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特開2023-183105射出又はトランスファー成形機、及び、射出又はトランスファー成形方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183105
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】射出又はトランスファー成形機、及び、射出又はトランスファー成形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/76 20060101AFI20231220BHJP
   B29C 45/02 20060101ALI20231220BHJP
   B29C 45/03 20060101ALI20231220BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
B29C45/76
B29C45/02
B29C45/03
B29C45/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096546
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003263
【氏名又は名称】三菱電線工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 昭宏
(72)【発明者】
【氏名】豊森 佑夏
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AL21
4F202AP05
4F202AR02
4F202AR06
4F202CA11
4F202CA12
4F202CK81
4F202CN01
4F202CN05
4F206AL21
4F206AP054
4F206AR02
4F206AR064
4F206JA02
4F206JA07
4F206JF01
4F206JF23
4F206JL02
4F206JN32
4F206JP14
(57)【要約】
【課題】温度調整された中子で成形することにより、成形品の物性及び寸法を安定させる。
【解決手段】射出成形機1に可動側金型2と、固定側金型3と、可動側金型2に設けられた中子10と、可動側金型2及び固定側金型3を型締め及び型開きする型開閉ユニット5と、可動側金型2、固定側金型3及び中子10で形成されるキャビティ12にゴム又は樹脂材料13を供給する射出ユニット6と、少なくとも可動側金型2及び固定側金型3を加熱又は冷却するヒータ8と、中子10に設けられた中子側温度センサ20aと、この中子側温度センサ20aが所定温度に達して所定時間が経過すると射出ユニット6からキャビティ12にゴム又は樹脂材料13を供給するように制御する制御部21とを設ける。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金型と、
第2金型と、
前記第1金型に設けられた中子と、
前記第1金型及び前記第2金型を型締め及び型開きする型開閉ユニットと、
前記第1金型、前記第2金型及び前記中子で形成されるキャビティに成形材料を供給する成形材料供給ユニットと、
少なくとも前記第1金型及び前記第2金型を加熱又は冷却する温度調整ユニットと、
前記中子に設けられた温度センサと、
前記中子に設けられた温度センサが所定温度に達して所定時間が経過すると前記成形材料供給ユニットから前記キャビティに成形材料を供給するように制御する制御部とを備えている
ことを特徴とする射出又はトランスファー成形機。
【請求項2】
前記制御部は、
前記温度センサが前記所定温度に達するまでは、前記型開閉ユニットによって前記第1金型及び前記第2金型を通常圧力よりも低い低圧で型締めし、
前記温度センサが前記所定温度に達すると、前記型開閉ユニットによって前記第1金型及び前記第2金型を通常圧力で型締めするように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の射出又はトランスファー成形機。
【請求項3】
前記温度調整ユニットとして、
前記第1金型及び前記第2金型の少なくとも一方に温度調整を行う温度調整部が設けられており、
前記中子には、前記温度調整部が設けられていない
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の射出又はトランスファー成形機。
【請求項4】
少なくとも前記第1金型及び前記第2金型を加熱又は冷却し、
中子に設けた温度センサが所定温度に達して所定時間が経過すると、前記第1金型、前記第2金型及び前記中子で形成されるキャビティに成形材料を供給する
ことを特徴とする射出又はトランスファー成形方法。
【請求項5】
前記温度センサが前記所定温度に達するまでは、前記第1金型及び前記第2金型を通常圧力よりも低い低圧で型締めし、
前記温度センサが前記所定温度に達すると、前記第1金型及び前記第2金型を通常圧力で型締めする
ことを特徴とする請求項4に記載の射出又はトランスファー成形方法。
【請求項6】
前記第1金型及び前記第2金型の少なくとも一方の温度調整を行うことにより、間接的に前記中子を所定温度になるように調整する
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の射出又はトランスファー成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出又はトランスファー成形機、及び、射出又はトランスファー成形方法に関し、特に中子の温度調整及び中子温度により成型を制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、射出成形用金型の成形キャビティ内への溶融樹脂の射出、充填操作が行われる前に、射出成形用金型の全体が、所定範囲内の温度に維持されるように、射出成形用金型の全体の温度を調節する射出成形方法は知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、中子を置き駒にしない場合には、いったん金型を閉めてから適当な時間に金型を開き、表面温度計で中子の温度を測り、指定温度に達していたら射出成形を開始する。指定温度に達していなかったら、もう一度金型を閉めて中子を昇温する。
【0004】
一方、中子を有する金型の場合、中子を置き駒にして金型の外に取り出し、先に加熱済みの別の中子を再び金型に組み付けて次の成形を行う。その間に、取り出した中子は加熱しておく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-156773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のような従来の射出成形方法では、ヒートアンドクールという製法で、樹脂の充填時のみ高流動で充填するため、通常、キャビティ直下の温度を測定して射出を開始するようにしている。このため、その後、キャビティの温度は金型全体の温度になじんでしまう。
【0007】
しかしながら、金型内に温度分布ができると、成形品の寸法及び物性に影響が出てしまうという問題がある。
【0008】
また、複数置き駒を用いて交換方式とする場合、置き駒が複数となるのでコストが高く、また、駒による寸法の差が出る。また、駒の取付にも時間がかかり、その間にせっかく昇温させた中子の温度にばらつきが出てしまう。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、温度調整された中子で成形することにより、成形品の物性及び寸法を安定させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、この発明では、中子を交換せずに所定温度で成形を開始できるようにした。
【0011】
具体的には、第1の発明では、
第1金型と、
第2金型と、
前記第1金型に設けられた中子と、
前記第1金型及び前記第2金型を型締め及び型開きする型開閉ユニットと、
前記第1金型、前記第2金型及び前記中子で形成されるキャビティに成形材料を供給する成形材料供給ユニットと、
少なくとも前記第1金型及び前記第2金型を加熱又は冷却する温度調整ユニットと、
前記中子に設けられた温度センサと、
前記中子に設けられた温度センサが所定温度に達して所定時間が経過すると前記成形材料供給ユニットから前記キャビティに成形材料を供給するように制御する制御部とを備えている。
【0012】
上記の構成によると、温度センサが所定温度に達して所定時間が経過すると成形材料供給ユニットからキャビティに成形材料を供給するように制御するので、従来のように、予め温めた中子に交換する必要がなく、中子の温度を測った結果を成形材料供給ユニットの制御に反映することで、同じ温度で成形できるので、成形品の物性及び寸法が安定する。また、作業者が金型を開いて中子の温度を直接測定する必要がないので、測定する工数を省人化することができる。さらに、温度センサの値は、自動記録することも可能なので、作業者の測定工数自体が不要となる。
【0013】
第2の発明では、第1の発明において、
前記制御部は、
前記温度センサが前記所定温度に達するまでは、前記型開閉ユニットによって前記第1金型及び前記第2金型を通常圧力よりも低い低圧で型締めし、
前記温度センサが前記所定温度に達すると、前記型開閉ユニットによって前記第1金型及び前記第2金型を通常圧力で型締めするように構成されている。
【0014】
上記の構成によると、低圧で型締めすることで、第1金型及び第2金型から中子に熱が充分に伝達すると共に、その間、通常圧力よりも低い圧力とすることで、第1金型及び第2金型にかかる負荷を低減できる。
【0015】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、
前記温度調整ユニットとして、
前記第1金型及び前記第2金型の少なくとも一方に温度調整を行う温度調整部が設けられており、
前記中子には、前記温度調整部が設けられていない。
【0016】
上記の構成によると、中子の構成が容易になるとともに、中子の温度を間接的に第1及び第2金型と同じ温度にすればよいので、制御が容易である。なお、第1金型及び第2金型の両方に温度調整部が設けられているのが有利であるが、場合によっては、第1金型及び前記第2金型の一方のみに温度調整部が設けられていてもよい。
【0017】
第4の発明では、
少なくとも前記第1金型及び前記第2金型を加熱又は冷却し、
中子に設けた温度センサが所定温度に達して所定時間が経過すると、前記第1金型、前記第2金型及び前記中子で形成されるキャビティに成形材料を供給する。
【0018】
上記の構成によると、温度センサが所定温度に達して所定時間が経過すると成形材料供給ユニットからキャビティに成形材料を供給するように制御するので、従来のように、予め温めた中子に交換する必要がなく、中子の温度を測った結果を成形材料供給ユニットの制御に反映することで、同じ温度で成形できるので、成形品の物性及び寸法が安定する。また、作業者が金型を開いて中子の温度を直接測定する必要がないので、時間経過と共に中子が冷えてしまうことによる測定差がなくなり、測定する工数を省人化することができる。さらに、温度センサの値は、自動記録することも可能なので、作業者の測定工数自体が不要となる。
【0019】
第5の発明では、第4の発明において、
前記温度センサが前記所定温度に達するまでは、前記第1金型及び前記第2金型を通常圧力よりも低い低圧で型締めし、
前記温度センサが前記所定温度に達すると、前記第1金型及び前記第2金型を通常圧力で型締めする。
【0020】
上記の構成によると、低圧で型締めすることで、第1金型及び第2金型から中子に熱が充分に伝達すると共に、その間、通常圧力よりも低い圧力とすることで、第1金型及び第2金型にかかる負荷を低減できる。
【0021】
第6の発明では、第4又は第5の発明において、
前記第1金型及び前記第2金型の少なくとも一方の温度調整を行うことにより、間接的に前記中子を所定温度になるように調整する。
【0022】
上記の構成によると、中子に温度調整機能を設ける必要がなく、その構成が容易になるとともに、中子を間接的に第1及び第2金型と同じ温度にすればよいので、制御は容易である。ここでも、第1金型及び第2金型の両方に温度調整部が設けられているのが有利であるが、場合によっては、第1金型及び前記第2金型の一方のみに温度調整部が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、温度調整された中子で成形することにより、成形品の物性及び寸法を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態1に係る射出成形機を示す断面図である。
図2】本発明の実施形態1に係る射出成形機を示す図1相当断面図であり、(a)は、射出ユニット準備工程を、(b)は、ゲートユニット前進工程を、(c)は、低圧型締め工程をそれぞれ示す。
図3】本発明の実施形態1に係る射出成形機を示す図1相当断面図であり、(a)は、射出開始工程を、(b)は、加硫工程を、(c)は、ゲート開き工程をそれぞれ示す。
図4】本発明の実施形態1に係る射出成形機を示す図1相当断面図であり、(a)は、再型開き工程を、(b)は、金型突き出し工程を、(c)は、製品取り出し工程をそれぞれ示す。
図5】次の低圧型締め工程を示す、本発明の実施形態1に係る射出成形機を示す図1相当断面図である。
図6】成形材料を供給する様子を示す、本発明の実施形態2に係るトランスファー成形機を示す図1相当断面図である。
図7】射出ユニット準備工程を示す、本発明の実施形態2に係るトランスファー成形機を示す図2(a)相当断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1の射出成形機1を示し、この射出成形機1は、第1金型としての可動側金型2と、第2金型としての固定側金型3、可動側金型2に設けられた中子10と、可動側金型2及び固定側金型3を型締め及び型開きする型開閉ユニット5と、可動側金型2、固定側金型3及び中子10で形成されるキャビティ12に成形材料を供給する射出ユニット6とを備えている。
【0027】
可動側金型2の構成は特に限定されないが、例えば、この可動側金型2は、断熱材7を介して型開閉ユニット5に連結されており、この型開閉ユニット5の伸縮動作により、射出成形機1のベース1a上をスライド移動可能に構成されている。型開閉ユニット5は、中子10を押し出すための突出シリンダ5aを有する。
【0028】
成形品の形状や材質は特に限定されないが、例えば、外径30mm~100mm、高さ5mm~50mm、厚さ1mm~5mm程度の、カップ状の複数の成型品であり、シリコーンゴムで構成されている。図1に示す実施形態では、例えば、可動側金型2及び固定側金型3金型は、軸方向から見て300mm×300mm程度で、成形品は、外径50mm、高さ30mm、厚さ2mm程度である。
【0029】
可動側金型2の内部には、可動側金型2を加熱する温度調整ユニットとしてのヒータ8が設けられている。このヒータ8は、固定側金型3の内部にも設けられている。一方、中子10には、温度調整部としてのヒータ8は設けられていない。なお、本実施形態では、温度調整ユニットとして加熱を行うヒータ8を設けているが、熱可塑性樹脂などの、冷却すると固まる材料の射出成形では、冷却用の冷媒を流すことができる配管が金型自体に設けられていてもよい。本実施形態では、可動側金型2及び固定側金型3の両方にヒータ8を設けているが、場合によっては、どちらか一方にのみ設けてもよい。
【0030】
中子10は、複数設けられていてもよく、本実施形態でも2つ以上設けられている。各中子10には、中子側温度センサ20aが設けられている。中子側温度センサ20aは、例えば本実施形態では、有線タイプの熱電対であり、制御部21に接続されている。これは非接触式の温度センサであったり、無線式の温度センサであったりしてもよい。同様に金型側温度センサ20bが、可動側金型2や固定側金型3にも複数設けられており、それらの温度情報が制御部21に送られるようになっている。中子側温度センサ20a及び金型側温度センサ20bの配線は、図1では概略的に示しているが、可動側金型2のスライド移動を阻害しないように配線がされている。断熱材7により、可動側金型2の熱は、型開閉ユニット5側に直接伝達されないようになっている。
【0031】
射出ユニット6は、例えば、射出シリンダ6aを備え、その内部に材料供給プランジャ6bが設けられている。射出シリンダ6aの材料供給口6cを通して材料入れ6e,6fから2液配合部6dを介して例えば2種類の、液状の供給材料が連続して供給されるようになっている。
【0032】
固定側金型3は、その内部に、所定距離だけスライド移動可能なゲートユニット9を有し、このゲートユニット9は、ゲート9aを開閉するためのゲート開閉用シリンダ9bが設けられている。このゲート開閉用シリンダ9bには図示しない圧縮エア供給管が接続されている。ゲートユニット9と、ヒータ8を含む固定側金型3の一部との間には、断熱材7が設けられているので、ゲートユニット9側にヒータ8の熱が直接伝わらないようになっている。
【0033】
射出成形機1は、中子側温度センサ20aが所定温度に達して所定時間が経過すると射出ユニット6からキャビティ12に成形材料を供給するように制御する制御部21を備えている。制御部21は、例えば、射出成形機1全体の制御を行う制御盤で構成されている。
【0034】
制御部21は、金型側温度センサ20bの情報を元に可動側金型2や固定側金型3を射出材料に合わせた適切な温度(例えば、シリコーンゴムだと150℃)になるようにヒータ8を調整する。中子10そのものには、ヒータ8が設けられていないので、中子10の温度は、可動側金型2や固定側金型3から伝わる熱によって調整されるようになっている。
【0035】
-射出成形方法-
次に、本実施形態に係る射出成形方法について説明する。
【0036】
まず、制御部21は、金型側温度センサ20bの値を計測しながらヒータ8により、可動側金型2及び固定側金型3を所定温度(例えば150℃)に加熱しておく。中子10にはヒータ8は設けられていないので、可動側金型2及び固定側金型3からの熱により加熱される。
【0037】
次いで、図2(a)に示すように、射出ユニット準備工程で、材料入れ6e,6fから2液配合部6dを介して初期温度20℃の、成形材料としてのシリコーンゴム13(例えば、KE1950-40)を材料供給口6cから射出シリンダ6aに供給する。このKE1950-40は、透明かつ高強度で、硬化後のデュロメータAの硬度が40°の液状シリコーンゴムである。
【0038】
また、圧縮エアをゲート開閉用シリンダ9bの圧力室9cに送り込んでゲート9aを開いておく。
【0039】
次に、図2(b)に示すように、ゲートユニット前進工程において、射出ユニット6を前進させてゲートユニット9を押す。すると、ゲートユニット9の先端がゲート9aの周縁に当接する。
【0040】
次いで、図2(c)に示すように、低圧型締め工程において、型開閉ユニット5で可動側金型2をスライド移動させ、可動側金型2、中間板2a及び固定側金型3を閉じる。このとき、制御部21は、型開閉ユニット5によって可動側金型2及び固定側金型3を通常圧力よりも低い低圧(例えば3t程度の荷重)で型締めするように型開閉ユニット5を制御する。すると、低圧で型締めすることで、可動側金型2及び固定側金型3から中子10に熱が伝達する。
【0041】
そして、中子10に設けた中子側温度センサ20aが所定温度に(例えば150℃)に達するまでは、低圧で型締めを維持する。
【0042】
次に、図3(a)に示すように、射出開始工程において、中子10に設けた中子側温度センサ20aが所定温度(例えば、150℃)に達して所定時間(例えば、3秒)が経過すると、制御部21が型開閉ユニット5によって可動側金型2及び固定側金型3を通常圧力(例えば75tの荷重)で型締めする。
【0043】
次いで制御部21は、射出ユニット6に指示を出し、射出シリンダ6aを伸長させて可動側金型2、固定側金型3及び中子10で形成されるキャビティ12(図2(c)に示す)に成形材料としてのシリコーンゴム13の射出を開始する。
【0044】
そして、図3(b)に示すように、ゲートユニット後退工程において、充填量が計量値に達したら射出シリンダ6aの伸長を停止する。圧縮エアを供給してゲート開閉用シリンダ9bを伸長させてゲート9aを閉じ、その後、スコーチ対策のために射出ユニット6を若干後退させてゲートユニット9を離す。
【0045】
本実施形態の成形材料であるシリコーンゴム13は、例えば、加硫温度は150℃で、加硫時間は充填部分の容積や充填速度に依存する。制御部21は、射出停止してすぐに架橋時間のカウントを開始する。
【0046】
そして、加硫時間が経過すると加硫を終了する。
【0047】
次に、図3(c)に示すように、ゲート開き工程において、加硫が終了すると、スコーチ対策のために圧縮エアをゲート開閉用シリンダ9bの圧力室9cに送り込んでゲート9aを開く。
【0048】
次いで、図4(a)に示すように、型開き工程において、制御部21は、型開閉ユニット5に指示を出して可動側金型2を固定側金型3から離し、型開きする。
【0049】
次に、図4(b)に示すように、制御部21は、突出シリンダ5aにより、中間板2aを突き出し、余った成形材料(シリコーンゴム13)でできた逃げタブ14を切る。
【0050】
次いで、図4(c)に示すように、突き出した中間板2aから、図示しないロボットアーム等により、製品15を取り出す。
【0051】
次に、図5に示すように、制御部21は、型開閉ユニット5に指示を出して再び低圧で金型を閉じる。そして、中子10の中子側温度センサ20aが所定温度に達したら、次の成形を開始し、上述した動作が繰り返される。
【0052】
このように、中子10が所定温度に達するまで通常圧力よりも低い圧力とすることで、可動側金型2及び固定側金型3にかかる負荷を低減できる。
【0053】
また、本実施形態では、中子10を間接的に加熱するようにしているので、中子10にヒータ8などの温度調整機能を設ける必要がなく、その構成が容易になるとともに、熱の伝達により可動側金型2及び固定側金型3と同じ温度にすればよいので、制御は容易である。
【0054】
本実施形態では、中子側温度センサ20aが所定温度に達して所定時間が経過すると射出ユニット6からキャビティ12にシリコーンゴム13を供給するように制御するので、従来のように、予め温めた中子10に交換する必要がなく、中子10の温度を測った結果を射出シリンダ6aの制御に反映することで、同じ温度で成形できるので、成形品の物性及び寸法が安定する。
【0055】
また、作業者が金型を開いて中子10の温度を直接測定する必要がないので、時間経過と共に中子10が冷えてしまうことによる測定差がなくなり、測定する工数を省人化することができる。さらに、中子側温度センサ20aの値は、制御部21等により自動記録可能なので、作業者の測定工数自体が不要となる。
【0056】
したがって、本実施形態に係る射出成形機1及び射出成形方法によると、温度調整された中子10で成形することにより、成形品の物性及び寸法を安定させることができる。
【0057】
(実施形態2)
図6及び図7は本発明の実施形態2を示し、材料の供給方法が異なる点で上記実施形態1と異なる。なお、以下の各実施形態では、図1図5と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0058】
具体的には、本実施形態は、上記実施形態1のような射出成形機1ではなく、トランスファー成形機101及びトランスファー成形方法を対象としており、成形材料の供給のやり方及び射出ユニット106の構成が異なるが、それ以外は実施形態1と共通する点が多い。このため、特に異なる部分について重点的に説明する。
【0059】
本実施形態の射出ユニット106の射出シリンダ106aは、固定側金型3側に挿入されている。この射出シリンダ106a内にブロック状の成形材料113を入れるように構成されている。なお、この成形材料113は、数ショット毎に射出シリンダ106a内に入れられる。
【0060】
-トランスファー成形方法-
次いで、本実施形態のトランスファー成形方法について説明する。
【0061】
本実施形態でも、まず、図6に示すように、制御部21は、中子側温度センサ20aの値を計測しながらヒータ8により、可動側金型2及び固定側金型3を所定温度(例えば150℃)に加熱しておく。中子10にはヒータ8は設けられていないので、可動側金型2及び固定側金型3からの熱により加熱される。
【0062】
次いで、図7に示すように、ブロック状の成形材料113を射出シリンダ106a内に挿入する。上記実施形態1では、液状のシリコーンゴム13などの成形材料が適しているが、本実施形態では、固形状又は半固形状の成形材料113が適している。また、圧縮エアをゲート開閉用シリンダ9bの圧力室9cに送り込んでゲート9aを開いておく。
【0063】
この後は、基本的には、図2(b)~図4(c)と同様の動作が行われる。射出シリンダ106a内の成形材料が減って来たら再びブロック状の成形材料113を射出シリンダ106a内に供給するとよい。
【0064】
したがって、本実施形態に係るトランスファー成形機101によっても、上記実施形態1と同様に、温度調整された中子10で成形することにより、成形品の物性及び寸法を安定させることができる。
【0065】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0066】
すなわち、上記実施形態1及び2では、固定側金型3を第1金型とし、可動側金型2を第2金型としているが、逆に可動側金型2を第1金型とし、固定側金型3を第2金型としてもよい。
【0067】
また上記実施形態1では、液状のシリコーンゴム13を加硫して成形するようにしているが、例えば、300℃に加熱して溶融状態にある熱可塑性樹脂、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS樹脂)を供給し、150℃に加熱した可動側金型2及び固定側金型3で射出成形するようにしてもよい。この場合は、成形材料は冷却されることになる。
【0068】
上記各実施形態では、温度調整ユニットの温度調整部としてヒータ8を用いているが、例えば、温度調整部として、可動側金型2及び固定側金型3内に流路(配管)を設け、その内部に加熱又は冷却した熱媒体である油や水で温度調整をするようにしてもよい。例えば、ポリプロピレン樹脂を200℃で溶かして、水冷(60℃)によって金型を冷やして成形するようにしてもよい。このように、成形材料13,113は熱硬化性材料、熱可塑性材料など特に限定されず、成形材料13,113に合わせて金型を加熱又は冷却すればよい。
【0069】
上記各実施形態では、制御部21の一例として、制御盤を説明した。ただし、制御部21は、射出成形機1又はトランスファー成形機101を制御するものであれば、物理的にどのように構成してもよい。例えば、制御部21は、マイクロコンピュータやプログラマブルロジックコントローラ(PLC)等のように、ソフトウェア(プログラム)を利用するものであってもよい。あるいは、制御部は、ハードウェア(回路部品)を組み合わせて実現してもよい。
【0070】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0071】
1 射出成形機
1a ベース
2 可動側金型(第1金型)
2a 中間板
3 固定側金型(第2金型)
5 型開閉ユニット
5a 突出シリンダ
6 射出ユニット(成形材料供給ユニット)
6a 射出シリンダ
6b 材料供給プランジャ
6c 材料供給口
6d 2液混合部
6e,6f 材料入れ
7 断熱材
8 ヒータ(温度調整ユニット、温度調整部)
9 ゲートユニット
9a ゲート
9b ゲート開閉用シリンダ
9c 圧力室
10 中子
12 キャビティ
13 シリコーンゴム(成形材料)
14 タブ
15 製品
20a 中子側温度センサ
20b 金型側温度センサ
21 制御部
101 トランスファー成形機
106 射出ユニット
106a 射出シリンダ
113 成形材料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7