(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183019
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】船舶
(51)【国際特許分類】
B63B 79/40 20200101AFI20231220BHJP
B63H 21/21 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
B63B79/40
B63H21/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096373
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】小野 純弥
(57)【要約】 (修正有)
【課題】付属物が装着されていることを知らせる。
【解決手段】CPUは、船体12に対して着脱可能な付属物であるタープ40が船体12に装着されているか否かを判定し、タープ40が船体12に装着されていると判定した場合に、その旨を報知する報知処理を実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体と、
前記船体に対して着脱可能な付属物が前記船体に装着されているか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記付属物が装着されていると判定された場合に、その旨を報知する報知処理を実行する報知部と、を有する、船舶。
【請求項2】
前記報知部は、前記付属物が装着されていると判定された場合において、前記船体に推力を与える推進機が始動されたことに応じて前記報知処理を実行する、請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
前記報知部は、音または表示の少なくとも一方によって前記報知処理を実行する、請求項1に記載の船舶。
【請求項4】
前記判定部は、前記付属物が装着されていると判定された場合に、さらに前記付属物の状態を判定し、
前記報知部は、判定された前記状態に応じた態様で前記報知処理を実行する、請求項1に記載の船舶。
【請求項5】
前記判定部は、前記状態として、前記付属物が使用状態か非使用状態かを判定し、
前記報知部は、前記付属物が使用状態の場合と非使用状態の場合とで、異なる態様で前記報知処理を実行する、請求項4に記載の船舶。
【請求項6】
前記判定部により前記付属物が装着されていると判定された場合に、前記船体の航行に関する機能を制限する制限処理を実行する制御部を有する、請求項1に記載の船舶。
【請求項7】
前記制御部は、前記制限処理においては、前記船体の最高速度または最高加速度の少なくとも一方を制限する、請求項6に記載の船舶。
【請求項8】
前記船体に推力を与える推進機は駆動源を有し、
前記制御部は、前記制限処理においては、前記駆動源の最高回転数を制限する、請求項6に記載の船舶。
【請求項9】
前記船体に推力を与える推進機はエンジンを有し、
前記制御部は、前記制限処理においては、前記エンジンにおけるスロットルの最高開度を制限する、請求項6に記載の船舶。
【請求項10】
前記判定部は、前記付属物が装着されていると判定された場合に、さらに前記付属物の状態が使用状態か非使用状態かを判定し、
前記制御部は、前記制限処理においては、前記付属物の状態が非使用状態である場合に比べて、前記付属物の状態が使用状態の場合に、前記機能の制限をより強くする、請求項6に記載の船舶。
【請求項11】
前記制御部は、前記制限処理においては、前記船体の最高速度または最高加速度の少なくとも一方を制限し、
前記制御部は、前記制限処理においては、前記付属物の状態が非使用状態である場合に比べて、前記付属物の状態が使用状態の場合に、前記船体の最高速度または最高加速度の少なくとも一方をより低くする、請求項6に記載の船舶。
【請求項12】
前記付属物は、人が乗ることができるものであり、
前記判定部は、前記付属物が装着されていると判定された場合に、さらに前記付属物に人が乗っているか否かを判定し、
前記報知部は、前記付属物に人が乗っていると判定された場合と前記付属物に人が乗っていないと判定された場合とで、異なる態様で前記報知処理を実行する、請求項1に記載の船舶。
【請求項13】
前記判定部により前記付属物が装着されていると判定された場合に、前記船体の航行に関する機能を制限する制限処理を実行する制御部を有し、
前記制御部は、前記付属物に人が乗っていないと判定された場合に比べて、前記付属物に人が乗っていると判定された場合に、前記機能の制限をより強くする、請求項12に記載の船舶。
【請求項14】
前記付属物は、前記船体の後部に着脱可能である、請求項12に記載の船舶。
【請求項15】
前記付属物は、前記船体の後部における平面の面積を拡張する、請求項12に記載の船舶。
【請求項16】
前記制御部は、前記制限処理においては、前記船体の最高速度または最高加速度の少なくとも一方を制限し、
前記制御部は、前記制限処理においては、前記付属物に人が乗っていないと判定された場合に比べて、前記付属物に人が乗っていると判定された場合に、前記船体の最高速度または最高加速度の少なくとも一方をより低くする、請求項13に記載の船舶。
【請求項17】
前記船体に推力を与える推進機は駆動源を有し、
前記制御部は、前記制限処理においては、前記駆動源の最高回転数を制限する、請求項13に記載の船舶。
【請求項18】
前記船体に推力を与える推進機はエンジンを有し、
前記制御部は、前記制限処理においては、前記エンジンにおけるスロットルの最高開度を制限する、請求項13に記載の船舶。
【請求項19】
前記付属物は、前記船体を水平方向から見た場合に外観の一部として現れるか、または航行時に水面に触れることがあるものである、請求項1に記載の船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付属物を着脱可能な船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
小型船舶に多くみられるように、拡張型プラットホーム、ウェイクポール、タープなどの付属物を着脱可能な船舶が知られている。例えば、特許文献1では、簡易屋根を船体に着脱可能である。また、特許文献2では、船体後部のゲートに対してオーニングを着脱可能である。また、付属物の状態を、例えば使用状態と非使用状態(収納状態)とに可変である船舶も知られている(特許文献3、4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-237683号公報
【特許文献2】特開平05-085468号公報
【特許文献3】特許3174157号公報
【特許文献4】特開2016-060475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、付属物を装着したまま航行すると、操船感覚や航行性能が変化し、操船者が違和感を持つ場合がある。
【0005】
本発明は、付属物が装着されていることを知らせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一態様による船舶は、船体と、前記船体に対して着脱可能な付属物が前記船体に装着されているか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記付属物が装着されていると判定された場合に、その旨を報知する報知処理を実行する報知部と、を有する。
【0007】
この構成によれば、船体に対して着脱可能な付属物が船体に装着されていると判定部により判定された場合に、報知部によりその旨が報知される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、付属物が装着されていることを知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】付属物が使用状態である船体の斜視図である。
【
図3】付属物が装着状態である船体の斜視図である。
【
図4】使用状態のタープを示す模式的側面図である。
【
図5】非使用状態のタープを示す模式的側面図である。
【
図7】付属物対応処理を示すフローチャートである。
【
図8】拡張デッキが装着された船体の後部の模式的な上面図である。
【
図9】拡張デッキが装着された船体の後部の模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る船舶の平面図である。
図1では、船舶11の一部を破断して示している。船舶11は、船体12を有し、船体12の上部にはデッキ13が配置されている。船舶11は、ウォータージェット推進艇として構成される。
【0012】
以下の説明において、前後左右の各方向は、
図1に示すように、船体12の前後左右の各方向を意味する。左右方向については、船体12を後方から見た場合を基準とする。上下方向は、前後方向及び左右方向に垂直な方向である。なお、上下方向は、デッキ13の上面に対して垂直な方向であるとする。
【0013】
船舶11は、船体12を推進させる複数の推進ユニット14、15と、ステアリングハンドル17と、出力調整部18とを含む。ステアリングハンドル17は、船舶11を操舵するために操船者によって操作される。出力調整部18は、レバー等として構成され、推力の調整や進行方向の切替を行うために操船者によって操作される。ステアリングハンドル17および出力調整部18は、デッキ13に設けられた操船席に配置されている。出力調整部18は、F領域(前進)、N領域、およびR領域(後進)で移動可能である。
【0014】
複数の推進ユニット14、15は、船体12に推力を与える推進機であり、船体12の後部に取り付けられている。2つの第1推進ユニット14は、各々、エンジン34(
図6参照)を動力源(駆動源)とする。2つの第2推進ユニット15は、各々、2以上の電動モータM(
図6参照)を動力源とする。第1推進ユニット14および第2推進ユニット15は、いずれもジェット推進ユニットである。各推進ユニット14、15は、互いに独立している。
【0015】
一対の第1推進ユニット14は、船首と船尾中央とを通る鉛直な平面(船体中心C1)に対して対称に配置されている。一対の第2推進ユニット15は、船体12の幅方向において一対の第1推進ユニット14よりも船体中心C1から遠い位置に配置され、船体中心C1に対して対称に配置されている。
【0016】
第1推進ユニット14は、エンジン34(
図6参照)のほか、エンジンECUと、ジェットポンプと、バケットとを含む(いずれも図示せず)。ジェットポンプはエンジン34によって駆動され、船底から吸い込んだ水を後方に噴射する。出力調整部18の操作に応じてバケットが前進位置と後進位置との間で移動することで第1推進ユニット14からの噴射方向が切り替わり、第1推進ユニット14が発生させる推進力の方向が前進方向と後進方向とに切り替わる。
【0017】
第2推進ユニット15は、電動モータM(
図6参照)のほか、モータECUと、ジェットポンプとを含む(いずれも図示せず)。電動モータMはモータECUによって制御される。ジェットポンプは電動モータMによって駆動される。電動モータMの回転方向が切り替わることにより、第2推進ユニット15が発生させる推進力の方向が前進方向と後進方向とに切り替わる。
【0018】
図2、
図3は、付属物が装着された船体12の斜視図である。本実施の形態において、船体12には付属物(アクセサリ)を着脱可能である。付属物としてタープ40を例示する。タープ40は、2つの取り付け部41、42と、2つのポール43、44と、主部45とを有する。主部45は、巻き取り部46と日よけ47とを有する。主部45は巻き取り式であり、巻き取り部46に日よけ47が巻き取り可能である。
【0019】
図2ではタープ40が「使用状態」となっており、
図3ではタープ40が「非使用状態」(収納状態)となっている。通常、非使用状態では、ユーザは、ポール43、44および主部45を結束部55で結束する。
【0020】
図4、
図5は、それぞれ使用状態、非使用状態のタープ40を示す模式的側面図である。
【0021】
船体12の側部のガンネル50に、取り付け部41、42を固定具等で装着固定することで、船体12にタープ40が装着される。取り付け部41、42がガンネル50に固定された状態を、タープ40の「装着状態」という。取り付け部41、42に対して、それぞれ、ボールジョイント等の連結部48、49によってポール43、44が連結されている。従って、ポール43、44は、取り付け部41、42に対して相対的に回動可能である。
【0022】
取り付け部41、42から遠い方のポール43、44の上端部は、それぞれ、ボールジョイント等の連結部51、52によって巻き取り部46に対して連結されている。従って、ポール43、44は、巻き取り部46に対して相対的に回動可能である。
【0023】
連結部48、49および連結部51、52を回動軸として、ポール43、44は、ほぼ前後方向に回動可能である。その結果、巻き取り部46とガンネル50とは、互いにほぼ平行のまま、互いに近づく方向または離れる方向に変位する。
【0024】
なお、ガンネル50に対する取り付け部41、42の固定方法は問わない。また、日よけ47が巻き取られる構成であることは必須でない。すなわち、「使用状態」、「非使用状態」、「装着状態」は、例示した態様に限定されない。
【0025】
取り付け部41には、第1センサ53が設けられている。第1センサ53は、取り付け部41がガンネル50に固定されたことを検出し、その検出信号を出力する。第1センサ53は、例えばメカスイッチであり、取り付け部41がガンネル50に装着前の状態ではオフとなり、取り付け部41がガンネル50に装着されるとガンネル50に押されてオンとなる。第1センサ53がオンの検出信号を出力することで、タープ40が装着状態になったことが検出される。
【0026】
また、ポール43の上端部には、第2センサ54が設けられている。第2センサ54は、ポール43が起立し、巻き取り部46の長手方向に対して垂直になったことを検出し、その検出信号を出力する。第2センサ54は、例えばメカスイッチであり、ポール43が傾倒するとオフとなり、ポール43が起立すると巻き取り部46に押されてオンとなる。第2センサ54がオンの検出信号を出力することで、タープ40が使用状態になったことが検出される。
【0027】
第1センサ53、第2センサ54の構成は問わないが、例えば、光学式・磁気式のセンサを採用可能である。なお、第1センサ53は、ガンネル50に設けられてもよい。第2センサ54は、巻き取り部46に設けられてもよい。また、第1センサ53は、さらに取り付け部42にも設けられてもよい。第2センサ54は、さらにポール44にも設けられてもよい。
【0028】
図6は、船舶11が有する操船システムのブロック図である。この操船システムは、主に操船に関する構成要素として、上述したステアリングハンドル17および出力調整部18のほか、コントローラ30、表示部39、設定操作部29、スタート/ストップSW27、音発生部28、2つのエンジン34、センサ群36、アクチュエータ群37、2つのインバータ35を備える。エンジン34は第1推進ユニット14の各々に含まれる。電動モータMは第2推進ユニット15の各々に含まれる。インバータ35は電動モータMのそれぞれに対応して設けられる。また、タープ40は、第1センサ53、第2センサ54(
図4)のほか、通信I/F56を備える。
【0029】
コントローラ30は、CPU31、ROM32、RAM33および通信I/F(インターフェイス)26、並びに不図示のタイマを含む。ROM32は制御プログラムを格納している。CPU31は、ROM32に格納された制御プログラムをRAM33に展開して実行することにより、各種の制御処理を実現する。RAM33は、CPU31が制御プログラムを実行する際のワークエリアを提供する。コントローラ30は、メインECUとして機能し、第1推進ユニット14のエンジンECUおよび第2推進ユニット15のモータECUを制御する。
【0030】
通信I/F26は、タープ40の通信I/F56と通信する。通信I/F26および通信I/F56の通信規格は問わず、無線でも有線でもよい。コントローラ30は、第1センサ53、第2センサ54による検出結果を通信I/F26を介して取得する。判定部としてのコントローラ30は、第1センサ53からオンの検出結果を取得することで、タープ40が船体12に装着状態になっていると判定する。また、コントローラ30は、第2センサ54からオンの検出結果を取得することで、タープ40が使用状態になっていると判定する。
【0031】
なお、通信I/F26と通信I/F56とが有線通信で接続される構成とした場合、取り付け部41がガンネル50に装着されると互いが電気的に接続され、通信I/F26と通信I/F56の両者の有線通信が確立するようにしてもよい。さらにコントローラ30は、両者の有線接続が確立したことでタープ40が船体12に装着されたと判定してもよい。両者の有線接続の確立からタープ40の装着の有無を判定する構成とした場合は、第1センサ53を廃止してもよい。
【0032】
コントローラ30は、第1推進ユニット14および第2推進ユニット15の少なくとも一方によって船舶11を推進させる。操船者は設定操作部29の操作により運転モードを選択することができる。運転モードには、第1推進ユニット14または第2推進ユニット15のいずれか一方だけを用いるモードや、双方を併用するモードがある。
【0033】
表示部39は、各種情報を表示する。設定操作部29は、操船に関する操作をするための操作子のほか、各種設定を行うための設定操作子、各種指示を入力するための入力操作子を含む(いずれも図示せず)。音発生部28は、スピーカ等を含み、メッセージや警告音等の音を発生させる。
【0034】
センサ群36は、操舵角センサ、レバー位置センサ、船体速度センサ、船体加速度センサ、姿勢センサ、エンジン回転数センサ等を含む(いずれも図示せず)。センサ群36による各検出結果は、コントローラ30に供給される。
【0035】
センサ群36において、船体速度センサ、船体加速度センサはそれぞれ、船舶11(船体12)の航行の速度、加速度を検出する。姿勢センサは、例えば、ジャイロセンサおよび磁気方位センサ等を含む。エンジン回転数センサは、エンジン34の単位時間当たりの回転数を検出する。操舵角センサは、ステアリングハンドル17が回転された際の回転角を検出する。レバー位置センサは、出力調整部18のシフト位置を検出する。
【0036】
アクチュエータ群37は、推進ユニット14、15内に設けられたデフレクタ(図示せず)や第1推進ユニット14内に設けられたバケットを駆動するアクチュエータを含む。このデフレクタは、噴流の方向を左右に変更するための構成要素である。
【0037】
スタート/ストップSW27は、操船席付近に設けられる。スタート/ストップSW27が一定時間以内だけ押下されると、操船システムが起動され、各種メータ表示も開始される。しかしエンジン34は始動されない。また、スタート/ストップSW27が一定時間を超えて押下され続けるとエンジン34が始動される。
【0038】
このような構成において、レバー位置センサにより検出される出力調整部18のシフト位置に基づいて、コントローラ30はエンジン34および電動モータMを制御する。コントローラ30は、出力調整部18のシフト位置によって電動モータMの回転方向を決定する。また、コントローラ30は、出力調整部18のシフト位置(操作量)に応じて指示速度を決定し、指示速度に応じて、インバータ35を用いて電動モータMの回転速度を制御する。
【0039】
図7は、付属物対応処理を示すフローチャートである。この処理は、CPU31が、ROM32に格納された制御プログラムをRAM33に展開して実行することにより実現される。この処理は、操船システムが起動されたことに応じて開始される。
【0040】
まず、ステップS101では、CPU31は、初期化処理を実行する。ここでは、フラグF1、F2が0に初期化される。フラグF1は、「1」であることで、タープ40が装着状態であることを示すフラグである。フラグF2は、「1」であることで、タープ40が使用状態であることを示すフラグである。ステップS102では、CPU31は、その他の処理を実行する。ここでは、CPU31は、ユーザから指示に応じて、付属物対応処理を終了する等の処理を実行する。
【0041】
ステップS103では、CPU31は、付属物(ここではタープ40)が装着されているか否かを判別する。上述のように、CPU31は、第1センサ53からオンの検出信号を取得した場合に、タープ40が装着状態になっていると判別する。その判別の結果、タープ40が装着状態となっていない場合は、CPU31は、ステップS112で、フラグF1を0に設定し、ステップS107に進む。一方、タープ40が装着状態となっている場合は、CPU31は、ステップS104で、フラグF1を1に設定し、ステップS105に進む。
【0042】
ステップS105では、CPU31は、タープ40が使用状態であるか否かを判別する。上述のように、CPU31は、第2センサ54からオンの検出信号を取得した場合に、タープ40が使用状態になっていると判別する。その判別の結果、タープ40が使用状態となっていない場合は、CPU31は、ステップS113で、フラグF2を0に設定し、ステップS107に進む。一方、タープ40が使用状態となっている場合は、CPU31は、ステップS106で、フラグF2を1に設定し、ステップS107に進む。
【0043】
ステップS107では、CPU31は、エンジン34が始動されたか否かを判別する。そしてCPU31は、エンジン34が始動されていない場合は、ステップS102に戻る。エンジン34が始動された場合は、CPU31は、ステップS108で、フラグF1=1であるか否か(すなわち、タープ40が装着状態であるか否か)を判別する。そしてCPU31は、フラグF1=1でない場合はステップS102に戻り、フラグF1=1である場合はステップS109に進む。
【0044】
ステップS109では、CPU31は、フラグF2=1であるか否か(すなわち、タープ40が使用状態であるか否か)を判別する。そしてCPU31は、フラグF2=1である場合はステップS110に進み、フラグF2=1でない場合はステップS111に進む。
【0045】
ステップS111では、報知部および制御部としてのCPU31は、第1報知処理および第1制限処理を実行する。ステップS110では、報知部および制御部としてのCPU31は、第2報知処理および第2制限処理を実行する。ステップS110、S111の後、CPU31は、ステップS102に戻る。
【0046】
ここで、報知処理(第1、第2報知処理)および制限処理(第1、第2制限処理)の例について説明する。なお、制限処理は、船体12の航行に関する機能を制限する処理であり、その詳細例は後述する。
【0047】
報知処理においては、CPU31は、タープ40の状態に応じた態様で報知処理を実行し、タープ40が使用状態の場合と非使用状態の場合とで異なる態様で報知処理を実行する。例えば、非使用状態の場合に実行される第1報知処理(S111)では、CPU31は、装着物が装着されている旨と、第1制限処理により機能が制限される旨とを報知する。
【0048】
使用状態の場合に実行される第2報知処理(S110)では、CPU31は、装着物が使用状態にある旨と、第2制限処理により機能が制限される旨とを報知する。その報知の方法は問わないが、例えば、表示部39へのメッセージやマークの表示のほか、音発生部28による警告音の発生などが考えられる。音または表示の少なくとも一方で報知されてもよい。
【0049】
制限処理においては、CPU31は、タープ40が使用状態の場合に、非使用状態の場合と比べて、船体12の航行に関する機能の制限をより強くする。例えば、非使用状態の場合に実行される第1制限処理(S111)では、CPU31は、船体12の最高速度を、諸元上の最高速度の所定割合(例えば、70%)に制限する。なお、船体12の最高速度または最高加速度の少なくとも一方を制限してもよい。
【0050】
使用状態の場合に実行される第2制限処理(S110)では、CPU31は、船体12の最高速度を所定の低速(例えば10k/h)に制限する。所定の低速は、第1制限処理での最高速度より低い(遅い)値である。なお、第2制限処理では、第1制限処理の場合に比べて、船体12の最高速度または最高加速度の少なくとも一方をより低くしてもよい。
【0051】
なお、制限処理においては、駆動源(エンジン34または電動モータM)の最高回転数を制限してもよい。例えば、エンジン34を用いて航行している場合においては、単位時間当たりのエンジン34の回転数を所定回転数以下に制限してもよい。一例として、第2制限処理の場合、エンジン34の最高回転数は2000rpmに設定される。あるいは、エンジン34におけるスロットルの最高開度を所定開度以下に制限してもよい。また、電動モータMを用いて航行している場合は、単位時間当たりの電動モータMの回転数を所定回転数以下に制限してもよい。なお、所定回転数やスロットルの最高開度の値については、第1制限処理よりも第2制限処理の場合に、より低い値に設定される。
【0052】
このように、タープ40が装着状態(且つ非使用状態)の場合に第1制限処理が実行されるのは、タープ40を装着(且つ非使用状態)したまま航行すると、操船感覚や航行性能が変化し、操船者が違和感を持つ場合があるからである。また、タープ40が使用状態の場合に第2制限処理が実行されるのは、上記のような傾向が一層強くなるからである。従って、タープが使用状態であるにもかかわらず誤って航行された場合に、船体12の最高速度等を制限することで違和感を緩和すると共に、最高速度等が制限されている旨を報知することで、操船者に注意を喚起することができる。
【0053】
本実施の形態によれば、着脱可能なタープ40(付属物)が船体12に装着されていると判定された場合に、その旨が報知されるので、付属物が装着されていることを知らせることができる。
【0054】
また、タープ40が装着されていると判定された場合において、エンジンが始動されたことに応じて報知処理が実行されるので(S107~S111)、航行に際して付属物が装着されていることを知らせて注意を喚起できる。
【0055】
また、タープ40が使用状態の場合と非使用状態の場合とで、異なる態様で報知処理が実行されるので、注意喚起のレベルを分けることができる。
【0056】
また、制限処理においては、船体12の最高速度または最高加速度の少なくとも一方が制限されることで、操船感覚の変化や航行性能の変化を小さくすることができる。
【0057】
なお、制限処理においては、船体12の最高速度、最高加速度、エンジン回転数、スロットル開度、モータ回転数の制限について例示したがこれらに限定されない。例えば、ステアリングの切り角等を制限してもよい。
【0058】
なお、
図7においてステップS107を廃止してもよい。すなわち、タープ40が装着状態となったならば(フラグF1=1)、エンジン始動を待たずに第1報知処理および第1制限処理が実行されるようにしてもよい。また、そのようにした場合において、第1制限処理ではエンジン34等の駆動源の始動を禁止してもよい。
【0059】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態では、着脱可能な付属物として拡張デッキを例示する。
【0060】
図8、
図9は、それぞれ、拡張デッキ61が装着された船体12の後部の模式的な上面図、側面図である。拡張デッキ61は、船体12の後部における平面(リアプラットフォーム)の面積を拡張するアクセサリであり、レックデッキと呼称されることもある。拡張デッキ61には人が乗ることができる。
【0061】
拡張デッキ61は、左右のブラケット62L、62Rと支柱63とを介して船体12に装着固定される。
図8に示すように、ブラケット62L、62Rは、船体12に対して複数の固定具65で固定され、ブラケット62L、62Rに対して、拡張デッキ61が複数の固定具66で固定される。さらに、
図9に示すように、船体12に設けられたブラケット64と拡張デッキ61の後部下部とが、支柱63によって連結されることで、拡張デッキ61の後部が支持される。
【0062】
拡張デッキ61には、第3センサ70が設けられる。第3センサ70の構成は問わないが、例えば第1センサ53(
図4、
図5)と同様である。従って、第3センサ70は、拡張デッキ61がブラケット62Lに固定されたことを検出し、その検出信号を出力する。第3センサ70がオンの検出信号を出力することで、拡張デッキ61が船体12に装着状態になったことが検出される。なお、第3センサ70はブラケット62L、62Rの少なくとも一方に対応して設けられてもよい。
【0063】
拡張デッキ61の上面には、椅子等を取り付けるための複数の取り付け部67が設けられる。取り付け部67の各々には、第4センサ68が設けられる。第4センサ68は、例えば圧電素子を用いたセンサであり、押圧力に応じた信号を出力する。第4センサ68が一定以上のレベルの信号を出力すると、拡張デッキ61上に人が乗ったことが検出される。人が乗ったことは、拡張デッキ61が使用状態になったことと見なすこともできる。
【0064】
また、拡張デッキ61に、人感センサ69を設けてもよい。人感センサ69は、例えば、赤外光を発するものであり、人等の物体の有無を検出する。なお、人感センサ69は船体12に設けてもよい。
【0065】
図10は、拡張デッキ61のブロック図である。第3センサ70、第4センサ68、人感センサ69のほか、通信I/F71を備える。通信I/F71の構成は通信I/F56(
図6参照)と同様である。コントローラ30の通信I/F26は、拡張デッキ61の通信I/F71と通信する。
【0066】
コントローラ30は、第3センサ70、第4センサ68による検出結果を通信I/F26を介して取得する。コントローラ30は、第3センサ70からオンの検出結果を取得することで、拡張デッキ61が船体12に装着されていると判定する。また、コントローラ30は、第4センサ68からオンの検出結果を取得することで、拡張デッキ61上に人が乗っていると判定する。なお、拡張デッキ61上に人が乗っているか否かを判定する際に、第4センサ68に代えて人感センサ69を用いてもよいし、両者を併用してもよい。
【0067】
なお、通信I/F26と通信I/F70とが有線通信で接続される構成とした場合、拡張デッキ61がブラケット62Lに装着されると互いが電気的に接続され、通信I/F26と通信I/F70の両者の有線通信が確立するようにしてもよい。さらにコントローラ30は、両者の有線接続が確立したことで拡張デッキ61が船体12に装着されたと判定してもよい。両者の有線接続の確立から拡張デッキ61の装着の有無を判定する構成とした場合は、第3センサ70を廃止してもよい。
【0068】
なお、このほか、人感センサとして撮影部を設けてもよい。なお、ブラケット62L、62Rを拡張デッキ61と一体に構成してもよく、そのようにした場合は、船体12と拡張デッキ61との間の固定状態を検出するセンサを第3センサ70に代えて設けてもよい。
【0069】
本実施の形態における付属物対応処理(
図7)においては、ステップS103では、CPU31は、付属物(ここでは拡張デッキ61)が装着されているか否かを判別する。上述のように、CPU31は、第3センサ70からオンの検出結果を取得した場合等に、拡張デッキ61が装着状態になっていると判別する。
【0070】
ステップS105では、CPU31は、拡張デッキ61に人が乗っているか否かを判別する。上述のように、CPU31は、第4センサ68からオンの検出結果を取得した場合に、拡張デッキ61上に人が乗っていると判別する。
【0071】
ステップS111、S110では、CPU31は、拡張デッキ61に人が乗っている場合と人が乗っていない場合とで、異なる態様で報知処理および制限処理を実行する。ステップS111、S110での報知処理および制限処理の内容は第1の実施の形態と同様である。例えば、CPU31は、拡張デッキ61に人が乗っていないと判定された場合に比べて、人が乗っていると判定された場合に、船体12の航行に関する機能の制限をより強くする。上記のようにすることで、拡張デッキに人が乗っている状態で誤って航行された場合に、第1の実施の形態と同様に船体12の最高速度等を制限することで違和感を緩和すると共に、最高速度等が制限されている旨を報知することで、操船者に注意を喚起することができる。
【0072】
本実施の形態によれば、付属物が装着されていることを知らせることに関し、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0073】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【0074】
例えば、タープ40と拡張デッキ61のそれぞれに対応して、付属物対応処理(
図7)が実行されてもよい。すなわち、タープ40と拡張デッキ61の少なくともいずれかが装着されると第1報知処理および第1制限処理が実行され、タープ40と拡張デッキ61の少なくともいずれかが使用状態(あるいは人が乗った状態)になると第2報知処理および第2制限処理が実行されてもよい。
【0075】
なお、船体12に着脱可能な付属物は、タープ40または拡張デッキ61に限定されない。特に、船体12を水平方向から見た場合に外観の一部として現れるか、または航行時に水面に触れることがあるものを付属物としてもよい。このような付属物は、操船感覚や航行性能の変化に影響を与える可能性が高いからである。
【0076】
なお、船舶11は、推進ユニット14、15を備えるハイブリッド式の船舶であることは必須でなく、第1推進ユニット14または第2推進ユニット15のいずれかを備えるものであってもよい。また、1つの第1推進ユニット14または1つの第2推進ユニット15を備える船舶にも本発明を適用可能である。また、本発明は、PWC(パーソナルウォータークラフト)、水上オートバイクに限らず、付属物を着脱可能で、船外機、船内機または船内外機によって推進する各種の船舶にも適用可能である。
【符号の説明】
【0077】
12 船体、 30 コントローラ、 31 CPU、 34 エンジン、 40 タープ、 53 第1センサ、 54 第2センサ、 61 拡張デッキ、 68 第4センサ、 70 第3センサ、 M 電動モータ