(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183102
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】輸送用冷凍機
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20231220BHJP
F25D 23/12 20060101ALI20231220BHJP
B60K 8/00 20060101ALI20231220BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20231220BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20231220BHJP
H01M 8/04029 20160101ALI20231220BHJP
B60L 58/33 20190101ALI20231220BHJP
B60L 50/72 20190101ALI20231220BHJP
【FI】
F25D11/00 101D
F25D23/12 M
B60K8/00
H01M8/00 Z
H01M8/04 Z
H01M8/04029
B60L58/33
B60L50/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096540
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】森下 昌俊
(72)【発明者】
【氏名】山岸 弘季
(72)【発明者】
【氏名】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝史
(72)【発明者】
【氏名】西井 智広
【テーマコード(参考)】
3D235
3L045
5H125
5H127
【Fターム(参考)】
3D235AA04
3D235BB36
3D235CC23
3D235FF38
3L045AA04
3L045BA02
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045FA02
3L045PA04
3L045PA05
5H125AA01
5H125AC07
5H125BD04
5H125BD12
5H125CD06
5H125FF26
5H127AB04
5H127AB22
5H127AC15
5H127CC07
(57)【要約】
【課題】輸送用冷凍機全体におけるエネルギ効率を向上させることを目的とする。
【解決手段】輸送用冷凍機1は、燃料電池スタック31で発電した電力を動力として駆動する輸送用車両に搭載される。輸送用冷凍機1は、冷媒を圧縮する圧縮機11と、冷媒と庫内の空気との熱交換を行う庫内熱交換器12と、冷媒と外気との熱交換を行う庫外熱交換器13と、圧縮機11と庫内熱交換器12と庫外熱交換器13とを接続し冷媒が循環する冷媒回路15と、を有する冷凍サイクル10と、燃料電池スタック31を冷却することで昇温した冷却水によって、庫内の空気を加熱する排熱用熱交換器33と、燃料電池スタック31を冷却することで昇温した冷却水を排熱用熱交換器33へ導く第3冷却水回路34cと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタックで発電した電力を動力として駆動する輸送用車両に搭載される輸送用冷凍機であって、
冷媒を圧縮する圧縮機と、冷媒と庫内の空気との熱交換を行う庫内熱交換器と、冷媒と外気との熱交換を行う庫外熱交換器と、前記圧縮機と前記庫内熱交換器と前記庫外熱交換器とを接続し冷媒が循環する冷媒回路と、を有する冷凍サイクルと、
前記燃料電池スタックを冷却することで昇温した冷却水によって、加熱対象を加熱する加熱部と、
前記燃料電池スタックを冷却することで昇温した冷却水を前記加熱部へ導く冷却水流路と、を備える輸送用冷凍機。
【請求項2】
前記圧縮機から吐出された冷媒を、前記庫外熱交換器をバイパスして前記庫内熱交換器へ導くバイパス流路を備え、
前記加熱部は、庫内に設けられ、
前記加熱対象は、庫内の空気を含む請求項1に記載の輸送用冷凍機。
【請求項3】
前記燃料電池スタックの排熱量を検出する排熱量検出部と、
前記排熱量検出部が検出する前記燃料電池スタックの排熱量に応じて、前記バイパス流路を流通する冷媒によって庫内に導入される熱量を調整する制御部と、を備える請求項2に記載の輸送用冷凍機。
【請求項4】
前記圧縮機から吐出された冷媒を、前記庫外熱交換器へ導くか前記庫内熱交換器へ導くかを切替え可能な切換部を備え、
前記加熱部は、庫内に設けられ、
前記加熱対象は、庫内の空気を含む請求項1に記載の輸送用冷凍機。
【請求項5】
前記庫内熱交換器と前記加熱部とが別々に設けられ、
前記庫内熱交換器及び前記加熱部に前記庫内の空気を導くファンを備える請求項2から請求項4のいずれかに記載の輸送用冷凍機。
【請求項6】
前記庫内熱交換器は、内部を冷媒が流通する冷媒チューブを有し、
前記加熱部は、内部を冷却水が流通する冷却水チューブを有し、
前記冷媒チューブの外周面と前記冷却水チューブの外周面とはフィンで接続されている請求項1から請求項4のいずれかに記載の輸送用冷凍機。
【請求項7】
前記圧縮機に吸入される冷媒と前記燃料電池スタックを冷却することで昇温した冷却水とを熱交換する吸入側熱交換器を備え、
前記加熱対象は、前記吸入側熱交換器を流通する冷媒を含む請求項1に記載の輸送用冷凍機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、輸送用冷凍機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
荷台に積載した荷物を輸送する輸送用車両に搭載される輸送用冷凍機として、荷台の中の空気を加温及び冷却の何れも行うことができる輸送用冷凍機が知られている。また、輸送用冷凍機が搭載される輸送用車両を、燃料電池スタックで発電した電力を動力として駆動する輸送用車両とすることが考えられている(例えば、特許文献1の
図16)。特許文献1には、水素と酸素との化学反応によって燃料電池で発電し、燃料電池は発電した電力を走行用インバータに供給する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
荷台の中(以下、「庫内」と称する。)の空気を加温及び冷却の何れも行う輸送用冷凍機は、加温運転時(荷台の中の空気を加温する運転時)には外気を熱源とするヒートポンプ方式等によって庫内の空気を加温する。しかしながら、外気の温度が低い場合には、加温能力が限定され、庫内を十分に加温できない可能性があった。このような問題を解決するために、別途熱源(例えば、電気ヒータ等)を設けることが考えられるが、電気ヒータで電力が消費されるため、輸送用冷凍機全体におけるエネルギ効率が低下する可能性があった。特に、輸送用冷凍機が燃料電池スタックで発電した電力を動力として駆動する輸送用車両に搭載される場合には、輸送用冷凍機の効率が低下することで、輸送用車両の航続距離が減少する可能性があった。
【0005】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、エネルギ効率を向上させることができる輸送用冷凍機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の輸送用冷凍機は以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係る輸送用冷凍機は、燃料電池スタックで発電した電力を動力として駆動する輸送用車両に搭載される輸送用冷凍機であって、冷媒を圧縮する圧縮機と、冷媒と庫内の空気との熱交換を行う庫内熱交換器と、冷媒と外気との熱交換を行う庫外熱交換器と、前記圧縮機と前記庫内熱交換器と前記庫外熱交換器とを接続し冷媒が循環する冷媒回路と、を有する冷凍サイクルと、前記燃料電池スタックを冷却することで昇温した冷却水によって、加熱対象を加熱する加熱部と、前記燃料電池スタックを冷却することで昇温した冷却水を前記加熱部へ導く冷却水流路と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、輸送用冷凍機全体におけるエネルギ効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る輸送用冷凍機の概略構成図である。
【
図2】本開示の第1実施形態の変形例に係る庫外熱交換器と排熱用熱交換器とを一体的に設けた熱交換器を示す模式的な正面図である。
【
図3】本開示の第2実施形態に係る輸送用冷凍機の概略構成図である。
【
図4】本開示の第3実施形態に係る輸送用冷凍機の概略構成図である。
【
図5】本開示の第3実施形態に係る輸送用冷凍機の概略構成図である。
【
図6】本開示の第4実施形態に係る輸送用冷凍機の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示に係る輸送用冷凍機の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、
図1及び
図3から
図6において、黒塗りの弁は閉状態を示し、白塗りの弁は開状態を示している。また、黒塗りの矢印は、冷媒又は温水又は空気の流れを示している。
【0010】
〔第1実施形態〕
以下、本開示の第1実施形態について、
図1及び
図2を用いて説明する。
【0011】
本実施形態に係る輸送用冷凍機1が搭載される輸送用車両(図示省略)は、乗務員が乗車するキャブ(図示省略)と、キャブの後方に設けられ荷物が収容されるコンテナ(図示省略)とを備えている。なお、輸送用車両の構造は一例であり、上記説明の構造に限定されない。
また、輸送用冷凍機1が搭載される輸送用車両は、後述する燃料電池スタックで発電した電力を動力として駆動する。
【0012】
輸送用冷凍機1は、
図1に示すように、冷媒が循環する冷凍サイクル10と冷却水が循環する冷却水サイクル30とを備えている。
【0013】
冷凍サイクル10は、冷媒を圧縮する圧縮機11と、冷媒と庫内の空気との熱交換を行う庫内熱交換器12と、冷媒と外気との熱交換を行う庫外熱交換器13と、庫外熱交換器13で熱交換を終えた冷媒を膨張させる冷却膨張弁14と、を備えている。また、冷凍サイクル10は、圧縮機11と庫内熱交換器12と庫外熱交換器13と冷却膨張弁14とを接続する冷媒回路15を有する。冷媒回路15は、各種装置を接続する配管であって、内部を冷媒が流通する。
【0014】
圧縮機11及び庫外熱交換器13は、コンテナの外(以下、コンテナの外のことを「庫外」と称する。)に配置されている。庫内熱交換器12及び冷却膨張弁14は、コンテナの中(以下、コンテナの中のことを「庫内」と称する。)に配置されている。庫外熱交換器13には、庫外ファン13aによって外気が導かれる。
【0015】
冷媒回路15は、圧縮機11と庫外熱交換器13とを接続する第1冷媒回路15aと、庫外熱交換器13と冷却膨張弁14とを接続する第2冷媒回路15bと、冷却膨張弁14と庫内熱交換器12とを接続する第3冷媒回路15cと、庫内熱交換器12と圧縮機11とを接続する第4冷媒回路15dと、を有している。
【0016】
第1冷媒回路15aには、圧縮機11で圧縮され圧縮機11から吐出された冷媒が流通する。第1冷媒回路15aには、圧縮機11側から順番に、吐出された冷媒の温度を検出する吐出温度センサ16及び吐出された冷媒の圧力を検出する吐出圧力センサ17が設けられている。また、第1冷媒回路15aの吐出圧力センサ17の下流側からは、ホットガス流路15eが分岐している。
【0017】
第2冷媒回路15bは、庫外熱交換器13で凝縮した液状の冷媒が流通する。第2冷媒回路15bには、庫外熱交換器13側から順番に、出口電磁弁18、レシーバ19及び液ライン電磁弁20が設けられている。出口電磁弁18及び液ライン電磁弁20は、開状態及び閉状態を切替えることで、第2冷媒回路15b内を流通する冷媒が通過する状態と、通過しない状態とを切替えることができる。レシーバ19は、液状の冷媒を一時的に貯留する。レシーバ19からは、液冷媒流路15fが分岐している。
【0018】
第3冷媒回路15cは、冷却膨張弁14で冷却及び膨張した液状の冷媒が流通する。第3冷媒回路15cの途中位置には、ホットガス流路15eが合流している。
【0019】
第4冷媒回路15dは、冷却運転時には、庫内熱交換器12で蒸発したガス状の冷媒を含む気液混合状態の冷媒が流通する。第4冷媒回路15dには、冷媒を気液分離するアキュムレータ21が設けられている。また、第4冷媒回路15dのアキュムレータ21の下流側には、液冷媒流路15fが合流している。また、第4冷媒回路15dの液冷媒流路15fの下流側には、冷媒の圧力を検出する吸入圧力センサ25が設けられている。
【0020】
ホットガス流路15eは、第1冷媒回路15aと第3冷媒回路15cとを接続している。ホットガス流路15eは、圧縮機11から吐出された高温高圧の冷媒が流通する。ホットガス流路15eは、上流側から順番に、ホットガス電磁弁22及び絞り23が設けられている。ホットガス電磁弁22は、開状態及び閉状態を切替えることで、ホットガス流路15e内を流通する冷媒が通過する状態と、通過しない状態とを切替えることができる。絞り23は、庫内に設けられている。絞り23は、ホットガス流路15eを流通する冷媒を減圧する。絞り23は、固定絞り、機械式膨張弁、電子膨張弁等による減圧機構である。
【0021】
液冷媒流路15fは、レシーバ19と第4冷媒回路15dとを接続している。液冷媒流路15fは、レシーバ19に貯留されている液状の冷媒が流通する。液冷媒流路15fには、液バイパス電磁弁24が設けられている。液バイパス電磁弁24は、開状態及び閉状態を切替えることで、液冷媒流路15f内を流通する冷媒が通過する状態と、通過しない状態とを切替えることができる。
【0022】
冷却水サイクル30は、発電を行う燃料電池スタック31と、燃料電池スタック31を冷却した温水と外気とを熱交換することで温水を冷却するラジエータ32と、庫内に設けられる排熱用熱交換器(加熱部)33と、を備えている。また、冷却水サイクル30は、燃料電池スタック31、ラジエータ32及び排熱用熱交換器33を接続する冷却水回路34を備えている。冷却水回路34は、各種装置を接続する配管であって、内部を冷却水(温水)が流通する。
【0023】
冷却水回路34は、燃料電池スタック31からラジエータ32まで延びる第1冷却水回路34aと、ラジエータ32から燃料電池スタック31まで延びる第2冷却水回路34bと、第1冷却水回路34aから分岐する第3冷却水回路34cと、を有している。
【0024】
第1冷却水回路34aは、燃料電池スタック31を冷却した高温の冷却水(以下、「温水」と称する。)が流通する。第1冷却水回路34aには、ラジエータ流量調整機構35が設けられている。ラジエータ流量調整機構35は、三方弁であって、ラジエータ32に流入する温水の流量と、ラジエータ32をバイパスして第2冷却水回路34bに合流する温水の流量とを調整している。ラジエータ32をバイパスする温水は、温水バイパス回路34dを介して第2冷却水回路34bに流入する。
第2冷却水回路34bは、ラジエータ32で冷却された温水及び/又はラジエータ32をバイパスした温水が流通する。第2冷却水回路34bには、温水ポンプ36が設けられている。
【0025】
第3冷却水回路34cは、第1冷却水回路34aのうち、ラジエータ流量調整機構35よりも上流側から分岐している。また、第3冷却水回路34cの下流端は、第2冷却水回路34bの分岐点よりも下流側であって、ラジエータ流量調整機構35の上流側に接続されている。
第3冷却水回路34cは、燃料電池スタック31を冷却した冷却水(温水)が流通する。第3冷却水回路34cは、上流側から順番に、遮断弁37、温水ポンプ38及び排熱用熱交換器33が設けられている。
排熱用熱交換器33は、庫内に設けられている。排熱用熱交換器33は、温水と庫内の空気とを熱交換することで、庫内の空気(加熱対象)を加熱する。
【0026】
庫内熱交換器12と排熱用熱交換器33とは、空気流れ方向に沿って並んで配置されている。庫内熱交換器12は、排熱用熱交換器33よりも空気流れ方向において上流側に配置されている。排熱用熱交換器33の空気流れ方向の下流側にはファン39が設けられている。ファン39は、誘引ファンであって、庫内熱交換器12及び排熱用熱交換器33に庫内空気を導いている。
【0027】
また、輸送用冷凍機1は、各種電磁弁の開閉や流量調整弁の開度等を制御するとともに、各種センサからの情報を受信する制御部9を備えている。
【0028】
制御部9(Controller)は、例えば、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)、主記憶装置(Main Memory)、二次記憶装置(Secondary storage:メモリ)等を備えている。更に、制御部9は、他の装置と情報の送受信を行うための通信部を備えていてもよい。
主記憶装置は、例えば、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPUの実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
二次記憶装置は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体(non-transitory computer readable storage medium)である。二次記憶装置は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどである。
各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で二次記憶装置に記憶されており、このプログラムをCPUが主記憶装置に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、二次記憶装置に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0029】
次に、本実施形態の輸送用冷凍機1が実施する運転について説明する。
冷却運転(庫内の空気を冷却する運転)を行う際には、ホットガス電磁弁22を閉状態として、ホットガス流路15eに冷媒が流通しないようにする。また、出口電磁弁18及び液ライン電磁弁20を開状態とする。これにより、冷媒が庫内熱交換器12で蒸発し、庫内の空気を冷却する。
【0030】
一方で、加温運転(庫内の空気を加熱する運転)を行う際には、
図1に示すように、ホットガス電磁弁22を開状態とするとともに、出口電磁弁18及び液ライン電磁弁20を閉状態とする。これにより、圧縮機11から吐出された高温高圧の冷媒がホットガス流路15eを介して庫内熱交換器12に流入し、庫内の空気を加熱する。
また、加温運転を行う際には、遮断弁37を開状態とする。これにより、燃料電池スタック31から排出された温水が第3冷却水回路34cを介して排熱用熱交換器33に流入する。排熱用熱交換器33に流入した温水は、熱交換することで庫内の空気を加熱する。排熱用熱交換器33から排出された温水は、第1冷却水回路34aを戻される。このように、本実施形態に係る輸送用冷凍機1は、加温運転時に、燃料電池スタック31を冷却することで昇温した温水を排熱用熱交換器33へ導く。
【0031】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、排熱用熱交換器33が庫内に設けられ、排熱用熱交換器33によって庫内の空気を加熱する。したがって、加温運転時において、燃料電池スタック31の排熱を利用して庫内の空気を加熱することができる。したがって、圧縮機11から吐出された冷媒のみによって庫内の空気を加熱する場合と比較して、エネルギ効率を向上させることができる。したがって、省エネルギ化することができる。よって、輸送用冷凍機1を搭載した燃料電池車両の航続距離を増大させることができる。
【0032】
また、本実施形態では、庫内熱交換器12及び排熱用熱交換器33の両方に庫内の空気を導くファン39を備えている。これにより、庫内熱交換器12に空気を導くファンと、排熱用熱交換器33に庫内の空気を導くファンとを別々に備える場合と比較して、部品点数を低減することができる。したがって、輸送用冷凍機を小型化することができる。また、コストを低減することができる。
【0033】
[変形例1]
なお、燃料電池スタック31の排熱量を検出する排熱量検出部(図示省略)を設けて、排熱量検出部が検出する燃料電池スタックの排熱量に応じて、ホットガス流路を流通する冷媒によって庫内に導入される熱量を制御部9が調整してもよい。
排熱量検出部は、例えば、庫内に設けられ庫内の温度を検出する温度計であってもよい。この場合には、庫内の温度に応じて庫内熱交換器12に導かれるホットガスの量を調整する。すなわち、温度計が検出する庫内の温度が低いほど、庫内熱交換器12に導かれるホットガスの量を多くし、温度計が検出する庫内の温度が高いほど、庫内熱交換器12に導かれるホットガスの量を少なくする。
このようにすることで、例えば、輸送用車両の車速が遅い場合や、輸送用車両がアイドリング状態の場合等、燃料電池スタック31から十分な排熱量がない場合であっても、不足する熱量をホットガス流路15eを流通する冷媒によって調整することができる。したがって、庫内の温度を安定化することができる。
【0034】
[変形例2]
また、本実施形態では、庫内において、空気流れの上流側から、庫内熱交換器12、排熱用熱交換器33の順番に並べて配置する例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、排熱用熱交換器33を庫内熱交換器12よりも上流側に配置されてもよい。また、庫内熱交換器12と排熱用熱交換器33とを並列に並べてもよい。また、本実施形態では、庫内熱交換器12と排熱用熱交換器33とを別々の熱交換器とする例について説明したが、例えば、
図2に示すように、庫内熱交換器12と排熱用熱交換器33とを一体的に構成してもよい。以下の説明では、庫内熱交換器12と排熱用熱交換器33とを一体化した熱交換器を一体型熱交換器100と称する。
【0035】
図2に示すように、一体型熱交換器100は、内部を加温された冷却水が流通する冷却水チューブ100aと、内部を冷媒が流通する冷媒チューブ100bとを有する。冷却水チューブ100a及び冷媒チューブ100bとは複数のフィン100cによって接続されている。すなわち、冷却水チューブ100a及び冷媒チューブ100bは各フィン100cを共有化している。複数のフィン100cは、所定の間隔で並んで配置されている。また、冷却水チューブ100a及び冷媒チューブ100bとは、同一の固定部100dに固定されている。
【0036】
空気流れ方向(
図2における左右方向)において、冷却水チューブ100aと冷媒チューブ100bとは交互に配置されている。換言すれば、冷却水チューブ100aは冷媒チューブ100bに挟まれるように配置されている。
本実施形態では、冷却水チューブ100aの数が冷媒チューブ100bの数よりも少ない。また、冷却水チューブ100aの折返し回数(本実施形態では、一例として1回)は、冷媒チューブ100bの折返し回数(本実施形態では、一例として3回)よりも少ない。
【0037】
本変形例では、冷媒チューブ100bの外周面と冷却水チューブ100aの外周面とがフィン100cで接続されている。これにより、冷却水チューブ100aの内部を流通する冷却水の熱が、フィン100cを介して冷媒チューブ100bに伝達する。したがって、冷却水によってフィン100c及び冷媒チューブ100bを加熱することができる。
よって、例えば、冷却運転時において、庫内熱交換器12(詳細には冷媒チューブ100b)を燃料電池スタック31の排熱で加熱することができるので、庫内熱交換器12に霜を付着し難くすることができる。また、庫内熱交換器12に着霜した場合であっても燃料電池スタック31の排熱で霜を除去することができる。すなわち、燃料電池スタック31の排熱を利用してデフロスト運転を行うことができる。したがって、燃料電池スタック31の排熱を利用せずにデフロスト運転を行う場合と比較して、エネルギ効率を向上させることができる。したがって、省エネルギ化することができる。よって、輸送用冷凍機1を搭載した燃料電池車の航続距離を増大させることができる。
【0038】
〔第2実施形態〕
次に、本開示の第2実施形態について
図3を用いて説明する。本実施形態に係る輸送用冷凍機2は、冷凍サイクルの構造が第1実施形態と異なっている。その他の点では第1実施形態と同様であるので、同様の構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
図3は、加温運転時の輸送用冷凍機2を示している。
【0039】
本実施形態の輸送用冷凍機2は、冷凍サイクル40を備えている。
冷凍サイクル40は、圧縮機41と、庫内熱交換器42と、庫外熱交換器43と、庫外冷却膨張弁44aと、庫内冷却膨張弁44bと、を有している。また、冷凍サイクル40は、レシーバ49及びアキュムレータ51を有している。また、冷凍サイクル40は、各種装置を接続する冷媒回路45を有する。庫外熱交換器43には、庫外ファン43aによって外気が導かれる。
各種装置は、第1実施形態の同名の装置と同様の構成なので、詳細な説明は省略する。冷媒回路45については、第1実施形態の冷媒回路15とは異なっているので、以下で詳細に説明する。
【0040】
冷媒回路45は、圧縮機41と庫内熱交換器42とを接続する第1回路45aと、第1回路45aの途中位置と庫外熱交換器43とを接続する第2回路45bと、第2回路45bの途中位置とアキュムレータ51とを接続する第3回路45cと、第1回路45aの途中位置とアキュムレータ51とを接続する第4回路45dと、アキュムレータ51と圧縮機41とを接続する第5回路45eと、を有する。また、冷媒回路45は、庫内熱交換器42とレシーバ49とを接続する第6回路45fと、レシーバ49と庫外熱交換器43とを接続する第7回路45gとを有している。また、冷媒回路45は、第6回路45fと並列に設けられた第1並列回路45hと、第7回路45gと並列に設けられた第2並列回路45iとを有している。
【0041】
第1回路45aの途中位置(第2回路45bとの接続点と第4回路45dとの接続点との間)には、第1電磁弁48aが設けられている。また、第1回路45aには、圧縮機41側から順番に、吐出された冷媒の温度を検出する吐出温度センサ46及び吐出された冷媒の圧力を検出する吐出圧力センサ47が設けられている。第2回路45bの途中位置(第1回路45aとの接続点と第3回路45cとの接続点との間)には、第2電磁弁48bが設けられている。第3回路45cの途中位置には第3電磁弁48cが設けられている。第4回路45dの途中位置には第4電磁弁48dが設けられている。また第5回路45eには、吸入圧力センサ55が設けられている。
また、第1並列回路45hには、庫内冷却膨張弁44b及び庫内電磁弁50bが設けられている。また、第2並列回路45iには、庫外冷却膨張弁44a及び庫外電磁弁50aが設けられている。
【0042】
第1電磁弁48a、第2電磁弁48b、第3電磁弁48c及び第4電磁弁48dは、開状態と閉状態とを切替えることで、冷媒の循環方向を切り替えることができる。このように、第1電磁弁48a、第2電磁弁48b、第3電磁弁48c及び第4電磁弁48dは、圧縮機41から吐出された冷媒を、庫外熱交換器43へ導くか庫内熱交換器42へ導くかを切替え可能な切換部48を構成している。制御部9(
図1参照)が切換部48を制御して冷媒の循環方向を切替えることで、庫内を冷却する冷却運転と、庫内を加温する加温運転とを選択的に実行可能とされている。
なお、切換部48の構成は一例であり、上記説明の構成に限定されない。切換部48は、圧縮機41から吐出された冷媒を、庫外熱交換器43へ導くか庫内熱交換器42へ導くかを切替え可能な構成であればよく、例えば、三方弁や統合弁であってもよい。
【0043】
冷却運転を行う場合、制御部9は、第1電磁弁48a及び第3電磁弁48cを閉状態とするとともに、第2電磁弁48b及び第4電磁弁48dを開状態とする。このように各電磁弁を操作することで、圧縮機41で圧縮された冷媒を庫外熱交換器43へ導いて庫外熱交換器43をコンデンサ(凝縮器)として機能させるとともに、庫内冷却膨張弁44bで断熱膨張された冷媒を庫内熱交換器42へ導いてエバポレータ(蒸発器)として機能させ、庫内を冷却することができる。
【0044】
一方、
図3に示すように、加温運転を行う場合、制御部9は、第1電磁弁48a及び第3電磁弁48cを開状態とするとともに、第2電磁弁48b及び第4電磁弁48dを閉状態とする。このように各電磁弁を操作することで、圧縮機41で圧縮された冷媒を庫内熱交換器42へ導いて庫内熱交換器42をコンデンサ(凝縮器)として機能させ、庫外冷却膨張弁44aで断熱膨張された冷媒を庫外熱交換器43へ導いてエバポレータ(蒸発器)として機能させ、庫内を加温することができる。
【0045】
また、本実施形態の輸送用冷凍機2は、第1実施形態と同様に、冷却水サイクル30を備えている。よって、第1実施形態と同様に、加温運転時において、燃料電池スタック31の排熱を利用して庫内の空気を加熱することができる。したがって、圧縮機41から吐出された冷媒のみによって庫内の空気を加熱する場合と比較して、エネルギ効率を向上させることができる。したがって、省エネルギ化することができる。よって、輸送用冷凍機1を搭載した燃料電池車両の航続距離を増大させることができる。
【0046】
また、本実施形態では、庫内熱交換器42及び排熱用熱交換器33の両方に庫内の空気を導くファン39を備えている。これにより、庫内熱交換器42に空気を導くファンと、排熱用熱交換器33に庫内の空気を導くファンとを別々に備える場合と比較して、部品点数を低減することができる。したがって、輸送用冷凍機を小型化することができる。また、コストを低減することができる。
【0047】
〔第3実施形態〕
本開示の第3実施形態に係る輸送用冷凍装置について
図4及び
図5を用いて説明する。
本実施形態に係る輸送用冷凍装置3は、庫内熱交換器42と排熱用熱交換器33とが一体的に構成されている点で第2実施形態と異なっている。庫内熱交換器42と排熱用熱交換器33とが一体的に構成された熱交換器を以下では、庫内一体型熱交換器60と称する。
また、庫外熱交換器43の代わりに、庫外熱交換器43と排熱用熱交換器とが一体的に構成された庫外一体型熱交換器61を備えている点で第2実施形態と異なっている。また、燃料電池スタック31を冷却した冷却水を庫外一体型熱交換器61へ導く第4冷却水流路62と、庫外一体型熱交換器61で熱交換を終えた冷却水を第3冷却水回路34cへ戻す第5冷却水流路63と、を備えている点で第2実施形態と異なっている。その他の点は第2実施形態と同様であるので、同様の構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0048】
本実施形態では、第4冷却水流路62に庫外側流量調整弁64が設けられている。また、第3冷却水回路34cの庫内一体型熱交換器60の上流側には庫内側流量調整弁65が設けられている。
【0049】
庫内一体型熱交換器60及び庫外一体型熱交換器61の構成は、第1実施形態の変形例2で説明した一体型熱交換器100と同一の構成であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0050】
次に、本実施形態に係る輸送用冷凍装置の運転について説明する。
本実施形態に係る輸送用冷凍装置は、庫内デフロスト運転及び庫外デフロスト運転を行うことができる。
【0051】
〔庫外デフロスト運転〕
図4に示すように、加温運転を行っている場合には、庫外デフロスト運転を行う可能性がある。庫外デフロスト運転を行う場合には、庫外側流量調整弁64を開状態とするとともに、庫内側流量調整弁65を閉状態とする。このようにすることで、庫外一体型熱交換器61に温水が導かれるので、庫外一体型熱交換器61に付着した霜を除去することができる。なお、庫外デフロスト運転を行う場合には、一時的に冷媒の循環方向を切替え、庫外一体型熱交換器61に圧縮機41から吐出された高温の冷媒が導かれる。
なお、庫外側流量調整弁64及び庫内側流量調整弁65の開度は、全開及び全閉状態でなくてよい。各弁の開度は、庫外一体型熱交換器61の着霜具合に応じて決定されてもよい。庫外デフロスト運転を行っている間は、一時的に庫内一体型熱交換器60が蒸発器となるが、温水の一部を庫内一体型熱交換器60へ導くことで、庫内の温度低下を抑制することができる。
【0052】
〔庫外デフロスト運転〕
図5に示すように、冷却運転を行っている場合には、庫内デフロスト運転を行う可能性がある。庫内デフロスト運転を行う場合には、庫外側流量調整弁64を閉状態とするとともに、庫内側流量調整弁65を開状態とする。このようにすることで、庫内一体型熱交換器60に温水が導かれるので、庫内一体型熱交換器60に付着した霜を除去することができる。
なお、庫外側流量調整弁64及び庫内側流量調整弁65の開度は、全開及び全閉状態でなくてよい。各弁の開度は、庫内一体型熱交換器60の着霜具合に応じて決定されてもよい。
【0053】
〔第4実施形態〕
本開示の第4実施形態に係る輸送用冷凍装置について
図6を用いて説明する。
本実施形態の輸送用冷凍機4は、一体型熱交換器73と、第2並列回路45iから分岐して一体型熱交換器73に接続する第1分岐冷媒回路71と、一体型熱交換器73と第3回路45cとを接続する第2分岐冷媒回路72と、を有する点で第2実施形態と異なっている。また、温水を導く先が、一体型熱交換器73である点が第2実施形態と異なっている。その他の点は第2実施形態と同様であるので、同様の構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0054】
第1分岐冷媒回路71には、冷却膨張弁74が設けられている。また、第3冷却水回路34cには、流量調整弁75が設けられている。一体型熱交換器73の構成は、第1実施形態の変形例2で説明した一体型熱交換器100と同一の構成であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
一体型熱交換器73は、温水と冷媒との熱交換を行い、冷媒を加熱する。一体型熱交換器73は、外気と熱交換しないように、断熱材で覆われていてもよい。
【0055】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
外気を熱源とするヒートポンプ加温では、外気の温度が低い場合には、冷媒の吸熱量が低下し、加温能力が低下するという問題がある。本実施形態では、一体型熱交換器73で温水と冷媒を熱交換させることにより、外気温度に影響を受けず安定した加温能力を出すことができ、電気ヒータ等補助熱源が不要となる。したがって、エネルギ効率を向上させることができる。したがって、省エネルギ化することができる。よって、輸送用冷凍機4を搭載した燃料電池車の航続距離を増大させることができる。
【0056】
なお、本開示は、上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
【0057】
以上説明した実施形態に記載の輸送用冷凍機は、例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係る輸送用冷凍機は、燃料電池スタック(31)で発電した電力を動力として駆動する輸送用車両に搭載される輸送用冷凍機(1)であって、冷媒を圧縮する圧縮機(11,41)と、冷媒と庫内の空気との熱交換を行う庫内熱交換器(12,42)と、冷媒と外気との熱交換を行う庫外熱交換器(13,43)と、前記圧縮機と前記庫内熱交換器と前記庫外熱交換器とを接続し冷媒が循環する冷媒回路(15,45)と、を有する冷凍サイクル(10,40)と、前記燃料電池スタックを冷却することで昇温した冷却水によって、加熱対象を加熱する加熱部(33,60,61,73)と、前記燃料電池スタックを冷却することで昇温した冷却水を前記加熱部へ導く冷却水流路(34c)と、を備える。
【0058】
上記構成では、燃料電池スタックを冷却することで昇温した冷却水によって、加熱対象を加熱する加熱部を備えている。すなわち、燃料電池スタックの排熱を利用して加熱対象を加熱している。これにより、燃料電池スタックの排熱を利用しない場合(例えば、加熱対象を別途設けた電気ヒータ等の加熱手段で加熱する場合)と比較して、輸送用冷凍機全体におけるエネルギ効率を向上させることができる。したがって、省エネルギ化することができる。よって、輸送用冷凍機を搭載した燃料電池車の航続距離を増大させることができる。
【0059】
また、本開示の第2態様に係る輸送用冷凍機は、上記第1態様において、前記圧縮機から吐出された冷媒を、前記庫外熱交換器をバイパスして前記庫内熱交換器へ導くバイパス流路(15e)を備え、前記加熱部は、庫内に設けられ、前記加熱対象は、庫内の空気を含む。
【0060】
上記構成では、加熱部が庫内に設けられ、加熱対象に庫内の空気が含まれる。これにより、加熱部によって庫内の空気を加熱することができる。したがって、圧縮機から吐出された冷媒を庫外熱交換器を介さずに庫内熱交換器へ導くことで庫内の空気を加熱する加温運転時において、燃料電池スタックの排熱を利用して庫内の空気を加熱することができる。したがって、圧縮機から吐出された冷媒のみによって庫内の空気を加熱する場合と比較して、エネルギ効率を向上させることができる。したがって、省エネルギ化することができる。よって、輸送用冷凍機を搭載した燃料電池車の航続距離を増大させることができる。
【0061】
また、本開示の第3態様に係る輸送用冷凍機は、上記第2態様において、前記燃料電池スタックの排熱量を検出する排熱量検出部と、前記排熱量検出部が検出する前記燃料電池スタックの排熱量に応じて、前記バイパス流路を流通する冷媒によって庫内に導入される熱量を調整する制御部(9)と、を備える。
【0062】
上記構成では、排熱量検出部が検出する燃料電池スタックの排熱量に応じて、バイパス流路を流通する冷媒によって庫内に導入される熱量を制御部が調整する。これにより、例えば、車両の車速が遅い場合や、車両がアイドリング状態の場合等、燃料電池スタックから十分な排熱量がない場合であっても、不足する熱量をバイパス流路を流通する冷媒によって調整することができる。したがって、庫内の温度を安定化することができる。
【0063】
また、本開示の第4態様に係る輸送用冷凍機は、上記第1態様において、前記圧縮機から吐出された冷媒を、前記庫外熱交換器へ導くか前記庫内熱交換器へ導くかを切替え可能な切換部(48)を備え、前記加熱部は、庫内に設けられ、前記加熱対象は、庫内の空気を含む。
【0064】
上記構成では、加熱部が庫内に設けられ、加熱対象に庫内の空気が含まれる。これにより、加熱部によって庫内の空気を加熱することができる。したがって、切換部によって圧縮機から吐出された冷媒を庫内熱交換器へ導くことで庫内の空気を加熱する加温運転時において、燃料電池スタックの排熱を利用して庫内の空気を加熱することができる。したがって、圧縮機から吐出された冷媒のみによって庫内の空気を加熱する場合と比較して、エネルギ効率を向上させることができる。したがって、省エネルギ化することができる。よって、輸送用冷凍機を搭載した燃料電池車の航続距離を増大させることができる。
【0065】
また、本開示の第5態様に係る輸送用冷凍機は、上記第2態様から第4態様のいずれかにおいて、前記庫内熱交換器と前記加熱部とが別々に設けられ、前記庫内熱交換器及び前記加熱部に前記庫内の空気を導くファンを備える。
【0066】
上記構成では、庫内熱交換器及び加熱部に庫内の空気を導くファンを備えている。これにより、庫内熱交換器に空気を導くファンと、加熱部に庫内の空気を導くファンとを別々に備える場合と比較して、部品点数を低減することができる。したがって、輸送用冷凍機を小型化することができる。また、コストを低減することができる。
【0067】
また、本開示の第6態様に係る輸送用冷凍機は、上記第1態様から第4態様のいずれかにおいて、前記庫内熱交換器は、内部を冷媒が流通する冷媒チューブ(100b)を有し、前記加熱部は、内部を冷却水が流通する冷却水チューブ(100a)を有し、前記冷媒チューブの外周面と前記冷却水チューブの外周面とはフィン(100c)で接続されている。
【0068】
上記構成では、冷媒チューブの外周面と冷却水チューブの外周面とがフィンで接続されている。これにより、冷却水チューブの内部を流通する冷却水の熱が、フィンを介して冷媒チューブに伝達する。したがって、冷却水によってフィン及び冷媒チューブを加熱することができる。換言すれば、冷却対象にフィン及び冷媒チューブが含まれることとなる。
よって、例えば、圧縮機から吐出された冷媒を庫外熱交換器へ導き、庫内熱交換器を蒸発器として利用することで庫内の空気を冷却する冷却運転時において、庫内熱交換器(詳細には冷媒チューブ)を燃料電池スタックの排熱で加熱することができるので、庫内熱交換器に霜を付着し難くすることができる。また、庫内熱交換器に着霜した場合であっても燃料電池スタックの排熱で霜を除去することができる。したがって、燃料電池スタックの排熱を利用せずにデフロスト運転を行う場合と比較して、エネルギ効率を向上させることができる。したがって、省エネルギ化することができる。よって、輸送用冷凍機を搭載した燃料電池車の航続距離を増大させることができる。
【0069】
また、本開示の第7態様に係る輸送用冷凍機は、上記第1態様において、前記圧縮機に吸入される冷媒と前記燃料電池スタックを冷却することで昇温した冷却水とを熱交換する吸入側熱交換器(73)を備え、前記加熱対象は、前記吸入側熱交換器を流通する冷媒を含む。
【0070】
上記構成では、圧縮機に吸入される冷媒を加熱している。外気温度に影響を受けず安定した加温能力を出すことができ、電気ヒータ等の補助熱源が不要となる。したがって、エネルギ効率を向上させることができる。したがって、省エネルギ化することができる。よって、輸送用冷凍機を搭載した燃料電池車の航続距離を増大させることができる。
【符号の説明】
【0071】
1 :輸送用冷凍機
2 :輸送用冷凍機
3 :輸送用冷凍装置
4 :輸送用冷凍機
9 :制御部
10 :冷凍サイクル
11 :圧縮機
12 :庫内熱交換器
13 :庫外熱交換器
13a :庫外ファン
14 :冷却膨張弁
15 :冷媒回路
15a :第1冷媒回路
15b :第2冷媒回路
15c :第3冷媒回路
15d :第4冷媒回路
15e :ホットガス流路
15f :液冷媒流路
16 :吐出温度センサ
17 :吐出圧力センサ
18 :出口電磁弁
19 :レシーバ
20 :液ライン電磁弁
21 :アキュムレータ
22 :ホットガス電磁弁
23 :絞り
24 :液バイパス電磁弁
25 :吸入圧力センサ
30 :冷却水サイクル
31 :燃料電池スタック
32 :ラジエータ
33 :排熱用熱交換器
34 :冷却水回路
34a :第1冷却水回路
34b :第2冷却水回路
34c :第3冷却水回路
34d :温水バイパス回路
35 :ラジエータ流量調整機構
36 :温水ポンプ
37 :遮断弁
38 :温水ポンプ
39 :ファン
40 :冷凍サイクル
41 :圧縮機
42 :庫内熱交換器
43 :庫外熱交換器
43a :庫外ファン
44a :庫外冷却膨張弁
44b :庫内冷却膨張弁
45 :冷媒回路
45a :第1回路
45b :第2回路
45c :第3回路
45d :第4回路
45e :第5回路
45f :第6回路
45g :第7回路
45h :第1並列回路
45i :第2並列回路
46 :吐出温度センサ
47 :吐出圧力センサ
48 :切換部
48a :第1電磁弁
48b :第2電磁弁
48c :第3電磁弁
48d :第4電磁弁
49 :レシーバ
50a :庫外電磁弁
50b :庫内電磁弁
51 :アキュムレータ
55 :吸入圧力センサ
60 :庫内一体型熱交換器
61 :庫外一体型熱交換器
62 :第4冷却水流路
63 :第5冷却水流路
64 :庫外側流量調整弁
65 :庫内側流量調整弁
71 :第1分岐冷媒回路
72 :第2分岐冷媒回路
73 :一体型熱交換器
74 :冷却膨張弁
75 :流量調整弁
100 :一体型熱交換器
100a :冷却水チューブ
100b :冷媒チューブ
100c :フィン
100d :固定部