図7参照)。第1カバー41および第2カバー42は、シール部材20の下端20bよりも下方に延びている。このことにより、第1境界21gおよび第2境界22gに下方から雨水や泥等が浸入することを良好に防止することができる。
【0047】
シール部材20およびシール部材30の全体は、必ずしもシート4の裏側において一周していなくてもよいが、本実施形態では一周している(図5A参照)。そのため、シート4と収納ボックス60との隙間を満遍なく塞ぐことができる。よって、収納ボックス60の内部に雨水や泥等が浸入することを良好に防止することができる。
【0048】
以上、一実施形態について説明したが、前記実施形態は一例に過ぎない。他にも様々な実施形態が可能である。
【0049】
前記実施形態では、ヒンジ10はシート4の前端部に接続され、ヒンジ軸13は左右方向に延びている。シート4は、前方に向かって回転するように構成されている。しかし、ヒンジ10の位置およびシート4の回転方向は特に限定されない。例えば、ヒンジ10がシート4の左端部または右端部に接続され、ヒンジ軸13は前後方向に延びていてもよい。この場合、シート4はヒンジ軸13周りに左方または右方に向かって回転することになる。
【0050】
第1シール部材20と第1カバー41と第2カバー42とは、必ずしも一体化されていなくてもよい。例えば、第1シール部材20と、第1カバー41および第2カバー42とは、互いに別体であってもよい。
【0051】
取付部品40は、可動ブラケット11に嵌め込まれる嵌合部45を有していなくてもよい。
【0052】
第1カバー41の下端48および第2カバー42の下端48は、第1シール部材20の下端20bよりも下方に位置していなくてもよい。
【0053】
鞍乗型車両とは、乗員が跨がって乗車する車両のことである。鞍乗型車両は自動二輪車1に限定されない。鞍乗型車両は、例えば、自動三輪車、ATV(All Terrain vehicle)、スノーモービルであってもよい。
【0054】
ここに用いられた用語及び表現は、説明のために用いられたものであって限定的に解釈するために用いられたものではない。ここに示されかつ述べられた特徴事項の如何なる均等物をも排除するものではなく、本発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されなければならない。本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。この開示は本発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。それらの実施形態は、本発明をここに記載しかつ/又は図示した好ましい実施形態に限定することを意図するものではないという了解のもとで、実施形態がここに記載されている。ここに記載した実施形態に限定されるものではない。本発明は、この開示に基づいて当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ、改良及び/又は変更を含むあらゆる実施形態をも包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0055】
1…自動二輪車(鞍乗型車両)、4…シート、10…ヒンジ、11…可動ブラケット、12…固定ブラケット、13…ヒンジ軸、20…シール部材(第1シール部材)、21…第1端部、21g…第1境界、22…第2端部、22g…第2境界、30…シール部材(第2シール部材)、31…第1端部、32…第2端部、40…取付部品、41…第1カバー、42…第2カバー、45…嵌合部、60…収納ボックス
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10