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特開2023-183029試料供給装置及びガスクロマトグラフ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183029
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】試料供給装置及びガスクロマトグラフ
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/32 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
G01N30/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096393
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100141852
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 力
(72)【発明者】
【氏名】山本 善丈
(72)【発明者】
【氏名】青野 晃
(57)【要約】
【課題】試料容器内に加圧ガスを供給する前に、その加圧ガスを試料容器内に供給するための流路内の圧力を検知することができる、試料供給装置及びガスクロマトグラフを提供する。
【解決手段】試料供給装置12は、挿入管と68、加圧ガス供給部32と、バルブ38と、圧力センサ44とを備える。加圧ガス供給部32は、流路を介して、挿入管68と接続される。バルブ38は、流路を開閉する。圧力センサ44は、流路内におけるバルブ38と挿入管68との間の圧力を検知する。試料供給装置12では、加圧ガス供給部32で加圧ガスを供給する前に、バルブ38が閉じられ、かつ、挿入管68が試料容器80内の空間84に挿入された状態で、圧力センサ44からの検知信号に基づいて、加圧ガス供給部32と挿入管68とを接続する流路内の圧力を検知する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料容器内で試料が揮発されることにより当該試料容器内の空間に生成された試料ガスを、供給先へと供給するための試料供給装置であって、
前記試料容器内の前記空間に挿入される挿入管と、
前記挿入管に流路を介して接続され、前記空間を加圧するための加圧ガスを前記流路及び前記挿入管を介して前記空間に供給する加圧ガス供給部と、
前記流路を開閉するためのバルブと、
前記流路内における前記バルブと前記挿入管との間の圧力を検知する圧力センサと、
前記圧力センサからの検知信号が入力される制御部とを備え、
前記制御部は、
前記挿入管が前記空間に挿入された状態で、前記バルブを開いて前記加圧ガス供給部から前記流路及び前記挿入管を介して前記空間に加圧ガスを供給させることにより、前記空間を加圧する加圧処理部と、
前記加圧処理部による処理の後に、前記空間内の圧力により当該空間内の試料ガスを導出させる試料導出処理部と、
前記加圧処理部による処理の前に、前記バルブが閉じられ、かつ、前記挿入管が前記空間に挿入された状態で、前記圧力センサからの検知信号に基づいて前記流路内の圧力を検知する圧力検知処理部と、
前記圧力検知処理部での検知結果に基づく信号を生成する信号生成処理部とを含む、試料供給装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記信号生成処理部により生成される信号に基づいて、前記加圧処理部により前記バルブが開かれるときに前記流路から前記加圧ガス供給部に試料ガスが逆流する可能性があるか否かを判定する判定処理部を含む、請求項1に記載の試料供給装置。
【請求項3】
前記判定処理部による処理には、前記圧力検知処理部により検知される前記流路内の圧力を閾値と比較する処理が含まれる、請求項2に記載の試料供給装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記判定処理部による判定の結果、前記流路から前記加圧ガス供給部に試料ガスが逆流する可能性があると判定された場合に、前記加圧処理部による処理の実行を中止させる加圧中止処理部を含む、請求項2に記載の試料供給装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記判定処理部による判定の結果、前記流路から前記加圧ガス供給部に試料ガスが逆流する可能性があると判定された場合に、その旨を報知する報知処理部を含む、請求項2に記載の試料供給装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記信号生成処理部により生成される信号に基づいて、前記流路内の圧力を報知する報知処理部を含む、請求項1に記載の試料供給装置。
【請求項7】
前記試料導出処理部による処理に伴って前記空間内から導出される試料ガスを捕捉するサンプルループと、
前記サンプルループ内の試料ガスを供給先に供給するためのキャリアガスを供給するキャリアガス供給部とをさらに備え、
前記制御部は、
前記試料導出処理部による処理の後に、前記キャリアガス供給部から前記サンプルループ内にキャリアガスを供給させることにより、前記サンプルループ内の試料ガスを供給先に供給する試料供給処理部を含む、請求項1に記載の試料供給装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の試料供給装置と、
前記試料供給装置から供給される試料ガスの供給先としてのカラムとを備える、ガスクロマトグラフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料ガスを供給する試料供給装置及びガスクロマトグラフに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1で開示されるような試料導入装置では、ヘッドスペースと呼ばれる空間が上部に形成された試料容器内の試料が加熱されることにより、揮発された試料の成分を含むガス(試料ガス)がヘッドスペースに貯められる。試料ガスをサンプルループ内に採取する場合には、試料容器内にニードル(挿入管)が挿入され、当該ニードルを介して加圧ガスが試料容器内のヘッドスペースに供給される。これにより、ヘッドスペース内が加圧されるため、当該ヘッドスペース内の圧力により試料ガスをサンプルループへと導出させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2014/038019号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなヘッドスペース試料導入装置では、加圧ガスの供給口とニードルとを接続する流路には、バルブが設けられる。ヘッドスペース内を加圧ガスで加圧する際には、試料容器内のヘッドスペースにニードルが挿入された状態で、バルブが閉状態から開状態に切り替えられる。
【0005】
しかしながら、ヘッドスペース内の試料ガスの圧力が高い場合には、当該ヘッドスペースにニードルが挿入された時点で、加圧ガスの供給口とニードルとを接続する流路内、具体的には、閉状態のバルブとニードルとの間の流路内の圧力が高くなる。この流路内の圧力が加圧ガスの圧力よりも高い場合、バルブが開かれると、試料ガスが上記流路を逆流する可能性がある。そのため、このような場合、上記流路における、本来試料ガスに汚染されない箇所が、その試料ガスによって汚染される可能性がある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、試料容器内に加圧ガスを供給する前に、その加圧ガスを試料容器内に供給するための流路内の圧力を検知することができる、試料供給装置及びガスクロマトグラフを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、試料容器内で試料が揮発されることにより当該試料容器内の空間に生成された試料ガスを、供給先へと供給するための試料供給装置であって、挿入管と、加圧ガス供給部と、バルブと、圧力センサと、制御部とを備える。前記挿入管は、前記試料容器内の前記空間に挿入される。前記加圧ガス供給部は、前記挿入管に流路を介して接続され、前記空間を加圧するための加圧ガスを前記流路及び前記挿入管を介して前記空間に供給する。前記バルブは、前記流路を開閉する。前記圧力センサは、前記流路内における前記バルブと前記挿入管との間の圧力を検知する。前記制御部は、前記圧力センサからの検知信号が入力される。前記制御部は、加圧処理部と、試料導出処理部と、圧力検知処理部と、信号生成処理部とを含む。前記加圧処理部は、前記挿入管が前記空間に挿入された状態で、前記バルブを開いて前記加圧ガス供給部から前記流路及び前記挿入管を介して前記空間に加圧ガスを供給させることにより、前記空間を加圧する。前記試料導出処理部は、前記加圧処理部による処理の後に、前記空間内の圧力により当該空間内の試料ガスを導出させる。前記圧力検知処理部は、前記加圧処理部による処理の前に、前記バルブが閉じられ、かつ、前記挿入管が前記空間に挿入された状態で、前記圧力センサからの検知信号に基づいて前記流路内の圧力を検知する。前記信号生成処理部は、前記圧力検知処理部での検知結果に基づく信号を生成する。
【0008】
本発明の第2の態様は、前記試料供給装置と、前記試料供給装置から供給される試料ガスの供給先としてのカラムとを備えるガスクロマトグラフである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、試料容器内に加圧ガスを供給する前に、その加圧ガスを試料容器内に供給するための流路内の圧力を検知することができる。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、試料容器内に加圧ガスを供給する前に、その加圧ガスを試料容器内に供給するための流路内の圧力を検知することができる試料供給装置を用いて、試料ガスをカラムに供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態のガスクロマトグラフの構成の一例を示す概略図である。
図2】本実施形態の試料供給装置の構成一例を示す概略図である。
図3】本実施形態の試料供給装置の電気的構成の一例を示すブロック図である。
図4】本実施形態の試料供給装置の動作について説明するための図である。
図5】本実施形態の試料供給装置の動作について説明するための図である。
図6】本実施形態の試料供給装置の動作について説明するための図である。
図7】本実施形態の試料供給装置の動作について説明するための図である。
図8】本実施形態の試料供給装置の電気的構成の具体例を示す機能ブロック図である。
図9】本実施形態の試料供給装置の動作の流れの一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.ガスクロマトグラフの構成
図1は、本実施形態のガスクロマトグラフ10の構成の一例を示す概略図である。ガスクロマトグラフ10は、試料供給装置12、カラム14及び検出器16等を備える。
【0013】
試料供給装置12は、試料ガスを供給先に供給するための装置である。なお、ガスクロマトグラフ10においては、試料ガスの供給先がカラム14とされる。
【0014】
カラム14は、カラムオーブン18内で加熱される。カラム14内に導入される試料ガス中の各成分は、カラム14を通過する過程で分離され、検出器16により検出される。
【0015】
2.試料供給装置の構成
図2は、本実施形態の試料供給装置12の構成の一例を示す概略図である。本実施形態の試料供給装置12は、具体的に、試料容器80内で試料82が揮発されることによりその試料容器80内の空間84に生成された試料ガスを供給先へと供給するための装置である。空間84は、いわゆるヘッドスペースであり、試料容器80内における試料82の上方に形成される。
【0016】
試料供給装置12は、圧力制御部(APC)30、加圧ガス供給部32、加圧ガス排出部34、第1ガス流路36、第1開閉バルブ38、第1分岐ジョイント40、第2ガス流路42、圧力センサ44、第2分岐ジョイント46、第3ガス流路48、第2開閉バルブ50、流量制御部(AFC)52、キャリアガス供給部54、キャリアガス排出部56、第4ガス流路58、第5ガス流路60、第3分岐ジョイント62、第6ガス流路64、第7ガス流路66、挿入管68、サンプルループ70及び六方バルブ72等を備える。
【0017】
圧力制御部30は、ガスボンベなどのキャリアガス供給源(図示は省略)に接続され、キャリアガスの圧力を大気圧よりも大きい一定の圧力に調整したうえで、加圧ガスとして供給する。なお、加圧ガスの圧力は、予め設定することができる。
【0018】
圧力制御部30は、加圧ガス供給部32及び加圧ガス排出部34を備える。加圧ガス供給部32は第1ガス流路36に接続され、加圧ガス排出部34は第3ガス流路48に接続される。第1ガス流路36には、加圧ガス供給部32から一定の圧力の加圧ガスが供給される。また、第3ガス流路48内の加圧ガスは加圧ガス排出部34から排出される。
【0019】
第1ガス流路36は、一方の端部が加圧ガス供給部32に接続され、他方の端部が六方バルブ72のポートbに接続される流路である。そのため、加圧ガス供給部32は、第1ガス流路36を介して、六方バルブ72のポートbに接続される。
【0020】
第1ガス流路36には、第1開閉バルブ38が設けられる。第1開閉バルブ38は、ソレノイドバルブ等の電気的に制御可能な汎用のバルブである。
【0021】
また、第1ガス流路36には、第1分岐ジョイント40が設けられる。具体的に、第1分岐ジョイント40は、第1ガス流路36の第1開閉バルブ38と六方バルブ72との間に設けられる。
【0022】
第1分岐ジョイント40は、流路に対し、他の流路の端部を接続するためのジョイントである。そのため、第1ガス流路36は、第1分岐ジョイント40により分岐されて、第2ガス流路42に接続される。
【0023】
第2ガス流路42は、一方の端部が第1ガス流路36に接続され、他方の端部が圧力センサ44に接続される流路である。つまり、圧力センサ44については、第1ガス流路36、具体的に、第1ガス流路36の第1開閉バルブ38と六方バルブ72との間から分岐して設けられる。圧力センサ44としては、たとえば、ピエゾ素子が用いられる。なお、圧力センサ44の種類は、ガスの圧力を測定することができるのであれば、特に限定されない。
【0024】
また、第2ガス流路42には、第1分岐ジョイント40と同様の第2分岐ジョイント46が設けられる。そのため、第2ガス流路42は、第2分岐ジョイント46により分岐されて、第3ガス流路48に接続される。
【0025】
第3ガス流路48は、一方の端部が第2ガス流路42に接続され、他方の端部が加圧ガス排出部34に接続される流路である。第3ガス流路48には、第1開閉バルブ38と同様の第2開閉バルブ50が設けられる。
【0026】
流量制御部52は、圧力制御部30と同様に、ガスボンベなどのキャリアガス供給源(図示は省略)に接続され、一定の流量に調整されたキャリアガスを供給する。また、流量制御部52は、スプリットされたキャリアガスの流量を一定にしたうえで、そのキャリアガスを排出する。なお、キャリアガスの流量は、予め設定することができる。
【0027】
流量制御部52は、キャリアガス供給部54及びキャリアガス排出部56を備える。キャリアガス供給部54は第4ガス流路58に接続され、キャリアガス排出部56は第6ガス流路64に接続される。第4ガス流路58には、キャリアガス供給部54から一定の流量のキャリアガスが供給される。また、第6ガス流路64内のキャリアガスはキャリアガス排出部56から排出される。
【0028】
圧力制御部30及び流量制御部52に関しては、試料供給装置12から省略されてもよい。ただし、この場合、試料供給装置12とは別に、圧力制御部30及び流量制御部52と同様の機能を有する装置が用いられる。
【0029】
第4ガス流路58は、一方の端部がキャリアガス供給部54に接続され、他方の端部が六方バルブ72のポートdに接続される流路である。そのため、キャリアガス供給部54は、第4ガス流路58を介して、六方バルブ72のポートdに接続される。
【0030】
第5ガス流路60は、一方の端部がカラム14に接続され、他方の端部が六方バルブ72のポートeに接続される流路である。そのため、カラム14は、第5ガス流路60を介して、六方バルブ72のポートeに接続される。
【0031】
また、第5ガス流路60には、第1分岐ジョイント40と同様の第3分岐ジョイント62が設けられる。そのため、第5ガス流路60は、第3分岐ジョイント62により分岐されて、第6ガス流路64に接続される。
【0032】
第6ガス流路64は、一方の端部が第5ガス流路60に接続され、他方の端部がキャリアガス排出部56に接続される。つまり、カラム14には、第6ガス流路64で分割された残りのガスが供給される。
【0033】
第7ガス流路66は、一方の端部が挿入管68に接続され、他方の端部が六方バルブ72のポートaに接続される流路である。そのため、挿入管68は、第7ガス流路66を介して、六方バルブ72のポートaに接続される。なお、挿入管68は、ニードル形状の管である。つまり、挿入管68は、流路としての役割も担う。
【0034】
サンプルループ70は、所定の容量をもつ流路であり、一方の端部が六方バルブ72のポートcに接続され、他方の端部が六方バルブ72のポートfに接続される。
【0035】
六方バルブ72は、ポートa~f及び複数の溝を有する弁体(図示は省略)を有し、各溝が隣接するポートa~f同士を連通させる。また、六方バルブ72については、弁体が回転することで、連通するポートa~fの組み合わせを切り替えることができる。
【0036】
六方バルブ72は、第1状態と第2状態との間で切り替え可能であって、六方バルブ72が第1状態のとき、実線で示すように、ポートfとポートaとが連通し、ポートbとポートcとが連通し、ポートdとポートeとが連通する。六方バルブ72が第2状態のとき、破線で示すように、ポートaとポートbとが連通し、ポートcとポートdとが連通し、ポートeとポートfとが連通する。
【0037】
なお、六方バルブ72に関し、第1状態と第2状態との切り替えは、電気的に制御することで行われるが、手動で行われても良い。
【0038】
また、このような試料供給装置12には、試料容器80をセットすることができる。試料容器80には、液体又は固体の試料82が予め収容される。試料82については、加熱されることで揮発する。そのため、この場合、試料容器80内の空間84では、試料ガスが発生する。
【0039】
また、試料容器80は、セプタム86により密閉されるため、発生した試料ガスは、試料容器80内の空間84に貯められる。セプタム86については、キャップ88により固定されている。これにより、試料容器80内を大気圧よりも大きな圧力に加圧することが可能とされる。
【0040】
このような試料供給装置12によれば、加圧ガス供給部32を、第1ガス流路36、サンプルループ70、第7ガス流路66を含む流路を介して、挿入管68に接続することができる。また、挿入管68については、適宜、試料容器80内の空間84に挿入することができる。
【0041】
そのため、試料供給装置12については、加圧ガスが、第1ガス流路36、サンプルループ70、第7ガス流路66及び挿入管68を介して、試料容器80内の空間84に供給される構成となっている。
【0042】
しかしながら、試料供給装置12については、サンプルループ70を経由しないで試料容器80内の空間84に加圧ガスが供給される構成であってもよい。また、加圧ガスの空間84への供給及び試料ガスのカラム14への供給が可能であれば、六方バルブ72の代わりに、たとえば、複数の三方バルブが用いられても良い。
【0043】
なお、以下において、加圧ガス供給部32と挿入管68とを接続する流路を単に、「接続流路」と記載する。接続流路には、少なくとも第1ガス流路36及び第7ガス流路66が含まれる。図2に示すように構成される試料供給装置12においては、接続流路には、第1ガス流路36、サンプルループ70及び第7ガス流路66が含まれる。
【0044】
これらのことから、加圧ガス供給部32については、挿入管68に接続流路を介して接続され、試料容器80内の空間84を加圧するための加圧ガスを接続流路及び挿入管68を介して空間84に供給することができる。
【0045】
また、第1開閉バルブ38については、接続流路を開閉することができる。さらにまた、圧力センサ44については、接続流路内における第1開閉バルブ38と挿入管68との間から分岐して、その間の圧力を検知することができる。
【0046】
なお、圧力センサ44については、接続流路内の第1開閉バルブ38と挿入管68との間の圧力を検知することができるのであれば、たとえば、第7ガス流路66に設けられても良い。
【0047】
図3は、本実施形態の試料供給装置12の電気的構成の一例を示すブロック図である。試料供給装置12は、圧力センサ44等以外に、報知部74、操作受付部76及び装置制御部100等を備える。
【0048】
また、装置制御部100、圧力制御部30、第1開閉バルブ38、圧力センサ44、第2開閉バルブ50、流量制御部52、六方バルブ72、報知部74及び操作受付部76等の各々は、バス等の回路78を介して、互いに電気的に接続される。
【0049】
報知部74は、所定の事項を報知するために設けられる。視覚的な報知を行う場合、報知部74としては、ディスプレイ又はランプ等の発光可能な部材を用いることができる。また、聴覚的な報知を行うのであれば、報知部74としては、スピーカ等の発音部材を用いることができる。
【0050】
操作受付部76は、任意の操作を受け付ける。操作受付部76としては、ポインティングデバイス、キーボード、タッチパネル又はハードウェア式ボタン等の入力装置を用いることができる。
【0051】
装置制御部100は、試料供給装置12の全体的な制御を担う。装置制御部100は、CPU(Central Processing Unit)102を備える。また、装置制御部100は、CPU102が直接的にアクセス可能なRAM(Random Access Memory)104及び記憶部106を備える。
【0052】
RAM104は、CPU102のワーク領域及びバッファ領域として用いられる。記憶部106としては、HDD(Hard Disc Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリが用いられる。
【0053】
記憶部106には、試料供給装置12の動作を制御するためのプログラム(制御プログラム)及び制御プログラムの実行に必要とされるデータ(実行用データ)等が記憶される。なお、記憶部106がRAM104を含むように構成されてもよい。
【0054】
なお、図示は省略するが、試料供給装置12は、試料容器80内の試料82を加熱するヒータ等も備え、電気的に制御可能とされる。
【0055】
また、装置制御部100については、試料供給装置12から省略されてもよい。ただし、この場合、ガスクロマトグラフ10の全体的な制御を担う制御部によって、試料供給装置12に関する各種コンポーネントの動作が制御される。すなわち、この場合、以下に説明する各種処理については、ガスクロマトグラフ10の制御部によって実行される。
【0056】
3.試料供給装置の動作
本実施形態の試料供給装置12では、試料ガスの分析を行う際、複数の処理が順次実行される。以下、試料供給装置12の動作について、図4図7を参照して説明する。なお、図4図7のそれぞれは、本実施形態の試料供給装置12の動作について説明するための図である。
【0057】
本実施形態では、試料ガスの分析を行う際、初めに、挿入処理が実行される。挿入処理は、挿入管68を試料容器80内の空間84に挿入する処理である。挿入処理が開始されると、六方バルブ72が第1状態とされ、第1開閉バルブ38及び第2開閉バルブ50が閉じられる。さらに、このように、各種バルブの状態の遷移が完了すると、挿入管68が試料容器80内の空間84に挿入される。
【0058】
したがって、挿入処理が実行されると、試料供給装置12は、図4に示す状態とされる。なお、図4においては、密閉されている流路を破線で表す。
【0059】
挿入処理の次は、図4に示す状態のまま第1圧力検知処理が実行される。第1圧力検知処理は、後述する加圧処理の前に、第1開閉バルブ38が閉じられ、かつ、挿入管68が空間84に挿入された状態で、圧力センサ44からの検知信号に基づいて、接続流路内、具体的には、その流路内の第1開閉バルブ38と挿入管68との間の圧力を検知する処理である。
【0060】
また、第1圧力検知処理が実行されると、その第1圧力検知処理での検知結果に基づく信号(参照信号)が生成される。ここでの信号は、具体的に、接続流路内の圧力を示す。
【0061】
第1圧力検知処理の次は、図4に示す状態のまま第1判定処理が実行される。第1判定処理は、参照信号に基づいて、後述する加圧処理により第1開閉バルブ38が開かれるときに接続流路から加圧ガス供給部32に試料ガスが逆流する可能性があるか否を判定する処理である。
【0062】
第1判定処理では、第1圧力検知処理により検知される接続流路内の圧力と閾値とが比較される。具体的には、第1圧力検知処理により検知される接続流路内の圧力が安定した時点での圧力値が、加圧ガス供給部32から供給される加圧ガスの圧力値(圧力制御部30における加圧ガスの圧力設定値)と比較される。ただし、上記閾値は、加圧ガス供給部32から供給される加圧ガスの圧力値に限らず、当該圧力値に係数を乗算した値であってもよいし、それ以外の値であってもよい。接続流路内の圧力が閾値以上のとき、試料ガスが逆流する可能性が有ると判定される。一方で、接続流路内の圧力が閾値未満のとき、試料ガスが逆流する可能性が無いと判定される。
【0063】
上記閾値として加圧ガスの圧力値を用いるのであれば、接続流路から加圧ガス供給部32に試料ガスが逆流するかどうかを確実に判定することができる。そのため、閾値としては、加圧ガスの圧力値を用いるのが好ましい。加圧ガスの圧力については、上述したように予め設定されるので、その値を閾値として用いることが可能とされる。
【0064】
本実施形態では、接続流路から加圧ガス供給部32に試料ガスが逆流する可能性があると判定された場合、後述する加圧処理の実行が中止される。また、この場合、加圧ガス供給部32に試料ガスが逆流する可能性がある旨を報知部74で報知してもよい。なお、加圧処理の実行が中止されるとき、加圧ガスに後続する処理についても同様に実行が中止される。すなわち、試料ガスの供給に関する処理のうちの残りの処理の実行が中止される。
【0065】
また、接続流路から加圧ガス供給部32に試料ガスが逆流する可能性があると判定された場合、後述する加圧処理の実行を中止する代わりに、加圧ガス供給部32に試料ガスが逆流する可能性がある旨を報知部74で報知してもよい。さらに、この場合、操作受付部76又はガスクロマトグラフ10で加圧ガスの圧力を調整する操作が受け付けられても良い。たとえば、加圧ガスの圧力を調整する操作が操作受付部76で受け付けられ、加圧ガスの圧力が上昇したのであれば、再度、第1圧力検知処理及び第1判定処理が実行されてもよい。
【0066】
本実施形態では、接続流路から加圧ガス供給部32に試料ガスが逆流する可能性がない場合は、加圧処理が実行される。
【0067】
加圧処理は、図4に示すように挿入管68が試料容器80の空間84に挿入された状態で、第1開閉バルブ38を開いて、加圧ガス供給部32から接続流路及び挿入管68を介して空間84に加圧ガスを供給させる処理である。加熱処理が実行されると、試料供給装置12は、図5に示す状態とされる。なお、加圧ガスが流れる流路については、図5において破線で表す。
【0068】
また、第1開閉バルブ38については、開かれてから所定時間が経過すると閉じられる。加圧処理については、第1開閉バルブ38が閉じられると終了される。そのため、加圧処理が終了すると、試料供給装置12は、再度、図4に示す状態とされる。
【0069】
加圧処理の次は、図4に示す状態で第2圧力検知処理が実行される。第2圧力検知処理は、第1圧力検知処理と同様に、接続流路内の圧力を検知する処理である。
【0070】
第2圧力検知処理の次は、図4に示す状態のまま第2判定処理が実行される。第2判定処理は、ガス漏れの有無を判定する処理である。第2判定処理では、第2圧力検知処理により検知される接続流路内の圧力の変化量が参照される。所定時間において接続流路内の圧力が閾値以上変化したとき、ガス漏れが生じていると判定される。一方で、所定時間において接続流路内の圧力が閾値以上変化しないとき、ガス漏れが生じていないと判定される。
【0071】
本実施形態では、ガス漏れが生じていないと判定された場合、後述する試料導出処理が実行される。なお、ガス漏れが生じていると判定された場合は、その旨を報知したうえで、試料導出処理が実行されてもよいし、試料ガスの供給に関する処理うちの残りの処理の実行が中止されてもよい。
【0072】
試料導出処理は、試料容器80における空間84内の圧力によりその空間84内の試料ガスを導出させる処理である。試料導出処理が開始されると、図4に示す状態から第2開閉バルブ50が開かれ、図6に示すように、空間84から導出された加圧ガス及び試料ガスが流路を流れる。なお、加圧ガス及び試料ガスが流れる流路については、図6において破線で表す。
【0073】
また、第2開閉バルブ50については、開かれてから所定時間が経過すると閉じられる。試料導出処理については、第2開閉バルブ50が閉じられると終了する。そのため、試料導出処理が終了すると、試料供給装置12は、再度、図4に示す状態とされ、試料容器80の空間84から導出される試料ガスがサンプルループ70に捕捉される。
【0074】
試料導出処理の次は、試料供給処理が実行される。試料供給処理は、キャリアガス供給部54からサンプルループ70内にキャリアガスを供給させることにより、サンプルループ70内の試料ガスを供給先に供給する処理である。
【0075】
試料供給処理が開始されると、六方バルブ72が第1状態、つまり、図4の状態から第2状態に切り替わり、図7に示すように、キャリアガス供給部54から供給されるキャリアガスによって、サンプルループ70内に捕捉されている試料ガスの一部は、キャリアガスと共に供給先に供給される。なお、キャリアガス及び試料ガスが流れる流路を、図7において、破線で示す。
【0076】
六方バルブ72については、第1状態から第2状態に切り替わってから所定時間が経過すると、第1状態に戻る。試料供給処理については、六方バルブ72が第1状態に戻ると終了する。
【0077】
このように、本実施形態の試料供給装置12によれば、加圧処理の前において、接続流路から加圧ガス供給部32に試料ガスが逆流する可能性があると判定された場合、加圧処理の実行の中止等を行うことができる。
【0078】
また、本実施形態では、第1判定処理を省略し、その代わりに、報知処理が実行されてもよい。ただし、この場合の報知処理は、参照信号に基づいて、接続流路内の圧力を報知する処理である。また、この場合、試料ガスの供給に関する処理について、ガスクロマトグラフ10又は操作受付部76で実行を中止する操作が受け付けられてもよい。
【0079】
4.試料供給装置の電気的構成の具体例
図8は、本実施形態の試料供給装置12の電気的構成の具体例を示す機能ブロック図である。なお、図8では、RAM104等の図示は省略する。
【0080】
記憶部106には、閾値データ108及び参照データ110等が記憶される。閾値データ108は、閾値とされる圧力値を示すデータである。閾値データ108は、たとえば、予め設定される加圧ガスの圧力値を示す。
【0081】
参照データ110は、参照信号に対応するデータである。そのため、参照データ110は、圧力センサ44での検知結果、つまり、圧力センサ44により検知される圧力値を示す。また、図示は省略するが、上述したように、記憶部106には、制御プログラム及び実行用データ等も併せて記憶される。
【0082】
装置制御部100は、CPU102(図3参照)が制御プログラムを実行することにより、圧力検知処理部112、信号生成処理部114、判定処理部116、報知処理部118、加圧中止処理部120、加圧処理部122、試料導出処理部124及び試料供給処理部126等として機能する。
【0083】
圧力検知処理部112は、第1圧力検知処理に対応する処理を行う。圧力検知処理部112は、加圧処理部122による処理の前に、第1開閉バルブ38が閉じられ、かつ、挿入管68が試料容器80内の空間84に挿入された状態で、圧力センサ44からの検知信号に基づいて接続流路内の圧力を検知する。
【0084】
信号生成処理部114は、圧力検知処理部112による検知結果に基づく信号を生成する。なお、この信号は、参照データ110として記憶部106に記憶される。
【0085】
判定処理部116は、第1判定処理に対応する処理を行う。判定処理部116は、信号生成処理部114により生成される信号に基づいて、加圧処理部122により第1開閉バルブ38を開いたときに接続流路から加圧ガス供給部32に試料ガスが逆流する可能性があるか否かを判定する。
【0086】
判定処理部116は、具体的に、圧力検知処理部112により検知される接続流路内の圧力を閾値と比較することで、試料ガスが逆流する可能性があるか否かを判定する。なお、その際、閾値データ108及び参照データ110が参照される。
【0087】
報知処理部118は、判定処理部116による判定の結果、接続流路から加圧ガス供給部32に試料ガスが逆流する可能性があると判定された場合に、報知部74を用いてその旨を報知する。
【0088】
加圧中止処理部120は、判定処理部116による判定の結果、接続流路から加圧ガス供給部32に試料ガスが逆流する可能性があると判定された場合に、加圧処理部122による処理の実行を中止させる。
【0089】
加圧処理部122は、加圧処理に対応する処理を行う。加圧処理部122は、挿入管68が試料容器80内の空間84に挿入された状態で、第1開閉バルブ38を開いて、加圧ガス供給部32から接続流路及び挿入管68を介して空間84に加圧ガスを供給させることにより、空間84を加圧する。
【0090】
試料導出処理部124は、試料導出処理に対応する処理を行う。試料導出処理部124は、加圧処理部122による処理の後に、第2開閉バルブ50を開いて、試料容器80の空間84内の圧力によりその空間84内の試料ガスを導出させる。
【0091】
試料供給処理部126は、試料供給処理に対応する処理を行う。試料供給処理部126は、試料導出処理部124による処理の後に、六方バルブ72を第1状態から第2状態に切り替えて、キャリアガス供給部54からサンプルループ70内にキャリアガスを供給させることにより、サンプルループ70内の試料ガスを供給先であるカラム14に供給する。
【0092】
なお、報知処理部118は、信号生成処理部114により生成される信号、つまり、参照データ110に基づいて、接続流路内の圧力を報知する構成であってもよい。この場合、判定処理部116及び加圧中止処理部120は省略される。
【0093】
5.フロー
図9は、本実施形態の試料供給装置12の動作の流れの一例を示すフロー図である。ステップS1では、六方バルブ72を第1状態とし、ステップS2では、第1開閉バルブ38を閉じる。ステップS3では、第2開閉バルブ50を閉じ、ステップS4では、挿入管68を試料容器76内の空間84に挿入する。これにより、図4に示す状態となる。
【0094】
ステップS5では、圧力センサ44で、接続流路内、具体的には、その流路内の第1開閉バルブ38と挿入管68との間の圧力を検知する。
【0095】
ステップS6では、試料ガスが加圧ガス供給部32に逆流する可能性が有るかどうかを判断する。ここでは、具体的に、圧力センサ44で検知された圧力が閾値以上かどうかを判断する。
【0096】
ステップS6で“NO”であれば、つまり、試料ガスが加圧ガス供給部32に逆流する可能性が無いのであれば、ステップS9に進む。一方で、ステップS6で“YES”であれば、つまり、試料ガスが逆流する可能性があるのであれば、ステップS7に進み、その旨を報知する。
【0097】
ステップS8では、供給先への試料ガスの供給を中止する。ステップS8では、具体的に、試料ガスの供給に関する処理うちの残りの処理の実行が中止される。
【0098】
ステップS9では、図5に示すように、第1開閉バルブ38を開くことで、加圧ガスの供給が行われる。第1開閉バルブ38を開かれてから所定時間が経過すると、ステップS10で、第1開閉バルブ38を閉じる。これにより、再度、図4に示す状態となる。ステップS11では、ステップS5と同様に、圧力センサ44で圧力を検知する。
【0099】
ステップS12では、ガス漏れが生じているかどうかを判断する。ここでは、具体的に、所定時間において接続流路内の圧力が閾値以上変化したかどうか判断する。
【0100】
ステップS12で“NO”であれば、つまり、ガス漏れが生じていないのでれば、ステップS13に進む。一方で、ステップS12で“YES”であれば、つまり、ガス漏れが生じているのであれば、ステップS7に進み、その旨を報知する。
【0101】
ステップS13では、図6に示すように、第2開閉バルブ50を開くことで、試料ガスを試料容器80から導出させる。第2開閉バルブ50を開かれてから所定時間が経過すると、ステップS14で第2開閉バルブ50を閉じることで、試料ガスをサンプルループ70で捕捉する。これにより、再度、図4に示す状態となる。
【0102】
ステップS15では、図7に示すように、六方バルブ72を第2状態とすることで、キャリアガス供給部54からサンプルループ70にキャリアガスを供給し、サンプルループ70に捕捉されている試料ガスを供給先に供給する。ステップS16では、六方バルブ72を第1状態とすることで、キャリアガスの供給を終了する。
【0103】
なお、本実施形態で挙げた具体的な構成は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。たとえば、試料供給装置12における流路の構成は、本発明の作用効果が得られる範囲内で適宜変更されてもよい。また、本実施形態で示したフロー図の各ステップは、同じ結果が得られるのであれば、処理される順番は適宜変更することが可能である。
【0104】
6.態様
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0105】
(第1項)一態様に係る試料供給装置は、
試料容器内で試料が揮発されることにより当該試料容器内の空間に生成された試料ガスを、供給先へと供給するための試料供給装置であって、
前記試料容器内の前記空間に挿入される挿入管と、
前記挿入管に流路を介して接続され、前記空間を加圧するための加圧ガスを前記流路及び前記挿入管を介して前記空間に供給する加圧ガス供給部と、
前記流路を開閉するためのバルブと、
前記流路内における前記バルブと前記挿入管との間の圧力を検知する圧力センサと、
前記圧力センサからの検知信号が入力される制御部とを備え、
前記制御部は、
前記挿入管が前記空間に挿入された状態で、前記バルブを開いて前記加圧ガス供給部から前記流路及び前記挿入管を介して前記空間に加圧ガスを供給させることにより、前記空間を加圧する加圧処理部と、
前記加圧処理部による処理の後に、前記空間内の圧力により当該空間内の試料ガスを導出させる試料導出処理部と、
前記加圧処理部による処理の前に、前記バルブが閉じられ、かつ、前記挿入管が前記空間に挿入された状態で、前記圧力センサからの検知信号に基づいて前記流路内の圧力を検知する圧力検知処理部と、
前記圧力検知処理部での検知結果に基づく信号を生成する信号生成処理部とを含んでもよい。
【0106】
第1項に記載の試料供給装置によれば、挿入管が試料容器内の空間に挿入された状態で、加圧ガス供給部と挿入管とを接続する流路に設けられたバルブを開くことで試料容器内に加圧ガスを供給する前に、当該流路内、具体的には、その流路内におけるバルブと試料容器との間の圧力を検知することができる。
【0107】
(第2項)第1項に記載の試料供給装置において、
前記制御部は、前記信号生成処理部により生成される信号に基づいて、前記加圧処理部により前記バルブが開かれるときに前記流路から前記加圧ガス供給部に試料ガスが逆流する可能性があるか否かを判定する判定処理部を含んでもよい。
【0108】
第2項に記載の試料供給装置によれば、バルブを開くことで試料容器内に加圧ガスを供給する前に、上記流路から加圧ガス供給部に試料ガスが逆流する可能性があるか否かを判定することができる。
【0109】
(第3項)第2項に記載の試料供給装置において、
前記判定処理部による処理には、前記圧力検知処理部により検知される前記流路内の圧力を閾値と比較する処理が含まれてもよい。
【0110】
第3項に記載の試料供給装置によれば、上記流路内の圧力と閾値を比較することで、試料ガスが逆流する可能性があるか否かを判定することができる。
【0111】
(第4項)第2項に記載の試料供給装置において、
前記制御部は、前記判定処理部による判定の結果、前記流路から前記加圧ガス供給部に試料ガスが逆流する可能性があると判定された場合に、前記加圧処理部による処理の実行を中止させる加圧中止処理部を含んでもよい。
【0112】
第4項に記載の試料供給装置によれば、前記流路から加圧ガス供給部に試料ガスが逆流する可能性がある場合に、加圧処理の実行が中止されるため、バルブの閉状態が維持される。つまり、この場合、上記流路に試料ガスが逆流するのが防止され、結果的に試料ガスによるその流路の汚染が抑制される。
【0113】
(第5項)第2項に記載の試料供給装置において、
前記制御部は、前記判定処理部による判定の結果、前記流路から前記加圧ガス供給部に試料ガスが逆流する可能性があると判定された場合に、その旨を報知する報知処理部を含んでもよい。
【0114】
第5項に記載の試料供給装置によれば、上記流路に試料ガスが逆流する可能性がある旨を報知することができる。
【0115】
(第6項)第1項に記載の試料供給装置において、
前記制御部は、前記信号生成処理部により生成される信号に基づいて、前記流路内の圧力を報知する報知処理部を含んでもよい。
【0116】
第6項に記載の試料供給装置によれば、バルブを開くことで試料容器内に加圧ガスを供給する前に、上記流路内の圧力を報知することができる。
【0117】
(第7項)第1項に記載の試料供給装置において、
前記試料導出処理部による処理に伴って前記空間内から導出される試料ガスを捕捉するサンプルループと、
前記サンプルループ内の試料ガスを供給先に供給するためのキャリアガスを供給するキャリアガス供給部とをさらに備え、
前記制御部は、
前記試料導出処理部による処理の後に、前記キャリアガス供給部から前記サンプルループ内にキャリアガスを供給させることにより、前記サンプルループ内の試料ガスを供給先に供給する試料供給処理部を含んでもよい。
【0118】
第7項に記載の試料供給装置によれば、バルブを開くことで加圧ガスを供給する前に、上記流路内の圧力を検知し、加圧ガスの供給を行った後では、キャリアガスに捕捉される試料ガスを供給先に供給することができる。
【0119】
(第8項)一態様に係るガスクロマトグラフは、
第1項~第7項のいずれか一項に記載の試料供給装置と、
前記試料供給装置から供給される試料ガスの供給先としてのカラムとを備えてもよい。
【0120】
第8項に記載のガスクロマトグラフによれば、試料容器内に加圧ガスを供給する前に、その加圧ガスを試料容器内に供給するための流路内の圧力を検知することができる試料供給装置を用いて、試料ガスをカラムに供給することができる。
【符号の説明】
【0121】
10 ガスクロマトグラフ
12 試料供給装置
14 カラム
32 加圧ガス供給部
36 第1ガス流路
38 第1開閉バルブ
44 圧力センサ
54 キャリアガス供給部
66 第7ガス流路
68 挿入管
70 サンプルループ
80 試料容器
82 試料
84 空間
100 装置制御部
112 圧力検知処理部
114 信号生成処理部
116 判定処理部
118 報知処理部
120 加圧中止処理部
122 加圧処理部
124 試料導出処理部
126 試料供給処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9