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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183031
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】ケーブル連結具
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/06 20060101AFI20231220BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20231220BHJP
   G02B 6/46 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
H02G1/06
H02G1/02
G02B6/46 333
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096395
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000221915
【氏名又は名称】東邦電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592157076
【氏名又は名称】イワブチ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩二
(72)【発明者】
【氏名】北山 絢一
【テーマコード(参考)】
2H038
5G352
【Fターム(参考)】
2H038CA62
5G352AA04
5G352AB03
5G352AL05
5G352CK05
5G352CK07
(57)【要約】
【課題】通線工具とケーブルの一端との連結作業および取外し作業が容易で、ケーブル引込み作業等の作業効率を向上させる。
【解決手段】通線工具の先端に取付けられ、ケーブルの一端が連結されるケーブル連結具であって、後端側に通線工具の一端が連結される雄ネジ部11a1が形成された通線工具連結部11aを有する一方、先端部側に光ドロップケーブル3の一端が折返して掛止されるケーブル一端掛止部11bを有する連結具本体11と、連結具本体11の外側に設けられ、ケーブル一端掛止部11bに掛止されたドロップケーブル3の一端を側方から押えるケーブル押え体12とを有し、ケーブル一端掛止部11bは、折返された光ドロップケーブル3の一端が収容されるケーブル折返し収容部11b1と、折返された光ドロップケーブル3の一端が掛止されるケーブル掛止用凸部11b2とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通線工具の先端に取付けられ、ケーブルの一端が連結されるケーブル連結具であって、
後端側に前記通線工具の一端が連結される通線工具連結部を有する一方、先端部側に前記ケーブルの一端が掛止されるケーブル一端掛止部を有する連結具本体と、
前記連結具本体の外側に設けられ、前記ケーブル一端掛止部に掛止された前記ケーブルの一端を側方から押えるケーブル押え体とを有することを特徴とするケーブル連結具。
【請求項2】
請求項1記載のケーブル連結具において、
前記ケーブル一端掛止部は、
前記ケーブルの一端が折返して収容されるケーブル折返し収容部と、
前記ケーブル折返し収容部に囲まれて突出して設けられ、折返された前記ケーブルの一端が掛止されるケーブル掛止用凸部と、
前記一端折返し収容部および前記ケーブル掛止用凸部の側方を露出させる側方開口部とを有することを特徴とするケーブル連結具。
【請求項3】
請求項2記載のケーブル連結具において、
前記ケーブル折返し収容部は、
前記通線工具連結部に近づく程、前記ケーブル同士の間隔を引き離すように幅が広がって形成され、前記ケーブルの一端の折返し部分が通るように湾曲して折返されて形成されており、
前記ケーブル押え体は、
前記連結具本体に対しその軸方向にスライド可能に設けられており、スライドして前記ケーブルの一端を側方から押える際、前記ケーブルの一端の折返し部分を押えることを特徴とするケーブル連結具。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一の記載のケーブル連結具において、
前記ケーブル押え体は、前記連結具本体を通す円筒形状に形成されており、その内周面には係止爪が設けられている一方、
前記連結具本体の外周面には、前記ケーブル押え体の係止爪が嵌って前記連結具本体に対する前記ケーブル押え体の移動をガイドする係止爪ガイド溝部と、前記係止爪ガイド溝部によって前記ケーブル押え体の係止爪がガイドされて前記ケーブル押え体が前記ケーブル一端掛止部に掛止された前記ケーブルの一端を覆って側方から押えた際、前記ケーブル押え体の係止爪が係止する前記係止用突起部とが設けられていることを特徴とするケーブル連結具。
【請求項5】
請求項1~請求項3のいずれか一の記載のケーブル連結具において、
前記ケーブル押え体は、前記連結具本体を通す円筒形状に形成されており、その内周面には、前記連結具本体の外周面に設けられた雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が設けられ、当該ケーブル押え体の前記雌ネジ部が前記連結具本体の前記雄ネジ部に螺合して移動することにより前記ケーブル一端掛止部に掛止された前記ケーブルの一端を覆って側方から押えることを特徴とするケーブル連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リードワイヤ等の通線工具の先端に取付けられ、光ドロップケーブル等のケーブルの一端に連結してケーブルの引込み作業等に使用するケーブル連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電柱間等に張られた幹線ケーブルと建物の通信機器等とを接続する光ドロップケーブル等のケーブルを建物まで引き込むため、ケーブル連結具が使用される。このようなケーブル連結具としては、例えば、直線形状の本体部と、本体部の一端に配設される略球形状の先端部と、本体部の他端に光ドロップケーブルの一端を連結する連結部とを備え、本体部の曲げ剛性は、光ドロップケーブルの曲げ剛性と比較して小さく、本体部の長さを900mm~1200mmとしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献には、連結部と光ドロップケーブルの一端とビニールテープや圧着スリーブ等を使用して連結するものと記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-187762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1に記載されたケーブル連結具では、連結部と光ドロップケーブルの一端との連結にビニールテープを使用した場合、ビニールテープを巻く作業や剥す作業に手間がかかるという問題点があった。
【0005】
また、圧着スリーブで連結する場合も、圧着スリーブをペンチ等で挟み込み、圧着スリーブで支持線部を挟持した後、圧着スリーブを熱圧着チューブで被覆して加熱することにより光ドロップケーブルとケーブル連結具とを連結しているため、圧着スリーブで挟持して熱圧着チューブで加熱する作業に手間がかかると共に、取り外す際には再度加熱してペンチ等で圧着スリーブを拡げ作業が必要で非常に手間がかかり、作業負担が大きい問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は以上の問題点に着目してなされたもので、通線工具とケーブルの一端との連結作業および取外し作業が容易で、ケーブル引込み作業等の作業効率を向上させることができるケーブル連結具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係るケーブル連結具は、通線工具の先端に取付けられ、ケーブルの一端が連結されるケーブル連結具であって、後端側に前記通線工具の一端が連結される通線工具連結部を有する一方、先端部側に前記ケーブルの一端が掛止されるケーブル一端掛止部を有する連結具本体と、前記連結具本体の外側に設けられ、前記ケーブル一端掛止部に掛止された前記ケーブルの一端を側方から押えるケーブル押え体とを有することを特徴とする。
また、本発明に係るケーブル連結具では、前記ケーブル一端掛止部は、前記ケーブルの一端が折返して収容されるケーブル折返し収容部と、前記ケーブル折返し収容部に囲まれて突出して設けられ、折返された前記ケーブルの一端が掛止されるケーブル掛止用凸部と、前記一端折返し収容部および前記ケーブル掛止用凸部の側方を露出させる側方開口部とを有することも特徴とする。
また、本発明に係るケーブル連結具では、前記ケーブル折返し収容部は、前記通線工具連結部に近づく程、前記ケーブル同士の間隔を引き離すように幅が広がって形成され、前記ケーブルの一端の折返し部分が通るように湾曲して折返されて形成されており、前記ケーブル押え体は、前記連結具本体に対しその軸方向にスライド可能に設けられており、スライドして前記ケーブルの一端を側方から押える際、前記ケーブルの一端の折返し部分を押えることも特徴とする。
また、本発明に係るケーブル連結具では、前記ケーブル押え体は、前記連結具本体を通す円筒形状に形成されており、その内周面には係止爪が設けられている一方、前記連結具本体の外周面には、前記ケーブル押え体の係止爪が嵌って前記連結具本体に対する前記ケーブル押え体の移動をガイドする係止爪ガイド溝部と、前記係止爪ガイド溝部によって前記ケーブル押え体の係止爪がガイドされて前記ケーブル押え体が前記ケーブル一端掛止部に掛止された前記ケーブルの一端を覆って側方から押えた際、前記ケーブル押え体の係止爪が係止する前記係止用突起部とが設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係るケーブル連結具では、前記ケーブル押え体は、前記連結具本体を通す円筒形状に形成されており、その内周面には、前記連結具本体の外周面に設けられた雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が設けられ、当該ケーブル押え体の前記雌ネジ部が前記連結具本体の前記雄ネジ部に螺合して移動することにより前記ケーブル一端掛止部に掛止された前記ケーブルの一端を覆って側方から押えることも特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るケーブル連結具では、ケーブルの一端を挿入してケーブル一端掛止部に掛止し、その掛止後、ケーブル一端掛止部に掛止されたケーブルの一端が側方へ外れないようケーブル押え体によって押えることによって通線工具とケーブルの一端とを容易かつ迅速に連結することができる。またケーブル押え体を押えていたケーブル押え体を解除することによってケーブル一端掛止部からケーブルの一端を取り外すことができる。
そのため、通線工具に対するケーブルの一端の連結作業および取外し作業が容易となるので、作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る実施形態1のケーブル連結具の斜視図である。
図2】本発明に係る実施形態1のケーブル連結具の正面図、平面図、左側面図、右側面図である。
図3】本発明に係る実施形態1のケーブル連結具を構成する連結具本体の斜視図である。
図4】(a)~(d)それぞれ本発明に係る実施形態1のケーブル連結具を構成する連結具本体の正面図、平面図、左側面図、右側面図である。
図5】(a)~(e)それぞれ本発明に係る実施形態1のケーブル連結具を構成するケーブル押え体の斜視図、正面図、左側面図、右側面図、図5(b)におけるA-A線断面図である。
図6】リードワイヤ等の通線工具先端の通線工具側連結部に公知のシャトルランナを連結して、光ドロップケーブルの一端に向かってシャトルランナを移動させている状態を示す図である。
図7】シャトルランナを光ドロップケーブルの近傍まで移動させた後、通線工具先端の通線工具側連結部からシャトルランナを取外し、実施形態のケーブル連結具を連結する際の状態を示す図である。
図8】(a)~(c)それぞれ、本発明に係る実施形態1のケーブル連結具を通線工具先端の通線工具側連結部に連結した後、光ドロップケーブルを連結するまでの状態を示す図である。
図9】本発明に係る実施形態1のケーブル連結具を介して通線工具と光ドロップケーブルを連結した状態を示す図である。
図10】本発明に係る実施形態1のケーブル連結具を介して通線工具と光ドロップケーブルを連結した後、建物の方へ光ドロップケーブルを引っ張っている状態を示す図である。
図11】建物の近傍まで光ドロップケーブルを引っ張ってきたため、ケーブル連結具から通線工具を取り外した後の状態を示す図である。
図12】(a)~(c)それぞれ、雄ネジ部が設けられた通線工具先端の通線工具側連結部の正面図と、アダプタの断面図と、アダプタを介して本発明に係る実施形態1のケーブル連結具と通線工具の通線工具側連結部とを連結した状態を示す部分断面図である。
図13】本発明に係る実施形態2のケーブル連結具の斜視図である。
図14】(a)~(d)それぞれ本発明に係る実施形態2のケーブル連結具の正面図、平面図、左側面図、右側面図である。
図15】本発明に係る実施形態2のケーブル連結具を構成する連結具本体の斜視図である。
図16】(a)~(d)それぞれ本発明に係る実施形態2のケーブル連結具を構成する連結具本体の正面図、平面図、左側面図、右側面図である。
図17】(a)~(e)それぞれ本発明に係る実施形態2のケーブル連結具を構成するケーブル押え体の斜視図、正面図、左側面図、右側面図、図17(b)におけるB-B線断面図である。
図18】(a),(b)それぞれ、本発明に係る実施形態2のケーブル連結具において光ドロップケーブルを連結する前の状態、連結後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るケーブル連結具の実施形態1,2について、図面を参照して説明する。なお、下記に説明する実施形態1,2はあくまで本発明の一例であり、本発明は下記の実施形態1,2に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で適宜変更可能である。
【0011】
実施形態1.
<本発明に係る実施形態1のケーブル連結具1の構成>
本発明に係る実施形態1のケーブル連結具1は、リードワイヤ等の通線工具2の先端に取付けられ、光ドロップケーブル3の一端が連結される合成樹脂製のケーブル連結具で、連結具本体11と、ケーブル押え体12とで構成されており、必要ある場合にはさらにアダプタ13を追加して構成される。つまり、アダプタ13は付加的な構成要素で、任意な構成である。
【0012】
(連結具本体11)
連結具本体11は、後端側に通線工具2の先端部が連結される通線工具連結部11aを有する一方、先端部側に光ドロップケーブル3の一端が掛止されるケーブル一端掛止部11bが設けられ、通線工具連結部11aとケーブル一端掛止部11bとの間の外周面には、係止爪ガイド溝部11cと、解放時係止用突起部11dと、ケーブル押え時係止用突起部11eとが設けられている。
【0013】
(通線工具連結部11a)
通線工具連結部11aは、通線工具2の先端部に雌ネジ部(図示せず。)が形成された通線工具側連結部21が設けられている場合が多いため、通線工具側連結部21の雌ネジ部(図示せず。)に応じて雄ネジ部11a1が設けられている。尚、後述する図12(a)に示すように先端部に雄ネジ部21a’が形成された通線工具側連結部21’の場合には、図12(b)に示すような両側に雌ネジ部13a,13bが形成されたアダプタ13を介して通線工具側連結部21の雄ネジ部21aに連結する。
【0014】
ケーブル一端掛止部11bは、光ドロップケーブル3の一端が折返して収容されるケーブル折返し収容部11b1と、ケーブル折返し収容部11b1に囲まれて突出して設けられ、折返された光ドロップケーブル3の一端が掛止されるケーブル掛止用凸部11b2と、ケーブル折返し収容部11b1およびケーブル掛止用凸部11b2の側方を露出させる側方開口部11b3とを有する。
【0015】
ケーブル折返し収容部11b1は、U字形状に折返された光ドロップケーブル3の一端を通す通路で、U字形状に形成されており、側方開口部11b3によって図4(a)ではケーブル折返し収容部11b1の側方である上方が露出している。
【0016】
ケーブル掛止用凸部11b2は、U字形状に形成されたケーブル折返し収容部11b1に囲まれて連結具本体11から突出して設けられており、通線工具連結部11aに近づく程、光ドロップケーブル3先端ケーブル掛止用凸部11b2における光ドロップケーブル3同士の間隔を引き離すように幅が広がって形成されている。
【0017】
側方開口部11b3は、ケーブル折返し収容部11b1およびケーブル一端掛止部11bを連結具本体11の側方(図3および図4では上方)から露出させる開口部であって、ケーブル折返し収容部11b1およびケーブル一端掛止部11bを露出させている。
【0018】
係止爪ガイド溝部11cは、通線工具連結部11aとケーブル一端掛止部11bとの間の外周面に連結具本体11の軸方向(長手方向)に設けられ、ケーブル押え体12の係止爪12bが嵌って連結具本体11に対するケーブル押え体12の軸方向(長手方向)の移動をガイドして連結具本体11に対しケーブル押え体12をロック状態および開放状態をガイドする溝部である
【0019】
解放時係止用突起部11dは、係止爪ガイド溝部11c内における通線工具連結部11a側に突出して設けられ、ケーブル押え体12の係止爪12bが係止した際、ケーブル押え体12が側方開口部11b3を覆わずに、折返された光ドロップケーブル3の一端を側方から押えずにケーブル掛止用凸部11b2に対し着脱可能状態に開放する係止用突起部である。
【0020】
ケーブル押え時係止用突起部11eは、係止爪ガイド溝部11c内におけるケーブル一端掛止部11b側に設けられ、図2(a)に示すようにケーブル押え体12の係止爪12bが係止した際、ケーブル押え体12が側方開口部11b3の1/2前後を覆って、折返された光ドロップケーブル3の一端を脱落不可状態に側方から押える係止用突起部である。
【0021】
(ケーブル押え体12)
ケーブル押え体12は、連結具本体11と同様に合成樹脂で図5および図6等に示すように円筒状に形成され、連結具本体11の外側に装着され、ケーブル一端掛止部11bに掛止された光ドロップケーブル3の一端が側方へ外れないよう折返された光ドロップケーブル3の一端を外側から覆ったり、取外し可能状態にスライドするもので、連結具本体11を通す連結具本体通し部12a1を有する押え体本体12aと、押え体本体12aの軸方向中心に対し対向するように押え体本体12aに対し所定幅でその軸方向に切込み12c,12cを入れて一対の係止爪12b,12bを設けている。
【0022】
ケーブル押え体12は合成樹脂で形成されているため、一対の係止爪12b,12bを解放時係止用突起部11dやケーブル押え時係止用突起部11eに当接した際、弾性変形して解放時係止用突起部11dやケーブル押え時係止用突起部11eに係止するように構成されている。
【0023】
<本発明に係る実施形態1のケーブル連結具1の動作等>
次に、以上のように構成された本発明に係る実施形態1のケーブル連結具1の動作等について、図面を参照して説明する。
【0024】
まず、図6に示すように電柱4間に懸架された鋼より線等の支持線5にハンガ終端クランプ具6で螺旋状のスパイラルハンガ7の両端が固定されており、スパイラルハンガ7の螺旋中心の中を図6では図示されない光ドロップケーブル3を通して建物に引き込むため、作業員はリードワイヤ等の通線工具2先端の通線工具側連結部21に公知のシャトルランナ8を連結して、光ドロップケーブル3の一端に向かってリードワイヤ等の通線工具2の先端部に連結したシャトルランナ8を移動させる。
【0025】
リードワイヤ等の通線工具2の先端部に連結したシャトルランナ8を移動させて、光ドロップケーブル3の一端近傍まで来ると、図7に示すように通線工具2先端の通線工具側連結部21からシャトルランナ8を取外し、図8(a)に示すように通線工具側連結部21に実施形態1のケーブル連結具1を連結する。
【0026】
尚、この状態では、ケーブル押え体12の一対の係止爪12b,12bは、通線工具2先端の通線工具側連結部21側にスライドしており、ケーブル押え体12の一対の係止爪12b,12bは、連結具本体11の解放時係止用突起部11d(図1図2等参照。)に係止しているものとする。
【0027】
次に、作業員は光ドロップケーブル3の一端を折り返し、ケーブル連結具1の連結具本体11の側方開口部11b3から、図8(b)に示すように折り返した光ドロップケーブル3の一端をケーブル折返し収容部11b1に収容させてケーブル掛止用凸部11b2に係止させる。
【0028】
これにより、光ドロップケーブル3の先端をケーブル連結具1の連結具本体11に容易に掛止できるものの、図8(b)に示すように連結具本体11の側方開口部11b3が開いているため、脱落し易い。
【0029】
そのため、ケーブル押え体12を光ドロップケーブル3に向け矢印方向にスライドさせる。すると、ケーブル押え体12の一対の係止爪12b,12bは、連結具本体11の解放時係止用突起部11d,11dを乗り越えて係止爪ガイド溝部11cに従って光ドロップケーブル3の方へスライドし、図8(c)に示すようにケーブル押え時係止用突起部11e,11eに係止してケーブル押え体12は止まる。
【0030】
そのため、ケーブル押え体12は、図8(c)に示すように連結具本体11の側方開口部11b3の1/2~1/3前後を覆って、ケーブル折返し収容部11b1に収容されケーブル掛止用凸部11b2に掛止された光ドロップケーブル3の折返された一端の1/2~1/3前後を側方から覆うことにより、ケーブル連結具1に光ドロップケーブル3を脱落不可状態に簡単に連結することができる。
【0031】
これにより、図9に示すように実施形態1のケーブル連結具1を介してリードワイヤ等の通線工具2と光ドロップケーブル3の一端をケーブル押え体12のスライドのみで容易かつ迅速に連結することができる。
【0032】
その後、作業員は、図10に示すようにリードワイヤ等の通線工具2を建物方向である矢印の方向に引っ張って、建物の近くまで光ドロップケーブル3の一端を引き込ませると、図11に示すように実施形態1のケーブル連結具1からリードワイヤ等の通線工具2を取り外し、その後、光ドロップケーブル3の一端から実施形態1のケーブル連結具1を取り外し、光ドロップケーブル3の一端を建物から延びる引込線(図示せず。)等に接続して作業が終了する。
【0033】
尚、上述の説明では、リードワイヤ等の通線工具2の先端部に設けられた通線工具側連結部21に雌ネジ部(図示せず。)が形成されているものとして説明したが、例えば、図12(a)に示すようにリードワイヤ等の通線工具2の先端部に設けられた通線工具側連結部21’に雄ネジ部21a’が形成されていた場合、実施形態1のケーブル連結具1の通線工具連結部11aも雄ネジ部11a1が形成されているため、ケーブル連結具1の連結部本体11を通線工具2の通線工具側連結部21’に直接連結できない。
【0034】
そのため、例えば、図12(b)に示すように、両側に雌ネジ部13a,13bが形成されたアダプタ13を介して、つまりケーブル連結具1の通線工具連結部11aの雄ネジ部11a1はアダプタ13の雌ネジ部13aに螺合する一方、通線工具2の通線工具側連結部21’の雄ネジ部21a’はアダプタ13の雌ネジ部13bに螺合してケーブル連結具1の連結部本体11と通線工具2の通線工具側連結部21とを連結する。
【0035】
<本発明に係る実施形態1のケーブル連結具1のまとめ>
以上説明したように、本発明に係る実施形態1のケーブル連結具1は、後端側に通線工具2の通線工具側連結部21が連結される通線工具連結部11aを有する一方、先端部側に側方開口部11b3から光ドロップケーブル3の一端が掛止されるケーブル一端掛止部11bとを有する連結具本体11と、連結具本体11の外側に装着され、ケーブル一端掛止部11bに掛止された光ドロップケーブル3の一端が側方へ外れないよう折返された光ドロップケーブル3の一端を外側から覆うケーブル押え体12とを有する。
【0036】
そのため、側方開口部11b3から光ドロップケーブル3の一端を挿入してケーブル一端掛止部11bに掛止し、その掛止後、ケーブル一端掛止部11bに掛止された光ドロップケーブル3の一端が側方へ外れないよう側方開口部11b3をケーブル押え体12によって覆うことによって通線工具2と光ドロップケーブル3の一端とを容易かつ迅速に連結することができると共に、側方開口部11b3およびケーブル一端掛止部11bを覆っていたケーブル押え体12をズラしてケーブル一端掛止部11bから光ドロップケーブル3の一端を開放することによって光ドロップケーブル3の一端を取り外すことができる。
【0037】
その結果、通線工具2に対する光ドロップケーブル3の一端の連結作業および取外し作業が容易かつ迅速となるので、作業効率を向上させることができる。
【0038】
また、本発明に係る実施形態1のケーブル連結具1では、ケーブル一端掛止部11bは、折返された光ドロップケーブル3の一端が収容されるケーブル折返し収容部11b1と、ケーブル折返し収容部11b1に囲まれて突出して設けられ、折返された光ドロップケーブル3の一端が掛止されるケーブル掛止用凸部11b2とを有し、当該ケーブル掛止用凸部11b2は、通線工具連結部11aに近づく程、光ドロップケーブル3先端ケーブル掛止用凸部11b2における光ドロップケーブル3同士の間隔を引き離すように幅が広がって形成されている。
【0039】
そのため、本発明に係る実施形態1のケーブル連結具1によれば、折り返した光ドロップケーブル3の一端をケーブル折返し収容部11b1に収容し易くなると共に、ケーブル掛止用凸部11b2に掛止し易くなるので、この点でも作業効率を向上させることができる。
【0040】
また、本発明に係る実施形態1のケーブル連結具1では、ケーブル押え体12には、係止爪12bが設けられている一方、連結具本体11の外周面には、ケーブル押え体12の係止爪12bが嵌って連結具本体11に対するケーブル押え体12の移動をガイドする係止爪ガイド溝部11cと、係止爪ガイド溝部11cによってケーブル押え体12の係止爪12bがガイドされてケーブル押え体12がケーブル一端掛止部11bに掛止された光ドロップケーブル3の一端を覆って側方から押えた際、ケーブル押え体12の係止爪12bが係止するケーブル押え時係止用突起部11eを設けている。
【0041】
そのため、本発明に係る実施形態1のケーブル連結具1によれば、係止爪ガイド溝部11cに従ってケーブル押え体12をスライドさせるだけでケーブル一端掛止部11bに掛止された光ドロップケーブル3の一端を側方から覆って通線工具2と光ドロップケーブル3の一端とを容易かつ迅速に連結することができると共に、ケーブル一端掛止部11bから光ドロップケーブル3の一端を開放することによって光ドロップケーブル3の一端を取り外すことができるので、通線工具2に対する光ドロップケーブル3の一端の連結作業および取外し作業が容易かつ迅速となり、作業効率を向上させることができる。
【0042】
実施形態2.
<本発明に係る実施形態2のケーブル連結具1’>
上記実施形態1のケーブル連結具1では、ケーブル押え体12に係止爪12bを設け、その係止爪12bが連結具本体11外周面の係止爪ガイド溝部11cにガイドされてスライドしてケーブル一端掛止部11bに掛止された光ドロップケーブル3の一端の側方の1/2~1/3前後を覆ったり、開放して光ドロップケーブル3の一端を固定したり取外し可能に構成したが、実施形態2のケーブル連結具1’では、雄ネジ部11f’と雌ネジ部12a’とによって連結具本体11に対しケーブル押え体12がその軸方向にスライド可能に構成したことを特徴とするものである。
【0043】
図13は実施形態2のケーブル連結具1’の斜視図、図14(a)~(d)は、本発明に係る実施形態2のケーブル連結具1’の正面図、左側面図、右側面図、平面図であり、図15は実施形態2のケーブル連結具1’を構成する連結具本体11’の斜視図、図16(a)~(d)は、連結具本体11’の正面図、左側面図、右側面図、平面図、図17(a)~(e)は、それぞれ、実施形態2のケーブル連結具1’を構成するケーブル押え体12’の斜視図、正面図、左側面図、右側面図、B-B線断面図である。
【0044】
図13および図14に示すように実施形態2のケーブル連結具1’を構成する連結具本体11’では、実施形態1のケーブル連結具1を構成する連結具本体11とは異なり、係止爪ガイド溝部11c、解放時係止用突起部11dおよびケーブル押え時係止用突起部11eの代わりに雄ネジ部11f’を設ける一方、ケーブル押え体12’には連結具本体11の雄ネジ部11f’に螺合して連結具本体11の軸心方向にスライドしてケーブル一端掛止部11b’に掛止された光ドロップケーブル3の一端が側方へ外れないよう折返された光ドロップケーブル3の一端を外側から覆うように構成している。尚、実施形態2のケーブル連結具1’を構成する連結具本体11’およびケーブル押え体12’は、真鍮等の金属を削り出して製造している。
【0045】
そのため、実施形態2のケーブル連結具1’を構成するケーブル押え体12’の内周面には、図17(a)~(e)に示すように連結具本体11’の雄ネジ部11f’に螺合する雌ネジ部12a’と、折返された光ドロップケーブル3の一端を外側から覆って押えるケーブル押え部12b’とを設ける。
【0046】
尚、連結具本体11’の雄ネジ部11f’およびケーブル押え体12’の雌ネジ部12a’以外の構成は、実施形態1のケーブル連結具1の構成と同じであるため、その説明は省略する。
【0047】
そのため、実施形態2のケーブル連結具1’では、作業員は光ドロップケーブル3の一端を折り返し、図18(a)に示すようにケーブル連結具1’の連結具本体11’の側方開口部11b3’から、折り返した光ドロップケーブル3の一端をケーブル折返し収容部11b1に収容させてケーブル掛止用凸部11b2に係止させた後は、ケーブル押え体12’を回転させる。
【0048】
すると、ケーブル押え体12’は雌ネジ部12a’が連結具本体11’の雄ネジ部11f’に螺合しているため、ケーブル押え体12’は光ドロップケーブル3の方へスライドし、連結具本体11’の側方開口部11b3’の1/2~1/3前後を覆って、ケーブル折返し収容部11b1’に収容されケーブル掛止用凸部11b2’に掛止された光ドロップケーブル3の折返された一端の1/2~1/3前後を側方から覆うことにより、ケーブル連結具1に光ドロップケーブル3を脱落不可状態に簡単に連結することができる。
【0049】
これにより、図8に示すように実施形態1のケーブル連結具1の場合と同様に、リードワイヤ等の通線工具2と光ドロップケーブル3の一端をケーブル押え体12のスライドのみで容易かつ迅速に連結することができる。
【0050】
<本発明に係る実施形態2のケーブル連結具1’のまとめ>
従って、本発明に係る実施形態2のケーブル連結具1’は、実施形態1のケーブル連結具1と同様に後端側に通線工具2の通線工具側連結部21が連結される通線工具連結部11a’を有する一方、先端部側に側方開口部11b3’から光ドロップケーブル3の一端が掛止されるケーブル一端掛止部11b’とを有する連結具本体11とを有するため、通線工具2に対する光ドロップケーブル3の一端の連結作業および取外し作業が容易かつ迅速となるので、作業効率を向上させることができる等の効果を得ることができる。
【0051】
特に、本発明に係る実施形態2のケーブル連結具1’では、ケーブル押え体12’の内周面には、連結具本体11’の外周面に設けられた雄ネジ部11f’に螺合する雌ネジ部12a’を設け、ケーブル押え体12’の雌ネジ部12a’が連結具本体11の雄ネジ部11f’に螺合して移動することによりケーブル一端掛止部11b’に掛止された光ドロップケーブル3の一端を覆って側方から押えるため、実施形態1のケーブル連結具1の係止爪ガイド溝部11c、解放時係止用突起部11dおよびケーブル押え時係止用突起部11eの場合よりも時間は要するものの雄ネジ部11f’と雌ネジ部12a’の螺合によってより確実に光ドロップケーブル3の一端を連結することができる。
【0052】
尚、上記実施形態1のケーブル連結具1は、樹脂製として説明し、実施形態2のケーブル連結具1’は、真鍮やアルミ製等の金属製で説明したが、本発明では、これに限らず、上記実施形態1のケーブル連結具1を金属で製造し、実施形態2のケーブル連結具1’を樹脂で製造しても勿論良く、実施形態1,2のケーブル連結具1、1’共にその素材は特にこだわるものではない。
【0053】
また、実施形態1,2のケーブル連結具1,2のケーブル連結具1、1’では、ケーブル押え体12,12’は、筒状に形成してスライドしてケーブル一端掛止部11b,11b’に掛止された光ドロップケーブル3の一端を覆って側方から押えるように構成したが、本発明ではこのような筒状に形成してスライドするケーブル押え体12,12’に限らず、連結具本体11,11’の側面等に基部が回動可能に設けたレバー等によってケーブル一端掛止部11b,11b’に掛止された光ドロップケーブル3の一端を覆って側方から押えたり開放するように構成しても勿論良い。
【0054】
また、実施形態1,2のケーブル連結具1,2の説明では、ケーブルとして光ケーブルが芯線として設けられた光ドロップケーブル3を一例に説明したが、本発明ではこれに限らず、光ドロップケーブル等のドロップケーブル以外のケーブルの連結に使用しても勿論良い。
【符号の説明】
【0055】
1,1’ ケーブル連結具
11,11’ 連結具本体
11a,11a’ 通線工具連結部
11a1,11a1’ 雄ネジ部
11b,11b’ ケーブル一端掛止部
11b1,11b1’ ケーブル折返し収容部
11b2,11b2’ ケーブル掛止用凸部
11b3,11b2’ 側方開口部
11c 係止爪ガイド溝部
11d 解放時係止用突起
11e ケーブル押え時係止用突起部
11f’ 雄ネジ部
12,12’ ケーブル押え体
12a 押え体本体
12a1 連結具本体通し部
12b 係止爪
12c 切込み
12a’ 雌ネジ部
12b’ ケーブル押え部
13 アダプタ
13a,13b 雌ネジ部
2 通線工具
21,21’ 通線工具側連結部
21a’ 雄ネジ部
3 光ドロップケーブル
4 電柱
5 支持線
6 ハンガ終端クランプ具
7 スパイラルハンガ
8 シャトルランナ
図1
図2
図3
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