(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183128
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】プレート式混合器
(51)【国際特許分類】
B01F 25/421 20220101AFI20231220BHJP
B01F 23/10 20220101ALI20231220BHJP
B01F 23/232 20220101ALI20231220BHJP
B01F 23/30 20220101ALI20231220BHJP
B01F 23/45 20220101ALI20231220BHJP
B01F 23/50 20220101ALI20231220BHJP
B01F 23/60 20220101ALI20231220BHJP
【FI】
B01F25/421
B01F23/10
B01F23/232
B01F23/30
B01F23/45
B01F23/50
B01F23/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096580
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000152480
【氏名又は名称】株式会社日阪製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】樋渡 功
(72)【発明者】
【氏名】岡本 民雄
(72)【発明者】
【氏名】岡田 賢一
【テーマコード(参考)】
4G035
【Fターム(参考)】
4G035AB02
4G035AB27
4G035AB34
4G035AB37
4G035AB44
4G035AB49
4G035AC02
4G035AE13
4G035AE15
(57)【要約】
【課題】混合対象物を十分に混合できるプレート式混合器を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、第一方向に重ねられると共に、第一方向と直交する第二方向に延びる流路空間をプレート間に形成している複数のプレートを備え、二つのプレートのうちの少なくとも一方が第一貫通孔を有すると共に、該二つのプレートのうちの少なくとも一方が第二貫通孔を有し、第二貫通孔は、第一貫通孔に対して第二方向の一方側に間隔をあけた位置で且つ第一貫通孔に対して第一方向及び第二方向のそれぞれと直交する第三方向の一方側にずれた位置に配置され、流路空間には、第二方向における第二貫通孔の一方側に配置され且つ第二方向から見て少なくとも第一貫通孔から第二貫通孔まで延びる第一壁部であって、第二方向における混合対象物の通過を阻止する第一壁部が配置されている、ことを特徴とする。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが第一方向と直交する方向に広がり且つ該第一方向に重ねられる複数のプレートであって、混合対象物が流通可能で且つ前記第一方向と直交する第二方向に延びる流路空間を前記第一方向に隣り合う二つのプレートのプレート間に形成している複数のプレートを備え、
前記二つのプレートのうちの少なくとも一方のプレートは、前記第一方向に貫通する第一貫通孔を有すると共に、該二つのプレートのうちの少なくとも一方のプレートは、前記第一方向に貫通する第二貫通孔を有し
前記第二貫通孔は、前記第一貫通孔に対して前記第二方向の一方側に間隔をあけた位置で且つ前記第一貫通孔に対して前記第一方向及び前記第二方向のそれぞれと直交する第三方向の一方側にずれた位置に配置され、
前記流路空間には、前記第二方向における前記第二貫通孔の一方側に配置され且つ前記第二方向から見て少なくとも前記第一貫通孔から前記第二貫通孔まで延びる第一壁部であって、前記第二方向における前記混合対象物の通過を阻止する第一壁部が配置されている、プレート式混合器。
【請求項2】
前記第一壁部は、該第一壁部の配置される流路空間を形成している前記二つのプレートのうちの少なくとも一方のプレートの一部によって形成されている、請求項1に記載のプレート式混合器。
【請求項3】
前記第一貫通孔と前記第二貫通孔とは、前記第二方向から見て前記第三方向に間隔をあけて配置されている、請求項1又は2に記載のプレート式混合器。
【請求項4】
前記第二方向の所定領域において、前記第一方向に隣り合う二つの流路空間を仕切るプレートである第一プレートは、前記第一貫通孔と前記第二貫通孔とをそれぞれ複数有すると共に、該第一プレートとの間に前記流路空間を形成するプレートである第二プレートのそれぞれは、貫通孔を有さず、
前記二つの流路空間のうちの一方の流路空間では、前記第二方向における各第二貫通孔の一方側に前記第一壁部がそれぞれ配置され、
前記二つの流路空間のうちの他方の流路空間では、前記第二方向における各第一貫通孔の一方側に配置され且つ前記第二方向から見て少なくとも前記第二貫通孔から前記第一貫通孔まで延びる第二壁部であって、前記第二方向における前記混合対象物の通過を阻止する第二壁部がそれぞれ配置されている、請求項1に記載のプレート式混合器。
【請求項5】
前記各第一貫通孔は、前記第一プレートにおける前記二つの流路空間を仕切る部位の前記第三方向の他方側の端部に配置されると共に、前記各第二貫通孔は、前記第一プレートにおける前記二つの流路空間を仕切る部位の前記第三方向の一方側の端部に配置され、
各第一壁部は、前記一方の流路空間において前記第三方向の一端から他端まで延び、
各第二壁部は、前記他方の流路空間において前記第三方向の一端から他端まで延びている、請求項4に記載のプレート式混合器。
【請求項6】
前記二つのプレートのそれぞれが前記第一貫通孔と前記第二貫通孔とを有する、請求項1に記載のプレート式混合器。
【請求項7】
前記第一壁部は、前記第三方向の一方側に進むにつれて前記第二方向の一方側に位置し、
前記第二貫通孔は、前記第一壁部に対して前記第二方向の他方側に隣接する位置に配置されている、請求項1に記載のプレート式混合器。
【請求項8】
前記二つのプレートにおいて前記第一貫通孔と前記第二貫通孔と前記第一壁部との組が前記第三方向に複数配置され、
該二つのプレートのプレート間に形成される流路空間には、前記第三方向に隣り合う第一壁部の間から前記第二方向の他方側に延びる仕切り壁部であって、前記第三方向における前記混合対象物の通過を阻止する仕切り壁部がそれぞれ配置される、請求項1に記載のプレート式混合器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性を有する複数の混合対象物がプレート間を通過することで混合されるプレート式混合器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、所定方向に重ねられた複数のプレートの各プレート間に混合対象物(流体)を流すことで該混合対象物が混合されるプレート式混合機が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このプレート式混合機では、混合対象物が各プレート間を下方に向けて流れるが、この流れにおいて各プレートのヘリンボーン模様に形成された波形部(混合領域)が乱流を発生させ、この乱流によって混合対象物が混合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のプレート式混合機では、高粘度流体や粉体を含む混合対象物(流体)を混合する際には、各プレート間において混合対象物がプレートに沿った二次元的な流れとなるためこの混合対象物の流れにおいて十分な剪断力が得られず、これにより、混合対象物の均一混合が難しかった。また、各プレート間において混合対象物がプレートの混合領域に到達する前にプレートの左右方向にある程度均一に散らされていないと、混合領域を通過した後も混合対象物において未混合状態の部分が残存する場合があった。
【0006】
そこで、本発明は、混合対象物を十分に混合できるプレート式混合器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のプレート式混合器は、
それぞれが第一方向と直交する方向に広がり且つ該第一方向に重ねられる複数のプレートであって、混合対象物が流通可能で且つ前記第一方向と直交する第二方向に延びる流路空間を前記第一方向に隣り合う二つのプレートのプレート間に形成している複数のプレートを備え、
前記二つのプレートのうちの少なくとも一方のプレートは、前記第一方向に貫通する第一貫通孔を有すると共に、該二つのプレートのうちの少なくとも一方のプレートは、前記第一方向に貫通する第二貫通孔を有し
前記第二貫通孔は、前記第一貫通孔に対して前記第二方向の一方側に間隔をあけた位置で且つ前記第一貫通孔に対して前記第一方向及び前記第二方向のそれぞれと直交する第三方向の一方側にずれた位置に配置され、
前記流路空間には、前記第二方向における前記第二貫通孔の一方側に配置され且つ前記第二方向から見て少なくとも前記第一貫通孔から前記第二貫通孔まで延びる第一壁部であって、前記第二方向における前記混合対象物の通過を阻止する第一壁部が配置されている。
【0008】
かかる構成によれば、プレート式混合器において、混合対象物が第一貫通孔を通じて流路空間に流入すると共に第二貫通孔を通じて該流路空間から流出するように流れたときに、混合対象物の第一貫通孔と第二貫通孔との通過、及び流路空間において第一貫通孔から第二貫通孔に向かう際に混合対象物の第二方向の一方側への流れが第一壁部によって通過を阻止されることで第一貫通孔側に向かい(即ち、混合対象物の流れに対して第三方向の一方側への速度成分が十分に付与され)、これにより、混合対象物の流れにおいて十分な乱流の発生に加え十分な剪断力が得られ、その結果、混合対象物が十分に混合される。
【0009】
前記プレート式混合器では、
前記第一壁部は、該第一壁部の配置される流路空間を形成している前記二つのプレートのうちの少なくとも一方のプレートの流路空間側に突出する凸部によって形成されてもよい。
【0010】
このように、流路空間を形成するプレートの一部(凸部)を利用して第一壁部を形成することで、部品点数の削減、及び組立て性の向上を図ることができる。
【0011】
また、前記プレート式混合器では、
前記第一貫通孔と前記第二貫通孔とは、前記第二方向から見て前記第三方向に間隔をあけて配置されてもよい。
【0012】
かかる構成によれば、第一貫通孔から第二貫通孔に向かう混合対象物の流れの第三方向への移動量が大きくなることで、該混合対象物の流れに対して第三方向の一方側への速度成分がより十分に付与され、これにより、混合対象物がより十分に混合される。
【0013】
また、前記プレート式混合器では、
前記第二方向の所定領域において、前記第一方向に隣り合う二つの流路空間を仕切るプレートである第一プレートは、前記第一貫通孔と前記第二貫通孔とをそれぞれ複数有すると共に、該第一プレートとの間に前記流路空間を形成するプレートである第二プレートのそれぞれは、貫通孔を有さず、
前記二つの流路空間のうちの一方の流路空間では、前記第二方向における各第二貫通孔の一方側に前記第一壁部がそれぞれ配置され、
前記二つの流路空間のうちの他方の流路空間では、前記第二方向における各第一貫通孔の一方側に配置され且つ前記第二方向から見て少なくとも前記第二貫通孔から前記第一貫通孔まで延びる第二壁部であって、前記第二方向における前記混合対象物の通過を阻止する第二壁部がそれぞれ配置されてもよい。
【0014】
かかる構成によれば、混合対象物の流れにおいて少なくとも一部が一方の流路空間と他方の流路空間とを行き来しつつ第一貫通孔から第二貫通孔、第二貫通孔から第一貫通孔へ向けて流れることで、この混合対象物の流れにおいてより複雑な乱流が発生すると共に種々の方向の剪断力が得られるため、混合対象物が効果的に混合される。
【0015】
この場合、前記プレート式混合器では、
前記各第一貫通孔は、前記第一プレートにおける前記二つの流路空間を仕切る部位の前記第三方向の他方側の端部に配置されると共に、前記各第二貫通孔は、前記第一プレートにおける前記二つの流路空間を仕切る部位の前記第三方向の一方側の端部に配置され、
各第一壁部は、前記一方の流路空間において前記第三方向の一端から他端まで延び、
各第二壁部は、前記他方の流路空間において前記第三方向の一端から他端まで延びていてもよい。
【0016】
かかる構成によれば、二つの流路空間を流れる混合対象物の全てが一方の流路空間と他方の流路空間とを行き来しつつ第一貫通孔から第二貫通孔、第二貫通孔から第一貫通孔へ向けて流れることで、混合対象物の流れにおいてより十分な乱流が発生すると共に種々の方向の剪断力が十分に得られ、これにより、混合対象物がより効果的に混合される。
【0017】
また、前記プレート式混合器では、
前記二つのプレートのそれぞれが前記第一貫通孔と前記第二貫通孔とを有してもよい。
【0018】
かかる構成によれば、流路空間を形成する二つのプレートにおいて対向する第一貫通孔を通じて混合対象物が流路空間に流入することで混合対象物の流れが互いに衝突すると共に、対向する第二貫通孔を通じて混合対象物が流路空間から流出することで混合対象物の流れが分割されることで、混合対象物がさらに混合される。
【0019】
また、前記プレート式混合器では、
前記第一壁部は、前記第三方向の一方側に進むにつれて前記第二方向の一方側に位置し、
前記第二貫通孔は、前記第一壁部に対して前記第二方向の他方側に隣接する位置に配置されてもよい。
【0020】
かかる構成によれば、混合対象物の流れに第三方向の一方側への速度成分を十分に付与して混合効率を向上させつつ、混合対象物の流れが第一壁部に衝突して第二貫通孔側(第三方向の一方側)に向かうときの流動抵抗を抑えて圧力損失の過剰な増大を抑制できる。
【0021】
また、前記プレート式混合器では、
前記二つのプレートにおいて前記第一貫通孔と前記第二貫通孔と前記第一壁部との組が前記第三方向に複数配置され、
該二つのプレートのプレート間に形成される流路空間には、前記第三方向に隣り合う第一壁部の間から前記第二方向の他方側に延びる仕切り壁部であって、前記第三方向における前記混合対象物の通過を阻止する仕切り壁部がそれぞれ配置されてもよい。
【0022】
かかる構成によれば、第二方向の一方側へ向かう混合対象物の流れが仕切り壁部によって第三方向に分断された状態で、各組と対応する領域において混合対象物が第一貫通孔から第二貫通孔に流れ、即ち、混合対象物の流れに第三方向の一方側への速度成分がそれぞれ付与され、これにより、混合対象物がより好適に混合される。
【発明の効果】
【0023】
以上より、本発明によれば、混合対象物を十分に混合できるプレート式混合器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るプレート式混合器の斜視図である。
【
図2】
図2は、前記プレート式混合器の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、前記プレート式混合器が備えるプレート群及び挟持部の分解斜視図であって、構成の一部を省略した状態の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、前記プレート群の内部に形成される流路の配置を示す模式図である。
【
図5】
図5は、前記プレート群が有する第一プレートを第一面側から見た図である。
【
図6】
図6は、前記第一プレートを第二面側から見た図である。
【
図7】
図7は、前記プレート群が有する第二プレートを第一面側から見た図である。
【
図8】
図8は、前記第二プレートを第二面側から見た図である。
【
図9】
図9は、前記プレート群が有する第一ガスケットをX軸方向から見た図である。
【
図10】
図10は、前記第一ガスケットが第一面に配置された状態の前記第一プレートを第一面側から見た図である。
【
図11】
図11は、前記プレート群が有する第二ガスケットをX軸方向から見た図である。
【
図12】
図12は、前記第二ガスケットが第一面に配置された状態の前記第二プレートを第一面側から見た図である。
【
図13】
図13は、前記プレート群の一部を
図6に示すXIII-XIII線の位置で切断した断面図である。
【
図15】
図15は、前記プレート群の第一部位での混合対象物の流れを説明するための分解斜視図である。
【
図19A】
図19Aは、他実施形態に係る第一プレートの第一領域を第一面側から見た図であって、第一ガスケットが第一面に配置された状態の図である。
【
図19B】
図19Bは、他実施形態に係る第二プレートの第一領域を第一面側から見た図であって、第二ガスケットが第一面に配置された状態の図である。
【
図21A】
図21Aは、他実施形態に係る第一プレートの第一領域を第一面側から見た図であって、第一ガスケットが第一面に配置された状態の図である。
【
図21B】
図21Bは、他実施形態に係る第二プレートの第一領域を第一面側から見た図であって、第二ガスケットが第一面に配置された状態の図である。
【
図22A】
図22Aは、他実施形態に係る第一プレートの第一領域を第一面側から見た図であって、第一ガスケットが第一面に配置された状態の図である。
【
図22B】
図22Bは、他実施形態に係る第二プレートの第一領域を第一面側から見た図であって、第二ガスケットが第一面に配置された状態の図である。
【
図23A】
図23Aは、他実施形態に係る第一プレートの第一領域の一部を第一面側から見た図であって、第一ガスケットが第一面に配置された状態の図である。
【
図23B】
図23Bは、他実施形態に係る第二プレートの第一領域の一部を第一面側から見た図であって、第二ガスケットが第一面に配置された状態の図である。
【
図24A】
図24Aは、他実施形態に係る第一プレートの第一領域の一部を第一面側から見た図であって、第一ガスケットが第一面に配置された状態の図である。
【
図24B】
図24Bは、他実施形態に係る第二プレートの第一領域の一部を第一面側から見た図であって、第二ガスケットが第一面に配置された状態の図である。
【
図25】
図25は、他実施形態に係るプレート群の第一部位における混合対象物の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態について、
図1~
図18を参照しつつ説明する。
【0026】
本実施形態に係るプレート式混合器(以下、単に「混合器」とも称する。)は、
図1~
図4に示すように、所定方向(第一方向)に重ねられる複数のプレート3を備え、流動性を有する複数種の混合対象物A、Bを所定のプレート間に流入させることでこれら複数種の混合対象物A、Bを混合する。この混合器1が混合可能な混合対象物A、Bとは、液体や気体等の流体、粉体(粉、粒等の集まったもの)、エマルジョン流体やスラリー流体等の液体同士が混ざったものや流体と粉体とが混ざったもの、液体に気体が混ざったもの(例えば、炭酸水、発泡石鹸水)等であり、流動性を有する。また、以下では、複数種の混合対象物A、Bが混合されたもの(即ち、混合された状態の複数種の混合対象物)を「混合物C」と称することもある。
【0027】
この混合器1は、所定方向(第一方向)に重ねられる複数のプレート3であって、混合対象物A、Bが流通可能で且つ上下方向(第二方向)に延びる流路空間(第一流路R1又は第二流路R2)を、所定向に隣り合う二つのプレート3のプレート間(以下、単に「プレート間」とも称する。)に形成している複数のプレート3を備える。
【0028】
本実施形態の混合器1は、所定方向に重ねられる複数のプレート3と、所定方向に隣り合う二つのプレート3のプレート間に挟み込まれることで該二つのプレート3と共同して該プレート間に所定の流路空間(第一流路R1~第四流路R4:
図4参照)を形成(画定)する複数のガスケット4と、を有するプレート群2を備える。また、混合器1は、プレート群2を解放可能に保持する保持部5を備える。
【0029】
プレート群2では、該プレート群2の外部から供給された複数種の混合対象物A、Bが所定のプレート間(本実施形態の例では、第一流路R1、第二流路R2、第四流路R4:
図4参照)を流れることによって混合される。このプレート群2は、保持部5から解放された状態(即ち、保持されていない状態)のときにプレート3とガスケット4とに分解可能に構成されている。また、プレート群2は、流動物Fが所定のプレート間(本実施形態の例では、第三流路R3:
図4参照)を流れることによって混合対象物A、Bや混合物Cの温度調整を行うこともできる。本実施形態のプレート群2は、プレート3の重ねられる方向(所定方向)が水平方向と一致するように保持部5に保持される。以下では、プレート3の重ねられる方向を直交座標系のX軸方向(第一方向)とし、プレート3の重ねられる方向と直交し且つ該プレート3に沿った水平方向を直交座標系のY軸方向(第三方向)とし、上下方向を直交座標系のZ軸方向(第二方向)とする。
【0030】
尚、流動物Fとは、混合対象物A、B又は混合物Cと熱交換することによって混合対象物A、B又は混合物Cの温度調整を行うためのものであり、流動性を有する。具体的に、流動物Fは、混合対象物A、Bと同様に、液体や気体等の流体、粉体(粉、粒等の集まったもの)、エマルジョン流体やスラリー流体等の液体同士が混ざったものや流体と粉体とが混ざったもの、液体に気体が混ざったもの(例えば、炭酸水、発泡石鹸水)等であり、本実施形態の流動物Fは、水(冷却水)である。また、混合対象物A、B又は混合物Cを加熱する場合には、混合対象物A、B等より温度の高い流動物(加熱媒体)F、例えば、温水(100℃未満の水)や、熱水(100℃以上の水)、蒸気(スチーム)等が用いられ、混合対象物A、B又は混合物Cを冷却する場合には、混合対象物A、B等より温度の低い流動物(冷却媒体)F、例えば、常温(室温)の水や、低温の水(常温より低い温度の水)等が用いられてもよい。
【0031】
具体的に、プレート群2は、内部に複数の流路(流路空間)Ch1~Ch5を有し(
図2及び
図4参照)、異なる流路Ch1、Ch2を通じて流入した混合対象物A、B同士を混合する。これら複数の流路は、混合対象物A、Bが流れる流路Ch1~Ch3と、温度調整用の流動物Fが流れる流路Ch4、Ch5と、を含む。
【0032】
また、プレート群2において、X軸方向の一方側(
図2における左側)の端面において、流路Ch1~Ch5と対応する部位は、それぞれ開口しており、X軸方向の他方側(
図2における右側)の端面において、流路Ch1~Ch5と対応する位置は、それぞれ閉じている(塞がっている)。
【0033】
より具体的に、プレート群2は、該プレート群2の内部をX軸方向に延び且つ所定のプレート間に形成された流路(本実施形態の例では、第一流路R1、第二流路R2)と連通することで該プレート群2の外部から該流路R1、R2に混合対象物A、Bを流入させる複数(本実施形態の例では、二つ)の第一流入路Ch1、Ch2と、該プレート群2の内部をX軸方向に延び且つ所定のプレート間に形成された流路(本実施形態の例では、第一流路R1、第四流路R4)と連通することで該流路R1、R4から該プレート群2の外部に混合対象物A、Bを流出させる少なくとも一つ(本実施形態の例では、一つ)の第一流出路Ch3と、を有する。
【0034】
本実施形態のプレート群2では、第一流入路Ch1は、所定のプレート間に形成(配置)されている複数の第一流路R1のそれぞれと連通し、第一流入路Ch2は、所定のプレート間に形成(配置)されている複数の第二流路R2のそれぞれと連通する。また、第一流出路Ch3は、所定のプレート間に形成(配置)されている複数の第一流路R1のそれぞれと連通すると共に、所定のプレート間に形成(配置)されている複数の第四流路R4のそれぞれと連通する。これら第一流入路Ch1、Ch2と第一流出路Ch3とは、プレート3の対応する位置において該プレート3をX軸方向に貫通する連通孔31A、31BがX軸方向に連なることによって形成されている(
図4参照)。
【0035】
また、プレート群2は、該プレート群2の内部をX軸方向に延び且つ所定のプレート間に形成(配置)されている第三流路R3と連通することで該プレート群2の外部から該第三流路R3に流動物Fを流入させる少なくとも一つ(本実施形態の例では、一つ)の第二流入路Ch4と、該プレート群2の内部をX軸方向に延び且つ第三流路R3と連通することで該第三流路R3から該プレート群2の外部に流動物Fを流出させる少なくとも一つ(本実施形態の例では、一つ)の第二流出路Ch5と、を有する。
【0036】
本実施形態のプレート群2では、第二流入路Ch4が該プレート群2の内部に形成されている複数の第三流路R3のそれぞれと連通し、第二流出路Ch5が該プレート群2の内部に形成されている複数の第三流路R3のそれぞれと連通する。これら第二流入路Ch4と第二流出路Ch5とは、プレート3の対応する位置において該プレート3をX軸方向に貫通する連通孔31A、31BがX軸方向に連なることによって形成されている。
【0037】
以上のような各流路Ch1~Ch5が内部に形成(配置)されているプレート群2を構成する複数のプレート3のそれぞれは、Z軸方向に長尺な板状であり、伝熱性を有する。これら複数のプレート3のそれぞれは、ステンレス鋼、チタン等の金属プレート(薄板)がプレス成形されることによって形成されている。尚、プレート3は、樹脂、セラミック等によって構成されていてもよい。この場合、例えば押し出し成型法等によってプレート3が成形される。
【0038】
本実施形態において「伝熱性を有する」とは、熱伝導率が0.2W/m・K以上のことを言う。この値は、混合対象物A、Bを温度調整しつつ混合する本実施形態の混合器1において、使用が予定されているプレート3の材質のうちで最も熱伝導率の低い材質(例えば、耐薬液用途で使用可能なフッ素樹脂等)に基づいて設定されたものである。換言すると、本実施形態の混合器1では、混合対象物A、Bが他の流動物Fと熱交換しつつ混合されるように、熱伝導率が所定の値(0.2W/m・K)以上の材質によってプレート3が形成されている。
【0039】
複数のプレート3は、
図5~
図8にも示されるような二種類のプレート(第一プレート3A、第二プレート3B)を含む。これら二種類のプレート3A、3Bは、プレート群2においてX軸方向に交互に配置されている(
図3及び
図4参照)。
【0040】
これら第一プレート3A及び第二プレート3Bのそれぞれは、X軸方向と直交する方向に広がる。また、第一プレート3A及び第二プレート3Bのそれぞれは、Z軸方向に長尺な矩形板状であり、X軸方向における一方の面(第一面)S1、S3と、第一面S1、S3と反対側(即ち、X軸方向の他方)の面(第二面)S2、S4と、をそれぞれ有する。これら第一プレート3A及び第二プレート3Bの各輪郭形状は、同じである。
【0041】
本実施形態のプレート群2では、第一プレート3Aの第二面S2と第二プレート3Bの第一面S3とが対向し、第二プレート3Bの第二面S4と第一プレート3Aの第一面S1とが対向するように、第一プレート3Aと第二プレート3BとがX軸方向に交互に配置されている(
図3及び
図4参照)。
【0042】
また、第一プレート3A及び第二プレート3Bのそれぞれは、Z軸方向の一方の端部(本実施形態の例では上端部)から他方の端部(本実施形態の例では下端部)に向けて順に並ぶ第一領域Ar1と第二領域Ar2と第三領域Ar3とを有する。本実施形態の第一プレート3Aと第二プレート3Bとにおいて、第一プレート3Aの第一領域Ar1と、第二プレート3Bの第一領域Ar1とが、Z軸方向の同じ範囲(即ち、X軸方向から見て互いに重なる領域)であり、第一プレート3Aの第二領域Ar2と、第二プレート3Bの第二領域Ar2とが、Z軸方向の同じ範囲であり、第一プレート3Aの第三領域Ar3と、第二プレート3Bの第三領域Ar3とが、Z軸方向の同じ範囲である。
【0043】
また、第一プレート3A及び第二プレート3Bのそれぞれは、ガスケット4が配置可能なガスケット配置部30Gを有する。本実施形態の第一プレート3A及び第二プレート3Bのそれぞれは、Z軸方向の両端に一対の係合部30Eを有する。
【0044】
ガスケット配置部30Gは、各プレート3A、3Bにおいてガスケット4が配置される部位であり、例えば、ガスケット4がプレート間に挟み込まれるときに該ガスケット4のプレート3A、3Bに対する位置ずれ等を防ぐ。このガスケット配置部30Gは、
図5~
図8においては形状を理解しやすいように二重線で示されているが、各プレート3A、3Bに形成された溝や、ガスケット4の各部位の幅方向の両側に形成される凸部等によって構成されている。
【0045】
尚、上述のように金属プレート(薄板)がプレス成形されることによって各プレート3A、3Bが形成されているため、ガスケット配置部30Gを構成する溝や凸部等は、同じプレート3A、3Bにおける第一面S1、S3と第二面S2、S4とにおいて表裏の関係(即ち、X軸方向から見て同じ形で且つ突出方向(又は凹み方向)が逆の関係)である。
【0046】
係合部30Eは、プレート群2が保持部5に保持されているときに、保持部5の一部531と係合する部位である。本実施形態の係合部30Eは、各プレート3A、3BのZ軸方向の両端に形成された切欠きである。この係合部30Eは、各プレート3A、3BのZ軸方の各端部におけるY軸方向の中央部にそれぞれ形成されている。
【0047】
また、第一プレート3A及び第二プレート3Bのそれぞれは、プレート間にガスケット4が挟み込まれた状態でX軸方向から見たときの該ガスケット4に囲まれた領域(各流路R1~R4)に、少なくとも一つの凸部32A、32Bと、少なくとも一つの凹部33A、33Bと、を有する。
【0048】
本実施形態の各プレート3A、3Bは、上述のように金属プレート(薄板)がプレス成形されることによって形成されている。このため、各プレート3A、3Bの第二面S2、S4の各凸部32A、32Bは、第一面S1、S3の対応する位置の凹部33A、33Bと表裏の関係であり、第二面S2、S4の各凹部33A、33Bは、第一面S1、S3の対応する位置の凸部32A、32Bと表裏の関係である。即ち、第一面S1、S3においてX軸方向の第一面S1、S3側に突出する凸部32A、32Bの裏面(第二面S2、S4の対応する部位)には、X軸方向の第一面S1側に凹む凹部33A、33Bが配置され、第一面S1、S3においてX軸方向の第二面S2、S4側に凹む凹部33A、33Bの裏面(第二面S2、S4の対応する部位)には、X軸方向の第二面S2、S4側に突出する凸部32A、32Bが配置されている。
【0049】
以下、第一プレート3A及び第二プレート3Bのそれぞれの各構成について具体的に説明する。
【0050】
第一プレート3Aは、
図3~
図6に示すように、複数(本実施形態の例では、五つ)の連通孔31Aと、少なくとも一つの混合用貫通孔35Aと、を有する。これら複数の連通孔31A及び少なくとも一つの混合用貫通孔35Aは、それぞれ第一プレート3AをX軸方向(厚さ方向)に貫通する。また、第一プレート3Aは、各面S1、S2に、少なくとも一つの凸部32Aと、少なくとも一つの凹部33Aと、を有する。
【0051】
より具体的に、第一プレート3Aは、第一領域Ar1に二つ連通孔31A(第一連通孔311A、第二連通孔312A)を有し、第二領域Ar2に二つの連通孔31A(第三連通孔313A、第四連通孔314A)を有し、第三領域Ar3に一つの連通孔31A(第五連通孔315A)を有している。
【0052】
詳しくは、第一連通孔311Aは、第一流入路Ch1を構成する連通孔31Aであり、第一領域Ar1のZ軸方向の一方の端部におけるY軸方向の中央に配置されている。
【0053】
また、第二連通孔312Aは、第一流入路Ch2を構成する連通孔31Aであり、第一領域Ar1の第一連通孔311AよりZ軸方向の他方側の位置で且つY軸方向の一方の端部に配置されている。
【0054】
また、第三連通孔313Aは、第二流入路Ch4を構成する連通孔31Aであり、第四連通孔314Aは、第二流出路Ch5を構成する連通孔31Aである。これら第三連通孔313Aと第四連通孔314Aとは、第二領域Ar2におけるY軸方向の両端部に配置され、且つ、第三連通孔313Aは、第四連通孔314AよりZ軸方向の他方側に配置されている。より具体的には、第三連通孔313Aは、第二領域Ar2におけるY軸方向の他方の端部で且つZ軸方向の他方の端部に配置され、第四連通孔314Aは、第二領域Ar2におけるY軸方向の一方の端部で且つZ軸方向の一方の端部に配置されている。
【0055】
また、第五連通孔315Aは、第一流出路Ch3を構成する連通孔31Aであり、第三領域Ar3のZ軸方向の他方の端部におけるY軸方向の中央に配置されている。
【0056】
以上の第一連通孔311A~第五連通孔315Aは、それぞれ円形の貫通孔であり、第一連通孔311Aと第五連通孔315Aとのそれぞれは、同じ内径(第一内径d1)を有し、第二連通孔312A~第四連通孔314Aのそれぞれは、同じ内径(第二内径d2)を有する。本実施形態の連通孔31Aにおいて、第一連通孔311A及び第五連通孔315Aの第一内径d1は、他の連通孔(第二連通孔312A~第四連通孔314A)の第二内径d2より大きい。
【0057】
また、第一プレート3Aは、第一面S1の第一領域Ar1に、少なくとも一つの凸部321A(32A)と、少なくとも一つの凹部331A(33A)と、少なくとも一つの混合用貫通孔351A(35A)とを有している。本実施形態の第一プレート3Aは、第一面S1の第一領域Ar1に、二つの凸部321Aと、一つの凹部331Aと、四つの混合用貫通孔351A(第一混合用貫通孔351A1~第四混合用貫通孔351A4)と、を有する(
図5参照)。ここで、第一プレート3Aは、上述のように金属プレート(薄板)がプレス成形されることによって形成されている。このため、第一面S1の第一領域Ar1における凸部321Aの裏面(第二面S2の対応する部位)には、凹部331Aが形成され、第一面S1の第一領域Ar1における凹部331Aの裏面(第二面S2の対応する部位)には、凸部321Aが形成されている(
図5及び
図6参照)。
【0058】
これら凸部321Aと凹部331Aとは、Z軸方向に間隔をあけて交互に配置されている。具体的に、第一プレート3Aにおいて、第一面S1の第一領域Ar1では、Y軸方向の中央部においてZ軸方向の他方側に向けて凸部321Aと凹部331Aと凸部321Aとが順に配置され、第二面S2の第一領域Ar1では、Y軸方向の中央部においてZ軸方向の他方側に向けて凹部331Aと凸部321Aと凹部331Aとが順に配置されている。
【0059】
また、これら凸部321A及び凹部331Aのそれぞれは、Y軸方向に延びている。本実施形態の凸部321A及び凹部331Aのそれぞれは、ガスケット配置部30Gに囲まれた領域におけるY軸方向の一方の端から他方の端まで延びている。
【0060】
四つの混合用貫通孔351A1~351A4は、Z軸方向に隣り合う混合用貫通孔351Aの間のそれぞれに凸部321A又は凹部331Aが位置するように、Z軸方向に間隔をあけて配置されている。また、これら四つの混合用貫通孔351A1~351A4は、Y軸方向に交互にずれた位置に配置されている。
【0061】
詳しくは、各混合用貫通孔351A1~351A4は、Y軸方向に延びる長孔であり、Z軸方向の一方側の端の混合用貫通孔(第一混合用貫通孔)351A1は、第一面S1の第一領域Ar1において、二つの凸部321AのうちのZ軸方向の一方側(
図5における上側)の凸部321Aに対してZ軸方向の一方側に隣り合う位置で且つY軸方向の一方側(
図5における右側)に寄った位置に配置されている。
【0062】
また、第一混合用貫通孔351A1からZ軸方向の他方に向けて二番目の混合用貫通孔(第二混合用貫通孔)351A2は、第一面S1の第一領域Ar1において、凹部331Aに対してZ軸方向の一方側に隣り合う位置で且つY軸方向の他方側(
図5における左側)に寄った位置に配置されている。
【0063】
また、第一混合用貫通孔351A1からZ軸方向の他方に向けて三番目の混合用貫通孔(第三混合用貫通孔)351A3は、第一面S1の第一領域Ar1において、二つの凸部321AのうちのZ軸方向の他方側(
図5における下側)の凸部321Aに対してZ軸方向の一方側に隣り合う位置で且つY軸方向の一方側に寄った位置に配置されている。
【0064】
また、第一混合用貫通孔351A1からZ軸方向の他方に向けて四番目の混合用貫通孔(第四混合用貫通孔)351A4は、第一面S1の第一領域Ar1において、二つの凸部321AのうちのZ軸方向の他方側の凸部321Aに対してZ軸方向の他方側に隣り合う位置で且つY軸方向の他方側に寄った位置に配置されている。
【0065】
これら四つの混合用貫通孔351A1~351A4において、Z軸方向に隣り合う混合用貫通孔351A1~351A4同士は、Z軸方向から見て互いに重ならない位置又は対応する端部同士が一致する位置に配置されている。本実施形態の四つの混合用貫通孔351A1~351A4は、Z軸方向に隣り合う二つの混合用貫通孔351Aのうちの一方の混合用貫通孔351AのY軸方向の一方(又は他方)の端と、前記二つの混合用貫通孔351Aのうちの他方の混合用貫通孔351AのY軸方向の他方(又は一方)の端とが、Z軸方向から見て一致するように、それぞれ配置されている。
【0066】
また、第一プレート3Aは、第一面S1の第二領域Ar2に、複数の凸部322A(32A)と、複数の凹部332A(33A)と、を有している。これら複数の凸部322Aと複数の凹部332Aとは、混合対象物A、B又は流動物Fがプレート間に形成された流路R3、R4を流れたときに、混合対象物A、B又は流動物Fの流れにおいて分岐、合流、乱流等を生じさせることで混合対象物A、Bの混合効率又は混合対象物A、Bと流動物Fとのプレート3を介した熱交換効率を向上等させるための部位である。
【0067】
具体的な凸部322A及び凹部332Aの形状、大きさ、数、配置等は、混合対象物A、Bの種類又は流動物Fの種類等に応じて種々設定される。本実施形態の第一プレート3Aでは、例えば、第一面S1の第二領域Ar2に形成される複数の凸部322Aと複数の凹部332Aとは、V字状の凸部322AとV字状の凹部332AとがZ軸方向に交互に形成された、いわゆるヘリンボーン状に配置されている。ここで、第一プレート3Aは、上述のように金属プレート(薄板)がプレス成形されることによって形成されている。このため、第一面S1の第二領域Ar2における凸部322Aの裏面(第二面S2の対応する部位)には、凹部332Aが形成され、第一面S1の第二領域Ar2における凹部332Aの裏面(第二面S2の対応する部位)には、凸部322Aが形成されている(
図5及び
図6参照)。
【0068】
また、第一プレート3Aは、第一面S1の第三領域Ar3に、少なくとも一つの凸部323A(32A)と、少なくとも一つの凹部333A(33A)と、少なくとも一つの混合用貫通孔353A(35A)と、を有する。本実施形態の第一プレート3Aは、第一面S1の第三領域Ar3に、一つの凸部323Aと、一つの凹部333Aと、五つの混合用貫通孔353Aと、を有する。ここで、第一プレート3Aは、上述のように金属プレート(薄板)がプレス成形されることによって形成されている。このため、第一面S1の第三領域Ar3における凸部323Aの裏面(第二面S2の対応する部位)には、凹部333Aが形成され、第一面S1の第三領域Ar3における凹部333Aの裏面(第二面S2の対応する部位)には、凸部323Aが形成されている(
図5及び
図6参照)。
【0069】
複数の混合用貫通孔353Aは、Z軸方向に間隔をあけて並んでいる。これら複数の混合用貫通孔353Aは、第五連通孔315AよりZ軸方向の一方側に配置されている。各混合用貫通孔353Aは、Y軸方向に延び、第三領域Ar3におけるY軸方向の中央部に配置されている。
【0070】
第一面S1の第三領域Ar3における凸部323Aは、Y軸方向に延びており、所定の混合用貫通孔353A間に配置されている。また、第一面S1の第三領域Ar3における凹部333Aは、Y軸方向に延びており、凸部323Aの配置位置と異なる混合用貫通孔353A間に配置されている。
【0071】
第二プレート3Bは、
図3、
図4、
図7、及び
図8に示すように、複数(本実施形態の例では、五つ)の連通孔31Bと、少なくとも一つの混合用貫通孔35Bと、を有する。これら複数の連通孔31B及び少なくとも一つの混合用貫通孔35Bは、それぞれ第二プレート3BをX軸方向(厚さ方向)に貫通する。また、第二プレート3Bは、各面S3、S4に、少なくとも一つの凸部32Bと、少なくとも一つの凹部33Bと、を有する。
【0072】
複数の連通孔31Bのそれぞれは、プレート群2において第一プレート3Aの対応する連通孔31AとX軸方向に交互に連なることで、プレート群2の内部をX軸方向に延びる流路空間を形成する。即ち、第一プレート3Aの連通孔31Aと第二プレート3Bの連通孔31Bとは、プレート群2においてX軸方向に交互に連なることによって、プレート群2の内部に混合対象物A、B又は流動物FがX軸方向(換言すると、プレート3の積層方向)に流れることができる空間を形成する。このため、本実施形態の第二プレート3Bは、第一プレート3Aの連通孔31Aと同じ数の連通孔31Bを有し、第二プレート3Bの複数の連通孔31Bのそれぞれは、第一プレート3Aの対応する連通孔31Aと同じ位置に配置されると共に、同じ形状で且つ同じ大きさである。
【0073】
本実施形態の第二プレート3Bは、第一領域Ar1に二つ連通孔31B(第一連通孔311B、第二連通孔312B)を有し、第二領域Ar2に二つの連通孔31B(第三連通孔313B、第四連通孔314B)を有し、第三領域Ar3に一つの連通孔31B(第五連通孔315B)を有している。
【0074】
詳しくは、第一連通孔311Bは、第一流入路Ch1を構成する連通孔31Bであり、第一領域Ar1のZ軸方向の一方の端部におけるY軸方向の中央に配置されている。
【0075】
また、第二連通孔312Bは、第一流入路Ch2を構成する連通孔31Bであり、第一領域Ar1の第一連通孔311BよりZ軸方向の他方側の位置で且つY軸方向の一方の端部に配置されている。
【0076】
また、第三連通孔313Bは、第二流入路Ch4を構成する連通孔31Bであり、第四連通孔314Bは、第二流出路Ch5を構成する連通孔31Bである。これら第三連通孔313Bと第四連通孔314Bとは、第二領域Ar2におけるY軸方向の両端部に配置され、且つ、第三連通孔313Bは、第四連通孔314BよりZ軸方向の他方側に配置されている。より具体的には、第三連通孔313Bは、第二領域Ar2におけるY軸方向の他方の端部で且つZ軸方向の他方の端部に配置され、第四連通孔314Bは、第二領域Ar2におけるY軸方向の一方の端部で且つZ軸方向の一方の端部に配置されている。
【0077】
また、第五連通孔315Bは、第一流出路Ch3を構成する連通孔31Bであり、第三領域Ar3のZ軸方向の他方の端部におけるY軸方向の中央に配置されている。
【0078】
以上の第一連通孔311B~第五連通孔315Bは、それぞれ円形の貫通孔であり、第一連通孔311Bと第五連通孔315Bとのそれぞれは、第一プレート3Aの第一連通孔311A及び第五連通孔315Aと同じ第一内径d1を有し、第二連通孔312B~第四連通孔314Bは、第一プレート3Aの第二連通孔312A~第四連通孔314Aと同じ第二内径d2を有する。
【0079】
また、第二プレート3Bは、第一面S3の第一領域Ar1に、第一プレート3Aの第一面S1の第一領域Ar1における凹部331A(即ち、第一プレート3Aの第二面S2の第一領域Ar1における凸部321A)の数と対応する数の凸部321B(32B)を有すると共に、第一プレート3Aの第一面S1の第一領域Ar1における凸部321A(即ち、第一プレート3Aの第二面S2の第一領域Ar1における凹部331A)の数と対応する数の凹部331Bを有する。ここで、第二プレート3Bは、上述のように金属プレート(薄板)がプレス成形されることによって形成されている。このため、第一面S3の第一領域Ar1における凸部321Bの裏面(第二面S4の対応する部位)には、凹部331Bが形成され、第一面S3の第一領域Ar1における凹部331Bの裏面(第二面S4の対応する部位)には、凸部321Bが形成されている(
図7及び
図8参照)。
【0080】
これら凸部321Bと凹部331Bとは、Z軸方向に間隔をあけて交互に配置されている。具体的に、第二プレート3Bにおいて、第一面S3の第一領域Ar1では、Y軸方向の中央部においてZ軸方向の他方側に向けて凹部331Bと凸部321Bと凹部331Bとが順に配置され、第二面S4の第一領域Ar1では、Y軸方向の中央部においてZ軸方向の他方側に向けて凸部321Bと凹部331Bと凸部321Bとが順に配置されている。また、第二プレート3Bにおいて、第一面S3の第一領域Ar1の凸部321Bは、第一プレート3Aの第一面S1の第一領域Ar1の対応する凹部331AとX軸方向から見て重なる位置に配置され、第一面S3の第一領域Ar1の凹部331Bは、第一プレート3Aの第一面S1の第一領域Ar1の対応する凸部321AとX軸方向から見て重なる位置に配置されている。
【0081】
これら凸部321B及び凹部331Bのそれぞれは、Y軸方向に延びている。本実施形態の凸部321B及び凹部331Bのそれぞれは、第一プレート3Aの第一領域Ar1の凸部321A及び凹部331Aと同様に、ガスケット配置部30Gに囲まれた領域におけるY軸方向の一方の端から他方の端まで延びている。
【0082】
また、プレート群2(即ち、第一プレート3Aと第二プレート3Bとがガスケット4を介して交互に重ねられた状態)では、第二プレート3Bの第一面S3の各凸部321Bは、その頂部(突出方向の先端)を、第一プレート3Aの第二面S2の対応する凸部321Aの頂部とY軸方向の全域においてそれぞれ当接させ、第二プレート3Bの第二面S4の各凸部321Bは、その頂部を、第一プレート3Aの第一面S1の対応する凸部321Aの頂部とY軸方向の全域においてそれぞれ当接させている(
図13及び
図14参照)。
【0083】
また、第二プレート3Bは、第一面S3の第二領域Ar2に、複数の凸部322B(32B)と、複数の凹部332B(33B)と、を有している。これら複数の凸部322Bと複数の凹部332Bとは、第一面S3の第二領域Ar2においてZ軸方向に交互に並んでいる。本実施形態の第一面S3の第二領域Ar2では、第一プレート3Aの第一面S1の凸部322A及び凹部332Aの屈曲方向とは逆方向に屈曲したV字状の凸部322Bと凹部332BとがZ軸方向に交互に形成された(
図7参照)、いわゆるヘリンボーン状に配置されている。
【0084】
また、第二プレート3Bは、上述のように金属プレート(薄板)がプレス成形されることによって形成されている。このため、第一面S3の第二領域Ar2における凸部322Bの裏面(第二面S4の対応する部位)には、凹部332Bが形成され、第一面S3の第二領域Ar2における凹部332Bの裏面(第二面S2の対応する部位)には、凸部322Bが形成されている。即ち、本実施形態の第二面S4の第二領域Ar2における凸部322Bと凹部332Bとは、第一面S3と同様に、いわゆるヘリンボーン状に配置されている(
図8参照)。
【0085】
これら第二プレート3Bの第一面S3の各凸部322Bは、第一プレート3Aの第二面S2において対応する凸部322Aとそれぞれ交差衝合(X軸方向から見て一部が交差した状態で当接)している。また、第二プレート3Bの第二面S4の各凸部322Bは、第一プレート3Aの第一面S1において対応する凸部322Aとそれぞれ交差衝合している。これにより、第一プレート3Aと第二プレート3Bとの間、即ち、プレート間を混合対象物A、Bや温度調整用の流動物F等が流れることで該混合対象物A、B等の流れに乱流等が十分に生じ、これにより、混合対象物A、B等の混合効率や熱交換効率が向上する。
【0086】
また、第二プレート3Bは、第一面S3の第三領域Ar3に、少なくとも一つの凸部323B(32B)と、少なくとも一つの凹部333B(33B)と、少なくとも一つの混合用貫通孔353B(35B)と、を有する。本実施形態の第二プレート3Bは、第一面S3の第三領域Ar3に、一つの凸部323Bと、一つの凹部333Bと、五つの混合用貫通孔353Bと、を有する。本実施形態の第二プレート3Bの第三領域Ar3では、第一面S3の凸部323Bは、X軸方向から見て第一プレート3Aの第二面S2の対応する凸部323Aと重なる位置で且つ互いの頂部を当接させるように配置され、第二面S4の凸部323B(第一面S3の凹部333B)は、X軸方向から見て第一プレート3Aの第一面S1の凸部323Aと重なる位置で且つ互いの頂部を当接させるように配置されている(
図13及び
図17参照)。
【0087】
続いて、プレート群2を構成する複数のガスケット4について、
図3、
図4、及び
図9~
図12を参照しつつ具体的に説明する。
【0088】
複数のガスケット4のそれぞれは、上述のように、プレート間に挟み込まれることで該プレート間に所定の流路空間(本実施形態の例では、第一流路R1~第四流路R4:
図4参照)を形成する。詳しくは、複数のガスケット4のそれぞれは、プレート間において、混合対象物A、Bが流通する流路空間及び温度調整用の流動物Fが流通する流路空間の少なくとも一方の流路空間を形成(画定)する。これら複数のガスケット4は、複数種のガスケットを含み、本形態の複数のガスケット4は、二種のガスケット4(第一ガスケット4A、第二ガスケット4B)を含む。本実施形態の各ガスケット4A、4BにおけるX軸方向から見た輪郭形状は、同じである。これら複数種のガスケット4A、4Bのそれぞれは、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)やエチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)等の合成ゴム、フッ素樹脂等のシール部材である。
【0089】
第一ガスケット4Aと第二ガスケット4Bとは、プレート群2においてX軸方向に交互に位置するように各プレート間に配置されている。
【0090】
詳しくは、第一ガスケット4Aは、第一プレート3Aの第一面S1と第二プレート3Bの第二面S4との間に挟み込まれている。これにより、第一ガスケット4Aは、第一プレート3Aの第一面S1と第二プレート3Bの第二面S4との間に第一流路R1(
図10において符号R1で示すスモークを付した範囲を参照)を形成する。
【0091】
具体的に、第一ガスケット4Aは、第一プレート3Aの第一面S1に配置された状態において(
図10参照)、混合対象物A、Bが流通する領域(第一流路R1)の周囲を囲む第一流路形成部41Aと、所定の連通孔31A(第二連通孔312A~第四連通孔314A)の周囲を囲む複数の第一封止部42Aと、を有する。また、第一ガスケット4Aは、第一流路形成部41Aと各第一封止部42Aとを接続する複数の接続部43Aも有する。
【0092】
第一流路形成部41Aは、X軸方向から見て、第一プレート3Aの第一面S1における第一連通孔311Aと第五連通孔315Aとを囲む部位である。より具体的に、第一流路形成部41Aは、X軸方向から見て、第一プレート3Aの第一面S1における、第一連通孔311Aと、第一領域Ar1における凸部321A、凹部331A、及び混合用貫通孔351Aのそれぞれと、第三領域Ar3における凸部323A、凹部333A、及び混合用貫通孔353Aのそれぞれと、第五連通孔315Aと、を含む領域を囲むと共に、第二プレート3Bの第二面S4における、第一連通孔311Bと、第一領域Ar1における凸部321B及び凹部331Bのそれぞれと、第三領域Ar3における凸部323B、凹部333B、及び混合用貫通孔353Bのそれぞれと、第五連通孔315Bと、を含む領域を囲む。これにより、第一流路形成部41Aは、混合対象物A、Bが第一連通孔311A、311Bから第五連通孔315A、315Bまで流れる第一流路R1を第一プレート3Aの第一面S1と第二プレート3Bの第二面S4との間に形成する。
【0093】
本実施形態の第一流路形成部41Aは、Z軸方向に延び且つ該Z軸方向(混合対象物A、Bの流れ方向:
図10の矢印α1参照)の各位置における幅が略一定の環状であり、該第一流路形成部41Aに囲まれた領域(第一流路R1)の流れ方向α1の両端部に第一連通孔311A、311Bと第五連通孔315A、315Bとが配置されている。
【0094】
複数の第一封止部42Aは、X軸方向から見て、第一プレート3Aの第一面S1における第二連通孔312A~第四連通孔314Aのそれぞれを囲むと共に、第二プレート3Bの第二面S4における第二連通孔312B~第四連通孔314Bのそれぞれを囲む部位である。
【0095】
複数の接続部43Aのそれぞれは、X軸方向から見たときに第二ガスケット4Bの対応する部位と重なる位置において、第一流路形成部41Aと各第一封止部42Aとを接続する。これにより、各プレート3間にガスケット4A、4Bが挟み込まれた状態で複数のプレート3A、3B(プレート群2)にX軸方向の外側から挟み込む方向に力が加わったときの各プレート3A、3Bの変形等を防ぐ又は抑えることができる。
【0096】
また、第二ガスケット4Bは、第一プレート3Aの第二面S2と第二プレート3Bの第一面S3との間に挟み込まれている。これにより、第二ガスケット4Bは、第一プレート3Aの第二面S2と第二プレート3Bの第一面S3との間に第二流路R2~第四流路R4(
図12において符号R2、R3、R4で示すスモークを付した範囲を参照)を形成する。
【0097】
具体的に、第二ガスケット4Bは、第二プレート3Bの第一面S3に配置された状態において(
図12参照)、混合対象物A、Bが流通する領域(第二流路R2)の周囲を囲む第二流路形成部41Bと、温度調整用の流動物Fが流通する領域(第三流路R3)の周囲を囲む第三流路形成部42Bと、混合対象物A、Bが流れる領域(第四流路R4)の周囲を囲む第四流路形成部43Bと、第一連通孔311Bの周囲を囲む第二封止部44Bと、を有する。また、第二ガスケット4Bは、流路形成部41B、42B、43B同士、又は第二流路形成部41Bと第二封止部44Bとを接続する複数の接続部45Bも有する。
【0098】
第二流路形成部41Bは、X軸方向から見て、第二プレート3Bの第一面S3における第二連通孔312Bを囲む部位である。より具体的に、第二流路形成部41Bは、X軸方向から見て、第二プレート3Bの第一面S3における、第二連通孔312Bと、第一領域Ar1における凸部321B及び凹部331Bのそれぞれと、を含む領域を囲むと共に、第一プレート3Aの第二面S2における、第二連通孔312Aと、第一領域Ar1における凸部321A、凹部331A、及び混合用貫通孔351Aのそれぞれと、を含む領域を囲む。これにより、第二流路形成部41Bは、混合対象物A、Bが第二連通孔312A、312Bから第一プレート3Aにおける最も下流側(
図10における最も下方側)の混合用貫通孔351Aまで流れることができる第二流路R2を第一プレート3Aの第二面S2と第二プレート3Bの第一面S3との間に形成する。この第二流路R2では、混合対象物A、Bは、
図12の矢印α2で示す方向に流れる。
【0099】
本実施形態の第二流路形成部41Bは、混合対象物A、Bの流れ方向α2における各位置の幅が略一定の環状であり、該第二流路形成部41Bに囲まれた領域(第二流路R2)の流れ方向α2の両端部に第二連通孔312A、312Bと第一プレート3Aの第一領域Ar1における最も下方側の混合用貫通孔351Aとが配置されている。
【0100】
第三流路形成部42Bは、X軸方向から見て、第二プレート3Bの第一面S3における第三連通孔313Bと第四連通孔314Bとを囲む部位である。より具体的に、第三流路形成部42Bは、X軸方向から見て、第二プレート3Bの第一面S3における、第三連通孔313Bと、第二領域Ar2における凸部322B及び凹部332Bのそれぞれと、第四連通孔314Bと、を含む領域を囲むと共に、第一プレート3Aの第二面S2における、第三連通孔313Aと、第二領域Ar2における凸部322A及び凹部332Aのそれぞれと、第四連通孔314Aと、を含む領域を囲む。これにより、第三流路形成部42Bは、流動物Fが第三連通孔313A、313Bから第四連通孔314A、314Bまで流れる第三流路R3を第一プレート3Aの第二面S2と第二プレート3Bの第一面S3との間に形成する。この第三流路R3では、流動物Fは、
図12の矢印α3で示す方向に流れる。
【0101】
本実施形態の第三流路形成部42Bでは、該第三流路形成部42Bに囲まれた領域(第三流路R3)の流れ方向α3の両端部に第三連通孔313A、313Bと第四連通孔314A、314Bとが配置されている。
【0102】
第四流路形成部43Bは、X軸方向から見て、第二プレート3Bの第一面S3の第三領域Ar3における、凸部323B、凹部333B、及び混合用貫通孔353Bのそれぞれと、第五連通孔315Bと、を囲むと共に、第一プレート3Aの第二面S2の第三領域における、凸部323A、凹部333A、及び混合用貫通孔353Aと、第五連通孔315Aと、を囲む部位である。この第四流路形成部43Bは、混合対象物A、Bが最も上方側の混合用貫通孔353A、353Bから第五連通孔315A、315Bまで流通可能な流路(第四流路R4)を第一プレート3Aの第二面S2と第二プレート3Bの第一面S3との間に形成する。この第四流路R4では、混合対象物A、Bは、
図12の矢印α4で示す方向に流れる。
【0103】
第二封止部44Bは、X軸方向から見て、第二プレート3Bの第一面S3における第一連通孔311Bを囲むと共に、第一プレート3Aの第二面S2における第一連通孔311Aを囲む部位である。
【0104】
複数の接続部45Bのそれぞれは、X軸方向から見て第一ガスケット4Aの対応する部位と重なる位置において、流路形成部41B、42B、43B同士、又は第二流路形成部41Bと第二封止部44Bとを接続する。これにより、各プレート3間にガスケット4A、4Bが挟み込まれた状態で複数のプレート3A、3B(プレート群2)にX軸方向の外側から挟み込む方向に力が加わったときの各プレート3A、3Bの変形等を防ぐ又は抑えることができる。
【0105】
以上のように構成されるプレート3及びガスケット4において、第一プレート3Aと第二プレート3BとがX軸方向において交互に配置されると共に、第一プレート3Aの第一面S1と第二プレート3Bの第二面S4との間に第一ガスケット4Aがそれぞれ挟み込まれ且つ第一プレート3Aの第二面S2と第二プレート3Bの第一面S3との間に第二ガスケット4Bがそれぞれ挟み込まれることによって、プレート群2が構成される(
図3、
図13参照)。尚、
図13においては、構成を理解しやすくするために、各プレート3A、3Bの第二領域Ar2の形状を簡素化して示している。
【0106】
このとき、プレート群2において、第一プレート3Aの第一面S1と第二プレート3Bの第二面S4との間のそれぞれにおいて、X軸方向から見て第一ガスケット4Aの第一流路形成部41Aの内側(第一流路形成部41Aに囲まれた範囲)に第一流路R1が形成されている(
図10及び
図13参照)。
【0107】
この第一流路R1の第一領域Ar1に対応する部位では、
図13及び
図14にも示すように、第一プレート3Aの第一面S1の凸部321Aと、該凸部321Aと対応する第二プレート3Bの第二面S4の凸部321Bとが、第一流路R1におけるY軸方向の全域において互いの頂部を当接させることで、該第一流路R1においてZ軸方向における混合対象物A、Bの通過を阻止する(即ち、第一流路R1を閉塞する)第一閉塞壁部W1を構成している。
【0108】
また、プレート群2において、第一プレート3Aの第二面S2と第二プレート3Bの第一面S3との間のそれぞれにおいて、X軸方向から見て第二ガスケット4Bの第二流路形成部41Bの内側(第二流路形成部41Bに囲まれた範囲)に第二流路R2が形成され、第三流路形成部42Bの内側(第三流路形成部42Bに囲まれた範囲)に第三流路R3が形成され、第四流路形成部43Bの内側(第四流路形成部43Bに囲まれた範囲)に第四流路R4が形成されている(
図12及び
図13参照)。
【0109】
この第二流路R2では、第一プレート3Aの第二面S2の凸部321Aと、該凸部321Aと対応する第二プレート3Bの第一面S3の凸部321Bとが、第二流路R2におけるY軸方向の全域において互いの頂部を当接させることで、該第二流路R2においてZ軸方向における混合対象物A、Bの通過を阻止する(即ち、第二流路R2を閉塞する)第二閉塞壁部W2を構成している。
【0110】
また、プレート群2において、
図2及び
図4に示すように、各プレート3A、3Bの第一連通孔311A、311BがX軸方向に連なることで第一流入路Ch1が形成され、各プレート3A、3Bの第二連通孔312A、312BがX軸方向に連なることで第一流入路Ch2が形成され、各プレート3A、3Bの第三連通孔313A、313BがX軸方向に連なることで第二流入路Ch4が形成され、各プレート3A、3Bの第四連通孔314A、314BがX軸方向に連なることで第二流出路Ch5が形成され、各プレート3A、3Bの第五連通孔315A、315BがX軸方向に連なることで第一流出路Ch3が形成されている。
【0111】
この第一流入路Ch1は、X軸方向に延びると共に各第一流路R1にのみ連通し、外部から供給される混合対象物Aを各第一流路R1に流入させる(供給する)。また、第一流入路Ch2は、X軸方向に延びると共に各第二流路R2にのみ連通し、外部から供給される混合対象物Bを各第二流路R2に流入させる(供給する)。また、第二流入路Ch4は、X軸方向に延びると共に各第三流路R3にのみ連通し、外部から供給される温度調整用の流動物Fを各第三流路R3に流入させる(供給する)。また、第二流出路Ch5は、X軸方向に延びると共に各第三流路R3にのみ連通し、各第三流路R3を流れた温度調整用の流動物Fを外部に流出させる。また、第一流出路Ch3は、X軸方向に延びると共に各第一流路R1と各第四流路R4とにのみ連通し、各第一流路R1と各第四流路R4とを流れた混合対象物A、B(混合物C)を外部に流出させる。
【0112】
図1及び
図2に戻り、保持部5は、X軸方向においてプレート群2の両側に配置される一対の挟持部51、52と、一対の挟持部51、52のX軸方向の間隔を変更可能に該一対の挟持部51、52を支持する支持部53と、一対の挟持部51、52のX軸方向の間隔を変更する間隔調整部58と、を備える。
【0113】
一対の挟持部51、52のそれぞれは、X軸方向と直交する方向に広がる厚板状の部材である。本実施形態の各挟持部51、52は、X軸方向から見てプレート3と対応した大きさの矩形状である。
【0114】
具体的に、一対の挟持部51、52のうちの一方の挟持部51は、Z軸方向に長尺な矩形の厚板状であり、プレート群2の各プレート3A、3Bの所定の連通孔31A、31Bと対応する位置(本実施形態の例では、第一連通孔311A、311B~第五連通孔315A、315Bのそれぞれと対応する位置、換言すると、第一流入路Ch1、Ch2、第一流出路Ch3、第二流入路Ch4、第二流出路Ch5と対応する位置)に、X軸方向に貫通する複数(本実施形態の例では、五つ)の貫通孔511を有する。
【0115】
また、一方の挟持部51は、Y軸方向の両端に、Z軸方向に間隔をあけて並ぶ複数の係合部519を有する。これら複数の係合部519のそれぞれは、間隔調整部58と係合する。本実施形態の各係合部519は、一方の挟持部51のY軸方向の端縁においてY軸方向の内側に凹む切欠きである。
【0116】
また、一対の挟持部51、52のうちの他方の挟持部52は、一方の挟持部51と同様に、Z軸方向に長尺な矩形の厚板状である。この他方の挟持部52は、一方の挟持部52に対してX軸方向に相対移動可能に支持部53と係合する被ガイド部521を有する。また、他方の挟持部52は、Y軸方向の両端に、Z軸方向に間隔をあけて並ぶ複数の係合部529を有する。
【0117】
被ガイド部521は、他方の挟持部52のZ軸方向の両端に配置されている。即ち、他方の挟持部52は、二つの被ガイド部521を有する。本実施形態の被ガイド部521は、Z軸方向の端縁においてZ軸方向の内側に凹む切欠きであり、この切欠き内に支持部53の一部が嵌まり込むことによって該支持部53と係合する。
【0118】
複数の係合部529のそれぞれは、間隔調整部58と係合する。本実施形態の各係合部529は、他方の挟持部52のY軸方向の端縁においてY軸方向の内側に凹む切欠きである。これら複数の係合部529のそれぞれは、一方の挟持部51の各係合部519とX軸方向から見て重なる位置に配置されている。
【0119】
支持部53は、それぞれがX軸方向に延びる一対のガイドバー531を有する。また、支持部53は、一対のガイドバー531の間隔を維持するサポート部材532も有する。
【0120】
一対のガイドバー531は、一方の挟持部51のZ軸方向の両端部から互いに平行に延びている。これら一対のガイドバー531は、他方の挟持部52の被ガイド部(切欠き)521に嵌まり込むことで該他方の挟持部52を一方の挟持部51に対して平行な状態(姿勢)でX軸方向に接離可能(相対移動)にガイドする。また、一対のガイドバー531のそれぞれは、プレート3A、3BのZ軸方向の両端の係合部30Eとそれぞれ係合することで、各プレート3A、3Bを配置位置にガイドする。
【0121】
サポート部材532は、Z軸方向に延び、一対のガイドバー531の端部(一方の挟持部52に接続されている側と反対側の端部)同士を接続することにより、該端部同士のZ軸方向の間隔を維持する。
【0122】
間隔調整部58は、一対の挟持部51、52の間隔が小さくなる方向に一方の挟持部51と他方の挟持部52とに対して力を加える。本実施形態の間隔調整部58は、複数の締付部材581を有し、各締付部材581は、X軸方向に延びるボルト582と、該ボルト582と螺合するナット583と、を有する。
【0123】
各締付部材581は、一対の挟持部51、52の対応する(X軸方向から見て重なる)係合部519、529に嵌まり込んだ状態でX軸方向の間隔が小さくなる方向に一対の挟持部51、52を締め付ける。この複数の締付部材581による一対の挟持部51、52の締め付けによって、各プレート間に配置されたガスケット4が十分な力で挟み込まれ、これにより、各プレート間に形成された各流路R1~R4が液密な状態となる。また、この締付によって、第一プレート3Aの第一面S1の第一領域Ar1の凸部321Aと、第二プレートの第二面S4の第一領域Ar1の凸部321Bとが、互いの頂部同士を当接させることによって第一閉塞壁部W1を構成すると共に、第一プレート3Aの第二面S2の第一領域Ar1の凸部321Aと、第二プレートの第一面S3の第一領域Ar1の凸部321Bとが、互いの頂部同士を当接させることによって第二閉塞壁部W2を構成する。
【0124】
以上のように構成される混合器1において、混合対象物Aと混合対象物Bとを温度調整しつつ混合する場合、混合対象物Aが第一流入路Ch1からプレート群2内に供給されると共に混合対象物Bが第一流入路Ch2からプレート群2内に供給され、且つ、温度調整用の流動物(所定温度の流動物)Fが第二流入路Ch4からプレート群2内に供給される(
図1、
図2、及び
図4参照)。そして、各混合対象物A、Bがプレート群2内を下方に向けて流れることで混合対象物A、Bが混合される。詳しくは、以下の通りである。
【0125】
先ず、
図2、
図13~
図15に示すように、プレート群2における各プレート3A、3Bの第一領域Ar1に対応する部位(第一部位21:
図2及び
図13参照)において、第一流入路Ch2から各第二流路R2に流入した混合対象物Bが該第二流路R2を流れている状態で、第一流入路Ch1から各第一流路R1に流入した混合対象物Aが、上方の第一閉塞壁部W1によって該第一閉塞壁部W1よりZ軸方向の他方側への通過が阻止されるため、該第一閉塞壁部W1に対してZ軸方向の一方側(上流側)に隣り合う位置に設けられた第一混合用貫通孔351A1を通じて該第一流路R1とX軸方向の他方側に隣り合う第二流路R2に流入し、第二流路R2を流れる混合対象物Bと合流する。このとき、第一混合用貫通孔351A1が第一流路R1におけるY軸方向の一方側に寄った位置に配置されているため、混合対象物Aが第一閉塞壁部W1によって第一混合用貫通孔351A1に向かうことで混合対象物Aの流れに対してY軸方向の一方側への速度成分が付与される。
【0126】
この第一混合用貫通孔351A1を通過した混合対象物Aは、第二流路R2を流れる混合対象物Bと合流してZ軸方向の他方側に向かう。この第二流路R2を流れる混合対象物A、Bは、第二閉塞壁部(第一壁部)W2によって該第二閉塞壁部W2よりZ軸方向の他方側への通過が阻止されるため、該第二閉塞壁部W2に対してZ軸方向の一方側(上流側)に隣り合う位置に設けられた第二混合用貫通孔351A2を通じて該第二流路R2とX軸方向の一方側に隣り合う第一流路R1に流入する。
【0127】
このとき、第二混合用貫通孔(第二貫通孔)351A2は、第一混合用貫通孔(第一貫通孔)351A1に対してZ軸方向の他方側に間隔をあけた位置で、且つ、第一混合用貫通孔(第一貫通孔)351A2に対してY軸方向の他方側にずれた位置に配置されている。これにより、混合対象物A、Bが第二混合用貫通孔(第二貫通孔)351A2に向かうことで混合対象物A、Bの流れに対してY軸方向の他方側への速度成分が付与される。
【0128】
続いて、第二混合用貫通孔351A2を通過した混合対象物A、Bは、第一流路R1をZ軸方向の他方側に向かうが、下方の第一閉塞壁部W1によって該第一閉塞壁部W1よりZ軸方向の他方側への通過が阻止されるため、該第一閉塞壁部W1に対してZ軸方向の一方側(上流側)に隣り合う位置に設けられた第三混合用貫通孔351A3を通じて該第一流路R1とX軸方向の他方側に隣り合う第二流路R2に流入する。
【0129】
このとき、第三混合用貫通孔(第二貫通孔)351A3は、第二混合用貫通孔(第一貫通孔)351A2に対してZ軸方向の他方側に間隔をあけた位置で、且つ、第二混合用貫通孔(第一貫通孔)351A2に対してY軸方向の一方側にずれた位置に配置されている。これにより、混合対象物A、Bが下方の第一閉塞壁部W1によって第三混合用貫通孔351A3に向かうことで混合対象物A、Bの流れに対してY軸方向の一方側への速度成分が付与される。
【0130】
この第三混合用貫通孔351A3を通過した混合対象物A、Bは、第一流路R1をZ軸方向の他方側に向かう。このとき、第二ガスケット4Bの第二流路形成部41Bによって第二流路R2が第四混合用貫通孔351A4のZ軸方向の他方側に隣り合う位置までしか形成されておらず、混合対象物A、Bは、第二流路R2をZ軸方向の他方側に向かうが、第二ガスケット4Bの第二流路形成部41B(第二閉塞壁部W2:
図13及び
図14参照)によって該第二閉塞壁部W2よりZ軸方向の他方側への通過が阻止されるため、該第二閉塞壁部W2に対してZ軸方向の一方側(上流側)に隣り合う位置に設けられた第四混合用貫通孔351A4を通じて該第二流路R2とX軸方向の一方側に隣り合う第一流路R1に流入する。
【0131】
このとき、第四混合用貫通孔(第二貫通孔)351A4は、第三混合用貫通孔(第一貫通孔)351A3に対してZ軸方向の他方側に間隔をあけた位置で、且つ、第三混合用貫通孔(第一貫通孔)351A3に対してY軸方向の他方側にずれた位置に配置されている。これにより、混合対象物A、Bが第二流路形成部41Bの一部によって構成される第二閉塞壁部W2によって第四混合用貫通孔351A4に向かうことで混合対象物A、Bの流れに対してY軸方向の他方側への速度成分が付与される。そして、第四混合用貫通孔351A4に到達した混合対象物A、Bは、第四混合用貫通孔351A4を通じて該第二流路R2とX軸方向の一方側に隣り合う第一流路R1に流入する。
【0132】
このように、プレート群2の第一部位21では、混合対象物A、Bに対して第一閉塞壁部W1及び第二閉塞壁部W2によってY軸方向の一方側への速度成分と他方側への速度成分とが交互に付与されつつ、該混合対象物A、Bが第一流路R1と該第一流路R1に対してX軸方向の一方側に隣り合う第二流路R2との間を、混合用貫通孔351A1~351A4を通じて行き来する。このように、Y軸方向の一方側の速度成分と他方側の速度成分とが交互に付与されることで、混合対象物A、Bの流れにおいて乱流等が十分に生じると共に、混合用貫通孔351A1~351A4を通過する(即ち、局所的に流路断面積の小さな領域を通過する)ことによって、混合対象物A、Bの流れにおいて剪断力が十分に生じ、これにより、混合対象物A、B同士が効果的に混合される。尚、
図15において示す混合対象物A、B又は混合物Cの矢印は、流れ方向を模式的に示すためのものであり、実際の流れは、多数の乱流や分割、合流等が生じる複雑な流れである。
【0133】
このようにプレート群2の第一部位21において混合された混合対象物A、B(混合物C)は、続いて、
図4、
図13、及び
図16に示すように、プレート群2における各プレート3A、3Bの第二領域Ar2と対応する部位(第二部位22:
図2及び
図13参照)に流入し、この第二部位22において更に混合される。尚、
図16においては、構成を理解し易くするために、各プレート3A、3Bの第二領域Ar2の形状を簡素化して示している。
【0134】
このとき、第二流路R2が第四混合用貫通孔351A4の下方位置において閉じているため(
図14における符号W2参照)、混合対象物A、Bは、第一部位21から第二部位22に流入する際には、第一流路R1のみ(第一流路R1が形成されているプレート3間のみ)を流れており、第二流路R2が形成されているプレート3間においては流れていない。この第二部位22において、混合対象物A、B(混合物C)は、各第一流路R1内においてそれぞれ混合される。
【0135】
詳しくは、第一流路R1を規定する第一プレート3Aの第一面S1と第二プレート3Bの第二面S4とには、それぞれ複数の凸部322A、322Bと複数の凹部332A、332Bとが形成されているため、各第一流路R1を混合対象物A、B(混合物C)が流れる際に混合対象物A、Bの流れに乱れ(乱流、多数の流れの分割及び合流等)がそれぞれ生じ、これにより、各第一流路R1内において混合対象物A、B同士が混合される。
【0136】
このとき、第二流入路Ch4から供給された温度調整用の流動物(所定温度の流動物)Fが第三流路R3(第一部位21において第二流路R2が形成されているプレート3間)内を流れ、第一流路R1と第三流路R3とを仕切っている各プレート3A、3Bが伝熱性を有しているため、第二部位22において、第一流路R1を流れる混合対象物A、Bは、第三流路R3を流れる流動物Fと熱交換しつつ(即ち、流動物Fによって加熱又は冷却されつつ)混合される。このため、混合器1において第二流入路Ch4に供給する流動物Fの温度を調整することによって、混合対象物A、Bを所定の温度に保ちつつ混合できる。即ち、混合器1は、第二部位22において、混合対象物A、Bを温度調整しつつ混合できる。また、温度調整用の流動物Fの温度、流量を調整(制御)することで、第二部位22において混合される混合対象物A、Bの温度や粘度を変更できる。
【0137】
このようにプレート群2の第二部位22において混合された混合対象物A、B(混合物C)は、続いて、
図4、
図13、及び
図17に示すように、プレート群2における各プレート3A、3Bの第三領域Ar3と対応する部位(第三部位23:
図2及び
図13参照)に流入し、この第三部位23において各混合用貫通孔353A、353Bを通じて隣り合う流路R1、R4間を移動すること等によって混合される。
【0138】
詳しくは、第三部位23の各第一流路R1において最も上方の混合用貫通孔353A、353Bの位置まで流れた混合対象物A、Bの一部が該混合用貫通孔353A、353Bを通じて該第一流路R1と隣り合う第四流路R4に移動する(流入する)。
【0139】
そして、第一プレート3Aの第一面S1の凸部323Aと第二プレート3Bの第二面S4の凸部323Bとが互いの頂部同士を当接させることによって構成されている壁部W3に、第三部位23の各第一流路R1を流れる混合対象物A、Bが衝突し、該壁部W3の直上流に配置される(即ち、壁部W3に対してZ軸方向の一方側に隣り合う位置に配置された)混合用貫通孔353A、353Bを通じて該第一流路R1と隣り合う各第四流路R4にそれぞれ流入する。
【0140】
また、第一プレート3Aの第二面S2の凸部323Aと第二プレート3Bの第一面S3の凸部323Bとが互いの頂部同士を当接させることによって構成されている壁部W4に、第三部位23の各第四流路R4を流れる混合対象物A、Bが衝突し、該壁部W4の直上流に配置される(即ち、壁部W4に対してZ軸方向の一方側に隣り合う位置に配置された)混合用貫通孔353A、353Bを通じて該第四流路R4と隣り合う各第一流路R1にそれぞれ流入する。
【0141】
このようにして、プレート群2における第三部位23では、各第一流路R1の混合対象物A、Bの少なくとも一部が該第一流路R1と隣り合う各第四流路R4にそれぞれ流入し、各第四流路R4の混合対象物A、Bの少なくとも一部が該第四流路R4と隣り合う各第一流路R1に流入することが少なくとも一回ずつ行われることで、第一流路R1を流れる混合対象物A、Bと第四流路R4を流れる混合対象物A、Bとが混合される。
【0142】
このとき、第二部位22の第一流路R1を流れる混合対象物A、B毎に温度、混合度の差(バラつき)が生じていた場合には、第三部位23での混合によって各流路R1、R4を流れる混合対象物A、B間の温度、混合度の差(バラつき)が抑えられる。
【0143】
以上のようにしてプレート群2内で混合された混合対象物A、B(混合物C)は、
図4、
図13、及び
図18に示すように、各第一流路R1及び各第四流路R4から第一流出路Ch3に流入し、該第一流出路Ch3を通じて外部に流出する。
【0144】
以上の混合器1は、それぞれがX軸方向と直交する方向に広がり且つ該X軸方向に重ねられる複数のプレート3A、3Bであって、混合対象物A、Bが流通可能で且つZ軸向に延びる流路R1、R2をX軸方向に隣り合う二つのプレート3A、3Bのプレート間に形成している複数のプレート3A、3Bを備える。そして、二つのプレート3A、3Bのうちの一方のプレート3Aは、X軸方向に貫通する混合用貫通孔351A(例えば、第一混合用貫通孔351A1)を有すると共に、該二つのプレート3A、3Bのうちの一方のプレート3Aは、X軸方向に貫通する他の混合用貫通孔351A(例えば、第二混合用貫通孔351A2)を有する。また、他の混合用貫通孔351A(例えば、第二混合用貫通孔351A2)は、前記混合用貫通孔351A(例えば、第一混合用貫通孔351A1)に対してZ軸方向の他方側(下流側)に間隔をあけた位置で且つ前記混合用貫通孔351A(例えば、第一混合用貫通孔351A1)に対してY軸方向(第三方向)の一方側(又は他方側)にずれた位置に配置されている。また、流路R1、R2(例えば、第二流路R2)には、Z軸方向における前記他の混合用貫通孔351A(例えば、第二混合用貫通孔351A2)の他方側に配置され且つZ軸方向から見て少なくとも前記混合用貫通孔351A(例えば、第一混合用貫通孔351A1)から前記他の混合用貫通孔351A(例えば、第二混合用貫通孔351A2)まで延びる閉塞壁部(例えば、第二閉塞壁部W2)であって、Z軸方向における混合対象物A、Bの通過を阻止する閉塞壁部が配置されている。
【0145】
かかる構成によれば、プレート群2の第一部位21では、混合対象物A、Bが前記混合用貫通孔351A(例えば、第一混合用貫通孔351A1)を通じて流路R1、R2(例えば、第二流路R2)に流入すると共に前記混合用貫通孔351A(例えば、第一混合用貫通孔351A1)に対して下流側に隣り合う位置に配置される前記他の混合用貫通孔351A(例えば、第二混合用貫通孔351A2)を通じて該流路R1、R2(例えば、第二流路R2)から流出するように流れたときに、混合対象物A、Bの各混合用貫通孔351A(例えば、第一混合用貫通孔351A1と第二混合用貫通孔351A2)の通過、及び流路R1、R2(例えば、第二流路R2)において前記混合用貫通孔351A(例えば、第一混合用貫通孔351A1)から前記他の混合用貫通孔351A(例えば、第二混合用貫通孔351A2)に向かう際に混合対象物A、BのZ軸方向の他方側への流れが閉塞壁部W1、W2(例えば、第二閉塞壁部W2)によって通過を阻止されることで前記他の混合用貫通孔351A(例えば、第二混合用貫通孔351A2)側に向かう(即ち、混合対象物A、Bの流れに対してY軸方向の一方側又は他方側への速度成分が十分に付与される)。これにより、混合対象物A、Bの流れにおいて十分な乱流の発生に加え十分な剪断力が得られ、その結果、混合対象物A、Bが十分に混合される(
図15参照)。
【0146】
また、本実施形態の混合器1では、第一閉塞壁部W1及び第二閉塞壁部W2は、該第一閉塞壁部W1又は第二閉塞壁部W2の配置される流路空間(第一流路R1又は第二流路R2)を形成している二つのプレート3A、3Bのうちの少なくとも一方のプレート3A、3Bの流路空間(第一流路R1又は第二流路R2)側に突出する凸部321A、321Bによって形成されている。このように、流路空間(第一流路R1又は第二流路R2)を形成するプレート3A、3Bの一部(凸部)321A、321Bを利用して第一閉塞壁部W1又は第二閉塞壁部W2を形成することで、別部材をプレート間に挟み込んで該別部材を第一閉塞壁部W1又は第二閉塞壁部W2とする構成に比べ、部品点数の削減や組立て性の向上を図ることができる。
【0147】
また、本実施形態の混合器1では、プレート群2の第一部位21(Z軸方向の所定領域)において、Z軸方向に隣り合う二つの流路空間(第一流路R1、第二流路R2)を仕切るプレート3である第一プレート3Aは、Y軸方向の位置が異なる混合用貫通孔(第一及び第三混合用貫通孔351A1、351A3と第二及び第四混合用貫通孔351A2、351A4と)をそれぞれ複数有すると共に、該第一プレート3Aとの間に流路空間(第一流路R1、第二流路R2)を形成するプレート3である第二プレート3Bのそれぞれは、貫通孔を有さない。そして、二つの流路空間(第一流路R1、第二流路R2)のうちの一方の流路空間(例えば、第一流路R1)では、Z軸方向における第一混合用貫通孔351A1、第三混合用貫通孔351A3の他方側に第一閉塞壁部W1がそれぞれ配置され、二つの流路空間(第一流路R1、第二流路R2)のうちの他方の流路空間(例えば、第二流路R2)では、Z軸方向における第二混合用貫通孔351A2の他方側に配置され且つZ軸方向から見て少なくとも第二混合用貫通孔351A2から第一混合用貫通孔351A1まで延びる第二閉塞壁部W2であって、Z軸方向における混合対象物A、Bの通過を阻止する第二閉塞壁部W2が配置されている。
【0148】
このように、混合対象物A、Bの流れにおいて少なくとも一部が一方の流路空間(例えば、第一流路R1)と他方の流路空間(例えば、第二流路R2)とを行き来しつつ第一、第三混合用貫通孔351A1、351A3から第二、第四混合用貫通孔351A2、351A4、第二、第四混合用貫通孔351A2、351A4から第一、第三混合用貫通孔351A1、351A3へ向けて流れることで、この混合対象物A、Bの流れにおいてより複雑な乱流が発生すると共に種々の方向の剪断力が得られるため、混合対象物A、Bが効果的に混合される。
【0149】
また、本実施形態の混合器1では、第一、第三混合用貫通孔351A1、351A3は、第一プレート3Aにおける二つの流路R1、R2を仕切る部位のY軸方向の他方側の端部に配置されると共に、第二、第四混合用貫通孔351A2、351A4は、第一プレート3Aにおける二つの流路R1、R2を仕切る部位のY軸方向の一方側の端部に配置されている。そして、第一閉塞壁部W1は、第一流路R1においてY軸方向の一端から他端まで延び、第二閉塞壁部W2は、第二流路R2においてY軸方向の一端から他端まで延びている。この構成によれば、二つの流路R1、R2を流れる混合対象物A、Bの全てが第一流路R1と第二流路R2とを行き来しつつ第一、第三混合用貫通孔351A1、351A3から第二、第四混合用貫通孔351A2、351A4、第二、第四混合用貫通孔351A2、351A4から第一、第三混合用貫通孔351A1、351A3へ向けて流れることで、混合対象物A、Bの流れにおいてより十分な乱流が発生すると共に種々の方向の剪断力が十分に得られ、これにより、混合対象物A、Bがより効果的に混合される。
【0150】
尚、本発明のプレート式混合器は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0151】
上記実施形態の混合器1が備えるプレート群2では、第二プレート3Bは、第一領域Ar1に混合用貫通孔を有していないが、この構成に限定されない。例えば、
図19A~
図20に示すように、第一プレート3Aと第二プレート3Bとのそれぞれが、混合用貫通孔351A、351Bを有していてもよい。この
図19A~
図20に示す例では、第二プレート3Bは、第一領域Ar1における第一プレート3Aの第一混合用貫通孔351A1~第四混合用貫通孔351A4とそれぞれ対向する位置に第一混合用貫通孔351B1~第四混合用貫通孔351B4を有している。
【0152】
かかる構成によれば、流路(例えば、第二流路R2)を形成する二つのプレート3A、3Bの対向する混合用貫通孔351A、351B(例えば、第一混合用貫通孔351A1、351B1)の間において、対向する第一混合用貫通孔351A1、351B1を通じて混合対象物Aが第二流路R2に流入することで混合対象物Aの流れが互いに衝突すると共に、第二流路R2を流れる混合対象物Bの流れとも衝突する。また、対向する混合用貫通孔351A、351B(例えば、第二混合用貫通孔351A2、351B2)を通じて混合対象物A、Bが流路(例えば、第二流路R2)から流出することで混合対象物A、Bの流れが分割される。このように、混合対象物A、Bの流れの衝突や分岐がより多くなることで、混合対象物A、Bが更に混合される。
【0153】
尚、第二プレート3Bの混合用貫通孔351Bは、第一プレート3Aの複数の混合用貫通孔351Aのそれぞれと対向する位置に配置されていなくてもよい。即ち、第二プレート3Bの混合用貫通孔351Bは、第一プレート3Aの複数の混合用貫通孔351Aのうちの少なくとも一つの混合用貫通孔351Aと対向する位置に配置されていればよい。即ち、
図20に示すような隣り合う第一プレート3A及び第二プレート3Bの対向する混合用貫通孔351A、351Bの各配置位置において、混合用貫通孔351Aのみが設けられた位置と、混合用貫通孔351Bのみが設けられた位置と、混合用貫通孔351A、351Bの両方が設けられた位置と、が混在していていもよい。
【0154】
また、上記実施形態の混合器1では、Z軸方向に隣り合う混合用貫通孔351Aは、Z軸方向から見て、上流側の混合用貫通孔351AのY軸方向の一方の端と、下流側の混合用貫通孔351AのY軸方向の他方の端とが一致するように配置されているが、この構成に限定されない。
【0155】
Z軸方向において隣り合う混合用貫通孔351Aは、Z軸方向から見てY軸方向に間隔をあけて配置されていてもよい。この構成によれば、流路R1、R2において、一方(上流側)の混合用貫通孔351Aから他方(下流側)の混合用貫通孔351Aに向かう混合対象物A、Bの流れのY軸方向への移動量が大きくなることで、該混合対象物A、Bの流れに対してY軸方向の一方側への速度成分がより十分に付与され、これにより、混合対象物A、Bがより十分に混合される。
【0156】
また、Z軸方向において隣り合う混合用貫通孔351Aは、Z軸方向から見て一部が重なるように配置されていてもよい。
【0157】
また、上記実施形態の混合器1では、第一閉塞壁部W1(即ち、第一プレート3Aの第一面S1の凸部321A及び該凸部321Aと当接する第二プレート3Bの第二面S4の凸部321B(第一面S3の凹部331B))と、第二閉塞壁部W2(即ち、第一プレート3Aの第二面S2の凸部321A(第一面S1の凹部331A)及び該凸部321Aと当接する第二プレート3Bの第一面S3の凸部321B)とは、流路R1、R2のY軸方向における一端から他端までY軸方向に延びているが、この構成に限定されない。
【0158】
例えば、
図21A及び
図21Bに示すように、第一閉塞壁部W1(第一流路R1において互いに当接する凸部321A、321B)と第二閉塞壁部W2(第二流路R2において互いに当接する凸部321A、321B)とは、Y軸方向に対して傾斜する方向に延びていてもよい。この
図21A及び
図21Bに示す例では、第一閉塞壁部W1は、Y軸方向の一方側に進むにつれてZ軸方向の他方側に位置している。即ち、第一プレート3Aの第一面S1の凸部321Aと、該凸部321Aと当接する第二プレート3Bの第二面S4の凸部321B(第一面S3の凹部331B)とは、Y軸方向の一方側に進むにつれてZ軸方向の他方側に位置している。また、第二閉塞壁部W2は、Y軸方向の他方側に進むにつれてZ軸方向の他方側に位置している。また、第二閉塞壁部W2は、Y軸方向の他方側に進むにつれてZ軸方向の他方側に位置している。即ち、第一プレート3Aの第二面S2の凸部321A(第一面S1の凹部331A)と、該凸部321Aと当接する第二プレート3Bの第一面S3の凸部321Bとは、Y軸方向の他方側に進むにつれてZ軸方向の他方側に位置している。また、これらの場合、混合用貫通孔351Aは、閉塞壁部W1、W2に対してZ軸方向の一方側に隣接する位置に配置されている。
【0159】
これらの構成によれば、閉塞壁部W1、W2によって混合対象物A、Bの流れにY軸方向への速度成分を十分に付与して混合効率を向上させつつ、混合対象物A、Bの流れが閉塞壁部W1、W2に衝突して混合用貫通孔351A側に向かうときの流動抵抗を抑えて圧力損失の過剰な増大を抑制できる。
【0160】
また、
図21A及び
図21Bに示す例では、各閉塞壁部W1、W2が、流路R1、R2のY軸方向の一方の端から他方の端まで延びており、閉塞壁部W1、W2の上流側の端部と、流路R1、R2の側壁(ガスケット4における流路R1、R2のY軸方向の端を画定する部位)とのなす角βは、鈍角となっている。これにより、閉塞壁部W1、W2の上流側の端部と流路R1、R2の側壁とによって構成される角部における混合対象物A、Bに含まれる固形分等の滞留を防ぐ又は抑えることができる。これにより、プレート群2におけるホットスポット等の発生を防ぐことができ、混合器1のより安全な運転が可能になる。また、プレート群2の内部に蓄積するコンタミネーションを低減することができ、混合器1の洗浄において効率的な洗浄も可能になる。
【0161】
また、閉塞壁部W1、W2は、流路R1、R2のY軸方向の一方の端との間、及び他方の端との間の少なくとも一方に隙間が形成されていてもよい。即ち、閉塞壁部W1、W2は、Z軸方向から見たときに、少なくとも、Z軸方向において隣り合う混合用貫通孔351Aのうちの上流側の混合用貫通孔(混合対象物A、Bが流入してくる混合用貫通孔)351Aから下流側の混合用貫通孔(混合対象物A、Bが流出する混合用貫通孔)351Aまで延びていればよい。
【0162】
また、混合器1において、混合用貫通孔351A、351Bの具体的な形状や数は限定されない。例えば、
図22A及び
図22Bに示すように、混合用貫通孔351Aは、閉塞壁部W1、W2の延びる方向において閉塞壁部W1、W2と同じ範囲で開口する貫通孔でもよい。また、一つの閉塞壁部W1、W2に対して複数の混合用貫通孔351Aが配置されていてもよい。また、混合用貫通孔351Aは、閉塞壁部W1、W2に沿って延びる長孔に限定されず、円形、三角形等の多角形の孔等であってもよい。また、複数の混合用貫通孔351Aの形状は、全て異なっていてもよく、一部が異なっていてもよい。
【0163】
また、上記実施形態の混合器1では、複数種の混合対象物(上記実施形態の例では、混合対象物Aと混合対象物B)は、プレート群2の第一部位21(上記実施形態の例では、第一流路R1と第二流路R2と)に流入した後に合流するが、この構成に限定されない。混合器1は、複数種の混合対象物A、Bが合流した状態で第一流入路Ch1等を通じてプレート群2に流入する構成であってもよい。即ち、複数種の混合対象物A、Bは、プレート群2に流入する時点で、合流していてもよい。
【0164】
また、上記実施形態の混合器1では、各閉塞壁部W1、W2は、該閉塞壁部W1、W2が位置する流路R1、R2を画定する二つのプレート3A、3Bの対向する位置からそれぞれ突出する凸部321A、321Bが互いに当接することにより構成されているが、この構成に限定されない。例えば、閉塞壁部W1、W2は、該閉塞壁部W1、W2が位置する流路R1、R2を画定する二つのプレート3A、3Bのうちの一方のプレート3A(又は3B)の一部(凸部)のみによって構成されていてもよい。また、閉塞壁部W1、W2は、流路R1、R2を画定する二つのプレート3A、3Bに挟み込まれた部材(例えば、ガスケット4等のような各プレート3A、3Bとは別部材)によって構成されていてもよい。
【0165】
また、上記実施形態の混合器1では、Z軸方向の同じ位置に、各混合用貫通孔351A1~351A4又は閉塞壁部W1、W2が一つ配置されているが、この構成に限定されない。
【0166】
例えば、
図23A~
図23Cに示すように、Z軸方向に延びる流路R1、R2をY軸方向において複数の領域(
図23A~
図23Cに示す例では、二つの領域Ar11、Ar12)に分け、混合用貫通孔351A1、351A2、・・・と閉塞壁部W1、W2との組が領域Ar11、Ar12毎に配置されていてもよい。この場合、Y軸方向に隣り合う領域Ar11、Ar12の境界位置に、Z軸方向に延びて流路R1、R2を仕切る(換言すると、区分けする)仕切り壁部W10が配置されている。
図23A~
図23Cに示す例では、仕切り壁部W10は、Y軸方向に隣り合う閉塞壁部W1、W2の間からZ軸方向の一方側に延び、Y軸方向における混合対象物A、Bの通過を阻止する。
【0167】
より具体的には、第一閉塞壁部W1と対応する仕切り壁部W10Aは、第一流路R1に配置され、第二閉塞壁部W2と対応する仕切り壁部W10Bは、第二流路R2に配置されている。即ち、Z軸方向において、第一流路R1に配置される仕切り壁部W10Aと、第二流路R2に配置される仕切り壁部W10Bとは、Z軸方向において交互に配置されている。各仕切り壁部W10は、上記実施形態の閉塞壁部W1、W2と同様の構成である。即ち、仕切り壁部W10は、流路R1、R2を画定する二つのプレート3(第一プレート3A及び第二プレート3B)の対向する部位から互いに接近する方向に突出する凸部325A、325Bの頂部同士を当接させることによって構成されている。また、仕切り壁部W10によって仕切られた各領域Ar11、Ar12において、Y軸方向の一方側に寄った混合用貫通孔351A2と、Y軸方向の他方側に寄った混合用貫通孔351A1、351A3とがZ軸方向に間隔をあけて交互に配置されている。
【0168】
以上の構成によれば、Z軸方向の他方側へ向かう混合対象物A、Bの流れが仕切り壁部W10によってY軸方向に分断された状態で、各組と対応する領域Ar11、Ar12において混合対象物A、Bが上流側の混合用貫通孔351Aから下流側の混合用貫通孔351Aに流れ、即ち、混合対象物A、Bの流れにY軸方向の速度成分がそれぞれ付与され、これにより、混合対象物A、Bが好適に混合される。
【0169】
この仕切り壁部W10によって流路R1、R2が分断された領域Ar11、Ar12は、例えば、プレート群2の第一部位21におけるZ軸方向の全域に配置されてもよく、
図24A~
図24Cに示すように、例えばプレート群2の第一部位21において、流路R1、R2が仕切り壁部W10によって分断された部分(第一部分P1)と、仕切り壁部のない部分(第二部分P2)とがZ軸方向に隣り合うように配置されている構成であってもよい。また、
図25に示すように、例えばプレート群2の第一部位21において、第一部分P1と第二部分P2とがZ軸方向に交互に並んでいる構成であってもよい。
【0170】
また、上記実施形態の混合器1では、混合用貫通孔351A、351B及び閉塞壁部W1、W2は、プレート群2の第一部位21に配置されているが、この構成に限定されない。例えば、混合用貫通孔351A、351B及び閉塞壁部W1、W2は、プレート群2の第二部位22や第三部位23、Z軸方向の全域等に配置されてもよい。即ち、混合用貫通孔351A、351B及び閉塞壁部W1、W2は、Z軸方向におけるプレート群2の何れかの領域に配置されていればよい。
【符号の説明】
【0171】
1…プレート式混合器、2…プレート群、21…第一部位、22…第二部位、23…第三部位、3…プレート、3A…第一プレート、31A…連通孔、311A…第一連通孔、312A…第二連通孔、313A…第三連通孔、314A…第四連通孔、315A…第五連通孔、32A、321A、322A、323A、325A…凸部、33A、331A、332A、333A、335A…凹部、35A…混合用貫通孔、351A…混合用貫通孔(第一貫通孔、第二貫通孔)、351A1…第一混合用貫通孔、351A2…第二混合用貫通孔、351A3…第三混合用貫通孔、351A4…第四混合用貫通孔、353A…混合用貫通孔、3B…第二プレート、31B…連通孔、311B…第一連通孔、312B…第二連通孔、313B…第三連通孔、314B…第四連通孔、315B…第五連通孔、32B、321B、322B、323B、325B…凸部、33B、331B、332B、333B、335B…凹部、35B…混合用貫通孔、351B…混合用貫通孔(第一貫通孔、第二貫通孔)、351B1…第一混合用貫通孔、351B2…第二混合用貫通孔、351B3…第三混合用貫通孔、351B4…第四混合用貫通孔、353B…混合用貫通孔、30E…係合部、30G…ガスケット配置部、4…ガスケット、4A…第一ガスケット、41A…第一流路形成部、42A…第一封止部、43A…接続部、4B…第二ガスケット、41B…第二流路形成部、42B…第三流路形成部、43B…第四流路形成部、44B…第二封止部、45B…接続部、5…保持部、51…挟持部、511…貫通孔、519…係合部、52…挟持部、521…被ガイド部、529…係合部、53…支持部、531…ガイドバー、532…サポート部材、58…間隔調整部、581…締付部材、582…ボルト、583…ナット、A、B…混合対象物、C…混合物、Ar1…第一領域、Ar11、Ar12…領域、Ar2…第二領域、Ar3…第三領域、Ch1…第一流入路(流路)、Ch2…第一流入路(流路)、Ch3…第一流出路(流路)、Ch4…第二流入路(流路)、Ch5…第二流出路(流路)、F…流動物、P1…第一部分、P2…第二部分、R1…第一流路、R2…第二流路、R3…第三流路、R4…第四流路、S1、S3…第一面、S2、S4…第二面、W1…第一閉塞壁部(第二壁部)、W2…第二閉塞壁部(第一壁部)、W3、W4…壁部、W10、10A、10B…仕切り壁部、d1…第一内径、d2…第二内径