(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183141
(43)【公開日】2023-12-27
(54)【発明の名称】通線具、通線装置
(51)【国際特許分類】
H02G 1/06 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
H02G1/06
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096611
(22)【出願日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】522239498
【氏名又は名称】片岡 慎之介
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】弁理士法人井上国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077919
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172638
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 隆治
(74)【代理人】
【識別番号】100153899
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100159363
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 淳子
(72)【発明者】
【氏名】片岡 慎之介
【テーマコード(参考)】
5G352
【Fターム(参考)】
5G352CK05
5G352CK07
(57)【要約】
【課題】テープの先端部のツメを取り外すことなくケーブルの通線が可能な通線具、通線装置を提供する。
【解決手段】寸法測定用のスケール11のテープ105にケーブル202を固定して通線を行うための通線具100であって、テープ105の先端に備えられたツメ106を固定するためのツメ固定部101と、ツメ固定部101と一体に具備されておりケーブル202を引っかけて固定するためのケーブル固定部102とを備え、ツメ固定部101には、テープ105の先端部分を収納するための溝110と、溝110の底面に設けられておりツメ106を挿入して固定するためのスリット110aとが備えられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寸法測定用のスケールのテープにケーブルを固定して通線を行うための通線具であって、
前記テープの先端に備えられたツメを固定するためのツメ固定部と、前記ツメ固定部と一体に具備されており前記ケーブルを引っかけて固定するためのケーブル固定部とを備え、
前記ツメ固定部には、前記テープの先端部分を収納するための溝と、前記溝の底面に設けられており前記ツメを挿入して固定するためのスリットとが備えられていることを特徴とする通線具。
【請求項2】
前記ケーブル固定部には、前記ケーブルを通すための幅広貫通穴と、前記幅広貫通穴よりも幅が小さく前記幅広貫通穴と連なって設けられており前記ケーブルを挟み込んで固定するための幅狭貫通穴とが備えられていることを特徴とする請求項1に記載の通線具。
【請求項3】
前記溝は、前記ツメ固定部の上面側に形成されており、
前記ツメ固定部には、拘束手段用の貫通穴が形成されており、
前記貫通穴に前記拘束手段を挿入し、前記拘束手段によって前記ツメ固定部と前記テープとを拘束することを特徴とする請求項1に記載の通線具。
【請求項4】
前記溝は、前記ツメ固定部の上面側に形成されており、
前記ツメ固定部は、前記テープを固定するために前記溝を塞ぐ蓋機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の通線具。
【請求項5】
前記溝及び前記スリットは、前記ツメ固定部の一方の側面から内部へ向かって形成されており側方から見て全体としてL字状のスリット機構を構成していることを特徴とする請求項1に記載の通線具。
【請求項6】
前記ケーブル固定部がテーパー状に細くなっている形状を備え、
前記ツメ固定部の底面が前記ケーブルの敷設される面に接する形状を備え、
前記ケーブル固定部が上方に向かって反り立っていることを特徴とする請求項1に記載の通線具。
【請求項7】
前記ケーブル固定部がテーパー状に細くなっている形状を備え、
前記ツメ固定部の底面が前記ケーブルの敷設される面に接する形状を備え、
前記ケーブル固定部の上面と前記ツメ固定部の上面とが面一かつ前記ツメ固定部の底面と平行であることを特徴とする請求項1に記載の通線具。
【請求項8】
前記ツメ固定部及び前記ケーブル固定部が、前記ケーブルの敷設される面に対して湾曲した形状を備えることを特徴とする請求項1に記載の通線具。
【請求項9】
前記ケーブル固定部がテーパー状に細くなっている形状を備え、
前記ツメ固定部の底面が前記ケーブルの敷設される面に接する形状を備え、
前記ケーブル固定部が上方に向かって水平方向から40度より大きく反り立っていることを特徴とする請求項1に記載の通線具。
【請求項10】
請求項1に記載の通線具を備えたことを特徴とする通線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床下、天井裏、柱内等に電線、電話線、ネットワークケーブル等のケーブルを通線させるための通線具、通線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場等で使用されるスケール(巻尺)の一種であるコンベックスは、測定目盛りが付与され断面が湾曲した薄い金属材を使用したテープを巻尺として使用している。このテープは、長く引き延ばしても安定して自立するという特徴を有する。このため、様々な場所や被測定物の長さを測定するのに広く使用されるだけでなく、OAフロア等でLAN(ローカルエリアネットワーク)ケーブル等を通線させる際にも使用されている。
【0003】
例えば、手が届かないOAフロアの床下や天井裏にコンベックスのテープを、ケーブルを引き出したい側(以下、「通線終了箇所」と称する)から、ケーブルを引き込みたい側(以下、「通線開始箇所」と称する)まで引き延ばす。次に、コンベックスのテープの先端部にLANケーブル等をビニールテープ等で固定した後、テープを巻き取る。これにより、LANケーブル等のように柔らかく曲がり易い線状材であっても、床下や天井裏等に容易に通線することができる。
【0004】
しかし、市販のコンベックスにおいては一般に、先端部に計測開始点にテープを引っかけたり押しつけたりして固定するためのツメが取り付けられており、このツメが通線中に他のケーブル等に引っかかるため、テープをスムーズに巻き取ることができなかった。
【0005】
そこで従来、巻取り式の金属テープの先端部に固定する電線引き寄せ具が提案されている(例えば特許文献1参照)。この電線引き寄せ具としては、巻き尺式の尺度目盛りが施されている構造の弾性硬質金属の帯材の先端部に、電線係止部を具備し且つ帯材の延長方向に対し傾斜面を形成するように長手方向側面が略「く」字状に屈曲して移動に際して凹凸面を乗り越えてスライドし得る形状の電線連結ガイド金具が固定又は着脱可能に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来技術では、市販の巻き尺に一般的に取り付けられている前述したツメの代わりに他の通線用器具を取り付ける必要があるため、長さを測る際にツメを使用できなくなるという問題点がある。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、テープの先端部のツメを取り外すことなくケーブルの通線が可能な通線具、通線装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は、
寸法測定用のスケールのテープにケーブルを固定して通線を行うための通線具であって、
前記テープの先端に備えられたツメを固定するためのツメ固定部と、前記ツメ固定部と一体に具備されており前記ケーブルを引っかけて固定するためのケーブル固定部とを備え、
前記ツメ固定部には、前記テープの先端部分を収納するための溝と、前記溝の底面に設けられており前記ツメを挿入して固定するためのスリットとが備えられていることを特徴とする通線具を提供する。
また本発明は、
上記通線具を備えたことを特徴とする通線装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、テープの先端部のツメを取り外すことなくケーブルの通線が可能な通線具、通線装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は本発明の通線装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は通線具の基本実施形態の構成を示す図であり、詳しくは
図2(a)は通線具にテープを固定した様子を示す図、
図2(b)は通線具の長手方向における断面図、
図2(c)は通線具にテープ及びケーブルを固定した様子を示す図である。
【
図3】
図3(a)~
図3(h)は通線具の第1の実施形態の構成例のバリエーションを示す図である。
【
図4】
図4(a)~
図4(h)は通線具の第2の実施形態の構成例のバリエーションを示す図である。
【
図5】
図5(a)~
図5(h)は通線具の第3の実施形態の構成例のバリエーションを示す図である。
【
図6】
図6(a)~
図6(h)は通線具の第4の実施形態の構成例のバリエーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の通線装置の構成を示す図であり、
図2は通線具の基本実施形態の構成を示す図である。
図1に示す通線装置10は、寸法測定用の目盛りを備えた鋼鉄製のテープ105を繰り出し/巻き戻し自在な一般的な構成のスケール(コンベックス)11と、コンベックス11から引き出されたテープ105の先端に取り付けられた通線具100とからなる。
【0013】
通線具100は、ツメ固定部101と、ツメ固定部101に一体的に設けられたケーブル固定部102とからなる。ツメ固定部101及びケーブル固定部102は、いずれも樹脂製でそれぞれ底面が長方形の略楔形状(三角柱形状)をしており、通線具100は当該底面同士を貼り合わせてなり全体として略船底形状をしている。
なお、ツメ固定部101及びケーブル固定部102は、樹脂製に限られずその他の材料(例えば、金属等)で構成してもよく、形状も楔形状に限られず、例えばツメ固定部101を例えば直方体形状等としてもよい。
【0014】
ツメ固定部101は、コンベックス11のテープ105の先端部に固定されているツメ106を覆い隠すように固定するものである。
図2(a)~
図2(c)に示すように、ツメ固定部101の上面には、通線具100の長手方向へ延びる溝110が形成されている。溝110の底面はコンベックス11のテープ105の湾曲に合わせて蒲鉾状に湾曲している。
図2(b)に示すように、溝110の底面のケーブル固定部102側の先端位置には通線具100の短手方向へ延びるスリット110aが形成されており、当該スリット110aにテープ105の先端部のL字状のツメ106を挿入して固定することができる。
【0015】
ケーブル固定部102は、ツメ固定部101の反対側に具備され、ケーブル202(
図2(c)参照)のケーブル先端部201又はケーブル先端部201に付けられたガイド部材(不図示)を引っかけて固定するものである。
ケーブル固定部102は、
図1又は
図2に示されるように、ケーブル202のケーブル先端部201を上下方向へ通すための幅広で円形の貫通穴107と、貫通穴107よりも幅狭でケーブル202を両側から挟み込んで固定するための貫通穴108とを備えている。貫通穴108は、小径の円形穴108aと、小径の円形穴108aよりも径の大きな中径の円形穴108bとからなり、貫通穴107の径は、円形穴108bよりも大きく設計されている。円形穴108a、円形穴108b、貫通穴107はケーブル固定部102の先端側から順に並んで連なる(接する)ように設けられており、全体として1つの貫通穴を形成している。このような構成により、簡単な機構でケーブル202を確実にホールドすることが可能となる。より具体的には、太いケーブル202をケーブル固定部102に固定する場合には円形穴108bでホールドし、細いケーブル202をケーブル固定部102に固定する場合には円形穴108aでホールドすることができる。
【0016】
なお、貫通穴107、108の形状は上述のものに限られず、貫通穴107はケーブル202を通すことができる形状(例えば、楕円形や矩形等)、貫通穴108はケーブル202を挟持できる形状(例えば、楕円形や矩形等)であればよい。また、貫通穴108は径の異なる2つの円形穴108a、108bで構成されているが、2つに限られず例えば1つの円形穴、径の異なる3つの円形穴等で構成してもよい。
【0017】
基本実施形態において、コンベックス11を通線器具として使用する場合には、まず、コンベックス11のテープ105の先端部のツメ106を、
図2(c)に示されるようにして、ツメ106がツメ固定部101の内部に埋め込まれるように例えば上部から取り付け、ビニールテープ203等で固定する。
【0018】
次に、床下や天井裏等の通線終了箇所の側から、通線具100が取り付けられたコンベックス11のテープ105を通線開始箇所まで引き延ばす。そして、通線開始箇所においてケーブル202のケーブル先端部201又はケーブル202のケーブル先端部201に付けられた特には図示しないガイド具を、ケーブル固定部102に固定する。
図2(c)は、テープ105の先端部のツメ106がツメ固定部101に固定され、ケーブル202の先端部201がケーブル固定部102に固定された状態を示している。
【0019】
その後、引き延ばしたテープ105を特には図示しないコンベックス11本体のリール機構を使って巻き取ることにより、ケーブル202を通線開始箇所から通線終了箇所まで通線させる。
【0020】
ここで、コンベックス11のテープ105の先端部のツメ106は、通線具100のツメ固定部101において、内部に埋め込まれるように固定されている。このため、このツメ106が通線中に他のケーブル等に引っかかることはなく、テープ105をスムーズにコンベックス11本体に巻き取ることができる。このようにして、
図1及び
図2に示される基本実施形態の構成により、コンベックス11として市販のコンベックスをそのテープ105の先端部のツメ106を取り外すことなくケーブル202を通線する作業に使用することが可能となる。
また、ツメ106はテープ105に固定されたままにして目視可能であるため、コンベックス11を使用した通常の寸法測定作業にも支障は出ない。なお、
図2(c)はツメ106の先端部分をビニールテープ203で固定した様子を示しているが、コンベックス11で通常の寸法測定作業を行う際にツメ106の先端部分を目視しやすくするために、ツメ106の先端部分が露出するようにツメ106近傍のテープ105部分をビニールテープ203で固定するようにしてもよい。また、後述する
図3(d)及び
図3(e)と同様に、溝110の両側壁の上端部分に切り欠き部を設け、この切り欠き部にビニールテープ203を配置するようにしてもよい。これにより、テープ105が溝110から外れてしまうことをより効果的に防ぐことができる。
【0021】
図3は、
図1及び
図2の基本実施形態に基づく通線具の第1の実施形態の構成例のバリエーションを示す図である。第1の実施形態における通線具300は、
図3(a)に示されるように、ケーブル固定部102(
図1参照)の側がテーパー状に細くなっている形状を備えると共に、ツメ固定部101は略立方体形状でありその底面全体がケーブル202(
図2参照)の敷設される面に接する形状となっている。また、
図3(a)に示されるように、ケーブル固定部102の側の底面が上方に向かって若干反り立っている形状を備える。
【0022】
具体的には、ケーブル固定部102が水平方向から30度より大きく45度より小さい範囲で上方に向かって反り立った形状とすることがより好ましい。この構成により、本実施形態における通線具300を床下や天井裏等の通線終了箇所に差し込んで通線開始箇所まで引き延ばす際に、通線経路に障害物があっても当該障害物に通線具300が容易に乗り上げて回避することができる。この効果はケーブル固定部102の屈曲角度を30度以下にすると小さくなってしまう。また、ケーブル固定部102の屈曲角度を45度以上にすると通線経路が狭い場合にスムーズな通線の妨げになってしまうおそれがある。
以上の構成により、通線具300によってスムーズな通線が実現される。
【0023】
図1及び
図2で説明したように、ツメ固定部101は、ツメ106及びツメ106が接続されたテープ105の先端部を通線具300の上部から溝110に配置し、ツメ106がツメ固定部101の内側に埋め込まれるようにツメ106を内部に引っかけるスリット110aを備えてよい(
図3(a)参照)。
【0024】
また、ツメ固定部101は、
図3(b)に示されるように、テープ105を固定するための帯状の面ファスナー(マジックテープ(登録商標))305を通す矩形状の穴304を備えてよい。穴304は、ツメ固定部101の溝110よりも下側の位置において、ツメ固定部101を短手方向へ貫通するように設けられている。
図3(c)に示すように穴304にマジックテープ305を通し、マジックテープ305でツメ固定部101とテープ105とを拘束することで、ツメ固定部101に対してテープ105をしっかりと固定することができる。なお、ツメ固定部101の穴304の形状は矩形状に限られず、例えば円形や楕円形等としてもよい。また、マジックテープ305に限られず、その他の拘束手段(例えば、ひも、ビニールテープ、粘着テープ等)を用いることもできる。また、後述する
図3(d)及び
図3(e)と同様に、溝110の両側壁の上端部分に切り欠き部を設け、穴304に通したマジックテープ305を当該切り欠き部に配置するようにしてもよい。これにより、テープ105が溝110から外れてしまうことをより効果的に防ぎつつ、通線時にマジックテープ305が他のケーブル等に引っ掛かってしまうことを防止することができる。
【0025】
或いは、ツメ固定部101は、
図3(d)及び
図3(e)に示されるように、テープ105を固定するための蓋機構306を備えてよい。
図3(f)に示されるように、蓋機構306はツメ固定部101の溝110を短手方向へ跨ぐように開閉自在に塞ぐことにより、溝110の底面にテープ105を押し付けて固定することができる。特に、蓋機構306は、
図3(d)及び
図3(e)に示されるように、溝110の両側壁の上端部分に設けられた切り欠き部に配置することで溝110内に収納できるので好ましい。これにより、テープ105が溝110から外れてしまうことをより効果的に防ぎつつ、通線時に蓋機構306が他のケーブル等に引っ掛かってしまうことを防止することができる。なお、蓋機構306の構成は前述のものに限られず、蓋機構306を閉じた際にツメ106の先端部分が目視できるように露出可能であることが好ましい。これにより、テープ105に通線具300を装着したままでコンベックス11による通常の寸法測定作業を支障なく行うことができる。
【0026】
図3(a)~
図3(f)とは異なり、ツメ固定部101は、
図3(g)に示されるように、ツメ106及びツメ106が接続されたテープ105の先端部をツメ固定部101の側方から内部に差し込んで固定するためのL字状のスリット機構303を備えてよい。言い換えれば、
図3(g)では溝110及びスリット110aをツメ固定部101の一方の側面から内部へ向かって形成することにより、側方から見て全体としてL字状のスリット機構303が構成されている。なお、スリット機構303は、
図3(h)に示されるようにテープ105の湾曲に合わせて湾曲していることが好ましい。また、コンベックス11で通常の寸法測定作業を行うために、ツメ固定部101の表面においてツメ106の先端即ち0cm地点に相当する位置に印(寸法測定の基準となる印)を設けておくことが好ましい。
【0027】
以上説明した
図3に示されるように、第1の実施形態における通線具300では、スムーズな通線とテープ105及びその先端部のツメ106を通線具300に確実に固定することが可能となる。
【0028】
図4は、
図1及び
図2の基本実施形態に基づく通線具の第2の実施形態の構成例のバリエーションを示す図である。第2の実施形態における通線具400は、
図4(a)に示されるように、ケーブル固定部102(
図1参照)の側がテーパー状に細くなっている形状を備えると共に、ツメ固定部101の側からケーブル固定部102の側に向かう底面の大部分がケーブル202の敷設される底面に接する形状を備える。詳細には、ツメ固定部101が立方体形状をしており、ケーブル固定部102の上面とツメ固定部101の上面とが面一で、これらの上面とツメ固定部101の底面とが平行になっている。
以上の構成により、
図3の第1の実施形態の場合と同様に、通線具400によってスムーズな通線が実現される。
【0029】
第2の実施形態における
図4(b)~
図4(h)のバリエーションは、第1の実施形態における
図3(b)~
図3(h)のバリエーションと同様である。即ち、
図4(b)は、
図3(b)の場合と同様に、テープ105を固定するためのマジックテープ305を通す穴304を備える構成である。また、
図4(d)は、テープ105を固定するための蓋機構306を備える構成である。更に、
図4(g)は、スリット機構303を使うことにより、ツメ106及びツメ106が接続されるテープ105の先端部を側面側からツメ固定部101の内部に差し込んで固定する構成である。
【0030】
以上説明した
図4に示されるように、第2の実施形態における通線具400においても、スムーズな通線とテープ105及びその先端部のツメ106を通線具400に確実に固定することが可能となる。
【0031】
図5は、
図1及び
図2の基本実施形態に基づく通線具の第3の実施形態の構成例のバリエーションを示す図である。第3の実施形態における通線具500は、
図5(a)に示されるように、ツメ固定部101の側からケーブル固定部102の側に向かって、ケーブル202が敷設される底面に対して丸く湾曲した形状を備える。詳細には、ツメ固定部101及びケーブル固定部102が側方から見て全体として角丸長方形状であって、上方から見て全体として楕円形状をなしている。なお、ツメ固定部101及びケーブル固定部102の形状はこれに限られず、例えば側方から見て全体として楕円形状であって、上方から見て全体として角丸長方形状としてもよい。
【0032】
このような構成により、
図3の第1の実施形態の場合又は
図4の第2の実施形態の場合と同様に、通線具500によってスムーズな通線が実現される。
【0033】
第3の実施形態における
図5(b)~
図5(h)のバリエーションは、第1の実施形態における
図3(b)~
図3(h)のバリエーションと同様である。即ち、
図5(b)は、
図3(b)の場合と同様に、テープ105を固定するためのマジックテープ305を通す穴304を備える構成である。また、
図5(d)は、テープ105を固定するための蓋機構306を備える構成である。更に、
図5(g)は、スリット機構303を使うことにより、ツメ106及びツメ106が接続されるテープ105の先端部を側方からツメ固定部101の内部に差し込んで固定する構成である。
【0034】
以上説明した
図5に示されるように、第3の実施形態における通線具500においても、スムーズな通線とテープ105及びその先端部のツメ106を通線具500に確実に固定することが可能となる。特に、本実施形態における通線具500は、長手方向の両端部が丸みを帯びた形状としたことにより、通線具500を床下や天井裏等の通線終了箇所に差し込んで通線開始箇所まで引き延ばす際にも、ケーブル202を取り付けた通線具500を通線開始箇所から通線終了箇所まで引き戻して通線する際にも、通線具500が他のケーブル等に引っ掛かってしまうことを効果的に防止することができる。
【0035】
図6は、
図1及び
図2の基本実施形態に基づく通線具の第4の実施形態の構成例のバリエーションを示す図である。第4の実施形態における通線具600は、
図6(a)に示されるように、ケーブル固定部102の側がテーパー状に細くなっている形状を備える。また、
図6(a)に示されるように、ツメ固定部101が立方体形状で底面がケーブル202の敷設される底面に接する形状をしており、上述の通線具300に比してケーブル固定部102が上方に向かって大きく反り立っている形状を備える。
【0036】
具体的には、ケーブル固定部102が水平方向から40度より大きく55度より小さい範囲で上方に向かって反り立った形状とすることがより好ましい。この構成により、本実施形態における通線具600を床下や天井裏等の通線終了箇所に差し込んで通線開始箇所まで引き延ばす際に、通線経路に大きな障害物があっても当該障害物に通線具600が容易に乗り上げて回避することができる。この効果はケーブル固定部102の屈曲角度を40度以下にすると小さくなってしまう。ケーブル固定部102の屈曲角度を55度以上にするとスムーズな通線の妨げになってしまうおそれがあるため好ましくない。
以上の構成により、通線部分の特殊な形状に対しても、通線具600によってスムーズな通線が実現される。
【0037】
第4の実施形態における
図6(b)~
図6(h)のバリエーションは、第1の実施形態における
図3(b)~
図3(h)のバリエーションと同様である。即ち、
図6(b)は、
図3(b)の場合と同様に、テープ105を固定するためのマジックテープ305を通す穴304を備える構成である。また、
図6(d)は、テープ105を固定するための蓋機構306を備える構成である。更に、
図6(g)は、スリット機構303を使うことにより、ツメ106及びツメ106が接続されるテープ105の先端部を側方からツメ固定部101の内部に差し込んで固定する構成である。
【0038】
以上説明した
図6に示されるように、第4の実施形態における通線具600においても、スムーズな通線とテープ105及びその先端部のツメ106を通線具600に確実に固定することが可能となる。
【符号の説明】
【0039】
10 通線装置
11 スケール(コンベックス)
100、300、400、500、600 通線具
101 ツメ固定部
102 ケーブル固定部
105 テープ
106 ツメ
107 貫通穴
108 貫通穴
108a 小径の円形穴
108b 中径の円形穴
201 ケーブル先端部
202 ケーブル
203 ビニールテープ
303 スリット機構
304 マジックテープ穴
305 マジックテープ
306 蓋機構