(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183026
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20231220BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/12 J
H01L23/12 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096388
(22)【出願日】2022-06-15
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、「戦略的イノベーション創造プログラム/SIP第2期/IoE社会のエネルギーシステム/高パワー密度、高温動作可能なWBGチップ搭載パワーモジュール/ユニバーサル対応コア・パワーモジュールの開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】平尾 章
(72)【発明者】
【氏名】池田 良成
(72)【発明者】
【氏名】堀 元人
(57)【要約】
【課題】スナバ回路を搭載した半導体装置において、パワー半導体素子の発熱による信頼性の低減、及び長配線化に伴うスナバ効果の低減をそれぞれ抑制することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】絶縁回路基板と、絶縁回路基板上に配置された半導体チップ3a~3dと、絶縁回路基板上に配置された第1外部接続端子22と、絶縁回路基板上に配置された中継端子81と、半導体チップ3a~3dの上方に配置され、第1外部接続端子22及び中継端子81に接続されたプリント基板6と、プリント基板6上に配置され、プリント基板6を介して第1外部接続端子22に一端が接続され、プリント基板6を介して中継端子81に他端が接続されたスナバ回路(82a,82b,83a,83b)とを備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁回路基板と、
前記絶縁回路基板上に配置された半導体チップと、
前記絶縁回路基板上に配置された第1外部接続端子と、
前記絶縁回路基板上に配置された中継端子と、
前記半導体チップの上方に配置され、前記第1外部接続端子及び前記中継端子に接続されたプリント基板と、
前記プリント基板上に配置され、前記プリント基板を介して前記第1外部接続端子に一端が接続され、前記プリント基板を介して前記中継端子に他端が接続された第1スナバ回路と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1スナバ回路が、
前記プリント基板を介して前記第1外部接続端子に一端が接続された第1抵抗素子と、
前記プリント基板を介して前記第1抵抗素子の他端に一端が接続され、且つ前記プリント基板を介して前記中継端子に他端が接続された第1容量素子と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
2つの前記第1抵抗素子が、前記プリント基板上の、複数の前記半導体チップの間の領域に重なる位置に、前記複数の半導体チップの並列方向に並んで配置されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
2つの前記第1容量素子が、前記プリント基板上の、複数の前記半導体チップの間の領域に重なる位置に、前記複数の半導体チップの並列方向と直交する方向に互いに平行に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記プリント基板上に配置された第2外部接続端子と、
前記プリント基板上に配置され、前記プリント基板を介して前記第1外部接続端子に一端が接続され、前記プリント基板を介して前記第2外部接続端子に他端が接続された第2スナバ回路と、
を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2スナバ回路が、
前記プリント基板を介して前記第1外部接続端子に一端が接続された第2抵抗素子と、
前記プリント基板を介して前記第2抵抗素子の他端に一端が接続され、且つ前記プリント基板を介して前記第2外部接続端子に他端が接続された第2容量素子と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
2つの前記第2抵抗素子が、前記プリント基板上の、複数の前記半導体チップから等間隔の領域に重なる位置に、前記複数の半導体チップの並列方向と直交する方向に互いに平行に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
2つの前記第2容量素子が、前記プリント基板上の、複数の前記半導体チップから等間隔の領域に重なる位置に、前記複数の半導体チップの並列方向に並んで配置されていることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1スナバ回路が、
前記プリント基板を介して前記第1外部接続端子に一端が接続された容量素子と、
前記プリント基板を介して前記容量素子の他端に一端が接続され、且つ前記プリント基板を介して前記中継端子に他端が接続された抵抗素子と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
2つの前記容量素子が、前記プリント基板上の、複数の前記半導体チップから等間隔の領域に重なる位置に、前記複数の半導体チップの並列方向に並んで配置されていることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記抵抗素子が、前記2つの容量素子から等距離の位置に配置されていることを特徴とする請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記プリント基板が、
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上面側に配置された上側配線層と、
前記第1絶縁層の下面側に配置された下側配線層と、
を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記プリント基板が、
前記第1絶縁層の下面に配置された第1炭素層と、
前記第1炭素層の下面と前記下側配線層の上面との間に配置された第2絶縁層と、
を更に有することを特徴とする請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記プリント基板が、
前記上側配線層の上面に配置された第1炭素層と、
前記下側配線層の下面に配置された第2炭素層と、
を更に有することを特徴とする請求項12に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記半導体チップと前記プリント基板とを接続するインターポーザを更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記半導体チップが、炭化珪素、窒化ガリウム及び酸化ガリウムのいずれからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項17】
絶縁回路基板と、
前記絶縁回路基板上に配置された半導体チップと、
前記絶縁回路基板上に配置された第1外部接続端子と、
前記半導体チップの上方に配置され、前記第1外部接続端子及び前記中継端子に接続されたプリント基板と、
前記プリント基板上に配置された第2外部接続端子と、
前記プリント基板上に配置され、前記プリント基板を介して前記第1外部接続端子に一端が接続され、前記プリント基板を介して前記第2外部接続端子に他端が接続されたスナバ回路と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワー半導体素子を搭載したパワー半導体装置等の半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)又は酸化ガリウム(Ga2O3)等からなる次世代のパワー半導体素子を搭載したパワー半導体装置(以下、単に、「半導体装置」と呼ぶ。)の開発が進められている。パワー半導体素子は、従来のシリコン(Si)からなるパワー半導体素子に対して絶縁破壊電界強度が高いことから高耐圧であり、また不純物濃度をより高く、活性層をより薄くすることができることから、高効率で高速動作が可能な小型の半導体装置を実現することができる。
【0003】
前述の半導体装置を搭載した電力変換装置は、パワー半導体素子のスイッチング動作により、入力された直流電力を交流電力に変換、又は入力された交流電力を直流電力に変換する。パワー半導体素子のスイッチング動作時には電流の急激な変化と主回路配線の寄生インダクタンス(パワー半導体素子から主回路コンデンサを介した一巡の寄生インダクタンス)とによってサージ電圧やリンギングが発生し、パワー半導体素子が破壊される恐れがある。
【0004】
そこで、電力変換装置では、コンデンサのみ、又は抵抗とコンデンサの組み合わせ等により成り立つスナバ回路をパワー半導体素子と並列に接続することにより、主回路配線の寄生インダクタンスに蓄積されたエネルギーを吸収してサージ電圧やリンギング、ノイズを低減する方法が採用されている。
【0005】
特許文献1は、スイッチング素子が搭載された第1の基板の上方の第2の基板上にコンデンサを含むスナバ回路を設けた電力変換装置を開示する。特許文献2は、半導体チップが搭載された絶縁回路基板と、絶縁回路基板の上方のプリント基板とをインターポーザで接続した半導体装置を開示する。
【0006】
特許文献3は、半導体素子が搭載された基板の上方の付加基板上に、振動抑制回路を構成する抵抗素子及びキャパシタを設けた半導体装置を開示する。特許文献4は、トランジスタ素子を搭載した絶縁基板上に、サージ電圧を抑制するためのコンデンサを設けた電力変換装置を開示する。
【0007】
特許文献5は、温度検出器を用いてスナバ抵抗の温度を検出し、スナバ抵抗の温度に関連する電圧を、電力用半導体装置を駆動する駆動器に出力する電力用半導体モジュールを開示する。特許文献6は、半導体素子が搭載された基板の上方の配線基板上に、電圧振動抑制回路を構成する抵抗素子及び容量素子を設けた半導体装置を開示する。
【0008】
特許文献7は、半導体チップが搭載された積層回路基板の上方のパワー基板上に、CRスナバ回路を構成するコンデンサ及び抵抗を設けた半導体装置を開示する。特許文献8は、グラファイトシートとコンデンサとグラファイトシートの積層体でスナバ回路を構成したモジュールを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第6602260号明細書
【特許文献2】特開2022-22521号公報
【特許文献3】特許第6597902号明細書
【特許文献4】特開2014-187874号公報
【特許文献5】国際公開第2019/163205号
【特許文献6】特開2018-116962号公報
【特許文献7】特開2020-4929号公報
【特許文献8】特許第6196931号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来のスナバ回路を搭載した半導体装置では、パワー半導体素子の発熱により信頼性が低減したり、長配線化に伴いスナバ効果が低減したりする課題がある。
【0011】
上記課題に鑑み、本発明は、スナバ回路を搭載した半導体装置において、パワー半導体素子の発熱による信頼性の低減、及び長配線化に伴うスナバ効果の低減をそれぞれ抑制することができる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、(a)絶縁回路基板と、(b)絶縁回路基板上に配置された半導体チップと、(c)絶縁回路基板上に配置された第1外部接続端子と、(d)絶縁回路基板上に配置された中継端子と、(e)半導体チップの上方に配置され、第1外部接続端子及び中継端子に接続されたプリント基板と、(f)プリント基板上に配置され、プリント基板を介して第1外部接続端子に一端が接続され、プリント基板を介して中継端子に他端が接続された第1スナバ回路とを備える半導体装置であることを要旨とする。
【0013】
本発明の他の態様は、(a)絶縁回路基板と、(b)絶縁回路基板上に配置された半導体チップと、(c)絶縁回路基板上に配置された第1外部接続端子と、(d)半導体チップの上方に配置され、第1外部接続端子及び中継端子に接続されたプリント基板と、(e)プリント基板上に配置された第2外部接続端子と、(f)プリント基板上に配置され、プリント基板を介して第1外部接続端子に一端が接続され、プリント基板を介して第2外部接続端子に他端が接続されたスナバ回路とを備える半導体装置であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、スナバ回路を搭載した半導体装置において、パワー半導体素子の発熱による信頼性の低減、及び長配線化に伴うスナバ効果の低減をそれぞれ抑制することができる半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係る半導体装置の等価回路図である。
【
図2】第1実施形態に係る半導体装置の側面図である。
【
図3】第1実施形態に係る半導体装置の他の側面図である。
【
図4】第1実施形態に係る絶縁回路基板及び半導体チップの平面図である。
【
図5】
図4のA-A方向から見たインターポーザの断面図である。
【
図6】第1実施形態に係るプリント基板の下側配線層の平面図である。
【
図7】第1実施形態に係るプリント基板の上側配線層の平面図である。
【
図8】
図7のA-A方向から見たプリント基板及び抵抗素子の断面図である。
【
図9】比較例に係る半導体装置のターンオフ時の電流電圧波形である。
【
図10】第1実施形態に係る半導体装置のターンオフ時の電流電圧波形である。
【
図11】第2実施形態に係る半導体装置の等価回路図である。
【
図12】第2実施形態に係るプリント基板の上側配線層の平面図である。
【
図13】第3実施形態に係る半導体装置の側面図である。
【
図14】第4実施形態に係る半導体装置の側面図である。
【
図15】第5実施形態に係るプリント基板の上側配線層の平面図である。
【
図16】第6実施形態に係るプリント基板の上側配線層の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、第1~第6実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は実際のものとは異なる場合がある。また、図面相互間においても寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。また、以下に示す第1~第6実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。
【0017】
以下の説明において、「第1主電極」とは、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)であれば、エミッタ電極又はコレクタ電極のいずれか一方を意味する。電界効果トランジスタ(FET)や静電誘導トランジスタ(SIT)であれば、ソース電極又はドレイン電極のいずれか一方を意味する。静電誘導サイリスタ(SIサイリスタ)やゲートターンオフサイリスタ(GTO)、ダイオードであれば、アノード電極又はカソード電極のいずれか一方を意味する。また、「第2主電極」とは、IGBTであれば、上記第1主電極とはならないエミッタ電極又はコレクタ電極のいずれか一方を意味する。FETやSITであれば、上記第1主電極とはならないソース電極又はドレイン電極のいずれか一方を意味する。SIサイリスタやGTO、ダイオードであれば、上記第1主電極とはならないアノード電極又はカソード電極のいずれか一方を意味する。即ち、「第1主電極」がソース電極であれば、「第2主電極」はドレイン電極を意味する。「第1主電極」がエミッタ電極であれば、「第2主電極」はコレクタ電極を意味する。「第1主電極」がアノード電極であれば、「第2主電極」はカソード電極を意味する。
【0018】
また、以下の説明における「上」、「下」、「上下」、「左」、「右」、「左右」等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば「上下」は「左右」に変換して読まれ、180°回転して観察すれば「上下」は反転して読まれることは勿論である。
【0019】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る半導体装置は、
図1に示すように、3相ブリッジ回路の一部を構成し、上アームを構成するパワー半導体素子であるMOSトランジスタT1と、下アームを構成するパワー半導体素子であるMOSトランジスタT2を備える。MOSトランジスタT1には還流ダイオード(FWD)D1が逆並列接続されている。MOSトランジスタT1のドレインは正極端子Pに接続され、MOSトランジスタT1のゲートはゲート端子G1に接続されている。MOSトランジスタT1のソースは、補助ソース端子(センス端子)S1及び出力端子Uに接続されている。
【0020】
MOSトランジスタT1のドレインとソースの間には、スナバ回路101が並列接続されている。スナバ回路101は、抵抗R1及び容量C1を備える。抵抗R1の一端は、MOSトランジスタT1のドレインに接続され、抵抗R1の他端は容量C1の一端に接続されている。容量C1の他端は、MOSトランジスタT1のソースに接続されている。
【0021】
MOSトランジスタT2には還流ダイオード(FWD)D2が逆並列接続されている。MOSトランジスタT2のソースは負極端子N及び補助ソース端子(センス端子)S2に接続され、MOSトランジスタT2のゲートはゲート端子G2に接続されている。MOSトランジスタT2のドレインは、出力端子Uに接続されている。
【0022】
MOSトランジスタT2のドレインとソースの間には、スナバ回路102が並列接続されている。スナバ回路102は、抵抗R2及び容量C2を備える。抵抗R2の一端は、MOSトランジスタT2のドレインに接続され、抵抗R2の他端は容量C2の一端に接続されている。容量C2の他端は、MOSトランジスタT2のソースに接続されている。
【0023】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置の概略側面図を示す。
図2に示す側面視において、
図2の左右方向をY軸と定義し、
図2の左方向をY軸の正方向と定義する。また、
図2の奥側及び手前側の方向であるY軸に直交する方向をX軸と定義し、
図2の奥側をX軸の正方向と定義する。また、
図2の上下方向であるX軸及びY軸に直交する方向をZ軸と定義し、
図2の上方向をZ軸の正方向と定義する。
図3以降の平面図及び側面図においてもX軸、Y軸及びZ軸の定義は同様とする。
【0024】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置をX軸の正方向に見た概略側面図である。
図3は、第1実施形態に係る半導体装置をY軸の正方向に見た概略側面図である。
図4は、第1実施形態に係る半導体装置の一部である絶縁回路基板1及び半導体チップ3a~3dの平面図である。
【0025】
第1実施形態に係る半導体装置は、パワー半導体素子2つ分の機能を有する「2イン1」と呼ばれる半導体モジュールである。
図2~
図4に示すように、第1実施形態に係る半導体装置は、絶縁回路基板1と、絶縁回路基板1上に接合材2a~2c等を介して搭載された半導体チップ3a~3dとを備える。
【0026】
絶縁回路基板1は、例えば直接銅接合(DCB)基板や活性ろう付け(AMB)基板等であってもよい。絶縁回路基板1は、絶縁基板11と、絶縁基板11の上面に配置された上側導体層(導電板)12a,12bと、絶縁基板11の下面に配置された下側導体層(放熱板)13とを備える。上側導体層12a,12bは互いに離間して設けられている。上側導体層12aは高電位側領域であり、上側導体層12bは低電位側領域である。
【0027】
絶縁基板11は、例えば酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si3N4)、窒化ホウ素(BN)等からなるセラミクス基板や、高分子材料等を用いた樹脂絶縁基板で構成されている。上側導体層12a,12b及び下側導体層13は、例えば銅(Cu)やアルミニウム(Al)等からなる導体箔で構成されている。
【0028】
上側導体層12a上には、接合材2a,2bを介して半導体チップ3a,3bが接合されている。上側導体層12b上には、接合材2cを介して半導体チップ3cが接合されている。上側導体層12b上には、接合材(不図示)を介して半導体チップ3dが接合されている。接合材2a~2cは、例えばはんだ又は焼結材等で構成されている。半導体チップ3a~3dは、接合材2a~2c等を介さずに、直接接合技術を用いて上側導体層12a,12b上に直接接合していてもよい。
【0029】
図2~
図4に示した半導体チップ3a,3bは、
図1に示した上アームを構成するMOSトランジスタT1に対応し、
図2~
図4に示した半導体チップ3c,3dは、
図1に示した下アームを構成するMOSトランジスタT2に対応する。上アームを構成する半導体チップ3a,3bは、Y軸方向に並列して配置されている。下アームを構成する半導体チップ3c,3dは、Y軸方向に並列して配置されている。
図1に示したMOSトランジスタT1,T2をそれぞれ構成する半導体チップの数は特に限定されず、定格電流等に応じて適宜選択可能である。
【0030】
半導体チップ3a~3dは、用途により種類が異なるが、例えば電界効果トランジスタ(FET)、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)、静電誘導(SI)サイリスタ、ゲートターンオフ(GTO)サイリスタ等のパワー半導体素子、還流ダイオード(FWD)等の整流素子等が採用可能である。半導体チップ3a~3dは、例えばシリコン(Si)基板で構成してもよく、或いは炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、酸化ガリウム(Ga2O3)等のワイドバンドギャップ半導体基板で構成してもよい。
【0031】
第1実施形態に係る半導体装置では、半導体チップ3a~3dがMOSFETである場合を例示している。半導体チップ3a~3dのそれぞれは、上面側に第1主電極(ソース電極)及び制御電極(ゲート電極)を有し、下面側に第2主電極(ドレイン電極)を有する。
【0032】
図2及び
図3に示すように、半導体チップ3a~3cの上面には、インターポーザ4a~4cが配置されている。図示を省略するが、半導体チップ3dの上面にも、インターポーザ4a~4cと同様のインターポーザが配置されている。インターポーザ4a~4c等は、半導体チップ3a~3dと後述するプリント基板6とを電気的に接続する機能を有する。なお、半導体チップ3a~3dとプリント基板6とを電気的に接続する手段はインターポーザ4a~4c等に特に限定されない。
【0033】
図4では、半導体チップ3aの上面に配置されたインターポーザ4aの一部であるポスト電極(バンプ)41a~41e、半導体チップ3bの上面に配置されたインターポーザ4bの一部であるポスト電極(バンプ)42a~42e、半導体チップ3cの上面に配置されたインターポーザ4cの一部であるポスト電極(バンプ)43a~43e、半導体チップ3dの上面に配置されたインターポーザ(不図示)の一部であるポスト電極(バンプ)44a~44eを示している。ポスト電極41a~41e,42a~42e,43a~43e,44a~44eは、例えば棒状(ピン状)又は柱状であり、具体的には円柱、楕円柱、三角柱又は四角柱等の多角柱等であってもよい。
【0034】
ポスト電極41a~41dの下端は、半導体チップ3aのソース電極にはんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。ポスト電極41eの下端は、半導体チップ3aのゲート電極にはんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。
【0035】
ポスト電極42a~42dの下端は、半導体チップ3bのソース電極にはんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。ポスト電極42eの下端は、半導体チップ3bのゲート電極にはんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。
【0036】
ポスト電極43a~43dの下端は、半導体チップ3cのソース電極にはんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。ポスト電極43eの下端は、半導体チップ3bのゲート電極にはんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。
【0037】
ポスト電極44a~44dの下端は、半導体チップ3dのソース電極にはんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。ポスト電極44eの下端は、半導体チップ3dのゲート電極にはんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。
【0038】
図4のA-A方向から見た切断面に位置するインターポーザ4aの断面図を
図5に示す。
図2~
図5に示すように、インターポーザ4aは、絶縁層45aと、絶縁層45aの上面に配置された導電層46aと、絶縁層45aを貫通し、はんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して導電層46aの下面に上端が接続されたポスト電極41a~41eとを備える。
【0039】
絶縁層45aとしては、例えばポリイミド等の樹脂が使用可能である。導電層46aの材料としては、例えば銅(Cu)等の金属材料が使用可能である。導電層46aは、ポスト電極41a~41dに接続する部分と、ポスト電極41eに接続する部分で互いに分離されている。導電層46aのポスト電極41a~41dに接続する部分は、はんだ又は焼結材等の接合材5を介して後述するプリント基板6の下側配線層63aに接合されている。
【0040】
図2及び
図4に示すように、インターポーザ4bは、絶縁層45bと、絶縁層45bの上面に配置された導電層46bと、絶縁層45bを貫通し、はんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して導電層46bの下面に上端が接続されたポスト電極42a~42eとを備える。
【0041】
図3及び
図4に示すように、インターポーザ4cは、絶縁層45cと、絶縁層45cの上面に配置された導電層46cと、絶縁層45cを貫通し、はんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して導電層46bの下面に上端が接続されたポスト電極43a~43eとを備える。
【0042】
図2及び
図3に示すように、半導体チップ3a~3dの上方には、インターポーザ4a~4c等を介して、プリント基板6が配置されている。プリント基板6は、炭素層61と、炭素層61の上面に配置された上側絶縁層65と、上側絶縁層65の上面に配置された上側配線層66b,66c,66dと、炭素層61の下面に配置された下側絶縁層62と、下側絶縁層62の下面に配置された下側配線層63b,63c,63hとを備える。下側配線層63b,63c,63hの下面には炭素層64が配置され、下側配線層63b,63c,63hを被覆している。上側配線層66b,66c,66dの上面には炭素層67が配置され、上側配線層66b,66c,66dを被覆している。
【0043】
図2及び
図3では、炭素層61の端部が、上側絶縁層65及び下側絶縁層62の端部と一致する場合を例示するが、炭素層61の端部は、上側絶縁層65及び下側絶縁層62の端部よりも内側に位置してもよい。上側絶縁層65及び下側絶縁層62は、炭素層61全体を被覆し、炭素層61が内部に埋設されるように一体的に設けられていてもよい。また、炭素層61の端部を被覆するように他の絶縁層が更に設けられていてもよい。
【0044】
炭素層61,64,67の熱伝導率は、上側配線層66b,66c,66d及び下側配線層63b,63c,63hの熱伝導率(例えば銅の熱伝導率である約400W/mK)よりも高い。炭素層61,64,67としては、シート状のグラファイト(グラファイトシート)又はグラフェン(グラフェンシート)が使用可能である。グラフェンは、炭素原子が結合した1原子層のシート状の物質であり、グラファイトは、複数のグラフェンシートの積層構造からなる。グラファイト又はグラフェンは、熱伝導率に異方性を有する。グラファイト又はグラフェンを炭素層61,64,67に用いる場合には、炭素層61,64,67の厚さ方向(Z軸方向)の熱伝導率(例えば約5W/mK程度)よりも、面方向(X軸方向及びY軸方向)の熱伝導率(例えば約1500W/mK程度)が高い材料を使用すれば、炭素層61,64,67の面方向に熱を瞬時に拡散させることができる。
【0045】
炭素層61,64,67は、炭素繊維や、炭素繊維を用いた複合材料で構成されていてもよい。例えば、炭素繊維を用いた複合材料としては、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)や炭素繊維強化炭素複合材料等が挙げられる。
【0046】
上側絶縁層65及び下側絶縁層62は、例えばアルミナ(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si3N4)等を主成分としたセラミクスや樹脂等の絶縁材料で構成されている。上側絶縁層65及び下側絶縁層62は、ポリイミド樹脂や、ガラス繊維とエポキシ樹脂との組み合わせ等からなる樹脂基板であってよい。上側配線層66b,66c,66d及び下側配線層63b,63c,63hは、例えば銅(Cu)やアルミニウム(Al)等からなる導体箔で構成されている。
【0047】
図6は、プリント基板6の下側絶縁層62及び下側配線層63a~63iを、Z軸の負方向に下側絶縁層62を透過して見た場合の下側配線層63a~63iの平面パターンを示す。
図6では、破線で模式的に、半導体チップ3a~3d及びポスト電極41a~41e,42a~42e,43a~43e,44a~44eの重なる位置を示している。
【0048】
ポスト電極41a~41cは、インターポーザ4aの導電層46aの一部を介して、半導体チップ3aのソース電極と、下側配線層63aとを電気的に接続する。ポスト電極41dは、インターポーザ4aの導電層46aの一部を介して、半導体チップ3aのソース電極と、下側配線層63hとを電気的に接続する。ポスト電極41eは、インターポーザ4aの導電層46aの一部を介して、半導体チップ3aのゲート電極と、下側配線層63dとを電気的に接続する。
【0049】
ポスト電極42a~42cは、インターポーザ4bの導電層46bの一部を介して、半導体チップ3bのソース電極と、下側配線層63aとを電気的に接続する。ポスト電極42dは、インターポーザ4bの導電層46bの一部を介して、半導体チップ3bのソース電極と、下側配線層63hとを電気的に接続する。ポスト電極42eは、インターポーザ4bの導電層46bの一部を介して、半導体チップ3bのゲート電極と、下側配線層63eとを電気的に接続する。
【0050】
ポスト電極43a~43cは、インターポーザ4cの導電層46cの一部を介して、半導体チップ3cのソース電極と、下側配線層63bとを電気的に接続する。ポスト電極43dは、インターポーザ4cの導電層46cの一部を介して、半導体チップ3cのソース電極と、下側配線層63iとを電気的に接続する。ポスト電極43eは、インターポーザ4cの導電層46cの一部を介して、半導体チップ3cのゲート電極と、下側配線層63fとを電気的に接続する。
【0051】
ポスト電極44a~44cは、インターポーザの導電層の一部を介して、半導体チップ3dのソース電極と、下側配線層63bとを電気的に接続する。ポスト電極44dは、インターポーザの導電層の一部を介して、半導体チップ3dのソース電極と、下側配線層63iとを電気的に接続する。ポスト電極44eは、インターポーザの導電層の一部を介して、半導体チップ3dのゲート電極と、下側配線層63gとを電気的に接続する。
【0052】
図7は、プリント基板6の上側絶縁層65及び上側配線層66a~66iを、Z軸の負方向に見た平面パターンを示す。上側配線層66aは、下側配線層63aに重なるように設けられている。上側配線層66aは、炭素層61、下側絶縁層62及び上側絶縁層65を貫通する銅(Cu)等の金属からなるビア(不図示)を介して下側配線層63aに電気的に接続されている。
【0053】
上側配線層66aには、切り欠き部71及び突出部72が設けられている。切り欠き部71は、半導体チップ3a,3bの間の領域に重なる位置に設けられている。切り欠き部71には、上側配線層66h及び上側配線層66iが設けられている。突出部72は、半導体チップ3a,3bの並列方向と直交する方向(X軸方向)において切り欠き部71と並んで設けられている。
【0054】
上側配線層66bは、下側配線層63bに重なるように設けられている。上側配線層66bは、炭素層61、下側絶縁層62及び上側絶縁層65を貫通するビア(不図示)を介して下側配線層63bに電気的に接続されている。上側配線層66bには、上側配線層66aの突出部72に対応する位置に、切り欠き部73が設けられている。切り欠き部73には、上側配線層66aの突出部72及び上側配線層66jが設けられている。
【0055】
上側配線層66cは、下側配線層63cに重なるように設けられている。上側配線層66cは、炭素層61、下側絶縁層62及び上側絶縁層65を貫通するビア(不図示)を介して下側配線層63cに電気的に接続されている。
【0056】
上側配線層66dは、下側配線層63d,63eに重なるように設けられている。上側配線層66dは、炭素層61、下側絶縁層62及び上側絶縁層65を貫通するビア(不図示)を介して下側配線層63d,63eに電気的に接続されている。
【0057】
上側配線層66eは、下側配線層63f,63gに重なるように設けられている。上側配線層66eは、炭素層61、下側絶縁層62及び上側絶縁層65を貫通するビア(不図示)を介して下側配線層63f,63gに電気的に接続されている。
【0058】
上側配線層66fは、下側配線層63hに重なるように設けられている。上側配線層66fは、炭素層61、下側絶縁層62及び上側絶縁層65を貫通するビア(不図示)を介して下側配線層63hに電気的に接続されている。
【0059】
上側配線層66gは、下側配線層63iに重なるように設けられている。上側配線層66gは、炭素層61、下側絶縁層62及び上側絶縁層65を貫通するビア(不図示)を介して下側配線層63iに電気的に接続されている。
【0060】
図2及び
図3に示すように、プリント基板6の最表面は保護層(レジスト)9でコーティングされている。保護層9としては、例えば耐熱性が高く硬質な熱硬化性樹脂等の樹脂材料が使用可能であり、具体的にはエポキシ樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂等が使用可能である。保護層9としては、フレキシブルプリント配線板(FPC)等で用いられるポリイミド等からなるカバーレイ等も適用可能である。なお、保護層9は必ずしも設けなくてもよい。
【0061】
図2及び
図3に示すように、半導体チップ3a~3d及びプリント基板6の周囲は、封止部材10により封止されている。封止部材10は、第1実施形態に係る半導体装置の筐体を構成し、略直方体形状を有する。封止部材10の下面から、絶縁回路基板1が露出する。封止部材10としては、例えば耐熱性が高く硬質な熱硬化性樹脂等の樹脂材料が使用可能であり、具体的にはエポキシ樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂等が使用可能である。
【0062】
図2及び
図3に示すように、第1実施形態に係る半導体装置は、外部回路に接続される外部接続端子21~23を備える。外部接続端子21~23は、棒状(ピン状)又は柱状であってもよく、具体的には円柱、楕円柱、三角柱又は四角柱等の多角柱等であってもよい。外部接続端子21~23の材料としては、例えば銅(Cu)等の導電材料が使用可能である。
【0063】
外部接続端子21は、
図1に示した正極端子Pを構成する。
図4に示すように、外部接続端子21の下端は、絶縁回路基板1の上側導体層12aの上面に、はんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。外部接続端子21は、
図6及び
図7に示すように、プリント基板6の下側配線層63c及び上側配線層66cを貫通する。外部接続端子21から供給された電流は、上側導体層12aを介して半導体チップ3a,3bのドレイン電極に供給される。
【0064】
外部接続端子22は、
図1に示した出力端子Uを構成する。
図4に示すように、外部接続端子22の下端は、絶縁回路基板1の上側導体層12bの上面に、はんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。外部接続端子22は、プリント基板6を貫通し、
図6及び
図7に示すように、下側配線層63a及び上側配線層66aに電気的に接続されている。外部接続端子23は、半導体チップ3a,3bのソース電極と半導体チップ3c,3dのドレイン電極との間の出力電流を、下側配線層63a及び上側配線層66aを介して外部回路へ出力する。
【0065】
外部接続端子23は、
図1に示した負極端子Nを構成する。
図7に示すように、外部接続端子22の下端は、プリント基板6の上側配線層66bの上面に、はんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。外部接続端子23は、半導体チップ3c,3dのソース電極の電流を、下側配線層63b及び上側配線層66bを介して外部回路へ出力する。
【0066】
図7に示すように、第1実施形態に係る半導体装置は、外部回路に接続される外部接続端子24a,24b,25a,25bを備える。なお、
図2及び
図3では外部接続端子24a,24b,25a,25bの図示を省略している。外部接続端子24a,24b,25a,25bは、棒状(ピン状)又は柱状であってもよく、具体的には円柱、楕円柱、三角柱又は四角柱等の多角柱等であってもよい。外部接続端子24a,24b,25a,25bの材料としては、例えば銅(Cu)等の導電材料が使用可能である。
【0067】
外部接続端子24aは、
図1に示したゲート端子G1を構成する。外部接続端子24aの下端は、プリント基板6の上側配線層66dの上面に、はんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。外部接続端子24aは、半導体チップ3a,3bのオン・オフを制御する制御信号を、上側配線層66d及び下側配線層63d,63eを介して半導体チップ3a,3bのゲート電極へ供給する。
【0068】
外部接続端子24bは、
図1に示したゲート端子G2を構成する。外部接続端子24bの下端は、プリント基板6の上側配線層66eの上面に、はんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。外部接続端子24bは、半導体チップ3c,3dのオン・オフを制御する制御信号を、上側配線層66e及び下側配線層63f,63gを介して半導体チップ3c,3dのゲート電極へ供給する。
【0069】
外部接続端子25aは、
図1に示した補助ソース端子S1を構成する。外部接続端子25aの下端は、プリント基板6の上側配線層66fの上面に、はんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。外部接続端子25aは、半導体チップ3a,3bの信号(ソース側電圧)を、上側配線層66f及び下側配線層63hを介して外部回路へ出力する。
【0070】
外部接続端子25bは、
図1に示した補助ソース端子S2を構成する。外部接続端子25bの下端は、プリント基板6の上側配線層66gの上面に、はんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。外部接続端子25bは、半導体チップ3c,3dの信号(ソース側電圧)を、上側配線層66g及び下側配線層63iを介して外部回路へ出力する。
【0071】
図2~
図4に示すように、絶縁回路基板1の上側導体層12aの上面には、はんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して中継端子81の下端が接合されている。中継端子81は、プリント基板6を貫通し、
図6及び
図7に示すように、プリント基板6の下側配線層63a及び上側配線層66hに電気的に接続されている。中継端子81は、棒状(ピン状)又は柱状であってもよく、具体的には円柱、楕円柱、三角柱又は四角柱等の多角柱等であってもよい。中継端子81の材料としては、例えば銅(Cu)等の金属材料が使用可能である。
【0072】
図2、
図3及び
図7に示すように、第1実施形態に係る半導体装置は、プリント基板6の上面側に配置された上アーム側のスナバ回路(82a,82b,83a,83b)及び下アーム側のスナバ回路(82c,82d,83c,83d)を備える。スナバ回路(82a,82b,83a,83b)は、
図1に示したスナバ回路101に対応し、スナバ回路(82c,82d,83c,83d)は、
図1に示したスナバ回路102に対応する。
【0073】
上アーム側のスナバ回路(82a,82b,83a,83b)は、プリント基板6の上面側に配置された容量素子(スナバコンデンサ)82a,82b及び抵抗素子(スナバ抵抗)83a,83bで構成されている。容量素子82a,82bは、
図1に示した容量C1に対応し、抵抗素子83a,83bは、
図1に示した抵抗R1に対応する。
【0074】
容量素子82a,82bは、表面実装型(横型)の積層セラミックコンデンサで構成されており、例えばNOVACAP社製の高耐熱型コンデンサを採用できる。抵抗素子83a,83bは、表面実装型(横型)の抵抗で構成されており、例えば高電力品の長辺電極型の抵抗等を採用できる。
【0075】
容量素子82a,82bは、プリント基板6上の、半導体チップ3a,3bの間の領域に重なる位置に配置されている。容量素子82a,82bは、半導体チップ3a,3bの並列方向(Y軸方向)において互いに離間し、半導体チップ3a,3bの並列方向とは直交する方向(X軸方向)に、互いに平行に延伸して配置されている。容量素子82a,82bのそれぞれの一端は、上側配線層66h上に配置され、上側配線層66hを介して中継端子81に電気的に接続されている。容量素子82a,82bのそれぞれの他端は、上側配線層66i上に配置されている。
【0076】
なお、ここでは2つの容量素子82a,82bが配置された場合を例示するが、1つの容量素子のみが配置されていてもよく、3つ以上の容量素子が並列接続するように配置されていてもよい。
【0077】
抵抗素子83a,83bは、プリント基板6上の、半導体チップ3a,3bの間の領域に重なる位置に配置されている。抵抗素子83a,83bは、半導体チップ3a,3bの並列方向(Y軸方向)に互いに離間して並んで配置され、半導体チップ3a,3bの並列方向に延伸して配置されている。抵抗素子83a,83bのそれぞれの一端は、上側配線層66i上に配置され、上側配線層66iを介して容量素子82a,82bのそれぞれの他端に電気的に接続されている。抵抗素子83a,83bのそれぞれの他端は、上側配線層66a上に配置され、上側配線層66aを介して外部接続端子22に電気的に接続されている。
【0078】
図7のA-A方向から見た抵抗素子83a,83bの断面を
図8に示す。
図8に示すように、抵抗素子83a,83bのそれぞれの一端は、上側配線層66i上にはんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。抵抗素子83a,83bのそれぞれの他端は、上側配線層66a上にはんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。
【0079】
なお、ここでは2つの抵抗素子83a,83bが配置された場合を例示するが、1つの抵抗素子のみが配置されていてもよく、3つ以上の抵抗素子が並列接続するように配置されていてもよい。
【0080】
図7に示すように、下アーム側のスナバ回路(82c,82d,83c,83d)は、プリント基板6の上面側に配置された容量素子(スナバコンデンサ)82c,82d及び抵抗素子(スナバ抵抗)83c,83dで構成されている。容量素子82c,82dは、
図1に示した容量C2に対応し、抵抗素子83c,83dは、
図1に示した抵抗R2に対応する。容量素子82c,82dは、容量素子82a,82bと同様の構成である。抵抗素子83c,83dは、抵抗素子83a,83bと同様の構成である。
【0081】
容量素子82c,82dは、プリント基板6上の、半導体チップ3c,3dから等距離の領域に重なる位置に配置されている。容量素子82c,82dは、半導体チップ3c,3dの並列方向(Y軸方向)に互いに離間して並んで配置され、半導体チップ3c,3dの並列方向(Y軸方向)に延伸して配置されている。容量素子82c,82dのそれぞれの一端は、上側配線層66j上に配置されている。容量素子82c,82dのそれぞれの他端は、上側配線層66b上に配置され、上側配線層66bを介して外部接続端子23に電気的に接続されている。
【0082】
なお、ここでは2つの容量素子82c,82dが配置された場合を例示するが、1つの容量素子のみが配置されていてもよく、3つ以上の容量素子が並列接続するように配置されていてもよい。
【0083】
抵抗素子83c,83dは、プリント基板6上の、半導体チップ3c,3dから等距離の領域に重なる位置に配置されている。抵抗素子83c,83dは、半導体チップ3c,3dの並列方向(Y軸方向)において互いに離間し、半導体チップ3c,3dの並列方向に直交する方向(X軸方向)に、互いに平行に延伸して配置されている。抵抗素子83c,83dのそれぞれの一端は、上側配線層66j上に配置され、上側配線層66jを介して容量素子82c,82dのそれぞれの他端に電気的に接続されている。抵抗素子83c,83dのそれぞれの他端は、上側配線層66aの突出部72上に配置され、上側配線層66aを介して外部接続端子22に電気的に接続されている。
【0084】
なお、ここでは2つの抵抗素子83c,83dが配置された場合を例示するが、1つの抵抗素子のみが配置されていてもよく、3つ以上の抵抗素子が並列接続するように配置されていてもよい。
【0085】
第1実施形態に係る半導体装置において、プリント基板6上に搭載する抵抗素子及び容量素子の数は、モジュールの電流定格や構造、デバイスの特性や抵抗素子及び容量素子の特性に応じて適宜変更可能である。搭載する抵抗素子及び容量素子の数に応じて、第1実施形態に係る半導体装置のレイアウトも適宜変更可能である。
【0086】
第1実施形態に係る半導体装置の製造方法(組立方法)の一例としては、
図1に示した絶縁回路基板1を用意し、絶縁回路基板1の上側導体層12a,12b上に接合材2a~2c等を介して半導体チップ3a~3dを搭載する。次に、半導体チップ3a~3d上に接合材(不図示)を介してインターポーザ4a~4c等を搭載する。
【0087】
次に、中継端子81、外部接続端子21~23,24a,24b,25a,25b、スナバ回路(82a,82b,83a,83b),(82c,82d,83c,83d)が搭載されたプリント基板6を用意し、プリント基板6をインターポーザ4a~4c等上に接合材5を介して搭載する。
【0088】
次に、加熱処理により、絶縁回路基板1、半導体チップ3a~3d、インターポーザ4a~4c等及びプリント基板6を接合材2a~2c,5等により一括して接合する。その後、絶縁回路基板1、半導体チップ3a~3d、インターポーザ4a~4c等及びプリント基板6の周囲を、封止部材10で封止する。これにより、第1実施形態に係る半導体装置が完成する。
【0089】
第1実施形態に係る半導体装置によれば、上アームを構成するMOSトランジスタT1及び下アームを構成するMOSトランジスタT2のそれぞれにスナバ回路101,102を接続することにより、ターンオフ時のサージ電圧を減少させることができると共に、リンギングの低減によりターンオフ損失を減少させることができる。
【0090】
更に、プリント基板6上にスナバ回路(82a,82b,83a,83b),(82c,82d,83c,83d)を搭載することで、絶縁回路基板1上にスナバ回路を搭載する場合と比較して、熱応力による影響を低減することができ、スナバ回路(82a,82b,83a,83b),(82c,82d,83c,83d)の信頼性を向上させることができる。
【0091】
更に、プリント基板6上にスナバ回路(82a,82b,83a,83b),(82c,82d,83c,83d)を搭載することで、絶縁回路基板1上にスナバ回路を搭載する場合と比較して、半導体チップ3a~3dの発熱がスナバ回路(82a,82b,83a,83b),(82c,82d,83c,83d)まで到達し難くなるため、半導体チップ3a~3dの発熱による容量素子82a~82dの容量の変動を抑制することができ、スイッチング損失の増加を抑制することができる。
【0092】
更に、プリント基板6に炭素層61,64,67を設けることにより、半導体チップ3a~3dからの熱を遮熱することができると共に、プリント基板6に発生した熱を瞬時に拡散させることができる。これにより、半導体チップ3a~3dの発熱が、プリント基板6上のスナバ回路(82a,82b,83a,83b),(82c,82d,83c,83d)までより到達し難くなる。この結果、半導体チップ3a~3dの発熱による容量素子82a~82dの容量の変動を更に抑制することができ、スイッチング損失の増加を更に抑制することができる。
【0093】
更に、プリント基板6上にスナバ回路(82a,82b,83a,83b),(82c,82d,83c,83d)を搭載することにより、半導体装置の端子付近にスナバ回路を搭載する場合と比較して、スナバ回路(82a,82b,83a,83b),(82c,82d,83c,83d)の位置が半導体チップ3a~3dの近傍となるため、スナバ回路(82a,82b,83a,83b),(82c,82d,83c,83d)と半導体チップ3a~3dとの間の配線の寄生インダクタンスを低減することができる。この結果、サージ電圧やノイズ等を効率よく減衰させることができ、更にはスイッチング損失の低減が可能となる。
【0094】
図9は、比較例に係る半導体装置のターンオフ時の電流及び電圧波形を示し、
図10は、第1実施形態に係る半導体装置のターンオフ時の電流及び電圧波形を示す。比較例に係る半導体装置は、スナバ回路を有さない点が、第1実施形態に係る半導体装置と異なる。
図9に示すように、比較例に係る半導体装置では、リンギングの影響が大きく、誤動作する可能性がある。これに対して、
図10に示すように、第1実施形態に係る半導体装置によれば、リンギング及び1発目のアンダーシュートが減少している。
【0095】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る半導体装置の回路構成は、
図11に示すように、正極端子Pと負極端子Nとの間にスナバ回路103が接続されている点が、第1実施形態に係る半導体装置の回路構成と異なる。スナバ回路103は、抵抗R3及び容量C3を備える。抵抗R3の一端は正極端子Pに接続されている。抵抗R3の他端は容量C3の一端に接続されている。容量C3の他端は負極端子Nに接続されている。第2実施形態に係る半導体装置の他の回路構成は、第1実施形態に係る半導体装置の回路構成と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0096】
図12は、第2実施形態に係る半導体装置のプリント基板6の上側絶縁層65及び上側配線層66a~66iを、Z軸の負方向に見た平面パターンを示す。
図12に示すように、プリント基板6の上側配線層66a~66iのうち、上側配線層66c~66gの平面パターンは、
図7に示した第1実施形態に係る半導体装置と共通するが、上側配線層66a,66b,66h,66iの平面パターンは、
図7に示した第1実施形態に係る半導体装置と異なる。
【0097】
上側配線層66aには、外部接続端子22の周囲に曲線状の切り欠き部74が設けられ、切り欠き部74に連続するように直線状の切り欠き部75が設けられている。切り欠き部74,75には、上側配線層66hが設けられている。上側配線層66bの切り欠き部74に対向する部分には、切り欠き部77が設けられている。切り欠き部77には、上側配線層66iが設けられている。
【0098】
図12に示すように、第2実施形態に係る半導体装置は、プリント基板6上に配置された容量素子82a,82b及び抵抗素子83で構成されるスナバ回路(82a,82b,83)を備える。
図12に示したスナバ回路(82a,82b,83)は、
図11に示したスナバ回路103に対応し、
図12に示した容量素子82a,82bは、
図11に示した容量C3に対応し、
図12に示した抵抗素子83は、
図11に示した抵抗R3に対応する。
【0099】
容量素子82a,82bは、プリント基板6上の、半導体チップ3c,3dから等距離の領域に重なる位置に配置されている。容量素子82a,82bは、半導体チップ3c,3dの並列方向(Y軸方向)に、互いに離間して並んで延伸するように配置されている。容量素子82a,82bのそれぞれの一端は、上側配線層66iの上面に配置されている。容量素子82a,82bのそれぞれの他端は、上側配線層66bの上面に配置され、上側配線層66bを介して外部接続端子23に電気的に接続されている。
【0100】
なお、ここでは2つの容量素子82a,82bが配置された場合を例示するが、1つの容量素子のみが配置されていてもよく、3つ以上の容量素子が配置されていてもよい。
【0101】
第2実施形態に係る半導体装置において、プリント基板6上に搭載する抵抗素子及び容量素子の数は、モジュールの電流定格や構造、デバイスの特性や抵抗素子及び容量素子の特性に応じて適宜変更可能である。搭載する抵抗素子及び容量素子の数に応じて、第2実施形態に係る半導体装置のレイアウトも適宜変更可能である。
【0102】
抵抗素子83は、半導体チップ3c,3dから等距離の領域に重なる位置であり、且つ容量素子82a,82bから等距離となる位置に配置されている。抵抗素子83は、半導体チップ3c,3dの並列方向に直交する方向(X軸方向)に延伸するように配置されている。抵抗素子83の一端は、上側配線層66iの上面に配置され、上側配線層66iを介して容量素子82a,82bのそれぞれの他端に電気的に接続されている。抵抗素子83の他端は、上側配線層66hの上面に配置され、上側配線層66hを介して中継端子81に電気的に接続されている。
【0103】
なお、ここでは1つの抵抗素子83が配置された場合を例示するが、2つ以上の抵抗素子が並列接続するように配置されていてもよい。
【0104】
中継端子81の下端は、絶縁回路基板1の上側導体層12aの上面に、はんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。第2実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0105】
第2実施形態に係る半導体装置によれば、正極端子Pと負極端子Nとの間にスナバ回路103を接続することにより、ターンオフ時のサージ電圧を減少させることができると共に、リンギングの低減によりターンオフ損失を減少させることができる。
【0106】
更に、プリント基板6上にスナバ回路(82a,82b,83)を搭載することで、絶縁回路基板1上にスナバ回路を搭載する場合と比較して、熱応力による影響を低減することができ、スナバ回路(82a,82b,83)の信頼性を向上させることができる。
【0107】
更に、プリント基板6上にスナバ回路(82a,82b,83)を搭載することで、絶縁回路基板1上にスナバ回路を搭載する場合と比較して、半導体チップ3a~3dの発熱がスナバ回路(82a,82b,83)まで到達し難くなるため、半導体チップ3a~3dの発熱による容量素子82a~82dの容量の変動を抑制することができ、スイッチング損失の増加を抑制することができる。
【0108】
更に、プリント基板6に炭素層61,64,67を設けることにより、半導体チップ3a~3dからの熱を遮熱することができると共に、プリント基板6に発生した熱を瞬時に拡散させることができる。これにより、半導体チップ3a~3dの発熱が、プリント基板6上のスナバ回路(82a,82b,83)までより到達し難くなる。この結果、半導体チップ3a~3dの発熱による容量素子82a,82bの容量の変動を更に抑制することができ、スイッチング損失の増加を更に抑制することができる。
【0109】
更に、プリント基板6上にスナバ回路(82a,82b,83)を搭載することにより、半導体装置の端子付近にスナバ回路を搭載する場合と比較して、スナバ回路(82a,82b,83)の位置が半導体チップ3a~3dの近傍となるため、スナバ回路(82a,82b,83)と半導体チップ3a~3dとの間の配線の寄生インダクタンスを低減することができる。この結果、サージ電圧やノイズ等を効率よく減衰させることができ、更にはスイッチング損失の低減が可能となる。
【0110】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る半導体装置は、
図13に示すように、プリント基板6が炭素層を有さない構成である点が、第1実施形態に係る半導体装置と異なる。プリント基板6は、絶縁層60と、絶縁層60の上面に配置された上側配線層66c,66d等と、絶縁層60の下面に配置された下側配線層63c,63h等とを備える。第3実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0111】
第3実施形態に係る半導体装置によれば、プリント基板6が炭素層を有さない構成である場合でも、第1実施形態に係る半導体装置と同様の効果を奏する。
【0112】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る半導体装置は、
図14に示すように、半導体チップ3a,3bとプリント基板6との間にインターポーザを設けない構成である点が、第3実施形態に係る半導体装置と異なる。半導体チップ3aの上面は、ポスト電極41b,41d,41e等を介してプリント基板6の下側配線層63h等に接合されている。半導体チップ3bの上面は、ポスト電極42b,42d,42e等を介してプリント基板6の下側配線層63h等に接合されている。第4実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0113】
第4実施形態に係る半導体装置によれば、インターポーザ以外の手段で半導体チップ3a,3bとプリント基板6との間を電気的に接続する場合でも、第3実施形態に係る半導体装置と同様の効果を奏する。
【0114】
(第5実施形態)
第5実施形態に係る半導体装置は、
図1に示した回路構成において、スナバ回路101,102が抵抗R1,R2を有さず、容量C1,C2のみで構成される点が、第1実施形態に係る半導体装置の回路構成と異なる。
【0115】
第5実施形態に係る半導体装置は、
図15に示すように、プリント基板6上に、上アーム側のスナバ回路を構成する容量素子82a,82b、及び下アーム側のスナバ回路を構成する容量素子82c,82dが配置されている。容量素子82a,82bのそれぞれの一端は、上側配線層66h上に配置され、上側配線層66hを介して中継端子81に電気的に接続されている。容量素子82a,82bのそれぞれの他端は、上側配線層66a上に配置され、上側配線層66aを介して外部接続端子22に電気的に接続されている。
【0116】
容量素子82c,82dのそれぞれの一端は、上側配線層66b上に配置され、上側配線層66bを介して外部接続端子23に電気的に接続されている。容量素子82c,82dのそれぞれの他端は、上側配線層66a上に配置され、上側配線層66aを介して外部接続端子22に電気的に接続されている。
【0117】
第5実施形態に係る半導体装置において、プリント基板6上に搭載する容量素子の数は、モジュールの電流定格や構造、デバイスの特性や容量素子の特性に応じて適宜変更可能である。搭載する容量素子の数に応じて、第5実施形態に係る半導体装置のレイアウトも適宜変更可能である。第5実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0118】
第5実施形態に係る半導体装置によれば、上アーム側のスナバ回路を容量素子82a,82bのみで構成し、下アーム側のスナバ回路を容量素子82c,82dのみで構成する場合でも、第1実施形態に係る半導体装置と同様の効果を奏する。
【0119】
(第6実施形態)
第6実施形態に係る半導体装置は、
図11に示した回路構成において、正極端子Pと負極端子Nとの間に接続されるスナバ回路103が、抵抗R3を有さずに、容量C3のみで構成される点が、第2実施形態に係る半導体装置の回路構成と異なる。
【0120】
第6実施形態に係る半導体装置は、
図16に示すように、プリント基板6上に、スナバ回路を構成する容量素子82a,82bが配置されている。容量素子82a,82bのそれぞれの一端は上側配線層66h上に配置され、上側配線層66hを介して中継端子81に電気的に接続されている。容量素子82a,82bのそれぞれの他端は、上側配線層66b上に配置され、上側配線層66bを介して外部接続端子23に電気的に接続されている。
【0121】
第6実施形態に係る半導体装置において、プリント基板6上に搭載する容量素子の数は、モジュールの電流定格や構造、デバイスの特性や容量素子の特性に応じて適宜変更可能である。搭載する容量素子の数に応じて、第6実施形態に係る半導体装置のレイアウトも適宜変更可能である。第6実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0122】
第6実施形態に係る半導体装置によれば、容量素子82a,82bのみでスナバ回路を構成する場合でも、第2実施形態に係る半導体装置と同様の効果を奏する。なお、中継端子81を抵抗として、中継端子81及び容量素子82a,82bによりCRスナバであるスナバ回路(81,82a,82b)を構成してもよい。
【0123】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は第1~第6実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0124】
例えば、第1~第6実施形態がそれぞれ開示する構成を、矛盾の生じない範囲で適宜組み合わせることができる。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0125】
1…絶縁回路基板
2a~2c…接合材
3a~3d…半導体チップ
4a~4c…インターポーザ
5…接合材
6…プリント基板
9…保護層(レジスト)
10…封止部材
11…絶縁基板
12a,12b…上側導体層(導電板)
13…下側導体層(放熱板)
21~23,24a,24b,25a,25b…外部接続端子
41a~41e,42a~42e,43a~43e,44a~44e…ポスト電極(バンプ)
45a~45c…絶縁層
46a~46c…導電層
60…絶縁層
61,64,67…炭素層
62…下側絶縁層
63a~63i…下側配線層
65…上側絶縁層
66a~66j…上側配線層
71,73,74,75,77…切り欠き部
72…突出部
81…中継端子
82a~82d…容量素子
83a~83d…抵抗素子
101~103…スナバ回路
C1~C3…容量
G1,G2…ゲート端子
N…負極端子
P…正極端子
R1~R3…抵抗
S1,S2…補助ソース端子(センス端子)
T1,T2…MOSトランジスタ
U…出力端子
【手続補正書】
【提出日】2023-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項17
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項17】
絶縁回路基板と、
前記絶縁回路基板上に配置された半導体チップと、
前記絶縁回路基板上に配置された第1外部接続端子と、
前記半導体チップの上方に配置され、前記第1外部接続端子に接続されたプリント基板と、
前記プリント基板上に配置された第2外部接続端子と、
前記プリント基板上に配置され、前記プリント基板を介して前記第1外部接続端子に一端が接続され、前記プリント基板を介して前記第2外部接続端子に他端が接続されたスナバ回路と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明の他の態様は、(a)絶縁回路基板と、(b)絶縁回路基板上に配置された半導体チップと、(c)絶縁回路基板上に配置された第1外部接続端子と、(d)半導体チップの上方に配置され、第1外部接続端子に接続されたプリント基板と、(e)プリント基板上に配置された第2外部接続端子と、(f)プリント基板上に配置され、プリント基板を介して第1外部接続端子に一端が接続され、プリント基板を介して第2外部接続端子に他端が接続されたスナバ回路とを備える半導体装置であることを要旨とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
ポスト電極43a~43dの下端は、半導体チップ3cのソース電極にはんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。ポスト電極43eの下端は、半導体チップ3cのゲート電極にはんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
図3及び
図4に示すように、インターポーザ4cは、絶縁層45cと、絶縁層45cの上面に配置された導電層46cと、絶縁層45cを貫通し、はんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して導電層
46cの下面に上端が接続されたポスト電極43a~43eとを備える。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
外部接続端子22は、
図1に示した出力端子Uを構成する。
図4に示すように、外部接続端子22の下端は、絶縁回路基板1の上側導体層12bの上面に、はんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。外部接続端子22は、プリント基板6を貫通し、
図6及び
図7に示すように、下側配線層63a及び上側配線層66aに電気的に接続されている。外部接続端子
22は、半導体チップ3a,3bのソース電極と半導体チップ3c,3dのドレイン電極との間の出力電流を、下側配線層63a及び上側配線層66aを介して外部回路へ出力する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
外部接続端子23は、
図1に示した負極端子Nを構成する。
図7に示すように、外部接続端子
23の下端は、プリント基板6の上側配線層66bの上面に、はんだ又は焼結材等の接合材(不図示)を介して接合されている。外部接続端子23は、半導体チップ3c,3dのソース電極の電流を、下側配線層63b及び上側配線層66bを介して外部回路へ出力する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0107
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0107】
更に、プリント基板6上にスナバ回路(82a,82b,83)を搭載することで、絶縁回路基板1上にスナバ回路を搭載する場合と比較して、半導体チップ3a~3dの発熱がスナバ回路(82a,82b,83)まで到達し難くなるため、半導体チップ3a~3dの発熱による容量素子82a,82bの容量の変動を抑制することができ、スイッチング損失の増加を抑制することができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0112
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0112】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る半導体装置は、
図14に示すように、半導体チップ3a,3bとプリント基板6との間にインターポーザを設けない構成である点が、第3実施形態に係る半導体装置と異なる。半導体チップ3aの上面は、ポスト電極41b,41d,41e等を介してプリント基板6の下側配線層63h等に接合されている。半導体チップ3bの上面は、ポスト電極42b,42d,42e等を介してプリント基板6の下側配線層63h等に接合されている。第4実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第
3実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0121
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0121】
第6実施形態に係る半導体装置において、プリント基板6上に搭載する容量素子の数は、モジュールの電流定格や構造、デバイスの特性や容量素子の特性に応じて適宜変更可能である。搭載する容量素子の数に応じて、第6実施形態に係る半導体装置のレイアウトも適宜変更可能である。第6実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第2実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【手続補正10】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正12】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】